金属錯体及びその製造方法
【課題】優れたガス分離性能を有する金属錯体を提供する。
【解決手段】イソフタル酸誘導体、2,7−ナフタレンジカルボン酸誘導体、4,4’−ベンゾフェニンジカルボン酸誘導体など、構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛及びカドミウムから選択される少なくとも1種の金属と、該金属に二座配位可能な4,4’−ビピリジルなどの有機配位子とからなる金属錯体。
【解決手段】イソフタル酸誘導体、2,7−ナフタレンジカルボン酸誘導体、4,4’−ベンゾフェニンジカルボン酸誘導体など、構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛及びカドミウムから選択される少なくとも1種の金属と、該金属に二座配位可能な4,4’−ビピリジルなどの有機配位子とからなる金属錯体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属錯体及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛及びカドミウムから選択される少なくとも1種の金属と、該金属に二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体に関する。本発明の金属錯体は、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気などを分離するための分離材として好ましく、特に、メタンと二酸化炭素、水素と二酸化炭素、窒素と二酸化炭素、空気とメタンなどの分離材として好ましい。
【背景技術】
【0002】
これまで、脱臭、排ガス処理などの分野で種々の吸着材が開発されている。活性炭はその代表例であり、活性炭の優れた吸着性能を利用して、空気浄化、脱硫、脱硝、有害物質除去など各種工業において広く使用されている。近年は半導体製造プロセスなどへ窒素の需要が増大しており、かかる窒素を製造する方法として、分子ふるい炭を使用して圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により空気から窒素を製造する方法が使用されている。また、分子ふるい炭は、メタノール分解ガスからの水素精製など各種ガス分離精製にも応用されている。
【0003】
圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により混合ガスを分離する際には、一般に、分離吸着材として分子ふるい炭やゼオライトなどを使用し、その平衡吸着量または吸着速度の差により分離を行っている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、平衡吸着量の差によって混合ガスを分離する場合、これまでの吸着材では除去したいガスのみを選択的に吸着することができないため分離係数が小さくなり、装置の大型化は不可避であった。また、吸着速度の差によって混合ガスを分離する場合、ガスの種類によっては除去したいガスのみを吸着できるが、吸着と脱着を交互に行う必要があり、この場合も装置は依然として大型にならざるを得なかった。
【0004】
一方、より優れた吸着性能を与える吸着材として、外部刺激により動的構造変化を生じる高分子金属錯体が開発されている(非特許文献2、非特許文献3参照)。この新規な動的構造変化高分子金属錯体をガス吸着材として使用した場合、ある一定の圧力まではガスを吸着しないが、ある一定圧を越えるとガス吸着が始まるという特異な現象が観測されている。また、ガスの種類によって吸着開始圧が異なる現象が観測されている。
【0005】
この現象を、例えば圧力スイング吸着方式のガス分離装置における吸着材に応用した場合、非常に効率良いガス分離が可能となる。また、圧力変化に要する時間を短縮することができ、省エネルギーにも寄与する。さらに、ガス分離装置の小型化にも寄与し得るため、高純度ガスを製品として販売する際のコスト競争力を高めることができることは勿論、自社工場内部で高純度ガスを用いる場合であっても、高純度ガスを必要とする設備に要するコストを削減できるため、結局最終製品の製造コストを削減する効果を有する。
【0006】
動的構造変化高分子金属錯体を吸蔵材や分離材に適用した例として、(1)インターデジテイト型の集積構造を有する金属錯体(特許文献1参照)、(2)二次元格子積層型の集積構造を有する金属錯体(特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7参照)、(3)相互貫入型の集積構造を有する金属錯体(特許文献8参照)などが知られている。
【0007】
しかしながら、いずれの高分子金属錯体もある一定圧を超えないとガスを吸着しないので、混合ガス中の吸着除去したいガスの分圧が一定圧を下回ると吸着できず、高純度を達成するためには使用量の増加は避けられず、装置の小型化は困難な状況であった。
【0008】
2,7−ナフタレンジカルボン酸と亜鉛と4,4’−ビピリジルからなる高分子金属錯体は、IUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示すが、二酸化炭素、窒素、酸素の混合気体の吸着試験において、二酸化炭素を選択的に吸着することが知られている(非特許文献4参照)。しかしながら、混合ガスの分離において、吸着除去したいガスの分圧が低い時の吸着量の増加については何ら言及されていない。
【0009】
また、イソフタル酸誘導体、2,7−ナフタレンジカルボン酸誘導体または4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸誘導体と金属イオンと該金属イオンに二座配位可能な有機配位子から構成される高分子金属錯体は、不飽和有機分子と親和性を有しており、不飽和有機分子の分離に有効であることが知られている(特許文献9参照)。しかしながら、混合ガスの分離において、吸着除去したいガスの分圧が低い時の吸着量の増加については何ら言及されていない。
【0010】
イソフタル酸とニッケルまたはカドミウムと4,4’−ビピリジルからなる高分子金属錯体が知られている(非特許文献5参照)。しかしながら、ガスの吸着挙動については何ら言及されていない。
【0011】
イソフタル酸とマンガンと4,4’−ビピリジルからなる高分子金属錯体が知られている(非特許文献6参照)。しかしながら、ガスの吸着挙動については何ら言及されていない。
【0012】
イソフタル酸と銅と4,4’−ビピリジルからなる高分子金属錯体が知られている(非特許文献7参照)。しかしながら、ガスの吸着挙動については何ら言及されていない。
【0013】
イソフタル酸と亜鉛またはカドミウムと4,4’−ビピリジルからなる高分子金属錯体が知られている(非特許文献8参照)。しかしながら、ガスの吸着挙動については何ら言及されていない。
【0014】
イソフタル酸と亜鉛と4,4’−ビピリジルからなる高分子金属錯体は、メタノール、エタノール、ベンゼン、水及び二酸化炭素を吸着することが知られている(非特許文献9参照)。しかしながら、混合ガスの分離性能については何ら言及されていない。
【0015】
4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸とカドミウムと4,4’−ビピリジルからなる高分子金属錯体は、酸素、窒素及びアルゴンを吸着することが知られている(非特許文献10参照)。しかしながら、混合ガスの分離性能については何ら言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2004−161675公報
【特許文献2】特開2003−275531公報
【特許文献3】特開2003−278997公報
【特許文献4】特開2005−232222公報
【特許文献5】特開2004−74026公報
【特許文献6】特開2005−232033公報
【特許文献7】特開2005−232034公報
【特許文献8】特開2003−342260公報
【特許文献9】特開2008−247884公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】竹内雍監修、「最新吸着技術便覧」第1版、エヌ・ティー・エス、84−163頁(1999年)
【非特許文献2】植村一広、北川進、未来材料、第2巻、44−51頁(2002年)
【非特許文献3】松田亮太郎、北川進、ペテロテック、第26巻、97−104頁(2003年)
【非特許文献4】中川啓史、田中大輔、下村悟、北川進、第61回コロイドおよび界面化学討論会講演要旨集、462頁(2008年)
【非特許文献5】J.Tao、X.−M.Chen、R.−B.Huang、L.−S.Zheng、Journal of Solid State Chemistry、第170巻、130−134頁(2003年)
【非特許文献6】C.Ma、C.Chen、Q.Liu、D.Liao、L.Li、L.Sun、New Journal of Chemistry、第27巻、890−894頁(2003年)
【非特許文献7】Y.−H.Wen、J.−K.Cheng、Y.−L.Feng、J.Zhang、Z.−J.Li、Y.−G.Yao、Inorganica Chimica Acta、第358巻、3347−3354頁(2005年)
【非特許文献8】G.Tian、G.Zhu、Q.Fang、X.Guo、M.Xue、J.Sun、S.Qiu、Journal of Molecular Structure、第787巻、45−49頁(2006年)
【非特許文献9】S.Horike、D.Tanaka、K.Nakagawa、S.Kitagawa、Chemical Communications、3395−3397頁(2007年)
【非特許文献10】D.Tanaka、K.Nakagawa、M.Higuchi、S.Horike、Y.Kubota、T.C.Kobayashi、M.Tanaka、S.Kitagawa、Angewandte Chemie International Edition、第47巻、3914−3918頁(2008年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の目的は、従来よりも吸着除去したいガスの分圧が低い時の吸着量が大きいガス分離材として使用できる金属錯体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは鋭意検討し、構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛及びカドミウムから選択される少なくとも1種の金属と、該金属に二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体により、上記目的を達成することができることを見出し、本発明に至った。
【0020】
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
(1)構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛及びカドミウムから選択される少なくとも1種の金属と、該金属に二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体。
(2)該ジカルボン酸化合物が下記一般式(I);
【0021】
【化1】
【0022】
(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、アミド基もしくはハロゲン原子を示すか、R1とR2、R2とR3は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基またはアルケニレン基を示す。)で表されるイソフタル酸誘導体である請求項1記載の金属錯体。
(3)該ジカルボン酸化合物が下記一般式(II);
【0023】
【化2】
【0024】
(式中、R5、R6、R7、R8、R9及びR10はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、アミド基もしくはハロゲン原子を示すか、R5とR6、R7とR8は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基またはアルケニレン基を示す。)で表される2,7−ナフタレンジカルボン酸誘導体である(1)記載の金属錯体。
(4)該ジカルボン酸化合物が下記一般式(III);
【0025】
【化3】
【0026】
(式中、R11、R12、R13、R14、R15及びR16はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、アミド基もしくはハロゲン原子を示すか、R11とR12、R13とR14は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基またはアルケニレン基を示す。)で表される4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸誘導体である(1)記載の金属錯体。
