説明

金属錯体化合物の酸化触媒としての使用

本発明は、ヒドラジドリガンドを有する金属錯体化合物の酸化触媒としての使用に関する。本発明の更なる態様は、前記金属錯体化合物を含む製剤、新規な金属錯体化合物及び新規なリガンドである。前記金属錯体化合物は特に、例えばテキスタイル材料の処理時に繊維及び染色に目に見えるダメージを引き起こすことなくペルオキシドの作用を強化するために使用される。前記金属錯体を酵素または酵素の混合物と一緒に使用しても繊維及び染色に目に見えるダメージはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドラジドリガンドを有する金属錯体化合物の酸化触媒としての使用に関する。本発明の更なる態様は、前記金属錯体化合物を含む製剤、新規な金属錯体化合物及び新規なリガンドである。
【0002】
金属錯体化合物は、例えばテキスタイル材料の処理時に繊維及び染色に目に見えるダメージを引き起こすことなくペルオキシドの作用を強化するために特に使用される。金属錯体を酵素または酵素の混合物と一緒に使用しても繊維及び染色に目に見えるダメージはない。
【0003】
金属錯体化合物は、ペルオキシド化合物及び/またはペルオキシド形成物質を使用することなく分子酸素及び/または空気を用いる酸化用触媒としても使用され得る。繊維を金属錯体を含む製剤で処理している間及び/またはその後にファブリックが漂白され得る。
【背景技術】
【0004】
ペルオキシド含有漂白剤は洗濯及び清掃作業において長い間使用されてきた。この漂白剤は90℃以上の液温で優れた作用を有しているが、この性能は低温では顕著に低下する。適当な塩の形態で添加した各種の遷移金属イオン及び前記カチオンを含有する配位化合物がH2O2を活性化することは知られている。こうすると、低温では不満足なH2O2またはH2O2を放出する前駆物質及び他のペルオキソ化合物の漂白効果を向上させることができる。この点で、これらは実際の目的のために重要であり、特にペルオキシド活性化が対象物に対する酸化に対して高い傾向で発現し、カタラーゼ様不均化においてだけ発現するわけではない遷移金属イオン及びリガンドの組合せは重要である。本発明ではむしろ望ましくない傾向にある後者の活性化は低温では不十分なH2O2及びその誘導体の漂白効果を低下させることさえある。
【0005】
有効な漂白作用を有するH2O2活性化の点から、各種リガンド、特に1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン及び場合により酸素含有架橋リガンドを有するマンガン錯体の単核及び多核変種が現在特に有効であると見なされている。前記触媒は実際の条件下で十分に安定であり、Mnn+と一緒にエコロジー上許容される金属カチオンを含有しているが、前記触媒を使用すると残念ながら染料及び繊維に対して顕著なダメージが生ずる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、上記要件を満たし、特に目に見えるダメージを引き起こすことなく多種多様な応用分野でペルオキシド化合物の作用を強化する酸化プロセス用の改良された金属錯体触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様は、式(1):
[LnMemXp]zYq (1)
[式中、
Meはマンガン、チタン、鉄、コバルト、ニッケルまたは銅であり、
Xは配位または架橋基であり、
n及びmは各々他とは無関係に1〜8の値を有する整数であり、
pは0〜32の値を有する整数であり、
zは金属錯体の電荷であり、
Yは対イオンであり、
qはz/(Yの電荷)であり、
Lは式(2):
【化1】

{式中、
sは0または1であり;
Aは
【化2】

を示し;
R6はA、或いは水素、C1-C28アルキル、C2-C28アルケニル、C2-C22アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12シクロアルケニル、C7-C28アラルキル、C1-C20ヘテロアルキル、C3-C12シクロヘテロアルキル、C5-C16ヘテロアラルキル、未置換もしくは置換アリールまたはヘテロアリール、またはOHを示し;
R'6は水素、C1-C28アルキル、C2-C28アルケニル、C2-C22アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12シクロアルケニル、C7-C28アラルキル、C1-C20ヘテロアルキル、C3-C12シクロヘテロアルキル、C5-C16ヘテロアラルキル、未置換もしくは置換アリールまたはヘテロアリール、またはOHを示し;
は式(2)を有する構造への結合/連結を表し;
R1
【化3】

、或いは水素、C1-C28アルキル、C2-C28アルケニル、C2-C22アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12シクロアルケニル、C7-C28アラルキル、C1-C20ヘテロアルキル、C3-C12シクロヘテロアルキル、C5-C16ヘテロアラルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、未置換もしくは置換アリール、未置換もしくは置換ヘテロアリール、
-COOR13または-SO3R13
(ここで、R13は各々の場合水素、カチオン、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-SR14、-SO2R14または-OR14
(ここで、R14は各々の場合水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-NR15R16、-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N+R15R16R17、-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N[(C1-C6アルキレン)-NR15R16]2、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N[(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17]2、-N(R14)-N-R15R16または-N(R14)-N+R15R16R17
(ここで、
R14は上に定義した通りであり、
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、未置換もしくは置換の追加のヘテロ原子を含有していてもよい5、6または7員環を形成する)
を示し;
R7
【化4】

、或いは水素、C1-C28アルキル、C2-C28アルケニル、C2-C22アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12シクロアルケニル、C7-C28アラルキル、C1-C20ヘテロアルキル、C3-C12シクロヘテロアルキル、C5-C16ヘテロアラルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、
-COOR13または-SO3R13
(ここで、R13は各々の場合水素、カチオン、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-SR14、-SO2R14または-OR14
(ここで、R14は各々の場合水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-NR15R16、-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N+R15R16R17、-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N[(C1-C6アルキレン)-NR15R16]2、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N[(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17]2、-N(R14)-N-R15R16または-N(R14)-N+R15R16R17
(ここで、
R14は上に定義した通りであり、
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、未置換もしくは置換の追加のヘテロ原子を含有していてもよい5、6または7員環を形成する)
を示し;
はAへの結合/連結を表す)
を示し;
R2、R3、R4、R8、R9、R10、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26及びR27は各々独立して水素、未置換もしくは置換のC1-C18アルキル、C2-C28アルケニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12シクロアルケニル、未置換もしくは置換アリール、未置換もしくは置換ヘテロアリール、シアノ、ハロゲン、ニトロ、-OH、
-COOR13または-SO3R13
(ここで、R13は各々の場合水素、カチオン、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-SR14、-SO2R14または-OR14
(ここで、R14は各々の場合水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-NR15R16、-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N+R15R16R17、-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N[(C1-C6アルキレン)-NR15R16]2、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N[(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17]2、-N(R14)-N-R15R16または-N(R14)-N+R15R16R17
(ここで、
R14は上に定義した通りであり、
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、未置換もしくは置換の追加のヘテロ原子を含有していてもよい5、6または7員環を形成する)
であり;
R5、R11及びR12は相互に独立して水素、C1-C28アルキル、C2-C28アルケニル、C2-C22アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12シクロアルケニル、C7-C28アラルキル、C1-C20ヘテロアルキル、C3-C12シクロヘテロアルキル、C5-C16ヘテロアラルキル、未置換もしくは置換アリール、または未置換もしくは置換ヘテロアリールであり;或いは
R1及びR2及び/またはR7及びR8は基
【化5】

である}
を有するリガンドである]
を有する少なくとも1つの金属錯体の酸化反応用触媒としての使用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
好ましくは、sは1である。
【0009】
R6がOHを表す化合物はその対応するケト体でも存在し得る。
【0010】
リガンドLはプロトン化または脱プロトン化アナログ形態でも存在し得る。
【0011】
適用可能な場合、アシルヒドラゾン誘導体はE-またはZ-立体配置で存在し得る。
【0012】
また、下記構造中、は基Aから式(2)を有する構造への結合/連結、或いは適用可能ならば式(2)を有する構造から基Aの結合/連結を表す。
【0013】
アルキル基、アリール基、アルキレン基、或いは5、6または7員環に対する適当な置換基は、特にC1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、スルファト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、未置換であるかアルキル部分がヒドロキシで置換されているN-モノ-またはN,N-ジ-C1-C4アルキルアミノ、N-フェニルアミノ、N-ナフチルアミノ、フェニル、フェノキシまたはナフチルオキシである。
【0014】
式(2)を有する化合物に関して挙げられているC1-C18アルキル基の例は直鎖または分岐状アルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、或いは直鎖または分岐状ペンチル、ヘキシル、ヘプチルまたはオクチルである。好ましくは、C1-C12アルキル基、特にC1-C8アルキル基、好ましくはC1-C4アルキル基である。挙げられているアルキル基は未置換であっても、例えばヒドロキシ、C1-C4アルコキシ、スルホまたはスルファト、特にヒドロキシで置換されていてもよい。対応の未置換アルキル基が好ましい。メチル及びエチル、特にメチルが非常に好ましい。
【0015】
式(2)を有する化合物に関して考えられるアリール基の例はフェニルまたはナフチルであり、各々は未置換であるかまたはC1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、スルホ、ヒドロキシ、アミノ、未置換であるかアルキル部分がヒドロキシで置換されているN-モノ-またはN,N-ジ-C1-C4アルキルアミノ、アミノ基が4級化されていてもよいN-フェニルアミノ、N-ナフチルアミノ、フェニル、フェノキシ、またはナフチルオキシで置換されている。好ましい置換基はC1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、フェニル及びヒドロキシである。
【0016】
対応するフェニル基が特に好ましい。
【0017】
式(2)を有する化合物に関して挙げられているC1-C6アルキレン基の例は直鎖または分岐状アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、n-プロピレンまたはn-ブチレンである。C1-C4アルキレン基が好ましい。挙げられているアルキレン基は未置換であっても、例えばヒドロキシまたはC1-C4アルコキシで置換されていてもよい。
【0018】
式(1)及び(2)を有する化合物中、ハロゲンは好ましくは塩素、臭素またはフッ素であり、塩素が特に好ましい。
【0019】
式(1)及び(2)を有する化合物に関して考えられるカチオンの例にはアルカリ金属カチオン、例えばリチウム、カリウム及び特にナトリウム;アルカリ土類金属カチオン、例えばマンガン及びカルシウム;及びアンモニウムカチオンが含まれる。アルカリ金属カチオン、特にナトリウムが好ましい。
【0020】
式(1)を有する化合物に関してMeの適当な金属イオンの例は酸化状態II〜Vのマンガン、酸化状態III及びIVのチタン、酸化状態I〜IVの鉄、酸化状態I〜IIIのコバルト、酸化状態I〜IIIのニッケル、及び酸化状態I〜IIIの銅であり、特に好ましくはマンガン、特に酸化状態II〜IVのマンガン、好ましくは酸化状態IIのマンガンである。チタンIV、鉄II〜IV、コバルトII〜III、ニッケルII〜III及び銅II〜III、特に鉄II〜IVも興味深い。
【0021】
式(1)を有する化合物に関する基Xとして、例えばCH3CN、H2O、F-、Cl-、Br-、HOO-、O22-、O2-、R101COO-、R101O-、LMeO-及びLMeOO-(ここで、R101は水素、-SO3C1-C4アルキル、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、未置換もしくは置換アリール、C1-C18アルキル、アリールであり、L及びMeは上に挙げた及び下に挙げる定義及び好ましい意味を有している)が考えられる。特に好ましくは、R101は水素、C1-C4アルキル、スルホフェニルまたはフェニル、特に水素である。
【0022】
式(1)を有する化合物に関する対イオンYとして、例えばR102COO-、ClO4-、BF4-、PF6-、R102SO3-、R102SO4-、SO42-、NO3-、F-、Cl-、Br-及びI-(ここで、R102は水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)が考えられる。C1-C18アルキルまたはアリールとしてのR102は上に挙げた及び下に挙げる定義及び好ましい意味を有している。特に好ましくは、R102は水素、C1-C4アルキル、フェニルまたはスルホフェニル、特に水素または4-スルホフェニルである。従って、対イオンYの電荷は好ましくは1-または2-、特に1-である。Yは一般的な有機対イオン、例えばクエン酸イオン、シュウ酸イオンまたは酒石酸イオンでもよい。
【0023】
好ましくは、XはCH3CN、H2O、F-、Cl-、Br-、HOO-、O22-、O2-、R101COO-、R101O-、LMeO-及びLMeOO-(ここで、R101は水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、またはフェニルであり、L及びMeは上記した定義を有している)であり、YはR102COO-、ClO4-、BF4-、PF6-、R102SO3-、R102SO4-、SO42-、NO3-、F-、Cl-、Br-及びI-である。
【0024】
式(1)を有する化合物に関して、nは好ましくは1〜4、好ましくは1または2、特に1の値を有する整数である。
【0025】
式(1)を有する化合物に関して、mは好ましくは1または2、特に1の値を有する整数である。
【0026】
式(1)を有する化合物に関して、pは好ましくは0〜4、特に2の値を有する整数である。
【0027】
式(1)を有する化合物に関して、zは好ましくは8-〜8+、特に4-〜4+、特に好ましくは0〜4+の値を有する整数である。zはより特に数0である。
【0028】
式(1)を有する化合物に関して、qは好ましくは0〜8、特に0〜4の整数であり、特に好ましくは数0である。
【0029】
例えば、式(2)中、
R1、R2、R3、R4は独立してH、OH、-NR15R16、-N+R15R16R17またはC1-C18アルキルを表し;
sは1であり;
R5はHを示し;
R6はH、OH、A、C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニルを示し;
Aは
【化6】

を示し;
R7、R8、R9、R10及びR12は各々独立して水素、OH、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、未置換もしくは置換アリール、-NR15R16、-N+R15R16R17であり;
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、未置換もしくは置換の追加のヘテロ原子を含有していてもよい5、6または7員環を形成する。
【0030】
例えば、式(2)中、
R1、R2、R3、R4は独立してH、OH、-NR15R16、-N+R15R16R17またはC1-C18アルキルを表し;
sは1であり;
R5はHを示し;
R6はH、メチルまたはOHを示し;
Aは
【化7】

