説明

金属錯体の残基を含む高分子化合物及びそれを用いた素子

【課題】エレクトロルミネッセンス素子等の製造に用いた場合、発光効率が優れた素子が得られる高分子化合物等を提供する。
【解決手段】下式で表される金属錯体の残基と、特定の2価の基とを含む高分子化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属錯体の残基を含む高分子化合物並びにこれらを含む素子に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネッセンス素子の発光層に用いる発光材料として、様々な金属錯体が用いられている。そして、その金属錯体の構造を高分子の繰り返し単位として用いた発光材料も提案されている。例えば、イリジウムを中心金属としたオルトメタル化錯体(Ir(ppy)3:Tris-Ortho-Metalated Complex of Iridium(III) with 2-Phenylpyridine)の構造とフルオレンジイル基とを繰り返し単位としてもつ高分子化合物が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−73479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記高分子化合物は、エレクトロルミネッセンス素子等の製造に用いた場合、発光効率が優れた素子が得られるものではなかった。
そこで、本発明は、エレクトロルミネッセンス素子等の製造に用いた場合、発光効率が優れた素子が得られる高分子化合物等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は第一に、下記式(1):

[式中、Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム又は白金の金属原子を表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、若しくはシアノ基を表すか、又はR1及びR2、R2及びR3、R3及びR4、R4及びR5、若しくはR5及びR6が結合して環を形成していてもよい。mは1〜3の整数であり、nは0〜2の整数である。R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。但し、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5の少なくとも2個は、窒素原子である。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5のいずれかが炭素原子である場合には、該炭素原子に結合する水素原子は置換基により置換されていてもよい。下記式(2):

で表される部分は、モノアニオン性の2座配位子を表す。Rx及びRyは、金属原子Mに結合する原子であり、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表す。モノアニオン性の2座配位子が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
で表される金属錯体の残基と、
下記式(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)又は(3−5):

[式中、#は結合手を表す。Y1は、−C(R9)(R10)−、−O−C(R17)(R18)−、−O−、−S−、−B(R11)−、−Si(R12)(R13)−、−P(R14)−、−P(R15)(=O)−又は−N(R16)−を表す。R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。]
で表される2価の基とを含む高分子化合物を提供する。
本発明は第二に、前記高分子化合物を含む組成物、膜、及び素子を提供する。
本発明は第三に、前記素子を用いた面状光源、及び照明を提供する。
本発明は第四に、下記式(5):

[式中、W1は重合反応性基を表す。m1は1〜3の整数であり、m2は0〜2の整数である。W1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム又は白金の金属原子を表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、若しくはシアノ基を表すか、又はR1及びR2、R2及びR3、R3及びR4、R4及びR5、若しくはR5及びR6が結合して環を形成していてもよい。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。但し、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5の少なくとも2個は、窒素原子である。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5のいずれかが炭素原子である場合には、該炭素原子に結合する水素原子は置換基により置換されていてもよい。]
で表される金属錯体と、
下記式(6−1)、(6−2)、(6−3)、(6−4)又は(6−5):

[式中、W2は重合反応性基を表す。複数存在するW2は、同一であっても異なっていてもよい。Y1は、−C(R9)(R10)−、−O−C(R17)(R18)−、−O−、−S−、−B(R11)−、−Si(R12)(R13)−、−P(R14)−、−P(R15)(=O)−又は−N(R16)−を表す。R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。]
で表される化合物とを反応させることを含む、前記式(1)で表される金属錯体の残基と、前記式(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)又は(3−5)で表される2価の基とを含む高分子化合物の製造方法を提供する。
本発明は第五に、下記式(11a)又は(11b):

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8及びR’は、前記と同じ意味を有する。Aはアリール基又は1価の複素環基を表す。複数存在するR’及びAは、各々、同一であっても異なっていてもよい。]
で表される化合物を提供する。
本発明は第六に、下記式(12):

[式中、W3は重合反応性基を表す。複数存在するW3は、同一であっても異なっていてもよい。Ar’は、1〜4個の−L−M3で示される基を有する2価の芳香族基、又は酸素原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる原子と、1〜4個の−L−M3で示される基とを有する2価の複素環基を表す。Lは、単結合、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−Si(R68)(R69)−、N(R70)−、−B(R71)−、−P(R72)−、−P(=O)(R73)−、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基、置換されていてもよいアルキニレン基、置換されていてもよいアリーレン基、又は置換されていてもよい2価の複素環基を表す。M3は、前記式(1)で表される金属錯体の1価の残基を表す。L及びM3は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。R68、R69、R70、R71、R72及びR73は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を表す。]
で表される化合物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の高分子化合物等は、エレクトロルミネッセンス素子等の製造に用いた場合、発光効率が優れたエレクトロルミネッセンス素子等が得られる。また、好ましい実施形態においては、駆動電圧が低いという効果を奏する。したがって、本発明の高分子化合物等は、発光素子(例えば、エレクトロルミネッセンス素子)、光電素子等の素子の製造に特に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書中の構造式において、破線で示される結合は、配位結合を示す。
<高分子化合物>
まず、本発明の高分子化合物について説明する。
本発明の高分子化合物は、前記式(1)で表される金属錯体の残基と前記式(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)又は(3−5)で表される2価の基とを含む高分子化合物であるが、前記式(1)で表される金属錯体の残基と前記式(3−1)で表される基とを含む高分子化合物が好ましい。また、高分子化合物の溶解性、導電性及び合成の容易さの観点から、本発明の高分子化合物において、前記式(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)又は(3−5)で表される2価の基や、後述の式(4)で表される基は、繰り返し単位として含むことが好ましい。さらに、高分子化合物の合成の容易さ及び発光素子に用いた時の発光効率の観点から、前記式(1)で表される金属錯体の残基は、繰り返し単位に含まれることが好ましい。
【0008】
本発明の高分子化合物において、「前記式(1)で表される金属錯体の残基」:「前記式(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)又は(3−5)で表される2価の基」の重量比は、高発光効率、発光色及び導電性の観点から、1:2〜1:1000であることが好ましく、1:3〜1:400であることがより好ましい。
【0009】
本発明の高分子化合物において、前記式(1)で表される金属錯体の残基の割合は、高発光効率の観点から、本発明の高分子化合物の0.01〜50重量%であることが好ましく、0.01〜25重量%であることがより好ましい。
【0010】
本発明の高分子化合物において、前記式(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)又は(3−5)で表される2価の基の割合は、導電性の観点から、本発明の高分子化合物の10〜99.99重量%であることが好ましく、50〜99.99重量%であることがより好ましい。
【0011】
本発明の高分子化合物において、前記式(1)で表される金属錯体が繰り返し単位に含まれる場合、前記式(1)で表される金属錯体の残基を含む繰り返し単位の割合は、高分子化合物の合成のし易さ、高発光効率の観点から、本発明の高分子化合物の0.01〜50重量%であることが好ましく、0.01〜30重量%であることがより好ましく、0.01〜25重量%であることが特に好ましい。
【0012】
本発明の高分子化合物において、前記式(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)又は(3−5)で表される2価の基を繰り返し単位として含む場合、該繰り返し単位の割合は、合成のし易さ、導電性の観点から、本発明の高分子化合物の10〜99.99重量%であることが好ましく、30〜99.99重量%であることがより好ましく、50〜99.99重量%であることが特に好ましい。
【0013】
本発明の高分子化合物において、前記式(1)で表される金属錯体の残基、前記式(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)又は(3−5)で表される2価の基は、それぞれ、一種のみ含まれていても二種以上含まれていてもよい。
【0014】
本発明の高分子化合物は、非共役系高分子であっても共役系高分子であってもよいが、導電性の観点から共役系高分子が好ましい。前記共役系高分子とは、主鎖における全結合の80〜100%、特には85〜100%、とりわけ90〜100%が共役している高分子化合物を意味し、主鎖に芳香環を含む共役系高分子が好ましい。
【0015】
本発明の高分子化合物は、発光素子に用いた時の発光効率や寿命等の素子特性の観点から、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×103〜1×108が好ましく、1×104〜1×107がより好ましい。
【0016】
−金属錯体−
本明細書において、金属錯体の残基は、金属錯体からk個(kは1以上の整数)の水素原子を取り除いた残りの原子団(k価の基)を意味する。例えば、前記式(1)で表される金属錯体の残基は、前記式(1)で表される金属錯体からk個の水素原子を取り除いた残りの原子団(k価の基)を意味し、好ましくは1〜3価の基(即ち、kが1〜3の整数)である。
【0017】
前記式(1)で表される金属錯体は、Mで表される金属原子、添え字mでその数を定義されている配位子(以下、「2座キレート配位子」と言うことがある。)と、添え字nでその数を定義されている前記式(2)で表されるモノアニオン性の2座配位子(以下、「モノアニオン性の2座配位子」と言うことがある。)から構成されている。なお、以下において、単に「配位子」という場合には、前記2座キレート配位子と、前記モノアニオン性の2座配位子の両方の配位子を意味する。
【0018】
前記式(1)中、mは1〜3の整数である。
前記式(1)中、nは0〜2の整数であり、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
但し、m+nは中心金属Mに結合できる配位子の合計数である。例えば、中心金属がイリジウムである場合、m=1かつn=2、m=2かつn=1、又はm=3かつn=0であり、好ましくは、m=3かつn=0、又はm=2かつn=1であり、より好ましくは、m=3かつn=0である。
【0019】
前記式(1)中、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5のうち少なくとも2個が窒素原子であるが、好ましくは2個又は3個が窒素原子である。前記式(1)で表される金属錯体としては、これら複数存在する窒素原子が隣接しない(即ち、隣接位に存在しない)組み合わせである金属錯体が特に好ましく、具体的には、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5のうち2個又は3個が窒素原子であり、かつ、窒素原子が隣接しない金属錯体である。また、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5のいずれかが炭素原子である場合には、該炭素原子に結合する水素原子が置換基で置換されていてもよい。
【0020】
前記式(1)で表される金属錯体は、金属錯体の安定性、合成の容易さ、発光効率の観点から、好ましくは下記式(1a)又は(1b):

[式中、M、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びmは、前記と同じ意味を有する。m’及びn’は、それぞれ独立に、1又は2である。]
で表される金属錯体であり、より好ましくは前記式(1a)で表される金属錯体である。但し、前記式(1b)において、m’+n’は、中心金属Mに結合できる配位子の合計数である。R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8で表される原子、基は、後述のRとして説明し例示するものと同じである。
【0021】
前記式(1)で表される金属錯体は、発光色の調整のし易さの観点から、前記R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8が、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、若しくはシアノ基を表す金属錯体が好ましい。この金属錯体において、R3及びR4、又はR5及びR6は結合して環を形成していてもよい。
【0022】
前記式(1)で表される金属錯体は、発光特性の観点から、下記式(7−1)〜(7−6)、(1c)、(1d)で表される金属錯体が好ましく、下記式(1c)、(1d)で表される金属錯体がより好ましい。





[式中、M、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、m、n及び前記式(2)で表されるモノアニオン性の2座配位子は、前記と同じ意味を有する。R’は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、又はシアノ基を表す。複数存在するR’は同一であっても異なっていてもよい。]
【0023】
前記式(7−1)〜(7−6)、(1c)、(1d)中、R’で表されるハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、及びシアノ基は、後述のRとして説明し例示するものと同じである。
【0024】
金属錯体を構成する配位子は、金属錯体の発光色、発光強度、発光効率等に影響を与える。したがって、金属錯体としては、配位子内におけるエネルギー失活過程を最少にする配位子を有する金属錯体が好ましい。さらに、配位子の有する置換基の種類及び/又は置換位置は、配位子の電子的特性に影響を及ぼすので、金属錯体の特性に影響を与える。以上の観点から、本発明の高分子化合物は、前記式(1)で表される金属錯体の残基を有することにより、発光効率の高い高分子化合物となると考えられる。
【0025】
前記金属錯体において、前記式(1c)又は前記式(1d)で表され、かつ、nが0であることが好ましい。さらに、前記式(1c)で表され、かつ、nが0であることがより好ましい。
【0026】
前記金属錯体の中心金属となる金属原子Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム又は白金の金属原子であり、好ましくは、オスミウム、イリジウム、白金であり、より好ましくは、イリジウム、白金であり、特に好ましくは、イリジウムである。これらの金属原子は、金属錯体にスピン−軌道相互作用を及ぼし、一重項状態と三重項状態間の系間交差を起こし得る。
【0027】
前記式(1)、前記式(1a)又は前記式(1b)で表される金属錯体において、前記2座キレート配位子としては、下記式で表される配位子が挙げられる。



