説明

金属製中空支柱の補修方法

【課題】既設手摺などの金属製中空支柱内部に溜まっている水の水抜き作業を廃止して、金属製中空支柱の補修に要する時間を短縮して補修工期の短縮を図ることができ、補修後においては、錆発生によるコンクリート躯体のクラック発生、それに伴う支柱の立設固定強度低下を防止できる金属製中空支柱の補修方法を提供することを目的とする。
【解決手段】コンクリート躯体1に立設固定された金属製中空支柱3の下方部位に水排出孔7を穿設すると共に、水排出孔7より上方部位に通気孔8を穿設し、次いで、金属製中空支柱3内部に水より高比重の流動性を有する硬化性の充填材10を水排出孔7まで注入充填することにより、金属製中空支柱3内部に溜まっていた水を水排出孔7から排出すると同時に、充填材10を金属製中空支柱3内部下方に充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、集合住宅のベランダ、バルコニー、外廊下等のコンクリート躯体に立設されている手摺の支柱、外塀に設置されているフェンスの支柱など金属製中空支柱の補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅のベランダ、バルコニー、外廊下等のコンクリート躯体21に立設されている従来の一般的な手摺22を図4に示す。手摺22は、笠木23、上弦材24、下弦材25、手摺子(格子)26、中空支柱27等が適宜に組み付けられて構成され、支柱27がコンクリート躯体21に埋設されている。これら部材はアルミニウム合金製あるいはスチール製のもので、支柱27は中空形材(例えば、角パイプ、丸パイプ等)で作られた金属製中空支柱である。
【0003】
手摺22の支柱27がアルミニウム合金製中空支柱の場合、立設強度を維持するために、この中空支柱の下方内部に補強用のスチールパイプが差し込み固定されている。この手摺22は、ベランダなどに取り付けられて風雨にさらされて数年、あるいはそれ以上経過すると、笠木23と支柱27の接合部、上弦材24や下弦材25のビス取付孔から支柱27内に入り込んだ雨水、あるいは結露水が排水されずに支柱内部に溜まってくる。一般的に、この水は酸性で錆水となっていることが多い。
【0004】
そのため、中空支柱内のスチールパイプは長年に亘る腐食、錆発生により強度低下すると共に膨張し、その結果、支柱埋設部におけるコンクリート躯体21にクラックが発生して水がしみ出し、コンクリート躯体21の強度低下、支柱の立設固定強度の低下が生じ、転倒、転落の危険が生じる、という問題があり、かかる問題を解決すべく、従来、手摺の金属製中空支柱内に溜まった水を抜き出した後に、充填材を金属製中空支柱内に注入する金属製中空支柱の補修方法が提案されている(特許文献1,2参照。)。
【0005】
従来の金属製中空支柱の補修方法は、
(1)コンクリートに埋込固定された金属製中空支柱の根元部に孔を穿設する工程、
(2)前記孔から金属製中空支柱内に溜まっている水を吸引ポンプにより抜き取る工程、
(3)水を抜き取った後に、孔から硬化性樹脂(充填材)を注入ポンプで注入し金属製中空支柱内に充填する工程からなるものである(特許文献1参照。)。
また、金属製中空支柱の補修方法において、充填材として、防錆剤及び/又はセメント用ポリマーを含有するセメント系無収縮モルタルを用いることがある(特許文献2参照。)。
【特許文献1】特許第3743721号公報(請求項1,段落番号0030)
【特許文献2】特許第3929386号公報(段落番号0031)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の金属製中空支柱の補修方法は、金属製中空支柱内に溜まった水を吸引ポンプなどで積極的に抜き取った後に、充填材を注入するものであるから、吸引ポンプでの水抜き取り作業時間が必要になるため、金属製中空支柱の補修作業終了までの時間が長くなる、という問題があり、特に、手摺の金属製中空支柱を補修する場合、集合住宅には多数の手摺が設置されていて補修する支柱も多数あるため、補修工期が長くなる、という問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題点を解決し、既設手摺などの金属製中空支柱内部に溜まっている水の水抜き作業を廃止して、金属製中空支柱の補修に要する時間を短縮して補修工期の短縮を図ることができ、補修後においては、例えば、手摺、フェンスなどが長期間に亘って風雨にさらされても、錆発生によるコンクリート躯体のクラック発生、それに