説明

金属錯体

本発明は、式(1)の金属錯体と、有機エレクトロルミネセンス素子におけるその使用と、これらの金属錯体を含む有機エレクトロルミネセンス素子とに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
有機半導体が機能材料として用いられる有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)の構成は、たとえば、US4539507、US5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。近年、用いられる発光材料はますます、蛍光の代わりに燐光を示す有機金属錯体になっている(M. A. Baldo et al., Appl. Phys. Lett. 1999, 75, 4−6)。量子力学的な理由により、有機金属化合物を燐光エミッタとして使用すると、エネルギーおよび出力効率を4倍まで増加させることが可能である。しかし、一般に、三重項発光を示すOLEDの改良は未だに必要とされている。たとえば、燐光を発するOLEDの物理的性質は、効率、動作電圧および寿命の点で、三重項エミッタを高品質および長命の電界発光デバイスにおいて使用するには未だに不十分である。これは、比較的短い波長領域で発光を示す、すなわち緑色発光および特に青色発光を示すOLEDに特に当てはまる。したがって、産業利用のための技術的要件を満たす青色発光三重項エミッタは今まで知られていない。
【0002】
従来技術によると、燐光発光OLEDで用いられる三重項エミッタは、特に、イリジウム錯体である。これらのOLEDの改良は、多座配位子またはクリプテートを有し、その結果としてより高い熱安定性を有する金属錯体を用いて、OLEDの寿命をより長くすることによって達成されてきた(WO04/081017、WO05/113563、WO06/008069)。しかし、これらの錯体は、青色発光、特に飽和した深い青色の発光に適していない。
【0003】
したがって、本発明の目的はエミッタとして適したもしくはマトリックス材料としても適した、またはOLEDで使用するための他の機能において適した新規な金属錯体を提供することにある。特に、この目的は青色燐光発光OLEDに適したエミッタおよびマトリックス材料を提供することにある。
【0004】
驚くべきことに、以下でより詳細に説明するある種の金属キレート錯体は、この目的を達成し、特に寿命、効率および熱に対する安定性の点で、有機エレクトロルミネセンス素子の著しい進歩をもたらすことがわかった。これは、特に、青色燐光電界発光デバイスに適用される。したがって、本発明はこれらの金属錯体とこれらの錯体を含む有機エレクトロルミネセンス素子とに関する。
【0005】
したがって、本発明は式(1)の化合物であって、
【化1】

【0006】
式(2)の配位子Lに配位した金属Mを含み、
【化2】

【0007】
使用した記号および添字に下記が適用される化合物に関する。
【0008】
Vは、配位子部分L1、L2およびL3を互いに共有結合する、第3、第4、第5および/または第6主族からの1個ないし80個の原子を含む架橋ユニットであり;
aは0または1であり、a=0である場合、前記架橋ユニットVは存在せず;
L1は式(3)の配位子部分であり、
【化3】

【0009】
L2、L3は、出現する毎に同一であるかまたは異なり、各々式(3)、式(4)または式(5)の配位子部分であり、
【化4】

【0010】
Cy1、Cy2は、出現する毎に同一であるかまたは異なり、置換されたまたは未置換の環状基であり、各々は少なくとも1個のドナー原子もしくはC原子を該環内に含むか、または環外ドナー原子を含みこれを介して該環状基が金属Mに結合されており;式(3)における基Cy1およびCy2は基Zを介して互いに結合しており、これらは更に置換基を介して互いにリンクしていてもよく;式(4)における基Cy1およびCy2は単結合を介して互いに結合しており、これらは更に置換基を介して互いにリンクしていてもよく;
Zは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、第3、第4、第5または第6主族からの置換されたまたは未置換の原子であって、前記環Cy1とCy2とを架橋しており;
D1、D2は、出現する毎に同一であるかまたは異なり、少なくとも1個のドナー原子を含む化学基を表している。
【0011】
本発明の目的のために、配位子部分は、式(2)の配位子における基L1、L2およびL3、すなわち各例において金属に配位し架橋ヘッドVを介してリンクした、各例における多座配位子またはクリプタンド架橋のそれぞれのアームを意味していると解釈される。
【0012】
本発明の目的のために、ドナー原子は、少なくとも1つの自由電子対を有し、したがって金属原子または金属イオンに結合することができる原子を意味していると解釈される。ドナー原子はここでは中性でもよいし負に荷電していてもよい。
【0013】
本発明の目的のために、環外ドナー原子は、環状基Cy1またはCy2の一部ではないが、代わりに置換基としてCy1またはCy2に結合しており、少なくとも1つの自由電子対を有し、したがって金属原子に結合することができるドナー原子を意味していると解釈される。環外ドナー原子の例は、フェノラートの形態にある酸素、チオラートの形態にある硫黄、またはアミン、イミン、アミドもしくはイミドの形態にある窒素である。
【0014】
直接結合に加えて、基Cy1およびCy2が更に置換基を介して互いにリンクしている場合、このリンクは脂肪族性でもよいし不飽和でもよい。不飽和リンクは、たとえば、−CR=CR−架橋でもよい。
【0015】
式(1)の金属錯体は、架橋ユニットVが1つ存在している(すなわちa=0)かまたは架橋ユニットVが2つ存在している(すなわちa=1)かに関わらず、多座配位子またはクリプテートの錯体であり得る。本発明の目的のために、多座配位子は、3つの配位アーム(配位子部分)L1、L2およびL3が基Vを介して互いに結合している配位子を意味していると解釈される。本発明の目的のために、クリプテートは、クリプタンドと金属イオンとの間の化合物であって、金属イオンが錯体形成クリプタンドのブリッジによって三次元的に囲まれている化合物を意味すると解釈される。本発明の目的のために、クリプタンドは、大多環式配位子であり、特に2つの橋頭原子または橋頭基Vが各々金属原子に配位することができる3つのブリッジ(配位子部分)L1、L2およびL3によって接続されている配位子を意味すると解釈される。
【0016】
環状基Cy1およびCy2は、単素環でも複素環でもよく、飽和でも不飽和でもよく、芳香族でも複素芳香族でもよい。これらの基は好ましくは芳香族または複素芳香族または環状の、飽和または不飽和のカルベンである。
【0017】
本発明に係る式(1)の化合物は、電荷を持っていない、すなわち電気的に中性であることを特徴とすることが好ましい。これは、配位子部分L1、L2およびL3の電荷と、架橋ユニットVの電荷とを、それらが錯化された金属イオンの電荷を補償するように選択するという簡単な方法で達成される。
【0018】
本発明に係る式(1)の化合物は、金属原子の周りにある価電子の合計が18であることを特徴とすることが更に好ましい。この好ましい形態はこれらの金属錯体の特有の安定性に因る(たとえば、Elschenbroich, Salzer, Organometallchemie [Organometallic Chemistry], Teubner Studienbuecher, Stuttgart 1993年を参照のこと)。
【0019】
本発明に係る式(1)の化合物は、Cy1がCy2と同じでないことを特徴とすることが更に好ましい。この場合、2つの環のうち一方が炭素原子が形式的に負電荷を有している金属−炭素結合を介して、または形式的に負電荷を有している環外ドナー原子、好ましくは酸素、硫黄もしくは窒素を介して結合しており、他方がカルベンの形態にある炭素である中性ドナー原子または炭素とは同じではなく前記環の一部かまたは環外の置換基であり得る中性ドナー原子を介して結合していることが好ましい。炭素とは同じでない好ましい中性ドナー原子は窒素またはリン、特に窒素である。配位する原子の形式的な負電荷は、この配位子が金属イオンを配位していないと仮定した場合にこれが負電荷を持つことを意味していると解釈される。
【0020】
本発明に係る式(1)の化合物は、架橋ユニットVが第3、第4、第5および/または第6主族(IUPACに従う13、14、15または16族)からの1個ないし80個の原子または3員もしくは6員の単素環もしくは複素環を含んでいることを特徴とすることが好ましい。
【0021】
これらは架橋ユニットの骨格を形成する。また、ここで架橋ユニットVは非対称構造を有していてもよく、すなわちVからL1、L2およびL3へのリンクは同じである必要はない。架橋ユニットVは、中性でもよいし、1価、2価もしくは3価で負に荷電していてもよいし、または1価、2価もしくは3価で正に荷電していてもよい。Vは好ましくは中性、または1価で負に荷電している、または1価で正に荷電している。Vの電荷は、ここでは、好ましくは中性錯体が生じるように選択される。したがって、たとえば、3価の金属イオンM3+と1価で負に荷電している3つの配位子部分L1、L2およびL3とが必要とされる場合、1つまたは2つの中性架橋ユニットVが好ましい。更に、4価の金属イオンM4+と1価で負に荷電している3つの配位子部分L1、L2およびL3とが必要とされる場合、1価で負に荷電している1つの架橋ユニットVと任意に更なる中性ユニットVとが好ましい。更に、5価の金属イオンM5+と1価で負に荷電している3つの配位子部分L1、L2およびL3とが必要とされる場合、1価で負に荷電している2つの架橋ユニットVが好ましい。更に、2価の金属イオンM2+と1価で負に荷電している3つの配位子部分L1、L2およびL3とが必要とされる場合、1価で正に荷電している1つの架橋ユニットVと任意に更なる中性ユニットVとが好ましい。更に、1価の金属イオンM+と1価で負に荷電している3つの配位子部分L1、L2およびL3とが必要とされる場合、1価で正に荷電している2つの架橋ユニットVが好ましい。
【0022】
本発明に係る式(1)の化合物は、配位子Lが式(6)ないし式(10)の構造を有し、使用した記号および添字が上で述べた意味を持つことを特徴とすることが好ましい。
【化5】

