説明

金属酸化物コーティングを含む粒子の製造方法及び金属酸化物コーティングを有する粒子

本発明は、固体の水不溶性微粒子物質に金属酸化物をコーティングするための方法であって、(a)固体の水不溶性微粒子物質をイオン性添加剤及び水性媒体と接触させて、その表面に正電荷を有する前記微粒子物質の分散物を得ること;(b)金属酸化物塩を微粒子物質の表面上に析出させて、その上に金属酸化物層を形成することによって、金属酸化物コーティング層で被覆された微粒子物質を得ることを含むコーティング処理を微粒子物質に施すこと;(c)工程(b)を少なくともさらに4回繰り返すこと;及び(d)前記コーティング層をエージングすることを含む方法に関する。本発明は、さらに、金属酸化物層で被覆された微粒子物質を含む粒子、局所投与のための該粒子の使用、及び該粒子を使用して、ある場所における有害生物を防止、低減又は除去するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、金属酸化物コーティング層を含む粒子の製造方法及び金属酸化物コーティングを有する粒子を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
金属酸化物は、封入材料、及び様々な方法を用いた化粧品、生体材料、光学機器のレンズ、レーザ、蛍光等の様々な用途のためのマトリックスとして使用されてきた。
【0003】
組成管理された本体及び表面特性を有するハイブリッド無機−有機構造体からなる殻が、Hall,Simon,R.ら、「ナノ粒子上の有機シリカハイブリッド殻の共縮合、鋳型:機能化コアへの直接合成経路−殻コロイド(Cocondensation of Organosilica Hybrid Shells on Nanoparticle,Templates: A Direct Synthetic Route to Functionalized Core−Shell Colloids)」、Langmuir、16:1454−1456、2000に記載されている。
【0004】
改造型ストベル法によるコア銀粒子上へのシリカ殻の形成が、Matijeviらにより、Journal of Colloid and Interface Science、第221巻、第1号、2000年1月1日、133〜136頁に報告されている。彼らは、「コロイド及び表面A:物理化学的側面及び工学的側面(Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects)」、第81巻、1993年12月13日、153〜159頁において、Ti(IV)ブトキシドの加水分解による非晶質チタニアでコーティングされたCu(II)塩基性炭酸塩の球状粒子の形成についても報告している。この報告において、彼らは、実験条件を変えることによって殻の厚さを変えることが可能であることを示している。単分散シリカ粒子をチタニアでコーティングすることによって白色顔料(漂白剤)が製造された。この粉末の隠蔽力が、粒径、チタニア殻の厚さ及び焼成温度の関数として評価された(Matijeviら、Journal of Colloid and Interface Science、第156巻、第1号、1993年3月1日、56〜65頁)。
【0005】
van Bruggen、M.P.B.、「コロイドコアの製造及び特性−調整可能なアスペクト比を有する殻棒(Preparation and Properties of Colloidal Core−Shell Rods with Adjustable Aspect Ratios)」、Langmuir、14:2245−2255、1998に記載されているように、コロイドベーマイト(AlOOH)棒が、シリカ殻を有する棒を製造するためのコアとして使用された。
【0006】
蛍光分子をシリカ「ナノバブル」に封入するための方法が、Makarova,Olga V.ら、「ナノ粒子における蛍光プローブの吸着及び封入(Adsorption and Encapsulation of Fluorescent Probes in Nanoparticles)」、J.Phys.Chem.B、103:9080−9084、1999に報告された。Bugnon,Philippe(Bugnon,Philippe、「顔料の表面処理。無機材料による処理(Surface treatment of pigments.Treatment with inorganic materials)」、Progress in Organic Coatings 29:39−43、1996)は、無機材料による顔料の新規の処理を報告した。Mikrajuddinら(Mikrajuddinら、「ゾル−ゲル及び噴霧乾燥を組み合わせた方法によって製造されたシリカナノ粒子マトリックスにおける酸化亜鉛量子点の安定した光ルミネッセンス(Stable photoluminescence of zinc oxide quantum dots in silica nanoparticles matrix prepared by the combined sol−gel and spray drying method)」、Journal of Applied Physics、89:11、2001)は、ZnOコロイドに対する光ルミネッセンスの安定性が向上したZnO/SiO2ナノコンポジットを報告した。
【0007】
Villalobos,Guillermo,R.ら「硫化亜鉛系蛍光体粒子上の保護シリカコーティング(Protective Silica Coatings on Zinc−Sulfide−Based Phosphor Particles)」、J.Am.Ceram.Soc.、85(8):2128−2130、2002に記載されているように、噴霧乾燥手法を用いて、15nm厚のSiO連続コーティングがZnS:Ag蛍光体粒子上に塗布された。
【0008】
Iskandarらは、エアロゾル噴霧法によるマイクロカプセル化粉末の製造を報告した。それらの粉末は、2種類のゾル又はゾル−水混合物前駆体溶液を混合することによって製造された(Iskandar,Ferryら、「エアロゾル噴霧法によるマイクロカプセル化粉末の製造及びそれらの光学特性(Preparation of microencapsulated powders by an aerosol spray method and their optical properties)」、Advanced Powder Technol.14(3):349−367、2003)。Iskandarら(「ナノ粒子ゾルの噴霧乾燥によって製造されたナノ構造粒子の形態の制御(Control of the morphology of nanostructured particles prepared by the spray drying of a nanoparticle sol)」、J Colloid Interface Sci.、265(2):296−303、2003)は、シリカナノ粒子ゾルの噴霧乾燥による粒子形態に影響を与えるパラメータをさらに記載した。
【0009】
逐次層技術を用いたシリカコーティングが、Dun,Huijuanら、「HPLCパッキングのためのシリカ球体上の多層ジルコニアナノ粒子の逐次層自己集成(Layer−by−Layer Self−Assembly of Multilayer Zirconia Nanoparticles on Silica Spheres for HPLC Packings)」、Anal,Chem.、76:5016−5023、2004;Yuan,Junjieら、「逐次層集成を介してコロイドナノシリカ粒子でコーティングされた有機顔料粒子(Organic Pigment Particles Coated with Colloidal Nano−Silica Particles via Layer−by−Layer Assembly)」、Chem.Mater.、17(4):3587−3594、2005;Chung,Chau−Chyunら、「YS:Eu/シリカコア−殻粒子の水性合成(Aqueous Synthesis of YS:Eu/Silica Core−Shell Particles)」、J.Am.Ceram.Soc.、88(5):1341−1344、2005に記載されている。
【0010】
ゾル−ゲル法及びヘテロ凝固法を用いてシリカでコーティングされたY2O2:Eu赤色蛍光体粉末がJean,Jau−Hoら、「シリカでコーティングされたYS:Eu赤色蛍光体粉末(YS:Eu Red Phosphor Powders Coated with Silica)」、J.Am.Ceram.Soc.、83(8):1928−1934、2000に記載された。
【0011】
Wilhelm,P.ら(Wilhelm,P.ら、「ゼータ電位測定によるチタニアナノ粒子を含むナノスケールシリカのコーティングのオンライン追跡(On−line tracking of the coating of nanoscaled silica with titania nanoparticles via zeta−potential measurements)」、Journal of Colloid and Interface Science、293:88−92、2006)は、ヘテロ凝固によってチタニアナノ粒子で直接コーティングされたナノスケール球状粒子を報告した。
【0012】
コロイドシリカ粒子とZnS型蛍光体の表面との相互作用が、Merikhi,J.ら、「ZnS型蛍光体表面上へのコロイドSiO粒子の接着(Adhesion of Colloidal SiO Particles on ZnS−Type Phosphor Surfaces)」、Journal of Colloid and Interface Science、228:121−126、2000において検討された。
【0013】
粒子上のSiOコーティングを得るために利用される珪酸ナトリウムが、Wang,Hongzhiら、「水性媒体におけるシリカでコーティングされた酸化亜鉛粒子の製造に対する多価電解質分散剤の影響(Effect of Polyelectrolyte Dispersants on the Preparation of Silica−Coated Zinc Oxide Particles in Aqueous Media)」、J.Am.Ceram.Soc.、85(8):1937−1940、2002; 米国特許第2,885,366号;米国特許第3,826,670号に記載されている。
【0014】
シリカゲルの供給源、及びゲル特性を制御する要因が、Iler Ralph K.、The Chemistry of Silica、Wiley−Interscience publication、1979、510〜533頁に記載された。米国特許第6,303,290号には、水性コロイドゾル−ゲル法により製造された多孔質ガラス状マトリックスへの生体材料の封入が記載されている。この方法は、ゲル特性を制御することによって生体材料をシリカケージ形に閉じ込めることを含む。
【0015】
JP02−002867及びJP02−251240には、シリカと、油中水エマルジョンで製造されたベンゾフェノン誘導体又はジベンゾイルメタン誘導体などのUVフィルタとの共沈殿によって製造された、主にシリカで構成される球状粒子が開示されている。
【0016】
米国特許第6875264号には、透明基板、基板上の高屈折率材料の層、並びに第1の層の上の低屈折率及び高屈折率材料の交互層を含む多層効果顔料が開示されている。高屈折率材料は、二酸化チタンであってよく、低屈折率材料は、二酸化珪素であってよい。
【0017】
米国特許第6090399号には、多孔質マトリックスを有する金属酸化物ガラスに組み込まれた1つ又は複数の生物活性化合物を含む徐放性組成物が開示されている。
【0018】
米国特許第7,001,592号及び米国特許第7,037,513号には、局所的な使用のための組成物、例えば、添加剤がゾル−ゲル封入活性日焼け止め又は非日焼け止めを含むボディ洗浄液が開示されている。米国特許第7,052,913号には、プロドラッグを生物活性剤に変換するために対象に投与することができる、反応中心を封入するゾル−ゲルなどの生体適合性マトリックスが開示されている。
【0019】
米国特許第6,303,149号、同第6,238,650号、同第6,468,509号、同第6,436,375号、US2005037087、US2002064541、並びに国際公開第WO00/09652号、同第WO00/72806号、同第WO01/80823号、同第WO03/03497号、同第WO03/039510号、同第WO00/71084号、同第WO05/009604号及び同第WO04/81222号には、ゾル−ゲルマイクロカプセル及びそれらの製造方法が開示されている。欧州特許第0934773号及び米国特許第6,337,089号には、コア材料及び有機ポリシロキサンで構成されたカプセル壁を含むマイクロカプセル、並びにそれらの製造が教示されている。欧州特許第0941761号及び米国特許第6,251,313号には、また、有機ポリシロキサンの殻壁を有するマイクロカプセルの製造が教示されている。米国特許第4,931,362号には、活性の水不溶性成分を含む内部水不溶性液相を有するマイクロカプセル又はマイクロマトリックス体を形成する方法が記載されている。ゾル−ゲル法によって製造されたマイクロカプセルは、英国特許第2416524号、米国特許第6855335号及び国際公開第WO03/066209号にも開示されている。
【0020】
不安的な成分を保護するのに利用できる別の媒体は、ゾル−ゲルマトリックス内のドーピングである。この方法において、モノリス、粒子又は他の成形物(薄膜など)が製造され、活性成分がゾル−ゲルマトリックスの孔に固定される。ゾル−ゲルマトリックスは、少量の活性成分でドープされる。この方法は、国際公開第WO98/31333号、米国特許第6,495,352号及び米国特許第5292801号で利用された。
【0021】
したがって、固体の水不溶性微粒子物質上への金属酸化物層の所望の厚さまでの成長を可能にし、金属酸化物層の厚さの制御及び調整の利点を有する前記固体の水不溶性微粒子物質の金属酸化物コーティングのための新しい方法を有することが、必要であることが広く認識されており、大いに有利である。さらに、(金属酸化物コーティング層へのその浸出を低減することによって)周囲から活性剤を単離することで、活性剤に伴う副作用及び毒性を低減する能力を特徴とし、さらに治療部位への活性剤の放出を効率的に制御する特に皮膚科又は農業用途の組成物が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、固体の水溶性微粒子物質上に金属酸化物の厚い高密度のコーティングを得る方法の発見に基づく。新規の方法による金属酸化物層の形成は、不可逆的であり、即ち水に分散した際に浸食又は崩壊しない。新規の方法は、さらに、より高密度の層を得ることを可能にし、金属酸化物層の幅の微調整が可能であるため、表面(皮膚若しくは粘膜又は有害生物蔓延面など)に適用した際の微粒子からの活性成分の放出のより良好な制御を可能にする。新規の方法は、固体の水不溶性微粒子物質をイオン性添加剤、例えば、水性媒体中の第1のカチオン性添加剤で処理して、その表面に正電荷を有する前記微粒子物質の分散物を得ること;金属酸化物塩の析出によって微粒子物質をコーティングすること;及びコーティング層をエージングすることを含む。コーティングは、少なくともさらに4回、好ましくはさらに4回から約1000回、より好ましくは4回から約300回、さらにより好ましくは4回から約100回繰り返される。エージング工程は、プロセスの最後に実施される。より好ましくは、エージングは、繰り返されるコーティング工程(即ち少なくともさらに4回繰り返されるコーティング工程)の間では実施されず、プロセスの最後にのみ実施される。該方法は、いかに詳述されるように、金属酸化物層の表面電荷を改質して、上記の方法と同様の方法でさらなる金属酸化物層によるさらなるコーティングのためにそれを反応性にするために、そのようにして形成されたコーティングを表面接着性の第2のカチオン性添加剤で処理してコーティング上に正電荷を得るさらなる工程を含む。前記カチオン性添加物に代えて、又は加えて、非イオン性の表面接着性添加剤(例えば非イオン性ポリマー)を使用することができる。理論に拘束されることなく、当該非イオン性添加剤は、コーティングされた金属酸化物層上へのさらなる金属酸化物層の析出を可能にする接着性材料として機能することができる。該方法は、例えば、濾過、遠心又はデカンテーションなどによって、コーティングされた微粒子物質を分離する工程;及び場合により、得られた、コーティングされた微粒子物質を洗浄し、水性媒体に再分散する工程をさらに含むことができる。
