説明

金属触媒の存在下に脱水素縮合によって架橋できるシリコーン組成物

本発明は、反応性≡SiH単位と≡SiOH単位との間の脱水素縮合によって架橋することができ且つイリジウム触媒錯体を使用するシリコーン組成物に関する。この触媒錯体は、
・一方の、次の式(I):
(IrΣΣ'2n
{ここで、
A)nは1又は2であり、
nが1であるならば、Σは3電子ラジカル配位子LXであり、
nが2であるならば、Σは、2個のイリジウム原子と共に3電子配位子LXのように挙動する1電子ラジカル配位子Xであり、
B)Σ'は同一又は異なっていて(好ましくは、同一)、それぞれ2電子配位子Lを表わす。}
のイリジウム錯体と、
・他方の、R2S、R2O、NR3、カルベン及び有機燐化合物から選ばれる配位子Σd
とを一緒に反応させることによって得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性≡SiH単位と≡SiOH単位との間の脱水素縮合によって架橋することができ且つ触媒としてイリジウム錯体を使用するシリコーン組成物に関する。また、本発明は、これと関連する製造方法、そのようにして得られた架橋材料並びにこれらの材料で被覆された又はこれらから構成された物品に関する。
【0002】
しかして、本発明は、シリコーンの重合/架橋を可能ならしめる脱水素縮合反応の触媒の分野に関する。これに係わる反応性の実体は、ポリオルガノシロキサン(POS)類の単量体、オリゴマー及び(又は)重合体である。
【背景技術】
【0003】
これらの実体において関与する反応性単位は、一方の≡SiH単位と他方の≡SiOH単位である。これらのシリコーンの反応性単位と実体との間の脱水素縮合は、≡Si−O−Si≡結合の形成及び水素ガスの放出をもたらす。この脱水素縮合は、シリコーンの分野で知られている重合/架橋経路の代替、即ち、≡SiH/≡Si−アルケニル(ビニル)重付加経路及び≡SiOR/≡SiOR(ここに、R=アルキル)重縮合経路である。これらの重合/架橋経路の全ては、大なり小なり重合した且つ大なり小なり架橋したシリコーン生成物を生じさせるが、これらは多くの用途、即ち、接着剤、漏出防止製品、目地仕上げ材、接着仕上げ材、剥離被覆、フォームなどにおいて有用な物質を構成することができる。
【0004】
本発明により特に目的とされる用途は、種々の固体支持体、例えば、可撓性繊維質支持体(例えば、紙製又は布製の)又は可撓性非繊維質支持体、例えば重合体フィルム(例えば、ポリエステル又はポリオレフィン)又はアルミニウム若しくは任意の他の金属(例えば、錫板)製の支持体上の剥離被覆として有用な架橋シリコーンエラストマー被覆である。
【0005】
本発明が特に関連する他の用途は、架橋シリコーンフォームが目的である。
【0006】
脱水素縮合反応は、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、硼素又はイリジウムをベースとした金属触媒を伴うが、白金触媒が最も普通である(FR−B−1209131、US−B−4262107、EP−A−1167424及びFR−A−2806930)。
【0007】
FR−B−1209131には、特に、塩化白金酸(H2PtCl6・6H2O)の存在下に脱水素縮合反応によるシラノールPh2Si(OH)2とジオルガノシロキサン[(Me2HSi)2O](ここに、Me=メチル、Ph=フェニルである。)との間の反応が開示されている。この反応は、ジメチル又はジフェニル型のD単位、−R2SiO2/2−、を有するポジオルガノシロキサンを生じさせる。この反応は水素の迅速な放出を生じる。
【0008】
US−B−4262107は、ポリオルガノシロキサン(POS)型のシリコーン組成物、詳しくは、シラノール末端を有するポリジメチルジシロキサン、鎖内に≡SiH単位を有し且つトリメチルシリル末端を有するPOSからなる架橋剤、ロジウム錯体(RhCl3[(C8172S]3)からなる触媒及び架橋禁止剤(例えば、マレイン酸ジエチル、アセチレンジカルボン酸ジエチル、イソシアヌル酸トリアリル又は酢酸ビニル)を含むシリコーン組成物に関する。
【0009】
EP−A−1167424及びUS−A−2002/0013441には、シラノール末端を有するPOS重合体と≡SiH末端を有する芳香族POSを金属触媒の存在下に脱水素縮合させることによって線状ブロックシリコーン共重合体を製造することが開示されている。ヒドロシリル化触媒が好適であって、金属の白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム及びイリジウム(好ましくは、白金)並びにこれらの金属の化合物を使用することが可能である。ヒドロシリル化触媒は、特に、白金錯体、例えば商品名:カルステッド触媒である。
【0010】
FR−A−2806930は、トリス(ペンタフルオルフェニル)ボラン型の硼素誘導体の使用に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかして、広範な種類の脱水素縮合触媒、特に、反応の速度及び触媒の濃度/効率比を最適化するのを可能ならしめる触媒を利用できるようにすることは非常に有用であろう。
【0012】
従って、本発明の目的は、特に有効である新規な脱水素縮合触媒を提供することである。
本発明の他の目的は、白金触媒よりも一層低コストの触媒を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、このような反応に及び(又は)このような操作条件下に最良に適した触媒を容易に提供するように製造するのが容易である触媒を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、中程度の活性温度(脱水素縮合の触媒作用について少量のエネルギーの動員:θ℃<150℃)を有し、及び(又は)水素ガスの発生、重合生成物の品質及び(又は)架橋網状構造の一層容易な制御を可能にし、及び(又は)更には副反応を制限するのを可能ならしめる触媒を提供することである。
【0015】
本発明の他の必須の目的は、上記のような触媒の存在下に脱水素縮合によって重合し又は架橋することができる≡SiH/≡SiOHシリコーン組成物を提供することである。
【0016】
2002年4月18日付け出願の特許出願PCT/FR02/01340(本願の出願日には公開されていない。)には、脱水素縮合によって架橋し且つ触媒として次の一般式(I'):
IrX(L)(L')2
{ここで、
Irは原子価I又はIIIのイリジウム原子であり、
Xは、好ましくはハロゲン、水素、アセテート、置換若しくは非置換芳香族若しくは複素芳香族基、CN、RO、RS、R2N又はR2P(ここに、Rはアルキル、アリール又はアリールアルキル単位に相当する。)よりなる群から選択される1電子配位子を表わし、
L及びL'は、独立して、好ましくは、
・次式の単位:
【化1】

