説明

金属触媒、及び光学活性α−アミノ酸誘導体の製造方法

【課題】光学活性α−アミノ酸誘導体の製造に際して、外部添加の塩基を必要としない技術を提供する。
【解決手段】M(OR(但し、Mはアルカリ土類金属元素、Rはアルキル基)と該M(ORのMに結合をする配位子とを持ち、前記配位子を構成する化合物がビアリール骨格またはビスオキサゾリン骨格を持つ化合物である金属触媒を用いる。該触媒を用いる事により、グリシン誘導体の触媒的不斉Michael反応や環化反応が可能になり、光学活性α−アミノ酸誘導体が効率良く得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学活性α−アミノ酸誘導体に関する。特に、光学活性α−アミノ酸誘導体の製造技術に関する。例えば、キラルカルシウム触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、グリシンエステル誘導体とα,β−不飽和カルボニル化合物とを用いる触媒的不斉1,4−付加反応が注目を集めている。触媒的不斉反応においては、光学活性なグルタミン酸誘導体が得られる上、光学活性配位子の適切な選択により天然からの供給が困難な光学異性体の高効率的合成が可能な為である。
【0003】
グリシンエステル誘導体に関しては、1903年にSorensenがDL−α−アミノ酸合成に次のような化合物を用いた(Figure3-1-1)ことから始まり、幾つかのSchiff塩基誘導体が合成されて来た。但し、その多くは不安定な化合物であり、その上エノール化にLDA等の強塩基を必要とした為、この時点では、余り、注目を浴びなかった。しかしながら、1978年にO’Donnellらは、不安定なアルデヒド由来のイミンでは無く、より安定なベンゾフェノン由来のグリシンSchiff塩基を合成し、水溶液中でも安定であるグリシンSchiff塩基化合物の特性を活かした相間移動触媒を用いる二相系反応を開発 (Scheme3-1-7) している。この研究が発表されて以来、この安定なベンゾフェノン由来のグリシンエステル誘導体が、多くの研究者によって、不斉アルキル化を始めとした様々な反応に用いられている。


【0004】
又、近年、多くの光学活性な相間移動触媒が開発され、触媒的不斉アルキル化反応等へと展開されて来た。アルキル化反応においては、グリシンを用いて他のアミノ酸エステル誘導体をD,L体に拘らず、両方とも作り分けられることが特徴となっており、様々な反応系が構築されて来た。又、一方で、触媒的不斉1,4−付加反応での触媒系は以下のものが既に開発されている。
【0005】
Coreyらは、シンコニジン由来の触媒を用いて、グリシンエステル誘導体の触媒的不斉アルキル化反応を1997年に発表しており、その翌年1998年に触媒的不斉1,4−付加反応を報告(Scheme3-1-8)している。反応例は少ないものの、高いエナンチオ選択性が発現している。

【0006】
又、その後、Ishikawa等やO’Donnell等が、2001年に、立て続けに、同様の触媒的不斉1,4−付加反応を報告している。特に、Ishikawa等の報告では、グアニジン部位を有する触媒を用いており、基質は過剰に用いなければならないものの、触媒量の塩基で反応が進行する。反応時間は半日から一週間位と長時間が必要であるが、興味深い報告である。又、一方で、Shibasaki等は、二つのカチオン性四級アンモニウム部位を有する酒石酸由来の新規触媒を用いて反応を行っており、比較的良好な結果を報告(Scheme3-1-9)している。

【0007】
又、Arai等は、独自のカチオン性四級アンモニウム触媒を用いて、不斉反応を報告している。2002年には、一例のみの報告であったが、触媒量の塩基のみで反応が進行し、中程度のエナンチオ選択性で反応が進行している。その後、2006年に、グリシン以外の他のα−アミノ酸エステル誘導体を用いる触媒的不斉1,4−付加反応を報告している。比較的多くの基質を用いて検討を行っているが、その殆どが低い選択性に留まってしまっている。一方で、Akiyama等は、2003年に、クラウンエーテルとアルカリ金属から調製される触媒を用いて不斉反応を行っており、6例の報告で比較的高いエナンチオ選択性が発現しており、用いる基質も1.5当量程度と報告している。又、2005年にはLygo等が独自の四級アンモニウム相間移動触媒を用いて反応を行っており、5例の報告ではあるものの、高収率・高選択性を実現 (Scheme3-1-10) している。

【0008】
そして、上記例が先行研究例であり、これ等の反応の問題点は反応で過剰量の基質を用いなければならないこと、又、過剰量の塩基が必要なことである。
【0009】
又、アゾメチンイリドとアルケンとの反応は、ピロリジン化合物の最も効率的な合成法の一つである(下記Scheme4-1-2)。

【0010】
この合成法は、反応経路、選択性やLewis酸金属の影響を理解する為に、広く研究がなされた。その中でも、Kanemasaらは、N−アルキリデングリシン誘導体のリチウムエノラートとα,β−不飽和エステルとの反応研究において、MNDOやPM3を用いた計算化学的な手法にて、反応が段階的に進行し得ることを1994年に報告 (Figure4-1-4) している。

【0011】
ここでは、始めに、アンチ選択的な1,4−付加反応が遷移状態Bを経由してCになる。ここから、遷移状態Dを経由して分子内Mannich型反応が進行し、ピロリジン化合物Eを与える。エネルギーBとDとの大きさは、置換基Rの立体的な大きさが効いており、置換基Rによって遷移状態エネルギーが異なるとされている。
【0012】
反応開発の分野では、ジアステレオ選択的な反応が1985年Padwa等によって報告(Schemes4-1-3)されて以来、幾つかのジアステレオ選択的な反応開発がなされ、光学活性化合物を合成する手法が提案(Scheme4-1-4)されて来た。

【0013】
又、Husson等のように、1,3−双極子の方に不斉点を有する基質を用いて、ジアステレオ選択的な反応を行う例や、Griggらのようにアルケン部位に不斉補助基を導入して反応を行う例などがあり、様々な不斉補助基が用いられるようになった。
【0014】
不斉反応に関しては、Griggらのコバルトと光学活性エフェドリン由来の配位子を用いる反応が始めての例
(Scheme4-1-5) である。

【0015】
このGrigg等の例は等量反応であり、光学活性配位子が金属に対して二当量必要であり、又、高いエナンチオ選択性の発現にはα,β−不飽和エステルが溶媒量必要である等の幾つかの問題点が有るものの、極めて高いエナンチオ選択性を実現しており、エナンチオ選択的な反応が可能であることを示した功績は大きい。同時に、Griggらは、マンガン塩や酢酸銀も使用できることを報告している。特に、酢酸銀の場合には、二座ホスフィン配位子を用いることで、70%Eeのエナンチオ選択性が発現することを報告している。但し、用いた当量や反応条件についての開示は無い。
【0016】
一方で、触媒的不斉反応に関しては、2002年のZhangらの酢酸銀と光学活性二座ホスフィン配位子を用いた報告 (Scheme4-1-6)
が最初の例である。

【0017】
この報告では、様々な芳香族アルデヒド及び脂肪族アルデヒド由来のアゾメチン化合物が使用可能であり、中程度から高い収率、かつ、エナンチオ選択性で目的物が得られることが言われている。又、幾つかのα,β−不飽和エステルを用いることが出来、幅広い基質一般性を有する反応となっているが、触媒量ではあるものの外部添加のアミンが必要である。この報告を皮切りに、幾つかの研究グループによって触媒的不斉反応が報告 (Schemes4−1−7,4−1−8)されている。


【0018】
Jogensen等は、2002年に、亜鉛トリフラートと中性型tert-uBox配位子を用いるアゾメチン化合物の触媒的不斉[3+2]付加環化反応を報告している。この反応においては、外部添加のトリエチルアミンが必須である。又、Schreiberらは、2003年に、酢酸銀とQUINAPを用いる触媒的不斉反応を報告しており、グリシンエステル誘導体だけではなく、他のα−アミノ酸エステル誘導体もエナンチオ選択性は中程度ではあるものの、使用できると報告している。又、Komatsu等は、銅トリフラート(II)とBINAP又はSEGPHOSを光学活性配位子として用いる反応系において、高いexo選択性で反応が進行することを報告している。又、Jogensen等は、2005年には、フッ化銀とシンコニン由来の不斉塩基触媒を用いる反応系を報告しているが、エナンチオ選択性は中程度に留まっている。更に、2005年には、ZhangやCarretero等が、続けて、過塩素酸銅(I)−フェロセン型光学活性配位子を用いる反応系を報告しており、広い基質一般性を有することが示されている。これらの反応系においては、高収率、かつ、高立体選択性を実現しているものの、外部添加のアミンが必須であり、原子効率の観点からは必ずしも満足できる反応系では無い。
【0019】
このような中で、外部添加のアミンが不必要な反応系が、近年、一つ報告 (Scheme4-1-9) された。

【0020】
彼等は、銀トリフラートを触媒として用いた時には、エナンチオ選択性が高いものの、反応の進行が遅く、その時、外部添加のアミンが反応加速効果をもたらすことを見出した。又、酢酸銀を用いた場合には、エナンチオ選択性は若干低下するものの、外部添加のアミンが必要なく、反応が円滑に進行することを見出している。加えて、光学活性配位子として、電子吸引性基を有する配位子を用いることによって、収率およびエナンチオ選択性が向上することを見出し、用いる金属の微妙なLewis酸性度が反応に大きな影響を与えることを報告している。又、最近、光学活性配位子の絶対立体配置はそのままで、水素結合できる部位(−NH)を導入した配位子に関して、得られる生成物の絶対立体配置が逆転すると言う興味深い結果も報告 (Scheme4-1-10) している。

