説明

金属錯体による二酸化炭素からのシュウ酸の合成方法

【課題】二酸化炭素から高収率でシュウ酸を合成できる方法を提供する。
【解決手段】(A)金属原子と、1価の含窒素芳香族複素環基を3つ含む含窒素化合物と、式(1):
【化1】


(式中、Rは置換基を有してもよい炭素原子数1〜12個のヒドロカルビル基を表す。)
で表されるαケト酸とを含む金属錯体を、酸素の存在下で、二酸化炭素と反応させてシュウ酸含有錯体を生成させ、
(B)前記シュウ酸含有錯体を処理してシュウ酸を分離する、
ことを含むシュウ酸の合成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素存在下、二酸化炭素からシュウ酸を効率的に合成するシュウ酸の合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素存在下、金属錯体を用いた二酸化炭素からシュウ酸を合成する方法としては、2核銅HL錯体を用いた反応が知られている(非特許文献1)(ここで、HLは、[N−(2−メルカプトプロピル)−N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミン]を示す。)。しかし、この2核銅HL錯体を用いたシュウ酸の合成方法は、シュウ酸の収率が低く満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Science、2010、327、313
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は二酸化炭素から高収率でシュウ酸を合成できる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の三座含窒素配位子、αケト酸及び金属化合物から調製した金属錯体を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し本発明に至った。
【0006】
即ち、本発明は、
(A)金属原子と、1価の含窒素芳香族複素環基を3つ含む含窒素化合物と、式(1):
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Rは置換基を有してもよい炭素原子数1〜12個のヒドロカルビル基を表す。)
で表されるαケト酸とを含む金属錯体を、酸素の存在下で、二酸化炭素と反応させてシュウ酸含有錯体を生成させ、
(B)該シュウ酸含有錯体を処理してシュウ酸を分離する、
ことを含むシュウ酸の合成方法を提供する。
【0009】
本発明の様々な実施形態は後で詳述するが、代表的な実施形態は次の通りである。
・前記の1価の含窒素芳香族複素環基を3つ含窒素化合物は、式(2):
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、AはB、B−R、C−R、Si−R、P(III)もしくはP=Oを表し、Rは水素原子、1価の含窒素芳香族複素環基又は置換基を有してもよい炭素原子数1〜12個のヒドロカルビル基を表す。Ar、Ar及びArは相互に独立に置換基を有してもよい1価の含窒素芳香族複素環基を表す。)
で表される含窒素化合物であることが好ましい。
【0012】
・前記の合成反応に使用される金属錯体の金属原子は、好ましくは、銅、白金、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、タングステン、レニウム、バナジウム、パラジウム、イリジウム及び亜鉛からなる群から選ばれる元素の原子であり、該原子はカチオン状態であってもよい。
【0013】
・前記の合成反応に使用される金属錯体は、式(3):
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、Mは金属原子を表し、A、Ar、Ar、Ar及びRは前記と同じであり、a及びbは独立に1〜3の整数を表す。)
で表される金属錯体であることが好ましく、中でも、式(4):
【0016】
【化4】

【0017】
(式中、Ar、Ar、Ar及びRは前記と同じである。)
で表される金属錯体であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、染料、漂白剤、医薬などにそれ自体として又は原料として利用できるシュウ酸を空気中の二酸化炭素から高収率で合成できる。二酸化炭素は地球温暖化ガスとして知られているが、これを有用物質へ変換できるため、合成的に優れているだけでなく、地球温暖化の抑制に有用で環境保全に貢献しうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】調製例2で得られたヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅(II)錯体の構造を示す3次元図。
【図2】実施例1で得られたオキサラート銅(II)錯体の構造を示す3次元図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0021】
<用語の説明>
本願において、「置換基を有していてもよい」とは、その対象である化合物又は基の骨格を構成する原子に結合した水素原子が無置換の場合及び該水素原子の一部又は全部が別の基又は原子(本願では「置換基」と総称する)によって置換されている場合の双方を含むことを意味する。水素原子が置換基によって置換されている場合の置換基としては、特記しない限り、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜30のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜30のヒドロカルビルオキシ基、炭素原子数1〜7のヒドロカルビルスルホニル基が挙げられ、これらの中でも、好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜18のヒドロカルビルオキシ基であり、より好ましくは炭素原子数1〜12のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜12のヒドロカルビルオキシ基であり、更に好ましくは炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜6のヒドロカルビルオキシ基である。ヒドロカルビル基及びヒドロカルビルオキシ基等の置換基はそれぞれ、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよい。
【0022】
置換基であるハロゲン原子としては、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子であり、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子である。
【0023】
置換基であるヒドロカルビル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。このヒドロカルビル基としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ノルボルニル基、ベンジル基、α,α―ジメチルベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、オレイル基、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基、2−フェニル−2−プロペニル基、フェニル基、2−トリル基、4−トリル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、ターフェニリル基、3,5−ジフェニルフェニル基、3,4−ジフェニルフェニル基、ペンタフェニルフェニル基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル基、4−(1,2,2−トリフェニルビニル)フェニル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基、2−アントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、コロニル基が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ベンジル基、α,α―ジメチルベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、オレイル基、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基、2−フェニル−2−プロペニル基、フェニル基、2−トリル基、4−トリル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、ターフェニリル基、3,5−ジフェニルフェニル基、3,4−ジフェニルフェニル基、ペンタフェニルフェニル基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル基、4−(1,2,2−トリフェニルビニル)フェニル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基、2−アントリル基、9−フェナントリル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ベンジル基、フェニル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基である。
【0024】
置換基であるヒドロカルビルオキシ基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。このヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−プロポキシ基、2−プロポキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基、2−アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジロキシ基、α,α−ジメチルベンジロキシ基、2−フェネチルオキシ基、1−フェネチルオキシ基、フェノキシ基、アルコキシフェノキシ基、アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基が挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、1−プロポキシ基、2−プロポキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基であり、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、1−プロポキシ基、2−プロポキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基である。