伴う支柱の立設固定強度低下、手摺、フェンスなどの転倒、転落等を防止できる金属製中空支柱の補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明は、コンクリート躯体に立設固定された金属製中空支柱の下方部位に水排出孔を穿設すると共に、該水排出孔より上方部位に通気孔を穿設し、次いで、金属製中空支柱内部に水より高比重の流動性を有する硬化性の充填材を水排出孔まで注入充填することにより、金属製中空支柱内部に溜まっていた水を水排出孔から排出すると同時に、充填材を金属製中空支柱内部下方に充填する金属製中空支柱の補修方法、とすることにより前記課題を解決したものである。
【0009】
請求項2に係る本発明は、前記請求項1に係る金属製中空支柱の補修方法において、前記充填材が弱アルカリ性のポリマーセメントグラウトモルタルからなるものである。
【0010】
請求項3に係る本発明は、前記請求項1又は2に係る金属製中空支柱の補修方法において、前記充填材を前記金属製中空支柱に穿設された通気孔に挿入した漏斗付きのホースにより該金属製中空支柱内部下方に注入する、としたものである。
【0011】
請求項4に係る本発明は、前記請求項1乃至3のいずれかに係る金属製中空支柱の補修方法において、前記金属製中空支柱がアルミニウム合金製中空形材のみからなっている、としたものである。
【0012】
請求項5に係る本発明は、前記請求項1乃至3のいずれかに係る金属製中空支柱の補修方法において、前記金属製中空支柱がスチール製中空形材のみからなっている、としたものである。
【0013】
請求項6に係る本発明は、前記請求項1乃至3のいずれかに係る金属製中空支柱の補修方法において、前記金属製中空支柱がアルミニウム合金製中空形材と、該中空形材内部の少なくとも下方位置に設けられたスチール製中空形材とからなる二重構造を有する金属製中空支柱である、としたものである。
【0014】
請求項7に係る本発明は、前記請求項1乃至6のいずれかに係る金属製中空支柱の補修方法において、前記金属製中空支柱が手摺又はフェンスの支柱である、としたものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る本発明は、コンクリート躯体に立設固定された金属製中空支柱の下方部位に水排出孔を穿設すると共に、該水排出孔より上方部位に通気孔を穿設し、次いで、金属製中空支柱内部に水より高比重の流動性を有する硬化性の充填材を水排出孔まで注入充填することにより、金属製中空支柱内部に溜まっていた水を水排出孔から排出すると同時に、充填材を金属製中空支柱内部下方に充填するので、最初に金属製中空支柱の下方部位に水排出孔を穿設するだけで、この水排出孔より上方にある水は自然に流出し、次いで、金属製中空支柱内部下方に水より高比重の流動性を有する硬化性の充填材を水排出孔まで注入充填すると、水排出孔より下方に残っていた水は、注入されつつある充填材により押し上げられて水排出孔から排出されるため、充填材の充填と水の排出とを同時行うことができる。その結果、従来行っていたような水抜き作業を省略でき、補修工期を短縮することができる。
【0016】
また、金属製中空支柱内部に充填材を注入するとき、例え水排出孔の上まで注入したとしても、水排出孔から充填材が流出するため水排出孔を塞がないようにすることができ、その結果、充填材の注入作業を簡単に行うことができる。補修後は充填材が時間経過により硬化し、硬化後以降は金属製中空支柱内に入り込んだ水、結露した水はすぐに排出されるため、錆発生によるコンクリート躯体のクラック発生、それに伴う支柱の立設固定強度低下等を防止できる。
【0017】
さらに、金属製中空支柱の下方に水排出孔を穿設すると共に、該水排出孔より上方位置に通気孔を穿設しているので、補修後は通風が良好に行われ、例え雨水などが浸入しても水排出孔から排出され、また金属製中空支柱内は乾燥状態に維持される。
【0018】
請求項2に係る本発明によれば、前記請求項1に係る本発明の金属製中空支柱の補修方法が奏する効果に加えて、前記充填材が弱アルカリ性のポリマーセメントグラウトモルタルからなるものであるので、補修施工現場において、ポリマーセメント組成物を水で練るだけで流動性を有するスラリー状のポリマーセメントグラウトモルタルを得ることができるため、施工作業効率を向上させることができる。また、金属製中空支柱内部で硬化したポリマーセメントグラウトモルタルの硬化体は弱アルカリ性であるため、アルカリ成分によってスチール部材の錆が遡及的に除去され、長年に亘って金属製中空支柱の錆発生や腐食を防止することができる。
