説明

金属酸化物微粒子分散液およびその製造方法

【課題】 熱安定性や経時安定性に優れた、化粧料に好適な、金属酸化物微粒子分散液及び、この金属酸化物微粒子分散液の製造方法を提供することを課題としている。
【解決手段】 変性シリコン等で表面処理した金属酸化物微粒子が多糖類および/または多糖類誘導体で被覆され、水および水系溶媒もしくは水および水系溶媒を含む混合溶媒に分散されていることを特徴とする化粧料等に好適な金属酸化物微粒子分散液およびその製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の化合物が表面に吸着した金属酸化物微粒子を水および水系溶媒中に安定的に分散させた金属酸化物微粒子分散液及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化チタンや酸化亜鉛などの金属酸化物微粒子は、紫外線遮蔽効果を有するので、金属酸化物微粒子分散液として化粧料に配合されて、ファンデーション、日焼け止め化粧料等に使用されている。
金属酸化物微粒子の製造は、通常、金属酸化物微粒子を合成した後の熟成による粒子の成長がなく、均一な微粒子を得やすいためにアルコキシド法が用いられている。アルコキシド法は、出発原料として金属アルコキシドを用い、これを加水分解させ、酸化物、水酸化物あるいは水和物の沈澱を得、これを仮焼して粉末を得る方法である。このアルコキシド法は、金属アルコキシドの加水分解により直接10〜100nm程度の1次粒子の酸化物が溶液中で得られる優れた方法である。しかし、金属アルコキシドを出発原料とした微粒子の製造法では、溶液内では微粒子が生成するものの、溶媒を除き粉体を製造する段階で、粒子が凝集し、100nm以下のような微粒子の粉末を得ることは難しいという欠点を有している。特に酸化亜鉛,酸化セリウム,酸化ジルコニウム、酸化チタンの粒子は親水性が強く、凝集性が強い微粒子であり、溶媒を除いてしまうと粒子は凝集し硬く塊化してしまう。
【0003】
そこで、上記化粧料に配合された金属酸化物微粒子の紫外線遮蔽効果を十分発揮させるためには、配合系に金属酸化物微粒子が十分に分散させた状態で使用する必要があり、その処方の一つとして、有機化合物や有機金属化合物などでその金属酸化物微粒子の表面を処理して、凝集性をなくし、分散性を向上させる方法が各種提案されている(例えば、特許文献1〜6参照。)。
【0004】
しかし、金属酸化物微粒子の粉体は、基材物質である金属酸化物微粒子の凝集力の差による粒子の大小はあっても、通常は単一粒子が数十個から数百個分の凝集粒子を形成している。そのため、このような処理によって粉体である金属酸化物微粒子を、有機化合物や有機金属化合物で表面被覆処理しても、その表面処理は、単一粒子が数十個から数百個分の粒子が凝集した金属酸化物微粒子に対する表面処理を行っているにすぎない。そこで化粧料に配合する際に、分散性を向上させて、透明感を向上させる目的で、これらの凝集粒子を粉砕するために、強い分散力を加えたり、ペースト化、プレス加工などの、再粉砕処理を行なう。この再粉砕処理によって、表面処理した数十個から数百個分の凝集粒子が粉砕されて、粉砕された金属酸化物微粒子は表面処理されていない破砕された面が露出して、特性が劣化し、問題となっていた。
【0005】
一方、化粧料に表面処理粉体を使用する際に、高分散のためにホモジナイザーやヘンシェルミキサーなどの弱い分散能の分散機や粉砕機で分散させる場合は、凝集粒子の粉砕がなく、未表面処理面の露出は生じないものの、粉体を十分に分散させた状態で配合させることはできなかった。
【特許文献1】特開平5−339518号公報
【特許文献2】特開平11−148028号公報
【特許文献3】特開2000−159649号公報
【特許文献4】特開2000−212041号公報
【特許文献5】特開2000−319540号公報
【特許文献6】特開2004−26794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
化粧料において、極めて多機能な効能が求められることから、シリコーンオイル、パラフィン類、ロウ類、油脂類などの機能性油性基剤や無機物などを、一つの化粧料の中に安定的に存在させる必要性がある。例えば、シリコーンオイルは、化学的に安定で、安全性が高く、無臭でべたつきが少なく、延びが良く、なめらかな感触があることから、一般のクリーム、乳液、ローション、ジェル等の多くの化粧料に配合されている。
しかしながら、シリコーンオイルは、非常に疎水的で界面張力が低いことから、水溶液中に安定化させることが困難であった。また、シリコーンオイルを乳化させる界面活性剤を使用すると、ステアリン酸等の有機酸や、セタノール等の高級アルコールの乳化が不安定になると言う問題がある。
【0007】
シリコーンオイルと酸化チタン粒子や、酸化鉄粒子等の無機物系の金属酸化物微粒子を化粧料に配合する場合は、有機化合物であるシリコーンオイルと無機化合物である金属酸化物微粒子とは、界面張力が極端に違う物質であり、乳化が一層困難となる。
従来の界面活性剤を用いた乳化法では、油と水との界面に界面活性剤が吸着し、その界面エネルギーを低下させることを乳化法の基本としていたので、その界面張力を低下させるために多量の乳化剤を必要とするものであった。
機能性油性基剤の乳化製剤の調製法として、HLB法、転相乳化法、転相温度乳化法、ゲル乳化法等の物理化学的な乳化方法が一般に行われているが、いずれも油/水界面の界面エネルギーを低下させ、油性成分が細粒化されやすくすることをエマルション調製の基本としている。
【0008】
また、化粧料に含まれる固体粒子の分散方法においては、従来の界面活性剤を用いた固体粒子の分散方法では、固体表面に界面活性剤が吸着し、表面荷電や立体障害等の要因により、固体同士の凝集を防止する分散方法を基本としていた。そのため、油性基剤と同様に、吸着層を生成させるために多量の界面活性剤が必要であった。
このため、化粧料のための最適な乳化剤を選択するために非常に煩雑かつ多大な労力を有しており、まして化粧料においては、多種類の油性基剤が混在しているため、安定に乳化させることは困難な場合が多かった。
【0009】
そこで、本発明においては、化粧料に使用される機能性油性基剤と水、または固体粒子である機能性穎粒と水などの界面に対して、熱安定性や経時安定性に優れた乳化および分散系を形成すること、また、機能性油性基剤の所要HLB値又は機能性穎粒の表面状態に関わりなく、化粧料に好適な、乳化および分散させることが可能な乳化分散剤を含有する金属酸化物微粒子分散液及び、この金属酸化物微粒子分散液の製造方法を提供することを主たる課題としている。
即ち、本発明は、表面処理をした金属酸化物微粒子を分散状態にて提供することで、添加溶液を攪拌するだけで、容易に分散が可能である金属酸化物微粒子分散液を提供することを課題としている。
【0010】
これに対して、機能性油性基剤の乳化方法において、本発明者らは、新規な乳化技術を使用した化粧料を開発するために鋭意研究を重ねた結果、油/両親媒性化合物/水系の中で独立相として存在するナノ粒子をファンデルワールス力によって機能性油性基剤表面に付着させることで乳化を行なう三相乳化法を使用した化粧料を開発した。また、このような乳化法によれば、油性成分の所要HLB値によらず、油性成分/水界面の界面張力の大きさが乳化剤のナノ粒子の付着に重要であることを知見した。さらに、本発明者らは、この三相乳化エマルションは通常の界面活性剤によるO/W型の従来型のエマルションに比べて非常に高い安定性を示すことを見出した。
【0011】
また、本発明者等は機能性油性基剤と同様に、固形物質/両親媒性化合物/水系の中で独立相として存在するナノ粒子をファンデルワールス力によって固体粒子表面に付着させることで乳化および分散を行なう三相乳化分散法を見出した。また、このような乳化分散法によれば、固体粒子の表面張力によらず、固体粒子成分/水界面の界面張力の大きさが分散剤のナノ粒子の付着に重要であることを知見した。さらに、本発明者らは、この三相乳化分散剤は通常の界面活性剤による固体粒子の分散性向上・凝集防止に比べて非常に高い効果を示すことを見出し、これらの知見に基づき本発明を完成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、溶媒中の金属酸化物微粒子の表面に対して特定の変性シリコーン化合物を吸着させ、さらにそれを特定の多糖類を用いることにより水および親水性溶媒中で、分散状態を長期安定化することをみいだし、本発明を完成させるに至った。
【0013】
即ち、請求項1に係る本発明は、表面処理した金属酸化物微粒子が多糖類および/または多糖類誘導体で被覆され、水および水系溶媒もしくは水および水系溶媒を含む混合溶媒に分散されていることを特徴とする金属酸化物微粒子分散液である。
【0014】
請求項1に係る本発明では、特定の化合物で表面処理されているので、金属酸化物微粒子の表面に対して多糖類および/または多糖類誘導体を吸着させることができる。このため金属酸化物微粒子を、水および親水性溶媒中にて分散状態を長期安定化させることが可能となる金属酸化物微粒子分散液を得ることができる。このため直径1〜500nm程度の1次微粒子の金属酸化物酸化物を凝集させるこことなく500nm以下のような微粒子を長期間に亘り、幅広い温度領域で水系溶媒中に分散安定化を図ることが可能となる。また、100nm以下のような微粒子の場合は、金属酸化物微粒子分散液の透明感がより向上するため好ましいが、この微粒子をより一層安定的に水系溶媒中に分散させることができる。
さらに本発明の金属酸化物微粒子分散液を化粧品原料として使用することで、分散性が良く、高い紫外線防御効果を有するとともに、その効果が持続し、かつ、紫外線防御素材の光活性や触媒活性を抑制する、安定性と透明感の高い化粧料用組成物及び化粧料を提供することができる。
【0015】
請求項2に係る本発明は、上記表面処理した金属酸化物微粒子が、下記一般式(1)(式中、Rはヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜20のアルキル基;Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基;RはR−(N(R)−R−NR(Rは炭素数1〜6のアルキレン基、R、R、Rはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、pは0〜6の整数である)、R−(R10O)−R11(Rは炭素数1〜6のアルキレン基、R10は炭素数2〜4のアルキレン基、R11は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、sは1〜1,000の整数)、mは10〜10,000の整数、nは1〜1,000の整数;R、R、Rはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、pは0〜6の整数である。)で表される変性シリコーンにより表面処理した金属酸化物微粒子である金属酸化物微粒子分散液である。
【化1】

