説明

金属製ワークの加工方法

【課題】
金属製ワークへの塗装の装飾は、塗装を必要としない部位にセロファンテープを貼着して行っているが、微細な模様等を含めて奇麗に塗装するには高度の技術が必要とし、生産上の制約やデザイン的な妥協が生まれている。
【解決手段】
金属製のワーク1の表面を光沢面1aに仕上げる研磨加工行程Aと、光沢面1aに塗膜1bを塗布する塗装工程Bと、塗膜1bにレザー照射して塗膜1bにマーキング1cするレザー照射工程Cとを含み、レザー照射工程Cのマーキング1cは塗膜1bは剥離させるが光沢面1aにはダメージを与えない弱い出力のレザー光線を照射するものであり、更に、レザー照射工程Cを複数回繰り返し実施する工程を含むものであり、更には、レザー照射工程Cを実施した後にトップコートを形成するコーティング工程Dを含むものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製ワークの加工方法に関するものであり、更に詳細には、家電製品、OA機器、モバイル機器、自動車部品、化粧品容器等のアルミニウムやステンレス等の金属製ワークの加飾方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミニウムやステンレス等の金属製ワークは、家電製品、OA機器、モバイル機器、自動車部品、化粧品容器等の筐体や各種部品等に多用されており、夫々に役立っており、また、金属面への塗装も盛んに行われており、塗装は金属面を保護する目的であったが、次第に装飾にも重点を置くように成っている。
【0003】
然し乍ら、金属製ワークへの塗装の装飾は、塗装を必要としない部位にセロファンテープやマスキングテープを貼着して行っているが、微細な模様や文字等を含めて奇麗に塗装するには高度の技術が必要とし、生産上の制約やデザイン的な妥協が生まれているのが現状である。
【0004】
そこで、先に開示された、金属部材1の表面に保護層2を形成する工程(1a、1b)と、保護層2にマスキング被膜3を形成する工程(1c)と、レーザー光を照射することにより少なくともマスキング被膜3をパターニングする工程(1d)と、前記マスキング被膜3を用いて金属部材1をエッチングする工程(1e)とを有する。レーザー光による加工は、マスキング被膜3とともに保護層2および前記金属部材1の一部を除去するもの(特許文献1参照)や、ワークを提供する工程と、レーザー彫刻設備により該ワークの表面をレーザー彫刻して、当該ワークの表面に必要とするグラフィック符号を形成させ工程と、保護用の硬膜が当該レーザー彫刻後のワーク上に使用される工程とが含有されることを特徴とする表面処理方法。レーザー彫刻工程の導入により、金属/非金属の外観部品の表面処理の工程を行って、必要とするマーク、飾りパターン及びヘヤライン加工効果を彫刻し、その後、透明な硬膜を吹付け、これにより、塗装製品の生産品質や製造効率及び製品の付加価値が向上される効果が得られる。本発明は、従来の塗装や印刷及びレーザー彫刻工程等と、複合的に組み合わせることにより、独特な、優れる表面飾り処理がある金属製品を生じるもの(特許文献2参照)等の方法がある。
【特許文献1】特開平11−256364号公報
【特許文献2】特開2006−212647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
然し乍ら、先に開示された、特許文献1に記載のものは、レーザー光を照射することにより少なくともマスキング被膜3をパターニングする工程(1d)を実施するときに金属部材1の一部も除去するもので、更に、特許文献2に記載のものは、レーザー彫刻工程の導入により、金属/非金属の外観部品の表面処理の工程を含むものであるが、外観部品の表面まで触刻しているものであり、その後に保護用の硬膜を塗布しているものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題に鑑み、鋭意研鑽の結果、本発明の金属製ワークの加工方法は、金属製のワークの表面を光沢面に仕上げる研磨加工行程と、研磨加工行程より研磨された光沢面に塗膜を塗布する塗装工程と、塗装工程により塗装した塗膜にレザー照射して塗膜にマーキングするレザー照射工程とを含み、レザー照射工程のマーキングは塗膜は剥離させるが光沢面にはダメージを与えない弱い出力のレザー光線を照射するものであり、更に、レザー照射工程を複数回繰り返し実施する工程を含むものであり、更には、レザー照射工程を実施した後にトップコートを形成するコーティング工程を含むものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の金属製ワークの加工方法は、金属製のワークの表面の研磨された光沢面に塗膜を塗布して、レザー照射のマーキングは塗膜を剥離させるが金属製のワークの表面の光沢面にはダメージを与えない弱い出力のレザー光線を照射するものであり、更に、1度のレザー照射で光沢面が露出しない場合は、複数回繰り返してレーザ照射するものであり、つまり、塗膜のみをレーザ照射により剥離させるもので、剥離させた部位は金属製ワークの研磨された光沢面が露出するもので、レーザ照射により微細な表現が金属製ワークに可能と成り、塗膜を剥離した光沢面はピカピカした研磨加工した状態で露出するもので、美麗で細緻な装飾が容易に表現でき、画期的で実用性の高い発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の金属製ワークの加工方法を実施例の図面を用いて詳細に説明すると、図1は本発明の金属製ワークの加工方法の実施例のフローチャートであり、図2は本発明の金属製ワークの加工方法の実施例の説明のための説明図である。
【0009】
