金属製体毛処理具の製造方法
【課題】 薄型軽量でかつ強靱性を備え手軽かつ安全に体毛を処理できると共に量産性に優れた体毛処理具の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の金属製体毛処理具1の製造方法は、先端部に設けられた体毛処理部2と、体毛処理部2の後方に連続して設けられた手持ち部3とを備えた二枚の板状本体部4a,4bが後端側で一体化された金属製体毛処理具の製造方法であって、板状本体部4a,4bを冷間鍛造工程を経て成形することを特徴とするものである。
【解決手段】本発明の金属製体毛処理具1の製造方法は、先端部に設けられた体毛処理部2と、体毛処理部2の後方に連続して設けられた手持ち部3とを備えた二枚の板状本体部4a,4bが後端側で一体化された金属製体毛処理具の製造方法であって、板状本体部4a,4bを冷間鍛造工程を経て成形することを特徴とするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材料で形成され余分な体毛を除去するための体毛処理具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、先端部に設けられた一対の体毛処理部と、体毛処理部の後方に連続して設けられた一対の手持ち部とを備え、後端側で一体化された体毛処理具が種々使用されている。例えば、そのようなものとして、図13に示した毛抜き20(特開2007−82923号公報参照)がある。
【0003】
このような毛抜き等体毛処理具を金属材料で作製する場合、細い体毛を確実に捕捉または切除するために鋭利性と強靱性が求められることから、形状加工は切削加工を中心に行われていた。
【0004】
しかし、切削加工で成形された体毛処理具は、肉厚となって重量があり堅牢となり過ぎる傾向にあり、切削工程も多く量産に不向きであると共に、肌に直接接触する体毛処理具としては安全性に問題があり使い勝手も悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−82923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願発明者はソフトな形状で手軽かつ安全に体毛を処理できる体毛処理具を鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の課題は、薄型軽量でかつ強靱性を備え手軽かつ安全に体毛を処理できると共に量産性に優れた体毛処理具の製造方法を提供することにある。
【0007】
上記課題を解決するものは、先端部に設けられた体毛処理部と、該体毛処理部の後方に連続して設けられた手持ち部とを備えた二枚の板状本体部が後端側で一体化された金属製体毛処理具の製造方法であって、前記板状本体部は冷間鍛造工程を経て成形されていることを特徴とする金属製体毛処理具の製造方法である。
【0008】
前記二枚の板状本体部を冷間鍛造する工程では、それぞれの前記板状本体部の前記体毛処理部の内側に面当接可能な体毛処理面が形成されることが好ましい。
【0009】
前記金属製体毛処理具の製造方法は、前記体毛処理部の内側面にそれぞれ凹状部を切削形成し、さらに前記凹状部の上端周縁部に沿って凹状部内側に向かって下降する傾斜面を形成することにより環状鋭利部を形成する切削工程を有していることが好ましい。
【0010】
前記金属製体毛処理具の製造方法は、前記金属製体毛処理具の全体を塗装する塗装工程を有し、該塗装工程の後、前記体毛処理面を露呈させるための体毛処理面研削工程を有していることが好ましい。
【0011】
前記金属製体毛処理具の製造方法は、塗装工程を有し、該塗装工程は、前記凹状部内面以外を塗装するものであることが好ましい。
【0012】
前記金属製体毛処理具の製造方法は、前記板状本体部の前記体毛処理部を先端側から後端側に向かって徐々に当接させるための曲げ工程を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載した発明によれば、薄型軽量でかつ強靱性を備え手軽かつ安全に体毛を処理できると共に量産性に優れた体毛処理具となる。
