説明

金属錯体

本発明は、新しいタイプの金属錯体に関する。前記化合物は、最も広い意味におけるエレクトロニクス産業内で分類することができる一連の異なるタイプの応用における活性成分(=機能性材料)として使用され得る。
本発明の化合物は、構造式1および式1〜60によって記載されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
有機金属化合物、特にd8金属の化合物は、最も広い意味におけるエレクトロニクス産業内で分類することができる一連の異なるタイプの応用における活性成分(=機能性材料)として、近い将来における使用を見出されるであろう。
【0002】
有機成分に基づいた有機エレクトロルミネッセンスデバイス(構成の一般的な記述については、US-A-4,539,507 および US-A-5,151,629を参照)およびその個々の部品、有機発光ダイオード(OLED)は、既に市場において紹介されており、Pioneer製の有機ディスプレイを備える利用可能なカーラジオによって示されている。このタイプのさらなる製品は、近いうちに紹介されるであろう。これらの全てにもかかわらず、これらのディスプレイが、現在市場を先導している液晶ディスプレイ(LCDs)との真の競争力を獲得するかまたはこれを追い越すために、別個の改良が今なお必要である。
【0003】
この方向における開発は、金属キレート錯体(その中でもアルミニウムおよびランタンキレート錯体が本明細書中において特に興味深い)に基づいた電子輸送材料および青色一重項エミッタの改良である。
【0004】
近年において出現したこの方向における開発は、蛍光の代わりにリン光を発する有機金属錯体の使用である[M.A. Baldo, S. Lamansky, P.E. Burrows, M.E. Thompson, S.R. Forrest, Applied Physics Letters, 1999,75, 4-6]。
【0005】
スピンの確率に関する理論的理由のために、4倍までのエネルギー効率および電力効率が有機金属化合物をリン光エミッタとして使用することを可能にする。この新しい開発がそれ自体確立するか否かということは、OLEDにおいてこれらの利点(一重項発光=蛍光と比較した三重項発光=リン光)を利用することができる対応するデバイス組成物を見出すことができるかどうかに強く依存している。実際の使用のための主要な条件は、特に長期間の操作寿命、熱ストレスに対する高い安定性、およびモバイル用途を可能にするための低い使用および操作電圧である。
【0006】
何れの場合においても、対応するキレート錯体または有機金属化合物に対する効率的な化学アクセスがなければならない。しかしながら、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウムおよび金化合物の希少さを背景に特に興味深い。
【0007】
これまでの文献は、カラーリング成分として蛍光またはリン光エミッタを有するOLEDの2つの基本的設計について記載してきた:
タイプ1は、典型的には以下の層構造を有する[リン光エミッタを有するOLEDの例を使用する:M.E.Thompson et al., Proceedings of SPIE, 31.07 - 02.08.2000, San Diego, USA, Volume 4105, page 119-124]:
1.キャリアプレート=基板(典型的にはガラスまたはプラスチックフィルム)
2.透明アノード(典型的にはインジウムスズ酸化物、ITO)
3.ホール輸送層(HTL):典型的にはトリアリールアミン誘導体に基づいている。
【0008】
4.エミッタ層(EL):この層は、蛍光エミッタもしくはリン光エミッタ、または蛍光エミッタもしくはリン光エミッタでドープされたマトリックス材料からなる。
【0009】
5.電子輸送層(ETL):通常はトリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(III)(AlQ3)に基づいている。
【0010】
6.カソード:ここでは、一般に低仕事関数の金属、金属の組み合わせ、または合金が使用される(例えば、Al-Li)。
【0011】
タイプ2は、典型的には以下の層構造を有する[リン光エミッタを有するOLEDの例を使用する:T.Tsutsui et al. Jpn. J. Appl. Phys., 1999, 38, L 1502-L 1504]:
1.キャリアプレート=基板(典型的にはガラスまたはプラスチックフィルム)
2.透明アノード(典型的にはインジウムスズ酸化物、ITO)
3.ホール輸送層(HTL):典型的にはトリアリールアミン誘導体に基づいている。
【0012】
4.マトリックスおよびエミッタ層(EL):この層は、蛍光エミッタまたはリン光エミッタでドープされた、例えばトリアリールアミン誘導体に基づいたマトリックス材料からなる。
【0013】
5.電子輸送/ホール遮断層(HBL):典型的には窒素ヘテロ環または金属錯体{例えば、ビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナト)(4-フェニルフェノラト)-アルミニウム(III)}に基づいている。
【0014】
6.電子輸送層(ETL):通常はトリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(III)(AlQ3)に基づいている。
【0015】
7.カソード:ここでは、一般に低仕事関数の金属、金属の組み合わせ、または合金が使用される(例えば、Al)。
【0016】
また、薄い透明カソードを通して光を放射することも可能である。これらのデバイスが、その用途に依存しながら適切に構築され、接続され、最後に気密的に封止される。このようなデバイスの寿命が一般に、水および/または空気の存在中において劇的に短縮されるからである。
【0017】
上述のOLEDの特性データは、以下の弱点を示す:
1.操作寿命が、大半の場合において依然として非常に短く、OLEDの市場への導入の障害となっている。
【0018】
2.明るさが増加するにつれて効率が頻繁に著しく減少することが、効率-輝度曲線から明らかである。これは、実際に必要とされる強い明るさが高電力消費によってのみ達成され得ることを意味する。しかしながら、高電力消費は、携帯ユニット(携帯電話、ノート型パソコンなど)の高電力のバッテリーを必要とする。さらに、大部分が熱に変換されてしまう高電力消費は、ディスプレイに対する熱損傷を導きかねない。
【0019】
上述したOLEDデバイスにおいて、上述した機能性材料は強力に最適化されてきている。
【0020】
ある期間、広い意味における(擬)八面体金属錯体が、ETL(例えばAlQ3, 参照: C.W.Tang et al., Applied Phys. Lett. 1987, 51(12), 913)、HBL(例えばB-AlQ3, 参照: R.Kwong et al., Applied Physics Letters 2002, 81(1), 162)、EL中のマトリックス材料(例えばB-AlQ3, 参照: C.H.Chen et al., Proceedings of SPIE-The International Society for Optical Engineering 1998, 3421 (Display Technologies II), 78)、一重項エミッタ(例えばAlQ3および他の錯体, 参照: S.Tokito et al., Synthetic Metals 2000, 111-112, 393)、および三重項エミッタ(例えばIr(PPy)3, 参照: WO00/70655; 例えば Ir(TPy)3およびIr(BTPy)3, 参照: S.Okada et al., Proceedings of the SID, 2002, 52.2, 1360)として使用されてきた。各材料に特別な個々の弱点に加えて、既知の金属錯体は簡単に言えば以下に示された一般的弱点を有する:
1.既知の金属錯体の多く、特にアルミニウムのような主要な族の金属を含むものは、時にはかなりの加水分解感受性を有し、空気への短時間の曝露後でも金属錯体が著しく分解されてしまう。対照的に、他のもの、例えば電子輸送材料として使用されるAlQ3は、水を含める傾向がある。
【0021】
これらのアルミニウム錯体およびその類縁物質の高い吸湿性は、重大な実用的不利益である。標準的な条件下で合成および貯蔵されたAlQ3は、ヒドロキシキノリン配位子に加えて、錯体分子当り一分子の水をなお含んでいる[cf., for example: H.Schmidbaur et al., Z.Naturforsch. 1991, 46b, 901-911]。これは除去するのが極端に難しい。従って、OLEDに使用するためには、複雑な多段階の昇華プロセスにおいて費用の嵩む不便な手法でAlQ3を精製、貯蔵し、その後に保護ガス雰囲気において水を排除しながら取り扱わなければならない。さらに、個々のAlQ3バッチの品質における大きな変動、および貧弱な貯蔵安定性が認められている(参照:S.Karg, E-MRS Konferenz 30.5.00-2.6.00 Strasbourg)。
【0022】
2.既知の金属錯体の多くは熱安定性が低い。このことは、金属錯体の真空堆積において、不可避的に有機熱分解生成物の放出を誘導し、これらの幾つかは、少量でもOLEDの操作寿命をかなり減少させる。
【0023】
3.文献に詳述され且つ現在までOLEDへの使用が見出されている金属錯体のほとんど全ては、三つの二座配位子に配位された金属中心からなるホモレプティックな(擬)八面体錯体である。この設計の錯体は、2つの異性体形態、経線配位および面配位の異性体を生じ得る。2つの異性体の1つには、しばしばわずかな熱力学的優位のみがある。一定の条件(例えば、一定の昇華温度)のもとでは、いずれか一方の異性体または2つの異性体の混合物を導く。上記の状態は望ましくない。2つの異性体はしばしばその物理的性質(発光スペクトル、電子およびホール伝導性質など)が明確に異なるので、製造プロセスで小さな変化が起こった場合でもOLEDの性質が大きく偏向してしまうからである。この例は、それぞれ緑色および青色の光ルミネセンスを発するmer-AlQ3(経線配位)およびfac-AlQ3(面配位)の明確に異なる性質にある(M.Coelle, Chemical Communications, 2002, 23, 2908-2909を参照)。
【0024】
従って、上述の弱点がないだけでなく、効率および発光色について既知の金属錯体に勝るとも劣らない代替化合物についての要求がある。
【0025】
今回、驚くべきことに、多座配位の配位子の金属錯体を、ETL、HBL、EL中のマトリックス材料、一重項エミッタ、および三重項エミッタとして使用したときに優れた性質を示すことが見出された(この特定の特異的機能は、金属とこれに付随する適切な配位子の適切な選択によって決定される)。このような化合物が、本発明の主題を形成する。化合物は以下の一般的性質を有する:
1.昇華の過程において部分的または完全な熱分解を受ける多くの既知の金属錯体とは対照的に、本発明の化合物は高い熱安定性を有する。適切なデバイス中において使用されたときに、この安定性は、操作寿命の明確な増加を導く。
【0026】
2.本発明の化合物は、顕著な加水分解性または吸湿性を全く示さない。空気および水蒸気の移入を伴う数日間または数週間にわたる貯蔵は、物質のあらゆる変化を誘導しない。化合物に対する水の付加を検出することは不可能であった。これは、この物質がより単純な条件下で精製、輸送、貯蔵および使用のために調製され得るという利点を有する。
【0027】
3.エレクトロルミネッセンスデバイス中のETL材料として使用される本発明の化合物は、高効率を誘導し、使用される電流密度とは特に無関係である。これは、高電流密度でも非常に良好な効率を可能にする。
【0028】
4.エレクトロルミネセンスデバイス中のHBL材料として使用される本発明の化合物は、高効率を誘導し、使用される電流密度とは特に無関係である。これは、高電流密度での非常に良好な効率(すなわち、高輝度)を可能にする。さらに、本発明の材料はホールに対して安定である{例えば、他の金属錯体では、例えばAlQ3および類縁化合物は十分な程度まで安定な状態ではない(例えば: Z.Popovic et al., Proceedings of SPIE, 1999, 3797, 310-315を参照)}。
【0029】
5.エレクトロルミネセンスデバイス中で純粋形態のEL材料またはドーパントと組み合わせたマトリックス材料として使用される本発明の化合物は、高効率を誘導する。このエレクトロルミネセンスデバイスは、急勾配の電流-電圧曲線、および特に長い操作寿命で注目に値する。
【0030】
6.本発明の化合物は、確実に高い収量で良好な再現性をもって調製することができ、且つバッチ間で全く差異がない。
【0031】
7.本発明の化合物の幾つかは、有機溶剤中で優れた可溶性を有する。この性質によって、これらの材料はより簡単に精製することができ、また、コーティングまたは印刷技術によって溶液から処理可能になる。蒸発による常習的な処理においても、この性質は有利である。使用されたユニットまたはシャドーマスクの浄化がかなり容易になるからである。
【0032】
以下に詳述した多座配位の配位子のキレート錯体および有機金属化合物の分類、並びに電気光学部品における機能性材料としてのこれらの使用は新規であり、現在まで文献に記載されていないので、純粋な材料としてのその効率的な調製および利用可能性は、この目定に対して非常に大きな意義がある。
【0033】
本発明は、構造式1の金属錯体であって、
【化1】