【0016】
請求項2に係る本発明では、表面処理した金属酸化物微粒子が、上記一般式(1)で表される変性シリコーンにより表面処理した金属酸化物微粒子を含有する金属酸化物微粒子分散液であるため、多糖類および/または多糖類誘導体で被覆されやすい。そのため、金属酸化物微粒子は水系溶媒中でもオイル中でも安定的に存在するとともに、水系溶媒中に微細に分散したオイル中に金属酸化物微粒子を安定的に存在させておくことができる。
【0017】
請求項3に係る本発明は、変性シリコーンにより表面処理した金属酸化物微粒子の一つまたは複数が微細に分散されたシリコーンオイル中に含まれ、微細に分散されたシリコーンオイルは多糖類および/または多糖類誘導体により、水および水系溶媒もしくは水および水系溶媒を含む混合溶媒に分散されている金属酸化物微粒子分散液である。
【0018】
請求項3に係る本発明では、変性シリコーンにより表面処理した金属酸化物微粒子の一つまたは複数が微細に分散されたシリコーンオイル中に含まれている。変性シリコンの表面処理により、金属酸化物微粒子がシリコーンオイル中に極めて微細に分散して存在することができ、色むらがなく、薄く延ばしても満遍なく紫外線遮蔽効果を得ることができる。
さらに、シリコーンオイルは多糖類および/または多糖類誘導体により、水および水系溶媒もしくは水および水系溶媒を含む混合溶媒中に微細に分散されているため、この金属酸化物微粒子分散液を化粧料に使用すれば、金属酸化物微粒子を含むシリコーンオイルが微細に分散された状態が安定して長期間維持されることができ、均一な、紫外線遮蔽効果を保つとともに、滑らかで、べたつきのない化粧料を得ることができる。
【0019】
請求項4に係る本発明は、一般式(1)記載の変性シリコーンにおいて、Rがメチル基又は水酸基、Rがメチル基、Rがジメチルアミノ基である金属酸化物微粒子分散液である。
【0020】
請求項4に係る本発明では、一般式(1)記載の変性シリコーンにおいて、Rがメチル基又は水酸基、Rがメチル基、Rがジメチルアミノ基であるため、無機化合物である金属酸化物微粒子とシリコーンオイルの両者に親和性があり、金属酸化物微粒子の表面に付着することができるとともに、シリコーンオイル中に金属酸化物微粒子を分散させることができる。
【0021】
請求項5に係る本発明は、多糖類が、少なくともフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含み、フコース、グルコース、またはラムノースの1種類以上が側鎖である金属酸化物微粒子分散液である。
【0022】
請求項5に係る本発明では、金属酸化物微粒子を表面処理する多糖類が、少なくともフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含み、フコース、グルコース、またはラムノースの1種類以上が側鎖である。このため、これらの単糖類を含む多糖類が金属酸化物微粒子の表面または金属酸化物微粒子を含有するシリコーンオイルの微粒子のナノ粒子となって、層状に包むことができ、オイル相と水相の両方に親和性があるため、水または水系溶媒中に安定して長期間分散されることができる。
【0023】
請求項6に係る本発明は、多糖類誘導体が、少なくともフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含み、フコース、グルコース、ラムノースの1種以上が側鎖であり、末端が糖類以外の有機物で置換されている金属酸化物微粒子分散液である。
【0024】
請求項6に係る本発明では、多糖類誘導体が、少なくともフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含み、フコース、グルコース、ラムノースの1種以上が側鎖であり、末端が糖類以外の有機物で置換されている。このため、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含む部分と、末端が糖類以外の有機物の部分を有する多糖類が金属酸化物微粒子の表面または金属酸化物微粒子を含有するシリコーンオイルの微粒子のナノ粒子となって、層状に包むことができ、オイル相と水相の両方に親和性があるため、水または水系溶媒中に安定して長期間分散されることができる。
【0025】
請求項7に係る本発明は、金属酸化物が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウムより選ばれる1種以上である金属酸化物微粒子分散液である。
【0026】
請求項7に係る本発明では、金属酸化物が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウムより選ばれる1種以上である金属酸化物微粒子である。この金属酸化物は、紫外線遮蔽機能や色素として有効であり、これらの金属酸化物の微粒子を含有する金属酸化物微粒子分散液は、化粧料等に使用することができる。
【0027】
請求項8に係る本発明は、金属酸化物微粒子の平均一次粒径が1〜500nmである金属酸化物微粒子分散液である。
【0028】
請求項8に係る本発明では、金属酸化物微粒子の平均一次粒径が1〜500nmであるため、粒子径が極めて小さく、色むらのない、滑らかに分散した金属酸化物微粒子分散液を得ることができる。
【0029】
請求項9に係る本発明は、表面処理した金属酸化物微粒子を多糖類および/または多糖類誘導体を用いて、水および水系溶媒もしくは水および水系溶媒を含む混合溶媒に分散させることを特徴とする金属酸化物微粒子分散液の製造方法である。
【0030】
請求項9に係る本発明では、表面処理した金属酸化物微粒子を多糖類および/または多糖類誘導体を用いて、水および水系溶媒もしくは水および水系溶媒を含む混合溶媒に分散させる。表面処理した金属酸化物微粒子が多糖類および/または多糖類誘導体で被覆されているため、金属酸化物微粒子の表面に対して多糖類および/または多糖類誘導体を吸着させ、共存させることで、水および親水性溶媒中およびオイル中に、分散状態を長期安定化させることが可能となる金属酸化物微粒子分散液を製造することができる。直径1〜500nm程度の1次微粒子の金属酸化物酸化物を凝集させるこことなく、500nm以下のような微粒子を長期間に亘り、幅広い温度領域で水系溶媒中またはオイル中に分散安定化した透明感の高い金属酸化物微粒子分散液を製造することができる。
【0031】
請求項10に係る本発明は、表面処理した金属酸化物微粒子は、上記一般式(1)で表される変性シリコーンにより表面処理された金属酸化物微粒子分散液の製造方法である。
【0032】
請求項10に係る本発明では、金属酸化物微粒子を上記一般式(1)で表される変性シリコーンにより表面処理する金属酸化物微粒子分散液の製造方法である。このため、シリコーンオイル中に金属酸化物微粒子を安定的に分散させることができるとともに、水系溶媒中に分散したシリコーンオイル中においても、金属酸化物微粒子を安定的に存在させておく金属酸化物微粒子分散液を製造することができる。
【0033】
請求項11に係る本発明は、金属酸化物微粒子を変性シリコーンを含む溶液に投入し、表面処理した後に、変性シリコーンを含む溶液中にシリコーンオイルを投入し、シリコーンオイル中に表面処理した金属酸化物微粒子を移動させ、金属酸化物微粒子を含むシリコーンオイルを、多糖類および/または多糖類誘導体を含む水および水系溶媒もしくは水および水系溶媒を含む混合溶媒に、分散させる金属酸化物微粒子分散液の製造方法である。
【0034】
請求項11に係る本発明では、金属酸化物微粒子を変性シリコーンを含む溶液に投入し、表面処理した後に、変性シリコーンを含む溶液中にシリコーンオイルを投入する。金属酸化物微粒子の表面を変性シリコーンで被覆するため、シリコーンオイル中に金属酸化物微粒子を安定的に分散させることができる。
シリコーンオイル中に表面処理した金属酸化物微粒子を移動させ、金属酸化物微粒子を含むシリコーンオイルを多糖類および/または多糖類誘導体を含む水および水系溶媒もしくは水および水系溶媒を含む混合溶媒に分散させる。このため、微細な金属酸化物微粒子を含むシリコーンオイルを、多糖類および/または多糖類誘導体を含む水および水系溶媒もしくは水および水系溶媒を含む混合溶媒中に、そのシリコーンオイルの微粒子が分散した状態で、安定的に分散された、金属酸化物微粒子分散液を製造することができる。
【0035】
請求項12に係る本発明は、多糖類が、少なくともフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含み、フコース、グルコース、ラムノースの1種以上が側鎖である金属酸化物微粒子分散液の製造方法である。
【0036】
請求項12に係る本発明では、金属酸化物微粒子を表面処理する多糖類が、少なくともフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含み、フコース、グルコース、またはラムノースの1種類以上が側鎖である。このため、これらの単糖類を含む多糖類が金属酸化物微粒子の表面または金属酸化物微粒子を含有するシリコーンオイルの微粒子のナノ粒子となって、層状に包むことができ、オイル相と水相の両方に親和性があるため、水または水系溶媒中に安定して長期間分散されることができる金属酸化物微粒子分散液を製造することができる。