【0023】
新規の製造方法は、得られた層の幅を微調整する能力を有する、微粒子物質上の金属酸化物コーティングの1つ又は複数の厚い層の形成及び成長を可能にする。これは、金属酸化物層を通じて徐々に放出される能力を有する活性成分をその周囲から単離することが必要である一定の用途に特に有利である。例示的な用途は、皮膚科用途又は化粧品用途、並びに家庭、園芸又は農業用農薬の場合の用途である。新規の方法は、金属酸化物層の厚さの微調整及び制御を可能にする。
【0024】
コーティングされていない活性剤の組成物と比較して、活性剤の実質的に同じ又はより大きな治療効果及び副作用の軽減を達成することを意図したコーティングが好適である。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の一態様によれば、固体の水不溶性微粒子物質に金属酸化物をコーティングするための方法であって、
(a)固体の水不溶性微粒子物質をイオン性添加剤及び水性媒体と接触させて、その表面に正電荷を有する前記微粒子物質の分散物を得ること;
(b)金属酸化物塩を微粒子物質の表面上に析出させて、その上に金属酸化物層を形成することによって、金属酸化物コーティング層で被覆された微粒子物質を得ることを含むコーティング処理を微粒子物質に施すこと;
(c)工程(b)を少なくともさらに4回繰り返すこと;及び
(d)前記コーティング層をエージングすること
を含む上記方法が提供される。
【0026】
本発明の別の態様によれば、本発明に記載の方法によって得られるコーティングされた微粒子物質が提供される。
【0027】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明に記載のコーティングされた微粒子物質を含む組成物を表面に局所投与することを含む、対象における表面状態を治療するための方法であって、該微粒子物質が局所的皮膚科学的活性剤である、上記方法が提供される。
【0028】
本発明のさらなる態様によれば、微粒子物質が、皮膚又は粘膜上への局所投与のための局所的皮膚科学的活性剤である、本発明に記載のコーティングされた微粒子物質の使用が提供される。
【0029】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に記載のコーティングされた微粒子物質を含む農薬組成物の農薬として有効な量を前記有害生物の部位に適用することを含む、ある部位における有害生物を防止、低減又は除去するための方法であって、該微粒子物質が農薬である、上記方法が提供される。
【0030】
また、金属酸化物層で被覆された微粒子物質を含む粒子であって、(i)前記金属酸化物層は、0.1〜10ミクロンの幅を有し、(ii)前記粒子は、前記微粒子物質が可溶である媒体、典型的にはアセトニトリル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール又はメタノールなどの有機系溶媒中、及び微粒子物質の濃度が微粒子物質の溶解度より小さい溶解容量にて、パドル法を用いた溶解テスターで試験すると、微粒子物質の50%w/wを前記粒子から放出させるための時間が、前記粒子における微粒子物質と実質的に同じ粒径を有する遊離形の微粒子物質の溶解と比較して、少なくとも2倍、好ましくは3倍、より好ましくは5倍、最も好ましくは10倍であることを特徴とする粒子が本発明によって提供される。
【0031】
さらに、固体の水不溶性微粒子物質で構成されたコアを含む粒子であって、前記コアは、金属酸化物層で被覆され、前記金属酸化物層は、実質的に非晶質でなく、且つ/又は結晶の形でない粒子が本発明によって提供される。「前記金属酸化物層は、実質的に非晶質でなく、且つ/又は結晶の形でない」という用語は、非晶質金属酸化物(その純粋な形の金属酸化物が非晶質である場合)又は結晶質金属酸化物(その純粋な形の金属酸化物が結晶性材料を含むか、又は純粋に結晶質である場合)の異なる領域をX線回折などの方法によって検出できないことを意味する。非晶質でなく、且つ/又は結晶質でない金属酸化物層は、金属酸化物と接着性添加剤の共構造複合体を指す。当該接着性添加剤は、例えば、金属酸化物の連続領域の形成を妨害することによって、非晶質でなく、結晶質でない金属酸化物の形をもたらすポリマーであってよい。非晶質でなく、結晶質でない金属酸化物の形は、その純粋な形の金属酸化物に特有のX線回折ピークを有さないことを特徴とする。例えば、その純粋な形の金属酸化物が非晶質である場合は、特徴的な1つ又は複数のX線回折ピークを検出することができる。これは、例えば、純粋な金属酸化物コーティングを有する粒子の場合に当てはまり得る。本発明のこの態様による粒子の場合は、非晶質に特有の特徴的なX線回折ピークが存在しないか、シフトするか、又は平坦化する。一例は、非晶質シリカコーティングを有する粒子と比較して、異なるピーク、即ち存在しないか、シフトするか、又は平坦化したピークを有することになるシリカ系コーティングを有する粒子である。その純粋な形で、結晶質領域を含むか、又は純粋に結晶質である金属酸化物の場合、複合コーティングの場合は、結晶質の形に特有のピークが存在しないか、シフトするか、又は平坦化する。したがって、X線回折は、本発明のこの態様の粒子を他の粒子と区別する役割を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】工程2b、即ちコーティングオプション#2を用いて実施例1のコーティング処理により製造されたサンプルSGT025についてのBPOの放出率を示す。繰返しコーティングの回数は、20、30、40であった。エージングを25℃で96時間実施した。放出率を自由BPOと比較する。
【図2】工程2a、即ちコーティングオプション#1を用いて実施例1のコーティング処理により製造されたサンプルSGT010についてのBPOの放出率を示す。繰返しコーティングの回数は、20、35であった。エージングを25℃で72時間実施した。放出率を自由BPOと比較する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、固体の水不溶性微粒子物質に金属酸化物をコーティングするための方法であって、
(a)固体の水不溶性微粒子物質をイオン性添加剤及び水性媒体と接触させて、その表面に正電荷を有する前記微粒子物質の分散物を得ること;
(b)金属酸化物塩を微粒子物質の表面上に析出させて、その上に金属酸化物層を形成することによって、金属酸化物コーティング層で被覆された微粒子物質を得ることを含むコーティング処理を微粒子物質に施すこと;
(c)工程(b)を少なくともさらに4回繰り返すこと;及び
(d)前記コーティング層をエージングすること
を含む上記方法に関する。
【0034】
本明細書に用いられているように、「固体の水不溶性微粒子物質」という用語は、室温(20℃)における水への溶解度が1%w/w未満、典型的には0.5%w/w未満、ときには0.1%w/w未満である固体の材料を指す。
【0035】
「固体の水不溶性微粒子物質」は、該方法によって得られる粒子の「コア」を構成する。固体の水不溶性微粒子物質は、好ましくは、それを水に懸濁させることができるような細分の状態、例えば、好ましくは0.3〜50ミクロンのD90(以下の定義参照)を有する微細粉末の形である。界面活性剤を利用して、又は利用せずに撹拌することによって当該微粒子物質を水性系に容易に懸濁させることができる。「固体の水不溶性微粒子物質」は、本質的に活性成分を含むか、又は活性成分及び賦形剤(例えば固体の担体)を含むことができる。
【0036】
「固体の水不溶性微粒子物質」という用語及び「微粒子物質」という用語は、区別なく用いられることになる。
【0037】
本発明において、「層」、「コーティング」及び類似の用語は、粒子又は微粒子物質のまわりに形成された金属酸化物の層を指す。層又はコーティングは、必ずしも完全又は均一でなく、必ずしも微粒子物質又は粒子表面の完全な被覆をもたらさない。コーティング工程を繰り返すと、コーティングプロセスが進行するに従って、微粒子物質のより均一なコーティング及びより完全な被覆が確保されることが理解される。
【0038】
該方法の工程(a)において本明細書に用いられている「分散物」という用語は、水性媒体における微粒子物質の固体分散物を指す。
【0039】
該方法の工程(a)は、例えば、粉砕又は均質化によって、微粒子物質の粒径を所望の粒径まで減ずることをさらに含むことができる。
【0040】
コア(即ち固体の水不溶性微粒子物質)は、任意の形状、例えば、棒状、板状、楕円形、立方体又は球状であってよい。
【0041】
粒子の径の言及は、粒子の90%が(容量で測定された)指定寸法以下を有することを意味するそれらのD90を介するものとする。したがって、例えば、10マイクロメートル(「ミクロン」)の直径を有すると記載される球状粒子については、これは、粒子が10ミクロンのD90を有することを意味する。D90をレーザ回折によって測定することができる。球形以外の形状を有する粒子については、D90は、複数の粒子の直径の平均値を指す。
【0042】
球形を有するコアの場合は、直径(D90)が、0.3から90ミクロン、好ましくは0.3から50ミクロン、より好ましくは1から50ミクロン、さらにより好ましくは5から30ミクロンの範囲であってよい。
【0043】
「D90は、0.3から90ミクロンの範囲であってよい」という用語は、90容量%の粒子(この場合は粒子のコア)が0.3から90ミクロンの範囲の値以下であってよいことを意味する。
【0044】
全体的に立方体のコア、又は立方体に似た形を有するコアについては、辺の平均サイズが、0.3から80ミクロン、好ましくは0.3から40ミクロン、より好ましくは0.8から40、さらにより好ましくは4から15ミクロンの範囲であってよい。
【0045】
棒状、楕円形及び板状のコアについては、最大寸法(最長軸の寸法)が、典型的には10から100ミクロン、好ましくは15から50ミクロンの範囲であり、最小寸法が、典型的には0.5から20ミクロン、より好ましくは2から10ミクロンの範囲である。
【0046】
本明細書に用いられているように、他に指定する場合を除いて、「粒子」という用語は、金属酸化物がコーティングされた微粒子物質を指す。
【0047】
該方法によって得られる粒子のいくつかをときには固体の水不溶性微粒子物質の2つ以上の本来の粒子から形成することができ、よってそれらは、ときには2つ以上のコアを含むことができ、当該コアは、金属酸化物領域によって互いに隔てられることが理解される。
【0048】
コアは、有機又は無機材料であってよい。好ましくは、コアは、金属酸化物以外の材料で構成される。
【0049】
粒子の全重量に対する固体の水不溶性微粒子物質(コア材料)の重量は、99%〜50%w/wの範囲、より好ましくは97%〜50%w/wの範囲であってよい。コア材料は、結晶質の形、非晶質の形、又はその組合せであってよい。コア材料は、化粧品として、医薬として、又は農芸化学的活性成分であってよい。
【0050】
好ましくは、上記方法の工程(c)は、4から約1000回繰り返される。これは、好ましくは、上記方法の工程(b)が4から約1000回繰り返されることを意味する。
【0051】
好ましくは、該方法は、工程(c)を4から約300回、より好ましくは4から約100回繰り返すことを含む。さらにより好ましくは、上記方法の工程(c)は、5〜80回、最も好ましくは5〜50回繰り返される。これは、好ましくは、工程(b)が工程(c)に関して以上に示されたように繰り返されることを意味する。
【0052】
「4から約1000回繰り返される」という用語は、プロセスを約1000回まで4、5、6、7、8、9...回繰り返すことができることを意味する。
【0053】
本発明の好適な実施形態によれば、工程(d)は、エージング後に、コーティングされた微粒子物質を分散水性媒体から濾過、遠心又はデカンテーションなどによって分離し、場合により、得られた、コーティングされた微粒子物質を濯ぎ、水性媒体に再分散させることをさらに含む。
【0054】
コーティングプロセス中は、水性媒体における微粒子物質(活性剤)の含有量の少なくとも50%がコーティングプロセス中に固体状態であることが好適である。
【0055】
本発明の好適な実施形態によれば、該方法は、
(a)固体の水不溶性微粒子物質を第1のカチオン性添加剤及び水性媒体と接触させて、その表面に正電荷を有する前記微粒子物質の分散物を得ること;
(b)金属酸化物塩を微粒子物質の表面上に析出させて、微粒子物質上に金属酸化物コーティング層を形成することを含むコーティング処理を微粒子物質に施すこと;
(b1)水性媒体において、コーティングされた微粒子物質を、(i)第2のカチオン性添加剤及び(ii)非イオン性添加剤の一方又は両方である表面接着性添加剤と接触させること;
(b2)工程(b1)で得られた微粒子物質に工程(b)のコーティング処理を施すこと;
(c)工程(b1)及び(b2)を少なくともさらに3回繰り返すこと;並びに
(d)金属酸化物コーティング層をエージングすること
を含む。
【0056】
好ましくは、該方法は、工程(c)を3から約1000回繰り返すことを含む。
【0057】
好ましくは、該方法は、工程(c)を3から約300回、より好ましくは3から約100回繰り返すことを含む。
【0058】
本明細書に用いられているように、「工程(c)を3から約1000回繰り返す」という用語は、プロセスを約1000回まで3、4、5、6、7、8、9...回繰り返すことができることを意味する。
【0059】
これは、好ましくは、工程(b1)及び(b2)が工程(c)に関して以上に示されているように繰り返されることを意味する。
【0060】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、該方法は、
(a)固体の水不溶性微粒子物質をアニオン性添加剤、第1のカチオン性添加剤及び水性媒体と接触させて、その表面に正電荷を有する前記微粒子物質の分散物を得ること;
(b)金属酸化物塩を微粒子物質の表面上に析出させて、微粒子物質上に金属酸化物コーティング層を形成することを含むコーティング処理を微粒子物質に施すこと;