[式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基又はシアノ基である。*は金属原子Mと結合する部位を表す。複数存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。]
【0028】
前記Rで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が例示される。
【0029】
前記Rで表されるアルキル基は、直鎖、分岐及び環状のいずれでもよい。このアルキル基の炭素数は、通常、1〜10である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられ、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましい。
【0030】
前記Rで表されるアルコキシ基は、直鎖、分岐及び環状のいずれでもよい。このアルコキシ基の炭素数は、通常、1〜10である。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基等が挙げられ、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が好ましい。
【0031】
前記Rで表されるアルキルチオ基は、直鎖、分岐及び環状のいずれでもよい。このアルキルチオ基の炭素数は、通常、1〜10である。アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等が挙げられ、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基が好ましい。
【0032】
前記Rで表されるアリール基は、炭素数が、通常、6〜60であり、好ましくは7〜48である。アリール基としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(「C1〜C12アルコキシ」は、アルコキシ部分の炭素数が1〜12であることを意味する。以下、同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基(「C1〜C12アルキル」は、アルキル部分の炭素数が1〜12であることを意味する。以下、同様である。)、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基等が例示され、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基が好ましい。ここで、アリール基とは、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団である。この芳香族炭化水素としては、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものが含まれる。さらに、該アリール基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基等が挙げられる。
前記C1〜C12アルコキシフェニル基としては、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、i−プロピルオキシフェニル基、ブトキシフェニル基、i−ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、ヘプチルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、ノニルオキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェニル基、ラウリルオキシフェニル基等が例示される。
前記C1〜C12アルキルフェニル基としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、i−プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、s−ブチルフェニル基、i−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が例示される。
【0033】
前記Rで表されるアリールオキシ基は、炭素数が、通常、6〜60であり、好ましくは7〜48である。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基等が例示され、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
前記C1〜C12アルコキシフェノキシ基としては、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、プロピルオキシフェノキシ基、i−プロピルオキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、i−ブトキシフェノキシ基、t−ブトキシフェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基、ヘキシルオキシフェノキシ基、シクロヘキシルオキシフェノキシ基、ヘプチルオキシフェノキシ基、オクチルオキシフェノキシ基、2−エチルヘキシルオキシフェノキシ基、ノニルオキシフェノキシ基、デシルオキシフェノキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェノキシ基、ラウリルオキシフェノキシ基等が例示される。
前記C1〜C12アルキルフェノキシ基としては、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、i−プロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、s−ブチルフェノキシ基、i−ブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基等が例示される。
【0034】
アリールチオ基は、炭素数が、通常、6〜60であり、好ましくは7〜48である。アリールチオ基としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基等が例示され、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基が好ましい。
【0035】
前記Rで表されるアリールアルキル基は、炭素数が、通常、7〜60であり、好ましくは7〜48である。アリールアルキル基としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基等が例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基が好ましい。
【0036】
前記Rで表されるアリールアルコキシ基は、炭素数が、通常、7〜60であり、好ましくは7〜48である。アリールアルコキシ基としては、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルブトキシ基、フェニルペンチロキシ基、フェニルヘキシロキシ基、フェニルヘプチロキシ基、フェニルオクチロキシ基等のフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基等が例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基が好ましい。
【0037】
前記Rで表されるアリールアルキルチオ基は、炭素数が、通常、7〜60であり、好ましくは7〜48である。アリールアルキルチオ基としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基等が例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基が好ましい。
【0038】
前記Rで表されるアシル基は、炭素数が、通常、2〜20であり、好ましくは2〜18である。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基等が例示される。
【0039】
前記Rで表されるアシルオキシ基は、炭素数が、通常、2〜20であり、好ましくは2〜18である。アシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等が例示される。
【0040】
前記Rで表されるアミド基は、炭素数が、通常、2〜20であり、好ましくは2〜18である。アミド基としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基等が例示される。
【0041】
前記Rで表される酸イミド基とは、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を1個除いて得られる1価の残基を意味する。この酸イミド基は、炭素数が、通常、2〜60であり、好ましくは2〜48である。酸イミド基としては、以下の構造式で示される基が例示される。

[式中、窒素原子から延びた線は結合手を表し、Meはメチル基、Etはエチル基、n−Prはn−プロピル基を表す。以下、同じである。#は結合手を表す。]
【0042】
前記Rで表されるイミン残基とは、イミン化合物(即ち、分子内に−N=C−を持つ有機化合物である。その例としては、アルジミン、ケチミン、及びこれらの分子中の窒素原子に結合した水素原子が、アルキル基等で置換された化合物等が挙げられる。)から水素原子1個を除いた1価の残基を意味する。このイミン残基は、通常炭素数2〜20であり、好ましくは2〜18である。具体的には、以下の構造式で示される基が例示される。

[式中、i−Prはi−プロピル基、n−Buはn−ブチル基、t−Buはt−ブチル基を表す。波線で示した結合は、「楔形で表される結合」及び/又は「破線で表される結合」であることを意味する。ここで、「楔形で表される結合」とは、紙面からこちら側に向かって出ている結合を意味し、「破線で表される結合」とは、紙面の向こう側に出ている結合を意味する。#は結合手を表す。]
【0043】
前記Rで表される置換アミノ基は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選ばれる1個又は2個の基で置換されたアミノ基を意味する。該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は、置換基を有していてもよい。置換アミノ基の炭素数は、該置換基の炭素数を含めないで、通常、1〜60であり、好ましくは2〜48である。置換アミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、i−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基等が例示される。
【0044】
前記Rで表される置換シリル基は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリル基を意味する。置換シリル基の炭素数は、通常、1〜60であり、好ましくは3〜48である。なお、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、ジメチル−i−プロピルシリル基、ジエチル−i−プロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等が例示される。
【0045】
前記Rで表される置換シリルオキシ基は、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基及び1価の複素環オキシ基からなる群から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリルオキシ基を意味する。置換シリルオキシ基の炭素数は、通常、1〜60であり、好ましくは3〜48である。該アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基又は1価の複素環オキシ基は置換基を有していてもよい。置換シリルオキシ基としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリプロピルシリルオキシ基、トリ−i−プロピルシリルオキシ基、ジメチル−i−プロピルシリルオキシ基、ジエチル−i−プロピルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、ペンチルジメチルシリルオキシ基、ヘキシルジメチルシリルオキシ基、ヘプチルジメチルシリルオキシ基、オクチルジメチルシリルオキシ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリルオキシ基、ノニルジメチルシリルオキシ基、デシルジメチルシリルオキシ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリルオキシ基、ラウリルジメチルシリルオキシ基、フェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基等が例示される。
【0046】
前記Rで表される置換シリルチオ基は、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールアルキルチオ基及び1価の複素環チオ基からなる群から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリルチオ基を意味する。置換シリルチオ基の炭素数は、通常、1〜60であり、好ましくは3〜48である。該アルコキシ基、アリールチオ基、アリールアルキルチオ基又は1価の複素環チオ基は置換基を有していてもよい。置換シリルチオ基としては、トリメチルシリルチオ基、トリエチルシリルチオ基、トリプロピルシリルチオ基、トリ−i−プロピルシリルチオ基、ジメチル−i−プロピルシリルチオ基、ジエチル−i−プロピルシリルチオ基、t−ブチルジメチルシリルチオ基、ペンチルジメチルシリルチオ基、ヘキシルジメチルシリルチオ基、ヘプチルジメチルシリルチオ基、オクチルジメチルシリルチオ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリルチオ基、ノニルジメチルシリルチオ基、デシルジメチルシリルチオ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリルチオ基、ラウリルジメチルシリルチオ基、フェニル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリルチオ基、トリフェニルシリルチオ基、トリ−p−キシリルシリルチオ基、トリベンジルシリルチオ基、ジフェニルメチルシリルチオ基、t−ブチルジフェニルシリルチオ基、ジメチルフェニルシリルチオ基等が例示される。
【0047】
前記Rで表される置換シリルアミノ基は、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリールアルキルアミノ基及び1価の複素環アミノ基からなる群から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリルアミノ基を意味する。置換シリルアミノ基の炭素数は、通常、1〜60であり、好ましくは3〜48である。該アルコキシ基、アリールアミノ基、アリールアルキルアミノ基又は1価の複素環アミノ基は置換基を有していてもよい。置換シリルアミノ基としては、トリメチルシリルアミノ基、トリエチルシリルアミノ基、トリプロピルシリルアミノ基、トリ−i−プロピルシリルアミノ基、ジメチル−i−プロピルシリルアミノ基、ジエチル−i−プロピルシリルアミノ基、t−ブチルジメチルシリルアミノ基、ペンチルジメチルシリルアミノ基、ヘキシルジメチルシリルアミノ基、ヘプチルジメチルシリルアミノ基、オクチルジメチルシリルアミノ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリルアミノ基、ノニルジメチルシリルアミノ基、デシルジメチルシリルアミノ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリルアミノ基、ラウリルジメチルシリルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、トリ−p−キシリルシリルアミノ基、トリベンジルシリルアミノ基、ジフェニルメチルシリルアミノ基、t−ブチルジフェニルシリルオアミノ基、ジメチルフェニルシリルアミノ基等が例示される。
【0048】
前記Rで表される1価の複素環基は、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。1価の複素環基の炭素数は、通常、3〜60であり、好ましくは3〜20である。なお、1価の複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。ここで、複素環式化合物とは、環式構造を持つ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、燐、硼素等のヘテロ原子を環内に含むものをいう。1価の複素環基としては、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピリミジル基、C1〜C12アルキルピリミジル基、トリアジル基、C1〜C12アルキルトリアジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基等が例示され、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピリミジル基、C1〜C12アルキルピリミジル基、トリアジル基、C1〜C12アルキルトリアジル基が好ましい。また、1価の複素環基は、1価の芳香族複素環基であることが好ましい。
【0049】
前記Rで表されるヘテロアリールオキシ基は、炭素数が、通常、6〜60であり、好ましくは7〜48である。ヘテロアリールオキシ基としては、チエニル基、C1〜C12アルコキシチエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジルオキシ基、ピリジルオキシ基、イソキノリルオキシ基等が例示され、C1〜C12アルコキシピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
前記C1〜C12アルコキシピリジル基としては、メトキシピリジル基、エトキシピリジル基、プロピルオキシピリジル基、i−プロピルオキシピリジル基、ブトキシピリジル基、i−ブトキシピリジル基、t−ブトキシピリジル基、ペンチルオキシピリジル基、ヘキシルオキシピリジル基、シクロヘキシルオキシピリジル基、ヘプチルオキシピリジル基、オクチルオキシピリジル基、2−エチルヘキシルオキシピリジル基、ノニルオキシピリジル基、デシルオキシピリジル基、3,7−ジメチルオクチルオキシピリジル基、ラウリルオキシピリジル基等が例示される。
前記C1〜C12アルキルピリジルオキシ基としては、メチルピリジルオキシ基、エチルピリジルオキシ基、ジメチルピリジルオキシ基、プロピルピリジルオキシ基、1,3,5−トリメチルピリジルオキシ基、メチルエチルピリジルオキシ基、i−プロピルピリジルオキシ基、ブチルピリジルオキシ基、s−ブチルピリジルオキシ基、i−ブチルピリジルオキシ基、t−ブチルピリジルオキシ基、ペンチルピリジルオキシ基、イソアミルピリジルオキシ基、ヘキシルピリジルオキシ基、ヘプチルピリジルオキシ基、オクチルピリジルオキシ基、ノニルピリジルオキシ基、デシルピリジルオキシ基、ドデシルピリジルオキシ基等が例示される。
【0050】
前記Rで表されるヘテロアリールチオ基は、炭素数が、通常、6〜60であり、好ましくは7〜48である。ヘテロアリールチオ基としては、ピリジルチオ基、C1〜C12アルコキシピリジルチオ基、C1〜C12アルキルピリジルチオ基、イソキノリルチオ基等が例示され、C1〜C12アルコキシピリジルチオ基、C1〜C12アルキルピリジルチオ基が好ましい。
【0051】
前記Rで表されるアリールアルケニル基は、炭素数が、通常、8〜60であり、好ましくは8〜48である。アリールアルケニル基としては、フェニル−C2〜C12アルケニル基(「C2〜C12アルケニル」は、アルケニル部分の炭素数が2〜12であることを意味する。以下、同様である。)、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基等が例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C2〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルケニル基が好ましい。
【0052】
前記Rで表されるアリールアルキニル基は、炭素数が、通常、8〜60であり、好ましくは8〜48である。アリールアルキニル基としては、フェニル−C2〜C12アルキニル基(「C2〜C12アルキニル」は、アルキニル部分の炭素数が2〜12であることを意味する。以下、同様である。)、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基等が例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基が好ましい。
【0053】
前記Rで表される置換カルボキシル基は、炭素数が、通常、2〜60であり、好ましくは2〜48であり、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基で置換されたカルボキシル基を意味する。置換カルボキシル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基、等が挙げられる。該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は、置換基を有していてもよい。置換カルボキシル基の炭素数には、該置換基の炭素数は含まれない。
【0054】
前記モノアニオン性の2座配位子としては、前記式(2)で表される2座配位子における水素原子以外の原子数が3〜30の2座配位子であることが好ましく、例えば、以下の式で表される2座配位子が挙げられる。