【0025】
本発明の合成方法は、工程(A)及び工程(B)を有する。以下、工程を追って説明する。
【0026】
−工程(A)−
該工程では、金属原子と、1価の含窒素芳香族複素環基を3つ含む含窒素化合物と、式(1):
【0027】
【化5】

【0028】
(式中、Rは置換基を有してもよい炭素原子数1〜12個のヒドロカルビル基を表す。)
で表されるαケト酸を含む金属錯体を、酸素の存在下で、二酸化炭素と反応させてシュウ酸含有錯体を生成させる。
【0029】
[金属錯体]
前記工程(A)で用いられる金属錯体は、錯体に中心金属をもたらす金属化合物と、前記含窒素化合物と、前記αケト酸とから調製することができる。
【0030】
<αケト酸>
αケト酸は式(1):
【0031】
【化6】

【0032】
(式中、Rは置換基を有してもよい炭素原子数1〜12個のヒドロカルビル基を表す。)
で示される。
に示される炭素原子数1〜12の、好ましくは炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロペニル基、2−メチルプロペニル基、ブテニル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ベンジル基、フェネチル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、1−ナフチル基、3,5−ジメチルフェニル基、ベンジル基であり、より好ましくは、2−プロピル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、フェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、ベンジル基であり、さらに好ましくは2−プロピル基、tert−ブチル基、ベンジル基である。
【0033】
前記式(1)で表されるαケト酸としては、例えば、2−オキソプロパン酸、3−フェニル−2−オキソプロパン酸、2−オキソブタン酸、3−メチル−2−オキソブタン酸、3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸、2−オキソペンタン酸、3−メチル−2−オキソペンタン酸、4−メチル−2−オキソペンタン酸、2−オキソヘキサン酸、3−メチル−2−オキソへキサン酸、4−メチル−2−オキソへキサン酸、5−メチル−2−オキソへキサン酸、2−オキソヘプタン酸、2−オキソオクタン酸、2−オキソデカン酸、2−オキソドデカン酸、2−オキソテトラデカン酸、α−オキソシクロプロピル酢酸、α−オキソシクロペンチル酢酸、α−オキソシクロヘキシル酢酸、2−オキソ−3−ブテン酸、2−オキソ−4−ブテン酸、2−オキソ−4−メチル−3−ペンテン酸、α−オキソフェニル酢酸、α−オキソナフチル酢酸、α−オキソ−4−メチルフェニル酢酸、α−オキソ−(3,5−ジメチルフェニル)酢酸、α−オキソ−(2,4,6−トリメチルフェニル)酢酸などが挙げられ、好ましくは、2−オキソプロパン酸、3−フェニル−2−オキソプロパン酸、2−オキソブタン酸、3−メチル−2−オキソブタン酸、3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸、2−オキソペンタン酸、3−メチル−2−オキソペンタン酸、4−メチル−2−オキソペンタン酸、2−オキソヘキサン酸、3−メチル−2−オキソへキサン酸、4−メチル−2−オキソへキサン酸、5−メチル−2−オキソへキサン酸、2−オキソヘプタン酸、2−オキソオクタン酸、α−オキソシクロヘキシル酢酸、α−オキソフェニル酢酸、α−オキソナフチル酢酸、α−オキソ−(3,5−ジメチルフェニル)酢酸であり、より好ましくは、3−フェニル−2−オキソプロパン酸、3−メチル−2−オキソブタン酸、3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸、3−メチル−2−オキソペンタン酸、4−メチル−2−オキソペンタン酸、3−メチル−2−オキソへキサン酸、4−メチル−2−オキソへキサン酸、5−メチル−2−オキソへキサン酸、α−オキソフェニル酢酸、α−オキソ−3,5−ジメチルフェニル酢酸であり、さらに好ましくは3−フェニル−2−オキソプロパン酸、3−メチル−2−オキソブタン酸、3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸である。
【0034】
<含窒素化合物>
該含窒素化合物は本発明の金属錯体において配位子として存在し、式(2):
【0035】
【化7】

【0036】
(式中、AはB、B−R、C−R、Si−R、P(III)もしくはP=Oを表し、Rは水素原子、1価の含窒素芳香族複素環基又は置換基を有してもよい炭素原子数1〜12個のヒドロカルビル基を表す。Ar、Ar及びArは相互に独立に1価の含窒素芳香族複素環基を表す。)
で示される。
【0037】
前記式(2)において、AはB(ホウ素原子)、B−R(ホウ素アニオン)、C−R、Si−R、P(III)もしくはP=Oを表し、好ましくは、B、B−R、Si−RもしくはP=Oであり、より好ましくはB−Rである。ここで、Rは水素原子、1価の含窒素芳香族複素環基又は置換基を有してもよい炭素原子数1〜12個のヒドロカルビル基を表す。
【0038】
ここで、前記Rで表される1価の含窒素芳香族複素環基としては、例えばピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、テトラゾール等の五員環化合物の環上の水素原子を1個取り除いた残りの原子団、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の六員環化合物の環上の水素原子を1個取り除いた残りの原子団、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、プリン、プテリジン、アデニン等の炭素原子数1〜20の縮合環化合物の環上の水素原子を1個取り除いた残りの原子団が挙げられ、好ましくはオキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、テトラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、プリン、プテリジン、アデニンの環上の水素原子を1個取り除いた残りの原子団であり、より好ましくは、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、テトラゾール、ピリダジン、シンノリンの環上の水素原子を1個取り除いた残りの原子団であり、更に好ましくは、イソチアゾール、ピラゾール、ピリダジンの環上の水素原子を1個取り除いた残りの原子団である。
【0039】
また、前記Rで表される置換基を有してもよい炭素原子数1〜12個のヒドロカルビル基としては、置換基を有してもよい炭素原子数1〜12個のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数3〜12個のシクロアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜12個のアリール基、及び置換基を有してもよい炭素原子数7〜12のアラルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ベンジル基、フェネチル基が挙げられ、好ましくは2−プロピル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、1−ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基であり、より好ましくは、2−プロピル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基であり、更に好ましくは2−プロピル基、tert−ブチル基、ベンジル基である。
【0040】
前記式(2)で示される含窒素化合物において、Ar、Ar及びArで示される1価の含窒素芳香族複素環基は含窒素芳香族複素環式化合物の環上の水素原子を1つ除いた残りの原子団である。該含窒素芳香族複素環式化合物としては、例えば、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、テトラゾール等の五員環化合物、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の六員環化合物、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、プリン、プテリジン、アデニン等の炭素原子数1〜20の縮合環化合物が挙げられ、好ましくは、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、テトラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、プリン、プテリジン、アデニンであり、より好ましくは、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、テトラゾール、ピリダジン、シンノリンであり、更に好ましくは、イソチアゾール、ピラゾール、ピリダジンである。
【0041】
前記式(2)で表される含窒素化合物としては、例えばヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジエチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジ−sec−ブチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジシクロプロピルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジシクロヘキシルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジプロペニルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジブテニルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジフェニルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジフルオロピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジクロロピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジブロモピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジメトキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジエトキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジプロポキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロプロポキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジイソブトキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブトキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジ−sec−ブトキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジフェノキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジメタンスルホニルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジフェニルスルホニルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジシアノピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(イソチアゾイル)ボレート、ヒドロトリス(ピリダゾジル)ボレート等の含窒素ヒドロボレート化合物;
