金属被覆された誘電体基体
金属/誘電体構造(10、20、30、50、62)は、その中を通して光を導くのに適している透光基体(12、54)又は誘電体基体(65)のいずれかと、基体の表面上に堆積された少なくとも1種の金属又はメタロイドの酸化物形態を含む任意の接着促進層(18、56、66)と、接着促進層(18、56、66)の上に配置されている高反射金属(14、58)及び/又は導電性金属(68)/電磁金属から成る層と、及び金属層(14)の上に形成されたパリレンポリマーフィルム(17、19)から成る保護層(16、60、70)とを含む。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
関連出願
本出願は、2001年1月29日に出願された米国仮出願第60/264,829号「ROBUST HIGHLY REFLECTIVE WAVEGUIDE COATINGS」の優先権を主張し、また更に、2002年1月15日に出願された第10/047,833号「ROBUST HIGHLY REFLECTIVE OPTICAL CONSTRUCTION」の優先権も主張する。前記各仮出願の教示は、本出願と抵触しない程度まで本明細書に引用したものとする。関連出願は、本出願と同じ発明者の要件、及び共通の譲受人を有する。また、本出願は、2001年4月5日に出願された第09/828,065号「METHOD FOR DEPOSITING A BARRIER COATING ON A POLYMERIC SUBSTRATE AND COMPOSITION COMPRISING SAID BARRIER COATING」とも関連があり、その教示は、本出願と抵触しない程度まで本明細書に引用したものとする。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般的に、光学構造及び電磁干渉シールド構造に関するものであり、更に詳しくは、本発明は、堅牢な高反射光学層で被覆された透光基体材料を有する光学構造と、電磁干渉シールド用途のために、単独で又は他の金属と一緒に多層構成で銀被覆を使用することに関する。
【0003】
発明の背景
導波路のような光学部品は、多くの用途のために、光波の伝搬を閉じ込め且つ導くように一般的に設計されている。光の反射及び透過に依存する用途において、高反射材料を透光材料と組み合わせて用いると、性能を有意に増加させることができる。例えば、ステップ形光ファイバーは、透光材料と、中心光媒体(すなわちコア)と、及び周囲光媒体(すなわち、クラッド)とから成る同心層の細いストランドから構成されており、後者は屈折率が低い。光はコアの中を通る。透過中、光は、しばしば、コアとクラッドとの境界に進み、そこで、全反射によってコアへと反射される。しかしながら、いくらかの光は、例えば、コア内又はコア/クラッド境界において、欠陥によって誘発される散乱によって失われるので、全反射というわけではない。
【0004】
この損失を減らすために、光ファイバーの長さに沿ってクラッド表面に反射層を施用できる。反射層は、コアへと戻される光量を有意に増加させ、光ファイバーを通る全体的な光の透過率を向上させる。
【0005】
理想的には、光学部品において使用する反射層は、光の広いスペクトルにわたって且つ反射の全ての入射角にわたって、高い反射特性を有しているべきである。銀は、高い反射率値を有する公知の一つの金属である。銀は、垂直入射において、全ての可視光スペクトルにわたって約98%の反射率を有する。また、銀は、近斜入射角において、オフノーマル光(off−normal light)に関して約96%の高い反射率も維持する。比較として、より一般的に用いられる反射層材料であるアルミニウムは、垂直入射で約93%の反射率を有する。アルミニウムの反射率は、斜入射角の光に関しては75%まで急激に落ちる。
【0006】
銀は、優れた光学特性を有するが、反射金属の使用と関連するいくつかの問題がある。銀は、空気に暴露されるとき、特に、亜硫酸、硫化水素、二酸化窒素、オゾン、塩化水素、塩素及び有機酸を含む腐食性ガス及び汚染物質の存在下で空気に暴露されるとき、好ましくなく変色する傾向がある。腐食性条件下で適切に試験された利用可能な保護手段の欠如と共に、環境への通常の露出によって引き起される銀変色の攻撃性に基づいた市販の被覆機能によって、銀被覆の長期性能はめったに保証されないことは公知である。
【0007】
更に、ガラス又はポリメタクリル酸メチルのようなポリマー材料を含む透光基体材料への銀の付着は、せいぜい中程度である。ポリメタクリル酸メチルは、光学部品の作製において多用される低コストのアクリル樹脂である。
【0008】
電磁干渉(EMI)に対するシールドを提供するために、単独で又は磁気特性を有する他の金属と一緒に多層形態で銀めっきを用いることも、当業において公知である。しかしながら、EMIシールド用途のための銀被覆の使用は、変色及び下側基体からの離層に関する銀被覆の感受性によって制限されてきた。
【0009】
上記の理由から、透光材料の範囲に有利に付着し、また、腐食及び変色に対して改良された抵抗性を有していて改良された光学的に有効な性能及びより長くて持続する動作寿命を提供する高反射被覆を有する光学構造に関するニーズが存在する。更に、典型的には銀を含み、変色及び/又は下側支持基体からの離層に関して感受性が低く、それにより、非常に高い伝導性の被覆又は層が電磁干渉シールド用途において信頼して用いられ且つ維持されることを可能とする高導電性の被覆又は層を提供するための方法及び装置に関して当業において長い間ニーズがある。
【0010】
発明の概要
一般的に、本発明は、例えば、中空及び中実の導波路、中実及び中空のライトパイプ、光ファイバー、プリズム、マイクロ構造シート、湾曲ミラー(楕円、放物線など)、平面鏡(plano mirror)のような光学部品のための光学構造、及びトポグラフィー形態を有する他の光学部品のための光学構造に関するものである。本発明の光学構造は、亜硫酸、硫化水素、二酸化窒素、オゾン、塩化水素、塩素、及び有機酸などを含む潜在的に腐食性の物質の存在下で(空気中に少なくとも極微量存在する)、光学部品による高度な光学性能及び光透過を維持するように設計されている。
【0011】
本発明の光学構造は、例えば銀のような金属から成る高反射表面が要求される光学部品において特に有用である。光学構造は、光学部品の全反射特性を測定できるほどに劣化させずに、光学部品における高反射表面の有利な耐久性及び保存を提供するのに更に適している。
【0012】
本発明の一つの面では、光学構造は、一般的に:その中を通して効率的に光を導くのに適している透光基体と、その透光基体の表面上に堆積され且つそれに対して結合された高反射金属から構成されている高反射層とを含む。
パリレンポリマーフィルムから成る保護層を、高反射金属層の上に配置し、そして前記金属層に確実に接着させる。
【0013】
本発明で用いられるパリレンポリマー保護層は、例えば周囲雰囲気、腐食性物質、塩、及び湿度などのような外部エレメントに対する暴露から反射層を隔離するのに役立つ。前記外部エレメントは、変色、分解、離層又は変色によって時間と共に金属反射層の破壊及び劣化を引き起こすことがあり、その結果として、金属反射層の反射率が失われることがある。以下に記載されているテープ引張試験(tape−pull test)によって示されるように、パリレンポリマー保護層は、機械的変形及び離層に対する反射層の抵抗性を更に向上させる。
【0014】
任意には、本発明の光学構造は:基体の表面と反射層との間に施用して、その間の結合を強化する接着促進層を更に含むことができる。本発明で用いられる接着促進層は、反射層が透光基体から物理的に分離する、性能の劣化及び反射率の減少を招く離層に関して改良された抵抗性を提供するために、機能的な反射金属層と透光基体との間の接着を有意に向上させる。更に、接着促進層は、基体/反射層界面に沿って反射層の反射特性の均一性及び整合性を促進する。
【0015】
本発明の他の形態では、透光ガラス又はポリマー材料を含む導波路構造、例えば光ファイバーは、金属又はメタロイドの酸化物形態の接着促進層で被覆される。銀の反射層は、接着促進層と接触させて施用される。パリレンポリマーフィルムの保護層を、銀の反射層の上に施用して、高度な反射光沢の喪失の防止、又は周囲空気のような環境下での腐食剤に起因する離層もしくは劣化を防止する。本発明の好ましい形態は、より長い動作寿命を含む改良された性能品質を有する堅牢な高反射パリレン/銀/金属酸化物/導波路構造を形成する。
【0016】
本発明の別の態様では、任意の支持基体上に銀のような高度に導電性の被覆又は層を堆積させ、次いで、高度に導電性の被覆又は層の上にポリマーフィルムを含む保護層を施用することによって、改良されたEMIシールドを提供し、それによって、支持基体は、チューブ状材料、シート材料、及びリボン材料などを含む任意の形態であることができる。
【0017】
本発明のもう一つ別の態様では、銀層を変色及び離層から保護するために、基体を被覆している銀層の上にパリレンポリマーを施用して、信頼性の高いEMIシールドを長期にわたって維持する。
【0018】
更にもう一つ別の態様では、金属酸化物上銀上パリレン層を基体の上に施用して、信頼性の高いEMIシールドを長期にわたって維持する。
本発明の別の態様では、ニッケル上銀上ポリマー層を基体の上に施用して、信頼性の高いEMIシールドを長期にわたって維持する。
【0019】
本発明の別の態様では、ポリマー上ニッケル上銀上ポリマー層を基体の上に施用して、信頼性の高いEMIシールドを長期にわたって維持する。
以下、本発明の様々な態様を図面に則し詳細に説明する。図面において、同じ部材は同じ参照番号によって識別される。
【0020】
本発明及び好ましい態様の説明
本発明は、一般的に、光学構造及び前記光学構造を作製する方法と、EMIシールド構成及び前記構成を作製する方法の両方に関する。まず最初に光学構造の態様を説明し、次に、EMIシールドの態様を説明する。光学及びシールドの態様は、後述するようにある種の面で関係がある。
【0021】
本発明の光学構造は、基体、高反射層、基体と前記反射層との間に接触して配置されている任意の接着促進層、及び前記反射層の上に配置されているパリレンポリマーフィルムを含む保護層を含む。本発明の光学構造は、より長い動作寿命のために、基体に対する反射層の改良された接着と、腐食及び変色に対する改良された抵抗性とによって有利な光学的特性を提供する。基体材料は、例えば、ガラス、及びポリメタクリル酸メチル(PMMA)のような有機ポリマーベースの材料から成る群より選択できる。
【0022】
本発明において、保護層として有用なパリレンポリマーフィルムは、以下のポリマー繰り返し単位構造:
【0023】
【化1】
【0024】
(式中、nは構造における繰り返し単位の数を示す)を有する。パリレンポリマー被覆は、3つの形態又は変体で例示でき、そのそれぞれは、様々な塩素化度を含む。3つの形態としては、塩素原子を有していない上記パリレンN、パリレンNと同じモノマーから生成され且つ芳香族水素のうちの1つを塩素原子で置換することによって更に変性させているパリレンC、及びパリレンNと同じモノマーから生成され且つ芳香族水素のうちの2つを塩素原子で置換することによって更に変性させているパリレンDが挙げられる。
【0025】
図1には、本発明の一つの態様を図示している光学構造が記載してある。構造における対応要素の厚さは一定の比率で示されておらず、概略的な構造及びその関係を例示するために示してある。参照番号10によって本明細書において示される光学構造は、銀のような金属から成る高反射表面が求められるある範囲の光学部品を作製するために適用できる。光学構造10は、一般的に:その中を効率的に光を透過させ導くための透光基体12、好ましくは透光基体12の表面に蒸着された銀のような高反射金属から成る反射層14、及び好ましくはパリレンポリマーフィルムから成る保護層16を含む。好ましくは、基体12の表面は、最高度の正反射率を提供するために、光学的に平滑であり且つ光学的欠陥が実質的にない。基体12の表面は、任意に処理して、反射層14との接着を促進することができ、その処理としては、本出願と抵触しない程度まで本明細書に引用したものとする米国特許第5,982,546号で説明されているプラズマ処理が挙げられるが、それらに限定されない。
【0026】
光ファイバー導波路のような光学部品を作製するために用いられる透光基体は、例えば、用途、所望の動作特性、コスト、及び透過される光の特性に左右される材料のある範囲から選択できる。透光基体12は、ガラス又はポリマー材料から成ることができる。同様に、ポリマー材料としては、ポリ炭化水素、ポリオキシ炭化水素、ポリスルホ炭化水素のような有機ポリマーが挙げられ、またフルオロカーボン及びフッ化炭化水素材料も挙げられる。代表的な有機ポリマーとしては、ポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート及びポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリアクリレート及びメタクリレート、例えばポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(メタクリレート)、及びポリ(エチルアクリレート)、コポリマー、例えばポリ(メチルメタクリレート・コ・エチルアクリレート、及びポリカーボネートが挙げられる。TEFLONのようなフルオロカーボンポリマー及び当業において公知の様々なフッ化炭化水素ポリマーを用いることもできる。更に好ましくは、ポリマー材料はPMMAである。
【0027】
特に低複屈折性が要求される用途では、他のポリマーを、透光基体材料として用いることができる。前記ポリマーとしては、ペンシルバニア州ピッツバーグにあるPPG Industriesによって市販されているCR−39アリルジグリコールカーボネート樹脂;日本国東京にあるHitachi Chemical Co.,Ltd.から市販されているOZ−1000脂環式のアクリル樹脂;ミシガン州ミッドランドにあるDow Engineering Plasticsから市販されているCALIBRE 1080 DVDポリカーボネート樹脂;ペンシルバニア州ピッツバーグにあるBayer Corporationから市販されているMAKROLONDP1−1265ポリカーボネート樹脂;ペンシルバニア州フィラデルフィアにあるATOFINA Chemicals,Inc.から市販されているPLEXIGLAS VOD−100のアクリル成形用樹脂、ニュージャージー州サミットにあるTiconaから市販されているTOPASシクロオレフィンコポリマー;及び日本国東京にあるNippon Zeon Co.,Ltdから市販されているZEONEXシクロオレフィンポリマーなどが挙げられる。