[式中、*は金属原子Mと結合する部位を示す。]
【0055】
前記金属錯体としては、以下に示す化合物が挙げられる。
【0056】

【0057】

【0058】

【0059】

【0060】

【0061】

【0062】

【0063】

【0064】
前記金属錯体としては、安定した高効率発光の観点から、禁制遷移を解きやすい三重項励起状態の寿命が短い金属錯体が好ましい。
【0065】
−金属錯体の製造方法−
次に、前記金属錯体の製造方法を説明する。
前記金属錯体は、例えば、配位子となる化合物と金属化合物とを溶液中で反応させることにより合成することができる。必要に応じて、反応系中に塩基、銀塩化合物等が存在していてもよい。また、2-フェニルピリジン誘導体を配位子に有する金属錯体とヘテロ環芳香族化合物とのカップリング反応により、前記金属錯体を合成することができる。
【0066】
錯体化の方法(即ち、配位子となる化合物と金属化合物とを溶液中で反応させる方法)としては、イリジウム錯体の場合、J. Am. Chem. Soc. 1984, 106, 6647 ;Inorg. Chem. 1991, 30, 1685;Inorg. Chem. 1994, 33, 545;Inorg. Chem. 2001, 40, 1704;Chem.Lett., 2003, 32, 252等に記載の方法が例示され、白金錯体の場合、Inorg.Chem.,1984, 23, 4249;Chem. Mater. 1999, 11, 3709;Organometallics, 1999, 18, 1801等に記載の方法が例示され、パラジウム錯体の場合、J.Org.Chem.,1987, 52, 73等に記載の方法が例示される。
【0067】
錯体化の反応温度は、通常、溶媒の融点から沸点の間で反応させることができ、−78℃〜溶媒の沸点が好ましい。反応時間は、通常、30分間から30時間程度である。但し、錯体化反応においてマイクロウェーブ反応装置を使用する場合、溶媒の沸点以上で反応させることもでき、反応時間は、通常、数分から数時間程度である。
【0068】
前記配位子となる化合物は、例えば、2-フェニルピリジン誘導体とヘテロ環芳香族化合物とのSuzukiカップリング、Grignardカップリング、Stilleカップリング等により合成することができる。必要に応じて有機溶媒に溶解し、例えば、アルカリ、適切な触媒等を用い、有機溶媒の融点以上沸点以下の温度で反応させることにより合成することができる。この合成には、例えば、“オルガニック シンセシス(Organic Syntheses)”、コレクティブ第6巻(Collective Volume VI)、407-411頁、ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons, Inc.)、1988年;ケミカル レビュー(Chem. Rev.)、第106巻、2651頁(2006年);ケミカル レビュー(Chem. Rev.)、第102巻、1359頁(2002年);ケミカル レビュー(Chem.Rev.)、第95巻、2457頁(1995年);ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(J.Organomet.Chem.)、第576巻、147頁(1999年)等に記載の方法を用いることができる。
【0069】
前記ヘテロ環芳香族化合物は、“HOUBEN-WEYL METHODS OF ORGANIC CHEMISTRY 4TH EDITION”, 第E9b巻、1頁、GEORG THIEME VERLAG STUTTGART;HOUBEN-WEYL METHODS OF ORGANIC CHEMISTRY 4TH EDITION, 第E9c巻、667頁、GEORG THIEME VERLAG STUTTGART等に記載の方法で合成することができる。
【0070】
前記カップリング反応に用いる触媒としては、パラジウム触媒が好ましい。パラジウム触媒としては、酢酸パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデナセトン)二パラジウム(O)等が例示され、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデナセトン)二パラジウム(O)が好ましい。必要に応じて、リン配位子を存在させてもよい。前記リン配位子としては、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等が例示される。
【0071】
前記配位子となる化合物としては、以下に示す化合物が挙げられる。
【0072】

【0073】

【0074】

【0075】

【0076】

【0077】
前記配位子となる化合物としては、前記金属錯体の安定性、合成の容易さ、発光効率の観点から、前記式(11a)又は下記式(11b)で表される化合物が好ましく、前記式(11a)で表される化合物がより好ましい。
【0078】
前記式(11a)及び(11b)中、Aで表されるアリール基及び1価の複素環基は、前述のRとして説明し例示したものと同じである。
【0079】
前記金属錯体は、例えば、以下のスキームで合成できる。

[式中、R’は、前記と同じ意味を有する。]
【0080】
得られた金属錯体の同定・分析は、元素分析、NMR分析及びMS分析により行うことができる。
【0081】
また、本発明の金属錯体は、下記式(8)で表される化合物を、ハロゲン原子又はアルキルスルホニルオキシ基を有するヘテロ環芳香族化合物とカップリング反応させることを含む方法により製造することも好ましい。

[式中、M、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、m、n、Rx及びRyは、前記と同じ意味を有する。J1は、下記式(9−1)〜(9−6):

で表される基である。]
【0082】
前記式(8)で表される化合物は、例えば、下記式(10):

[式中、M、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、m、n、Rx及びRyは、前記と同じ意味を有する。J2は、ハロゲン原子を表す。]
で表される化合物をホウ酸化又はホウ酸エステル化することにより合成することができる。
【0083】
また、本発明の金属錯体は、前記式(10)で表される化合物とヘテロ環芳香族化合物とのSuzukiカップリング、Grignardカップリング、Stilleカップリング等により合成することができる。
【0084】
−式(3−1)〜(3−5)で表される2価の基−
前記式(3−1)〜(3−5)中、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45及びR46で表される基、原子は、前記Rで表される基、原子として説明し例示したものと同じである。前記式(3−1)及び(3−2)中、本発明の高分子化合物の合成の容易さと高発光効率の観点から、Yは、−C(R9)(R10)−、−O−C(R17)(R18)−、−O−、−S−が好ましく、−C(R9)(R10)−がより好ましい。
【0085】
前記式(3−1)で表される2価の基としては、以下の式で表される基が挙げられる。
【0086】


【0087】

【0088】

[式中、#は結合手を表す。Raは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。複数存在するRaは同一であっても異なっていてもよい。Rdは、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基又は1価の複素環基を表す。]
【0089】
aで表されるアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子は、前記Rで表される基、原子として説明し例示したものと同じである。
【0090】
dで表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基又は1価の複素環基は、前記Rで表される基として説明し例示したものと同じである。
【0091】
前記式(3−2)で表される2価の基としては、以下の式で表される基が挙げられる。

[式中、#及びRaは、前記と同じ意味を有する。]
【0092】
前記式(3−3)で表される2価の基としては、以下の式で表される基が挙げられる。

[式中、#、Ra及びRdは、前記と同じ意味を有する。]
【0093】
前記式(3−4)で表される2価の基としては、以下の式で表される基が挙げられる。

[式中、#及びRaは、前記と同じ意味を有する。]
【0094】
前記式(3−5)で表される2価の基としては、以下の式で表される基が挙げられる。

[式中、#及びRaは、前記と同じ意味を有する。]
【0095】
前記式(3−1)〜(3−5)で表される2価の基の中でも、素子寿命と素子特性の観点から、前記式(3−1)で表される2価の基が好ましい。
【0096】
−その他の基−
本発明の高分子化合物は、前記式(1)で表される金属錯体の残基と、前記式(3−1)〜(3−5)で表される2価の基とに加えて、さらに、下記式(4):

[式中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表す。Ar5、Ar6及びAr7はそれぞれ独立に、アリール基又は1価の複素環基を表す。Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6及びAr7は置換基を有していてもよい。a及びbはそれぞれ独立に、0又は1を示し、0≦a+b≦1である。#は結合手を表す。]
で表される基を含んでいてもよい。
【0097】
前記式(4)中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4で表されるアリーレン基は、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた原子団であり、縮合環を持つもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン基等を介して結合したものも含まれる。アリーレン基は置換基を有していてもよい。アリーレン基における置換基を除いた部分の炭素数は、通常、6〜60であり、好ましくは6〜20である。アリーレン基の置換基を含めた全炭素数は、通常6〜100である。
【0098】
前記式(4)中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4で表される2価の複素環基は、後述のAr’で表される2価の複素環基の項で説明し例示するものと同じである。
【0099】
前記式(4)中、Ar5、Ar6及びAr7で表されるアリール基及び1価の複素環基は、前記Rで表されるアリール基及び1価の複素環基として説明し例示したものと同じである。
【0100】
前記式(4)中、アリーレン基、2価の複素環基、アリール基及び1価の複素環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基及びニトロ基が挙げられる。これらの置換基は、前記金属錯体を構成する配位子が有していてもよい置換基として説明し例示したものと同じである。
【0101】
前記式(4)で表される基として、以下の式で表される基が挙げられる。







[式中、Rbは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、又はシアノ基を表す。これらの基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。複数存在するRbは、同一であっても異なっていてもよい。#は結合手を表す。]
【0102】
−金属錯体の残基の位置−
本発明の高分子化合物としては、
1.分子鎖の主鎖に金属錯体の残基を有する高分子化合物;
2.分子鎖の末端に金属錯体の残基を有する高分子化合物;
3.分子鎖の側鎖に金属錯体の残基を有する高分子化合物;
等が挙げられる。
【0103】
分子鎖の主鎖に金属錯体の残基を有する高分子化合物は、例えば、下記式のいずれかで表される。

[式中、M1、M2は金属錯体の残基を表す。p及びqは重合度を表す。該式中に限り、実線は分子鎖を表す。]
【0104】
前記M1としては、以下の式で表される金属錯体の残基(2価)が挙げられる。

[式中、#及びRは、前記と同じ意味を有する。]
【0105】
前記M2としては、以下の式で表される金属錯体の残基(3価)が挙げられる。

[式中、#及びRは、前記と同じ意味を有する。]
【0106】
分子鎖の末端に金属錯体の残基を有する高分子化合物は、例えば、下記式で表される。

[式中、M3は金属錯体の残基を表す。該式中に限り、実線は分子鎖を表す。Lは、単結合、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−Si(R68)(R69)−、N(R70)−、−B(R71)−、−P(R72)−、−P(=O)(R73)−、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基、置換されていてもよいアルキニレン基、置換されていてもよいアリーレン基、又は置換されていてもよい2価の複素環基を表す。R68、R69、R70、R71、R72及びR73は、前記と同じ意味を有する。]
【0107】
前記M3としては、以下の式で表される金属錯体の残基(1価)が挙げられる。
【0108】

【0109】

【0110】

【0111】

[式中、#及びRは、前記と同じ意味を有する。]
【0112】
分子鎖の側鎖に金属錯体の残基を有する高分子化合物としては、金属錯体の残基が1価の基である高分子化合物が挙げられる。
【0113】
前記分子鎖は、例えば、式:−(Ar’)−で表される繰り返し単位を有する。該式中、Ar’は、1〜4個の−L−M3で示される基を有する2価の芳香族基、又は酸素原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる原子と、1〜4個の−L−M3で示される基とを有する2価の複素環基を表す。L及びM3は前記と同じ意味を有する。Lで表されるアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基が−CH2−基を含む場合、該アルキレン基に含まれる−CH2−基の1個以上、該アルケニレン基に含まれる−CH2−基の1個以上、該アルキニレン基に含まれる−CH2−基の1個以上が、それぞれ、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−Si(R74)(R75)−、N(R76)−、−B(R77)−、−P(R78)−及び−P(=O)(R79)−からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい。R74、R75、R76、R77、R78及びR79は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を表す。Ar’は、−L−M3で示される基以外に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい。Ar’が複数の置換基を有する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0114】
前記式中、R68、R69、R70、R71、R72、R73、R74、R75、R76、R77、R78及びR79で表されるアルキル基、アリール基、1価の複素環基及びシアノ基、並びにAr’が有していてもよい置換基であるアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基は、前記Rで表される基、原子として、説明し例示したものと同じである。
【0115】
Ar’としては、以下の式で表される基が挙げられる。
【0116】

【0117】

[式中、#、L、R及びM3は前記と同じ意味を有する。]
【0118】
Lで表されるアルキレン基は、炭素数が通常1〜30であり、好ましくは1〜15である。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等が例示される。
【0119】
Lで表されるアルケニレン基は、炭素数が通常2〜30であり、好ましくは2〜15である。アルケニレン基としては、ビニレン基、プロピレン基等が挙げられる。アルケニレン基には、1,3−ブタジエニレン基等のアルカジエニレン基も含まれる。
【0120】
Lで表されるアルキニレン基は、炭素数が通常2〜30であり、好ましくは2〜15である。アルキニレン基としては、エチニレン基等が例示される。アルキニレン基には、三重結合を2個有する基も含まれ、例えば、1,3−ブタンジイニレン基が挙げられる。
【0121】
Lで表されるアリーレン基は、芳香族炭化水素化合物から2個の水素原子を除いた基を表し、芳香環を構成する炭素数は通常6〜30であり、好ましくは6〜15である。アリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ペンタレンジイル基、インデンジイル基、ヘプタレンジイル基、インダセンジイル基、トリフェニレンジイル基、ビナフチルジイル基、フェニルナフチレンジイル基、スチルベンジイル基、フルオレンジイル基等が挙げられる。
【0122】
Lで表される2価の複素環基とは、複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。2価の複素環基の炭素数は、通常、2〜30であり、好ましくは2〜15である。なお、2価の複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。2価の複素環基は、2価の芳香族複素環基であることが好ましい。2価の複素環基としては、ピリジンジイル基、ジアザフェニレン基、キノリンジイル基、キノキサリンジイル基、アクリジンジイル基、ビピリジルジイル基、フェナントロリンジイル基が挙げられる。
【0123】
Lは、高分子化合物の合成のし易さと発光特性の観点から、単結合、−O−、メチレン基、エチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ビニレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、及びピリジンジイル基が好ましく、フェニレン基及びピリジンジイル基がより好ましい。
【0124】
本発明の高分子化合物は、電荷輸送性や電荷注入性等を大きく損なわない高分子化合物が好ましく、キャリア(電子又は正孔)輸送性が優れる共役系高分子がより好ましい。
【0125】
本発明の高分子化合物は、前記式(1)で表される金属錯体の残基を含む繰り返し単位、及び前記式(3−1)〜(3−5)で表される2価の基を含む繰り返し単位を有する場合、発光特性や電化輸送特性を損なわない範囲で、その他の繰り返し単位を含んでいてもよい。この場合、前記式(1)で表される金属錯体の残基を含む繰り返し単位、及び前記式(3−1)〜(3−5)で表される2価の基を含む繰り返し単位の合計が、全繰り返し単位の10モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることが特に好ましい。
【0126】
本発明の高分子化合物を赤色発光材料として用いる場合、本発明の高分子化合物のEL発光スペクトルのピーク波長は、550〜800nmであることが好ましく、570〜700nmであることがより好ましい。
【0127】
<組成物>
本発明の組成物は、前記高分子化合物を含み、好ましくは更に電荷輸送材料及び/又は発光材料を含む。
【0128】
前記電荷輸送材料は、正孔輸送材料と電子輸送材料に分類され、当該材料には、有機化合物(低分子有機化合物及び/又は高分子有機化合物)を用いることができる。
【0129】
前記正孔輸送材料としては、芳香族アミン、カルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体等、有機EL素子の正孔輸送材料として公知のものが挙げられる。前記電子輸送材料としては、有機EL素子に電子輸送材料として公知のもの、例えば、オキサジアゾール誘導体アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体が挙げられる。前記電荷輸送材料の低分子有機化合物とは、低分子有機EL素子に用いられるホスト化合物、電荷注入輸送化合物を意味し、具体的には、例えば、「有機ELディスプレイ」(時任静士、安達千波矢、村田英幸共著、オーム社)107頁、月刊ティスプレイ(vol.9、No.9、2003年26−30頁)、特開2004−244400号公報、特開2004−277377号公報等に記載の化合物が挙げられる。これら電荷輸送材料の種類にもよるが、一般的には、金属錯体からの良好な発光を得るためには、これら電荷輸送材料の最低三重項励起エネルギーが、金属錯体の最低三重項励起エネルギーよりも大きいことが好ましい。
【0130】
前記電荷輸送材料の低分子有機化合物としては、以下の式で表される化合物が挙げられる。
【0131】