(b1)水性媒体において、コーティングされた微粒子物質を、(i)第2のカチオン性添加剤及び(ii)非イオン性添加剤の一方又は両方である表面接着性添加剤と接触させること;
(b2)工程(b1)で得られた微粒子物質に工程(b)のコーティング処理を施すこと;
(c)工程(b1)及び(b2)を少なくともさらに3回繰り返すこと;並びに
(d)金属酸化物コーティング層をエージングすること
を含む。
【0061】
該方法の工程(a)においてアニオン性添加剤及び第1のカチオン性添加剤が使用されるときは、好ましくは、アニオン性添加剤は、第1のカチオン性添加剤の前に添加される。
【0062】
工程(c)を3から約1000回繰り返すことができる。好ましくは、工程(c)は、3から約300回、より好ましくは3から約100回繰り返される。これは、好ましくは、工程(b1)及び(b2)が工程(c)に関して以上に示したように繰り返されることを意味する。
【0063】
該方法の工程(a)に使用されるイオン性添加剤(第1のカチオン性添加剤など)は、二重の効果、即ち以下に記載するように微粒子物質の表面に正電荷を形成するとともに、湿潤剤として機能することで、各コア粒子が水性媒体に個々に懸濁される不連続なコア粒子としての微粒子物質の分散を可能にする効果を有する。
【0064】
例えば、(i)微粒子物質を乾燥イオン性添加剤と接触させ、次いで両添加剤を水性媒体に懸濁させて、その表面に正電荷を有する前記微粒子物質の分散物を得ること、或いは(ii)イオン性添加剤を含む水性媒体に固体の水不溶性微粒子物質を懸濁させて、その表面に正電荷を有する前記微粒子物質の分散物を得ることによって、該方法の工程(a)を実施することができる。
【0065】
別の好適な実施形態によれば、該方法は、(a)固体の水不溶性微粒子物質を(i)アニオン性添加剤、(ii)第1のカチオン性添加剤及びそれらの組合せから選択されるイオン性添加剤並びに水性媒体と接触させて、その表面に正電荷を有する前記微粒子物質の分散物を得ることを含むことができ、(b)、(b1)、(b2)、(c)、(d)は本明細書に記載されている通りである。
【0066】
分散物におけるイオン性添加剤の濃度は、約0.001%から約30%、好ましくは約0.01%から約10%w/w、最も好ましくは約0.1%から約5%w/wであり得る。水分散物の固体含有量は、約0.1%から約80%w/w、好ましくは約1%から約60%w/w、最も好ましくは約3%から約50%w/wであり得る。
【0067】
工程(a)の目的は、イオン性添加剤を使用することによって微粒子物質の電荷を、それが金属酸化物層の接着に対する反応性を有するように改質することである。
【0068】
粒子のコア材料を製造するために、微粒子物質は、析出された金属酸化物塩に接着され得るように、イオン性添加剤(例えばカチオン性添加剤)で好適にコーティングされるべきである。
【0069】
好ましくは、イオン性添加剤は、カチオン性添加剤、アニオン性添加剤及びそれらの組合せから選択される。カチオン性添加剤は、カチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマーであってよい。アニオン性添加剤は、アニオン性界面活性剤及び/又はアニオン性ポリマーであってよい。
【0070】
微粒子物質は、例えば、それをカチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマー或いはアニオン性界面活性剤及びカチオン性添加剤(例えば、カチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマー)の溶液と混合することによってイオン性添加剤と接触される。カチオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤は、微粒子物質の表面上に吸着させるのに特に有効である。イオン性添加剤は、カチオン性添加剤と併用されるアニオン性ポリマーであってもよい。カチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマー並びに場合によりさらなるアニオン性界面活性剤(又はアニオン性ポリマー)は、微粒子物質の表面に正電荷をもたらすのに十分な量で使用される必要がある。イオン性添加剤の単層が好適であるが、コーティングは、連続的である必要はない。少なくともカチオン性添加剤のスポットが存在すれば十分である。次いで、これらのスポットは、金属酸化物層の接着のためのアンカーとして機能することになる。金属酸化物層が付着すると、それが架橋し、コアにしっかりと接着されるように、コア表面にこれらのアンカー点が十分均一に分布することが好適である。
【0071】
1つの好適な実施形態によれば、前記第1及び第2のカチオン性添加剤は同じである。
【0072】
別の好適な実施形態によれば、前記第1及び第2のカチオン性添加剤は異なる。
【0073】
より好ましくは、第1のイオン性添加剤はアニオン性界面活性剤であり、第2のイオン性添加剤はカチオン性ポリマーである。
【0074】
最も好ましくは、第1のカチオン性添加剤はカチオン性界面活性剤であり、第2のカチオン性添加剤はカチオン性ポリマーである。
【0075】
別の好適な実施形態によれば、第1のカチオン性添加剤はカチオン性界面活性剤であり、工程(b1)における添加剤は、非イオン性添加剤(例えば、非イオン性ポリマー)である。
【0076】
好ましくは、コーティングされた微粒子物質と第2のカチオン性添加剤が混合され、最も好ましくは、前記混合が激しい撹拌(例えば、1000rpmを超えるミキサー速度)下で実施される。
【0077】
本発明の好適な実施形態によれば、該方法は、工程(d)の後に、(e)コーティングされた微粒子物質を水性媒体から分離し、場合により、コーティングされた微粒子物質を濯ぎ、水性媒体に再分散させることをさらに含む。
【0078】
好ましくは、コーティングされた微粒子物質の分離は、濾過、遠心、デカンテーション、透析などの方法によって、又は水性媒体の蒸発によって実施される。
【0079】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、工程(b)は、金属酸化物塩を水性媒体に添加すること;及び場合により、水性媒体を酸性化することを含む。
【0080】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、工程(b2)は、金属酸化物塩を水性媒体に添加すること;及び場合により、水性媒体を酸性化することを含む。
【0081】
好ましくは、工程(b1)は、(b)で得られた分散物のpHを、第2のカチオン性添加剤を添加する前の金属酸化物の等電点より高い値、より好ましくは、第2のカチオン性添加剤を添加する前の金属酸化物の等電点より少なくとも約1単位高いpH値に調整することをさらに含む。
【0082】
好ましくは、工程(b1)は、(b)で得られた分散物のpHを、(i)第2のカチオン性添加剤及び(ii)非イオン性添加剤の一方又は両方を添加する前の金属酸化物の等電点より高い値、より好ましくは、(i)第2のカチオン性添加剤及び(ii)非イオン性添加剤の一方又は両方を添加する前の金属酸化物の等電点より少なくとも約1単位高いpH値に調整することをさらに含む。
【0083】
例えば、金属酸化物が(例えば、1.7〜2.5の範囲の等電点を有する)シリカである場合は、好適なpHは、少なくとも約2.5〜6.5の範囲であってよい。
【0084】
金属酸化物の等電点より高い値への分散物のpH調整の目的は、第2のカチオン性添加剤の正電荷に結合することになる微粒子物質表面に負に帯電した金属酸化物を形成することで、微粒子物質の表面に対する第2のカチオン性添加剤の接着を可能にすることである。
【0085】
非イオン性添加剤は、表面に接着する種類のもの(「表面接着性」)である。例は、非イオン性ポリマーである。非イオン性添加剤を単独で、又は第2のカチオン性界面活性剤に加えて使用することができる。理論に拘束されることを望まないが、表面接着性は、ヒドロキシル基又はアミン基などの水素結合基を介するものであってよい。これは、先行する析出金属酸化物層上へのさらなる金属酸化物の層の接着を可能にする。
【0086】
好ましくは、工程(b)又は(b2)の各々における微粒子物質/金属酸化物塩の重量比は、約5000/1から約20/1、好ましくは約5000/1から約30/1又は約5000/1から約40/1、より好ましくは約1000/1から約40/1、最も好ましくは約500/1から約80/1である。
【0087】
好ましくは、工程(b1)における微粒子物質/カチオン性添加剤の比は、約25000/1から約50/1、好ましくは約5000/1から約100/1、最も好ましくは約2000/1から約200/1である。
【0088】
好適な実施形態によれば、工程(b)又は(b2)の各々における微粒子物質/金属酸化物塩の重量比は、約5000/1から約65/1、より好ましくは約1000/1から約100/1である。
【0089】
好ましくは、工程(b1)における微粒子物質/カチオン性添加剤の重量比は、約10000/1から約100/1、より好ましくは約5000/1から約200/1である。
【0090】
工程(d)におけるエージングは、金属酸化物の強化及び高密度層を得るために重要である。
【0091】
好ましくは、工程(d)は、pHを3〜9の範囲の値に上昇させ、このpHで懸濁液を混合することを含む。
【0092】
本発明の好適な実施形態によれば、工程(d)は、pHを3〜9の範囲の値に上昇させ、このpHで懸濁液を少なくとも2時間混合することを含む。
【0093】
本発明の好適な実施形態によれば、工程(d)は、pHを3〜9の範囲、好ましくは5〜7の範囲の値に上昇させ、例えば撹拌によって、このpH範囲で懸濁液(分散物)を例えば少なくとも2時間混合することを含む。好ましくは、撹拌は、2〜96時間、より具体的には2〜72時間、より好ましくは少なくとも10時間(例えば10〜72時間)実施される。撹拌は、好ましくは200〜500rpmの範囲の好ましくは穏やかな撹拌である。
【0094】
エージングが完了すると、(硬質の金属酸化層が形成されたことにより)分離(例えば濾過、遠心又はデカンテーション)が容易に実施され、得られたケーキ又は濃縮分散物が、水性媒体に容易に再分散されて、粒子の分散物を形成することになる。
【0095】
工程(d)におけるエージングの目的は、金属酸化物の強化及び高密度層を得ることである。
【0096】
エージング工程がなければ、金属酸化物塩は、析出すると、分離及び洗浄に際して、又は機械的撹拌によって崩壊又は浸食し得る金属酸化物のゲル層を形成するため、金属酸化物のより薄く軟質の層が得られることになる。
【0097】
エージングを4〜90℃の温度、好ましくは15〜60℃で実施することができ、最も好ましくはエージングを20℃〜40℃の温度で実施する。
【0098】
したがって、プロセスの最後のコーティング及びエージングの繰返し工程は、また、金属酸化物のより厚く強い層の成長を可能にする。最も好ましくは、エージングは、繰返しコーティング工程の間(即ち繰返しコーティング工程(b)の間)の間に実施されず、プロセスの最後にのみ実施される。したがって、最も好ましくは、エージングは、本明細書に記載されているプロセスの最後にのみ実施される。
【0099】
一部の実施形態によれば、該方法は、コーティング処理時に(ナノメートルの金属酸化物(金属酸化物のナノ粒子)を含む)コロイド金属酸化物懸濁液、好ましくは水性懸濁液を添加することをさらに含むことができる。好ましくは、コロイド金属酸化物懸濁液は、コロイドシリカ懸濁液、コロイドチタニア懸濁液、コロイドアルミナ懸濁液、コロイドジルコニア懸濁液、コロイドZnO懸濁液及びそれらの混合物から選択される。コロイド金属酸化物懸濁液をコーティングプロセス中に(例えば、その繰返し工程の1つ又は複数における工程(b)において)添加することができる。好ましくは、ナノメートルの金属酸化物の粒径は、5〜100nmである(平均粒径)。ナノメートルの金属酸化物と金属酸化物塩との重量比は、95:5から1:99、好ましくは80:20から5:95、より好ましくは70:30から10:90、最も好ましくは約60:40から20:80の範囲であってよい。ナノメートルの金属酸化物と金属酸化物塩との重量比は、約50:50であってよい。
【0100】
他の実施形態によれば、該方法は、コーティングプロセス中にコロイド金属酸化物懸濁液の添加を含まない。本実施形態によれば、ナノメートルの金属酸化物粒子(金属酸化物のナノ粒子)は、コーティングプロセス中に添加されない。
【0101】
本明細書に用いられているように、「金属酸化物コーティング層」又は「金属酸化物層」という用語は、単一処理工程の製造物、並びに最初にコーティングされた粒子が上記の工程(c)の繰返し処理工程によってさらに処理されるプロセスの製造物の両方を包括する。
【0102】
固体の水不溶性微粒子物質は、医薬として、化粧品として、又は農芸化学的活性成分であってよい。
【0103】
好ましくは、固体の水不溶性微粒子物質は、皮膚科学的活性剤である。
【0104】
好ましくは、皮膚科学的活性剤は、抗真菌薬、抗菌薬、抗炎症薬、止痒薬、抗乾癬薬及び抗座瘡薬から選択される。皮膚科学的薬剤は、上記薬剤のいずれかの組合せであってもよい。
【0105】
抗菌薬は、静菌薬又は殺菌薬であってよい。
【0106】
皮膚科学的活性剤は、例えば、ケトコナゾールなどの抗真菌薬、メトロニダゾール又はエリスロマイシンなどの静菌薬、バシトラシン、フロン酸モメタソンなどのコルチコステロイド、アセポン酸メチルプレドニソロン、プレドニカルベート、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノニド、デソキシメタソン、吉草酸ベタソン又はフロン酸モメタソンなどの殺菌薬、塩酸ドキセピンなどの止痒薬、及び過酸化ベンゾイル、アゼライン酸、トレチノイン(全トランスレチノイン酸)、タザロテン、イソトレチノイン又はアダパレンなどのレチノイドなどの抗座瘡薬であってよい。
【0107】
より好ましくは、活性剤(例えば抗座瘡薬)は、過酸化ベンゾイル、レチノイド及びそれらの混合物から選択される。
【0108】
最も好ましくは、活性剤(例えば抗座瘡薬)は、過酸化ベンゾイルである。
【0109】
農芸化学的薬剤は農薬であってよい。
【0110】
本発明の実施に採用できる農薬としては、周囲温度で固体である広範な除草剤、殺線虫剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺真菌剤、植物成長促進又は抑制薬、及び他の農作物処理製品が挙げられる。当業者は、Ashgate Handbook of Pesticides and Agricultural Chemicals、G.W.A.Milne(編)、Wiley Publishers(2000)などの参考文献を調べることによって好適な農薬のリストを見いだすことができる。2種以上の農薬の組合せを採用することもできる。
【0111】
