説明

金属酸化物分散体

分散体は、30mNm-1未満の界面張力を有する少なくとも1つの極性材料と少なくとも1つのシロキサン流体との混合物を含む媒体中に分散させた、24〜42nmの範囲の体積メジアン粒子径を有する金属酸化物粒子を含む。この分散体は、効果的なUV防護、透明性及び改善された皮膚の感触を示す日焼け止め製品において使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物粒子の分散体に関し、特には日焼け止め製品におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化鉄などの金属酸化物は、日焼け止め剤において紫外線減衰物質として用いられている。紫外線と皮膚癌との関連性の認識が高まってきているため、日々のスキンケア及び化粧品において紫外線防護の要求が増している。日焼け止め製品に取り込んだ場合に効果的なUV吸収特性を示し、使用時に透明でかつ心地良い皮膚の感触を有する形態の金属酸化物に対するニーズがある。これらの特性のすべてを備えた製品を提供することは極めて難しい課題である。これらの特性、特には透明性及び皮膚の感触を改善するという絶え間ないニーズが市場にある。
【0003】
化粧品においてシロキサンの流体又はシリコーン系オイルを使用することは、改善された皮膚の感触が得られるので一般的となっている。したがって、シロキサン系分散媒体中の金属酸化物分散体が望ましい。このような分散体は、とりわけ高い金属酸化物濃度、特には低粘度での製造が難しい。加えて、ポリシロキサン分散剤は、通常、シロキサン分散媒体中で使用される必要があるが、高濃度のポリシロキサン分散剤を通常使用しなければならず、その場合でさえ、高い金属酸化物濃度及び/又は低粘度の分散体を得ることは非常に難しい。
【発明の開示】
【0004】
今回、驚くべきことに、上記の問題の少なくとも1つを克服又は有意に軽減する改善された金属酸化物分散体を見出した。
【0005】
したがって、本発明は、24〜42nmの範囲の体積メジアン粒子径を有する金属酸化物粒子を(i)30mNm-1未満の界面張力を有する少なくとも1つの極性材料と(ii)少なくとも1つのシロキサン流体との混合物を含む媒体中に分散させてなる分散体を提供する。
【0006】
本発明はまた、24〜42nmの範囲の体積メジアン粒子径を有する金属酸化物粒子を、(i)安息香酸アルキル(C12−15)、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸セテアリル、イソステアリン酸エチルヘキシル、パルミチン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ネオペンタン酸イソステアリル、オクチルドデカノール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、PPG−15ステアリルエーテル、トリエチルヘキシルトリグリセリド(triethylhexyl triglyceride)、炭酸ジカプリリル、ステアリン酸エチルヘキシル、ヒマワリ種子油、パルミチン酸イソプロピル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸プロピレングリコール、エチルヘキサン酸セチル、オクタン酸セテアリル、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸イソデシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル及びイソステアリルアルコールからなる群より選択される少なくとも1つの極性材料と、(ii)ジメチルポリシロキサン、ジメチルシリコーン、高重合メチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、環状オリゴマーのジアルキルシロキサン、ジメチルシロキサンの線状オリゴマー又はポリマー及びフェニルトリス(トリメチルシロキン)シランからなる群より選択される少なくとも1つのシロキサン流体との混合物を含む媒体中に分散させてなる分散体を提供する。
【0007】
本発明はさらに、(i)30mNm-1未満の界面張力を有する少なくとも1つの極性材料と(ii)少なくとも1つのシロキサン流体との混合物を含む媒体中に分散させた、24〜42nmの範囲の体積メジアン粒子径を有する金属酸化物粒子を含む分散体から形成された日焼け止め製品を提供する。
【0008】
本発明はさらに、24〜42nmの範囲の体積メジアン粒子径を有する金属酸化物粒子と、(i)イソステアリン酸イソプロピル及びイソステアリン酸プロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1つの極性材料と、(ii)シクロメチコン及びジメチコンからなる群より選択される少なくとも1つのシロキサン流体とを含む日焼け止め製品を提供する。
【0009】
本発明はさらに、24〜42nmの範囲の体積メジアン粒子径を有する金属酸化物粒子を(i)30mNm-1未満の界面張力を有する少なくとも1つの極性材料と(ii)少なくとも1つのシロキサン流体との混合物を含む媒体中に分散させてなる分散体の、改善された皮膚の感触を有する日焼け止め剤を製造するための使用を提供する。
【0010】
本発明はさらに、24〜42nmの範囲の体積メジアン粒子径を有する金属酸化物粒子を(i)30mNm-1未満の界面張力を有する少なくとも1つの極性材料と(ii)少なくとも1つのシロキサン流体との混合物を含む媒体中に分散させてなる分散体の、改善された皮膚の感触を有する透明な日焼け止め剤の製造における使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
好ましくは、本発明に使用される金属酸化物は、チタン、亜鉛又は鉄の酸化物を含み、最も好ましくは、金属酸化物は二酸化チタンである。
【0012】
