説明

金属錯体化合物

【課題】有機電子材料として、導電性又は発光性などの優れた特性と安定性を有する、新規な金属錯体化合物を提供する。
【解決手段】本発明は、下記式Iおよび式IIで表される単核および二核錯体化合物、そのリガントとしての化合物、ならびに式Iおよび式IIで表される単核および二核錯体化合物の製造方法と、その製造方法に有用な中間体化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電子材料として有用な金属錯体化合物、そのリガントとしての化合物、ならびにそれらの金属錯体化合物の製造方法と、その製造方法に有用な中間体化合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
π共役系が長くつながった有機分子、およびその金属錯体化合物は、有機電子材料などに応用可能な材料として注目されている。例えば、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレンなどのπ共役系高分子は、有機半導体、導電性高分子又は発光性高分子として働くことが知られており、また近年、有機EL(Electroluminescence)又は有機LED(Light-Emitting Diode)素子の発光層への応用や、有機TFT(Thin Film Transistor)としての応用が検討されている。
【0003】
また、金属原子をπ共役系が長くつながった有機分子の主鎖に直接結合(配位)させた金属錯体化合物は、半導体特性、導電性、レドックス活性、光ルミネセンス活性などの特性を有することが期待され、同様に、有機EL又は有機LED素子の発光層への応用や、有機TFTとして液晶ディスプレイへの応用が期待されている。そのような金属錯体化合物として、イミン化合物であるサレン(salen:N,N′−ジサリチリデンセチレンジアミン)およびサルフェン(salphen:N,N′−ジサリチリデン−o−フェニレンジアミン)リガンドと、遷移金属カチオンとを含むもの(以下、サレン系錯体化合物という)が知られている。そして、例えば、Ni−サレン系錯体化合物を電解重合より電極上で導電性フィルムとする製造手順が報告されている(例えば、非特許文献1−3参照)。
【0004】
さらにサレン系錯体化合物は、従来から、シアニン色素やオキソノール染料などの再生劣化を改善する目的で、光学記録媒体などへの使用が検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、そのような化合物は合成の煩雑さ、溶解性の低さなどにより取り扱いに難点があるものもが多い。
【特許文献1】特開昭60−44390号公報
【特許文献2】特表2007−513064号公報
【非特許文献1】P. Audebertら, New J. Chem. 15 (1991) p235-237
【非特許文献2】C. E. Dahmら, Anal. Chem., 66 (1994) p3117-3123
【非特許文献3】E. A. Dmitrievaら, Russ. J. Electrochem. 41 (2005) p381-387
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、π共役系が長くつながった、新規な金属錯体化合物を提供することを目的とする。具体的に、本発明は、式Iおよび式IIで表される単核および二核錯体化合物、そのリガントとしての式IIIで表される化合物、ならびに式Iおよび式IIで表される錯体化合物の製造方法と、その製造方法に有用な式IVで表される中間体化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、サリチルアルデヒドまたはその類縁体から誘導されるサレン系錯体化合物に着目し、そのπ共役系を伸展させて、半導体特性、導電性、レドックス活性、光ルミネセンス活性などの特性を有する新規な金属錯体化合物の探索を鋭意行なった結果、サリチルアルデヒドに代えて、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド化合物から誘導される単核錯体化合物、および2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフタレンジカルバルデヒド化合物から誘導される二核錯体化合物を見出し、以下の本発明を完成させた。
【0007】
(1)式I:
【化11】


(式中、Rは、互いに独立して、水素、C−C18アルキル基またはアリール基であり、R′は、互いに独立して、水素、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシル基またはアリール基であり、そしてMは、2価もしくは3価の遷移金属カチオンである)で表される単核錯体化合物。
【0008】
(2)式II:
【化12】


(式中、Rは、互いに独立して、水素、C−C18アルキル基またはアリール基であり、R′は、互いに独立して、水素、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシル基またはアリール基であり、そしてMは、2価もしくは3価の遷移金属カチオンである)
で表される二核錯体化合物。
【0009】
(3)遷移金属カチオンが、周期表第4周期の遷移金属から選択されるものである、上記(1)または(2)の錯体化合物。
【0010】
(4)遷移金属カチオンが、亜鉛(II)、銅(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)、マンガン(II)または鉄(III)である、上記(3)の錯体化合物。
【0011】
(5)式III:
【化13】