を示し;
R7、R8、R9、R10は各々独立して水素、OH、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニル、-NR15R16、-N+R15R16R17であり;
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、未置換もしくは置換の追加のヘテロ原子を含有していてもよい5、6または7員環を形成する。
【0031】
好ましくは、式(2)中、
R1、R2、R3、R4は独立してH、OH、-NR15R16、-N+R15R16R17またはC1-C18アルキルを表し;
sは1であり;
R5はHを示し;
R6はH、メチル、OHを示し;
Aは
【化8】

を示し;
R9、R10は各々独立して水素、OH、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニル、-NR15R16、-N+R15R16R17であり;
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、未置換もしくは置換の追加のヘテロ原子を含有していてもよい5、6または7員環を形成する。
【0032】
より好ましくは、式(2)は式(2a):
【化9】

[式中、
R3はHまたはOHであり;
sは1であり;
R5はHを示し;
R6はA、H、メチルまたはOHを示し;
Aは
【化10】

を示し;
R7、R8、R9、R10、R11及びR12は各々独立して水素、OH、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニル、-NR15R16、-N+R15R16R17であり;
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、未置換もしくは置換の追加のヘテロ原子を含有していてもよい5、6または7員環を形成する]
を有する。
【0033】
式(2a):
【化11】

[式中、
R3はHまたはOHであり;
sは1であり;
R5はHを示し;
R6はA、H、メチルまたはOHを示し;
Aは
【化12】

を示し;
R7、R8、R9、R10は各々独立して水素、OH、未置換もしくは置換C1-C8アルキル、未置換もしくは置換フェニル、-NR15R16、-N+R15R16R17であり;
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、未置換もしくは置換の追加のヘテロ原子を含有していてもよい5、6または7員環を形成する]
を有するリガンドが特に好ましい。
【0034】
本発明の具体的実施形態において、式(2)を有するリガンドは式(2b)、(2c)または(2d):
【化13】

[式中、
R1、R2、R3、R4はH、OH、-NR15R16、-N+R15R16R17またはC1-C18アルキルを表し;
R5はHを示し;
R6はH、OH、C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニルを示し;
R7、R8、R9、R10は各々独立して水素、OH、未置換もしくは置換C1-C8アルキル、未置換もしくは置換フェニル、-NR15R16、-N+R15R16R17であり;
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、未置換もしくは置換の追加のヘテロ原子を含有していてもよい5、6または7員環を形成し;
R14は水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり;
R18、R19及びR20は相互に独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、-OH、
-COOR13または-SO3R13
(ここで、R13は水素、カチオン、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-SR14、-SO2R14またはOR14
(ここで、R14は水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-NR15R16、-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N+R15R16R17、-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N[(C1-C6アルキレン)-NR15R16]2、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N[(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17]2、-N(R14)-N-R15R16または-N(R14)-N+R15R16R17
(ここで、
R14は上に定義した通りであり、
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、未置換もしくは置換の追加のヘテロ原子を含有していてもよい5、6または7員環を形成する)
である]
に相当する。
【0035】
式(2b)を有するリガンドが特に好ましい。
【0036】
本発明の好ましい実施形態は、少なくとも1つの式(1'):
[L'nMe'm'X'p']zY'q (1')
[式中、
Me'はマンガン、チタン、鉄、コバルト、ニッケルまたは銅であり;
X'はCH3CN、H2O、F-、Cl-、Br-、HOO-、O22-、O2-、R101COO-またはR101O-(ここで、R101は水素、C1-C4アルキル、スルホフェニルまたはフェニルである)であり;
n'は1または2の値を有する整数であり;
m'は1または2、好ましくは1の値を有する整数であり;
p'は0〜4、特に2の値を有する整数であり;
z'は8-〜8+、好ましくは4-〜4+、好ましくは0〜4+の値を有する整数、特に好ましくは数0であり;
Y'はR102COO-、ClO4-、BF4-、PF6-、R102SO3-、R102SO4-、SO42-、NO3-、F-、Cl-、Br-、I-、クエン酸イオン、シュウ酸イオンまたは酒石酸イオン(ここで、R102は水素、C1-C4アルキル、フェニルまたはスルホフェニルである)であり;
q'は0〜8の整数、好ましくは0〜4の整数、より好ましくは数0であり;
L'は式(2b)、(2c)または(2d):
【化14】

(ここで、置換基はすべて上記したのと同じ意味を有している)
を有するリガンドである]
を有する金属錯体の酸化反応用触媒としての使用に関する。
【0037】
リガンドの大部分は公知であり、標準手順に従って製造され得る。
【0038】
式(1)を有する金属錯体化合物は触媒としてペルオキシドまたはペルオキシド形成物質、O2及び/または空気と一緒に使用される。これに関して挙げられ得る例には、以下の使用:
a)洗濯作業時またはしみ抜き剤を直接適用することによるテキスタイル材料上のしみまたは汚れの漂白;
b)例えば黴の作用の結果形成されたしみ(黴しみ)を除去するための硬質表面、特に台所の表面、壁のタイルまたは床のタイルの清掃。自動食器洗浄用組成物中の使用も好ましい;
c)洗濯液中でテキスタイルを処理している間及び/またはその後に漂白が触媒されるようにテキスタイル材料上のしみまたは汚れの空中酸素による漂白;
d)テキスタイル材料の洗濯中に移行している染料の再沈着の防止;
e)抗菌作用を有する洗濯及び清掃溶液中の使用;
f)テキスタイルを漂白するための前処理剤として;
g)有機合成時の選択的酸化反応における触媒として;
h)排水処理;
i)製紙時の漂白のためのペルオキシ化合物との反応用触媒としての使用。これは特に通常手順に従って実施され得るセルロースの脱リグニン化及びパルプの漂白に関する。印刷済み古紙を漂白するためのペルオキシ化合物との反応用触媒としての使用も興味深い;
j)殺菌;及び
k)コンタクトレンズの消毒
が含まれる。
【0039】
テキスタイル材料上のしみまたは汚れの漂白;硬質表面、特に台所の表面、壁のタイルまたは床のタイルの清掃、並びに自動食洗機製剤中の使用;洗濯液中でテキスタイルを処理している間及び/またはその後に漂白が触媒されるようにテキスタイル材料上のしみまたは汚れの空中酸素による漂白;または洗濯作業時に移行している染料の再沈着の防止が好ましい。
【0040】
これらの使用のための好ましい金属はマンガン及び/または鉄である。
【0041】
例えばテキスタイルまたは硬質表面材料の漂白時に金属錯体化合物を使用しても繊維及び染色、並びに硬質表面材料(例えば、テーブルウェア及び台所用品)及びタイルに目に見えるダメージをもたらさないことを強調すべきである。
【0042】
洗濯液を用いてしみを漂白するための方法は、通常(H2O2またはH2O2の前駆体を含む)洗濯液に1つ以上の式(1)または(1')を有する金属錯体化合物を添加することにより実施される。或いは、既に1つまたは2つの金属錯体化合物を含む洗剤を添加することも可能である。前記した用途及び他の用途において式(1)または(1')を有する金属錯体化合物をその場で形成し、金属塩(例えば、塩化マンガン(II)のようなマンガン(II)塩及び/または塩化鉄(II)のような鉄(II)塩)及びリガンドを所望のモル比で添加することもできると理解されたい。
【0043】
本発明の別の態様は、
I)組成物の全重量に基づいて0〜50重量%のA)少なくとも1つのアニオン性界面活性剤及び/またはB)ノニオン性界面活性剤、
II)組成物の全重量に基づいて0〜70重量%のC)少なくとも1つのビルダー物質、
III)組成物の全重量に基づいて1〜99重量%のD)少なくとも1つのペルオキシド及び/または1つのペルオキシド形成物質、O2及び/または空気、
IV)液中に0.5〜50g/lの洗剤、清掃剤、消毒剤または漂白剤を添加したときに液中に0.5〜100mg/l-液の濃度を与える量のE)少なくとも1つの請求項1に定義した式(1)を有する金属錯体化合物、
V)組成物の全重量に基づいて0〜20重量%の少なくとも1つの追加添加剤、及び
VI)組成物の全重量に基づいて100重量%までの水
を含む洗浄用、清掃用、消毒用または漂白用組成物に関する。
【0044】
組成物をテキスタイル材料または硬質表面材料に対して使用することが好ましい。
【0045】
重量%はすべて洗浄用、清掃用、消毒用または漂白用組成物の全重量に基づいている。
【0046】
洗浄用、清掃用、消毒用または漂白用組成物はあらゆる種類の産業向または家庭向け清掃用、消毒用または漂白用製剤であり得る。例えば、テキスタイル材料に対して使用される組成物、並びに硬質表面、例えば硬質表面材料(例:テーブルウェア及び台所用品)及びタイルに対して使用される組成物中に使用される。好ましい硬質表面清掃用組成物は食器洗浄用洗剤製剤、より好ましくは自動食器洗浄用洗剤製剤である。
【0047】
上記%はそれぞれの場合組成物の全重量に基づく重量%である。組成物は好ましくは0.005〜2重量%、より好ましくは0.01〜1重量%、最も好ましくは0.05〜1重量%の少なくとも1つの式(1)を有する金属錯体化合物を含む。
【0048】
従って、本発明の更なる実施形態は、
I)0〜50重量%、好ましくは0〜30重量%のA)少なくとも1つのアニオン性界面活性剤及び/またはB)ノニオン性界面活性剤、
II)0〜70重量%、好ましくは0〜50重量%のC)少なくとも1つのビルダー物質、
III)1〜99重量%、好ましくは1〜50重量%のD)少なくとも1つのペルオキシド及び/または少なくとも1つのペルオキシド形成物質、O2及び/または空気、
IV)0.005〜2重量%、より好ましくは0.01〜1重量%、最も好ましくは0.05〜1重量%のE)少なくとも1つの上に定義した式(1)または(1')を有する金属錯体化合物、
V)0〜20重量%の少なくとも1つの追加添加剤、及び
VI)100重量%までの水
を含む洗浄用、清掃用、消毒用または漂白用組成物に関する。
【0049】
本発明の組成物は成分A)及び/またはB)を含む場合、その量は好ましくは1〜50重量%、特に1〜30重量%である。
【0050】
本発明の組成物が成分C)を含む場合、その量は好ましくは1〜70重量%、特に1〜50重量%である。5〜50重量%、特に10〜50重量%の量が特に好ましい。
【0051】
対応する洗濯、清掃、消毒または漂白作業は通常、液1Lあたり0.1〜200mgの1つ以上の式(1)を有する化合物を含有する水性液を用いて実施される。液が液1Lあたり1〜50mgの少なくとも1つの式(1)を有する化合物を含有していることが好ましい。
【0052】
本発明の組成物は、例えばペルオキシド含有ヘビーデューティー洗剤、別個の漂白用添加剤、または直接適用するためのしみ抜き剤であり得る。漂白用添加剤は、衣類を漂白剤非含有洗剤で洗濯する前にテキスタイル上の色が付いているしみを別の液で除去するために使用される。漂白用添加剤を液中に漂白剤非含有洗剤と一緒に使用してもよい。しみ抜き剤を問題のテキスタイルに直接適用し、部分的にひどい汚れの場合には前処理のために特に使用される。
【0053】
しみ抜き剤をスプレー方法により液体の形態で、または固体物質の形態で、例えば粉末、特に顆粒として適用され得る。
【0054】
顆粒は、まず成分E)を除く上にリストした成分をすべて含む水性懸濁液を噴霧乾燥して最初の粉末を調製した後、ドライ成分E)を添加し、すべてを一緒に混合することにより製造され得る。成分A)、B)、C)及びD)を含有する水性懸濁液に対して成分E)を添加した後、噴霧乾燥することもできる。
【0055】
成分A)及びC)を含有するが、成分B)を全くまたは殆ど含有していない水性懸濁液を出発物質とすることも可能である。この懸濁液を噴霧乾燥した後、成分E)を成分B)と混合し、添加し、次いで成分D)をドライ状態で混合する。すべての成分をドライ状態で混合することも可能である。
【0056】
アニオン性界面活性剤A)は、例えばスルフェート、スルホネートまたはカルボキシレート界面活性剤、或いはその混合物であり得る。アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、オレフィンスルホネート、脂肪酸塩、アルキル及びアルケニルエーテルカルボキシレート、或いはα-スルホン酸脂肪酸塩またはそのエステルが好ましい。
【0057】
好ましいスルホネートは、例えばアルキル基中に10〜20個の炭素原子を有するアルキルベンゼンスルホネート、アルキル基中に8〜18個の炭素原子を有するアルキルスルフェート、アルキル基中に8〜18個の炭素原子を有するアルキルエーテルスルフェート、及びアルキル部分中に8〜18個の炭素原子を有するパーム油または獣脂から誘導される脂肪酸塩である。アルキルエーテルスルフェートに付加されるエチレンオキシド単位の平均モル数は1〜20、好ましくは1〜10である。アニオン性界面活性剤中のカチオンは、好ましくはアルカリ金属カチオン、特にナトリウムまたはカリウム、より特にナトリウムである。好ましいカルボキシレートは、式R19-CON(R20)CH2COOM1(ここで、R19はC9-C17アルキルまたはC9-C17アルケニルであり、R20はC1-C4アルキルであり、M1はアルカリ金属、特にナトリウムである)を有するアルカリ金属サルコシネートである。
【0058】
ノニオン性界面活性剤B)は、例えば第1級または第2級アルコールエトキシレート、特にアルコール基1個あたり平均1〜20モルのエチレンオキシドでエトキシル化されているC8-C20脂肪族アルコールである。アルコール基1個あたり平均1〜10モルエチレンオキシドでエトキシル化されている第1級及び第2級C10-C15脂肪族アルコールが好ましい。非エトキシル化ノニオン性界面活性剤、例えばアルキルポリグリコシド、グリセロールモノエーテル及びポリヒドロキシアミド(グルカミド)も使用され得る。
【0059】
アニオン性及びノニオン性界面活性剤の全量は、好ましくは5〜50重量%、特に5〜40重量%、より特に5〜30重量%である。これらの界面活性剤の更に好ましい下限は10重量%である。
【0060】
組成物は、アニオン性及び/またはノニオン性界面活性剤に加えて、カチオン性界面活性剤を含んでいてもよい。可能なカチオン性界面活性剤にはすべての一般的なカチオン性界面活性化合物、特にテキスタイル柔軟効果を有する界面活性剤が含まれる。カチオン性界面活性剤の非限定例を下記式:
【化15】