好ましい二酸化チタン粒子は、アナターゼ及び/又はルチル結晶形を含む。粒子中の二酸化チタンは、好ましくは主要部がルチルで構成され、より好ましくは60質量%より多く、特には70質量%より多く、とりわけ80質量%より多くがルチルで構成される。粒子中の二酸化チタンは、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%、特に0.2〜0.5質量%の範囲がアナターゼで構成される。加えて、粒子中の二酸化チタンは、好ましくは40質量%未満、より好ましくは30質量%未満、特には25質量%未満がアモルファスの二酸化チタンで構成される。基となる粒子は、塩化物プロセスを用いるか、硫酸塩プロセスによるか、二塩化酸化チタン又は有機若しくは無機チタネートなどの適切なチタン化合物の加水分解によるか、又は酸化可能なチタン化合物、例えば、蒸気状態のチタン化合物の酸化によるなどの、標準的な手順によって調製することができる。二酸化チタン粒子は、好ましくはチタン化合物、特には二塩化酸化チタンの加水分解によって調製される。
【0013】
本発明に使用される金属酸化物粒子は疎水性であることが好ましい。金属酸化物の疎水性は、当技術分野で公知の標準的な手法により、金属酸化物粉末の円盤をプレスし、その上に置かれた一滴の水の接触角を測定することによって決定することができる。疎水性金属酸化物の接触角は50°よりも大きいことが好ましい。
【0014】
金属酸化物粒子は、それらを疎水性とするために被覆されることが好ましい。好適な被覆材料は撥水性、好ましくは有機系であって、脂肪酸、好ましくはラウリン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸などの10〜20個の炭素原子を含む脂肪酸、ナトリウム塩及びアルミニウム塩などの前述の脂肪酸塩、ステアリルアルコールなどの脂肪アルコール、ポリジメチルシロキサン及び置換ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン、メチルヒドロシロキサンなどの反応性シリコーン、並びにそれらのポリマー及びコポリマーを含む。ステアリン酸及び/又はその塩が特に好ましい。有機被覆材は任意の従来法を用いて適用できる。通常は、金属酸化物粒子を水中に分散し、50℃〜80℃の範囲の温度に加熱する。その後、例えば、脂肪酸塩(例えば、ステアリン酸ナトリウム)を分散体に添加し、続いて酸を添加することによって、脂肪酸を金属酸化物粒子上に堆積する。あるいはまた、金属酸化物粒子を撥水性材料の有機溶剤溶液と混合し、その後溶剤を蒸発させてもよい。本発明の別の実施態様においては、疎水性被覆がその場で形成するように、組成物の調製中に撥水性材料を本発明の組成物に直接添加してもよい。粒子の処理には、金属酸化物のコア粒子に関して計算したときに、通常は25質量%以下、より好ましくは3質量%〜20質量%、特には6質量%〜17質量%、とりわけ10質量%〜15質量%の範囲の有機材料、好ましくは脂肪酸を用いる。
【0015】
その代わりに又は付加的に、金属酸化物粒子が無機被覆を有していてもよい。例えば、アルミニウム、ジルコニウム若しくはシリコンの酸化物などの他元素の酸化物、又は英国特許出願公開第2205088号明細書に開示されているアルミナ及びシリカなどのこれらの混合物を用いて、二酸化チタンなどの金属酸化物粒子を被覆してもよく、その教示されている内容は参照することによって本明細書の一部とする。無機被覆材の好ましい量は、金属酸化物のコア粒子の質量に関して計算したときに、2質量%〜25質量%、より好ましくは4質量%〜20質量%、特には6質量%〜15質量%、とりわけ8質量%〜12質量%の範囲である。無機被覆材は当技術分野で公知の手法を用いて適用できる。典型的な方法は、その酸化物が被覆を形成することになる無機元素の可溶性塩の存在下で、金属酸化物粒子の水性分散体を形成することを含む。この分散体は選択した塩の性質により通常は酸性又は塩基性であって、必要に応じ酸又はアルカリを添加して分散体のpHを調節することにより無機酸化物の析出が行われる。
【0016】
本発明の好ましい実施態様においては、無機及び有機の被覆材の両方を、逐次的に用いるか又は混合物として用いることによって金属酸化物粒子を被覆する。無機被覆材、好ましくはアルミナを最初に適用し、続いて有機被覆材、好ましくは脂肪酸及び/又はその塩を適用することが好ましい。このように、本発明において使用される好ましい金属酸化物粒子は、(i)金属酸化物、好ましくは二酸化チタンを、粒子の総質量に対して、60質量%〜98質量%、より好ましくは65質量%〜95質量%、特には70質量%〜80質量%、とりわけ72質量%〜78質量%の範囲の量、(ii)無機被覆材、好ましくはアルミナを、粒子の総質量に対して、0.5質量%〜15質量%、より好ましくは2質量%〜12質量%、特には5質量%〜10質量%、とりわけ6質量%〜9質量%の範囲の量、及び(iii)有機被覆材、好ましくは脂肪酸及び/又はそれらの塩を、粒子の総質量に対して、1質量%〜21質量%、より好ましくは4質量%〜18質量%、特には7質量%〜15質量%、とりわけ9質量%〜12質量%の範囲の量で含む。このような金属酸化物粒子は、驚くべきことに光安定性及び分散性の両方が改良されるという組み合わせを提供する。
【0017】
個々の又は一次の金属酸化物粒子は、好ましくはその形状が針状であり、長軸(最大寸法又は長さ)及び短軸(最小寸法又は幅)を有している。粒子の第3軸(又は奥行き)は好ましくは幅とほぼ同じ寸法である。
【0018】
一次の金属酸化物粒子の数平均長さ(mean length by number)は、適切には50〜90nm、好ましくは55〜77nm、より好ましくは55〜73nm、特には60〜70nm、とりわけ60〜65nmの範囲である。粒子の数平均幅(mean width by number)は、適切には5〜20nm、好ましくは8〜19nm、より好ましくは10〜18nm、特には12〜17nm、とりわけ14〜16nmの範囲である。二酸化チタンの一次粒子の平均アスペクト比d1:d2(d1及びd2はそれぞれ粒子の長さ及び幅)は、好ましくは2.0〜8.0:1、より好ましくは3.0〜6.5:1、特には4.0〜6.0:1、とりわけ4.5〜5.5:1の範囲である。一次粒子のサイズは、電子顕微鏡検査によって適切に測定することができる。透過型電子顕微鏡を用いて得られる画像から選択したフィラー粒子の長さ及び幅を測定することによってサイズを決定することができる。