【0042】
トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−エチルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジ−sec−ブチルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジシクロプロピルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジシクロヘキシルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジプロペニルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジブテニルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジフェニルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジクロロピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジブロモピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジメトキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジエトキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジプロポキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジイソプロプロポキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジイソブトキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジ−tert−ブトキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジ−sec−ブトキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジフェノキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジメタンスルホニルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジフェニルスルホニルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジシアノピラゾリル)ボラン、トリス(イソチアゾイル)ボラン、トリス(ピリダゾジル)ボラン等の含窒素ホウ素化合物;
【0043】
トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)メタン、トリス(3,5−エチルピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジ−sec−ブチルピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジシクロプロピルピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジシクロヘキシルピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジプロペニルピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジブテニルピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジフェニルピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジフルオロピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジクロロピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジブロモピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジメトキシピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジエトキシピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジプロポキシピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジイソプロプロポキシピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジイソブトキシピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジ−tert−ブトキシピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジ−sec−ブトキシピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジフェノキシピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジメタンスルホニルピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジフェニルスルホニルピラゾリル)メタン、トリス(3,5−ジシアノピラゾリル)メタン、テトラ(イソチアゾイル)メタン、トリス(ピリダゾジル)メタン、1、1、1−トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)エタン、1、1、1−トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)プロパン、1、1、1−トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ブタン、1、1、1−トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)−2−メチル−ブタン、1、1、1−トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)−3−メチルブタン、1、1、1−トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)−3、3−ジメチルブタン、1、1、1−トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ヘプタン、1、1、1−トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)へキサン、1、1、1−トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)プロペン、1、1、1−トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ブテン、1、1、1−トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)−2−フェニルエタン、1、1、1−トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)−2−ナフチルエタン等の含窒素炭化水素化合物;
【0044】
トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−エチルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジーtert−ブチルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジーsec−ブチルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジシクロプロピルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジシクロヘキシルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジプロペニルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジブテニルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジフェニルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジフルオロピラゾリル)ヒドロシラン、テトラ(3,5−ジクロロピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジブロモピラゾリル)ヒドロシラン、テトラ(3,5−ジメトキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジエトキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジプロポキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジイソプロプロポキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジイソブトキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジーtert−ブトキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジーsec−ブトキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジフェノキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジメタンスルホニルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジフェニルスルホニルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジシアノピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(イソチアゾイル)ヒドロシラン、トリス(ピリダゾジル)ヒドロシラン、テトラ(3,5−ジメチルピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−エチルピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジプロピルピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジイソブチルピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジ−sec−ブチルピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジシクロプロピルピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジシクロヘキシルピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジプロペニルピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジブテニルピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジフェニルピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジフルオロピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジクロロピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジブロモピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジメトキシピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジエトキシピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジプロポキシピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジイソプロプロポキシピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジイソブトキシピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジ−tert−ブトキシピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジ−sec−ブトキシピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジフェノキシピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジメタンスルホニルピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジフェニルスルホニルピラゾリル)シラン、テトラ(3,5−ジシアノピラゾリル)シラン、テトラ(イソチアゾイル)シラン、テトラ(ピリダゾジル)シラン等の含窒素ケイ素化合物;
【0045】
トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−エチルピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジ−sec−ブチルピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジシクロプロピルピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジシクロヘキシルピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジプロペニルピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジブテニルピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジフェニルピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジフルオロピラゾリル)ホスフィン、テトラ(3,5−ジクロロピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジブロモピラゾリル)ホスフィン、テトラ(3,5−ジメトキシピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジエトキシピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジプロポキシピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジイソプロプロポキシピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジイソブトキシピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジ−tert−ブトキシピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジ−sec−ブトキシピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジフェノキシピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジメタンスルホニルピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジフェニルスルホニルピラゾリル)ホスフィン、トリス(3,5−ジシアノピラゾリル)ホスフィン、トリス(イソチアゾイル)ホスフィン、トリス(ピリダゾジル)ホスフィン等の含窒素ホスフィン化合物;
【0046】
トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−エチルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジ−sec−ブチルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジシクロプロピルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジシクロヘキシルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジプロペニルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジブテニルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジフェニルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジフルオロピラゾリル)ホスフィンオキシド、テトラ(3,5−ジクロロピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジブロモピラゾリル)ホスフィンオキシド、テトラ(3,5−ジメトキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジエトキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジプロポキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジイソプロプロポキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジイソブトキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジ−tert−ブトキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジ−sec−ブトキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジフェノキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジメタンスルホニルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジフェニルスルホニルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジシアノピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(イソチアゾイル)ホスフィンオキシド、トリス(ピリダゾジル)ホスフィンオキシド等の含窒素オキシリン化合物
などが挙げられる。
【0047】
