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金属銅膜の作製方法及び印刷金属銅パターン
説明

金属銅膜の作製方法及び印刷金属銅パターン

【課題】印刷形成が可能である銅系粒子堆積層を、基板密着性、低体積抵抗率、基板ダメージがなく深部まで還元する処理方法であり、且つ印刷塗布部外への銅の析出を抑制した、金属銅膜の作製方法、及び、作製した印刷金属銅パターンを提供する。
【解決手段】基板上に形成された、酸化銅からなる粒子を含む銅系粒子堆積層を、120℃以上において、ガス状のギ酸と、ガス状の1価のアルコール/エステル/ケトンから選択される少なくとも1種の有機溶剤と混合ガスにより処理する、金属銅膜の作製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属銅膜の作製方法及びこれにより作製される印刷金属銅パターンに関する。
【背景技術】
【0002】
金属銅は高い電気伝導性と熱伝導性を有し、導体配線材料、熱伝達材料、熱交換材料、放熱材料として広く用いられている。
【0003】
一方、インクジェット、ジェットディスペンサ、ニードルディスペンサ、ディスペンサ、有版印刷は、フォトレジスト工程を用いることなく、任意の形状に液状の材料を塗布できるため、オンデマンド生産、省力化、省材料化、低コスト化の点から注目されている。また、非接触で成形可能なインクジェット、ジェットディスペンサでは、段差や曲面、小面積への印刷が可能であり、有版印刷では不可能な形状を有する基板へのパターン形成が可能である。
【0004】
このような印刷により金属銅パターンを形成する印刷インクとしては、金属銅ナノ粒子(特許文献1参照)の分散液や、金属錯体(特許文献2参照)の溶液あるいは分散液が考案されている。
しかし、銅は、室温(25℃)で酸化状態が安定であり、必ず酸化状態の銅を含むため、金属銅として導体、導熱性を発現するには酸化状態の銅を還元し、さらに金属銅の連続体とする必要がある。
【0005】
金属銅ナノ粒子を用いた銅インクでは、使用前に分散剤を含む場合に、分散剤の除去を行った上で、酸化銅を還元し金属銅粒子同士を焼結・融合して連続体にする必要がある。このような分散剤の除去及び/又は焼結手法としては、(a)RFプラズマ(特許文献3参照)やホットワイヤ法により水素を活性化して用いる、(b)水素雰囲気でのキセノンフラッシュ照射、(c)3価以上の多価アルコールと加熱する(特許文献4参照)、(d)水素ガス中での加熱、等が用いられている。
【0006】
しかし、このような印刷インクと焼結手法の組み合わせでは、低接着性及び処理印刷層の剥離、高体積抵抗率、深部性に問題があり、印刷インクを導体配線材料、熱伝達材料、熱交換材料、放熱材料に適用できなかった。
【0007】
低接着性及び処理印刷層の剥離、高体積抵抗率の原因は、印刷インク中の金属元素含有粒子を加熱して焼結したことによる、粒子間をつなぎ合わせた多孔質な焼結体にある。金属の融点よりはるかに低い温度での金属ナノ粒子の焼結では、粉体粒子の持つ大きな表面エネルギーと外部より加えられるエネルギーを駆動力として、表面積を縮小するように粒子内で金属原子が移動し、粒子間の接合・融着が進行する(非特許文献1参照)。
しかし、ある程度、粒子間の接合・融着が進行し比表面積が縮小すると、融着の進行は、減速・停止する。その結果、多孔質な焼結体となる。
【0008】
金属原子は、あくまで粉体粒子内で動き、積極的に基板表面に析出することはないため導体層と基板の間に空隙が残り接着性が得られないためである。このような課題に対し、従来は、下地樹脂にポリイミドの前駆体の上に導体インクを印刷する(特許文献5参照)、あるいは半硬化のエポキシ樹脂上に導体インクを印刷し(特許文献6参照)、下地となる樹脂に流動性を持たせて導体層に追従させ接着性を得る方法が報告されているが、下地樹脂材料や製造方法に制約が生じる。
【0009】
同様の理由により、金属の融点よりはるかに低い温度での金属ナノ粒子の焼結では、焼結の進行に伴い比表面積がある程度低下した時点で粒子間の融着は停止し、多孔質なスポンジ状の導体層になる。これにより、200℃以下の導体化処理では、体積抵抗率が、バルク銅の10倍以下にはならないなどの問題がある。
【0010】
また、水素を活性化して用いる手法では、同じ手法が、油膜の除去やフォトレジスト樹脂の除去に効果があることが報告されている(RFプラズマ及び表面波プラズマ:特許文献7参照、ホットワイヤ法原子状水素処理:非特許文献2参照)。このように、水素を活性化して用いる手法では、樹脂基板が活性化した水素によりダメージを受けることも課題である。
【0011】