請求項2に記載した発明によれば、体毛を容易かつ確実に捕捉可能な体毛処理具となる。
請求項3に記載した発明によれば、体毛を容易かつ確実に切断できると共に、環状鋭利部にて体毛を安全に切断可能な体毛処理具となる。
体毛処理具となる。
請求項4に記載した発明によれば、体毛処理面以外は塗装面となり、金属部位が肌に直接触れない体毛処理具となる。
請求項5に記載した発明によれば、金属部位が肌に直接触れない体毛処理具となる。
請求項6に記載した発明によれば、体毛を確実に捕捉あるいは切断可能な体毛処理具となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の金属製体毛処理具の製造方法で作製された金属製体毛処理具の斜視図である。
【図2】図1に示した金属製体毛処理具の板状本体部の平面図である。
【図3】図2に示した金属製体毛処理具の正面図である。
【図4】図1に示した金属製体毛処理具の作用を説明するための正面図である。
【図5】図1に示した金属製体毛処理具の作用を説明するための正面図である。
【図6】図1に示した金属製体毛処理具の体毛処理部の拡大断面図である。
【図7】本発明の金属製体毛処理具の製造方法で作製された金属製体毛処理具の他の実施例の斜視図である。
【図8】図7に示した金属製体毛処理具の板状本体部の平面図である。
【図9】図7に示した金属製体毛処理具の正面図である。
【図10】図7に示した金属製体毛処理具の作用を説明するための正面図である。
【図11】図7に示した金属製体毛処理具の作用を説明するための正面図である。
【図12】図7に示した金属製体毛処理具の体毛処理部の拡大断面図である。
【図13】従来の金属製体毛処理具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、板状本体部が冷間鍛造工程を経て成形されることで、薄型軽量でかつ強靱性を備え手軽かつ安全に体毛を処理できると共に量産性に優れた体毛処理具を実現した。
【実施例1】
【0016】
本発明の金属製体毛処理具1の製造方法を図1ないし図6を用いて説明する。
この実施例の金属製体毛処理具1の製造方法は、先端部に設けられた体毛処理部2と、体毛処理部2の後方に連続して設けられた手持ち部3とを備えた二枚の板状本体部4a,4bが後端側で一体化された金属製体毛処理具の製造方法であって、板状本体部4a,4bを冷間鍛造工程を経て成形する成形工程と、二枚の板状本体部4a,4bをそれぞれ曲げて塑性変形させる曲げ工程と、二枚の板状本体部4a,4bを後端側で一体化する接合工程と、塗装工程と、体毛処理面を露呈させる研削工程とを経て金属製体毛処理具1を製造するものである。以下、各工程について順次詳述する。
【0017】
金属製体毛処理具1は、図1に示すように、先端部に設けられた体毛処理部2と、体毛処理部2の後方に連続して設けられた手持ち部3とを備えた二枚の板状本体部4a,4bが後端側で一体化された金属製体毛処理具であり、体毛処理面2a,2b間で体毛を挟持して引き抜く毛抜きである。
【0018】
金属製体毛処理具1の成形工程では、二枚の板状体を冷間鍛造により肉薄に形成する。この際に、図6に示すように、先端部には内側に向かってそれぞれ若干突出する凸部を形成する。この凸部の上面(この実施例では、図2に示すように平面視円形)がそれぞれ面当接可能な体毛処理面2a,2bとなり、両者間で体毛を挟持する部位が構成される。
【0019】
なお、冷間鍛造とは、金属素材を室温で金型を用いて圧縮成型するものであり、素材から最終形態に近い状態の加工品または表面仕上げされた加工品を高い寸法精度で効率的に成形できると共に、非常に大きな圧縮応力を受けて塑性変形された加工品は組織が微細化されファイバーフローが切断されないため耐摩耗性および強靱性に優れたものとなる。よって、本発明では、板状本体部4a,4bが冷間鍛造によって成形されることにより、薄型軽量でかつ強靱性を備え手軽かつ安全に体毛を処理できると共に量産性に優れた体毛処理具が作製される。
