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金属酸化物粒子分散組成物
説明

金属酸化物粒子分散組成物

【課題】電気的特性に優れる金属酸化物薄膜を低温でも形成することが可能な金属酸化物粒子分散組成物を提供する。更に、該金属酸化物粒子分散組成物の製造方法、該金属酸化物粒子分散組成物を用いた金属酸化物薄膜及び薄膜デバイスを提供する。
【解決手段】金属酸化物粒子と、分散媒とを含有する金属酸化物粒子分散組成物であって、前記金属酸化物粒子は、平均粒子径が0.5〜5nm、粒子径分布の変動係数が10〜35%であり、かつ、20℃/分の昇温速度で300℃まで加熱した後の残分量が金属酸化物粒子の1重量%未満である金属酸化物粒子分散組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的特性に優れる金属酸化物薄膜を低温でも形成することが可能な金属酸化物粒子分散組成物に関する。更に、本発明は、該金属酸化物粒子分散組成物の製造方法、該金属酸化物粒子分散組成物を用いた金属酸化物薄膜及び薄膜デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属酸化物の微細化技術の進歩とともに多くの金属酸化物が製造され、透明電極、帯電防止剤等の種々の用途に用いられている。例えば、酸化スズにインジウムをドープしたITOは、プラズマディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル等を製造するための透明電極材料として注目されている。
これらの金属酸化物を用いて金属酸化物薄膜を形成する方法としては、例えば、特許文献1に記載のように、真空蒸着やスパッタリングが用いられていた。より具体的には、透明電極を形成する場合、真空蒸着により金属酸化物を基材表面へ付着させ、光反応性材料を用いて現像したり、マスキングを施したりすることによって、電極パターンを形成する方法が用いられていた。
しかし、真空蒸着等の物理的方法は、真空化に要する時間がかかり、また、装置を厳密に制御する必要があった。また、特殊な加熱装置やイオン発生加速装置等が必要となり、大型の製品を作製する場合には、複雑で大型の製造装置を要していた。
加えて、電極パターンの形成においても、多数の工程を経てパターンが形成されるため処理時間、コストともに高くなり、また、現像液によって周辺部材を侵すということも大きな問題とされていた。
従って、大規模な製造施設を要することなく、量産性に優れた生産効率の良い代替方法が望まれていた。
【0003】
そこで、量産性に優れた代替方法として、例えば、特許文献2には、平均粒子径が50nm以下の金属酸化物ナノ粒子を含有するナノ粒子分散液を用いて、金属酸化物薄膜を形成する方法が開示されている。
この方法では、低コストで簡便に金属酸化物薄膜を製造することができるとしているが、樹脂基板への成膜時等における低温成膜時においては、粒子間の融合が不充分であるため電気的特性が悪いという問題があり、所望の性能を有する金属酸化物薄膜を安定して製造することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2005/088726号パンフレット
【特許文献2】特開2007−42690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、電気的特性に優れる金属酸化物薄膜を低温でも形成することが可能な金属酸化物粒子分散組成物を提供することを目的とする。更に、本発明は、該金属酸化物粒子分散組成物の製造方法、該金属酸化物粒子分散組成物を用いた金属酸化物薄膜及び薄膜デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、金属酸化物粒子と、分散媒とを含有する金属酸化物粒子分散組成物であって、前記金属酸化物粒子は、平均粒子径が0.5〜5nm、粒子径分布の変動係数が10〜35%であり、かつ、20℃/分の昇温速度で300℃まで加熱した後の残分量が金属酸化物粒子の1重量%未満である金属酸化物粒子分散組成物である。
以下に本発明を詳述する。
【0007】
本発明者は、鋭意検討した結果、所定の平均粒子径及び粒子径分布を有し、かつ、20℃/分の昇温速度で300℃まで加熱した後の残分量が金属酸化物粒子の1重量%未満である金属酸化物粒子を分散させた金属酸化物粒子分散組成物を用いて金属酸化物薄膜を作製した場合、電気的特性に優れる金属酸化物薄膜を低温でも形成することが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明の金属酸化物粒子分散組成物では、金属酸化物粒子を用いる。
上記金属酸化物粒子は、平均粒子径が0.5〜5nmである。平均粒子径が0.5nm未満であると、分散安定性が充分に得られないことがあり、平均粒子径が5nmを超えると、得られる金属酸化物粒子分散組成物を用いて印刷しても、所望の膜厚、平滑性等を有する金属酸化物薄膜を製造することが難しい。
好ましくは、1.0〜1.5nmである。
なお、上記平均粒子径及び粒子径分布は、例えば、動的光散乱解析装置等を用いることにより測定することができる。
【0009】