一方、ギ酸ガスを用いた手法としてギ酸リフロー炉が、銅及びハンダ表面の酸化皮膜の除去に効果があることが報告されている(特許文献8参照)。ギ酸ガスを用いた手法では、処理温度が120〜250℃で、且つ基板へのダメージなく金属銅膜の生成が可能である。この手法を用いて、印刷用インクを焼結する方法が報告されている(特許文献9、10参照)。また、金属化した銅が塗布部周辺に拡散することなく、低体積抵抗率を有する焼結体を形成する方法も記載されている(特許文献10参照)。
しかし、これらギ酸ガスを用いた手法においても銅系粒子堆積層の主成分は、金属銅ナノ粒子であり、これを加熱しているため焼結体は多孔質となり、下地との密着性に問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第4155821号公報
【特許文献2】特開2004−162110号公報
【特許文献3】特開2004−119686号公報
【特許文献4】特開2007−87735号公報
【特許文献5】特開2008−200557号公報
【特許文献6】特開2010−97808号公報
【特許文献7】国際公開第2005/055305号
【特許文献8】特許第3373499号公報
【特許文献9】特開2009−252685号公報
【特許文献10】特開2010−59535号公報
【0013】
【非特許文献1】Hwang, K. S. and R. S. German;”Sintering and Heterogeneous Catalysis、” 35、 Plenum Press(1983)
【非特許文献2】A. Izumi, H. Matsumura, Jpn. J. Appl. Phys. 41, (2002) 4639−4641
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
現在、印刷形成可能で、基板密着性、低体積抵抗率、深部金属性の良好な基板ダメージのない金属銅パターンが切望されている。本発明の目的は、基板密着性に優れ、低体積抵抗率であり、基板ダメージが少なく、銅の深部まで還元することが可能な、金属銅膜の作製方法を提供することである。さらに、金属銅膜の作製方法を用い、形成した印刷金属銅パターンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するための金属銅膜の作製方法として、銅系粒子分散液及びそれを印刷した銅系粒子堆積層が酸化銅からなる粒子を含み、さらに焼結方法としては、生成するギ酸銅が昇華により塗布部周辺に拡散するより早く、ギ酸銅分子に配位しやすい官能基を有するガスを、ギ酸ガスと共存させることで、120℃以上の温度で金属銅が析出し、その際、銅系粒子堆積層外への金属銅の析出が大幅に抑えられることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
(1) 基板上に形成された、酸化銅からなる粒子を含む銅系粒子堆積層を、120℃以上において、ガス状のギ酸と、ガス状の1価のアルコール/エステル/ケトンから選択される少なくとも1種の有機溶剤との混合ガスにより処理することを特徴とする金属銅膜の作製方法。
(2) 酸化銅が、酸化第一銅及び/又は酸化第二銅であることを特徴とする(1)記載の金属銅膜の作製方法。
(3) 酸化銅からなる粒子の一次粒径が、1〜10000nmであることを特徴とする(1)又は(2)記載の金属銅膜の作製方法。
(4) 銅系粒子堆積層が、基板上に、印刷法で形成されることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の金属銅膜の作製方法。
(5) 印刷法が、インクジェット印刷、ジェットディスペンサ、ディスペンサ、ニードルディスペンサ、スクリーン印刷、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、転写印刷、ソフトリソグラフ、ディップペンリソグラフ、粒子堆積法、カンマコータ、スリットコータ、ダイコータ、グラビアコータ、スプレーコータ、スピンコータ、ディップコータ、電着塗装から選択される少なくとも一つの方法である、(4)記載の金属銅膜の作製方法。
(6) 基板が、金属、プラスティック、ガラス、セラミックス、及びこれらの複合材料から選択される少なくとも一つであることを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載の金属銅膜の作製方法。
(7) (4)〜(6)いずれかに記載の金属銅膜の作製方法で作製された、印刷金属銅パターン。
【発明の効果】
【0016】
