説明

金属複合酸化物の合成方法、及び、当該合成方法により得られる金属複合酸化物

【課題】シングルナノメートルサイズの金属複合酸化物の合成方法、及び、当該合成方法により得られる金属複合酸化物を提供する。
【解決手段】分散剤を添加した後の平均粒径が10nm以下のセリア複合酸化物微粒子コロイドと、分散剤を添加した後の平均粒径が10nm以下のアルミナ微粒子コロイドとを別々に高速攪拌装置に導入する工程と、前記高速攪拌装置に導入した前記セリア複合酸化物微粒子及び前記アルミナ微粒子を、微小空間で反応させ、アルミナ−セリア複合酸化物微粒子を合成する工程と、前記アルミナ−セリア複合酸化物微粒子に17000sec−1以上のせん断力を加える工程と、を有することを特徴とする、金属複合酸化物の合成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シングルナノメートルサイズの金属複合酸化物の合成方法、及び、当該合成方法により得られる金属複合酸化物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナノテクノロジーに対する期待が高まっており、その内の一つの研究分野としてナノコンポジット材料を用いた材料開発が盛んに行われている。従来のコンポジット材料における分散相のサイズはせいぜいミクロンオーダーであり、そこから予測できる性能は複合則で予測できるレベルでしかなかった。しかし、ナノコンポジット材料においては、バルク材料とは異なる量子サイズ効果が現れ、原子間又は分子間相互作用が材料の特性に強く影響すること、及びマトリックスとの界面が飛躍的に増大すること等から、従来のコンポジット材料を遥かに凌駕する機能の発現が期待できる。
【0003】
ここで、ナノメートルサイズとは、一般的には、1nm〜数十nmのサイズのことを指す。これに対し、近年注目を集めているシングルナノメートルサイズとは、1nm〜10nmのサイズを指し、このようなサイズを持つ微粒子は、数十nmのサイズを持つ微粒子と比較して、量子サイズ効果が大きく、新規材料としての機能発現効果が期待されている。
【0004】
金属複合酸化物微粒子を作製する技術は、その応用を含めてこれまでにもいくつか知られている。特許文献1には、活性アルミナの一次粒子と、Ce、Zr、及びCe以外の希土類金属Rを含有する複合酸化物の一次粒子とが互いに混ざり合って二次粒子を形成するように凝集してなり、上記複合酸化物の一次粒子にはCeOが20mol%以上60mol%以下の割合で含まれていることを特徴とする排ガス成分浄化用触媒材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−090235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された排ガス成分浄化用触媒材は、一次粒子が凝集してなる二次粒子からなる。このような二次凝集により形成された微粒子は、優に数十nmのサイズを超える微粒子であり、シングルナノメートルサイズを有する微粒子ではない。
本発明は、上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、シングルナノメートルサイズの金属複合酸化物の合成方法、及び、当該合成方法により得られる金属複合酸化物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の金属複合酸化物の合成方法は、分散剤を添加した後の平均粒径が10nm以下のセリア複合酸化物微粒子コロイドと、分散剤を添加した後の平均粒径が10nm以下のアルミナ微粒子コロイドとを別々に高速攪拌装置に導入する工程と、前記高速攪拌装置に導入した前記セリア複合酸化物微粒子及び前記アルミナ微粒子を、微小空間で反応させ、アルミナ−セリア複合酸化物微粒子を合成する工程と、前記アルミナ−セリア複合酸化物微粒子に17000sec−1以上のせん断力を加える工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
このような構成の金属複合酸化物の合成方法は、前記セリア複合酸化物微粒子コロイドと、前記アルミナ微粒子コロイドという、2つの異なるシングルナノメートルサイズの微粒子コロイドから、シングルナノメートルサイズの金属複合酸化物微粒子を合成することができる。また、このような構成の金属複合酸化物の合成方法は、前記高速攪拌装置により、従来法よりも均一に混合・攪拌した結果、シングルナノメートルサイズの金属複合酸化物微粒子を均一な組成で合成することができる。
【0009】
本発明の金属複合酸化物の合成方法は、前記せん断力を加える工程後において、前記アルミナ−セリア複合酸化物微粒子を含む溶液のpHの値が、前記アルミナ−セリア複合酸化物微粒子が10nm以下の平均粒径を維持できるpHの値であることが好ましい。
【0010】
このような構成の金属複合酸化物の合成方法は、最適なpHの値を設定することにより、得られる前記金属複合酸化物微粒子が互いに凝集を起こすことなく、シングルナノメートルサイズを維持することができる。