(式中、
各基Rαは独立してC1-6-アルキル-、-アルケニル-または-ヒドロキシアルキルであり;
各基Rβは独立してC8-28-アルキル-またはアルケニルであり;
RγはRαまたは(CH2)n-T-Rβであり;
RδはRα、Rβまたは(CH2)n-T-Rβであり;
Tは-CH2-、-O-CO-または-CO-O-であり;
nは0〜5である)
に示す。
【0061】
本発明の組成物中に存在させる好ましいカチオン性界面活性剤にはヒドロキシアルキル-トリアルキル-アンモニウム化合物、特にC12-18-アルキル(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウム化合物、特に好ましくは対応の塩化物塩が含まれる。本発明の組成物は、組成物の全重量に基づいて0.5〜15重量%のカチオン性界面活性剤を含み得る。
【0062】
ビルダー物質C)として、例えばアルカリ金属リン酸塩(特に、トリポリリン酸塩)、炭酸塩及び炭酸水素塩、特にそのナトリウム塩;シリケート、アルミニウムシリケート、ポリカルボキシレート、ポリカルボン酸、有機ホスホネート、アミノアルキレンポリ(アルキレンホスホネート);並びに前記化合物の混合物が考えられる。
【0063】
特に適当なシリケートは、式NaHSitO2t+1・pH2OまたはNa2SitO2t+1・pH2O(ここで、tは1.9〜4の数であり、pは0〜20の数である)を有する結晶性層状シリケートのナトリウム塩である。
【0064】
アルミニウムシリケートの中で、ゼオライトA、B、X及びHSの名前で市販されているものが好ましく、前記成分を2つ以上含む混合物も好ましい。ゼオライトAが特に好ましい。
【0065】
ポリカルボキシレートの中で、ポリヒドロキシカルボキシレート、特にシトレート及びアクリレートが好ましく、その無水マレイン酸とのコポリマーも好ましい。好ましいポリカルボン酸は、ラセミ形態またはエナンチオマー的に純粋な(S,S)形態のニトリロトリ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸及びエチレンジアミンジスシクシネートである。
【0066】
特に適当なホスホネートまたはアミノアルキレンポリ(アルキレンホスホネート)は1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸及びジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸のアルカリ金属塩、並びにその塩である。下記式:
【化16】

(式中、
R18はCH2PO3H2またはその水溶性塩であり;
dは値0、1、2または3の整数である)
を有するポリホスホネートも好ましい。
【0067】
bが値1の整数であるポリホスホネートが特に好ましい。
【0068】
ペルオキシドまたはペルオキシド形成物質の量は、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%である。
【0069】
ペルオキシド成分D)として、水溶液中で過酸化水素を生成し得るすべての化合物、例えば通常の選択温度(例えば、10〜95℃)でテキスタイル材料を漂白する文献から公知であり、市販されている有機及び無機ペルオキシドが考えられる。しかしながら、無機ペルオキシド、例えば過硫酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩及び/または過ケイ酸塩が好ましく使用される。適当な無機ペルオキシドの例は過ホウ酸ナトリウム四水和物、過ホウ酸ナトリウム一水和物、過炭酸ナトリウム、無機ペルオキシ酸化合物(例えば、カリウムモノペルスルフェート(MPS))である。過酸素化合物として有機または無機ペルオキシ酸を使用する場合、その量は通常約2〜80重量%、好ましくは4〜30重量%の範囲である。
【0070】
有機ペルオキシドは、例えばモノ-またはポリ-ペルオキシド、尿素ペルオキシド、C1-C4アルカノールオキシダーゼとC1-C4アルカノールの組合せ(例えば、国際公開第95/07972号に記載されているメタノールオキシダーゼとエタノール)、アルキルヒドロキシペルオキシド(例えば、クメンヒドロペルオキシド及びt-ブチルヒドロペルオキシド)である。
【0071】
ペルオキシドは各種結晶形態で存在し得、異なる含水量を有し、貯蔵安定性を改善するために他の無機または有機化合物と一緒に使用することもできる。
【0072】
これらのペルオキシ化合物は単独で、またはペルオキシ酸漂白前駆体及び/または遷移金属を含有していない有機漂白触媒と一緒に使用され得る。通常、本発明の漂白用組成物は2〜80重量%、好ましくは4〜30重量%のペルオキシ漂白剤を含有するように処方することが適当である。
【0073】
酸化剤として、ペルオキソ酸も使用可能である。1例は式:
【化17】

[式中、
Mは水素またはカチオンを表し;
R19は未置換C1-C18アルキル、置換C1-C18アルキル、未置換アリール、置換アリール、-(C1-C6アルキレン)-アリール(ここで、アルキレン及び/またはアルキル基は置換されていてもよい)、フタルイミドC1-C8アルキレン(ここで、フタルイミド及び/またはアルキレン基は置換されていてもよい)を表す]
を有する有機モノ過酸である。
【0074】
好ましいモノ有機ペルオキシ酸及びその塩は、式:
【化18】

(式中、
Mは水素またはアルカリ金属を表し;
R'19は未置換C1-C4アルキル、フェニル、-C1-C2アルキレン-フェニルまたはフタルイミドC1-C8アルキレンを表す)
を有するものである。
【0075】
CH3COOOH及びそのアルカリ金属塩が特に好ましい。
【0076】
α-フタルイミドペルオキシヘキサン酸及びそのアルカリ金属塩も特に好ましい。
【0077】
ジペルオキシ酸、例えば1,12-ジペルオキシドデカン二酸(DPDA)、1,9-ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシイソフタル酸、2-デシルジペルオキシブタン-1,4-二酸及び4,4'-スルホニルビスペルオキシ安息香酸も適当である。
【0078】
ペルオキシ酸の代わりに、有機ペルオキシ酸前駆体及びH2O2を使用することも可能である。前駆体は対応するカルボン酸、対応する無水カルボン酸、または過加水分解時にペルオキシ酸を形成し得る対応のカルボニルクロリド、アミドまたはエステルである。前記反応は一般的に知られている。
【0079】
ペルオキシ酸漂白前駆体は公知であり、文献、例えば英国特許第836988号、同第864,798号、同第907,356号、同第1,003,310号及び同第1,519,351号;独国特許第3,337,921号;欧州特許出願公開第0185522号、同第0174132号、同第0120591号;及び米国特許第第1,246,339号、第3,332,882号、第4,128,494号、第4,412,934号及び第4,675,393号に詳細に記載されている。
【0080】
ペルオキシ酸前駆体はしばしば漂白活性化剤とも称されている。適当な漂白活性化剤にはO-及び/またはN-アシル基及び/または未置換もしくは置換ベンゾイル基を有する漂白活性化剤が含まれる。ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED);アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコール尿素(TAGU)、N,N-ジアセチル-N,N-ジメチル尿素(DDU);ナトリウム-4-ベンゾイルオキシベンゼンスルホネート(SBOBS);ナトリウム-1-メチル-2-ベンゾイルオキシベンゼン-4-スルホネート;ナトリウム-4-メチル-3-ベンゾールオキシベンゾエート;トリメチルアンモニウムトルイルオキシ-ベンゼンスルホネート;アシル化トリアジン誘導体、特に1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT);式(6):
【化19】

(式中、R22はスルホネート基、カルボン酸基またはカルボキシレート基であり;R21は線状または分岐状(C7-C15)アルキルである)
を有する化合物、特にSNOBS、SLOBS及びDOBAの名前で公知の活性化剤;アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、エチレングリコールジアセテート及び2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフラン;並びにアセチル化ソルビトール及びマンニトール、及びアシル化糖誘導体、特にペンタアセチルグルコース(PAG)、スクロースポリアセテート(SUPA)、ペンタアセチルフルクトース、テトラアセチルキシロース及びオクタアセチルラクトース、及びアセチル化、場合によりN-アルキル化されているグルカミン及びグルコノラクトンが好ましい。独国特許出願公開第4443177号から公知の慣用の漂白活性化剤の組合せを使用することも可能である。ペルオキシドとペルイミン酸を形成するニトリル化合物も漂白活性化剤として考えられる。
【0081】
ペルオキシ酸漂白前駆体の別の有用なクラスは、米国特許第4,751,015号及び同第4,397,757号、欧州特許出願公開第0284292号及び同第331,229号に開示されているカチオン性、すなわち4級アンモニウム置換ペルオキシ酸前駆体である。このクラスのペルオキシ酸漂白前駆体の例は2-(N,N,N-トリメチルアンモニウム)エチルナトリウム-4-スルホンフェニル炭酸クロリド-(SPCC)、N-オクチル,N,N-ジメチル-N10-カルボフェノキシデシルアンモニウムクロリド-(ODC)、3-(N,N,N-トリメチルアンモニウム)プロピルナトリウム-4-スルホフェニルカルボキシレート及びN,N,N-トリメチルアンモニウムトルイルオキシベンゼンスルホネートである。
【0082】
漂白前駆体の別の具体的クラスは、欧州特許出願公開第303,520号、国際公開第96/40661号、欧州特許第458,396号、同第790244号及び同第464,880号に開示されているカチオン性ニトリルから形成される。これらのカチオン性ニトリルは、式:
【化20】

[式中、
R30はC1-C24アルキル、C1-C24アルケニル、C1-C24アルキルを有するアルカアリール、置換C1-C24アルキル、置換C1-C24アルケニル、置換アリールであり;
R31及びR32は各々独立してC1-C3アルキル、1〜3個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル、-(C2H4O)nH(ここで、nは1〜6である)、-CH2-CNであり;
R33はC1-C20アルキル、C1-C20アルケニル、置換C1-C20アルキル、置換C1-C20アルケニル、C1-C24アルキル及び少なくとも1つの他の置換基を有するアルカアリールであり;,
R34、R35、R36、R37及びR38は各々独立して水素、C1-C10アルキル、C1-C10アルケニル、置換C1-C10アルキル、置換C1-C10アルケニル、カルボキシル、スルホニルまたはシアノであり;
R38、R39、R40及びR41は各々独立してC1-C6アルキルであり;
n'は1〜3の整数であり;
n”は1〜16の整数であり;
Xはアニオンである]
を有するニトリルクワット(nitril quat)としても公知である。
【0083】
他のニトリルクワットは、式:
【化21】

[式中、
R42及びR43はこれらが結合している窒素原子と一緒に4〜6個の炭素原子を有する環を形成し、この環はC1-C5-アルキル、C1-C5-アルコキシ、C1-C5-アルカノイル、フェニル、アミノ、アンモニウム、シアノ、シアナミノまたはクロロで置換されていてもよく、この環の1または2個の炭素原子は窒素原子、酸素原子、N-R47-基及び/またはR44-N-R47-基(ここで、R47は水素、C1-C5-アルキル、C2-C5-アルケニル、C2-C5-アルキニル、フェニル、C7-C9-アラルキル、C5-C7-シクロアルキル、C1-C5-アルカノイル、シアノメチルまたはシアノである)で置換されていてもよく;
R44はC1-C24-(好ましくは、C1-C4-アルキル)、C2-C24-アルケニル(好ましくは、C2-C4-アルケニル)、シアノメチルまたはC1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキルであり;
R45及びR46は相互に独立して水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルケニル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、フェニルまたはC1-C3-アルキルフェニルであり、好ましくは水素、メチルまたはフェニルであり、R46が水素でないならば部分R45が水素を表すことが好ましく;
X-はアニオンである]
を有する。
【0084】
式(ε)を有するニトリルクワットの適当な例は
【化22】