採用できる農薬の実例は、アゾキシストロビン、カルベンダジム、クロロタロニル、銅−酸塩化物、シアゾファミド、シモキサニルシモキサニル、シプロコナゾール、ジメトモルフ、エポキシコナゾール、フルアジナム、フルシラゾール、フルトラニル、ホルトリアフォル、クレソキシム−メチル、マンコゼブ、マネブ、ペンシクロン、ピラクロストロビン、テブコナゾール、チオファネート−メチル、トリフルオキシストロビン、ジラム、アクロニフェン、アメトリン、アミカルバゾン、アトラジン、ベンタゾン、クロリムロン−エチル、シハロホップ−ブチル、エタルフルラリン、エトフマセート、フロラスラム、フルフェナセト、フルメトスラム、ホメサフェン、ハロスルフロン−メチル、イマザモクス、イマザピク、イマゼタピル、イマザピル、イマザキン、イソプロツロン、イソキサフルトール、ラクトフェン、リヌロン、メソトリオン、メタミトロン、メタザクロール、メトクスロン、メトリブジン、メツルフロン−メチル、オキシフルオルフェン、ペンジメタリン、プロメトリン、プロパニル、キンクロラク、キンメラク、キザロホップ−エチル、キザロホップ−P−エチル、リムスルフロン、シマジン、スルコトリオン、スルフェントラゾン、スルホメツロン−メチル、スルホスルフロン、テブチウロン、チフェンスルフロン−メチル、トラルコキシジム、トリアスルフロン、トリクロピル、トリフルラリン、アバメクチン、アセタミプリド、アルジカルブ、アルファシペルメトリン、ベタシフルトリン、ビフェントリン、カルボフラン、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロルピリホス、シペルメトリン、デルタメトリン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、フィプロニル、イミダクロプリド、インドキサカルブ、ラムダ−シハロトリン、ルフェヌロン、メトキシフェノジド、ノバルロン、オキサミル、ピリミカルブ、スピノサド、テフルベンズロン、チアクロプリド、チアメトキサム、フェナミホス、チジアズロン、硫黄及び上記物質のいずれかの混合物である。
【0112】
好ましくは、金属酸化物は、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、ZnO及びそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、金属酸化物はシリカである。
【0113】
金属酸化物塩は、好ましくは、アルカリ金属酸化物塩、例えばナトリウム又はカリウム塩である。
【0114】
本発明の好適な実施形態によれば、金属酸化物塩は、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ジルコン酸ナトリウム、ジルコン酸カリウム及びそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、金属酸化物塩は珪酸塩である。
【0115】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、イオン性添加剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー及びそれらの混合物から選択される。アニオン性界面活性剤が使用されるときは、好ましくは、カチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマーなどのカチオン性添加剤がさらに添加される。
【0116】
好ましくは、カチオン性添加剤は、カチオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー及びそれらの混合物から選択される。
【0117】
好適な実施形態によれば、第1のカチオン性添加剤はカチオン性界面活性剤であり、第2のカチオン性添加剤はカチオン性ポリマーである。
【0118】
第1のカチオン性添加剤は、好ましくはカチオン性界面活性剤である。
【0119】
好ましくは、カチオン性界面活性剤は、モノアルキル四級アンモニウム塩、ジアルキル四級アンモニウム塩及びそれらの混合物から選択される。
【0120】
好ましくは、モノアルキル四級アンモニウム塩は、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム及びそれらの混合物から選択される。
【0121】
最も好ましくは、モノアルキル四級アンモニウム塩は塩化セチルトリメチルアンモニウムである。
【0122】
好ましくは、ジアルキル四級アンモニウム塩は塩化ジステアリルジメチルアンモニウムである。
【0123】
使用できるさらなるカチオン性界面活性剤は、全体が参照により本明細書に組み込まれている、The cosmetic,Toiletry,and Fragnance Associationにより出版されたJohn A.Wenningerら(編集者)、 International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(英語版2000)、第2巻、1140〜1147頁に記載されている。
【0124】
イオン性添加剤はアニオン性界面活性剤であってよい。
【0125】
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸及び塩、アルキルエーテルカルボン酸及び塩、アルキルスルホスクシンアミド酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、芳香族炭化水素スルホン酸及び塩、脂肪アルコールエトキシ硫酸塩、脂肪アルコール硫酸塩、リン酸エステル並びにそれらの混合物から選択される。
【0126】
好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであり、脂肪アルコール硫酸塩はラウリル硫酸ナトリウムであり、アルキルスルホコハク酸塩はジオクチルスルホコハク酸ナトリウム及びそれらの混合物である。アニオン性界面活性剤は、上記化合物のいずれかの混合物であってよい。
【0127】
使用できるさらなるアニオン性界面活性剤は、全体が参照により本明細書に組み込まれている、The cosmetic,Toiletry,and Fragnance Associationにより出版されたJohn A.Wenningerら(編集者)、 International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(英語版2000)、第2巻、1140〜1147頁に記載されている。
【0128】
好ましくは、イオン性添加剤と水不溶性微粒子物質の重量比は、1:1000〜1:10の範囲、より好ましくは1:200〜1:50の範囲、最も好ましくは約1:100である。以上に示した比は、第1のカチオン性添加剤、又は第1のカチオン性添加剤とアニオン性添加剤との組合せなどのイオン性添加剤を指す。第2のカチオン性添加剤は、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤又はそれらの混合物であってよい。カチオン性界面活性剤は、以上に記載した通りであってよい。
【0129】
本発明の好適な実施形態によれば、第2のカチオン性添加剤はカチオン性ポリマーである。
【0130】
好ましくは、第1のコーティングされた微粒子物質(即ち工程(b1)における)と第2のカチオン性添加剤との重量比は、約25000/1から約50/1、より好ましくは約5000/1から約100/1、最も好ましくは約2000/1から約200/1の範囲である。
【0131】
好ましくは、(例えば工程(c)に記載されている繰返し工程における)さらに処理された、コーティングされた微粒子物質と第2のカチオン性添加剤との重量比は、約25000/1から約50/1、より好ましくは約5000/1から約100/1、最も好ましくは約2000/1から約200/1の範囲である。
【0132】
好ましくは、工程(b1)における微粒子物質/カチオン性添加剤の重量比は、約10000/1から約100/1、より好ましくは約5000/1から約200/1である。
【0133】
好ましくは、(例えば工程(c)に記載されている繰返し工程における)さらに処理された、コーティングされた微粒子物質と第2のカチオン性添加剤との重量比は、約10000/1から約100/1、より好ましくは約5000/1から約200/1の範囲である。
【0134】
非イオン性添加剤(例えば非イオン性ポリマー)が単独で、又は第2のカチオン性添加剤に加えて使用される場合は、第1のコーティングされた微粒子物質と(i)非イオン性添加剤又は(ii)非イオン性添加剤と第2のカチオン性添加剤の組合せとの重量比、並びにさらに処理された、コーティングされた微粒子物質と(i)非イオン性添加剤又は(ii)非イオン性添加剤と第2のカチオン性添加剤の組合せとの重量比は、第2のカチオン性添加剤に関して以上に示した通りであってよい。
【0135】
好ましくは、(第1のカチオン性添加剤又は第2のカチオン性添加剤の)カチオン性ポリマーは、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリ(塩化ジメチルジアリルアンモニウム)(PDAC)、ポリ(塩化アクリルアミド共ジアリルジメチルアンモニウム)(ポリクオタニウム−7)、ポリ(塩酸アリルアミン)(PAH)、キトサン、ポリリシン及びそれらの混合物から選択される。
【0136】
第2のカチオン性ポリマーは、ピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体などの非イオン性モノマーとイオン性モノマーの共重合体であってもよい。
【0137】
本発明の別の好適な実施形態によれば、第2のカチオン性添加剤は、コロイドアルミナ、コロイドセリア(CeO2)、コロイドアルミナコーティングシリカ(Ludox CL、Sigma−Aldrichなど)及びそれらの混合物から選択される。
【0138】
第2のカチオン性添加剤は、以上に記載されているような正電荷を担持したコロイド金属酸化物(例えば、コロイドアルミナ、コロイドセリア(CeO2)、コロイドアルミナコーティングシリカ又はそれらの混合物)であってよい。
【0139】
該方法に使用される非イオン性添加剤は、好ましくは非イオン性ポリマーである。非イオン性ポリマーは、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びそれらの混合物であってよい。
【0140】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、該方法は、得られた、コーティングされた微粒子物質を乾燥することをさらに含む。
【0141】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、乾燥は、噴霧乾燥、凍結乾燥、オーブン乾燥、真空乾燥及び流動床から選択される方法による。
【0142】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、該方法は、コーティングされた微粒子物質の表面を化学的に改質することをさらに含む。
【0143】
表面化学改質は、好ましくは、金属酸化物表面を有機基、好ましくは疎水性基で改質することを含む。
【0144】
好ましくは、方法は、疎水性基を金属酸化物層の表面に結合させることを含む。
【0145】
疎水性基を金属酸化物層の表面に結合させる目的は、粒子への水の浸透速度を制御し、その結果として粒子からの活性剤の放出を制御することである。疎水性基による金属酸化物層の表面の改質は、所望の速度に応じて粒子からの活性剤の放出をさらに制御することを可能にする。
【0146】
疎水性基は、例えば、アルキルシラン、ジアルキルシラン、トリアルキルシラン(当該アルキル基は、1個又は複数個のフルオロ原子でさらに置換されていてよい)、アリールシラン(ベンジルシラン又はフェニルシランなど)、ジアリールシラン又はトリアリールシランであってよい。
【0147】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、化学表面改質は、金属酸化物層の表面上のシラノール基と、クロルトリメチルシランなどのモノハロトリアルキルシラン、ジクロロジメチルシランなどのジハロジアルキルシラン、トリクロロメチルシランなどのトリハロアルキルシラン、メトキシトリメチルシランなどのモノアルコキシトリアルキルシラン、ジメトキシジメチルシランなどのジアルコキシジアルキルシラン、トリメトキシメチルシランなどのトリアルコキシアルキルシラン、フェニルトリクロロシランなどのアリールトリハロシラン、ジフェニルジクロロシランなどのジアリールジハロシラン、トリフェニルクロロシランなどのトリアリールハロシラン、フェニルトリメトキシシランなどのアリールトリアルコキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどのジアリールジアルコキシシラン、トリフェニルメトキシシランなどのトリアリールアルコキシシラン及びそれらの混合物から選択される前駆体とを反応させることを含む。
【0148】
好ましくは、アルキル基は、1〜18個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子を含む。最も好ましくは、アルキルはメチルである。アルキル基は、1つ又は複数のフルオロ原子で置換されていてよい。好ましくは、アルコキシ基は、1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜2個の炭素原子を含む。
【0149】
ハロ基は、例えば、クロロ、ブロモ、ヨード、フルオロであってよい。最も好ましくは、ハロ基は、クロロ及びブロモである。
【0150】
アリールは、好ましくはフェニル又はベンジルである。
【0151】
前駆体は、金属酸化物層の表面上のシラノール基と反応して、シロキサン結合を形成する。
【0152】
金属酸化物層の表面に対する疎水性基の結合を、乾燥した、コーティングされた微粒子物質と上記前駆体とを反応させることによって実施することができる。疎水性基を金属酸化物に結合させるための手順を以下のように実施することができる。コーティングされた微粒子物質の乾燥粉末をトルエンなどの有機溶媒に懸濁させる。ジメチルジクロロシランなどの上記リストの前駆体(疎水化試薬)を有機相(混合物)に、場合によりトリアルキルアミン又はトリエタノールアミンなどのハロゲンスカベンジャーの存在下で添加する。有機混合物を少なくとも約24時間還流させて、金属酸化物層の表面上のシラノール基に対する疎水性基の結合を介して疎水性基で金属酸化物層を被覆する。
【0153】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、得られた金属酸化物コーティング層は、約0.1、0.2、0.3、0.5、0.7、1、1.5、2又は5ミクロン以上、好ましくは10ミクロンまでの幅(厚さ)を有する。
【0154】
金属酸化物層の幅を、例えば、粒子の円形断面領域において最小の幅が少なくとも例えば0.1ミクロンになるように透過型電子顕微鏡又は共焦点顕微鏡によって測定することができる(幅は、粒子の表面(即ち金属酸化物表面)からコア−金属酸化物界面までの最小距離として測定される)。
【0155】
本発明は、さらに、本発明に記載の方法によって得られる、コーティングされた微粒子物質に関する。
【0156】
本発明の好適な実施形態によれば、金属酸化物と固体の水不溶性微粒子物質との重量比は、1:99から40:60の範囲である。該重量比は、1:99から50:50の範囲であってもよい。好ましくは、金属酸化物と固体の水不溶性微粒子物質との重量比は、10:90から約20:80の範囲である。該重量比は、本発明に記載の通りであってもよい。
【0157】