上記金属酸化物粒子は、粒子径分布の変動係数(CV値)が10〜35%である。
上記金属酸化物粒子のCV値が10%未満であると、成膜時に細密充填構造をとりにくく空隙の多い金属酸化物薄膜となり、上記金属酸化物粒子のCV値が35%を超えると、粒子径のばらつきが大きいことから所望の膜厚、平滑性等を有する金属酸化物薄膜を製造することが難しい。好ましくは15〜25%である。
【0010】
なお、本明細書においてCV値とは、下記式(1)により求められる数値のことである。
粒子径のCV値(%)=(σ2/Dn2)×100 (1)
式(1)中、σ2は粒子径の標準偏差を表し、Dn2は数平均粒子径を表す。
【0011】
上記金属酸化物粒子は、20℃/分の昇温速度で300℃まで加熱した後の残分量が金属酸化物粒子の1重量%未満である。上記残分量が1重量%を超えると、低温成膜時に粒子間の融合を妨げ、金属酸化物薄膜を形成するのが困難となる。好ましくは0.01重量%未満である。
なお、本発明において、20℃/分の昇温速度で300℃まで加熱した後の残分量が少ないことは、上記金属酸化物粒子の表面に存在する有機被覆物が少ないことを意味する。
このような「有機被覆物」としては、金属酸化物粒子に対して吸着性を有し、かつ、金属酸化物粒子間に立体反発性を付与する有機化合物が挙げられ、具体的には例えば、高級脂肪酸、櫛型ポリカルボン酸等のカルボン酸類等が挙げられる。
上記カルボン酸類は、上記金属酸化物粒子の作製時における前駆体中に分散剤として添加され、粒子成長の制御、及び、合一阻止のために用いられる。
【0012】
本発明において、金属酸化物粒子は、Zn、Ga、In、Sn、Al及びSbからなる群より選択される少なくとも1種の金属の酸化物を含有するものであることが好ましい。具体的には例えば、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化アルミニウム及びこれらに他の金属をドープした金属酸化物からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。特に、酸化亜鉛−ガリウムドープ(GZO)、酸化亜鉛−アルムニウムドープ(AZO)、酸化インジウム−スズドープ(ITO)、酸化錫−アンチモンドープ(ATO)が好ましい。
【0013】
上記金属酸化物粒子は、結晶性粒子であることが好ましい。上記結晶性粒子とは、アモルファス粒子とは異なり、粒子を構成する金属が規則性を有していることを意味する。上記結晶性粒子である場合の構造は特に限定されず、例えば、単結晶、複数の結晶組成が相分離した混晶、相分離の観察されない混合結晶の何れでもよい。
【0014】
特に、本発明の金属酸化物粒子分散組成物を薄膜デバイスの製造に使用する場合は、上記金属酸化物粒子として、金属酸化物半導体粒子を用いる。これにより、所望の性能を有する金属酸化物半導体薄膜を形成することができる。
【0015】
本発明の金属酸化物粒子分散組成物において、上記金属酸化物粒子の添加量の好ましい下限は1重量%、好ましい上限は50重量%である。上記金属酸化物粒子の添加量が1重量%未満であると、得られる金属酸化物粒子分散組成物を用いて製膜した場合に、均一な薄膜を製造できないことがある。上記金属酸化物粒子の添加量が50重量%を超えると、得られる金属酸化物粒子分散組成物において、上記金属酸化物粒子の分散安定性が充分に得られないことがある。
【0016】
また、本発明の金属酸化物粒子分散組成物には、更に、Zn、Ga、In、Sn、Al、及びSbからなる群より選択される少なくとも1種の金属からなる粒子を添加してもよい。これにより、粒子界面の抵抗を低減する等により、特性の向上が可能となる。
【0017】
本発明の金属酸化物粒子分散組成物では、分散媒を用いる。
上記溶媒は水であってもよく、有機溶剤であってもよいが、有機溶剤が好ましい。
上記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、テルピネオール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、アセトン、エチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル等のエステル類、メトキシエタノール、エトキシエタノール等のエーテルアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等の有機塩素化合物類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、トリメチルペンタン等の長鎖アルカン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン等の環状アルカン等が挙げられる。
【0018】
本発明の金属酸化物粒子分散組成物は、更にバインダー樹脂及び種々の添加剤を適量添加してもよい。上記バインダー樹脂を添加することにより、インクジェット、スクリーン、グラビア印刷等に更に適したものとすることができる。
上記バインダー樹脂は特に限定されないが、例えば、セルロース樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。なかでも、セルロース樹脂が特に好ましい。
【0019】
