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金属酸化物微粒子分散液及びこれを用いた透明導電膜
説明

金属酸化物微粒子分散液及びこれを用いた透明導電膜

【課題】 不純物濃度が低い金属酸化物微粒子分散液、及び高い透明性と導電性を発現する透明導電膜を提供する。
【解決手段】 平均粒子径が1〜60nmであり、配位原子として窒素、酸素、硫黄、及びリンのうちいずれかを有する炭素鎖長C6〜C24の有機配位子が配位した金属酸化物微粒子が有機溶媒に分散している金属酸化物微粒子分散液であり、かつ、精製後の該分散液に含まれる不純物濃度が10,000ppm以下であることを特徴とする金属酸化物微粒子分散液、並びに該金属酸化物微粒子分散液を用いた透明導電膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物微粒子分散液及びこれを用いて形成された透明導電膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のオフィスオートメーション(OA)化によりオフィスに多くのOA機器が導入され、OA機器のディスプレイと向き合って終日作業を行わねばならないという環境が最近珍しくない。ところで、OA機器の一例としてコンピュータの陰極線管(CRT)等に接して仕事を行う場合、表示画面が見やすく、視覚疲労を感じさせない、CRT表面の帯電によるほこりの付着や電撃ショックがないこと等が要求されている。更に、これらに加えて最近ではCRTから発生する低周波電磁波の人体に対する悪影響が懸念され、このような電磁波が外部に漏洩しないこともCRTに対して望まれている。このような帯電防止、電磁波漏洩防止(電界シールド)の対策として、CRT等の前面板表面に透明導電膜を形成する等の方法が採られている。また、透明導電膜は、可視光に対する高い透光性と、導電性とを示すことから、各種表示デバイスや太陽電池などの透明導電膜として用いられている。
【0003】
これらの要求に対処するため、従来、いくつかの方法が提案されている。1つは貴金属を用いる方法であり、具体的には表示装置の表示面上に金、銀、銅等の貴金属微粒子を液中に均一に分散させた塗布液を塗布し乾燥するか、又はスパッタ法や蒸着法によって導電性の透明貴金属薄膜を形成し、この透明貴金属薄膜の上層及び/又は下層に、これとは屈折率が異なる透明層を積層して電磁波遮蔽、帯電防止、並びに反射防止を図るものである。例えば、特許文献1には、電磁波遮蔽効果と反射防止効果に優れた透明導電膜として、平均粒子径2〜200nmの範囲内の少なくとも銀を含む貴金属微粒子による導電層と、これと屈折率が異なる透明層とからなるものが提案されている。
【0004】
しかし、これらの方法では、電磁波遮蔽効果は期待できるものの、銀の光透過スペクトルに依存して400〜500nmの透過光に吸収が生じ、導電膜が黄色に着色し、透過画像の色相が不自然に変化するという問題、膜の光線透過率が低いため膜厚分布に起因した透過色のムラが目立ち易く生産性を悪化させるという問題、並びに塩霧環境では導電膜の表面抵抗率が上昇し電磁波遮蔽効果が低下するので、海岸等塩霧の影響を受け易い場所では耐久性が低下する等の問題が解決されなかった。
【0005】
一方、スズなどの異種元素を含有する導電性酸化インジウムからなる被膜は、各種表示デバイスや太陽電池などの透明導電膜として用いられている。この種の導電性酸化インジウム粒子からなる被膜は、真空蒸着法、スパッタリング法などの乾式法、または以下に述べる湿式法で基材上に形成されている。
【0006】
しかしながら、乾式法で導電性酸化インジウムからなる膜を形成する場合、高真空中での膜形成となるため、被膜形成装置が高価であること、生産性が低くプロセスコストがかかること、さらに大面積の被膜が得難いために歩留まりが低いこと、といった問題点があった。
【0007】
これに対し湿式法では、インジウム化合物の粒子を水や有機溶媒に溶解または分散した塗布液を基材上に塗布し、乾燥・焼成することにより導電性酸化インジウム粒子からなる被膜が形成されている。例えば、特許文献2には、In・Sn複合酸化物の粒子を含有するゾル組成物を塗布液として用い、この塗布液を基材上に塗布し、乾燥・焼成することにより、導電性酸化インジウム粒子からなる被膜を形成する方法が開示されている。これら従来の湿式法においては、塗布液に含まれるインジウム化合物は、無機または有機のインジウム塩などいわゆる酸化インジウムの前駆体である。上記特許文献2に開示されているIn・Sn複合酸化物ゾル中の複合酸化物微粒子も、その製造法からみて、非晶質の酸化物であり、高温で焼成することによって結晶化させる必要がある。