【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Review;O’Donnell,M. J. Acc. Chem. Res. 2004, 37, 506.
【非特許文献2】O’Donnell,M. J.; Boniece, J. M.; Earp, S. E. Tetrahedron Lett. 1978, 30, 2641.
【非特許文献3】O’Donnell,M. J.; Eckrich, T. M. Tetrahedron Lett. 1978, 30, 4625.
【非特許文献4】Lygo,B.; Andrews, B. I. Acc. Chem. Res. 2004, 37, 518.
【非特許文献5】Corey,E. J.; Noe, M. C.; Xu, F. Tetrahedron Lett. 1998, 39, 5347.
【非特許文献6】Zhang,F.-Y., Corey, E. J. Org. Lett. 2000, 2, 1097.
【非特許文献7】Ishikawa,T.; Araki, Y.; Kumamoto, T.; Seki, H.; Fukuda, K.; Isobe, T. Chem. Commun.2001, 245.
【非特許文献8】O’Donnell,M. J.; Delgado, F. Tetrahedron 2001, 57, 6641.
【非特許文献9】Shibuguchi, T.; Fukuta, Y.; Akachi, Y.; Sekine, A.; Ohshima, T.;Shibasaki, M. Tetrahedron Lett. 2002, 43, 9539.
【非特許文献10】Ohshima, T.; Shibuguchi, T.; Fukuta, Y.; Shibasaki, M. Tetrahedron2004, 60, 7743.
【非特許文献11】Arai,S.; Tsuji, R.; Nishida, A. Tetrahedron Lett. 2002, 43, 9535.
【非特許文献12】Arai, S.; Takahashi, F.; Tsuji, R.; Nishida, A. Heterocycles 2006,67, 495.
【非特許文献13】Akiyama, T.; Hara, M.; Fuchibe, K.; Sakamoto, S.; Yamaguchi, K.Chem. Commun. 2003, 1734.
【非特許文献14】Lygo, B.; Allbutt, B.; Kirton, E. H. M. Tetrahedron Lett. 2005, 46,4461.
【非特許文献15】Kumarasamy, G.; Sastry, M. N. V.; Jena, N. Tetrahedron Lett. 2001,42, 8515.
【非特許文献16】Kumaraswamy, G.; Jena, N.; Sastry, M. N. V.; Padmaja, M.;Markondaiah, B. Adv. Synth. Catal. 2005, 347, 867.
【非特許文献17】Kumaraswamy,G.; Jena, N.; Sastry, M. N. V.; Ramakrishna, G. ARKIVOC 2005, 53.
【非特許文献18】Thischiral ligand was synthesized according to the related procedure.Maruoka, K.; Itoh, T.;Araki, Y.; Shirasaka, T.; Yamamoto, H. Bull. Chem. Soc. Jpn. 1988, 61, 2975.
【非特許文献19】Nakamura,M.; Arai, M.; Nakamura, E. J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 1179.
【非特許文献20】Nakamura,M.; Hirai, A.; Nakamura, E. J. Am. Chem. Soc. 1996, 118, 8489.
【非特許文献21】Nakamura,M.; Hara, K.; Hatakeyama, T.; Nakamura, E. Org. Lett. 2001, 3, 3137.
【非特許文献22】Schulze,V.; Hoffmann, R. W. Chem. Eur. J. 1999, 5, 337.
【非特許文献23】Hoffmann,R. W.; Nell, P. G. Angew. Chem., Int. Ed. 1999, 38, 338.
【非特許文献24】Schulze,V.; Nell, P. G.; Burton, A.; Hoffmann, R. W. J. Org. Chem. 2003, 68, 4546.
【非特許文献25】Lowenthal,R. E.; Abiko, A.; Masamune, S. Tetrahedron Lett. 1990, 31, 6005.
【非特許文献26】Corey,E. J.; Wang, Z. Tetrahedron Lett. 1993, 34, 4001.
【非特許文献27】Ward, D.E.; Sales, M.; Hrapchak, M. J. Can. J. Chem. 2001, 79, 1775.
【非特許文献28】Hong,S.; Tian, S.; Metz, M.; Marks, T. J. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 14768.
【非特許文献29】Hong,S.; Kawaoka, A. M.; Marks, T. J. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 15878.
【非特許文献30】Hall,J.; Lehn, J.-M.; DeCian, A.; Fischer, J. Helv. Chem. Acta 1991, 74, 1.
【非特許文献31】Brown,J. M.; Guiry, P. J.; Price, D. W.; Hursthouse, M. B.; Karalulov, S.Tetrahedron: Asymmetry 1994, 5, 561.
【非特許文献32】Gorlitzer,H. W.; Spiegler, M.; Anwander, R. J. Chem. Soc., Dalton Trans. 1999, 4287
【非特許文献33】Cabrera, S.; Arrayas, R.G.; Carretero, J. C. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 16394.
【非特許文献34】Gao, W.; Zhang, X.;Raghunath, M. Org. Lett. 2005, 7, 4241.
【非特許文献35】Oderaotoshi, Y.; Cheng,W.; Fujitomi, S.; Kasano, Y.; Minakata, S.; Komatsu, M. Org. Lett. 2003, 5,5043.
【非特許文献36】Chen, C.; Li, X.;Schreiber, S. L. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 10174.
【非特許文献37】Longmire, J. M.; Wang, B.;Zhang, X. J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 13400.
【非特許文献38】Akiyama, T.; Hara, M.;Fuchibe, K.; Sakamoto, S.; Yamaguchi, K. Chem. Comm. 2003, 1734.
【非特許文献39】Ishikawa, T.;Araki. Y.; Kumamoto, T.; Seki, H.; Fukuda, K.; Isobe, T. Chem. Comm. 2001, 245.
【非特許文献40】Lown, J. W. In1,3-Dipolar Cycloaddition Chemistry; Padwa, A. Ed.; Wiley: Yew York, 1984; Vol. 1, p 653.
【非特許文献41】Annunsiata, R.;Benaglia, M.; Cinquini, M.; Raimondi, L. Tetrahedron 1993, 49, 8629.
【非特許文献42】Rispens, M. T.;Keller, E.; De Lange, B.; Zijlstra, R. W. J.; Feringa, B. L. Tetrahedron:Asymmetry 1994, 5, 607.
【非特許文献43】Gothelf, K. V.; Jorgensen,K. A. Chem. Rev. 1998, 98, 863.
【非特許文献44】Coldham, I.; Hofton, R.Chem. Rev. 2005, 105, 2765.
【非特許文献45】Pandey, G.; Banerjee, P.;Gadre, S. R. Chem. Rev. 2006, 106, 4484.
【非特許文献46】Tatsukawa, A.; Kawatake,K.; Kanemasa, S.; Rudzinski, J. M. J. Chem. Soc., Perkin Trans. 2 1994, 2525.
【非特許文献47】Padwa, A.; Chen, Y.-Y.;Chiacchio, U.; Dent, W. Tetrahedron 1985, 41, 3529.
【非特許文献48】Deprez, P.; Rouden, J.;Chiaroni, A.; Riche, C.; Royer, J.; Husson, H.-P. Tetrahedron Lett. 1991,32, 7531.
【非特許文献49】Deprez, P.; Royer, J.;Husson, H.-P. Tetrahedron:Asymmetry 1991, 2, 1189.
【非特許文献50】Roudon, J.; Royyer, J.;Husson, H.-P. TetrahedronLett. 1989, 30, 5133.
【非特許文献51】Grigg, R. Tetrahedron:Asymmetry 1995, 6, 2475.
【非特許文献52】Cooper, D. M.; Grigg, R.;Hargreaves, S.; Kennewell, P.; Redpath, J. Tetrahedron 1995, 51, 7791.
【非特許文献53】Barr, D. A.; Dorrity, M.J.; Grigg, R.; Hargreaves, S.; Malone, J. F.; Montgomery, J.; Redpath, J.;Stevenson, P.; Thornton-Pett, M. Tetrahedron 1995, 51, 273.
【非特許文献54】Coulter, T.; Grigg, R.;Malone, J. F.; Sridharan, V. Tetrahedron Lett. 1991, 32, 5417.
【非特許文献55】Barr, D. A.; Dorrity, M.J.; Grigg, R.; Malone, J. F.; Montgomery, J.; Rajviroongit, S.; Stevenson, P.Tetrahedron Lett. 1990, 31, 6569.
【非特許文献56】Grigg, R.; Sridharan, V.;Suganthan, S.; Bridge, A. W. Tetrahedron 1995, 51, 295.
【非特許文献57】Grigg, R.; Rankovic, Z.;Thornton-Pett, M.;Somasunderam, A. Tetrahedron 1993, 49, 8679.
【非特許文献58】Barr, D. A.; Donegan, G.;Grigg, R. J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1 1989, 1550.
【非特許文献59】Barr, D. A.;Grigg, R.; Gunaratne, H. Q. N.; Kemp, J.; MvMeekin, P.; Sridharan, V.Tetrahedron 1988, 44, 557.
【非特許文献60】Allway, P.; Grigg, R.Tetrahedron Lett. 1991, 32, 5817.
【非特許文献61】Longmire, J. M.; Wang, B.;Zhang, X. J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 13400.
【非特許文献62】Gothelf, A. S.; Gothelf,K. V.; Hazell, R. G.; Jorgensen, K. A. Angew. Chem., Int. Ed. 2002, 41, 4236.
【非特許文献63】Chen, C.; Li, X.; Schreiber,S. L. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 10174.
【非特許文献64】Oderaotoshi, Y.; Cheng,W.; Fujitomi, S.; Kasano, Y.; Minakata, S.; Komatsu, M. Org. Lett. 2003, 5,5043.
【非特許文献65】Alemparte, C.; Blay, G.; Jorgensen,K. A. Org. Lett. 2005, 7, 4569.
【非特許文献66】Gao, W.; Zhang, X.; Raghunath,M. Org. Lett. 2005, 7, 4241.
【非特許文献67】Cabrera, S.; Arrayas, R.G.; Carretero, J. C. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 16394.
【非特許文献68】Husinec, S.; Savic, V.Tetrahedron: Asymmetry 2005, 16, 2047.
【非特許文献69】Najera, C.; Sansano, J. M.Angew. Chem., Int. Ed. 2005, 44, 6272.
【非特許文献70】Zeng, W.; Zhou,Y.-G. Org. Lett. 2005, 7, 5055.
【非特許文献71】Zeng, W.; Chen, G.-Y.; Zhou, Y.-G.; Li, Y.-X. J. Am. Chem.Soc. 2007, 129, 750.
【非特許文献72】Saito, S.; Tsubogo, T.; Kobayashi, S. J. Am. Chem.Soc. 2007, 129, 5364.
【非特許文献73】Kim, T.-S.; Lee, Y. -J.; Jeong, B. -S.; Park, H. -g.; Jew, S. -s. J.Org. Chem. 2006, 71, 8276.
【非特許文献74】Jew, S. -s.; Lee, Y. -J.; Lee, J.; Kang, M. J.; Jeong, B. -S.; Lee,J. -H.; Yoo, M. -S.; Kim. M. -J.; Choi, S. -h.; Ku, J. -M.; Park, H. -g. Angew.Chem. Int. Ed. 2004, 43, 2382.
【非特許文献75】Lee, Y.-J.; Lee, J.; Kim, M. -J.; Kim, T. -S.; Park, H. -g.;Jew, S. -s. Org. Lett. 2005, 7, 1557.
【非特許文献76】Lee, Y. -J.; Lee, J.; Kim, M. -J.; Jeong,B. -S.; Lee, J. -H.; Kim, T. -S.; Lee, J.; Ku, J. -M.; Jew, S. -s.; Park, H. -g.Org. Lett. 2005, 7, 3207.
【非特許文献77】Gotthelf, A. S.; Gothelf, K. V.; Hazell, R.G.; Jorgensen, K. A. Angew. Chem. Int. Ed. 2002, 41, 4236.
【非特許文献78】Chen, C.; Li, X.; Schreiber, S. L. J. Am.Chem. Soc. 2003, 125, 10174.
【非特許文献79】Oderaotoshi, Y.; Cheng, W.; Fujitomi, S.;Kasano, Y.; Minakata, S.; Komatsu, M. Org. Lett. 2003, 5, 5043.
【非特許文献80】Gao, W.; Zhang, X.; Raghunsth, M. Org.Lett. 2005, 7, 4241.
【非特許文献81】Cabrera, S.; Arrayas, R. G.; Carretero, J.C. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 16394.
【非特許文献82】Najera, C.; Gracia, Retamosa, M. de .G.;Sansano, J. M. Org. Lett. 2007, 9, 4025.
【非特許文献83】Zeng, W.; Zhou, Y.-G. Org. Lett. 2005, 7,5055.
【非特許文献84】Dogan, O.; Koyuncu, H.; Garner, P.; Bulut,A.; Youngs, W. J.; Panzner, M. Org. Lett. 2006, 8, 4687.
【非特許文献85】Cabrera, S.; Gomez, R.; Martin-Matute,B.; Cossio, F. P.; Carretero, J. C. Tetrahedron, 2007, 63, 6587.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
さて、上述した通り、これまでに提案の技術では、外部添加の塩基が必要であり、基質一般性が必ずしも満足できない問題点が残されている。
従って、本発明が解決しようとする課題は、光学活性α−アミノ酸誘導体の製造に際して、外部添加の塩基を必要とせず、又、高いエナンチオ選択性を与える技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
ところで、本発明者は、アルカリ土類金属アルコキシドが光学活性配位子のメチレン架橋部位の活性プロトンを引き抜けるのなら、金属と配位子とが共有結合半径程度で結合し、二つの窒素原子と二座で結合する強固な光学活性金属錯体が構築できるのではないかと考えた。更に、アルカリ土類金属を用いることで、二つの共有結合の一つを光学活性配位子と、もう一つはエノラート成分として構成でき、強固な光学活性エノラートになるのではないかと考えた。このような錯体自体は、アルキル亜鉛試薬やGrignard試薬等の等量反応での光学活性試薬として用いられているものの、触媒として用いられている例は殆ど無い(Schemes3-2-2,3-2-3)。


【0024】
Nakamura等はメチレン架橋型光学活性Box配位子をn−ブチルリチウムで脱プロトン化し、それにアリル亜鉛化合物を作用させることでキラルアリル亜鉛化合物を調製し、シクロプロペンの開環反応とイミンのアリル化反応に用いている。イミンのアリル化反応に関しては、環状イミンを用いることで高い立体選択性を発現させることができる。

【0025】
一方で、Hoffman等は光学活性Box配位子に対して、アルキルマグネシウムを作用させ、直接的に光学活性アルキルマグネシウム錯体を調製し、それに対してヨウ化アルキルを作用させることで望みの光学活性アルキルマグネシウム錯体を得、これをベンズアルデヒドに作用させ、目的物を中程度のエナンチオ選択性で得ている。
【0026】
触媒として用いられている例としては、マグネシウムを用いるLewis酸触媒として開発されている例はあるが、Bronsted塩基触媒として用いられている炭素−炭素生成反応の例は無い(Scheme3-2-4)。

【0027】
一方で、第三族のランタンアミドから調製される錯体は近年開発されてきており、アルケンのアミノ化反応の触媒として既に用いられている。
【0028】
しかしながら、この反応においては中程度のエナンチオ選択性までしか与えていない(Scheme3-2-5)。

