説明

金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子及びその製造方法並びそれを配合した樹脂組成物又は化粧料

【課題】金属酸化物固溶酸化セリウム粒子の分散性を向上させ、少ない配合量で高い紫外線遮断効果を上げ得る金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を提供する。
【解決手段】粒径が1〜50μm、アスぺクト比が30〜100の板状粒子を、酸化セリウムにCa2+、Y3+、La3+、Nd3+、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Ce3+、Zn2+、Fe3+、Co2+、Ni2+のうちから選ばれる一種又は二種以上の金属イオンを固溶させてなる金属酸化物固溶酸化セリウム粒子で被覆してなる金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子である。上記の金属酸化物固溶酸化セリウム粒子中の酸化セリウム濃度は40〜98モル%が好ましい。板状粒子としては雲母が好ましい。上記の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子は樹脂や化粧料に配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属イオンを固溶(ドープ)して触媒活性を低減させた金属酸化物固溶酸化セリウムで被覆した板状粒子及びその製造方法に関する。更に該板状粒子を配合した樹脂組成物又は化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線はプラスチックを劣化させるので、この劣化を防止するためにいろいろな対策が取られてきた。その一つとして、有機系紫外線吸収剤や無機系紫外線散乱剤と言われる種々の紫外線遮断剤が開発され、これらをプラスチックに添加することで紫外線の影響を低減させることが行われてきた。有機系紫外線吸収剤には、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系などがあるが、最近では、耐熱性や耐候性の不足や、その分解生成物の安全性などが問題にされている。これらの問題を解決する目的で、無機系紫外線散乱剤の微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛が開発されてきたが、これについても新たに分散性や触媒作用等の問題も生じている。特に近年、酸化チタンについては光触媒作用による一重項酸素の発生が問題を引き起す場合があることが指摘されている。
【0003】
また、紫外線は生体に対しても悪影響を及ぼすことが知られており、波長が280〜320nmのUV−B領域の紫外線は、皮膚の紅斑水泡等の炎症を引き起こし、波長が320〜400nmのUV−A領域の紫外線は、メラニン生成を促して、皮膚の褐色化を生じさせることが知られている。このような紫外線の悪影響の対策として、従来より多種多様な日焼け止め化粧料が知られている。これらの化粧料に用いられてきた紫外線遮断剤としては、大別すると、ケイ皮酸系、ベンゾフェノン系、ジベンゾイルメタン系等の紫外線吸収剤と、酸化亜鉛、酸化チタン等の紫外線散乱剤との2種類に分けられる。しかしこれらの紫外線吸収剤は、紫外線に対する吸収性が不充分であったり、大量に配合すると安全性の面から好ましくない等の問題がある。更に、従来の紫外線散乱剤については分散性を向上させても透明性を高くすることは困難であったため、使用感の悪化を来すだけでなく不自然な化粧仕上がりとなる等の問題があった。紫外線遮断効果のある微粒子酸化チタンは、塗布膜に青白さを伴うため、メイクアップ効果をそこなったり、日焼け止め化粧料ではその青白さが気になったりする場合がある。
【0004】
最近では、セリウム化合物を紫外線散乱剤として利用する技術が提案されている。ところが酸化セリウムは、高い触媒活性を持ち、樹脂や油脂の酸化分解を促進し、化粧料や樹脂中に配合した場合に変色や変臭の原因となるという問題が生じる。そこで、酸化セリウムに、4価のセリウムイオンより大きなイオン半径を持つ金属イオン及び/又は4価のセリウムイオンより低原子価の金属イオンを固溶させてなる金属酸化物固溶酸化セリウムが提案されている。この金属酸化物固溶酸化セリウムは、高い紫外線遮断能力を持ち、しかも触媒活性が低減されたものである。この固溶に用いる金属イオンは、例えばCa2+、Y3+、La3+、Nd3+、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Ce3+、Zn2+、Fe3+、Co2+、Ni2+のうちから選ばれる一種又は二種以上である(特許文献1、特許文献2)。また、球状、柱状、棒状、板状その他の形状の母粒子と、この母粒子に担持された酸化セリウム及び酸化ジルコニウムとの固溶体を有する子粒子とを含有する化粧料用又は紫外線遮断用複合粒子が提案されている(特許文献3)。また、酸化チタンなどの無機化合物微粒子の分散性を良くするため、無機化合物微粒子を薄片状基質の表面に担持させた動摩擦係数1.0以下の薄片状微粉末が提案されている(特許文献4)。
【特許文献1】特開2000−327328号公報
【特許文献2】特開2002−160920号公報
【特許文献3】特許第2762574号公報
【特許文献4】特開平9−132514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1、2記載の金属酸化物固溶酸化セリウムの粒子は凝集性があり、樹脂や化粧料に配合したとき凝集した状態で分散しやすいため、高い紫外線遮断効果を得るときには、樹脂や化粧料への配合量を多くしなければならない場合がある。そして、金属酸化物固溶酸化セリウム粒子は、特に化粧料に配合する場合には、配合量を多くすると、感触上のざらつきやきしみ感が増大する支障がある。本発明は、この金属酸化物固溶酸化セリウム粒子の分散性を向上させることを目的とし、その結果として、少ない配合量で高い紫外線遮断効果を上げ得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、粒径が1〜50μm、アスぺクト比が30〜100の板状粒子を、酸化セリウムにCa2+、Y3+、La3+、Nd3+、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Ce3+、Zn2+、Fe3+、Co2+、Ni2+のうちから選ばれる一種又は二種以上の金属イオンを固溶させてなる金属酸化物固溶酸化セリウム粒子で被覆してなる金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子である。上記の金属酸化物固溶酸化セリウム粒子中の酸化セリウム濃度は40〜98モル%が好ましい。また、金属酸化物固溶酸化セリウム粒子は、白色度をL***系で評価した時に、L*値が80以上、a*値が絶対値で4以下、b*値が絶対値で10以下の白色度を有するものが好ましい。また、金属酸化物固溶酸化セリウム粒子の被覆量は、被覆板状粒子の20〜80質量%が好ましい。また、上記の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子は、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化鉄及び酸化チタンから選ばれる一種又は二種以上の酸化物で更に被覆されてもよい。上記の板状粒子は雲母が好ましい。
【0007】