【0008】
したがって、このような塗布液を基材上に塗布した後に乾燥しただけでは高い導電性を示す結晶性酸化インジウムの被膜は得られず、基材上に塗布した後の塗膜を400℃以上の高温で焼成し、インジウム塩を熱分解するとともに得られた酸化インジウムを結晶化することにより、はじめて高導電性の酸化インジウム被膜が形成される。上記特許文献2の実施例でも500℃で焼成する工程を経て導電性被膜が形成されている。しかしながら塗膜を500℃程度の温度で加熱すると、基材がプラスチック基材である場合には基材が損傷してしまい、また基材がガラス基材である場合には基材に歪み、割れなどが生じるという問題点があった。このような問題点から、高温での焼成工程を必要とせず、塗布のみで高い導電性を発現するために、結晶性の金属酸化物微粒子を用いることが期待される。
【0009】
一部では、300℃以上での高温による焼結を必要とせず、結晶性の金属酸化物微粒子を得る報告例があるものの、特許文献3、特許文献4のように加圧条件下での処理を必須とする工程は大量生産プロセスに適しているとは言い難く、また実際に高い導電性が得られたという報告は見られない。
【0010】
非特許文献1では、オレイルアミンの配位した金属酸化物微粒子合成について示されているが、この金属酸化物微粒子の導電性については言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−77832号公報
【特許文献2】特開昭59−223229号公報
【特許文献3】特開2004−123418号公報
【特許文献4】特開2006−096636号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.2009,131,17736−17737
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、その目的は、不純物濃度が低い金属酸化物微粒子分散液と、高い透明性と導電性を有する透明導電膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、有機配位子の配位した金属酸化物微粒子分散液及びこれを用いた透明導電膜が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、平均粒子径が1〜60nmであり、配位原子として窒素、酸素、硫黄、及びリンのうちいずれかを有する炭素鎖長C6〜C24の有機配位子が配位した金属酸化物微粒子が有機溶媒に分散している金属酸化物微粒子分散液であり、かつ、精製後の該分散液に含まれる不純物濃度が10,000ppm以下であることを特徴とする金属酸化物微粒子分散液、並びに該金属酸化物微粒子分散液を用いた透明導電膜である。
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】
本発明の金属酸化物微粒子分散液は、平均粒子径が1〜60nmであり、配位原子として窒素、酸素、硫黄、及びリンのうちいずれかを有する炭素鎖長C6〜C24の有機配位子が配位した金属酸化物微粒子(以下、金属酸化物微粒子という)が有機溶媒に分散しているものである。
【0017】
金属酸化物微粒子は、結晶状態の金属酸化物に、有機配位子を配位させて得られる金属酸化物微粒子であるため、塗布により透明導電膜を形成でき、高温での焼成工程を必要とせず、低温乾燥及び熱処理により高い導電性を有する透明導電膜が作製可能である。また、金属酸化物微粒子は、金属酸化物の周囲に有機配位子が配位している構造から、有機溶媒中に容易に、かつ安定的に分散させることが可能であり、特殊な分散剤や溶媒、特殊な装置を使用することなく、汎用の有機溶媒に同微粒子を分散させることで、透明導電膜を作製するための塗布液(分散液)を作製することができる。しかし、分散液中には残存する微量な有機配位子あるいは有機配位子と反応した有機物により透明性及びヘーズが低い。このため、分散液を遠心分離法により精製を繰り返すことで不純物の少ない分散液を作製することができる。すなわち不純物の少ない同分散液を基材に塗布し、低温乾燥及び熱処理することにより、従来の真空プロセスによる透明導電膜形成方法であるスパッタ法や蒸着法よりも簡便かつ低コストで高導電性かつ透明性の高い導電性金属酸化物微粒子の透明導電膜を提供することができる。
【0018】
また、金属酸化物を使用することから、従来の貴金属を用いた塗膜よりも膜の光線透過率が高く、透過色のムラの少ない透明導電膜を提供することが可能である。