【0132】

【0133】

【0134】

【0135】
前記電荷輸送材料の高分子有機化合物としては、非共役系高分子、共役系高分子が挙げられる。非共役系高分子としては、ポリビニルカルバゾール等が挙げられる。共役系高分子としては、主鎖に芳香環を含むポリマーが挙げられ、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいフルオレン、置換基を有していてもよいジベンゾチオフェン、置換基を有していてもよいジベンゾフラン、置換基を有していてもよいジベンゾシロール等を繰り返し単位として主鎖に含むものや、それらのユニットとの共重合体が好ましい。前記高分子有機化合物としては、置換基を有していてもよいベンゼン環を部分構造として有する高分子化合物や、特開2003−231741号公報、特開2004−059899号公報、特開2004−002654号公報、特開2004−292546号公報、US5708130、WO99/54385、WO00/46321、WO02/077060、「有機ELディスプレイ」(時任静士、安達千波矢、村田英幸 共著、オーム社)111頁、月刊ディスプレイ(vol.9、No.9、2002年)47−51頁等に記載の高分子も挙げられる。
【0136】
前記電荷輸送材料の高分子有機化合物としては、その他にも、前記式(3a)又は(3b)で表される繰り返し単位を含む高分子が挙げられ、例えば、下記の基(即ち、下記の例示において、括弧を除いたもの)を含む高分子、下記の基を繰り返し単位として含む高分子が挙げられる。



[式中、#は結合手を表す。]
【0137】
前記電荷輸送材料の低分子有機化合物又は高分子有機化合物の最低三重項励起エネルギー(TH)と、金属錯体の最低三重項励起エネルギー(TM)とが、
TH>TM−0.2(eV)
の関係を満たすことが好ましい。
【0138】
前記電荷輸送材料の高分子有機化合物を用いる場合、該高分子有機化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは1×103〜1×108、さらに好ましくは1×104〜1×106である。また、該高分子のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1×103〜1×108であり、さらに好ましくは5×104〜5×106である。
【0139】
前記発光材料としては、ナフタレン誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系等の色素類、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体等の低分子発光材料等が挙げられる。
【0140】
本発明の組成物における本発明の高分子化合物の配合量は、組み合わせる有機化合物の種類や、最適化したい特性により異なるが、本発明の組成物の全体量を100重量部としたとき、通常、0.01〜80重量部であり、好ましくは0.1〜60重量部である。前記金属錯体は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0141】
<素子>
本発明の素子は、本発明の高分子化合物を含むものであり、例えば、陽極及び陰極からなる電極と、該電極間に設けられ本発明の高分子化合物を含む層とを有する素子である。以下、その代表的なものとして、本発明の素子が発光素子である場合について説明する。
【0142】
本発明の発光素子は、陽極と陰極からなる一対の電極と、該電極間に少なくとも発光層を有する一層(単層型)又は複数層(多層型)からなる薄膜が挟持されているものである。該薄膜層の少なくとも1層は、本発明の高分子化合物を含有する。前記薄膜中の本発明の高分子化合物の合計含有量は、発光層全体の重量に対して、通常、0.1〜100重量%であり、0.1〜80重量%であることが好ましく、0.5〜60重量%であることがより好ましい。本発明の発光素子は、前記発光層が、本発明の高分子化合物を発光材料として含有することが好ましい。
【0143】
本発明の発光素子が前記単層型である場合には、前記薄膜が発光層であり、この発光層が本発明の高分子化合物を含有する。また、本発明の発光素子が多層型である場合には、例えば、以下の構成をとる。
(a)陽極/正孔注入層(正孔輸送層)/発光層/陰極
(b)陽極/発光層/電子注入層(電子輸送層)/陰極
(c)陽極/正孔注入層(正孔輸送層)/発光層/電子注入層(電子輸送層)/陰極
【0144】
本発明の発光素子の陽極は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層等に正孔を供給するものであり、4.5eV以上の仕事関数を有することが効果的である。陽極の材料には、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物等を用いることができる。陽極の材料としては、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの導電性金属酸化物と金属との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質、ポリアニリン類、ポリチオフェン類(PEDOT等)、ポリピロール等の有機導電性材料、これらとITOとの積層物等が挙げられる。
【0145】
本発明の発光素子の陰極は、電子注入層、電子輸送層、発光層等に電子を供給するものである。陰極の材料としては、金属、合金、金属ハロゲン化物、金属酸化物、電気伝導性化合物又はこれらの混合物を用いることができ、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)並びにそのフッ化物及び酸化物、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウム、セシウム等)並びにそのフッ化物及び酸化物、金、銀、鉛、アルミニウム、合金及び混合金属類(ナトリウム−カリウム合金、ナトリウム−カリウム混合金属、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−アルミニウム混合金属、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−銀混合金属等)、希土類金属(インジウム、イッテルビウム等)等が挙げられる。
【0146】
本発明の発光素子の正孔注入層及び正孔輸送層は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているものであればよい。これらの層の材料には、公知の材料を適宜選択して使用できるが、例えば、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、有機シラン誘導体、本発明の高分子化合物等、これらを含む重合体等が挙げられる。その他にも、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマーが挙げられる。これらの材料は1成分単独であっても複数の成分が併用されていてもよい。また、前記正孔注入層及び前記正孔輸送層は、前記材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0147】
本発明の発光素子の電子注入層及び電子輸送層は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有しているものであればよい。電子注入層及び電子輸送層に用いられる材料としては、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、本発明の高分子化合物等が挙げられる。また、前記電子注入層及び前記電子輸送層は、前記材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0148】
また、本発明の発光素子において、電子注入層、電子輸送層の材料としては、絶縁体又は半導体の無機化合物も使用することもできる。電子注入層、電子輸送層が絶縁体や半導体で構成されていれば、電流のリークを有効に防止して、電子注入性を向上させることができる。このような絶縁体としては、アルカリ金属カルコゲニド、アルカリ土類金属カルコゲニド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物を使用できる。好ましいアルカリ金属カルコゲニドとしては、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、CaSeが挙げられる。また、電子注入層、電子輸送層を構成する半導体としては、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Li、Na、Cd、Mg、Si、Ta、Sb及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含む酸化物、窒化物又は酸化窒化物等が挙げられる。これら酸化物、窒化物及び酸化窒化物は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0149】
本発明において、陰極と接する薄膜との界面領域に還元性ドーパントが添加されていてもよい。還元性ドーパントとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体及び希土類金属錯体からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物が好ましい。
【0150】
本発明の発光素子の発光層は、電圧印加時に陽極又は正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極又は電子注入層より電子を注入することができる機能、注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能、電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能を有するものである。本発明の発光素子の発光層は、本発明の高分子化合物を含有することが好ましく、該高分子化合物をゲスト材料とするホスト材料を含有させてもよい。前記ホスト材料としては、例えば、フルオレン骨格を有するもの、カルバゾール骨格を有するもの、ジアリールアミン骨格を有するもの、ピリジン骨格を有するもの、ピラジン骨格を有するもの、トリアジン骨格を有するもの、アリールシラン骨格を有するもの等が挙げられる。前記ホスト材料のT1(最低三重項励起状態のエネルギーレベル)は、ゲスト材料のそれより大きいことが好ましく、その差が0.2eVよりも大きいことがさらに好ましい。前記ホスト材料は低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。また、前記ホスト材料と前記金属錯体等の発光材料とを混合して塗布するか、或いは共蒸着等することによって、前記発光材料が前記ホスト材料にドープされた発光層を形成することができる。
【0151】
本発明の発光素子では、前記各層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法(抵抗加熱蒸着法、電子ビーム法等)、スパッタリング法、LB法、分子積層法、塗布法(キャスティング法、スピンコート法、バーコート方、ブレードコート法、ロールコート法、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット法等)等が挙げられる。これらの中では、製造プロセスを簡略化できる点で、塗布で成膜することが好ましい。前記塗布法では、本発明の高分子化合物を溶媒に溶解して塗布液を調製し、該塗布液を所望の層(又は電極)上に、塗布・乾燥することによって形成することができる。該塗布液中には、ホスト材料及び/又はバインダーとして樹脂を含有させてもよく、該樹脂は溶媒に溶解状態とすることも、分散状態とすることもできる。前記樹脂としては、非共役系高分子(例えば、ポリビニルカルバゾール)、共役系高分子(例えば、ポリオレフィン系高分子)を使用することができる。より具体的には、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等から目的に応じて選択できる。溶液は、任意成分として、酸化防止剤、粘度調整剤等を含有してもよい。
【0152】
−光電素子−
本発明の高分子化合物は、光電素子の製造に用いることができる。
【0153】
光電素子としては、光電変換素子等が挙げられ、例えば、少なくとも一方が透明又は半透明な二個の電極間に、本発明の高分子化合物を含む層が設けられた素子や、基板上に製膜した本発明の高分子化合物を含む層上に形成した櫛型電極を有する素子等が挙げられる。特性を向上するために、フラーレンやカーボンナノチューブ等を混合してもよい。
【0154】
光電変換素子の製造方法としては、特許第3146296号公報に記載の方法が挙げられ、例えば、第一の電極を有する基板上に本発明の高分子化合物を含む層(薄膜)を形成し、その上に第二の電極を形成する方法、基板上に形成した一組の櫛型電極の上に本発明の高分子化合物を含む層(薄膜)を形成する方法等が挙げられる。第一又は第二の電極のうち一方が透明又は半透明である。
【0155】
本発明の高分子化合物を含む層(薄膜)の形成方法やフラーレンやカーボンナノチューブを混合する方法としては、発光素子で例示したものが好適に利用できる。
【0156】
<液状組成物>
本発明の液状組成物は、本発明の高分子化合物と、溶媒又は分散媒とを含有してなるものである。本発明の液状組成物に用いられる溶媒、分散媒としては、薄膜の成分を均一に溶解又は分散し安定なものを公知の溶媒から適宜選択して使用できる。このような溶媒としては、塩素系溶媒(クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、芳香族炭化水素系溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレン等)、脂肪族炭化水素系溶媒(シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等)、多価アルコール及びその誘導体(エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等)、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等)、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド等)、アミド系溶媒(N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等)等が挙げられる。これらの溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0157】
前記液状組成物をインクジェット法に適用する場合には、該液状組成物の吐出性及びその再現性を良好にするために、該液状組成物は公知の添加剤を含有していてもよい。この公知の添加剤としては、ノズルからの蒸発を押さえるために高沸点の溶媒(アニソール、ビシクロヘキシルベンゼン等)等が挙げられる。そして、この公知の添加剤を含有してなる液状組成物は、25℃における粘度が1〜100mPa・sであることが好ましい。
【0158】
本発明の発光素子の各層の好ましい膜厚は、材料の種類や層構成によって異なるが、一般的には膜厚が薄すぎるとピンホール等の欠陥が生じやすく、逆に厚すぎると高い印加電圧が必要となり発光効率が悪くなるため、通常、数nm〜1μmが好ましい。
【0159】
本発明の発光素子の用途としては、面状光源、照明用光源(又は、光源)、サイン用光源、バックライト用光源、ディスプレイ装置、プリンターヘッド等が挙げられる。前記ディスプレイ装置としては、公知の駆動技術、駆動回路等を用い、セグンメント型、ドットマトリクス型等の構成を選択することができる。
【0160】
<製造方法>
本発明の高分子化合物は、例えば、前記式(5)で表される金属錯体と、前記式(6−1)、(6−2)、(6−3)、(6−4)又は(6−5)で表される化合物とを反応させる方法を含む製造方法により合成することができる。
【0161】
前記式(5)中、W1及びW2で表される重合反応性基としては、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アリールアルキルスルホニルオキシ基、ホウ酸エステル残基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化されたメチル基、−MgX(Xはハロゲン原子を表す)、スタニル基、−B(OH)2、ホルミル基、シアノ基等が挙げられ、−B(OH)2、ホウ酸エステル残基、−MgX、スタニル基、ハロゲン原子が好ましい。
【0162】
前記重合反応性基であるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくは臭素原子である。
【0163】
前記重合反応性基であるアルキルスルホニルオキシ基としては、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0164】
前記重合反応性基であるアリールスルホニルオキシ基としては、フェニルスルホニルオキシ基、p−トリルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0165】
前記重合反応性基であるアリールアルキルスルホニルオキシ基としては、ベンジルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0166】
前記重合反応性基であるホウ酸エステル残基としては、ジアルキルエステル残基、ジアリールエステル残基、ジアリールアルキルエステル残基等が挙げられ、下記式で表される基が好ましい。

[式中、#は結合手を表す。]
【0167】
スルホニウムメチル基としては、下記式で表される基が挙げられる。
−CH2+Me2-、−CH2+Ph2-
[式中、Xはハロゲン原子を表し、Phはフェニル基を表す。]
【0168】
ホスホニウムメチル基としては、下記式で示される基が挙げられる。
−CH2+Ph3-
[式中、Xはハロゲン原子を表す。]
【0169】
ホスホネートメチル基としては、下記式で示される基が挙げられる。
−CH2PO(ORc2
[式中、Xはハロゲン原子を表す。Rcは、アルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基を表す。]
【0170】
モノハロゲン化されたメチル基としては、モノフルオロメチル基、モノクロロメチル基、モノブロモメチル基、モノヨードメチル基が挙げられる。
【0171】
−MgXとしては、−MgCl、−MgBr、−MgIが挙げられる。
【0172】
スタニル基としては、置換基を有していてもよいスタニル基が挙げられ、スタニル基、トリクロロスタニル基、トリメチルスタニル基、トリエチルスタニル基、トリ−n−ブチルスタニル基、トリフェニルスタニル基、トリベンジルスタニル基が挙げられる。
【0173】
前記重合反応性基としては、Yamamotoカップリング反応等の0価ニッケル錯体を用いる場合には、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アリールアルキルスルホニルオキシ基が好ましく、Suzukiカップリング反応等のニッケル触媒、パラジウム触媒を用いる場合には、アルキルスルホニルオキシ基、ハロゲン原子、ホウ酸エステル残基、−B(OH)2が好ましい。
【0174】
本発明の高分子化合物の製造は、例えば、モノマーとなる、重合に関与する置換基を複数有する化合物を、必要に応じて有機溶媒に溶解し、アルカリや適当な触媒を用い、有機溶媒の融点以上沸点以下で行うことができる。本発明の高分子の製造方法としては、“オルガニック リアクションズ(Organic Reactions)”,第14巻,270〜490頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1965年、 “オルガニック シンセシス(Organic Syntheses)”,コレクティブ第6巻(Collective Volume VI),407−411頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1988年、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年)、ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(J.Organomet.Chem.),第576巻,147頁(1999年)、マクロモレキュラー ケミストリー マクロモレキュラー シンポジウム(Makromol.Chem.,Macromol.Symp.),第12巻,229頁(1987年)等に記載の公知の方法を用いることができる。
【0175】
本発明の製造方法において、前記式(5)と前記式(6−1)〜(6−5)で表される化合物の重合反応性基に応じて、既知の縮合反応を用いることができる。また、重合反応性基を2個以上有する化合物の共存下で重合を行うことにより、高分子化合物(共重合体)を製造することができるし、重合反応性基を3個以上有する化合物を共重合することにより分岐構造を有する高分子化合物を製造することができる。
【0176】
本発明の製造方法において、前記縮合反応が二重結合を生成する反応である場合、その反応としては、特開平5−202355号公報に記載の方法、即ち、ホルミル基を有する化合物とホスホニウムメチル基を有する化合物、又はホルミル基とホスホニウムメチル基とを有する化合物のWittig反応による重合、ビニル基を有する化合物とハロゲン原子を有する化合物とのHeck反応による重合、モノハロゲン化されたメチル基を2個以上有する化合物の脱ハロゲン化水素法による重縮合、スルホニウムメチル基を2個以上有する化合物のスルホニウム塩分解法による重縮合、ホルミル基を有する化合物とシアノ基を有する化合物とのKnoevenagel反応による重合等の方法、ホルミル基を2個以上有する化合物のMcMurry反応による重合等の方法が挙げられる。
【0177】
本発明の製造方法において、前記縮合反応が三重結合を生成する反応である場合、その反応としては、Heck反応、Sonogashira反応が挙げられる。
【0178】
また、二重結合や三重結合を生成しない場合には、例えば、対応するモノマーからSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)錯体により重合する方法、FeCl3等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、適切な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法等が挙げられる。
【0179】
これらの中でも、Wittig反応による重合、Heck反応による重合、Knoevenagel反応による重合、及びSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法及びニッケルゼロ価錯体により重合する方法が、分子量制御のし易さの観点、共重合における組成比制御のし易さの観点で好ましい。
【0180】
本発明の製造方法において、重合反応性基W1及びW2が−B(OH)2、ホウ酸エステル残基又はハロゲン原子であり、全原料化合物が有する、ハロゲン原子のモル数の合計(J)と、−B(OH)2及びホウ酸エステル残基のモル数の合計(K)との比が実質的に1(通常、K/Jは、0.7〜1.2)であり、かつ、ニッケル触媒又はパラジウム触媒を用いて縮合重合することが好ましい。
【0181】
これらの製造方法において、原料化合物としては、ジハロゲン化化合物と、ジホウ酸化合物又はジホウ酸エステル化合物との組み合わせ;ハロゲン−ホウ酸化合物、ハロゲン−ホウ酸エステル化合物等が挙げられる。
【0182】
また、本発明の高分子化合物で分子鎖の末端に金属錯体の残基(即ち、前記M3で表される金属錯体の残基)を有する高分子化合物は、前記式(6−1)〜(6−5)で表される化合物を含む縮合重合反応の末端にある重合反応性基と、前記式(5)においてm1=1で表される化合物との反応により合成することができる。
【0183】
本発明の製造方法では、副反応を抑制するために使用前に十分に脱酸素処理を施した有機溶媒を用いて、不活性雰囲気化で反応を進行させることが好ましい。必要に応じて、脱水処理を行ってもよい。但し、Suzukiカップリング反応のような水との2相系での反応の場合にはその限りではない。
【0184】
本発明の製造方法で用いてもよい前記有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の不飽和炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等のエーテル類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン等のアミン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルモルホリンオキシド等のアミド類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0185】
本発明の製造方法では、反応を促進するために適宜アルカリや適当な触媒を添加してもよい。これらのアルカリ又は触媒は、反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい。アルカリ又は触媒を混合する方法としては、反応液をアルゴンや窒素等の不活性雰囲気下で攪拌しながらゆっくりとアルカリ又は触媒の溶液を添加するか、アルカリ又は触媒の溶液に反応液をゆっくりと添加する方法が挙げられる。
【0186】
前記式(5)で表される化合物は、例えば、前記式(1a)で表される化合物から製造することができる。まず、前記式(1a)で表される化合物を溶媒に溶かし、N−ブロモスクシンイミドを加えて反応させると、下記式(5a)で表される化合物が生成する。この反応において、塩化メチレン等のハロゲン系炭化水素系溶媒等を用いることができる。

[式中、m1、m2、M、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、前記と同じ意味を有する。]
【0187】
前記式(5a)で表される化合物を更に反応させ、重合反応性基を有する化合物へと変換することができる。具体的には、前記式(5a)で表される化合物とビス(ピナコラート)ジボロンとをパラジウム触媒下で反応させることにより、ホウ酸エステル残基を重合反応性基として有する下記式(5b)で表される化合物へと変換することができる。

[式中、m1、m2、M、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、前記と同じ意味を有する。]
【0188】
また、本発明の高分子化合物は、前記式(12)で表される化合物と前記式(6−1)、(6−2)、(6−3)、(6−4)又は(6−5)で表される化合物とを反応させる方法を含む製造方法により合成することができる。
【0189】
前記式(12)中、W3で表される重合反応性基としては、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アリールアルキルスルホニルオキシ基、ホウ酸エステル残基、−MgX(Xはハロゲン原子を表す)、スタニル基及び−B(OH)2等が挙げられ、−B(OH)2、ホウ酸エステル残基、−MgX、スタニル基、ハロゲン原子が好ましい。
【0190】
前記式(12)中、W3で表される重合反応性基のハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アリールアルキルスルホニルオキシ基、ホウ酸エステル残基、−MgX及びスタニル基は、前述のW1及びW2で表される重合反応性基として説明し例示したものと同じである。
【0191】
前記式(12)で表される化合物としては、以下に示す化合物が挙げられる。
【0192】

【0193】

[式中、W3、L、R及びM3は前記と同じ意味を有する。]
【実施例】
【0194】
以下、本発明をより詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0195】
高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)により求めた。なお、該SECの分析条件として、下記の分析条件1または分析条件2に示す方法を用いた。
[分析条件1]
測定する高分子化合物は、約0.05重量%の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、SECに50μL注入した。SECの移動相としてテトラヒドロフランを用い、0.6mL/分の流速で流した。カラムとして、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本とを直列に繋げて用いた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。
[分析条件2]
測定する高分子化合物は、約0.05重量%の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、SECに10μL注入した。SECの移動相としてテトラヒドロフランを用い、2.0mL/分の流速で流した。カラムとして、PLgel MIXED−B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV−VIS検出器(島津製作所製、商品名:SPD−10Avp)を用いた。
また、LC−MSの測定は、下記の方法で行った。測定試料を約2mg/mLの濃度になるようにクロロホルム又はテトラヒドロフランに溶解させて、LC−MS(アジレント・テクノロジー製、商品名:1100LCMSD)に約1μL注入した。LC−MSの移動層には、約0.1重量%の酢酸を加えたイオン交換水と、約0.1重量%の酢酸を加えたアセトニトリルとを比率を変化させながら用い、0.2mL/分の流量で流した。カラムは、L−column 2 ODS(3μm)(化学物質評価研究機構製、内径:2.1mm、長さ:100mm、粒径3μm)を用いた。
また、NMRの測定は、下記の方法で行った。測定試料5〜10mgを約0.5mLの重クロロホルム、重ジメチルスルホキシド又は重テトラヒドロフランに溶解させて、NMR(バリアン(Varian,Inc.)製、商品名:MERCURY 300)を用いて測定した。
【0196】
<合成例1>(金属錯体(MC−5)の合成)
[合成方法1]
・5-ブロモ-2-フェニルピリジンの合成
反応容器に、2,5-ジブロモピリジン(7.11g、30mmol)、トルエン(130mL)、フェニルホウ酸(4.57g、37.5mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.73g、1.5mmol)を量りとり、窒素気流下、50℃で撹拌しながら反応物を溶解させた。これに2 M 炭酸ナトリウム水溶液(30mL)を加えて、80℃で6時間撹拌した。得られた反応溶液の有機層を回収し、炭酸ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後に留去した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トルエン)で精製し、溶媒を留去して、5-ブロモ-2-フェニルピリジン(6.21g、26.5 mmol)を得た。
【0197】
・金属錯体(complex1,2)の合成

反応容器に、5-ブロモ-2-フェニルピリジン(7.39g、30mmol)、塩化イリジウム三水和物(4.76g、13.5mmol)、2-エトキシエタノール(58mL)、及び水(19mL)を量り取り、窒素気流下、140℃で16時間加熱した。空冷後、得られた反応混合物を濾別し、水、メタノール、ヘキサンの順で洗浄することにより、黄色固体として、上記式で表される金属錯体(complex 1、9.10g、6.58mmol)を得た。
反応容器に、金属錯体(complex 1、6.94g、5.0mmol)、5-ブロモ-2-フェニルピリジン(7.32g、30.0mmol)及びジグライム(43mL)を量り取り、トリフルオロメタンスルホン酸銀(2.57g、10.0mmol)を加え、130℃で14時間撹拌した。得られた反応物を濾別し、固体を塩化メチレン(1.3 L)に溶解させた。この溶液を濾過し、濾液を約150mL程度に濃縮した。析出した固体を濾別回収し、ヘキサンで洗浄することにより、上記式で表される金属錯体(complex2、6.35g、7.1mmol)を得た。
LC-MS (positive) m/z : 890 ([M+H]+)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6)
δ 6.51 (d, J = 7.8 Hz, 3 H), δ 6.72 (m, 3 H), δ 6.84 (m, 3 H), δ 7.66 (d, J = 2.0 Hz, 3 H), δ 7.80 (d, J = 7.8 Hz, 3 H), δ 8.05 (dd, J = 2.0, 8.8 Hz, 3 H),δ 8.14 (d, J = 8.8 Hz, 3 H)
【0198】
・金属錯体(complex3)の合成

窒素気流下、反応容器に、金属錯体(complex2、3.27g、3.7mmol)、酢酸カリウム(3.27g、33.3mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(3.38g、13.3mmol)、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(245mg、0.44mmol)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン付加体(361mg、0.44mmol)、及びテトラヒドロフラン(400mL)を量りとり、30時間還流した。得られた反応溶液を濃縮し、塩化メチレン(150mL)を加えて溶解させた後に、ろ過した。この濾液をシリカゲルクロマトグラフィー(塩化メチレン)で精製し、溶媒を留去して残渣をジエチルエーテルで洗浄することにより、上記式で表される金属錯体(complex3、2.55g、2.47mmol)を得た。
LC-MS (positive) m/z : 1072 ([M+K]+)
1H NMR (300 MHz, CDCl3)
δ 1.21 (s, 36 H), δ 6.87 (m, 9 H), δ 7.69 (d, J = 7.7 Hz, 3 H), δ 7.82 (s, 3 H), δ 7.86 (m, 6 H)
【0199】
・4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2−クロロ−1,3,5−トリアジンの合成