【0011】
本発明の金属複合酸化物の合成方法は、前記pHの値が0.5〜1.5の範囲内であることが好ましい。
【0012】
本発明の金属複合酸化物は、上記合成方法により合成されることを特徴とする。
【0013】
このような金属複合酸化物は、従来共沈法、又は従来混合攪拌法で作製された金属複合酸化物よりも大きい比表面積を有する。
【0014】
本発明の金属複合酸化物は、pHの値が0.5〜1.5の範囲内であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、前記セリア複合酸化物微粒子コロイドと、前記アルミナ微粒子コロイドという、2つの異なるシングルナノメートルサイズの微粒子コロイドから、シングルナノメートルサイズの金属複合酸化物微粒子を合成することができる。また、本発明によれば、前記高速攪拌装置により、従来法よりも均一に混合・攪拌した結果、シングルナノメートルサイズの金属複合酸化物微粒子を均一な組成で合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1と比較例2の金属複合酸化物微粒子コロイドの粒度分布を示したグラフである。
【図2】混合・攪拌後のpHが1.0である金属複合酸化物微粒子コロイド(実施例4)の粒度分布を示したグラフである。
【図3】縦軸に粒径値、横軸にpHをとったグラフであり、実線がセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の粒径を、破線がアルミナシングルナノ粒子の粒径をそれぞれ示したグラフである。
【図4】比較例3と比較例4の金属複合酸化物微粒子コロイドの粒度分布を示したグラフである。
【図5】混合・攪拌後のpHが3.0である金属複合酸化物微粒子コロイド(比較例4)の粒度分布を示したグラフである。
【図6】混合・攪拌後のpHが2.0である金属複合酸化物微粒子コロイド(比較例5)の粒度分布を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.金属複合酸化物の合成方法
本発明の金属複合酸化物の合成方法は、分散剤を添加した後の平均粒径が10nm以下のセリア複合酸化物微粒子コロイドと、分散剤を添加した後の平均粒径が10nm以下のアルミナ微粒子コロイドとを別々に高速攪拌装置に導入する工程と、前記高速攪拌装置に導入した前記セリア複合酸化物微粒子及び前記アルミナ微粒子を、微小空間で反応させ、アルミナ−セリア複合酸化物微粒子を合成する工程と、前記アルミナ−セリア複合酸化物微粒子に17000sec−1以上のせん断力を加える工程と、を有することを特徴とする。
【0018】
通常、シングルナノメートルサイズの異なる1次粒子同士をそのまま混合した場合には、微粒子同士の凝集が起こるため、混合の結果得られた微粒子の粒径をシングルナノメートルサイズに留めるのは困難であった。
発明者らは、このような凝集が起こる原因について検討した結果、従来法においては、混合が不均一であったこと、及び、混合の結果得られた微粒子がシングルナノメートルサイズであるための条件、特にpHの条件について検討されていなかったことを見出した。発明者らは、鋭意努力の結果、シングルナノメートルサイズの粒子同士の均一な混合方法、及び、混合後のpHの条件を見出し、本願発明に係る金属複合酸化物の合成方法を完成させた。
【0019】
本発明の金属複合酸化物の合成方法は、2つの異なる微粒子コロイドを高速攪拌装置に導入する工程と、2つの異なる微粒子を微小空間で反応させる工程と、反応後の微粒子にせん断力を加える工程とを有する。
以下、本発明の上記3工程について、詳細に説明する。
【0020】
1−1.2つの異なる微粒子コロイドを高速攪拌装置に導入する工程
本発明に係る金属複合酸化物の合成方法の第1の工程は、分散剤を添加した後の平均粒径が10nm以下のセリア複合酸化物微粒子コロイドと、分散剤を添加した後の平均粒径が10nm以下のアルミナ微粒子コロイドとを別々に高速攪拌装置に導入する工程である。
【0021】
本発明でいう「高速攪拌装置」とは、少なくとも、2以上の異なる微粒子コロイド又はその溶液を別々に装置内に導入できる機構(以下、導入機構と称する場合がある。)と、2以上の異なる微粒子コロイドを反応させる反応室と、合成された金属複合酸化物微粒子に所定のせん断力を与える機構(以下、せん断機構と称する場合がある。)を備える装置であれば、特に限定されない。
【0022】
導入機構としては、具体的には、2以上の異なる微粒子コロイド又はその溶液を独立に供給できる装置、及び、当該溶液供給装置から供給される原料溶液を反応室へと運搬するノズルという構成が例示できる。
反応室とは、異なる微粒子コロイドを反応させる微小空間を有していれば、特に限定されない。ここで、「微小空間」とは、少なくとも1つのセリア複合酸化物微粒子と、少なくとも1つのアルミナ微粒子とを反応させ、アルミナ−セリア複合酸化物微粒子を得ることができるのに十分な容積を持つ空間をいう。反応室は、具体的には、原料である微粒子の導入路及び目的生成物である微粒子の排出路を除いて密閉された空間であることが好ましく、また、少なくとも数ナノ立方メートル〜数マイクロ立方メートルの容積を持つ空間であることが好ましい。