(式中、RおよびR′は、上記に定義したとおりである)で表される化合物。
【0012】
(6)上記(1)の式I:
【化14】


(式中、R、R′およびMは、上記に定義したとおりである)で表される単核錯体化合物の製造方法であって、式IV:
【化15】


(式中、RおよびR′は、上記に定義したとおりである)で表されるN−(2−ヒドロキシ−1−ナフタリデン)−o−フェニレンジアミン化合物と、式V:
【化16】


(式中、R′は、上記に定義したとおりである)で表される2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド化合物との混合物を、遷移金属化合物と反応させることを特徴とする、方法。
【0013】
(7)上記(2)の式II:
【化17】


(式中、R、R′およびMは、上記に定義したとおりである)で表される二核錯体化合物の製造方法であって、式IV:
【化18】


(式中、RおよびR′は、上記に定義したとおりである)で表されるN−(2−ヒドロキシ−1−ナフタリデン)−o−フェニレンジアミン化合物と、式VI:
【化19】


の2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフタレンジカルバルデヒドとの混合物を、遷移金属化合物と反応させることを特徴とする、方法。
【0014】
(8)式IV:
【化20】


(式中、RおよびR′は、上記に定義したとおりである)で表されるN−(2−ヒドロキシ−1−ナフタリデン)−o−フェニレンジアミン化合物。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、π共役系が長くつながった、式Iおよび式IIの新規錯体化合物を提供することができる。本発明の錯体化合物は、複雑な反応を必要とすることなく、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド化合物から、または2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフタレンジカルバルデヒドから、容易に製造することができる。特に、2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフタレンジカルバルデヒドと、ハーフリガンドである式IVの化合物とを用いることにより、π共役系がより伸張した二核錯体化合物を、ワンポット反応により容易に製造することができる。また、本発明の錯体化合物は、添付の図面に示すように、600nmを超える長波長領域に吸収を示す。このような長波長領域に吸収を示す従来の有機化合物は、自らが吸収した光エネルギーにより分解し易く、一般に不安定なものが多い。これに対して本発明の化合物は、芳香族化合物と遷移金属カチオンからなる錯体によるものであることから、非常に安定である。したがって、本発明の錯体化合物は有機電子材料として、半導体特性、導電性又は発光性などの特性とその安定性を発揮することが期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の新規なサレン系錯体化合物である式Iおよび式IIの錯体化合物において、Rは、互いに独立して、水素、C−C18アルキル基またはアリール基であり、R′は、互いに独立して、水素、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシル基またはアリール基である。
【0017】
RにおけるC−C18アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のC−C18アルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピル、あるいは直鎖状または分岐鎖状のブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシルまたはオクタデシルを意味する。式Iおよび式IIの錯体化合物の溶解性の点からは、少なくとも1つのRが、直鎖状または分岐鎖状のC-C18アルキル基であるのが好ましく、特に、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシルのような直鎖状または分岐鎖状のC-C18アルキル基であるのが好ましい。
【0018】
R′におけるC−Cアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のC−Cアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピル、あるいは直鎖状または分岐鎖状のブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルまたはオクチルを意味する。メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチルまたはt−ブチルのような直鎖状または分岐鎖状のC-Cアルキル基であるのが好ましい。
【0019】
R′におけるC−Cアルコキシル基は、−O−C−Cアルキルを意味し、ここでC−Cアルキルは、上記に定義したとおりである。RおよびR′におけるアリールは、フェニルまたはナフチルを意味する。
【0020】
本発明の新規なサレン系錯体化合物である、式Iおよび式IIの単核および二核錯体化合物において、Mは、リガンドである上記式IIIの化合物に結合(配位)する、2価若しくは3価の遷移金属カチオンであり、好ましくは、周期表第4周期の遷移金属元素から選択されるものであり、特には、亜鉛(II)、銅(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)、マンガン(II)または鉄(III)である。
【0021】
本発明の新規なサレン系錯体化合物である、式Iおよび式IIの単核および二核錯体化合物において、Rは、両方共に、水素またはC−Cアルキル基、特に直鎖状または分岐鎖状のC-C18アルキル基であるのが好ましく;R′は、両方共に、水素、水酸基またはC−Cアルキル基、特に水酸基であるのが好ましく;Mは、亜鉛(II)、銅(II)、ニッケル(II)または鉄(III)であるのが好ましい。
【0022】
本発明の新規なサレン系錯体化合物である式Iの単核錯体化合物は、以下に示すスキーム1および2にしたがって製造することができる。
【0023】
【化21】