【0023】
本発明に係る式(1)の化合物は、L2およびL3が、出現する毎に同一であるかまたは異なり、L1、すなわち式(6)の配位子Lを含む化合物であることを特徴とすることが特に好ましい。
【0024】
更に、その配位子部分L1に、式(11)の金属および架橋ユニットVとともに下記が適用される式(1)の金属錯体が好ましい。
【化6】

【0025】
Mは遷移金属またはアルミニウム、ガリウム、インジウム、スズもしくは鉛であり;
Cy1、Cy2は、出現する毎に同一であるかまたは異なり、5個ないし30個の芳香族環原子を有し、1個以上の基Rで置換されていてもよいアリール基もしくはヘテロアリール基、または環式の飽和のもしくは好ましくは不飽和のカルベンであり;ここで2つの基の一方Cy1またはCy2は、形式的に負に荷電した炭素を介して、または形式的に負に荷電した環外ドナー原子を介して前記金属に結合しており、2つの基Cy1およびCy2の他方は、該基Cy1またはCy2の一部であって、窒素、リンおよびカルベンの形態にある炭素から選択される中性ドナー原子を介して結合しており;
Vは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、B、BR-、B(CR23、RB(CR23-、B(O)3、RB(O)3-、B(CR2CR23、RB(CR2CR23-、B(CR2O)3、RB(CR2O)3-、B(OCR23、RB(OCR23-、Al(O)3、RAl(O)3-、Al(OCR23、RAl(OCR23-、CR、CO-、CN(R12、RC(CR23、RC(O)3、RC(CR2CR23、RC(CR2O)3、RC(OCR23、RC(SiR23、RC(SiR2CR23、RC(CR2SiR23、RC(SiR2SiR23、SiR、RSi(CR23、RSi(O)3、RSi(CR2CR23、RSi(OCR23、RSi(CR2O)3、RSi(SiR23、RSi(SiR2CR23、RSi(CR2SiR23、RSi(SiR2SiR23、N、NO、NR+、N(CR23、RN(CR23+、N(C=O)3、N(CR2CR23、RN(CR2CR2+、P、RR+、PO、PS、PSe、PTe、P(O)3、PO(O)3、P(OCR23、PO(OCR23、P(CR23、PR(CR23+、PO(CR23、P(CR2CR23、PR(CR2CR23+、PO(CR2CR23、As、AsR+、AsO、AsS、AsSe、AsTe、As(O)3、AsO(O)3、As(OCR23、AsO(OCR23、As(CR23、AsR(CR23+、AsO(CR23、As(CR2CR23、AsR(CR2CR23+、AsO(CR2CR23、Sb、SbR+、SbO、SbS、SbSe、SbTe、Sb(O)3、SbO(O)3、Sb(OCR23、SbO(OCR23、Sb(CR23、SbR(CR23+、SbO(CR23、Sb(CR2CR23、SbR(CR2CR23+、SbO(CR2CR23、Bi、BiR+、BiO、BiS、BiSe、BiTe、Bi(O)3、BiO(O)3、Bi(OCR23、BiO(OCR23、Bi(CR23、BiR(CR23+、BiO(CR23、Bi(CR2CR23、BiR(CR2CR23+、BiO(CR2CR23、S+、S(CR23+、S(CR2CR23+、Se+、Se(CR23+、Se(CR2CR23+、Te+、Te(CR23+、Te(CR2CR23+、1位、2位および3位を介してリンクしたシクロプロパン、1位、2位および3位を介してリンクしたアジリジン、もしくは対応する非対称の類似化合物;または、式(12)、(13)もしくは(14)のユニットであり、
【化7】

【0026】
ここで、UはN、P、P(=O)、CRまたはSiRを表しており、破線の結合は各々配位子部分への結合を示しており;
Zは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、O、S、S(=O)、S(=O)2、NR、PR、P(=O)R、P(=NR)、CR2、C(=O)、C(=NR)、C(=CR2)、SiR2またはBRであり;
Rは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R12、CN、NO2、Si(R13、B(OR12、C(=O)R1、P(=O)(R12、S(=O)R1、S(=O)21、OSO21、1個ないし40個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または3個ないし40個のC原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらの各々は1個以上の基R1によって置換されていてもよく、ここで1個以上の非隣接のCH2基はR1C=CR1、C≡C、Si(R12、Ge(R12、Sn(R12、C=O、C=S、C=Se、C=NR1、P(=O)(R1)、SO、SO2、NR1、O、SまたはCONR1と置換されていてもよく、1個以上のH原子はF、Cl、Br、I、CNまたはNO2と置換されていてもよい)、または5個ないし60個の芳香族環原子を有する芳香族環構造もしくは芳香族複素環構造(これは各例において1個以上の基R1によって置換されていてもよい)、または5個ないし60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これは1個以上の基R1によって置換されていてもよい)、またはジアリールアミノ基、10個ないし40個の芳香族環原子を有するジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールへテロアリールアミノ基(これは1個以上の基R1によって置換されていてもよい)、またはこれらの構造の組み合わせであり;2つ以上の置換基Rは互いに単環式または多環式の脂肪族環構造、芳香族環構造および/またはベンゾ縮合環構造を形成していてもよく;
1は、出現する毎に同一であるかまたは異なり、H、F、または1個ないし20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素芳香族炭化水素基(更に、1個以上のH原子がFによって置換されていてもよい)であり;2個以上の置換基R1は互いに単環式または多環式の脂肪族環構造または芳香族環構造を形成していてもよく;
aは上で定義した通りである。
【0027】
また、上に示した式(11)の好ましい構造は、L2またはL3が式(3)の基を表している場合、配位子部分L2またはL3とともに金属および架橋ユニットVを含む部分にとっても好ましい。
【0028】
本発明の目的のために、アリール基は6個ないし60個のC原子を含むものであり;本発明の目的のために、ヘテロアリール基は2個ないし60個のC原子と少なくとも1つのヘテロ原子とを含んでいる(ただし、C原子およびヘテロ原子の総数は少なくとも5である)。ヘテロ原子は好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される。ここで、アリール基またはヘテロアリール基は、単純な芳香環すなわちベンゼン、または単純な芳香族複素環、たとえばピリジン、ピリミジン、チオフェンなど、または縮合アリールもしくはヘテロアリール基、たとえばナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリンなどを意味すると解釈される。本発明の目的のために、環状カルベンは、中性C原子を介して金属に結合する環状基である。ここで環状基は飽和でも不飽和でもよい。ここで、Auduengoカルベン、すなわち2個の窒素原子がカルベンC原子に結合しているカルベンが好ましい。
【0029】
本発明の目的のために、芳香族環構造は環構造中に6個ないし60個のC原子を含んでいる。本発明の目的のために、芳香族複素環構造は環構造中に2個ないし60個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子とを含んでいる(ただし、C原子およびヘテロ原子の総数は少なくとも5である)。このヘテロ原子は好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される。本発明の目的のために、芳香族環構造または芳香族複素環構造は、必ずしもアリールまたはヘテロアリール基のみを含むわけではなく、その代わりに更に複数のアリール基またはヘテロアリール基が非芳香族ユニットたとえばsp3混成のC、NまたはO原子によって中断されていてもよい(H以外の原子が10%未満であることが好ましい)構造を意味すると解釈されることを意図している。したがって、たとえば、9,9'−スピロビフルオレン、9,9−ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベンなどの構造も、本発明の目的のための芳香族環構造を意味すると解釈されることを意図しており、2個以上のアリール基が、たとえば、線状または環状のアリール基またはシリル基によって中断されている構造も同様である。
【0030】
本発明の目的のために、C1ないしC40アルキル基(加えてそれぞれのH原子またはCH2基は上述した基によって置換されていてもよい)は、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチル−ブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、シクロ−ヘプチル、n−オクチル、シクロ−オクチル、2−エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルおよび2,2,2−トリフルオロエチルの基を意味すると解釈される。アルケニル基は、好ましくはエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニルおよびシクロオクテニルの基を意味すると解釈される。アルキニル基は、好ましくはエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、へプチニルおよびオクチニルを意味すると解釈される。C1ないしC40アルコキシ基は、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシまたは2−メチルブトキシを意味すると解釈される。5−60個の芳香族環原子を有する芳香族環または芳香族複素環構造(更に、各例において上述した基Rによって置換されていてもよいし任意の所望の位置を介して前記芳香族基または複素芳香族基にリンクしていてもよい)は、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ベンズアントラセン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、ターフェニル、ターフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、cis−またはtrans−インデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフタイミダゾール、フェナントリイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラリジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフタオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5−ジアザアントラセン、2,7−ジアザピレン、2,3−ジアザピレン、1,6−ジアザピレン、1,8−ジアザピレン、4,5−ジアザピレン、4,5,9,10−テトラアザピレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチルリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3−トリチアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基を意味すると解釈される。
【0031】
上述した式(11)の特に好ましい部分は式(15)ないし式(30)の部分である。
【化8】