【0019】
金属酸化物微粒子は、金属に配位可能な有機配位子が配位した金属酸化物微粒子であり、高い導電性を有することを特徴とする。
【0020】
透明導電膜及び透明導電膜形成用の金属酸化物材料としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、スズを含有した酸化インジウム(スズ含有酸化インジウム:ITO)、アンチモンを含有した酸化スズ(ATO)、インジウムを含有した酸化亜鉛(IZO)、アルミニウムを含有した酸化亜鉛(AZO)、ガリウムを含有した酸化亜鉛(GZO)等が挙げられる。中でも、高い透明性と導電性を有しているスズを含有した酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。
【0021】
金属酸化物微粒子は、金属に配位可能な有機配位子が配位することで、有機溶媒への分散性や溶液安定性、また塗膜にした際の基材への密着性など、金属酸化物単独では得られない特性を付与することができる。
【0022】
用いる有機配位子としては中心の金属酸化物への配位が可能であり、炭素鎖長C6〜C24であれば単座配位子、多座配位子のいずれも用いることができ、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ヘキサデカノール、オレイルアルコール、テトラコサノール、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、ステアリルアミン、ノナデシルアミン、オレイルアミン、ヘキサメチレンジアミン等があげられる。安定した金属酸化物粒子を形成し、かつ高い導電性を発現させるために、C6〜C24の炭素鎖長を有する鎖状構造配位子が適している。炭素鎖長がC6未満であると、有機溶媒への分散安定性が低下して凝集を起こしやすくなり、一方、炭素鎖長がC24を超えると、塗膜にした際に金属酸化物粒子間の距離が遠くなり、導電性が低下することがある。
【0023】
金属へ配位する配位原子を含有する官能基(配位基)としてはどのような構造でもよく、例えば、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルデヒド基、カルボキシル基、カルボニル基、アシル基、アセチル基、エーテル基、エポキシ基、ホスフィノ基、チオール基、スルフィド基、ジスルフィド基、アミノ基、ピリジル基、ビピリジル基、アミド基、シアノ基、ハロゲン基等が挙げられるが、金属酸化物に安定的に配位するために、配位原子として窒素、酸素、硫黄、及びリンのうちいずれかを有している必要がある。
【0024】
金属酸化物微粒子の外観は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することができる。
【0025】
金属酸化物微粒子の平均粒子径は、1〜60nmである。平均粒子径が1nm未満では、粒径が小さすぎることから、透明導電膜にした際に十分な導電性が得られず、一方、60nmを超えると粒径が大きすぎることから、塗膜にした際に光を散乱し、可視光域での光の透過率が悪化する等の点で不十分である。好ましくは4〜40nmである。
【0026】
金属酸化物微粒子は、例えば、原料の金属塩と有機配位子とを溶媒中で還流することにより製造することができる。より詳細には、インジウム塩とスズ塩(又は、亜鉛塩、アンチモン塩、アルミニウム塩、ガリウム塩等)、及び有機配位子を高沸点溶媒中にとり、240℃以上で還流することで、金属酸化物微粒子を得る。用いる原料金属塩は、金属酸化物を形成するための酸素を含有している必要があり、例えば、酢酸塩、硫酸塩、2−エチルヘキサン酸塩、リン酸塩、硝酸塩、炭酸塩、水酸化物塩等が挙げられる。用いる溶媒としては、240℃以上の沸点を有している必要があり、例えば、1−オクタデセン、安息香酸ブチル、1−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、n−ジオクチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等を用いることができる。上記試薬をフラスコ中で、240〜280℃、90〜300分還流することで、目的の金属酸化物微粒子を合成することが可能である。この手法は、加圧や300℃以上の高温加熱といった工程を必要とせず、またワンポッドでの合成が可能であることから、透明導電膜形成用粒子を簡便に合成でき、工業的なプロセスにも適しているといえる。
【0027】