【0024】
スキーム1では、先ず式Iの単核錯体化合物のリガンドである、式IIIの化合物の合成について概説する。かかる合成は、アルデヒドとアミンを反応させてイミンを形成する公知の方法に従って行なうことができる。例えば、メタノール、エタノール、THFまたはそれらの混合溶媒のような不活性溶媒中の式VIIのフェニレンジアミン化合物(市販されているか、公知の方法、例えば文献:D. T. Rosaら, Inorg. Synth. 33 (2002) p112-119 に記載の方法に従って合成される)に、式Vの2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド化合物(市販されているか、公知の方法、例えば文献:C. Schieleら, Tetrahedron 24 (1968) p2293-2296 に記載の方法に従って合成される)を加え、0℃〜使用する溶媒の還流温度までの温度で、好ましくは室温(約25℃)〜使用する溶媒の還流温度までの温度で、1〜24時間反応させることによって製造することができる。この反応では、式IIIのリガンドを単独で、又はハーフリガンドである式IVの化合物と共に得ることができる。あるいは、式Vのアルデヒド化合物と、式VIIのフェニレンジアミン化合物とを等モル量で反応させることにより、式IVの化合物をほぼ単独で得ることができる。このように、式IIIのリガンドまたは式IVのハーフリガンドのいずれが優位に形成されるかの決定は、原料である式Vのアルデヒド化合物と式VIIのフェニレンジアミン化合物との仕込み量のモル比を所望に応じて調整することにより行うことができる。また、式IVのハーフリガンドの形成が優位になるようこの反応を実施するには、形成した式IVのハーフリガンドのさらなる反応の進行(すなわち、式IIIのリガンドへの反応の進行)を阻害するため、形成したハーフリガンドが反応系から順次析出するように、溶媒の種類や使用量を適宜調整することにより行なうこともできる。式IVの化合物は、後述するように、式Iおよび式IIの錯体化合物の製造において使用しうる中間体である。
【0025】
【化22】

【0026】
スキーム2の方法Aにおいて、式Iの単核錯体化合物は、式IIIのリガンドと遷移金属化合物:MXを直接反応させる、公知の方法に従って得ることができる。例えば、メタノール、エタノール、THFまたはそれらの混合溶媒のような不活性溶媒中の式IIIのリガンドに、遷移金属化合物:MXを加え、0℃〜使用する溶媒の還流温度までの温度で、好ましくは室温(約25℃)〜使用する溶媒の還流温度までの温度で、1〜24時間撹拌することによって製造することができる。かかる反応は、必要に応じて、トリエチルアミンのような塩基の存在下に行なってもよい。
【0027】
一方、スキーム2の方法Bにおいて、式Iの単核錯体化合物は、ハーフリガンドとして式IVの化合物と、式Vの2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド化合物との混合物に、遷移金属化合物:MXを順次加えて反応させることにより得ることができる。例えば、メタノール、エタノール、THFまたはそれらの混合溶媒のような不活性溶媒中の式IVの化合物に、式Vの2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド化合物を加え、次いで遷移金属化合物:MXを加え、0℃〜使用する溶媒の還流温度までの温度で、好ましくは室温(約25℃)〜使用する溶媒の還流温度までの温度で、1〜24時間撹拌することによって製造することができる。かかる反応は、必要に応じて、トリエチルアミンのような塩基の存在下に行なってもよい。
【0028】
本発明の新規なサレン系錯体化合物である式IIの二核錯体化合物は、以下に示すスキーム3にしたがって製造することができる。
【0029】
【化23】