せん断機構としては、具体的には、高速攪拌機構を例示することができる。高速攪拌機構の具体例としては、高速回転可能なローターとステーターを備えたホモジナイザーを挙げることができる。ローターの回転数は可変であることが好ましく、且つ、少なくともローターの攪拌回転数が3200rpm以上(せん断速度に換算して17000sec−1に相当)に設定できることが好ましい。
【0023】
本工程に用いることができるセリア複合酸化物は、少なくともセリウム(Ce)元素及び酸素元素を含み、さらに他の元素を含む化合物であれば特に限定されない。この場合、当該他の元素としては、スカンジウム、イットリウム等の希土類元素、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の第4族元素等を用いることができる。セリア複合酸化物の具体例としては、セリア−ジルコニア−イットリア複合酸化物(CeO−ZrO−Y)、CeO−ZrO−Pr、CeO−ZrO−La−Y、CeO−ZrO−La−Y−Ndが挙げられる。
【0024】
以下、本工程に用いることができる、分散剤を添加した後の平均粒径が10nm以下のセリア−ジルコニア−イットリア複合酸化物の調製方法の典型例について詳細に述べる。なお、本調製方法は必ずしも当該典型例のみに限定されるものではなく、結果として分散剤を添加した後の平均粒径が10nm以下のセリア−ジルコニア−イットリア複合酸化物が得られる調整方法であれば、本典型例と異なる方法を用いてもよい。
まず、原料液としてセリウムイオンを有する溶液、ジルコニウムイオンを有する溶液、イットリウムイオンを有する溶液をそれぞれ用意する。なお、以下「溶液」という場合には、溶媒は特に限定されないが、例えば、水等を溶媒とする水溶液を挙げることができる。
セリウムイオンを有する溶液としては、具体的には、酢酸セリウム溶液、硝酸セリウム溶液、塩化セリウム溶液、シュウ酸セリウム溶液、クエン酸セリウム溶液、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)((NHCe(NO)溶液等が挙げられる。
ジルコニウムイオンを有する溶液としては、具体的には、オキシ酢酸ジルコニウム溶液、オキシ硝酸ジルコニウム溶液、オキシ塩化ジルコニウム溶液、シュウ酸ジルコニウム溶液、クエン酸ジルコニウム溶液等が挙げられる。
イットリウムイオンを有する溶液としては、具体的には、酢酸イットリウム溶液、硝酸イットリウム溶液、塩化イットリウム溶液、シュウ酸イットリウム溶液、クエン酸イットリウム溶液等が挙げられる。
次に、セリウムイオンを有する溶液、ジルコニウムイオンを有する溶液、イットリウムイオンを有する溶液を、分散剤、中和剤及びpH調整剤等と混合・攪拌して、平均粒径が10nm以下のセリア−ジルコニア−イットリア複合酸化物溶液を調製する。なお、混合・攪拌には上述した高速攪拌装置を用いることもできる。
この時使用できる分散剤としては、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルピロリドン等のアミン系の分散剤や、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等の、分子中にカルボン酸基を有する炭化水素系の高分子分散剤、ポバール(ポリビニルアルコール)、或いは、1分子中に、ポリエチレンイミン部分とポリエチレンオキサイド部分とを有する共重合体等の、極性基を有する高分子分散剤等が挙げられる。また、その分子量は、100,000以下であるのが好ましい。
この時使用できる中和剤としては、無機塩溶液、無機酸又は無機塩基であれば特に限定されないが、具体的には、酢酸アンモニウム又はその水溶液、硝酸アンモニウム又はその水溶液、過酸化水素水、アンモニア又はその水溶液、塩化アンモニウム又はその水溶液、水酸化ナトリウム又はその水溶液、水酸化カリウム又はその水溶液、塩酸、シュウ酸、クエン酸等又はこれらの混合溶液が挙げられる。また、この時使用できるpH調整剤としては、無機酸又は無機塩基であれば特に限定されないが、具体的には、酢酸、硝酸等又はこれらの混合溶液が挙げられる。なお、pH調整法としては、中和剤に予めpH調整剤を混合しておくことが好ましい。
このように調製した分散剤を添加したセリア複合酸化物微粒子コロイドの平均粒径が、実際に10nm以下であることは、動的光散乱法による粒度分布測定装置を用いることによって確認できる。
【0025】
本工程に用いることができる、分散剤を添加した後の平均粒径が10nm以下のアルミナ微粒子コロイドの製造方法は、特に限定されないが、例えば、原料液としてアルミニウムイオンを有する溶液を、分散剤、中和剤及びpH調整剤等と混合・攪拌して調製することができる。なお、混合・攪拌には上述した高速攪拌装置を用いることもできる。