金属酸化物微粒子を有機溶媒中に添加することで、金属酸化物微粒子が有機溶媒に分散しており、安定した金属酸化物微粒子分散液となる。金属酸化物微粒子は、金属酸化物に配位している有機配位子が、有機溶媒によって溶媒和されるため、特殊な分散剤または特殊な操作を加えることなく、汎用の有機溶媒中に該微粒子を添加するのみによって、安定した分散液を作成することができる。
【0028】
有機溶媒としては、金属酸化物微粒子が分散すればどんなものでも使用でき、単独又は数種類を組み合わせて使用することもできる。例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、ベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、デカヒドロナフタレンなどの脂肪族炭化水素系、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドンなどのケトン類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどの塩化脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどの酢酸エステル類等が挙げられる。有機配位子の配位した金属酸化物微粒子の分散安定性の観点から、ヘキサン、シクロヘキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、デカヒドロナフタレン等が好ましい。
【0029】
本発明の金属酸化物微粒子分散液は、精製後の該分散液に含まれる不純物濃度が10,000ppm以下である。不純物濃度を10,000ppm以下とすることで、金属酸化物微粒子分散溶液を塗布・乾燥して得られた透明導電膜の導電性及び光学特性が改善され、不純物濃度が10,000ppmを超える透明導電膜に比べ、高光線透過率、低ヘーズな透明導電膜を得ることができる。なお、ここでいう不純物とは、合成時に生じた副生成物の他、未反応原料または過剰の配位子、合成反応に用いた溶媒の総称である。不純物濃度が10,000ppmを超える場合は、金属酸化物微粒子分散溶液中に不純物が残留してしまうため、透明導電膜にした際に不純物が導電性を阻害する要因となりうるだけでなく、透明導電膜材料として十分な光学特性、すなわち高光線透過率、低ヘーズを発現することができない。
【0030】
精製は、不純物濃度を低減させるために、遠心分離を3回以上繰り返して実施する。高い除去率を実現するために、金属酸化物微粒子を沈殿させるための溶媒(以下、沈殿溶媒という)と、金属酸化物微粒子を分散させるための溶媒(以下、分散溶媒という)とを組み合わせて使用することが好ましい。
【0031】
詳細には、合成で得られた金属酸化物微粒子分散溶液に、沈殿溶媒を添加して同粒子を析出させ、これを遠心分離によって固液分離することで、金属酸化物微粒子のみを沈殿させ、溶液中の不純物を上澄み液と共に除去する。次いで、金属酸化物微粒子に分散溶媒を添加して同粒子を再度分散させ、金属酸化物微粒子分散溶液を得る。この順序で遠心分離を3回以上実施することで、金属酸化物分散液の不純物濃度を低減することができる。分散液中の不純物の除去率が十分でなければ、10,000ppm以下になるまで、上記の順序で遠心分離を繰り返す。
【0032】
遠心分離時の回転数や回転時間、遠心力等の条件は特に制限されないが、効率よく不純物を除去し、有機配位子の配位した金属酸化物微粒子のみを沈殿させるためには、遠心力(RCF)は1,000(×g)以上、好ましくは2,000(×g)以上、さらに好ましくは3,000(×g)以上である。
【0033】
遠心分離に用いる沈殿溶媒としては、金属酸化物微粒子を沈殿させるアルコール系溶媒であればどんなものでも使用でき、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−エチル−1−ブタノール、3,3‘−ジメチル−1−ブタノール、3,3’−ジメチル−2−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ベンジルアルコール、クロチルアルコール等が挙げられる。
【0034】
遠心分離に用いる分散溶媒としては、金属酸化物微粒子を分散させる塩素系溶媒であればどんなものでも使用でき、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン等が挙げられる。
【0035】