【0030】
スキーム3において、式IIの二核錯体化合物は、ハーフリガンドとして式IVの化合物と、式VIの2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフタレンジカルバルデヒド(公知の方法、例えば文献:A. P. Kuriakose et al., Jour. Indian Chem. Soc., Vol. 43, No. 6, 1966 に記載の方法に従って合成される)との混合物に、遷移金属化合物:MXを順次加えて反応させることにより得ることができる。例えば、メタノール、エタノール、THFまたはそれらの混合溶媒のような不活性溶媒中の式IVの化合物に、式VIのジカルバルデヒド化合物を加え、次いで遷移金属化合物:MXを加え、0℃〜使用する溶媒の還流温度までの温度で、好ましくは室温(約25℃)〜使用する溶媒の還流温度までの温度で、1〜24時間撹拌することによって製造することができる。かかる反応は、必要に応じて、トリエチルアミンのような塩基の存在下に行なってもよい。
【0031】
本発明おいて遷移金属化合物:MXは、2価もしくは3価の遷移金属カチオンを、好ましくは、周期表第4周期の遷移金属から選択されるものを、特には、亜鉛(II)、銅(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)、マンガン(II)または鉄(III)を、リガンドに供給し、式Iおよび式IIの錯体化合物を形成しうる化合物であればよい。本発明に使用する遷移金属化合物の例としては、上記遷移金属の低価数の無機酸塩、有機酸塩または錯塩の形で一般に使用されるものが挙げられる。そのような遷移金属化合物としては、アセチルアセトン亜鉛(II)、アセチルアセトン銅(II)、アセチルアセトンニッケル(II)、アセチルアセトンコバルト(II)、アセチルアセトンマンガン(II)、塩化亜鉛(II)、塩化コバルト(II)、塩化鉄(III)、炭酸亜鉛(II)、炭酸コバルト(II)、炭酸マンガン(II)、酸化コバルト(II)、酸化鉄(III)、酢酸亜鉛(II)、酢酸銅(II)、酢酸ニッケル(II)、酢酸コバルト(II)、酢酸マンガン(II)、ステアリン酸亜鉛(II)、ステアリン酸コバルト(II)、ステアリン酸マンガン(II)、乳酸亜鉛(II)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。酢酸亜鉛(II)、酢酸銅(II)、酢酸ニッケル(II)または塩化鉄(III)の使用が好ましい。
【実施例】
【0032】
以下に実施例を示し、本発明の詳細を説明するが、これらの実施例は本発明を限定することを意図するものではない。
【0033】
実施例で得られた、式Iの単核錯体化合物および式IIの二核錯体化合物の各スペクトルデータは、以下のように測定した。
−電子吸収スペクトル
測定機器:JASCO V-630 spectrophotometer
測定試料:各実施例化合物の1×10−4Mピリジン(分析用グレード)溶液
−NMRスペクトル
測定機器:JEOL JNM-AL400(400 MHz for 1H)
−IRスペクトル
測定機器:Shimadzu FTIR-8700
−MSスペクトル
測定機器:JEOL JMS-600H
−元素分析
測定機器:FUSION INSTRUMENTS EA1108
【0034】
また、実施例で示した化合物の融点は、顕微鏡用の冷却・加熱装置である、Linkam LK−600を用いて、昇温速度2K/分にて測定したものである。
【0035】
実施例1:リガンド(Rが、共にn−ドデシル基であり、R′が、共に水酸基である、式IIIの化合物)の合成
2,6−ジヒドロキシナフトアルデヒド(207mg, 1.1mmol;C. Schieleら, Tetrahedron 24 (1968) p2293-2296 に従って合成した)を、THF(4mL)に溶解し、これを4,5−ビス(デシルオキシ)−1,2−フェニレンジアミン(239mg, 0.5mmol;D. T. Rosaら, Inorg. Synth. 33 (2002) p112-119 に従って合成した)のTHF/メタノール(v/v=1/1,5mL)溶液に、室温で加えた。12時間撹拌した後、反応混合物にメタノールを加え、沈殿を促した。析出した沈殿物をろ取し、赤紫色の結晶性固体として目的化合物139mg(収率34%)を得た。
【0036】
mp. 244-246 ℃;
IR (KBr) 3365 (νO-H), 1611 (νC=N) cm-1;
FAB(+) MS m/z 817.8 (817.5 calcd. for M+H+);
Elemental Analysis Calcd. for C52H68N2O6: C, 76.44; H, 8.39; N, 3.43. Found: C, 76.15; H, 8.40; N, 3.41.;
1H NMR (DMSO-d6) δ 0.85 (t (7.3 Hz), CH3, 6H), 1.20-1.40 (m, -CH2-, 32H), 1.42-1.51 (m, -CH2-, 4H), 1.73-1.80 (m, -CH2-, 4H), 4.15 (t (5.9 Hz), -CH2O-, 4H), 7.01 (d (9.2 Hz), ArH, 2H), 7.10-7.12 (m, ArH, 4H), 7.38 (s, ArH, 2H), 7.76 (d (9.3 Hz), ArH, 2H), 8.39 (d (9.7 Hz), ArH, 2H), 9.54 (br, ArOH, 2H), 9.56 (s, -CH=N-, 2H), 15.05 (br, ArOH, 2H).
【0037】
実施例2:ハーフリガンド(Rが共にn−ドデシル基であり、R′が水酸基である、式IVの化合物)の合成
2,6−ジヒドロキシナフトアルデヒド(753mg, 4.0mmol)を、THF−エタノール(v/v=1/4,25mL)に溶解し、これを4,5−ビス(デシルオキシ)−1,2−フェニレンジアミン(954mg, 2.0mmol)のTHF/エタノール(v/v=1/1,35mL)溶液に、室温で加えた。12時間撹拌した後、反応混合物を真空エバポレータで濃縮し、次いでメタノール30mLを加え、さらなる沈殿を促した。析出した沈殿物をろ取し、橙色の結晶性固体として目的化合物946mg(収率73%)を得た。