【0020】
冷間鍛造された二枚の板状体は、プレス機による抜き加工で、図2に示すように、平面視で先端形状および後端形状が半円形の板状体に成形された後、バレル加工によりバリ取りされて板状本体部4a,4bが成形されている。
【0021】
板状本体部4a,4bの形成材料としては、ステンレスと銅との合金が好適に使用でき、銅の殺菌性により衛生的な体毛処理具が作製できる。
【0022】
曲げ工程では、二枚の板状本体部4a,4bをそれぞれプレス機を用いて曲げることにより塑性変形させる。具体的には、図3ないし図5に示すように、板状本体部4a,4bの体毛処理部2を先端側から後端側に向かって徐々に当接可能に曲げ加工が施されている。これにより、二枚の板状本体部4a,4bにしなりを与えると共に、図4の状態でまず体毛を点で捉え、さらに手持ち部3を両側から押圧することにより徐々に面で捉えて、最終的には図5に示すように、体毛処理面2a,2b全面同士で体毛を確実に捕捉する体毛処理具となる。
【0023】
接合工程では、二枚の板状本体部4a,4bの後端側の内面同士をスポット溶接にて一体化して接合する。
【0024】
塗装工程では、靜電粉体塗装法により、図6に示すように、体毛処理具1の全面に塗装面5が形成される。これにより、金属が肌に接触することなく体毛を処理することができ、金属アレルギーの人でも安全に使用できる体毛処理具となる。
【0025】
研削工程では、塗装工程により体毛処理面2a,2bを被覆した塗装面5を研削して除去し、体毛処理面2a,2bを露呈させることにより体毛処理具1が製造される。
【実施例2】
【0026】
つぎに、図7ないし図12に示した本発明の金属製体毛処理具10の製造方法について説明する。
この実施例の金属製体毛処理具10の製造方法は、先端部に設けられた体毛処理部12と、体毛処理部12の後方に連続して設けられた手持ち部13とを備えた二枚の板状本体部14a,14bが後端側で一体化された金属製体毛処理具の製造方法であって、板状本体部14a,14bを冷間鍛造工程を経て成形する成形工程と、体毛処理部14a,14bの内側面をそれぞれ凹状に切削して凹状部12a,12bを形成し、さらに凹状部12a,12bの上端周縁部に沿って凹状部内側に向かって下降する傾斜面15a,15bを形成することにより環状鋭利部16a,16bを切削形成する切削工程と、二枚の板状本体部14a,14bをそれぞれ曲げて塑性変形させる曲げ工程と、二枚の板状本体部14a,14bを後端側で一体化する接合工程と、塗装工程を経て金属製体毛処理具10を製造するものである。以下、各工程について順次詳述する。
【0027】
金属製体毛処理具10は、図7に示すよう、先端部に設けられた体毛処理部12と、体毛処理部12の後方に連続して設けられた手持ち部13とを備えた二枚の板状本体部14a,14bが後端側で一体化された金属製体毛処理具であり、凹状部12a,12b間で体毛を切断する毛切り具である。
【0028】
金属製体毛処理具10の成形工程では、二枚の板状体を冷間鍛造により肉薄に形成する。この際に、体毛処理部2の内面に内側に向かってそれぞれ若干突出する平面視円形の凸部(円柱部)を形成する。
【0029】
なお、冷間鍛造とは、金属素材を室温で金型を用いて圧縮成型するものであり、素材から最終形態に近い状態の加工品または表面仕上げされた加工品を高い寸法精度で効率的に成形できると共に、非常に大きな圧縮応力を受けて塑性変形された加工品は組織が微細化されファイバーフローが切断されないため耐摩耗性および強靱性に優れたものとなる。よって、本発明では、板状本体部4a,4bが冷間鍛造によって成形されることにより、薄型軽量でかつ強靱性を備え手軽かつ安全に体毛を処理できると共に量産性に優れた体毛処理具が作製される。
【0030】
冷間鍛造された二枚の板状体は、プレス機による抜き加工で、図8に示すように、平面視で先端形状および後端形状が半円形の板状体に成形された後、バレル加工によりバリ取りされて板状本体部14a,14bが成形されている。