【0019】
金属酸化物粒子の平均結晶サイズ(本明細書で記載するようにX線回折によって測定される)は、適切には4〜10nm、好ましくは5〜9nm、より好ましくは5.5〜8.5nm、特には6〜8nm、とりわけ6.5〜7.5nmの範囲である。
【0020】
金属酸化物粒子の結晶サイズのサイズ分布は重要な場合があり、適切には少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、より好ましくは少なくとも50質量%、特には少なくとも60質量%、とりわけ少なくとも70質量%の金属酸化物粒子の結晶サイズは、平均結晶サイズについて前述した好ましい範囲のうちの1つ又はそれ以上の範囲内に収まっている。
【0021】
本発明に従って粒子状金属酸化物が分散体へと形成される場合、本明細書に記載したように測定した場合の、粒子状金属酸化物の体積メジアン粒子径(全粒子の体積の50%に相当するところの球相当径であって、体積%を粒子径と関連させた累積分布曲線から読み取られ、しばしば「D(v,0.5)」値と呼ばれる。)(以下分散粒子径と呼ぶ)は、適切には24〜42nm、好ましくは27〜39nm、より好ましくは29〜37nm、特には31〜35nm、とりわけ32〜34nmの範囲である。
【0022】
分散体中の金属酸化物粒子のサイズ分布もまた、例えば、所望の特性を有する日焼け止め製品を得る上で重要なパラメータであり得る。好ましい実施態様において、金属酸化物粒子のうち10体積%未満の体積径は、体積メジアン粒子径から下回る量が、適切には13nm超、好ましくは11nm超、より好ましくは10nm超、特には9nm超、とりわけ8nm超である。加えて、金属酸化物粒子のうち16体積%未満の体積径は、体積メジアン粒子径から下回る量が、適切には11nm超、好ましくは9nm超、より好ましくは8nm超、特には7nm超、とりわけ6nm超である。さらに、金属酸化物粒子のうち30体積%未満の体積径は、体積メジアン粒子径から下回る量が、適切には7nm超、好ましくは6nm超、より好ましくは5nm超、特には4nm超、とりわけ3nm超である。
【0023】
また、金属酸化物粒子のうち90体積%超の体積径は、体積メジアン粒子径から上回る量が、適切には30nm未満、好ましくは27nm未満、より好ましくは25nm未満、特には23nm未満、とりわけ21nm未満である。加えて、金属酸化物粒子のうち84体積%超の体積径は、体積メジアン粒子径から上回る量が、適切には19nm未満、好ましくは18nm未満、より好ましくは17nm未満、特には16nm未満、とりわけ15nm未満である。さらに、金属酸化物粒子のうち70体積%超の体積径は、体積メジアン粒子径から上回る量が、適切には8nm未満、好ましくは7nm未満、より好ましくは6nm未満、特には5nm未満、とりわけ4nm未満である。
【0024】
本明細書に記載する金属酸化物粒子の分散粒子サイズは、電子顕微鏡、コールターカウンター、沈降分析及び静的又は動的光分散によって測定することができる。沈降分析に基づいた手法が好ましい。メジアン粒子サイズは、選択した粒子サイズ未満の粒子体積の百分率を表す累積分布曲線を描き、50番目の百分位数を読み取ることによって決定できる。分散体中の金属酸化物粒子の体積メジアン粒子径及び粒子サイズ分布は、本明細書に記載するようにBrookhavenの粒度分布測定装置を用いて測定するのが適切である。
【0025】
本発明の特に好ましい実施態様においては、本明細書に記載するように測定した場合の金属酸化物粒子のBET比表面積は、40m2/gより大きく、より好ましくは50〜100m2/g、特には60〜90m2/g、とりわけ65〜75m2/gの範囲である。
【0026】
本発明で用いられる金属酸化物粒子は改善された透過性を示し、本明細書で記載するように測定した場合の524nmにおける吸光係数(E524)は、適切には0.4〜1.2L/g/cm、好ましくは0.5〜1.1L/g/cm、より好ましくは0.6〜1.0L/g/cm、特には0.7〜0.9L/g/cm、とりわけ0.75〜0.85L/g/cmの範囲である。加えて、本明細書で記載するように測定した場合の、金属酸化物粒子の450nmにおける吸光係数(E450)は、適切には0.8〜2.2L/g/cm、好ましくは1.0〜2.0L/g/cm、より好ましくは1.2〜1.8L/g/cm、特には1.3〜1.7L/g/cm、とりわけ1.4〜1.6L/g/cmの範囲である。
【0027】
金属酸化物粒子は効果的なUV吸収を示し、本明細書で記載するように測定した場合の360nmにおける吸光係数(E360)は、適切には5〜11L/g/cm、好ましくは6〜10L/g/cm、より好ましくは6.5〜9.5L/g/cm、特には7〜9L/g/cm、とりわけ7.5〜8.5L/g/cmの範囲である。また、本明細書で記載するように測定した場合の、金属酸化物粒子の308nmにおける吸光係数(E308)は、適切には40〜52L/g/cm、好ましくは42〜50L/g/cm、より好ましくは43〜49L/g/cm、特には44〜48L/g/cm、とりわけ45〜46L/g/cmの範囲である。
【0028】
本明細書で記載するように測定した場合の、金属酸化物粒子の最大吸光係数(Emax)は、適切には57〜70L/g/cm、好ましくは58〜68L/g/cm、より好ましくは59〜66L/g/cm、特には60〜64L/g/cm、とりわけ61〜62L/g/cmの範囲である。本明細書で記載するように測定した場合の、金属酸化物粒子のλ(max)は、適切には270〜286nm、好ましくは272〜284nm、より好ましくは274〜282nm、特には276〜280nm、とりわけ277〜278nmの範囲である。
【0029】
適切には金属酸化物粒子は減少した白色度を示し、本明細書で記載するように測定した場合の、これら粒子を含む日焼け止め製品の白色度の変化ΔLは、好ましくは3未満、より好ましくは0.5〜2.5、特には1.0〜2.0の範囲である。加えて、本明細書で記載するように測定した場合の、これら粒子を含む日焼け止め製品の白色度指数は、好ましくは100%未満、より好ましくは10%〜80%、特には20%〜60%、とりわけ30%〜50%の範囲である。