【化9】

ここで、M、Z、VおよびR1は式(10)について上述した意味を有しており、更に:
Eは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、C、NまたはPであり;
Qは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、O、S、Se、TeまたはNであり;
Tは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、N、PまたはCであり;
Aは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、NR1、SまたはOであり;
Xは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、CR、N若しくはPであり、この場合、式(27)、式(28)、式(29)および式(30)において、カルベン環中の2つの基Xの間に二重結合が存在するか;または式(27)、式(28)、式(29)および式(30)におけるカルベン環中のXは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、CR2を表しており;
Yは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、NR1、COO-、O、S、Se、Te、SO、SeO、TeO、SO2、SeO2、TeO2、R1SO、R1SeO、R1TeO、R1SO2、R1SeO2、R1TeO2、R1POまたは(R1)2POであり;
cは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、0または1である。
【0032】
式(15)ないし式(30)の部分は、金属Mおよび架橋ユニットVなしに考えると、ここでは配位子部分L1に対応している。
【0033】
式(1)および式(6)ないし式(10)の化合物、ならびに式(11)または式(15)ないし式(30)の部分を含む化合物であって、Mが38より大きい原子番号を有する六配位遷移金属イオンを表すことが好ましく、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、白金または金を表すことが特に好ましく、特にイリジウムを表すことが好ましい。ここで金属は様々な酸化状態をとることができる。ここで、W(II)、W(III)、W(IV)、Re(II)、Re(III)、Re(IV)、Ru(II)、Ru(III)、Os(II)、Os(III)、Rh(III)、Ir(III)、Ir(IV)、Pt(IV)およびAu(III)の酸化状態にある上述の金属が好ましく、イリジウム(III)および白金(IV)が特に好ましい。更に、MがSc(III)、Y(III)、La(III)、Al(III)、Ga(III)またはIn(III)、特にAl(III)である式(1)の化合物が好ましい。
【0034】
更に、Qが、出現する毎に同一であるかまたは異なり、O、SまたはNを表している式(15)ないし式(30)の部分を含む化合物が好ましく、QがOまたはSを表しているものが特に好ましい。
【0035】
更に、Eが、出現する毎に同一であるかまたは異なり、CまたはNを表している式(15)ないし式(30)の部分を含む化合物が好ましく、EがCを表しているものが特に好ましい。
【0036】
更に、Tが、出現する毎に同一であるかまたは異なり、NまたはPを表している式(15)ないし式(30)の部分を含む化合物が好ましく、TがNを表しているものが特に好ましい。
【0037】
更に、Xが、出現する毎に同一であるかまたは異なり、CRまたはNを表している式(15)ないし式(30)の部分を含む化合物が好ましい。
【0038】
更に、Yが、出現する毎に同一であるかまたは異なり、O、SまたはNR1を表している式(15)ないし式(30)の部分を含む化合物が好ましく、YがOを表しているものが特に好ましい。
【0039】
更に、Zが、出現する毎に同一であるかまたは異なり、O、S、NR、CR2、C(=O)またはC(=CR2)を表している、式(1)および式(6)ないし式(10)の化合物、ならびに式(11)または式(15)ないし式(30)の部分を含む化合物が好ましい。
【0040】
更に、Vが、B、BR-、CR、CO-、CN(R12、SiR、N、NO、NR+、P、PR+、PO、PS、As、AsO、AsS、Sb、SbO、SbS、S+またはSe+を表している、式(1)および式(6)ないし式(10)の化合物、ならびに式(11)または式(15)ないし式(30)の部分を含む化合物が好ましく、Vが、CR、CO-、N、NR+、P、PR+またはPOを表しているものが特に好ましい。
【0041】
更に、添字c=0である、式(1)および式(6)ないし式(10)の化合物、ならびに式(11)または式(15)ないし式(30)の部分を含む化合物が好ましい。
【0042】
上で述べた複数の好ましい形態が同時に適用される、式(1)および式(6)ないし式(10)の化合物、ならびに式(11)または式(15)ないし式(30)の部分を含む化合物が特に好ましい。
【0043】
更に、Rが、出現する毎に同一であるかまたは異なり、F、CN、1個ないし6個のC原子を有する直鎖アルキル基もしくはアルコキシ基、または3個ないし6個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル基もしくはアルコキシ基(これらの各々は1つ以上の基R1によって置換されていてもよく、ここで1個以上の非隣接のCH2基はR1C=CR1、OまたはSと置換されていてもよく、1個以上のH原子はFと置換されていてもよい)、または5個ないし16個の芳香環原子を有するアリール基若しくはヘテロアリール基(これは各例において1個以上の基R1によって置換されていてもよい)、または10個ないし20個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基(これは1個以上の基R1によって置換されていてもよい)、またはこれらの構造の組み合わせを表している(ここで、2個以上の置換基Rは互いに単環式または多環式の脂肪族環構造、芳香族環構造および/またはベンゾ縮合環構造を形成していてもよい)、式(1)および式(6)ないし式(10)の化合物、ならびに式(11)または式(15)ないし式(30)の部分を含む化合物が好ましい。記号Rは特に好ましくは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、F、1個ないし4個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3個または4個のC原子を有する分枝アルキル基(これらの各々は1個以上の基R1によって置換されていてもよく、1個以上のH原子はFと置換されていてもよい)、または6個ないし10個の芳香環原子を有するアリール基(これは1個以上の基R1によって置換されていてもよい)を表している(ここで2つ以上の置換基Rは互いに単環式または多環式の脂肪族環構造、芳香族環構造および/またはベンゾ縮合環構造を形成していてもよい)。
【0044】
更に、対称的な化合物、特に配位子部分L1およびL2が同じであり、更にこれらが同様に置換されている化合物、または3個全ての配位子部分L1、L2およびL3が同じであり、更にこれらが同様に置換されている化合物が好ましい。
【0045】
配位子部分L2および/またはL3が式(4)の構造を有している場合、これらは好ましくは以下の式(31)ないし式(47)の構造である:
【化10】

【0046】
ここでXは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、CR、NもしくはPである(この場合、式(43)、式(44)、式(45)および式(46)において、カルベン環中の2つの基Xの間に二重結合が存在する)、または式(43)、式(44)、式(45)および式(45)におけるカルベン環中のXは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、CR2を表している。他の記号および添字は、式(15)ないし式(30)の構造について上に挙げたのと同じ意味を有している。更に、上に挙げた好ましい実施形態は個々の記号にあてはまる。
【0047】
配位子部分L2および/またはL3が式(5)の構造を有している場合、2つの基D1およびD2を含む二座キレート配位子が必要であり、対応するドナー原子は好ましくは第5および第6主族から選択されるか、またはイソニトリル基を示す。更に、錯化した配位子部分L2またはL3は好ましくは直接的な金属−炭素結合を持たない。多種の適切な二座配位子が当業者に知られており、多くの例がCotton, Wilkinson, Anorganische Chemie [Inorganic Chemistry], 2nd Edition, Verlag Chemie, Weinheim, 1970, pp. 917-972に挙げられている。
【0048】
基D1およびD2における特に好ましいドナー原子は窒素、リン、酸素および硫黄であり、特に窒素および酸素である。
【0049】
好ましい窒素含有ドナー基は芳香族の窒素複素環、たとえばピリジン、キノリン、イソキノリン、ピラジン、キノキサリン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピロール、インドール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾールもしくはトリアゾール、脂肪族アミン、脂環式アミン、たとえばピロリジン、ピペリジンもしくはモルフォリン、ニトリル、アミド、イミドおよびイミンであり、これらの各々は基Rで置換されていてもよいし非置換でもよい。
【0050】
好ましいリン含有ドナー基はアルキルホスフィン、アリールホスフィンもしくは混合アルキルアリールホスフィン、アルキルハロホスフィン、アリールハロホスフィンもしくは混合アルキルアリールハロホスフィン、アルキルホスファイト、アリールホスファイトもしくは混合アルキルアリールホスファイト、またはホスファ芳香族化合物、たとえばホスファベンゼンであり、これらの各々は基Rで置換されていてもよいし非置換でもよい。
【0051】
好ましい酸素含有ドナー基はアルコール、アルコキシド、開鎖または環式エーテル、カルボニル基、ホスフィンオキシド基、スルホキシド基、カルボキシレート、フェノール、フェノレート、オキシム、ヒドロオキサメート、β−ケトケトネート、β−ケトエステルおよびβ−ジエステルであり、これらの各々は基Rで置換されていてもよいし非置換でもよく、ここで最後に述べた基は二座キレート配位子である。
【0052】
好ましい硫黄含有ドナー基は脂肪族または芳香族のチオールまたはチオレート、開鎖または環式チオエーテル、チオフェン、チオカルボニル基、ホフィンスルフィドおよびチオカルボキシレートであり、これらの各々は基Rで置換されていてもよいし非置換でもよい。
【0053】
式(5)の好ましい二座キレート配位子部分L2およびL3はこれらの基のうちの2つを組み合わせてこれらのドナー基から生成することができ、これらの基は同一でも異なっていてもよく、同じまたは異なるドナー原子を有していてもよい。この方法で生成した配位子部分L2およびL3はリンクユニットVに共有結合しており、1個以上の基Rによって置換されていてもよい。
【0054】
このタイプの式(5)の配位子部分L2およびL3の例は置換または未置換のβ−ケトケトネート、β−ケトエステル、β−ジエステル、アミノカルボン酸、たとえばピリジン−2−カルボン酸、キノリン−2−カルボン酸から誘導されるカルボキシレート、グリシン、ジメチルグリシン、アラニンもしくはジメチルアミノアラニン、イミノアセトアセトネート、ヒドロオキサメート、ピリジルホスフィン、α−ホスフィノカルボキシレート、グリコールエーテル、エーテルアルコラート、ジアルコール、たとえばエチレングリコールもしくは1,3−プロピレングリコールから誘導されるジアルコラート、ジチオール、たとえば1,2−エチレンジチオールもしくは1,3−プロピレンジチオールから誘導されるジチオレート、ジアミン、たとえばエチレンジアミン、プロピレンジアミンもしくはcis−もしくはtrans−ジアミノシクロヘキサン、イミン、たとえば、2−[(1−(フェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[(1−(2−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[(1−(2,6−ジイソ−プロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[(1−(メチルイミノ)エチル]ピリジン、2−[(1−(エチルイミノ)エチル]ピリジン、2−[(1−(イソプロピルイミノ)エチル]ピリジンもしくは2−[(1−(tert−ブチルイミノ)エチル]ピリジン、ジイミン、たとえば1,2−ビス(メチルイミノ)エタン、1,2−ビス(エチルイミノ)エタン、1,2−ビス(イソプロピルイミノ)エタン、1,2−ビス(tert−ブチルイミノ)エタン、2,3−ビス(メチルイミノ)ブタン、2,3−ビス(エチルイミノ)ブタン、2,3−ビス(イソプロピルイミノ)ブタン、2,3−ビス(tert−ブチルイミノ)ブタン、1,2−ビス(フェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2−メチルフェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニルイミノ)エタン、2,3−ビス(フェニルイミノ)ブタン、2,3−ビス(2−メチルフェニルイミノ)ブタン、2,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)ブタンもしくは2,3−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニルイミノ)ブタン、ジホスフィン、たとえばビスジフェニルホスフィノメタン、ビスジフェニルホスフィノエタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、ビス(ジメチルホスフィノ)メタン、ビス(ジメチル−ホスフィノ)エタン、ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、ビス(ジエチルホスフィノ)メタン、ビス(ジエチルホスフィノ)エタン、ビス(ジエチルホスフィノ)プロパン、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)メタン、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタンもしくはビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)プロパン、サリチルイミン、たとえばメチルサリチルイミン、エチルサリチルイミンもしくはフェニルサリチルイミンから誘導されるサリチルイミネート、置換もしくは未置換のヒドロキシキノリネートなどである。しかし、式(5)の更なる配位子部分L2またはL3を、言及したドナー基D1およびD2から形成し、それらを配位子Lにおいておよび式(1)の対応する金属錯体において用いることは、更なる進歩性なしに当業者にとって容易なことである。
【0055】
式(2)の対応する配位子Lは、本発明に係る錯体の合成に有用な中間体を表しており、新規なものであり、したがって本発明の主題と同様である。また、式(1)の錯体について上で説明した好ましい形態は、対応する式(2)の配位子にもあてはまる。
【0056】
本発明に係る式(1)の錯体は原理的には様々なプロセスによって調製することができる。しかし、以下に説明するプロセスが特に適切であることが判明した。
【0057】
したがって本発明は更に、式(2)の配位子またはこれらの配位子の前駆体の、式(47)の金属アルコキシドとの、式(48)の金属ケトケトネートとの、または式(49)の金属ハロゲン化物との反応によって式(1)の錯体を調製する方法に関する。
【化11】