【0028】
本発明の用途を制限するものではないが、プラスチック又はポリマー材料は、明澄であり、透明であり、且つ透光性であることができる。プラスチック又はポリマー材料の文脈で用いるとき、「明澄」、「透明な」、及び「透光性」という用語は、使用のその構成において、所望の波長範囲にわたって透過を示す。ポリマーベースの基体それ自体は、市販されているか、又は様々な公知の方法によって調製することができるので、それ自体及びそれ単独で本発明の面を構成しない。ポリマー基体は、例えば金属及びガラスのような非ポリマー性表面上に施用又は積層される中実体、シート、フィルム、又は被覆へと成形できる。
【0029】
図1に示してある光学構造10の反射層14は、好ましくは、例えば銀、銅、金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、及びそれらの合金の形態での組み合わせなどのような高反射率を有する1種以上の機能的金属から構成される。これらの金属の中で、銅、銀及び金が好ましく、銀は、可視域の光に関しては最も好ましい金属である。金属又は金属の合金を含む反射層14は、従来の公知の堆積法、例えばカソードスパッタリング法、真空蒸着法又は気相蒸着法によって、透光基体12の光学的に平滑な表面上に、約100Å〜10000Å、好ましくは500Å〜3000Å、更に好ましくは約1000Å〜3000Åの厚さで堆積させることができる。単一の金属を用いることができ、又は、所望により、異なる金属の複数の層又はこれらの金属の合金の層を用いることができる。
【0030】
本発明の別の態様では、光学構造10の反射層14は、腐食及び変色に対する最適な保護を提供するための保護層16によって、周囲から密閉且つ封止される。保護層16は、パリレンポリマーフィルムの形態で、透光基体12から遠位にある反射層14の表面上に蒸着される。パリレンポリマー保護層16は、施用されると、以下で更に説明しているように、連続的で均一な被覆を形成する。
【0031】
保護層16のパリレンポリマーフィルムは、パリレンN、パリレンC、パリレンD又はそれらの組み合わせ又は混合物から成ることができる。パリレンポリマーフィルムは、異なる混合比のパリレン変体のモノマーから成るインターポリマーから構成できる。保護層16のパリレンポリマーフィルムの厚さは、好ましくは少なくとも0.0001インチ、更に好ましくは約0.001インチ〜0.0001インチである。パリレンポリマー保護層の変体の実際厚さ及び混合比は、用途、要求条件、使用される反射層金属、所望の効果、効果の期間、及び予期される汚染物質に対する暴露のタイプなどにしたがって調整することができ、また当業者は容易に決定できる。
【0032】
パリレンポリマーフィルムを、後述するように、適当なアニーリング法又は熱処理法を用いて任意に処理して、被覆の耐薬品性及び耐久性を高めることができる。本明細書で使用する「アニーリング」又は「熱処理」という用語は、熱で、続いて冷却して、処理される物質又は材料の構造特性を改良又は変化させることによる物質又は材料を処理するための任意の方法を指している。
【0033】
本発明にしたがって、パリレンポリマーフィルムは、従来から公知の気相蒸着法又は真空蒸着法を用いる被覆法によって施用される。当業者には公知であるように、表面上にパリレンポリマーを施用するための任意の適当な商業的に利用可能な方法を用いることができることが了解される。
【0034】
例示的実施例として、パリレンポリマー被覆を施用するための一つの方法は米国特許第3,342,754号に記載されており、その開示は、本出願と抵触しない程度まで本明細書に引用したものとする。本発明はこの方法の利用に限定されないことが了解される。
【0035】
図2には、米国特許第3,342,754号に記載されている真空蒸着法を実行するための基本的なパリレン真空蒸着反応器システム40の全体的な概略図が示してある。上記したように、基体上のポリマーフィルムを施用するために当業で公知の多くのシステム及び方法がある。システム40に関する以下の説明は、基体をパリレンポリマー層で被覆するために用いることができる方法の実例を提供している。システム40は、当業者には公知のように、市販の部品及びパーツを用いて組み立てることができる。
【0036】
図2を更に参照すると、システム40は:蒸発室42、分解室44、蒸着室46、及び真空ポンプ48を含む。真空ポンプ48を動作させて、システム40の内部から空気を抜く。蒸発室42は、ダイマーを蒸発させるのに充分な高温においてジ−p−キシレンダイマーのサンプルを真空下で加熱するのに適している。真空条件下で、蒸発するダイマーは、チャンバ42の中で全方向に放射される。
【0037】
蒸発したダイマーは、分解室44へと進み、そこで、ダイマーは、蒸気圧が1.0mmHgを下回るような圧力において充分な時間、700℃未満、好ましくは450℃〜700℃、及び更に好ましくは約680℃の温度まで加熱されて、パリレンのパリレンジラジカルモノマーを形成する。
【0038】
パリレンジラジカルモノマーは、蒸着室46へと進み、そこで、ジラジカルモノマーは、200℃未満の温度で、好ましくはパリレンジラジカルモノマーの天井凝縮温度を下回る温度で、及び更に好ましくは室温で、反射金属被覆透光基体の冷表面上で凝縮し重合する。ジラジカルモノマーが凝縮すると、堅くて線形で非蛍光性のポリマーが生成する。真空ポンプ48をシステム40に接続して、最適に処理するために減圧下でプロセスを実行する。
【0039】
パリレンポリマーを堆積させる真空蒸着法は、いくつかの利点を提供する。まず第一の利点は、室温で堆積させる方法によって、基体の範囲をパリレンポリマーフィルムで被覆できるという点である。第二の利点は、複雑な形状を有する基体上に高度に適合した均一な連続被覆が形成される点である。第三の利点は、正確な被覆制御のために、連続性と均一性を維持しながら、非常に薄い被覆層を形成できる点である。
【0040】
図1及び2を特に参照しながら、本発明の光学構造を作製する全プロセスを説明する。光学構造10の好ましい形態では、前記構造は、PMMAベースの透光基体12の光学的に平滑な表面上へ銀層14を蒸着させることによって形成される。反射金属被覆透光基体は、反応器40の蒸着室46の中に置かれ、且つパリレンジラジカルモノマー流に対して反射銀金属14の外面を暴露するために最適に配置される。パリレン真空蒸着法によって、銀金属層14の表面上に充分な厚さのパリレンポリマー保護層16が生成する。蒸着されたパリレンポリマー保護層16の厚さは、当業において公知の様々な光学的方法のうちの任意の一つを用いて、蒸着室46の中で測定できる。又は、パリレンポリマー保護層16の厚さは、蒸着室46から物品を取り出した後に測定できる。
【0041】
更に以下に記載するように、同じか又は異なるパリレン変体(すなわち、パリレンN、パリレンC、パリレンD、及び/又はそれらの混合物)を用いて、上記の蒸着プロセスを少なくとも一回繰り返して、反射銀層14の表面上にマルチラミネートパリレンポリマー被覆を生成させることができる。蒸着室46は周囲空気から封止されており、また蒸着室46は真空ポンプ48で真空になっている。別法として、蒸着室46の雰囲気を、周囲圧力において、ヘリウム、アルゴン又は窒素のような不活性ガスで置換できる。
【0042】
保護層の蒸着されたパリレンポリマー保護フィルムを、充分な時間、高温でアニールし、次いでそれらを冷却すると、実質的に改良された耐薬品性のパリレンポリマーバリヤーが形成されることを発見した。また、パリレンポリマー被覆の物理的バリヤー及び機械的性質が、アニール熱処理後に非常に向上することも発見した。アニール温度は、少なくとも約120℃、好ましくは約120℃〜220℃であることができ、アニール時間は、約1時間〜5日であることができる。アニールプロセスは、真空、不活性ガス及び通常の周囲雰囲気を含むがこれらに限定されない適当な雰囲気条件下で行うことができる。当業者が測定できるような基体の熱量及び最大基体温度定格(maximum substrate temperature rating)などによって要求されるようにアニール条件を変化させることができる。
【0043】
パリレンポリマーフィルムは、パリレン蒸着プロセスの完了直後に、アニールすることができる。アニールプロセスは、好ましくは、真空において、又は少なくとも一つの不活性ガス、例えばヘリウム、アルゴン、及び窒素などの存在下で大気圧において行われる。最適なアニール条件は、パリレンポリマーの変体それぞれで僅かに異なる場合がある。更に、アニール法は、蒸着プロセス中に施用される各パリレンポリマー保護層に関して独立に実施することができるか、又は2つ以上のパリレンポリマー層を施用後にパリレンポリマー保護層全体に実施できる。
【0044】
図3に示してあるように本発明の別の態様では、上記した透光基体12と、真空蒸着、カソードスパッタリング、及び電子ビーム蒸着などのような従来の蒸着法を用いて基体表面に施用される少なくとも1種の金属又はメタロイドの酸化物形態を含む薄い接着促進層18とを含む光学構造20(一定の比率で描画されていない)が提供される。接着促進層18は、反射層14を施用する前に、基体12に施用される。ガラス基体に対する銀の接着を増強するための酸化アルミニウムの使用に関する詳細な記述は、その内容を本明細書に引用したものとするHass et al.,Applied Optics,14,2639(1975)に認められる。
【0045】
基体12と反射層14との間の界面において不透明な高反射表面を形成するのに充分な厚さを与えるために、接着促進層18の表面上へ、電子ビーム蒸着を含む上記方法を用いて、銀のような高反射金属を含む反射層14を堆積させる。最後に、反射層14の表面は、上記のように好ましくは真空蒸着又は適当な方法を用いて、パリレンポリマーフィルムを含む保護層16で被覆される。
【0046】
上記のように、接着促進層18は、好ましくは、透光基体12の平滑面に反射層14の金属原子を結合するのに充分である少なくとも1種の金属又はメタロイドの酸化物形態を含む。好ましくは、接着促進層18の厚さは、約10Å〜1000Åであることができ、更に好ましくは約300Åであることができる。
金属とポリマー基体との間の接着促進材料としての金属ベース及びメタロイドベースの酸化物(以下、本明細書ではまとめて「金属酸化物」と呼ぶ)の使用及び用途は、米国特許第5,589,280号及び第5,902,634号で更に詳細に説明されており、前記2つの関連のある教示は、抵触しない程度まで本明細書に引用したものとする。
【0047】
殆どの用途のために、選択される接着促進材料の任意の材料は、少なくとも信頼性のある接着を提供するのに有効であると認められる量において、できる限り殆ど無色であるべきである。所望の光源の下で視覚的に検出可能な色を基体12に付与する接着促進材料は、反射層14へと進む光および反射層14から進む光を吸収することによって反射効率を低減させるだけでなく、基体12を通過して反射層14で指向される光線の明度を変える。接着を促進している材料は、基体12に対する金属反射層14の接着を促進することに加えて、その光学的特性を維持するために腐食に耐える必要がある。更に、接着促進層のための材料を選択する場合、周期的な温度変化から生じる離層を含む望ましくない効果を排除するために、相対的な膨張率の効果も考慮する必要があることにも注目している。
【0048】
本発明の一つの態様では、透光基体12と反射層14との間に位置する接着促進層18は、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、チタン、ニオブ、珪素、タングステン、アルミニウム、バナジウム、モリブデン、クロミウム、スズ、アンチモン、インジウム、亜鉛、ビスマス、カドミウム、及びニッケルなどを含むがこれらに限定されない1種以上の金属の酸化物形態から成る。
【0049】
一般的に、接着促進層18を生成する方法は、カソードスパッタ堆積、電子ビーム蒸着又は金属酸化物を堆積させる任意の適当な方法によって金属酸化物を堆積させる方法である。金属酸化物は、好ましくは酸化モードで堆積され、例えば、前記の堆積は、金属が完全に酸化されて所望の接着促進が得られるように、過剰の酸素の存在下でスパッタすることによって達成できる。
【0050】
接着促進層18のための本明細書で考慮される金属のいくつかは、それらの金属状態において実質的な吸収(すなわち、20Å未満の厚さで>3%の吸収)を示すので、酸化物としてそれらを堆積させることは有利である。同様に、それらの堆積後に、完全に又は部分的に金属層を更に酸化することも有利かもしれない。
【0051】
図4を参照する。本発明の第三の態様の光学構造が記載されている。参照番号30として本明細書で示される光学構造は、上記図3の光学構造20と同様である。光学構造における対応する部材の厚さは一定の比率で描画されておらず、一般的な構造及び関係を例示するために示してあることに留意すべきである。本態様では、光学構造30は、パリレンN、パリレンC、パリレンD及びそれらの組み合わせから成る群より選択される異なるパリレンポリマーから成る各層を有するマルチラミネート構造から成る保護層16を含む。保護層16のマルチラミネート形態は、反射金属層に対する改良された適合性、及び改良された耐薬品性のために、各パリレン変体及び/又はパリレン変体の混合物の利点を提供する。
【0052】
保護層16は、第一のパリレン変体又はパリレン変体混合物から成る第一パリレンフィルム17を含む。第一パリレンフィルム17は、上記した適当な堆積法のうちの一つを用いて反射層14上に堆積される。保護層16は、反射層14から遠位にある第一パリレンフィルム17の表面上に位置している第二のパリレン変体又はパリレン変体の混合物から成る第二パリレンフィルム19を更に含む。各パリレン変体層の実際厚さは、用途要求条件、反射層金属、所望の効果、効果の期間、及び予期される汚染物質に対する暴露のタイプなどにしたがって調整することができ、また当業者によって容易に決めることができる。
【0053】
一つの態様では、第一パリレンフィルム17はパリレンCから成り、及び第二パリレンフィルム19はパリレンDから成る。パリレンCを直接に銀反射層の上に保護層として堆積させる場合、パリレン/銀界面における銀反射率の変化は、実験データのノイズの範囲内であることが実験結果から分かった。前記の知見から、パリレンCと銀との間に殆ど又はまったく反応性が無いことが分かった。
【0054】