本発明の好適な実施形態によれば、該粒子(コーティングされた微粒子物質)は、0.5〜100ミクロンの直径を有する。より好ましくは、粒子の直径は、1〜50ミクロンの範囲、最も好ましくは2〜30ミクロンの範囲である。
【0158】
該粒子は、化粧品又は医薬品用途に有用であり得る。
【0159】
該粒子は、農業又はポリマー工業に使用することもできる。
【0160】
該粒子は、活性成分が周囲環境から一時的又は永久的に隔離されるべきである任意の用途に有用であり得る。
【0161】
本発明の粒子は、金属酸化物層及びコア材料(即ち固体の水不溶性微粒子物質)の異なる領域で構成されることが理解される。新たに製造された粒子におけるコア材料は、好ましくは、金属酸化物が実質的になく、さらに金属酸化物層は、例えば、水不溶性微粒子物質の(0.1ミクロン未満のナノメートル範囲の)粒子分散物としても前記水不溶性微粒子物質の分子分散物としても前記コア材料が実質的にないのが好ましい。したがって、本発明の好適な実施形態によれば、新たに製造された粒子における金属酸化物層は、(分子としてもナノメートル粒子としても)コア材料が実質的にない。この文脈における「実質的にない」という用語は、コア材料の分子の濃度又はコア材料のナノメートル粒子の濃度が金属酸化物と比較して無視できることを意味する。同様に、「コア材料は金属酸化物が実質的にない」という用語は、コアにおける金属酸化物の濃度がコア材料と比較して無視できることを意味する。
【0162】
本発明は、さらに、担体;及びそれぞれの前記粒子が金属酸化物層で被覆された固体の水不溶性皮膚科学的活性剤を含む、本発明に記載のプロセスによって得られた複数のコーティングされた微粒子物質を含む局所投与のための医薬、化粧品又は化粧医薬組成物に関する。
【0163】
担体は、化粧品又は医薬として許容し得る担体であってよい。コーティングされた皮膚科学的活性剤は、好ましくは、担体に分散される。
【0164】
コーティングされた皮膚科学的活性剤を担体又は希釈剤に容易に分散又は懸濁させることができる。
【0165】
効果的な分散を達成するのに、任意の好適なミキサー又は担体による単純な混合で十分である。必要であれば、高剪断力を加えて、コーティングされた粒子の担体への高速且つ効率的な混入を促進することができる。
【0166】
粒子は、好ましくは、担体に分散されても浸出せず、最も好ましくは、水性担体において浸出しない。
【0167】
「浸出しない」という用語は、粒子から水性液への微粒子物質(活性剤)の浸出が、室温(20℃)にて1時間にわたって、又は定常濃度が達成されるまで穏やかな撹拌下で5%w/w未満、好ましくは1%w/w未満、最も好ましくは0.5%w/w未満であることを意味する。典型的には、前記水性液は水である。以上に示した値は、粒子における活性剤の初期量と比較した、水性媒体に浸出した活性剤の百分率を指す。以上に示した浸出値は、好ましくは、水性媒体における微粒子物質の濃度が0.1%w/wを超える、より好ましくは1%w/wを超える、最も好ましくは10%w/wを超える分散物を指す。
【0168】
本発明の金属酸化物コーティングは、固体の水不溶性微粒子物質をその周囲媒体から隔離することが可能であり、さらに処理される表面に適用されると微粒子物質の放出を可能にするため、大いに有利である。
【0169】
好ましくは、皮膚科学的活性剤は、抗真菌薬、抗菌薬、抗炎症薬、止痒薬、抗乾癬薬、抗座瘡薬及びそれらの組合せから選択される。
【0170】
好ましくは、抗座瘡薬は、過酸化ベンゾイル、レチノイド及びそれらの混合物から選択される。
【0171】
好ましくは、レチノイドは、全トランスレチノイン酸(ATRA)、イソトレチノイン、タザロテン又はアダパレンである。
【0172】
最も好ましくは、抗座瘡薬は、過酸化ベンゾイル(BPO)及び全トランスレチノイン酸(ATRA)である。
【0173】
BPO及びATRAは、本発明による金属酸化物によるコーティングに特に好適な化合物である。BPO及びATRAコーティングの目的は、以下の利点の少なくとも1つをもたらすことである。a)BPO及びATRA結晶の皮膚刺激を軽減すること、b)局所製剤におけるBPO及びATRAによって引き起こされる副作用を有意に軽減すること、c)界面活性剤の不在下での水溶液におけるBPO及びATRA結晶の分散性を向上させること、d)皮膚からのBPO及びATRA結晶の直接接触を防止すること、e)粉砕後のBPO及びATRAのさらなる結晶成長プロセスを防止すること、f)BPO及びATRAの安定性を向上させること、g)製剤における他の成分と良好な相溶性を有すること、h)BPO及びATRAの皮膚上への持続放出メカニズムをもたらすこと。
【0174】
本発明の好適な実施形態によれば、金属酸化物は、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、ZnO及びそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、金属酸化物はシリカである。
【0175】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、前記金属酸化物と前記固体の水不溶性微粒子物質との重量比は、1:99から40:60の範囲である。重量比は、3:97から50:50の範囲であってよい。金属酸化物層と固体の水不溶性微粒子物質との重量比は、5:95から40:60、10:90から40:60、5:95から30:70又は10:90から30:70の範囲であってもよい。
【0176】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、前記金属酸化物と前記固体の水不溶性微粒子物質との重量比は、10:90から20:80の範囲である。
【0177】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、粒子(コーティングされた微粒子物質)は、0.5〜100ミクロンの直径を有する。
【0178】
前記金属酸化物層の厚さは、上記の通りであってよい。
【0179】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、前記金属酸化物層の厚さは、0.1〜10ミクロンの範囲である。
【0180】
さらに、本発明の別の好適な実施形態によれば、前記金属酸化物層の厚さは、0.3〜10ミクロンの範囲である。
【0181】
担体は、軟膏、クリーム、ローション、油、エマルジョン、ゲル、糊、乳、エアロゾル、粉末、泡、洗浄液の形であってよい。最も好ましくは、担体は、ゲル又はクリーム、より好ましくは水中油クリームの形である。最も好ましくは、分散相(即ち担体)は、水性であり、分散媒体として水を含む。
【0182】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、該組成物は、座瘡、感染、炎症、痒み、乾癬、脂漏、接触性皮膚炎、酒さ及びそれらの組合せから選択される疾患又は状態を治療するためのものである。
【0183】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、皮膚科学的薬剤は、抗真菌薬、抗菌薬、抗炎症薬、止痒薬、抗乾癬薬及び抗座瘡薬から選択される。
【0184】
抗真菌薬、抗菌薬、抗炎症薬、止痒薬、抗乾癬薬及び抗座瘡薬は、上記本発明に記載の通りであってもよい。
【0185】
最も好ましくは、皮膚科学的活性剤は抗座瘡薬である。
【0186】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、抗座瘡薬は、過酸化ベンゾイル、レチノイド及びそれらの混合物から選択される。
【0187】
最も好ましくは、抗座瘡薬は、過酸化ベンゾイル、トレチノイン(ATRA)及びそれらの混合物から選択される。
【0188】
本発明の好適な実施形態によれば、金属酸化物は、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、ZnO及びそれらの混合物から選択される。
【0189】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、前記金属酸化物と前記固体の水不溶性皮膚科学的活性剤との重量比は、1:99から40:60の範囲である。金属酸化物層と固体の水不溶性微粒子物質との重量比は、1:99から40:60、5:95から40:60、5:95から30:70又は10:90から30:70の範囲であってもよい。
【0190】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、前記金属酸化物と固体の水不溶性微粒子物質との重量比は、10:90から20:80の範囲である。該重量比は、金属酸化物と固体の水不溶性微粒子物質との重量比に関して以上に詳述した通りであってもよい。
【0191】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、該粒子は、0.5〜100ミクロンの直径を有する。好ましくは、粒子は、0.8〜100ミクロン、より好ましくは1〜50ミクロン、最も好ましくは5〜30ミクロンの直径を有する。
【0192】
さらに、本発明の好適な実施形態によれば、前記金属酸化物層の厚さは、0.1〜10ミクロンの範囲である。該厚さは、該方法に関して以上に規定した通りであってよい。典型的な厚さは、約0.1〜3ミクロン、好ましくは約0.1〜1ミクロンである。金属酸化物層の厚さは、約0.3から3ミクロン、最も好ましくは約0.3から2ミクロンの範囲であってもよい。
【0193】
本発明の好適な実施形態によれば、担体は、軟膏、クリーム、ローション、油、エマルジョン、ゲル、糊、乳、エアロゾル、粉末、泡又は洗浄液の形である。
【0194】
本発明は、さらに、対象における表面状態を治療するための方法であって、微粒子物質が局所的皮膚科学的活性剤である、本発明に記載のコーティングされた微粒子物質を含む組成物を該表面上に局所的に投与することを含む方法に関する。
【0195】
好適な実施形態によれば、コーティングされた微粒子物質は、本発明の方法によって得られる。
【0196】
本発明の組成物は、複数のコーティングされた微粒子物質を含むことができることが理解される。
【0197】
好ましくは、対象は哺乳類であり、最も好ましくは、哺乳類はヒトである。
【0198】
本明細書に用いられている「治療する」又は「治療」という用語は、皮膚又は粘膜などの患者の体表面に関連する状態(疾患又は障害)の任意の治療を含み、疾患又は障害を抑制すること(即ちその発生を抑えること)、疾患又は障害を軽減すること(即ち疾患又は障害の退行を引き起こすこと)、或いは疾患によって引き起こされる状態(即ち疾患の症状)を軽減することを含む。特定の疾患又は障害の治療に使用できる皮膚科学的薬剤の濃度は、全体が参照により本明細書に組み込まれているThe Merck index an encyclopedia of chemical,drugs,and biologicals/The Merck index an encyclopedia of chemical,drugs,and biologicals.Rahway、NJ;Merck & Co;1989に記載されている通りであってよい。
【0199】
個々の必要性は異なり得るが、組成物の有効量の最適範囲の決定は、当該技術分野における技能の範囲内である。一般には、当業者によって調整され得る、医薬組成物の有効量を提供するのに必要な投与量は、受給者の年齢、健康状態、身体状態、体重、疾病又は障害の種類及び程度、治療の頻度、(存在すれば)並行治療の性質、並びに所望の効果の性質及び範囲に応じて異なることになる。
【0200】
本発明の好適な実施形態によれば、対象の体の表面は、皮膚又は粘膜である。
【0201】
表面状態は、座瘡、感染、炎症、痒み、乾癬、脂漏、接触性皮膚炎、酒さ及びそれらの組合せから選択される疾患又は障害であってよい。
【0202】
本発明の好適な実施形態によれば、金属酸化物層は、局所的適用(投与)後に微粒子物質を放出する。好ましくは、固体の水不溶性微粒子物質は、本発明における上記の皮膚科学的活性剤、より好ましくは抗座瘡薬であり、最も好ましくは、皮膚科学的活性剤(例えば抗座瘡薬)は過酸化ベンゾイルである。
【0203】
別の好適な実施形態によれば、皮膚科学的活性剤(例えば抗座瘡薬)はレチノイド(好ましくはトレチノイン)である。
【0204】
理論に拘束されることなく、過酸化ベンゾイルは、皮膚上で利用可能な脂質による抽出によって金属酸化物コーティング層を介して粒子から放出されることが想定される。皮膚上に適用すると、皮膚脂質が金属酸化物層中に拡散し、コアに存在する過酸化ベンゾイルを抽出することが想定される。他の皮膚科学的薬剤も粒子から同様に放出され得る。
【0205】
本発明は、さらに、皮膚又は粘膜上への局所投与のための医薬品の製造のための、微粒子物質が局所的皮膚科学的活性剤である本発明に記載のコーティングされた微粒子物質の使用に関する。
【0206】
局所投与は、好ましくは、座瘡、乾癬、脂漏、酒さ、接触性皮膚炎、感染、炎症、痒み及びそれらの任意の組合せから選択される疾患又は障害を治療するためのものである。
【0207】
本発明の好適な実施形態によれば、コーティングされた微粒子物質の金属酸化物層の表面をその表面に結合された有機基、好ましくは疎水性基によって化学的に改質することができる。
【0208】
疎水性基は、例えば、アルキル基(当該アルキル基は、1つ又は複数のフルオロ原子でさらに置換されていてよい)、アリール基(ベンジル又はフェニルなど)及びそれらの組合せであってよい。それらの基は、該方法に関して以上に記載した通りでよい。
【0209】
また、金属酸化物層で被覆された微粒子物質を含む粒子であって、(i)前記金属酸化物層は、0.1〜10ミクロンの幅を有し、(ii)前記粒子は、前記微粒子物質が可溶である媒体、典型的にはアセトニトリル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール又はメタノールなどの有機系溶媒中、及び微粒子物質の濃度が微粒子物質の溶解度より小さい溶解容量にて、パドル法を用いた溶解テスターで試験すると、微粒子物質の50%w/wを前記粒子から放出させるための時間が、前記粒子における微粒子物質と実質的に同じ粒径を有する遊離形の微粒子物質の溶解と比較して、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、好ましくは少なくとも4倍、より好ましくは少なくとも5倍、最も好ましくは少なくとも10倍であることを特徴とする粒子が本発明によって提供される。
【0210】
微粒子物質の遊離形の溶解は、コーティングされた微粒子物質と同じ条件下で測定される。微粒子物質(活性剤)の50%w/wを粒子から放出する時間を、遊離形が50%w/w溶解する時間と比較する。好ましくは、溶解容量は、微粒子物質の濃度が微粒子物質の溶解度の少なくとも半分より小さくなるものである。「溶解度」は、溶解媒体(例えば、アセトニトリル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール又はメタノールなどの有機系溶媒)における微粒子物質(活性成分)の溶解度に関する。溶解容量は、分析方法の検出レベルにも依存することになることが理解される。溶解を20℃〜40℃の温度で実施することができる。溶解を50〜200rpmのパドル速度で実施することができる。
【0211】
農薬組成物及び使用