本発明の金属酸化物微粒子分散液は、金属酸化物微粒子、溶媒、10,000ppm以下の不純物の他に、低分子分散剤、高分子分散剤(バインダー樹脂)、増粘剤、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤、乳化剤等を含有していてもよい。
【0036】
本発明の透明導電膜は、金属酸化物微粒子分散液を基材上に塗布し、乾燥させることで作製することができる。塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ドロップコート法、ロールコート法、スプレー法、バーコート法、ディップ法、メニスカスコート法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、Tダイ法、リップコーター法、ロールコート法等の公知の方法がいずれも使用可能である。塗布後の乾燥条件は任意であり室温〜60℃の範囲で任意の温度で乾燥可能である。また、乾燥雰囲気についても空気中、窒素雰囲気中、減圧下など、特に制限されない。
【0037】
さらに、乾燥後は100〜250℃の範囲で熱処理することが望ましい。熱処理により、乾燥後の塗膜が安定し、温湿度によるシート抵抗の変動が小さくなる。また熱処理雰囲気は空気中、窒素雰囲気中、減圧下など、特に制限されない。
【0038】
金属酸化物微粒子分散液を塗布する基材についても特に制限はなく、例えば、ガラス系などの無機基材、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレートなどのポリマーフィルム基材等を使用できる。
【0039】
これらの基材は、透明導電膜の密着性を高めるために表面処理を行ってもよい。表面処理液としては、例えば、シランカップリング剤、有機金属等があげられる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等があげられ、有機金属としては、例えば、有機チタン、有機アルミニウム、有機ジルコニウム等があげられる。シランカップリング剤又は有機金属を有機溶媒、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどで0.1〜5%の濃度に希釈したものを用いる。この表面処理液をスピナーなどで基板上に均一に塗布した後に乾燥することによって表面処理ができる。
【0040】
こうして得られる本発明の導電性塗膜の厚みは目的を損なわないかぎりにおいて任意に設定されるが、0.001〜5μm程度が好ましい。より好ましくは、0.01〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1μmである。上記膜厚が薄すぎると微粒子がアイランド状に存在し、導電連鎖性が不足し、所望の導電性が得られない等の点で不充分であり、また、膜厚が厚すぎると膜による光の吸収が強すぎ、可視光域での光の透過率が下がりすぎる等の点で不十分である。
【0041】
金属酸化物微粒子は、遠心分離による精製を繰り返すことにより不純物濃度が少なく、平均粒子径が十分に小さく、粒子径分布が狭いため、金属酸化物微粒子分散液を用いた透明導電膜は、透明導電材料として十分な高光線透過率及び低ヘーズを発現できる。
【0042】
得られた透明導電膜の光線透過率は80%以上であり、好ましくは90%以上である。さらにヘーズは5%以下であり、好ましくは1%以下である。
【0043】
金属酸化物微粒子は、結晶性を有しているため、塗布することで高い導電性が発現する特徴を有する。従来報告されている金属酸化物微粒子の多くは非晶質の酸化物であり、300℃以上の高温条件で焼成することにより結晶化させる必要がある。これに対し本発明における、前記の有機配位子の配位した金属酸化物微粒子からなる塗膜は、結晶性を有する金属酸化物粒子からなるため、塗布後の低温乾燥及び250℃以下の熱処理により高い導電性を示す特徴を持つ。塗膜の導電性は4深針プローブを用いた抵抗率計で評価を行い、透明導電膜のシート抵抗は電磁波漏洩防止用としては10Ω/□以下が好ましく、さらには10Ω/□以下が好ましい。
【発明の効果】
【0044】
本発明の金属酸化物微粒子分散液は、有機配位子の配位した金属酸化物微粒子を用いることで安定な分散液が得られ、また塗膜の状態で基材への高い密着性を示し、遠心分離法による精製を繰り返すことで不純物が少なくかつ粒径が十分に小さいため高透過率で低ヘーズかつ高い導電性を発現することから、透明導電膜用途に適している。
【実施例】
【0045】
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
【0046】