更に、パリレンDを保護層として銀層の上に堆積させた場合、パリレン/銀界面における銀反射率は明確に減弱又は低下したことも実験結果から分かった。パリレンDの塩素含量は、平均すると、一つのモノマー単位につき2つの塩素原子であることは公知であるので、パリレンポリマーフィルムの結合されていない又は捕捉されていない塩素が存在していると、銀と反応できることが理論付けられる。知見は、パリレンDと銀との間にいくらかの反応性が存在し得ることを示したが、パリレンDは保護層の一部としての使用に適する候補である。パリレンDは、パリレンCに比べてガス透過率値が低く、銀反射層に対してより良好な暴露保護を提供することが知られている。銀/パリレンC/パリレンDラミネートの組み合わせは、パリレンCの銀との低い反応性及びパリレンDの低いガス透過率を有する有効な保護層を提供する。
【0055】
更にもう一つ別の態様では、一つのパリレン変体から別のパリレン変体へのパリレンフィルムの堆積の移行を徐々に行って、第一と第二のパリレンポリマー層の間に移行中間層(図示せず)を形成できる。パリレン変体の堆積が移行するとき、第一パリレンポリマーの蒸気流が次第に減少するにつれて、第二パリレンポリマーの蒸気流は、第一パリレンポリマー蒸気流の対応する減少に比例して逓増する。 この作用により、純粋なパリレンポリマー層の間に段階的な界面が生成し、次いで、その間に改良された接着を有するインターポリマーが形成される。上述のように、得られたパリレンポリマー層を、望み通りにアニール又は熱処理して、層の特性を改良できる。
【0056】
中間層の実際厚さは、用途、要求条件、所望の効果、効果の期間、及び予期される汚染物質に対する暴露タイプなどにしたがって調整することができ、また、当業者によって容易に決定できることが了解される。
【0057】
図5を参照する。本発明の一つの実施態様の光ファイバー導波路が記載してある。全体が参照番号50で示されている光ファイバー導波路は、一般的に、その中を通して光を導くためのガラスの同心層を有する細長い円筒体を含む。
図5の光ファイバー導波路50は、透光ガラス又はポリマー材料から成るコア52と、コア52に比べて低い屈折率を有する、透光ガラス又はポリマー材料から成るクラッド54と、反射層58とクラッド54との間に配置された任意の接着促進層56を有する反射層58と、及び反射層56の上に配置されているパリレンポリマー保護層60とを含む。光ファイバー50は、クラッド54が光学的に透明な基体を確立している本発明の光学構造を含む。光ファイバー50は、反射層58、任意の接着促進層56、及びパリレンポリマー層60をクラッド54の表面上にすべて施用するための上記技術を用いて、任意の市販されている光ファイバー導波路から作製できる。
【0058】
(実施例)
実施例1
実験的試験
1.49の反射率を有する光学品質のポリメチルメチルアクリレート(PMMA)基体のサンプルを試験のために入手した。従来の電子ビーム蒸着法を用いて酸化物被覆を蒸発させて一組のサンプルに施用して、接着促進層を形成させた。99.999%の純度を有する酸化アルミニウム原料を、ウィスコンシン州ミルウォーキーにあるCeracから入手した。酸化アルミニウムは、全圧2x10−4トルにおいて21.8%のO2/Ar流量を用いて堆積させた。堆積速度は、1秒あたり約1Åに設定して約300Åの最終厚さを得た。
【0059】
銀金属の層を、従来の電子ビーム蒸着法を用いて、各サンプル基体の表面に施用した。99.999%の純度を有する銀金属原料は、Ceracから入手した。銀層は、1秒あたり約1.2〜7.3Åの堆積速度で、1,000Åの厚さで施用した。平均堆積速度は、1秒あたり約3Åであった。
【0060】
パリレンD及びパリレンCは、マサチューセッツ州アトルボロにあるParatronix,Inc.から入手した。パリレンポリマーは、化学的堆積法を用いてサンプルに施用して、約0.0005インチの被覆を生成させた。パリレンポリマー層によって提供される保護の程度は、基体を介する銀層の反射率の変化で測定された。反射率の測定は、約360から750ナノメートルのスペクトル域を有するMacBeth Color−Eye 7000分光計を用いて行った。界面での測定は、PMMA基体を介して行った。界面での測定は、PMMAによる吸収又は第一表面反射由来の干渉効果を含む。
【0061】
通常の周囲空気と、脱イオン水18cc中硫化アンモニウム(20%の水溶液)2ccを保持している蒸発皿とを含む密封された直径200mmのパイレックス(登録商標)ガラスデシケーター中にサンプルを配置することによって、促進銀変色が誘発された。硫化アンモニウムは、マサチューセッツ州ニューベリーポートにあるStrem Chemicalsから入手した。基体のサンプルは、溶液の上方4cmに配置して、銀層側を溶液に暴露した。銀反射率は、デシケータ室において、露光時間の関数として測定した。硫化アンモニウム溶液は、主要な腐食剤として硫化水素を生成した。単体硫黄が長い暴露時間の後にデシケータ壁上に堆積したことが観察された。硫化アンモニウム溶液は、銀に関する最も強力な変色剤のうちの一つであることは公知である。Dar−Yuan Song etal.,Applied Optics 24(8),1164(1985)を参照されたい。
【0062】
周囲空気のときの結果
保護されていないサンプルに関して周囲空気中における銀腐食率を評価するために、銀で被覆されたPMMAサンプルの反射率を、研究室の周囲空気に暴露させて定期的に測定した。透光PMMA基体を介して測定された銀面及び銀/PMMA界面の反射率の変化を各サンプルについて記録した。反射率は、約70日間にわたって、約550ナノメートルの波長を有する光を用いて測定した。点をプロットし、線形回帰分析を行って、図6に記載してあるグラフを得た。
【0063】
図6を参照する。周囲空気中での暴露では、変色率は、銀面では約6.3のx10−2%/日及び銀/PMMA界面では約2.2x10−2%/日であったことを示している。銀面と比較して、界面における変色率が低いということは、銀層を通る、又は、可能性としては低いが、はるかに厚いPMMA基体を通る腐食剤の拡散が、より遅かったということで説明できる。グラフには、3M 防食管理吸収紙(Corrosion Control Absorber Paper)(CPAP)、及びミネソタ州セントポールにあるMinnesota Mining and Manufacturing Co.の耐食紙製品中に貯蔵されたサンプル(対照)に関する反射率測定値が含まれている。耐食紙は、酸化及び腐食を引き起こす大気汚染物質由来の変色を防止するように設計されている。腐食性成分を耐食紙によって空気から除去すると、銀面及び銀/PMMA界面の反射率は測定可能な変化を示さなかった。反射率の変化は、70日の測定期間で3x10−4%/日未満だった。二組のデータを比較すると、銀反射率の変化は空気腐食のみによって起こり、界面における銀鏡とPMMA基体との認知可能な相互作用は存在しないと考えられると結論できる。
【0064】
硫化アンモニウム
銀の変色を抑えるパリレン被覆の能力を試験するために、いくつかの銀被覆PMMAサンプルを、上記の方法で調製した。PMMAサンプルを、パリレンのC変体及びD変体のフィルムで封入した。パリレンポリマーで被覆されたPMMAサンプルは、マサチューセッツ州アトルボロにあるParatronix Inc.から入手した。パリレンコーティングのフィルム厚みは、平均して約0.00043インチと測定された。
【0065】
上記した試験手順を用いて、パリレン被覆C及びDの効果を評価した。腐食室での暴露時間の関数として銀反射率の変化を測定した。その結果は図7に示してある。図7を参照する。サンプルは、硫化アンモニウム溶液にそれぞれ暴露された。腐食度は、線形最小二乗フィッティングを用いるデータ分析によって決定した。周囲空気及び硫化アンモニウムに対する暴露に対応する腐食率は、以下の表1に掲げてある。
【0066】
【表1】
【0067】
パリレンC及びDフィルムにおける変色率を比較すると、パリレンCの場合の変色率は、パリレンDの場合の変色率に比べて15倍高いことが認められた。パリレンで保護されたサンプルに関する変色率を保護されていない銀サンプルと比較すると、変色率は、パリレンCコーティングでは6.9 x 10−5倍及びパリレンDコーティングでは4.6 x 10−6倍低減していることが観察された。同様な腐食剤が周囲空気変色結果の原因であると仮定するならば、上記の変色低減係数を用いて、通常の大気中におけるパリレンポリマーで保護された銀に関しての変色率を推定することができる。周囲空気データに変色低減係数を適用すると、パリレンC被保護銀フィルムに関しては空気変色率は約4.3xl0−6%/日と推定され、パリレンDに関しては約2.9x10−7%/日と推定される。この分析によれば、いずれのパリレン変体も、反射率の変化は0.1%未満で50年間銀を保護すると考えられる。
【0068】
表1に掲げてある銀/PMMA界面において測定された変色率は、銀面の変色率に比べて常に低い。腐食ガスは銀層中を拡散して銀/PMMA界面に到達するという条件からすれば、この結果は予想通りである。
【0069】
銀の接着
パリレンC及びDフィルムをPMMA上へ直接堆積させて、これらのフィルムの接着を試験した。各変体のいくつかのサンプルを、Minnesota Mining and Manufacturing Co.から市販されているSCOTCH(登録商標)テープを用いて試験し、基体に対する接着性を観察したが、前記テープを引き剥がすことによってパリレンフィルムは剥離しなかった。
【0070】
直接に接触させる場合、銀はPMMAと適合するように見えるが、この材料に対する接着は不充分である。PMMA上銀被覆に関するSCOTCHテープ試験は、常に銀フィルムのすべてを剥離させた。最終的な銀被覆導波路構造に関して行ったように、パリレンで銀被覆PMMA基体を封入すると、銀被覆の堅牢性が向上する。
【0071】
パリレンフィルムは高度な引張強さを有しているので、パリレンC又はパリレンDによって被覆されたPMMA上銀フィルムは、通常、いかなるフィルム離層も起こさずにSCOTCHTMテープ試験に合格する。しかしながら、いくつかの例では、テープ引張試験後に銀フィルムがPMMA基体から引き離された領域のフィルムにはブリスターを認めることができる。しかしながら、パリレンフィルムは、下に存在する銀フィルムに対して無傷のまま完全に結合を維持している。これらの破損により、銀/PMMA界面結合を改良する必要が確認された。
【0072】
既に詳述したように、金属酸化物又はメタロイド酸化物が、ガラス基体に対する銀の接着を増強することは公知である。アルミナは可視スペクトル全体にわたって高度に透明であることにより銀被覆導波路のための優れた候補であるので、アルミナを選択した。PMMA上における銀のための接着層としてアルミナを試験するために、厚さ300オングストロームの層を、銀鏡を堆積させる前に、PMMA上に堆積させた。SCOTCHTMテープ試験は、アルミナ界面層が銀接着を改良することを示唆している。引き剥がしたテープの約80%には銀フィルムの損失部分は認められなかったが、20%にはPMMA基体から剥ぎ取られた銀鏡の一部が認められた。アルミナを結合させた銀フィルムにパリレンCを上塗りすると、テープ試験時に剥ぎ取ったテープには基体からの銀鏡の剥離又は離層は認められなかった。
【0073】
本発明の上記の詳細な説明は、主として、光学構造に関連がある発明の態様に関するものである。以下、説明するように、光学構造態様のための様々な方法は、EMIシールド用途において典型的に銀から成る導電性遮蔽層を提供する場合にも適用可能である。
【0074】
上記のように、銀は、非常に高性能な電気伝導体と、電磁干渉(EMI)のためのシールドを提供することは当業において公知である。アルミニウム及び銅と比較してEMIシールドを提供するための銀の効果は、従来技術において立証されている。例えば、1990年3月にEMI/EMCに掲載されているKimmel Gerke Associates,Ltd.,Consulting Engineersによって作成された“Vacuum Deposition Shielding Effectiveness Test”という表題の報告書を参照されたい(See http://www.Shieldingforelectronics.com/effectivenss.htmlを参照されたい)。この報告書は、真空蒸着された銀は、EMIシールドの提供に関して試験された他のいかなる金属に比べてより良好な性能を発揮することを示す試験結果を提供している。而して、銀被覆は、エンクロージャー、プリント基板又は回路基板、ガスケット、ケーブル、及びファブリックなどのEMI効果を著しく増強できることは明らかである。
【0075】
また、本発明は、電気的及び電磁気的シールド特性の両方を提供するために、ニッケルのような磁気特性を有する金属を多層配列で銀と組み合わせるための態様も含むことは明らかである。また、銀は良好な電気の導体であり、また、銀被覆自体を、導体の電流容量を増強するために使用できることも公知である。銅の抵抗率が1サーキュラーミル・フットあたり10.4オーム及びアルミニウムの抵抗率が1サーキュラーミル・フットあたり17.0オームであるの比べて、銀は1サーキュラーミル・フットあたり9.8オームの抵抗率を有する。銀及びEMIシールドの有効な使用を提供する本発明の態様は、半導体相互接続において使用する場合にアルミニウムから銅へと最近のトレンドが変化していること、そして、そのトレンドは、まもなく銅から銀へと移行するかもしれないことを考えると、商業的に重要であると考えられる。
【0076】
図1を再び参照する。EMIシールドを必要とするデバイスのためのEMIシールド用途において、構造10は、任意に基体12で支持された銀、銅、及びニッケルなどのような導電性材料から成る導電性シールド層14を含むEMIシールド構造を表している。基体12は、光学構造態様に関して上記したような透光基体ではなく、任意の材料、好ましくは電気絶縁材料、例えばプラスチック及びエラストマーなどから成る。以下で更に説明しているが、基体12は、導電性シールド層14を支持するために用いることができるか、又は導電性シールド層14からEMIシールドされているデバイスを電気絶縁するために用いることができる。また、基体12は、電気及び電子機器、プリント回路基板、ガスケット、電気ケーブル、及びファブリックなどのためのエンクロージャー用に用いられる材料を表すこともできる。プリント回路基板などのためのEMI理論及びEMIシールドは、米国特許第5,639,989号に記載されている点に留意されたい。また、電気及び電子部品のためのEMIシールドされたエンクロージャー、及びそれを作製する方法は、米国特許第5,473,111号に記載されている。それらの特許の教示は、本出願の教示と矛盾しない程度まで本明細書に引用したものとする。