【0037】
請求項13に係る本発明は、多糖類誘導体が、少なくともフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含み、フコース、グルコース、ラムノースの1種以上が側鎖であり、末端が糖類以外の有機物で置換されている金属酸化物微粒子分散液の製造方法である。
【0038】
請求項13に係る本発明では、多糖類誘導体が、少なくともフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含み、フコース、グルコース、ラムノースの1種以上が側鎖であり、末端が糖類以外の有機物で置換されている。このため、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含み部分と、末端が糖類以外の有機物の部分を有する多糖類が金属酸化物微粒子の表面または金属酸化物微粒子を含有するシリコーンオイルの微粒子のナノ粒子となって、層状に包むことができ、オイル相と水相の両方に親和性があるため、水または水系溶媒中に安定して長期間分散されることができる金属酸化物微粒子分散液を製造することができる。
【0039】
請求項14に係る本発明は、金属酸化物が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウムより選ばれる1種以上であり、金属酸化物微粒子の平均一次粒径が1〜500nmである金属酸化物微粒子分散液の製造方法である。
【0040】
請求項14に係る本発明では、金属酸化物が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウムより選ばれる1種以上であり、金属酸化物微粒子の平均一次粒径が1〜500nmである。この金属酸化物は、紫外線遮蔽機能や色素として有効であり、これらの金属酸化物の微粒子を他のオイル等とともに、化粧料に有用な、安定的に分散させる金属酸化物微粒子分散液を製造することができる。
【発明の効果】
【0041】
以上述べたように、この発明に係る、表面処理された金属酸化物微粒子表面に対して多糖類および/または多糖類誘導体を被覆させることで水および親水性溶媒中にて分散状態を長期安定化させることが可能となる。このため1次微粒子の金属酸化物酸化物を凝集させるこことなく微粒子を長期間に亘り、幅広い温度領域で水および親水性溶媒中で分散安定させることが可能となる。
さらに本発明の金属酸化物微粒子分散液を化粧品原料として使用することで。分散性が良く、高い紫外線遮蔽効果を有するとともにその効果が持続し、かつ紫外線遮蔽素材の光活性や触媒活性を抑制する、安定性の高い化粧料用組成物及び化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明の実施の形態を以下に説明する。
本発明は、表面処理した金属酸化物微粒子を多糖類または多糖類誘導体で被覆して水および水系溶媒もしくは水および水系溶媒を含む混合溶媒に分散されている金属酸化物微粒子分散液とその製造方法である。
まず、表面処理した金属酸化物微粒子について説明する。
本発明の金属酸化物微粒子は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウムより選ばれる1種以上が好ましい。この金属酸化物微粒子は、紫外線遮蔽材や色素等として化粧料に使用される。
【0043】
金属酸化物微粒子の製造は、例えば、金属酸化物の金属アルコキシドを使用して、この金属アルコキシドを加水分解して1〜500nm程度、好ましくは10〜100nm程度の粒径を持つ金属酸化物微粒子を溶液内に生成させる。10〜100nm程度の粒径を有すると、金属酸化物微粒子を含む溶液の透明感を向上させることができる。通常のアルコキシド法は、この金属酸化物微粒子を含む溶液中の溶媒を除くが、本発明においては、溶媒を除かずに、この溶液(例えばTKS−201テイカ株式会社製;濃度32.5重量%pH0.9)に特定の変性シリコーンを添加し、攪拌混合する。攪拌時間は5分から60分程度であり、特に限定しない。攪拌は通常のプロペラ攪拌にて室温にて行う。これにより特定のシリコーンは金属酸化物微粒子の表面にイオン結合にて吸着し、皮膜となる。それによって金属酸化物微粒子は、表面処理される。
次に、この溶液にパラフィン、流動パラフィンやシリコーンオイルなどの機能性油性基剤(油性剤)を添加する。そして更に攪拌を行う。
【0044】
なお、金属酸化物微粒子が存在する溶液の金属酸化物微粒子の濃度は、1重量%〜70重量%、望ましくは10重量%〜50重量%、さらに望ましくは20〜35重量%に予め調整する。金属酸化物微粒子の濃度が、1重量%以下であると最終金属酸化物微粒子分散溶液の濃度が薄くなり実用的ではない。金属酸化物微粒子の濃度が、70重量%を超えると、金属酸化物微粒子が存在する溶液の調製が容易ではなく、しかも得られた該溶液の粘度が高く、取扱性が悪く、実用的でない。
本発明で使用する特定の変性シリコーン(以下、「特定の変性シリコーン」とする)の添加量は、1次粒子状態の金属酸化物微粒子に対して、1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%の範囲で添加する。1重量%以下であると、金属酸化物微粒子に対して本発明で使用する特定の変性シリコーン量が少なく、金属酸化物微粒子に表面に特定の変性シリコーンがむら無く吸着できない。また、40重量%より多いと最終金属酸化物微粒子分散溶液の濃度が薄くなり実用的ではない。
【0045】
撹拌・混合方法としては特に限定されず、プロペラ、ホモジナイザー等を使用する一般的な方法を用いる。混合温度も特に限定されない。混合時間は、攪拌装置により適宜決定すれば良いが、一般的には5分〜1時間行う。5分以下であると槽内が均一になりにくく、1時間以上は攪拌効率が悪い。
次にこの混合液を油相であるシリコーンオイル相と水相に分離するまで静置する。
特定の変性シリコーンにより表面がコーティングされた金属酸化物微粒子は、親水性から親油性に表面特性が変化し、シリコーンオイル相に含まれる。
【0046】
この金属酸化物微粒子を含むシリコーンオイルまたは油剤を、別に作成した、多糖類および/または多糖類誘導体の水もしくは親水性溶媒溶液に投入する。
そして、その金属酸化物微粒子を含むシリコーンオイルと多糖類および/または多糖類誘導体の水もしくは親水性溶媒溶液を混合・撹拌して溶解させる。その際、ホモジナイザーおよびディスパーザーのように強いシェアーがかかる溶解装置を用いると効果的である。多糖類および/または多糖類誘導体の濃度としては0.05重量%〜0.1重量%である。0.05重量%以下では、充分に期待する効果が出ない可能性があり、0.1重量%以上では、効果の向上が得られるが、濃度増加に見合うだけの効果の増加が少なくコストパーフォーマンスに劣る。金属酸化物微粒子分散液の配合濃度は、目的にあわせて決定すればよいが、全量に対して5〜70重量%が一般的である。
【0047】
この多糖類および/または多糖類誘導体として、後述するアルカシーラン〔商品名、INCIname:Alcaligenes Polysaccharides、伯東(株)製〕として市販されているものを使用すると、シリコーンオイルの表面に付着して、油相であるシリコーンオイル―アルカシーランの相―水相の三相構造を形成する。これは水相と油相に対し独立相として存在することができるように上記アルカシーランのナノ粒子が金属酸化物微粒子を含有した微細なシリコーンオイルの粒子の表面に付着するためであり、このため、長期間安定して溶液に存在することができる。
【0048】
上記で使用される特定の変性シリコーンオイルは、下記一般式(1)で表される水溶性のポリアミノアルキルシロキサン・アルキルシロキサン共重合体である水溶性アミノ変性シリコーンオイルあるいは水溶性のポリオキシアルキルシロキサン・アルキルシロキサン共重合体である水溶性ポリアルキレンオキシド変性シリコーンオイルである。
式中、Rは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜20のアルキル基;Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基;RはR−〔N(R)−R−NR(Rは炭素数1〜6のアルキレン基、R、R、Rはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、pは0〜6の整数である)、R−(R10O)−R11(Rは炭素数1〜6のアルキレン基、R10は炭素数2〜4のアルキレン基、R11は炭素数1〜10のアルキル基、sは1〜1,000の整数);mは10〜10,000の整数、nは1〜1,000の整数を示す。
の炭素数1〜6のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキサオキシ基などがある。
【化1】