この時使用できるアルミニウムイオンを有する溶液としては、硝酸アルミニウム溶液、塩化アルミニウム溶液、酢酸アルミニウム溶液、シュウ酸アルミニウム溶液、クエン酸アルミニウム溶液等が挙げられる。また、この時使用できる分散剤、中和剤、pH調整剤としては、上述したものを用いることができる。なお、pH調整は、中和剤に予めpH調整剤を混合しておくことが好ましい。
このように調製した分散剤を添加したアルミナ微粒子コロイドの平均粒径が、実際に10nm以下であることは、動的光散乱法による粒度分布測定装置を用いることによって確認できる。
【0026】
1−2.2つの異なる微粒子を微小空間で反応させる工程
本発明に係る金属複合酸化物の合成方法の第2の工程は、高速攪拌装置に導入したセリア複合酸化物微粒子及びアルミナ微粒子を、微小空間で反応させる工程である。
ここで、「微小空間」とは、上述した高速攪拌装置内の微小空間を指す。なお、反応時間はおおよそ0.1〜10ミリ秒、反応温度は15〜40℃であることが好ましい。
【0027】
1−3.反応後の微粒子にせん断力を加える工程
本発明に係る金属複合酸化物の合成方法の第3の工程は、上述した反応工程後に得られた金属複合酸化物微粒子コロイドに17000sec−1以上のせん断力を加える工程である。
せん断力を加える方法は、特に限定されないが、具体的には、上述した高速攪拌装置中の高速攪拌機構による攪拌を例示することができる。
【0028】
せん断力を加える工程後において、アルミナ−セリア複合酸化物微粒子を含む溶液のpHの値が、アルミナ−セリア複合酸化物微粒子が10nm以下の平均粒径を維持できるpHの値であることが好ましい。このように最適なpHの値を設定することにより、得られる金属複合酸化物微粒子が、互いに凝集を起こすことなく、シングルナノメートルサイズを維持することができる。
【0029】
より具体的には、せん断力を加える工程後において、アルミナ−セリア複合酸化物微粒子を含む溶液のpHの値が、0.5〜1.5の範囲内であることが好ましい。
仮に当該pHの値を0.5未満とすると、強酸性条件下において主にPEIの凝集が生じるため、平均粒径が10nm以下のアルミナ−セリア複合酸化物微粒子を合成することが難しい。また仮に当該pHの値を1.5を超える値とすると、後述する実施例において示すように、アルミナ−セリア複合酸化物微粒子の安定性が低いため、10nm以下の平均粒径を長時間維持することが難しい。
pH調整方法は特に限定されない。pH調整方法の具体例としては、混合前のアルミナシングルナノ粒子コロイド及び/又はセリア複合酸化物シングルナノ粒子コロイドに、予め上述した中和剤及び/又はpH調整剤を加える方法が挙げられる。
せん断力を加える工程後において、アルミナ−セリア複合酸化物微粒子を含む溶液のpHの値は、0.5〜1.2の範囲内であることが特に好ましく、0.8〜1.2の範囲内であることが最も好ましい。
【0030】
2.金属複合酸化物
本発明の金属複合酸化物は、上述した合成方法により合成されることを特徴とする。
【0031】
上述したように、本発明に係る金属複合酸化物の合成方法によって、シングルナノメートルサイズの金属複合酸化物を得ることができる。このようなシングルナノメートルサイズの金属複合酸化物は、様々な物性を示すことが期待される。特に、後述する実施例において示すように、本発明に係る金属複合酸化物の比表面積は、従来の共沈法、又は従来の攪拌混合法によって得られた複合酸化物の比表面積よりも大きいことが初めて見出された。
なお、10nm以下の平均粒径を長時間保つことができるという観点から、本発明の金属複合酸化物は、pHの値が0.5〜1.5の範囲内であることが好ましい。
【実施例】
【0032】
1.金属複合酸化物の合成
[実施例1]
まず、アルミナシングルナノ粒子の合成を行った。原料液として、硝酸アルミニウム(Al(NO・9HO)(和光純薬工業株式会社製)を出発原料として、当該出発原料の水溶液を調製した。また、中和剤としての硝酸アンモニウム溶液(NHNO)(和光純薬工業株式会社製)に、分散剤としてのポリエチレンイミン(PEI)(和光純薬工業株式会社製)を加えた、中和剤・分散剤混合溶液を調製した。pH調整は、中和剤・分散剤混合溶液に硝酸を加えることにより行った。原料液及び中和剤・分散剤混合溶液を、高速攪拌装置で混合・攪拌することでAl粒子コロイドを得た。動的光散乱法による粒度分布測定装置(ELS−Z:大塚電子株式会社製)により、このコロイド中に、粒径2.3±0.7nmの単分散なシングルナノ粒子が生成していることを確認した。
この高速攪拌装置は、高速攪拌機構、ノズル、溶液供給装置から構成され、高速攪拌機構は高速回転可能なローターとステーターを備えたホモジナイザーであり、ノズルは高速攪拌領域に配置され、原料液及び中和剤・分散剤混合溶液を独立に導入できる機能を有し、溶液供給装置はノズルに接続されている。
【0033】