【0077】
図1に更に示してあるように、導電性シールド層14は、導電性ペイント、火炎溶射、真空金属被覆法、無電界めっき法、フレーク充填成形材料、スパッタ堆積、及び化学堆積法(プラズマ強化化学堆積を含む)などを含むがこれらに限定されない従来の施用技術によって、基体12上へ堆積又は結合させることができる。パリレンポリマーの連続した均一な被覆の形態で提供される保護層16は、光学構造態様に関して上記したのと同じ技術を用いて、導電性シールド層14上に施用される。図2に示し且つ既に説明したパリレン真空蒸着反応器システム40は、EMIシールドと関連がある本発明の態様における使用のために適用することもできる。
【0078】
更に図3を参照すると、接着促進層18は、本発明のためのEMIシールド構成態様において用いることもできる。同様に、図4に示してある光学構造に関する本発明の態様は、EMIシールド材料としての銀の使用と関連のある本発明の態様における使用のために適用することもできる。異なる点は、基体12は、典型的には透光基体ではないが、板材料、リボン材料、チューブ状材料、又は有効且つ信頼性が高いEMIシールドを必要とする用途で用いるのに好適な材料を表している点である。一方、層14、16、17、18及び19は、光学構造態様のために既に説明し教示したものである。
【0079】
図8には、EMIシールドを含む電気ケーブルが、本発明の別の態様のために示してある。EMIシールド構成62を有する電気ケーブルは、例えば銅のような導電性材料を含む中心電気導体64を含む。導体64は、熱可塑性樹脂、例えばエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ジアリールフタレート樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂;プラスチックポリマー、例えばポリ塩化ビニル(PVC)及びポリエチレンなど;及びエラストマー、例えばゴム;などを含むがこれらに限定されない電気絶縁材料から成る誘電体絶縁層又は電気絶縁層65の中に密閉される。絶縁材料は、同軸ケーブル62の屈曲中の絶縁層65の破損の可能性を低下させるために、好ましくは可撓性材料から構成される。
【0080】
絶縁層65は、接着促進層66によって任意に被覆することができる。導電性シールド層68は、絶縁層65の上に堆積させる。導電層68は、例えば中心導体64のEMI及びRFシールドを提供するのに好適な銀及びニッケルのような導電性材料を含む。導電層68は、連続した継ぎ目のないシース、編組スリーブの形態、又は当業において公知の任意の他の好適な形態であることができる。
【0081】
パリレンポリマーを含む保護層70は、上記の技術を用いて、導電性シールド層68を囲む。電気絶縁性及び耐摩耗性の層72は、パリレンポリマー保護層70の上に配置されている。耐摩耗性層72は、環境、温度変動及び物理的に過酷な条件からケーブル62の内部を保護するのに好適なプラスチック及びシリコーンゴムなどを含むがそれらに限定されない可撓性で弾力的である任意の電気絶縁性材料から成ることができる。
【0082】
ケーブルの構造は、従来法によって作製できる。好ましい方法は、例えばシリコーンのような押出可能な絶縁材料を施用することによって絶縁層65で中心導体64を被覆することを含む。更に、上記した当業において公知の方法によって絶縁層65の上に、例えば典型的には銀から成る導電性シールド層68を堆積させることができる。銅、ニッケル又は他の高導電性材料も、導電性シールド層68のために用いることができる。
【0083】
別法として、絶縁層65は、PVCのようなプラスチック材料から作製でき、例えば、絶縁層65に対して積層されたもしくは結合された導電性シールド層68を有する。導電層68を、絶縁層65の上にスパッタ堆積させて、有効なEMIシールドのための継ぎ目のない被覆を形成することができる。導電性シールド層68の接続は、導電性接着剤又は360°はめ輪による圧着を用いて、ケーブル62をコネクターに取り付けることによって容易に達成できる。ケーブル62の導電性シールド層68(例えば、銀)を接続する前記方法は、当業において公知であり、例えば、本出願の教示と抵触しない程度までその内容を本明細書に引用したものとする米国特許第6,211,459号で詳しく教示されている。
【0084】
例えば、銀ベースのシールド層が、開閉コンタクト、プラグ又はコンセントを介して接地されたシステムに対して電気的に接続される場合、銀と、不適合な異なる金属との接触は、異種金属接触腐食を招く可能性があることも更に注目される。而して、本発明を最適に利用するために、2種の金属間のコンタクトが予想される場合、銀と適合性のある異種金属を適当に選択することは重要である。好適な異種金属としては、ロジウム、パラジウム、金、ニッケル、及び銅などが挙げられる。コンタクトの適当な処理及び銀と一緒に使用するのに好適な金属の選択に関する詳細は、MIL−STD889B(“Dissimilar Metals”)に記載されており、その内容は、本出願と抵触しない程度まで本明細書に引用したものとする。
【0085】
本発明の様々な態様を示し説明してきたが、それによって本発明は限定されない。当業者は、これらの態様に関して様々な改良を認めることができるが、その改良は、添付の請求の範囲の精神及び範囲によってカバーされるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の一つの態様を図示している高反射層を有する光学構造と、本発明の別の態様のための高度に導電性のシールド層を含むEMIシールド構成との両方に関する横断面図である。
【図2】本発明の原理にしたがってパリレンポリマーフィルムを堆積させて光学構造又はEMIシールドを作るためのパリレン真空蒸着堆積反応器システムの概略図である。
【図3】本発明の第二及び第三の態様それぞれに関する、高反射層を有する光学構造と、EMIシールド構成との両方を表している横断面図である。
【図4】本発明の第四及び第五の態様それぞれに関する、高反射層を有する光学構造と、EMIシールド構成との両方を表している横断面図である。
【図5】本発明にしたがう光学構造を含む光ファイバー導波路の横断面図である。
【図6】周囲空気の存在下で暴露された様々なサンプルの銀腐食度をプロットしているグラフである。
【図7】硫化アンモニウム溶液の存在下で暴露された様々なサンプルの銀腐食度をプロットしているグラフである。
【図8】本発明の態様にしたがってEMIシールド構造を含む電気ケーブルの横断面図である。
【発明の開示】
【0001】
関連出願
本出願は、2001年1月29日に出願された米国仮出願第60/264,829号「ROBUST HIGHLY REFLECTIVE WAVEGUIDE COATINGS」の優先権を主張し、また更に、2002年1月15日に出願された第10/047,833号「ROBUST HIGHLY REFLECTIVE OPTICAL CONSTRUCTION」の優先権も主張する。前記各仮出願の教示は、本出願と抵触しない程度まで本明細書に引用したものとする。関連出願は、本出願と同じ発明者の要件、及び共通の譲受人を有する。また、本出願は、2001年4月5日に出願された第09/828,065号「METHOD FOR DEPOSITING A BARRIER COATING ON A POLYMERIC SUBSTRATE AND COMPOSITION COMPRISING SAID BARRIER COATING」とも関連があり、その教示は、本出願と抵触しない程度まで本明細書に引用したものとする。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般的に、光学構造及び電磁干渉シールド構造に関するものであり、更に詳しくは、本発明は、堅牢な高反射光学層で被覆された透光基体材料を有する光学構造と、電磁干渉シールド用途のために、単独で又は他の金属と一緒に多層構成で銀被覆を使用することに関する。
【0003】
発明の背景
導波路のような光学部品は、多くの用途のために、光波の伝搬を閉じ込め且つ導くように一般的に設計されている。光の反射及び透過に依存する用途において、高反射材料を透光材料と組み合わせて用いると、性能を有意に増加させることができる。例えば、ステップ形光ファイバーは、透光材料と、中心光媒体(すなわちコア)と、及び周囲光媒体(すなわち、クラッド)とから成る同心層の細いストランドから構成されており、後者は屈折率が低い。光はコアの中を通る。透過中、光は、しばしば、コアとクラッドとの境界に進み、そこで、全反射によってコアへと反射される。しかしながら、いくらかの光は、例えば、コア内又はコア/クラッド境界において、欠陥によって誘発される散乱によって失われるので、全反射というわけではない。
【0004】
この損失を減らすために、光ファイバーの長さに沿ってクラッド表面に反射層を施用できる。反射層は、コアへと戻される光量を有意に増加させ、光ファイバーを通る全体的な光の透過率を向上させる。
【0005】
理想的には、光学部品において使用する反射層は、光の広いスペクトルにわたって且つ反射の全ての入射角にわたって、高い反射特性を有しているべきである。銀は、高い反射率値を有する公知の一つの金属である。銀は、垂直入射において、全ての可視光スペクトルにわたって約98%の反射率を有する。また、銀は、近斜入射角において、オフノーマル光(off−normal light)に関して約96%の高い反射率も維持する。比較として、より一般的に用いられる反射層材料であるアルミニウムは、垂直入射で約93%の反射率を有する。アルミニウムの反射率は、斜入射角の光に関しては75%まで急激に落ちる。
【0006】
銀は、優れた光学特性を有するが、反射金属の使用と関連するいくつかの問題がある。銀は、空気に暴露されるとき、特に、亜硫酸、硫化水素、二酸化窒素、オゾン、塩化水素、塩素及び有機酸を含む腐食性ガス及び汚染物質の存在下で空気に暴露されるとき、好ましくなく変色する傾向がある。腐食性条件下で適切に試験された利用可能な保護手段の欠如と共に、環境への通常の露出によって引き起される銀変色の攻撃性に基づいた市販の被覆機能によって、銀被覆の長期性能はめったに保証されないことは公知である。
【0007】
更に、ガラス又はポリメタクリル酸メチルのようなポリマー材料を含む透光基体材料への銀の付着は、せいぜい中程度である。ポリメタクリル酸メチルは、光学部品の作製において多用される低コストのアクリル樹脂である。
【0008】
電磁干渉(EMI)に対するシールドを提供するために、単独で又は磁気特性を有する他の金属と一緒に多層形態で銀めっきを用いることも、当業において公知である。しかしながら、EMIシールド用途のための銀被覆の使用は、変色及び下側基体からの離層に関する銀被覆の感受性によって制限されてきた。
【0009】
上記の理由から、透光材料の範囲に有利に付着し、また、腐食及び変色に対して改良された抵抗性を有していて改良された光学的に有効な性能及びより長くて持続する動作寿命を提供する高反射被覆を有する光学構造に関するニーズが存在する。更に、典型的には銀を含み、変色及び/又は下側支持基体からの離層に関して感受性が低く、それにより、非常に高い伝導性の被覆又は層が電磁干渉シールド用途において信頼して用いられ且つ維持されることを可能とする高導電性の被覆又は層を提供するための方法及び装置に関して当業において長い間ニーズがある。
【0010】
発明の概要
一般的に、本発明は、例えば、中空及び中実の導波路、中実及び中空のライトパイプ、光ファイバー、プリズム、マイクロ構造シート、湾曲ミラー(楕円、放物線など)、平面鏡(plano mirror)のような光学部品のための光学構造、及びトポグラフィー形態を有する他の光学部品のための光学構造に関するものである。本発明の光学構造は、亜硫酸、硫化水素、二酸化窒素、オゾン、塩化水素、塩素、及び有機酸などを含む潜在的に腐食性の物質の存在下で(空気中に少なくとも極微量存在する)、光学部品による高度な光学性能及び光透過を維持するように設計されている。
【0011】
本発明の光学構造は、例えば銀のような金属から成る高反射表面が要求される光学部品において特に有用である。光学構造は、光学部品の全反射特性を測定できるほどに劣化させずに、光学部品における高反射表面の有利な耐久性及び保存を提供するのに更に適している。
【0012】
本発明の一つの面では、光学構造は、一般的に:その中を通して効率的に光を導くのに適している透光基体と、その透光基体の表面上に堆積され且つそれに対して結合された高反射金属から構成されている高反射層とを含む。
パリレンポリマーフィルムから成る保護層を、高反射金属層の上に配置し、そして前記金属層に確実に接着させる。
【0013】
本発明で用いられるパリレンポリマー保護層は、例えば周囲雰囲気、腐食性物質、塩、及び湿度などのような外部エレメントに対する暴露から反射層を隔離するのに役立つ。前記外部エレメントは、変色、分解、離層又は変色によって時間と共に金属反射層の破壊及び劣化を引き起こすことがあり、その結果として、金属反射層の反射率が失われることがある。以下に記載されているテープ引張試験(tape−pull test)によって示されるように、パリレンポリマー保護層は、機械的変形及び離層に対する反射層の抵抗性を更に向上させる。
【0014】
任意には、本発明の光学構造は:基体の表面と反射層との間に施用して、その間の結合を強化する接着促進層を更に含むことができる。本発明で用いられる接着促進層は、反射層が透光基体から物理的に分離する、性能の劣化及び反射率の減少を招く離層に関して改良された抵抗性を提供するために、機能的な反射金属層と透光基体との間の接着を有意に向上させる。更に、接着促進層は、基体/反射層界面に沿って反射層の反射特性の均一性及び整合性を促進する。
【0015】
本発明の他の形態では、透光ガラス又はポリマー材料を含む導波路構造、例えば光ファイバーは、金属又はメタロイドの酸化物形態の接着促進層で被覆される。銀の反射層は、接着促進層と接触させて施用される。パリレンポリマーフィルムの保護層を、銀の反射層の上に施用して、高度な反射光沢の喪失の防止、又は周囲空気のような環境下での腐食剤に起因する離層もしくは劣化を防止する。本発明の好ましい形態は、より長い動作寿命を含む改良された性能品質を有する堅牢な高反射パリレン/銀/金属酸化物/導波路構造を形成する。
【0016】
本発明の別の態様では、任意の支持基体上に銀のような高度に導電性の被覆又は層を堆積させ、次いで、高度に導電性の被覆又は層の上にポリマーフィルムを含む保護層を施用することによって、改良されたEMIシールドを提供し、それによって、支持基体は、チューブ状材料、シート材料、及びリボン材料などを含む任意の形態であることができる。