【0034】
構造式2の多座配位の配位子Ligが配位した少なくとも一つの金属Metを含み、
【化2】

【0035】
(ここで、Vは架橋単位である)
前記配位子は、1〜80の原子および三つの配位子部分L1、L2およびL3を含み、これらは各場合に同一または異なってよく、且つ相互に共有結合されており、また該三つの配位子部分L1、L2およびL3は構造式3を満たし、
【化3】

【0036】
ここで、Cy1およびCy2は各場合に同一または異なり、置換もしくは非置換で、飽和、不飽和もしくは芳香族のホモ環もしくはヘテロ環、または融合系のホモ環部分もしくはヘテロ環部分に対応し、それぞれが環原子もしくは前記ホモ環もしくはヘテロ環に外部的に結合した原子を介して前記金属にイオン的、共有結合的もしくは配位結合的に結合されている金属錯体を提供する。
【0037】
架橋単位Vは、周期表の元素の主要な族III、IVおよび/またはV由来の1〜80の原子を有する。これらは架橋単位の基本的な骨格を形成する。
【0038】
上記で選択されたジクザグ線の記号は、単にCy1とCy2との連結のみを説明している。環の可能な連結のさらなる詳細な説明を以下に与える。
【0039】
ホモ環またはヘテロ環Cy1およびCy2は、単結合を介して連結されてもよい。さらに、ホモ環部分またはヘテロ環部分Cy1およびCy2は、共通の角度で連結されてもよい。さらに、単結合または共通角度での連結に加えて、これらはホモ環もしくはヘテロ環Cy1およびCy2またはホモ環部分もしくはヘテロ環部分にある置換基を介して相互に連結されてもよく、すなわち多環の芳香族環系または脂環式系を形成する。
【0040】
ここで、原理的に可能な連結を、本発明の多数の全ての可能な連結を制限することなく、ベンゼン環(Cy1)とピリジン(Cy2)との例を使用しながら例として示す(図1を参照)。
【0041】
スキームA:
【化4】

【0042】
好ましくは、非帯電性、即ち外部的には電気的に中性であることを特徴とする構造式1の本発明の化合物が与えられる。
【0043】
好ましくは、少なくとも1つの配位子部分L1、L2およびL3、好ましくは少なくとも2つの配位子部分L1、L2およびL3、ならびにより好ましくは全ての3つの配位子部分L1、L2およびL3が個々に負に帯電していることを特徴とする構造式1の本発明の化合物が与えられる。
【0044】
好ましくは、L1=L2=L3であることを特徴とする構造式1の本発明の化合物が与えられる。
【0045】
同様に、好ましくは、L1≠L2であることを特徴とする構造式1の本発明の化合物が与えられる。
【0046】
さらに好ましくは、Cy1がCy2と異なることを特徴とする構造式1の本発明の化合物が与えられる。
【0047】
好ましくは、連結ユニットVは、連結原子として、主要な3、4もしくは5族の元素または3〜6員のホモ環もしくはヘテロ環を含むことを特徴とする構造式1の本発明の化合物が与えられる。
【0048】
好ましくは、構造式4の多座配位の配位子Ligが、金属Met上で面配位形態を生じることを特徴とする構造式1の本発明の化合物が与えられる。
【化5】

【0049】
同様に、好ましくは、構造式5の多座配位の配位子Ligが、金属Met上で経線配位形態を生じることを特徴とする構造式1の本発明の化合物が与えられる。
【化6】