の少なくとも1個を含む炭化水素基、
・次の基:−PR'3、−P(OR')3、R'2O、R'2S、R'3N及び=CR'2(ここに、R'は独立して置換若しくは非置換芳香族若しくは複素芳香族基又はアルキル、アリール若しくはアリールアルキル基を表わす。)、又は
・Cnn+1−(nは正の自然数である。)、好ましくはC65
よりなる群から選択される2電子配位子を表わす。}
に相当するイリジウム錯体を使用するシリコーン組成物が開示されている。
【0017】
この特許出願PCT/FR02/01340は、特に、バスカの触媒:IrCl(CO)(トリフェニルホスフィン)2を挙げている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記した目的並びに他の目的は本発明により達成されるが、本発明は、先ず、脱水素縮合によって架橋することができ、しかも、
・−A−:分子当たり少なくとも1個の反応性≡SiH単位を有する少なくとも1種のオルガノシロキサン単量体、オリゴマー及び(又は)重合体、
・−B−:分子当たり少なくとも1個の反応性≡SiOH単位を示す少なくとも1種のオルガノシロキサン単量体、オリゴマー及び(又は)重合体、
・−C−:少なくとも1種の触媒錯体、
・−D−:随意の、少なくとも1種の架橋禁止剤又は遅延剤、
・−E−:随意の、少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(POS)樹脂、
・−F−:随意の、少なくとも1種の充填剤
を含有するシリコーン組成物であって、該触媒−C−が、
−C1−:一方の、次式(I):
(IrΣΣ'2n
{ここで、
1)nは1又は2であり、
(a)nが1であるならば、Σは3電子ラジカル配位子LX(ディディエ・アストラック著「有機金属化学」(2000年にEDPサイエンス社発行)に示された定義に従う。特に、第1章第31頁以降の「モノ金属錯体」を参照されたい。)、特に、アセチルアセトン、β−ケトエステル、マロン酸エステル、アリル化合物、カルバメート、ジチオカルバメート又はカルボン酸から誘導される配位子、特にアセチルアセトン又はアリル化合物の誘導体であり(詳しくは、アセチルアセトナト、アリル、シクロプロペニル、カルボキシラト、カルバマト又はジチオカルバマト配位子、特にアセチルアセトナト及びアリル配位子、更に好ましくはアセチルアセトナト配位子が挙げられる。)、
(b)nが2であるならば、Σは1電子ラジカル配位子X型(前記の「有機金属化学」に示された定義に従う。)であって、イリジウム原子の存在下に特別の挙動を有するものであり(この配位子は2個のイリジウム原子を架橋させ、しかも1個のイリジウム原子に対しては1電子配位子Xと見なし及び2個のイリジウム原子の組合せに対しては3電子配位子LXと見なすことがでる。特に、ハロゲノ、アルコキシ又はアリールオキシから、好ましくはハロゲノ(特にクロロ)又はアルコキシから選ばれる。)、
2)Σ'は同一又は異なっていて、それぞれ、2電子配位子L(前記の「有機金属化学」に示された定義に従う。)、例えば、オレフィン、アルキン、アルデヒド若しくはケトンのC=O二重結合、C=N又はC=Sのようなπ結合対のドナー;H−H(二水素)結合又はH−Si結合(特に、シラン(H−SiR3)における)のようなσ結合対のドナー或いは有機燐化合物、R2O、R2S、NR3又はTHF配位子から選ばれる配位子を表わし(該有機燐化合物は、特に、式:P(OR)p(R)q{ここに、p及びqは0〜3であり、ただし、p+q=3である。}型のものであり、好ましくはホスフィンPR3又はホスファイトP(OR)3であり、ここにR基は−C2−として後に定義するとおりである。)、
好ましいΣ'は次式の単位:
【化2】

の少なくとも1個を含む炭化水素基であり、後者のタイプのもの、例えばシクロオクテンが好ましく、
炭化水素基は、線状、分岐状、芳香族又は(多)環式であり、1個以上の複素原子(例えば、O、S又はN)によって中断されていてよく、2〜18個の炭素原子を有することが特記され、またこれらはイリジウム原子に結合できるこれらの単位の2個(好ましくは、同じ単位)を含む配位子(この場合には、2個の官能基Σ'は好ましくはそれの2個の電子供与性官能基によってイリジウムに結合した1個の同じ分子により提供される。)、例えば2個の二重結合を有する環状化合物(好ましくは、1,5−シクロオクタジエン)又は離れた二重結合を有するジエン(“離れたジエン”)であることができる(従って、1,5−シクロオクタジエンが好ましい形である。)。}
のイリジウム錯体と、
−C2−:他方の、R2S、R2O、NR3、カルベン(例えば、W.A.ヘルマンによるAngew.Chem.Int.Ed.Engl.、2002、41、1290−1309を参照されたい。)又は特に式:P(OR)p(R)q{ここに、p及びqは0〜3であり、ただし、p+q=3である。}の有機燐化合物、好ましくはホスフィンPR3及びホスファイトP(OR)3から選ばれるの配位子Σd
{これらの式において、R基は同一又は異なっていて、特に1〜30個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状のアルキル基;1個以上の環、好ましくは1若しくは2個の環を含むアルキル基(該環は特に4〜14個の炭素原子、好ましくは5〜8個の炭素原子を有することが可能である。);又は1個以上の縮合若しくは非縮合の芳香族若しくは複素芳香族環、特に1若しくは2個の環を含むアリール若しくはアラルキル基(該環は特に4〜14個の炭素原子、好ましくは5〜8個の炭素原子を有することが可能である。)であり、また前記の環は1以上の基、特に1又は2個の基、例えばアルコキシ、ハライド、アミノ又は特に1〜12個の炭素原子、好ましくは4〜12個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状のアルキル基により置換されていてよい。特に、前記のように置換されていてよいフェニル基が好ましい。}
とを一緒に反応させることによって得ることができるイリジウム錯体であることを特徴とするシリコーン組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
好ましい具体例によれば、イリジウム錯体は、次の一般式(I'):
【化3】

{ここで、Σ及びΣ'は前記した意味を有し、その好ましいものは式(I)に関して上に示した。}
の二量体錯体(n=2)である。
【0020】
特定の具体例によれば、触媒錯体−C−は、
C1a)一方の、式(I')において、
・Σがハロ、アルコキシ又はアリールオキシ、好ましくはハロ(特に、クロロ)又はアルコキシから選ばれる1電子ラジカル配位子Xであり、
・Σ'が次式の単位:
【化4】