【0030】
適切には金属酸化物粒子の光灰色化(photogreying)は減少しており、本明細書で記載するように測定した場合の灰色化指数は、好ましくは15未満であり、より好ましくは1〜10、特には2〜7、とりわけ3〜5の範囲である。
【0031】
本発明の分散体において、金属酸化物粒子は凝集に対して安定である。分散体中の金属酸化物粒子は比較的均一に分散しており、静置したときに沈降しにくい。仮に沈降がいくらか生じた場合であっても、簡単な撹拌によって粒子を容易に再分散することができる。
【0032】
本発明で用いられる分散媒体は、水と比較したときの界面張力が30mNm-1未満の少なくとも1つの有機極性材料と、少なくとも1つのシロキサン流体との混合物を含む。水と比較したときの極性材料の界面張力は、適切には2〜28mNm-1、好ましくは3〜25mNm-1、より好ましくは10〜22mNm-1、特には15〜20mNm-1、とりわけ17〜19mNm-1の範囲である。
【0033】
分散体中に存在する極性材料とシロキサン流体の比率(質量%)は、適切には10〜90:90〜10、好ましくは20〜80:80〜20、より好ましくは30〜70:70〜30、特には40〜60:60〜40、とりわけ45〜55:55〜45の範囲である。
【0034】
好適な極性材料については、安息香酸アルキル(C12−15)、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸セテアリル、イソステアリン酸エチルヘキシル、パルミチン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ネオペンタン酸イソステアリル、オクチルドデカノール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、PPG−15ステアリルエーテル、トリエチルヘキシルトリグリセリド、炭酸ジカプリリル、ステアリン酸エチルヘキシル、ヒマワリ種子油、パルミチン酸イソプロピル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸プロピレングリコール、エチルヘキサン酸セチル、オクタン酸セテアリル、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸イソデシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル及びイソステアリルアルコールが含まれるか、又はこれらのものからなる群より選択する。上記極性材料の任意の2つ以上の混合物を使用してもよい。好ましい極性材料としては、トリエチルヘキシルトリグリセリド、エチルヘキサン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル及び/又はイソステアリン酸プロピレングリコールが挙げられる。イソステアリン酸イソプロピル及び/又はイソステアリン酸プロピレングリコールが特に好ましい。
【0035】
任意の好適なシロキサン流体又はシリコーンオイルを使用することができ、主な要件は化粧品の適合性である。好適なシロキサン流体としては、下表に示すものが挙げられる。
【0036】
【表1】

【0037】
好ましいシロキサン流体としては、ジメチルポリシロキサン;ジメチルシリコーン;高重合メチルポリシロキサン;メチルポリシロキサン(一般にジメチコンとして知られる);環状オリゴマーのジアルキルシロキサン、例えば、ジメチルシロキサンの環状オリゴマー(一般にシクロメチコンとして知られる);適切な流動性を有するジメチルシロキサンの線状オリゴマー又はポリマー;フェニルトリス(トリメチルシロキン)シラン(フェニルトリメチコンとしても知られる);及びそれらの混合物が挙げられる。特に好ましいシロキサン流体はシクロメチコン及び/又はジメチコンである。
【0038】
シロキサン流体の動粘度は、好ましくは100cSt未満、より好ましくは50cSt未満、特には30cSt未満、とりわけ10cSt未満である。
【0039】
本発明の分散体はまた、その特性を改善するために分散剤を含んでもよい。金属酸化物粒子の総質量に対して存在する分散剤の量は、適切には1質量%〜25質量%、好ましくは2質量%〜20質量%、より好ましくは3質量%〜15質量%、特には4質量%〜10質量%、とりわけ6質量%〜8質量%の範囲である。驚くべき特徴は、比較的低濃度の分散剤で分散体を製造できるということである。
【0040】
本発明の金属酸化物分散体のさらに驚くべき特徴は、ポリシロキサン分散剤を使用することなくシロキサン流体を含む分散媒体を使用できることである。
【0041】
好適な分散剤としては、置換カルボン酸、石けん用素地及びポリヒドロキシ酸が挙げられる。典型的には、分散剤は式X−CO−ARを有するものであってよく、式中、Aは2価の架橋基、Rは1級、2級若しくは3級アミノ基、又はこれらの酸との塩(すなわち4級アンモニウム塩基)であり、Xはポリエステル鎖の残基であって、−CO−基と合わせて式HO−R’−COOHのヒドロキシカルボン酸に由来する。典型的な分散剤の例は、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸に加えて少量のステアリン酸とパルミチン酸とを含んでいる水素化したヒマシ油の脂肪酸に基づいたものである。また、1つ又は複数のポリエステル、又はヒドロキシカルボン酸の塩とヒドロキシ基のないカルボン酸の塩に基づいた分散剤も使用できる。様々な分子量の化合物が使用できる。他の好適な分散剤は、脂肪酸アルカノールアミドとカルボン酸のモノエステル、及びそれらの塩である。アルカノールアミドは、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン又はアミノエチルエタノールアミンを基とする。別の分散剤は、アクリル酸又はメタクリル酸のポリマー又はコポリマー(例えば、そのようなモノマーのブロックコポリマー)に基づいたものである。同様の一般的な形態である他の分散剤は、エトキシル化リン酸エステルに基づくものなど、成分基の中にエポキシ基を有するものである。分散剤は、超分散剤(hyper dispersant)と呼ばれて市販されているものの1つであってもよい。ポリヒドロキシステアリン酸が特に好ましい分散剤である。