【0038】
mp. 140-142 ℃;
IR (KBr) 3192 (νO-H), 1607 (νC=N) cm-1;
FAB(+) MS m/z 647.5 (647.5 calcd. for M+H+);
Elemental Analysis Calcd. for C41H62N2O4・0.5H2O: C, 75.07; H, 9.68; N, 4.27. Found: C, 74.84; H, 9.71; N, 4.30.;
1H NMR (DMSO-d6) δ 0.85 (t (6.6 Hz), CH3, 6H), 1.19-1.38 (m, -CH2-, 32H), 1.40-1.48 (m, -CH2-, 4H), 1.64-1.74 (m, -CH2-, 4H), 3.90 (t (6.3 Hz), -CH2O-, 2H), 3.95 (t (6.4 Hz), -CH2O-, 2H), 4.76 (s, ArNH2, 2H), 6.50 (s, ArH, 1H), 7.04 (d (9.1 Hz), ArH, 1H), 7.10-7.13 (m, ArH, 2H), 7.22 (s, ArH, 1H), 7.72 (d (9.1 Hz), ArH, 1H), 8.41 (d (8.8 Hz), ArH, 1H), 9.49 (s, -CH=N-, 1H), 15.43 (s, ArOH, 1H).
【0039】
実施例3:亜鉛(II)−単核錯体化合物([ZnL]:Rが共にn−ドデシル基であり、R′が共に水酸基であり、MがZn(II)である、式Iの化合物)の合成
実施例1で得られたリガンド(40.9mg, 0.05mmol)を、THF(5mL)に溶解し、それに酢酸亜鉛(II)・二水和物(12.1mg, 0.055mmol)のメタノール(1mL)溶液を、室温で滴下した。18時間撹拌した後、メタノール(6mL)を加え、次いで混合物を真空エバポレータで、固体が析出するまで濃縮した。析出した沈殿物をろ取し、赤紫色の結晶性固体として目的化合物38mg(収率86%)を得た。
【0040】
IR (KBr) 3368 (νO-H), 1607 (νC=N), 566 (νM-O), 419 (νM-N) cm-1;
FAB(+) MS m/z 879.6 (879.4 calcd. for M+H+);
Elemental Analysis Calcd. for C52H66N2O6Zn・2H2O: C, 68.15; H, 7.70; N, 3.06. Found: C, 68.18; H, 7.44; N, 3.00.;
1H NMR (DMSO-d6) δ 0.85 (t (6.5 Hz), CH3, 6H), 1.20-1.42 (m, -CH2-, 32H), 1.48-1.56 (m, -CH2-, 4H), 1.75-1.83 (m, -CH2-, 4H), 4.20 (t (6.0 Hz), -CH2O-, 4H), 6.92 (d (9.1 Hz), ArH, 2H), 6.99 (s, ArH, 2H), 7.03 (d (8.9 Hz), ArH, 2H), 7.56 (s, ArH, 2H), 7.59 (d 9.3 Hz), ArH, 2H), 8.29 (d (9.3 Hz), ArH, 2H), 9.23 (s, -CH=N-, 2H), 9.58 (s, ArOH, 2H).
【0041】
実施例4:銅(II)−単核錯体化合物([CuL]:Rが、共にn−ドデシル基であり、R′が共に水酸基であり、MがCu(II)である、式Iの化合物)の合成
実施例1で得られたリガンド(40.9mg, 0.05mmol)を、THF(2mL)に溶解し、それに酢酸銅(II)・無水物(10.0mg, 0.055mmol)のメタノール(2mL)溶液を、室温で滴下した。さらにメタノール(1mL)を加え、16時間撹拌すると、沈殿物が得られた。それをろ取し、暗紫色の結晶性固体として目的化合物45mg(収率100%)を得た。
【0042】
IR (KBr) 3352 (νO-H), 1605 (νC=N) , 569 (νM-O), 419 (νM-N) cm-1;
FAB(+) MS m/z 878.5 (878.4 calcd. for M+H+), 900.7 (900.4 calcd. for M+Na+); Elemental Analysis Calcd. for C52H66CuN2O6・H2O: C, 69.65; H, 7.64; N, 3.12. Found: C, 69.38; H, 7.64; N, 3.15.
【0043】
実施例5:ニッケル(II)−単核錯体化合物([NiL]:Rが共にn−ドデシル基であり、R′が共に水酸基であり、MがNi(II)である、式Iの化合物)の合成
実施例1で得られたリガンド(40.9mg, 0.05mmol)を、THF(5mL)に溶解し、それに酢酸ニッケル(II)・四水和物(13.7mg, 0.055mmol)のメタノール(1mL)溶液を、室温で滴下した。混合物は速やか沈殿を形成した。これをろ取し、暗紫色の結晶性固体として目的化合物41mg(収率94%)を得た。
【0044】
IR(KBr) 3354 (νO-H), 1605 (νC=N), 581 (νM-O), 421 (νM-N) cm-1;
FAB(+) MS m/z 873.7 (873.4 calcd. for M+H+), 895.7 (895.4 calcd. for M+Na+);
Elemental Analysis Calcd. for C52H66N2NiO6・H2O: C, 70.03; H, 7.69; N, 3.14. Found: C, 69.85; H, 7.54; N, 3.16.;