【0050】
この出願の内容において、面配位および経線配位は、6つのドナー原子で金属Metの環境を表わしている。面配位は、3つの同一のドナー原子が(擬)配位八面体中の三角形の表面を占有し、先の3つ以外の3つの同一のドナー原子が(擬)八面体配位の多面体中の別の三角形の表面を占有するときに生じる。同じように、経線配位は、3つの同一のドナー原子が(擬)八面体配位の多面体中の一つの経線を占有し、先の3つ以外の3つの同一のドナー原子が(擬)八面体配位の多面体中の他の経線を占有するものと理解される。これについて、3つの窒素ドナー原子と3つの炭素ドナー原子との配位の例を参照しながら例として以下に示す(図2を参照)。この記述はドナー原子に関係し、これらのドナー原子を提供する環式Cy1およびCy2に関係しないので、3つの環式Cy1および3つの環式Cy2は各場合に同一または異なってもよいが、それでもなおこの出願の内容において面配位または経線配位に対応する。
【0051】
同一のドナー原子とは、これらの元素が異なる構造または環式構造内に組み込まれるか否かに関わらず、同一の元素(例えば窒素)からなるものと理解される。
【0052】
スキームB:
3つの窒素ドナー原子と3つの炭素ドナー原子の例を使用する面配位および経線配位
【化7】

【0053】
好ましくは、特にスキーム1に記載の金属上で面配位形態をとる化合物(1)〜(8)に記載の金属錯体を与える。
【化8】

【0054】
ここでの記号および添え字は次のように定義される:
Mは、 Al、Ga、In、Tt、P、As、Sb、Bi、Sc、Y、La、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Cu、Au、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luであり;
Lは、 それぞれの場合に同じかまたは異なって、C、N、Pであり;
Qは、 それぞれの場合に同じかまたは異なって、O、S、Se、Te、Nであり;
Tは、 それぞれの場合に同じかまたは異なって、N、P、Cであり;
Xは、 それぞれの場合に同じかまたは異なって、CR、N、Pであり;
Yは、 それぞれの場合に同じかまたは異なって、NR1、O、S、Se、Te、SO、SeO、TeO、SO2、SeO2、TeO2であり;
Zは、 B、BR、B(CR2)3、B(CR2CR2)3、CR、COH、COR1、CF、CCl、CBr、C-I、CNR12、RC(CR2)3、RC(CR2CR2)3、RC(SiR2)3、RC(SiR2CR2)3、RC(CR2SiR2)3、RC(SiR2SiR2)3、cis,cis-1,3,5-シクロヘキシル、1,3,5-(CR2)3C6H3、SiR、SiOH、SiOR1、RSi(CR2)3、RSi(CR2CR2)3、RSi(SiR2)3、RSi(SiR2CR2)3、RSi(CR2SiR2)3、RSi(SiR2SiR2)3、N、N(CR2)3、N(C=O)3、N(CR2CR2)3、NO、P、As、Sb、Bi、PO、AsO、SbO、BiO、PSe、AsSE、SbSe、BiSe、PTe、AsTe、SbTe、BiTeであり;
Rは、 それぞれの場合に同じかまたは異なって、H、F、Cl、Br、I、NO2、CN、1〜20の炭素原子を有し、1以上の非隣接CH2基が-R1C=CR1-、-C≡C-、Si(R1)2、Ge(R1)2、Sn(R1)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR1、-O-、-S-、-NR1-または-CONR1-で置換されてもよく、且つ1以上の水素原子がFで置換されてもよい直鎖もしくは分岐鎖または環状のアルキルもしくはアルコキシ基、または1〜14の炭素原子を有し且つ1以上の非芳香族R基で置換されてもよいアリールもしくはヘテロアリール基であり、同一もしくは二つの異なる環上にある複数の該置換基Rが一緒になって、更なる単環もしくは多環の脂環式系もしくは芳香族環系を形成してもよく;
R1は、 それぞれの場合に同じかまたは異なって、1〜20の炭素原子を有する脂肪族もしくは芳香族の炭化水素基であり;
Cは、 それぞれの場合に同じかまたは異なって、0または1である。
【0055】
同様に、さらに好ましくは、スキーム2に記載の金属上で経線配位形態をとる化合物(9)〜(12)が与えられる。
【化9】

【0056】
ここでの記号および添え字M、L、Q、T、X、Y、Z、R、R1 、cおよびnは、それぞれスキーム1に定義された通りであり、またnは1もしくは2である。
【0057】
本発明は、さらに同様に化合物(1)、(2)、(3)および/または(4)に記載されたタイプの配位子部分を同時に有する化合物、すなわち混合(mixed)配位子系を提供する。これらは、スキーム3に記載の式(13)〜(30)によって表わされる:
【化10】

【化11】

【化12】

ここでの記号および添え字M、L、Q、T、X、Y、Z、R、R1 、cおよびnは、それぞれスキーム1および2に定義された通りである。
【0058】
本発明は、さらに同様にスキーム4に記載の融合(fused)芳香族配位子系を含む化合物(31)〜(41)を提供する。
【化13】

【化14】

ここでの記号および添え字M、L、Q、T、X、Y、Z、R、R1 、cおよびnは、それぞれスキーム1および2に定義された通りである。
【0059】
好ましくは、記号M=Al、Ga、In、Sc、Y、La、Ru、Os、Rh、Ir、Auである本発明の化合物(1)〜(41)が与えられる。
【0060】
同様に、好ましくは、記号L=C、Nである本発明の化合物(1)〜(41)が与えられる。
【0061】
同様に、好ましくは、記号Q=O、Sである本発明の化合物(1)〜(41)が与えられる。
【0062】
同様に、好ましくは、記号T=Nである本発明の化合物(1)〜(41)が与えられる。
【0063】
同様に、好ましくは、記号X=CR、Nである本発明の化合物(1)〜(41)が与えられる。
【0064】
同様に、好ましくは、記号Z=B、CH、CR1、COR1、CF、CCl、CBr、SiR、N、P、PO、RC(CR2)3、RC(CR2CR2)3、cis,cis-1,3,5-シクロヘキシル、RSi(CR2)3、RSi(CR2CR2)3、N(CR2)3、N(C=O)3、N(CR2CR2)3である本発明の化合物(1)〜(41)が与えられる。
【0065】
同様に、好ましくは、記号Y=O、Sである本発明の化合物(1)〜(41)が与えられる。
【0066】
同様に、好ましくは、記号RがH、F、Cl、Br、I、CN、1〜6の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖または環状のアルキルもしくはアルコキシ基、または3〜8の炭素原子を有し且つ1以上の非芳香族R基で置換されてよいアリールもしくはヘテロアリール基を表わし、同一もしくは二つの異なる環上にある複数の置換基Rが一緒になって、更なる単環もしくは多環の脂環式系もしくは芳香族環系を形成してもよい本発明の化合物(1)〜(41)が与えられる。
【0067】
化合物(1)〜(41)中のR基によって環系が形成されるとき、それらは好ましくはベンゼン、1-または2-ナフタレン、2-、4-または5-ピリミジン、2-ピラジン、3-または4-ピリダジン、2-、3-、4-、5-、6-、7-または8-キノリン、2-または3-ピロール、3-、4-または5-ピラゾール、2-、4-または5-イミダゾール、2-または3-チオフェン、2-または3-セレノフェン、2-または3-フラン、2-(1,3,4-オキサジアゾール)、インドールまたはカルバゾールである。
【0068】
同様に、本発明は、スキーム5に記載の化合物(42)〜(82)に記載の多座配位の配位子を提供する。
【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

ここでの記号および添え字Q、L、T、X、Y、Z、R、R1、c、nは、それぞれスキーム1および2に定義された通りである。
【0069】
本発明の化合物(1)〜(41)は、原理的には様々なプロセスによって調製され得るが、以下に記載されたプロセスが特に適切であることが見出された。
【0070】
従って、本発明は、化合物(42)〜(82)の多座配位の配位子を、式(83)の金属アルコキシド、式(84)の金属ケトケトネート(ketoketonates)および式(85)の金属ハロゲン化物と反応させることによって、化合物(1)〜(41)を調製するための方法をさらに提供する。
【化20】