【0017】
本発明のもう一つ別の態様では、銀層を変色及び離層から保護するために、基体を被覆している銀層の上にパリレンポリマーを施用して、信頼性の高いEMIシールドを長期にわたって維持する。
【0018】
更にもう一つ別の態様では、金属酸化物上銀上パリレン層を基体の上に施用して、信頼性の高いEMIシールドを長期にわたって維持する。
本発明の別の態様では、ニッケル上銀上ポリマー層を基体の上に施用して、信頼性の高いEMIシールドを長期にわたって維持する。
【0019】
本発明の別の態様では、ポリマー上ニッケル上銀上ポリマー層を基体の上に施用して、信頼性の高いEMIシールドを長期にわたって維持する。
以下、本発明の様々な態様を図面に則し詳細に説明する。図面において、同じ部材は同じ参照番号によって識別される。
【0020】
本発明及び好ましい態様の説明
本発明は、一般的に、光学構造及び前記光学構造を作製する方法と、EMIシールド構成及び前記構成を作製する方法の両方に関する。まず最初に光学構造の態様を説明し、次に、EMIシールドの態様を説明する。光学及びシールドの態様は、後述するようにある種の面で関係がある。
【0021】
本発明の光学構造は、基体、高反射層、基体と前記反射層との間に接触して配置されている任意の接着促進層、及び前記反射層の上に配置されているパリレンポリマーフィルムを含む保護層を含む。本発明の光学構造は、より長い動作寿命のために、基体に対する反射層の改良された接着と、腐食及び変色に対する改良された抵抗性とによって有利な光学的特性を提供する。基体材料は、例えば、ガラス、及びポリメタクリル酸メチル(PMMA)のような有機ポリマーベースの材料から成る群より選択できる。
【0022】
本発明において、保護層として有用なパリレンポリマーフィルムは、以下のポリマー繰り返し単位構造:
【0023】
【化1】
【0024】
(式中、nは構造における繰り返し単位の数を示す)を有する。パリレンポリマー被覆は、3つの形態又は変体で例示でき、そのそれぞれは、様々な塩素化度を含む。3つの形態としては、塩素原子を有していない上記パリレンN、パリレンNと同じモノマーから生成され且つ芳香族水素のうちの1つを塩素原子で置換することによって更に変性させているパリレンC、及びパリレンNと同じモノマーから生成され且つ芳香族水素のうちの2つを塩素原子で置換することによって更に変性させているパリレンDが挙げられる。
【0025】
図1には、本発明の一つの態様を図示している光学構造が記載してある。構造における対応要素の厚さは一定の比率で示されておらず、概略的な構造及びその関係を例示するために示してある。参照番号10によって本明細書において示される光学構造は、銀のような金属から成る高反射表面が求められるある範囲の光学部品を作製するために適用できる。光学構造10は、一般的に:その中を効率的に光を透過させ導くための透光基体12、好ましくは透光基体12の表面に蒸着された銀のような高反射金属から成る反射層14、及び好ましくはパリレンポリマーフィルムから成る保護層16を含む。好ましくは、基体12の表面は、最高度の正反射率を提供するために、光学的に平滑であり且つ光学的欠陥が実質的にない。基体12の表面は、任意に処理して、反射層14との接着を促進することができ、その処理としては、本出願と抵触しない程度まで本明細書に引用したものとする米国特許第5,982,546号で説明されているプラズマ処理が挙げられるが、それらに限定されない。
【0026】
光ファイバー導波路のような光学部品を作製するために用いられる透光基体は、例えば、用途、所望の動作特性、コスト、及び透過される光の特性に左右される材料のある範囲から選択できる。透光基体12は、ガラス又はポリマー材料から成ることができる。同様に、ポリマー材料としては、ポリ炭化水素、ポリオキシ炭化水素、ポリスルホ炭化水素のような有機ポリマーが挙げられ、またフルオロカーボン及びフッ化炭化水素材料も挙げられる。代表的な有機ポリマーとしては、ポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート及びポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリアクリレート及びメタクリレート、例えばポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(メタクリレート)、及びポリ(エチルアクリレート)、コポリマー、例えばポリ(メチルメタクリレート・コ・エチルアクリレート、及びポリカーボネートが挙げられる。TEFLONのようなフルオロカーボンポリマー及び当業において公知の様々なフッ化炭化水素ポリマーを用いることもできる。更に好ましくは、ポリマー材料はPMMAである。
【0027】
特に低複屈折性が要求される用途では、他のポリマーを、透光基体材料として用いることができる。前記ポリマーとしては、ペンシルバニア州ピッツバーグにあるPPG Industriesによって市販されているCR−39アリルジグリコールカーボネート樹脂;日本国東京にあるHitachi Chemical Co.,Ltd.から市販されているOZ−1000脂環式のアクリル樹脂;ミシガン州ミッドランドにあるDow Engineering Plasticsから市販されているCALIBRE 1080 DVDポリカーボネート樹脂;ペンシルバニア州ピッツバーグにあるBayer Corporationから市販されているMAKROLONDP1−1265ポリカーボネート樹脂;ペンシルバニア州フィラデルフィアにあるATOFINA Chemicals,Inc.から市販されているPLEXIGLAS VOD−100のアクリル成形用樹脂、ニュージャージー州サミットにあるTiconaから市販されているTOPASシクロオレフィンコポリマー;及び日本国東京にあるNippon Zeon Co.,Ltdから市販されているZEONEXシクロオレフィンポリマーなどが挙げられる。
【0028】
本発明の用途を制限するものではないが、プラスチック又はポリマー材料は、明澄であり、透明であり、且つ透光性であることができる。プラスチック又はポリマー材料の文脈で用いるとき、「明澄」、「透明な」、及び「透光性」という用語は、使用のその構成において、所望の波長範囲にわたって透過を示す。ポリマーベースの基体それ自体は、市販されているか、又は様々な公知の方法によって調製することができるので、それ自体及びそれ単独で本発明の面を構成しない。ポリマー基体は、例えば金属及びガラスのような非ポリマー性表面上に施用又は積層される中実体、シート、フィルム、又は被覆へと成形できる。
【0029】
図1に示してある光学構造10の反射層14は、好ましくは、例えば銀、銅、金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、及びそれらの合金の形態での組み合わせなどのような高反射率を有する1種以上の機能的金属から構成される。これらの金属の中で、銅、銀及び金が好ましく、銀は、可視域の光に関しては最も好ましい金属である。金属又は金属の合金を含む反射層14は、従来の公知の堆積法、例えばカソードスパッタリング法、真空蒸着法又は気相蒸着法によって、透光基体12の光学的に平滑な表面上に、約100Å〜10000Å、好ましくは500Å〜3000Å、更に好ましくは約1000Å〜3000Åの厚さで堆積させることができる。単一の金属を用いることができ、又は、所望により、異なる金属の複数の層又はこれらの金属の合金の層を用いることができる。
【0030】
本発明の別の態様では、光学構造10の反射層14は、腐食及び変色に対する最適な保護を提供するための保護層16によって、周囲から密閉且つ封止される。保護層16は、パリレンポリマーフィルムの形態で、透光基体12から遠位にある反射層14の表面上に蒸着される。パリレンポリマー保護層16は、施用されると、以下で更に説明しているように、連続的で均一な被覆を形成する。
【0031】
保護層16のパリレンポリマーフィルムは、パリレンN、パリレンC、パリレンD又はそれらの組み合わせ又は混合物から成ることができる。パリレンポリマーフィルムは、異なる混合比のパリレン変体のモノマーから成るインターポリマーから構成できる。保護層16のパリレンポリマーフィルムの厚さは、好ましくは少なくとも0.0001インチ、更に好ましくは約0.001インチ〜0.0001インチである。パリレンポリマー保護層の変体の実際厚さ及び混合比は、用途、要求条件、使用される反射層金属、所望の効果、効果の期間、及び予期される汚染物質に対する暴露のタイプなどにしたがって調整することができ、また当業者は容易に決定できる。
【0032】
パリレンポリマーフィルムを、後述するように、適当なアニーリング法又は熱処理法を用いて任意に処理して、被覆の耐薬品性及び耐久性を高めることができる。本明細書で使用する「アニーリング」又は「熱処理」という用語は、熱で、続いて冷却して、処理される物質又は材料の構造特性を改良又は変化させることによる物質又は材料を処理するための任意の方法を指している。
【0033】
本発明にしたがって、パリレンポリマーフィルムは、従来から公知の気相蒸着法又は真空蒸着法を用いる被覆法によって施用される。当業者には公知であるように、表面上にパリレンポリマーを施用するための任意の適当な商業的に利用可能な方法を用いることができることが了解される。
【0034】
例示的実施例として、パリレンポリマー被覆を施用するための一つの方法は米国特許第3,342,754号に記載されており、その開示は、本出願と抵触しない程度まで本明細書に引用したものとする。本発明はこの方法の利用に限定されないことが了解される。
【0035】
図2には、米国特許第3,342,754号に記載されている真空蒸着法を実行するための基本的なパリレン真空蒸着反応器システム40の全体的な概略図が示してある。上記したように、基体上のポリマーフィルムを施用するために当業で公知の多くのシステム及び方法がある。システム40に関する以下の説明は、基体をパリレンポリマー層で被覆するために用いることができる方法の実例を提供している。システム40は、当業者には公知のように、市販の部品及びパーツを用いて組み立てることができる。
【0036】
図2を更に参照すると、システム40は:蒸発室42、分解室44、蒸着室46、及び真空ポンプ48を含む。真空ポンプ48を動作させて、システム40の内部から空気を抜く。蒸発室42は、ダイマーを蒸発させるのに充分な高温においてジ−p−キシレンダイマーのサンプルを真空下で加熱するのに適している。真空条件下で、蒸発するダイマーは、チャンバ42の中で全方向に放射される。
【0037】
蒸発したダイマーは、分解室44へと進み、そこで、ダイマーは、蒸気圧が1.0mmHgを下回るような圧力において充分な時間、700℃未満、好ましくは450℃〜700℃、及び更に好ましくは約680℃の温度まで加熱されて、パリレンのパリレンジラジカルモノマーを形成する。
【0038】
パリレンジラジカルモノマーは、蒸着室46へと進み、そこで、ジラジカルモノマーは、200℃未満の温度で、好ましくはパリレンジラジカルモノマーの天井凝縮温度を下回る温度で、及び更に好ましくは室温で、反射金属被覆透光基体の冷表面上で凝縮し重合する。ジラジカルモノマーが凝縮すると、堅くて線形で非蛍光性のポリマーが生成する。真空ポンプ48をシステム40に接続して、最適に処理するために減圧下でプロセスを実行する。
【0039】
パリレンポリマーを堆積させる真空蒸着法は、いくつかの利点を提供する。まず第一の利点は、室温で堆積させる方法によって、基体の範囲をパリレンポリマーフィルムで被覆できるという点である。第二の利点は、複雑な形状を有する基体上に高度に適合した均一な連続被覆が形成される点である。第三の利点は、正確な被覆制御のために、連続性と均一性を維持しながら、非常に薄い被覆層を形成できる点である。
【0040】
図1及び2を特に参照しながら、本発明の光学構造を作製する全プロセスを説明する。光学構造10の好ましい形態では、前記構造は、PMMAベースの透光基体12の光学的に平滑な表面上へ銀層14を蒸着させることによって形成される。反射金属被覆透光基体は、反応器40の蒸着室46の中に置かれ、且つパリレンジラジカルモノマー流に対して反射銀金属14の外面を暴露するために最適に配置される。パリレン真空蒸着法によって、銀金属層14の表面上に充分な厚さのパリレンポリマー保護層16が生成する。蒸着されたパリレンポリマー保護層16の厚さは、当業において公知の様々な光学的方法のうちの任意の一つを用いて、蒸着室46の中で測定できる。又は、パリレンポリマー保護層16の厚さは、蒸着室46から物品を取り出した後に測定できる。
【0041】
更に以下に記載するように、同じか又は異なるパリレン変体(すなわち、パリレンN、パリレンC、パリレンD、及び/又はそれらの混合物)を用いて、上記の蒸着プロセスを少なくとも一回繰り返して、反射銀層14の表面上にマルチラミネートパリレンポリマー被覆を生成させることができる。蒸着室46は周囲空気から封止されており、また蒸着室46は真空ポンプ48で真空になっている。別法として、蒸着室46の雰囲気を、周囲圧力において、ヘリウム、アルゴン又は窒素のような不活性ガスで置換できる。
【0042】
保護層の蒸着されたパリレンポリマー保護フィルムを、充分な時間、高温でアニールし、次いでそれらを冷却すると、実質的に改良された耐薬品性のパリレンポリマーバリヤーが形成されることを発見した。また、パリレンポリマー被覆の物理的バリヤー及び機械的性質が、アニール熱処理後に非常に向上することも発見した。アニール温度は、少なくとも約120℃、好ましくは約120℃〜220℃であることができ、アニール時間は、約1時間〜5日であることができる。アニールプロセスは、真空、不活性ガス及び通常の周囲雰囲気を含むがこれらに限定されない適当な雰囲気条件下で行うことができる。当業者が測定できるような基体の熱量及び最大基体温度定格(maximum substrate temperature rating)などによって要求されるようにアニール条件を変化させることができる。
【0043】
パリレンポリマーフィルムは、パリレン蒸着プロセスの完了直後に、アニールすることができる。アニールプロセスは、好ましくは、真空において、又は少なくとも一つの不活性ガス、例えばヘリウム、アルゴン、及び窒素などの存在下で大気圧において行われる。最適なアニール条件は、パリレンポリマーの変体それぞれで僅かに異なる場合がある。更に、アニール法は、蒸着プロセス中に施用される各パリレンポリマー保護層に関して独立に実施することができるか、又は2つ以上のパリレンポリマー層を施用後にパリレンポリマー保護層全体に実施できる。