【0031】
板状本体部14a,14bの形成材料としては、ステンレスと銅との合金が好適に使用でき、銅の殺菌性により衛生的な体毛処理具が作製できる。
【0032】
切削工程では、図12に示すように、体毛処理部12の内側面にそれぞれ凹状部12a,12bを切削形成する。具体的には、体毛処理部12の内側面に成形工程でそれぞれ設けられた平面視円形の凸部(円柱部)をエンドミルで切削して平面視円形の凹状部12a,12bを形成し、さらに、これら凹状部12a,12bの上端周縁部に沿って小型のエンドミルにて凹状部12a,12b内側に向かって下降する傾斜面15a,15bを形成することにより、それらの上端外縁部に環状鋭利部16a,16bを形成する。本発明では、このような切削工程によって体毛処理部12の内側面にそれぞれ設けられた環状鋭利部16a,16bが形成されるため、体毛を安全に切断することができる。
【0033】
なお、この実施例では、環状鋭利部16a,16bの切削形成工程が異なるサイズのエンドミルによる二工程で行われているが、一工程で形成されるもの、あるいはボールエンドミルにて環状鋭利部が形成されるものも本発明の範疇に包含される。
【0034】
曲げ工程では、二枚の板状本体部14a,14bをそれぞれプレス機を用いて曲げ塑性変形させる。具体的には、図9ないし図11に示すように、板状本体部14a,14bの体毛処理部12の内側を先端側から後端側に向かって徐々に当接可能に曲げ加工が施されている。これにより、二枚の板状本体部14a,14bにしなりを与えると共に、図10の状態でまず体毛を点で捉え、さらに手持ち部3を両側押圧することにより図11に示すように環状鋭利部16a,16b同士が接触して確実に切断可能な体毛処理具となる。
【0035】
接合工程では、二枚の板状本体部14a,14bの後端側の内面同士をスポット溶接にて一体化して接合する。
【0036】
塗装工程では、靜電粉体塗装法により、体毛処理具10の凹状部12a,12bの内面以外が塗装面17で被覆される。これにより、金属が肌に接触することなく体毛を処理することができ、金属アレルギーの人でも安全に使用できる体毛処理具10が製造される。
【符号の説明】
【0037】
1 金属製体毛処理具(毛抜き)
2 体毛処理部
2a,2b 体毛処理面
3 手持ち部
4a,4b 板状本体部
5 塗装面
10 金属製体毛処理具(毛切り具)
12 体毛処理部
12a,12b 凹状部
13 手持ち部
14a,14b 板状本体部
15a,15b 傾斜面
16a,16b 環状鋭利部
17 塗装面
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材料で形成され余分な体毛を除去するための体毛処理具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、先端部に設けられた一対の体毛処理部と、体毛処理部の後方に連続して設けられた一対の手持ち部とを備え、後端側で一体化された体毛処理具が種々使用されている。例えば、そのようなものとして、図13に示した毛抜き20(特開2007−82923号公報参照)がある。
【0003】
このような毛抜き等体毛処理具を金属材料で作製する場合、細い体毛を確実に捕捉または切除するために鋭利性と強靱性が求められることから、形状加工は切削加工を中心に行われていた。
【0004】
しかし、切削加工で成形された体毛処理具は、肉厚となって重量があり堅牢となり過ぎる傾向にあり、切削工程も多く量産に不向きであると共に、肌に直接接触する体毛処理具としては安全性に問題があり使い勝手も悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−82923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願発明者はソフトな形状で手軽かつ安全に体毛を処理できる体毛処理具を鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の課題は、薄型軽量でかつ強靱性を備え手軽かつ安全に体毛を処理できると共に量産性に優れた体毛処理具の製造方法を提供することにある。