【0058】
ここでMおよびR1は上で説明したものと同じ意味を有しており、他の記号および添字に下記が適用される。
【0059】
Halは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、F、Cl、BrまたはIであり;
Ligは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、中性またはモノアニオン性の、一座または二座配位子であり、たとえばハロゲン化物または水酸化物であり;
pは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、1、2、3、4または5であり、式(47)および式(49)におけるpは金属Mの価数を示しており;
qは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、0、1、2、3または4であり、好ましくは0、1または2であり;
ここでの式(48)の化合物も荷電していてもよいし対イオンを含んでいてもよい。
【0060】
特に好ましい出発化合物は式(48)の化合物、特にNa[IrCl2(acac)2]またはIrCl3水和物である。
【0061】
合成は、たとえば、熱的、光化学的またはマイクロ波照射によって促進することができる。トリス−オルト−メタレーテッド金属錯体の合成は概略的にWO 02/060910、WO 04/085449およびWO 04/108738、WO 07/065523に記載されている。これらの明細書に開示された合成方法および好ましい反応条件は式(1)の化合物の合成に同じように適用することができる。
【0062】
好ましい合成方法において、式(2)の配位子Lは、式(47)、式(48)および式(49)に記載したような金属化合物と反応する。この合成方法をスキーム1に示す。
【化12】

【0063】
本発明に係る錯体およびクリプテートにとっての更なる好ましい合成方法は、スキーム2に示したようなテンプレート合成であると判明した。この目的のために、式(47)、式(48)および式(49)に記載したような金属化合物を、配位子の単純な大環式前駆体または多座前駆体と反応させる。ここで、この配位子前駆体は架橋ユニットVを有していないかもしくは1個のみ(1個または2個ではなく)を有している配位子から、または3つの配位子部分L1、L2およびL3のうちの2つのみを含む配位子から誘導される。次に、第2合成段階において、架橋ユニットVが錯体類似反応、すなわち金属錯体での反応に導入されるか、または両方の架橋ユニットVが導入されるか、または第3の配位子部分L1もしくはL2もしくはL3が導入されて、配位子ユニットVにリンクされる。これらの合成方法は既に起こっている錯体形成によって3つの配位子部分L1、L2およびL3が空間的に好ましい配置で存在し、それにより技術的により複雑な錯化していない配位子部分の使用によってのみ可能なVの導入のためのまたは第3の配位子部分のリンクのための単純な閉環を促進するという利点を有している。これらの合成方法をスキーム2に示す。
【化13】