上記セルロース樹脂は特に限定されないが、例えば、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースが好ましい。
上記ポリエーテル樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
上記ポリアセタール樹脂は特に限定されないが、上記ポリエーテル樹脂と同様にエチレン、プロピレン、テトラメチレン等のユニットを有するポリアセタール樹脂が好ましい。
【0020】
上記(メタ)アクリル樹脂として、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリルモノマーの単独重合体、及び、これらの(メタ)アクリルモノマーとポリオキシアルキレン構造を有する(メタ)アクリルモノマーとの共重合体が挙げられる。上記ポリオキシアルキレン構造として、例えば、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルエチレンオキシド、ポリエチルエチレンオキシド、ポリトリメチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシドが挙げられる。なお、本明細書中、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
【0021】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、アルデヒドによりポリビニルアルコールをアセタール化することで得られるポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
上記ポリビニルアルコールは、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステルの重合体をケン化することで得られるポリビニルアルコールであることが好ましい。上記ビニルエステルは、経済的にみると、酢酸ビニルであることがより好ましい。
【0022】
本発明の金属酸化物粒子分散組成物において、上記バインダー樹脂の添加量の好ましい下限は1重量%、好ましい上限は25重量%である。上記バインダー樹脂の添加量が1重量%未満であると、バインダー樹脂の添加による増粘効果が充分に得られないことがある。上記バインダー樹脂の添加量が25重量%を超えると、成膜後の性能が低下することがある。
【0023】
本発明の金属酸化物粒子分散組成物を製造する方法としては、金属塩及び/又は有機金属化合物を含有する金属含有溶液を作製する工程、及び、前記金属含有溶液にマイクロ波を照射して加熱、反応させる工程を有する方法を用いることができる。
このような金属酸化物粒子分散組成物の製造方法もまた本発明の1つである。
【0024】
本発明の金属酸化物粒子分散組成物の製造方法では、金属塩及び/又は有機金属化合物を含有する金属含有溶液を作製する工程を行う。
【0025】
上記金属塩としては、例えば、Zn、Ga、In、Sn、Al、及びSbからなる群より選択される少なくとも1種の金属の塩化物、オキシ塩化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、水酸化物、過酸化物等が挙げられる。また、上記金属塩の水和物も含まれる。
具体的には、例えば、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、塩化ガリウム、硝酸ガリウム八水和物、塩化インジウム、硝酸インジウム三水和物、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化スズ、硝酸スズ、塩化アンチモン、硝酸アンチモン等が挙げられる。
【0026】
上記有機金属化合物としては、例えば、Zn、Ga、In、Sn、Al及びSbからなる群より選択される少なくとも1種の金属のカルボン酸、ジカルボン酸、オリゴカルボン酸、ポリカルボン酸の塩化合物が挙げられる。より具体的には、上述した金属の酢酸、ギ酸、プロピオン酸、オクチル酸、ステアリン酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸等の塩化合物等が挙げられる。また、メチル基、エチル基等の置換基を有するアルキル金属、アセチルアセトネート、テトラメチルアセトアセトネート、エチレンジアミン、ビピリジン等が配位結合した金属錯体等が挙げられる。
上記有機金属化合物としては、具体的には例えば、酢酸亜鉛二水和物、亜鉛アセチルアセトン塩、オクチル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ガリウムアセチルアセトン塩、オクチル酸ガリウム、ステアリン酸ガリウム、酢酸ガリウム、酢酸インジウム、インジウムアセチルアセトン塩、オクチル酸インジウム、ステアリン酸インジウム、スズアセチルアセトン塩、酢酸スズ、アルミニウムアセチルアセトン塩、酢酸アルミニウム、酢酸アンチモン等が挙げられる。
【0027】