1H NMR (DMSO-d6) δ 0.84 (t (6.3 Hz), CH3, 6H), 1.20-1.40 (m, -CH2-, 32H), 1.45-1.54 (m, -CH2-, 4H), 1.73-1.80 (m, -CH2-, 4H), 4.18 (t (6.8 Hz), -CH2O-, 4H), 7.04 (d (9.1 Hz), ArH, 2H), 7.08 (s, ArH, 2H), 7.10 (d (8.9 Hz), ArH, 2H), 7.64 (d 9.2 Hz), ArH, 2H), 7.80 (s, ArH, 2H), 8.38 (d (8.5 Hz), ArH, 2H), 9.06 (s, -CH=N-, 2H), 9.44 (s, ArOH, 2H).
【0045】
実施例6:鉄(III)−単核錯体化合物([FeLCl]:Rが共にn−ドデシル基であり、R′が共に水酸基であり、MがFe(III)である、式Iの化合物)の合成
実施例1で得られたリガンド(40.9mg, 0.05mmol)を、THF(2mL)に溶解し、それに塩化鉄(III)・六水和物(14.9mg, 0.055mmol)のメタノール(1mL)溶液を、室温で滴下した。トリエチルアミン(5μL)を加え、混合物を18時間放置した。メタノール(6mL)を加えた後、真空エバポレータで濃縮すると、沈殿が得られた。それをろ取し、暗褐色の結晶性固体として目的化合物29mg(収率64%)を得た。
【0046】
IR(KBr) 3366 (νO-H), 1601 (νC=N) , 584 (νM-O), 419 (νM-N) cm-1;
FAB(+) MS m/z 870.6 (870.4 calcd. for M-Cl-), 905.6 (905.4 calcd. for M+);
Elemental Analysis Calcd. for C52H66ClFeN2O6・H2O: C, 67.56; H, 7.41; N, 3.03. Found: C, 67.44; H, 6.83; N, 2.80.
【0047】
実施例7:亜鉛(II)−二核錯体化合物([Zn]:Rが共にn−ドデシル基であり、R′が共に水酸基であり、MがZn(II)である、式IIの化合物)の合成
実施例2で得られたハーフリガンド(129.4mg, 0.2mmol)を、THF(5mL)に溶解し、それに2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフタレンジカルバルデヒド(21.6mg,0.1mmol;A. P. Kuriakose et al., Jour. Indian Chem. Soc., Vol. 43, No. 6, 1966 に記載の方法に従って合成した)のTHF(5mL)溶液を加えた。混合物が赤褐色の溶液に変化した後、酢酸亜鉛(II)・二水和物(48.3mg, 0.22mmol)のメタノール(3mL)溶液を、室温で滴下した。4時間撹拌した後、沈殿物が得られた。沈殿物をろ取し、メタノールで洗浄し、赤紫色の結晶性固体として目的化合物127.6mg(収率80%)を得た。
【0048】
IR(KBr) 3384 (νO-H), 1607 (νC=N), 569 (νM-O), 415 (νM-N) cm-1;
FAB(+) MS m/z 1599.7 (1597.8 calcd. for M+H+);
Elemental Analysis Calcd. for C94H124N4O10Zn2・4H2O: C, 67.49; H, 7.95; N, 3.35. Found: C, 67.38; H, 7.46; N, 3.48.;
1H NMR (pyridine-d5) δ 0.89 (t (6.6 Hz), CH3, 12H), 1.20-1.39 (m, -CH2-, 72H), 1.48-1.58 (m, -CH2-, 8H), 1.77-1.87 (m, -CH2-, 8H), 4.18 (t (6.4 Hz), -CH2O-, 4H), 4.22 (t (6.3 Hz), -CH2O-, 4H), 7.48 (d (9.3 Hz), ArH, 2H), 7.51 (d (9.2 Hz), ArH, 2H), 7.56 (s, ArH, 2H), 7.77 (d (9.5 Hz), ArH, 2H), 7.85 (s, ArH, 2H), 7.92 (s, ArH, 2H), 8.65 (d (9.3 Hz), ArH, 2H), 8.74 (d, ArH, 2H), 8.83 (d (9.3 Hz), ArH, 2H), 10.16 (s, -CH=N-, 2H), 10.20 (s, -CH=N-, 2H), 11.44 (s, ArOH, 2H).
【0049】
実施例8:銅(II)−二核錯体化合物([Cu]:Rが共にn−ドデシル基であり、R′が共に水酸基であり、MがCu(II)である、式IIの化合物)の合成
実施例2で得られたハーフリガンド(129.4mg, 0.2mmol)を、THF(5mL)に溶解し、それに2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフタレンジカルバルデヒド(21.6mg,0.1mmol)のTHF(5mL)溶液を加えた。混合物が赤褐色の溶液に変化した後、酢酸銅(II)・無水物(40.0mg, 0.22mmol)のメタノール/THF(v/v=1/3,8mL)溶液を、室温で滴下した。11時間撹拌した後、沈殿物が得られた。沈殿物をろ取し、メタノールで洗浄し、暗紫色の結晶性固体として目的化合物137.5mg(収率86%)を得た。
【0050】
IR(KBr) 3378 (νO-H), 1605 (νC=N) , 571 (νM-O), 421 (νM-N) cm-1;
FAB(+) MS m/z 1596.9 (1594.8 calcd. for M+H+);
Elemental Analysis Calcd. for C94H124Cu2N4O10・2H2O: C, 69.13; H, 7.90; N, 3.43. Found: C, 68.92; H, 7.81; N, 3.35.
【0051】
実施例9:ニッケル(II)−二核錯体化合物([Ni]:Rが共にn−ドデシル基であり、R′が水酸基であり、MがNi(II)である、式IIの化合物)の合成