である。
【0085】
他のニトリルクワットは式:
【化23】

[式中、AはN1原子に加えて複数の原子により形成される飽和環であり、飽和環原子はN1原子に加えて少なくとも1つの炭素原子及び少なくとも1つのO、S及びN原子からなる群から選択されるヘテロ原子を含み、式(φ)構造のN1原子に結合している置換基R47は(a)C1-C8-アルキルまたはアルコキシル化アルキル(ここで、アルコキシはC2-4である)、(b)C4-C24シクロアルキル、(c)C7-C24アルカアリール、(d)反復または非反復アルコキシまたはアルコキシル化アルコール(ここで、アルコキシ単位はC2-C4である)、または(e)-CR50R51-C≡N(ここで、R50及びR51は各々H、C1-C24アルキル、シクロアルキルまたはアルカアリール、或いは反復または非反復アルコキシルまたはアルコキシル化アルコール(ここで、アルコキシ単位はC2-4である)である)であり、或いは式(φ)ではR48及びR49置換基の少なくとも1つはHであり、R48及びR49の他方はH、C1-C24アルキル、シクロアルキルまたはアルカアリール、或いは反復または非反復アルコキシルまたはアルコキシル化アルコール(ここで、アルコキシ単位はC2-C4である)であり、Yは少なくとも1つの対イオンである]
を有する。
【0086】
前駆体は、組成物の全重量に基づいて最高12重量%、好ましくは2〜10重量%の量で使用され得る。
【0087】
更に、一般的に知られている漂白触媒、例えば欧州特許第1194514号、同第1383857号、及び国際公開第04/007657号に開示されている遷移金属錯体を使用することも可能である。
【0088】
H2O2、O2、空気、ペルオキシ含有化合物、ペルオキシ酸及びそれらの前駆体、更に漂白触媒及び漂白活性化剤を本発明の金属錯体と組み合わせて使用することも可能である。
【0089】
組成物は、本発明の組合せに加えて1つ以上の蛍光増白剤、例えばビス-トリアジニルアミノ-スチルベンジスルホン酸、ビス-トリアゾリル-スチルベンジスルホン酸、ビス-スチリル-ビフェニルまたはビス-ベンゾフラニルビフェニル、αビス-ベンゾオキサリル誘導体、ビス-ベンゾイミダゾリル誘導体またはクマリン誘導体、或いはピラゾリン誘導体のクラスの蛍光増白剤を含み得る。
【0090】
組成物は更に1つ以上の追加添加剤を含み得る。前記添加剤は、汚れ懸濁剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース;pH調節剤、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属シリケート;消泡剤、例えば石けん;噴霧乾燥及び顆粒化特性を調節するための塩、例えば硫酸ナトリウム;香料;及び適切ならば、耐電防止及び柔軟剤、例えばスメクタイト;漂白剤;顔料;及び/またはトナーである。これらの成分は特に使用される漂白剤に対して安定でなければならない。
【0091】
洗剤組成物を食洗機で使用する場合、銀腐食抑制剤を使用することも一般的である。
【0092】
上記助剤は、洗剤製剤の全重量に基づいて0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、特に0.5〜5重量%の全量で添加される。
【0093】
更に、洗剤は場合により酵素をも含み得る。酵素はしみ抜きの目的で添加され得る。酵素は通常タンパク質またはデンプン(例えば、血液、牛乳、野菜またはフルーツジュース)に起因するしみに対する作用を向上させる。好ましい酵素はセルラーゼ及びプロテアーゼ、特にプロテアーゼである。セルラーゼは、セルロース及びその誘導体と反応し、これらを加水分解してグルコース、セロビオース及びセロオリゴサッカライドを形成する酵素である。セルラーゼは汚れを除去し、加えてファブリックの柔らかな手触りを向上させる効果も有している。
【0094】
慣用酵素の例には
米国特許第6242405号、14欄、21〜32行目に記載されているプロテアーゼ、
米国特許第6242405号、14欄、33〜46行目に記載されているリパーゼ、
米国特許第6242405号、14欄、47〜56行目に記載されているアミラーゼ、及び
米国特許第6242405号、14欄、57〜64行目に記載されているセルラーゼ
が含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
市販されている洗剤用プロテアーゼ、例えばAlcalase(登録商標)、Esperase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Kannase(登録商標)及びDurazym(登録商標)は例えばNOVOZYMES A/Sより販売されている。市販されている洗剤用アミラーゼ、例えばTermamyl(登録商標)、Duramyl(登録商標)、Stainzyme(登録商標)、Natalase(登録商標)、Ban(登録商標)及びFungamyl(登録商標)は例えばNOVOZYMES A/Sより販売されている。市販されている洗剤用セルラーゼ、例えばCelluzyme(登録商標)、Carezyme(登録商標)及びEndolase(登録商標)は例えばNOVOZYMES A/Sより販売されている。市販されている洗剤用リパーゼ、例えばLipolase(登録商標)、Lipolase Ultra(登録商標)及びLipoprime(登録商標)は例えばNOVOZYMES A/Sより販売されている。適当なマンナナーゼ、例えばMannanaway(登録商標)はNOVOZYMES A/Sより販売されている。
【0096】
ランドリーケア製品と比べて、硬質表面クリーナー、特に食洗機で使用される組成物中には、以下の酵素:プロテアーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、クチナーゼ及びリパーゼ、例えばBLAP(登録商標)、Optimase(登録商標)、Opticlean(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Esperase(登録商標)及び/またはSavinase(登録商標)のようなプロテアーゼ;Termamyl(登録商標)、Amylase-LT(登録商標)、Maxamyl(登録商標)及び/またはDuramyl(登録商標)のようなアミラーゼ;Lipolase(登録商標)、Lipomax(登録商標)、Lumafast(登録商標)及び/またはLipozym(登録商標)のようなリパーゼも一般的に使用されている。使用され得る酵素は、これらの酵素が早期に不活性化することから保護するために例えば国際公開第92/11347号及び同第94/23005号に記載されているように担体に吸着させたり及び/またはカプセル化物質内に封入してもよい。酵素は、本発明の清掃用製剤中に好ましくは5重量%を超えない量、特に0.1〜1.2重量%の量で存在させる。
【0097】
アミラーゼ:本発明では、洗剤中で高い安定性、特に高い酸化安定性を有するアミラーゼが好ましく使用される。アミラーゼの非限定例は、(a)TERMAMYL(登録商標)として公知のバチルス・リケニフォルミス(B.licheniformis)α-アミラーゼの197位にあるメチオニン残基がアラニンまたはスレオニン(好ましくは、スレオニン)で置換されている変異体、またはバチルス・アミロリクエファシエンス(B.amyloliquefaciens)、枯草菌(B.subtilis)またはバチルス・ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)のような類似の親アミラーゼの相同位置変異により例示されるような1994年2月3日に公開されたNovo Nordisk A/Sの国際公開第94/02597号に記載されているアミラーゼ;(b)1994年3月13〜17日に開催された207回アメリカ化学会国際会議においてC.Mitchinsonが発表した“Oxidatively Resistant alpha-Amylases”の論文中にGenencor Internationalが記載している安定性が強化されているアミラーゼである。ここでは、自動食器洗浄用洗剤中の漂白剤はα-アミラーゼを失活させるが、高い酸化安定性を有するアミラーゼはバチルス・リケニフォルミス(B.licheniformis)NCIB8061からGenencorsにより製造されていることに注目された。他の酸化安定性が強化されているアミラーゼも使用され得る。
【0098】
プロテアーゼ:プロテアーゼ酵素は通常本発明の実施形態において0.001〜5重量%のレベルで存在させる。タンパク分解酵素は動物、植物または微生物(好ましい)起源のものであり得る。細菌起源のセリンタンパク分解酵素がより好ましい。使用する酵素は精製されていても精製されていなくてもよい。近似構造の酵素変異体のような化学的に修飾したり遺伝子組換えした変異体より産生されるタンパク分解酵素が定義に含まれる。適当な市販されているタンパク分解酵素にはAlcalase(登録商標)、Esperase(登録商標)、Durazyme(登録商標)、Savinase(登録商標)、Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)及びMaxapem(登録商標)15(タンパク質工学処理したMaxacal)が含まれる。Purafect(登録商標)並びにサブチリシンBPN及びBPN'も市販されている。
【0099】
存在させる場合、リパーゼは本発明の組成物の約0.001〜約0.01重量%を占めており、場合により約1〜約5重量%のライムソープ分散特性を有する界面活性剤、例えばアルキルジメチルアミンN-オキシドまたはスルホベタインと組み合わされる。本発明で使用するのに適したリパーゼには、化学的に修飾したり遺伝子組換えした変異体由来のものを含めた細菌、動物及び真菌起源のものが含まれる。リパーゼを本発明の組成物中に配合する場合、ある場合には少量(例えば、組成物の0.5重量%未満)の油状であるが加水分解しない物質と組み合わせることによりその安定性及び有効性が高められることがある。
【0100】
使用する場合、酵素は、洗剤製剤の全重量に基づいて0.01〜5重量%、特に0.05〜5重量%、より特に0.1〜4重量%の全量で存在させ得る。
【0101】
洗剤製剤が硬質表面清掃用組成物、好ましくは食器洗浄用洗剤製剤、より好ましくは自動食器洗浄用洗剤製剤である場合には、場合により約0.001〜約10重量%、好ましくは約0.005〜約8重量%、最も好ましくは約0.01〜約6重量%の酵素安定化系をも含み得る。酵素安定化系は、洗浄用酵素と相容性である安定化系であり得る。この系は本来他の製剤活性物質により与えられ得、または例えば配合業者または洗剤に配合される酵素の製造業者により別に添加され得る。この安定化系は、例えばカルシウムイオン、ホウ酸、プロピレングリコール、短鎖カルボン酸、ボロン酸及びその混合物からなり得、洗剤組成物のタイプ及び物理的形態に応じて別の安定化問題を解決するために計画されている。
【0102】
漂白作用を強化するために、組成物は本明細書中に記載されている触媒に加えて、一重項酸素の発生に基づく作用を有する光触媒を含んでいてもよい。
【0103】
本発明の組成物に対する更に好ましい添加剤は色止め剤及び/またはポリマーであり、この添加剤はテキスタイルの洗濯中洗濯条件下でテキスタイルから洗濯液中に遊離した染料に起因するしみを予防する。ポリマーは、好ましくはアニオン性またはカチオン性置換基を導入することにより変性させたポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾールまたはポリビニルピリジン-N-オキシド、特に5000〜60000、より特に10000〜50000の範囲の分子量を有しているものである。ポリマーは、通常洗剤製剤の全重量に基づいて0.01〜5重量%、特に0.05〜5重量%、より特に0.1〜2重量%の全量で使用される。好ましいポリマーは国際公開第02/02865号(特に、p.1の最終欄パラグラフ〜p.2の第1パラグラフを参照されたい)に記載されているもの及び国際公開第04/05688号に記載されているものである。
【0104】
本発明の洗剤組成物を硬質表面クリーナーとして使用する場合、特に組成物を自動食洗機製剤中に使用する場合、単純なカルシウム沈降性石けんは食器に沈着する傾向にあるので該石けんを本発明の組成物中に消泡剤として使用することを避けることが好ましい。実際、リン酸エステルにはそのような問題が全くないわけでなく、業者は通常本発明の組成物中に沈降する可能性がある消泡剤の含量を最小限とするように選択している。消泡剤の他の例はパラフィン、パラフィン/アルコールの組合せ、またはビス脂肪酸アミドである。
【0105】
本発明の硬質表面清掃用組成物、好ましくは食器洗浄用洗剤製剤、より好ましくは自動食器洗浄用洗剤製剤は場合により1つ以上の重金属キレート化剤、例えばヒドロキシエチルジホスホネート(HEDP)を含んでいてもよい。より一般的には、本発明で使用するのに適したキレート化剤はアミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多官能置換されている芳香族キレート化剤及びその混合物からなる群から選択され得る。本発明で使用するのに適した他のキレート化剤は市販のDEQUESTシリーズ及びNalco,Inc.製のキレート化剤である。
【0106】
任意のキレート化剤として有用なアミノカルボキシレートにはエチレンジアミンテトラアセテート、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミントリアセテート、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミンテトラプロピオネート、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート及びエタノールジグリシン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩、並びにその混合物が含まれる。洗剤組成物中に少なくとも低レベルの全リンが許容され得るならば、アミノホスホネートも本発明の組成物中のキレート化剤として使用するのに適しており、この中にはエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)が含まれる。アミノホスホネートが約6個以上の炭素原子のアルキルまたはアルケニル基を含んでいないことが好ましい。
【0107】
本発明で使用するための非常に好ましい生分解性キレート化剤はエチレンジアミンジスクシネート(“EDDS”)である。
【0108】
使用する場合、キレート化剤または遷移金属選択的封鎖剤は、通常本発明の硬質表面清掃用組成物、好ましくは食器洗浄用洗剤製剤、より好ましくは自動食器洗浄用洗剤製剤の約0.001〜約10重量%、より好ましくは約0.05〜約1重量%を占めている。
【0109】
本発明において好ましい硬質表面清掃用組成物、好ましくは食器洗浄用洗剤製剤、より好ましくは自動食器洗浄用洗剤製剤は更に分散剤ポリマーを含み得る。存在している場合、分散剤ポリマーは、典型的には洗剤組成物の0〜約25重量%、好ましくは約0.5〜約20重量%、より好ましくは約1〜約8重量%の範囲のレベルで存在している。
【0110】
分散剤ポリマーは本発明の食洗機用洗剤組成物のフィルム形成性能を改善するために、特に洗浄pHが約9.5を超えるような高いpH実施形態において有用である。食器への炭酸カルシウムまたはケイ酸マグネシウムの沈着を抑制するポリマーが特に好ましい。
【0111】
適当なポリマーは、好ましくはポリカルボン酸の少なくとも部分的に中和されているもの、またはアルカリ金属、アンモニウムまたは置換アンモニウム(例えば、モノ-、ジ-またはトリエタノールアンモニウム)塩である。アルカリ金属塩、特にナトリウム塩が最も好ましい。ポリマーの分子量は広範囲で変更可能であるが、好ましくは約1,000〜約500,000、より好ましくは約1,000〜約250,000である。
【0112】
適当な分散剤ポリマーを形成するために重合され得る不飽和モノマー酸にはアクリル酸、マレイン酸(または、無水マレイン酸)、フマル酸、イタコン酸、アコニット酸、メサコン酸、シトラコン酸及びメチレンマロン酸が含まれる。カルボキシレート基を含有しないモノマーセグメント(例えば、メチルビニルエーテル、スチレン、エチレン等)を存在させることは、該セグメントが分散剤ポリマーの約50重量%以上を占めないならば適当である。
【0113】
約3,000〜約100,000、好ましくは約4,000〜約20,000の分子量及び分散剤ポリマーの約50重量%未満、好ましくは約20重量%未満のアクリルアミド含量を有しているアクリルアミドとアクリレートのコポリマーも使用され得る。分散剤ポリマーが約4,000〜約20,000の分子量及びポリマーの全重量に基づいて約0〜約15重量%のアクリルアミド含量を有していることが最も好ましい。
【0114】
特に好ましい分散剤ポリマーは低分子量の改質ポリアクリレートコポリマーである。このコポリマーは、モノマー単位としてa)約90〜約10重量%、好ましくは約80〜約20重量%のアクリル酸またはその塩、及びb)約10〜約90重量%、好ましくは約20〜約80重量%の置換アクリルモノマーまたはその塩を含み、一般式:-[(C(Ra)C(Rb)(C(O)ORc)](式中、みかけ満たされていない原子価は実際水素で占められており、置換基Ra、RbまたはRcの少なくとも1つ、好ましくはRaまたはRbは1〜4個の炭素原子のアルキルまたはヒドロキシアルキル基であり;RaまたはRbは水素であり得、Rcは水素またはアルカリ金属塩であり得る)