ここでの記号R1は、スキーム1に定義された通りであり、Hal=F、Cl、Br、Iである。
【0071】
このプロセスは、前記錯体を、1H NMRまたはHPLCによって高純度、好ましくは>99%の純度で容易に得ることができる。
【0072】
ここで例示された合成方法によって、以下に示された化合物の例(1)〜(41)を含む例を調製することができる。
【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

上記に記載された本発明の化合物、例えば、例7、14、26、27、37、38、39および41に記載された化合物は、例えば、対応する共役系、半共役系もしくは非共役系ポリマーを得るためのコモノマーとしての使用を見出すことができ、またはデンドリマーの核として、例えば、例14および26に記載の化合物を見出すことができる。適切な重合は、好ましくはハロゲンの官能性を介して達成される。
【0073】
例えば、これらを重合し、特に、可溶性ポリフルオレン(例えばEP-A-842208またはWO00/22026に記載)、ポリ-スピロ-ビフルオレン(例えばEP-A-707020またはEP-A-894107に記載)、ポリ-パラ-フェニレン(例えばWO92/18552に記載)、ポリカルバゾール(例えば出願DE10304819.7およびDE10328627.6に記載)、ポリビニルカルバゾールまたはポリチオフェン(例えばEP-A-1028136に記載)、または複数のこららのユニットのコポリマーになることができる。
【0074】
従って、本発明は、式(1)〜(41)の一以上の化合物を含む、共役系、半共役系および非共役系ポリマーまたはデンドリマーをさらに提供する。ここで、一以上の上記に定義したR基はポリマーまたはデンドリマーに結合している。
【0075】
さらにまた当然ながら、本発明の金属錯体を官能化し、拡張された金属錯体に転換され得る。ここでは、SUZUKIによるアリールボロン酸での、またはHARTWIG-BUCHWALDによるアミンでの官能化の例として言及され得る。
【0076】
上述した本発明の化合物、ポリマー、デンドリマー、または、上述したようなさらに官能化された化合物は、電子部品、例えば、有機発光ダイオード(OLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機太陽電池(O-SC)または有機レーザーダイオード(O-レーザー)の活性成分としての使用が見出される。
【0077】
活性成分とは、例えば、電荷注入または電荷輸送材料、電荷遮蔽材料および発光材料である。この機能のために、本発明の化合物は、上記に既に例示したように特に良好な性質を示し、以下にさらに詳細に説明される。
【0078】
すなわち、本発明は、電子部品におけるこれらの化合物の使用をさらに提供する。
【0079】
本発明はさらに、電子部品、例えば、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄層トランジスタ(OTFT)、有機太陽電池(O-SC)、または有機レーザーダイオード(O-レーザー)を提供し、特に1以上の本発明の化合物、ポリマーまたはデンドリマーを含む有機発光ダイオード(OLED)を提供する。
【0080】
如何なる限定を付することなく、電荷輸送材料およびホール遮断材料に従う例によって本発明を詳細に例示する。発明的活動なくして、当業者は、さらなる本発明の錯体、例えば発光材料を調製するための所見を使用することができ、または本発明によるプロセスを使用することができる。
【0081】
例:
六座配位の配位子を含むホモレプティックなアルミニウム、鉄、およびランタンキレート錯体の合成:
別の状態がない限り、以下の合成を、乾燥溶剤中の保護ガス雰囲気下で行った。反応物はALDRICHまたはABCRから購入した[2-メトキシエタノール中の2-メトキシベンゼンボロン酸、2-ブロモ-4-フルオロフェノール、2-ブロモ-5-フルオロフェノール、フッ化カリウム(噴霧乾燥された)、ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(DAST)、トリ-tert-ブチルホスフィン、パラジウム(II)アセテート、ピリジニウム塩酸塩、アルミニウムトリイソプロポキシド、10重量%溶液のトリス(2-メトキシエタノラト)ランタン(III)]。トリス(2-ブロモ-6-ピリジル)ホスフィンおよびトリス(2-ブロモ-6-ピリジル)メタノールを、WO98/22148に記載した通りに調製した。
【0082】
例1:トリス(2-ブロモ-6-ピリジル)ホスフィン酸化物
【化30】

【0083】
500 mlのクロロホルム中の50.2g(100.0 mmol)のトリス(2-ブロモ-6-ピリジル)ホスフィンの沸騰するまで加熱した懸濁液を、11mlの35重量%のH2O2および50mlの水の混合液と激しく撹拌滴下しながら混合し、透明な溶液を得た。5時間にわたって還流下で撹拌した後、溶液を室温まで冷却した。溶液を500mlの水で洗浄し、有機相を除去して減圧下で50mlまで濃縮した。2時間にわたる静置の後、沈殿した結晶をろ過し、100mlのn-ヘキサンで3回洗浄し、減圧下で70℃で乾燥した。99.0%の純度での収量は、47.1g(90.9%)であった。
【0084】
1H NMR (CDCl3): δ[ppm] = 8.14 (ddd, 3JHP = 5.4 Hz, 3JHH = 7.8 Hz, 4JHH = 1.0 Hz, 3H, H-3), 7.69 (ddd, 4JHP = 4.6 Hz, 3JHH = 7.9 Hz, 3JHH = 7.9 Hz, 3H, H-4), 7.61 (ddd, 5JHP = 2.1 Hz, 3JHH = 7.9 Hz, 4JHH = 1.0 Hz, 3H, H-5).
31P{1H} NMR (CDCl3): δ [ppm] = 11.8(s).
例2:トリス(6-(2-メトキシフェニル)-2-ピリジル)ホスフィン酸化物
【化31】

【0085】
750 mlの無水THF中の38.8g(75.0 mmol)のトリス(2-ブロモ-6-ピリジル)ホスフィン酸化物、51.3g(337.5 mmol)の2-メトキシベンゼンボロン酸、および43.1g(742.5 mmol)のフッ化カリウムの効率的に撹拌された懸濁液を、593mg(2.93mmol)のトリ-tert-ブチルホスフィンと混合し、その後に505mg(2.25 nmol)のパラジウム(II)アセテートと混合し、続いて16時間にわたって還流下で加熱した。冷却した後、反応混合物を1500mlのエチルアセテートおよび1000mlの水と混合した。有機相を除去し、500mlの水で2回、500mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄し、続いて硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機相を減圧下(最終圧力1mbar、温度90℃)で濃縮した後、44.3g(98.5%)の黄白色の高粘度の油が残った。これを精製しないでさらに反応させた。
【0086】
1H NMR (CDCl3): δ [ppm] = 8.14 (ddd, 3H), 8.02 (ddd, 3H), 7.85 (dd, 3H), 7.76 (ddd, 3H), 7.30 (ddd, 3H), 6.94 (dd, 3H), 6.87 (ddd, 3H), 3.10 (s, 9H CH3).
31P{1H} NMR (CDCl3): δ[ppm] = 14.0 (s).
例3:トリス(6-(2-ヒドロキシフェニル)-2-ピリジル)ホスフィン酸化物、(PPL-01)
【化32】

【0087】
30.0g(50 mmol)のトリス(6-(2-メトキシフェニル)-2-ピリジル)ホスフィン酸化物および104.0g(900 mmol)のピリジニウム塩酸塩の混合物を130℃で12時間にわたって撹拌した。溶解液を80℃まで冷却した後、300mlの水と混合し、その後に100mlの水中の44.9g(800 mmol)の水酸化カリウムの溶液と混合した。水相を500mlのジクロロメタンで3回抽出した。混合有機相を500mlの水で3回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させてジクロロメタンを除去した後、油性残留物を、100mlのメチルtert-ブチルエーテルで溶解し、100mlのn-ヘプタンと混合した。12時間にわたって静置した後、無色の結晶を吸引ろ過し、メチルtert-ブチルエーテル/n-ヘプタンから再結晶化した。収量は1H NMRによって99.0%を越える純度で10.9g(39.1%)であった。
【0088】
1H NMR (CDCl3): δ[ppm] = 14.33 (s, 3H, OH), 8.45 (m, 3H), 8.13 (m, 3H), 7.88 (m, 3H), 7.61 (m, 3H), 7.23 (m, 3H), 7.01 (m, 3H), 6.90 (m, 3H).
31P{1H} NMR (CDCl3): δ [ppm] = 10.3 (s).
例4:トリス(2-ブロモ-6-ピリジル)フルオロメタン
【化33】