【0007】
上記課題を解決するものは、先端部に設けられた体毛処理部と、該体毛処理部の後方に連続して設けられた手持ち部とを備えた二枚の板状本体部が後端側で一体化された金属製体毛処理具の製造方法であって、前記板状本体部は冷間鍛造工程を経て成形されていることを特徴とする金属製体毛処理具の製造方法である。
【0008】
前記二枚の板状本体部を冷間鍛造する工程では、それぞれの前記板状本体部の前記体毛処理部の内側に面当接可能な体毛処理面が形成されることが好ましい。
【0009】
前記金属製体毛処理具の製造方法は、前記体毛処理部の内側面にそれぞれ凹状部を切削形成し、さらに前記凹状部の上端周縁部に沿って凹状部内側に向かって下降する傾斜面を形成することにより環状鋭利部を形成する切削工程を有していることが好ましい。
【0010】
前記金属製体毛処理具の製造方法は、前記金属製体毛処理具の全体を塗装する塗装工程を有し、該塗装工程の後、前記体毛処理面を露呈させるための体毛処理面研削工程を有していることが好ましい。
【0011】
前記金属製体毛処理具の製造方法は、塗装工程を有し、該塗装工程は、前記凹状部内面以外を塗装するものであることが好ましい。
【0012】
前記金属製体毛処理具の製造方法は、前記板状本体部の前記体毛処理部を先端側から後端側に向かって徐々に当接させるための曲げ工程を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載した発明によれば、薄型軽量でかつ強靱性を備え手軽かつ安全に体毛を処理できると共に量産性に優れた体毛処理具となる。
請求項2に記載した発明によれば、体毛を容易かつ確実に捕捉可能な体毛処理具となる。
請求項3に記載した発明によれば、体毛を容易かつ確実に切断できると共に、環状鋭利部にて体毛を安全に切断可能な体毛処理具となる。
体毛処理具となる。
請求項4に記載した発明によれば、体毛処理面以外は塗装面となり、金属部位が肌に直接触れない体毛処理具となる。
請求項5に記載した発明によれば、金属部位が肌に直接触れない体毛処理具となる。
請求項6に記載した発明によれば、体毛を確実に捕捉あるいは切断可能な体毛処理具となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の金属製体毛処理具の製造方法で作製された金属製体毛処理具の斜視図である。
【図2】図1に示した金属製体毛処理具の板状本体部の平面図である。
【図3】図2に示した金属製体毛処理具の正面図である。
【図4】図1に示した金属製体毛処理具の作用を説明するための正面図である。
【図5】図1に示した金属製体毛処理具の作用を説明するための正面図である。
【図6】図1に示した金属製体毛処理具の体毛処理部の拡大断面図である。
【図7】本発明の金属製体毛処理具の製造方法で作製された金属製体毛処理具の他の実施例の斜視図である。
【図8】図7に示した金属製体毛処理具の板状本体部の平面図である。
【図9】図7に示した金属製体毛処理具の正面図である。
【図10】図7に示した金属製体毛処理具の作用を説明するための正面図である。
【図11】図7に示した金属製体毛処理具の作用を説明するための正面図である。
【図12】図7に示した金属製体毛処理具の体毛処理部の拡大断面図である。
【図13】従来の金属製体毛処理具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、板状本体部が冷間鍛造工程を経て成形されることで、薄型軽量でかつ強靱性を備え手軽かつ安全に体毛を処理できると共に量産性に優れた体毛処理具を実現した。
【実施例1】
【0016】
本発明の金属製体毛処理具1の製造方法を図1ないし図6を用いて説明する。