(5)金属に二座配位可能な有機配位子が1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピラジン、2,5−ジメチルピラジン、4,4'−ビピリジル、2,2’−ジメチル−4,4'−ビピリジル、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼン、2,2’−ビ−1,6−ナフチリジン、フェナジン、ジアザピレン、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エテン、4,4'−アゾピリジン、1,2−ビス(4−ピリジル)エタン、1,2−ビス(4−ピリジル)グリコール、N−(4−ピリジル)イソニコチンアミドから選択される少なくとも1種である(1)〜(4)記載の金属錯体。
(6)該金属がマンガン、ニッケル、亜鉛またはカドミウムである(1)〜(5)いずれかに記載の金属錯体。
(7)(1)〜(6)いずれかに記載の金属錯体からなる分離材。
(8)二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気の分離に用いる(7)に記載の分離材。
(9)メタンと二酸化炭素、水素と二酸化炭素、窒素と二酸化炭素または空気とメタンの分離に用いる(7)に記載の分離材。
(10)構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム塩、モリブデン塩、タングステン塩、マンガン塩、鉄塩、ルテニウム塩、コバルト塩、ロジウム塩、ニッケル塩、パラジウム塩、銅塩、亜鉛塩及びカドミウム塩から選択される少なくとも1種の金属塩と、該金属に二座配位可能な有機配位子とを溶媒中で反応させ、析出させる金属錯体の製造方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛及びカドミウムから選択される少なくとも1種の金属と、該金属に二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体を提供することができる。
【0028】
本発明の金属錯体は、IUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示すので、混合ガスの分離において、吸着除去したいガスの分圧が低い時の吸着量が大きい分離材として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】合成例1で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図2】合成例1で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素、メタン及び窒素の吸脱着等温線である。
【図3】合成例2で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図4】合成例2で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素及びメタンの吸脱着等温線である。
【図5】合成例3で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図6】合成例3で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素及びメタンの吸脱着等温線である。
【図7】合成例3で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図8】合成例3で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素及びメタンの吸脱着等温線である。
【図9】合成例4で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図10】合成例5で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素及びメタンの吸脱着等温線である。
【図11】合成例6で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図12】合成例6で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素、メタン及び窒素の吸脱着等温線である。
【図13】合成例7で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図14】合成例7で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素、メタン及び窒素の吸脱着等温線である。
【図15】比較合成例1で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図16】比較合成例1で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素、メタン及び窒素の吸脱着等温線である。
【図17】比較合成例2で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図18】比較合成例2で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素及びメタンの吸脱着等温線である。
【図19】比較合成例3で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図20】比較合成例3で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素及びメタンの吸脱着等温線である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の金属錯体は、構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛及びカドミウムから選択される少なくとも1種の金属と、該金属に二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体からなる。
【0031】
本発明の金属錯体は、構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム塩、モリブデン塩、タングステン塩、マンガン塩、鉄塩、ルテニウム塩、コバルト塩、ロジウム塩、ニッケル塩、パラジウム塩、銅塩、亜鉛塩及びカドミウム塩から選択される少なくとも1種の金属塩と、該金属に二座配位可能な有機配位子とを、常圧下、溶媒中で数時間から数日間反応させ、析出させて製造することができる。例えば、金属塩の水溶液または有機溶液と、構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物及び二座配位可能な有機配位子を含有する有機溶液とを、常圧下で混合して反応させることにより得ることができる。
【0032】
本明細書において、「カルボキシル基が互いに120°の位置にある」とは、2つのカルボキシル基とそれが結合している炭素原子の結合の方向のなす角が120°であることを意味し、たとえばベンゼン環の場合には、2つのカルボキシル基は互いにメタ位の関係にあり、ナフタレンの場合には、1,3−ナフタレンジカルボン酸、2,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸などの位置関係にあり、ベンゾフェノンの場合には、2,4−ベンゾフェノンジカルボン酸、3,5−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸などの位置関係にあるものが包含される。
【0033】
本発明に用いられる構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物は下記一般式(I)、(II)及び(III);
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】
【化6】
【0037】
で表される。式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14及びR15はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、アミド基もしくはハロゲン原子を示すか、R1とR2、R2とR3、R5とR6、R7とR8、R11とR12、R13とR14は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基またはアルケニレン基を示す。
【0038】
上記アルキル基の炭素原子数は1〜5が好ましい。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基などの直鎖または分岐を有するアルキル基が、ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が、アリール基の例としては、フェニル基が、アラルキル基の例としては、ベンジル基が、アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基,n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基が、アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基が、アラルキルオキシ基の例としては、ベンジルオキシ基が、アミノ基の例としては、ジメチルアミノ基が、それぞれ挙げられる。また、該アルキル基が有していてもよい置換基の例としては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基,n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基など)、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基、アシロキシ基(アセトキシ基、n−プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基など)、カルボン酸無水物基(−CO−O−CO−R基)(Rは炭素数1〜5のアルキル基である)などが挙げられる。アルキル基の置換基の数は、1〜3個が好ましく、1個がより好ましい。
【0039】
上記アルキレン基の炭素数は、3〜6が好ましく、3〜4がより好ましい。アルキレン基の炭素数が3〜6の場合、R1とR2、R2とR3、R5とR6、R7とR8、R11とR12、R13とR14はそれらが結合している炭素原子と一緒になって5〜8員環(シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン)を示す。
【0040】
上記オキシアルキレン基の炭素と酸素の合計の原子数は、3〜6が好ましく、3〜4がより好ましい。アルキレン基の炭素と酸素の合計の原子数が3〜6の場合、オキシアルキレン基として、−O−CH2−O−、−CH2−O−CH2−、−O−CH2−CH2−O−、−O−CH2−CH2−CH2−、−CH2−O−CH2−CH2−、−O−CH2−CH2−CH2−CH2−、−O−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−などが挙げられる。
【0041】
上記アルケニレン基の炭素数は、3〜6が好ましく、3〜4がより好ましい。アルキレン基の炭素数が3〜6の場合、R1とR2、R3とR4、R5とR6、R7とR8、R11とR12、R13とR14はそれらが結合している炭素原子と一緒になって5〜8員環(シクロペンテン、シクロヘキセン(1つの二重結合を有する場合)あるいはベンゼン(2つの二重結合を有する場合)、シクロヘプタン、シクロオクタン)を示す。
【0042】
また、該アルキレン基、オキシアルキレン基、アルケニレン基が有していてもよい置換基の例としては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基,n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基など)、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基、アシロキシ基(アセトキシ基、n−プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基など)、カルボン酸無水物基(−CO−O−CO−R基)(Rは炭素数1〜5のアルキル基である)などが挙げられる。
【0043】
ジカルボン酸化合物としては、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸または4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸が好ましい。
【0044】
ジカルボン酸化合物と二座配位子との混合比率は、ジカルボン酸化合物:二座配位子=1:5〜8:1のモル比の範囲内が好ましく、1:3〜6:1のモル比の範囲内がより好ましい。これ以外の範囲で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下し、副反応も増えるために好ましくない。