【0089】
750 mlのジクロロメタン中の50.0g(100 mmol)のトリス(2-ブロモ-6-ピリジル)メタノールの溶液を、よく撹拌しながら滴下形式で、47.3ml(400 mmol)のジエチルアミノ硫黄トリフルオリドと混合した。引き続いて、反応混合物を30分間にわたって還流下で加熱し、その後5℃まで冷却し、よく撹拌しながら300mlの水と混合し(強い発熱性!!!)、その後に600mlの水中の64.0g(1600 mmol)の水酸化ナトリウムと混合した(強い発熱性!!!)。有機相を除去し、水相を200mlのジクロロメタンで2回洗浄し、混合有機相を塩化カルシウムで乾燥させ、続いてジクロロメタンを除去した。残存する赤褐色の結晶スラリーを100mlのメタノールで溶解してろ過した。メタノールで洗浄した後、無色からベージュ色の結晶を減圧下で乾燥した。収量は1H NMRによって99.0%を越える純度で47.4g(91.3%)であった。
【0090】
1H NMR (CDCl3): δ [ppm] = 7.58 (ddd, 3JHH = 7.7 Hz, 3JHH = 7.7 Hz, 5JFH = 0.7 Hz, 1H, H-4), 7.53 (dd, 3JHH = 7.7 Hz, 4JHH = 0.7 Hz, 1H, H-3), 7.45 (ddd, 3JHH = 7.7 Hz, 4JHH = 0.7 Hz, 4JFH = 0.9 Hz, 1H, H-5).
19F{1H}NMR (CDCl3): δ [ppm] = -146.2 (s).
例5:2-ブロモ-4-フルオロ-1-(テトラヒドロピラン-2-イルオキシ)ベンゼン
【化34】

【0091】
478.0 ml(5.24 mol)の3,4-ジヒドロピランおよび750 mlのジクロロメタンの混合物を、65.4g(260 mmol)のピリジニウムp-トルエンスルホネートと混合した。続いて、500mlのジクロロメタン中の500.0g(2.62 mmol)の2-ブロモ-4-フルオロフェノールの溶液を、滴下して加えた。24時間にわたって撹拌した後、反応混合液を500mlの水中の50gの炭酸カリウムの溶液と混合し、その後に500mlの飽和塩化ナトリウム溶液と混合した。有機相を除去し、炭酸カリウムで乾燥し、溶剤および炭酸カリウムを除去した後、Vigreuxカラム(40cm)によって分画的に蒸留した(約1 mbar、最高温度79〜82℃)。生成物は、無色の低粘度の油として得られた。収量は1H NMRによって98.0%を越える純度で520.5g(72.2%)であった。
【0092】
1H NMR (CDCl3): δ [ppm] = 7.27 (dd, 3JFH = 8.0 Hz, 4JHH = 3.0 Hz, 1H, H-3), 7.10 (dd, 3JHH = 9.7 Hz, 4JFH = 5.0 Hz, 1H, H-6), 6.93 (ddd, 3JHH = 9.7 Hz, 3JFH = 8.0 Hz, 4JHH = 3.2 Hz, 1H, H-5), 5.39 (m, 1H, CH), 3.88 (m, 1H, CH2O), 3.59 (m, 1H, CH2O), 2.12-1.53 (m, 6H, CH2).
19F{1H} NMR (CDCl3): δ [ppm] = -121.1 (s).
例6:5-フルオロ-2-(テトラヒドロピラン-2-イルオキシ)ベンゼンボロン酸
【化35】

【0093】
1250 mlのTHF中の48.6g(2.00 mol)のマグネシウムおよび510g(1.85 mol)の2-ブロモ-4-フルオロ-1-(テトラヒドロピラン-2-イルオキシ)ベンゼンを、Grignard試薬を調製するために使用した。このGrignard試薬を、500mlのTHF中の241.6 ml(2.00 mol)のトリメチルホウ酸塩の混合液に-78℃でゆっくりと滴下して加えた。添加が完了したら、反応混合液を室温まで暖め、100mlの飽和炭酸カリウム溶液および1000mlの水の添加によって加水分解した。有機相を、飽和塩化ナトリウム溶液(1×500 ml)で洗浄し、続いて乾燥するまで濃縮した。収量は428.2g(1.78 mol)であり、生成物は、ボロン無水物およびボリン酸の変化する性質を含む固形ワックスとして得られ、これをさらなる精製を経ずに次の段階に使用した。
【0094】
例7:トリス(6-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ピリジル)フルオロメタン、(PPL-02)
【化36】

【0095】
例2に類似するスズキカップリングの手順のために、1000mlのTHF中の51.9g(100 mmol)のトリス(2-ブロモ-6-ピリジル)フルオロメタン(例4)、108.0g(450 mmol)の5-フルオロ-2-(テトラヒドロピラン-2-イルオキシ)ベンゼンボロン酸(例6)、57.5g(990 mmol)のフッ化カリウム、1.35g(6 mmol)のパラジウム(II)アセテート、および1.8 ml(8 mmol)のトリ-tert-ブチルホスフィンを使用した。
【0096】
還流下で6時間後、回転式エバポレータで反応混合液からTHFを除去し、スラリー状の残留物を1000mlのメタノールで溶解し、300mlの水および55mlの5N HClの混合液と混合し、続いてさらに3時間にわたって50℃で撹拌した。得られた結晶スラリーを吸引(P3)でろ過、メタノールで洗浄し、乾燥した。メタノールの添加を伴う少量のクロロホルムからの再結晶化は、1H NMRによって99.0%を越える純度を有する53.2g(89.0%)の生成物を無色の結晶の形態で与えた。
【0097】
1H NMR (CDCl3): δ [ppm] = 12.34 (s, 3H, OH), 7.99 (dd, 3JHH = 8.4 Hz, 3JHH = 8.4 Hz, 3H, H-4-Py), 7.86 (d, 3JHH = 8.4 Hz, 3H, H-5-Py), 7.79 (d, 3JHH = 8.4 Hz, 3H, H-3-Py), 7.45 (dd, 3JHH = 9.4 Hz, 4JFH = 3.0 Hz, 3H, H-3), 6.95 (ddd, 3JHH = 9.4 Hz, 3JFH = 8.0 Hz, 4JHH = 3.0 Hz, 3H, H-4), 6.76 (dd, 3JFH = 9.0 Hz, 4JHH = 3.0 Hz, 3H, H-6).
19F{1H}NMR (CDCl3): δ [ppm] = -144.9 (s, 1F), -125.9 (s, 3F).
例8:2-ブロモ-5-フルオロ-1-(テトラヒドロピラン-2-イルオキシ)ベンゼン
【化37】

【0098】
例5に類似する手順。478.0 ml(5.24 mol)の3,4-ジヒドロピラン、65.4g(260 mmol)のピリジニウムp-トルエンスルホネート、および500.0g(2.62 mmol)の2-ブロモ-5-フルオロフェノールの使用。収量は1H NMRによって98.0%を越える純度で562.2g(78.0%)であった。
【0099】
1H NMR (CDCl3): δ [ppm] = 7.45 (dd, 3JHH = 9.1 Hz, 4JFH = 6.4 Hz, 1H, H-3), 6.92 (dd, 3JFH = 10.7 Hz, 4JFH = 2.7 Hz, 1H, H-6), 6.60 (ddd, 3JHH = 9.1 Hz, 3JFH = 8.7 Hz, 4JHH = 2.7 Hz, 1H, H-4), 5.46 (m, 1H, CH), 3.84 (m, 1H, CH2O), 3.62 (m, 1H, CH2O), 2.14-1.56 (m, 6H, CH2).
19F{1H} NMR (CDCl3): δ [ppm] = -112.7 (s).
例9:4-フルオロ-2-(テトラヒドロピラン-2-イルオキシ)ベンゼンボロン酸
【化38】