アルゴン気流下、反応容器に、1−ブロモ−4−tert-ブチルベンゼン(125 g、587 mmol)とテトラヒドロフラン(470 mL)を仕込み、−70℃に冷却した。これに、n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.6M、367 mL、587 mmol)を−70℃で90分かけて滴下し、滴下終了後−70℃で2時間攪拌して4−tert−ブチルフェニルリチウム/THF溶液を得た。アルゴン気流下、別の反応容器に塩化シアヌル(50.8g、276 mmol)とテトラヒドロフラン(463mL)を仕込み、−70℃に冷却した。これに、先に調製した4−tert−ブチルフェニルリチウム/THF溶液を、反応温度が−60℃以下となるように冷却しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応溶液を−40℃で4時間、室温で4時間攪拌した。この反応混合物に水(50mL)を加えて反応を終了させ、テトラヒドロフランを留去した。この残渣に水(1L)とクロロホルム(2L)を加えて有機層を抽出し、さらに水(1L)で有機層を洗浄した後に溶媒を留去した。この残渣をアセトニトリル(600mL)に溶解させ熱時濾過で不溶固体を取り除いた。得られた濾液を100mL程度まで濃縮し、−70℃に冷却させて析出した固体を濾別回収した。回収した固体をクロロホルム(200mL)/ヘキサン(600mL)混合溶媒に溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン)で精製した。溶媒を留去し、この残渣をアセトニトリルから再結晶することにより、4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2−クロロ−1,3,5−トリアジン(41.3g、109mmol)を得た。
LC-MS (APPI, positive) m/z : 380 ([M+H]+)
1H NMR (300 MHz, CDCl3)
δ 1.39 (s, 18 H), δ 7.56 (d, J = 8.4 Hz, 4 H), δ 8.54 (d, J = 8.4 Hz, 4 H)
【0200】
・金属錯体(MC−5)の合成

窒素気流下、反応容器に、金属錯体(complex3、546mg、0.53 mmol)、4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2−クロロ−1,3,5−トリアジン(702mg、1.85 mmol)、炭酸セシウム(1.73g、5.31mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(196mg、0.17mmol)、及びテトラヒドロフラン(53mL)を量りとり、9時間還流した。得られた反応溶液を濃縮し、これにトルエンを加えて溶解させた。この溶液を濾過し、濾液をシリカゲルクロマトグラフィーで2回精製した(1回目、展開溶媒:トルエン、2回目、展開溶媒:ヘキサン/トルエン=1/1)。溶媒を留去し、残渣をメタノールで洗浄することにより、上記式で表される金属錯体(MC−5、257mg、0.15mmol)を得た。
LC-MS (APCI, positive) m/z : 1686 ([M+H]+)
1H NMR (300 MHz, CDCl3)
δ 1.20 (s, 54 H), δ 6.96 (m, 9 H), δ 7.39 (d, J = 8.4 Hz, 12 H),δ 7.83 (d, J = 7.5 Hz, 3 H),δ 8.18 (d, J = 8.4 Hz, 3 H),δ 8.36 (d, J = 8.4 Hz, 12 H),δ 9.14 (d, J = 8.4 Hz, 3 H),δ 9.33 (s, 3 H)
【0201】
[合成方法2]
金属錯体(MC−5)は、以下の方法でも合成することが可能であった。
・化合物(L−2)の合成

窒素気流下、反応容器に5−ブロモ−2−フェニルピリジン(3.99g、純度88%、15mmol)と脱水ジエチルエーテル40mLを量り取り、−78℃に冷却した。これに、n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.56M、11.5 mL、18 mmol)を15分かけて滴下した。滴下終了後、得られた反応溶液を−78℃で1時間撹拌し、次いで、トリイソプロポキシボラン3.39g(18mmol)を加え、−78℃で1時間、室温で5時間撹拌した。得られた反応溶液を0℃に冷却し、5重量%水酸化ナトリウム水溶液200mLをゆっくり滴下して加水分解した。得られた反応溶液から分液操作で水層を回収し、これを3N塩酸でpHが7になるまで中和した。得られた白濁溶液に酢酸エチル(500mL)を加え、有機層を抽出した。この有機層から溶媒を留去し、残渣をエーテルで洗浄することにより化合物(L−1、2.53g、13mmol)を得た。
反応容器に、2−クロロ−4,6−ビス(4’−tert−ブチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(4.61g、純度87%、11mmol)、化合物(L−1、2.43g、12mmol)、トルエン(44mL)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(490mg、0.4mmol)を量りとり、窒素気流下、50℃で撹拌しながら固形分を溶解させた。こうして得られた溶液に2M 炭酸ナトリウム水溶液(11mL)を加えて、9時間還流した。得られた反応溶液の有機層を回収し、炭酸水素ナトリウム水溶液50mL(2回)及び飽和食塩水50mL(1回)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後に溶媒を留去した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トルエン)で精製し、溶媒を留去した。残渣をクロロホルム/エタノール溶媒を用いて結晶化させた。結晶を濾別回収し、乾燥させることにより、化合物(L−2、3.09g、6.2mmol)を得た。
LC−MS(APPI, positive) m/z : 499([M+H]+)
1H NMR(300MHz、CDCl3
δ 1.42 (s, 18 H), δ 7.52 (m, 3 H), δ 7.62 (d, J = 6.8 Hz, 4 H), δ 7.95 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), δ 8.16 (d, J = 7.3 Hz, 2 H), δ 8.69 (d, J = 6.8 Hz, 4 H), δ 9.04 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), δ 10.02 (s, 1 H).
【0202】
・金属錯体(MC−5)の合成

反応容器に、化合物(L−2、1.39g、2.8mmol)、塩化イリジウム三水和物(425mg、1.2mmol)、2−エトキシエタノール(7mL)、及び水(2mL)を量り取り、窒素気流下、140℃で9時間加熱した。空冷後、得られた混合物を濾別し、残渣をメタノール(50mL)、ヘキサン(20mL)の順で洗浄することにより、赤色固体として、上記式で表される金属錯体(complex4、1.58g)を得た。
反応容器に、金属錯体(complex4、1.48g、0.6mmol)、化合物(L−2、1.46g、2.9mmol)、及びジグライム(5mL)を量り取り、トリフルオロメタンスルホン酸銀(313mg、1.2mmol)を加え、150℃で18時間撹拌した。得られた反応物を濾別し、固体をメタノール(100mL)で洗浄した。これをトルエン(40mL)に溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トルエン)で精製し、溶媒を留去した。残渣をメタノールで洗浄し、トルエン/アセトニトリル溶液中で結晶化させた。得られた結晶を濾別回収し、減圧乾燥することにより、上記式で表される金属錯体(MC−5、1.00g、0.6mmol)を得た。
【0203】
<実施例1>(高分子化合物1の合成・評価)
・金属錯体(MC−6、MC−7)の合成

アルゴン気流下、反応容器に合成例1で得られた金属錯体(MC−5、2.03g、1.20 mmol)と塩化メチレン(200mL)を量りとり、金属錯体を溶解させた。これにN−ブロモスクシンイミド (221mg、1.24mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣にトルエン(50mL)を加えて溶解させた。このトルエン溶液をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した(展開溶媒:トルエン)。溶出した溶液を回収し、溶媒を留去した後に、残渣にヘキサン/トルエン(2/1)混合溶液(400mL)を加えて溶解させた。この溶液を再びシリカゲルクロマトグラフィーで精製した(展開溶媒:ヘキサン/トルエン=2/1)。二番目に溶出する成分を回収し、溶媒を留去した後に、残渣をメタノールで洗浄することにより、上記式で表される金属錯体(MC−6、1.55g、0.88mmol)を得た。また、一番目に溶出する成分を回収し、溶媒を留去した後に、残渣をメタノールで洗浄することにより、上記式で表される金属錯体(MC−7、315mg、0.17mmol)を得た。
金属錯体(MC−6)
LC-MS (APCI,positive) m/z : 1765 ([M+H]+)
1H NMR (300 MHz,CDCl3)
δ 1.20 (s, 54 H), δ 6.85-7.00 (m, 10 H), δ 7.39 (d, J = 7.8 Hz, 12 H), δ 7.83 (d, J = 7.3 Hz, 2 H), δ 7.91 (s, 1 H), δ 8.14 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), δ 8.19 (d, J = 8.6 Hz, 2 H), δ 8.36 (d, J = 7.8 Hz, 12 H), δ 9.16 (m, 3 H), δ 9.28 (s, 1 H), δ 9.33 (s, 2 H).
金属錯体(MC−7)
LC-MS (APCI,positive) m/z : 1844 ([M+H]+)
1H NMR (300 MHz, CDCl3)
δ 1.20 (s, 54 H), δ 6.85 (dd, J = 8.6, 9.0 Hz, 2 H), δ 8.97 (m, 5 H), δ 7.39 (d, J = 8.1 Hz, 12 H), δ 7.82 (d, J = 7.5 Hz, 1 H), δ 7.91 (s, 2 H), δ 8.17 (m, 3 H), δ 8.35 (d, J = 8.1 Hz, 12 H), δ 9.17 (m, 3 H), δ 9.28 (s, 2 H), δ 9.32 (s, 1 H).
【0204】
・高分子化合物1の合成
不活性雰囲気下、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(0.53g)、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(0.19g)、2,7−ジブロモ−9,9−ジヘキシルフルオレン(0.20g)ビス(4−ブロモフェニル)−(4−sec−ブチルフェニル)−アミン(0.092g)、金属錯体(MC−6)(0.18g)、Aliquat336(0.13g,アルドリッチ製)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライド(0.7mg)、トルエン(26ml)を混合し、105℃に加熱した。この反応溶液に2M Na2CO3水溶液(10ml)を滴下し、4時間還流させた。反応後、フェニルホウ酸(0.12g)を加え、再び105℃で5時間、加熱した。冷却後、3重量%酢酸水溶液(20ml)で3回、水(20ml)で3回洗浄し、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(200ml)に滴下し、1時間撹拌した後、得られた固体をろ取し乾燥させたところ、下記式で表される繰り返し単位を以下のモル比で有する高分子化合物1が250mg得られた。分析条件1で測定した高分子化合物1のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は5.4×104であり、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は3.1×104であった。

【0205】
・高分子化合物1のEL発光の特性
前記高分子化合物1の1.0重量%キシレン溶液と、下記式で表される繰り返し単位を以下のモル比で有するポリマーI(ポリスチレン換算の重量平均分子量:2.7×105、ポリスチレン換算の数平均分子量:7.9×104)の0.5重量%キシレン溶液とを調製した。

(式中、#は結合手を表す。)
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、商品名:BaytronP)を用いて、スピンコートにより65nmの厚みで溶液の成膜を行い、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、上記で調製したポリマーIのキシレン溶液を用いてスピンコートにより、2000rpmの回転速度で成膜し、窒素ガス雰囲気下180℃で60分間乾燥した。この基板を室温に戻した後、上記で調製した高分子化合物1のキシレン溶液を用いて、スピンコートにより2000rpmの回転速度で成膜した。得られた膜の平均膜厚は約80nmであった。これを窒素ガス雰囲気下130℃で10分間乾燥した後、陰極としてバリウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、EL素子を作製した。なお、真空度が1×10-4Pa以下に到達した後、金属の蒸着を開始した。
得られたEL素子に電圧を引加することにより、605nmにピークを有する赤色のEL発光が得られた。該素子は、約10.5Vで1000cd/m2の発光を示した。最大発光効率は1.29cd/Aであった。
【0206】
<実施例2>(高分子化合物2の合成・評価)
不活性雰囲気下、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(0.53g)、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(0.16g)、2,7−ジブロモ−9,9−ジヘキシルフルオレン(0.20g)ビス(4−ブロモフェニル)−(4−セカンダリブチルフェニル)−アミン(0.092g)、金属錯体(MC−7)(0.18g)、Aliquat336(0.13g,アルドリッチ製)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライド(0.7mg)、トルエン(26ml)を混合し、105℃に加熱した。この反応溶液に2M Na2CO3水溶液(10ml)を滴下し、4時間還流させた。反応後、フェニルホウ酸(0.12g)を加え、再び105℃で5時間、加熱した。冷却後、3重量%酢酸水溶液(20ml)で3回、水(20ml)で3回洗浄し、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(200ml)に滴下し、1時間撹拌した後、得られた固体をろ取し乾燥させたところ、下記式で表される繰り返し単位を以下のモル比で有する高分子化合物2が320mg得られた。分析条件1で測定した高分子化合物2のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は3.8×104であり、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は2.1×104であった。