を有している。Raがメチルであり、Rbが水素であり、Rcがナトリウムである置換アクリルモノマーが最も好ましい。
【0115】
適当な低分子量ポリアクリレート分散剤ポリマーは、好ましくは約15,000未満、好ましくは約500〜約10,000、最も好ましくは約1,000〜約5,000の分子量を有している。本発明で使用するのに最も好ましいポリアクリレートコポリマーは約3,500の分子量を有しており、約70重量%のアクリル酸及び約30重量%のメタクリル酸からなるポリマーの完全に中和された形態である。
【0116】
本発明において有用な他の分散剤ポリマーには約950〜約30,000の分子量を有するポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールが含まれる。本発明において有用な更に他の分散剤ポリマーにはセルローススルフェートエステル、例えばセルロースアセテートスルフェート、セルローススルフェート、ヒドロキシエチルセルローススルフェート、メチルセルローススルフェート及びヒドロキシプロピルセルローススルフェートが含まれる。ナトリウムセルローススルフェートがこの群の最も好ましいポリマーである。
【0117】
他の適当な分散剤ポリマーはカルボキシル化多糖、特にデンプン、セルロース及びアルギネートである。
【0118】
許容される分散剤の更に別の群は有機分散剤ポリマー、例えばポリアスパルテートである。
【0119】
必要とされるコンパクトさの程度に応じて、本発明の硬質表面清掃用組成物、好ましくは食器洗浄用洗剤製剤、より好ましくは自動食器洗浄用洗剤製剤中に増量剤も存在させ得る。増量剤にはスクロース、スクロースエステル、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等が含まれ、硬質表面清掃用組成物、好ましくは食器洗浄用洗剤製剤、より好ましくは自動食器洗浄用洗剤製剤の最高約70重量%、好ましくは0〜約40重量%の量である。好ましい増量剤は硫酸ナトリウム、特に多くとも低レベルの微量不純物しか含んでいない良レベルの硫酸ナトリウムである。
【0120】
本発明において使用される硫酸ナトリウムが漂白剤と反応しない十分な純度を有していることが好ましい。硫酸ナトリウムを低レベルの金属イオン封鎖剤、例えばマグネシウム塩形態のホスホネートまたはEDDSで処理してもよい。漂白剤の分解を避けるのに十分な純度の点で具体的には本発明において使用されるシリケートを含めたpH調節成分に対しても好ましいが当てはまる。
【0121】
本発明の清掃用製剤中に、特にこの製剤が液体またはペースト形態であるときに使用され得る有機溶媒には1〜4個の炭素原子を有するアルコール類(特に、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びtert-ブタノール)、2〜4個の炭素原子を有するジオール類(特に、エチレングリコール及びプロピレングリコール)及びその混合物、並びに先に挙げた化合物類から誘導され得るエーテル類が含まれる。水混和性溶媒は本発明の清掃用製剤中に20重量%を越えない量、特に1〜15重量%の量で存在させる。
【0122】
本発明の多くの硬質表面清掃用組成物、好ましくは食器洗浄用洗剤製剤、より好ましくは自動食器洗浄用洗剤製剤は緩衝されている。すなわち、酸性しみの存在下でのpHの低下に対して比較的に耐性である。しかしながら、本発明の他の組成物は例外的に低い緩衝能力を有している、つまり実質的に緩衝されていないこともある。推奨される使用レベルでpHをコントロールまたは変化させるための技術には、より一般的にはバッファーの使用だけでなく、追加のアルカリ、酸、pHジャンプ系、2コンパートメント容器等が含まれ、当業者に公知である。特定の硬質表面清掃用組成物、好ましくは食器洗浄用洗剤製剤、より好ましくは自動食器洗浄用洗剤製剤は水溶性アルカリ性無機塩及び水溶性の有機または無機ビルダーから選択されるpH調節成分を含む。pH調節成分は、硬質表面清掃用組成物、好ましくは食器洗浄用洗剤製剤、より好ましくは自動食器洗浄用洗剤製剤が1,000〜5,000ppmの濃度で水中に溶解させたときpHを約8以上、好ましくは約9.5〜約11の範囲を維持するように選択される。好ましい非リンpH調節成分は
(i)炭酸またはセスキ炭酸ナトリウム、
(ii)ケイ酸ナトリウム、好ましくは約1:1〜約2:1のSiO2:Na2O比を有する含水ケイ酸ナトリウム、及び限定量のメタケイ酸ナトリウムを含むその混合物、
(iii)クエン酸ナトリウム、
(iv)クエン酸、
(v)炭酸水素ナトリウム、
(vi)ホウ酸ナトリウム、好ましくホウ砂、
(vii)水酸化ナトリウム、及び
(viii)(i)〜(vii)の混合物
からなる群から選択され得る。
【0123】
好ましい実施形態は、低レベルのケイ酸塩(すなわち、約3〜約10重量%のSiO2)を含有している。
【0124】
この特殊なタイプの非常に好ましいpH調節成分系の例は、顆粒状クエン酸ナトリウムと無水炭酸ナトリウムの二成分混合物、及び顆粒状クエン酸ナトリウム三水和物とクエン酸一水和物と無水炭酸ナトリウムの三成分混合物である。
【0125】
自動食器洗浄用組成物中のpH調節成分の量は、好ましくは組成物の約1〜約50重量%である。好ましい実施形態では、pH調節成分を約5〜約40重量%、好ましくは約10〜約30重量%の量で組成物中に存在させる。
【0126】
最初の洗浄液が約9.5〜約11のpHを有する本発明の組成物の場合、特に好ましい自動食器洗浄用洗剤製剤実施形態は自動食器洗浄用洗剤製剤の重量に基づいて約5〜約40重量%、好ましくは約10〜約30重量%、最も好ましくは約15〜約20重量%のクエン酸ナトリウム及び約5〜約30重量%、好ましくは約7〜25重量%、最も好ましくは約8〜約20重量%の炭酸ナトリウムを含む。
【0127】
必須のpH調節系に当業界で公知の非リン洗浄ビルダーから選択される他の任意の洗浄ビルダー塩を補充してもよく(すなわち、硬水中の金属イオン封鎖作用を改善するために)、前記ビルダー塩にはホウ酸、ヒドロキシスルホン酸、ポリ酢酸及びポリカルボン酸の各種の水溶性アルカリ金属塩、アンモニウム塩または置換アンモニウム塩が含まれる。前記物質のアルカリ金属塩、特にナトリウム塩が好ましい。他の水溶性非リン有機ビルダーが金属イオン封鎖性のために使用され得る。ポリアセテート及びポリカルボキシレートビルダーの例はエチレンジアミンテトラ酢酸、ニトリロトリ酢酸、タートレートモノコハク酸、タートレートジコハク酸、オキシジコハク酸、カルボキシメトキシコハク酸、メリト酸のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩、並びにナトリウムベンゼンポリカルボキシレート塩である。
【0128】
洗剤製剤は、粉末、顆粒、錠剤(タブ)、ゲルや液体のような各種の物理的形態をとり得る。その例には特に慣用の高性能粉末洗剤、超コンパクトな高性能粉末洗剤及びタブが含まれる。1つの重要な物理的形態は、洗濯機に投入されるいわゆる濃縮顆粒形態である。
【0129】
いわゆるコンパクトまたは超コンパクトな洗剤も重要である。洗剤製造の分野では、多量の活性物質を含有する洗剤の製造がトレンドとなっている。洗濯手順中のエネルギー消費を最小限とするために、コンパクトまたは超コンパクトな洗剤は低い洗濯温度、例えば40℃以下、または室温(25℃)でも効果的に作用しなければならない。これらの洗剤は通常増量剤または洗剤の製造に必要な物質(例えば、硫酸ナトリウムまたは塩化ナトリウム)を少量しか含んでいない。前記物質の全量は、通常洗剤製剤の全重量に基づいて0〜10重量%、特に0〜5重量%、より特に0〜1重量%である。(超)コンパクトな洗剤は通常650〜1000g/l、特に700〜1000g/l、より特に750〜1000g/lの嵩密度を有している。
【0130】
洗剤製剤は錠剤(タブ)の形態もとり得る。タブの利点は分配のし易さ及び取り扱いの便利さである。タブは固体洗剤製剤の最もコンパクトな形態であり、通常例えば0.9〜1.3kg/lの体積密度を有している。急速に溶解させるために、タブは通常特殊な溶解助剤:
-発泡剤として炭酸塩/炭酸水素塩/クエン酸;
-崩壊剤、例えばセルロース、カルボキシメチルセルロースまたは架橋ポリ(N-ビニルピロリドン);
-急速溶解剤、例えば酢酸ナトリウム(カリウム)またはクエン酸ナトリウム(カリウム);
-急速溶解性水溶性急速コーティング剤、例えばジカルボン酸
を含んでいる。タブは上記溶解助剤の組合せをも含み得る。
【0131】
洗剤製剤は、5〜50重量%、好ましくは10〜35重量%の水を含有する水性液体の形態、または5重量%以下、好ましくは0〜1重量%の水しか含有していない非水性液体の形態を取り得る。非水性液体洗剤製剤は担体として他の溶媒を含んでいてもよい。この目的に低分子量第1級または第2級アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールが適している。使用される可溶化界面活性剤は好ましくはモノヒドロキシアルコールであるが、ポリオール、例えば2〜6個の炭素原子及び2〜6個のヒドロキシ基を含むもの(例えば、1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、グリセロール及び1,2-プロパンジオール)も使用され得る。前記担体は、通常洗剤製剤の全重量に基づいて5〜90重量%、好ましくは10〜50重量%の全量で使用される。洗剤製剤はいわゆる「単位液体用量」形態でも使用され得る。
【0132】
また、本発明は、本発明の触媒を含み、粉末状または顆粒状洗浄用、清掃用または漂白用組成物中に配合するのに適している顆粒に関する。前記顆粒は、好ましくは
a)顆粒の全重量に基づいて1〜99重量%の少なくとも1つの定義されている式(1)を有する金属錯体化合物及び少なくとも1つのペルオキシド、
b)顆粒の全重量に基づいて1〜99重量%の少なくとも1つの結合剤、
c)顆粒の全重量に基づいて0〜20重量%の少なくとも1つのカプセル化材、
d)顆粒の全重量に基づいて0〜20重量%の少なくとも1つの追加添加剤、及び
e)顆粒の全重量に基づいて0〜20重量%の水
を含む。重量%はすべて顆粒の全重量に基づいている。
【0133】
或いは、代替として、顆粒は、
a)1〜99重量%、好ましくは1〜40重量%、特に1〜30重量%の少なくとも1つの式(1)を有する金属錯体化合物及び少なくとも1つのペルオキシド形成物質、
b)1〜99重量%、好ましくは10〜99重量%、特に20〜80重量%の少なくとも1つの結合剤、
c)0〜20重量%、特に1〜20重量%の少なくとも1つのカプセル化材、
d)0〜20重量%の少なくとも1つの追加添加剤、及び
e)0〜20重量%の水
を含む。重量%はすべて顆粒の全重量に基づいている。
【0134】
上記した式(1)を有する金属錯体化合物及びペルオキシドまたはペルオキシド形成物質[成分a)]に関して、先に挙げた好ましいものが顆粒にも当てはまる。触媒そのものを適当な顆粒化材料を用いて顆粒することも可能である。
【0135】
結合剤(b)として、水溶性、分散性または水乳化性のアニオン性分散剤、ノニオン性分散剤、ポリマー及びワックスが考えられる。
【0136】
使用されるアニオン性分散剤は、例えば市販されている染料、顔料等に対する水溶性アニオン性分散剤である。特に、以下の製品:芳香族スルホン酸とホルムアルドヒドの縮合生成物、芳香族スルホン酸と未置換または塩素化ジフェニルまたはジフェニルオキシドと場合によりホルムアルデヒドの縮合生成物、(モノ-/ジ-)アルキルナフタレンスルホネート、重合有機スルホン酸のナトリウム塩、重合アルキルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、重合アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、アルキルアリールスルホネート、アルキルポリグリコールエーテルスルフェートのナトリウム塩、ポリアルキル化多核アリールスルホネート、アリールスルホン酸とヒドロキシアリールスルホン酸のメチレン結合縮合生成物、ジアルキルスルホコハク酸のナトリウム塩、アルキルジグリコールエーテルスルフェートのナトリウム塩、ポリナフタレンメタンスルホネートのナトリウム塩、リグノスルホネートまたはオキシリグノスルホネート、及びヘテロ環式ポリスルホン酸が考えられる。
【0137】
特に適当なアニオン性分散剤はナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドの縮合生成物、重合有機スルホン酸のナトリウム塩、(モノ-/ジ-)-アルキルナフタレンスルホネート、ポリアルキル化多核アリールスルホネート、重合アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、リグノスルホネート、オキシリグノスルホネート、及びナフタレンスルホン酸とポリクロロメチルジフェニルの縮合生成物である。
【0138】
適当なノニオン性分散剤は、特に水中に乳化、分散または溶解し得、好ましくは少なくとも35℃の融点を有する化合物、例えば以下の化合物:
1.8〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコール、特にセチルアルコール;
2.好ましくは2〜80モルのアルキレンオキシド、特にエチレンオキシド(ここで、エチレンオキシド単位の一部はスチレンオキシドのような置換エポキシドで置換されていてもよい)及び/またはプロピレンオキシドと8〜22個の炭素原子を有する高級不飽和または飽和モノアルコール、脂肪酸、脂肪アミンまたは脂肪アミド、またはベンジルアルコール、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、またはアルキル基が少なくとも4個の炭素原子を有するアルキルフェノールの付加生成物;
3.アルキレンオキシド、特にプロピレンオキシド縮合生成物(ブロックポリマー);
4.ジアミン、特にエチレンジアミンとのエチレンオキシド/プロピレンオキシド付加物;
5.8〜22個の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも1つのヒドロキシ-低級アルキルまたは低級アルコキシ-低級アルキル基を有する第1級または第2級アミンの反応生成物、または前記ヒドロキシアルキル基含有反応生成物のアルキレンオキシド付加生成物;
6.ソルビタンエステル、好ましくは長鎖エステル基を有するソルビタンエステル、或いは4〜10個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートまたは4〜20個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンソルビタントリオレエートのようなエトキシル化ソルビタンエステル;
7.プロピレンオキシドと3〜6個の炭素原子を有する三価〜六価脂肪族アルコール(例えば、グリセロールまたはペンタエリトリトール)の付加生成物;及び
8.脂肪アルコールポリグリコール混合エーテル、特に3〜30モルのエチレンオキシド及び3〜30モルのプロピレンオキシドと8〜22個の炭素原子を有する脂肪族モノアルコールの付加生成物;
である。
【0139】
特に適したノニオン性分散剤は、式:
R23-O-(アルキレン-O)n-R24 (7)
(式中、
R23はC8-C22アルキルまたはC8-C18アルケニルであり;
R24は水素、C1-C4アルキル、少なくとも6個の炭素原子を有するシクロ脂肪族基、またはベンジルであり;
“アルキレン”は2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基であり;
nは1〜60の数である)
を有する界面活性剤である。
【0140】
式(7)中の置換基R23及びR24が各々8〜22個の炭素原子を有する不飽和または好ましくは飽和の脂肪族モノアルコールの炭化水素基であることが有利である。この炭化水素基は直鎖状でも分岐状でもよい。R23及びR24の各々が独立して9〜14個の炭素原子を有するアルキル基であることが好ましい。
【0141】
考えられる脂肪族飽和モノアルコールには天然アルコール、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコールまたはステアリルアルコール;及び合成アルコール、例えば2-エチルヘキサノール、1,1,3,3-テトラメチルブタノール、オクタン-2-オール、イソノニルアルコール、トリメチルヘキサノール、トリメチルノニルアルコール、デカノール、C9-C11オキソアルコール、トリデシルアルコール、イソトリデシルアルコール、及び8〜22個の炭素原子を有する線状第1級アルコール(Alfols))が含まれる。Alfolsの幾つかの例はAlfol(8-10)、Alfol(9-11)、Alfol(10-14)、Alfol(12-13)及びAlfol(16-18)(“Alfol”はSasol Limited社の登録商標である)である。
【0142】
不飽和脂肪族モノアルコールは、例えばドデセニルアルコール、ヘキサデセニルアルコール及びオレイルアルコールである。
【0143】
アルコール基は単独で、または2つ以上の成分の混合物、例えば大豆脂肪酸、パーム核脂肪酸または獣脂から誘導されるアルキル及び/またはアルケニル基の混合物の形態で存在し得る。
【0144】
(アルキレン-O)鎖が式:
【化24】