【0049】
の炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基や、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、2−(パーフルオロヘキシル)エチル基、2−(パーフルオロオクチル)エチル基等のハロゲノアルキル基などが挙げられる。
【0050】
としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、イソステアリル基、ベヘニル基などがある。中でも好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0051】
は、下記一般式(2)で示されるアルキルアミノ基、あるいは一般式(3)で示されるアルキルポリアルキレンオキシド基である。
【化2】

(2)

[化3]
−(R10O)−R11 (3)
、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基であり、例えばメチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、これらの中ではトリメチレン基が望ましい。
また、R、R、R、R11は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜10の一価有機基であり、例えば水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子や水酸基で置換した基、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、2−(パーフルオロヘキシル)エチル基、2−(パーフルオロオクチル)エチル基等のハロゲノアルキル基などが挙げられ、これらの1種又は2種以上とすることができる。
【0052】
なお、これらの中では水素原子が最も望ましいが、R、R、R、R11の少なくとも1つが水素原子の場合、残りの基の一部又は全部が酸無水物、エポキシ化合物、アクリル化合物との反応により得られる一価有機基、例えば−COCH,−CHCH(OH)CHOH,−CHCH(OH)CHOCHCHOHなどの基であってもよい。
、R10は、炭素数1〜4のアルキレン基であり、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基などが挙げられ、これらの1種以上からなる。中でもエチレン基、プロピレン基が好ましい。
pは0≦p≦6、望ましくは0≦p≦3である。pが6より大きいと工業的に入手が困難である。
sは1〜1,000の整数、mは10〜10,000の整数、nは1〜1,000の整数である。
【0053】
具体的にアルキルアミノ基として、アミノエチル基、ジアミノエチル基、トリアミノエチル基、テトラアミノエチル基、ペンタアミノエチル基、ヘキサアミノエチル基、アミノプロピル基、トリアミノプロピル基、テトラアミノプロピル基、ペンタアミノプロピル基、ヘキサアミノプロピル基、アミノブチル基、ジアミノブチル基、トリアミノブチル基などがあり、さらに下記のものが例示される。

【化4】

(4)

また、ポリアルキレンオキシド変性シリコーンオイルのアルキルポリオキシアルキレン基としては、下記のものが例示される。
ヒドロキシル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−(2’−ヒドロキシエトキシ)エトキシ基、ポリオキシエチレン(10モル付加)基、ポリオキシエチレン(30モル付加)基、ポリオキシエチレン(60モル付加)基、2−ヒドロキシプロポキシ基、2−ヒドロキシ−2−メチルエトキシ基、3−ヒドロキシプロポキシ基、ポリオキシエチレン(10モル付加)ポリオキシプロピレン(10モル付加)基、ポリオキシエチレン(30モル付加)ポリオキシプロピレン(10モル付加)基、ポリオキシエチレン(60モル付加)ポリオキシプロピレン(10モル付加)基などがある。
【0054】
本発明で使用する機能性油性基剤は、非水溶性の油性剤で、具体的にはシリコーンオイル、パラフィン類、ワックス類、油脂類、高級アルコール類、エステル類、フッ素化炭化水素類がある。
上記で使用するシリコーンオイルは特に限定しないが、例えば、ジメチルポリシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシロキサン−メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン−メチル(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体などのようなポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン−アルコキシ(炭素数4〜12)メチルシロキサン共重合体、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどのような環状ジメチルポリシロキサン、フルオロメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体などのフッ素変性オルガノポリシロキサン、フルオロメチルシロキサン・ポリオキシエチレンメチルシロキサン共重合体やフルオロメチルメチルシロキサン・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンメチルシロキサン共重合体などのフルオロアルキル・ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、末端に水酸基を導入したジメチルポリシロキサン変性物や側鎖に部分的に水酸基を導入したヒドロキシメチルシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体等の末端あるいは側鎖変性オルガノポリシロキサン、があげられ、これらのシリコーンオイルを用いる。当該シリコーンオイルの粘度が100,000(mPa・s:25℃)以下のものが望ましい。
【0055】
その他の機能性油性基剤として、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等があり、ロウ類としてはミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウ等があり、油脂類としては牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、硬化油、タートル油、豚脂、馬脂、ミンク油、肝油、卵黄油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等があり、高級アルコール類としてはラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、シトステロール、ラノステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)等があり、エステル類としてはアジピン酸ジイソブチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸−N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸−2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル、アセトグリセライド、トリイソオクタン酸グリセライド、トリイソステアリン酸グリセライド、トリイソパルミチン酸グリセライド、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセライド、モノステアリン酸グリセライド、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリミリスチン酸グリセライド等があり、フッ素化炭化水素類としてはパーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等があげられる。
【0056】
本発明に用いられる多糖類は、少なくともフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含み、フコース、グルコース、ラムノースの1種以上が側鎖である多糖類であり、好ましくは下記式(5)に示されるようなグルコース、グルクロン酸、ラムノースからなる繰返し構造の主鎖からなり、主鎖中の1つのグルコースに1つのフコースが分岐した構造からなっている多糖類である。
【0057】
【化5】

(5)