次に、セリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の合成を行った。原料液として、酢酸セリウム(Ce(CHCO・HO)(キシダ化学株式会社製)、オキシ酢酸ジルコニウム(ZrO(CHCO)(キシダ化学株式会社製)、酢酸イットリウム(Y(CHCO・4HO)(和光純薬工業株式会社製)を出発原料として、当該出発原料の混合水溶液を調製した。また、中和剤としての酢酸アンモニウム溶液(CHCONH)(和光純薬工業株式会社製)に、分散剤としてのポリエチレンイミン(PEI)と過酸化水素水(H)(和光純薬工業株式会社製)を加えた、中和剤・分散剤混合溶液を調製した。pH調整は、中和剤・分散剤混合溶液に酢酸を加えることにより行った。原料液及び中和剤・分散剤混合溶液を、高速攪拌装置で混合・攪拌することでセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子コロイドを得た。動的光散乱法による粒度分布測定装置により、このコロイド中に、粒径2.1±0.6nmの単分散なシングルナノ粒子が生成していることを確認した。
【0034】
続いて、粒子としてアルミナシングルナノ粒子とセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の質量比が1:1となるようにコロイドを必要量用意した後、高速攪拌装置により混合した。アルミナシングルナノ粒子を含む溶液、セリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子を含む溶液の送液速度はそれぞれ2.5mL/分とした。また、攪拌回転数は3200rpmとした。この回転数は、せん断速度に換算して17000sec−1に相当する。混合後のコロイドを400℃まで段階的に昇温することでポリエチレンイミンを分解し、続いて1000℃、5時間の条件で焼成することによって粉末サンプルを得た。
【0035】
[実施例2]
アルミナシングルナノ粒子の合成は、上述した実施例1と同様である。
次に、セリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の合成を行った。原料液として硝酸二アンモニウムセリウム(IV)((NHCe(NO)(和光純薬工業株式会社製)、オキシ硝酸ジルコニウム二水和物(ZrO(NO・2HO)(和光純薬工業株式会社製)、硝酸イットリウム六水和物(Y(NO・6HO)(関東化学株式会社製)を出発原料として、当該出発原料の混合水溶液を調製した。また、中和剤としての硝酸アンモニウム溶液に分散剤としてのポリエチレンイミン(PEI)を加えた、中和剤・分散剤混合溶液を調製した。pH調整は、中和剤・分散剤混合溶液に硝酸を加えることにより行った。原料液及び中和剤・分散剤混合溶液を、高速攪拌装置で混合・攪拌することでセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子コロイドを得た。このセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子コロイドがシングルナノメートルサイズであることは、動的光散乱法による粒度分布測定装置により確認した。
さらに、粒子としてアルミナシングルナノ粒子とセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の質量比が1:1となるようにコロイドを必要量用意し、且つ、混合後のコロイド溶液のpHが1.5となるようにpH調整した後、実施例1と同様の方法で混合・攪拌した。その後、実施例1と同様の方法で焼成し、粉末サンプルを得た。
【0036】
[実施例3]
アルミナシングルナノ粒子の合成は、上述した実施例1と同様である。
セリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の合成は、上述した実施例2と同様である。
粒子としてアルミナシングルナノ粒子とセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の質量比が1:1となるようにコロイドを必要量用意し、且つ、混合後のコロイド溶液のpHが1.2となるように、予めアルミナシングルナノ粒子コロイドに硝酸を加えてpH調整した後、実施例1と同様の方法で混合・攪拌した。その後、実施例1と同様の方法で焼成し、粉末サンプルを得た。
【0037】
[実施例4]
アルミナシングルナノ粒子の合成は、上述した実施例1と同様である。
セリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の合成は、上述した実施例2と同様である。
粒子としてアルミナシングルナノ粒子とセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の質量比が1:1となるようにコロイドを必要量用意し、且つ、混合後のコロイド溶液のpHが1.0となるように、予めアルミナシングルナノ粒子コロイドに硝酸を加えてpH調整した後、実施例1と同様の方法で混合・攪拌した。その後、実施例1と同様の方法で焼成し、粉末サンプルを得た。
【0038】
[実施例5]
アルミナシングルナノ粒子の合成は、上述した実施例1と同様である。
セリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の合成は、上述した実施例2と同様である。
粒子としてアルミナシングルナノ粒子とセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の質量比が1:1となるようにコロイドを必要量用意し、且つ、混合後のコロイド溶液のpHが0.8となるように、予めアルミナシングルナノ粒子コロイドに硝酸を加えてpH調整した後、実施例1と同様の方法で混合・攪拌した。その後、実施例1と同様の方法で焼成し、粉末サンプルを得た。
【0039】
[実施例6]
アルミナシングルナノ粒子の合成は、上述した実施例1と同様である。
セリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の合成は、上述した実施例2と同様である。
粒子としてアルミナシングルナノ粒子とセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の質量比が1:1となるようにコロイドを必要量用意し、且つ、混合後のコロイド溶液のpHが0.5となるように、予めアルミナシングルナノ粒子コロイドに硝酸を加えてpH調整した後、実施例1と同様の方法で混合・攪拌した。その後、実施例1と同様の方法で焼成し、粉末サンプルを得た。
【0040】
[比較例1]
従来の共沈法に従い、金属複合酸化物を合成した。原料液として、硝酸アルミニウム、硝酸セリウム、オキシ硝酸ジルコニウム、硝酸イットリウムを混合した混合溶液を調製した。
アンモニア水を中和剤とし、上記原料液に中和剤を添加混合して、複合沈殿粒子を生成した。動的光散乱法による粒度分布測定装置により確認したところ、この沈殿粒子の粒径は、0.1〜10μmの範囲で幅広く分布していた。これを遠心分離器にかけて上澄み液を除去した。この上澄み液を除去した沈殿脱水物にさらにイオン交換水を加えて攪拌し、再び遠心分離器にかけて上澄み液を除去するといった、水洗・脱水操作を数回繰り返した。この沈殿脱水物を乾燥させた後、1000℃、5時間の条件で焼成することによって粉末サンプルを得た。
【0041】
[比較例2]
アルミナシングルナノ粒子の合成、及び、セリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の合成は、上述した実施例1と同様である。
これら2種のコロイドを独立に溶液供給装置を用いてビーカー中に導入した。ビーカー内に入ったコロイドを、スターラーによって混合し、コロイド溶液導入終了後も5時間攪拌し続けた。このとき、スターラーの回転速度は2000rpmとした。攪拌終了後のコロイド溶液を400℃まで段階的に昇温することでポリエチレンイミンを分解し、続いて1000℃、5時間の条件で焼成することによって粉末サンプルを得た。
【0042】
[比較例3]
アルミナシングルナノ粒子の合成は、上述した実施例1と同様である。
セリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の合成は、上述した実施例2と同様である。
粒子としてアルミナシングルナノ粒子とセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の質量比が1:1となるようにコロイドを必要量用意し、且つ、混合後のコロイド溶液のpHが3.5となるように、予めアルミナシングルナノ粒子コロイドに硝酸を加えてpH調整した後、実施例1と同様の方法で混合・攪拌した。その後、実施例1と同様の方法で焼成し、粉末サンプルを得た。
【0043】
[比較例4]
アルミナシングルナノ粒子の合成は、上述した実施例1と同様である。
セリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の合成は、上述した実施例2と同様である。
粒子としてアルミナシングルナノ粒子とセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の質量比が1:1となるようにコロイドを必要量用意し、且つ、混合後のコロイド溶液のpHが3.0となるように、予めアルミナシングルナノ粒子コロイドに硝酸を加えてpH調整した後、実施例1と同様の方法で混合・攪拌した。その後、実施例1と同様の方法で焼成し、粉末サンプルを得た。
【0044】
[比較例5]
アルミナシングルナノ粒子の合成は、上述した実施例1と同様である。
セリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の合成は、上述した実施例2と同様である。
粒子としてアルミナシングルナノ粒子とセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の質量比が1:1となるようにコロイドを必要量用意し、且つ、混合後のコロイド溶液のpHが2.0となるように、予めアルミナシングルナノ粒子コロイドに硝酸を加えてpH調整した後、実施例1と同様の方法で混合・攪拌した。その後、実施例1と同様の方法で焼成し、粉末サンプルを得た。