【0044】
図3に示してあるように本発明の別の態様では、上記した透光基体12と、真空蒸着、カソードスパッタリング、及び電子ビーム蒸着などのような従来の蒸着法を用いて基体表面に施用される少なくとも1種の金属又はメタロイドの酸化物形態を含む薄い接着促進層18とを含む光学構造20(一定の比率で描画されていない)が提供される。接着促進層18は、反射層14を施用する前に、基体12に施用される。ガラス基体に対する銀の接着を増強するための酸化アルミニウムの使用に関する詳細な記述は、その内容を本明細書に引用したものとするHass et al.,Applied Optics,14,2639(1975)に認められる。
【0045】
基体12と反射層14との間の界面において不透明な高反射表面を形成するのに充分な厚さを与えるために、接着促進層18の表面上へ、電子ビーム蒸着を含む上記方法を用いて、銀のような高反射金属を含む反射層14を堆積させる。最後に、反射層14の表面は、上記のように好ましくは真空蒸着又は適当な方法を用いて、パリレンポリマーフィルムを含む保護層16で被覆される。
【0046】
上記のように、接着促進層18は、好ましくは、透光基体12の平滑面に反射層14の金属原子を結合するのに充分である少なくとも1種の金属又はメタロイドの酸化物形態を含む。好ましくは、接着促進層18の厚さは、約10Å〜1000Åであることができ、更に好ましくは約300Åであることができる。
金属とポリマー基体との間の接着促進材料としての金属ベース及びメタロイドベースの酸化物(以下、本明細書ではまとめて「金属酸化物」と呼ぶ)の使用及び用途は、米国特許第5,589,280号及び第5,902,634号で更に詳細に説明されており、前記2つの関連のある教示は、抵触しない程度まで本明細書に引用したものとする。
【0047】
殆どの用途のために、選択される接着促進材料の任意の材料は、少なくとも信頼性のある接着を提供するのに有効であると認められる量において、できる限り殆ど無色であるべきである。所望の光源の下で視覚的に検出可能な色を基体12に付与する接着促進材料は、反射層14へと進む光および反射層14から進む光を吸収することによって反射効率を低減させるだけでなく、基体12を通過して反射層14で指向される光線の明度を変える。接着を促進している材料は、基体12に対する金属反射層14の接着を促進することに加えて、その光学的特性を維持するために腐食に耐える必要がある。更に、接着促進層のための材料を選択する場合、周期的な温度変化から生じる離層を含む望ましくない効果を排除するために、相対的な膨張率の効果も考慮する必要があることにも注目している。
【0048】
本発明の一つの態様では、透光基体12と反射層14との間に位置する接着促進層18は、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、チタン、ニオブ、珪素、タングステン、アルミニウム、バナジウム、モリブデン、クロミウム、スズ、アンチモン、インジウム、亜鉛、ビスマス、カドミウム、及びニッケルなどを含むがこれらに限定されない1種以上の金属の酸化物形態から成る。
【0049】
一般的に、接着促進層18を生成する方法は、カソードスパッタ堆積、電子ビーム蒸着又は金属酸化物を堆積させる任意の適当な方法によって金属酸化物を堆積させる方法である。金属酸化物は、好ましくは酸化モードで堆積され、例えば、前記の堆積は、金属が完全に酸化されて所望の接着促進が得られるように、過剰の酸素の存在下でスパッタすることによって達成できる。
【0050】
接着促進層18のための本明細書で考慮される金属のいくつかは、それらの金属状態において実質的な吸収(すなわち、20Å未満の厚さで>3%の吸収)を示すので、酸化物としてそれらを堆積させることは有利である。同様に、それらの堆積後に、完全に又は部分的に金属層を更に酸化することも有利かもしれない。
【0051】
図4を参照する。本発明の第三の態様の光学構造が記載されている。参照番号30として本明細書で示される光学構造は、上記図3の光学構造20と同様である。光学構造における対応する部材の厚さは一定の比率で描画されておらず、一般的な構造及び関係を例示するために示してあることに留意すべきである。本態様では、光学構造30は、パリレンN、パリレンC、パリレンD及びそれらの組み合わせから成る群より選択される異なるパリレンポリマーから成る各層を有するマルチラミネート構造から成る保護層16を含む。保護層16のマルチラミネート形態は、反射金属層に対する改良された適合性、及び改良された耐薬品性のために、各パリレン変体及び/又はパリレン変体の混合物の利点を提供する。
【0052】
保護層16は、第一のパリレン変体又はパリレン変体混合物から成る第一パリレンフィルム17を含む。第一パリレンフィルム17は、上記した適当な堆積法のうちの一つを用いて反射層14上に堆積される。保護層16は、反射層14から遠位にある第一パリレンフィルム17の表面上に位置している第二のパリレン変体又はパリレン変体の混合物から成る第二パリレンフィルム19を更に含む。各パリレン変体層の実際厚さは、用途要求条件、反射層金属、所望の効果、効果の期間、及び予期される汚染物質に対する暴露のタイプなどにしたがって調整することができ、また当業者によって容易に決めることができる。
【0053】
一つの態様では、第一パリレンフィルム17はパリレンCから成り、及び第二パリレンフィルム19はパリレンDから成る。パリレンCを直接に銀反射層の上に保護層として堆積させる場合、パリレン/銀界面における銀反射率の変化は、実験データのノイズの範囲内であることが実験結果から分かった。前記の知見から、パリレンCと銀との間に殆ど又はまったく反応性が無いことが分かった。
【0054】
更に、パリレンDを保護層として銀層の上に堆積させた場合、パリレン/銀界面における銀反射率は明確に減弱又は低下したことも実験結果から分かった。パリレンDの塩素含量は、平均すると、一つのモノマー単位につき2つの塩素原子であることは公知であるので、パリレンポリマーフィルムの結合されていない又は捕捉されていない塩素が存在していると、銀と反応できることが理論付けられる。知見は、パリレンDと銀との間にいくらかの反応性が存在し得ることを示したが、パリレンDは保護層の一部としての使用に適する候補である。パリレンDは、パリレンCに比べてガス透過率値が低く、銀反射層に対してより良好な暴露保護を提供することが知られている。銀/パリレンC/パリレンDラミネートの組み合わせは、パリレンCの銀との低い反応性及びパリレンDの低いガス透過率を有する有効な保護層を提供する。
【0055】
更にもう一つ別の態様では、一つのパリレン変体から別のパリレン変体へのパリレンフィルムの堆積の移行を徐々に行って、第一と第二のパリレンポリマー層の間に移行中間層(図示せず)を形成できる。パリレン変体の堆積が移行するとき、第一パリレンポリマーの蒸気流が次第に減少するにつれて、第二パリレンポリマーの蒸気流は、第一パリレンポリマー蒸気流の対応する減少に比例して逓増する。 この作用により、純粋なパリレンポリマー層の間に段階的な界面が生成し、次いで、その間に改良された接着を有するインターポリマーが形成される。上述のように、得られたパリレンポリマー層を、望み通りにアニール又は熱処理して、層の特性を改良できる。
【0056】
中間層の実際厚さは、用途、要求条件、所望の効果、効果の期間、及び予期される汚染物質に対する暴露タイプなどにしたがって調整することができ、また、当業者によって容易に決定できることが了解される。
【0057】
図5を参照する。本発明の一つの実施態様の光ファイバー導波路が記載してある。全体が参照番号50で示されている光ファイバー導波路は、一般的に、その中を通して光を導くためのガラスの同心層を有する細長い円筒体を含む。
図5の光ファイバー導波路50は、透光ガラス又はポリマー材料から成るコア52と、コア52に比べて低い屈折率を有する、透光ガラス又はポリマー材料から成るクラッド54と、反射層58とクラッド54との間に配置された任意の接着促進層56を有する反射層58と、及び反射層56の上に配置されているパリレンポリマー保護層60とを含む。光ファイバー50は、クラッド54が光学的に透明な基体を確立している本発明の光学構造を含む。光ファイバー50は、反射層58、任意の接着促進層56、及びパリレンポリマー層60をクラッド54の表面上にすべて施用するための上記技術を用いて、任意の市販されている光ファイバー導波路から作製できる。
【0058】
(実施例)
実施例1
実験的試験
1.49の反射率を有する光学品質のポリメチルメチルアクリレート(PMMA)基体のサンプルを試験のために入手した。従来の電子ビーム蒸着法を用いて酸化物被覆を蒸発させて一組のサンプルに施用して、接着促進層を形成させた。99.999%の純度を有する酸化アルミニウム原料を、ウィスコンシン州ミルウォーキーにあるCeracから入手した。酸化アルミニウムは、全圧2x10−4トルにおいて21.8%のO2/Ar流量を用いて堆積させた。堆積速度は、1秒あたり約1Åに設定して約300Åの最終厚さを得た。
【0059】
銀金属の層を、従来の電子ビーム蒸着法を用いて、各サンプル基体の表面に施用した。99.999%の純度を有する銀金属原料は、Ceracから入手した。銀層は、1秒あたり約1.2〜7.3Åの堆積速度で、1,000Åの厚さで施用した。平均堆積速度は、1秒あたり約3Åであった。
【0060】
パリレンD及びパリレンCは、マサチューセッツ州アトルボロにあるParatronix,Inc.から入手した。パリレンポリマーは、化学的堆積法を用いてサンプルに施用して、約0.0005インチの被覆を生成させた。パリレンポリマー層によって提供される保護の程度は、基体を介する銀層の反射率の変化で測定された。反射率の測定は、約360から750ナノメートルのスペクトル域を有するMacBeth Color−Eye 7000分光計を用いて行った。界面での測定は、PMMA基体を介して行った。界面での測定は、PMMAによる吸収又は第一表面反射由来の干渉効果を含む。
【0061】
通常の周囲空気と、脱イオン水18cc中硫化アンモニウム(20%の水溶液)2ccを保持している蒸発皿とを含む密封された直径200mmのパイレックス(登録商標)ガラスデシケーター中にサンプルを配置することによって、促進銀変色が誘発された。硫化アンモニウムは、マサチューセッツ州ニューベリーポートにあるStrem Chemicalsから入手した。基体のサンプルは、溶液の上方4cmに配置して、銀層側を溶液に暴露した。銀反射率は、デシケータ室において、露光時間の関数として測定した。硫化アンモニウム溶液は、主要な腐食剤として硫化水素を生成した。単体硫黄が長い暴露時間の後にデシケータ壁上に堆積したことが観察された。硫化アンモニウム溶液は、銀に関する最も強力な変色剤のうちの一つであることは公知である。Dar−Yuan Song etal.,Applied Optics 24(8),1164(1985)を参照されたい。
【0062】
周囲空気のときの結果
保護されていないサンプルに関して周囲空気中における銀腐食率を評価するために、銀で被覆されたPMMAサンプルの反射率を、研究室の周囲空気に暴露させて定期的に測定した。透光PMMA基体を介して測定された銀面及び銀/PMMA界面の反射率の変化を各サンプルについて記録した。反射率は、約70日間にわたって、約550ナノメートルの波長を有する光を用いて測定した。点をプロットし、線形回帰分析を行って、図6に記載してあるグラフを得た。
【0063】
図6を参照する。周囲空気中での暴露では、変色率は、銀面では約6.3のx10−2%/日及び銀/PMMA界面では約2.2x10−2%/日であったことを示している。銀面と比較して、界面における変色率が低いということは、銀層を通る、又は、可能性としては低いが、はるかに厚いPMMA基体を通る腐食剤の拡散が、より遅かったということで説明できる。グラフには、3M 防食管理吸収紙(Corrosion Control Absorber Paper)(CPAP)、及びミネソタ州セントポールにあるMinnesota Mining and Manufacturing Co.の耐食紙製品中に貯蔵されたサンプル(対照)に関する反射率測定値が含まれている。耐食紙は、酸化及び腐食を引き起こす大気汚染物質由来の変色を防止するように設計されている。腐食性成分を耐食紙によって空気から除去すると、銀面及び銀/PMMA界面の反射率は測定可能な変化を示さなかった。反射率の変化は、70日の測定期間で3x10−4%/日未満だった。二組のデータを比較すると、銀反射率の変化は空気腐食のみによって起こり、界面における銀鏡とPMMA基体との認知可能な相互作用は存在しないと考えられると結論できる。
【0064】
硫化アンモニウム
銀の変色を抑えるパリレン被覆の能力を試験するために、いくつかの銀被覆PMMAサンプルを、上記の方法で調製した。PMMAサンプルを、パリレンのC変体及びD変体のフィルムで封入した。パリレンポリマーで被覆されたPMMAサンプルは、マサチューセッツ州アトルボロにあるParatronix Inc.から入手した。パリレンコーティングのフィルム厚みは、平均して約0.00043インチと測定された。
【0065】
上記した試験手順を用いて、パリレン被覆C及びDの効果を評価した。腐食室での暴露時間の関数として銀反射率の変化を測定した。その結果は図7に示してある。図7を参照する。サンプルは、硫化アンモニウム溶液にそれぞれ暴露された。腐食度は、線形最小二乗フィッティングを用いるデータ分析によって決定した。周囲空気及び硫化アンモニウムに対する暴露に対応する腐食率は、以下の表1に掲げてある。
【0066】
【表1】
【0067】
パリレンC及びDフィルムにおける変色率を比較すると、パリレンCの場合の変色率は、パリレンDの場合の変色率に比べて15倍高いことが認められた。パリレンで保護されたサンプルに関する変色率を保護されていない銀サンプルと比較すると、変色率は、パリレンCコーティングでは6.9 x 10−5倍及びパリレンDコーティングでは4.6 x 10−6倍低減していることが観察された。同様な腐食剤が周囲空気変色結果の原因であると仮定するならば、上記の変色低減係数を用いて、通常の大気中におけるパリレンポリマーで保護された銀に関しての変色率を推定することができる。周囲空気データに変色低減係数を適用すると、パリレンC被保護銀フィルムに関しては空気変色率は約4.3xl0−6%/日と推定され、パリレンDに関しては約2.9x10−7%/日と推定される。この分析によれば、いずれのパリレン変体も、反射率の変化は0.1%未満で50年間銀を保護すると考えられる。
【0068】