上記金属含有溶液に使用する溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、テルピネオール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、アセトン、エチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル等のエステル類、メトキシエタノール、エトキシエタノール等のエーテルアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等の有機塩素化合物類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、トリメチルペンタン等の長鎖アルカン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン等の環状アルカン等が挙げられる。
【0028】
本発明の金属酸化物粒子分散組成物の製造方法では、上記金属含有溶液にマイクロ波を照射して加熱、反応させる工程を行う。
上記マイクロ波を照射することで、一般的に用いられる外部からの加熱方法に比べ金属含有溶液を急速にかつ均一に加熱することができ、しいては金属酸化物粒子の核生成から核成長反応を急速にかつ均一に行うことができる。その結果、有機被覆物を使用することなく、平均粒子径が小さい金属酸化物粒子を作成することができる。また、得られる金属酸化物粒子は、粒子径分布が狭いものとなる。
【0029】
上記マイクロ波を照射する方法としては、例えば、マグネトロン、クライストロンジャイロトロン等の発振機等を用いることができる。特にマグネトロンを利用したものが一般的に用いられる。
また、上記マイクロ波の出力は、1000〜1500Wが好ましく、上記マイクロ波を照射する装置のマグネトロンの周波数は2.45GHzが好ましい。
【0030】
上記マイクロ波を照射して加熱を行う際の加熱温度は200〜250℃が好ましい。また、上記加熱を行う際の昇温速度は75〜150℃/分が好ましい。
【0031】
本発明の金属酸化物粒子分散組成物の分散方法としては、ビーズミル、ボールミル、ブレンダーミル、3本ロールミル、超音波ホモジナイザー等の分散機を用いて混合する方法等を用いることができる。
【0032】
本発明の金属酸化物粒子分散組成物を所定の印刷工程を用いて印刷した後、乾燥又は焼結等の工程を行うことで、金属酸化物薄膜を形成することができる。このような金属酸化物薄膜、及び、上記金属酸化物薄膜を用いて得られる薄膜デバイスもまた本発明の1つである。本発明の金属酸化物薄膜の用途としては特に限定されないが、例えば、プラズマディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル、タッチパネル、太陽電池等が挙げられる。
【0033】
本発明の金属酸化物粒子分散組成物を印刷(塗工)する方法としては、例えば、スピンコート法、スプレー法、浸漬法、ロールコート法、スクリーン印刷法、コンタクトプリント法、スリットコート法、インクジェット法(インクジェット印刷法)、グラビア法等が挙げられる。上記印刷は、所望の膜厚を得ることができれば、一度塗りでもよく、重ね塗りでもよい。
【0034】
上記乾燥又は焼結する方法としては、例えば、赤外線加熱、マイクロ波加熱、高周波加熱など既知の活性光線やエネルギー線による処理が挙げられる。また、必要に応じて、不活性雰囲気で上記処理を行ってもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、電気的特性に優れる金属酸化物薄膜を低温でも形成することが可能な金属酸化物粒子分散組成物を提供することができる。更に、本発明は、該金属酸化物粒子分散組成物の製造方法、該金属酸化物粒子分散組成物を用いた金属酸化物薄膜及び薄膜デバイスを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0037】
(実施例1)
(金属酸化物粒子分散組成物の製造)
酢酸亜鉛二水和物1.00重量部と塩化ガリウム0.05重量部をエチレングリコール10.0重量部に溶解し、攪拌しながら水酸化カリウム1.25重量部をエチレングリコール10.0重量部に溶解した液を滴下し、滴下終了後1時間攪拌を続けることにより、ガリウムドープ酸化亜鉛前駆体溶液を得た。
次に、得られた前駆体溶液をマイクロ波オーブン(アクタック社製、スピードウェーブ2)を用いて、昇温速度100℃/分で225℃まで加熱し、30分間加熱を続けることでガリウムドープ酸化亜鉛粒子分散液を得た。
得られた分散液を遠心分離し、沈殿物にエタノールを加え超音波分散し、再度遠心分離を行う工程を数回行った後、水洗を行うことでガリウムドープ酸化亜鉛粒子を得た。
得られたガリウムドープ酸化亜鉛粒子1.00重量部を、1−メトキシ−2−プロパノール2.00重量部、及び、クロロホルム8.00重量部からなる混合溶媒に添加し分散することにより、金属酸化物粒子分散組成物を作製した。
【0038】
(実施例2)
得られた前駆体溶液をマイクロ波オーブン(アクタック社製、スピードウェーブ2)を用いて、昇温速度100℃/分で200℃まで加熱し、30分間加熱を続けた以外は実施例1と同様にして、金属酸化物粒子分散組成物を作製した。
【0039】
(実施例3)
得られた前駆体溶液をマイクロ波オーブン(アクタック社製、スピードウェーブ2)を用いて、昇温速度100℃/分で250℃まで加熱し、30分間加熱を続けた以外は実施例1と同様にして、金属酸化物粒子分散組成物を作製した。