【0045】
金属塩と二座配位子の混合比率は、金属塩:二座配位子=3:1〜1:3のモル比の範囲内が好ましく、2:1〜1:2のモル比の範囲内がより好ましい。これ以外の範囲では目的とする金属錯体の収率が低下し、また、未反応の原料が残留して得られた金属錯体の精製が困難になる。
【0046】
ジカルボン酸化合物のモル濃度は、0.01〜5.0mol/Lが好ましく、0.05〜2.0mol/Lがより好ましい。これより低い濃度で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では溶解性が低下し、反応が円滑に進行しない。
【0047】
二座配位子のモル濃度は、0.01〜5.0mol/Lが好ましく、0.05〜2.0mol/Lがより好ましい。これより低い濃度で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では溶解性が低下し、反応が円滑に進行しない。
【0048】
金属塩としては、クロム塩、モリブデン塩、タングステン塩、マンガン塩、鉄塩、ルテニウム塩、コバルト塩、ロジウム塩、ニッケル塩、パラジウム塩、銅塩、亜鉛塩及びカドミウム塩から選択される金属塩を使用することができ、マンガン塩、ニッケル塩、亜鉛塩、カドミウム塩が好ましい。また、これらの金属塩としては、酢酸塩、ギ酸塩などの有機酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩などの無機酸塩を使用することができる。金属塩のモル濃度は、0.01〜5.0mol/Lが好ましく、0.05〜2.0mol/Lがより好ましい。これより低い濃度で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では未反応の金属塩が残留し、得られた金属錯体の精製が困難になる。
【0049】
溶媒としては、有機溶媒、水またはそれらの混合溶媒を使用することができる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、水またはこれらの混合溶媒を使用することができる。反応温度としては、253〜423Kが好ましい。
【0050】
結晶性の良い金属錯体は、純度が高くて吸着性能が良い。反応が終了したことはガスクロマトグラフィーまたは高速液体クロマトグラフィーにより原料の残存量を定量することにより確認することができる。反応終了後、得られた混合液を吸引濾過に付して沈殿物を集め、有機溶媒による洗浄後、373K程度で数時間真空乾燥することにより、本発明の金属錯体を得ることができる。
【0051】
以上のようにして得られる本発明の金属錯体は、構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と金属イオン(例えば、亜鉛イオン)からなる一次元鎖が、二座配位子により連結された二次元シートが形成されている。そして、これらの二次元シートが集積することにより、細孔(一次元チャンネル)を有する三次元構造をとる。
【0052】
本発明の金属錯体における三次元構造は、合成後の結晶においても変化できるため、その変化に伴って、細孔の構造や大きさも変化する。すなわち、物質を吸着することで構造的により安定なエネルギー状態を有する細孔構造に変化できるので、IUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示す。この構造が変化する条件は、吸着される物質の種類、吸着圧力、吸着温度に依存する。すなわち、細孔表面と物質の相互作用の差に加え(相互作用の強さは物質のLennard−Jonesポテンシャルの大きさに比例)、吸着する物質により構造変化の程度が異なるため、高い選択性が発現する。このようにして細孔が大きくなり、大きくなった細孔に大きな分子が吸着される。吸着された物質が脱着した後は、元の構造に戻るので、細孔の大きさも元に戻る。
【0053】
前記の選択吸着メカニズムは推定ではあるが、例え前記メカニズムに従っていない場合でも、本発明で規定する要件を満足するのであれば、本発明の技術的範囲に包含される。
【0054】
本発明の金属錯体は、各種ガスを選択的に吸着することができるので、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素(メタン、エタン、エチレン、アセチレンなど)、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなど)、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン(ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなど)または水蒸気などを分離するための分離材として好ましく、特に、メタン中の二酸化炭素、水素中の二酸化炭素、窒素中の二酸化炭素、空気中のメタンなどを、圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により分離するのに適している。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例および比較例における分析および評価は次のようにして行った。
【0056】
(1)粉末X線回折パターンの測定
X線回折装置を用いて、回折角(2θ)=5〜50°の範囲を走査速度1°/分で走査し、対称反射法で測定した。測定条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社リガク製RINT2400
X線源:Cu 40kV 200mA
ゴニオメーター:縦型ゴニオメーター
検出器:シンチレーションカウンター
ステップ幅:0.02°
スリット:発散スリット=0.5°
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5°
【0057】
(2)吸脱着等温線の測定
高圧ガス吸着装置を用いて容量法で測定を行った。このとき、測定に先立って試料を373K、50Pa(比較合成例2のみ423K、4.0×10−3Pa)で10時間乾燥し、吸着水などを除去した。測定条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:日本ベル株式会社製BELSORP−HP
平衡待ち時間:500秒
【0058】
(3)混合ガス分離性能の測定
三方コックとセプタムを装着したガラス製10mL二口フラスコを用意し、三方コックの一方の口に別の三方コックを介して100mLのシリンジをチューブで接続した。測定は、二口フラスコに試料を入れ、373K(比較例2のみ423K)、4.0x10−3Paで3時間乾燥し、吸着水などを除去した後に、フラスコに装着している三方コックを閉じ、続いてシリンジ側の三方コックを通じてシリンジに100mLの混合ガスを導入し、最後にフラスコに装着している三方コックを開き、試料に混合ガスを吸着させた。このとき、吸着量はシリンジの目盛りの減少分から算出し(死容積はあらかじめヘリウムを用いて測定)、ガス組成はガスクロマトグラフィーで分析して算出した。測定条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社島津製作所製GC−14B
カラム:ジーエル サイエンス株式会社製WG−100
INJ温度:100℃
DET温度:50℃
カラム温度:50℃
キャリアガス:ヘリウム
注入量:1mL
検出器:TCD
【0059】
合成例1:
窒素雰囲気下、硝酸亜鉛六水和物5.00g(17mmol)、イソフタル酸2.80g(17mmol)及び4,4’−ビピリジル2.65g(17mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド200mLに溶解させ、393Kで24時間攪拌した。吸引濾過の後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体6.35g(収率98%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図1に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素、メタン及び窒素の273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図2に示す。図2より、本錯体がIUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示すことが分かる。
【0060】
合成例2:
窒素雰囲気下、硝酸マンガン六水和物4.82g(17mmol)、イソフタル酸2.80g(17mmol)及び4,4’−ビピリジル2.65g(17mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド200mLに溶解させ、393Kで24時間攪拌した。吸引濾過の後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体5.67g(収率90%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図3に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素及びメタンの273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図4に示す。図4より、本錯体がIUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示すことが分かる。
【0061】
合成例3:
窒素雰囲気下、硝酸ニッケル六水和物4.89g(17mmol)、イソフタル酸2.80g(17mmol)及び4,4’−ビピリジル2.65g(17mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド200mLに溶解させ、393Kで24時間攪拌した。吸引濾過の後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体6.06g(収率95%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図5に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素及びメタンの273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図6に示す。図6より、本錯体がIUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示すことが分かる。
【0062】
合成例4:
窒素雰囲気下、硝酸カドミウム四水和物5.18g(17mmol)、イソフタル酸2.80g(17mmol)及び4,4’−ビピリジル2.65g(17mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド200mLに溶解させ、393Kで24時間攪拌した。吸引濾過の後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体6.99g(収率96%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図7に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素及びメタンの273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図8に示す。図8より、本錯体がIUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示すことが分かる。
【0063】
合成例5:
窒素雰囲気下、硝酸亜鉛六水和物5.00g(17mmol)、5−メチルイソフタル酸2.80g(17mmol)及び4,4’−ビピリジル2.65g(17mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド200mLに溶解させ、393Kで24時間攪拌した。吸引濾過の後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体6.09g(収率90%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図9に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素及びメタンの273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図10に示す。図10より、本錯体がIUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示すことが分かる。
【0064】
合成例6:
窒素雰囲気下、硝酸亜鉛六水和物5.00g(17mmol)、2,7−ナフタレンジカルボン酸3.68g(17mmol)及び4,4’−ビピリジル2.65g(17mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド200mLに溶解させ、393Kで24時間攪拌した。吸引濾過の後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体7.02g(収率95%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図11に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素、メタン及び窒素の273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図12に示す。図12より、本錯体がIUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示すことが分かる。
【0065】
合成例7:
窒素雰囲気下、硝酸カドミウム四水和物5.00g(16mmol)、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸4.40g(16mmol)及び4,4’−ビピリジル2.53g(16mmol)をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、120℃で24時間攪拌した。吸引濾過の後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体7.90g(収率91%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図13に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素及びメタンの273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図14に示す。図14より、本錯体が二酸化炭素とメタンについてはIUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示し、窒素はほとんど吸着しないことが分かる。
【0066】
比較合成例1:
窒素雰囲気下、酢酸銅の水溶液100mL(0.04mol/L)に、アセトンに溶解した、濃度0.08mol/Lの4,4’−ビピリジル及び濃度0.32mol/Lの2,5−ジヒドロキシ安息香酸の溶液各200mLを、1時間かけて滴下した。その後、298Kで2時間攪拌した。吸引濾過の後、アセトンで3回洗浄した後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の錯体4.20g(収率87%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図15に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素、メタン及び窒素の273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図16に示す。図16より、本錯体がある一定圧を超えると急激にガスを吸着する吸着プロファイルを示すことが分かる。
【0067】
比較合成例2:
窒素雰囲気下、4,4’−ビピリジル5.00g(32mmol)をメタノール400mLに溶解させ、343Kまで加熱した。続いて、テトラフルオロホウ酸銅3.79g(16mmol)の水溶液200mLを20分かけて滴下した。その後、343Kで1時間攪拌した。吸引濾過の後、メタノールで3回洗浄し、目的の錯体2.16g(収率23%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図17に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素及びメタンの273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図18に示す。
【0068】
比較合成例3:
窒素雰囲気下、硫酸銅五水和物1.55g(6.2mmol)のメタノール溶液50mLを、テレフタル酸1.05g(6.3mmol)及びギ酸9.15g(190mmol)のメタノール溶液1,000mLに加え、313Kで3日間反応させた。その後、反応溶液の上澄みを除去し、298Kまで冷却した後、4,4’−ビピリジル0.50g(3.2mmol)を加え、298Kで2日間反応させた。その後、沈殿物を吸引濾過し、メタノールで3回洗浄し、吸引濾過の後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の錯体0.81g(収率43%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図19に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素及びメタンの273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図20に示す。
【0069】
実施例1:
合成例1で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0070】
実施例2:
合成例2で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0071】
実施例3:
合成例3で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0072】
実施例4:
合成例4で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0073】
実施例5:
合成例5で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0074】
実施例6:
合成例7で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0075】
比較例1:
比較合成例1で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0076】
比較例2:
比較合成例2で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0077】
比較例3:
比較合成例3で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0078】
表1より、本発明の分離材は二酸化炭素の分圧が低い時でも高選択率を維持しつつ、かつ二酸化炭素の吸着量が大きいので、メタンと二酸化炭素の分離材として優れていることは明らかである。ここで、「CO2選択率」は、吸着された全ガス中に占める二酸化炭素の割合と定義する。
【0079】
【表1】
【0080】
実施例7:
合成例1で得た金属錯体について、容量比で窒素:二酸化炭素=75:25からなる窒素と二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表2に示す。
【0081】
実施例8:
合成例6で得た金属錯体について、容量比で窒素:二酸化炭素=75:25からなる窒素と二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表2に示す。
【0082】
比較例4:
比較合成例1で得た金属錯体について、容量比で窒素:二酸化炭素=75:25からなる窒素と二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】
表2より、本発明の分離材は二酸化炭素の分圧が低い時でも高選択率を維持しつつ、かつ二酸化炭素の吸着量が大きいので、窒素と二酸化炭素の分離材として優れていることは明らかである。ここで、「CO2選択率」は、吸着された全ガス中に占める二酸化炭素の割合と定義する。
【0085】
実施例9:
合成例7で得た金属錯体について、容量比で窒素:メタン=50:50からなる窒素とメタンの混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表3に示す。
【0086】
比較例5:
比較合成例1で得た金属錯体について、容量比で窒素:メタン=50:50からなる窒素とメタンの混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表3に示す。
【0087】
【表3】
【0088】
表3より、本発明の分離材はメタンの分圧が低い時でも高選択率を維持しつつ、かつメタンの吸着量が大きいので、窒素とメタンの分離材として優れていることは明らかである。ここで、「CH4選択率」は、吸着された全ガス中に占める二酸化炭素の割合と定義する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属錯体及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛及びカドミウムから選択される少なくとも1種の金属と、該金属に二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体に関する。本発明の金属錯体は、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気などを分離するための分離材として好ましく、特に、メタンと二酸化炭素、水素と二酸化炭素、窒素と二酸化炭素、空気とメタンなどの分離材として好ましい。
【背景技術】
【0002】
これまで、脱臭、排ガス処理などの分野で種々の吸着材が開発されている。活性炭はその代表例であり、活性炭の優れた吸着性能を利用して、空気浄化、脱硫、脱硝、有害物質除去など各種工業において広く使用されている。近年は半導体製造プロセスなどへ窒素の需要が増大しており、かかる窒素を製造する方法として、分子ふるい炭を使用して圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により空気から窒素を製造する方法が使用されている。また、分子ふるい炭は、メタノール分解ガスからの水素精製など各種ガス分離精製にも応用されている。
【0003】
圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により混合ガスを分離する際には、一般に、分離吸着材として分子ふるい炭やゼオライトなどを使用し、その平衡吸着量または吸着速度の差により分離を行っている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、平衡吸着量の差によって混合ガスを分離する場合、これまでの吸着材では除去したいガスのみを選択的に吸着することができないため分離係数が小さくなり、装置の大型化は不可避であった。また、吸着速度の差によって混合ガスを分離する場合、ガスの種類によっては除去したいガスのみを吸着できるが、吸着と脱着を交互に行う必要があり、この場合も装置は依然として大型にならざるを得なかった。
【0004】
一方、より優れた吸着性能を与える吸着材として、外部刺激により動的構造変化を生じる高分子金属錯体が開発されている(非特許文献2、非特許文献3参照)。この新規な動的構造変化高分子金属錯体をガス吸着材として使用した場合、ある一定の圧力まではガスを吸着しないが、ある一定圧を越えるとガス吸着が始まるという特異な現象が観測されている。また、ガスの種類によって吸着開始圧が異なる現象が観測されている。
【0005】
この現象を、例えば圧力スイング吸着方式のガス分離装置における吸着材に応用した場合、非常に効率良いガス分離が可能となる。また、圧力変化に要する時間を短縮することができ、省エネルギーにも寄与する。さらに、ガス分離装置の小型化にも寄与し得るため、高純度ガスを製品として販売する際のコスト競争力を高めることができることは勿論、自社工場内部で高純度ガスを用いる場合であっても、高純度ガスを必要とする設備に要するコストを削減できるため、結局最終製品の製造コストを削減する効果を有する。
【0006】
動的構造変化高分子金属錯体を吸蔵材や分離材に適用した例として、(1)インターデジテイト型の集積構造を有する金属錯体(特許文献1参照)、(2)二次元格子積層型の集積構造を有する金属錯体(特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7参照)、(3)相互貫入型の集積構造を有する金属錯体(特許文献8参照)などが知られている。
【0007】
しかしながら、いずれの高分子金属錯体もある一定圧を超えないとガスを吸着しないので、混合ガス中の吸着除去したいガスの分圧が一定圧を下回ると吸着できず、高純度を達成するためには使用量の増加は避けられず、装置の小型化は困難な状況であった。
【0008】