【0042】
本発明の利点は、分散体の総質量に対して、金属酸化物粒子を、少なくとも35質量%、好ましくは少なくとも40質量%、より好ましくは少なくとも45質量%、特には少なくとも50質量%、とりわけ少なくとも55質量%、かつ一般的には70質量%以下の量で含む分散体を製造できる点にある。
【0043】
本発明の分散体の特に驚くべき特徴は、高い金属酸化物濃度、例えば、分散体の総質量の少なくとも40質量%でさえ、低粘度を有することができることにある。分散体は、(i)本明細書で記載するように測定した場合に、適切には25,000mPa・s未満、より好ましくは15,000mPa・s未満、より好ましくは500〜10,000mPa・s、特には1,000〜5,000mPa・s、とりわけ2,000〜3,000mPa・sの低せん断粘度、及び/又は(ii)本明細書で記載するように測定した場合に、適切には6,000mPa・s未満、より好ましくは4,000mPa・s未満、より好ましくは100〜3,000mPa・s、特には500〜2,000mPa・s、とりわけ800〜1,500mPa・sの高せん断粘度を有する。
【0044】
本発明の分散体は、特に日焼け止め製品を製造するのに用いた場合に、改善された皮膚の感触を示す。従来の日焼け止め製品は、皮膚に対して「脂状(greasy)」の使用感を与える。本明細書で記載するように測定した場合、本発明の分散体及び日焼け止め製品の皮膚感触は驚くほどに改善されており、例えば、非常に脂状でない使用感が得られ及び/又は残留物の量が低減される。
【0045】
本明細書で記載した金属酸化物粒子の分散体を含む組成物、好ましくは日焼け止め製品のサンケア指数(SPF)は、本明細書で記載するように測定した場合、適切には10より大きく、好ましくは15より大きく、より好ましくは20より大きく、特には25より大きく、とりわけ30より大きく、かつ50以下である。
【0046】
本発明の分散体は、日焼け止め組成物、特にはエマルジョン形態の日焼け止め組成物を調製するための成分として有用である。組成物には、日焼け止めに使用される従来の化粧品成分のような、意図した用途に対して使用するのに好適な、従来の添加剤がさらに含まれてもよい。本明細書に記載した粒子状金属酸化物が、本発明の日焼け止め製品における唯一の紫外線減衰剤であってもよいが、他の金属酸化物及び/又は他の有機材料のような、他の日焼け止め剤を添加することもできる。例えば、本明細書に記載した好ましい二酸化チタン粒子は、他の現在市販されている二酸化チタン及び/又は酸化亜鉛の日焼け止め剤と一緒に組み合わせて用いてもよい。本発明の組成物に用いるのに好適な有機日焼け止め剤としては、p−メトキシケイ皮酸エステル、サリチル酸エステル、p−アミノ安息香酸エステル、非スルホン化ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体及び2−シアノアクリル酸エステルが挙げられる。有用な有機日焼け止め剤の具体的な例としては、ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−8、ベンゾフェノン−12、イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルジヒドロキシプロピルPABA、グリセリルPABA、オクチルジメチルPABA、メトキシケイ皮酸オクチル、ホモサレート、サリチル酸オクチル、オクチルトリアゾン、オクトクリレン、エトクリレン、アントラニル酸メンチル及び4−メチルベンジリデンカンフルが挙げられる。
【0047】
本明細書では、以下の試験法を用いている。
【0048】
1)金属酸化物粒子の結晶サイズ測定
結晶サイズはX線回折(XRD)線の広がりにより測定した。回折パターンは、モノクロメータとして動作するSol−Xエネルギー分散検出器を備えたSiemens D5000回折装置において、CuKα線の放射を用いて測定した。プログラム制御可能なスリットを使用し、ステップサイズを0.02°、ステップ検出時間を3秒として、12mm長の試料からの回折を測定した。データの分析は、2θが22°と48°の間の回折パターンを、ルチルについての反射位置に対応する一連のピークとフィッティングすることにより行った。アナターゼが存在する場合は、それらの反射に対応する追加の一連のピークともフィッティングした。このフィッティング処理によって、回折線形状の幅広化といった装置の影響を除くことができた。平均結晶サイズの質量平均値は、Stokes及びWilsonの方法原理(B.E.Warren,”X−Ray Diffraction”,Addison−Wesley,Reading,Massachusetts,1969,pp254−257)に従い、ルチル(110)の反射(2θはおよそ27.4°)についてその幅を積算することに基づいて決定した。
【0049】
2)分散体中の金属酸化物粒子の体積メジアン粒子径及び粒子サイズ分布
金属酸化物粒子の分散体を、ポリヒドロキシステアリン酸6.3gを、極性材料(例えば、イソステアリン酸イソプロピル又はイソステアリン酸プロピレングリコール)51.85g及びシロキサン流体(例えば、シクロメチコン)51.85gと混合し、次いで金属酸化物90gをその溶液中に添加することにより作製した。およそ2100回転/分で動作し、粉砕媒体としてジルコニアビーズを含む水平型ビーズミルに混合物を15分間通した。金属酸化物粒子の分散体をミリスチン酸イソプロピルと混合して30〜40g/Lとなるように希釈した。希釈したサンプルを、Brookhaven BI−XDC粒度分布測定装置にて遠心分離モードで分析して、体積メジアン粒子径及び粒子サイズ分布を測定した。
【0050】
3)金属酸化物粒子のBET比表面積
Micromeritics Flowsorb II 2300を用い、1点法でBET比表面積を測定した。
【0051】
4)白色度の変化及び白色度指数