また、本発明は、あらかじめ水中に1〜30質量%の濃度に板状粒子を分散したスラリーを温度60℃以下、pH5以上の条件に保ち、そのスラリーに、セリウム塩水溶液と、Ca2+、Y3+、La3+、Nd3+、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Ce3+、Zn2+、Fe3+、Co2+、Ni2+のうちから選ばれる一種又は二種以上の金属の塩の水溶液と、アルカリとを添加し反応させて板状粒子の表面に水酸化セリウムと金属水酸化物の固溶体を生成させ、次いで温度60℃以下の条件下で酸化剤を加え、その後、水洗、ろ過した後、乾燥又は焼成、粉砕することを特徴とする上記の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子の製造方法である。また、あらかじめ水中に1〜30質量%の濃度に板状粒子を分散したスラリーを温度60℃以下、pH5以上の条件に保ち、そのスラリーに、セリウム塩水溶液と、Ca2+、Y3+、La3+、Nd3+、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Ce3+、Zn2+、Fe3+、Co2+、Ni2+のうちから選ばれる一種又は二種以上の金属の塩の水溶液と、アルカリと、酸化剤とを同時に添加し、反応させ、その後、水洗、ろ過した後、乾燥又は焼成、粉砕することを特徴とする上記の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子の製造方法である。
【0008】
また、本発明は、上記の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を配合してなる樹脂組成物である。また、上記の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を配合してなる化粧料である。化粧料に配合する金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子は表面処理されたものでもよい。また、上記の化粧料には、更に紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱剤を配合してもよい。この紫外線吸収剤はオキシベンゾン、メトキシケイ皮酸オクチル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンから選ばれる一種又は二種以上が好ましく、紫外線散乱剤は酸化チタン及び/又は酸化亜鉛が好ましい。この化粧料は、日焼け止め化粧料に適する。
【発明の効果】
【0009】
金属酸化物固溶酸化セリウム粒子は、酸化セリウムに金属酸化物を固溶させたので触媒活性が低減しており、且つ可視領域の透明性が高く、UV−A及びB領域の紫外線を遮断する効果が優れている。しかし、金属酸化物固溶酸化セリウムの粒子は凝集性があり、樹脂や化粧料に配合したとき凝集した状態で分散しやすいため、高い紫外線遮断効果を得るときには、樹脂や化粧料への配合量を多くしなければならない場合がある。ところが、板状粒子に金属酸化物固溶酸化セリウム粒子を被覆させた本発明の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子は、凝集性が小さく、樹脂や化粧料に良好に均一に分散させることができる。そのため、少量の配合でも高い紫外線遮断効果を得ることができる。また、金属酸化物固溶酸化セリウム粒子は、特に化粧料に配合する場合は、多量に配合すると感触上のざらつきやきしみ感が生じやすいが、本発明の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を用いると、感触上のざらつきやきしみ感を低減し、かつ均一に肌上に塗布できるすなわち効果的な塗布状態にできるため、高い紫外線遮断効果を得ることができ、また微粒子酸化チタンに比し青白さがなく、透明感のある化粧膜を形成し得る利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の素材である金属酸化物固溶酸化セリウム粒子は、酸化セリウムに固溶させたCa2+、Y3+、La3+、Nd3+、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Ce3+、Zn2+、Fe3+、Co2+、Ni2+のうちから選ばれる一種又は二種以上の金属イオン〔これらの金属イオンは、4価のセリウムイオンのイオン半径(0.97オングストローム)より大きなイオン半径を持つ金属イオン及び/又は4価のセリウムイオンより低原子価の金属イオンである。〕が酸化物の状態、すなわち金属酸化物になっているものである。これらの金属酸化物を固溶させることによって、酸化セリウムの触媒活性を低減させることができる。また、これらの金属酸化物を固溶させることによって、酸化セリウムの透明性が向上し、紫外線遮断効果は同等もしくは優れたものとすることができる。更に、通常の酸化セリウムで板状粒子を被覆するときは、酸化セリウムの結晶性により嵩高になってしまうが、特にCa2+を固溶した酸化セリウムは粒径の揃った粒状の微粒子結晶が得られるので効率的に板状粒子を被覆することができる。これらの金属イオンは、一種又は二種以上組み合わせて使用できる。また、金属酸化物固溶酸化セリウム粒子の平均粒子径は2〜100nmが好ましく、より好ましくは2〜50nmである。この金属酸化物固溶酸化セリウムの酸化セリウム濃度は40〜98モル%が好ましい。なお、本発明でいう平均粒径は透過型電子顕微鏡(JEOL製)を用いて測定した値である。すなわち、粒子100個について目視で粒子径を計測し、その平均の値である。
【0011】
本発明の素材である板状粒子は、粒径が1〜50μm、好ましくは4〜30μmであり、アスペクト比(粒子の径と粒子の厚さの比)が30〜100、好ましくは35〜80のものである。板状粒子は、雲母、窒化ホウ素、硫酸バリウム、アルミナなどの板状粒子である。特に雲母が好ましい。雲母としては、白雲母、金雲母、黒雲母、絹雲母、合成雲母が用いられる。この中で合成雲母は成分、色のバラつきが少なく、また金属酸化物固溶酸化セリウムが表面全体にわたって付きやすく、また透明性が良いため好ましく、中でも合成金雲母が好ましい。また、板状粒子を選ぶ理由は、樹脂や化粧料に配合したときに、紫外線遮断効果をより一層発揮させるためである。例えば、球状粒子を用いた場合は、金属酸化物固溶酸化セリウム粒子で被覆した球状粒子が樹脂や化粧料の塗膜中に点で存在するのに対し、板状粒子を用いた場合は、金属酸化物固溶酸化セリウム粒子で被覆した板状粒子が樹脂や化粧料の塗膜中で、特に化粧塗膜の中で塗布面に対し面状に存在するようになり、紫外線遮断効果をより一層発揮するからである。この効果を発揮させるために、上記大きさ、形状の板状粒子が用いられる。
【0012】
本発明の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子は、金属酸化物固溶酸化セリウムと板状粒子とを乾式或は湿式で混合したり、もしくは混合摩砕することによって得ることができるが、次の方法で製造した金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子が好ましい。すなわち、あらかじめ水中に1〜30質量%の濃度に板状粒子を分散したスラリーを温度60℃以下、pH5以上の条件に保ち、そのスラリーに、セリウム塩水溶液と、Ca2+、Y3+、La3+、Nd3+、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Ce3+、Zn2+、Fe3+、Co2+、Ni2+から選ばれた一種または二種以上の金属の塩の水溶液と、アルカリとを添加し、反応させて雲母粒子の表面に水酸化セリウムと金属水酸化物の固溶体を生成させた後、温度60℃以下の条件下で酸化剤を加え、水洗、ろ過した後、乾燥又は焼成、粉砕して製造する。