本発明の金属銅膜の作製方法で作製された、印刷金属銅パターンでは、図1(b)に示すように、基板面付近に緻密な金属銅膜の析出が見られ、基板との接着性に優れる。本発明の金属銅膜の作製方法では、昇華性を有するギ酸第一銅を経由することから、昇華により銅原子は粒子外にも拡散でき、金属銅が析出したと考える。このことから、基板側に追随性を持たせた樹脂基板を用いることなく基板と金属銅膜の密着を得ることができる。一方、ギ酸銅分子に配位しやすい官能基を有する分子を共存させることから、銅系粒子堆積層外への金属銅の析出を大幅に抑える事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は、基板上の銅系粒子堆積層の概念図であり、(b)は、本発明のガス処理において、基板上から金属銅膜が生成することを示す概念図である。
【図2】実施例1において、銅系粒子堆積層を混合ガスで100分間処理を行って生成した金属銅膜の、走査イオン顕微鏡による断面観察像である。
【図3】実施例1において、銅系粒子堆積層を混合ガスで5分間処理を行って生成した金属銅膜の、走査イオン顕微鏡による断面観察像である。
【図4】実施例1において、銅系粒子堆積層を混合ガスで15分間処理を行って生成した金属銅膜の、走査イオン顕微鏡による断面観察像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を示す。
本発明の金属銅膜の作製方法は、基板上に形成された、酸化銅からなる粒子を含む銅系粒子堆積層を、120℃以上において、ガス状のギ酸と、ガス状の1価のアルコール/エステル/ケトンから選択される少なくとも1種の有機溶剤との混合ガスにより処理することを特徴とする。
以下、本発明の金属銅膜の作製方法、及び金属銅膜の作製方法で作製された、印刷金属銅パターンについて説明する。
【0019】
本発明の印刷金属銅パターンは、通常、従来の銅系ナノ粒子の還元・焼結では得られない、厚さ1μm以上の緻密な銅膜を有し、その結果、低抵抗、高接着性を有するが、まずその作製方法及び原理について説明する。
図1(a)に示すように、基板上に銅系粒子堆積層を有する構造体を、120℃以上に加熱した状態で、ギ酸を含むガスと接触させる。銅系粒子堆積層中の酸化銅は、ギ酸と反応し、ギ酸銅を生じる。生じたギ酸銅は、昇華しガスとして拡散するか、金属銅、水、二酸化炭素に熱分解する。この方法では、昇華したギ酸銅が、比較的長距離を移動することができ、粒子間を酸化銅由来の銅で埋めることができる。このようにして形成された銅膜は図1(b)に示すように、厚さ1μm以上の緻密な銅膜となり、バルクの金属銅に近い性質を示すことになる。
【0020】
これに対して、従来の銅系ナノ粒子の200℃以下の還元・焼結では、表面エネルギーにより高いエネルギー状態にある粒子表面の銅原子のみが融着してネッキングし、粒子間の隙間はそのまま残ることとなり、低抵抗とするには限度がある。
以下、本発明の各構成要素について説明する。
【0021】
先ず、銅系粒子堆積層について詳細に説明する。
(銅系粒子堆積層)
銅系粒子堆積層は、酸化銅からなる粒子を含有する粒子の堆積した層からなり、酸化銅は、酸化第一銅及び/又は酸化第二銅であることが好ましい。銅系粒子堆積層に含まれる酸化銅の割合は、質量比で10質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましく、70質量%以上であることが特に好ましく、80質量%以上であることが極めて好ましく、90質量%以上であることが最も好ましい。酸化銅の割合が10質量%未満であると、緻密な銅膜が形成できないため、好ましくない。
【0022】
酸化銅からなる粒子以外の粒子としては、酸化銅やギ酸銅の分解に対し触媒活性を有する金属成分、例えば銅、白金、パラジウム、ロジウム、金、銀、ニッケルなどを含んでいても良い。
また、該銅系粒子堆積層から、ギ酸を含むガス処理により生成される金属銅膜の緻密性向上や内部応力の調整、銅系粒子堆積層外への金属銅の析出抑制など様々な目的に応じて、該銅系粒子堆積層に有機系や無機系、金属塩等の添加剤を含んでいても良い。