日焼け止め組成物を用いて光沢のある黒いカードの表面上を被覆し、濡れ厚さが12μmのフィルムを形成するようにNo.2のKバーを用いて引き延ばした。フィルムを10分間室温に置いて乾燥し、Minolta CR300色差計を用いて黒色表面における被覆の白色度(LF)を測定した。白色度の変化ΔLは、被覆の白色度(LF)から基材の白色度(LS)を引くことにより計算した。白色度指数は、標準の二酸化チタン(Tayca MT100T、Tayca Corporation)を100%として比較したときの、白色度の変化ΔLの百分率である。
【0052】
5)光灰色化指数
金属酸化物分散体(安息香酸アルキル(C12−15)中に金属酸化物粒子15質量%が分散している)を、6cm×3cmのアクリルセル(2cm×1.5cmの空間を含む)の内側に入れ、その上を覆うようにガラススライドを締め付けて固定することによりセルを気密にし、気泡が存在しないことを確実にした。初期の白色度(LI)をMinolta CR300色差計を用いて測定した。次いで、セルを30回転/分で回転するターンテーブルに置いて、UV光(セルから12cmに設置された4本のTL29D,16/09チューブを含むUVランプ)に2時間曝し、その後白色度(LT)を再測定した。灰色化指数ΔLはΔL=LI−LTとした。
【0053】
6)サンケア指数
日焼け止め組成物のサンケア指数(SPF)は、Diffey及びRobsonによるJ.Soc.Cosmet.Chem.Vol.40,pp127−133,1989の体外法を用いて決定した。
【0054】
7)吸光係数
金属酸化物分散体0.1gのサンプルをシクロヘキサン100mLで希釈した。次いで、この希釈したサンプルを、サンプル:シクロヘキサンの比が1:19になるようにシクロヘキサンを用いてさらに希釈した。全体で希釈は1:20,000となった。次いで、希釈したサンプルを光路長1cmの分光光度計(Perkin−Elmer Lambda 2 UV/VIS分光光度計)に置き、UV及び可視光の吸光度を測定した。吸光係数は式A=Ecl(A=吸光度、E=吸光係数[L/g/cm]、c=濃度[g/L]及びl=光路長[cm])から計算した。
【0055】
8)界面張力
極性材料又はシロキサン流体分散媒体と水との間の界面張力は、Du Nuoy Ring法により25℃にて測定した。
【0056】
9)粘度
金属酸化物分散体の粘度は、C25同心円筒を用いたBohlin CVOレオメータにより25℃で測定した。サンプルを1000s-1のせん断速度で30秒間予備せん断した後測定した。測定は、予備せん断の完了直後に、0.03Paの初期せん断応力を適用し、180秒の期間にわたって1000Paまで圧力を上げることにより行った。低せん断速度(0.01s-1)及び高せん断速度(100s-1)での粘度を記録した。
【0057】
以下の限定的でない例により本発明を説明する。
【実施例】
【0058】
例1
二塩化酸化チタン1モルの酸性溶液をNaOH3モルの水溶液と反応させた。初期の反応時間が経過した後、温度を70℃より高く上げて撹拌を続けた。反応混合物にNaOH水溶液を添加して中和し、70℃より低くなるまで放置して冷却した。次いで、TiO2の質量に対してAl2310.5質量%に相当する量の、アルミン酸ナトリウムのアルカリ溶液を添加した。添加中は温度を70℃より低く維持した。温度を70℃より高く上げて、TiO2の質量に対してステアリン酸ナトリウム13.5質量%に相当する量のステアリン酸ナトリウムを添加した。塩酸溶液を添加して分散体を中和した。得られたスラリーを濾過し、脱塩水で洗浄し、オーブン中で乾燥し、次いでミクロ粉砕して粒子状二酸化チタンを生成した。
【0059】
ポリヒドロキシステアリン酸6.3gを、イソステアリン酸イソプロピル51.85g及びシクロメチコン51.85gと混合し、次いで、上で生成した二酸化チタン90gを溶液中に添加することにより分散体を生成した。およそ2100回転/分で動作し、粉砕媒体としてジルコニアビーズを含む水平型ビーズミルに混合物を15分間通した。
【0060】
本明細書に記載した試験手順で分散体を試験したところ、この二酸化チタンは以下の特性を示した。
i)平均結晶サイズ=7nm
ii)吸光係数
524=0.9、E450=1.6、E308=45.6、E360=7.6、E(max)=60.1、λ(max)=280
【0061】
例2
イソステアリン酸イソプロピルの代わりにイソステアリン酸プロピレングリコールを用いたこと以外は例1の手順を繰り返した。
【0062】
本明細書に記載した試験手順で分散体を試験したところ、この二酸化チタンは以下の特性を示した。
i)平均結晶サイズ=7nm
ii)低せん断粘度=2,480mPa・s及び高せん断粘度=1,000mPa・s
iii)吸光係数
524=0.7、E450=1.5、E308=46.7、E360=6.9、E(max)=62.2、λ(max)=279
【0063】
例3
例1で生成した二酸化チタン分散体を使用して、以下の組成の日焼け止め製品を調製した(単位はw/w%)。
相A:
シクロメチコン(Pentamer) 7.75
ESTOL 1543(商標、例えばUniqema) 9.75
DC 2502流体(例えばDow Corning) 2.0
例1で生成した二酸化チタン分散体 12.0
相B:
ARLATONE 2121(商標、例えばUniqema) 4.5
Keltrol RD(例えばNutrasweek Kelco) 0.2
Veegum Ultra(例えばRT Vanderbilt) 0.8
Rewoderm S1333(例えばWitco) 0.2
D−Panthenol USP(例えばRoche) 0.8
硫酸マグネシウム 0.7
プロピレングリコール 4.0
水 100まで
相C:
Phenonip(例えばNipa) 0.4
【0064】
手順:
1)水とArlatone 2121を混合し、Arlatone 2121が十分に分散するまで適度な撹拌とともに80℃に加熱した。
2)残りの相Bの成分を撹拌しながら添加し、温度を75〜80℃に維持した。
3)相Aの成分を75〜80℃に加熱した。
4)相Aを撹拌しながら相Bに加え、混合物を2分間にわたって均質化した。