前記式(2)で表される含窒素化合物として、好ましくは、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジエチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジ−sec−ブチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジシクロプロピルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジシクロヘキシルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジプロペニルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジブテニルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジフェニルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジフルオロピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジクロロピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジブロモピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジメトキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジエトキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジプロポキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロプロポキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジイソブトキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブトキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジ−sec−ブトキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジフェノキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジメタンスルホニルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジフェニルスルホニルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジシアノピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(イソチアゾイル)ボレート、ヒドロトリス(ピリダゾジル)ボレート等の含窒素ヒドロボレート化合物;
【0048】
トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−エチルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジ−sec−ブチルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジシクロプロピルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジシクロヘキシルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジプロペニルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジブテニルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジフェニルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジクロロピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジブロモピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジメトキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジエトキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジプロポキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジイソプロプロポキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジイソブトキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジ−tert−ブトキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジ−sec−ブトキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジフェノキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジメタンスルホニルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジフェニルスルホニルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジシアノピラゾリル)ボラン、トリス(イソチアゾイル)ボラン、トリス(ピリダゾジル)ボラン等の含窒素ホウ素化合物;
【0049】
トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−エチルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジ−sec−ブチルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジシクロプロピルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジシクロヘキシルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジプロペニルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジブテニルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジフェニルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジフルオロピラゾリル)ヒドロシラン、テトラ(3,5−ジクロロピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジブロモピラゾリル)ヒドロシラン、テトラ(3,5−ジメトキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジエトキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジプロポキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジイソプロプロポキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジイソブトキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジ−tert−ブトキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジ−sec−ブトキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジフェノキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジメタンスルホニルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジフェニルスルホニルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジシアノピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(イソチアゾイル)ヒドロシラン、トリス(ピリダゾジル)ヒドロシラン等の含窒素シラン素化合物;
【0050】
トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−エチルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジ−sec−ブチルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジシクロプロピルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジシクロヘキシルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジプロペニルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジブテニルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジフェニルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジフルオロピラゾリル)ホスフィンオキシド、テトラ(3,5−ジクロロピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジブロモピラゾリル)ホスフィンオキシド、テトラ(3,5−ジメトキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジエトキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジプロポキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジイソプロプロポキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジイソブトキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジ−tert−ブトキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジ−sec−ブトキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジフェノキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジメタンスルホニルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジフェニルスルホニルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジシアノピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(イソチアゾイル)ホスフィンオキシド、トリス(ピリダゾジル)ホスフィンオキシド等の含窒素リン化合物が挙げられる。