上記式(5)の多糖類は、例えばアルカリゲネス レータスB−16株細菌(FERM BP−2015号)の産生物として得ることができる。アルカリゲネス レータスB−16株細菌は、通常の微生物培養方法で培養され、培養後、該培養液にアセトン、エタノール、イソプロピルアルコールなどの有機溶媒を入れると産出多糖類が不溶解物として析出する。その析出物を分離して多糖類を得ることができる。
【0058】
微生物は一般に2種以上の多糖類を産生することが多いが、本発明の効果を妨げるものでなければ、他種の多糖類が含まれていても差し支えない。例えば、アルカリゲネス レータスB−16株細菌の産出多糖類には少なくとも2種の多糖類が含まれていることが確かめられており、培養液から分離した多糖類の構成単糖比率はモル比でフコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノース=1:(0.5〜4):(0.5〜2):(0.5〜2)である。この2種の多糖類を分離すると、一つは、前記一般式(4)に示すようなグルコース、グルクロン酸、ラムノースからなる繰返し構造の主鎖中にある1つのグルコースに1つのフコースが分岐した構造を有する多糖類であり、他はフコースとマンノースを繰り返し単位とする多糖類である。前者は、本発明の多糖類であり、フコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノースの単糖構成比は1:2:1:1であり、分子量は10程度の高分子成分である〔1998年度日本農芸化学会大会要旨集、371頁参照〕。後者は、フコースとマンノースが1:1の繰り返し構造の多糖類であり、分子量が10〜10の低分子成分である〔Y.Nohata,J.Azuma,R.Kurane,Carbohydrate Research 293,(1996)213〜222参照〕。この低分子成分は本発明の多糖類の範囲外であるが、本発明の安定化効果を妨げるようなことはなく、結果的に本発明に用いられることになっても差し支えない。この多糖類は、アルカシーラン〔商品名、INCIname:Alcaligenes Polysaccharides、伯東(株)製〕として市販されている。
アルカリゲネス レータスB−16株細菌(FERM BP−2015号)の代わりにスフィンゴモス・トゥルーペリSPH−011(FERM BP−08582号)又はSPH−012(FERM BP−08579号)を使用しても本発明の多糖類を得ることができる。
また、本発明に用いられる多糖類誘導体は、少なくともフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含み、フコース、グルコース、ラムノースの1種以上が側鎖であり、末端が糖類以外の有機物で置換されている多糖類である。末端を置換させる糖類以外の有機物としては、炭素数2〜22の一価脂肪酸あるいは多価脂肪酸、炭素数1〜22の一価アルコールあるいは多価アルコール等があり、それぞれを用いてエステル化された多糖類誘導体、エーテル化された多糖類誘導体が得られる。例えば、一般式(5)に示されるようなグルコース、グルクロン酸、ラムノースからなる繰返し構造の主鎖からなり、主鎖中の1つのグルコースに1つのフコースが分岐した構造からなっている多糖類を用いて、分岐のフコース中のヒドロキシル基を酢酸やステアリン酸でエステル化したり、メタノールやグリセリンでエーテル化した多糖類誘導体が得られる。
本発明に用いられる多糖類および/または多糖類誘導体の添加量は、1次粒子状態の金属酸化物微粒子に対して、0.1〜5重量%、好ましくは0.3〜2.5重量%の範囲で添加する。0.1重量%以下では金属酸化物微粒子の三相乳化分散が十分でなく、安定な分散性が維持できない場合がある。一方、5重量%より多いと金属酸化物微粒子乳化分散液の安定性は向上するが、多糖類および/または多糖類誘導体の添加量増加に見合うだけの安定性の向上が小さく、コストパフォーマンスが低くなる場合がある。
【0059】
本発明において他の高分子化合物を本発明の多糖類と同時に用いることができる。例えば、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、キャロブガム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、アルゲコロイド、フコイダン、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン等の植物系高分子;キサンタンガム、カードラン、ジェランガム、フコゲル、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン、ダイユータンガム等の微生物系高分子;キトサン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子;デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリオキシエチレン系高分子;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子;ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライト等の無機系水溶性高分子等がある。また、この中には、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の皮膜形成剤も含まれる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例にて詳細に説明する。
実施例に使用した多糖類、変性シリコーン、金属酸化物微粒子、機能性油性剤(油性剤)は次の通りである。
〔多糖類〕
多糖類としてA−1〜A−3の3種類を使用した。
【0061】
(A−1:アルカリゲネス レータスB−16株細菌の産出多糖類(粗製品))
グルコース〔和光純薬工業(株)製、試薬〕40.0g、リン酸水素二カリウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕4.0g、リン酸二水素カリウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕2.0g、塩化ナトリウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕0.1g、硫酸マグネシウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕0.2g、硝酸カリウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕1.0g、イーストエキストラクト〔オキソイド(OXOID)社製〕1.5gをイオン交換水に溶解し、水酸化ナトリウムあるいは硫酸を用いpH6.5に調整し、全量を1リットルとした。この水溶液150mLを500mLの三角フラスコに取り、オートクレーブにより加熱滅菌(121℃、15分間)した後、室温まで戻し、アルカリゲネスレータスB−16株(FERM BP−2015号)を1白金耳接種し、30℃にて6日間振とう培養(180rpm)した。培養終了後、培養物に約3倍容量のイソプロピルアルコールを加えて攪拌混合し、析出した凝集物を濾過、回収、減圧下にて乾燥してアルカリゲネス レータスB−16株細菌の産出多糖類(A−1)を得た。この多糖類は、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースをモル比1:2:1:1で構成される多糖類を主成分とし、この他フコースとマンノースをモル比1:1で構成される多糖類を含み、その存在比は7:1(重量比)である。尚、構成単糖類は、多糖類を硫酸で加水分解した後高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。