2,7−ナフタレンジカルボン酸と亜鉛と4,4’−ビピリジルからなる高分子金属錯体は、IUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示すが、二酸化炭素、窒素、酸素の混合気体の吸着試験において、二酸化炭素を選択的に吸着することが知られている(非特許文献4参照)。しかしながら、混合ガスの分離において、吸着除去したいガスの分圧が低い時の吸着量の増加については何ら言及されていない。
【0009】
また、イソフタル酸誘導体、2,7−ナフタレンジカルボン酸誘導体または4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸誘導体と金属イオンと該金属イオンに二座配位可能な有機配位子から構成される高分子金属錯体は、不飽和有機分子と親和性を有しており、不飽和有機分子の分離に有効であることが知られている(特許文献9参照)。しかしながら、混合ガスの分離において、吸着除去したいガスの分圧が低い時の吸着量の増加については何ら言及されていない。
【0010】
イソフタル酸とニッケルまたはカドミウムと4,4’−ビピリジルからなる高分子金属錯体が知られている(非特許文献5参照)。しかしながら、ガスの吸着挙動については何ら言及されていない。
【0011】
イソフタル酸とマンガンと4,4’−ビピリジルからなる高分子金属錯体が知られている(非特許文献6参照)。しかしながら、ガスの吸着挙動については何ら言及されていない。
【0012】
イソフタル酸と銅と4,4’−ビピリジルからなる高分子金属錯体が知られている(非特許文献7参照)。しかしながら、ガスの吸着挙動については何ら言及されていない。
【0013】
イソフタル酸と亜鉛またはカドミウムと4,4’−ビピリジルからなる高分子金属錯体が知られている(非特許文献8参照)。しかしながら、ガスの吸着挙動については何ら言及されていない。
【0014】
イソフタル酸と亜鉛と4,4’−ビピリジルからなる高分子金属錯体は、メタノール、エタノール、ベンゼン、水及び二酸化炭素を吸着することが知られている(非特許文献9参照)。しかしながら、混合ガスの分離性能については何ら言及されていない。
【0015】
4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸とカドミウムと4,4’−ビピリジルからなる高分子金属錯体は、酸素、窒素及びアルゴンを吸着することが知られている(非特許文献10参照)。しかしながら、混合ガスの分離性能については何ら言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2004−161675公報
【特許文献2】特開2003−275531公報
【特許文献3】特開2003−278997公報
【特許文献4】特開2005−232222公報
【特許文献5】特開2004−74026公報
【特許文献6】特開2005−232033公報
【特許文献7】特開2005−232034公報
【特許文献8】特開2003−342260公報
【特許文献9】特開2008−247884公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】竹内雍監修、「最新吸着技術便覧」第1版、エヌ・ティー・エス、84−163頁(1999年)
【非特許文献2】植村一広、北川進、未来材料、第2巻、44−51頁(2002年)
【非特許文献3】松田亮太郎、北川進、ペテロテック、第26巻、97−104頁(2003年)
【非特許文献4】中川啓史、田中大輔、下村悟、北川進、第61回コロイドおよび界面化学討論会講演要旨集、462頁(2008年)
【非特許文献5】J.Tao、X.−M.Chen、R.−B.Huang、L.−S.Zheng、Journal of Solid State Chemistry、第170巻、130−134頁(2003年)
【非特許文献6】C.Ma、C.Chen、Q.Liu、D.Liao、L.Li、L.Sun、New Journal of Chemistry、第27巻、890−894頁(2003年)
【非特許文献7】Y.−H.Wen、J.−K.Cheng、Y.−L.Feng、J.Zhang、Z.−J.Li、Y.−G.Yao、Inorganica Chimica Acta、第358巻、3347−3354頁(2005年)
【非特許文献8】G.Tian、G.Zhu、Q.Fang、X.Guo、M.Xue、J.Sun、S.Qiu、Journal of Molecular Structure、第787巻、45−49頁(2006年)
【非特許文献9】S.Horike、D.Tanaka、K.Nakagawa、S.Kitagawa、Chemical Communications、3395−3397頁(2007年)
【非特許文献10】D.Tanaka、K.Nakagawa、M.Higuchi、S.Horike、Y.Kubota、T.C.Kobayashi、M.Tanaka、S.Kitagawa、Angewandte Chemie International Edition、第47巻、3914−3918頁(2008年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の目的は、従来よりも吸着除去したいガスの分圧が低い時の吸着量が大きいガス分離材として使用できる金属錯体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは鋭意検討し、構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛及びカドミウムから選択される少なくとも1種の金属と、該金属に二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体により、上記目的を達成することができることを見出し、本発明に至った。
【0020】
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
(1)構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛及びカドミウムから選択される少なくとも1種の金属と、該金属に二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体。
(2)該ジカルボン酸化合物が下記一般式(I);
【0021】
【化1】
【0022】
(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、アミド基もしくはハロゲン原子を示すか、R1とR2、R2とR3は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基またはアルケニレン基を示す。)で表されるイソフタル酸誘導体である請求項1記載の金属錯体。
(3)該ジカルボン酸化合物が下記一般式(II);
【0023】
【化2】
【0024】
(式中、R5、R6、R7、R8、R9及びR10はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、アミド基もしくはハロゲン原子を示すか、R5とR6、R7とR8は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基またはアルケニレン基を示す。)で表される2,7−ナフタレンジカルボン酸誘導体である(1)記載の金属錯体。
(4)該ジカルボン酸化合物が下記一般式(III);
【0025】
【化3】
【0026】
(式中、R11、R12、R13、R14、R15及びR16はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、アミド基もしくはハロゲン原子を示すか、R11とR12、R13とR14は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基またはアルケニレン基を示す。)で表される4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸誘導体である(1)記載の金属錯体。
(5)金属に二座配位可能な有機配位子が1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピラジン、2,5−ジメチルピラジン、4,4'−ビピリジル、2,2’−ジメチル−4,4'−ビピリジル、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼン、2,2’−ビ−1,6−ナフチリジン、フェナジン、ジアザピレン、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エテン、4,4'−アゾピリジン、1,2−ビス(4−ピリジル)エタン、1,2−ビス(4−ピリジル)グリコール、N−(4−ピリジル)イソニコチンアミドから選択される少なくとも1種である(1)〜(4)記載の金属錯体。
(6)該金属がマンガン、ニッケル、亜鉛またはカドミウムである(1)〜(5)いずれかに記載の金属錯体。
(7)(1)〜(6)いずれかに記載の金属錯体からなる分離材。
(8)二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気の分離に用いる(7)に記載の分離材。
(9)メタンと二酸化炭素、水素と二酸化炭素、窒素と二酸化炭素または空気とメタンの分離に用いる(7)に記載の分離材。
(10)構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム塩、モリブデン塩、タングステン塩、マンガン塩、鉄塩、ルテニウム塩、コバルト塩、ロジウム塩、ニッケル塩、パラジウム塩、銅塩、亜鉛塩及びカドミウム塩から選択される少なくとも1種の金属塩と、該金属に二座配位可能な有機配位子とを溶媒中で反応させ、析出させる金属錯体の製造方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛及びカドミウムから選択される少なくとも1種の金属と、該金属に二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体を提供することができる。
【0028】
本発明の金属錯体は、IUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示すので、混合ガスの分離において、吸着除去したいガスの分圧が低い時の吸着量が大きい分離材として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】合成例1で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図2】合成例1で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素、メタン及び窒素の吸脱着等温線である。
【図3】合成例2で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図4】合成例2で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素及びメタンの吸脱着等温線である。
【図5】合成例3で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図6】合成例3で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素及びメタンの吸脱着等温線である。
【図7】合成例3で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図8】合成例3で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素及びメタンの吸脱着等温線である。
【図9】合成例4で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図10】合成例5で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素及びメタンの吸脱着等温線である。
【図11】合成例6で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図12】合成例6で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素、メタン及び窒素の吸脱着等温線である。
【図13】合成例7で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図14】合成例7で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素、メタン及び窒素の吸脱着等温線である。
【図15】比較合成例1で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図16】比較合成例1で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素、メタン及び窒素の吸脱着等温線である。