を有する二価の基であることが好ましい。
【0145】
シクロ脂肪族基の例には、シクロヘプチル、シクロオクチル、及び好ましくはシクロヘキシルが含まれる。
【0146】
ノニオン性分散剤として、式:
【化25】

(式中、
R25はC8-C22アルキルであり;
R26は水素またはC1-C4アルキルであり;
Y1、Y2、Y3及びY4は各々独立して水素、メチルまたはエチルであり;
n2は0〜8の数であり;
n3は2〜40の数である)
を有する界面活性剤が好ましいと考えられる。
【0147】
更に重要なノニオン性分散剤は、式:
【化26】

(式中、
R27はC9-C14アルキルであり;
R28はC1-C4アルキルであり;
Y5、Y6、Y7及びY8は各々独立して水素、メチルまたはエチルであり、基Y5、Y6の1つ及び基Y7、Y8の1つは常に水素であり;
n4及びn5は各々独立して4〜8の整数である).
に相当する。
【0148】
式(7)〜(9)を有するノニオン性分散剤を混合物の形態で使用してもよい。例えば、界面活性剤混合物として、式(7)を有する末端基を持たない脂肪アルコールエトキシレート、例えば式(7)(式中、R23はC8-C22アルキルであり、R24は水素であり、アルキレン-O鎖は基-(CH2-CH2-O)-である)を有する化合物及び式(9)を有する末端基を持つ脂肪アルコールエトキシレートが考えられる。
【0149】
式(7)、(8)及び(9)を有するノニオン性分散剤の例にはC10-C13脂肪アルコール(例えば、C13オキソアルコール)と3〜10モルのエチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/またはブチレンオキシドの反応生成物、及び1モルのC13脂肪アルコールと6モルのエチレンオキシドと1モルのブチレンオキシドの反応生成物が含まれ、この各々の末端にC1-C4アルキル、好ましくはメチルまたはブチルを付加した付加生成物も可能である。
【0150】
前記分散剤は単独で、または2つ以上の分散剤の混合物の形態で使用され得る。
【0151】
アニオン性またはノニオン性分散剤の代わりにまたはそれに加えて、本発明の顆粒は結合剤として水溶性有機ポリマーを含み得る。このポリマーは単独で、または2つ以上のポリマーの混合物の形態で使用され得る。
【0152】
考えられる水溶性ポリマーは、例えばポリエチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、ゼラチン、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジン-N-オキシド、ビニルピロリドンと長鎖α-オレフィンのコポリマー、ビニルピロリドンとビニルイミダゾールのコポリマー、ポリ(ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタアクリレート)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミドのコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのコポリマー、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタアクリレートの4級化コポリマー、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタアクリレートのターポリマー、ビニルピロリドンとメタアクリルアミドプロピル-塩化トリメチルアンモニウムのコポリマー、カプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタアクリレートのターポリマー、スチレンとアクリル酸のコポリマー、ポリカルボン酸、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、水解ポリ酢酸ビニル、アクリル酸エチルとメタアクリレート及びメタアクリル酸のコポリマー、マレイン酸と不飽和炭化水素のコポリマー、及び上記ポリマーの混合重合生成物である。これらの有機ポリマーの中で、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、水解ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、ポリアクリレート、アクリル酸エチルとメタアクリレート及びメタアクリル酸のコポリマー、及びポリメタアクリレートが特に好ましい。
【0153】
適当な水乳化性または水分散性結合剤にはパラフィンワックスも含まれる。
【0154】
カプセル化材(c)には、特に水溶性及び水分散性ポリマー及びワックスが含まれる。これらの中でポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、水解ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、ポリアクリレート、パラフィン、脂肪酸、アクリル酸エチルとメタクリレート及びメタアクリル酸のコポリマー、及びポリメタアクリレートが好ましい。
【0155】
考えられる追加添加剤(d)は、例えば湿潤剤、除塵剤、水不溶性または水溶性の染料または顔料、溶解促進剤、蛍光増白剤及び金属イオン封鎖剤である。
【0156】
本発明の顆粒の製造は、例えば
a)溶解または懸濁後の乾燥/成形ステップ、または
b)活性物質をメルト中に懸濁した後の成形及び固化
から実施される。
【0157】
a)まず、アニオン性またはノニオン性分散剤及び/またはポリマー、場合により追加添加剤を水中に溶解し、所望により加熱しながら均質な溶液が得られるまで攪拌する。次いで、生じた水溶液中に本発明の触媒を溶解または懸濁させる。溶液の固体含量は好ましくは溶液の全重量に基づいて少なくとも30重量%、特に40〜50重量%でなければならない。溶液の粘度は好ましくは200mPas未満である。
【0158】
次いで、こうして調製した本発明の触媒を含む水溶液を乾燥ステップにかけて、残留量を除いてすべての水が除去され、同時に固体粒子(顆粒)が形成される。水溶液から顆粒を製造するための公知の方法が適当である。原則、連続法及び非連続法が適当である。連続法、特に噴霧乾燥方法及び流動床顆粒化方法が好ましい。
【0159】
活性成分溶液を熱風が循環されているチャンバに噴霧する噴霧乾燥方法が特に適当である。溶液の噴霧化は、例えば1つまたは2つのノズルを用いて実施され、または急速回転するディスクのスピニング作用によりもたらされる。粒子サイズを大きくするために、噴霧乾燥方法に加えて、液体粒子をチャンバの一体部分をなす流動床において固体核を用いて凝集させてもよい(所謂、流体スプレー)。慣用の噴霧乾燥方法により得た微粒子(<100μm)は、所要により排ガス流から分離した後、更に処理することなく活性成分の液滴で凝集させる目的で噴霧乾燥機のアトマイザーの噴霧化コーンに直接核として供給され得る。
【0160】
顆粒化ステップ中、水を本発明の触媒、結合剤及び追加添加剤を含む溶液から急速に除去し得る。噴霧化コーン中で形成する液滴の凝集または液滴と固体の凝集が生ずることが特に意図される。
【0161】
b)本発明の触媒をメルト-顆粒化前に別のステップで乾燥し、所要によりミルにおいて乾式粉砕して、すべての固体粒子のサイズを<50μmとする。乾燥はこの目的のための一般的な装置、例えばパドル乾燥機、真空キャビネットまたは凍結乾燥機において実施する。
【0162】
カプセル化材(c)には、例えば水溶性、水分散性または水乳化性ポリマー及びワックスが含まれる。
【0163】
追加添加剤(d)として、例えば湿潤剤、除塵剤、水不溶性または水溶性の染料または顔料、溶解促進剤、蛍光増白剤及び金属イオン封鎖剤が考えられる。
【0164】
本発明の他の製品形態は産業及び研究清掃用に特に開発された製品、例えば清掃用途の別の漂白ステップで投入され得る触媒を水または有機溶媒中に含む溶液及び固体形態(例えば、粉末または顆粒)が含まれる。
【0165】
また、本発明は、式(2b)、(2c)または(2d):
【化27】

[式中、
R1、R2、R3、R4はH、OH、-NR15R16、-N+R15R16R17またはC1-C18アルキルを表し;
R5はHを示し;
R6はH、OH、C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニルを示し;
R7、R8、R9、R10は各々独立して水素、OH、未置換もしくは置換C1-C8アルキル、未置換もしくは置換フェニル、-NR15R16、-N+R15R16R17であり;
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、未置換もしくは置換の追加のヘテロ原子を含有していてもよい5、6または7員環を形成し;
R14は水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり;
R18、R19及びR20は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、-OH、
-COOR13または-SO3R13
(ここで、R13は水素、カチオン、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-SR14、-SO2R14または-OR14
(ここで、R14は水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-NR15R16、-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N+R15R16R17、-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N[(C1-C6アルキレン)-NR15R16]2、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N[(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17]2、-N(R14)-N-R15R16または-N(R14)-N+R15R16R17
(ここで、
R14は上に定義した通りであり、
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、未置換もしくは置換の追加のヘテロ原子を含有していてもよい5、6または7員環を形成する)
である]
を有する新規リガンドに関する。
【0166】
式(2b)、(2c)または(2d)
[式中、
R1、R2、R3、R4はH、OH、-NR15R16、-N+R15R16R17またはC1-C18アルキルを表し;
R5はHを示し;
R6はH、OH、C1-C4アルキルまたはフェニルを示し;
R7、R8、R9、R10は各々独立して水素、OH、未置換もしくは置換C1-C8アルキル、未置換もしくは置換フェニル、-NR15R16、-N+R15R16R17であり;
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、未置換もしくは置換の追加のヘテロ原子を含有していてもよい5、6または7員環を形成し;
R14は水素、C1-C4アルキルまたはフェニルであり;
R18、R19及びR20は相互に独立して水素、C1-C18アルキル、フェニル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、-OH、
-COOR13または-SO3R13
(ここで、R13は水素またはアルカリ金属カチオンである)、
-SR14、-SO2R14または-OR14
(ここで、R14は水素またはC1-C4アルキルである)
である]
を有する化合物が好ましい。
【0167】
本発明の更なる態様は、式(1):
[LnMemXp]zYq (1)
[式中、
Meはマンガン、チタン、鉄、コバルト、ニッケルまたは銅であり;
Xは配位または架橋基であり;
n及びmは各々独立して1〜8の値を有する整数であり;
pは0〜32の値を有する整数であり;
zは金属錯体の電荷であり;,
Yは対イオンであり;
qはz/(Yの電荷)であり;
Lは上記した式(2b)、(2c)または(2d)を有するリガンドである]
を有する金属錯体である。
【0168】
(使用について)上記した好ましいものはすべてそのまま金属錯体にも当てはまる。
【0169】
本発明の別の態様は、式(2b)、(2c)または(2d)を有する化合物の製造方法である。適当な方法は、例えば以下の反応スキームに概説されている。スキーム中の置換基はすべて上に定義した意味を有している。
【化28】

【0170】
出発物質は公知であるか、または標準方法に従って製造され得る。
【0171】
この反応は、好ましくは溶媒なしでまたは有機溶媒中で、より好ましくはアルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール、t-ブタノール、n-オクタノール-(1)及びエチレングリコール)、芳香族溶媒(例えば、トルエン、キシレン、メシチレン及びベンゼン)、炭化水素溶媒(例えば、ヘプタン及び石油エーテル)、エステル溶媒(例えば、酢酸エチル及び酢酸メチル)、アミド溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、ジエチルプロピオンアミド及び1-メチルピロリドン)、エーテル溶媒(例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン及びテトラヒドロフラン)及び極性溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)中で実施される。最も好ましくは、溶媒は水、メタノール、エタノール、1-プロパノール及び2-プロパノールである。
【0172】
反応温度は-78℃〜使用する溶媒の沸点の範囲であるが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜60℃の範囲である。
【0173】
ヒドラジドのモル比は、カルボニル誘導体に応じて0.1〜100倍、好ましくは0.5〜10倍、より好ましくは0.8〜1.2倍であり得る。
【0174】
触媒を使用することが有利である。好ましい触媒はルイス酸である、より好ましくは、ブレンステッド酸が使用される。この酸は有機または無機酸、ルイス酸またはブレンステッド酸である。
【0175】
有機酸の例はカルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸等である。ロイシン、アラニンまたはプロリンのようなアミノ酸も適当である。好ましくは、スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸が使用される。いわゆる超酸、例えば硫酸とSO3、FSO3H、ClSO3H、H[B(OSO3H)4]またはHSbF6の混合物も使用され得る。HClまたはHBrのようなハロゲン化水素が最も好ましい。
【0176】
反応はルイス酸の存在下でも可能である。ルイス酸の例はボロトリフロリド、リン及びアルミニウムの臭化物、特にホウ素、アルミニウム、リン、アンチモン、ヒ素、鉄、亜鉛及び錫の塩化物である。縮合反応を触媒し得る酸はMarch's Advanced Organic Chemistry(John Wiley & Sons,Inc.)の第5版、第8章に記載されている。
【0177】
溶媒の量(質量)は、反応物質の質量の0.5〜50倍、好ましくは1〜10倍、より好ましくは1〜5倍である。
【0178】
反応の終点は、例えば薄相クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーまたは高速液体クロマトグラフィーにより確認され得る。反応後、生成物は反応混合物から通常の生成物単離方法により、例えば濾過、液液分離、カラムクロマトグラフィー、反応混合物に極性溶媒を添加することによる結晶化、または蒸留により得られ得る。
【0179】
R6がヒドロキシル基である化合物は、以下の反応スキーム:
【化29】