【0064】
これらの方法により錯体が容易に高純度で、好ましくは1H−NMRまたはHPLCによれば>99%の純度で得られる。
【0065】
式(1)の好ましい化合物の例は以下に示す化合物(1)ないし化合物(264)である。これらの錯体は、特に、上で説明した合成方法を使用して調製することができる。
【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【0066】
上で説明した本発明に係る化合物、特に反応性脱離基、たとえば臭素、ヨウ素、ホウ酸またはホウ酸エステルによって置換された化合物を、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの生成のためのモノマーとして使用することができる。ここでのオリゴマー生成またはポリマー生成は好ましくはハロゲン官能基またはホウ酸官能基を介して行われる。
【0067】
したがって、本発明は更に式(1)の1種以上の化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーに関し、1つ以上の結合が式(1)の錯体から該ポリマー、該オリゴマーまたは該デンドリマーまで存在している。したがって、式(1)の化合物のリンキングに応じて、錯体はオリゴマーもしくはポリマーの側鎖を形成するかまたは主鎖でリンクされる。ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーは共役、部分共役または非共役でもよい。オリゴマーまたはポリマーは線状、分枝鎖状または樹枝状でもよい。
【0068】
上で説明したものと同様の好ましい形態が、オリゴマー、デンドリマーおよびポリマーの状態にある式(1)の循環ユニットに適用される。
【0069】
オリゴマーまたはポリマーの調製のために、本発明に係るモノマーはホモ重合されるかまたは更なるモノマーと共重合される。式(1)のユニットが、好ましくは0.01ないし50mol%の範囲、特に好ましくは0.1ないし20mol%の範囲で存在しているコポリマーが好ましい。ポリマー骨格を形成する適切で好ましいコモノマーはフルオレン(たとえばEP 842208またはWO00/22026に従って)、スピロビフルオレン(たとえばEP 707020、EP 894107またはWO 06/061181に従って)、パラフェニレン(たとえばWO 92/18552に従って)、カルバゾール(たとえばWO 04/070772またはWO 04/113468に従って)、チオフェン(たとえばEP 1028136に従って)、ジヒドロフェナントレン(たとえばWO 05/014689に従って)、cis−およびtrans−インデノフルオレン(たとえばWO 04/041901またはWO 04/113412に従って)、ケトン(たとえばWO 05/040302に従って)、フェナントレン(たとえばWO 05/104264またはWO 07/017066に従って)または複数のこれらのユニットからも選択される。これらのユニット全体の割合は好ましくは少なくとも50mol%の領域にある。また、ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは更なるユニット、たとえば正孔輸送ユニット、特にトリアリールアミンをベースにしたユニット、および/または電子輸送ユニットを含んでもよい。
【0070】
更に、本発明に係る金属錯体は官能化されてもよいし、したがって広範な金属錯体に変換されてもよい。ここで言及され得る例は、SUZUKI法によるアリールホウ酸を用いた官能化、またはHARTWIG-BUCHWALD法による一級もしくは二級アミンを用いた官能化である。
【0071】
上に説明した本発明に係る錯体、またはこれらの錯体を含むオリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーは、電子部品たとえば有機エレクトロルミネセンス素子(=有機発光ダイオード、OLED、PLED)、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機発光トランジスタ(O−LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検出器、有機フォトレセプタ、有機電界クエンチデバイス(organic field-quench device)(O−FQD)、発光電気化学電池(LEC)、または有機レーザーダイオード(O−laser)における活性成分として使用される。
【0072】
活性成分は、たとえば、電荷注入、電荷輸送または電荷遮蔽材料であるが、特に発光材料およびマトリックス材料である。これらの機能のために、本発明に係る化合物は、導入部において既に説明したようにおよび以下でより詳細に説明するように、特に発光材料として特に優れた特性を示す。
【0073】
したがって、本発明は更に式(1)の化合物の有機電子部品での使用に関する。
【0074】
本発明は更に式(1)の1種以上の化合物を含む有機電子部品、たとえば有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機発光トランジスタ(O−LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検出器、有機フォトレセプタ、有機電界クエンチデバイス(O−FQD)、発光電気化学電池(LEC)または有機レーザーダイオード(O−laser)に関し、特に有機エレクトロルミネセンス素子(OLED、PLED)に関する。式(11)の部分または特に式(15)ないし式(30)の部分を有する1種以上の錯体を含む有機電子部品が好ましく、式(1)の化合物について上で述べた好ましい形態はこの電子部品にも適用される。
【0075】
有機エレクトロルミネセンス素子はカソード、アノードおよび少なくとも1層の発光層を含んでいる。これらの層の他に、更なる層、たとえば各例において1層以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔障壁層、電子輸送層、電子注入層、励起子障壁層および/または電荷発生層(Charge-Generation Layers, IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T. Matsumoto, T. Nakada, J. Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J. Kido, Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)を含んでもよい。同様に、中間層、たとえば励起子障壁機能を有する中間層を2層の発光層の間に導入することができる。しかし、これらの層の各々は必ずしも存在しなければならないというわけではないことに留意されたい。
【0076】
本発明の好ましい実施形態において、式(1)の化合物は発光層における発光化合物として用いられる。これは、特に、金属Mが遷移金属、特にイリジウムまたは白金である場合である。ここでの有機エレクトロルミネセンス素子は1層の発光層を含んでいてもよいし、または複数の発光層を含んでいてもよく、少なくとも1層の発光層は式(1)の少なくとも1種の化合物を含んでいる。複数の発光層が存在する場合、これらは、好ましくは全体として380nmないし750nmに複数の極大発光を有し、それにより全体として白色発光をもたらす、すなわち蛍光または燐光を発することのできる様々な発光化合物が発光層において使用される。3つの層が青色、緑色および橙色または赤色の発光を示す3層構造が好ましい(基本的な構造については、たとえばWO 05/011013を参照のこと)。
【0077】
式(1)の化合物が発光層における発光化合物として用いられる場合、それは好ましくは1種以上のマトリックス材料と組み合わせて用いられる。式(1)の化合物とマトリックス材料との混合物は、エミッタおよびマトリックス材料を含む全体としての混合物に基づいて、1ないし99重量%、好ましくは2ないし90重量%、特に好ましくは3ないし40重量%、特に5ないし15重量%の式(1)の化合物を含んでいる。相応して、この混合物は、エミッタおよびマトリックス材料を含む全体としての混合物に基づいて、99ないし1重量%、好ましくは98ないし10重量%、特に好ましくは97ないし60重量%、特に95ないし85重量%のマトリックス材料を含んでいる。
【0078】
好ましいマトリックス材料はCBP(N,N−ビスカルバゾルイルビフェニル)、カルバゾール誘導体(たとえばWO 05/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381に従って)、アザカルバゾール(たとえばEP 1617710、EP 1617711、EP 1731584,JP 2005/347160に従って)、ケトン(たとえばWO 04/093207に従って)、ホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホン(たとえばWO 05/003253に従って)、オリゴフェニレン、芳香族アミン(たとえばUS 2005/0069729に従って)、双極性マトリックス材料(たとえばWO 07/137725に従って)またはシラン(たとえばWO 05/111172に従って)である。また、以下に述べる本発明に係る化合物もマトリックス材料として適している。
【0079】
本発明の更なる好ましい実施形態では、式(1)の化合物は発光層において発光化合物のためのマトリックス材料として用いられる。これは、特に、金属Mが主族金属、特にアルミニウム、ガリウムまたはインジウムである場合である。ここでの有機エレクトロルミネセンス素子は1層の発光層を含んでいてもよいし複数の発光層を含んでいてもよいが、少なくとも1層の発光層は式(1)の少なくとも1種の化合物をマトリックス材料として含んでいる。複数の発光層が存在する場合、上でのコメントがこれらに適用される。
【0080】
式(1)の化合物が発光層において発光化合物のためのマトリックス材料として用いられる場合、それは好ましくは1種以上の燐光発光材料(三重項エミッタ)と組み合わせて用いられる。本発明の目的のために、燐光は、スピン多重度が比較的高い、すなわちスピン状態が>1の励起状態からの、特に三重項励起状態からの発光を意味すると解釈される。本発明の目的のために、発光を示す全てのイリジウム錯体および白金錯体は、燐光発光化合物を意味すると解釈されることを目的としている。そして、式(1)の化合物と発光化合物との混合物は、エミッタおよびマトリックス材料を含む全体としての混合物に基づいて、99ないし1重量%、好ましくは98ないし10重量%、特に好ましくは97ないし60重量%、特に95ないし85重量%の式(1)の化合物を含んでいる。相応して、この混合物は、エミッタおよびマトリックス材料を含む全体としての混合物に基づいて、1ないし99重量%、好ましくは2ないし90重量%、特に好ましくは3ないし40重量%、特に5ないし15重量%のエミッタを含んでいる。
【0081】
適切な燐光発光化合物(=三重項エミッタ)は、特に、光、好ましくは可視領域の光を、適切な励起によって発光するものであって、加えて原子番号が20より大きい、好ましくは38より大きく84より小さい、特に好ましくは56より大きく80より小さい少なくとも1個の原子を含んでいる化合物である。使用される燐光エミッタは好ましくは銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユーロピウムを含む化合物であり、特にイリジウムまたは白金を含む化合物である。
【0082】
上で説明したエミッタの例は出願WO 00/70655、WO 01/41512、WO 02/02714、WO 02/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614およびWO 05/033244によって明らかになっている。更に、適切なエミッタは上述した本発明に係る化合物である。一般的に、従来技術によって燐光発光OLEDのために使用されるような、および有機エレクトロルミネセンスの分野の当業者に知られているような全ての燐光発光錯体が適切であり、当業者であれば進歩性なしに他の燐光発光錯体を使用することができるであろう。
【0083】
本発明の更なる好ましい実施形態では、式(1)の化合物は正孔障壁層における正孔障壁材料としておよび/または電子輸送層における電子輸送材料として用いられる。これは、特に、金属Mが主族金属、特にアルミニウム、ガリウムまたはインジウムである場合である。ここでの発光層は蛍光を発するものでもよいし燐光を発するものでもよい。
【0084】
更に、材料が真空昇華ユニットにおいて10-5mbar未満、好ましくは10-6mbar未満、特に好ましくは10-7mbar未満の圧力で蒸着される昇華プロセスを用いて1層以上の層が適用されていることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子が好ましい。
【0085】
同様に、材料が10-5marないし1barの圧力で適用される、OVPD(有機蒸気相堆積)プロセスを用いてまたはキャリアガス昇華の助けによって1層以上の層が適用されていることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子が好ましい。このプロセスの特別な例は、材料がノズルを通して直接適用され、それによって構造化されるOVJP(有機蒸気ジェット印刷)である(たとえばM. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0086】
更に、1層以上の層が、溶液から、たとえばスピンコートによって、または任意の望ましい印刷プロセス、たとえばスクリーン印刷、フレキソ印刷もしくはオフセット印刷を用いて形成されることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子が好ましいが、LITI(光誘起熱転写、熱転写印刷)またはインクジェット印刷が特に好ましい。例えば適切な昇華によって得られる可溶性の化合物が、この目的に必要である。
【0087】
これらのプロセスは一般に当業者に周知されているものであり、彼によって問題なしに式(1)の化合物を含む有機エレクトロルミネセンス素子に適用されることができる。
【0088】
本発明に係る化合物およびそれを用いて製造された有機エレクトロルミネセンス素子は以下の驚くべき利点によって従来技術に対して区別される。
【0089】
1.従来技術に従う多くの金属錯体が昇華によって部分的なまたは完全な熱分解を受けるのと対照的に、本発明に係る化合物は高い熱安定性を有している。
【0090】
2.式(1)の化合物を発光材料として含む有機エレクトロルミネセンス素子は優れた寿命を有する。
【0091】
3.深い青色の発光色を有し有機エレクトロルミネセンス素子における使用の寿命が長い青色燐光発光錯体を入手することができる。従来は表色に劣り特に極めて寿命の短い青色燐光発光デバイスしか入手できなかったので、これは従来技術に対するかなりの進歩である。
【0092】
4.本発明に係る化合物を有機エレクトロルミネセンス素子に用いると、高い効率と急峻な電流−電圧曲線とをもたらす。
【0093】
これらの上述の利点は他の電気特性を損なうものではない。
【0094】
本発明を以下の例によってより詳細に説明するが、本発明をそれらによって限定することは望まない。当業者は本発明に係る更なる錯体を、進歩性なしに明細書により調製し、それらを有機電子素子に使用することができ、または本発明に係るプロセスを使用することができるであろう。
【0095】

以下の合成は、特段記載していない限り、保護ガス雰囲気下で、乾燥溶媒中において行われる。溶媒および試薬は、ALDRICHまたはABCRから購入できる。以下のような前駆体が調製され得る:WO 98/22148に従ってトリス(2−ブロモ−6−ピリジル)ホスフィンおよびトリス(2−ブロモ−6−ピリジル)メタノール;WO 04/081017に従ってトリス(2−ブロモ−6−ピリジル)ホスフィンオキシド、トリス(2−ブロモ−6−ピリジル)フルオロメタンおよびトリス(2−メチル−6−ピリジル)フルオロメタン; Heteroatomic Chemistry 1990, 1 (4), 295 に従ってトリス(2−メチル−6ピリジル)ホスフィン;Heteroatomic Chemistry 1997, 8 (5), 439 に従ってトリス(2−メチル−6−ピリジル)ホスフィンオキシド; J. Am. Chem. Soc. 1999, 121 (47), 11007 に従ってトリス(2−メチル−6−ピリジル)メタン; Inorg. Chem. 2003, 42 (4), 11993 に従って1,1,1−トリス(2−メチル−6−ピリジル)エタン; Tetrahedron Letters 1998, 39 (4), 8509に従ってトリス((2−メチル−6−ピリジル)メタノール; Inorg. Chem. 2000, 39 (2), 226 に従ってトリス(2−ブロモ−6−ピリジル)メチルメチルエーテルおよびそれに類似のトリス(2−メチル−6−ピリジル)メチルメチルエーテル;WO 06/018202に従ってナトリウムジクロロビスアセチルアセトナートイリデート(III)。
【0096】
例1:トリス(2−(フェニルメチル)−6−ピリジル)メチルメチルエーテルの合成
【化37】