の少なくとも1個を含む炭化水素基から形成され、好ましくは第2の単位を含む炭化水素基から形成される2電子配位子Lである(更に好ましくは、同じIr原子により支えられている2個のΣ'配位子が同じ分子、例えば1,5−シクロオクタジエンにより支えられている。)
式(I')の二量体錯体と、
C2a)他方の、R2S、R2O、NR3、カルベン、特に式:P(OR)p(R)q{ここに、p及びqは0〜3であり、ただし、p+q=3である。}の有機燐化合物、好ましくは好ましくはホスフィンPR3及びホスファイトP(OR)3から選ばれる配位子Σd
{これらの式において、R基は前記の通りであり、特に、R基は、1個以上の縮合又は非縮合の芳香族又は複素芳香族環、特に1又は2個の環を含む同一又は異なった(好ましくは、同一の)アリール又はアラルキル基(環は、特に4〜14個の炭素原子、好ましくは5〜8個の炭素原子を有することが可能である。例えば、フェニル。)である。この(又はこれらの)環は1個以上の基、例えばアルコキシ、ハライド、アミノ又は前記のような線状若しくは分岐状のアルキル基により置換されていてよい。}
との間の反応によって得られる。
【0021】
好ましい具体例によれば、二量体イリジウム錯体(I')は、式:[IrCl(シクロオクタジエン)]2の二塩化ビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)である。これは市販製品である。
【0022】
好ましい具体例によれば、配位子Σdはトリフェニルホスフィン(TPP)である。例えば、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィンも挙げられる。
【0023】
好ましい具体例によれば、触媒錯体−C−は、二塩化ビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)とTPPとの混合の生成物である。
【0024】
以下に示すように、触媒錯体−C−は、好ましくは、前記した実体を周囲温度で、例えば25℃付近で解放空気中で、随意に、要すれば反応性実体を溶解させるのを可能ならしめる溶媒の存在下に反応させることによって得られる。適合できる触媒錯体を得るように異なった反応条件を同じように適用できることが明らかに理解される。
【0025】
このような触媒錯体−C−の使用は、≡SiHシロキサン実体と≡SiOHシロキサン実体との間の脱水素縮合反応を中程度の温度条件下で、一般的には150℃以下の温度で、特に100℃以下、場合によっては周囲温度で効率的に触媒させることを可能にさせる。このようにして、変動できる≡SiH/≡SiOH比でもって、シリコーン網状構造又は重合体が数分間で得られる。
【0026】
本発明に従って注意深く選定される触媒錯体は、特に、白金をベースとした触媒と比べて有効であり且つ経済的である。
【0027】
種々のイリジウム錯体/配位子Σd対を試験し、それらの特性及び挙動を観察することが非常に簡便である。実験の部に例示するように、触媒錯体の製造は、複雑な方法又は臨界的な操作条件を要求しない。例えば、試験しようとするイリジウム錯体と配位子Σdの混合物を調製し、出発物質の実体が固体状である場合には、この混合物をトルエンのような溶媒に溶解し、次いで一緒にした生成物を本発明に従う少なくとも1種のPOS(A)及びPOS(B)、随意の架橋遅延剤を含むシリコーン組成物と混合し、架橋時間を周囲温度で及び(又は)これよりも高い温度で、例えば所望される実際の用途と類似する条件下で観察することで十分である。例えば、ホスファイト及びホスフィンは、広く入手できる化学薬品である。特に、ホスファイトやホスフィン及び二塩化ビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウムや(1,5−シクロオクタジエン)(アセチルアセトナト)イリジウムのような市場で入手できる配位子Σdとイリジウム錯体との組合せを試験することが可能である。シリコーン組成物を製造する際に、触媒錯体の製造のための簡単な工程を加えることは、状況に適合した(例えば、架橋時間及び温度条件に適合した)種々の触媒錯体を入手できる可能性を含めて非常に明白な利点を示す。
【0028】
これらの触媒錯体は、エラストマー性シリコーン網状構造を温和で且つ経済的な条件下で製造する際に特に有益である。この場合に目的とされる用途は、特に、通用している系を高価でない系で置き換えることが望まれる紙の接着抵抗並びに水素の発生及び網状構造の質を制御することが望まれるシリコーンフォームに係わるものである。第一の用途に対しては、気泡の形成を防止するように水素の拡散を制御することが好ましい。第2の用途に対しては、最終フォームの特性を最適化するように気泡の寸法を管理する必要がある。これらの結果は、特に非線状の(架橋した)生成物を形成させる際のシロキサン実体の反応性が脱水素縮合におけるヒドロシラン及びアルコールの反応性と比べるならば非常に高くないので、一層重大である。
【0029】
量的には、≡SiH及び≡SiOH単位を有するオイルの混合物からなるボディに対して1ppm〜1000ppm、特に1ppm〜300ppmのイリジウム金属が使用される。本発明がある範囲を取り扱うときは、その限界値も包含される。
【0030】
触媒錯体は、Irの1モル当たり、特に0.5〜10モル、好ましくは0.5〜5モル、更に好ましくは0.5〜2モルの配位子Σdを使用する。本発明の好ましい具体例によれば、Irの1モル当たり、特に0.75〜1.5モル、好ましくは0.75〜1.25モル、更に好ましくは1モルの配位子Σdが使用される。
【0031】
反応性≡SiH単位を有するシロキサン実体−A−は、好ましくは、下記の式(II)の単位を少なくとも1個有し且つ下記の式(III) の単位により停止されている実体から、又は下記の式(II)の単位からなる環状の実体(一般に、3〜12個のSi原子を含む。)から選ばれる。
【化5】

{ここで、
記号R1は、同一又は異なっていて、
・1〜8個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状のアルキル基(これは少なくとも1個のハロゲン(好ましくは弗素)により置換されていてもよい。アルキル基は好ましくはメチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオルプロピルである。)、
・5〜8個の環炭素原子を含む置換されていてもよいシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を含む置換されていてもよいアリール基、
・5〜14個の炭素原子を有するアルキル部分と6〜12個の炭素原子を有するアリール部分を有するアラルキル基(これはアリール部分にハロゲン、1〜3個の炭素原子を有するアルキル及び(又は)アルコキシルが置換していてもよい。)
を表わし、
記号Zは、同一又は異なっていて、
・H、
・R1について上に示した意味と同じ意味に相当する基
を表わし、ただし記号Zの少なくとも1個(分子当たり)はHを表わす。}
【0032】
反応性≡SiOH単位を有するシロキサン実体−B−に関しては、本発明の関連では、特に、下記の式(IV)の単位を少なくとも1個有し且つ下記の式(V) の単位により停止されている実体、又は下記の式(IV)の単位からなる環状の実体(一般に、3〜12個のSi原子を含む。)が選ばれる。
【化6】

{ここで、
記号R2は、同一又は異なっていて、
・1〜8個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状のアルキル基(これは少なくとも1個のハロゲン(好ましくは弗素)により置換されていてもよい。アルキル基は好ましくはメチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオルプロピルである。)、
・5〜8個の環炭素原子を含む置換されていてもよいシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を含む置換されていてもよいアリール基、
・5〜14個の炭素原子を有するアルキル部分と6〜12個の炭素原子を有するアリール部分を有するアラルキル基(これはアリール部分にハロゲン、1〜3個の炭素原子を有するアルキル及び(又は)アルコキシルが置換していてもよい。)
を表わし、
記号Z'は、同一又は異なっていて、
・ヒドロキシル基、
・R2について上に示した意味と同じ意味に相当する基
を表わし、ただし記号Z'の少なくとも一つ(分子当たり)はOHを表わす。}
【0033】
また、−A−及び−B−型の実体は、それらの構造内に、下記の式:
【化7】

(ここで、R3はR1又はR2について与えた置換基の一つを表わすことができる。)
により定義される“Q”及び“T”単位を含有することもできる。
【0034】
本発明の有益な具体例によれば、使用されるポリオルガノシロキサン−A−は分子当たり1〜50個のSiH単位を含む。
【0035】
本発明の有益な具体例によれば、使用されるポリオルガノシロキサン−B−は分子当たり1〜50個のSiOH単位を含む。
【0036】
好ましい具体例によれば、ポリオルガノシロキサン−A−は、次の一般式(VI):
【化8】