に従って製造され得る。この反応に対しても上記した好ましいもの及び条件が当てはまる。
【0180】
ヒドラジド/カルボン酸誘導体のモル比は0.1〜100倍、好ましくは0.5〜10倍、より好ましくは0.8〜1.2倍であり得る。
【0181】
反応中脱水剤、シリカゲルまたはモレキュラーシーブを用いて水を除去することが好都合である。脱水剤の例はN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及びN,N'-カルボニルジイミダゾールである。縮合反応を触媒し得る脱水剤はMarch's Advanced Organic Chemistry(John Wiley & Sons,Inc.)の第5版、第10-23章(カルボン酸のエステル化)に記載されている。
【0182】
式(1)を有する金属錯体は一般的方法に従って製造される。式(2)を有するリガンドを適当な金属塩と所望のモル比で反応させることが適当な方法である。
【0183】
特に適当な個々のリガンドを表Aに要約する。
【表1】






【0184】
下記実施例は本発明を説明するのに役立つ。
【0185】
部及び%は別段の指示がない限り重量に関する。温度は別段の指示がない限り℃である。
【実施例】
【0186】
合成例A1:(化合物101,L37)の製造
【化30】

【0187】
2-ピコリニルヒドラジド(0.28g)をエタノール(8mL)中に含む混合物を40℃に加熱し、この温度で15分間攪拌する。8-ヒドロキシキノリン-2-カルボキサルデヒド(0.35g)をエタノール(4mL)中に含む高温溶液を少しずつ添加する。最後に、濃塩酸(0.25mL)を添加する。反応混合物を40℃で1時間攪拌した後、橙色粉末を濾別し、水で洗浄する。溶離液としてトルエン/メタノール(9:1)を用いるカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)にかけた後、生成物を単離して、0.11gのベージュ色粉末を得る。1H NMR([D6]DMSO):δ=16.15(s,1H),9.66(s,1H),8.84(d,1H),8.63(d,1H),8.29(d,1H),8.19(t,1H),7.96(s,1H),7.93(d,1H),7.80-7.84(m,1H),7.64(t,1H),7.55(d,1H),7.35(d,1H)。
【0188】
合成例A2:(化合物102,L46)の製造
【化31】

【0189】
N,N'-カルボニルジイミダゾール(0.45g)及び8-ヒドロキシキノリン2-カルボン酸(0.54g)をTHF(2mL)中で一緒に混合する。混合物を室温で1時間攪拌する。2-ピコリニルヒドラジド(0.31g)をTHF(1mL)中に含む混合物を冷水で冷却しながら添加する。次いで、混合物をゆっくり室温まで加温し、16時間攪拌する。蒸留によりエタノールを除去した後、残渣をアセトンに取り、水を添加して再沈殿させる。生成物を濾別し、高真空下80℃で4時間乾燥して、0.86gの淡ベージュ色粉末を得る。1H-NMR([D6]DMSO):δ=11.42(s,1H),10.85(s,1H),10.21(s,1H),8.75(d,1H),8.56(d,1H),8.16(d,1H),8.04-8.12(m,2H),7.70(t,1H),7.62(t,1H),7.52(d,1H),7.21(d,1H)。
【0190】
合成例A3:(化合物103)の製造
【化32】

【0191】
N,N'-カルボニルジイミダゾール(0.23g)をテトラヒドロフラン(THF)(2mL)中に含む混合物にキサンツレン酸(0.30g)を添加する。懸濁液を室温で2時間攪拌する。THF(2mL)中に溶解させた2-ヒドラジノピリジン(0.14g)を冷水で冷却しながら1滴ずつ添加する。生じた懸濁液を室温で20時間攪拌する。水(5mL)を添加した後、黄色懸濁液を更に1時間攪拌する。次いで、生成物を濾別し、水で洗浄し、高真空下80℃で乾燥して、0.18gの暗黄色粉末を得る。1H NMR([D6]DMSO):δ=11.25(s,1H),9.93(s,1H),8.53(s,1H),8.05(d,1H),7.40-7.59(m,4H),7.11(d,1H),6.72(t,1H),6.65(d,1H)。
【0192】
合成例A4:(化合物104,L40)の製造
【化33】

【0193】
2-ピコリニルヒドラジド(0.11g)を1-ブタノール(2mL)中に溶解させる。混合物を攪拌しながら50℃まで加熱した後、2-アセチル-8-ヒドロキシ-キノリン(0.15g)(国際公開第2004/007461号に記載されている合成プロトコルに従って製造)を1-ブタノール(2mL)中に含む混合物を1滴ずつ添加する。反応混合物を50℃で20分間攪拌した後、濃塩酸(2滴)を添加する。反応混合物を50℃で更に2時間攪拌した後、生成物を濾別し、2-ブタノール、飽和NaHCO3溶液、最後にメタノールで洗浄する。真空中で乾燥した後、0.07gの生成物を黄色がかった赤色粉末として得る。UV(MeOH):λmax=292nm;融点=200℃。
【0194】
合成例5:(化合物105,L42)の製造
【化34】

【0195】
2-ピコリニルヒドラジド(0.11g)をエタノール(2mL)中に含む混合物に80℃の温度で(8-ヒドロキシ-キノリン-2-イル)-フェニル-メタノン(0.2g)(国際公開第2004/007461号に記載されている2-アセチル-8-ヒドロキシ-キノリンの合成プロトコルに従って製造;メチルマグネシウムブロミドの代わりにフェニルフェニルマグネシウムクロリドを使用する)をエタノール(6mL)中に含む高温溶液を添加する。生じた黄色反応混合物に濃塩酸(1滴)を添加する。反応混合物を80℃で2時間攪拌した後、飽和NaHCO3溶液を添加する。次いで、生成物を濾別し、水で洗浄し、真空中80℃で乾燥して、0.18gの暗黄色粉末を得る。UV(MeOH):λmax=261nm;融点=229-239℃。
【0196】
合成例A6:(化合物106,L17)の製造
【化35】

【0197】
J.Chem.Soc.,Dalton Trans.(2008),p.1706-1710に記載されている文献手順に従って、4-モルホリン-4-イル-ピリジン-2-カルボン酸ヒドラジド(1.41g)をエタノール(25mL)中に含む混合物に2-ヒドロキシ-5-メトキシ-ベンズアルデヒド(0.97g)をエタノール(6mL)中に含む混合物を1滴ずつ添加する。最後に、濃塩酸(0.5mL)を添加する。反応混合物を室温で一晩攪拌した後、黄色沈殿を濾別し、エタノール(20mL)で2回洗浄する。真空中80℃で乾燥した後、生成物を単離して、2.08gのベージュ色粉末を得る。1H NMR([D6]DMSO):δ=13.68(s,1.3H),10.50(s,1H),9.10(s,1H),8.36(s,1H),8.25(d,1H),7.26(d,1H),7.13(s,1H),6.97-6.92(m,2H),3.84(s,4H),3.77(s,4H),3.74(s,3H)。
【0198】
出発物質の4-モルホリン-4-イル-ピリジン-2-カルボン酸ヒドラジドはJ.Org.Chem.(Vol.64,No.13,1999),p.4659に記載されている手順に従って合成する。すなわち、4-クロロ-ピリジン-2-カルボン酸ヒドラジド(1.75g)及びモルホリン(8.80g)の混合物を90℃で14時間加熱する。室温まで冷却した後、エタノール(20mL)を添加する。無色沈殿を濾別し、捨てる。濾液を一晩放置すると、生成物が沈殿する。生成物を濾別し、真空中で乾燥て、0.39gのベージュ色粉末を得る。1H NMR([D6]DMSO):δ=9.05(s,1H),8.21(d,1H),7.58(d,1H),6.72(dd,1H),3.84(m,4H),3.38(m,4H)。
【0199】
合成例A7:(化合物107,L2)の製造
【化36】

【0200】
J.Chem.Soc.,Dalton Trans.(2008),p.1706-1710に記載されている文献手順に従って、2-ピコリニルヒドラジド(1.41g)をエタノール(25mL)中に含む混合物に2-ヒドロキシ-5-メトキシ-ベンズアルデヒド(0.97g)をエタノール(6mL)中に含む混合物を1滴ずつ添加する。最後に、濃塩酸(0.5mL)を添加する。反応混合物を2時間還流した後、沈殿を濾別し、真空中80℃で乾燥して、1.41gの所望生成物を得る。融点:159-167℃。
【0201】
合成例A8:(化合物108,L5)の製造
【化37】

【0202】
J.Chem.Soc.,Dalton Trans.(2008),p.1706-1710に記載されている文献手順に従って、2-ピコリニルヒドラジド(0.87g)をエタノール(25mL)中に含む混合物に2-アセチルピリジン(0.77g)をエタノール(6mL)中に含む混合物を1滴ずつ添加する。最後に、濃塩酸(0.5mL)を添加する。反応混合物を2時間還流した後、所望生成物を濾別し、真空中80℃で乾燥して、1.36gの黄色粉末を得る。融点:186-191℃。
【0203】
合成例A9:(化合物109,L28)の製造
【化38】

【0204】
J.Chem.Soc.,Dalton Trans.(2008),p.1706-1710に記載されている文献手順に従って、4-クロロ-ピリジン-2-カルボン酸ヒドラジド(0.6g)をエタノール(15mL)中に含む混合物を40℃で15分間攪拌する。2-ヒドロキシ-ベンズアルデヒド(0.39g)をエタノール(5mL)中に含む混合物を1滴ずつ添加する。最後に、濃塩酸(0.5mL)を添加する。反応混合物を室温で3日間攪拌した後、所望生成物を濾別し、水で洗浄し、真空中70℃で乾燥して、0.61gの無色粉末を得る。13C NMR([D6]DMSO):δ=159.27,157.59,150.89,150.44,150.10,144.65,131.55,129.77,126.94,122.73,119.30,118.50,116.42。
【0205】
合成例A10:(化合物110,L31)の製造
【化39】

【0206】
J.Chem.Soc.,Dalton Trans.(2008),p.1706-1710に記載されている文献手順に従って、2-ピコリニルヒドラジド(0.43g)をエタノール(15mL)中に含む混合物を40℃で15分間攪拌する。2-ヒドロキシ-ベンズアルデヒド(0.39g)をエタノール(5mL)中に含む混合物を1滴ずつ添加する。最後に、濃塩酸(0.25mL)を添加する。反応混合物を室温で攪拌した後、所望生成物を濾別し、水で洗浄し、真空中70℃で乾燥して、0.60gの無色粉末を得る。1H NMR([D6]DMSO):δ=12.52(s,1H),11.43(s,1H),8.86(s,1H),8.74(d,1H),8.15(m,1H),8.08(m,1H),7.70(s,1H),7.48(d,1H),7.34(m,1H),6.97-6.92(m,2H)。
【0207】
[応用例]
応用例B1:(溶液中のモリンのペルオキシド漂白)
160μM モリンを10mmol/lの過酸化水素を含有している10mM 炭酸塩バッファー(pH10)中に含む溶液に時間t=0で10μM 触媒溶液(水またはメタノール中の塩化マンガン(II)四水和物と表1に示すリガンドの1:1錯体)を添加する。溶液を磁気攪拌機を備えたサーモスタット制御可能な容器中に23℃で充填する。溶液の吸光度を410nmで10分間にわたり測定する。5分後の脱色の値を%として示す。
【表2】

【0208】
本発明の化合物の存在下での漂白作用は10mM 過酸化水素単独の参照サンプルよりも優れている。
【0209】
応用例2:(洗浄剤中のペルオキシド漂白作用)
7.5gの白い綿布及び2.5gの紅茶のしみを付けた綿布を80mlの洗濯液中で処理する。洗濯液は標準の洗浄剤(ECE,456 IEC)を7.5g/lの濃度で含有している。過酸化水素濃度は8.6mmol/lである。触媒濃度(塩化マンガン(II)四水和物と表2に示すリガンドの1:1錯体,少量の水酸化リチウムを添加したメタノール溶液中で調製)は50μmol/lである。洗濯作業はLINITEST装置のスチール製ビーカー中で40℃で30分間実施する。漂白結果を評価するために、処理により生ずるしみの明度DYの増加(CIEに従う明度の差)を触媒を添加せずに得られる値と比較して分光光度的に調べる。
【表3】

【0210】
マンガン錯体は非常に優れた漂白作用を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の式(1):
[LnMemXp]zYq (1)
[式中、
Meはマンガン、チタン、鉄、コバルト、ニッケルまたは銅であり、
Xは配位または架橋基であり、
n及びmは各々独立して1〜8の値を有する整数であり、
pは0〜32の値を有する整数であり、
zは金属錯体の電荷であり、
Yは対イオンであり、
qはz/(Yの電荷)であり、
Lは式(2):
【化1】