【図17】比較合成例2で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図18】比較合成例2で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素及びメタンの吸脱着等温線である。
【図19】比較合成例3で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。
【図20】比較合成例3で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素及びメタンの吸脱着等温線である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の金属錯体は、構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛及びカドミウムから選択される少なくとも1種の金属と、該金属に二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体からなる。
【0031】
本発明の金属錯体は、構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム塩、モリブデン塩、タングステン塩、マンガン塩、鉄塩、ルテニウム塩、コバルト塩、ロジウム塩、ニッケル塩、パラジウム塩、銅塩、亜鉛塩及びカドミウム塩から選択される少なくとも1種の金属塩と、該金属に二座配位可能な有機配位子とを、常圧下、溶媒中で数時間から数日間反応させ、析出させて製造することができる。例えば、金属塩の水溶液または有機溶液と、構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物及び二座配位可能な有機配位子を含有する有機溶液とを、常圧下で混合して反応させることにより得ることができる。
【0032】
本明細書において、「カルボキシル基が互いに120°の位置にある」とは、2つのカルボキシル基とそれが結合している炭素原子の結合の方向のなす角が120°であることを意味し、たとえばベンゼン環の場合には、2つのカルボキシル基は互いにメタ位の関係にあり、ナフタレンの場合には、1,3−ナフタレンジカルボン酸、2,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸などの位置関係にあり、ベンゾフェノンの場合には、2,4−ベンゾフェノンジカルボン酸、3,5−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸などの位置関係にあるものが包含される。
【0033】
本発明に用いられる構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物は下記一般式(I)、(II)及び(III);
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】
【化6】
【0037】
で表される。式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14及びR15はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、アミド基もしくはハロゲン原子を示すか、R1とR2、R2とR3、R5とR6、R7とR8、R11とR12、R13とR14は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基またはアルケニレン基を示す。
【0038】
上記アルキル基の炭素原子数は1〜5が好ましい。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基などの直鎖または分岐を有するアルキル基が、ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が、アリール基の例としては、フェニル基が、アラルキル基の例としては、ベンジル基が、アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基,n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基が、アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基が、アラルキルオキシ基の例としては、ベンジルオキシ基が、アミノ基の例としては、ジメチルアミノ基が、それぞれ挙げられる。また、該アルキル基が有していてもよい置換基の例としては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基,n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基など)、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基、アシロキシ基(アセトキシ基、n−プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基など)、カルボン酸無水物基(−CO−O−CO−R基)(Rは炭素数1〜5のアルキル基である)などが挙げられる。アルキル基の置換基の数は、1〜3個が好ましく、1個がより好ましい。
【0039】
上記アルキレン基の炭素数は、3〜6が好ましく、3〜4がより好ましい。アルキレン基の炭素数が3〜6の場合、R1とR2、R2とR3、R5とR6、R7とR8、R11とR12、R13とR14はそれらが結合している炭素原子と一緒になって5〜8員環(シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン)を示す。
【0040】
上記オキシアルキレン基の炭素と酸素の合計の原子数は、3〜6が好ましく、3〜4がより好ましい。アルキレン基の炭素と酸素の合計の原子数が3〜6の場合、オキシアルキレン基として、−O−CH2−O−、−CH2−O−CH2−、−O−CH2−CH2−O−、−O−CH2−CH2−CH2−、−CH2−O−CH2−CH2−、−O−CH2−CH2−CH2−CH2−、−O−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−などが挙げられる。
【0041】
上記アルケニレン基の炭素数は、3〜6が好ましく、3〜4がより好ましい。アルキレン基の炭素数が3〜6の場合、R1とR2、R3とR4、R5とR6、R7とR8、R11とR12、R13とR14はそれらが結合している炭素原子と一緒になって5〜8員環(シクロペンテン、シクロヘキセン(1つの二重結合を有する場合)あるいはベンゼン(2つの二重結合を有する場合)、シクロヘプタン、シクロオクタン)を示す。
【0042】
また、該アルキレン基、オキシアルキレン基、アルケニレン基が有していてもよい置換基の例としては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基,n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基など)、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基、アシロキシ基(アセトキシ基、n−プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基など)、カルボン酸無水物基(−CO−O−CO−R基)(Rは炭素数1〜5のアルキル基である)などが挙げられる。
【0043】
ジカルボン酸化合物としては、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸または4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸が好ましい。
【0044】
ジカルボン酸化合物と二座配位子との混合比率は、ジカルボン酸化合物:二座配位子=1:5〜8:1のモル比の範囲内が好ましく、1:3〜6:1のモル比の範囲内がより好ましい。これ以外の範囲で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下し、副反応も増えるために好ましくない。
【0045】
金属塩と二座配位子の混合比率は、金属塩:二座配位子=3:1〜1:3のモル比の範囲内が好ましく、2:1〜1:2のモル比の範囲内がより好ましい。これ以外の範囲では目的とする金属錯体の収率が低下し、また、未反応の原料が残留して得られた金属錯体の精製が困難になる。
【0046】
ジカルボン酸化合物のモル濃度は、0.01〜5.0mol/Lが好ましく、0.05〜2.0mol/Lがより好ましい。これより低い濃度で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では溶解性が低下し、反応が円滑に進行しない。
【0047】
二座配位子のモル濃度は、0.01〜5.0mol/Lが好ましく、0.05〜2.0mol/Lがより好ましい。これより低い濃度で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では溶解性が低下し、反応が円滑に進行しない。
【0048】
金属塩としては、クロム塩、モリブデン塩、タングステン塩、マンガン塩、鉄塩、ルテニウム塩、コバルト塩、ロジウム塩、ニッケル塩、パラジウム塩、銅塩、亜鉛塩及びカドミウム塩から選択される金属塩を使用することができ、マンガン塩、ニッケル塩、亜鉛塩、カドミウム塩が好ましい。また、これらの金属塩としては、酢酸塩、ギ酸塩などの有機酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩などの無機酸塩を使用することができる。金属塩のモル濃度は、0.01〜5.0mol/Lが好ましく、0.05〜2.0mol/Lがより好ましい。これより低い濃度で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では未反応の金属塩が残留し、得られた金属錯体の精製が困難になる。
【0049】
溶媒としては、有機溶媒、水またはそれらの混合溶媒を使用することができる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、水またはこれらの混合溶媒を使用することができる。反応温度としては、253〜423Kが好ましい。
【0050】
結晶性の良い金属錯体は、純度が高くて吸着性能が良い。反応が終了したことはガスクロマトグラフィーまたは高速液体クロマトグラフィーにより原料の残存量を定量することにより確認することができる。反応終了後、得られた混合液を吸引濾過に付して沈殿物を集め、有機溶媒による洗浄後、373K程度で数時間真空乾燥することにより、本発明の金属錯体を得ることができる。
【0051】
以上のようにして得られる本発明の金属錯体は、構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と金属イオン(例えば、亜鉛イオン)からなる一次元鎖が、二座配位子により連結された二次元シートが形成されている。そして、これらの二次元シートが集積することにより、細孔(一次元チャンネル)を有する三次元構造をとる。
【0052】
本発明の金属錯体における三次元構造は、合成後の結晶においても変化できるため、その変化に伴って、細孔の構造や大きさも変化する。すなわち、物質を吸着することで構造的により安定なエネルギー状態を有する細孔構造に変化できるので、IUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示す。この構造が変化する条件は、吸着される物質の種類、吸着圧力、吸着温度に依存する。すなわち、細孔表面と物質の相互作用の差に加え(相互作用の強さは物質のLennard−Jonesポテンシャルの大きさに比例)、吸着する物質により構造変化の程度が異なるため、高い選択性が発現する。このようにして細孔が大きくなり、大きくなった細孔に大きな分子が吸着される。吸着された物質が脱着した後は、元の構造に戻るので、細孔の大きさも元に戻る。
【0053】
前記の選択吸着メカニズムは推定ではあるが、例え前記メカニズムに従っていない場合でも、本発明で規定する要件を満足するのであれば、本発明の技術的範囲に包含される。
【0054】
本発明の金属錯体は、各種ガスを選択的に吸着することができるので、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素(メタン、エタン、エチレン、アセチレンなど)、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなど)、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン(ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなど)または水蒸気などを分離するための分離材として好ましく、特に、メタン中の二酸化炭素、水素中の二酸化炭素、窒素中の二酸化炭素、空気中のメタンなどを、圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により分離するのに適している。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例および比較例における分析および評価は次のようにして行った。