一態様において、本発明は、上記のコーティングされた農薬を含む農薬組成物を対象とする。典型的には、当該組成物は、コーティングされた農薬及び農業的に許容し得る担体を含む。当該担体は、当該技術分野で良く知られており、固体又は液体であってよい。
【0212】
他の構成要素
組成物が他の構成要素を含む限り、これらの構成要素は、組成物の少量部分を構成する。少量構成要素は、コーティングされた農薬に組み込まれなかった遊離した農薬を含むこともできる。本明細書に挙げた他の構成要素に加えて、本発明の組成物は、水又は他の溶媒などの担体を例えば大量構成要素以上の量で含むこともできる。
【0213】
本発明のコーティングされた農薬を、1つ又は複数の第2の化合物を用いて処方及び/又は適用することができる。当該組合せは、限定することなく、有害生物のより高度な駆除のための相乗効果を発揮すること、農薬の適用量を減少させることによって環境及び作業者の安全性に対する影響を最小限に抑えること、より広い範囲の有害生物を駆除すること、植物毒に対する農作物の抵抗、並びに哺乳類及び魚類などの無害生物種による耐性を向上させることなどの一定の利点をもたらすことができる。
【0214】
第2の化合物としては、限定することなく、他の農薬、肥料、土壌調節剤又は他の農業化学物質が挙げられる。本発明の組成物は、分散剤などのさらなる表面活性化合物を含むこともできる。農業製剤に使用される典型的な湿潤剤、分散剤又は乳化剤としては、アルキル及びアルキルアリールスルホン酸塩及び硫酸塩並びにそれらのナトリウム塩;アルキルアリールポリエーテルアルコール;硫酸化高級アルコール;ポリ酸化エチレン;スルホン酸化動物及び植物油;スルホン酸化石油;多価アルコールの脂肪酸エステル及び当該エステルの酸化エチレン付加生成物;並びに長鎖メルカプタン及び酸化エチレンの付加生成物が挙げられるが、それらに限定されない。多くの他の種類の有用な表面活性剤が市販されている。表面活性剤は、使用される場合は、組成物の1から20重量%を通常構成する。
【0215】
農薬の処方及び適用方式は、所定の用途における材料の活性に影響を及ぼし得ることを当業者なら勿論認識するであろう。したがって、農業用途では、これらのコーティングされた農薬を、所望の適用方式に応じて、比較的大きい粒径(例えば、8/16又は4/8USメッシュ)の顆粒剤(例えば、一次的なコーティングされた微粒子物質に対して水に再分散することができる農薬のコーティングされた微粒子物質の凝集物)として、水分散性顆粒剤として、粉剤として、水和剤として、懸濁液原液として、カプセル懸濁液(懸濁液中のコーティングされた微粒子物質)として、又は任意の他の既知の種類の農業的に有用な製剤として処方することができる。それらを乾燥状態で(例えば、顆粒剤、粉剤又は錠剤として)適用することができ、又はそれらを、安定な分散物(懸濁液)を形成するために希釈できる原液(例えば、固体、液体、ゲル)として処方することができる。
【0216】
原液
組成物を当業者に知られている技術によって原液として処方することができる。組成物が固体として処方される場合は、顆粒剤の剛性を向上させるためにアタクレーなどの増量剤を添加することができる。
【0217】
コーティングされた農薬及び農薬製剤を、適用の前に安定な水性エマルジョン又は分散物に分散可能な固体として保管し、扱うことができる。該分散物は、水からの均一な適用を可能にする。これは、適用の前に水中での正常な混合のみが必要である現場使用点において特に有利である。
【0218】
本発明の組成物は、水和剤の形であってもよい。水和剤は、水又は他の分散剤に容易に分散する微細粒子である。水和剤は、究極的には、有害生物駆除が必要な場所に、乾燥粉剤又は水若しくは他の液体中分散物として適用される。水和剤のための典型的な担体としては、フラー土、カオリンクレー、シリカ、及び他の高吸収性の容易に湿潤する無機希釈剤が挙げられる。水和剤は、通常は、担体の吸収性に応じて約5〜80%の農薬を含むように製造され、通常は分散を容易にするために少量湿潤剤、分散剤又は乳化剤をも含む。例えば、有用な水和剤製剤は、80.0部の農薬化合物、17.9部のクレー及び1.0部のリグノスルホン酸ナトリウム並びに湿潤剤としての0.3部のスルホン酸化脂肪族ポリエステルを含む。植物の葉上の分散を容易にするためにさらなる湿潤剤及び/又は油がタンク混合物に頻繁に添加されることになる。
【0219】
水分散性顆粒剤(WDG又はDG)は、水に分散して一次粒子の分散物を与えることになるコーティングされた農薬の乾燥組成物である。農薬含有量は、10〜70%w/wの範囲であってよい。ポリマーは、分散剤(ポリアクリル酸塩及びリグノスルホン酸塩)及び顆粒を結着させるためのバインダとして使用される。乾燥製品の長所は、加水分解の可能性が低く、高い農薬含有量が達成可能であり得ることである。短所は、粉砕混合押出及び乾燥を含むより複雑なプロセスである。この製剤において、通常、賦形剤は固体である。
【0220】
本発明の農薬組成物のための他の有用な製剤としては、サスポ−エマルジョン、流動性製剤及び懸濁液原液が挙げられる。
【0221】
流動性製剤は、液体担体、一般には水に懸濁された農薬複合体の粒子(農薬のコーティングされた微粒子物質)からなる。流動性製剤は、一般にはアニオン性又は非イオン性である湿潤剤及び分散剤として少量の界面活性剤を含むことができ、典型的には、組成物の重量に対して5%から95%、しばしば10から50%の範囲の農薬を含むことになる。適用のために、流動性製剤は、水又は他の液体媒体で希釈されてもよく、通常はスプレーとして処理される領域に適用される。
【0222】
懸濁液原液(SC)は、水中の農薬複合体の微細(2〜15ミクロン)水不溶性固体粒子の分散物である。農薬含有量は、8〜50%w/wの範囲である。それらは、注入可能であり、水に容易に分散可能であり、包装材における沈降に対して安定する必要がある。懸濁液の降伏応力を増強することによって沈降を防止するためにキサンタンゴムなどのポリマーが使用される。ポリアクリル酸塩などのいくつかのポリマー分散剤が使用される。ポリエチレングリコールがグラフトされたメタクリレート(Atlox)などのポリマーの使用によって、分散物を凝集に対して安定化させることができる。酸化エチレン/酸化プロピレン共重合体を使用して、希釈後のある程度の安定化を確保することができる。
【0223】
サスポ−エマルジョン(SE)は、水中の水溶性液体及び農薬複合体の微細(2〜15ミクロン)水不溶性固体粒子(農薬のコーティングされた微粒子物質)の分散物である。農薬含有量は、8〜50%w/wである。それらは、注入可能であり、水に容易に分散可能であり、包装材における沈降に対して安定する必要がある。それらは、粒子を安定化させ、液体を乳化させるために、いくつかの界面活性剤を含む。ポリアクリル酸塩などのいくつかのポリマー分散剤が使用される。ポリエチレングリコールがグラフトされたメタクリレート(Atlox)などのポリマーの使用によって、SCのようなSEを凝集に対して安定化させることができる。酸化エチレン/酸化プロピレン共重合体を使用して、希釈後のある程度の安定化を確保することができる。
【0224】
有用な製剤は、水、トウモロコシ油、ケロセン、プロピレングリコール又は他の好適な溶媒などの比較的不揮発性の溶媒中のコーティングされた農薬の懸濁液を含む。コーティングされた農薬が比較的粗い粒子上に担持された顆粒製剤は、航空散布、又は被覆作物植皮の浸透に特に有用である。加圧スプレー、典型的には、コーティングされた農薬が、低沸点分散剤溶媒担体の蒸気化により微細形態で分散されるエアロゾルを使用することもできる。水分散性顆粒剤は、自由に流動し、粉塵状でなく、水に容易に分散可能である。田畑で農夫が使用する際に、顆粒製剤、サスポ−エマルジョン、流動性原液等を水で希釈して、例えば0.2〜2%の範囲の濃度の農薬を得ることができる。
【0225】
有害生物の駆除方法
さらなる態様において、本発明は、有害生物を駆除する方法であって、本明細書に記載の農薬組成物の農薬として有効な量を当該有害生物の場所に適用することを含む方法を対象とする。当該場所は、有害生物が存在するか、又は存在することになりそうな場所であってよい。
【0226】
したがって、本発明は、さらに、ある場所における有害生物を防止、低減又は除去するための方法であって、微粒子物質が農薬である、本発明に記載のコーティングされた微粒子物質を含む農薬組成物の農薬として有効な量を前記有害生物の場所に適用することを含む方法に関する。
【0227】
本発明の好適な実施形態によれば、該方法は、ある場所における有害生物蔓延を防止するための方法であって、前記コーティングされた微粒子物質を表面上又は有害生物の攻撃を受けやすい基質中に導入することを含む方法である。
【0228】
その場所は、有害生物がいる場所、又は有害生物がいることが見込まれる場所、例えば葉、土壌若しくはセメント、木材、セラミック及び同様の表面などの多孔質表面であってよい。
【0229】
農薬は、本発明に記載の通りであってよい。好ましくは、農薬は、カルボフラン、イミダクロプリド、チアメトキサム、テブコナゾール、インドキサカルブ、並びにビフェントリン、シペルメトリン、アルファシペルメトリン、デルタメトリン及びラムダ−シハロトリンを含むピレトロイドから選択される。
【0230】
本発明の組成物を適用する際に、それらが単独で処方されたか、又は他の農業化学物質とともに処方されたかにかかわらず、活性化合物の有効量及び濃度が勿論採用される。その量は、例えば約0.001から約3kg/ha、好ましくは約0.03から約2kg/haの範囲で変動してよい。農薬の損失が生じる田畑での使用では、より大きな適用率(例えば、上記率の4倍)を採用することができる。
【0231】
本発明の農薬組成物を、有害生物の抑制が所望される領域に対して水希釈スプレー又は粉剤若しくは顆粒として適用することができる。これらの製剤は、0.1重量%程度から35重量%程度以上の農薬を含むことができる。粉剤は、本発明の農薬組成物と、タルク、天然クレー、珪藻土、クルミ殻及び綿実粉などの粉、並びに農薬のための分散剤及び担体として作用する他の有機及び無機固体などの微粉砕した固体との自由流動混合物である。これらの微細固体は、約50ミクロン未満の平均粒径を有する。本明細書に有用な典型的な粉剤製剤は、1.0部以下の農薬組成物及び99.0部のタルクを含むものである。
【0232】
標的有害生物、例えば、雑草、菌類又は昆虫、及び処理される農作物の種類に応じて、異なる適用方法が農薬製剤に対して用いられる。農薬の適用は、全処理領域又は標的に対して正確且つ均一な濃度を達成するように微細農薬複合体の溶液、エマルジョン又は分散物を噴霧することによるものであってよい。通常、スプレー混合物における農薬組成物を希釈するのに使用される水は、約5〜80ガロン毎エーカーになり、活性成分の量は、約20から1000グラム毎エーカーの範囲であってよい。
【0233】
標的全体に対して均一な散布を達成するための機械を使用する顆粒製剤の一斉散布によって農薬を適用することもできる。固着剤(さらなる界面活性剤、ポリマー溶液又はラテックス)を使用することによって、コーティングされた農薬を顆粒製剤に組み込んで、農薬を不活性支持体に付着させることができる。粉末化農薬複合体を不活性な粉末化成分、水、バインダ及び分散剤とともに押し出して、後に乾燥される顆粒を形成することによって他の顆粒が製造される。予め形成された顆粒支持体は、液体の農薬又は農薬の溶液を吸収するのにしばしば使用される。
【0234】
特定の態様における本発明に記載のコーティングされた微粒子物質、コーティング金属酸化物層、微粒子物質等は、他の態様における本発明に記載の様々な特徴、特性等を特徴とすることができることが理解される。
【実施例】
【0235】
以下の実施例において、溶液を指すすべての%値は(w/w)単位である。分散物を指すすべての%値は、(w/w)単位である。
【0236】
以下の実施例に使用されるすべての溶液は、他に指定する場合を除いて、示された成分の水溶液を指す。
【0237】
(実施例1)
BPOのシリカコーティング
工程1:粉砕:110gの含水BPO75%(SigmaのUSPグレード)を、0.001%の珪素消泡剤を含有する152gの0.4%CTAC溶液に懸濁させた。固定ロータミキサー(15000rpm/25m/sで動作するKinematikaポリトロン6100)を使用して、BPOを粉砕した。懸濁液の粒径分布(PSD)がd(0.9)<35μmになったとき、又は温度が50℃に達したときに粉砕を停止した。最終的な懸濁液を室温まで冷却した。
【0238】
工程2a:コーティングオプション#1:コーティング処理時に、懸濁液を、80mmの機械的溶解槽を用いて常に500RPMで撹拌した。粉砕したBPO懸濁液のpHを、5NのNaOH溶液を使用して8に補正した。1gの分量の15%珪酸ナトリウム溶液(SiOとして15%w/w)を添加し、懸濁液を5分間撹拌した。1gの分量の3%ポリクオタニウム7を添加し、懸濁液を5分間撹拌した。5NのHCl溶液を使用してpHを6〜7に調整した。
【0239】
異なる厚さを有する一連のシリカ層をBPOのまわりに形成するために、この処理を5〜100回繰り返した。
【0240】
工程2b:コーティングオプション#2:コーティング処理時に、懸濁液を、80mmの機械的溶解槽を用いて常に500RPMで撹拌した。粉砕したBPO懸濁液のpHを、5NのNaOH溶液を使用して8に補正した。2.5gの分量の15%珪酸ナトリウム溶液(SiOとして15%w/w)を添加し、懸濁液を5分間撹拌した。2.5gの分量の3%ポリクオタニウム7を添加し、懸濁液を5分間撹拌した。5NのHCl溶液を使用してpHを6〜7に調整した。
【0241】
異なる厚さを有する一連のシリカ層をBPOのまわりに形成するために、この処理を5〜100回繰り返した。
【0242】
エージング工程:pH6.5のコーティングされたBPO懸濁液を24時間にわたって穏やかな撹拌下で室温(25℃+/−2)にてエージングさせた。
【0243】
(実施例2)
BPO放出の分析評価:
シリカ殻からのBPOの放出プロファイルを、BPOを溶解することが可能な水/アセトニトリル溶液中で実施した。方法は、BPOの強い酸化性に基づく。BPOは、ヨウ化カリウム(KI)イオンと反応して、呈色反応を与えるIを形成する。次いで、チオ硫酸ナトリウム(STS)を使用してIをIに還元して、色を除去する。それぞれ12.11mgの酸化性BPOを1mlの0.1MのSTSによって還元した。
【0244】
溶液Aは、脱イオン水、アセトン、0.1MのSTS溶液及びKIで構成される。
【0245】
以下の表は、放出されたBPOの一定の%を識別するために、構成要素間の比率を示す。
【表1】

【0246】
懸濁液B、BPOの製造:100%として200mgのBPO(20%懸濁液として1g)を5ml測定ボトルに量り入れ、脱イオン水を5mlまで充填する。
【0247】
手順:50mlガラスビーカに40mlの溶液A及び5mlの懸濁液Bを添加し、黄色になる時間を測定する。
【0248】
以下の表は、実施例1に記載した、カプセル化された(コーティングされた)BPOについて得られた結果の概要を示す。
【表2】

【0249】
サンプルSGT025及びSGT010のBPOの放出率を図1及び2に示す。
【0250】
考察:
カプセル化(コーティング)サイクル毎のシリカ添加量が多いほど、且つ/又はコーティングサイクルの数が多いほど、BPO放出の時間が長くなることが明確にわかる。
【0251】
(実施例3)