本発明は、金属製ワークの加工方法に関するものであり、更に詳細には、家電製品、OA機器、モバイル機器、自動車部品、化粧品容器等のアルミニウムやステンレス等の金属製ワークの加飾方法に関するものであり、請求項1に記載の金属製ワークの加工方法は、金属製のワーク1の表面を光沢面1aに仕上げる研磨加工行程Aと、該研磨加工行程Aより研磨された光沢面1aに塗膜1bを塗布する塗装工程Bと、該塗装工程Bにより塗装した塗膜1bにレザー照射して塗膜1bにマーキング1cするレザー照射工程Cとを含み、前記レザー照射工程Cのマーキング1cは前記塗膜1bは剥離させるが前記光沢面1aにはダメージを与えない弱い出力のレザー光線を照射すること特徴とするものである。
【0010】
更に、請求項2に記載の金属製ワークの加工方法は、請求項1に記載の金属製ワークの加工方法において、前記レザー照射工程Cを複数回繰り返し実施する工程を含むことを特徴とするものである。
【0011】
更には、請求項3に記載の金属製ワークの加工方法は、請求項1〜2に記載の金属製ワークの加工方法において、前記レザー照射工程Cを実施した後にトップコートを形成するコーティング工程Dを含むことを特徴とするものである。
【実施例】
【0012】
即ち、本発明の金属製ワークの加工方法の実施例の金属製のワーク1は主として、家電製品、OA機器、モバイル機器、自動車部品、化粧品容器等のアルミニウムやステンレス等の金属製のもので加飾を必要とする部位のものである。
【0013】
そして、研磨加工行程Aは、金属製のワーク1の表面を研磨加工により光沢面1aに仕上げるものであり、パフ研磨やバレル研磨で実施するのが好適なもので、ワーク1の全体を研磨加工しても、ワーク1の必要な部位のみの研磨加工ても構わないものである。
【0014】
次に、塗装工程Bは、研磨加工行程Aより研磨された光沢面1aに塗膜1bを塗布するもので、一般的には吹き付け塗装により塗膜1bを形成するものであり、金属製のワーク1の表面の保護と装飾をするものである。
【0015】
次いで、レザー照射工程Cは、図1に図示するように、レーザ発振器2から光学系3のミラー3aを介して反射させてワーク1に照射するもので、塗装した塗膜1bにレーザ光を吸収させることにより塗膜1bを破壊するもので、レーザによる加工は周知のように微細なマーキング1cができるものである。
【0016】
そして、レザー照射工程Cのマーキング1cは、塗布した塗膜1bは剥離させるが光沢面1aにはダメージを与えない弱い出力のレザー光線を照射するもので、その塗膜1bの種類や厚みによりレーザ出力を調整するものである。
【0017】
更に、一度のレザー照射工程Cで満足するマーキング1cができないときは、複数回繰り返してレザー照射工程Cを実施するものであるが、塗布した塗膜1bは剥離させるが光沢面1aにはダメージを与えないように実施するものである。
【0018】
更には、コーティング工程Dでは、必要に応じてレザー照射工程Cを実施した後にトップコートを形成するためにコーティングするもので、塗膜1bの保護と光沢面1aの保護をするものである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の金属製ワークの加工方法は、金属製のワークの表面の研磨された光沢面に塗膜を塗布して、レザー照射のマーキングは塗膜を剥離させるが金属製のワークの表面の光沢面にはダメージを与えない弱い出力のレザー光線を照射するものであり、つまり、塗膜のみをレーザ照射により剥離させるもので、剥離させた部位は金属製ワークの研磨された光沢面が露出するもので、レーザ照射により微細な表現が金属製ワークに可能と成り、塗膜を剥離した光沢面はピカピカした研磨加工した状態で露出するもので、美麗で細緻な装飾が容易に表現できる金属製ワークの加飾方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は本発明の金属製ワークの加工方法の実施例のフローチャートである。
【図2】図2は本発明の金属製ワークの加工方法の実施例の説明のための説明図である。
【符号の説明】
【0021】
A 研磨加工工程
B 塗装工程
C レーザ照射工程
D コーティング工程
1 ワーク
1a 光沢面
1b 塗膜
1c マーキング
2 レーザ発振器
3 光学系
3a ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製のワークの表面を光沢面に仕上げる研磨加工行程と、該研磨加工行程より研磨された光沢面に塗膜を塗布する塗装工程と、該塗装工程により塗装した塗膜にレザー照射して塗膜にマーキングするレザー照射工程とを含み、前記レザー照射工程のマーキングは前記塗膜は剥離させるが前記光沢面にはダメージを与えない弱い出力のレザー光線を照射すること特徴とする金属製ワークの加工方法。
【請求項2】
前記レザー照射工程を複数回繰り返し実施する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の金属製ワークの加工方法。
【請求項3】
前記レザー照射工程を実施した後にトップコートを形成するコーティング工程を含むことを特徴とする請求項1〜2に記載の金属製ワークの加工方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−195801(P2009−195801A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38751(P2008−38751)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(591257513)株式会社フクダコーポレーション (17)
【Fターム(参考)】