この実施例の金属製体毛処理具1の製造方法は、先端部に設けられた体毛処理部2と、体毛処理部2の後方に連続して設けられた手持ち部3とを備えた二枚の板状本体部4a,4bが後端側で一体化された金属製体毛処理具の製造方法であって、板状本体部4a,4bを冷間鍛造工程を経て成形する成形工程と、二枚の板状本体部4a,4bをそれぞれ曲げて塑性変形させる曲げ工程と、二枚の板状本体部4a,4bを後端側で一体化する接合工程と、塗装工程と、体毛処理面を露呈させる研削工程とを経て金属製体毛処理具1を製造するものである。以下、各工程について順次詳述する。
【0017】
金属製体毛処理具1は、図1に示すように、先端部に設けられた体毛処理部2と、体毛処理部2の後方に連続して設けられた手持ち部3とを備えた二枚の板状本体部4a,4bが後端側で一体化された金属製体毛処理具であり、体毛処理面2a,2b間で体毛を挟持して引き抜く毛抜きである。
【0018】
金属製体毛処理具1の成形工程では、二枚の板状体を冷間鍛造により肉薄に形成する。この際に、図6に示すように、先端部には内側に向かってそれぞれ若干突出する凸部を形成する。この凸部の上面(この実施例では、図2に示すように平面視円形)がそれぞれ面当接可能な体毛処理面2a,2bとなり、両者間で体毛を挟持する部位が構成される。
【0019】
なお、冷間鍛造とは、金属素材を室温で金型を用いて圧縮成型するものであり、素材から最終形態に近い状態の加工品または表面仕上げされた加工品を高い寸法精度で効率的に成形できると共に、非常に大きな圧縮応力を受けて塑性変形された加工品は組織が微細化されファイバーフローが切断されないため耐摩耗性および強靱性に優れたものとなる。よって、本発明では、板状本体部4a,4bが冷間鍛造によって成形されることにより、薄型軽量でかつ強靱性を備え手軽かつ安全に体毛を処理できると共に量産性に優れた体毛処理具が作製される。
【0020】
冷間鍛造された二枚の板状体は、プレス機による抜き加工で、図2に示すように、平面視で先端形状および後端形状が半円形の板状体に成形された後、バレル加工によりバリ取りされて板状本体部4a,4bが成形されている。
【0021】
板状本体部4a,4bの形成材料としては、ステンレスと銅との合金が好適に使用でき、銅の殺菌性により衛生的な体毛処理具が作製できる。
【0022】
曲げ工程では、二枚の板状本体部4a,4bをそれぞれプレス機を用いて曲げることにより塑性変形させる。具体的には、図3ないし図5に示すように、板状本体部4a,4bの体毛処理部2を先端側から後端側に向かって徐々に当接可能に曲げ加工が施されている。これにより、二枚の板状本体部4a,4bにしなりを与えると共に、図4の状態でまず体毛を点で捉え、さらに手持ち部3を両側から押圧することにより徐々に面で捉えて、最終的には図5に示すように、体毛処理面2a,2b全面同士で体毛を確実に捕捉する体毛処理具となる。
【0023】
接合工程では、二枚の板状本体部4a,4bの後端側の内面同士をスポット溶接にて一体化して接合する。
【0024】
塗装工程では、靜電粉体塗装法により、図6に示すように、体毛処理具1の全面に塗装面5が形成される。これにより、金属が肌に接触することなく体毛を処理することができ、金属アレルギーの人でも安全に使用できる体毛処理具となる。
【0025】
研削工程では、塗装工程により体毛処理面2a,2bを被覆した塗装面5を研削して除去し、体毛処理面2a,2bを露呈させることにより体毛処理具1が製造される。
【実施例2】
【0026】
つぎに、図7ないし図12に示した本発明の金属製体毛処理具10の製造方法について説明する。
この実施例の金属製体毛処理具10の製造方法は、先端部に設けられた体毛処理部12と、体毛処理部12の後方に連続して設けられた手持ち部13とを備えた二枚の板状本体部14a,14bが後端側で一体化された金属製体毛処理具の製造方法であって、板状本体部14a,14bを冷間鍛造工程を経て成形する成形工程と、体毛処理部14a,14bの内側面をそれぞれ凹状に切削して凹状部12a,12bを形成し、さらに凹状部12a,12bの上端周縁部に沿って凹状部内側に向かって下降する傾斜面15a,15bを形成することにより環状鋭利部16a,16bを切削形成する切削工程と、二枚の板状本体部14a,14bをそれぞれ曲げて塑性変形させる曲げ工程と、二枚の板状本体部14a,14bを後端側で一体化する接合工程と、塗装工程を経て金属製体毛処理具10を製造するものである。以下、各工程について順次詳述する。