【0207】
・高分子化合物2のEL発光の特性
実施例1において、高分子化合物1に代えて高分子化合物2を用いた以外は実施例1と同様にして、EL素子を作製した。得られたEL素子に電圧を引加することにより、605nmにピークを有する赤色のEL発光が得られた。このEL素子は、約10.8Vで1000cd/m2の発光を示した。最大発光効率は5.02cd/Aであった。
【0208】
<実施例3>(組成物Aの調製・評価)
・高分子化合物3の合成
ジムロートを接続した200mLセパラブルフラスコに、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジホウ酸エチレングリコールエステル 1.93g(3.6mmol)、9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン 0.834g(1.5mmol)、9,9−ジヘキシル−2,7−ジブロモフルオレン 0.829g(1.7mmol)、N,N−ビス(4−ブロモフェニル)−N−4−s−ブチルフェニルアミン 0.387g(0.84mmol)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat336、アルドリッチ社製) 0.52g、及びトルエン40mLを加えた。窒素雰囲気下、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド 2.8mgを加え、95℃に加熱した。得られた溶液に、17.5重量%炭酸ナトリウム水溶液 11mLを30分かけて滴下しながら105℃に加熱した後、105℃で3時間攪拌した。9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジホウ酸エチレングリコールエステル 21mg(0.08mmol)を加えて、105℃で1時間攪拌した。再度、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジホウ酸エチレングリコールエステル 21mg(0.08mmol)を加えて、105℃で1時間攪拌した。次に、フェニルホウ酸 46mgを溶解させたトルエン溶液40mL、及びビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド 2.8mgを加え、さらに17.5重量%炭酸ナトリウム水溶液 11mLを15分かけて滴下し105℃で21時間攪拌した。
得られた溶液から、水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物 2.21g、イオン交換水 43mLを加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水 52mL(2回)、3重量%酢酸水溶液 52mL(2回)、イオン交換水 52mL(2回)の順番で洗浄した。
有機層をメタノール 800mLに滴下し、沈殿物を濾過後乾燥し固体を得た。この固体をトルエン 100mLに溶解させ、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムに溶液を通液した。ロータリーエバポレーターを使って、濾液中のトルエンを一部留去した。この溶液をメタノール 400mLに滴下し、沈殿物を濾過後乾燥したところ、下記式で表される繰り返し単位を以下のモル比で有する高分子化合物3が2.20g得られた。分析条件1で測定した高分子化合物3のポリスチレン換算の数平均分子量Mnは2.0×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは3.9×104であった。

【0209】
・組成物AのEL発光特性
実施例1において、高分子化合物1の1.0重量%キシレン溶液に代えて、高分子化合物1(15重量部)と高分子化合物3(85重量部)との混合物の1.0重量%キシレン溶液(「組成物A」と言う。)を用いた以外は、実施例1と同様にしてEL素子を作製した。得られた素子に電圧を引加することにより、600nmにピークを有する赤色のEL発光が得られた。この素子は、約6.9Vで1000cd/m2の発光を示した。また、最大発光効率は1.16cd/Aであった。
【0210】
<実施例4>(組成物Bの調製・評価)
・組成物BのEL発光特性
実施例1において、高分子化合物1の1.0重量%キシレン溶液に代えて、高分子化合物2(15重量部)と高分子化合物3(85重量部)との混合物の1.0重量%キシレン溶液(「組成物B」と言う。)を用いた以外は、実施例1と同様にしてEL素子を作製した。得られた素子に電圧を引加することにより、600nmにピークを有する赤色のEL発光が得られた。この素子は、約7.5Vで1000cd/m2の発光を示した。また、最大発光効率は1.25cd/Aであった。
【0211】
<実施例5>(金属錯体(MC−9)の合成)
・化合物M−1の合成

窒素ガス雰囲気下、2,7−ジブロモフルオレノン(75g、0.22mol)、ヘキシルベンゼン(334ml、1.78mol)、及びトリフルオロメタンスルホン酸(42ml)を室温で攪拌した中へ、メルカプトスルホン酸ナトリウム(8.1g、44mmol)を加え、45℃で9時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却した後、ヘキサン1L中に注いだ。減圧蒸留(105.5℃、20hPa)により余剰のヘキシルベンゼンを留去し、ヘキサンで希釈した後、メタノールに中に注ぎ、析出した2,7−ジブロモフルオレノンをろ過により除去した。得られたろ液を濃縮した後、トルエンで希釈し、イソプロピルアルコールを加えて、固体を析出させた。得られた固体をトルエン/イソプロピルアルコールで再結晶することにより、白色結晶の化合物M−1(53g、収率49%)を得た。
1H−NMR (300MHz, CDCl3) δ 0.88 (t, 3H), 1.20-1.45 (m, 6H), 1.54-1.62 (m, 2H), 2.57 (t, 2H), 4.96 (s, 1H), 6.94 (d, 2H), 7.10 (d, 2H), 7.42 (s, 2H), 7.48 (dd, 2H), 7.60 (d, 2H).
【0212】
・化合物M−2の合成

窒素ガス雰囲気下、化合物M−1(10g、20.6mmol)、4−フルオロニトロベンゼン(3.5g、24.8mmol)、及び炭酸カリウム(4.3g、31.0mmol)を、脱水N,N−ジメチルホルムアミド(35ml)中で、加熱還流下、6時間攪拌した。室温まで冷却した後、得られた溶液を攪拌しながら、その中へ水300mlをゆっくりと加え、そのまま一晩室温で攪拌した。析出した固体を減圧ろ過してろ取し、さらに水でろ過器上の固体を洗浄した。得られた固体を真空乾燥して、化合物M−2(13.6g)を得た。
1H−NMR (300MHz, THF-d8)δ 0.91 (t,3H), 1.24-1.42 (m,6H), 1.55-1.61 (m,2H), 2.59 (t,2H), 7.07-7.16 (m,4H), 7.43 (d,2H), 7.59 (dd,2H), 7.64 (s,2H), 7.82 (d,2H), 8.11 (d,2H).
【0213】
・化合物M−3の合成

窒素ガス雰囲気下、化合物M−2(12.9g、21mmol)、エタノール(153ml)、及び塩化スズ(II)二水和物(18.6g、8mmol)の混合物を、加熱還流下、6時間攪拌した。室温まで冷却した後、約60gとなるまで減圧濃縮した。得られた溶液を氷水(150g)に攪拌しながら加えた。氷が溶解した後、得られた水溶液に40重量%水酸化ナトリウム水溶液を溶液のpHが10を超えるまで加えた後、トルエン200mlで2回抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥、減圧濃縮した後、再結晶(トルエン−ヘキサン)して、化合物M−3(10g、収率97%)を得た。
1H−NMR (300MHz, CDCl3) δ 0.87 (t,3H), 1.20-1.40 (m,6H), 1.52-1.57 (m,2H), 2.54 (t,2H), 6.54 (d,2H), 6.91 (d,2H), 7.02-7.06 (m,4H), 7.42-7.48 (m,4H), 7.54 (d,2H).
LC−MS(APPI, positive) m/z+=574 [M+H]+
【0214】
・化合物M−4の合成

3L三角フラスコに化合物M−3を50g(87mmol)仕込み、撹拌しながら濃塩酸21.7mlをゆっくりと加えた。そこに、水100mlを加えた後、アセトニトリルを2L加えて溶液を調製し、アイスバスを用いて0℃に冷却した。得られた溶液に、亜硝酸ナトリウム6.4g(93mmol)を水20mlで溶かした水溶液をゆっくり加え、0℃で30分撹拌した(これを「溶液a」とする。)。
別の3L三角フラスコに炭酸カリウム18.4g(133mmol)、ジエチルアミン12.8g(174mmol)を仕込み、水128mlを加えて0℃で撹拌した(これを「溶液b」とする。)。
溶液bに溶液aを撹拌しながらゆっくりと加え、さらに30分間0℃で撹拌した後、アイスバスを取り除き、室温で1時間撹拌した。得られた反応溶液をクロロホルム3Lで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してクロロホルムを留去した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル1L、カラムの直径6cm×高さ60cm、溶離液(ヘキサン:クロロホルム=10:1(体積比)))により精製し、目的とする化合物M−4を51g、収率89%で得た。
1H−NMR (300MHz, THF-d8) δ 7.80 (d, J = 8.13 Hz, 2H), 7.62 (d, J = 1.74 Hz, 2H), 7.56 (dd, J = 8.10 Hz and 1.74 Hz, 2H), 7.27-7.34 (m, 2H), 7.08-7.17 (m, 6H), 3.79 (q, J = 7.14 Hz, 4H), 2.61 (m, 2H), 1.57-1.70 (m, 2H), 1.32-1.46 (m, 6H), 1.18-1.32 (m, 6H), 0.94 (t, J = 6.57 Hz, 3H).
【0215】
・化合物M−5の合成

1L一口ナスフラスコに撹拌子を仕込み、化合物M−4を51g(77mmol)、ヨウ素39.2g(154mmol)及びヨウ化メチル500ml(8mol)を加え、15分間撹拌しながらアルゴンガスをバブリングした。窒素雰囲気下で、オイルバス90℃で加熱しながら6時間撹拌した後、溶媒を留去した。そこにクロロホルム500mlを加えて溶液とし、シリカゲル250mlを敷いたグラスフィルター(直径:7.5cm)を用いて濾過し、クロロホルム1Lで洗浄した。得られたクロロホルム溶液を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた混合物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル1L、カラムの直径6cm×高さ60cm、溶離液(ヘキサン:クロロホルム=10:1(体積比)))により精製し、さらにヘキサン-エタノール混合溶媒から再沈殿を行うことで目的とする化合物M−5を白色固体として34.6g、収率67%で得た。
1H−NMR (300MHz, CDCl3) δ7.54-7.62 (m, 3H), 7.43-7.52 (m, 4H), 7.22-7.52 (m, 1H), 7.13 (d, J = 7.41Hz, 1H), 6.98-7.10 (m, 4H), 6.89 (d, J = 7.53Hz, 1H), 2.56 (t, J = 8.01Hz, 2H), 1.58 (br, 2H), 1.20-1.40 (br, 6H), 0.89 (t, J = 5.64Hz, 3H)。
LC−MS(APPI, positive) m/z+=684 [M-]+.
【0216】
・金属錯体(MC−8)の合成

アルゴン気流下、反応容器に、金属錯体(MC−6、4.60g、2.5mmol)、酢酸カリウム(0.75g、7.6mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(0.96g、3.8mmol)、 [1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II) ジクロロメタン付加体(0.13g、0.15mmol)、及びテトラヒドロフラン(167mL)を量りとり、15時間還流させた。得られた反応溶液を濃縮し、ヘキサン/トルエン(2/1(体積比))混合溶液(400mL)を加えて溶解させた。得られた溶液をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/トルエン=1/1(体積比))で精製し、溶媒を留去して残渣をメタノールで洗浄することにより、上記式で表される金属錯体(MC−8、3.67g、2.0mmol)を得た。
1H NMR (300MHz, r.t., CHCl3)
δ 1.20 (s, 36 H), δ 1.22 (s, 18 H), δ 1.30 (s, 12 H), δ 6.87-7.01 (m, 6 H), δ 7.09 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), δ 7.29 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), δ 7.40 (d, J = 8.1 Hz, 12 H), δ 7.82 (d, J = 7.2 Hz, 2 H), δ 8.18 (dd, J = 3.3, 8.4 Hz, 2 H), δ 8.27 (s, 1 H), δ 8.36 (d, J = 7.8 Hz, 12 H), δ 9.14 (d, J = 8.4 Hz, 3 H), δ 9.30 (s, 2 H), δ 9.32 (s, 1 H).
LC-MS (APCI,positive) m/z : 1812 ([M+H]+)
【0217】
・金属錯体(MC−9)の合成

アルゴン気流下、反応容器に、金属錯体(MC−8、2.71g、1.5mmol)、化合物(M−5、1.05g、1.5mmol)、水酸化テトラエチルアンモニウム 20重量%水溶液(2.64g、3.6mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(61mg、0.05mmol)、及びテトラヒドロフラン(60mL)を量りとり、室温で2.5時間攪拌した。得られた反応溶液を濃縮し、ヘキサン/トルエン(1.5/1(体積比))混合溶液(150mL)を加えて溶解させた。得られた溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させた後に、溶液を濾過した。濾液をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/トルエン=1.5/1(体積比))で精製し、溶媒を留去して残渣をメタノールで洗浄することにより、上記式で表される金属錯体(MC−9、2.59g、1.2mmol)を得た。
1H NMR (300MHz, r.t., CHCl3)
δ 0.88 (m, 3 H), δ 1.20 (s, 54 H), δ 1.26-1.29 (m, 6 H), δ 1.58 (br, 2 H), δ 2.55 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), δ 6.91-7.16 (m, 14 H), δ 7.39 (d, J = 8.4 Hz, 12 H), δ 7.44-7.58 (m, 8 H), δ 7.83 (m, 2 H), δ 7.99 (s, 1 H), δ 8.19 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), δ 8.24 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), δ 8.36 (d, J = 8.4 Hz, 12 H), δ 9.15 (d, J = 8.6 Hz, 3 H), δ 9.34 (s, 3 H).
LC-MS (APCI,positive) m/z : 2245 ([M+H]+)
【0218】
<実施例6>(高分子化合物4の合成・評価)
・高分子化合物4の合成
ジムロートを接続した200mL3つ口フラスコに、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジホウ酸エチレングリコールエステル 1.06g(2.0mmol)、9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン 0.99g(1.8mmol)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(2,6−ジメチル−4−tert−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン 0.15g(0.20mmol)、金属錯体(MC−6,89mg、0.05mmol)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat336、アルドリッチ社製) 0.26g、及びトルエン20mLを加えた。そこに、窒素雰囲気下、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド 1.4mgを加え、85℃に加熱した。得られた溶液に、17.5重量%炭酸ナトリウム水溶液 5.4mLを滴下しながら105℃に加熱した後、6時間攪拌した。次に、フェニルホウ酸 0.24g、及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド 1.7mgとトルエン20mLを加え、105℃で14時間攪拌した。
得られた溶液にN,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.22g、及びイオン交換水12mLを加え、85℃で3時間攪拌した。そこにトルエン62mLを加えて有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水26mL(2回)、3重量%酢酸水溶液26mL(2回)、イオン交換水26mL(2回)の順番で洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール330mLに滴下しポリマーを沈殿させ、1時間撹拌した後、得られた沈殿物を濾過し、乾燥させて、固体を得た。この固体をトルエン62mLに溶解させ、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムに溶液を通液した。得られた溶液をメタノール350mLに滴下し、1時間撹拌した後、得られた固体をろ取し乾燥させたところ、下記式で表される繰り返し単位を以下のモル比で有する高分子化合物4が1.34g得られた。分析条件2で測定した高分子化合物4のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は1.5×105であり、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は5.7×104であった。