トレチノイン(ATRA)のシリカコーティング
工程1:粉砕:75gの全トランスレチノイン酸(ATRA)(RhodiaのUSPグレード)を、0.001%の珪素消泡剤を含む250gの0.3%CTAC溶液に懸濁させる。M−110Yマイクロフルイダイザー処理装置(Microfluidics)を使用してATRAを15000psiで粉砕する。懸濁液の粒径分布(PSD)がd(0.9)<20μmになったときに粉砕を停止する。温度を常に30℃未満に維持する。
【0252】
工程2:コーティング:コーティング処理時に、懸濁液を、80mmの機械的溶解槽を用いて常に500RPMで撹拌する。粉砕したATRA懸濁液のpHを、5NのHCl溶液を使用して約4に補正する。0.5gの分量の15%珪酸ナトリウム溶液(SiOとして15%w/w)を添加し、懸濁液を5分間撹拌する。0.5gの分量の3%ポリクオタニウム7を添加し、懸濁液を5分間撹拌する。5NのHCl溶液を使用してpHを約4に再調整する。
【0253】
異なる厚さを有する一連のシリカ層をATRAのまわりに形成するために、この処理を5〜100回繰り返す。
【0254】
エージング工程:pH4.5のコーティングされたATRA懸濁液を24時間にわたって穏やかな撹拌下で室温にてエージングさせる。
【0255】
(実施例4)
アニオン性界面活性剤を使用したシリカコーティング
工程1:粉砕:110gの含水BPO75%(SigmaのUSPグレード)を、0.005%の珪素消泡剤を含有する152gの0.4%ドデシルスルホン酸ナトリウム(SDS)溶液に懸濁させた。固定ロータミキサー(15000rpm/25m/sで動作するKinematikaポリトロン6100)を使用して、BPOを粉砕した。懸濁液の粒径分布(PSD)がd(0.9)<35μmになったとき、又は温度が50℃に達したときに粉砕を停止した。最終的な懸濁液を室温まで冷却し、1〜2.5gの分量の3%ポリクオタニウム7を添加し、懸濁液を5分間撹拌した。
【0256】
工程2a:コーティングオプション#1:コーティング処理時に、懸濁液を、80mmの機械的溶解槽を用いて常に500RPMで撹拌した。粉砕したBPO懸濁液のpHを、5NのNaOH溶液を使用して8に補正した。1gの分量の15%珪酸ナトリウム溶液(SiOとして15%w/w)を添加し、懸濁液を5分間撹拌した。1gの分量の3%ポリクオタニウム7を添加し、懸濁液を5分間撹拌した。5NのHCl溶液を使用してpHを6〜7に調整した。
【0257】
異なる厚さを有する一連のシリカ層をBPOのまわりに形成するために、この処理を5〜100回繰り返した。
【0258】
工程2b:コーティングオプション#2:コーティング処理時に、懸濁液を、80mmの機械的溶解槽を用いて常に500RPMで撹拌した。粉砕したBPO懸濁液のpHを、5NのNaOH溶液を使用して8に補正した。2.5gの分量の15%珪酸ナトリウム溶液(SiOとして15%w/w)を添加し、懸濁液を5分間撹拌した。2.5gの分量の3%ポリクオタニウム7を添加し、懸濁液を5分間撹拌した。5NのHCl溶液を使用してpHを6〜7に調整した。
【0259】
異なる厚さを有する一連のシリカ層をBPOのまわりに形成するために、この処理を5〜100回繰り返した。
【0260】
エージング工程:pH6.5のコーティングされたBPO懸濁液を24時間にわたって穏やかな撹拌下で室温(25℃+/−2)にてエージングさせた。
【0261】
(実施例5)
非イオン性ポリマーを使用したトレチノイン(ATRA)のシリカコーティング
工程1:粉砕:12.5gのトレチノインを、7.5gのBHTを含む250gの0.3%CTAC溶液に懸濁させた。トレチノインを、M−110Yマイクロフルイダイザー処理装置(Microfluidics)を使用して15000psiで粉砕した。懸濁液の粒径分布(PSD)がd(0.9)<13μmになったときに粉砕を停止した。温度を常に30℃未満に維持する。
【0262】
工程2:コーティング:コーティング処理時に、懸濁液を、機械的撹拌機を使用して常に撹拌した。粉砕したATRA懸濁液のpHは、約3.5であった。1gの分量の15%珪酸ナトリウム溶液(SiOとして15%w/w)を添加し、懸濁液を5分間撹拌した。溶液のpHが約3になるまで1MのHClを添加した。1gの分量の1%ポリビニルアルコール水溶液を添加し、懸濁液を5分間撹拌した。
【0263】
シリカ層をATRAのまわりに形成するために、この処理を50回繰り返した。
【0264】
エージング工程:コーティングされたトレチノイン懸濁液を24時間にわたって穏やかな撹拌下で室温にてpH3でエージングさせた。
【0265】
(実施例6)
カチオン性ポリマーを使用したビフェントリンのシリカコーティング
3.58グラムの塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)(29%w/w水溶液)を1リットルフラスコ内の196.5グラムの脱イオン水に添加した。50.5グラムの乾燥粉砕された工業用ビフェントリン(平均粒径が約15ミクロン)を添加し、ポリトロンPT6100ホモジナイザを使用して混合物を均質化した。216グラムの得られた分散物をメトラトレドLabMax自動ラボリアクタに移した。
【0266】
1.8グラムの珪酸ナトリウム(25%w/w水溶液)を添加し、混合物を5分間撹拌した。5MのHClを添加することによってpHを7.0に調整した。混合物をさらに2分間撹拌し、3グラムのポリ(アクリルアミド−co−塩化ジアリルジメチルアンモニウム(3%w/w水溶液)(PDAC)を添加した。混合物を5分間撹拌した。
【0267】
(珪酸ナトリウムの添加で始まる)上記パラグラフにおけるプロセスを49回繰り返した。次いで、5分間のさらなる撹拌の後、1.8グラムの珪酸ナトリウム(25%w/w水溶液)を添加した。(5MのHClを使用して)pHを7.0に調整して、最終的な分散物を製造し、それを20℃で12時間撹拌した。分散物は7.7%の活性成分を含むことがアッセイによって示された。
【0268】
(実施例7)
非イオン性ポリマーを使用したビフェントリンのシリカコーティング
2.1グラムのCTAC(29%w/w水溶液)を1リットルフラスコ内の125グラムの脱イオン水に添加した。(0.5%w/wのCTACをも含む)125グラムのビフェントリンの20%w/w水性分散物を添加した。ポリトロンPT6100ホモジナイザを使用して混合物を均質化し、得られた分散物をメトラトレドLabMax自動ラボリアクタに移した。
【0269】
1.8グラムの珪酸ナトリウム(25%w/w水溶液)を添加し、混合物を5分間撹拌した。5MのHClを添加することによってpHを3.0に調整した。混合物をさらに2分間撹拌し、3グラムのセルオール24203(3%w/wポリビニルアルコール)を添加した。混合物を5分間撹拌した。
【0270】
(珪酸ナトリウムの添加で始まる)上記パラグラフにおけるプロセスを49回繰り返した。次いで、5分間のさらなる撹拌の後、1.8グラムの珪酸ナトリウム(25%w/w水溶液)を添加した。(5MのHClを使用して)pHを3.0に調整して、最終的な分散物を製造し、それを20℃で12時間撹拌した。分散物は4.2%の活性成分を含むことがアッセイによって示された。
【0271】
(実施例8)
共重合体を使用したビフェントリンのシリカコーティング
2.1グラムのCTAC(29%w/w水溶液)を1リットルフラスコ内の125グラムの脱イオン水に添加した。(0.5%のCTACをも含む)125グラムのビフェントリンの20%w/w水性分散物を添加した。ポリトロンPT6100ホモジナイザを使用して混合物を均質化した。さらなる75グラムの脱イオン水を添加し、得られた分散物をメトラトレドLabMax自動ラボリアクタに移した。
【0272】
1.8グラムの珪酸ナトリウム(25%w/w水溶液)を添加し、混合物を5分間撹拌した。5MのHClを添加することによってpHを5.0に調整した。混合物をさらに2分間撹拌し、3グラムのアグリメルDA102W(ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体の3%w/w水性懸濁液)を添加した。混合物を5分間撹拌した。
【0273】
(珪酸ナトリウムの添加で始まる)上記パラグラフにおけるプロセスを49回繰り返した。次いで、5分間のさらなる撹拌の後、1.8グラムの珪酸ナトリウム(25%w/w水溶液)を添加した。(5MのHClを使用して)pHを5.0に調整して、最終的な分散物を製造し、それを20℃で12時間撹拌した。分散物は4.0%の活性成分を含むことがアッセイによって示された。
【0274】
比較実験A
米国特許第6,303,149号に開示されている種類のゾル−ゲル法を採用し、塩化セチルトリメチルアンモニウムを含む水相並びにテトラエトキシシラン(TEOS)及び工業用ビフェントリンを芳香族有機溶媒に含む有機相を採用してビフェントリンのコア/殻組成物を製造した。該組成物は、8.4%w/wの96%工業用ビフェントリンを含んでいた。
【0275】
生物学的試験
チャバネゴキブリに対する多孔質表面(セメント)上の上記製剤の残留活性を以下のように評価した。
【0276】
1部の水と3部の乾燥セメント混合粉末(Quikrete又はSakrete)を混合することによって注入セメントタイルを製造した。十分に混合すると、湿性セメントをプラスチックペトリ皿(100×20mm)の「蓋」側に直接注入した。十分な湿性セメントを添加して、5〜10mm厚さのセメントの薄層を形成した。セメントを平らにし、蓋が不均一に乾燥するのを防止するために、蓋をわずかに撹拌した。湿った皿を24時間にわたって養生させた。各ペトリ皿の底の壁に鉱油と石油ゼリーの50/50混合物をコーティングして、ゴキブリがペトリ皿の未処理プラスチック部分によじ登ることによって、処理されたセメント表面から逃れるのを防止した。
【0277】
上記の初期組成物を0.5oz/ガロンの適用率に合わせて蒸留水で希釈した。DeVilbisハンド噴霧器を使用して、タイルに噴霧し、処理剤を約0.005mL/cmの率で適用した。タイルを乾燥フード内に移動させ、完全に乾燥するまで1〜2時間保持した。次いで、それらを初期(0日目)試験に使用するか、又は残留評価するために(周囲湿度及び68〜75°Fで)保管した。
【0278】
チャバネゴキブリを二酸化炭素でノックダウンし、軽量鉗子を用いて直接処理面に移した。10匹のゴキブリを各処理面に加え、鉱油/石油ゼリーがコーティングされたペトリ皿の底をカバーとして使用した。「ノックダウン」されたゴキブリ(瀕死状態であった、即ち動きを示したが、倒れたときに立ち直ることができなかった昆虫、又は死んだ昆虫を含む)の割合を様々な時間間隔で記録した。
【0279】
比較実験Aの製剤は、2日間の残留処理後に24時間曝露した後に活性を示さなかった。対照的に、28日間の残留処理後、実施例6、7及び8の製剤は、24時間の曝露後に下の活性を示した。
実施例 層コーティング 24時間の曝露後のノックダウン%
対照 なし 0
6 PDAC 90
7 PVA 100
8 アグリメル 100
【0280】
本発明の組成物は、やはりビフェントリンにシリカ殻をコーティングする先行技術の方法と比較して、セメント表面の予想外に長時間の活性を示すことが上記の結果からわかる。
【0281】
本発明をその好適な実施形態に関して示し、及び説明したが、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく多くの改変、修正及び変更をそれに加えることができることを当業者なら理解するであろう。したがって、添付の請求項の主旨及び広い範囲内に含まれるすべての当該改変、修正及び変更を包括することを意図する。
【0282】
本明細書で言及したすべての文献、特許及び特許出願は、それぞれ個々の文献、特許又は特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが具体的且つ個別的に示されているが如く、全体が参照により本明細書に組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体の水不溶性微粒子物質に金属酸化物をコーティングするための方法であって、
(a)固体の水不溶性微粒子物質をイオン性添加剤及び水性媒体と接触させて、その表面に正電荷を有する前記微粒子物質の分散物を得ること;
(b)金属酸化物塩を微粒子物質の表面上に析出させて、その上に金属酸化物層を形成することによって、金属酸化物コーティング層で被覆された微粒子物質を得ることを含むコーティング処理を微粒子物質に施すこと;
(c)工程(b)を少なくともさらに4回繰り返すこと;及び
(d)前記コーティング層をエージングすること
を含む、上記方法。
【請求項2】
前記(c)を4から約1000回繰り返す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(a)固体の水不溶性微粒子物質を第1のカチオン性添加剤及び水性媒体と接触させて、その表面に正電荷を有する前記微粒子物質の分散物を得ること;
(b)金属酸化物塩を微粒子物質の表面上に析出させて、微粒子物質上に金属酸化物コーティング層を形成することを含むコーティング処理を微粒子物質に施すこと;
(b1)水性媒体において、コーティングされた微粒子物質を、(i)第2のカチオン性添加剤及び(ii)非イオン性添加剤の一方又は両方である表面接着性添加剤と接触させること;
(b2)工程(b1)で得られた微粒子物質に工程(b)のコーティング処理を施すこと;
(c)工程(b1)及び(b2)を少なくともさらに3回繰り返すこと;並びに
(d)金属酸化物コーティング層をエージングすること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(a)固体の水不溶性微粒子物質をアニオン性添加剤、第1のカチオン性添加剤及び水性媒体と接触させて、その表面に正電荷を有する前記微粒子物質の分散物を得ること;
(b)金属酸化物塩を微粒子物質の表面上に析出させて、微粒子物質上に金属酸化物コーティング層を形成することを含むコーティング処理を微粒子物質に施すこと;
(b1)水性媒体において、コーティングされた微粒子物質を、(i)第2のカチオン性添加剤及び(ii)非イオン性添加剤の一方又は両方である表面接着性添加剤と接触させること;
(b2)工程(b1)で得られた微粒子物質に工程(b)のコーティング処理を施すこと;
(c)工程(b1)及び(b2)を少なくともさらに3回繰り返すこと;並びに
(d)金属酸化物コーティング層をエージングすること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(c)を3から約1000回繰り返すことを含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記イオン性添加剤が、カチオン性添加剤、アニオン性添加剤及びそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のカチオン性添加剤と前記第2のカチオン性添加剤が同じである、請求項3から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のカチオン性添加剤と前記第2のカチオン性添加剤が異なる、請求項3から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(e)コーティングされた微粒子物質を水性媒体から分離し、場合により、コーティングされた微粒子物質を濯ぎ、水性媒体に再分散させること