表1に掲げてある銀/PMMA界面において測定された変色率は、銀面の変色率に比べて常に低い。腐食ガスは銀層中を拡散して銀/PMMA界面に到達するという条件からすれば、この結果は予想通りである。
【0069】
銀の接着
パリレンC及びDフィルムをPMMA上へ直接堆積させて、これらのフィルムの接着を試験した。各変体のいくつかのサンプルを、Minnesota Mining and Manufacturing Co.から市販されているSCOTCH(登録商標)テープを用いて試験し、基体に対する接着性を観察したが、前記テープを引き剥がすことによってパリレンフィルムは剥離しなかった。
【0070】
直接に接触させる場合、銀はPMMAと適合するように見えるが、この材料に対する接着は不充分である。PMMA上銀被覆に関するSCOTCHテープ試験は、常に銀フィルムのすべてを剥離させた。最終的な銀被覆導波路構造に関して行ったように、パリレンで銀被覆PMMA基体を封入すると、銀被覆の堅牢性が向上する。
【0071】
パリレンフィルムは高度な引張強さを有しているので、パリレンC又はパリレンDによって被覆されたPMMA上銀フィルムは、通常、いかなるフィルム離層も起こさずにSCOTCHTMテープ試験に合格する。しかしながら、いくつかの例では、テープ引張試験後に銀フィルムがPMMA基体から引き離された領域のフィルムにはブリスターを認めることができる。しかしながら、パリレンフィルムは、下に存在する銀フィルムに対して無傷のまま完全に結合を維持している。これらの破損により、銀/PMMA界面結合を改良する必要が確認された。
【0072】
既に詳述したように、金属酸化物又はメタロイド酸化物が、ガラス基体に対する銀の接着を増強することは公知である。アルミナは可視スペクトル全体にわたって高度に透明であることにより銀被覆導波路のための優れた候補であるので、アルミナを選択した。PMMA上における銀のための接着層としてアルミナを試験するために、厚さ300オングストロームの層を、銀鏡を堆積させる前に、PMMA上に堆積させた。SCOTCHTMテープ試験は、アルミナ界面層が銀接着を改良することを示唆している。引き剥がしたテープの約80%には銀フィルムの損失部分は認められなかったが、20%にはPMMA基体から剥ぎ取られた銀鏡の一部が認められた。アルミナを結合させた銀フィルムにパリレンCを上塗りすると、テープ試験時に剥ぎ取ったテープには基体からの銀鏡の剥離又は離層は認められなかった。
【0073】
本発明の上記の詳細な説明は、主として、光学構造に関連がある発明の態様に関するものである。以下、説明するように、光学構造態様のための様々な方法は、EMIシールド用途において典型的に銀から成る導電性遮蔽層を提供する場合にも適用可能である。
【0074】
上記のように、銀は、非常に高性能な電気伝導体と、電磁干渉(EMI)のためのシールドを提供することは当業において公知である。アルミニウム及び銅と比較してEMIシールドを提供するための銀の効果は、従来技術において立証されている。例えば、1990年3月にEMI/EMCに掲載されているKimmel Gerke Associates,Ltd.,Consulting Engineersによって作成された“Vacuum Deposition Shielding Effectiveness Test”という表題の報告書を参照されたい(See http://www.Shieldingforelectronics.com/effectivenss.htmlを参照されたい)。この報告書は、真空蒸着された銀は、EMIシールドの提供に関して試験された他のいかなる金属に比べてより良好な性能を発揮することを示す試験結果を提供している。而して、銀被覆は、エンクロージャー、プリント基板又は回路基板、ガスケット、ケーブル、及びファブリックなどのEMI効果を著しく増強できることは明らかである。
【0075】
また、本発明は、電気的及び電磁気的シールド特性の両方を提供するために、ニッケルのような磁気特性を有する金属を多層配列で銀と組み合わせるための態様も含むことは明らかである。また、銀は良好な電気の導体であり、また、銀被覆自体を、導体の電流容量を増強するために使用できることも公知である。銅の抵抗率が1サーキュラーミル・フットあたり10.4オーム及びアルミニウムの抵抗率が1サーキュラーミル・フットあたり17.0オームであるの比べて、銀は1サーキュラーミル・フットあたり9.8オームの抵抗率を有する。銀及びEMIシールドの有効な使用を提供する本発明の態様は、半導体相互接続において使用する場合にアルミニウムから銅へと最近のトレンドが変化していること、そして、そのトレンドは、まもなく銅から銀へと移行するかもしれないことを考えると、商業的に重要であると考えられる。
【0076】
図1を再び参照する。EMIシールドを必要とするデバイスのためのEMIシールド用途において、構造10は、任意に基体12で支持された銀、銅、及びニッケルなどのような導電性材料から成る導電性シールド層14を含むEMIシールド構造を表している。基体12は、光学構造態様に関して上記したような透光基体ではなく、任意の材料、好ましくは電気絶縁材料、例えばプラスチック及びエラストマーなどから成る。以下で更に説明しているが、基体12は、導電性シールド層14を支持するために用いることができるか、又は導電性シールド層14からEMIシールドされているデバイスを電気絶縁するために用いることができる。また、基体12は、電気及び電子機器、プリント回路基板、ガスケット、電気ケーブル、及びファブリックなどのためのエンクロージャー用に用いられる材料を表すこともできる。プリント回路基板などのためのEMI理論及びEMIシールドは、米国特許第5,639,989号に記載されている点に留意されたい。また、電気及び電子部品のためのEMIシールドされたエンクロージャー、及びそれを作製する方法は、米国特許第5,473,111号に記載されている。それらの特許の教示は、本出願の教示と矛盾しない程度まで本明細書に引用したものとする。
【0077】
図1に更に示してあるように、導電性シールド層14は、導電性ペイント、火炎溶射、真空金属被覆法、無電界めっき法、フレーク充填成形材料、スパッタ堆積、及び化学堆積法(プラズマ強化化学堆積を含む)などを含むがこれらに限定されない従来の施用技術によって、基体12上へ堆積又は結合させることができる。パリレンポリマーの連続した均一な被覆の形態で提供される保護層16は、光学構造態様に関して上記したのと同じ技術を用いて、導電性シールド層14上に施用される。図2に示し且つ既に説明したパリレン真空蒸着反応器システム40は、EMIシールドと関連がある本発明の態様における使用のために適用することもできる。
【0078】
更に図3を参照すると、接着促進層18は、本発明のためのEMIシールド構成態様において用いることもできる。同様に、図4に示してある光学構造に関する本発明の態様は、EMIシールド材料としての銀の使用と関連のある本発明の態様における使用のために適用することもできる。異なる点は、基体12は、典型的には透光基体ではないが、板材料、リボン材料、チューブ状材料、又は有効且つ信頼性が高いEMIシールドを必要とする用途で用いるのに好適な材料を表している点である。一方、層14、16、17、18及び19は、光学構造態様のために既に説明し教示したものである。
【0079】
図8には、EMIシールドを含む電気ケーブルが、本発明の別の態様のために示してある。EMIシールド構成62を有する電気ケーブルは、例えば銅のような導電性材料を含む中心電気導体64を含む。導体64は、熱可塑性樹脂、例えばエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ジアリールフタレート樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂;プラスチックポリマー、例えばポリ塩化ビニル(PVC)及びポリエチレンなど;及びエラストマー、例えばゴム;などを含むがこれらに限定されない電気絶縁材料から成る誘電体絶縁層又は電気絶縁層65の中に密閉される。絶縁材料は、同軸ケーブル62の屈曲中の絶縁層65の破損の可能性を低下させるために、好ましくは可撓性材料から構成される。
【0080】
絶縁層65は、接着促進層66によって任意に被覆することができる。導電性シールド層68は、絶縁層65の上に堆積させる。導電層68は、例えば中心導体64のEMI及びRFシールドを提供するのに好適な銀及びニッケルのような導電性材料を含む。導電層68は、連続した継ぎ目のないシース、編組スリーブの形態、又は当業において公知の任意の他の好適な形態であることができる。
【0081】
パリレンポリマーを含む保護層70は、上記の技術を用いて、導電性シールド層68を囲む。電気絶縁性及び耐摩耗性の層72は、パリレンポリマー保護層70の上に配置されている。耐摩耗性層72は、環境、温度変動及び物理的に過酷な条件からケーブル62の内部を保護するのに好適なプラスチック及びシリコーンゴムなどを含むがそれらに限定されない可撓性で弾力的である任意の電気絶縁性材料から成ることができる。
【0082】
ケーブルの構造は、従来法によって作製できる。好ましい方法は、例えばシリコーンのような押出可能な絶縁材料を施用することによって絶縁層65で中心導体64を被覆することを含む。更に、上記した当業において公知の方法によって絶縁層65の上に、例えば典型的には銀から成る導電性シールド層68を堆積させることができる。銅、ニッケル又は他の高導電性材料も、導電性シールド層68のために用いることができる。
【0083】
別法として、絶縁層65は、PVCのようなプラスチック材料から作製でき、例えば、絶縁層65に対して積層されたもしくは結合された導電性シールド層68を有する。導電層68を、絶縁層65の上にスパッタ堆積させて、有効なEMIシールドのための継ぎ目のない被覆を形成することができる。導電性シールド層68の接続は、導電性接着剤又は360°はめ輪による圧着を用いて、ケーブル62をコネクターに取り付けることによって容易に達成できる。ケーブル62の導電性シールド層68(例えば、銀)を接続する前記方法は、当業において公知であり、例えば、本出願の教示と抵触しない程度までその内容を本明細書に引用したものとする米国特許第6,211,459号で詳しく教示されている。
【0084】
例えば、銀ベースのシールド層が、開閉コンタクト、プラグ又はコンセントを介して接地されたシステムに対して電気的に接続される場合、銀と、不適合な異なる金属との接触は、異種金属接触腐食を招く可能性があることも更に注目される。而して、本発明を最適に利用するために、2種の金属間のコンタクトが予想される場合、銀と適合性のある異種金属を適当に選択することは重要である。好適な異種金属としては、ロジウム、パラジウム、金、ニッケル、及び銅などが挙げられる。コンタクトの適当な処理及び銀と一緒に使用するのに好適な金属の選択に関する詳細は、MIL−STD889B(“Dissimilar Metals”)に記載されており、その内容は、本出願と抵触しない程度まで本明細書に引用したものとする。
【0085】
本発明の様々な態様を示し説明してきたが、それによって本発明は限定されない。当業者は、これらの態様に関して様々な改良を認めることができるが、その改良は、添付の請求の範囲の精神及び範囲によってカバーされるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の一つの態様を図示している高反射層を有する光学構造と、本発明の別の態様のための高度に導電性のシールド層を含むEMIシールド構成との両方に関する横断面図である。
【図2】本発明の原理にしたがってパリレンポリマーフィルムを堆積させて光学構造又はEMIシールドを作るためのパリレン真空蒸着堆積反応器システムの概略図である。
【図3】本発明の第二及び第三の態様それぞれに関する、高反射層を有する光学構造と、EMIシールド構成との両方を表している横断面図である。
【図4】本発明の第四及び第五の態様それぞれに関する、高反射層を有する光学構造と、EMIシールド構成との両方を表している横断面図である。
【図5】本発明にしたがう光学構造を含む光ファイバー導波路の横断面図である。
【図6】周囲空気の存在下で暴露された様々なサンプルの銀腐食度をプロットしているグラフである。
【図7】硫化アンモニウム溶液の存在下で暴露された様々なサンプルの銀腐食度をプロットしているグラフである。
【図8】本発明の態様にしたがってEMIシールド構造を含む電気ケーブルの横断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光基体;
該透光基体上に配置してある高反射金属から成っていて且つ該透光基体に対して結合されている反射層;及び、
パリレンポリマーフィルムから成っていて且つ該反射金属層に対して結合されている保護層
を含む光学構造。
【請求項2】
該透光基体と該反射層との間の結合強度を増加させるために、それらの間に堆積された接着促進層を更に含む請求項1記載の光学構造。
【請求項3】
該接着促進層が、金属又はメタロイドの酸化物形態から成る請求項2記載の光学構造。
【請求項4】
該接着促進層の金属又はメタロイドが、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、チタン、ニオブ、珪素、タングステン、バナジウム、モリブデン、クロミウム、スズ、アンチモン、インジウム、亜鉛、ビスマス、カドミウム及びニッケルから成る群より選択される請求項3記載の光学構造。
【請求項5】
該接着促進層の金属が、アルミニウムである請求項3記載の光学構造。
【請求項6】
該パリレンポリマーフィルムが、パリレンポリマー変体の少なくとも1つの層を含む請求項1記載の光学構造。
【請求項7】
該パリレンポリマー変体が、パリレンN、パリレンC、パリレンD、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される請求項6記載の光学構造。
【請求項8】
該高反射金属が、銀、銅、金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、及びそれらの合金形態の組み合わせから成る群より選択される請求項1の光学構造。
【請求項9】
該高反射金属が、銀である請求項1記載の光学構造。
【請求項10】
該透光基体が、ガラス又はポリマー材料から成る請求項1記載の光学構造。
【請求項11】