5)混合物を撹拌しながら45℃に冷却し、相Cを添加した。
6)撹拌しながら室温まで冷却した。
【0065】
例4
例2で生成した二酸化チタン分散体を使用して、以下の組成の日焼け止め製品を調製した(単位はw/w%)。
相A:
シクロメチコン(Pentamer) 6.0
KF6028 3.0
Arlacel 183V(商標、例えばUniqema) 0.6
メトキシケイ皮酸オクチル 7.5
p−メトキシケイ皮酸イソアミル 2.0
サリチル酸オクチル 3.2
相B:
PRICERINE 9091(商標、例えばUniqema) 2.0
1,3ブチレングリコール 3.0
硫酸マグネシウム 0.8
水 100まで
相C:
ベントナイトゲル VS5PC−V 6.0
相D:
例2で生成した二酸化チタン分散体 12.5
相E:
Phenonip(例えばNipa) 0.4
【0066】
手順:
1)相A及びBの成分を互いに別々に混合した。
2)相A及びBを別々に70℃まで加熱した。
3)相Bを相Aに加え、5分間にわたって均質化した。
4)混合物を55〜60℃に冷却した。
5)相C、D及びEを混合物に加え、混合物を2〜3分間にわたって均質化した。
6)室温まで冷却した。
【0067】
得られたエマルジョンは、最小の皮膚残留物とともに非脂状の使用感を有する優れた皮膚感触特性を示すことが見出された。エマルジョンのSPFは40.1であった。
【0068】
例5
例2で生成した二酸化チタン分散体を使用して、以下の組成の日焼け止め製品(サンバーム)を調製した(単位はw/w%)。
蜜ろう 8.5
水添オリーブ油ステアリルエステルズ 6.0
ワセリン 8.0
シアバター 3.0
ベヘニルアルコール 2.5
MONASIL PCA(商標、例えばUniqema) 3.0
メトキシケイ皮酸オクチル 7.5
p−メトキシケイ皮酸イソアミル 2.0
シクロメチコン 4.0
PRISORINE 3631(商標、例えばUniqema) 6.5
PRISORINE 2039(商標、例えばUniqema) 7.0
例2で生成した二酸化チタン分散体 25.0
シリカ 5.0
顔料(未処理) 2.0
タピオカピュア 10
【0069】
手順:
1)すべての成分を一緒に混合して80℃まで加熱した。
2)混合物を十分に分散するまで撹拌した。
3)混合物を60℃に冷却して容器に入れた。
4)室温まで冷却した。
【0070】
得られたサンバームは、非脂状の塗りと乾燥した粉末状の使用感を示すことが見出された。サンバームのSPFは47.6であった。
【0071】
上の例は、本発明の分散体及び日焼け止め製品の改善された特性を説明するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
24〜42nmの範囲の体積メジアン粒子径を有する金属酸化物粒子を(i)30mNm-1未満の界面張力を有する少なくとも1つの極性材料と(ii)少なくとも1つのシロキサン流体との混合物を含む媒体中に分散させてなる分散体。
【請求項2】
前記金属酸化物粒子の平均結晶サイズが4〜10nmの範囲である、請求項1に記載の分散体。
【請求項3】
金属酸化物粒子の少なくとも40質量%の結晶サイズが5〜9nmの範囲内にある、請求項1又は2に記載の分散体。
【請求項4】
金属酸化物粒子のうち16体積%未満の体積径の、前記体積メジアン粒子径から下回る量が9nm超である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項5】
金属酸化物粒子のうち30体積%未満の体積径の、前記体積メジアン粒子径から下回る量が5nm超である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項6】
金属酸化物粒子のうち84体積%超の体積径の、前記体積メジアン粒子径から上回る量が17nm未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項7】
金属酸化物粒子のうち70体積%超の体積径の、前記体積メジアン粒子径から上回る量が6nm未満である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項8】
前記金属酸化物粒子の524nmにおける吸光係数が0.4〜1.2L/g/cmの範囲である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項9】
前記金属酸化物粒子の360nmにおける吸光係数が5〜11L/g/cmの範囲である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項10】
前記金属酸化物粒子の308nmにおける吸光係数が40〜52L/g/cmの範囲である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項11】
前記金属酸化物粒子について、(i)体積メジアン粒子径が29〜37nmの範囲であり、及び/又は(ii)粒子のうち10体積%未満の体積径の、該体積メジアン粒子径を下回る量が11nm超であり、及び/又は(iii)粒子のうち16体積%未満の体積径の、該体積メジアン粒子径を下回る量が8nm超であり、及び/又は(iv)粒子のうち30体積%未満の体積径の、該体積メジアン粒子径を下回る量が5nm超であり、及び/又は(v)粒子のうち90体積%超の体積径の、該体積メジアン粒子径を上回る量が27nm未満であり、及び/又は(vi)粒子のうち84体積%超の体積径の、該体積メジアン粒子径を上回る量が17nm未満であり、及び/又は(vii)粒子のうち70体積%超の体積径の、該体積メジアン粒子径を上回る量が6nm未満である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項12】
前記金属酸化物粒子について、524nmにおける吸光係数が0.5〜1.1L/g/cmの範囲であり、450nmにおける吸光係数が1.0〜2.0L/g/cmの範囲であり、360nmにおける吸光係数が6〜10L/g/cmの範囲であり、308nmにおける吸光係数が44〜48L/g/cmの範囲であり、最大吸光係数が60〜64L/g/cmの範囲であり、λ(max)が274〜282nmの範囲である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項13】