{ここで、
x及びyはそれぞれ0〜200の間で変わる整数又は分数を表わし、
R'1及びR"1は、互いに独立して、
・1〜8個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状のアルキル基(これは少なくとも1個のハロゲン(好ましくは弗素)により置換されていてもよい。アルキル基は好ましくはメチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオルプロピルである。)、
・5〜8個の環炭素原子を含む置換されていてもよいシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を含む置換されていてもよいアリール基、
・5〜14個の炭素原子を有するアルキル部分と6〜12個の炭素原子を有するアリール部分を有するアラルキル基(これはアリール部分で置換されていてもよい。)
を表わし、
また、R"1については、R"1基の少なくとも一つ(好ましくは、両方)がx=0であるときに水素に相当するという条件で水素に相当することが可能である。}
に相当する。
【0037】
好ましい具体例によれば、ポリオルガノシロキサン−B−は、次の一般式(VII):
【化9】

{ここで、
x'及びy'はそれぞれ0〜1200の間で変わる整数又は分数を表わし、
R'2及びR"2は、互いに独立して、
・1〜8個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状のアルキル基(これは少なくとも1個のハロゲン(好ましくは弗素)により置換されていてもよい。アルキル基は好ましくはメチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオルプロピルである。)、
・5〜8個の環炭素原子を含む置換されていてもよいシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を含む置換されていてもよいアリール基、
・5〜14個の炭素原子を有するアルキル部分と6〜12個の炭素原子を有するアリール部分を有するアラルキル基(これは置換されていてもよい。)
を表わし、
また、R"2については、R"2基の少なくとも一つ(好ましくは、両方)がx'=0であるときにOHに相当するという条件でOHに相当することが可能である。}
に相当する。
【0038】
次式:
【化10】

{ここで、a、b、c、d及びeは、
・式S1の重合体においては、
0≦a≦150、好ましくは0≦a≦100、更に好ましくは0≦a≦20、
1≦b≦55、好ましくは10≦b≦55、更に好ましくは30≦b≦55、
・式S2の重合体においては、
0≦c≦15、
・式S3の重合体においては、
5≦d≦200、好ましくは20≦d≦50、
2≦e≦50、好ましくは10≦e≦30
で変わる数を表わす。}
の化合物は、本発明においてポリオルガノシロキサン−A−として特に非常に好適である。
【0039】
次式:
【化11】