【0100】
例6に類似する手順。48.6g(2.00 mol)のマグネシウム、510g(1.85 mol)の2-ブロモ-5-フルオロ-1-(テトラヒドロピラン-2-イルオキシ)ベンゼン、および241.6 ml(2.00 mol)のトリメチルホウ酸塩の使用。収量は434.5g(1.81 mol)であり、生成物は、ボロン無水物およびボリン酸の変化する性質を含む固形ワックスとして得られ、これをさらなる精製を経ずに次の段階に使用した。
【0101】
例10:トリス(6-(4-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ピリジル)フルオロメタン、(PPL-03)
【化39】

【0102】
例7に類似する手順。51.9g(100 mmol)のトリス(2-ブロモ-6-ピリジル)フルオロメタン(例4)、108.0g(450ml)の4-フルオロ-2-(テトラヒドロピラン-2-イルオキシ)ベンゼンボロン酸(例9)、57.5g(990 mmol)のフッ化カリウム、1.35g(6 mmol)のパラジウム(II)アセテート、および1.8 ml(8 mmol)のトリ-tert-ブチルホスフィンの使用。収量は1H NMRによって99.0%を越える純度を有する無色結晶の形態の56.9g(95.5%)の生成物であった。
【0103】
1H NMR (CDCl3): δ[ppm] = 13.01 (s, 3H, OH), 7.96 (dd, 3JHH = 8.2 Hz, 3JHH = 8.2 Hz, 3H, H-4-Py), 7.86 (d, 3JHH = 8.2 Hz, 3H, H-5-Py), 7.75 (dd, 3JHH = 9.4Hz, 4JFH = 6.4 Hz, 3H, H-6), 7.52 (d, 3JHH = 8.2 Hz, 3H, H-3-Py), 6.59 (ddd, 3JHH = 9.4Hz, 3JFH = 8.0 Hz, 4JHH = 2.7 Hz, 3H, H-5), 6.51 (dd, 3JFH = 10.7 Hz, 4JHH = 2.7 Hz, 3H, H-3).
19F{1H} NMR (CDCl3): δ [ppm] = -144.7 (s, 1F), -108.6 (s, 3F).
例11:モノ[トリス(6-(2-オキシフェニル)-2-ピリジル)ホスフィンオキシド]アルミニウム(III);Al-PPL-01
【化40】

【0104】
100mlのトルエン中の5.58g(10 mmol)のトリス(6-(2-ヒドロキシフェニル)-2-ピリジル)ホスフィン酸化物(例3)の溶液を、50mlのトルエン中の2.04g(10 mmol)のトリス(イソプロパノレート)アルミニウム(III)の溶液と80℃で30分間にわたって混合した。反応混合液を還流下でさらに3時間にわたって加熱した。室温まで冷却した後、無色の沈殿物を吸引ろ過し、トルエンで洗浄し(1×25 ml)、乾燥した。DMSOからの繰り返しの再結晶化が、HPLCによって99.8%の純度で5.03g(86.5%)の錯体を与えた。
【0105】
MS(FAB):m/e = 582.
例12:モノ[トリス(6-(2-オキシフェニル)-2-ピリジル)ホスフィンオキシド]ランタン(III);La-PPL-01
【化41】

【0106】
100mlのトルエン中の5.58g(10 mmol)のトリス(6-(2-ヒドロキシフェニル)-2-ピリジル)ホスフィン酸化物(例3)の溶液を、2-メトキシエタノール中のトリス(2-メトキシエタノレート)ランタン(III)の36.4 ml(10 mmol)の10重量%溶液と80℃で30分間にわたって混合した。反応混合液を還流下でさらに3時間にわたって加熱した。室温まで冷却した後、無色の沈殿物を吸引ろ過し、トルエンで洗浄し(1×25 ml)、乾燥した。DMSOからの繰り返しの再結晶化が、HPLCによって99.8%の純度で5.68g(81.7%)の錯体を与えた。
【0107】
MS(FAB):m/e = 693.
例13:モノ[トリス(6-(5-フルオロ-2-オキシフェニル)-2-ピリジル)フルオロメタナト]アルミニウム(III); Al-PPL-02
【化42】

【0108】
200 mlのTHF中の5.96g(10 mmol)のトリス(6-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ピリジル)フルオロメタン(例7)の溶液を、最初に19.4 ml(240 mmol)のピリジンと混合し、次にエタノール中の20 mlの0.5 N塩化アルミニウム溶液を室温で30分間にわたって滴下した。反応混合液を還流下でさらに3時間にわたって加熱した。室温まで冷却した後、無色の沈殿物を吸引ろ過し、THF(3×50 ml)およびエタノール(3×50 ml)で洗浄し、乾燥した。DMSO(200 ml)からの繰り返しの再結晶化が、1H NMRによって99.9%の純度で5.59g(90.3%)の黄白色の錯体を与えた。
【0109】
1H NMR (DMSO-d6): δ[ppm] = 8.23 (dd, 3JHH = 8.0 Hz, 3JHH = 8.0 Hz, 3H, H-4-Py), 8.17 (d, 3JHH = 8.0 Hz, 3H, H-5-Py), 7.99 (dd, 3JHH = 8.0 Hz, 4JFH = 3.4 Hz, 3H, H-3-Py), 7.69 (dd, 3JHH = 9.0 Hz, 4JFH = 3.0 Hz, 3H, H-3), 7.03 (ddd, 3JHH = 9.0 Hz, 3JFH = 9.0 Hz, 4JHH = 3.4 Hz, 3H, H-4), 6.19 (dd, 3JFH = 9.0 Hz, 4JHH = 3.4 Hz, 3H, H-6).
19F{1H} NMR (DMSO-d6): δ [ppm] = -177.5 (s, 1F), -128.6 (s, 3F).
Tg: 178℃.
例14:モノ[トリス(6-(5-フルオロ-2-オキシフェニル)-2-ピリジル)フルオロメタナト]鉄(III); Fe-PPL2
【化43】

【0110】
例13に類似する手順。エタノール中の5.96g(10 mmol)のトリス(6-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ピリジル)フルオロメタン(例10)および20mlの0.5N塩化鉄(III)・6H2O溶液の使用。100mlのエタノールの添加を伴うDMSO(200 ml)からの繰り返しの再結晶化が、120℃まで溶液を冷却した後に、5.39g(83.1%)の黒色錯体を与えた。
【0111】
MS(FAB): m/e = 648.
例15:モノ[トリス(6-(4-フルオロ-2-オキシフェニル)-2-ピリジル)フルオロメタナト]アルミニウム(III); Al-PPL3
【化44】