【0097】
合成はOrganometallics 2007, 26 (17), 4105と同じように行われる。5.88g(17mmol)のZn(tmp)2を、3.19g(10mmol)のトリス(2−メチル−6−ピリジル)メタンメチルエーテルを100mlのトルエン中に溶解した溶液に添加し、続けて混合物を50℃で20時間にわたって攪拌する。5.5g(35mmol)のブロモトルエンと、5mlのトルエンに溶解した121mg(0.6mmol)のトリ−tertブチルホスフィンおよび275mg(0.3mmol)のPd2(dba)3から予め別個に調製された触媒溶液とをこの溶液に添加する。続けて、混合物を室温で更に24時間攪拌し、次に100mlの飽和塩化アンモニウム溶液を添加し、有機相を分離して取り出し、これを各回100mlの水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、その後蒸発乾固させる。残留物をアセトン/エタノールから再結晶させる。収量および収率:3.75g、68.5%;純度:NMRによれば98.0%。
【0098】
対応するメチルピリジンおよび対応するアリールブロマイドから出発して以下の化合物が同様に調製される。
【化38】

【化39】

【0099】
例7:トリス(2−(フェノキシ)−6−ピリジル)フルオロメタンの合成
【化40】

【0100】
合成はTetrahedron Letters 2006, 47 (29), 5045と同じように行われる。5.02g(10mmol)のトリス(2−ブロモ−6−ピリジル)−フルオロメタン、5.65g(60mmol)のフェノール、29.32g(90mmol)の炭酸セシウムおよび64mg(1mmol)の銅粉末の100mlのDMF中での懸濁液をマイクロ波(60ワット)により100℃で15分間にわたって処理する。冷却後、500mlのジクロロメタンをこの懸濁液に添加し、次にこの懸濁液を各回300mlの水で5回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で脱水する。ガラス状の残留物をシリカゲル上でジクロロメタン/ヘキサン(1:4、v/v)を用いてクロマトグラフする。収量および収率:3.10g、56.6%;純度:NMRによれば約98.0%。
【0101】
対応するブロモピリジンおよび対応するフェノールまたはチオフェンから出発して以下の化合物が同様に調製される。
【化41】

【化42】

【0102】
例16:トリス(2−(ビフェニルアミノ)−6−ピリジル)フルオロメタンの合成
【化43】

【0103】
6.77g(40mmol)のジフェニルアミン、7.69g(80mmol)のナトリウムtert−ブトキシド、121mg(0.6mmol)のトリ−tert−ブチルホスフィンおよび67mg(0.3mmol)の酢酸パラジウム(II)を、5.02g(10mmol)のトリス(2−ブロモ−6−ピリジル)フルオロメタンを100mlのトルエンに溶解した溶液に添加し、続いて混合物を100℃で4時間にわたって攪拌する。冷却後、100mlの飽和塩化アンモニウム溶液を添加し、有機相を分離して取り出し、これをシリカゲルを通して濾過し、各回100mlの水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、その後蒸発乾固させる。残留物をアセトン/酢酸エチル(1:2、v/v)から再結晶する。収量および収率:4.50g、58.5%;純度:NMRによれば約98.0%。
【0104】
対応するブロモピリジンおよび対応するアリールアミンから出発して以下の化合物が同様に調製される。
【化44】

【化45】

【0105】
例22:トリス(2−(ベンゾイル)−6−ピリジル)フルオロメタンの合成
【化46】

【0106】
13.2ml(33mmol)のn−ブチルリチウム(ヘキサン中で2.5M)を−78℃で5.02g(10mmol)のトリス(2−ブロモ−6−ピリジル)フルオロメタンを200mlのTHF中に溶解した溶液に添加し、混合物を更に2時間にわたって攪拌し、次に4.13g(40mmol)のベンゾニトリルを50mlのTHF中に溶解した混合物を滴下する。室温まで徐々に暖めた後、THFを真空中で除去し、残留物を100mlのNMPに溶解させ、10mlの水および2mlの酢酸を添加し、次に混合物を還流下で1時間にわたって加熱する。混合物を60℃まで冷却した後、100mlの5%炭酸カルシウム溶液を滴下し、混合物を更に30分間にわたって攪拌する。固形物を吸引濾過し、各回50mlの水で3回洗浄し、各回100mlのメタノールで2回洗浄し、乾燥後、最後にアセトン/エタノール(1:2、v/v)から再結晶する。収量および収率:3.93g、68.1%;純度:NMRによれば約98.0%。
【0107】
例23:トリス(2−(9−フェニルフルオレン−9−イル)−6−ピリジル)−フルオロメタンの合成
【化47】

【0108】
グリニャール試薬を、8.16g(35mmol)の2−ブロモビフェニルおよび0.85g(35mmol)のマグネシウムを50mlのTHFおよび10mlの1,2−ジメトキシエタンの混合物中に溶解させたものから調製し、続けて5.78g(10mmol)のトリス(2−(ベンゾイル)−6−ピリジル)フルオロメタンを200mlのTHF中に溶解させたものに室温で滴下する。混合物を更に3時間にわたって攪拌した後、THFを真空中で除去し、残留物を100mlの氷酢酸中に溶解させる。5mlの無水酢酸および0.5mlの濃硫酸をこの溶液に加え、混合物を還流下で3時間にわたって加熱し、次に真空中で氷酢酸を除去する。残留物を300mlのジクロロメタン中に懸濁させ、飽和炭酸カリウム溶液を添加することによってアルカリ性にする。有機相を分離して取り出し、これを水で3回洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ、次に真空中で脱水する。ガラス状の残留物をシリカゲル上でジクロロメタン/ヘキサン(1:5、v/v)を用いてクロマトグラフする。収量および収率:3.86g、39.1%;純度:NMRによれば約98.0%。
【0109】
例24:トリス(2−(2−ヒドロキシフェニルメチル)−6−ピリジル)フルオロメタンの合成
【化48】

【0110】
合成はOrganometallics 2007, 26 (17), 4105-4108 と同じように行われる。5.88g(17mmol)のZn(tmp)2を、3.07g(10mmol)のトリス(2−メチル−6−ピリジル)フルオロメタンを100mlのトルエン中に溶解した溶液に添加し、続いて混合物を50℃で20時間にわたって攪拌する。9.00g(35mmol)の2−(2−ブロモフェノキシ)テトラヒドロピランと、121mg(0.6mmol)のトリ−tert−ブチルホスフィンおよび275mg(0.3mmol)のPd2(dba)3を5mlのトルエン中に溶解したものから予め別個に調製された触媒溶液とを、この溶液に添加する。続けて、混合物を室温で更に24時間攪拌し、次に100mlの飽和塩化アンモニウム溶液を添加し、有機相を分離して取り出し、各回100mlの水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、次に蒸発乾固させる。残留物を100mlのTHF中に溶解させ、10mlの水および1mlの濃HClを添加し、混合物を50℃で6時間にわたって攪拌し、冷却後、飽和炭酸カリウム溶液を使用してpH=10−11に調節する。水溶液相を分離し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液を使用して乾燥させた後、THFを真空中で除去する。残留物を酢酸エチル/メタノール(1:2)から再結晶する。収量および収率:3.88g、66.5%;純度:NMRによれば約98.0%。
【0111】
例25:ビス(2−(2−(ジフェニルアミノ))−6−ピリジル)−(2−フェニル−6−ピリジル)メタノールの合成
【化49】

【0112】
42.3g(250mmol)のジフェニルアミン、48.1g(500mmol)のナトリウムtert−ブトキシド、404mg(2mmol)のトリ−tert−ブチルホスフィンおよび225mg(1mmol)の酢酸パラジウム(II)を、34.2g(100mmol)のビス(2−ブロモ−6−ピリジル)ケトンを1000mlのトルエン中に溶解した溶液に添加し、続いて混合物を100℃で4時間にわたって攪拌する。混合物を冷却した後、1000mlの飽和塩化アンモニウム溶液を添加し、有機層を分離して取り出し、これをシリカゲルを通して濾過し、各回1000mlの水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、その後蒸発乾固させる。残留物をエタノール/酢酸エチル(8:1、v/v)から再結晶する。収量および収率:39.5g、76.1%;純度:NMRによれば約98.0%。
【0113】
20ml(50mmol)のn−ブチルリチウム(ヘキサン中で2.5M)を、−78℃に冷却した11.8g(50mmol)の2,6−ジブロモピリジンを300mlのジエチルエーテル中に懸濁した懸濁液に滴下する。添加が完了したら、混合物を更に60分間にわたって攪拌する。次に、25.9g(50mmol)のビス(2−(ジフェニルアミノ)−6−ピリジル)ケトンを150mlのTHF中に溶解した溶液を、温度が−40℃を超えないような速度で迅速に滴下する。混合物が室温まで暖まった後、100mlの水を添加し、有機層を分離して取り出し、これを各回100mlの水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、その後蒸発乾固させる。残留物をエタノール/ジクロロメタン(10:1、v/v)から再結晶する。収量および収率:26.0g、76.9%;純度:NMRによれば約98.0%。
【0114】
61mg(0.30mmol)のトリ−tert−ブチルホスフィンおよび次に56mg(0.25mmol)の酢酸パラジウム(II)を、16.9g(25mmol)のビス(2−(2−(ジフェニルアミノ))−6−ピリジル)−(2−ブロモ−6−ピリジル)メタノール、4.27g(35mmol)のフェニルホウ酸および8.72g(150mmol)の無水フッ化カリウムを200mlのTHF中に懸濁した懸濁液に添加し、混合物を還流下で2時間にわたって加熱する。次に、100mlのエタノールと200mlの水との混合物を滴下する。混合物を冷却した後、沈降固形物を吸引濾過し、これを50mlのエタノールで3回洗浄し、エタノール/THF(10:1、v/v)から再結晶する。収量および収率:12.7g、75.4%;純度:NMRによれば約98.0%。
【0115】
例26:イリジウム(III)錯体(トリス(2−(フェニルメチル)−6−ピリジル)メチルメチルエーテル)イリジウム(III)の合成
【化50】