【0051】
前記式(2)で表される含窒素化合物として、より好ましくは、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジエチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジ−sec−ブチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジシクロプロピルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジシクロヘキシルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジプロペニルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジブテニルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジフェニルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジフルオロピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジクロロピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジブロモピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジメトキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジエトキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジプロポキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロプロポキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジイソブトキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジーtert−ブトキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジ−sec−ブトキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジフェノキシピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジメタンスルホニルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジフェニルスルホニルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジシアノピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(イソチアゾイル)ボレート、ヒドロトリス(ピリダゾジル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−エチルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジ−sec−ブチルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジシクロプロピルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジシクロヘキシルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジプロペニルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジブテニルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジフェニルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジクロロピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジブロモピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジメトキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジエトキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジプロポキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジイソプロプロポキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジイソブトキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジ−tert−ブトキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジ−sec−ブトキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジフェノキシピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジメタンスルホニルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジフェニルスルホニルピラゾリル)ボラン、トリス(3,5−ジシアノピラゾリル)ボラン、トリス(イソチアゾイル)ボラン、トリス(ピリダゾジル)ボラン、
【0052】
トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−エチルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジ−sec−ブチルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジシクロプロピルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジシクロヘキシルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジプロペニルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジブテニルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジフェニルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジフルオロピラゾリル)ヒドロシラン、テトラ(3,5−ジクロロピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジブロモピラゾリル)ヒドロシラン、テトラ(3,5−ジメトキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジエトキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジプロポキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジイソプロプロポキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジイソブトキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジ−tert−ブトキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジ−sec−ブトキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジフェノキシピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジメタンスルホニルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジフェニルスルホニルピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(3,5−ジシアノピラゾリル)ヒドロシラン、トリス(イソチアゾイル)ヒドロシラン、トリス(ピリダゾジル)ヒドロシラン、
トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−エチルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジ−sec−ブチルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジシクロプロピルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジシクロヘキシルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジプロペニルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジブテニルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジフェニルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジフルオロピラゾリル)ホスフィンオキシド、テトラ(3,5−ジクロロピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジブロモピラゾリル)ホスフィンオキシド、テトラ(3,5−ジメトキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジエトキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジプロポキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジイソプロプロポキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジイソブトキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジ−tert−ブトキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジ−sec−ブトキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジフェノキシピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジメタンスルホニルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジフェニルスルホニルピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(3,5−ジシアノピラゾリル)ホスフィンオキシド、トリス(イソチアゾイル)ホスフィンオキシド、トリス(ピリダゾジル)ホスフィンオキシドが挙げられる。