【0029】
これ等以外の錯体構造だけ知られている論文としては、代表的なものとして以下のものがある(Scheme3-2-6)。

【0030】
以上のことを踏まえて、本発明者は、アルカリ土類金属アルコキシドを用いて検討を開始(Table3-2-4)した。

【0031】
そして、アルカリ土類金属アルコキシドの種類を検討した処、Ca,Sr,Baを用いた時に反応が進行することを見出した。その中でも、特に小さい金属であるCaを用いた場合、更にはカルシウムイソプロポキシドを用いた場合、収率は中程度ながら、73%Eeという良好なエナンチオ選択性で目的物が得られることを見出した。尚、得られた生成物の絶対立体配置は、文献記載のHPLCのデータとの比較により決定した。更に、想定した触媒構造が正しいか否かを確かめる為に、通常の中性型Box配位子を用いて検討した処、その検討では全くエナンチオ選択性が得られなかったので、金属−アニオン型Box錯体が正しい構造であると推定している。
【0032】
上記知見を基にして本発明がなされたものである。
すなわち、前記の課題は、M(OR(但し、Mはアルカリ土類金属元素、Rはアルキル基)と該M(ORのMに結合をする配位子とを持ち、
前記配位子を構成する化合物がビアリール骨格またはビスオキサゾリン骨格を持つ化合物である
ことを特徴とする金属触媒によって解決される。
【0033】
又、M(OR(但し、Mはアルカリ土類金属元素、Rはアルキル基)と、該M(ORのMに結合をする配位子を構成する化合物とが混合されてなり、
前記配位子を構成する化合物がビアリール骨格またはビスオキサゾリン骨格を持つ化合物である
ことを特徴とする金属触媒によって解決される。
【0034】
又、M(OR(但し、Mはアルカリ土類金属元素、Rはアルキル基)と該M(ORのMに結合をする配位子を構成する化合物とが、前者:後者=1:0.5〜3(更に好ましくは1:1〜2、中でも、1:1〜1.5)の割合で混合されてなり、
前記配位子を構成する化合物がビアリール骨格またはビスオキサゾリン骨格を持つ化合物である
ことを特徴とする金属触媒によって解決される。
【0035】
又、上記の金属触媒であって、更にモレキュラーシーブを有することを特徴とする金属触媒によって解決される。
【0036】
上記金属触媒において、M(ORは、そのRの炭素数が1〜10のアルキル基(直鎖型または分岐型のアルキル基)であるものが好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などである。但し、直鎖型のアルキル基であるものと分岐型のアルキル基であるものとを比べると、分岐型のアルキル基(炭素数は3以上)であるものが好ましい。最も好ましいものはイソプロピル基である。
【0037】
上記金属触媒において、M(ORは、そのMがCa,Mg,Sr,Ba等のアルカリ土類金属のものである。但し、中でも、Caが最も好ましい。
【0038】
すなわち、M(ORとしてはCa(OiPr)が最も好ましいものである。
【0039】
さて、上記本発明にあっては、M(ORのMに配位結合をする配位子を構成する化合物は、ビアリール骨格またはビスオキサゾリン骨格を持つ化合物である。このような化合物の中でも、好ましい化合物は、下記の式[I]で表される構造の化合物又はその鏡像体である。
式[I]

但し、式[I]中、Rは脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基で、全てのRは同一でも異なっていても良く、RはH若しくは脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基で、全てのRは同一でも異なっていても良く、RはH、アルキル基、アリール基、炭素との結合原子がヘテロ原子である置換基またはシアノ基である。
尚、上記式[I]中でも、Rは芳香族炭化水素基(中でも、特に、フェニル基)、RはH又は芳香族炭化水素基(中でも、特に、H又はフェニル基)で、RはHである化合物が好ましい。
【0040】
又、好ましい配位子として下記の式[II]で表される構造の化合物又はその鏡像体も挙げられる。
式[II]

【0041】
本発明の触媒は、特に、光学活性α−アミノ酸誘導体の合成に際しての触媒である。例えば、下記の式[III]で表される化合物と下記の式[IV]で表される化合物との反応に用いられる触媒である。或いは、下記の式[III]で表される化合物と下記の式[V]で表される化合物との反応に用いられる触媒である。若しくは、下記の式[VI]で表される化合物と下記の式[VII]で表される化合物との反応に用いられる触媒である。又は、下記の式[VIII]で表される化合物と下記の式[IX]で表される化合物との反応に用いられる触媒である。
【0042】
式[III]

但し、式[III]中、RはH、アルキル基またはアリール基(好ましくは、フェニル基)、RはH、アルキル基またはアリール基(好ましくは、フェニル基)、RはH、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基(好ましくは、H)、Rは脂肪族炭化水素基(好ましくは、メチル基、エチル基、tert−ブチル基などの炭素数が1〜10のアルキル基)である。
【0043】
式[IV]

但し、式[IV]中、Rは−COOR(但し、Rは脂肪族炭化水素基(好ましくは、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基などの炭素数が1〜10のアルキル基)),−CON(R’)R’’(但し、R’,R’’は脂肪族炭化水素基(好ましくはメチル基またはエチル基、特に、メチル基)又は何れか一方がアルコキシ基),−SOR’’’
(但し、R’’’は脂肪族炭化水素基(好ましくは、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基などの炭素数が1〜10のアルキル基)又は芳香族炭化水素基(好ましくは、フェニル基))、R10はH,X(ハロゲン原子)、脂肪族炭化水素基(好ましくは、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基などの炭素数が1〜10のアルキル基)又は芳香族炭化水素基(好ましくは、フェニル基)である。
【0044】
式[V]

但し、式[V]中、Rは−OR(但し、Rは脂肪族炭化水素基(好ましくは、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基などの炭素数が1〜10のアルキル基))又は−N(R’)R’’(但し、R’,R’’は脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基(好ましくは、ジメチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピペリジノ基、モルフォリノ基)、或いは何れか一方がアルコキシ基)、R10はH又は脂肪族炭化水素基(好ましくは、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基などの炭素数が1〜10のアルキル基)である。
【0045】
式[VI]

但し、式[VI]中、Raは炭化水素基または複素環基である。好ましくは芳香族基である。ZはS又はOである。Rbは炭化水素基である。好ましくは脂肪族炭化水素基である。中でも、炭素数が1〜10のアルキル基である。
【0046】
式[VII]

但し、式[VII]中、R,RはH又は炭化水素基である。炭化水素基は、好ましくは脂肪族炭化水素基である。中でも、炭素数が1〜10のアルキル基である。Rはアルコキシ基またはアミノ基である。
【0047】
式[VIII]

但し、式[VIII]中、RはH又はアルキル基である。アルキル基の場合、好ましくは炭素数が1〜10のアルキル基である。Rは炭化水素基である。好ましくは炭素数が1〜10のアルキル基である。
【0048】
式[IX]

但し、式[IX]中、Rは炭化水素基である。好ましくは炭素数が1〜10のアルキル基である。
【0049】
又、前記の課題は、上記の金属触媒の存在下で、上記式[III]で表される化合物と上記式[IV]で表される化合物とを反応させる
ことを特徴とする光学活性α−アミノ酸誘導体の製造方法によって解決される。
【0050】
又、前記の課題は、上記の金属触媒の存在下で、上記式[III]で表される化合物と上記式[V]で表される化合物とを反応させる
ことを特徴とする光学活性α−アミノ酸誘導体の製造方法によって解決される。
【0051】
又、前記の課題は、上記の金属触媒の存在下で、上記式[VI]で表される化合物と上記式[VII]で表される化合物とを反応させる
ことを特徴とする光学活性α−アミノ酸誘導体の製造方法によって解決される。
【0052】
又、前記の課題は、上記の金属触媒の存在下で、上記式[VIII]で表される化合物と上記式[IX]で表される化合物とを反応させる
ことを特徴とする光学活性α−アミノ酸誘導体の製造方法によって解決される。
【0053】
上記の反応は、好ましくは、−80℃〜20℃の温度で行なわれる。更に好ましくは−45℃〜20℃で行なわれる。特に、式[III]で表される化合物と式[IV]で表される化合物との反応の場合には、−45℃から0℃が好ましく、式[III]で表される化合物と式[V]で表される化合物との反応の場合には、−30℃から20℃が好ましい。
【0054】
又、上記の反応は、溶媒中で行なわせることが好ましい。溶媒としては、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、トルエン、塩化メチレン、ジメトキシエタン、アセトニトリル等を用いることも出来る。しかしながら、収率・選択性の観点から、テトラヒドロフランが最も好ましいものであった。
【0055】
上記反応に際して用いられる触媒の量は、基質に対して0.1〜20mol%であることが好ましい。特に好ましくは0.1〜10mol%である。
【0056】
又、上記反応に際して、M(ORにビアリール骨格またはビスオキサゾリン骨格を持つ化合物が配位した金属触媒の他に、例えばMS3A,MS4A,MS5A等のモレキュラーシーブが用いられると、高い収率・選択性が得られた。尚、モレキュラーシーブの使用量は、好ましくは、溶媒量に対して重量/体積比で6〜700である。更に好ましくは30〜140である。
【発明の効果】
【0057】
外部添加の塩基を必要とせず、高い収率・選択性で、光学活性α−アミノ酸誘導体が得られる。例えば、グリシン誘導体の触媒的不斉Michael反応(1,4−付加反応)や[3+2]−環化反応が可能になり、光学活性α−アミノ酸誘導体が効率良く得られる。
【0058】
又、例えばCaを中心金属として用いていることから、銅などの重金属を用いた場合に比べて、環境調和型の反応である特長も奏する。
【0059】