(ここで、1≦f≦1200、好ましくは50≦f≦400、更に好ましくは150≦f≦250である。)
の化合物は、本発明においてポリオルガノシロキサン−B−として特に非常に好適である。
【0040】
シロキサン実体−A−及び−B−がオリゴマー又は重合体であることを条件として、それらは以下に示すように説明するすることができる。
POS−A−は、線状(例えば、式(VI))、分岐状又は環状であることができる。経済的な理由から、その粘度は、好ましくは、25℃で100mPa・s未満である。同一又は異なった有機基は、好ましくはメチル、エチル及び(又は)フェニル基である。POSが線状であるときは、≡SiH官能基の水素原子は、鎖末端に及び(又は)鎖内に位置した珪素原子に直接結合している。
【0041】
線状成分−A−の例として、トリメチルシロキシル及び(又は)ヒドロジメチルシロキシ末端を含むポリメチルヒドロシロキサンが挙げられる。
【0042】
環状重合体のうちでは、次式:
[OSi(CH3)H]4
[OSi(CH3)H]5
[OSi(CH3)H]3
[OSi(CH3)H]8
[OSi(C25)H]3
に相当するものが挙げられる。
【0043】
分岐状重合体の具体例としては、
CH3Si[(CH33][OSi(CH32H]2
Si[OSi(CH3)(C25)H][OSi(CH32H]3
並びにSiOH2単位及びH(CH32SiO0.5単位からなり、1〜1.5のCH3/Si比を有するものが挙げられる。
【0044】
成分−B−は、200,000mPa・sに達し得る粘度を示すことができる。経済的な理由から、一般的に、20〜10,000mPa・s程度の粘度を有する成分が選ばれる。
【0045】
α,ω−ヒドロキシル化オイル又はガム中に一般的に存在する同一又は異なった有機基は、メチル、エチル、フェニル又はトリフルオルプロピル基である。好ましくは、該有機基の少なくとも80%は、珪素原子に直接結合しているメチル基である。本発明の関連では、特に、α,ω−ビス(ヒドロキシ)ポリジメチルシロキサンが好ましい。
【0046】
実体−B−は、シラノール官能基を有し、R'SiO0.5単位(M単位)及びR'2SiO単位(D単位)の少なくとも1個(分子当たり)を、R'SiO0.5単位(T単位)及びSiO2単位(Q単位)の少なくとも1個と共に示す樹脂からなることができる。一般に存在するR'基は、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル及びn−ヘキシルである。樹脂の例としては、樹脂MQ(OH)、MDQ(OH)、TD(OH)及びMDT(OH)が挙げられる。
【0047】
POS−A−又は−B−のために、組成物の粘度を調節するように溶媒を使用することが可能である。シリコーン重合体のための慣用の溶媒としては、キシレン及びトルエンのような芳香族型溶媒、ヘキサン、ヘプタンのような飽和脂肪族溶媒、ホワイトスプリット(登録商標)、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル、又は塩化メチレン及びペルクロルエチレンのような塩素化溶媒が挙げられる。しかし、本発明の関連では、溶媒を使用しないことが好ましい。
【0048】
また、シロキサン実体−A−及び−B−のそれぞれの量は、本発明に従う組成物の脱水素縮合を満足して実施できるように決定される。
従って、≡SiH/≡SiOHの比は、有益には1〜100、好ましくは2〜50、更に好ましくは2〜25である。
【0049】
また、本発明に従う組成物は、少なくとも1種の架橋禁止剤又は遅延剤−D−を含むことができる。このような成分は、一般的には、直ぐに使用できる組成物にある程度の可使寿命を与えるために使用される。一方で、触媒結合物の種類及び組成物中のその濃度を変え、他方で、遅延剤の種類及びその濃度を変えることによって、可使寿命を調節することが可能である。触媒結合物の活性は、加熱(熱的活性化)によって元どおりにされる。遅延剤は、好ましくは、アセチレン系アルコール(エチニルシクロヘキサノール:ECH)及び(又は)マレイン酸ジアリル及び(又は)イソシアヌル酸トリアリル及び(又は)マレイン酸ジアルキル(マレイン酸ジエチル)及び(又は)アルキンジカルボン酸ジアルキル(アセチレンジカルボン酸ジエチル)から、或いは、有利には環状で且つ少なくとも1個のアルケニルによって置換されているポリオルガノシロキサン(テトラメチルビニルシクロテトラシロキサンが特に好ましい。)又はアルキル化マレイ酸エステルから選ばれる。
【0050】
アセチレン系アルコール(例えば、FR−B−1528464及びFR−A−2372874を参照。)が好ましい遅延剤である。これらは、特に、次式:
1−(R2)C(OH)−C≡CH
(ここで、
1は線状若しくは分岐状のアルキル基又はフェニル基であり、
2はH又は線状若しくは分岐状のアルキル基又はフェニル基であり、
1及びR2基と三重結合に関してα−位置にある炭素原子は環を形成することが可能であり、
1及びR2基中に存在する炭素原子の総数は少なくとも5個、好ましくは9〜20個である。)
に相当するものである。
【0051】
該アルコールは、好ましくは、250℃以上の沸点を示すものから選ばれる。例えば、下記のものが挙げられる。
1−エチニルシクロヘキサン−1−オール、
3−メチル−1−ドデシン−3−オール、
3,7,11−トリメチル−1−ドデシン−3−オール
1,1−ジフェニル−2−プロピン−1−オール、
3−エチル−6−エチル−1−ノニン−3−オール、
3−メチル−1−ペンタデシン−3−オール。
これらのα−アセチレン系アルコールは市販製品である。
【0052】
このような遅延剤は、特に、化合物−A−及び−B−の総重量に対して多くとも3,000ppm、好ましくは100〜2,000ppmの割合で存在する。
【0053】
また、本発明に従う組成物は、1種以上のPOS樹脂−E−を含むことができる。これらの樹脂は、市場で入手できる周知の分岐状POSオリゴマー又は重合体である。これらは溶液状で、好ましくはシロキサン溶液で存在する。これらは、その構造中に、式:R*3SiO0.5(M単位)、R*2SiO(D単位)、R*SiO1.5(T単位)及びSiO2(Q単位)の単位から選ばれる少なくとも2個の異なった単位を有するもので、これらの単位の少なくとも1個はT又はQ単位である。
【0054】
*基は、同一又は異なっており、線状若しくは分岐状のC1〜C6アルキル基、C2〜C4アルケニル基、フェニル基又は3,3,3−トリフルオルプロピル基から選ばれる。例えば、R*アルキル基としてメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル及びn−ヘキシル基が挙げられ、R*アルケニル基としてビニル基が挙げられる。前記したタイプのPOS樹脂−E−においては、それらの一部について、R*基はアルケニル基であると解されたい。
【0055】
分岐状のオルガノポリシロキサンオリゴマー又は重合体−E−の例として、MQ樹脂、MDQ樹脂、TD樹脂及びMDT樹脂が挙げられ、アルケニル官能基についてはM、D及び(又は)T単位によって支えられることが可能である。特に適合する樹脂−E−の例として、0.2〜10重量%のビニル基含有量を有するビニル化MDQ又はMQ樹脂が挙げられる。これらのビニル基はM及び(又は)D単位によって支えられている。
【0056】
この構造用樹脂−E−は、有利には、組成物の合算した成分に対して10〜70重量%、好ましくは30〜60重量%、更に好ましくは40〜60重量%の濃度で存在する。
【0057】
また、本発明に従う組成物は、充填剤−F−、好ましくは珪素質又は非珪素質の材料から選ばれる無機充填剤を含有することができる。
【0058】
珪素質材料が係わるときは、それらは強化用又は半強化用充填剤として作用することができる。強化用珪素質充填剤は、好ましくは、コロイドシリカ、フュームドシリカ粉及び沈降法シリカ粉末、又はこれらの2種以上の混合物から選ばれる。半強化用珪素質充填剤、例えば珪藻土又は粉砕石英も使用することができる。これらの粉末は、一般に0.1μm未満の主粒度及び50m2/g以上、好ましくは100〜300m2/gのBET比表面積を示す。
【0059】
非珪素質の無機材料に関しては、それらは、半強化用又は増量用無機充填剤として関与することができる。これらの非珪素質充填剤の例は、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナ水和物、膨張型バーミキュライト、ジルコニア、ジルコン酸塩、非膨張型バーミキュライト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、雲母、タルク、酸化鉄、硫酸バリウム及び消石灰であり、これらは単独で又は混合物として使用することができる。これらの充填剤は、一般に、0.001〜300μmの粒度及び100m2/g未満のBET比表面積を有する。
【0060】
実際に使用される充填剤はシリカであるが、これに限られない。
【0061】
充填剤は、任意の相溶化剤、特にヘキサメチルジシラザンを使用して処理することができる。これに関する詳細については、例えば、特許FR−B−2764894を参照することができる。
【0062】
重量に関しては、組成物の合算した成分に対して5〜30重量%、好ましくは7〜20重量%の充填剤量を使用するのが好ましい。
【0063】
勿論、組成物は、目的とする最終用途によって、あらゆる種類の添加剤を使用して強化することができる。
可撓性支持体(紙又は重合体フィルム)への接着抵抗の用途においては、組成物は、既知の系から選ばれる接着調節用の系を含むことができる。フランス特許FR−B−2450642、特許US−B−3772247又はヨーロッパ特許出願EP−A−0601938に開示されたものが関与できる。それらの例として、
・96〜85重量部の、MDViQ、MMViQ、MDViT、MMヘキセニルQ又は
MMアリルオキシプロピルQ型の少なくとも1種の反応性ポリオルガノシロキサン樹脂(A)、
・4〜15重量部の、MD'Q、MDD'Q、MDT'、MQ又はMDQ型の少なくとも1種の非反応性樹脂(B)
をベースとした調節用の系が挙げられる。
【0064】
本発明の組成物の他の機能性添加剤は、安定剤、殺細菌剤、光増感剤、殺菌剤、腐食防止剤、不凍剤、湿潤剤、消泡剤、合成ラテックス、着色剤又は酸性化剤である。
【0065】
また、慣用の添加剤のうちでも、接着促進剤、例えば、少なくとも1種のアルコキシル化有機シラン、少なくとも1種のエポキシ化有機珪素化合物及び少なくとも1種の金属キレート及び(又は)少なくとも1種の金属アルコキシドを含むもの、例えば、VTMO(ビニルトリメトキシシラン)、GLYMO(グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)又はTBT(チタン酸t−ブチル)が挙げられる。
【0066】
本組成物は、溶液又はエマルジョンであることができる。後者の場合には、それは、少なくとも1種の界面活性剤及び随意の少なくとも1種のpH固定剤、例えばHCO3-/CO32-及び(又は)H2PO4-/HPO42-を含むことができる。
【0067】
本発明の他の主題は、脱水素縮合によって架橋するシリコーン組成物のための脱水素縮合触媒として、本発明で定義したイリジウム触媒錯体を使用することである。この組成物については、上で詳細に定義した。
【0068】
本発明の更に他の主題は、本発明に従って、上で定義した少なくとも1種のイリジウム錯体と上で定義した少なくとも1種の配位子を反応させることによって得ることができる触媒錯体である。
【0069】
本発明の更に他の観点によれば、本発明は、上で定義した組成物を重合及び(又は)架橋させるための方法に関する。この方法は、脱水素縮合が該化合物−A−と−B−の間で実施され且つ該脱水素縮合が触媒錯体−C−の熱的活性化によって開始されることを特徴とする。本発明に従う触媒錯体は、上で説明したように、最初の段階で前記した実体を混合することによって製造することができる。
【0070】
本発明の別の態様によれば、本発明は、反応性≡SiH単位を有するオルガノシロキサン単量体、オリゴマー又は重合体A'と反応性≡SiOH単位を有するオルガノシロキサン単量体、オリゴマー又は重合体B'との間で脱水素縮合を実施して、Si−O−Siシロキシ基によって互いに連結された少なくとも2個のポリオルガノシロキサン鎖を含む分岐状ポリオルガノシロキサンを製造するにあたり、該脱水素縮合反応を上で定義したか又は請求項1〜15のいずれかに記載した触媒錯体Cの存在下に実施すること、要すれば、熱的活性化により開始させることを特徴とする、該分岐状ポリオルガノシロキサンの製造方法に関する。好ましい方法によれば、≡SiH/≡SiOHの比は1以上である。
【0071】
触媒錯体は、化合物Aと化合物Bの混合物、例えばS1又はS2又はS3型の重合体とS4型の重合体との混合物に添加し、或いは、好ましくは、予め化合物B、例えばS4型の重合体と混合してから化合物A、例えばS1又はS2又はS3型の重合体と接触させることができる。一般に、これらの混合物は周囲温度で撹拌しながら製造される。
触媒錯体は、そのままで又は溶媒に溶解させて使用される。
【0072】
触媒錯体溶液は、例えば、脱水素縮合によって重合及び(又は)架橋させようとする単量体、オリゴマー及び(又は)重合体を使用して浴を、存在する触媒錯体の濃度が該浴中に0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%であるように、調製するために使用することができる。
【0073】
使用できる溶媒は、特に、エステル、エーテル、芳香族溶媒、痕跡量の水、炭酸エステル及び立体障害アルコールであってよい。アルコールについては、イソプロピルベンジルアルコール又はベンジルアルコールが挙げられる。エーテルについては、ジ(n−ブチル)エーテルが挙げられる。エステルについては、マレイン酸ジブチル、エチルマロン酸ジメチル、サリチル酸メチル、アジピン酸ジオクチル、酒石酸ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル又は乳酸イソプロピルが挙げられる。他の溶媒はトルエン及びテトラヒドロフランである。
【0074】
撥水性を持つ剥離被覆の製造のための被覆ベースとして特に使用できる本発明に従うシリコーン組成物は、溶媒を含み又は含まない組成物又はエマルジョンであろうと、当業者に周知の手段を使用し及び混合方法に従って製造される。
【0075】
また、本発明は、支持体、好ましくは可撓性支持体に上に定義した組成物、好ましくは上で定義したPOS−A−及び−B−使用する組成物を適用し、次いで架橋を起こさせるようにすることからなる、該支持体上に少なくとも一層の剥離被覆を生成させるための方法に関する。
【0076】
この方法によれば、組成物は、紙を被覆するための工業機械上で使用される装置、例えばロール塗布ヘッド、例えば5本ロール塗布ヘッドを、或いはエアナイフ又は平滑ロッド系を使用して、可撓性支持体又は材料上に適用し、次いで適切な加熱装置、例えば、70〜200℃に加熱したトンネルオーブン中を移動させることによって架橋することができる。このオーブンにおける通過時間は温度に依存する。これは、一般的に、100℃程度の温度で5〜15秒、180℃程度の温度で1.5〜3秒である。
【0077】
該組成物は、任意の可撓性材料又は基材、例えば種々のタイプの紙(例えば、スーパーカレンダー紙、塗被紙又はグラシン紙)、ボード、セルロースシート、金属シート又はプラスチックフィルム(ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)に付着させることができる。
【0078】
組成物の付着量は、処理すべき表面のm2当たり0.5〜2g程度であってよい。これは0.5〜2μm程度の層の付着量に相当する。
【0079】
このように被覆された材料又は支持体は、続いて、感圧性である任意の接着性材料、ゴム、アクリル又は他のものと接触させることができる。この接着性材料は、該支持体又は材料から容易に剥がすことができる。
【0080】
剥離シリコーンフィルムを被覆した可撓性支持体は、例えば、下記のものである。
・接着剤テープ。この内面は感圧接着剤の層が被覆され、その外面は剥離シリコーン被覆を有する。
・粘着性又は感圧接着性部材の接着面を保護するための紙又は重合体フィルム。
・ポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリ(エチレンテレフタレート)型の重合体フィルム。
【0081】
本発明の他の主題は、上で定義したPOS−A−及びPOS−B−を使用して、上で定義した組成物を架橋させると共に、形成された水素ガスの少なくとも一部が反応媒体から排出されないようにする工程を含むことを特徴とする、架橋シリコーンフォームからできた少なくとも1種の物品を製造するための方法である。
【0082】
本発明に従う組成物は、塗料上の剥離被覆、電気電子部品のカプセル化又は繊維用の被覆の分野並びに光学繊維の外装被覆の分野において有用である。
【0083】
本発明の他の主題は、反応性SiH単位を有するシロキサン実体−A−、例えば上で定義したS1又はS2又はS3型のものと、シロキサン実体−B−、例えばS4型のものを含む組成物を架橋させることによって得られる任意の被覆である。これらの被覆は、ワニス、接着性被覆、剥離被覆及び(又は)インク型のものである。
【0084】
また、本発明は、下記のものを目的とする。
・固体材料からなる任意の物品であって、その一つの表面が熱的に重合及び(又は)架橋される前記した組成物で被覆されているもの、
・架橋シリコーンフォーム、特に、成分−A−としての実体S1及び(又は)S2及び(又は)S3と、成分−B−としてのS4型の実体を含む組成物を架橋させ、脱水素縮合による水素ガスの生成を伴って得られるフォーム。
【0085】
本発明のさらに他の主題は、上で説明した組成物から得ることができる樹脂又は重合体である。
【実施例】
【0086】
本発明を下記の実施例によって詳細に説明するが、これらに限定されない。
【0087】
例1〜10及び対照例1
例1〜10の一般的手順
シリコーンオイルの混合物を下記の反応性オイルから製造する。
・1600meqのSiH/100gを含み且つ30mPa・sの粘度を有するポリメチルヒドロシロキサンオイル(以下、SiHオイルという。)、
・14meqのSiOH/100gを含み且つ750mPa・sの粘度を有するα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル(以下、SiOHオイルという。)。
更に、磁気攪拌機を備えた30mLのフラスコに所望量のイリジウム錯体[IrClCod]2及び配位子Σdを秤量し、次いで少量(0.5mL)のトルエン(硫黄を含まない。)で希釈する。この溶液に予め作ったシリコーンオイルの混合物の必要量を添加する。この時点で、磁気攪拌機による撹拌を開始すると同時に、時間測定を開始する。
周囲温度で撹拌した後に、硬化(架橋)時間を測定する。条件及び結果を表1に纏める。
【0088】
対照例1の一般的手順
シリコーンオイルの混合物を下記の反応性オイルから製造する。
・1600meqのSiH/100gを含み且つ30mPa・sの粘度を有するポリメチルヒドロシロキサンオイル(以下、SiHオイルという。)、
・14meqのSiOH/100gを含み且つ750mPa・sの粘度を有するα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル(以下、SiOHオイルという。)。
更に、磁気攪拌機を備えた30mLのフラスコに所望量のイリジウム錯体[IrClCod]2を秤量し、次いで少量(0.5mL)のトルエン(硫黄を含まない。)で希釈する。10分間攪拌した後に、この溶液に予め作ったシリコーンオイルの混合物の必要量を添加する。この時点で、磁気攪拌機による撹拌を開始すると同時に、時間測定を開始する。
周囲温度で撹拌した後に、硬化(架橋)時間を測定する。
条件及び結果を表1に纏める。
【0089】
【表1】