【0219】
・高分子化合物4のEL発光の特性
実施例1において、高分子化合物1に代えて高分子化合物4を用い、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液をバイエル社製(商品名:BaytronP)に代えてエイチ・シー・スタルク社製(商品名:CLEVIOS P AI4083)を用いた以外は実施例1と同様にして、EL素子を作製した。得られたEL素子に電圧を引加することにより、605nmにピークを有する赤色のEL発光が得られた。このEL素子は、約10.2Vで1000cd/m2の発光を示した。最大発光効率は8.05cd/Aであった。
【0220】
<実施例7>(高分子化合物5の合成・評価)
・高分子化合物5の合成
ジムロートを接続した200mL3つ口フラスコに、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジホウ酸エチレングリコールエステル1.06g(2.0mmol)、9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン1.00g(1.8mmol)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(2,6−ジメチル−4−tert−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン0.15g(0.20mmol)、金属錯体(MC−9,85mg、0.04mmol)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat336、アルドリッチ社製)0.26g、及びトルエン20mLを加えた。そこに、窒素雰囲気下、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド1.4mgを加え、85℃に加熱した。得られた溶液に、17.5重量%炭酸ナトリウム水溶液5.4mLを滴下しながら105℃に加熱した後、4.5時間攪拌した。次に、フェニルホウ酸0.25g、及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド1.5mgとトルエン20mLを加え、105℃で12時間攪拌した。
得られた溶液にN,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.22g、及びイオン交換水12mLを加え、85℃で2時間攪拌した。そこにトルエン62mLを加えて有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水26mL(2回)、3重量%酢酸水溶液26mL(2回)、イオン交換水26mL(2回)の順番で洗浄した。
洗浄後の有機層をメタノール360mLに滴下したところ沈殿が生じ、2時間撹拌を継続した。次いで、沈殿物を濾過した後、乾燥させて固体を得た。この固体をトルエン110mLに溶解させ、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムに溶液を通液した。得られた溶液をメタノール600mLに滴下し、1時間撹拌した後、得られた固体をろ取し乾燥させたところ、下記式で表される繰り返し単位を以下のモル比で有する高分子化合物5が1.37g得られた。分析条件2で測定した高分子化合物5のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は2.1×105であり、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は8.7×104であった。

【0221】
・高分子化合物5のEL発光の特性
実施例1において、高分子化合物1に代えて高分子化合物5を用い、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液をバイエル社製(商品名:BaytronP)に代えてエイチ・シー・スタルク社製(商品名:CLEVIOS P AI4083)を用いた以外は実施例1と同様にして、EL素子を作製した。得られたEL素子に電圧を引加することにより、605nmにピークを有する赤色のEL発光が得られた。このEL素子は、約10.9Vで1000cd/m2の発光を示した。最大発光効率は8.99cd/Aであった。
【0222】
<比較例1>(高分子化合物6の合成・評価)
・高分子化合物6の合成
金属錯体MC−10は、特開2004-531485号公報に記載の方法で合成した。

ジムロートを接続した200mL3つ口フラスコに、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジホウ酸エチレングリコールエステル1.06g(2.0mmol)、9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン0.95g(1.8mmol)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(2,6−ジメチル−4−tert−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン0.14g(0.19mmol)、金属錯体(MC−10、111mg、0.12mmol)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat336、アルドリッチ社製)0.26g、及びトルエン20mLを加えた。そこに、窒素雰囲気下、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド 1.5mgを加え、85℃に加熱した。得られた溶液に、17.5重量%炭酸ナトリウム水溶液 5.4mLを滴下しながら105℃に加熱した後、4時間攪拌した。そこに、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド1.7mgを加え、105℃でさらに4.5時間攪拌した。次に、得られた溶液に、フェニルホウ酸0.24g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド1.5mg、及びトルエン20mLを加え、105℃で12時間攪拌した。
そこに、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.22g、イオン交換水12mLを加え、85℃で3時間攪拌した。得られた溶液にトルエン62mLを加えて有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水26mL(2回)、3重量%酢酸水溶液26mL(2回)、イオン交換水26mL(2回)の順番で洗浄した。洗浄後の有機層を約20mLに濃縮し、これをメタノール400mLに滴下したところ、沈殿物が生じ、1時間撹拌を継続した。次いで、沈殿物を濾過した後、乾燥させ固体を得た。この固体をトルエン62mLに溶解させ、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムに溶液を通液した。この溶液を約30mLに濃縮し、メタノール400mLに滴下しポリマーを沈殿させた。これを1時間撹拌した後、得られた固体をろ取し乾燥させたところ、下記式で表される繰り返し単位を以下のモル比で有する高分子化合物6が1.13g得られた。分析条件2で測定した高分子化合物6のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は3.2×104であり、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は1.0×104であった。

【0223】
・高分子化合物6のEL発光の特性
実施例1において、高分子化合物1に代えて高分子化合物6を用い、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液をバイエル社製(商品名:BaytronP)に代えてエイチ・シー・スタルク社製(商品名:CLEVIOS P AI4083)を用いた以外は実施例1と同様にして、EL素子を作製した。得られたEL素子に電圧を引加することにより、470nmにピークを有する白色のEL発光が得られた。このEL素子は、約11.6Vで1000cd/m2の発光を示した。最大発光効率は0.24cd/Aであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):

[式中、Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム又は白金の金属原子を表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、若しくはシアノ基を表すか、又はR1及びR2、R2及びR3、R3及びR4、R4及びR5、若しくはR5及びR6が結合して環を形成していてもよい。mは1〜3の整数であり、nは0〜2の整数である。R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。但し、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5の少なくとも2個は、窒素原子である。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5のいずれかが炭素原子である場合には、該炭素原子に結合する水素原子は置換基により置換されていてもよい。下記式(2):

で表される部分は、モノアニオン性の2座配位子を表す。Rx及びRyは、金属原子Mに結合する原子であり、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表す。モノアニオン性の2座配位子が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
で表される金属錯体の残基と、
下記式(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)又は(3−5):

[式中、#は結合手を表す。Y1は、−C(R9)(R10)−、−O−C(R17)(R18)−、−O−、−S−、−B(R11)−、−Si(R12)(R13)−、−P(R14)−、−P(R15)(=O)−又は−N(R16)−を表す。R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。]
で表される2価の基とを含む高分子化合物。
【請求項2】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8が、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、若しくはシアノ基を表すか、又はR3及びR4、若しくはR5及びR6が結合して環を形成していてもよい、請求項1に記載の高分子化合物。
【請求項3】
前記式(1)で表される金属錯体が、下記式(1a)又は(1b):

[式中、M、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びmは、前記と同じ意味を有する。m’及びn’は、それぞれ独立に、1又は2である。]
で表される金属錯体である請求項1又は2に記載の高分子化合物。
【請求項4】
前記式(1)で表される金属錯体が、下記式(1c)又は(1d):

[式中、M、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、m、n及び前記式(2)で表されるモノアニオン性の2座配位子は、前記と同じ意味を有する。R’は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、又はシアノ基を表す。複数存在するR’は同一であっても異なっていてもよい。]
で表される金属錯体である請求項1又は2に記載の高分子化合物。
【請求項5】
前記Mが白金原子又はイリジウム原子である請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項6】
前記式(1)で表される金属錯体の残基が、1〜3価の基である請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項7】
前記式(1)で表される金属錯体の残基と前記式(3−1)で表される基とを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項8】
さらに、下記式(4):

[式中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表す。Ar5、Ar6及びAr7はそれぞれ独立に、アリール基又は1価の複素環基を表す。Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6及びAr7は置換基を有していてもよい。a及びbはそれぞれ独立に、0又は1を示し、0≦a+b≦1である。#は結合手を表す。]
で表される基を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項9】
EL発光スペクトルのピーク波長が550〜800nmの発光を示す請求項1〜8のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の高分子化合物を含む組成物。
【請求項11】
さらに溶媒又は分散媒を含む請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の高分子化合物を含む膜。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の高分子化合物を含む素子。
【請求項14】
前記素子が発光素子である請求項13に記載の素子。
【請求項15】
請求項14に記載の素子を用いた面状光源。
【請求項16】
請求項14に記載の素子を用いた照明。
【請求項17】
下記式(5):

[式中、W1は重合反応性基を表す。m1は1〜3の整数であり、m2は0〜2の整数である。Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム又は白金の金属原子を表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、若しくはシアノ基を表すか、又はR1及びR2、R2及びR3、R3及びR4、R4及びR5、若しくはR5及びR6が結合して環を形成していてもよい。R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。但し、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5の少なくとも2個は、窒素原子である。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5のいずれかが炭素原子である場合には、該炭素原子に結合する水素原子は置換基により置換されていてもよい。]
で表される金属錯体と、
下記式(6−1)、(6−2)、(6−3)、(6−4)又は(6−5):

[式中、W2は重合反応性基を表す。複数存在するW2は、同一であっても異なっていてもよい。Y1は、−C(R9)(R10)−、−O−C(R17)(R18)−、−O−、−S−、−B(R11)−、−Si(R12)(R13)−、−P(R14)−、−P(R15)(=O)−又は−N(R16)−を表す。R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。]
で表される化合物とを反応させることを含む、
下記式(1):

[式中、Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム又は白金の金属原子を表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、若しくはシアノ基を表すか、又はR1及びR2、R2及びR3、R3及びR4、R4及びR5、若しくはR5及びR6が結合して環を形成していてもよい。mは1〜3の整数であり、nは0〜2の整数である。R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。但し、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5の少なくとも2個は、窒素原子である。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5のいずれかが炭素原子である場合には、該炭素原子に結合する水素原子は置換基により置換されていてもよい。下記式(2):

で表される部分は、モノアニオン性の2座配位子を表す。Rx及びRyは、金属原子Mに結合する原子であり、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表す。モノアニオン性の2座配位子が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
で表される金属錯体の残基と、
下記式(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)又は(3−5):

[式中、#は結合手を表す。Y1は、−C(R9)(R10)−、−O−C(R17)(R18)−、−O−、−S−、−B(R11)−、−Si(R12)(R13)−、−P(R14)−、−P(R15)(=O)−又は−N(R16)−を表す。R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。]
で表される2価の基とを含む高分子化合物の製造方法。
【請求項18】
前記W1及びW2が、−B(OH)2、ホウ酸エステル残基、−MgX(Xはハロゲン原子を表す。)、スタニル基又はハロゲン原子である請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
下記式(5):

[式中、W1は重合反応性基を表す。m1は1〜3の整数であり、m2は0〜2の整数である。W1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム又は白金の金属原子を表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、若しくはシアノ基を表すか、又はR1及びR2、R2及びR3、R3及びR4、R4及びR5、若しくはR5及びR6が結合して環を形成していてもよい。R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。但し、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5の少なくとも2個は、窒素原子である。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5のいずれかが炭素原子である場合には、該炭素原子に結合する水素原子は置換基により置換されていてもよい。]
で表される金属錯体。
【請求項20】
下記式(11a)又は(11b):

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、若しくはシアノ基を表すか、又はR1及びR2、R2及びR3、R3及びR4、R4及びR5、若しくはR5及びR6が結合して環を形成していてもよい。R’は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、又はシアノ基を表す。Aはアリール基又は1価の複素環基を表す。複数存在するR’及びAは、各々、同一であっても異なっていてもよい。]
で表される化合物。
【請求項21】
下記式(12):

[式中、W3は重合反応性基を表す。複数存在するW3は、同一であっても異なっていてもよい。Ar’は、1〜4個の−L−M3で示される基を有する2価の芳香族基、又は酸素原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる原子と、1〜4個の−L−M3で示される基とを有する2価の複素環基を表す。Lは、単結合、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−Si(R68)(R69)−、N(R70)−、−B(R71)−、−P(R72)−、−P(=O)(R73)−、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基、置換されていてもよいアルキニレン基、置換されていてもよいアリーレン基、又は置換されていてもよい2価の複素環基を表す。M3は、下記式(1):

(式中、Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム又は白金の金属原子を表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、若しくはシアノ基を表すか、又はR1及びR2、R2及びR3、R3及びR4、R4及びR5、若しくはR5及びR6が結合して環を形成していてもよい。mは1〜3の整数であり、nは0〜2の整数である。R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。但し、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5の少なくとも2個は、窒素原子である。Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5のいずれかが炭素原子である場合には、該炭素原子に結合する水素原子は置換基により置換されていてもよい。下記式(2):

で表される部分は、モノアニオン性の2座配位子を表す。Rx及びRyは、金属原子Mに結合する原子であり、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表す。モノアニオン性の2座配位子が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
で表される金属錯体の1価の残基を表す。L及びM3は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。R68、R69、R70、R71、R72及びR73は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を表す。]
で表される化合物。

【公開番号】特開2010−43243(P2010−43243A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145141(P2009−145141)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(506061668)サメイション株式会社 (51)
【Fターム(参考)】