【0045】
[比較例6]
アルミナシングルナノ粒子の合成は、上述した実施例1と同様である。
セリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の合成は、上述した実施例2と同様である。
粒子としてアルミナシングルナノ粒子とセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の質量比が1:1となるようにコロイドを必要量用意し、且つ、混合後のコロイド溶液のpHが1.8となるように、予めアルミナシングルナノ粒子コロイドに硝酸を加えてpH調整した後、実施例1と同様の方法で混合・攪拌した。その後、実施例1と同様の方法で焼成し、粉末サンプルを得た。
【0046】
[比較例7]
アルミナシングルナノ粒子の合成は、上述した実施例1と同様である。
セリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の合成は、上述した実施例2と同様である。
粒子としてアルミナシングルナノ粒子とセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の質量比が1:1となるようにコロイドを必要量用意し、且つ、混合後のコロイド溶液のpHが1.6となるように、予めアルミナシングルナノ粒子コロイドに硝酸を加えてpH調整した後、実施例1と同様の方法で混合・攪拌した。その後、実施例1と同様の方法で焼成し、粉末サンプルを得た。
【0047】
[比較例8]
アルミナシングルナノ粒子の合成は、上述した実施例1と同様である。
セリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の合成は、上述した実施例2と同様である。
粒子としてアルミナシングルナノ粒子とセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の質量比が1:1となるようにコロイドを必要量用意し、且つ、混合後のコロイド溶液のpHが0.3となるように、予めアルミナシングルナノ粒子コロイドに硝酸を加えてpH調整した後、実施例1と同様の方法で混合・攪拌した。その後、実施例1と同様の方法で焼成し、粉末サンプルを得た。
【0048】
2.金属複合酸化物微粒子の比表面積比較
実施例1、比較例1及び比較例2の金属複合酸化物微粒子について、窒素吸着法による細孔分布測定を行い、比表面積を算出した。表1は、これらの金属複合酸化物微粒子の比表面積をまとめた表である。
【0049】
【表1】

【0050】
表1から分かるように、従来の共沈法に従い合成した金属複合酸化物微粒子(比較例1)の比表面積が66.1m/g、従来のスターラー混合法に従い合成した金属複合酸化物微粒子(比較例2)の比表面積が101m/gであったのに対し、本発明の合成方法により得られた金属複合酸化物微粒子(実施例1)の比表面積は141m/gであった。この結果から、本発明に係る金属複合酸化物微粒子は、従来の金属複合酸化物微粒子より大きな比表面積を持つ新規材料であることが分かった。
【0051】
3.金属複合酸化物微粒子コロイドの粒度分布測定
実施例1、及び、比較例2乃至比較例4の金属複合酸化物微粒子コロイドについて、粒度分布測定を行った。粒度分布測定は、動的光散乱法による粒度分布測定装置により行った。
図1は、実施例1と比較例2の金属複合酸化物微粒子コロイドの粒度分布を示したグラフである。この図から分かるように、従来法であるスターラー混合法で作製した金属複合酸化物微粒子コロイド(比較例2)の平均粒径は20nm程度であったのに対し、本発明に係る合成方法により得られた金属複合酸化物微粒子コロイド(実施例1)の平均粒径は1〜2nmであった。この結果より、本発明に係る合成方法は、従来法では不可能であった2種類以上のシングルナノメートルサイズの粒子を反応させて、シングルナノメートルサイズの新しい微粒子を合成できることが明らかとなった。
【0052】
図4は、比較例3と比較例4の金属複合酸化物微粒子コロイドの粒度分布を示したグラフである。この図から分かるように、混合・攪拌後のpHが3.5である金属複合酸化物微粒子コロイド(比較例3)の平均粒径が10nm程度であったのに対し、混合・攪拌後のpHが3.0である金属複合酸化物微粒子コロイド(比較例4)の平均粒径は1.8nmであった。
この結果は、原料であるアルミナシングルナノ粒子、及び、セリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の各微粒子の凝集し易さが、pHによって異なることに基づくものと考えられる。図3は、縦軸に粒径値、横軸にpHをとったグラフであり、実線がセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の粒径を、破線がアルミナシングルナノ粒子の粒径をそれぞれ示したグラフである。これらのグラフから分かるように、アルミナシングルナノ粒子の粒径はpHによってそれほど変動はないものの、セリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子の粒径は、特にpHが3を超える範囲で急激に増加した。