【0019】
請求項3に係る本発明によれば、前記請求項1又は2に係る本発明の金属製中空支柱の補修方法が奏する効果に加えて、前記充填材を前記金属製中空支柱に穿設された通気孔に挿入した漏斗付きのホースにより該金属製中空支柱内部下方に注入するので、充填材の注入作業を簡単に行うことができる。
【0020】
請求項4に係る本発明によれば、前記金属製中空支柱がアルミニウム合金製中空形材のみからなっている場合でも、例えば手摺、フェンスなどの金属製中空支柱の補修において、前記請求項1乃至3のいずれかに係る本発明の金属製中空支柱の補修方法が奏する効果と同等の効果を奏する。
【0021】
請求項5に係る本発明によれば、前記金属製中空支柱がスチール製中空形材のみからなっている場合でも、例えば手摺、フェンスなどの金属製中空支柱の補修において、前記請求項1乃至3のいずれかに係る本発明の金属製中空支柱の補修方法が奏する効果と同等の効果を奏する。
【0022】
請求項6に係る本発明によれば、前記金属製中空支柱がアルミニウム合金製中空形材と、該中空形材内部の少なくとも下方位置に設けられたスチール製中空形材とからなる二重構造を有する金属製中空支柱である場合でも、前記請求項1乃至3のいずれかに係る本発明の金属製中空支柱の補修方法が奏する効果と同等の効果を奏する。
【0023】
請求項7に係る本発明によれば、前記金属製中空支柱が手摺又はフェンスの支柱であるので、手摺又はフェンスの金属製中空支柱でも、前記請求項1乃至7のいずれかに係る本発明の金属製中空支柱の補修方法が奏する効果と同等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、コンクリート躯体に立設固定されている既設の手摺、フェンスなどの金属製中空支柱を補修する方法で、補修工期の短縮と、補修後の金属製中空支柱の立設固定強度低下の防止を図るため、従来行っていたような水抜き工程と充填材の充填工程との二つの工程で行っていた作業を、充填材の充填と水の排出とを同時行うという一つの工程で行うようにしたものである。
【実施例】
【0025】
本発明実施例の金属製中空支柱の補修方法について図1〜図3を参照して説明する。図1(A)は補修前における手摺の金属製中空支柱の側面図、(B)は手摺の金属製中空支柱の正面図、図2は充填材注入時の説明図、図3は充填材充填後の説明図である。
【0026】
コンクリート躯体1に立設固定された既設手摺2の金属製中空支柱3は、図1に示すように、アルミニウム合金製の中空形材4と、この中空形材4内部の下方に設けられたスチール製の中空形材5とからなる二重構造を有する金属製中空支柱3である。
【0027】
金属製中空支柱3は、スチール製の中空形材5が取付具14に溶接され、取付具14がアンカー15に溶接されてコンクリート躯体1に立設固定されている。この既設の手摺の金属製中空支柱3内部には、しみ込んだ雨水や結露水などの水Wが溜まっているが、この実施例においては、図1に示す水面W1の位置まで溜まっているものとして説明する。
【0028】
金属製中空支柱3の補修に際しては、まず、中空支柱3の適宜の下方部位、好ましくは、下弦材6bとコンクリート躯体1の面1aとの間に水排出孔7をドリル9で穿設すると共に、水排出孔7より適宜の上方部位に通気孔8を穿設する。この場合、水排出孔7と通気孔8の穿設順位はどちらが先でも構わない。なお、図1における符号6aは笠木、7a,8aは水排出孔、通気孔の孔開け位置である。
【0029】
まず、ドリル9で水排出孔7を穿設すると、水排出孔7より上にある水Wは水排出孔7の所まで排出される。水Wの排出後、水排出孔7より下方にある水Wは金属製中空支柱3内に残っているが、ここでは水の抜き出しを積極的には行わないで、金属製中空支柱3内部に水より高比重の流動性を有する硬化性の充填材10を水排出孔7まで注入、充填する。
【0030】
流動性を有する硬化性充填材10としては、一般グラウトモルタルと比較して、高比重で水に分散せず、弱アルカリ性のポリマーセメントグラウトモルタルが好適である。このポリマーセメントグラウトモルタルの充填に際しては、ポリマーセメント組成物を水で練って、高流動性を有するスラリー状のポリマーセメントグラウトモルタルを得る。これは適当な時間流動性を保ち、高比重(スラリー比重;2.2〜3.5)であっても分離が起こらず、金属製中空支柱3に溜まった水と置換して空隙底部から空隙細部まで充填でき、所定の時間で硬化したポリマーセメントグラウトモルタルの硬化体は、通常のモルタルと同程度の強度になる。この硬化体は、高分子樹脂の混入で吸水しにくく、弱アルカリ性(pH8〜10.5)であるから鉄部の防錆ができ、アルミニウム素材への影響が少ないという特性を有する。