該添加剤としては、例えば、2、2’−ビピリジル、オルトフェナントリン、フェロシアン化カリウム、ベンゾチアゾール、チアゾール、ニコチン酸、ベンゾトリアゾール、ポリ硫化カリウム、8−アザグアニン、8−アザキサンチン、8−アザヒポキサンチン、アデニン、8−アザアデニン、グアニン、ヒポキサンチン、ノルボルナジエン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、シアン化ナトリウム、クプロン、硫化カリウム、硫化ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ゲルマニウム酸ナトリウム、二酸化ゲルマニウム、スズ酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、メタバナジン酸ナトリウム、五酸化バナジウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ニッケル、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、ギ酸銅、酢酸銅、ほう酸、しゅう酸カリウム、チオ尿素、アリルチオ尿素、チオリンゴ酸、チオグリコール酸、チオシアン酸、グリコール酸、炭酸ナトリウム、硝酸カリウム及び鉛塩類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
また、酸化銅からなる粒子は、一次粒径が1〜10000nmであることが好ましく、2〜5000nmであることがより好ましく、3〜3000nmであることがさらに好ましい。酸化銅からなる粒子の一次粒径が10000nmより大きいと、緻密な銅膜が形成できないため好ましくない。なお、粒子の一次粒径とは、一般的に、一次粒子の数平均粒子径である。また、数平均粒子径は、例えば、レーザー回折散乱法により求めることが可能である。
【0024】
基板上に形成する、銅系粒子堆積層の厚みは、該銅系粒子堆積層に含まれる酸化銅が還元され金属銅膜が生成するときの体積収縮を考慮し、生成する金属銅膜の厚みよりも厚く形成する必要がある。よって、銅系粒子堆積層の厚みは、0.01μm以上であることが好ましい。銅系粒子堆積層の厚みが0.01μm未満であると、生成する金属銅膜に欠損を生じる可能性があるため好ましくない。また、厚すぎると酸化銅の還元が不十分になるおそれがあるため、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、50μm以下が特に好ましい。
【0025】
続いて、銅系粒子堆積層の形成方法について詳細に説明する。
(銅系粒子堆積層の形成方法)
銅系粒子堆積層は、銅系粒子を含む分散液を調製し、該分散液を塗布液として基板上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。なお、銅系粒子を含む分散液とは、酸化銅の粒子を含む分散液のことである。
【0026】
前記分散液中の銅系粒子の濃度は、塗布あるいは印刷手法に使用できる粘度、分散性から主に制約を受け、固形分として5〜80質量%とすることが好ましく、10〜60質量%とすることがより好ましく、10〜50質量%とすることがさらに好ましい。
【0027】
分散は、超音波分散機、ビーズミルなどのメディア分散機、ホモミキサーやシルバーソン攪拌機などのキャビテーション攪拌装置、アルティマイザーなどの対向衝突法、クレアSS5などの超薄膜高速回転式分散機、自転公転式ミキサなどを用いて行うことができる。
【0028】
該分散液の分散媒としては、銅系粒子を分散可能であれば良く、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、炭酸プロピレン、シクロヘキサノン、アニソール、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの分散媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、分散液の表面張力を調整するための調整剤を含んでも良い。
【0029】
銅系粒子堆積層は、上記方法で調整した銅系粒子を含む分散液を調製し、該分散液を塗布液として基板上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
【0030】
銅系粒子堆積層のパターニングに用いる印刷法は、該銅系粒子堆積層を、基板の任意の場所に付着させられる手法であれば良く、このような手法として、インクジェット印刷、静電誘引法によるインクジェット印刷(一般にスーパーインクジェットとも呼ばれる)、ジェットディスペンサ、ディスペンサ、ニードルディスペンサ、スクリーン印刷、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、転写印刷、ソフトリソグラフ、ディップペンリソグラフ、粒子堆積法、カンマコータ、スリットコータ、ダイコータ、グラビアコータ、スプレーコータ、スピンコータ、ディップコータ、電着塗装を用いることができるが、これらに限定されない。