【0090】
請求の範囲により規定される発明が前記した説明に示された特定の具体例に限定されず、本発明の範囲からも精神からも逸脱しない別の形態も包含することを理解するべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水素縮合によって架橋することができ、しかも、
・−A−:分子当たり少なくとも1個の反応性≡SiH単位を有する少なくとも1種のオルガノシロキサン単量体、オリゴマー及び(又は)重合体、
・−B−:分子当たり少なくとも1個の反応性≡SiOH単位を示す少なくとも1種のオルガノシロキサン単量体、オリゴマー及び(又は)重合体、
・−C−:少なくとも1種の触媒錯体、
・−D−:随意の、少なくとも1種の架橋禁止剤又は遅延剤、
・−E−:随意の、少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(POS)樹脂、
・−F−:随意の、少なくとも1種の充填剤
を含有するシリコーン組成物であって、該触媒−C−が、
−C1−:一方の、次式(I):
(IrΣΣ'2n
{ここで、
1)nは1又は2であり、
・nが1であるならば、Σは3電子ラジカル配位子LX、好ましくはアセチルアセトン、β−ケトエステル、マロン酸エステル、アリル化合物、カルバメート、ジチオカルバメート又はカルボン酸から誘導される配位子であり、
・nが2であるならば、Σは2個のイリジウム原子を架橋させる1電子ラジカル配位子Xであって、1個のイリジウム原子に対しては1電子配位子Xの機能を及び2個のイリジウム原子の組合せに対しては3電子配位子LXの機能を有するものであり、特にハロ、アルコキシ又はアリールオキシから選ばれる配位子であり、
2)Σ'は同一又は異なっていて、それぞれ、特に、オレフィン、アルキン、アルデヒドのC=O二重結合又はケトン、C=N若しくはC=Sのようなπ結合対のドナー;H−H(二水素)結合又はH−Si結合(特に、シラン(H−SiR3)における)のようなσ結合対のドナー及び有機燐化合物、R2O、R2S、NR3又はTHF配位子から選ばれる2電子配位子Lである。}
のイリジウム錯体と、
−C2−:他方の、R2S、R2O、NR3、カルベン又は式:P(OR)p(R)q{ここに、p及びqは0〜3であり、ただし、p+q=3である。}の有機燐化合物から選ばれるの配位子Σd
とを一緒に反応させることによって得ることができるイリジウム錯体であることを特徴とするシリコーン組成物。
【請求項2】
n=2であり且つイリジウム錯体が次の一般式(I'):
【化1】