【0112】
例13に類似する手順。エタノール中の5.96g(10 mmol)のトリス(6-(4-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ピリジル)フルオロメタン(例10)および20 mlの0.5 Nの塩化アルミニウム溶液の使用。DMSO(200 ml)からの繰り返しの再結晶化が、1H NMRによって99.9%の純度で5.32g(86.0%)の黄白色錯体を与えた。
【0113】
1H NMR (DMSO-d6): δ [ppm] = 8.24 (dd, 3JHH = 8.0 Hz, 3JHH = 8.0 Hz, 3H, H-4-Py), 8.15 (d, 3JHH = 8.0 Hz, 3H, H-5-Py), 7.97 (dd, 3JHH = 8.0 Hz, 4JFH = 3.4 Hz, 3H, H-3-Py), 7.92 (dd, 3JHH = 9.0 Hz, 4JFH = 7.0 Hz, 3H, H-6), 6.53 (ddd, 3JHH = 8.7 Hz, 3JFH = 8.7 Hz, 4JHH = 2.7 Hz, 3H, H-5), 5.92 (dd, 3JFH = 11.4 Hz, 4JHH = 2.7 Hz, 3H, H-3).
19F{1H} NMR (DMSO-d6): δ [ppm] = -178.4 (s, 1F), -109.5 (s, 3F).
Tg: 197℃.
加水分解安定性についての比較実験
例16:
比較実験において、例13による、多座配位のアルミニウム錯体であるモノ[トリス(6-(5-フルオロ-2-オキシフェニル)-2-ピリジル)フルオロメタナト]-アルミニウム(III)(Al-PPL-2)の加水分解安定性を、構造的に類似しているが多座配位の変異体であるトリス[5-フルオロ-2-オキシフェニル)-2-ピリジラト]アルミニウム(III)(OLED材料として出願JP 09176629 A2に記載)と比較した。このために、乾燥DMSO-d6中で両錯体の10 mmolar溶液を不活性ガス雰囲気下で調製した。この溶液を、1H NMRおよび19F NMR分光法によって特徴づけた。続いて、これらの溶液を、室温で1000 molar量の水と混合し、10分間にわたって静置した後、1H NMRおよび19F NMR分光法によって特徴づけた。例13に記載の多座配位のアルミニウム錯体であるモノ[トリス(6-(5-フルオロ-2-オキシフェニル)-2-ピリジル)フルオロメタナト]アルミニウム(III)(Al-PPL-2)の場合では、NMRにおける少しの変化も検出されなかった。対照的に、非多座配位のトリス(5-フルオロ-2-オキシフェニル)-2-ピリジラト)アルミニウム(III)の場合では、非配位の配位子のプロトンおよびフッ素シグナルの出現によって認識可能な、錯体の完全な分解が観察された。上述した加水分解混合物を180℃で5時間にわたって加熱した後でさえ、例13に記載の多座配位のアルミニウム錯体Al-PPL-2の分解のシグナルを検出することができなかった。この比較実験は、本発明の多座配位の錯体の優れた加水分解安定性をはっきりと実証している。
【0114】
本発明の化合物を含む有機エレクトロルミネセンスデバイスの製造および特性
個々の状況(例えば、効率および色を最適化するための層厚の変化)に最適化された一般的プロセスによってOLEDを製造する。本発明のエレクトロルミネセンスデバイスを、例えばDE 10330761.3または DE 10261545.4に記載された通りに製造することができる。
【0115】
例17:デバイス構造
以下の例は、リン光エミッタおよび蛍光エミッタの両方を伴う様々なOLEDの結果を示す。この中で本発明の化合物を、第一の場合においてホール遮断材料として使用し、比較材料としてBCPおよびBAlqを使用した(表1を参照)。第二の場合において本発明の化合物を電子輸送材料として使用し、AlQ3を対応する比較材料として使用した(表2を参照)。使用された基本的構造、材料および層厚(HBLとは別)は、より良い比較のために同一とした。
【0116】
上述した一般的プロセスによって、以下の構造を有するリン光OLEDを得た:
PEDOT(HIL) 60nm(水からのスピンコート; H.C. StarckからBaytron Pとして購入;ポリ(3,4-エチレンジオキシ-2,5-チオフェン))
NaphDATA(HTL) 20nm(蒸着によって塗布;SynTec から購入;4,4',4”-トリス(N-1-ナフチル-N-フェニルアミノ)トリフェニルアミン)
S-TAD(HTL) 20nm(蒸着によって塗布;WO 99/12888に従って調製;2,2',7,7'-テトラキス(ジフェニルアミノ)スピロビフルオレン)
(EML) 材料および層の厚み:表1または2を参照
(HBL) 材料および層の厚み(存在する場合):表1を参照
(ETL) 材料および層の厚み:表1または2を参照
Ba-Al(カソード) その上に3nmのBa、150nmのAl。
【0117】
未だ最適化されていないこれらのOLEDを標準的手法において特徴づけた;この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、効率(cd/Aで測定)、電力効率(lm/Wで測定)を、輝度および寿命の関数として決定した。寿命を、OLEDの開始輝度が10mA/cm2の一定の電流密度で半分まで低下した時点と定義した。
【0118】
表1は、CBP(4,4'-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル)中で10%の程度までドープされたリン光発光Ir(PPY)3の使用、およびホール遮断材料として例13に記載の錯体Al-PPL2の使用を含む本発明のOLEDの結果、ならびに比較例(BAlqを含む)を編集している。表1は、ホール遮断層および電子輸送層(組成物および層の厚み)だけを示している。使用された電子輸送材料は、SynTecから購入したAlQ3(トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(III))であった。他の層は上述した構造に対応している。
【0119】
表2は、蛍光エミッタの使用、および電子輸送材料として例13に記載の錯体Al-PPL2の使用を含む本発明のOLEDの結果、ならびに幾つかの比較例(電子輸送材料AlQ3を含む)を編集している。表2は、エミッタ層および電子輸送層(組成物および層の厚み)だけを示している。他の層は上述した構造に対応している。
【0120】
上記および表1および2に使用した略語は、以下の化合物に対応している:
【化45】

【表1】

【0121】
表1は、ホール遮断材料としてリン光OLED中のAl-PPL2の使用が、BAlqと比較したOLEDの効率、特に電力効率を明確に増加させ、典型的には電力効率の倍加が観察されたことを示している。同時に、寿命も明確に向上した。この例は、電子輸送層さえも省くことができ、デバイス構造の明確な単純化を構成することを示す。
【0122】
電子輸送材料として蛍光OLED中のAl-PPL2の使用の場合において、効率、電力効率および寿命が同様に表2からわかるようにはっきりと向上した。
【0123】
要約すると、表1および2に挙げられた例から容易にわかるように、ホール遮蔽材料または電子輸送材料としてAl-PPL2のような本発明の化合物を含むリン光および蛍光OLEDが、高い効率と同時に長い寿命と低い作動電圧を有する状態となり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式1の化合物であって、
【化1】

構造式2の多座配位の配位子Ligが配位した少なくとも一つの金属Metを含み、
【化2】

(ここで、Vは架橋単位である)
前記配位子は、1〜80の原子および三つの配位子部分L1、L2およびL3を含み、これらは各場合に同一または異なってよく、且つ相互に共有結合されており、また該三つの配位子部分L1、L2およびL3は構造式3を満たし、
【化3】

ここで、Cy1およびCy2は各場合に同一または異なり、置換もしくは非置換で、飽和、不飽和もしくは芳香族のホモ環もしくはヘテロ環、または融合系のホモ環部分もしくはヘテロ環部分に対応し、それぞれが環原子もしくは前記ホモ環もしくはヘテロ環に外部的に結合した原子を介して前記金属にイオン的、共有結合的もしくは配位結合的に結合されている化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、それらが非帯電性、即ち外部的には電気的に中性であることを特徴とする化合物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物であって、L1=L2=L3であることを特徴とする化合物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の化合物であって、L1≠L2であることを特徴とする化合物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の化合物であって、連結ユニットVは、連結原子として、主要な3、4もしくは5族の元素または3〜6員のホモ環もしくはヘテロ環を含むことを特徴とする化合物。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の化合物であって、構造式4の前記多座配位の配位子Ligが、金属Met上で面配位形態を生じることを特徴とする化合物:
【化4】

【請求項7】
請求項1〜5の何れか1項に記載の化合物であって、構造式5の前記多座配位の配位子Ligが、金属Met上で経線配位形態を生じることを特徴とする化合物。
【化5】

【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の金属錯体であって、下記の化合物(1)から(8)から選択される金属錯体:
【化6】