また、前記の印刷法により作製された、金属銅膜は、印刷金属銅パターンとして使用できる。さらに、本発明の金属銅膜の作製方法により作製された、金属銅膜は、例えば、導体配線、バンプ、熱伝導路として好適であり、さらに、放熱性が要求される、熱交換機、放熱装置等に使用可能である。
【0031】
該分散液を塗布し、銅系粒子堆積層を形成するための下地となる基板は、該銅系粒子堆積層が形成可能な基板であれば良く、このような基板として、鉄、銅、金、銀、ニッケル、コバルト、クロムなどの金属及びこれらの金属を含んだ合金、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネートエステル樹脂、繊維強化樹脂、粒子充填樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、架橋ポリビニル樹脂などのプラスティック、ガラス、セラミックス、その他の複合材料などが挙げられる。
【0032】
続いて、銅系粒子堆積層から、ギ酸を含むガス処理により作製される金属銅膜の作製方法について詳細に説明する。
(ガス処理)
本発明の金属銅膜の作製方法は、ガス状のギ酸と、ガス状の1価のアルコール/エステル/ケトンから選択される少なくとも1種の有機溶剤との混合ガスにより処理することを特徴とする。該有機溶剤は、ギ酸銅に配位するための極性があり、且つ有機溶剤の蒸気圧は、ギ酸と同等もしくはギ酸より高いものが好ましい。例えば、1価のアルコールでは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エステルでは、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、ケトンでは、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられるが、これらに限定されない。また、混合ガス中の有機溶剤のガスの割合は、1〜90体積%であることが好ましく、2〜80体積%であることがより好ましく、3〜70体積%であることがさらに好ましい。
【0033】
混合ガスの作製方法は、(1)液状のギ酸と液状の有機溶剤を混合して混合液体とし、加熱、あるいは減圧してガス状にして、被処理物(銅系粒子堆積層、以下同様。)に導く。または、ギ酸及び有機溶剤と反応しないガスをキャリアーとして、該混合液体をバブリングしてキャリアーガスと共に混合ガスを被処理物に導く。(2)液状のギ酸と液状の有機溶剤を別々に加熱、あるいは減圧してガス状にして、ガス流路内で混合して混合ガスとし、被処理物に導く。または、ギ酸及び有機溶剤と反応しないガスをキャリアーとして、それぞれの液体をバブリングしてキャリアーガスと共に流路内で混合して混合ガスとし、被処理物に導く等の方法が、挙げられるが、これらに限定されない。
なお、前記(1)の方法の場合、液状のギ酸と液状の有機溶剤の混合割合は、質量比で、ギ酸:有機溶剤=1〜9:9〜1が好ましく、5〜9:5〜1がより好ましい。
【0034】
該キャリアーガスは、ギ酸及び有機溶剤と反応しないガスであり、且つ銅系粒子分散液及び/又は銅系粒子堆積層に含まれる酸化銅、分散媒、表面調整剤、添加剤及び生成する金属銅と反応しないガスであることが好ましい。例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの希ガス、窒素、二酸化炭素などが挙げられる。
【0035】
液状のギ酸が被処理物に付着すると、被処理物の温度は、ギ酸の沸点である100℃まで下がり、還元が進行せず、酸化銅の一部はギ酸に溶け出し、堆積層の流失や塗布部位外への銅の析出が起こるなど問題が生じるため、液状のギ酸が被処理物に付かないようにすることが好ましい。
【0036】
(ガス処理の前処理)
ガス処理の前処理として、印刷形成した銅系粒子堆積層に残存する分散媒を除去することが望ましい。除去方法としては、加熱除去、減圧除去などが挙げられるが、120℃以上に加熱した被処理物に該キャリアーガスを通じて除去する方法が好ましい。
【0037】
(処理条件)
混合ガスによる処理温度は、金属銅が析出する温度である120℃以上であり、反応速度の点から140℃以上が好ましい。処理温度の上限は、基板の耐熱温度により規定されるが、250℃以下であることが好ましい。また、処理圧力は、特に制約なく、大気圧、減圧、加圧いずれの条件でも良い。また、混合ガスによる処理時間は、通常、5〜180分間であり、10〜120分間が好ましい。
【0038】
(ガス処理の後処理)