前記極性材料の界面張力が3〜25mNm-1の範囲である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項14】
極性材料とシロキサン流体の比が質量%で30〜70:70〜30の範囲である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項15】
前記極性材料が、イソノナン酸イソノニル、トリエチルヘキシルトリグリセリド(triethylhexyl triglyceride)、エチルヘキサン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル及びイソステアリン酸プロピレングリコールからなる群より選択される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項16】
前記シロキサン流体がシクロメチコン及びジメチコンからなる群より選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項17】
非ポリシロキサンを含む分散剤を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項18】
前記分散剤が少なくとも1つの非ポリシロキサンからなる、請求項17に記載の分散体。
【請求項19】
前記分散剤がポリヒドロキシステアリン酸を含む、請求項17又は18に記載の分散体。
【請求項20】
少なくとも45質量%の金属酸化物粒子を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項21】
(i)500〜10,000mPa・sの範囲の低せん断粘度、及び/又は(ii)100〜3,000mPa・sの範囲の高せん断粘度を有する、請求項1〜20のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項22】
24〜42nmの範囲の体積メジアン粒子径を有する金属酸化物粒子を、(i)安息香酸アルキル(C12−15)、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸セテアリル、イソステアリン酸エチルヘキシル、パルミチン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ネオペンタン酸イソステアリル、オクチルドデカノール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、PPG−15ステアリルエーテル、トリエチルヘキシルトリグリセリド(triethylhexyl triglyceride)、炭酸ジカプリリル、ステアリン酸エチルヘキシル、ヒマワリ種子油、パルミチン酸イソプロピル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸プロピレングリコール、エチルヘキサン酸セチル、オクタン酸セテアリル、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸イソデシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル及びイソステアリルアルコールからなる群より選択される少なくとも1つの極性材料と、(ii)ジメチルポリシロキサン、ジメチルシリコーン、高重合メチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、環状オリゴマーのジアルキルシロキサン、ジメチルシロキサンの線状オリゴマー又はポリマー及びフェニルトリス(トリメチルシロキン)シランからなる群より選択される少なくとも1つのシロキサン流体との混合物を含む媒体中に分散させてなる分散体。
【請求項23】
(i)30mNm-1未満の界面張力を有する少なくとも1つの極性材料と(ii)少なくとも1つのシロキサン流体との混合物を含む媒体中に分散させた、24〜42nmの範囲の体積メジアン粒子径を有する金属酸化物粒子を含む分散体から形成された日焼け止め製品。
【請求項24】
24〜42nmの範囲の体積メジアン粒子径を有する金属酸化物粒子と、(i)イソステアリン酸イソプロピル及びイソステアリン酸プロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1つの極性材料と、(ii)シクロメチコン及びジメチコンからなる群より選択される少なくとも1つのシロキサン流体とを含む日焼け止め製品。
【請求項25】
24〜42nmの範囲の体積メジアン粒子径を有する金属酸化物粒子を(i)30mNm-1未満の界面張力を有する少なくとも1つの極性材料と(ii)少なくとも1つのシロキサン流体との混合物を含む媒体中に分散させてなる分散体の、改善された皮膚の感触を有する日焼け止め剤を製造するための使用。
【請求項26】
24〜42nmの範囲の体積メジアン粒子径を有する金属酸化物粒子を(i)30mNm-1未満の界面張力を有する少なくとも1つの極性材料と(ii)少なくとも1つのシロキサン流体との混合物を含む媒体中に分散させてなる分散体の、改善された皮膚の感触を有する透明な日焼け止め剤の製造における使用。

【公表番号】特表2009−508920(P2009−508920A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531774(P2008−531774)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003471
【国際公開番号】WO2007/034162
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(506352278)クローダ インターナショナル パブリック リミティド カンパニー (24)
【Fターム(参考)】