【0013】
また、本発明の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子は、あらかじめ水中に1〜30質量%の濃度に板状粒子を分散したスラリーを温度60℃以下、pH5以上の条件に保ち、そのスラリーにセリウム塩水溶液と、Ca2+、Y3+、La3+、Nd3+、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Ce3+、Zn2+、Fe3+、Co2+、Ni2+から選ばれた一種または二種以上の金属の塩の水溶液と、アルカリと、酸化剤とを同時に添加、反応することによって製造することができる。例えば温度60℃以下、pH5以上の条件下で、容器に入れた水中に板状粒子を分散しスラリーとし、その中にセリウム塩水溶液と、固溶させる金属の塩の水溶液と、アルカリ水溶液と、酸化剤である過酸化水素とを同時に滴下して製造する。その後に水洗、ろ過した後、乾燥又は焼成、粉砕して金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を製造する。
【0014】
上記の反応に用いるセリウム塩水溶液は、例えば炭酸セリウムを塩酸や硝酸などの酸水溶液で溶解するか、或は塩化セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウム、酢酸セリウムなどを水に溶解して調製する。またアルカリは、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液又はアンモニア水を用いることができる。また、上記の固溶させる金属の塩は例えば塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩などである。酸化剤としては過酸化水素、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、オゾン等を用いることができる。上記では固溶体の形成を水系で行なっているが、これに限られるものではない。スラリー化する時の板状粒子の濃度は1〜30質量%が好ましい。1質量%以下の濃度だと板状粒子への被覆効率が悪く、30質量%以上だとスラリーが濃くなりすぎて被覆反応が板状粒子の表面で均一に起こらない。
【0015】
上記したいずれの態様の反応を採用した場合においても、酸化剤を滴下中に、液の温度を60℃以下好ましくは40℃以下、pHを5以上にすることによって、平均粒径2〜50nmの微粒子の金属酸化物固溶酸化セリウム粒子で被覆した板状粒子を得ることができる。このような微粒子で被覆して得た金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子は、可視光線域での透明性に優れ、また分散性に優れ、更に紫外線遮断効果が高い。
【0016】
また上記したいずれの態様の反応を採用した場合においても、酸化剤滴下終了時における液の温度を60℃以下、pHを8未満にすることによって、金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子の黄色味を減少させ、その白色度を高めることができる。そして、白色度をL***系で評価した時にL*値が80以上、a*値が絶対値で4以下、b*値が絶対値で10以下の白色度を有する金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を得ることができる。ここにL***とは、1976年にCIE(国際照明委員会)により定められたCIE1976L***色空間により定義される。この色空間は次式で定める量L*、a*、b*を直交座標系に持つ色空間である。
*=116(Y/Y01/3−16
*=500[(X/X01/3−(Y/Y01/3
*=200[(Y/Y01/3−(Z/Z01/3
(ただし、X/X0,Y/Y0,Z/Z0>0.008856、X,Y,Zは物体色の三刺激値、X0,Y0,Z0は物体色を照明する光源の三刺激値で、Y0=100に基準化されている。)
そして、本発明では、L***系で評価した白色度について、L*≧80、|a*|≦4、|b*|≦10と定めた。その測定は色差計(日本電色工業社製)を用いて行なう。
【0017】
本発明の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子は、これを更に酸化物で被覆した複合体の形態(以下、金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を酸化物で被覆した複合体板状粒子を、「酸化物被覆・金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子」ということがある)にしてもよい。この酸化物は酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化鉄、酸化チタンから選ばれる一種又は二種以上である。このようにして、金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を更に上記の酸化物で被覆して複合体にすることによって、酸化セリウムの触媒活性を更に低下させることができる。
【0018】
この酸化物被覆・金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子は次の方法で得られる。すなわち、前述した原料及び製造方法で製造した金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を上記した酸化物で更に処理することによって製造する。例えば、あらかじめ水中に1〜30質量%の濃度に板状粒子を分散させたスラリーを液温60℃以下でpH9以上に保ち、セリウム塩水溶液と固溶させる金属の塩(例えばカルシウム塩)の水溶液とアルカリ水溶液とを滴下して板状粒子の表面に水酸化カルシウム固溶水酸化セリウムを生成させ、これに過酸化水素等の酸化剤を滴下して酸化カルシウム固溶酸化セリウムを生成させ、更に80℃以上に加熱し、pHを9以上に保ちながら3号ケイ酸ナトリウム水溶液と塩酸、硝酸、硫酸などの鉱酸水溶液とを滴下し、酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆板状粒子を酸化ケイ素で被覆し、水洗、ろ過、乾燥又は焼成、粉砕する。これによって、酸化ケイ素被覆・酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆板状粒子が得られる。この場合、滴下するケイ酸ナトリウムの量は、SiO2として酸化カルシウム固溶酸化セリウム粒子の2〜60%が適当である。
【0019】
この複合体の場合も、酸化剤滴下終了時における液のpHを8未満に維持して、酸化物被覆・金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子の黄色味を減少させ、その白色度を高め、白色度をL***系で評価した時にL*値が80以上、a*値が絶対値で4以下、b*値が絶対値で10以下の白色度を有する酸化物被覆・金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を得ることができる。また、酸化剤滴下中に、液のpHを5以上にすることによって、平均粒径2〜50nmの微粒子の金属酸化物固溶酸化セリウムで被覆され、更に酸化物で被覆された酸化物被覆・金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を得ることができる。