そして、医薬品中間体などのファインケミカル分野において特に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明の触媒は、M(OR(但し、Mはアルカリ土類金属元素、Rはアルキル基)と該M(ORのMに結合をする配位子とを持つものである。このような触媒は、M(OR(但し、Mはアルカリ土類金属元素、Rはアルキル基)と該M(ORのMに配位結合をする配位子を構成する化合物との混合により得られる。例えば、前者:後者=1:0.5〜3、特に、1:1〜2、中でも、1:1〜1.5の割合で混合することにより得られる。前記配位子を構成する化合物は、ビアリール骨格またはビスオキサゾリン骨格を持つ化合物である。又、モレキュラーシーブを有する。
【0061】
M(ORのRは、例えば炭素数が1〜10のアルキル基(直鎖型または分岐型のアルキル基)である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などである。好ましい基は分岐型の炭素数が3〜10のアルキル基である。特に、イソプロピル基である。M(ORのMはCa,Mg,Sr,Ba等のアルカリ土類金属であるが、特に、Caである。従って、最も好ましいM(ORはCa(OiPr)である。
【0062】
M(ORのMに配位結合をする配位子を構成する化合物は、ビアリール骨格またはビスオキサゾリン骨格を持つ化合物である。このような化合物の中でも、好ましい化合物は、上記の式[I]で表される構造の化合物又はその鏡像体である。但し、式[I]中、Rは脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基で、全てのRは同一でも異なっていても良く、RはH若しくは脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基で、全てのRは同一でも異なっていても良く、RはH、アルキル基、アリール基、炭素との結合原子がヘテロ原子である置換基またはシアノ基である。式[I]中でも、Rは芳香族炭化水素基(中でも、特に、フェニル基)、RはH又は芳香族炭化水素基(中でも、特に、H又はフェニル基)で、RはHである化合物が好ましいものである。又、好ましい配位子として上記の式[II]で表される構造の化合物又はその鏡像体も挙げられる。
【0063】
本発明の触媒は、特に、光学活性α−アミノ酸誘導体の合成に用いられる触媒である。例えば、上記の式[III]で表される化合物と上記の式[IV]で表される化合物との反応に用いられる触媒である。或いは、上記の式[III]で表される化合物と上記の式[V]で表される化合物との反応に用いられる触媒である。若しくは、上記の式[VI]で表される化合物と上記の式[VII]で表される化合物との反応に用いられる触媒である。又は、上記の式[VIII]で表される化合物と上記の式[IX]で表される化合物との反応に用いられる触媒である。式[III]中、RはH又はアリール基(好ましくは、フェニル基)、RはH又はアリール基(好ましくは、フェニル基)、RはH、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基(好ましくは、H)、Rは脂肪族炭化水素基(好ましくは、メチル基、エチル基、tert−ブチル基などの炭素数が1〜10のアルキル基)である。式[IV]中、Rは−COOR(但し、Rは脂肪族炭化水素基(好ましくは、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基などの炭素数が1〜10のアルキル基)),−CON(R’)R’’(但し、R’,R’’は脂肪族炭化水素基(好ましくはメチル基またはエチル基、特に、メチル基)又は何れか一方がアルコキシ基),−SOR’’’
(但し、R’’’は脂肪族炭化水素基(好ましくは、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基などの炭素数が1〜10のアルキル基)または芳香族炭化水素基(好ましくは、フェニル基))の群の中から選ばれる何れかで、R10はH,X(ハロゲン原子)、脂肪族炭化水素基(好ましくは、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基などの炭素数が1〜10のアルキル基)、及び芳香族炭化水素基(好ましくは、フェニル基)の群の中から選ばれる何れかである。式[V]中、Rは−OR(但し、Rは脂肪族炭化水素基(好ましくは、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基などの炭素数が1〜10のアルキル基)),−N(R’)R’’(但し、R’,R’’は脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基(好ましくは、ジメチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピペリジノ基、モルフォリノ基)又は何れか一方がアルコキシ基)の群の中から選ばれる何れかで、R10はH又は脂肪族炭化水素基(好ましくは、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基などの炭素数が1〜10のアルキル基)である。式[VI]中、Raは脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基などの炭化水素基または複素環基である。好ましくは芳香族基である。ZはS又はOである。Rbは炭化水素基である。好ましくは脂肪族炭化水素基である。中でも、炭素数が1〜10のアルキル基である。式[VII]中、R,RはH又は炭化水素基である。炭化水素基は、好ましくは脂肪族炭化水素基である。中でも、炭素数が1〜10のアルキル基である。Rはアルコキシ基またはアミノ基である。式[VIII]中、RはH又はアルキル基である。アルキル基の場合、好ましくは炭素数が1〜10のアルキル基である。Rは炭化水素基である。好ましくは炭素数が1〜10のアルキル基である。式[IX]中、Rは炭化水素基である。好ましくは炭素数が1〜10のアルキル基である。
【0064】
本発明になる光学活性α−アミノ酸誘導体の製造方法は、上記の金属触媒の存在下で、上記式[III]で表される化合物と上記式[IV]で表される化合物とを反応させる方法である。或いは、上記の金属触媒の存在下で、上記式[III]で表される化合物と上記式[V]で表される化合物とを反応させる方法である。若しくは、上記の金属触媒の存在下で、上記式[VI]で表される化合物と上記式[VII]で表される化合物とを反応させる方法である。又は、上記の金属触媒の存在下で、上記式[VIII]で表される化合物と上記式[IX]で表される化合物とを反応させる方法である。この反応は、例えば−80℃〜20℃の温度で行なわれる。−45℃〜20℃で行なわれるのが好ましい。特に、式[III]で表される化合物と式[IV]で表される化合物との反応の場合には、−45℃〜0℃が好ましく、式[III]で表される化合物と式[V]で表される化合物との反応の場合には、−30℃〜20℃が好ましい。又、上記の反応は、溶媒中で行なわせることが好ましい。反応に際しては溶媒が用いられる。溶媒として特に好ましいものは、収率・選択性の観点から、テトラヒドロフランである。本触媒の量は、基質に対して、例えば0.1〜20mol%である。特に0.1〜10mol%である。又、反応に際して、上記金属触媒の他に、例えばMS3A,MS4A,MS5A等のモレキュラーシーブが用いられることが好ましい。特に、溶媒量に対して重量/体積比で6〜700、中でも30〜140の割合で用いられることが好ましい。
【0065】
以下、更に詳しく説明する。
[M(ORを用いた触媒的1,4−付加反応]
減圧下で加熱乾燥した反応容器をアルゴン置換し、この反応容器をグローブボックス中に持ち込み、0.03mmolのアルカリ土類金属アルコキシドと100mgのモレキュラーシーブMS5Aを秤量して入れた。
【0066】
そして、グローブボックスから取り出した反応容器を室温下で撹拌した。
【0067】
この後、室温下において、0.5mLのテトラヒドロフラン(THF)を加え、そのままの温度で10分間撹拌した。
【0068】
撹拌後、0℃でグリシンエステル誘導体(1b,0.36 mmol)のTHF溶液(1.0mL)とアクリル酸メチル(0.30mmol)を、順次、加えた。そして、そのままの温度で、2時間の撹拌後、0℃の撹拌下で飽和塩化アンモニウム溶液(10mL)を加え、反応を停止した。
【0069】
この後、塩化メチレン(10mL)を加えて分液し、塩化メチレン(20mL)で3回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた粗生成物を濾過、そして減圧濃縮後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(Hexane:Ethyl acetate =3:1)にて精製し、目的物を得た。
【0070】
[Ca(OiPr)を用いた触媒的1,4−付加反応]
減圧下で加熱乾燥した反応容器をアルゴン置換し、この反応容器をグローブボックス中に持ち込み、0.03mmolのCa(OiPr)と100mgのモレキュラーシーブMS4Aを秤量して入れた。
【0071】
そして、グローブボックスから取り出した反応容器を室温下で撹拌した。
【0072】
この後、室温下において、(S)−2,2’−Methylenebis(4−phenyl−2−oxazoline)のTHF(0.5mL)溶液を加え、そのままの温度で2時間撹拌した。
【0073】
撹拌後、反応容器を−30℃に冷却し、グリシンエステル誘導体 (0.36mmol)のTHF溶液(0.5mL)とα,β−不飽和カルボニル化合物(0.30mmol)のTHF溶液(0.5mL)を、順次、加えた。そして、そのままの温度で12時間の撹拌後、0℃の撹拌下で飽和塩化アンモニウム溶液(10mL)を加え、反応を停止した。
【0074】
この後、塩化メチレン(10mL)を加えて分液し、そして塩化メチレン(20mL)で3回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
【0075】
得られた粗生成物を濾過、そして減圧濃縮後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(Hexane:Ethyl acetate =3:1)にて精製し、目的物を得た。
【0076】
尚、上記バリウムアルコキシド、ストロンチウムアルコキシドやマグネシウムアルコキシドは、高純度化学(株)から購入したものを、又、カルシウムイソプロポキシド(Ca(OiPr))はAldrich社から購入したものをグローブボックス中で保存し、そのまま用いた。各種光学活性配位子はAldrich社から購入したり、公知文献の方法に従って合成されたものである。グリシンエステル誘導体は公知文献の方法に従って合成されたものである。各種のα,β−不飽和カルボニル化合物は東京化成工業 (株)より購入し、蒸留を行い精製したものである。又、得られた生成物の質量分析では、プロトン化されたもの、若しくはケトイミン部位が脱保護された2−アミノペンタンジエステルとして観測された。