【0062】
(A−2:上記A−1の精製品)
多糖類:A−1の0.5重量重量%水溶液を調製し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを12とした。この水溶液をイオン交換樹脂「ダイヤイオンHPA−75(OH−)(商品名)」(日本錬水(株)製)のカラムを用いて8Ru以下で処理し、さらに濾過助剤「ラジオライトRL700」と5μmメンブランフイルターで濾過し、タンパク質、核酸、微生物類を除去した。濾液を希塩酸にてpHが7にしてから減圧濃縮し、アセトンを投入して多糖類を沈澱させ、さらに10倍量のアセトンで洗浄し、フコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノース=1:2:1:1で構成され、分子量が5,000万の多糖類(A−2)を得た。
(A−3)アルカシーラン(伯東社製)
(A−4)スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011株細菌の産出多糖類(粗製品)
グルコース〔和光純薬工業(株)製〕40.0g、リン酸水素二カリウム〔和光純薬工業(株)製〕4.0g、リン酸二水素カリウム〔和光純薬工業(株)製〕2.0g、塩化ナトリウム〔和光純薬工業(株)製〕0.1g、硫酸マグネシウム〔和光純薬工業(株)製〕0.2g、硝酸カリウム〔和光純薬工業(株)製〕1.0g、イーストエキストラクト Hy−Yeast412〔シグマ社製〕1.5gをイオン交換水に溶解し、水酸化ナトリウムあるいは硫酸を用いpH6.5に調整し、全量を1リットルとした。上記組成の培地50リットルをマルビシエンジニアリング社製の90Lの発酵槽に入れ、滅菌後、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011(FERM BP−08582)をそれぞれ摂取し、培養を行った。発酵槽の攪拌羽にはタービン攪拌羽根を用いて、700rpm〜800rpmの範囲で撹拌し、通気量は1vvm〜2vvmの範囲とした。pHは、6.5±0.4の範囲となるように1モル/L−NaOH水溶液を使用してコントロールした。また、培養温度は、30℃±0.2でコントロールを行った。培養は6日間行った。培養終了後、培養物に約3倍容量のイソプロピルアルコールを加えて攪拌混合し、析出した凝集物を濾過、回収、減圧下にて乾燥してスフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011細菌の産出多糖類(A−4)を得た。多糖類(A−4)は、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースをモル比1:2:1:1で構成される多糖類を主成分とし、この他、ラムノースとマンノースをモル比2:1で構成する多糖類を含む。尚、構成単糖類は、多糖類を硫酸で加水分解した後高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。
(A−5)スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−012株細菌の産出多糖類(粗製品)
スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−012(FERM BP−08579)株細菌を用いて、上記のA−4:スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011株細菌の産出多糖類(粗製品)の調製方法と同様に培養を行い、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−012(FERM BP−08579)細菌の産出多糖類(A−5)を得た。多糖類(A−5)はフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースをモル比1:2:1:1で構成される多糖類を主成分とし、この他フコースとマンノースをモル比1:1で構成される多糖類を含む。
【0063】
〔変性シリコーン〕
(アミノ変性シリコーン)
・B−1:Polon MF−52 〔信越化学工業(株)製〕
・B−2:Polon MK−206 〔信越化学工業(株)製〕
・B−3:Polon MF−50 〔信越化学工業(株)製〕
・B−4:ジメチルポリシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体(粘度400cSt)(「SH3771C」(商品名)、水溶性、東レ・ダウ・コーニング・シリコーン(株)製)
【0064】
〔金属酸化物微粒子〕
・C−1:酸化チタンゾル 33重量%(塩酸で安定化、粒径6mm) (TKS−201 テイカ(株)製)
・C−2:酸化チタンゾル 33重量%(硝酸で安定化、粒径6mm) (TKS−202 テイカ(株)製)
【0065】
〔機能性油性基剤(油性剤)〕
・D−1:流動パラフィン(試薬:関東化学社製)
・D−2:ジメチルポリシロキサン(粘度100mPa・s、25℃)〔信越化学工業(株)製〕
・D−3:メチルフェニルポリシロキサン(粘度500mPa・s、25℃)〔日本ユニカ(株)製〕
・D−4:ジメチルポリシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体(粘度1,600cSt)(「SH3775C」(商品名)、非水溶性、東レ・ダウ・コーニング・シリコーン(株)製)
(その他)
・E−1:キサンタンガム
・E−2:(界面活性剤)ポリオキシエチレン(10モル付加)ソルビタンンモノステアレート(日光ケミカルズ(株))
・E−3:(界面活性剤)ポリオキシエチレン(60モル付加)ソルビタントリステアレート(日光ケミカルズ(株))
【0066】
〔変性シリコーンにより表面処理した金属酸化物微粒子分散油性剤液の調製〕
200mlのビーカーに金属酸化物微粒子の酸化チタンゾル(C−1)50mL、アミノ変性シリコーン(B−1)2.5gと水50mLの均一混合液を加えて、IKA社製のホモジナイザーにて、8,000rpm、5分間攪拌した後、流動パラフイン(D−1)100mLを加えて10分間、プロペラ攪拌を行った。その後、静置して上部の流動パラフィン層と下部の水層に分離させ、分離した上部の流動パラフィン層を取り出して、アミノ変性シリコーンにより表面処理した酸化物微粒子分散油性剤液(酸化チタン微粒子の流動パルフィン分酸液)No.1を得た。次に下層の水を1mL採取し、るつぼに入れて電気炉で200℃、2時間加熱して下層水中の酸化チタンゾル(C−1)およびアミノ変性シリコーン(B−1)の残量を測定し、次式で酸化物微粒子分散油性剤液No.1の調製時のアミノ変性シリコーンによる表面被覆によって酸化チタン微粒子の油性剤への移動率(%)を算出し評価した。移動率が高いほど、酸化チタン微粒子のアミノ変性シリコーンによる表面処理が十分であり、油相への移動が良好であることを示し、好ましい。
移動率(%)=100−〔(α)/(β+γ)〕×100
α:水相1mL中の乾燥残留物量(mg)
β:金属酸化物微粒子量(mg)
γ:変性シリコーン量(mg)
同様にして、金属酸化物微粒子、変性シリコーンの種類と配合量を種々変えて金属酸化物微粒子の変性シリコーンによる表面処理を行ない、種々の変性シリコーンにより表面処理された金属酸化物微粒子分散油性剤液を調製した。その結果を表1に示した。
【表1】