【0116】
方法A:
2.74g(5mmol)のトリス(2−(フェニルメチル)−6−ピリジル)メチルメチルエーテルおよび2.42g(5mmol)のナトリウムジクロロビスアセチルアセトナートイリデート(III)を20mlのエチレングリコール中に懸濁した懸濁液を170℃で20時間にわたって加熱する。冷却後、混合物を100mlの水で希釈し、水溶液相を各回50mlのジクロロメタンを用いて3回抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させて脱水し、残留物をシリカゲル上でジクロロメタンを用いてクロマトグラフし、最後にジクロロメタン/メタノールから再結晶する。収量および収率:1.23g、33.6%;純度:NMRによれば>99.5%。
【0117】
方法B:
2.74g(5mmol)のトリス(2−(フェニルメチル)−6−ピリジル)メチルメチルエーテルおよび1.49g(5mmol)の塩化イリジウム(III)水素化物を75mlの2−エトキシエタノールと25mlの水との混合物中に懸濁した懸濁液を還流下で20時間にわたって加熱する。冷却後、混合物を100mlの水で希釈し、沈降物を濾過し、この沈降物を20mlのメタノールで3回洗浄し乾燥させる。このようにして得られた固形物を50mlのジエチレングリコールジメチルエーテル中に懸濁させ、2.57g(10mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸銀(I)を添加し、混合物を110℃で5時間にわたって攪拌する。冷却後、混合物を100mlの水で希釈し、水溶液相を各回50mlのジクロロメタンを用いて3回洗浄し、有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させて脱水し、残留物をシリカゲル上でジクロロメタンを用いてクロマトグラフし、最後にジクロロメタン/メタノールから再結晶する。収量および収率:0.97g、21.0%;純度:NMRによれば>99.5%。
【0118】
対応する配位子から出発して以下の金属錯体が同じように調製される。
【化51】

【化52】

【化53】

【0119】
例35:白金(IV)錯体:トリス(2−(フェノキシ)−6−ピリジル)メタノラート白金(IV)
【化54】

【0120】
2.70g(5mmol)のトリス(2−(フェノキシ)−6−ピリジル)フルオロメタンおよび2.08g(5mmol)の四塩化白金(II)酸カリウムを50mlの酢酸と10mlの水との混合物中に懸濁した懸濁液を還流下で48時間にわたって加熱する。混合物を冷却した後、沈降物を濾過し、これを各回20mlの水/エタノール(1:1、v/v)で3回、各回20mlのエタノールで3回洗浄し、その後、真空中で乾燥させる。残留物を300mlのジクロロメタン中に懸濁させ、50mlのジクロロメタン中の0.80g(5mmol)の臭素を滴下し、混合物を室温で5時間にわたって攪拌し、次に2.57g(10mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸銀および2.76g(20mmol)の炭酸カリウムを添加し、光を排除して混合物を室温で更に30分間にわたって攪拌する。ジクロロメタンを真空中で除去した後、残留物を塩基性の酸化アルミニウム上でTHFを用いてクロマトグラフし、最後にジクロロメタン/メタノールから再結晶する。収量および収率:1.73g、47.4%;純度:NMRによれば>99.5%。
【0121】
例36:主族金属錯体トリス(2−(2−オキシフェニルメチル)−6−ピリジル)フルオロメタンアルミニウムの合成
【化55】

【0122】
1.02g(5mmol)のアルミニウムトリイソプロポキシドを、2.92g(5mmol)のトリス(2−(2−ヒドロキシフェニルメチル)−6−ピリジル)フルオロメタンを100mlのトルエン中に溶解した溶液に添加し、続いて混合物を還流下で1時間にわたって加熱する。次に、溶媒を蒸発させて除去して約10mlとし、50mlのn−ヘプタンをこの懸濁液に添加する。固形物をろ過して取り出し、これをn−ヘプタンで洗浄し、DMSOから再結晶する。収量および収率:2.43g、80.0%;純度:NMRによれば>99.5%。
【0123】
対応する配位子から出発して以下の化合物が同じように調製される。
【化56】

【0124】
有機エレクトロルミネセンス素子の製造およびその特性評価
OLEDは以下に概略する一般的なプロセスによって製造される。これはもちろん各場合における特定の状況に適合させなければならない(たとえば最適な効率または色を達成するための層厚さの変更)。
【0125】
OLEDの一般的な製造方法
ITO被覆した基板(たとえばガラスサポート、PETフィルム)を正確な大きさに裁断した後、それらを複数の清浄化工程において超音波浴(たとえば石鹸水、Millipore water、イソプロパノール)で清浄化する。それらをN2ガンでの吹き付けにより乾燥させデシケータ内で保管する。有機層で蒸気被覆する前に、それらに対し約20分間にわたってオゾンプラズマデバイスによる処理を施す。第1有機層として高分子正孔注入層を使用することが賢明であろう。これは一般には共役導電性ポリマー、たとえば、ポリアニリン誘導体(PANI)またはポリチオフェン誘導体(たとえばBAYYERからのPEDOT、BAYTRON P(登録商標))である。次にこれをスピンコートによって塗布する。複数の有機層を高真空ユニット内で蒸着することにより連続的に塗布する。それぞれの層の膜厚および蒸着速度は水晶共振器によってモニターして調整する。また、各層を1種よりも多種の化合物で構成することも可能である。すなわち概して述べると、ホスト材料にゲスト材料をドープしてもよい。これは2つ以上のソースからの共蒸着によって達成される。次に、電極が先の有機層に塗布される。これは一般に熱蒸着法(Balzer BA360またはPfeiffer PL S 500)によって行われる。続いて、アノードとしての透明なITO電極とカソードとしての金属電極とを接続してデバイスのパラメータを決定する。
【0126】
以下の構成を有するOLEDが上述した一般的なプロセスと同様にして製造される。
【0127】
PEDOT 20mm(水からスピンコートする;PEDOTは、BAYER AGから購入する;ポリ[3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン])
HIM1 20nmの2,2’,7,7’−テトラキス(ジ−p−トリルアミノ)スピロ−9,9’−ビフルオレン(蒸着する)
NPB 20nmの4,4’−ビス(1−ナフチルフェニルアミノ)ビフェニル(蒸着する)
mCP 20nmの1,3−ビス(N−カルバゾルイル)ベンゼン(蒸着する)、10%の三重項エミッタでドープされている
三重項エミッタ 本発明による例 表を参照のこと
BCP 8nmの2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(蒸着する)
AlQ3 20nm(蒸着する)
Li/Al 表面上にカソードとして設ける5nmのLiF、150nmのAl。
【0128】
この、まだ最適化されていないOLEDを標準的な方法で特性評価する。
【0129】
表1は500cd/m2での効率および電圧ならびに色を示している。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物であって、
【化1】

式(2)の配位子Lに配位した金属Mを含み、
【化2】

使用した記号および添字に下記が適用される化合物。
Vは、配位子部分L1、L2およびL3を互いに共有結合する、第3、第4、第5および/または第6主族からの1個ないし80個の原子を含む架橋ユニットであり;
aは0または1であり、a=0である場合、前記架橋ユニットVは存在せず;
L1は式(3)の配位子部分であり、
【化3】

L2、L3は、出現する毎に同一であるかまたは異なり、各々式(3)、式(4)または式(5)の配位子部分であり、
【化4】

Cy1、Cy2は、出現する毎に同一であるかまたは異なり、置換されたまたは未置換の環状基であり、各々は少なくとも1個のドナー原子もしくはC原子を該環内に含むか、または環外ドナー原子を含みこれを介して該環状基が金属Mに結合されており;式(3)における基Cy1およびCy2は基Zを介して互いに結合しており、これらは更に置換基を介して互いにリンクしていてもよく;式(4)における基Cy1およびCy2は単結合を介して互いに結合しており、これらは更に置換基を介して互いにリンクしていてもよく;
Zは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、第3、第4、第5または第6主族からの置換されたまたは未置換の原子であって、前記環Cy1とCy2とを架橋しており;
D1、D2は、出現する毎に同一であるかまたは異なり、少なくとも1個のドナー原子を含む化学基を表している。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、前記配位子Lは式(6)ないし式(10)の構造を有し、使用した記号および添字は請求項1で述べた意味を持つことを特徴とする化合物。
【化5】

【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物であって、その配位子部分L1に、式(11)の金属および架橋ユニットVとともに下記が適用されることを特徴とする化合物。
【化6】