{ここで、
Σは2個のイリジウム原子を架橋させる1電子ラジカル配位子Xであって、1個のイリジウム原子については1電子配位子Xの機能を及び2個のイリジウム原子の組合せについては3電子配位子LXの機能を有するものであり、特にハロ、アルコキシ又はアリールオキシから選ばれる配位子であり、
Σ'は次式の単位:
【化2】

の少なくとも1個を含む炭化水素基から形成され、好ましくは第2の単位を含む炭化水素基から形成される2電子配位子Lであり、更に好ましくは同じIr原子により支えられている2個のΣ'配位子が同じ分子により支えられている。}
の二量体錯体であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
nが1であり且つΣがアセチルアセトナト、アリル、シクロプロペニル、カルボキシラト、カルバマト又はジチオカルバマト配位子から、特にアセチルアセトナト及びアリル配位子から選ばれ、好ましくはアセチルアセトナト配位子であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
nが2であり且つΣがハロ、特にクロロ及びアルコキシから選ばれる配位子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
Σ'が同一又は異なっており、好ましくは同一であって、それぞれ、次式の単位:
【化3】

の少なくとも1個を含む炭化水素基{この炭化水素基は線状、分岐状、芳香族又は(多)環式であり、1個以上の複素原子(例えば、O、S又はN)によって中断されていてよく、2〜18個の炭素原子を有する。}から選ばれる2電子配位子Lを表わすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
同じIr原子に結合する2個のΣ'配位子が同じ分子により支えられる官能基であることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
該分子が1,5−シクロオクタジエンであることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
Σ'配位子が式:P(OR)p(R)q{ここに、p及びqは0〜3であり、ただし、p+q=3である。}型のものであり、好ましくはホスフィンPR3又はホスファイトP(OR)3であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
配位子Σdが式:P(OR)p(R)q{ここに、p及びqは0〜3であり、ただし、p+q=3である。}の有機燐化合物であり、好ましくはホスフィンPR3又はホスファイトP(OR)3であり、これらの式において、R基は同一又は異なっていて、特に1〜30個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状のアルキル基;1個以上の環、好ましくは1若しくは2個の環を含むアルキル基(該環は特に4〜14個の炭素原子、好ましくは5〜8個の炭素原子を有することが可能である。)又は1個以上の縮合若しくは非縮合の芳香族若しくは複素芳香族環、特に1若しくは2個の環を含むアリール若しくはアラルキル基(該環は特に4〜14個の炭素原子、好ましくは5〜8個の炭素原子を有することが可能である。)であり、また前記の環は1以上の基、特に1又は2個の基、例えばアルコキシ、ハライド、アミノ又は特に1〜12個の炭素原子、好ましくは4〜12個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状のアルキル基により置換されていてよいことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
n=2であり且つ二量体イリジウム錯体が二塩化ビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)でることを特徴とする請求項1〜2又は4〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
配位子Σdがトリフェニルホスフィン及びトリス(p−メトキシフェニル)ホスフィンよりなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
触媒錯体−C−が二塩化ビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)とトリフェニルホスフィンとの混合の生成物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
≡SiHを有するオイルと≡SiOHを有するオイルとの混合物からなるボディに対して1ppm〜1000ppm、好ましくは1ppm〜300ppmのイリジウム金属を含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
触媒錯体がIrの1モル当たり0.5〜10モル、好ましくは0.5〜5モル、特に0.5〜2モルの配位子Σdを使用することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
触媒錯体がIrの1モル当たり0.75〜1.5モル、特に0.75〜1.25モル、更に好ましくは1モルの配位子Σdを使用することを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
反応性≡SiH単位を有するオルガノシロキサン単量体、オリゴマー及び(又は)重合体−A−が、下記の式(II)の単位を少なくとも1個有し且つ下記の式(III) の単位により停止されているか、又は環状であり且つ下記の式(II)の単位からなることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の組成物:
【化4】