ここでの記号および添え字は次のように定義される:
Mは、 Al、Ga、In、Tt、P、As、Sb、Bi、Sc、Y、La、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Cu、Au、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luであり;
Lは、 それぞれの場合に同じかまたは異なって、C、N、Pであり;
Qは、 それぞれの場合に同じかまたは異なって、O、S、Se、Te、Nであり;
Tは、 それぞれの場合に同じかまたは異なって、N、P、Cであり;
Xは、 それぞれの場合に同じかまたは異なって、CR、N、Pであり;
Yは、 それぞれの場合に同じかまたは異なって、NR1、O、S、Se、Te、SO、SeO、TeO、SO2、SeO2、TeO2であり;
Zは、 B、BR、B(CR2)3、B(CR2CR2)3、CR、COH、COR1、CF、CCl、CBr、C-I、CNR12、RC(CR2)3、RC(CR2CR2)3、RC(SiR2)3、RC(SiR2CR2)3、RC(CR2SiR2)3、RC(SiR2SiR2)3、cis,cis-1,3,5-シクロヘキシル、1,3,5-(CR2)3C6H3、SiR、SiOH、SiOR1、RSi(CR2)3、RSi(CR2CR2)3、RSi(SiR2)3、RSi(SiR2CR2)3、RSi(CR2SiR2)3、RSi(SiR2SiR2)3、N、N(CR2)3、N(C=O)3、N(CR2CR2)3、NO、P、As、Sb、Bi、PO、AsO、SbO、BiO、PSe、AsSE、SbSe、BiSe、PTe、AsTe、SbTe、BiTeであり;
Rは、 それぞれの場合に同じかまたは異なって、H、F、Cl、Br、I、NO2、CN、1〜20の炭素原子を有し、1以上の非隣接CH2基が-R1C=CR1-、-C≡C-、Si(R1)2、Ge(R1)2、Sn(R1)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR1、-O-、-S-、-NR1-または-CONR1-で置換されてもよく、且つ1以上の水素原子がFで置換されてもよい直鎖もしくは分岐鎖または環状のアルキルもしくはアルコキシ基、または1〜14の炭素原子を有し且つ1以上の非芳香族R基で置換されてもよいアリールもしくはヘテロアリール基であり、同一もしくは二つの異なる環上にある複数の該置換基Rが一緒になって、更なる単環もしくは多環の脂環式系もしくは芳香族環系を形成してもよく;
R1は、 それぞれの場合に同じかまたは異なって、1〜20の炭素原子を有する脂肪族もしくは芳香族の炭化水素基であり;
Cは、 それぞれの場合に同じかまたは異なって、0または1である。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか1項に記載の金属錯体であって、下記の化合物(9)〜(12)から選択される金属錯体:
【化7】

ここでの記号および添え字M、L、Q、T、X、Y、Z、R、R1 およびcは、それぞれ請求項1に定義した通りであり、またnは1もしくは2である。
【請求項10】
請求項1〜7の何れか1項に記載の金属錯体であって、下記の化合物(13)〜(30)から選択される金属錯体:
【化8】

【化9】

ここでの記号および添え字M、L、Q、T、X、Y、Z、R、R1 、cおよびnは、それぞれ請求項8および9に定義した通りである。
【請求項11】
請求項1〜7の何れか1項に記載の金属錯体であって、下記の化合物(31)〜(41)から選択される金属錯体:
【化10】

ここでの記号および添え字M、L、Q、T、X、Y、Z、R、R1 、cおよびnは、それぞれ請求項8および9に定義した通りである。
【請求項12】
下記の化合物(42)〜(82):
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

ここでの記号および添え字L、Q、T、X、Y、Z、R、R1 、cおよびnは、それぞれ請求項8および9に定義した通りである。
【請求項13】
請求項8〜11の何れか1項に記載の化合物であって、記号M=Al、Ga、In、Sc、Y、La、Ru、Os、Rh、Ir、またはAuであることを特徴とする化合物。
【請求項14】
請求項8〜12の何れか1項に記載の化合物であって、記号L=C、またはNであることを特徴とする化合物。
【請求項15】
請求項8〜12の何れか1項に記載の化合物であって、記号Q=OまたはSであることを特徴とする化合物。
【請求項16】
請求項8〜12の何れか1項に記載の化合物であって、記号T=Nであることを特徴とする化合物。
【請求項17】
請求項8〜12の何れか1項に記載の化合物であって、記号X=CR、またはNであることを特徴とする化合物。
【請求項18】
請求項8〜12の何れか1項に記載の化合物であって、記号Z=B、CH、CR1、COR1、CF、CCl、CBr、SiR、N、P、PO、RC(CR2)3、RC(CR2CR2)3、cis,cis-1,3,5-シクロヘキシル、RSi(CR2)3、RSi(CR2CR2)3、N(CR2)3、N(C=O)3、N(CR2CR2)3であることを特徴とする化合物。
【請求項19】
請求項8〜12の何れか1項に記載の化合物であって、記号Y=OまたはSであることを特徴とする化合物。
【請求項20】
請求項8〜12の何れか1項に記載の化合物であって、記号R=H、F、Cl、Br、I、CN、1〜6の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖または環状のアルキルもしくはアルコキシ基、または3〜8の炭素原子を有し且つ1以上の非芳香族R基で置換されてよいアリールもしくはヘテロアリール基であり、同一もしくは二つの異なる環上にある複数の置換基Rが一緒になって、更なる単環もしくは多環の脂環式系もしくは芳香族環系を形成してもよいことを特徴とする化合物。
【請求項21】
請求項8〜12の何れか1項に記載の化合物であって、任意に前記置換基Rによって形成される多環系が、ベンゼン、1-もしくは2-ナフタレン、1-, 2-もしくは9-アントラセン、2-, 3-もしくは4-ピリジン、2-, 4-もしくは5-ピリミジン、2-ピラジン、 3-もしくは4-ピリダジン、2-, 3-, 4-, 5-, 6-, 7-もしくは8-キノリン、2-もしくは3-ピロール、3-, 4-もしくは5-ピラゾール、2-, 4-もしくは5-イミダゾール、2-もしくは3-チオフェン、2-もしくは3-セレノフェン、2-もしくは3-フラン、2-(1,3,4-オキサジアゾール)、インドール、またはカルバゾールに対応することを特徴とする化合物。
【請求項22】
請求項8〜11の何れか1項に記載の化合物を調製するための方法であって、請求項12に記載の化合物(42)〜(82)を、式(83)の金属アルコキシド、式(84)の金属ケトケトネート(ketoketonates)、または式(85)の金属ハロゲン化物と反応させる方法。
【化16】

ここでの記号R1は請求項8に定義した通りであり、Hal=F, Cl, Br, Iである。
【請求項23】
請求項1〜11および13〜21の何れか1項に記載の化合物であって、これらの純度(1H NMRおよび/またはHPLCによって決定された)が99%を上回ることを特徴とする化合物。
【請求項24】
請求項1〜11および13〜21の何れか1項に記載の構造式(1)または式(1)〜(41)の一以上の化合物を含む共役系、半共役系または非共役系ポリマーまたはデンドリマー。
【請求項25】
請求項8に定義した一以上のR基が結合している、請求項24に記載の共役系、半共役系または非共役系ポリマーまたはデンドリマー。
【請求項26】
請求項24または25に記載のポリマーであって、前記ポリマーが、ポリフルオレン、ポリ−スピロ−ビフルオレン、ポリ−パラ−フェニレン、ポリカルバゾール、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェニル、または本明細書中で特定された複数の単位を有するコポリマーの群から選択されることを特徴とするポリマー。
【請求項27】
前記ポリマーが、有機溶剤に可溶性であることを特徴とする請求項24〜26の何れか1項に記載のポリマー。
【請求項28】
請求項1〜11および13〜21の何れか1項に記載の化合物または請求項24〜27の何れか1項に記載のポリマーまたはデンドリマーの電子部品における使用。
【請求項29】
請求項1〜11および13〜21の何れか1項に記載の少なくとも1つの化合物または請求項24〜27の何れか1項に記載のポリマーまたはデンドリマーを含む電子部品。
【請求項30】
請求項29に記載の電子部品であって、該電子部品が、有機発光ダイオード(OLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機太陽電池(O-SC)または有機レーザーダイオード(O-レーザー)であることを特徴とする電子部品。

【公表番号】特表2007−524585(P2007−524585A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504599(P2006−504599)
【出願日】平成16年3月9日(2004.3.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002393
【国際公開番号】WO2004/081017
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】