〔金属酸化物の三相乳化分散液の調製〕
200mLビーカーに多糖類(A−3)0.05g、水50mLを入れ、ホモミキサー(IKA社製、8,000rpm、20分間攪拌)を用いて均一に分散させ、多糖類(A−1)水分散液を調製した。これに前記の表1記載の方法で調製したアミノ変性シリコーンにより表面処理した酸化チタン微粒子の流動パラフィン分散液No.1:50mLを加えて、ホモミキサー(IKA社製)で5,000rpm、20分間攪拌して乳化させ、酸化チタン微粒子の三相乳化分散液No.1を得た。得られた酸化チタン微粒子の三相乳化分散液No.1を分割して、4℃、25℃、50℃の恒温槽に6ヵ月間静置し、その間に1日目、3ヶ月目、6ヶ月目に酸化チタン微粒子の三相乳化分散液No.1の分離の有無を目視評価し、酸化チタン微粒子の三相乳化分散液No.1の分離が無ければ、良好:「〇」、上層に油分の分離や下層に水分の分離があれば不良:「×」として安定性を調べた。同様にして、その他の表1記載の変性シリコーン表面処理金属酸化物微粒子分散油性剤液を用い、多糖類の種類とその配合量を変えて金属酸化物微粒子の三相乳化分散液の調製と安定性の評価を行った。その結果を表2に示した。

〔比較例7:従来の調製法1−金属酸化物の界面活性剤による微粒子乳化分散液の調製〕
200mLビーカーにキサンタンガム(E−1)0.05g、水50mLを入れ、ホモミキサー(IKA社製、8,000rpm、20分間攪拌)を用いて均一に分散させ、0.1%キサンタンガム(E−1)水分散液を調製し、これに酸化チタン微粒子(C−1)12.5mL、ポリオキシエチレン(60モル付加)ソルビタントリステアレート(E−3)0.5g、水50mLを加えて均一にした後、ホモミキサー(IKA社製)を5,000rpmで撹拌しながら、ポリオキシエチレン(10モル付加)ソルビタンンモノステアレート(E−2)1.5gと流動パラフィン(D−1)35.5gの混合物を添加して乳化させ、さらに20分間攪拌して、酸化チタン微粒子乳化分散液(比較例7)を得た。
【表2】