{式中、
sは0または1であり;
Aは
【化2】

を示し;
R6はA、或いは水素、C1-C28アルキル、C2-C28アルケニル、C2-C22アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12シクロアルケニル、C7-C28アラルキル、C1-C20ヘテロアルキル、C3-C12シクロヘテロアルキル、C5-C16ヘテロアラルキル、未置換もしくは置換アリールもしくはヘテロアリール、またはOHを示し;
R'6は水素、C1-C28アルキル、C2-C28アルケニル、C2-C22アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12シクロアルケニル、C7-C28アラルキル、C1-C20ヘテロアルキル、C3-C12シクロヘテロアルキル、C5-C16ヘテロアラルキル、未置換もしくは置換アリールもしくはヘテロアリール、またはOHを示し;
は式(2)を有する構造への結合/連結を表し;
R1
【化3】

或いは水素、C1-C28アルキル、C2-C28アルケニル、C2-C22アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12シクロアルケニル、C7-C28アラルキル、C1-C20ヘテロアルキル、C3-C12シクロヘテロアルキル、C5-C16ヘテロアラルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、未置換もしくは置換アリール、未置換もしくは置換ヘテロアリール、
-COOR13または-SO3R13
(ここで、R13は各々の場合水素、カチオン、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-SR14、-SO2R14または-OR14
(ここで、R14は各々の場合水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-NR15R16、-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N+R15R16R17、-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N[(C1-C6アルキレン)-NR15R16]2、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N[(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17]2、-N(R14)-N-R15R16または-N(R14)-N+R15R16R17
(ここで、
R14は上に定義した通りであり、
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、追加のヘテロ原子を含有していてもよい未置換もしくは置換の5、6または7員環を形成する)
を示し;
R7
【化4】

或いは水素、C1-C28アルキル、C2-C28アルケニル、C2-C22アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12シクロアルケニル、C7-C28アラルキル、C1-C20ヘテロアルキル、C3-C12シクロヘテロアルキル、C5-C16ヘテロアラルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、
-COOR13または-SO3R13
(ここで、R13は各々の場合水素、カチオン、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-SR14、-SO2R14または-OR14
(ここで、R14は各々の場合水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-NR15R16、-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N+R15R16R17、-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N[(C1-C6アルキレン)-NR15R16]2、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N[(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17]2、-N(R14)-N-R15R16または-N(R14)-N+R15R16R17
(ここで、
R14は上に定義した通りであり、
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、追加のヘテロ原子を含有していてもよい未置換もしくは置換の5、6または7員環を形成する)
を示し;
はAへの結合/連結を表し;
R2、R3、R4、R8、R9、R10、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26及びR27は各々独立して水素、未置換もしくは置換のC1-C18アルキル、C2-C28アルケニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12シクロアルケニル、または未置換もしくは置換アリール、未置換もしくは置換ヘテロアリール、シアノ、ハロゲン、ニトロ、-OH、
-COOR13または-SO3R13
(ここで、R13は各々の場合水素、カチオン、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-SR14、-SO2R14または-OR14
(ここで、R14は各々の場合水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-NR15R16、-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N+R15R16R17、-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N[(C1-C6アルキレン)-NR15R16]2、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N[(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17]2、-N(R14)-N-R15R16または-N(R14)-N+R15R16R17
(ここで、
R14は上に定義した通りであり、
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、追加のヘテロ原子を含有していてもよい未置換もしくは置換の5、6または7員環を形成する)
であり;
R5、R11及びR12は相互に独立して水素、C1-C28アルキル、C2-C28アルケニル、C2-C22アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12シクロアルケニル、C7-C28アラルキル、C1-C20ヘテロアルキル、C3-C12シクロヘテロアルキル、C5-C16ヘテロアラルキル、未置換もしくは置換アリール、または未置換もしくは置換ヘテロアリールであり;或いは
R1及びR2並びに/またはR7及びR8は基
【化5】

である}
を有するリガンドである]
を有する金属錯体の酸化反応用触媒としての使用。
【請求項2】
XがCH3CN、H2O、F-、Cl-、Br-、HOO-、O22-、O2-、R101COO-、R101O-、LMeO-及びLMeOO-(ここで、R101は水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、またはフェニルであり、L及びMeは上記した定義を有している)であり;
YがR102COO-、ClO4-、BF4-、PF6-、R102SO3-、R102SO4-、SO42-、NO3-、F-、Cl-、Br-及びI-である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式(2)中、
R1、R2、R3、R4が独立してH、OH、-NR15R16、-N+R15R16R17またはC1-C18アルキルを表し;
sが1であり;
R5がHを示し;
R6がH、OH、A、C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニルを示し;
Aが
【化6】

を示し;
R7、R8、R9、R10及びR12が各々独立して水素、OH、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、未置換もしくは置換アリール、-NR15R16、-N+R15R16R17であり;
R15、R16及びR17が各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16がこれらを連結している窒素原子と一緒に、追加のヘテロ原子を含有していてもよい未置換もしくは置換の5、6または7員環を形成する、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
式(2)中、
R1、R2、R3、R4が独立してH、OH、-NR15R16、-N+R15R16R17またはC1-C18アルキルを表し;
sが1であり;
R5がHを示し;
R6がH、メチルまたはOHを示し;
Aが
【化7】

を示し;
R7、R8、R9、R10が各々独立して水素、OH、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニル、-NR15R16、-N+R15R16R17であり;
R15、R16及びR17が各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールであり、或いは
R15及びR16がこれらを連結している窒素原子と一緒に、追加のヘテロ原子を含有していてもよい未置換もしくは置換の5、6または7員環を形成する、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
式(2)中、
R1、R2、R3、R4がH、OH、-NR15R16、-N+R15R16R17またはC1-C18アルキルを表し;
sが1であり;
R5がHを示し;
R6がH、メチル、OHを示し;
Aが
【化8】

を示し;
R9、R10が各々独立して水素、OH、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニル、-NR15R16、-N+R15R16R17であり;
R15、R16及びR17が各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16がこれらを連結している窒素原子と一緒に、追加のヘテロ原子を含有していてもよい未置換もしくは置換の5、6または7員環を形成する、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
式(2)が式(2a):
【化9】

[式中、
R3はHまたはOHであり;
sは1であり;
R5はHを示し;
R6はA、H、メチルまたはOHを示し;
Aは
【化10】

を示し;
R7、R8、R9、R10、R11及びR12は各々独立して水素、OH、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニル、-NR15R16、-N+R15R16R17であり;
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、追加のヘテロ原子を含有していてもよい未置換もしくは置換の5、6または7員環を形成する]
を有する、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
式(2a)中、
【化11】

R3がHまたはOHであり;
sが1であり;
R5がHを示し;
R6がA、H、メチルまたはOHを示し;
Aが
【化12】

を示し;
R7、R8、R9、R10が各々独立して水素、OH、未置換もしくは置換C1-C8アルキル、未置換もしくは置換フェニル、-NR15R16、-N+R15R16R17であり;
R15、R16及びR17が各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16がこれらを連結している窒素原子と一緒に、追加のヘテロ原子を含有していてもよい未置換もしくは置換の5、6または7員環を形成する、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
式(2)が式(2b)、(2c)または(2d):
【化13】

[式中、
R1、R2、R3、R4はH、OH、-NR15R16、-N+R15R16R17またはC1-C18アルキルを表し;
R5はHを示し;
R6はH、OH、C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニルを示し;
R7、R8、R9、R10は各々独立して水素、OH、未置換もしくは置換C1-C8アルキル、未置換もしくは置換フェニル、-NR15R16、-N+R15R16R17であり;
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、追加のヘテロ原子を含有していてもよい未置換もしくは置換の5、6または7員環を形成し;
R14は水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり;
R18、R19及びR20は相互に独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、-OH、
-COOR13または-SO3R13
(ここで、R13は水素、カチオン、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-SR14、-SO2R14または-OR14
(ここで、R14は水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-NR15R16、-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N+R15R16R17、-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N[(C1-C6アルキレン)-NR15R16]2、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N[(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17]2、-N(R14)-N-R15R16または-N(R14)-N+R15R16R17
(ここで、
R14は上に定義した通りであり、
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、追加のヘテロ原子を含有していてもよい未置換もしくは置換の5、6または7員環を形成する)
である]
を有する、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
式(1)を有する金属錯体化合物が、洗濯作業時またはしみ抜き剤を直接適用することによりテキスタイル材料上のしみまたは汚れを漂白するために;硬質表面、特に台所の表面、壁のタイルまたは床のタイルを清掃するために;自動食器洗浄用組成物中に使用するために;洗濯液中でテキスタイルを処理している間及び/またはその後に漂白が触媒されるようにテキスタイル材料上のしみまたは汚れを空中酸素により漂白するために;テキスタイル材料の洗濯中に移行染料が再沈着するのを防止するために;抗菌作用を有する洗濯及び清掃溶液中に使用するために;テキスタイルを漂白するための前処理剤として;有機合成時の選択的酸化反応における触媒として;排水処理のために;製紙時の漂白のために;殺菌のために;及びコンタクトレンズの消毒のために、ペルオキシドまたはペルオキシド形成物質、O2及び/または空気と一緒に触媒として使用される、請求項1に記載の使用。
【請求項10】
I)組成物の全重量に基づいて0〜50重量%のA)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤及び/またはB)ノニオン性界面活性剤;
II)組成物の全重量に基づいて0〜70重量%のC)少なくとも1種のビルダー物質;
III)組成物の全重量に基づいて1〜99重量%のD)少なくとも1種のペルオキシド及び/または1種のペルオキシド形成物質、O2及び/または空気;
IV)E)0.5〜50g/Lの洗浄剤、清掃剤、消毒剤または漂白剤を液に加えたときに液中で0.5〜100mg/(液のL)の濃度を与える量の、請求項1に定義されている式(1)を有する少なくとも1種の金属錯体化合物;
V)組成物の全重量に基づいて0〜20重量%の少なくとも1種の追加添加剤;及び
VI)組成物の全重量に基づいて100重量%までの水;
を含む洗浄用、清掃用、消毒用または漂白用組成物。
【請求項11】
テキスタイル材料または硬質表面材料に対して使用される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
f)顆粒の全重量に基づいて1〜99重量%の請求項1に定義されている式(1)を有する少なくとも1種の金属錯体化合物及び少なくとも1種のペルオキシド、
g)顆粒の全重量に基づいて1〜99重量%の少なくとも1種の結合剤、
h)顆粒の全重量に基づいて0〜20重量%の少なくとも1種のカプセル化材、
i)顆粒の全重量に基づい0〜20重量%の少なくとも1種の追加添加剤、及び
j)顆粒の全重量に基づいて0〜20重量%の水
を含む顆粒。
【請求項13】
式(2b)、(2c)または(2d):
【化14】

[式中、
R1、R2、R3、R4はH、OH、-NR15R16、-N+R15R16R17またはC1-C18アルキルを表し;
R5はHを示し;
R6はH、OH、C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニルを示し;
R7、R8、R9、R10は各々独立して水素、OH、未置換もしくは置換C1-C8アルキル、未置換もしくは置換フェニル、-NR15R16、-N+R15R16R17であり;
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、追加のヘテロ原子を含有していてもよい未置換もしくは置換の5、6または7員環を形成し;
R14は水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり;
R18、R19及びR20は相互に独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、-OH、
-COOR13または-SO3R13
(ここで、R13は水素、カチオン、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-SR14、-SO2R14または-OR14
(ここで、R14は水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換アリールである)、
-NR15R16、-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N+R15R16R17、-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-NR15R16、-N[(C1-C6アルキレン)-NR15R16]2、-N(R14)-(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17、-N[(C1-C6アルキレン)-N+R15R16R17]2、-N(R14)-N-R15R16または-N(R14)-N+R15R16R17
(ここで、
R14は上に定義した通りであり、
R15、R16及びR17は各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、または未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16はこれらを連結している窒素原子と一緒に、追加のヘテロ原子を含有していてもよい未置換もしくは置換の5、6または7員環を形成する)
である]
を有する化合物。
【請求項14】
R1、R2、R3、R4がH、OH、-NR15R16、-N+R15R16R17またはC1-C18アルキルを表し;
R5がHを示し;
R6がH、OH、C1-C4アルキルまたはフェニルを示し;
R7、R8、R9、R10が各々独立して水素、OH、未置換もしくは置換C1-C8アルキル、未置換もしくは置換フェニル、-NR15R16、-N+R15R16R17であり;
R15、R16及びR17が各々独立して水素、未置換もしくは置換C1-C18アルキル、未置換もしくは置換フェニルであり、或いは
R15及びR16がこれらを連結している窒素原子と一緒に、追加のヘテロ原子を含有していてもよい未置換もしくは置換の5、6または7員環を形成し;
R14が水素、C1-C4アルキルまたはフェニルであり;
R18、R19及びR20が相互に独立して水素、C1-C18アルキル、フェニル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、-OH、
-COOR13または-SO3R13
(ここで、R13は水素またはアルカリ金属カチオンである)、
-SR14、-SO2R14または-OR14
(ここで、R14は水素またはC1-C4アルキルである)
である、請求項13に記載の式(2b)、(2c)または(2d)を有する化合物。
【請求項15】
式(1):
[LnMemXp]zYq (1)
[式中、
Meはマンガン、チタン、鉄、コバルト、ニッケルまたは銅であり;
Xは配位または架橋基であり;
n及びmは各々独立して1〜8の値を有する整数であり;
pは0〜32の値を有する整数であり;
zは金属錯体の電荷であり;
Yは対イオンであり;
qはz/(Yの電荷)であり;
Lは請求項13に記載の式(2b)、(2c)または(2d)を有するリガンドである]
を有する金属錯体。

【公表番号】特表2010−534125(P2010−534125A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517353(P2010−517353)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059151
【国際公開番号】WO2009/013163
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】