<金属酸化物微粒子の精製>
得られた金属酸化物微粒子は、遠心機(H−300、コクサン(株)製)を使用し、遠心分離によって精製を行った。
【0047】
<金属酸化物微粒子の外観観察>
金属酸化物微粒子の外観は、透過型電子顕微鏡(TEM)で観測した。該金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させた粒子分散液を用意し、これをコロジオン膜展張したカーボンコーティング銅メッシュに落として溶媒を揮発させ、このサンプルを透過型顕微鏡で観察した。また得られた像から、粒子の粒子径を読み取った。
【0048】
<金属酸化物微粒子分散液の不純物の測定>
有機配位子の配位した金属酸化物微粒子分散液を遠心分離によって精製を行った分散液中の不純物の測定を行った。測定にはガスクロマトグラフィー(GC−14A、(株)島津製作所製)を使用した。
【0049】
<塗膜の導電性の測定>
抵抗率計(Loresta−AP、三菱油化(株)製)を用い、4探針法にてシート抵抗の測定を行った。
【0050】
<光線透過率の測定>
ヘーズメーター(NDH−5000、日本電色工業(株)製)を用い、JIS K 7361−1に準拠して、透明導電膜の光線透過率の測定を行った。
【0051】
製造例1(オレイルアミンの配位したスズ含有酸化インジウム微粒子分散液の製造例)
100mLフラスコ中に酢酸インジウム(III)300mg、2−エチルヘキサン酸スズ40μL、2−エチルヘキサン酸570μL、オレイルアミン3160μL、n−ジオクチルエーテル10mLを仕込み、真空中80℃で1時間加熱し、その後常圧に戻して窒素雰囲気中150℃で1時間加熱し、次いで窒素雰囲気中270℃で2時間加熱し、得られた溶液にエタノール100mLを加えて遠心分離法によって精製し、クロロホルム50mLを加えて金属酸化物微粒子分散液(オレイルアミンの配位したスズ含有酸化インジウム微粒子分散液)を得た。得られた粒子の平均粒子径は10.7nmであった。また、この金属酸化物微粒子分散液中の不純物濃度は、50,000ppmであった。
【0052】
製造例2(オレイルアミンの配位したスズ含有酸化インジウム微粒子分散液の製造例)
100mLフラスコに酢酸インジウム(III)300mg、2−エチルヘキサン酸スズ40μL、2−エチルヘキサン酸570μL、オレイルアミン3160μL、n−ジオクチルエーテル10mLを仕込み、真空中80℃で1時間加熱し、その後常圧に戻して窒素雰囲気中150℃で1時間加熱し、次いで窒素雰囲気中280℃で2時間加熱した。得られた溶液にエタノール100mLを加えて遠心分離法によって精製し、n−ヘキサン50mLを加えて金属酸化物微粒子分散液(オレイルアミンの配位したスズ含有酸化インジウム微粒子分散液)を得た。得られた粒子の平均粒子径は8.4nmであった。また、この金属酸化物微粒子分散液中の不純物濃度は、120,000ppmであった。
【0053】
実施例1
製造例1で製造した金属酸化物微粒子分散液を用い、遠心分離法によりエタノール20mL/クロロホルム2mLによる精製をさらに3回繰り返した後(不純物濃度:3,000ppm)、基材であるガラス板に塗布し、25℃で10時間乾燥し、透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率91%、ヘーズ0.7%、シート抵抗8×10Ω/□で、高い透過率と導電性を有していた。
【0054】
実施例2
製造例1で製造した金属酸化物微粒子分散液を用い、遠心分離法によりエタノール20mL/クロロホルム2mLによる精製をさらに2回繰り返した後(不純物濃度:8,000ppm)、基材であるPETフィルムに塗布し、25℃で10時間乾燥し、その後120℃で1時間熱処理し、透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率90%、ヘーズ0.9%、シート抵抗9×10Ω/□で、高い透過率と導電性を有していた。
【0055】
実施例3
製造例1で製造した金属酸化物微粒子分散液を用い、遠心分離法によりエタノール20mL/クロロホルム2mLによる精製をさらに3回繰り返した後(不純物濃度:3,000ppm)、基材であるガラス板に塗布し、25℃で10時間乾燥、その後200℃で1時間熱処理し、透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率92%、ヘーズ0.5%、シート抵抗6×10Ω/□で、高い透過率と導電性を有していた。
【0056】
実施例4