【0067】
上記の実施例で得た金属酸化物微粒子分散液を使用して化粧料を製造した実施例を実施例24と25に示す。
実施例24では、表1記載の実施例6の金属酸化物微粒子分散液を使い乳液を調整した。
乳液の調製は、以下の通りである。
(No.)(配合成分) (重量%)
1. 表1記載の実施例6の金属酸化物微粒子分散液 87.20
2. 酸化鉄(ベンガラ) 0.50
3. 酸化鉄(黄) 1.50
4. 酸化鉄(黒) 0.20
5. スクワラン 2.00
6. グリセリン 3.00
7. 1,3−ブチレングリコール 5.00
8. パラオキシ安息香酸メチル 0.10
9. ステアリン酸 0.50
攪拌下、配合成分No.2、3、4をNo.1を加え混合し、混合物1とした。
配合成分No.5、6、7にNo.8を加え混合して後70℃に加熱し、配合成分No.9を混合した後、混合物2とした。
混合物1を70℃に加熱した後、混合物2を加えた後エマルションを調製して、均一に混合し、プロペラ型撹拌機で室温まで撹拌冷却し、乳液を得た。
【0068】
実施例25では、表1記載の実施例6の金属酸化物微粒子分散液を使いサンスクリーン乳液を調整した。
サンスクリーン乳液の調製は、以下の通りである。
(No.)(配合成分) (重量%)
1. 表1記載の実施例6の金属酸化物微粒子分散液 40.00
2. アスコルビン酸リン酸マグネシウム塩 5.00
3. クエン酸 1.50
4. ポリオキシエチレン(10モル付加)ソルビタンモノステアレート
1.00
5. ポリオキシエチレン(60モル付加)ソルビタントリオレエート
0.50
6. グリセリルモノステアレート 1.00
7. ステアリン酸 0.50
8. スクワラン 4.00
9. パラメトキシケイ皮酸イソプロピル 0.50
10.パラオキシ安息香酸メチル 0.10
11.水酸化ナトリウム 0.05
12.精製水 40.85
配合成分No.12にNo.3を溶解した後、攪拌しながらNo.2を添加する。No.11にてpH6.5に調整したものを、攪拌しながら徐々にNo.1に加えた物を混合物3とした。
配合成分No.4−9を混合した後、更にN0.10を添加し混合物4とした。
混合物3をプロペラ攪拌にて攪拌しながら70℃まで、昇温完全に溶解する。次に5,000rpmで攪拌しながら70度に昇温した混合物4を加え乳化させる攪拌下自然冷却を行いサンスクリーン乳液を「表1記載の実施例6の金属酸化物微粒子分散液」を表2記載の比較例2に記載の金属酸化物微粒子分散液に置き換えて、乳液(比較例4)、サンスクリーン乳液(比較例5)を調整した。
【0069】
これらの化粧料についての安定性試験を行なった結果を表3に示す。
調製直後の化粧料組成物を200mlの試料瓶に取り、粘度を測定した後、栓をして45℃の恒温器内に静置し、12周間後に再度粘度を測定した。また、化粧料組成物を100ml共栓付メスシリンダーに100ml取り、栓をして45℃の恒温器内に静置した。12週間後に100ml共栓付メスシリンダー内の化粧料組成物の上部に浮上したオイル層の体積及び下部の分離した水層の体積を測った。
以下の評価基準に従い、結果を表3に示した。
安定性の評価基準は以下の通りであり、
○は、目視により、分離・沈澱が認められない
×は、目視により、分離・沈澱が認められるものである
【0070】
【表3】

表3に示したように、本発明の金属酸化物微粒子分散液を使用して作成した実施例24と25化粧品は安定性に優れていることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理した金属酸化物微粒子が多糖類および/または多糖類誘導体で被覆され、水および水系溶媒もしくは水および水系溶媒を含む混合溶媒に分散されていることを特徴とする金属酸化物微粒子分散液。
【請求項2】
上記表面処理した金属酸化物微粒子が、下記一般式(1)(式中、Rはヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜20のアルキル基、;Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基;RはR−(N(R)−R−NR(Rは炭素数1〜6のアルキレン基、R、R、Rはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、pは0〜6の整数である)、R−(R10O)−R11(Rは炭素数1〜6のアルキレン基、R10は炭素数2〜4のアルキレン基、R11は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、sは1〜1,000の整数)、mは10〜10,000の整数、nは1〜1,000の整数;R、R、Rはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、pは0〜6の整数である。)で表される変性シリコーンにより表面処理した金属酸化物微粒子である請求項1に記載の金属酸化物微粒子分散液。
【化1】

【請求項3】
上記変性シリコーンにより表面処理した金属酸化物微粒子の一つまたは複数が微細に分散されたシリコーンオイル中に含まれ、該微細に分散されたシリコーンオイルは多糖類および/または多糖類誘導体により、水および水系溶媒もしくは水および水系溶媒を含む混合溶媒に分散されている請求項1または請求項2に記載の金属酸化物微粒子分散液。
【請求項4】
上記一般式(1)記載の変性シリコーンにおいて、Rがメチル基又は水酸基、Rがメチル基、Rがジメチルアミノ基であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の微粒子金属酸化物分散液。
【請求項5】
上記多糖類が、少なくともフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含み、フコース、グルコース、ラムノースの1種以上が側鎖であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散液。
【請求項6】
上記多糖類誘導体が、少なくともフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含み、フコース、グルコース、ラムノースの1種以上が側鎖であり、末端が糖類以外の有機物で置換されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散液。
【請求項7】
上記金属酸化物微粒子の金属酸化物が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウムより選ばれる1種以上である請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散液。
【請求項8】
上記金属酸化物微粒子の平均一次粒径が1〜500nmである請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散液。
【請求項9】
表面処理した金属酸化物微粒子を多糖類および/または多糖類誘導体を用いて、水および水系溶媒もしくは水および水系溶媒を含む混合溶媒に分散させることを特徴とする金属酸化物微粒子分散液の製造方法。
【請求項10】
上記表面処理した金属酸化物微粒子は、上記一般式(1)で表される変性シリコーンにより表面処理されたものである請求項9に記載の金属酸化物微粒子分散液の製造方法。
【請求項11】
上記金属酸化物微粒子を変性シリコーンを含む溶液に投入し、表面処理した後に、該変性シリコーンを含む溶液中にシリコーンオイルを投入し、該シリコーンオイル中に表面処理した上記金属酸化物微粒子を移動させ、上記金属酸化物微粒子を含む上記シリコーンオイルを多糖類および/または多糖類誘導体を含む水および水系溶媒もしくは水および水系溶媒を含む混合溶媒に分散させる請求項9または請求項10に記載の金属酸化物微粒子分散液の製造方法。
【請求項12】
上記多糖類が、少なくともフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含み、フコース、グルコース、ラムノースの1種以上が側鎖であることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散液の製造方法。
【請求項13】
上記多糖類誘導体が、少なくともフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含み、フコース、グルコース、ラムノースの1種以上が側鎖であり、末端が糖類以外の有機物で置換されていることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散液の製造方法。
【請求項14】
上記金属酸化物が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウムより選ばれる1種以上であり、上記金属酸化物微粒子の平均一次粒径が1〜500nmである請求項9乃至請求項13のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散液の製造方法。

【公開番号】特開2006−290768(P2006−290768A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−111253(P2005−111253)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(000234166)伯東株式会社 (135)
【出願人】(592218300)学校法人神奈川大学 (243)
【Fターム(参考)】