【0027】
金属製体毛処理具10は、図7に示すよう、先端部に設けられた体毛処理部12と、体毛処理部12の後方に連続して設けられた手持ち部13とを備えた二枚の板状本体部14a,14bが後端側で一体化された金属製体毛処理具であり、凹状部12a,12b間で体毛を切断する毛切り具である。
【0028】
金属製体毛処理具10の成形工程では、二枚の板状体を冷間鍛造により肉薄に形成する。この際に、体毛処理部2の内面に内側に向かってそれぞれ若干突出する平面視円形の凸部(円柱部)を形成する。
【0029】
なお、冷間鍛造とは、金属素材を室温で金型を用いて圧縮成型するものであり、素材から最終形態に近い状態の加工品または表面仕上げされた加工品を高い寸法精度で効率的に成形できると共に、非常に大きな圧縮応力を受けて塑性変形された加工品は組織が微細化されファイバーフローが切断されないため耐摩耗性および強靱性に優れたものとなる。よって、本発明では、板状本体部4a,4bが冷間鍛造によって成形されることにより、薄型軽量でかつ強靱性を備え手軽かつ安全に体毛を処理できると共に量産性に優れた体毛処理具が作製される。
【0030】
冷間鍛造された二枚の板状体は、プレス機による抜き加工で、図8に示すように、平面視で先端形状および後端形状が半円形の板状体に成形された後、バレル加工によりバリ取りされて板状本体部14a,14bが成形されている。
【0031】
板状本体部14a,14bの形成材料としては、ステンレスと銅との合金が好適に使用でき、銅の殺菌性により衛生的な体毛処理具が作製できる。
【0032】
切削工程では、図12に示すように、体毛処理部12の内側面にそれぞれ凹状部12a,12bを切削形成する。具体的には、体毛処理部12の内側面に成形工程でそれぞれ設けられた平面視円形の凸部(円柱部)をエンドミルで切削して平面視円形の凹状部12a,12bを形成し、さらに、これら凹状部12a,12bの上端周縁部に沿って小型のエンドミルにて凹状部12a,12b内側に向かって下降する傾斜面15a,15bを形成することにより、それらの上端外縁部に環状鋭利部16a,16bを形成する。本発明では、このような切削工程によって体毛処理部12の内側面にそれぞれ設けられた環状鋭利部16a,16bが形成されるため、体毛を安全に切断することができる。
【0033】
なお、この実施例では、環状鋭利部16a,16bの切削形成工程が異なるサイズのエンドミルによる二工程で行われているが、一工程で形成されるもの、あるいはボールエンドミルにて環状鋭利部が形成されるものも本発明の範疇に包含される。
【0034】
曲げ工程では、二枚の板状本体部14a,14bをそれぞれプレス機を用いて曲げ塑性変形させる。具体的には、図9ないし図11に示すように、板状本体部14a,14bの体毛処理部12の内側を先端側から後端側に向かって徐々に当接可能に曲げ加工が施されている。これにより、二枚の板状本体部14a,14bにしなりを与えると共に、図10の状態でまず体毛を点で捉え、さらに手持ち部3を両側押圧することにより図11に示すように環状鋭利部16a,16b同士が接触して確実に切断可能な体毛処理具となる。
【0035】
接合工程では、二枚の板状本体部14a,14bの後端側の内面同士をスポット溶接にて一体化して接合する。
【0036】
塗装工程では、靜電粉体塗装法により、体毛処理具10の凹状部12a,12bの内面以外が塗装面17で被覆される。これにより、金属が肌に接触することなく体毛を処理することができ、金属アレルギーの人でも安全に使用できる体毛処理具10が製造される。
【符号の説明】
【0037】
1 金属製体毛処理具(毛抜き)
2 体毛処理部
2a,2b 体毛処理面
3 手持ち部
4a,4b 板状本体部
5 塗装面
10 金属製体毛処理具(毛切り具)
12 体毛処理部
12a,12b 凹状部
13 手持ち部