製造例2で製造した金属酸化物微粒子分散液を用い、遠心分離法によりエタノール20mL/ヘキサン5mLによる精製をさらに2回繰り返した後(不純物濃度:7,000ppm)、基材であるガラス板に塗布し、25℃で10時間乾燥、その後200℃で1時間熱処理し、透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率88%、ヘーズ1.0%、シート抵抗5×10Ω/□で、高い透過率と導電性を有していた。
【0057】
実施例5
製造例2で製造した金属酸化物微粒子分散液を用い、遠心分離法によりエタノール20mL/ヘキサン5mLによる精製をさらに4回繰り返した後(不純物濃度:2,000ppm)、基材であるガラス板に塗布し、25℃で10時間乾燥、その後200℃で1時間熱処理し、透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率92%、ヘーズ1.5%、シート抵抗4×10Ω/□で、高い透過率と導電性を有していた。
【0058】
比較例1
製造例1で製造した金属酸化物微粒子分散液(不純物濃度:50,000ppm)を基材であるガラス板に塗布し、25℃で10時間乾燥し、その後200℃で1時間アニール処理し、透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性は高かったが、塗膜中に凝集塊が多く見られ、光線透過率65%、ヘーズ71%、シート抵抗7×10Ω/□で、透過率とヘーズが低く、透明導電膜として十分な性質を有していなかった。
【0059】
比較例2
製造例2で製造した金属酸化物微粒子分散液(不純物濃度:120,000ppm)を基材であるガラス板に塗布し、25℃で10時間乾燥し、透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性は高かったが、光線透過率69%、ヘーズ82%、シート抵抗5×10Ω/□で、透過率とヘーズが低く、さらに導電性も低く、透明導電膜として十分な性質を有していなかった。
【0060】
比較例3
製造例2で製造した金属酸化物微粒子分散液を用い、遠心分離法によりエタノール20mL/n−ヘキサン2mLによるによる精製をさらに1回繰り返した後(不純物濃度:40,000ppm)、基材であるガラス板に塗布し、25℃で10時間乾燥し、透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性は高かったが、光線透過率78%、ヘーズ39%、シート抵抗8×10Ω/□で、透過率とヘーズが低く、さらに導電性も低く、透明導電膜として十分な性質を有していなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が1〜60nmであり、配位原子として窒素、酸素、硫黄、及びリンのうちいずれかを有する炭素鎖長C6〜C24の有機配位子が配位した金属酸化物微粒子が有機溶媒に分散している金属酸化物微粒子分散液であり、かつ、精製後の該分散液に含まれる不純物濃度が10,000ppm以下であることを特徴とする金属酸化物微粒子分散液。
【請求項2】
遠心分離法による精製が3回以上繰り返されたことを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物微粒子分散液。
【請求項3】
精製の際にアルコール溶媒と塩素系溶媒とを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属酸化物微粒子分散液。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載の金属酸化物微粒子分散液を基板に塗布、低温乾燥後に100〜250℃で熱処理するものであることを特徴とする透明導電膜。
【請求項5】
シート抵抗が10Ω/□以下であることを特徴とする請求項4に記載の透明導電膜。
【請求項6】
光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の透明導電膜。
【請求項7】
ヘーズが5%以下であることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれかの項に記載の透明導電膜。

【公開番号】特開2013−112594(P2013−112594A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262582(P2011−262582)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】