【0020】
また、金属酸化物固溶酸化セリウム粒子を酸化物で被覆して複合体の形態となし、この複合体で板状粒子を被覆してもよい。この酸化物は酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化鉄、酸化チタンから選ばれる一種又は二種以上である。皮膚に用いる金属酸化物固溶酸化セリウム粒子は、更に酸化物で被覆され複合体にされることによって、その触媒活性が更に低下する。
【0021】
本発明の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子は、紫外線遮断効果が優れている。図1は、板状粒子として合成金雲母を用い、上記の方法で得られた金属酸化物固溶酸化セリウム被覆合成金雲母の光の波長に対する光透過率を測定した結果を示すものである。光透過率は次のようにして測定した。すなわち、下記の酸化カルシウム固溶酸化セリウム粒子又は酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母を、クリアラッカー固形分に対し添加率が3.0質量%となるようにクリアラッカー6mlに加えてフーバーマーラー(50回転×2)で分散し、混練した後、この液を透明石英板に30μmの厚さに塗布し、分光光度計(島津製作所製UV−2200)で測定した。図1において、試料(1)は、無添加のクリアラッカー、試料(2)は、Ce4+とCa2+がモル比で8:2の酸化カルシウム固溶酸化セリウム粒子を3.0質量%添加したクリアラッカー、試料(3)は、本発明のCe4+とCa2+がモル比で8:2の酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母(酸化カルシウム固溶酸化セリウム粒子の被覆量は酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母の37質量%)6.0質量%添加したクリアラッカーである。
【0022】
この図1から明らかなように、無添加の試料(1)の場合は、波長400nm以上のいわゆる可視光線域での光の透過率は90%以上、すなわち殆どの光を透過している。試料(2)と試料(3)を比較すると、本発明の酸化カルシウム固溶酸化セリウムを合成金雲母に被覆させた試料(3)は、波長400nm以上の可視光線域での光の透過率が高く、したがって透明性が優れている。これに対し、酸化カルシウム固溶酸化セリウムを合成金雲母に被覆させないでそのまま用いた試料(2)は、波長400nm以上の可視光線域での光の透過率が低く、そのため白さがあり、白浮きする。また、波長400nm以下の紫外波長域では、試料(3)の透過率が、試料(2)に比較して低いことから、この波長域ではいわゆるカット効果が高く、効果的に紫外線遮断ができる。特に、波長320nm以下のUV−B領域の光を極めて効果的に遮断できる。
【0023】
本発明の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子は、分散性に優れている。次の試料、すなわち、(1)本発明のCe4+とCa2+がモル比で8:2の酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母(酸化カルシウム固溶酸化セリウム粒子の被覆量は酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母の37質量%)、(2)Ce4+とCa2+がモル比で8:2の酸化カルシウム固溶酸化セリウムと合成金雲母との質量比37:63の混合物、(3)Ce4+とCa2+がモル比で8:2の酸化カルシウム固溶酸化セリウムを用意し、各試料50部と流動パラフィン50部をロールミルを用いて分散した。各試料をガラス板に膜厚16ミル(約0.4mm)、8ミル(約0.2mm)のアプリケータで塗布膜を形成させ、分散性を目視で評価した。膜厚16ミルでは試料(3)において粉体凝集による線状の塗布ムラが見られたが、試料(1)、(2)は見られなかった。また、膜厚8ミルでは試料(2)、(3)で、粉体凝集による線状の塗布ムラが顕著に見られたが、試料(1)は線状のムラは見られなかった。更に、膜厚8ミルでは膜の透明性にも大きな差異が見られ、試料(2)と比較して、試料(1)は顕著に高い透明性を示した。
【0024】
次に本発明に係わる樹脂組成物について説明する。一般に樹脂組成物は、太陽光線の紫外線領域の光を吸収することで劣化を起こす。紫外線対策として、本発明の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を樹脂組成物に配合することで耐光性が向上し、光劣化を防止ないし低減できる。また、透明な樹脂組成物に覆われた内容物の紫外線による光劣化を防止ないし低減できる。また、本発明の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子は、酸化セリウムに比し酸化触媒活性が極めて小さいので、酸化セリウムに基づく樹脂組成物の酸化劣化を低減することができる。ここでいう樹脂組成物とは、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートなどの合成樹脂や天然樹脂の成形品、これら樹脂を配合した塗料など樹脂組成物全般をいう。樹脂への配合量は樹脂に対し0.1〜10質量%である。また、酸化物被覆・金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子についても同様である。
【0025】
次に本発明に係わる化粧料について説明する。本発明の化粧料は、上述した金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を配合することによって透明感を有し、紫外線遮断効果に優れたものを得ることができる。また、本発明の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子は、酸化セリウムに比し触媒活性が極めて小さいので、酸化セリウムに基づく化粧料中の油脂などの配合成分の劣化を低減することができる。化粧料の剤型としては、乳液、化粧水等のスキンケア化粧料、ファンデーション、口紅等のメイクアップ化粧料、頭髪化粧料等に用いることができ、就中、日焼け止め化粧料が好ましい。配合量は特に限定されないが、好ましくは0.1〜70質量%である。また、酸化物被覆・金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子についても同様である。
【0026】
また、金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子或は酸化物被覆・金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を化粧料に配合する場合、これらを更に表面処理して用いてもよい。表面処理としては、一般油剤、金属石鹸処理、シリコーン処理、ジアルキルリン酸処理、パーフルオロアルキル基を有する化合物処理、アミノ酸処理、レシチン処理、コラーゲン処理等が挙げられる。
【0027】
本発明に係わる化粧料においては、紫外線防御剤である紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱剤とを組み合わせると効果が顕著なものとなる。紫外線吸収剤としては、オキシベンゾン、メトキシケイ皮酸オクチル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンから選ばれる一種又は二種以上が好ましい。紫外線吸収剤の配合量は特に限定されないが、好ましくは0.1〜40質量%である。紫外線散乱剤としては、酸化チタン及び/又は酸化亜鉛が好ましく、より好ましくは、平均粒子径が0.05μm以下の微粒子酸化チタン及び/又は酸化亜鉛である。紫外線散乱剤の配合量としては、0.1〜50質量%が好ましい。