Mは遷移金属またはアルミニウム、ガリウム、インジウム、スズもしくは鉛であり;
Cy1、Cy2は、出現する毎に同一であるかまたは異なり、5個ないし30個の芳香族環原子を有し、1個以上の基Rで置換されていてもよいアリール基もしくはヘテロアリール基、または環式の飽和のもしくは好ましくは不飽和のカルベンであり;ここで2つの基の一方Cy1またはCy2は、形式的に負に荷電した炭素を介して、または形式的に負に荷電した環外ドナー原子を介して前記金属に結合しており、2つの基Cy1およびCy2の他方は、該基Cy1またはCy2の一部であって、窒素、リンおよびカルベンの形態にある炭素から選択される中性ドナー原子を介して結合しており;
Vは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、B、BR-、B(CR23、RB(CR23-、B(O)3、RB(O)3-、B(CR2CR23、RB(CR2CR23-、B(CR2O)3、RB(CR2O)3-、B(OCR23、RB(OCR23-、Al(O)3、RAl(O)3-、Al(OCR23、RAl(OCR23-、CR、CO-、CN(R12、RC(CR23、RC(O)3、RC(CR2CR23、RC(CR2O)3、RC(OCR23、RC(SiR23、RC(SiR2CR23、RC(CR2SiR23、RC(SiR2SiR23、SiR、RSi(CR23、RSi(O)3、RSi(CR2CR23、RSi(OCR23、RSi(CR2O)3、RSi(SiR23、RSi(SiR2CR23、RSi(CR2SiR23、RSi(SiR2SiR23、N、NO、NR+、N(CR23、RN(CR23+、N(C=O)3、N(CR2CR23、RN(CR2CR2+、P、RR+、PO、PS、PSe、PTe、P(O)3、PO(O)3、P(OCR23、PO(OCR23、P(CR23、PR(CR23+、PO(CR23、P(CR2CR23、PR(CR2CR23+、PO(CR2CR23、As、AsR+、AsO、AsS、AsSe、AsTe、As(O)3、AsO(O)3、As(OCR23、AsO(OCR23、As(CR23、AsR(CR23+、AsO(CR23、As(CR2CR23、AsR(CR2CR23+、AsO(CR2CR23、Sb、SbR+、SbO、SbS、SbSe、SbTe、Sb(O)3、SbO(O)3、Sb(OCR23、SbO(OCR23、Sb(CR23、SbR(CR23+、SbO(CR23、Sb(CR2CR23、SbR(CR2CR23+、SbO(CR2CR23、Bi、BiR+、BiO、BiS、BiSe、BiTe、Bi(O)3、BiO(O)3、Bi(OCR23、BiO(OCR23、Bi(CR23、BiR(CR23+、BiO(CR23、Bi(CR2CR23、BiR(CR2CR23+、BiO(CR2CR23、S+、S(CR23+、S(CR2CR23+、Se+、Se(CR23+、Se(CR2CR23+、Te+、Te(CR23+、Te(CR2CR23+、1位、2位および3位を介してリンクしたシクロプロパン、1位、2位および3位を介してリンクしたアジリジン、もしくは対応する非対称の類似化合物;または、式(12)、(13)もしくは(14)のユニットであり、
【化7】

ここで、UはN、P、P(=O)、CRまたはSiRを表しており、破線の結合は各々配位子部分への結合を示しており;
Zは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、O、S、S(=O)、S(=O)2、NR、PR、P(=O)R、P(=NR)、CR2、C(=O)、C(=NR)、C(=CR2)、SiR2またはBRであり;
Rは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R12、CN、NO2、Si(R13、B(OR12、C(=O)R1、P(=O)(R12、S(=O)R1、S(=O)21、OSO21、1個ないし40個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または3個ないし40個のC原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらの各々は1個以上の基R1によって置換されていてもよく、ここで1個以上の非隣接のCH2基はR1C=CR1、C≡C、Si(R12、Ge(R12、Sn(R12、C=O、C=S、C=Se、C=NR1、P(=O)(R1)、SO、SO2、NR1、O、SまたはCONR1と置換されていてもよく、1個以上のH原子はF、Cl、Br、I、CNまたはNO2と置換されていてもよい)、または5個ないし60個の芳香族環原子を有する芳香族環構造もしくは芳香族複素環構造(これは各例において1個以上の基R1によって置換されていてもよい)、または5個ないし60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これは1個以上の基R1によって置換されていてもよい)、またはジアリールアミノ基、10個ないし40個の芳香族環原子を有するジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールへテロアリールアミノ基(これは1個以上の基R1によって置換されていてもよい)、またはこれらの構造の組み合わせであり;2つ以上の置換基Rは互いに単環式または多環式の脂肪族環構造、芳香族環構造および/またはベンゾ縮合環構造を形成していてもよく;
1は、出現する毎に同一であるかまたは異なり、H、F、または1個ないし20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素芳香族炭化水素基(更に、1個以上のH原子がFによって置換されていてもよい)であり;2個以上の置換基R1は互いに単環式または多環式の脂肪族環構造または芳香族環構造を形成していてもよく;
aは請求項1で定義した通りである。
【請求項4】
請求項1ないし3の1項以上に記載された化合物であって、前記配位子部分L1は、前記金属および前記架橋ユニットVとともに、式(15)ないし式(30)の構造を有することを特徴とする化合物。
【化8】

【化9】

ここで、M、Z、VおよびR1は請求項3で述べた意味を有しており、更に:
Eは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、C、NまたはPであり;
Qは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、O、S、Se、TeまたはNであり;
Tは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、N、PまたはCであり;
Aは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、NR1、SまたはOであり;
Xは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、CR、N若しくはPであり、この場合、式(27)、式(28)、式(29)および式(30)において、カルベン環中の2つの基Xの間に二重結合が存在するか;または式(27)、式(28)、式(29)および式(30)におけるカルベン環中のXは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、CR2を表しており;
Yは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、NR1、COO-、O、S、Se、Te、SO、SeO、TeO、SO2、SeO2、TeO2、R1SO、R1SeO、R1TeO、R1SO2、R1SeO2、R1TeO2、R1POまたは(R1)2POであり;
cは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、0または1である。
【請求項5】
請求項1ないし4の1項以上に記載の化合物であって、Mはタングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、白金、金、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アルミニウム、ガリウムまたはインジウムを表していることを特徴とする化合物。
【請求項6】
請求項1ないし5の1項以上に記載の化合物であって、Zは出現する毎に同一であるかまたは異なり、O、S、NR、CR2、C(=O)またはC(=CR2)を表していることを特徴とする化合物。
【請求項7】
請求項1ないし6の1項以上に記載の化合物であって、VはB、 BR-、CR、CO-、CN(R12、SiR、N、NO、NR+、P、PR+、PO、PS、As、AsO、AsS、Sb、SbO、SbS、S+またはSe+を表していることを特徴とする化合物。
【請求項8】
請求項1ないし7の1項以上に記載の化合物であって、式(5)の前記配位子部分中の前記基D1およびD2における前記ドナー原子は窒素、リン、酸素および硫黄から選択されることを特徴とする化合物
【請求項9】
請求項1ないし8の1項以上に記載の化合物であって、式(5)の前記配位子部分は置換または未置換のβ−ケトケトネート、β−ケトエステル、β−ジエステル、アミノカルボン酸から誘導されるカルボキシレート、イミノアセトアセトナート、ヒドロオキサメート、ピリジルホスフィン、α−ホスフィノカルボキシレート、グリコールエーテル、エーテルアルコラート、ジアルコールから誘導されるジアルコラート、ジチオールから誘導されるジチオラート、ジアミン、イミン、ジイミン、ジホスフィンおよびサリチルイミンから誘導されるサリチルイミネートから選択されることを特徴とする化合物。
【請求項10】
式(2)の化合物であって、
【化10】

記号および添字が請求項1で説明したのと同じ意味を有している化合物。
【請求項11】
請求項1ないし9の1項以上に記載の化合物の調製方法であって、式(2)の配位子またはこれらの配位子の前駆体の、式(47)の金属アルコキシドとの、式(48)の金属ケトケトネートとの、または式(49)の金属ハロゲン化物との反応による方法。
【化11】

ここで、MおよびR1は上で説明したのと同じ意味を有しており、他の記号および添字に下記が適用される:
Halは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、F、Cl、BrまたはIであり;
Ligは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、中性またはモノアニオン性の、一座または二座配位子であり、たとえばハロゲン化物または水酸化物であり;
pは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、1、2、3、4または5であり、式(47)および式(49)におけるpは金属Mの価数を示しており;
qは、出現する毎に同一であるかまたは異なり、0、1、2、3または4であり、好ましくは0、1または2であり;
ここで式(48)の化合物も荷電していてもよく、対イオンを含んでいてもよい。
【請求項12】
請求項1ないし9の1項以上に記載の1種以上の化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーであって、式(1)の錯体から該ポリマー、該オリゴマーまたは該デンドリマーへの1つ以上の結合が存在しているオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマー。
【請求項13】
請求項1ないし9または請求項12のうちの1項以上に記載の化合物の、電子部品における使用。
【請求項14】
請求項1ないし9または請求項12の1項以上に記載の1種以上の化合物を含む電子部品、特に有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機発光トランジスタ(O−LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検出器、有機フォトレセプタ、有機電界クエンチデバイス(O−FQD)、発光電気化学電池(LEC)または有機レーザーダイオード(O−laser)、特に有機エレクトロルミネセンス素子(OLED、PLED)。
【請求項15】
請求項14に記載の有機エレクトロルミネセンス素子であって、請求項1ないし9の1項以上に記載された化合物が発光層における発光化合物として、好ましくはマトリックス材料と組み合わせて用いられる、または請求項1ないし9の1項以上に記載された化合物が発光層における発光化合物のためのマトリックス材料として、好ましくは燐光発光化合物のためのマトリックス材料として用いられる、または請求項1ないし9の1項以上に記載された化合物が正孔障壁層における正孔障壁材料としておよび/または電子輸送層における電子輸送材料として用いられることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子。

【公表番号】特表2011−515423(P2011−515423A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501118(P2011−501118)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001516
【国際公開番号】WO2009/118087
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】