【0053】
前記式(2)で表される含窒素化合物として、さらに好ましくは、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジイソブチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジ−sec−ブチルピラゾリル)ボレート、及びヒドロトリス(3,5−ジフェニルピラゾリル)ボレートが挙げられる。
【0054】
<錯体に中心金属をもたらす金属化合物>
本発明のシュウ酸の合成方法に用いられる金属錯体の調製に使用される金属化合物は、金属原子と対イオンからなり、金属原子としては、例えば、銅、白金、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、タングステン、レニウム、バナジウム、パラジウム、イリジウム、亜鉛が挙げられ、好ましくは、銅、白金、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、タングステン、イリジウム、亜鉛であり、より好ましくは、銅、鉄、亜鉛である。
【0055】
前記金属化合物の対イオンとしては、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられ、好ましくは、塩化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオンであり、より好ましくは、塩化物イオン、過塩素酸イオンである。
【0056】
前記金属化合物としては、例えば、CuCl、CuCl、PtCl、FeCl、FeCl、CoCl、CoCl、NiCl、RuCl、WCl、ReCl、VCl、VCl、PdCl、IrCl、ZnCl、CuBr、CuBr、PtBr、FeBr、FeBr、CoBr、CoBr、NiBr、RuBr、WBr、ReBr、VBr、VBr、PdBr、IrBr、ZnBr、Cu(ClO、Fe(ClO、Cu(BF)、Fe(BF)、Zn(BF)、Cu(BPh)、Fe(BPh)、Zn(BPh)Cu(SOCF)、Fe(SOCF)、Zn(SOCF)、Cu(PF)、Fe(PF)、Zn(PF)が挙げられ、好ましくは、CuCl、CuCl、PtCl、FeCl、FeCl、CoCl、CoCl、NiCl、RuCl、WCl、ReCl、VCl、VCl、PdCl、IrCl、ZnCl、Cu(ClO、Fe(ClO、Cu(BF)、Fe(BF)、Zn(BF)、Cu(PF)、Fe(PF)、Zn(PF)であり、より好ましくは、CuCl、FeCl、CoCl、ZnCl、Fe(ClOである。
【0057】
<金属錯体の調製>
本発明のシュウ酸の合成方法に用いられる金属錯体の合成において、前記αケト酸の使用量は、前記金属化合物に対し0.1モル倍以上であり、好ましくは0.5モル倍〜5.0モル倍であり、より好ましくは0.5モル倍〜3.0モル倍であり、更に好ましくは、0.5モル倍〜2.0モル倍である。
【0058】
前記式(2)で表される含窒素化合物の使用量は、前記金属化合物に対し、0.1モル倍以上であり、好ましくは0.5モル倍〜5.0モル倍であり、より好ましくは0.5モル倍〜3.0モル倍であり、更に好ましくは、0.5モル倍〜2.0モル倍である。
【0059】
前記金属錯体の合成は、通常、窒素雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下で行われる。
前記金属錯体を合成は、通常、溶媒の存在下で行われる。該溶媒としては、例えば、キシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;ジクロロメタン、1、2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;アセトン、ブチルメチルケトン、2−ブチルメチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶媒などが挙げられる。これらは一種単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。溶媒の使用量は特に限定されないが、前記金属化合物に対して、通常100重量倍以下であり、好ましくは0.1〜50重量倍であり、より好ましくは0.1〜30重量倍であり、更に好ましくは、0.1〜20重量倍である。
【0060】
前記金属錯体を合成する際の反応温度は、通常、−50〜100℃であり、前記金属化合物、前記含窒素化合物及び前記αケト酸の前記溶媒に対する溶解性から、好ましくは−20〜80℃であり、より好ましくは、−10〜50℃であり、更に好ましくは−5〜40℃である。
【0061】
前記金属錯体の合成手順は、特に限定されないが、好ましくは、前記金属化合物に対し、前記含窒素化合物のアルカリ金属塩を作用させ、得られた混合物に前記αケト酸である2−オキソカルボン酸アルカリ金属塩を加えることで金属錯体を得る方法が挙げられる。
【0062】
本発明のシュウ酸の合成方法に用いられる金属錯体としては、市販品を購入して使用してもよい。
【0063】
上述により得られる、前記工程(A)で用いられる金属錯体は、例えば、式(3):
【0064】
【化8】

【0065】
(式中、Mは金属原子を表し、Ar、Ar、Ar及びRは前記と同じであり、a及びbは独立に1〜3の整数を表す。)
で示される。
【0066】
前記式(3)で示される金属錯体としては、例えば、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)銅錯体等の銅錯体;
【0067】
ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)鉄錯体等の鉄錯体;
【0068】
ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)イリジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)イリジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)イリジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)イリジウム錯体、ヒドロトリス3,5−エチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)イリジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)イリジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)イリジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)イリジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)イリジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)イリジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)イリジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)イリジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)イリジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)イリジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)イリジウム錯体等のイリジウム錯体;
【0069】
ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)パラジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)パラジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)パラジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)パラジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)パラジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)パラジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)パラジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)パラジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)パラジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)パラジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)パラジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)パラジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)パラジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)パラジウム錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)パラジウム錯体等のパラジウム錯体;
【0070】
ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)亜鉛錯体等の亜鉛錯体などが挙げられる。
【0071】
前記式(3)で示される金属錯体としては、好ましくは、鉄錯体であるヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)鉄錯体、及びヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)鉄錯体;
【0072】
亜鉛錯体であるヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)亜鉛錯体、及びヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)亜鉛錯体;