【0031】
前記高比重、弱アルカリ性を特徴とするポリマーセメントグラウトモルタルは、硬化成分として、普通ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント等のセメント類を用いることができる。高比重材としては珪砂、ガーネット、バナジウム、アルミナ、ジルコン、酸化鉄等高比重の粒又は粉末(粒径0.4mm以下)を用いる。アルカリ性制御剤としては、ポゾラン反応を得られるフライアッシュ、シリカヒューム等や石膏、白土、カオリン等の鉱物粉末を用いてセメント分のアルカリを低下させている。これらを適宜に配合して、粉末樹脂、分離防止剤、高性能流動化剤、収縮防止剤等添加剤を加えて、粉体混合しポリマーセメント組成物を得る。
ポリマーセメント組成物の一配合例を表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
前記ポリマーセメントグラウトモルタルを金属製中空支柱3に充填する場合、支柱の補修施工現場において、容器13に入れたポリマーセメント組成物(混合粉体)を水で練って、高流動性を有するスラリー状のポリマーセメントグラウトモルタルを得、次いで、図3に示すように、金属製中空支柱3に穿設した通気孔8に挿入したホース12に設けた漏斗11に、スラリー状のポリマーセメントグラウトモルタルを注ぎ込み、ホース12内を自然流下させて、ポリマーセメントグラウトモルタルが水排出孔7に達するまで注入、充填する。
【0034】
前記のようにスラリー状のポリマーセメントグラウトモルタルを水排出孔7に達するまで注入、充填すると、水Wの排出とポリマーセメントグラウトモルタルの充填とが同時に行われる。ポリマーセメントグラウトモルタルの注入後は、ホース12を取り出し、必要に応じて適宜水排出孔7、通気孔8に着脱可能なキャップを取り付ける。なお、充填の際、金属製中空支柱内部3の底から通気孔8に挿入したホース12先端を徐々に上方に引き上げ乍らポリマーセメントグラウトモルタルを注入、充填しても構わない。
【0035】
上記のように、金属製中空支柱3内に注入されたスラリー状のポリマーセメントグラウトモルタルは2時間程度で硬化してポリマーセメントグラウトモルタルの硬化体(硬化充填材10a)となり、コンクリート1に立設固定された金属製中空支柱3は補強されると共に、以降雨水が侵入したり、結露水が発生したとしても水排出孔7から排出される。また、ポリマーセメントグラウトモルタルの硬化体が弱アルカリ性であることにより、微小ながらアルカリ分が溶出し、補修後は、たとえ金属製中空支柱3の内部が湿気を帯びても錆発生が防止される。
【0036】
実施例の金属製中空支柱の補修方法が奏する作用効果を以下説明する。
コンクリート躯体1に立設固定された金属製中空支柱3に水排出孔7、通気孔8を穿設すると、金属製中空支柱3内に溜まっていた水Wが水排出孔7から自然に流出し、水排出孔7より下方に水が残る。
【0037】
この残った水を吸水ポンプなどで排出する作業を行わないで、補修施工現場において、予め所定量用意したポリマーセメント組成物(混合粉体)を水で練って得たスラリー状のポリマーセメントグラウトモルタルを、金属製中空支柱3に穿設した通気孔8に挿入したホース12に設けた漏斗11に注ぎ込み、ホース12内を自然流下させて、ポリマーセメントグラウトモルタルが水排出孔7に達するまで注入、充填する。その結果、金属製中空支柱内部に残っていた水の排出とポリマーセメントグラウトモルタルの充填とを同時に行うことができ、金属製中空支柱の補修作業時間を短縮することができる。
【0038】
スラリー状のポリマーセメントグラウトモルタルを注入、充填する場合、一般グラウトモルタルスラリーより高比重のポリマーセメントグラウトモルタルが金属製中空支柱3の下方から徐々に堆積されるため、残っていた水W全てを水排出孔7から排出することができる。この際、水排出孔7の上までスラリー状のポリマーセメントグラウトモルタルを注入したとしても流動性を有するため、水排出孔7から流れ出し水排出孔7を塞がないようにすることができ、その注入充填作業を簡単に行うことができる。
【0039】