を工程(d)の後にさらに含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(b)における前記コーティングが、金属酸化物塩を水性媒体に添加すること;及び場合により、水性媒体を酸性化することを含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
分離が、濾過、遠心又はデカンテーションによって実施される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
工程(b2)における前記コーティングが、金属酸化物塩を水性媒体に添加すること;及び場合により、水性媒体を酸性化することを含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項13】
工程(b1)が、(b)で得られた分散物のpHを、第2のカチオン性添加剤を添加する前の金属酸化物の等電点より高い値に調整することを含む、請求項3から12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
工程(d)が、pHを3〜9の範囲の値まで上昇させ、懸濁物をこのpHにおいて少なくとも2時間にわたって混合することを含む、請求項1から13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記微粒子物質が、医薬として、化粧品として、又は農芸化学的活性成分である、請求項1から14までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記微粒子物質が、皮膚科学的活性剤である、請求項1から15までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記皮膚科学的活性剤が、抗真菌薬、抗菌薬、抗炎症薬、止痒薬、抗乾癬薬、抗座瘡薬及びそれらのいずれかの組合せから選択される、請求項1から16までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記農芸化学的活性成分が農薬である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記農薬が、アゾキシストロビン、カルベンダジム、クロロタロニル、銅−酸塩化物、シアゾファミド、シモキサニルシモキサニル、シプロコナゾール、ジメトモルフ、エポキシコナゾール、フルアジナム、フルシラゾール、フルトラニル、ホルトリアフォル、クレソキシム−メチル、マンコゼブ、マネブ、ペンシクロン、ピラクロストロビン、テブコナゾール、チオファネート−メチル、トリフルオキシストロビン、ジラム、アクロニフェン、アメトリン、アミカルバゾン、アトラジン、ベンタゾン、クロリムロン−エチル、シハロホップ−ブチル、エタルフルラリン、エトフマセート、フロラスラム、フルフェナセト、フルメトスラム、ホメサフェン、ハロスルフロン−メチル、イマザモクス、イマザピク、イマゼタピル、イマザピル、イマザキン、イソプロツロン、イソキサフルトール、ラクトフェン、リヌロン、メソトリオン、メタミトロン、メタザクロール、メトクスロン、メトリブジン、メツルフロン−メチル、オキシフルオルフェン、ペンジメタリン、プロメトリン、プロパニル、キンクロラク、キンメラク、キザロホップ−エチル、キザロホップ−P−エチル、リムスルフロン、シマジン、スルコトリオン、スルフェントラゾン、スルホメツロン−メチル、スルホスルフロン、テブチウロン、チフェンスルフロン−メチル、トラルコキシジム、トリアスルフロン、トリクロピル、トリフルラリン、アバメクチン、アセタミプリド、アルジカルブ、アルファシペルメトリン、ベタシフルトリン、ビフェントリン、カルボフラン、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロルピリホス、シペルメトリン、デルタメトリン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、フィプロニル、イミダクロプリド、インドキサカルブ、ラムダ−シハロトリン、ルフェヌロン、メトキシフェノジド、ノバルロン、オキサミル、ピリミカルブ、スピノサド、テフルベンズロン、チアクロプリド、チアメトキサム、フェナミホス、チジアズロン、硫黄及び上記物質のいずれかの混合物から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記活性剤が、過酸化ベンゾイル、レチノイド及びそれらの混合物から選択される、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項21】
前記金属酸化物が、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、ZnO及びそれらの混合物から選択される、請求項1から20までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記金属酸化物塩が、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ジルコン酸ナトリウム、ジルコン酸カリウム及びそれらの混合物から選択される、請求項1から21までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記カチオン性添加剤が、カチオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー及びそれらの混合物から選択される、請求項3から22までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
工程(a)における前記カチオン性添加剤が、モノアルキル四級アンモニウム塩、ジアルキル四級アンモニウム塩及びそれらの混合物から選択されるカチオン性界面活性剤である、請求項3から22までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記モノアルキル四級アンモニウム塩が、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム及びそれらの混合物から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ジアルキル四級アンモニウム塩が、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記イオン性添加剤が、アニオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー及びそれらの混合物から選択される、請求項1から22までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
工程(a)における前記アニオン性添加剤が、アルキルベンゼンスルホン酸及び塩、アルキルエーテルカルボン酸及び塩、アルキルスルホスクシンアミド酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、芳香族炭化水素スルホン酸及び塩、脂肪アルコールエトキシ硫酸塩、脂肪アルコール硫酸塩、リン酸エステル並びにそれらの混合物から選択されるアニオン性界面活性剤である、請求項1から22までのいずれか一項又は請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記アルキルベンゼンスルホン酸塩がドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであり、前記脂肪アルコール硫酸塩がラウリル硫酸ナトリウムであり、前記アルキルスルホコハク酸塩がジオクチルスルホコハク酸ナトリウム及びそれらの混合物である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2のカチオン性添加剤が、カチオン性ポリマーである、請求項3から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記カチオン性ポリマーが、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(塩化ジメチルジアリルアンモニウム)、ポリ(アクリルアミド−co−塩化ジアリル−ジメチルアンモニウム)、ポリ(塩酸アリルアミン)、キトサン、ポリリシン及びそれらの混合物から選択される、請求項23又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記第2のカチオン性添加剤が、コロイドアルミナ、コロイドセリア(CeO2)、コロイドアルミナコーティングシリカ及びそれらの混合物から選択される、請求項3から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記非イオン性添加剤が、非イオン性ポリマーである、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項34】
前記非イオン性ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びそれらの混合物である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
得られた、コーティングされた微粒子物質を乾燥させることをさらに含む、請求項1から34までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記乾燥が、噴霧乾燥、凍結乾燥、オーブン乾燥、真空乾燥、流動床から選択される方法による、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
コーティングされた微粒子物質の表面を化学的に改質することをさらに含む、請求項1から36までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
疎水性基を金属酸化物層の表面に結合させることを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
化学的表面改質が、金属酸化物層の表面上のシラノール基と、モノハロトリアルキルシラン、ジハロジアルキルシラン、トリハロアルキルシラン、モノアルコキシトリアルキルシラン、ジアルコキシジアルキルシラン、トリアルコキシアルキルシラン、及びそれらの混合物から選択される前駆体とを反応させることを含む、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
コーティングされた微粒子物質の金属酸化物コーティング層が、0.1〜10ミクロンの幅を有する、請求項1から39までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
請求項1から40までのいずれか一項に記載の方法によって得られた、コーティングされた微粒子物質。
【請求項42】
金属酸化物と前記微粒子物質の重量比が、1:99から40:60の範囲である、請求項36に記載のコーティングされた微粒子物質。
【請求項43】
金属酸化物と前記微粒子物質の重量比が、10:90から約20:80の範囲である、請求項42に記載のコーティングされた微粒子物質。
【請求項44】
約0.5〜100ミクロンの直径を有する、請求項42又は43に記載のコーティングされた微粒子物質。
【請求項45】
金属酸化物層で被覆された微粒子物質を含む粒子であって、
(i)前記金属酸化物層は、0.1〜10ミクロンの幅を有し;
(ii)前記粒子は、前記微粒子物質が可溶である媒体中、及び微粒子物質の濃度が微粒子物質の溶解度より小さい溶解容量にて、パドル法を用いた溶解テスターで試験すると、微粒子物質の50%w/wを前記粒子から放出させるための時間が、前記粒子における微粒子物質と実質的に同じ粒径を有する遊離形の微粒子物質の溶解と比較して、少なくとも2倍であることを特徴とする
上記粒子。
【請求項46】
請求項41から45までのいずれか一項に記載のコーティングされた微粒子物質を含む組成物を表面上に局所投与することを含む、対象における表面状態を治療するための方法であって、該微粒子物質が局所的皮膚科学的活性剤である、上記方法。
【請求項47】
前記表面が、皮膚又は粘膜である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記表面状態が、座瘡、感染、炎症、痒み、乾癬、脂漏、接触性皮膚炎、酒さ及びそれらの組合せから選択される疾患又は障害である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記金属酸化物層が、前記局所投与の後に微粒子物質を放出する、請求項46から48までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記皮膚科学的活性剤が、過酸化ベンゾイルである、請求項46から49までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記皮膚科学的活性剤が、レチノイドである、請求項46から49までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
皮膚又は粘膜上の局所投与のための、局所的皮膚科学的活性剤である請求項41から45までのいずれか一項に記載のコーティングされた微粒子物質の使用。
【請求項53】
前記局所投与が、座瘡、乾癬、脂漏、接触性皮膚炎、感染、酒さ、炎症及びそれらの組合せから選択される疾患又は障害を治療するためである、請求項52に記載の使用。
【請求項54】
請求項41から45までのいずれか一項に記載のコーティングされた微粒子物質を含む農薬組成物の農薬として有効な量を前記有害生物の場所に適用することを含む、ある場所における有害生物を防止、低減又は除去するための方法であって、該微粒子物質が農薬である、上記方法。
【請求項55】
前記コーティングされた微粒子物質を表面上又は有害生物の攻撃を受けやすい基質中に導入することを含む、ある場所における有害生物蔓延を防止するための請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記場所が、葉、土壌又は多孔質表面である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記農薬が、カルボフラン、イミダクロプリド、チアメトキサム、テブコナゾール、インドキサカルブ及びピレトロイドから選択される、請求項54に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−517997(P2010−517997A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547811(P2009−547811)
【出願日】平成20年2月3日(2008.2.3)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000141
【国際公開番号】WO2008/093347
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(508036547)ソル − ゲル テクノロジーズ リミテッド (4)
【Fターム(参考)】