【0028】
さらに、本発明の化粧料には通常化粧料に用いられる成分、例えば、粉体、界面活性剤、油剤、ゲル化剤、高分子、美容成分、保湿剤、色素、防腐剤、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
〔実施例1〕
【0029】
酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母
塩化セリウムCeCl3390gと塩化カルシウムCaCl245gを水に溶解し、混合水溶液3リットルを調製した。また、水酸化ナトリウムNaOH237gを水に溶解して水酸化ナトリウム水溶液3リットルを調製した。さらに、30%過酸化水素水118gを水に溶解して過酸化水素溶液3リットルを調製した。30〜40℃に加温した水8リットルに合成金雲母(トピー工業社製:PDM−8W)500gを添加しスラリーとし、そのスラリーを撹拌しながら上記の塩化セリウムと塩化カルシウムの混合水溶液、水酸化ナトリウム水溶液及び過酸化水素水溶液を、反応液のpHを9〜11、温度を40℃以下に維持しつつ同時に滴下した。反応終了後30分撹拌した後、生成物を水洗、ろ過、乾燥し、Ce4+とCa2+がモル比で8:2である酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母を得た。酸化カルシウム固溶酸化セリウム粒子の被覆量は、酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母の37質量%であった。この酸化カルシウム固溶酸化セリウムは平均粒径4nmであった。また、上記の合成金雲母に代えて天然雲母(メルク社製:マイカM−JV)を用い、同様に処理して酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆天然雲母を得た。
〔実施例2〕
【0030】
酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母
塩化セリウムCeCl3390gと塩化カルシウムCaCl245gを水に溶解し、混合水溶液3リットルを調製した。また、水酸化ナトリウムNaOH237gを水に溶解して水酸化ナトリウム水溶液3リットルを調製した。さらに、30%過酸化水素水118gを水に溶解して過酸化水素溶液3リットルを調製した。30〜40℃に加温した水8リットルに合成金雲母(トピー工業社製:PDM−8W)400gを添加しスラリーとし、そのスラリーを撹拌しながら上記の塩化セリウムと塩化カルシウムの混合水溶液、及び水酸化ナトリウム水溶液を、反応液のpHを9〜11、温度を40℃以下に維持しつつ同時に滴下した。反応終了後、反応液のpHを5〜7、温度を60℃になるように塩酸を加え調整し、これに過酸化水素水溶液を滴下した。生成物を水洗、ろ過、乾燥し、白色の酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母を得た。酸化カルシウム固溶酸化セリウム粒子の被覆量は、酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母の42.4質量%であった。この酸化カルシウム固溶酸化セリウムは、Ce4+とCa2+がモル比で8:2であり、白色度はL*値94.0、a*値−1.6、b*値6.2であり、平均粒径は5.5nmであった。なお、L*値、a*値、b*値は直径6cmの金皿に試料20gをプレス成形し、色差計(日本電色工業社製)で測定した。また、上記の合成金雲母に代えて天然雲母(メルク社製:マイカM−JV)を用い、同様に処理して酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆天然雲母を得た。
〔実施例3〕
【0031】
酸化ネオジム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母
塩化セリウムCeCl3345gと塩化ネオジムNdCl3150gを水に溶解し、混合水溶液3リットルを調製した。また、水酸化ナトリウムNaOH237gを水に溶解して水酸化ナトリウム溶液12リットルを調製した。さらに、30%過酸化水素水118gを水に溶解して過酸化水素水溶液3リットルを調製した。30〜40℃に加温した水酸化ナトリウム水溶液18リットルに合成金雲母(トピー工業社製:PDM−8W)1kgを添加しスラリーとし、そのスラリーを撹拌しながら上記の塩化セリウムと塩化ネオジムの混合水溶液を、反応液のpHを11以上、温度を40℃以下に維持しつつ同時滴下した。滴下終了後30分撹拌し反応液の温度を60℃に保ち過酸化水素水溶液を滴下した。滴下終了後30分撹拌した後、水洗、ろ過、乾燥し、酸化ネオジム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母を得た。酸化ネオジム固溶酸化セリウム粒子の被覆量は、酸化ネオジム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母の25.5質量%であった。この酸化ネオジム固溶酸化セリウム粒子は、Ce4+とNd3+がモル比で7:3であり、平均粒径15.5nmであった。
〔実施例4〕
【0032】
酸化ケイ素被覆・酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母
ケイ酸ナトリウム液(SiO2含有率28.5質量%)562gを水に溶解してケイ酸ナトリウム溶液2リットルを調製した。95質量%硫酸75.8gを水に希釈して希硫酸溶液2リットルを調製した。実施例2で得られた酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母を含有した水溶液を80℃以上に加熱撹拌しながら、ケイ酸ナトリウム溶液と希硫酸溶液を反応液のpHが9以上に保てるように同時に滴下した。両液の滴下終了後30分撹拌し反応液のpHが7〜8になるように希硫酸で調整した。これをろ過、水洗、乾燥、粉砕して酸化ケイ素被覆した酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母を得た。酸化ケイ素と酸化カルシウム固溶酸化セリウムの被覆合計量は、酸化ケイ素・酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母の53.2質量%であった。
〔実施例5〕
【0033】
実施例2で得た酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母を、軟質ポリ塩化ビニルに1質量%配合し、加熱ロール圧延して厚さ0.24mmのシートに成形した。このシートは、紫外線領域での遮断効果が高く、また可視領域では高い透明性を維持した。
〔実施例6〜9、比較例1〜3〕
【0034】
表1に示す組成と下記の調製方法により、クリームファンデーションを製造した。金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子として実施例1の酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母及び酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆天然雲母を用いた。また、酸化セリウム被覆合成金雲母は、実施例1で用いた合成金雲母に酸化セリウムを被覆したもので、その被覆量は酸化セリウム被覆合成金雲母の37質量%である。