{ここで、
記号R1は、同一又は異なっていて、
・1〜8個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状のアルキル基(これは少なくとも1個のハロゲン(好ましくは弗素)により置換されていてもよい。アルキル基は好ましくはメチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオルプロピルである。)、
・5〜8個の環炭素原子を含む置換されていてもよいシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を含む置換されていてもよいアリール基、
・5〜14個の炭素原子を有するアルキル部分と6〜12個の炭素原子を有するアリール部分を有するアラルキル基(これはアリール部分にハロゲン、1〜3個の炭素原子を有するアルキル及び(又は)アルコキシルが置換していてもよい。)
を表わし、
記号Zは、同一又は異なっていて、
・水素基、
・R1について上に示した意味と同じ意味に相当する基
を表わし、ただし記号Zの少なくとも1個(分子当たり)はHを表わす。}。
【請求項17】
反応性≡SiOH単位を有するオルガノシロキサン単量体、オリゴマー及び(又は)重合体−B−が、下記の式(IV)の単位を少なくとも1個有し且つ下記の式(V) の単位により停止されているか、又は環状であり且つ下記の式(IV)の単位からなることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の組成物:
【化5】

{ここで、
記号R2は、同一又は異なっていて、
・1〜8個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状のアルキル基(これは少なくとも1個のハロゲン(好ましくは弗素)により置換されていてもよい。アルキル基は好ましくはメチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオルプロピルである。)、
・5〜8個の環炭素原子を含む置換されていてもよいシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を含む置換されていてもよいアリール基、
・5〜14個の炭素原子を有するアルキル部分と6〜12個の炭素原子を有するアリール部分を有するアラルキル基(これはアリール部分にハロゲン、1〜3個の炭素原子を有するアルキル及び(又は)アルコキシルが置換していてもよい。)
を表わし、
記号Z'は、同一又は異なっていて、
・ヒドロキシル基、
・R2について上に示した意味と同じ意味に相当する基
を表わし、ただし記号Z'の少なくとも1個(分子当たり)はOHを表わす。}。
【請求項18】
反応性≡SiH単位を有するオルガノシロキサン単量体、オリゴマー又は重合体−A−が、次の一般式(VI):
【化6】

{ここで、
x及びyはそれぞれ0〜200の間で変わる整数又は分数を表わし、
R'1及びR"1は、互いに独立して、
・1〜8個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状のアルキル基(これは少なくとも1個のハロゲン(好ましくは弗素)により置換されていてもよい。アルキル基は好ましくはメチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオルプロピルである。)、
・5〜8個の環炭素原子を含む置換されていてもよいシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を含む置換されていてもよいアリール基、
・5〜14個の炭素原子を有するアルキル部分と6〜12個の炭素原子を有するアリール部分を有するアラルキル基(これはアリール部分で置換されていてもよい。)
を表わし、
また、R"1については、R"1基の少なくとも一つ(好ましくは、両方)がx=0であるときに水素に相当するという条件で水素に相当することが可能である。}
に相当することを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
反応性≡SiOH単位を有するオルガノシロキサン単量体、オリゴマー又は重合体−B−が、次の一般式(VII):
【化7】

{ここで、
x'及びy'はそれぞれ0〜1200の間で変わる整数又は分数を表わし、
R'2及びR"2は、互いに独立して、
・1〜8個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状のアルキル基(これは少なくとも1個のハロゲン(好ましくは弗素)により置換されていてもよい。アルキル基は好ましくはメチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオルプロピルである。)、
・5〜8個の環炭素原子を含む置換されていてもよいシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を含む置換されていてもよいアリール基、
・5〜14個の炭素原子を有するアルキル部分と6〜12個の炭素原子を有するアリール部分を有するアラルキル基(これはアリール部分で置換されていてもよい。)
を表わし、
また、R"2については、R"2基の少なくとも一つ(好ましくは、両方)がx'=0であるときにOHに相当するという条件でOHに相当することが可能である。}
に相当することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
反応性≡SiH単位を有するオルガノシロキサン単量体、オリゴマー又は重合体が分子当たり1〜50個の反応性≡SiH単位を含むことを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
反応性≡SiOH単位を有するオルガノシロキサン単量体、オリゴマー又は重合体が分子当たり1〜50個の反応性≡SiOH単位を含むことを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
反応性≡SiH単位を有するオルガノシロキサン単量体、オリゴマー又は重合体−A−が次式:
【化8】

{ここで、a、b、c、d及びeは、
・式S1の重合体においては、
0≦a≦150、好ましくは0≦a≦100、更に好ましくは0≦a≦20、
1≦b≦55、好ましくは10≦b≦55、更に好ましくは30≦b≦55、
・式S2の重合体においては、
0≦c≦15、
・式S3の重合体においては、
5≦d≦200、好ましくは20≦d≦50、
2≦e≦50、好ましくは10≦e≦30
で変わる数を表わす。}
の化合物から選ばれることを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
反応性≡SiOH単位を有するオルガノシロキサン単量体、オリゴマー又は重合体−B−が次式:
【化9】

(ここで、1≦f≦1200、好ましくは50≦f≦400、更に好ましくは150≦f≦250である。)
の化合物から選ばれることを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
≡SiH/≡SiOHの比が1〜100、好ましくは10〜50、更に好ましくは15〜45であることを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれかに記載の組成物を重合及び(又は)架橋させるにあたり、前記化合物−A−と−B−の間で脱水素縮合を実施すること、該脱水素縮合を触媒錯体−C−の熱的活性化によって開始させることを特徴とする、該組成物の重合及び(又は)架橋方法。
【請求項26】
支持体、好ましくは可撓性支持体に請求項1〜24のいずれかに記載の組成物を適用し、次いで架橋を起こさせるようにすることからなる、該支持体上に少なくとも一層の剥離被覆を生成させるための方法。
【請求項27】
架橋したシリコーンフォームからできた少なくとも1種の物品を製造するにあたり、支持体に請求項1〜24のいずれかに記載の組成物を適用し、次いで架橋を起こさせるようにすることからなる、該物品の製造方法。
【請求項28】
請求項1〜24のいずれかに記載の組成物を架橋させることにより得られた被覆。
【請求項29】
固体材料からなり、その少なくとも一方の表面に請求項28に記載の被覆を被覆してなる物品。
【請求項30】
請求項1〜24のいずれかに記載の組成物を架橋させることにより得られた架橋シリコーンフォーム。
【請求項31】
反応性≡SiH単位を有するオルガノシロキサン単量体、オリゴマー又は重合体−A'−と反応性≡SiOH単位を有するオルガノシロキサン単量体、オリゴマー又は重合体−B'−との間の脱水素縮合を実施して、Si−O−Siシロキシ基によって互いに連結された少なくとも2個のポリオルガノシロキサン鎖を含む分岐状ポリオルガノシロキサンを製造するにあたり、該脱水素縮合反応を請求項1〜15のいずれかに記載の触媒錯体−C−の存在下に実施すること、要すれば、熱的活性化により開始させることを特徴とする、該分岐状ポリオルガノシロキサンの製造方法。
【請求項32】
≡SiH/≡SiOHの比が1以上であることを特徴とする請求項31に記載の方法。

【公表番号】特表2007−527932(P2007−527932A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516327(P2006−516327)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001616
【国際公開番号】WO2005/003212
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【Fターム(参考)】