【0053】
4.金属複合酸化物微粒子の粒径変化
実施例2乃至実施例6、及び、比較例4乃至比較例8の金属複合酸化物微粒子について、粒径の経時変化を調べた。粒径測定は、動的光散乱法による粒度分布測定装置により行った。
図5は、混合・攪拌後のpHが3.0である金属複合酸化物微粒子コロイド(比較例4)の粒度分布を示したグラフである。図6は、混合・攪拌後のpHが2.0である金属複合酸化物微粒子コロイド(比較例5)の粒度分布を示したグラフである。両グラフ中、黒菱形のプロットは混合直後の粒度分布を、白四角のプロットは混合した後1日経過後の粒度分布を、それぞれ示す。
図から分かるように、比較例4及び比較例5の金属複合酸化物微粒子コロイドは、いずれも、混合直後には10nm以下の平均粒径を保っていた。しかし、いずれの金属複合酸化物微粒子コロイドも、混合した後1日経過後には凝集が起こり、平均粒径は40nm以上となった。
【0054】
図2は、混合・攪拌後のpHが1.0である金属複合酸化物微粒子コロイド(実施例4)の粒度分布を示したグラフである。グラフ中、黒菱形のプロットは混合直後の粒度分布を、白四角のプロットは混合した後1日経過後の粒度分布を、白三角のプロットは混合した後7日経過後の粒度分布を、それぞれ示す。
図から分かるように、実施例4の金属複合酸化物微粒子コロイドは、比較例4及び比較例5の金属複合酸化物微粒子コロイドとは異なり、混合直後のみならず、混合した後7日経過後においても、10nm以下の平均粒径を保っていた。
【0055】
表2は、実施例2乃至実施例6、及び、比較例5乃至比較例8の金属複合酸化物微粒子について、混合・攪拌後のpH、混合直後の平均粒径及び混合した後7日経過後の平均粒径、並びに判定結果をまとめた表である。なお判定基準としては、平均粒径が10nm以下である場合は○、平均粒径が10nmを超える場合は×とした。
【0056】
【表2】

【0057】
表2から分かるように、混合・攪拌後のpHが2.0〜1.6である金属複合酸化物微粒子コロイド(比較例5乃至比較例7)は、混合直後は3nm未満の平均粒径を保っていたが、混合した後7日経過後の平均粒径が10nmを超えた。これは、混合・攪拌後のpHが1.6以上においては、金属複合酸化物微粒子コロイドの安定性が低いことを示唆している。
また、混合・攪拌後のpHが0.3である金属複合酸化物微粒子コロイド(比較例8)は、混合直後の平均粒径が200nmを超えた。比較例8のコロイドは、白色沈殿の形成が目視で確認された。このような白色沈殿は、pHが0.3以下となるようにアルミナシングルナノ粒子を合成した場合、及び、pHが0.3以下となるようにセリア−ジルコニア−イットリア複合シングルナノ粒子を合成した場合のいずれにおいても確認された。したがって、pHが0.3以下の条件においては、PEIの凝集が生じ、その結果平均粒径が増大すると示唆される。
【0058】
一方、表2から分かるように、混合・攪拌後のpHが1.5〜0.5である金属複合酸化物微粒子コロイド(実施例2乃至実施例6)は、混合直後、及び、混合した後7日経過後のいずれにおいても、3nm未満の平均粒径を保っていた。したがって、本発明の金属複合酸化物微粒子コロイドは、混合・攪拌後のpHが0.5〜1.5となるようにpH調整を行うことによって、10nm未満の平均粒径を維持できることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散剤を添加した後の平均粒径が10nm以下のセリア複合酸化物微粒子コロイドと、分散剤を添加した後の平均粒径が10nm以下のアルミナ微粒子コロイドとを別々に高速攪拌装置に導入する工程と、
前記高速攪拌装置に導入した前記セリア複合酸化物微粒子及び前記アルミナ微粒子を、微小空間で反応させ、アルミナ−セリア複合酸化物微粒子を合成する工程と、
前記アルミナ−セリア複合酸化物微粒子に17000sec−1以上のせん断力を加える工程と、を有することを特徴とする、金属複合酸化物の合成方法。
【請求項2】
前記せん断力を加える工程後において、前記アルミナ−セリア複合酸化物微粒子を含む溶液のpHの値が、前記アルミナ−セリア複合酸化物微粒子が10nm以下の平均粒径を維持できるpHの値である、請求項1に記載の金属複合酸化物の合成方法。
【請求項3】
前記pHの値が0.5〜1.5の範囲内である、請求項2に記載の金属複合酸化物の合成方法。
【請求項4】
前記請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属複合酸化物の合成方法により合成されることを特徴とする、金属複合酸化物。
【請求項5】
pHの値が0.5〜1.5の範囲内である、請求項4に記載の金属複合酸化物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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