金属製中空支柱3の内部に充填されたスラリー状のポリマーセメントグラウトモルタルは、2時間程度で硬化し、ポリマーセメントグラウトモルタルの硬化体によりコンクリート1に立設固定された金属製中空支柱3を補強することができる。また、充填後はポリマーセメントグラウトモルタルの硬化体が弱アルカリ性であるため、アルカリ成分によってスチール部材の錆が遡及的に除去され、長年に亘って金属製中空支柱の錆発生や腐食を防止することができ、無収縮性グラウトモルタルであることにより、ポリマーセメントグラウトモルタルの硬化体のひび割れを防止し、水のしみ込みを防止することができる。
【0040】
以上、実施例の金属製中空支柱の補修方法として、金属製中空支柱3が、アルミニウム合金製の中空形材4と、この中空形材4内部の下方に設けられたスチール製の中空形材5とからなる二重構造のものについて説明したが、金属製中空支柱3としては、アルミニウム合金製中空形材のみからなるもの、スチール製中空形材のみからなるものとしてもよい。また、補修する金属製中空支柱は手摺以外のフェンスの中空支柱であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】(A)は補修前における手摺の金属製中空支柱の側面図、(B)は手摺の金属製中空支柱の正面図である。
【図2】本発明実施例における充填材注入時の説明図である。
【図3】充填材充填後の説明図である。
【図4】従来の一般的な手摺の正面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 コンクリート躯体 1a コンクリート躯体の面
2 手摺 3 金属製中空支柱
4 アルミニウム合金製の中空形材 5 スチール製の中空形材
6a 笠木 6a 下弦材
7 水排出孔 7a 水排出孔の孔開け位置
8 通気孔 8a 通気孔の孔開け位置
9 ドリル 10 充填材
10a 硬化した充填材 11 漏斗
12 ホース 13 容器
14 取付具 15 アンカー
W 水 W1 水面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート躯体に立設固定された金属製中空支柱の下方部位に水排出孔を穿設すると共に、該水排出孔より上方部位に通気孔を穿設し、次いで、金属製中空支柱内部に水より高比重の流動性を有する硬化性の充填材を水排出孔まで注入充填することにより、金属製中空支柱内部に溜まっていた水を水排出孔から排出すると同時に、充填材を金属製中空支柱内部下方に充填することを特徴とする金属製中空支柱の補修方法。
【請求項2】
前記充填材が弱アルカリ性のポリマーセメントグラウトモルタルからなることを特徴とする請求項1記載の金属製中空支柱の補修方法。
【請求項3】
前記充填材を前記金属製中空支柱に穿設された通気孔に挿入した漏斗付きのホースにより該金属製中空支柱内部下方に注入することを特徴とする請求項1又は2記載の金属製中空支柱の補修方法。
【請求項4】
前記金属製中空支柱がアルミニウム合金製中空形材のみからなっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の金属製中空支柱の補修方法。
【請求項5】
前記金属製中空支柱がスチール製中空形材のみからなっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の金属製中空支柱の補修方法。
【請求項6】
前記金属製中空支柱がアルミニウム合金製中空形材と、該中空形材内部の少なくとも下方位置に設けられたスチール製中空形材とからなる二重構造を有する金属製中空支柱であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の金属製中空支柱の補修方法。
【請求項7】
前記金属製中空支柱が手摺又はフェンスの支柱であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の金属製中空支柱の補修方法。
























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−133166(P2010−133166A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310775(P2008−310775)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(594087104)三和アルミ工業株式会社 (3)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【Fターム(参考)】