【0073】
銅錯体であるヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−エチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、及びヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)銅錯体の銅錯体である。
【0074】
前記式(3)で示される金属錯体としては、より好ましくは、銅錯体であるヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)銅錯体である。
【0075】
前記式(3)で示される金属錯体としては、更に好ましくはヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3,3−ジメチル−2−オキソブタン酸)銅錯体、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(α−オキソフェニル酢酸)銅錯体である。
【0076】
[工程(A)の反応条件]
前記工程(A)の反応は、酸素の存在下、金属錯体と二酸化炭素とを反応させる。雰囲気中には二酸化炭素と酸素が存在することが必須である。酸素の不存在下では反応が進行しないためである。該反応における二酸化炭素の量は、酸素に対し、0.000001重量倍以上であり、好ましくは、0.00001重量倍〜10重量倍であり、より好ましくは0.00001〜5重量倍であり、さらに好ましくは、0.00001〜2重量倍である。
【0077】
工程(A)で用いられる前記金属錯体の量は、二酸化炭素に対し、0.1モル倍以上であり、好ましくは0.5〜10モル倍であり、より好ましくは0.5〜5.0モル倍であり、更に好ましくは0.5〜2.0モル倍である。
【0078】
前記工程(A)の反応の雰囲気中には、窒素などの不活性ガスが共存していてもよい。したがって、大気中でも反応は進行する。
【0079】
前記工程(A)の反応は、通常、溶媒の存在下で実施される。該溶媒としては、例えば、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、ベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;ジクロロメタン、1、2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒などが挙げられる。これらは一種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ハロゲン化炭化水素と脂肪族炭化水素の混合溶媒が好ましく、ジクロロメタンとヘプタンを用いることがより好ましい。溶媒の使用量は特に限定されないが、前記金属錯体に対して、通常、100重量倍以下であり、0.1〜10重量倍の範囲が好ましい。
【0080】
前記工程(A)の反応の温度は、反応収率がより良好である点で、通常、−80〜50℃の範囲が選ばれ、好ましくは0〜40℃の範囲である。該反応は常圧下で行ってもよいし、加圧下で行ってもよい。該反応はFT−IR、ガスクロマトグラフィー等を用いて追跡することができる。
【0081】
以上説明した工程(A)での反応の結果、シュウ酸含有錯体が生成する。シュウ酸は該錯体に配位子として含まれている。該シュウ酸含有錯体は通常二核シュウ酸金属錯体である。
【0082】
前記二核シュウ酸金属錯体としては、例えば、ビス[ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート]オキサリル銅錯体、ビス[ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート]オキサリル鉄錯体、ビス[ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート]オキサリル白金錯体、ビス[ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート]オキサリルコバルト錯体、ビス[ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート]オキサリルニッケル錯体、ビス[ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート]オキサリルルテニウム錯体、ビス[ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート]オキサリルタングステン錯体、ビス[ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート]オキサリルバナジウム錯体、ビス[ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート]オキサリルパラジウム錯体、ビス[ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート]オキサリルイリジウム錯体、ビス[ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート]オキサリル亜鉛錯体等が挙げられる。
【0083】
−工程(B)−
該工程では、前記シュウ酸含有錯体を処理して該錯体からシュウ酸を分離する。シュウ酸含有錯体からのシュウ酸の分離は、例えば、シュウ酸含有錯体を電解還元することによりシュウ酸イオン溶液として取り出し、該シュウ酸イオン溶液のpHを7以下とすることでシュウ酸として定量的に分離することができる。
【実施例】
【0084】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は該実施例に限定されない。金属錯体の構造解析には、リガク社製X線結晶構造解析装置AFC−7Sを用いた。
【0085】
<調製例1>
塩化銅(II)二水和物1.3gをメタノール(20mL)に溶解させた溶液に、室温にてヒドロトリス(3,5−ジイソプロピル−1−ピラゾリル)ボレートカリウム塩を3.0g(0.80当量、対塩化銅(II)二水和物)添加した後、同温にて50分攪拌した。攪拌終了後、真空ポンプにて溶媒を減圧留去し、得られた反応混合物にメタノール(30mL)を加えてガラスフィルターを用いてろ過した。ろ過物を真空ポンプにて減圧下で乾燥することにより、赤茶色のクロライド銅(II)錯体[Cu(L1)Cl](L1 = ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピル−1−ピラゾリル)ボレートアニオン)を収率94%で得た。
【0086】
<調製例2>
調製例1で得られたクロライド銅(II)錯体[Cu(L1)Cl] 2.0gを塩化メチレン(45mL)に溶解した。得られた溶液に、メタノール(20mL)に溶かした3−メチル−2−オキソブタン酸ナトリウム0.5g(1.05当量、対クロライド銅(II)錯体)の溶液を、0℃にて滴下し、同温度にて1時間撹拌後、室温まで昇温し、反応溶液から溶媒を減圧留去した。得られた生成物に塩化メチレン(20mL)を加え、セライトろ過により生じた塩を除いた。その後、真空ポンプにて約5mLまで濃縮し、n−オクタン(5mL)加え、−25℃の冷凍庫に入れ、一晩同温度にて静置することにより明緑色結晶を1.7g得た。該結晶を構造解析に供したところ、図1に示す構造を有する、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅(II)錯体([Cu(L1)(COC(O)CH(CH)])であることを確認した。収率75%。
【0087】
<実施例1>
調製例2で得られたヒドロトリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)ボレート(3−メチル−2−オキソブタン酸)銅(II)錯体0.1gを、塩化メチレンに溶解させ、n−ヘプタンを加え溶媒混合比=2/1(重量比)とした。得られた溶液を、大気雰囲気下で溶媒を揮発させることにより、残渣として緑色結晶として得た。該結晶を構造解析に供したところ、図2に示す構造を有する、オキサラート銅(II)錯体[{Cu(L1)}(μ−C)]であることが確認された。収率88%。
【0088】
上記で得られたオキサラート銅(II)錯体を、電解還元し、得られた溶液をpH7以下にすることで定量的にシュウ酸を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は工業原料等として有用なシュウ酸の合成に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)金属原子と、1価の含窒素芳香族複素環基を3つ含む含窒素化合物と、式(1):
【化1】

(式中、Rは置換基を有してもよい炭素原子数1〜12個のヒドロカルビル基を表す。)
で表されるαケト酸とを含む金属錯体を、酸素の存在下で、二酸化炭素と反応させてシュウ酸含有錯体を生成させ、
(B)前記シュウ酸含有錯体を処理してシュウ酸を分離する、
ことを含むシュウ酸の合成方法。
【請求項2】
前記の1価の含窒素芳香族複素環基を3つ含む含窒素化合物が式(2):
【化2】

(式中、AはB、B−R、C−R、Si−R、P(III)もしくはP=Oを表し、Rは水素原子、1価の含窒素芳香族複素環基又は置換基を有してもよい炭素原子数1〜12個のヒドロカルビル基を表す。Ar、Ar及びArは相互に独立に1価の含窒素芳香族複素環基を表す。)
で表される含窒素化合物である、請求項1記載の合成方法。
【請求項3】
前記の金属原子が、銅、白金、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、タングステン、レニウム、バナジウム、パラジウム、イリジウム及び亜鉛からなる群から選ばれる元素の原子であり、該原子はカチオン状態であってもよい、請求項1又は2に記載の合成方法。
【請求項4】
前記の金属錯体が、式(3):
【化3】

(式中、Mは金属原子を表し、A、Ar、Ar、Ar及びRは前記と同じであり、a及びbは独立に1〜3の整数を表す。)
で表される金属錯体である、請求項2又は3に記載の合成方法。
【請求項5】
前記の金属錯体が、式(4):
【化4】

(式中、Ar、Ar、Ar及びRは前記と同じである。)
で表される金属錯体である、請求項4記載の合成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−95722(P2013−95722A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241264(P2011−241264)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(504203572)国立大学法人茨城大学 (99)
【Fターム(参考)】