【0035】
【表1】

【0036】
調製方法:
イ.(13)〜(19)と(21)〜(23)を均一に混合した。
ロ.80℃の(9)に、(20)を加えて膨潤させた。次に、(10)〜(12)を加えて溶解させた。このものにイの混合物を加え80℃で混合した(水相)。
ハ.(1)〜(8)を80℃で溶解した(油相)。
ニ.(水相)に(油相)を加えて乳化した。その後冷却し35℃まで撹拌冷却した。
【0037】
上記のようにして得られたクリームファンデーションについて、下記a〜fの評価項目について各々下記方法により評価を行った。その結果も併せて表1に示した。
a.化粧膜の均一性
b.使用性(伸び広がり)
c.使用性(きしみ感の無さ)
d.化粧効果(透明感)
e.化粧効果の持続性
f.日焼け止め効果
【0038】
a〜eについては、化粧品専門パネル10名による使用テストを行い、各試料に対し、パネル各人が下記(1)絶対評価にて7段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記(2)4段階判定基準により判定した。なお、eの化粧効果の持続性については、各試料を顔に塗布し、パネルに通常の生活をしてもらい、6時間後の化粧持ちを評価した。
(1)絶対評価基準
(評点): (評価)
6 : 非常に良い
5 : 良い
4 : やや良い
3 : 普通
2 : やや悪い
1 : 悪い
0 : 非常に悪い
(2)4段階判定基準
5点を超える :非常に良好:◎
3点を超えて5点以下:良好 :○
1点を超えて3点以下:やや不良 :△
1点以下 :不良 :×
【0039】
また、fの日焼け止め効果については、下記試験方法により評価及び判定を行った。
(試験方法)
22〜32才の男性10名をパネルとし、各試料を10名の上腕に塗布し、ソーラーシュミレーターにより紫外線を照射したときの紅斑の程度を観察し、下記基準により(3)紅斑スコアを求めた。下記スコアの平均値を算出し、(4)4段階判定基準により判定した。
(3)紅斑スコア
(評点):(評価)
3 : 紅斑がはっきり認められ、皮膚表面がわずかにただれている。
2 : 紅斑が認められる。
1 : 紅斑がわずかに認められる。
0 : 紅斑は認められない。
(4)4段階判定基準
0.5未満 :非常に良好:◎
0.5点以上1.5点未満:良好 :○
1.5点以上2.5点未満:やや不良 :△
2.5点以上 :不良 :×
【0040】
表1の結果から明らかな如く、本発明の実施例6〜9のクリームファンデーションは、「化粧膜の均一性」、使用時の「伸び広がり」及び「きしみ感の無さ」、「透明感」、「化粧効果の持続性」、「日焼け止め効果」の全ての点で比較例1〜3に比べ優れていた。これに対して、酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆粉体の替わりに、酸化セリウム被覆合成金雲母を用いた比較例1は、「化粧効果の持続性」、「日焼け止め効果」の点で、酸化カルシウム固溶酸化セリウムと合成金雲母を用いた比較例2は、特に「伸び広がり」、「膜の均一性」、「化粧効果の持続性」の点で劣っており、酸化カルシウム固溶酸化セリウムのみの比較例3は、さらに「きしみ感の無さ」といった点でも劣っていた。
〔実施例10〕
【0041】
フラスコに実施例1で得られた酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母150gと精製水200gを添加し、混合しながら70℃まで加熱してスラリーとした。これにパーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩(旭硝子社製、商品名:アサヒガードAG530)6gに精製水150gを加えてエマルジョン状態としたものを、前記スラリーに徐々に加え、1時間混合後、液を酸性とし、洗浄、ろ過、乾燥してフッ素化合物処理酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母154gを得た。また、実施例1で得られた酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆天然雲母を同様に表面処理して、フッ素化合物処理酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆天然雲母を得た。
〔実施例11〕
【0042】
フラスコに実施例2で得られた酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母150gとイソプロピルアルコール150gを添加、混合した。これにメチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学工業社製)3gを加えて100℃、1時間混合後、減圧加熱してイソプロピルアルコールを除去した後、シリコーン処理酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母152gを得た。また、実施例2で得られた酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆天然雲母を同様に表面処理して、シリコーン処理酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆天然雲母を得た。
〔実施例12〕
【0043】
実施例10で得られたフッ素化合物処理酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母を用いて、下記組成と調製方法により油中水乳化型日焼け止め乳液を製造した。
組成: 質量%
(1)実施例10の被覆合成金雲母 10.0
(2)マイクロクリスタリンワックス 1.0
(3)ミツロウ 2.0
(4)スクワラン 10.0
(5)メチルポリシロキサン(10CS) 10.0
(6)デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
(7)ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4.0
(8)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1.0
(9)オキシベンゾン 0.1
(10)メトキシケイ皮酸オクチル 6.0
(11)1,3−ブチレングリコール 9.0
(12)防腐剤 適量
(13)精製水 残量
(14)香料 適量
【0044】
調製方法:
イ.(2)〜(10)を加熱溶解し、これに(1)を添加して70℃とした。
ロ.(11)〜(13)を加熱溶解して70℃とし、これをイに添加して乳化混合した。
ハ.ロを冷却後、(14)を添加混合して日焼け止め乳液を得た。
この日焼け止め乳液は、透明感があり、仕上がりが良好で、紫外線遮断効果、経時安定性に優れたものであった。
〔実施例13〜16、比較例4〜6〕
【0045】
表2に示す組成と下記の調製方法により、パウダーファンデーションを製造した。なお、金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子として実施例1で得られた酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母及び酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆天然雲母を用いた。