処理に用いたガスが金属銅表面に残存すると金属銅の腐食の原因となる可能性が高いことから、ガス処理後にギ酸の除去工程を設けても良い。ギ酸ガスを含む混合ガスの除去方法としては、窒素などの無酸素ガス気流下での加熱、減圧下での加熱、あるいは水洗を用いることができる。無酸素ガス気流下での加熱としては、ギ酸ガス処理槽内でギ酸ガスを含まない無酸素ガスを供給しての加熱、無酸素ガスオーブン、無酸素ガス気流での熱源による加熱を用いることができる。減圧下での加熱としては、減圧槽内でガス処理した場合にはギ酸ガスの供給を停止しての減圧加熱、減圧オーブンを用いることができる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるもので
はない。
【0040】
(実施例1)
(銅系粒子分散液の調製)
銅系粒子分散液は、酸化銅ナノ粒子(数平均一次粒径70nm、シーアイ化成株式会社製)40gをポリ瓶に秤量し、固形分40質量%になるようγ−ブチロラクトン(和光純薬工業株式会社製)を加え、密栓後振り混ぜた後、超音波ホモジナイザー(US−600TCVP、株式会社日本精機製作所製)により19.5kHz、600Wで5分処理して調製した。
【0041】
(銅系粒子堆積層サンプルの作製)
厚さ1mmのスライドガラスに該銅系粒子分散液を滴下し、ギャップ50μmに調整したベーカーアプリケータ(YBA型、ヨシミツ精機株式会社製)により塗布した。その後、60℃に加熱したホットプレート上に置き30分間乾燥し、厚さ15μmの銅系粒子堆積層サンプルを得た。
【0042】
(混合ガス処理)
洗気瓶にギ酸(和光純薬工業株式会社製)及びメタノール(和光純薬工業株式会社製)を質量比7:3で入れ、窒素をバブリングして混合ガスの発生装置とした。銅系粒子堆積層サンプルは、オイルバスで加熱した平底のセパラブルフラスコの底に銅板を敷いた上にセットした。この表面にクロメルアルメル熱電対をセットしサンプル温度を測定した。このサンプルをセットしたセパラブルフラスコに窒素を流しながら240℃のオイルバスで加熱しサンプルの温度が一定(180℃)になった後、混合ガスの発生装置で発生させたギ酸・メタノール混合ガスを含む窒素ガスをこのセパラブルフラスコに通じ、100分間ガス処理した。その際、黒色であった銅系粒子堆積層は、混合ガス導入後60分で全体が銅色に変化するのが認められた。処理後、混合ガスの発生装置をはずし、窒素を流しながらセパラブルフラスコを放冷し、サンプルが60℃以下になった後、サンプルを空気中に取り出した。表1に外観及び銅系粒子堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
なお、外観観察は、目視により行い、また、銅系粒子堆積層外への金属銅の析出の有無は、光学顕微鏡を用い確認した。銅系粒子堆積層外(塗布部周辺)への金属銅の析出量(拡散量)が、5μm未満の場合を無し、5〜50μmの場合を少量、50μm超の場合を多量とした。以下、同様である。
【0043】
(実施例2)
混合ガス処理におけるメタノールをエタノール(和光純薬工業株式会社製)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件で混合ガス処理を行った。表1に外観及び銅系粒子堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0044】
(実施例3)
混合ガス処理におけるメタノールを2−プロパノール(和光純薬工業株式会社製)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件で混合ガス処理を行った。表1に外観及び銅系粒子堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0045】
(実施例4)
混合ガス処理におけるメタノールをギ酸メチル(和光純薬工業株式会社製)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件で混合ガス処理を行った。表1に外観及び銅系粒子堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0046】
(実施例5)
混合ガス処理におけるメタノールをギ酸エチル(和光純薬工業株式会社製)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件で混合ガス処理を行った。表1に外観及び銅系粒子堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0047】
(実施例6)
混合ガス処理におけるメタノールをアセトン(和光純薬工業株式会社製)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件で混合ガス処理を行った。表1に外観及び銅系粒子堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0048】