【0077】
[グリシンエステル誘導体を用いた触媒的不斉1,4−付加反応生成物の物性値]
dimethyl
2-(diphenylmethyleneamino)pentanedioate
IR [cm−1]3361, 3060, 3026, 2952, 2845, 1968, 1905, 1741, 1659, 1623,
1598, 1576, 1491, 1442, 1362, 1280, 1158, 1074, 1030, 1004.
1H NMR (CDCl3) d 7.82−7.80 (m, 1H), 7.65−7.63
(m, 2H), 7.46−7.43 (m, 3H), 7.35−7.32
(m, 2H), 7.19−7.17 (m, 2H), 4.13 (t, 1H, J = 6.2 Hz), 3.71 (s, 3H), 3.58 (s, 3H), 2.38-2.35
(m, 2H), 2.26-2.23 (m, 2H).
13C NMR (CDCl3) d 173.4, 172.1, 171.2, 130.5, 130.1, 128.8, 128.7, 128.6,
128.3, 128.1, 127.8, 64.1, 52.2, 51.5, 30.3, 28.6.
HPLC, Daicel Chiralcel OD−H, Hexane/iPrOH = 40/1, Flow rate = 1.00 mL/min, Detection wavelength = 254 nm:
tR = 12.3 min (major), tR = 15.0 min (minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C20H22NO4 ((M+H)+): 340.1543; found: 340.1542.
(R)-1-tert-butyl 5-methyl
2-(diphenylmethyleneamino)pentanedioate
IR [cm−1]3358, 2977, 2948, 1738,
1659, 1623, 1443, 1368, 1278, 1259, 1149.
1H NMR (CDCl3) d 7.82−7.80 (m, 1H), 7.65-7.63 (m, 2H), 7.50−7.43 (m, 3H), 7.34−7.31 (m, 2H), 7.18−7.17
(m, 2H), 3.96 (dd, 1H, J = 7.2, 5.2 Hz), 3.59 (s, 3H), 2.39−2.36 (m, 2H), 2.24−2.20
(m, 2H), 1.44 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 173.6, 170.7,
170.7, 130.3, 130.1, 128.8, 128.6, 128.4, 128.4, 128.0, 127.8, 81.2, 64.8,
51.5, 30.5, 28.6, 28.0.
HPLC, Daicel Chiralcel OD−H, Hexane/iPrOH = 40/1, Flow rate = 0.25 mL/min, Detection wavelength = 254 nm:
tR = 27.1 min (R), tR = 36.9 min (S).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C10H20NO4 ((M-C13H7)+): 218.1387; found: 218.1386.
(R)-1- tert-butyl
5-ethyl 2-(diphenylmethyleneamino)pentanedioate
IR [cm−1] 3367, 2979, 2931, 1734, 1659, 1599, 1449, 1370, 1316, 1279,
1154, 1030.
1H NMR (CDCl3) d 7.82−7.16
(m, 10H), 4.04 (q, 2H, J = 6.8 Hz), 3.96 (t, 1H, J = 6.0 Hz), 2.37−2.33
(m, 2H), 2.24−2.21 (m, 2H), 1.42 (s, 9H), 1.19 (t, 3H, J = 6.8 Hz).
13C NMR (CDCl3) d 173.1, 170.7,
170.6, 132.4, 130.0, 128.8, 128.5, 128.4, 128.2, 128.0, 127.7, 81.1, 64.8,
60.3, 30.7, 28.6, 28.0, 14.1.
HPLC, Daicel Chiralcel OD−H, Hexane/iPrOH = 40/1, Flow rate = 0.25 mL/min, Detection wavelength = 254 nm:
tR = 23.2 min (R), tR = 28.5 min (S).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C11H22NO4 ((M-C13H7)+): 232.1543; found: 232.1541.
di-tert-butyl 2-(diphenylmethyleneamino))pentanedioate
IR [cm−1] 2978, 1730, 1660, 1622, 1450, 1368, 1278,
1254, 1152
1H NMR (CDCl3) d 7.82−7.16
(m, 10H), 3.95 (t, 1H, J = 6.4 Hz), 2.37−2.17 (m, 4H), 1.44 (s,
9H), 1.39 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 172.5, 170.9,
170.6, 132.4, 130.1, 128.8, 128.5, 128.4, 128.3, 128.0, 127.8, 81.1, 80.2,
65.0, 32.0, 28.9, 28.0, 27.4.
HPLC, Daicel Chiralcel OD−H, Hexane/iPrOH = 40/1, Flow rate = 0.25 mL/min, Detection wavelength = 254 nm:
tR = 18.6 min (major), tR = 23.3 min (minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C26H34NO4 ((M+H)+):
424.2482; found: 424.2478.
tert-butyl2-(diphenylmethyleneamino)-5-(methoxy(methyl)amino)-5-oxopentanoate
IR [cm−1] 3253, 2979, 1737,
1661, 1449, 1365, 1315, 1279, 1222, 1148.
1H NMR (CDCl3) d 7.58−7.57
(m, 2H), 7.36−7.35 (m, 3H), 7.32−7.29 (m, 1H), 7.25−7.23
(m, 2H), 7.11−7.09 (m, 2H), 3.93 (t, 1H, J = 5.5 Hz),
3.57 (s, 3H), 3.05 (s, 3H), 2.49−2.37
(m, 2H), 2.19−2.09 (m, 2H), 1.36 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 174.0, 171.0,
170.3, 139.5, 136.5, 130.2, 128.8, 128.5, 128.4, 127.9, 127.7, 81.0, 65.0,
61.1, 32.1, 28.5, 28.0, 27.9.
HPLC: Daicel Chiralpak OD−H, Hexane/iPrOH = 40/1, Flow rate = 1.00 mL/min,
Detection wavelength = 254 nm: tR = 12.8 min (major), tR = 37.7 min (minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C11H23N2O4 ((M-C13H7)+): 247.1652; found: 247.1657.
1-tert-butyl 5-methyl 2-(diphenylmethyleneamino)-4-methylpentanedioate
(major)
IR [cm−1] 3453, 2977, 1734, 1623, 1573, 1450, 1369, 1155.
1H NMR (CDCl3) d 7.61−7.60
(m, 2H), 7.40−7.35 (m, 4H), 7.31−7.29 (m, 2H), 7.16−7.14
(m, 2H), 3.93 (dd, 1H, J = 9.6, 4.1 Hz), 3.48 (s, 3H), 2.60−2.54
(m, 1H), 2.31−2.26 (m, 1H), 2.02−1.98 (m, 1H), 1.42 (s, 9H), 1.14 (d,
3H, J = 6.9 Hz).
13C NMR (CDCl3)
d
176.6, 171.0, 170.7, 139.6, 136.4, 130.2, 128.8, 128.6, 128.2, 128.0, 128.0,
81.1, 64.0, 51.4, 37.3, 36.2, 28.0, 18.4.
HPLC: Daicel Chiralpak OD−H, Hexane/iPrOH = 100/1, Flow rate = 0.50 mL/min,
Detection wavelength = 254 nm: tR = 13.6 min (major), tR = 15.5 min (minor).
ESI-RMS (m/z) calcd. forC11H22NO4 ((M-C13H7)+): 232.1543; found:232.1552
1-tert-butyl5-methyl2-(diphenylmethyleneamino)-4-methylpentanedioate(major)
IR [cm−1] 3059, 2976, 2933,
2878, 1735, 1623, 1444, 1369, 1286, 1154, 1079.
1H NMR (CDCl3) d 7.63−7.62
(m, 2H), 7.44−7.35 (m, 4H), 7.31−7.29 (m, 2H), 7.20−7.18
(m, 2H), 3.92 (dd, 1H, J = 9.6, 5.5 Hz), 3.50 (s, 3H), 2.45−2.41
(m, 1H), 2.34−2.29 (m, 1H), 2.01−1.97 (m, 1H), 1.42 (s, 9H), 1.00 (d,
3H, J = 6.9 Hz).
13C NMR (CDCl3) d 176.7, 170.9,
170.6, 139.4, 136.4, 130.3, 128.8, 128.6, 128.4, 128.0, 127.9, 81.2, 64.1,
51.5, 37.1, 36.6, 28.0, 17.0.
HPLC: Daicel Chiralpak OD−H, Hexane/iPrOH = 100/1, Flow rate = 0.50 mL/min,
Detection wavelength = 254 nm: tR = 15.3 min (major), tR = 27.2 min (minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C11H22NO4 ((M-C13H7)+): 232.1543; found: 232.1534.
1-tert-butyl5-methyl2-(diphenylmethyleneamino)-4-ethylpentanedioat(major)
IR [cm−1] 2969, 2933, 1734,
1623, 1446, 1368, 1153.
1H NMR (CDCl3) d 7.55−7.54 (m, 2H), 7.34−7.29
(m, 4H), 7.25−7.23 (m, 2H), 7.10−7.09
(m, 2H), 3.82 (dd, 1H, J = 8.9, 3.4 Hz), 3.40 (s, 3H), 2.37−2.32 (m, 1H), 2.20−2.15
(m, 1H), 2.04−2.00 (m, 1H), 1.56−1.42
(m, 2H), 1.36 (s, 9H), 0.81 (t, 3H, J = 7.6 Hz).
13C NMR (CDCl3) d 176.1, 171.0, 170.7, 139.6, 136.4, 130.2, 128.8, 128.5,
128.2, 127.9, 127.9, 81.1, 64.0, 51.2, 43.4, 35.5, 28.0, 26.4, 11.7.
HPLC: Daicel Chiralpak OD−H, Hexane/iPrOH = 200/1, Flow rate = 0.30 mL/min, Detection wavelength
= 254 nm: tR =
71.1 min (minor), tR = 77.2 min (major).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C12H24NO4 ((M-C13H7)+): 246.1700; found: 246.1703.
1-tert-butyl5-methyl2-(diphenylmethyleneamino)-4-ethylpentanedioate(minor)
IR [cm−1]2969, 2923, 1735, 1622,
1446, 1368, 1152.
1H NMR (CDCl3) d 7.62−7.60 (m, 2H), 7.45−7.41
(m, 3H), 7.37−7.34 (m, 1H), 7.31−7.28
(m, 2H), 7.20−7.18 (m, 2H), 3.90 (dd, 1H, J = 7.9, 5.8 Hz),
3.44 (s, 3H), 2.27−2.07 (m, 3H), 1.52−1.36
(m, 11H), 0.81 (t, 3H, J = 7.2 Hz).
13C NMR (CDCl3) d 176.1, 170.8, 170.4, 139.4, 136.5, 130.3, 128.8, 128.5,
128.4, 128.0, 127.9, 81.2, 64.7, 51.3, 44.3, 35.6, 28.0, 25.6, 11.6.
HPLC: Daicel Chiralpak OD−H, Hexane/iPrOH = 100/1, Flow rate = 0.30 mL/min, Detection wavelength
= 254 nm: tR =
26.9 min (major), tR = 47.7 min (minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C12H24NO4 ((M-C13H7)+): 246.1700; found: 246.1698.
1-tert-butyl5-methyl2-(diphenylmethyleneamino)-4-phenylpentanedioate(majar)
IR [cm−1]3341, 2978, 1735, 1660,
1623, 1443, 1368, 1279, 1154.
1H NMR (CDCl3) d 7.54−7.53 (m, 2H), 7.38−7.30
(m, 4H), 7.25−7.23 (m, 2H), 7.13−7.11
(m, 2H), 4.47 (dd, 1H, J = 7.9, 5.8 Hz), 4.03 (t, 1H, J = 5.8 Hz), 3.54 (s,
3H), 2.65−2.60 (m, 1H), 2.46−2.42
(m, 1H), 1.36 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 171.5, 169.9, 169.7, 139.2, 136.0, 130.5, 128.8, 128.7,
128.4, 128.0, 127.7, 81.7, 62.8, 54.0, 52.8, 38.4, 28.0.
HPLC: Daicel Chiralpak AD−H, Hexane/iPrOH = 100/1, Flow rate = 1.00 mL/min, Detection wavelength
= 254 nm: tR =
8.7 min (major), tR = 9.9 min (minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C10H19ClNO4 ((M-C13H7)+): 252.0997; found: 252.0996.
1-tert-butyl5-methyl2-(diphenylmethyleneamino)-4-phenylpentanedioate(majar(2,4-syn)
IR [cm−1] 3438, 2980, 2936, 1730, 1625, 1446, 1369, 1352, 1292, 1237,
1214, 1156.
1H NMR (CDCl3) d 7.63−7.62 (m, 2H), 7.39−7.36
(m, 4H), 7.32−7.30 (m, 2H), 7.26−7.19
(m, 5H), 7.13−7.11 (m, 2H), 3.94 (dd, 1H, J = 7.6, 4.8 Hz),
3.76 (dd, 1H, J = 9.6, 4.8 Hz), 3.48 (s, 3H), 2.76−2.71 (m, 1H), 2.27−2.23
(m, 1H), 1.42 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 173.7, 170.8, 170.7, 139.5, 139.3, 136.2, 130.2, 128.8,
128.6, 128.5, 128.2, 127.9, 127.7, 127.7, 127.2, 81.2, 63.9, 51.8, 47.9, 37.2,
28.0.
HPLC: Daicel Chiralpak AD−H, Hexane/iPrOH = 200/1, Flow rate = 1.00 mL/min, Detection wavelength
= 254 nm: tR =
30.9 min (minor), tR = 33.1 min (major).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C16H24NO4 ((M-C13H7)+): 294.1700; found: 294.1695.
1-tert-butyl4-(N-methoxy-N-methylcarbamoyl)-2-(diphenylmethylenamino)pentanoate(majar)
IR [cm−1]2974, 2934, 1730, 1660,
1450, 1153.
1H NMR (CDCl3) d 7.56 (m, 2H), 7.36−7.29
(m, 4H), 7.27−7.23 (m, 2H), 7.12−7.10
(m, 2H), 3.89 (dd, 1H, J = 7.6, 4.8 Hz), 3.57 (s, 3H), 3.09 (m, 1H), 3.02 (s,
3H), 2.35−2.31 (m, 1H), 1.92−1.88
(m, 1H), 1.38 (s, 9H), 1.06 (d, 3H, J = 7.6 Hz).
13C NMR (CDCl3) d 177.1, 171.4, 170.3, 139.8, 136.5, 130.0, 128.7, 128.5,
128.2, 127.8, 127.7, 80.8, 63.9, 61.2, 37.2, 31.9, 31.9, 27.9, 18.5.
HPLC: Daicel Chiralpak IA, Hexane/iPrOH = 40/1, Flow rate = 0.50 mL/min, Detection
wavelength = 254 nm: tR = 22.1 min (major), tR = 25.6 min (minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C12H25N2O4 ((M-C13H7)+): 261.1809; found: 261.1810.
tert-butyl
4-(phenylsulfonyl)-2-(diphenylmethyleneamino)butanoate
IR [cm−1]3451, 3061, 2978, 1729,
1658, 1446, 1371, 1313, 1149, 1086.
1H NMR (CDCl3) d 7.83−7.82
(m, 2H), 7.75−7.73 (m, 1H), 7.59−7.23 (m, 10H), 7.06−7.04
(m, 2H), 3.93 (dd, 1H, J = 6.9, 4.8 Hz), 3.23−3.13 (m, 2H), 2.17−2.09
(m, 2H), 1.30 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 171.4, 169.8,
139.0, 138.8, 136.0, 133.6, 130.6, 130.0, 129.2, 128.8, 128.6, 128.1, 128.0,
127.6, 81.7, 63.5, 52.8, 27.9, 27.0.
HPLC: Daicel Chiralpak OD-H, Hexane/iPrOH
= 40/1, Flow rate = 1.00 mL/min: tR = 23.9 min (major), tR = 30.0 min (minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C14H22NO4S
((M-C13H7)+): 300.1264; found: 300.1278.
【0078】
[(Ca(OiPr)を用いた触媒的不斉[3+2]付加環化反応]
減圧下で加熱乾燥した反応容器をアルゴン置換し、この反応容器をグローブボックス中に持ち込み、反応容器中に0.03mmolのCa(OiPr)と100mgのモレキュラーシーブMS4Aを秤量して入れた。
【0079】
そして、グローブボックスから取り出した反応容器を室温下で撹拌した。
【0080】
この後、室温下において、(S)−2,2’−Methylenebis(4−phenyl−2−oxazoline)のTHF(0.5mL)溶液を加え、そのままの温度で2時間撹拌した。
【0081】
撹拌後、反応容器を0℃に冷却し、0.33mmolのアゾメチン化合物のTHF溶液(0.5mL)溶液と、0.30mmolのα,β−不飽和カルボニル化合物のTHF溶液(0.5mL)溶液とを、順次、加えた。そして、そのままの温度で3時間撹拌した。この後、0℃での撹拌下で飽和塩化アンモニウム溶液(10mL)を加え、反応を停止させた。
【0082】
この後、塩化メチレン(10mL)を加えて分液し、そして塩化メチレン(20mL)で3回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
【0083】
得られた粗生成物を濾過、そして減圧濃縮後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(Hexane:Ethyl acetate =3:1)にて精製し、目的物を得た。
【0084】
尚、上記した方法にて得られた目的物を以下(Table4−2−5,4−2−6,4−2−7,4−3−1,4−3−2,Scheme4−3−2)に示す。エナンチオ選択性(Ee)に関してはHPLCを用いて決定した。