【0046】
【表2】

【0047】
調製方法:
イ.(1)〜(15)をヘンシェルミキサーで混合した。
ロ.イに60℃で加熱混合した(16)〜(20)を加え混合後、(21)、(22)を均一に分散した。
ハ.ロを粉砕した後、金皿に充填し、プレス成型してパウダーファンデーションを得た。
【0048】
上記で得られたパウダーファンデーションについて、化粧膜の均一性、使用性(伸び広がり、きしみ感の無さ)、化粧効果(透明感)、化粧効果の持続性及び日焼け止め効果を、実施例6〜9と同じ試験方法及び評価方法で評価した。その結果も併せて表2に示した。表2の結果から明らかな如く、本発明の実施例13〜16のパウダーファンデーションは、「化粧膜の均一性」、使用時の「伸び広がり」及び「きしみ感の無さ」、「透明感」、「化粧効果の持続性」、「日焼け止め効果」の全ての点で比較例4〜6に比べ優れていた。これに対して、酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆粉体の替わりに、酸化セリウム被覆合成金雲母を用いた比較例4は特に「化粧膜の均一性」、「化粧効果の持続性」、「日焼け止め効果」の点で、酸化カルシウム固溶酸化セリウムと合成金雲母を用いた比較例5は、「伸び広がり」、「膜の均一性」、「透明感」、「化粧効果の持続性」といった点で劣っており、酸化カルシウム固溶酸化セリウムのみの比較例6は、さらに「きしみ感の無さ」といった点でも劣っていた。
〔実施例17〕
【0049】
表3に示す組成と下記の調製方法により、パウダーファンデーションを製造した。なお、金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子として実施例1で得られた酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母を用いた。
【0050】
【表3】

【0051】
調製方法:
イ.(1)〜(16)をヘンシェルミキサーで混合した。
ロ.イに(17)〜(21)を加え混合後、金皿に充填しプレス成型した。
実施例17のパウダーファンデーションは、分散性がよく、化粧膜の均一性、使用性、透明感、化粧効果の持続性、日焼け止め効果に優れていた。
【0052】
表3における実施例17のパウダーファンデーション(酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母を配合したもの)と比較例7パウダーファンデーション(酸化カルシウム固溶酸化セリウムと合成金雲母との混合物を配合したもの)について、目視で観察した。実施例17のパウダーファンデーションは、表面が均一であったが、比較例7パウダーファンデーションの表面は酸化カルシウム固溶酸化セリウムの凝集が見られた。また、実施例17のパウダーファンデーションの方が白かった。更に、実施例17のパウダーファンデーションと比較例7パウダーファンデーションについて、色差計(日本電色工業社製)によりL*値、a*値、b*値を測定した。その結果を表4に示す。
【0053】
【表4】

【0054】
表4によれば、実施例17のパウダーファンデーションと比較例7パウダーファンデーションとのL*値、a*値及びb*値のそれぞれの差は、a*値及びb*値が−0.8であって殆ど同じであるのに対し、明度差を示すL*値は+3.6と大きく相違する。また、プレス成型する前に粉砕処理を施した場合は、共にプレス面の凝集は見られなかったが、色は実施例17のパウダーファンデーションの方が白かった。この場合について、同様に色差計によりL*値、a*値、b*値を測定したところ、a*値が−0.17、b*値が−0.10であって殆ど同じであるのに対し、明度差を示すL*値は+2.85と大きく相違した。以上の結果から、本発明の酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母が分散性に優れていることが分かる。
〔実施例18〕
【0055】
実施例2で得られた酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母を用いて、下記組成と調製方法により口紅を製造した。
組成: 質量%
(1)エチレンプロピレンコポリマー 9.0
(2)マイクロクリスタリンワックス 5.0
(3)キャンデリラワックス 3.0
(4)セレシンワックス 3.0
(5)リンゴ酸ジイソステアリル 10.0
(6)トリイソステアリン酸ポリグリセリル 20.0
(7)オクタン酸イソセチル 残量
(8)赤色201号 0.1
(9)赤色202号 0.1
(10)橙色201号 0.1
(11)実施例2の被覆合成金雲母 20.0
【0056】
調製方法:
イ.(8)〜(11)を混合し、(6)の一部に加え、これをロールミルで混合分散した。
ロ.(1)〜(5)、(6)の残部及び(7)を混合し、加熱溶解後、イを添加して均一に混合した。
ハ.ロを容器に充填し、急冷して口紅を得た。
この口紅は、透明感があり、健康的な発色が得られ、紫外線遮断効果、安定性にも優れたものであった。
〔実施例19〕
【0057】
実施例3で得られた酸化ネオジム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母を用いて、下記組成と調製方法により白粉を製造した。
組成: 質量%
(1)実施例3の被覆合成金雲母 50.0
(2)タルク 30.0
(3)セリサイト 6.0
(4)カオリン 残量
(5)酸化チタン 3.0
(6)ミリスチン酸亜鉛 2.0
(7)ベンガラ 0.2
(8)黄酸化鉄 0.8
(9)スクワラン 2.0
(10)メトキシケイ皮酸オクチル 2.0
(11)防腐剤 適量
(12)香料 適量
【0058】
調製方法:
イ.(1)〜(8)を混合した。
ロ.(9)〜(12)を混合し、これをイに添加して均一に混合した。
ハ.ロを粉砕した後、プレス成型して白粉を得た。
この白粉は、透明感があり、仕上がりが良好で、紫外線遮断効果、経時安定性にも優れたものであった。
〔実施例20〕
【0059】
実施例1で得られた酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆天然雲母を用いて下記組成と調製方法により、二層タイプの油中水型ファンデーションを製造した。
組成: 質量%
(1)実施例1の被覆天然雲母 10.0
(2)ベンガラ 0.5
(3)黄酸化鉄 2.0
(4)黒酸化鉄 0.2
(5)酸化チタン 5.0
(6)パルミチン酸デキストリン 1.0
(7)ステアリン酸イヌリン 1.0
(8)ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 15.0
(9)シクロペンタシロキサン 20.0
(10)メトキシケイ皮酸オクチル 3.0
(11)香料 適量
(12)ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体 2.0
(13)ナイロンパウダー 1.0
(14)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(15)エタノール 7.0
(16)塩化ナトリウム 0.2
(17)ジプロピレングリコール 1.0
(18)精製水 残量
【0060】
調製方法
イ.(1)〜(8)を混合し、ロールミルで混合分散した。
ロ.(14)〜(18)を混合溶解し、(13)を混合分散した。
ハ.(9)〜(12)、イを混合した後、ロを加え、乳化混合した。
ニ.ハを容器に充填し、油中水型ファンデーション(液状)を得た。
この油中水型ファンデーションは、透明感があり、仕上がりが良好で、紫外線遮断効果、経時安定性にも優れたものであった。
