説明

金属閉鎖形スイッチギヤ

【課題】水が浸入してきたとき、正面扉や背面扉から水の浸入を防ぐことの可能な金属閉鎖形スイッチギヤを提供する。
【解決手段】遮断器のような収納機器8を収納する箱体1と、箱体1に設けられた開閉自在の正面扉2や背面扉3のような外被扉と、外被扉の内側に設けられるとともに、吸水により膨潤して箱体1側と扉側を密閉するパッキン6を備えたことを特徴とする。パッキンは、高分子ゲルのような膨潤パッキンや、空気のような媒体を封入して膨張するものを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、箱体内への水の浸入を防ぎ、収納機器を保護し得る金属閉鎖形スイッチギヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遮断器などの収納機器を収納する箱体には、開閉自在の正面扉や背面扉が設けられており、これらの扉と箱体との間にはパッキンが設けられ、防水や防塵などが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、集中豪雨などで大量の水が電気施設内や電気室などに浸入してきたとき、パッキンの密着が不完全であったりすると、箱体内への水の浸入を防ぐことができなかった。このため、防水性を高めたものが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−41720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、屋外形と屋内形を問わず、大量の水が浸入してきたとき、正面扉や背面扉から水の浸入を防ぐことの可能な金属閉鎖形スイッチギヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、実施形態の金属閉鎖形スイッチギヤは、収納機器を収納する箱体と、前記箱体に設けられた開閉自在の外被扉と、前記外被扉の内側に設けられるとともに、吸水により膨潤して前記箱体に密着する膨潤パッキンと、を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例1に係る金属閉鎖形スイッチギヤの構成を示す斜視図。
【図2】本発明の実施例1に係る金属閉鎖形スイッチギヤの構成を示す要部拡大断面図。
【図3】本発明の実施例2に係る金属閉鎖形スイッチギヤのパッキンを説明する図。
【図4】本発明の実施例3に係る金属閉鎖形スイッチギヤのパッキンを説明する図。
【図5】本発明の実施例4に係る金属閉鎖形スイッチギヤの構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
先ず、本発明の実施例1に係る金属閉鎖形スイッチギヤを図1、図2を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1に係る金属閉鎖形スイッチギヤの構成を示す斜視図、図2は、本発明の実施例1に係る金属閉鎖形スイッチギヤの構成を示す要部拡大断面図である。
【0010】
図1に示すように、箱体1の正面側には開閉自在の正面扉2が設けられ、背面側にも開閉自在の背面扉3が設けられている。正面扉2の内側には、最外周に矩形状の外枠4、その内側に同様の矩形状の内枠5が設けられ、外枠4と内枠5の溝部に、水分の吸収によって膨張する断面矩形状の膨潤パッキン6が設けられている。膨潤パッキン6と対向する箱体1側には、平滑面を有する密着板7が設けられている。背面扉3側も同様の構成である。なお、箱体1内には、遮断器のような収納機器8が収納される。
【0011】
膨潤パッキン6は、例えば、紙おむつなどに用いられるポリアクリル酸ナトリウムのような高分子ゲルからなっており、図2に示すように、吸水前において、外枠4や内枠5の高さよりも僅かに大きく、吸水後には、膨潤して溝部の内面と密着板7に確実に密着するようになっている。なお、寒天のような天然高分子ゲルも用いることができる。
【0012】
これにより、電気室に水が浸入した場合、膨潤パッキン6が膨潤し、正面扉2や背面扉3からの水の浸入を防ぐことができる。なお、膨潤パッキン6は、吸湿により膨潤することがあるので、定期点検などの所定の時期に交換すれば、万が一に水が浸入したとき、確実に膨潤させることができる。
【0013】
ここで、正面扉2と背面扉3をまとめて開閉自在の外被扉と称する。また、この外被扉は、少なくとも一方の扉とする。
【0014】
上記実施例1の金属閉鎖形スイッチギヤによれば、正面扉2と背面扉3に膨潤パッキン6を設けて箱体1を密閉するようにしているので、水が浸入してきたとき、膨潤パッキン6が膨潤して扉側と箱体1側に密着し、内部への水の浸入を防ぐことができ、収納機器8を保護することができる。
【実施例2】
【0015】
次に、本発明の実施例2に係る金属閉鎖形スイッチギヤを図3を参照して説明する。図3は、本発明の実施例2に係る金属閉鎖形スイッチギヤのパッキンを説明する図である。なお、この実施例2が実施例1と異なる点は、パッキンの構造である。図3は、パッキン部分を示している。
【0016】
図3に示すように、膨張パッキン9をチューブタイプとし、開閉弁10と、コンプレッサー11と、水を検出する水センサー12を接続している。水センサー12は床面に設置し、コンプレッサー11は天井面や別室に設置するものとする。膨張パッキン9には、ブチルゴムのようなものを用いる。