【0085】
尚、上記カルシウムイソプロポキシドCa(OiPr)はAldrich社から購入したものをグローブボックス中で保存し、そのまま用いた。各種光学活性配位子はAldrich社から購入したり、公知文献の方法に従って合成されたものである。グリシンエステル誘導体は公知文献の方法に従って合成されたものである。各種のα,β−不飽和カルボニル化合物は東京化成工業(株)より購入し、蒸留操作で精製したものである。
【0086】
[アゾメチンイリド化合物の合成]
(E)−methyl 2−(benzylideneamino)acetate
B.p. 250 ℃ (0.8 mmHg, bulb−to−bulb)
IR [cm−1]3366, 3061, 3030, 2951, 2882, 1963, 1741,
1646, 1601, 1582, 1493, 1435, 1376, 1272, 1204, 1093, 1026.
1H NMR (CDCl3) d 8.30 (s, 1H),
7.80−7.77
(m, 2H), 7.48−7.40 (m, 3H), 4.42 (s, 2H), 3.78 (s, 3H).
13C NMR (CDCl3) d 170.6, 165.5, 131.3, 135.5, 128.6, 128.5,
61.9, 52.2.
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C10H12NO2 ((M+H)+): 178.0863; found: 178.0869.
(E)−ethyl 2−(benzylideneamino)acetate
B.p. 250 ℃(0.8 mmHg, bulb−to−bulb)
IR [cm−1]3364, 3062, 3029, 2982, 2935, 1964, 1890,
1740, 1646, 1601, 1582, 1492, 1451, 1374, 1337, 1268, 1188, 1095, 1028.
1H NMR (CDCl3) d 8.30 (s, 1H), 7.80−7.77 (m, 2H), 7.44−7.42 (m, 3H), 4.40
(s, 2H), 4.24 (q, 2H, J = 7.2 Hz), 1.31 (t, 3H, J = 7.2 Hz).
13C NMR (CDCl3) d 170.2, 165.4, 135.6, 131.2, 128.6, 128.5,
62.1, 61.1, 14.2.
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C11H14NO2 ((M+H)+): 192.1019; found: 192.1012.
(E)−tert−butyl 2−(benzylideneamino)acetate
B.p. 250 ℃(0.5 mmHg, bulb−to−bulb)
IR [cm−1]3289, 3062, 2977, 2932, 2876, 1963, 1739,
1647, 1580, 1454, 1389, 1369, 1344, 1286, 1218, 1155, 1053.
1H NMR (CDCl3) d 8.26 (s, 1H), 7.79−7.77 (m,
2H), 7.43−7.40 (m, 3H), 4.31 (s, 2H), 1.49 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 169.3, 165.1,
135.6, 131.0, 128.5, 128.4, 81.4, 62.6, 28.0.
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C13H18NO2 ((M+H)+): 220.1332; found: 220.1328.
DL−(E)−methyl 2−(benzylideneamino)propanoate
B.p. 240 ℃(0.8 mmHg, bulb−to−bulb).
IR [cm−1]3385, 3061, 3027, 1987, 1950, 1872, 1961,
1742, 1643, 1579, 1493, 1450, 1383, 1341, 1268, 1205, 1175, 1126, 1050.
1H NMR (CDCl3) d 8.31 (s, 1H), 7.79−7.77 (m, 2H), 7.45−7.39 (m, 3H), 4.16
(q, 1H, J = 6.8 Hz), 3.75 (s, 3H), 1.53 (d, 3H, J = 6.8 Hz).
13C NMR (CDCl3) d 173.0, 162.9,
135.7, 131.1, 128.5, 128.4, 68.0, 52.2, 19.5.
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C11H14NO2 ((M+H)+): 192.1019; found: 192.1011.
DL −(E)−ethyl 2−(benzylideneamino)propanoate
B.p. 250 ℃(0.7 mmHg, bulb−to−bulb).
IR [cm−1]3454, 3062, 3027, 2983, 2936, 2872, 2051,
1964, 1893, 1821, 1738, 1644, 1579, 1450, 1382, 1335, 1291, 1262, 1190, 1125,
1048, 1021.
1H NMR (CDCl3) d 8.32 (s, 1H), 7.79−7.77 (m, 2H), 7.44−7.39 (m, 3H), 4.24−4.17 (m, 1H), 4.14
(q, 2H, J = 6.8 Hz), 1.53 (d, 3H, J = 6.9 Hz), 1.27 (t, 3H, J = 6.9 Hz).
13C NMR (CDCl3) d 172.5, 162.8, 135.8,
131.0, 128.6, 128.5, 68.0, 61.0, 19.4, 14.2.
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C12H16NO2 ((M+H)+): 206.1176; found: 206.1186.
DL −(E)−benzyl 2−(benzylideneamino)propanoate
B.p. 300℃ (0.6 mmHg, bulb−to−bulb)
IR [cm−1] 3450, 3062, 3031, 2983, 2936, 1873,
1960, 1741, 1643, 1580, 1495, 1452, 1379, 1334, 1260, 1178, 1123, 1046.
1H NMR (CDCl3) d 8.31 (s, 1H), 7.79−7.76 (m, 2H), 7.45−7.28 (m, 8H), 5.22−5.15 (m, 2H), 4.20
(q, 1H, J = 6.8 Hz), 1.54 (d, 3H, J = 6.8 Hz).
13C NMR (CDCl3) d 172.3, 162.9, 135.8, 135.7, 131.1, 128.6,
128.5, 128.4, 128.1, 128.0, 67.8, 66.6, 19.3.
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C17H18NO2 ((M+H)+): 268.1332; found: 268.1333.
【0087】
[[3+2]付加環化反応生成物の物性値]
(2R, 4R, 5S)−dimethyl 5−phenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1]
3349, 2951, 1738, 1655, 1493, 1438, 1377, 1206, 1170, 1088, 1032.
1H NMR (CDCl3) d 7.36−7.22 (m, 5H), 4.54 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 3.95 (t, 1H, J =
8.0 Hz), 3.83 (s, 3H), 3.33 (dt, 1H, J = 8.0, 7.6 Hz), 3.22 (s, 3H), 2.43 (dd,
2H, J = 8.0, 8.0 Hz).
13C NMR (CDCl3) d 173.8, 173.1,
139.0, 128.2, 127.7, 126.6, 65.9, 60.0, 52.3, 51.3, 49.8, 33.4.
HPLC, Daicel Chiralpak AS, Hexane/iPrOH = 9/1, Flow rate = 1.00 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 13.2 min (2S, 4S, 5R), tR = 21.6 min (2R, 4R, 5S).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C14H18NO4 ((M+H)+): 264.1230; found: 264.1290.
4−ethyl 2−methyl 5−phenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1]
3341, 2953, 1735, 1653, 1452, 1378, 1201, 1093, 1034.
1H NMR (CDCl3) d 7.35−7.22 (m, 5H), 4.53 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 3.98 (t, 1H, J =
8.2 Hz), 3.82 (s, 3H), 3.73−3.60 (m, 2H), 3.29
(dt, 1H, J = 7.6, 6.8 Hz), 2.41 (m, 2H), 0.82 (t, 3H, J = 7.2 Hz).
HPLC, Daicel Chiralcel OB−H, Hexane/iPrOH = 19/1, Flow rate = 0.50 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 32.4 min (major), tR = 42.4 min (minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C15H20NO4 ((M+H)+): 278.1387; found: 278.1403.
(2R, 4R, 5S)−4−tert−butyl 2−methyl 5−phenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1]3749, 3341, 3029, 2977, 2952, 2372, 1738,
1454, 1370, 1250, 1210, 1151, 1095, 1026.
1H NMR (CDCl3) d 7.4−7.2 (m, 5H), 4.42 (d, 1H, J = 7.9 Hz), 3.91(dd, 1H, J = 8.7, 8.3 Hz), 3.76 (s, 3H), 3.23 (ddd, 1H, J = 7.9, 7.5, 6.8
Hz), 2.84 (br, 1H), 3.0−2.3 (m, 2H), 0.99 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 173.2, 171.4,
139.0, 128.0, 127.6, 126.8, 79.9, 65.5, 59.3, 51.6, 49.7, 33.6, 27.0.
HPLC, Daicel Chiralpak AS, Hexane/iPrOH
= 9/1, Flow rate = 1.00 mL/min, Detection
wavelength = 220 nm: tR =
6.8 min (2S, 4S, 5R), tR = 11.2 min (2R, 4R,
5S).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C17H24NO4 ((M+H)+):
306.1700; found: 306.1694.
2−tert−butyl 4−methyl 5−phenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1]3749,
3349, 2978, 2376, 2307, 1733, 1454, 1370, 1250, 1204, 1155, 1036
1H NMR (CDCl3) d 7.32−7.23 (m, 5H), 4.53 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 3.86 (t, 1H, J = 8.2
Hz), 3.32 (dt, 1H, J = 15, 7.8 Hz), 3.23 (s, 3H), 2.35 (m, 2H), 1.53 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 172.9, 172.5,
139.3, 128.2, 127.6, 126.8, 81.6, 65.9, 60.8, 51.2, 49.9, 33.6, 28.1.
HPLC, Daicel Chiralpak AD−H, Hexane/iPrOH = 19/1, Flow rate = 0.50 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 27.2 min (minor), tR = 37.6 min (major).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C17H24NO4 ((M+H)+): 306.1700; found: 306.1699.
di−tert−butyl 5−phenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1]3281, 2973, 2374, 1725, 1704, 1454, 1370,
1288, 1253, 1217, 1151, 1105
1H NMR (CDCl3) d 7.36−7.21 (m, 5H), 4.46 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 3.82 (t, 1H, J =
8.4 Hz), 3.25 (dt, 1H, J = 8.0, 6.8 Hz), 2.46−2.38
(m, 1H), 2.17−2.26 (m, 1H), 1.52 (s, 9H), 1.02 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 172.5, 171.9,
137.8, 128.1, 127.3, 127.2, 81.4, 80.5, 65.5, 60.7, 50.4, 34.5, 28.1, 27.5.
HPLC, Daicel Chiralpak ASx2, Hexane/iPrOH = 40/1, Flow rate = 0.50 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 31.9 min (minor), tR = 36.9 min (major).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C20H30NO4 ((M+H)+):
348.2169; found: 348.2183.
dimethyl 3−methyl−5−phenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1]3365,
3028, 2953, 2876, 2377, 2309, 1737, 1494, 1436, 1378, 1075, 1020
1H NMR (CDCl3) d 7.44−7.21 (m, 5H), 4.62 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 3.83 (s, 3H), 3.55
(d, 1H, J = 8.7 Hz), 3.23 (s, 3H), 3.01 (dd, 1H, J = 8.6, 8.2 Hz), 2.72 (ddq, 1H, J = 8.7, 8.2, 6.6 Hz), 2.65
(br, 1H), 1.24 (d,
3H, J = 6.6 Hz).
13C NMR (CDCl3) d 173.7, 172.3,
140.0, 128.2, 127.6, 126.9, 67.3, 64.4, 58.3, 52.3, 51.3, 41.4, 17.8.
HPLC, Daicel Chiralpak AS, Hexane/iPrOH = 19/1, Flow rate = 0.25 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 35.7 min (minor), tR = 46.9 min (major).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C15H20NO4 ((M+H)+): 278.1386; found: 278.1390.
4−tert−butyl 2−methyl 3−methyl−5−phenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1] 3858, 3301, 3062, 3030, 2951,
2380, 2307, 1960, 1739, 1601, 1492, 1454, 1434, 1372, 1333, 1273, 1204, 1173,
1094, 1027.
1H NMR (CDCl3) d 7.45−7.20 (m, 5H), 4.55
(d, 1H, J = 8.6 Hz), 3.83 (s, 3H), 3.49 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 2.9 (m, 2H), 2.65
(ddq, 1H, J = 8.8, 7.9, 6.7 Hz), 1.26 (d, 1H, J = 6.7 Hz), 1.02 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 173.5, 170.9,
140.2, 128.0, 127.3, 127.3, 80.4, 67.2, 64.1, 58.8, 52.1, 42.3, 27.4, 18.0.
HPLC, Daicel Chiralpak AS−H, Hexane/iPrOH = 19/1, Flow rate =
1.0 mL/min, Detection
wavelength = 220 nm: tR =
11.6 min (major), tR = 23.1 min (minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C18H26NO4 ((M+H)+):
320.1856; found: 320.1865.
2−tert−butyl 4−methyl 3−methyl−5−phenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1]3749, 3652, 3363, 3062, 2975, 2877, 2376,
2298, 1734, 1602, 1496, 145, 1438, 1372, 1332, 1249, 1159, 1073, 1023.
1H NMR (CDCl3) d 7.32−7.23 (m, 5H), 4.60 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 3.41 (d, 1H, J =
9.1 Hz), 3.24 (s, 3H), 3.01 (dd, 1H, J = 8.7, 8.6 Hz), 2.81 (br, 1H), 2.61−2.65 (m, 1H), 1.54 (s, 9H), 1.22 (d, 3H, J = 6.7 Hz).
13C NMR (CDCl3) d 172.4, 172.2,
140.4, 128.2, 127.6, 126.9, 81.7, 67.9, 64.4, 58.2, 51.2, 41.6, 28.1, 17.6.
HPLC, Daicel Chiralpak AD−H, Hexane/iPrOH = 19/1, Flow rate = 0.50 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 21.6 min (minor), tR = 24.9 min (major).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C18H26NO4 ((M+H)+): 320.1856; found: 320.1847.
di−tert−butyl 3−methyl−5−phenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1]3354, 3062, 2975, 2931, 2344, 1726, 1455,
1370, 1331, 1250, 1152, 1033.
1H NMR (CDCl3) d 7.36−7.22 (m, 5H), 4.54 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 3.36 (d, 1H, J =
9.1 Hz), 2.91 (dd, 1H, J = 8.4, 8.4 Hz), 2.57 (ddq, 1H, J = 9.1, 8.6, 6.9 Hz),
2.85 (br, 1H), 1.24 (d, 3H, J = 6.9 Hz), 1.52 (s, 9H), 1.02 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 172.4, 171.0,
142.0, 128.1, 127.5, 127.4, 81.5, 80.5, 68.0, 64.2, 59.2, 42.8, 28.1, 27.5,
18.1.
HPLC, Daicel Chiralpak AD−H, Hexane/iPrOH = 19/1, Flow rate = 0.50 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 35.2 min (major), tR = 56.7 min (minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C21H32NO4 ((M+H)+): 362.2325; found: 362.2337.
2−tert−butyl 4−ethyl 3,5−diphenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1]3353,
3030, 2977, 2932, 2378, 1731, 1601, 1495, 1455, 1369, 1336, 1260, 1219, 1156,
1092, 1029
1H NMR (CDCl3) d 7.40−7.23 (m, 10H), 4.84 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 3.90 (d, 1H, J =
9.6 Hz), 3.75 (dd, 1H, J = 9.2, 9.0 Hz), 3.65−3.52
(m, 3H), 2.92 (br, 1H), 1.34 (s, 9H), 0.78 (t, 3H, J = 7.1 Hz).
13C NMR (CDCl3) d 171.7, 171.4,