【0056】
(1)粉末X線回折パターンの測定
X線回折装置を用いて、回折角(2θ)=5〜50°の範囲を走査速度1°/分で走査し、対称反射法で測定した。測定条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社リガク製RINT2400
X線源:Cu 40kV 200mA
ゴニオメーター:縦型ゴニオメーター
検出器:シンチレーションカウンター
ステップ幅:0.02°
スリット:発散スリット=0.5°
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5°
【0057】
(2)吸脱着等温線の測定
高圧ガス吸着装置を用いて容量法で測定を行った。このとき、測定に先立って試料を373K、50Pa(比較合成例2のみ423K、4.0×10−3Pa)で10時間乾燥し、吸着水などを除去した。測定条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:日本ベル株式会社製BELSORP−HP
平衡待ち時間:500秒
【0058】
(3)混合ガス分離性能の測定
三方コックとセプタムを装着したガラス製10mL二口フラスコを用意し、三方コックの一方の口に別の三方コックを介して100mLのシリンジをチューブで接続した。測定は、二口フラスコに試料を入れ、373K(比較例2のみ423K)、4.0x10−3Paで3時間乾燥し、吸着水などを除去した後に、フラスコに装着している三方コックを閉じ、続いてシリンジ側の三方コックを通じてシリンジに100mLの混合ガスを導入し、最後にフラスコに装着している三方コックを開き、試料に混合ガスを吸着させた。このとき、吸着量はシリンジの目盛りの減少分から算出し(死容積はあらかじめヘリウムを用いて測定)、ガス組成はガスクロマトグラフィーで分析して算出した。測定条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社島津製作所製GC−14B
カラム:ジーエル サイエンス株式会社製WG−100
INJ温度:100℃
DET温度:50℃
カラム温度:50℃
キャリアガス:ヘリウム
注入量:1mL
検出器:TCD
【0059】
合成例1:
窒素雰囲気下、硝酸亜鉛六水和物5.00g(17mmol)、イソフタル酸2.80g(17mmol)及び4,4’−ビピリジル2.65g(17mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド200mLに溶解させ、393Kで24時間攪拌した。吸引濾過の後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体6.35g(収率98%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図1に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素、メタン及び窒素の273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図2に示す。図2より、本錯体がIUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示すことが分かる。
【0060】
合成例2:
窒素雰囲気下、硝酸マンガン六水和物4.82g(17mmol)、イソフタル酸2.80g(17mmol)及び4,4’−ビピリジル2.65g(17mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド200mLに溶解させ、393Kで24時間攪拌した。吸引濾過の後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体5.67g(収率90%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図3に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素及びメタンの273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図4に示す。図4より、本錯体がIUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示すことが分かる。
【0061】
合成例3:
窒素雰囲気下、硝酸ニッケル六水和物4.89g(17mmol)、イソフタル酸2.80g(17mmol)及び4,4’−ビピリジル2.65g(17mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド200mLに溶解させ、393Kで24時間攪拌した。吸引濾過の後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体6.06g(収率95%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図5に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素及びメタンの273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図6に示す。図6より、本錯体がIUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示すことが分かる。
【0062】
合成例4:
窒素雰囲気下、硝酸カドミウム四水和物5.18g(17mmol)、イソフタル酸2.80g(17mmol)及び4,4’−ビピリジル2.65g(17mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド200mLに溶解させ、393Kで24時間攪拌した。吸引濾過の後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体6.99g(収率96%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図7に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素及びメタンの273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図8に示す。図8より、本錯体がIUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示すことが分かる。
【0063】
合成例5:
窒素雰囲気下、硝酸亜鉛六水和物5.00g(17mmol)、5−メチルイソフタル酸2.80g(17mmol)及び4,4’−ビピリジル2.65g(17mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド200mLに溶解させ、393Kで24時間攪拌した。吸引濾過の後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体6.09g(収率90%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図9に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素及びメタンの273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図10に示す。図10より、本錯体がIUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示すことが分かる。
【0064】
合成例6:
窒素雰囲気下、硝酸亜鉛六水和物5.00g(17mmol)、2,7−ナフタレンジカルボン酸3.68g(17mmol)及び4,4’−ビピリジル2.65g(17mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド200mLに溶解させ、393Kで24時間攪拌した。吸引濾過の後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体7.02g(収率95%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図11に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素、メタン及び窒素の273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図12に示す。図12より、本錯体がIUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示すことが分かる。
【0065】
合成例7:
窒素雰囲気下、硝酸カドミウム四水和物5.00g(16mmol)、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸4.40g(16mmol)及び4,4’−ビピリジル2.53g(16mmol)をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、120℃で24時間攪拌した。吸引濾過の後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体7.90g(収率91%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図13に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素及びメタンの273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図14に示す。図14より、本錯体が二酸化炭素とメタンについてはIUPACの分類におけるI型の吸着プロファイルを示し、窒素はほとんど吸着しないことが分かる。
【0066】
比較合成例1:
窒素雰囲気下、酢酸銅の水溶液100mL(0.04mol/L)に、アセトンに溶解した、濃度0.08mol/Lの4,4’−ビピリジル及び濃度0.32mol/Lの2,5−ジヒドロキシ安息香酸の溶液各200mLを、1時間かけて滴下した。その後、298Kで2時間攪拌した。吸引濾過の後、アセトンで3回洗浄した後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の錯体4.20g(収率87%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図15に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素、メタン及び窒素の273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図16に示す。図16より、本錯体がある一定圧を超えると急激にガスを吸着する吸着プロファイルを示すことが分かる。
【0067】
比較合成例2:
窒素雰囲気下、4,4’−ビピリジル5.00g(32mmol)をメタノール400mLに溶解させ、343Kまで加熱した。続いて、テトラフルオロホウ酸銅3.79g(16mmol)の水溶液200mLを20分かけて滴下した。その後、343Kで1時間攪拌した。吸引濾過の後、メタノールで3回洗浄し、目的の錯体2.16g(収率23%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図17に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素及びメタンの273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図18に示す。
【0068】
比較合成例3:
窒素雰囲気下、硫酸銅五水和物1.55g(6.2mmol)のメタノール溶液50mLを、テレフタル酸1.05g(6.3mmol)及びギ酸9.15g(190mmol)のメタノール溶液1,000mLに加え、313Kで3日間反応させた。その後、反応溶液の上澄みを除去し、298Kまで冷却した後、4,4’−ビピリジル0.50g(3.2mmol)を加え、298Kで2日間反応させた。その後、沈殿物を吸引濾過し、メタノールで3回洗浄し、吸引濾過の後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の錯体0.81g(収率43%)を得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図19に示す。また、得られた金属錯体について、二酸化炭素及びメタンの273Kにおける吸脱着等温線を容量法により測定した結果を図20に示す。