(実施例7)
銅系粒子堆積層サンプル作製でのスライドガラスを、ポリイミド樹脂(ユーピレックスS50、宇部興産株式会社製商品名、フィルム状厚さ50μm)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件で混合ガス処理を行った。表1に外観及び銅系粒子堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0049】
(比較例1)
混合ガス処理において、混合ガスを、メタノールを含まないギ酸ガスとした以外は、実施例1と同様の条件で混合ガス処理を行った。表1に外観及び銅系粒子堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0050】
(比較例2)
混合ガス処理において、メタノールを水に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件で混合ガス処理を行った。表1に外観及び銅系粒子堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0051】
(比較例3)
混合ガス処理において、メタノールをエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件で混合ガス処理を行った。表1に外観及び銅系粒子堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0052】
【表1】

【0053】
実施例1〜7では、銅系粒子堆積層外への金属銅の析出がなし、もしくは少量であった。一方、特定の有機溶剤を使用しない、比較例1〜3では、銅系粒子堆積層外への金属銅の析出が多量であった。
【0054】
実施例1において作製した金属銅膜の断面SIM(走査イオン顕微鏡)観察像を図2に示した。また実施例1において、ガス処理時間を5分又は15分に短縮して作製した金属銅膜の断面SIM観察像を、図3(5分間)及び図4(15分間)にそれぞれ示した。図2から、金属銅の結晶が約1μm生成していたことがわかる。また図3及び図4から、スライドガラス上に金属銅の核が発生しており、時間の増加と共に金属銅が成長していたことがわかる。
【0055】
(参考例1)
(ギ酸銅(II)を堆積層に用いた検証実験)
洗気瓶にメタノール(和光純薬工業株式会社製)を入れ、窒素をバブリングしてメタノールガスの発生装置とした。ギ酸銅(II)四水和物(和光純薬工業株式会社製)の粉末をスライドガラス上に設置したものを堆積層サンプルとし、オイルバスで加熱した平底のセパラブルフラスコの底に銅板を敷いた上にセットした。この表面にクロメルアルメル熱電対をセットしサンプル温度を測定した。このサンプルをセットしたセパラブルフラスコに窒素を流しながら180℃のオイルバスで加熱しサンプルの温度が一定(145℃)になった後、ガスの発生装置で発生させたメタノールガスを含む窒素ガスをこのセパラブルフラスコに通じ、10分間ガス処理した。その際、深緑色であったギ酸銅(II)四水和物は、メタノールガス導入後60分で全体が銅色に変化するのが認められた。処理後、メタノールガスの発生装置をはずし、窒素を流しながらセパラブルフラスコを放冷し、サンプルが60℃以下になった後、サンプルを空気中に取り出した。表2に外観及び堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0056】
(参考例2)
参考例1のメタノールをエタノール(和光純薬工業株式会社製)に置き換えた以外は、参考例1と同様の条件でガス処理を行った。表2に外観及び堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0057】
(参考例3)
参考例1のメタノールを2−プロパノール(和光純薬工業株式会社製)に置き換えた以外は、参考例1と同様の条件でガス処理を行った。表2に外観及び堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0058】
(参考例4)
参考例1のメタノールをギ酸メチル(和光純薬工業株式会社製)に置き換えた以外は、参考例1と同様の条件でガス処理を行った。表2に外観及び堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0059】
(参考例5)
参考例1のメタノールをギ酸エチル(和光純薬工業株式会社製)に置き換えた以外は、参考例1と同様の条件でガス処理を行った。表2に外観及び堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0060】