140.2, 139.9, 128.5, 128.2, 127.9, 127.7, 127.3, 127.0, 81.6, 68.6, 65.4, 60.3,
59.2, 53.2, 27.9, 13.6.
HPLC, Daicel Chiralcel OD−H, Hexane/iPrOH = 19/1, Flow rate = 0.50
mL/min, Detection wavelength
= 220 nm: tR =
17.4 min (minor), tR = 18.9 min (major).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C24H30NO4 ((M+H)+):
396.2169 ; found: 396.2180.
dimethyl 2−methyl−5−phenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1]3360,
3028, 2951, 2379, 2344, 1734, 1604, 1495, 1437, 1376, 1259, 1202, 1134, 1087,
1031
1H NMR (CDCl3) d 7.31−7.21 (m, 5H), 4.66 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 3.84 (s, 3H), 3.38−3.33 (m, 1H), 3.21 (s, 3H), 3.16 (br, 1H), 2.73 (dd, 1H, J
= 14, 5.3 Hz), 2.06 (dd, 1H, J = 14, 7.6 Hz), 1.51 (s, 3H).
13C NMR (CDCl3) d 176.6, 173.1,
139.1, 128.2, 127.6, 126.7, 65.8, 65.0, 52.6, 51.2, 50.6, 40.4, 27.6.
HPLC, Daicel Chiralpak AD−H, Hexane/iPrOH = 19/1, Flow rate = 0.25 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 47.9 min (major), tR = 51.7 min (minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C15H20NO4 ((M+H)+): 278.1386; found: 278.1445.
dimethyl 2,3−dimethyl−5−phenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1]3365,
3062, 3028, 2951, 1955, 1733, 1603, 1494, 1437, 1378, 1256, 1195, 1118, 1027.
1H NMR (CDCl3) d 7.31−7.21 (m, 5H), 4.68 (d, 1H, J = 9.6 Hz), 3.82 (s, 3H), 3.17
(s, 3H), 3.12 (dd, 1H, J = 10.9, 9.6 Hz), 2.87 (br, 1H), 2.87 (dq, 1H, J =
10.9, 6.7 Hz), 1.35 (s, 3H), 1.10 (d, 1H, J = 6.7 Hz).
13C NMR (CDCl3) d 175.9, 172.1,
141.1, 128.1, 127.6, 127.3, 67.6, 62.5, 57.1, 52.5, 51.2, 42.7, 20.4, 13.8.
HPLC, Daicel Chiralpak AD−H, Hexane/iPrOH = 40/1, Flow rate = 0.25 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 63.4 min (major), tR = 66.6 min (minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C16H22NO4 ((M+H)+):
292.1543; found: 292.1544.
4−tert−butyl 2−methyl 2−methyl−5−phenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1]3357,
2976, 2359, 1731, 1452, 1369, 1295, 1254, 1213, 1148
1H NMR (CDCl3) d 7.33−7.21 (m, 5H), 4.61 (d, 1H, J = 7.9 Hz), 3.81 (s, 3H), 3.32
(ddd, 1H, J = 7.9, 7.8, 6.0 Hz), 3.18 (br, 1H), 2.62 (dd, 1H, J = 14, 6.0 Hz),
2.27 (dd, 1H, J = 14, 7.8 Hz), 1.49 (s, 3H), 1.01 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 176.4, 171.7,
139.5, 128.1, 127.3, 127.2, 80.5, 65.6, 64.4, 52.5, 50.8, 40.9, 27.5, 27.1.
HPLC, Daicel Chiralpak AD−H, Hexane/iPrOH = 19/1, Flow rate = 0.50 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 14.6 min (major), tR = 17.3 min (minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C18H26NO4 ((M+H)+): 320.1856; found: 320.1872.
4−tert−butyl 2−ethyl 2−methyl−5−phenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1]3360,
3062, 2977, 2934, 1729, 1604, 1452, 1369, 1295, 1254, 1214, 1147, 1024
1H NMR (CDCl3) d 7.33−7.21 (m, 5H), 4.61 (d, 1H, J = 7.7 Hz), 4.29−4.24 (m, 2H), 3.33 (ddd, 1H, J = 7.8, 7.7, 6.2 Hz), 3.21
(br, 1H), 2.62 (dd, 1H, J = 14, 6.2 Hz), 2.07 (dd, 1H, J = 14, 7.8 Hz), 1.49
(s, 3H), 1.32 (t, 3H, J = 7.1 Hz), 1.02 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 175.9, 171.7,
139.7, 128.1, 127.3, 127.3, 80.5, 65.5, 64.5, 61.3, 50.8, 40.9, 27.5, 27.1,
14.2.
HPLC, Daicel Chiralcel OD−H, Hexane/iPrOH = 19/1, Flow rate = 0.50 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 13.4 min (minor), tR = 23.4 min (major).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C19H28NO4 ((M+H)+): 334.2012; found: 334.2009.
2−benzyl 4−tert−butyl 2−methyl−5−phenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1] 3358, 3062, 3031, 2975, 2934, 1953,
1728, 1604, 1496, 1453, 1370, 1254, 1215, 1147, 1082, 1028, 1000.
1H NMR (CDCl3) d 7.40−7.21 (m, 10H), 5.29−5.21 (m, 2H), 4.61
(d, 1H, J = 7.7 Hz), 3.32 (ddd, 1H, J = 7.8, 7.7, 6.0 Hz), 3.21 (br, 1H), 2.65
(dd, 1H, J = 14, 6.0 Hz), 2.07 (dd, 1H, J = 14, 7.8 Hz), 1.51 (s, 3H), 1.00 (s,
9H).
13C NMR (CDCl3) d 175.8, 171.7,
139.6, 135.9, 128.6, 128.2, 128.1, 128.1, 127.3, 127.2,
80.5, 66.9, 65.6, 64.5, 50.9, 40.8,
27.5, 27.3.
HPLC, Daicel Chiralcel OD−H, Hexane/iPrOH = 19/1, Flow rate = 0.50 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 19.4 min (minor), tR = 30.0 min (major).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C24H30NO4 ((M+H)+): 396.2169; found: 396.2178.
2−tert−butyl 4−methyl 3−methyl−5,5−diphenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1]3650, 3368, 3305, 3059, 2975, 2932, 2877,
2360, 1959, 1733, 1661, 1598, 1492, 1449, 1391, 1367, 1343, 1263, 1158, 1080,
1030.
1H NMR (CDCl3) d 7.8−7.1 (m, 10H), 3.68 (d, 1H, J = 6.4 Hz), 3.47 (br, 1H), 3.30
(m, 4H), 2.67 (ddq, 1H, J = 8.4, 6.8, 6.4 Hz), 1.51 (s, 9H), 1.05 (d, 3H, J =
6.8 Hz).
13C NMR (CDCl3) d 173.5, 172.3,
146.4, 145.3, 132.4, 130.0, 128.3, 127.9, 126.9, 126.5, 81.4, 74.6, 66.4, 62.7,
51.4, 44.8, 28.1, 18.2.
HPLC, Daicel Chiralpak AD−H, Hexane/iPrOH = 40/1, Flow rate = 0.50 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 12.6 min (minor), tR = 14.9 min (major).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C24H30NO4 ((M+H)+): 396.2169; found: 396.2187.
2−tert−butyl 4−ethyl 3−methyl−5,5−diphenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1]3746,
3059, 2975, 2932, 1728, 1598, 1492, 1450, 1369, 1342, 1244, 1156, 1033.
1H NMR (CDCl3) d 7.8−7.1 (m, 10H), 3.7−3.8 (m, 2H), 3.67 (d,
1H, J = 5.8 Hz), 3.53 (br, 1H), 3.29 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 2.65 (ddq, 1H, J =
8.6, 7.0, 5.8 Hz), 1.51 (s, 9H), 1.04 (d, 3H, J = 7.0 Hz), 0.88 (t, 3H, J = 7.1
Hz).
13C NMR (CDCl3) d 173.1, 172.3,
146.4, 145.4, 132.4, 130.1, 128.3, 127.9, 126.9, 126.5, 81.4, 74.7, 66.5, 62.9,
60.5, 45.2, 28.1, 18.5, 13.6.
HPLC, Daicel Chiralpak AD−H, Hexane/iPrOH = 19/1, Flow rate = 0.50 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 17.8 min (minor), tR = 21.6 min (major).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C25H32NO4 ((M+H)+): 410.2325; found: 410.2334.
di−tert−butyl 3−methyl−5,5−diphenylpyrrolidine−2,4−dicarboxylate
IR [cm−1]3320, 30059, 2974, 2931, 2876, 2359,
1959, 1726, 1663, 1598, 1489, 1451, 1392, 1368, 1338, 1284, 1250, 1211, 1156,
1082, 1035.
1H NMR (CDCl3) d 7.8−7.1 (m, 10H), 3.58 (d, 1H, J = 5.2 Hz), 3.26 (d, 1H, J =
8.0 Hz), 2.56 (ddq, 1H, J = 8.0, 6.8, 5.2 Hz), 1.51 (s, 9H), 1.07 (s, 9H), 1.01
(d, 3H, J = 6.8 Hz).
13C NMR (CDCl3) d 172.4, 172.3,
146.3, 146.9, 132.4, 130.1, 128.4, 128.1, 126.7, 126.4, 81.2, 80.9, 74.6, 66.5,
64.0, 45.9, 28.1, 27.4, 19.2.
HPLC, Daicel Chiralpak AD−Hx2, Hexane/iPrOH = 19/1, Flow rate = 0.25 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 30.7 min (minor), tR = 33.1 min (major).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C27H36NO4 ((M+H)+): 438.2638; found: 438.2616.
tert−butyl 4−(dimethylcarbamoyl)−5,5−diphenylpyrrolidine−2−carboxylate
IR [cm−1]3445, 3270, 2978, 2932,
1732, 1627, 1491, 1451, 1396, 1367, 1344, 1243, 1161,
1116.
1H NMR (CDCl3) d 7.58−7.57 (m, 2H), 7.27−7.06 (m, 8H), 4.08
(d, 1H, J = 6.2 Hz), 4.00 (m, 1H), 3.53 (m, 1H), 2.77 (s, 3H), 2.55 (s, 3H),
2.18 (dd, 1H, J = 12.7, 4.5 Hz), 2.12−2.08 (m, 1H), 1.43 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 173.7, 172.5,
145.0, 143.3, 128.4, 127.7, 126.9, 126.7, 126.7, 126.3, 81.0, 76.4, 59.2, 47.0,
37.6, 35.4, 35.1, 28.1.
HPLC, Daicel Chiralpak AD−H, Hexane/iPrOH = 19/1, Flow rate =
0.50 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR =
12.7 min (major), tR = 19.9 min (minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C24H31N2O3 ((M+H)+): 395.2329; found: 395.2338.
tert−butyl 4−(morpholine−4−carbonyl)−5,5−diphenylpyrrolidine−2−carboxylate
IR [cm−1]3443, 2976, 2858, 1728,
1624, 1442, 1368, 1344, 1233, 1160, 1117, 1066, 1017.
1H NMR (CDCl3) d 7.65−7.64 (m, 2H), 7.36−7.34 (m, 2H), 7.27−7.17 (m, 6H), 4.10
(d, 1H, J = 6.9 Hz), 4.04 (brs, 1H), 3.61−3.23 (m, 8H), 3.12−3.03 (m, 2H), 2.30 (dd, 1H, J = 12.7, 4.5 Hz), 1.52 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 172.5, 172.4,
144.7, 142.7, 128.4, 128.0, 127.1, 127.0, 126.9, 126.6, 81.1, 76.2, 66.4, 66.0,
59.0, 46.6, 46.1, 41.6, 35.4, 28.1
HPLC: Daicel Chiralpak AD−H, Hexane/iPrOH = 9/1, Flow rate = 0.50 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 19.4 min
(major), tR =
30.3 min (minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C26H33N2O4 ((M+H)+):
437.2435; found: 437.2436.
tert−butyl 5,5−diphenyl−4−(piperidine−1−carbonyl)pyrrolidine−2−carboxylate
IR [cm−1]3271, 3064, 2973, 2933, 2859, 1735, 1619,
1448, 1366, 1338, 1286, 1247, 1223, 1158, 1117, 1029, 1009.
1H NMR (CDCl3) d 7.64−7.62 (m, 2H), 7.32−7.08 (m, 8H), 4.14
(d, 1H, J = 6.9 Hz), 4.12 (brs, 1H), 3.61−3.57 (m, 1H), 3.45−3.37 (m, 2H), 3.10−3.03 (m, 2H), 2.26−2.14 (m, 2H), 1.48 (s, 9H), 1.40−1.21 (m, 6H).
13C NMR (CDCl3) d 172.4, 172.0,
145.1, 143.3, 128.3, 127.8, 126.8, 126.7, 126.5, 126.5, 80.9, 76.2, 59.1, 46.8,
46.4, 42.3, 35.4, 28.1, 26.0, 25.0, 24.2.
HPLC: Daicel Chiralpak OD−H, Hexane/iPrOH = 100/1, Flow rate = 0.30 mL/min, Detection wavelength
= 220 nm: tR =
41.6 min (minor), tR = 47.7 min (major).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C27H35N2O3 ((M+H)+):
435.2642; found: 435.2652.
ert−butyl 4−(dicyclohexylcarbamoyl)−5,5−diphenylpyrrolidine−2−carboxylate
IR [cm−1]3441, 2928, 2853, 1735,
1631, 1443, 1367, 1236, 1160.
1H NMR (CDCl3) d 7.58−7.57 (m, 2H), 7.37−7.34 (m, 3H), 7.32−7.29 (m, 1H), 7.25−7.23 (m, 2H), 7.11−7.09 (m, 2H), 4.05
(brs, 1H), 3.88 (m, 1H), 3.62−3.60 (m, 1H), 3.47 (m, 1H), 2.64 (m, 1H), 2.36 (m, 1H), 2.10 (m,
3H), 1.79−1.00 (m, 27H).
13C NMR (CDCl3) d 172.5, 172.5,
145.6, 144.0, 128.3, 127.8, 127.6, 126.6, 126.4, 126.3, 80.9, 76.2, 59.3, 58.2,
56.1, 48.3, 36.0, 31.6, 30.6, 29.6, 28.0, 26.6, 26.5, 26.1, 25.2, 25.1.
HPLC: Daicel Chiralpak AD−H, Hexane/iPrOH = 40/1, Flow rate = 0.25 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 18.9 min (major), tR = 37.9 min
(minor).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for C34H47N2O3 ((M+H)+):
531.3581; found: 531.3599.
2−tert−butyl 3,4−dimethyl 5−phenylpyrrolidine−2,3,4−tricarboxylate
IR [cm−1]3649, 3454, 3351, 2979, 2952,
1736, 1438, 1372, 1336, 1239, 1158, 1070, 1021.
1H NMR (CDCl3) d 7.33−7.24 (m, 5H), 4.68
(d, 1H, J = 8.4 Hz), 4.02 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 3.77 (s, 3H), 3.64 (dd, 1H, J =
8.4, 7.1 Hz), 3.52 (dd, 1H, J = 8.6, 7.1 Hz), 3.21 (s, 3H), 2.79 (br, 1H), 1.52
(s, 9H).
13C NMR (CDCl3) d 172.8, 171.5, 170.7, 138.6, 128.3, 127.9, 126.9, 82.2, 65.4,
64.7, 54.4, 52.4, 51.1, 28.0, 28.0.
HPLC, Daicel Chiralcel OD−H, Hexane/iPrOH = 19/1, Flow rate = 0.50 mL/min, Detection wavelength = 220 nm: tR = 28.7 min (minor), tR = 30.5 min (major).
ESI−HRMS (m/z) calcd. for
C19H26NO6 ((M+H)+): 364.1754; found: 364.1743.