【0069】
実施例1:
合成例1で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0070】
実施例2:
合成例2で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0071】
実施例3:
合成例3で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0072】
実施例4:
合成例4で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0073】
実施例5:
合成例5で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0074】
実施例6:
合成例7で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0075】
比較例1:
比較合成例1で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0076】
比較例2:
比較合成例2で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0077】
比較例3:
比較合成例3で得た金属錯体について、容量比でメタン:二酸化炭素=75:25からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表1に示す。
【0078】
表1より、本発明の分離材は二酸化炭素の分圧が低い時でも高選択率を維持しつつ、かつ二酸化炭素の吸着量が大きいので、メタンと二酸化炭素の分離材として優れていることは明らかである。ここで、「CO2選択率」は、吸着された全ガス中に占める二酸化炭素の割合と定義する。
【0079】
【表1】
【0080】
実施例7:
合成例1で得た金属錯体について、容量比で窒素:二酸化炭素=75:25からなる窒素と二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表2に示す。
【0081】
実施例8:
合成例6で得た金属錯体について、容量比で窒素:二酸化炭素=75:25からなる窒素と二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表2に示す。
【0082】
比較例4:
比較合成例1で得た金属錯体について、容量比で窒素:二酸化炭素=75:25からなる窒素と二酸化炭素の混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】
表2より、本発明の分離材は二酸化炭素の分圧が低い時でも高選択率を維持しつつ、かつ二酸化炭素の吸着量が大きいので、窒素と二酸化炭素の分離材として優れていることは明らかである。ここで、「CO2選択率」は、吸着された全ガス中に占める二酸化炭素の割合と定義する。
【0085】
実施例9:
合成例7で得た金属錯体について、容量比で窒素:メタン=50:50からなる窒素とメタンの混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表3に示す。
【0086】
比較例5:
比較合成例1で得た金属錯体について、容量比で窒素:メタン=50:50からなる窒素とメタンの混合ガスを用い、273K、0.1MPaにおける分離性能を測定した。結果を表3に示す。
【0087】
【表3】
【0088】
表3より、本発明の分離材はメタンの分圧が低い時でも高選択率を維持しつつ、かつメタンの吸着量が大きいので、窒素とメタンの分離材として優れていることは明らかである。ここで、「CH4選択率」は、吸着された全ガス中に占める二酸化炭素の割合と定義する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛及びカドミウムから選択される少なくとも1種の金属と、該金属に二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体。
【請求項2】
該ジカルボン酸化合物が下記一般式(I);
【化1】
(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、アミド基もしくはハロゲン原子を示すか、R1とR2、R2とR3は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基またはアルケニレン基を示す。)で表されるイソフタル酸誘導体である請求項1記載の金属錯体。
【請求項3】
該ジカルボン酸化合物が下記一般式(II);
【化2】
(式中、R5、R6、R7、R8、R9及びR10はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、アミド基もしくはハロゲン原子を示すか、R5とR6、R7とR8は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基またはアルケニレン基を示す。)で表される2,7−ナフタレンジカルボン酸誘導体である請求項1記載の金属錯体。
【請求項4】
該ジカルボン酸化合物が下記一般式(III);
【化3】
(式中、R11、R12、R13、R14、R15及びR16はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、アミド基もしくはハロゲン原子を示すか、R11とR12、R13とR14は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基またはアルケニレン基を示す。)で表される4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸誘導体である請求項1記載の金属錯体。
【請求項5】
金属に二座配位可能な有機配位子が1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピラジン、2,5−ジメチルピラジン、4,4'−ビピリジル、2,2’−ジメチル−4,4'−ビピリジル、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼン、2,2’−ビ−1,6−ナフチリジン、フェナジン、ジアザピレン、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エテン、4,4'−アゾピリジン、1,2−ビス(4−ピリジル)エタン、1,2−ビス(4−ピリジル)グリコール、N−(4−ピリジル)イソニコチンアミドから選択される少なくとも1種である請求項1〜4記載の金属錯体。
【請求項6】
該金属がマンガン、ニッケル、亜鉛またはカドミウムである請求項1〜5いずれかに記載の金属錯体。
【請求項7】
請求項1〜6いずれかに記載の金属錯体からなる分離材。
【請求項8】
二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気の分離に用いる請求項7に記載の分離材。
【請求項9】
メタンと二酸化炭素、水素と二酸化炭素、窒素と二酸化炭素または空気とメタンの分離に用いる請求項7に記載の分離材。
【請求項10】
構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム塩、モリブデン塩、タングステン塩、マンガン塩、鉄塩、ルテニウム塩、コバルト塩、ロジウム塩、ニッケル塩、パラジウム塩、銅塩、亜鉛塩及びカドミウム塩から選択される少なくとも1種の金属塩と、該金属に二座配位可能な有機配位子とを溶媒中で反応させ、析出させる金属錯体の製造方法。
【請求項1】
構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛及びカドミウムから選択される少なくとも1種の金属と、該金属に二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体。
【請求項2】
該ジカルボン酸化合物が下記一般式(I);
【化1】
(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、アミド基もしくはハロゲン原子を示すか、R1とR2、R2とR3は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基またはアルケニレン基を示す。)で表されるイソフタル酸誘導体である請求項1記載の金属錯体。
【請求項3】
該ジカルボン酸化合物が下記一般式(II);
【化2】
(式中、R5、R6、R7、R8、R9及びR10はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、アミド基もしくはハロゲン原子を示すか、R5とR6、R7とR8は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基またはアルケニレン基を示す。)で表される2,7−ナフタレンジカルボン酸誘導体である請求項1記載の金属錯体。
【請求項4】
該ジカルボン酸化合物が下記一般式(III);
【化3】
(式中、R11、R12、R13、R14、R15及びR16はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、アミド基もしくはハロゲン原子を示すか、R11とR12、R13とR14は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基またはアルケニレン基を示す。)で表される4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸誘導体である請求項1記載の金属錯体。
【請求項5】
金属に二座配位可能な有機配位子が1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピラジン、2,5−ジメチルピラジン、4,4'−ビピリジル、2,2’−ジメチル−4,4'−ビピリジル、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼン、2,2’−ビ−1,6−ナフチリジン、フェナジン、ジアザピレン、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エテン、4,4'−アゾピリジン、1,2−ビス(4−ピリジル)エタン、1,2−ビス(4−ピリジル)グリコール、N−(4−ピリジル)イソニコチンアミドから選択される少なくとも1種である請求項1〜4記載の金属錯体。
【請求項6】
該金属がマンガン、ニッケル、亜鉛またはカドミウムである請求項1〜5いずれかに記載の金属錯体。
【請求項7】
請求項1〜6いずれかに記載の金属錯体からなる分離材。
【請求項8】
二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気の分離に用いる請求項7に記載の分離材。
【請求項9】
メタンと二酸化炭素、水素と二酸化炭素、窒素と二酸化炭素または空気とメタンの分離に用いる請求項7に記載の分離材。
【請求項10】
構造式内でカルボキシル基が互いに120°の位置にあるジカルボン酸化合物と、クロム塩、モリブデン塩、タングステン塩、マンガン塩、鉄塩、ルテニウム塩、コバルト塩、ロジウム塩、ニッケル塩、パラジウム塩、銅塩、亜鉛塩及びカドミウム塩から選択される少なくとも1種の金属塩と、該金属に二座配位可能な有機配位子とを溶媒中で反応させ、析出させる金属錯体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−180202(P2010−180202A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132707(P2009−132707)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り ▲1▼発行者名 分子科学会 刊行物名 「第2回分子科学討論会ウェブサイトの講演プログラム&要旨」 発行日 平成20年7月9日 ▲2▼発行者名 社団法人 日本化学会 刊行物名 「第61回コロイドおよび界面化学討論会・講演要旨集」 発行日 平成20年8月20日 ▲3▼発行者名 錯体化学会 刊行物名 「第58回錯体化学討論会・講演要旨集」 発行日 平成20年9月5日
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り ▲1▼発行者名 分子科学会 刊行物名 「第2回分子科学討論会ウェブサイトの講演プログラム&要旨」 発行日 平成20年7月9日 ▲2▼発行者名 社団法人 日本化学会 刊行物名 「第61回コロイドおよび界面化学討論会・講演要旨集」 発行日 平成20年8月20日 ▲3▼発行者名 錯体化学会 刊行物名 「第58回錯体化学討論会・講演要旨集」 発行日 平成20年9月5日
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】
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