〔実施例21〕
【0061】
実施例11で得られたシリコーン処理酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆天然雲母を用いて、下記組成と調製方法によりパウダーファンデーションを製造した。
組成: 質量%
(1)実施例11のシリコーン処理被覆天然雲母 20.0
(2)フッ素処理マイカ 残量
(3)フッ素処理酸化チタン 5.0
(4)フッ素処理ベンガラ 1.0
(5)フッ素処理黄酸化鉄 3.0
(6)フッ素処理黒酸化鉄 0.1
(7)硫酸バリウム 20.0
(8)窒化ホウ素 5.0
(9)有機変性ヘクトライト 0.5
(10)流動パラフィン 3.0
(11)メトキシケイ皮酸オクチル 2.0
(12)白色ワセリン 1.0
(13)架橋型ポリエーテル変性シリコーン 0.5
(14)メチルポリシロキサン 2.5
(13)防腐剤 適量
(14)香料 適量
【0062】
調製方法
イ.(1)〜(8)をヘンシェルミキサーで混合した。
ロ.(9)〜(14)をロールミル処理した後、イに加え混合した。
ハ.ロを粉砕した後、ロ100質量部に対して50質量部のイソパラフィンを加えて混合してスラリー状にした後、充填成型し、乾燥してパウダーファンデーションを得た。
このパウダーファンデーションは、透明感があり、仕上がりが良好で、紫外線遮断効果、経時安定性も優れたものであった。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆合成金雲母の光透過率を示したグラフ
【符号の説明】
【0064】
(1)は、無添加のクリアラッカー、(2)は、Ce4+とCa2+がモル比で8:2の酸化カルシウム固溶酸化セリウム粒子を3.0質量%添加したクリアラッカー、(3)は、本発明のCe4+とCa2+がモル比で8:2の酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母(酸化カルシウム固溶酸化セリウム粒子の被覆量は酸化カルシウム固溶酸化セリウム被覆合成金雲母の37質量%)6.0質量%添加したクリアラッカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒径が1〜50μm、アスぺクト比が30〜100の板状粒子を、酸化セリウムにCa2+、Y3+、La3+、Nd3+、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Ce3+、Zn2+、Fe3+、Co2+、Ni2+のうちから選ばれる一種又は二種以上の金属イオンを固溶させてなる金属酸化物固溶酸化セリウム粒子で被覆してなる金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子。
【請求項2】
金属酸化物固溶酸化セリウム粒子中の酸化セリウム濃度が40〜98モル%であることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子。
【請求項3】
金属酸化物固溶酸化セリウム粒子が、白色度をL***系で評価した時に、L*値が80以上、a*値が絶対値で4以下、b*値が絶対値で10以下の白色度を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子。
【請求項4】
金属酸化物固溶酸化セリウム粒子の被覆量が、被覆板状粒子の20〜80質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子。
【請求項5】
板状粒子が雲母である請求項1〜4のいずれかに記載の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子が、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化鉄及び酸化チタンから選ばれる一種又は二種以上の酸化物で被覆されていることを特徴とする金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子。
【請求項7】
あらかじめ水中に1〜30質量%の濃度に板状粒子を分散したスラリーを温度60℃以下、pH5以上の条件に保ち、そのスラリーに、セリウム塩水溶液と、Ca2+、Y3+、La3+、Nd3+、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Ce3+、Zn2+、Fe3+、Co2+、Ni2+のうちから選ばれる一種又は二種以上の金属の塩の水溶液と、アルカリとを添加し反応させて板状粒子の表面に水酸化セリウムと金属水酸化物の固溶体を生成させ、次いで温度60℃以下の条件下で酸化剤を加え、その後水洗、ろ過した後、乾燥又は焼成、粉砕することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子の製造方法。
【請求項8】
あらかじめ水中に1〜30質量%の濃度に板状粒子を分散したスラリーを温度60℃以下、pH5以上の条件に保ち、そのスラリーに、セリウム塩水溶液と、Ca2+、Y3+、La3+、Nd3+、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Ce3+、Zn2+、Fe3+、Co2+、Ni2+のうちから選ばれる一種又は二種以上の金属の塩の水溶液と、アルカリと、酸化剤とを同時に添加し、反応させ、水洗、ろ過した後、乾燥又は焼成、粉砕することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を配合してなる樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を配合してなる化粧料。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれかに記載の金属酸化物固溶酸化セリウム被覆板状粒子を表面処理したものを配合してなる化粧料。
【請求項12】
更に、紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱剤を配合することを特徴とする請求項10又は11に記載の化粧料。
【請求項13】
紫外線吸収剤が、オキシベンゾン、メトキシケイ皮酸オクチル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンから選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項12に記載の化粧料。
【請求項14】
紫外線吸収剤の配合量が、0.1〜40質量%であることを特徴とする請求項12又は13に記載の化粧料。
【請求項15】
紫外線散乱剤が酸化チタン及び/又は酸化亜鉛であることを特徴とする請求項12に記載の化粧料。
【請求項16】
紫外線散乱剤の配合量が0.1〜50質量%であることを特徴とする請求項12又は15に記載の化粧料。
【請求項17】
化粧料が、日焼け止め化粧料であることを特徴とする請求項10〜16のいずれかに記載の化粧料。

【図1】
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【公開番号】特開2006−282572(P2006−282572A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104060(P2005−104060)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【出願人】(391021765)日本電工株式会社 (21)
【Fターム(参考)】