(参考例6)
参考例1のメタノールをアセトン(和光純薬工業株式会社製)に置き換えた以外は、参考例1と同様の条件でガス処理を行った。表2に外観及び堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0061】
(参考例7)
参考例1のメタノールを使用せず、窒素ガスのみ通じた以外は、参考例1と同様の条件でガス処理を行った。表2に外観及び堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0062】
(参考例8)
参考例1のメタノールを水に置き換えた以外は、参考例1と同様の条件でガス処理を行った。表2に外観及び堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0063】
(参考例9)
参考例1のメタノールをエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製)に置き換えた以外は、参考例1と同様の条件でガス処理を行った。表2に外観及び堆積層外への金属銅の析出の有無を示した。
【0064】
【表2】

【0065】
参考例1〜6では、堆積層外への金属銅の析出がなかった。一方、特定の有機溶剤を使用しない、参考例7〜9では、堆積層外への金属銅の析出が多量であった。
有機溶剤は、ギ酸銅に配位するための極性があり、ギ酸銅分子に配位しやすい官能基を有する、特定の有機溶剤ガスを、ギ酸銅に配位させることで、120℃以上の温度で金属銅が析出し、その際、銅系粒子堆積層外への金属銅の析出が大幅に抑えられることがわかる。よって、ギ酸ガスにより、酸化銅をギ酸銅とし、さらに、特定の有機溶剤ガスを、併用する方法が、有効であることがわかる。
【0066】
以上説明したとおり、本発明では、銅系粒子堆積層には酸化銅からなる粒子を含み、還元手法にはガス状のギ酸と、ガス状の1価のアルコール/エステル/ケトンから選択される少なくとも1種の有機溶剤との混合ガスを用いることにより、従来の銅系ナノ粒子の還元・焼結では得られない、厚さ1μm以上の緻密な金属銅膜が得られた。さらに、銅系粒子堆積層外への金属銅の析出を大幅に抑えることができる。
【符号の説明】
【0067】
01:基板、11:銅系粒子堆積層、12:金属銅膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された、酸化銅からなる粒子を含む銅系粒子堆積層を、120℃以上において、ガス状のギ酸と、ガス状の1価のアルコール/エステル/ケトンから選択される少なくとも1種の有機溶剤との混合ガスにより処理することを特徴とする金属銅膜の作製方法。
【請求項2】
酸化銅が、酸化第一銅及び/又は酸化第二銅であることを特徴とする請求項1記載の金属銅膜の作製方法。
【請求項3】
酸化銅からなる粒子の一次粒径が、1〜10000nmであることを特徴とする請求項1又は2記載の金属銅膜の作製方法。
【請求項4】
銅系粒子堆積層が、基板上に、印刷法で形成されることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の金属銅膜の作製方法。
【請求項5】
印刷法が、インクジェット印刷、ジェットディスペンサ、ディスペンサ、ニードルディスペンサ、スクリーン印刷、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、転写印刷、ソフトリソグラフ、ディップペンリソグラフ、粒子堆積法、カンマコータ、スリットコータ、ダイコータ、グラビアコータ、スプレーコータ、スピンコータ、ディップコータ、電着塗装から選択される少なくとも一つの方法である、請求項4記載の金属銅膜の作製方法。
【請求項6】
基板が、金属、プラスティック、ガラス、セラミックス、及びこれらの複合材料から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の金属銅膜の作製方法。
【請求項7】
請求項4〜6いずれかに記載の金属銅膜の作製方法で作製された、印刷金属銅パターン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−144755(P2012−144755A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1930(P2011−1930)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】