実施例2で得られたハーフリガンド(129.4mg, 0.2mmol)を、THF(5mL)に溶解し、それに2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフタレンジカルバルデヒド(21.6mg,0.1mmol)のTHF(5mL)溶液を加えた。混合物が赤褐色の溶液に変化した後、酢酸ニッケル(II)・四水和物(54.7mg, 0.22mmol)のメタノール/THF(v/v=1/3,8mL)溶液を、室温で滴下した。12時間撹拌した後、沈殿物が得られた。沈殿物をろ取し、メタノールで洗浄し、赤紫色の結晶性固体として目的化合物132.2mg(収率83%)を得た。
【0052】
IR(KBr) 3354 (νO-H), 1603 (νC=N) , 550 (νM-O), 424 (νM-N) cm-1;
FAB(+) MS m/z 1585.4 (1585.8 calcd. for M+H+);
Elemental Analysis Calcd. for C94H124N4Ni2O10・3H2O: C, 68.78; H, 7.98; N, 3.41. Found: C, 69.15; H, 7.79; N, 3.41.
【0053】
実施例10:鉄(III)−二核錯体化合物([FeCl]:Rが共にn−ドデシル基であり、R′が水酸基であり、MがFe(III)である、式IIの化合物)の合成
実施例2で得られたハーフリガンド(64.7mg, 0.1mmol)を、THF(3mL)に溶解し、それに2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフタレンジカルバルデヒド(10.8mg,0.05mmol)のTHF(4mL)溶液を加えた。混合物が赤褐色の溶液に変化した後、塩化鉄(III)・六水和物(29.7mg, 0.11mmol)のメタノール(2mL)溶液を、室温で滴下した。トリエチルアミン(10μL)を加え、混合物を16時間放置した。沈殿物が得られ、それをろ取し、メタノールで洗浄し、黒色の結晶性固体として目的化合物33.0mg(収率40%)を得た。
【0054】
IR(KBr) 3414 (νO-H), 1599 (νC=N), 573 (νM-O), 417 (νM-N) cm-1;
FAB(+) MS m/z 1580.7 (1580.8 calcd. for M+-2Cl-);
Elemental Analysis Calcd. for C94H124Cl2Fe2N4O10・2H2O: C, 66.86; H, 7.64; N, 3.32. Found: C, 66.70; H, 7.09; N, 3.45.
【0055】
実施例11:電子吸収スペクトルの測定
実施例3〜10で得られた単核および二核錯体化合物の電子吸収スペクトルを、紫外可視分光光度計(JASCO V-630 spectrophotometer)にて測定した。試料は、実施例3〜10の化合物をピリジン(分析用グレード)に溶解し、1×10−4M溶液としたものを使用した。結果を図1〜4に示す。この電子吸収スペクトルから明らかなように、本発明の錯体化合物は、添付の図面に示すように、600nmを超える長波長領域に吸収を示すことから、半導体特性、導電性又は発光性などの特性を発揮することが期待される。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の式Iおよび式IIの錯体化合物は、複雑な反応を必要とすることなく、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド化合物から、あるいは2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフタレンジカルバルデヒドから、容易に製造することができる。特に、2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフタレンジカルバルデヒドと、ハーフリガンドである式IVの化合物とを用いることにより、π共役系がより伸張した二核錯体化合物を、ワンポット反応により容易に製造することができる。また、本発明の錯体化合物は、上記で述べたように、600nmを超える長波長領域に吸収を示す。このような長波長領域に吸収を示す従来の有機化合物は、自らが吸収した光エネルギーにより分解し易く、一般に不安定なものが多い。これに対して本発明の化合物は、芳香族化合物と遷移金属カチオンからなる錯体によるものであることから、非常に安定である。したがって、本発明の錯体化合物は有機電子材料として、半導体特性、導電性又は発光性などの特性とその安定性を発揮することが期待される。したがって、例えば、一対の電極間に有機発光層を狭持する有機EL素子において、その発光層に本発明の錯体化合物を含有させて、発光材料として使用することができる。そのような有機発光層は、必要に応じて、本発明の錯体化合物に加えて、慣用の発光材料、ドーピング材料、正孔注入材料等を含有させて、当業者に公知の方法に従って製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例3で得られた式Iの亜鉛(II)−単核錯体化合物(破線)と、実施例7で得られた式Iの式IIの亜鉛(II)−二核錯体化合物(実線)の紫外−可視領域における電子吸収スペクトルである。
【図2】実施例4で得られた式Iの銅(II)−単核錯体化合物(破線)と、実施例8で得られた式Iの式IIの銅(II)−二核錯体化合物(実線)の紫外−可視領域における電子吸収スペクトルである。
【図3】実施例5で得られた式Iのニッケル(II)−単核錯体化合物(破線)と、実施例9で得られた式Iの式IIのニッケル(II)−二核錯体化合物(実線)の紫外−可視領域における電子吸収スペクトルである。
【図4】実施例6で得られた式Iの鉄(III)−単核錯体化合物(破線)と、実施例10で得られた式Iの式IIの鉄(III)−二核錯体化合物(実線)の紫外−可視領域における電子吸収スペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