該透光基体の該ポリマー材料が、ポリ炭化水素、ポリオキシ炭化水素、ポリスルホ炭化水素、フルオロカーボン及びフッ化炭化水素、ポリエステル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリアクリレートメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、コポリマー、ポリ(メチルメタクリレート・コ・エチルアクリレート)及びポリカーボネート、及びCR−39アリルジグリコールカーボネート樹脂、OZ−1000脂環式アクリル樹脂、CALIBRE 1080 DVDポリカーボネート樹脂、MAKROLON DP1−1265ポリカーボネート樹脂、PLEXIGLAS VOD−100アクリル成形用樹脂、TOPASシクロオレフィンコポリマー樹脂、ZEONEXシクロオレフィンポリマー樹脂、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される請求項10記載の光学構造。
【請求項12】
該透光基体の該ポリマー材料が、ポリ(メチルメタクリレート)である請求項10記載の光学構造。
【請求項13】
該高反射層が、約100Å〜約10,000Åの厚さを含む請求項1記載の光学構造。
【請求項14】
該接着促進層が、約10Å〜約1000Åの厚さを含む請求項2記載の光学構造。
【請求項15】
該パリレンポリマーフィルムが、該反射層と接触しているパリレンCの層と、該パリレンCの層と接触しているパリレンDの層とを含む請求項6記載の光学構造。
【請求項16】
パリレンポリマーフィルムが、パリレンDの層とパリレンCの層との間に、パリレンCとパリレンDとから成る中間層を更に含む請求項15記載の光学構造。
【請求項17】
該保護層が、約0.001インチ〜0.0001インチの厚さを含む請求項1記載の光学構造。
【請求項18】
該基体が、光ファイバー導波路を含む請求項1記載の光学構造。
【請求項19】
該パリレンフィルムから成る該保護層が、アニール又は熱処理される請求項1記載の光学構造。
【請求項20】
透光基体;
任意の透光基体の表面上に堆積された少なくとも1種の金属又はメタロイドの酸化物形態を含む接着促進層;
高反射金属から成る反射層;及び
該反射金属層と圧着しているパリレンポリマーフィルムから成る保護層
を含む光学構造。
【請求項21】
デバイスを囲んでいる導電層;及び
該導電層に結合されたパリレンポリマーから成る保護層を含む、デバイスのためのEMIシールド構造。
【請求項22】
該導電層と該デバイスとの間に配置された絶縁層を更に含む請求項21記載のEMIシールド構造。
【請求項23】
該絶縁層と該導電層との間の結合の強さを増加させるために、該絶縁層と該導電層との間に堆積された接着促進層を更に含む請求項22記載のEMIシールド構造。
【請求項24】
該接着促進層が、金属又はメタロイドの酸化物形態から成る請求項23記載のEMIシールド構造。
【請求項25】
該接着促進層の該金属又は該メタロイドが、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、チタン、ニオブ、珪素、タングステン、バナジウム、モリブデン、クロミウム、スズ、アンチモン、インジウム、亜鉛、ビスマス、カドミウム及びニッケルから成る群より選択される請求項24記載のEMIシールド構造。
【請求項26】
該接着促進層の金属が、アルミニウムから成る請求項23記載のEMIシールド構造。
【請求項27】
該パリレンポリマーが、パリレンポリマー変体の少なくとも1つの層を含む請求項21記載のEMIシールド構造。
【請求項28】
該パリレンポリマー変体が、パリレンN、パリレンC、パリレンD、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される請求項27記載のEMIシールド構造。
【請求項29】
該導電層が、銀、銅、ニッケル、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される導電性材料を含む請求項21記載のEMIシールド構造。
【請求項30】
該導電性材料が、銀である請求項21記載のEMIシールド構造。
【請求項31】
該デバイスが、電気絶縁材料によって囲まれた中心導体を含む中心導体であり、それにより該導電層は銀から成る請求項21記載のEMIシールド構造。
【請求項32】
該パリレンポリマーが、該導電層と接触しているパリレンCの層と、該パリレンCの層と接触しているパリレンDの層とを含む請求項21記載のEMIシールド構造。
【請求項33】
パリレンポリマーが、該パリレンDの層と該パリレンCの層との間に、パリレンCとパリレンDとから成る中間層を更に含む請求項32記載のEMIシールド構造。
【請求項34】
該保護層のパリレンポリマーが、アニール又は熱処理される請求項21記載のEMIシールド構造。
【請求項35】
該保護層を被覆している絶縁層を更に含む請求項21記載のEMIシールド構造。
【請求項36】
該電気導体周囲に形成された電気絶縁層;
該電気絶縁層上に堆積された導電層;
該導電層上に堆積されたパリレンポリマーフィルムから成る保護層
を含む、中心に配置された電気導体を含むEMIシールドされた電気ケーブル。
【請求項37】
該絶縁層と該導電層との間に堆積された少なくとも1種の金属又はメタロイドの酸化物形態を含む接着促進層を更に含む請求項36記載のEMIシールドされた電気ケーブル。
【請求項38】
EMIシールドのために該デバイスの少なくとも実質的に周囲に導電層を拡張する工程;及び
該EMIシールドの該導電層上へ直接にパリレンポリマーを含む保護層を堆積させる工程
を含む、デバイスのためにEMIシールド構造を作製する方法。
【請求項39】
該デバイスと該導電層との間に電気絶縁層を形成する工程を更に含む請求項38記載の方法。
【請求項40】
該電気絶縁層と該導電層との間に接着促進層を形成する工程を更に含む請求項39記載の方法。
【請求項1】
透光基体;
該透光基体上に配置してある高反射金属から成っていて且つ該透光基体に対して結合されている反射層;及び、
パリレンポリマーフィルムから成っていて且つ該反射金属層に対して結合されている保護層
を含む光学構造。
【請求項2】
該透光基体と該反射層との間の結合強度を増加させるために、それらの間に堆積された接着促進層を更に含む請求項1記載の光学構造。
【請求項3】
該接着促進層が、金属又はメタロイドの酸化物形態から成る請求項2記載の光学構造。
【請求項4】
該接着促進層の金属又はメタロイドが、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、チタン、ニオブ、珪素、タングステン、バナジウム、モリブデン、クロミウム、スズ、アンチモン、インジウム、亜鉛、ビスマス、カドミウム及びニッケルから成る群より選択される請求項3記載の光学構造。
【請求項5】
該接着促進層の金属が、アルミニウムである請求項3記載の光学構造。
【請求項6】
該パリレンポリマーフィルムが、パリレンポリマー変体の少なくとも1つの層を含む請求項1記載の光学構造。
【請求項7】
該パリレンポリマー変体が、パリレンN、パリレンC、パリレンD、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される請求項6記載の光学構造。
【請求項8】
該高反射金属が、銀、銅、金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、及びそれらの合金形態の組み合わせから成る群より選択される請求項1の光学構造。
【請求項9】
該高反射金属が、銀である請求項1記載の光学構造。
【請求項10】
該透光基体が、ガラス又はポリマー材料から成る請求項1記載の光学構造。
【請求項11】
該透光基体の該ポリマー材料が、ポリ炭化水素、ポリオキシ炭化水素、ポリスルホ炭化水素、フルオロカーボン及びフッ化炭化水素、ポリエステル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリアクリレートメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、コポリマー、ポリ(メチルメタクリレート・コ・エチルアクリレート)及びポリカーボネート、及びCR−39アリルジグリコールカーボネート樹脂、OZ−1000脂環式アクリル樹脂、CALIBRE 1080 DVDポリカーボネート樹脂、MAKROLON DP1−1265ポリカーボネート樹脂、PLEXIGLAS VOD−100アクリル成形用樹脂、TOPASシクロオレフィンコポリマー樹脂、ZEONEXシクロオレフィンポリマー樹脂、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される請求項10記載の光学構造。
【請求項12】
該透光基体の該ポリマー材料が、ポリ(メチルメタクリレート)である請求項10記載の光学構造。
【請求項13】
該高反射層が、約100Å〜約10,000Åの厚さを含む請求項1記載の光学構造。
【請求項14】
該接着促進層が、約10Å〜約1000Åの厚さを含む請求項2記載の光学構造。
【請求項15】
該パリレンポリマーフィルムが、該反射層と接触しているパリレンCの層と、該パリレンCの層と接触しているパリレンDの層とを含む請求項6記載の光学構造。
【請求項16】
パリレンポリマーフィルムが、パリレンDの層とパリレンCの層との間に、パリレンCとパリレンDとから成る中間層を更に含む請求項15記載の光学構造。
【請求項17】
該保護層が、約0.001インチ〜0.0001インチの厚さを含む請求項1記載の光学構造。
【請求項18】
該基体が、光ファイバー導波路を含む請求項1記載の光学構造。
【請求項19】
該パリレンフィルムから成る該保護層が、アニール又は熱処理される請求項1記載の光学構造。
【請求項20】
透光基体;
任意の透光基体の表面上に堆積された少なくとも1種の金属又はメタロイドの酸化物形態を含む接着促進層;
高反射金属から成る反射層;及び
該反射金属層と圧着しているパリレンポリマーフィルムから成る保護層
を含む光学構造。
【請求項21】
デバイスを囲んでいる導電層;及び
該導電層に結合されたパリレンポリマーから成る保護層を含む、デバイスのためのEMIシールド構造。
【請求項22】
該導電層と該デバイスとの間に配置された絶縁層を更に含む請求項21記載のEMIシールド構造。
【請求項23】
該絶縁層と該導電層との間の結合の強さを増加させるために、該絶縁層と該導電層との間に堆積された接着促進層を更に含む請求項22記載のEMIシールド構造。
【請求項24】
該接着促進層が、金属又はメタロイドの酸化物形態から成る請求項23記載のEMIシールド構造。
【請求項25】
該接着促進層の該金属又は該メタロイドが、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、チタン、ニオブ、珪素、タングステン、バナジウム、モリブデン、クロミウム、スズ、アンチモン、インジウム、亜鉛、ビスマス、カドミウム及びニッケルから成る群より選択される請求項24記載のEMIシールド構造。
【請求項26】
該接着促進層の金属が、アルミニウムから成る請求項23記載のEMIシールド構造。
【請求項27】
該パリレンポリマーが、パリレンポリマー変体の少なくとも1つの層を含む請求項21記載のEMIシールド構造。
【請求項28】
該パリレンポリマー変体が、パリレンN、パリレンC、パリレンD、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される請求項27記載のEMIシールド構造。
【請求項29】
該導電層が、銀、銅、ニッケル、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される導電性材料を含む請求項21記載のEMIシールド構造。
【請求項30】
該導電性材料が、銀である請求項21記載のEMIシールド構造。
【請求項31】
該デバイスが、電気絶縁材料によって囲まれた中心導体を含む中心導体であり、それにより該導電層は銀から成る請求項21記載のEMIシールド構造。
【請求項32】
該パリレンポリマーが、該導電層と接触しているパリレンCの層と、該パリレンCの層と接触しているパリレンDの層とを含む請求項21記載のEMIシールド構造。
【請求項33】
パリレンポリマーが、該パリレンDの層と該パリレンCの層との間に、パリレンCとパリレンDとから成る中間層を更に含む請求項32記載のEMIシールド構造。
【請求項34】
該保護層のパリレンポリマーが、アニール又は熱処理される請求項21記載のEMIシールド構造。
【請求項35】
該保護層を被覆している絶縁層を更に含む請求項21記載のEMIシールド構造。
【請求項36】
該電気導体周囲に形成された電気絶縁層;
該電気絶縁層上に堆積された導電層;
該導電層上に堆積されたパリレンポリマーフィルムから成る保護層
を含む、中心に配置された電気導体を含むEMIシールドされた電気ケーブル。
【請求項37】
該絶縁層と該導電層との間に堆積された少なくとも1種の金属又はメタロイドの酸化物形態を含む接着促進層を更に含む請求項36記載のEMIシールドされた電気ケーブル。
【請求項38】
EMIシールドのために該デバイスの少なくとも実質的に周囲に導電層を拡張する工程;及び
該EMIシールドの該導電層上へ直接にパリレンポリマーを含む保護層を堆積させる工程
を含む、デバイスのためにEMIシールド構造を作製する方法。
【請求項39】
該デバイスと該導電層との間に電気絶縁層を形成する工程を更に含む請求項38記載の方法。
【請求項40】
該電気絶縁層と該導電層との間に接着促進層を形成する工程を更に含む請求項39記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2006−510062(P2006−510062A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560876(P2004−560876)
【出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/039829
【国際公開番号】WO2004/054940
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
TEFLON
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/039829
【国際公開番号】WO2004/054940
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
TEFLON
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
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