14a,14b 板状本体部
15a,15b 傾斜面
16a,16b 環状鋭利部
17 塗装面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に設けられた体毛処理部と、該体毛処理部の後方に連続して設けられた手持ち部とを備えた二枚の板状本体部が後端側で一体化された金属製体毛処理具の製造方法であって、前記板状本体部は冷間鍛造工程を経て成形されていることを特徴とする金属製体毛処理具の製造方法。
【請求項2】
前記二枚の板状本体部を冷間鍛造する工程では、それぞれの前記板状本体部の前記体毛処理部の内側に面当接可能な体毛処理面が形成される請求項1に記載の金属製体毛処理具の製造方法。
【請求項3】
前記金属製体毛処理具の製造方法は、前記体毛処理部の内側面にそれぞれ凹状部を切削形成し、さらに前記凹状部の上端周縁部に沿って凹状部内側に向かって下降する傾斜面を形成することにより環状鋭利部を形成する切削工程を有している請求項1に記載の金属製体毛処理具の製造方法。
【請求項4】
前記金属製体毛処理具の製造方法は、前記金属製体毛処理具の全体を塗装する塗装工程を有し、該塗装工程の後、前記体毛処理面を露呈させるための体毛処理面研削工程を有している請求項2に記載の金属製体毛処理具の製造方法。
【請求項5】
前記金属製体毛処理具の製造方法は、塗装工程を有し、該塗装工程は、前記凹状部の内面以外を塗装するものである請求項3に記載の金属製体毛処理具の製造方法。
【請求項6】
前記金属製体毛処理具の製造方法は、前記板状本体部の前記体毛処理部を先端側から後端側に向かって徐々に当接させるための曲げ工程を有している請求項1ないし5のいずれかに記載の金属製体毛処理具の製造方法。
【請求項1】
先端部に設けられた体毛処理部と、該体毛処理部の後方に連続して設けられた手持ち部とを備えた二枚の板状本体部が後端側で一体化された金属製体毛処理具の製造方法であって、前記板状本体部は冷間鍛造工程を経て成形されていることを特徴とする金属製体毛処理具の製造方法。
【請求項2】
前記二枚の板状本体部を冷間鍛造する工程では、それぞれの前記板状本体部の前記体毛処理部の内側に面当接可能な体毛処理面が形成される請求項1に記載の金属製体毛処理具の製造方法。
【請求項3】
前記金属製体毛処理具の製造方法は、前記体毛処理部の内側面にそれぞれ凹状部を切削形成し、さらに前記凹状部の上端周縁部に沿って凹状部内側に向かって下降する傾斜面を形成することにより環状鋭利部を形成する切削工程を有している請求項1に記載の金属製体毛処理具の製造方法。
【請求項4】
前記金属製体毛処理具の製造方法は、前記金属製体毛処理具の全体を塗装する塗装工程を有し、該塗装工程の後、前記体毛処理面を露呈させるための体毛処理面研削工程を有している請求項2に記載の金属製体毛処理具の製造方法。
【請求項5】
前記金属製体毛処理具の製造方法は、塗装工程を有し、該塗装工程は、前記凹状部の内面以外を塗装するものである請求項3に記載の金属製体毛処理具の製造方法。
【請求項6】
前記金属製体毛処理具の製造方法は、前記板状本体部の前記体毛処理部を先端側から後端側に向かって徐々に当接させるための曲げ工程を有している請求項1ないし5のいずれかに記載の金属製体毛処理具の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−200344(P2012−200344A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66110(P2011−66110)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(509348465)有限会社 ミサト工業 (1)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(509348465)有限会社 ミサト工業 (1)
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