(式中、Rは、互いに独立して、水素、C−C18アルキル基またはアリール基であり、R′は、互いに独立して、水素、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシル基またはアリール基であり、そしてMは、2価もしくは3価の遷移金属カチオンである)で表される単核錯体化合物。
【請求項2】
式II:
【化2】


(式中、Rは、互いに独立して、水素、C−C18アルキル基またはアリール基であり、R′は、互いに独立して、水素、水酸基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシル基またはアリール基であり、そしてMは、2価もしくは3価の遷移金属カチオンである)
で表される二核錯体化合物。
【請求項3】
遷移金属カチオンが、周期表第4周期の遷移金属から選択されるものである、請求項1または2に記載の錯体化合物。
【請求項4】
遷移金属カチオンが、亜鉛(II)、銅(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)、マンガン(II)または鉄(III)である、請求項3に記載の錯体化合物。
【請求項5】
式III:
【化3】


(式中、RおよびR′は、請求項1に定義したとおりである)で表される化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の式I:
【化4】


(式中、R、R′およびMは、請求項1に定義したとおりである)で表される単核錯体化合物の製造方法であって、式IV:
【化5】


(式中、RおよびR′は、請求項1に定義したとおりである)で表されるN−(2−ヒドロキシ−1−ナフタリデン)−o−フェニレンジアミン化合物と、式V:
【化6】


(式中、R′は、請求項1に定義したとおりである)で表される2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド化合物の混合物を、遷移金属化合物と反応させることを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項2に記載の式II:
【化7】


(式中、R、R′およびMは、請求項2に定義したとおりである)で表される二核錯体化合物の製造方法であって、式IV:
【化8】


(式中、RおよびR′は、請求項1に定義したとおりである)で表されるN−(2−ヒドロキシ−1−ナフタリデン)−o−フェニレンジアミン化合物と、式VI:
【化9】


の2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフタレンジカルバルデヒドとの混合物を、遷移金属化合物と反応させることを特徴とする、方法。
【請求項8】
式IV:
【化10】


(式中、RおよびR′は、請求項1に定義したとおりである)で表されるN−(2−ヒドロキシ−1−ナフタリデン)−o−フェニレンジアミン化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−59103(P2010−59103A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227072(P2008−227072)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】