【0088】
[システイン誘導体とα,β−不飽和カルボニル化合物との触媒的不斉1,4−付加反応]


アルゴン雰囲気下で良く乾燥した30mLのナスフラスコにCa(OiPr)2 (0.03 mmol)と不斉配位子(0.03 mmol)、及びモレキュラーシーブス4A (100 mg)を量り取り、室温にて無水THF (0.5 mL)を加えて2時間攪拌した。
0℃に冷却後、システイン誘導体(0.30 mmol)のTHF溶液(0.5 mL)及びアクリル酸メチル(0.36 mmol)のTHF溶液(0.5 mL)を加えた。
そして、そのままの温度で24時間攪拌後、飽和塩化アンモニウム溶液(10 mL)を加えて反応を停止した。
この混合物に塩化メチレン10 mLを加えて分液し、水槽より塩化メチレン(15 mL x 2)で抽出した。そして、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。濾過、濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーで精製し(ヘキサンー酢酸エチル=3:1)、下記の構造式で示される目的物を得た。尚、光学純度は光学活性カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーで決定した。
Methyl
4-(3-methoxy-3-oxopropyl) -2-phenyl-4,5-
dihydrothiazole-4-carboxylate:

IR [cm−1] 3632, 3454, 2952, 2846, 1734, 1601, 1435, 1375, 1091.
1H NMR (CDCl3)
d7.85-7.84 (m, 2H), 7.49-7.27
(m, 3H), 3.85(d, 1H, J = 11.3 Hz), 3.80 (s, 3H), 3.65 (s, 3H) 3.35 (d,
1H, J = 11.3 Hz), 2.63-2.29 (m, 4H).
13C NMR (CDCl3) d 173.2, 173.1, 169.3, 132.7, 131.7, 128.6, 128.4,
87.3, 52.9, 51.7, 40.4, 33.1, 29.4.
HPLC
Daicel Chiralpack OJ-H, hexane/iPrOH = 9/1, flow rate = 0.7 mL/min,
Detection wavelength = 254 nm, tR = 45.1 (major), tR =
49.6 (minor).
[a]D15
+24.7 (c 0.68).
FAB-HRMS
(m/z) calcd. for C15H18NO4S (M+H): 308.0951;
found: 308.0953.
尚、アミノ酸エステルのSchiff塩基を用いる立体選択的α置換アミノ酸合成は多くの研究者によって様々な高立体選択的触媒反応が開発され来てており、例えばアラニンやセリンなどのα置換基を有する基質を用いた不斉4級炭素生成も報告されている。しかしながら、これらの反応にあっては過剰量の強塩基や過剰量の基質を必要とし、基質一般性も含め未だ改善の余地を多く残していた。又、これまで報告されているシステイン誘導体に対するアルキル基導入反応では、キラル4級アンモニウム塩を用いるアルキルハライドによる触媒的不斉アルキル化反応が報告されているが、触媒的不斉1,4−付加反応で高エナンチオ選択的にアルキル基を導入した報告はない。これに対して、本発明者は、グリシンエステルから誘導されるSchiff塩基とα,β−不飽和エステルとの不斉1,4−付加反応において、本発明のキラルカルシウム錯体が有効な触媒となることを見出し、不斉4級炭素生成を目的にシステインから誘導される化合物とα,β−不飽和エステルとの反応による光学活性なα−置換グルタミン酸誘導体の合成を検討した結果、高収率・高立体選択的に目的物を得ることが判ったのである。又、置換基を有するα,β−不飽和エステルの場合も良好なジアステレオ選択性を示すことが明らかになった。
【0089】
[α−アミノ酸エステルシッフ塩基とエチレンジカルボン酸誘導体との不斉[3+2]付加環化反応]


アルゴン雰囲気下で良く乾燥した30mLのナスフラスコにCa(OiPr)2 (0.03 mmol)と不斉配位子(0.03 mmol)、及びモレキュラーシーブス4A (100 mg)を量り取り、室温にて無水THF (0.5 mL)を加えて2時間攪拌した。
10℃に冷却後、グリシンSchiff塩基(0.30
mmol)のTHF溶液(0.3
mL)およびフマル酸ジメチル(0.36 mmol)のTHF溶液(0.9 mL)を加えた。
そして、そのままの温度で3時間攪拌後、飽和塩化アンモニウム溶液(10 mL)を加えて反応を停止した。
この混合物に塩化メチレン10 mLを加えて分液し、水槽より塩化メチレン(15 mL x 2)で抽出した。そして、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。濾過、濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーで精製し(ヘキサンー酢酸エチル=3:1)、下記の構造式で示される目的物を得た。尚、光学純度は光学活性カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーで決定した。
2-tert-butyl 3,4-dimethyl 5-phenylpyrrolidine-2,3,4-triboxylate

IR [cm-1] 3649, 3454, 3351, 2979,
2952, 1736, 1438, 1372, 1336, 1239, 1158, 1070, 1021.
1H NMR
(CDCl3) d 7.33-7.24 (m, 5H), 4.68 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 4.02 (d, 1H, J = 8.6
Hz), 3.77 (s, 3H), 2.79 (br, 1H), 1.52 (s, 9H).
13C NMR
(CDCl3) d 172.8, 171.5, 170.7, 138.6, 128.3, 127.9, 126.9, 82.2, 65.4, 64.7,
54.4, 52.4, 51.1, 28.0, 28.0.
Daicel Chiralcel OD-H,
hexane/iPrOH = 19/1, flow rate = 0.50 mL/min, Detection wavelength =
220 nm, tR = 28.7 (minor), tR = 30.5 (major).
ESI-HRMS (m/z) calcd.
for C26 H 42 NO 5((M+H)+): 364.1754; found: 364.1743.
尚、ピロリジン化合物は生理活性を有する化合物の母核となる骨格であり、その効率的合成法の開発が望まれて来た。その中でも本骨格の触媒的不斉合成は、光学活性医薬品を合成する際の中間体供給において重要な手法である。そして、本発明者は、キラルカルシウム触媒を用いるアゾメチンイミンとα,β−不飽和エステルとの高エナンチオ選択的[3+2]付加環化反応を報告している。そして、この手法の適用拡大を目指し、アゾメチンイミンとエチレン−1,2−ジカルボン酸エステルとの不斉[3+2]付加環化反応について検討を行った結果、例えばカルシウムアルコキシドとキラルビスオキサゾリンから調製されるキラルカルシウム触媒が有効に機能し、対応する[3+2]付加環化体を良好な収率、選択性をもって与えることが見出された。又、これまで、α−グリシン誘導体とフマル酸やマレイン酸誘導体との不斉[3+2]付加環化反応は高ジアステレオ、高エナンチオ選択的な例が報告されていたが、触媒の原子効率などにおいて問題が残っていた。しかしながら、本発明になる触媒を用いれば、より原子効率に優れた系になり得る。又、α位に置換基を有するアミノ酸誘導体との触媒的不斉反応の報告例は限られているのに対して、本発明により不斉4級炭素を有するピロリジン誘導体の合成が可能になった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式[III]で表される化合物と式[V]で表される化合物との反応に用いられる触媒であって、
M(OR(但し、Mはアルカリ土類金属元素、Rはアルキル基)と該M(ORのMに結合をする配位子とを持ち、
前記配位子を構成する化合物がビアリール骨格またはビスオキサゾリン骨格を持つ化合物である
ことを特徴とする金属触媒。
式[III]

[但し、式[III]中、RはH、アルキル基またはアリール基、RはH、アルキル基またはアリール基、RはH、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基、Rは脂肪族炭化水素基である。]
式[V]

[但し、式[V]中、Rは−OR(但し、Rは脂肪族炭化水素基)又は−N(R’)R’’(但し、R’,R’’は脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基)、R10はH又は脂肪族炭化水素基である。]
【請求項2】
配位子を構成する化合物が下記の式[I]で表される構造の化合物又はその鏡像体であることを特徴とする請求項1の金属触媒。
式[I]

[但し、式[I]中、Rは脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基で、全てのRは同一でも異なっていても良く、RはH、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基で、全てのRは同一でも異なっていても良く、RはH、アルキル基、アリール基、炭素との結合原子がヘテロ原子である置換基またはシアノ基である。]
【請求項3】
式[I]のRは芳香族炭化水素基で、全てのRは同一でも異なっていても良く、RはH又は芳香族炭化水素基で、全てのRは同一でも異なっていても良く、RはHである
ことを特徴とする請求項2の金属触媒。
【請求項4】
配位子を構成する化合物が下記の式[II]で表される構造の化合物又はその鏡像体である
ことを特徴とする請求項1の金属触媒。
式[II]

【請求項5】
M(OR(但し、Mはアルカリ土類金属元素、Rはアルキル基)と該M(ORのMに結合をする配位子を構成する化合物とが混合されて触媒が構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかの金属触媒。
【請求項6】
M(ORのRは炭素数が1〜10のアルキル基である
ことを特徴とする請求項1〜請求項5いずれかの金属触媒。
【請求項7】
M(ORのRは炭素数が3〜10の分岐型アルキル基である
ことを特徴とする請求項6の金属触媒。
【請求項8】
M(ORのMがCaである
ことを特徴とする請求項1〜請求項7いずれかの金属触媒。
【請求項9】
請求項1〜請求項8いずれかの金属触媒の存在下で、式[III]で表される化合物と式[V]で表される化合物とを反応させる
ことを特徴とする光学活性α−アミノ酸誘導体の製造方法。
式[III]

[但し、式[III]中、RはH、アルキル基またはアリール基、RはH、アルキル基またはアリール基、RはH、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基、Rは脂肪族炭化水素基である。]
式[V]

[但し、式[V]中、Rは−OR(但し、Rは脂肪族炭化水素基)又は−N(R’)R’’(但し、R’,R’’は脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基)、R10はH又は脂肪族炭化水素基である。]
【請求項10】
−80℃〜20℃の温度で反応を行わせる
ことを特徴とする請求項9の光学活性α−アミノ酸誘導体の製造方法。
【請求項11】
金属触媒の量が基質に対して0.1〜20mol%である
ことを特徴とする請求項9又は請求項10の光学活性α−アミノ酸誘導体の製造方法。



【公開番号】特開2012−210622(P2012−210622A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−99539(P2012−99539)
【出願日】平成24年4月25日(2012.4.25)
【分割の表示】特願2008−58169(P2008−58169)の分割
【原出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】