【0040】
(実施例4)
得られた前駆体溶液をマイクロ波オーブン(アクタック社製、スピードウェーブ2)を用いて、昇温速度150℃/分で225℃まで加熱し、30分間加熱を続けた以外は実施例1と同様にして、金属酸化物粒子分散組成物を作製した。
【0041】
(実施例5)
得られた前駆体溶液をマイクロ波オーブン(アクタック社製、スピードウェーブ2)を用いて、昇温速度75℃/分で225℃まで加熱し、30分間加熱を続けた以外は実施例1と同様にして、金属酸化物粒子分散組成物を作製した。
【0042】
(比較例1)
得られた前駆体溶液をオイルバスを用いて、昇温速度15℃/分で225℃まで加熱し、180分間加熱を続けた以外は実施例1と同様にして、金属酸化物粒子分散組成物を作製した。
【0043】
(比較例2)
得られた前駆体溶液をオイルバスを用いて、昇温速度15℃/分で275℃まで加熱し、180分間加熱を続けた以外は実施例1と同様にして、金属酸化物粒子分散組成物を作製した。
【0044】
(比較例3)
得られた前駆体溶液をオイルバスを用いて、昇温速度20℃/分で225℃まで加熱し、180分間加熱を続けた以外は実施例1と同様にして、金属酸化物粒子分散組成物を作製した。
【0045】
(比較例4)
得られた前駆体溶液に高分子分散剤(日油社製、マリアリムAFB−1521)を0.10重量部添加した以外は実施例1と同様にして、金属酸化物粒子分散組成物を作製した。
【0046】
<評価>
実施例及び比較例で得られた金属酸化物粒子分散組成物について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0047】
(平均粒子径及び粒子径分布の変動係数の測定)
得られた金属酸化物粒子分散組成物に含まれる金属酸化物粒子の平均粒子径及び粒子径分布の変動係数を測定した。
具体的には、金属酸化物粒子をメタノール中に分散させ、動的光散乱解析装置(PSS−NICOMP社製、380DLS)を用いて、金属酸化物粒子の平均粒子径及び粒子径分布の変動係数を測定した。
【0048】
(加熱後の残分量測定)
得られたガリウムドープ酸化亜鉛粒子を20℃/分の昇温速度で300℃まで加熱した後の残分量を示差熱熱重量測定装置(SIIナノテクノロシー社製、TG/DTA6300)を用いて測定した。
そして、[(残分量−金属酸化物粒子の計算重量)/金属酸化物粒子の計算重量]×100が、1重量%未満の場合を「○」、1重量%以上の場合を「×」として評価した。
なお、300℃で加熱した場合の残分量が少ないことは、低温成膜が可能であることを意味する。
【0049】
(導電性の評価)
実施例及び比較例で得られた金属酸化物粒子分散組成物を、スピンコーターを用いてガラス基板に塗布し、300℃で60分間焼成することにより、金属酸化物薄膜を作製した。得られた金属酸化物薄膜の比抵抗を、ロレスタGP(三菱化学社製)を用いて測定した。
【0050】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、電気的特性に優れる金属酸化物薄膜を低温でも形成することが可能な金属酸化物粒子分散組成物を提供することができる。更に、本発明は、該金属酸化物粒子分散組成物の製造方法、該金属酸化物粒子分散組成物を用いた金属酸化物薄膜及び薄膜デバイスを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物粒子と、分散媒とを含有する金属酸化物粒子分散組成物であって、
前記金属酸化物粒子は、平均粒子径が0.5〜5nm、粒子径分布の変動係数が10〜35%であり、かつ、20℃/分の昇温速度で300℃まで加熱した後の残分量が金属酸化物粒子の1重量%未満であることを特徴とする金属酸化物粒子分散組成物。
【請求項2】
金属酸化物はZn、Ga、In、Sn、Al及びSbからなる群より選択される少なくとも1種の金属の酸化物を含有することを特徴とする請求項1記載の金属酸化物粒子分散組成物。
【請求項3】
更に、バインダー樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の金属酸化物粒子分散組成物。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の金属酸化物粒子分散組成物を製造する方法であって、金属塩及び/又は有機金属化合物を含有する金属含有溶液を作製する工程、及び、前記金属含有溶液にマイクロ波を照射して加熱、反応させる工程を有することを特徴とする金属酸化物粒子分散組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1、2又は3記載の金属酸化物粒子分散組成物を用いて得られることを特徴とする金属酸化物薄膜。
【請求項6】
請求項5記載の金属酸化物薄膜を用いて得られることを特徴とする薄膜デバイス。

【公開番号】特開2013−72025(P2013−72025A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212981(P2011−212981)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】