【0017】
そして、水が浸入してきたとき、これを水センサー12で検出し、コンプレッサー11を動作させ、開閉弁10を開路して膨張パッキン9を膨張させる。所定の圧力に達すると、開閉弁10を閉路し、コンプレッサー11を停止する。これにより、箱体を密閉することができる。
【0018】
上記実施例2の金属閉鎖形スイッチギヤによれば、膨張パッキン9を空気で膨張させることにより、箱体を密閉することができる。
【実施例3】
【0019】
次に、本発明の実施例3に係る金属閉鎖形スイッチギヤを図4を参照して説明する。図4は、本発明の実施例3に係る金属閉鎖形スイッチギヤのパッキンを説明する図である。なお、この実施例3が実施例2と異なる点は、パッキンの膨張方法である。図4は、パッキン部分を示している。
【0020】
図4に示すように、膨張パッキン9を実施例2と同様に、チューブタイプとし、開閉弁10と、水中ポンプ13と、水センサー12を接続している。水センサー12や水中ポンプ13の取水口は、床面に設置するものとする。
【0021】
そして、水が浸入してきたとき、これを水センサー12で検出し、水中ポンプ13を動作させ、開閉弁10を開路して膨張パッキン9を膨張させる。所定の圧力に達すると、開閉弁10を閉路し、水中ポンプ13を停止する。これにより、箱体を密閉することができる。
【0022】
上記実施例3の金属閉鎖形スイッチギヤによれば、膨張パッキン9を水で膨張させることにより、箱体を密閉することができる。
【実施例4】
【0023】
次に、本発明の実施例4に係る金属閉鎖形スイッチギヤを図5を参照して説明する。図5は、本発明の実施例4に係る金属閉鎖形スイッチギヤの構成を示す斜視図である。なお、この実施例4が実施例1と異なる点は、箱体内を負圧にすることである。図5において、実施例1と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0024】
図5に示すように、箱体1の天井には、開閉弁10と真空ポンプ14を設け、床面に設置した水センサー12で動作するようにしている。
【0025】
そして、水が浸入してきたとき、これを水センサー12で検出し、真空ポンプ14を動作させ、開閉弁10を開路して箱体1内を負圧にする。所定の圧力に達すると、開閉弁10を閉路し、真空ポンプ14を停止する。これにより、膨潤パッキン6をより密着させることができる。
【0026】
上記実施例4の金属閉鎖形スイッチギヤによれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0027】
以上述べたような実施形態によれば、金属閉鎖形スイッチギヤに水が浸入してきたとき、正面扉や背面扉からの水の浸入を防ぐことができ、収納機器を保護することができる。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
1 箱体
2 正面扉
3 背面扉
4 外枠
5 内枠
6 膨潤パッキン
7 密着板
8 収納機器
9 膨張パッキン
10 開閉弁
11 コンプレッサー
12 水センサー
13 水中ポンプ
14 真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納機器を収納する箱体と、
前記箱体に設けられた開閉自在の外被扉と、
前記外被扉の内側に設けられるとともに、吸水により膨潤して前記箱体に密着する膨潤パッキンと、
を備えたことを特徴とする金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項2】
前記膨潤パッキンは、高分子ゲルであることを特徴とする請求項1に記載の金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項3】
前記箱体に、この箱体内を負圧にする真空ポンプを接続し、床面に設けた水センサーにより動作をさせることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項4】
収納機器を収納する箱体と、
前記箱体に設けられた開閉自在の外被扉と、
前記外被扉の内側に設けられたチューブタイプの膨張パッキンと、
前記膨張パッキンに接続されたコンプレッサーと、
前記箱体の床面に設けられるとともに、前記コンプレッサーを動作させる水センサーとを備え、
前記水センサーが水を検出したとき、前記コンプレッサーを動作させ、前記膨張パッキンを膨張させることを特徴とする金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項5】
収納機器を収納する箱体と、
前記箱体に設けられた開閉自在の外被扉と、
前記外被扉の内側に設けられたチューブタイプの膨張パッキンと、
前記膨張パッキンに接続された水中ポンプと、
前記箱体の床面に設けられるとともに、前記水中ポンプを動作させる水センサーとを備え、
前記水センサーが水を検出したとき、前記水中ポンプを動作させ、前記膨張パッキンを膨張させることを特徴とする金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項6】
前記外被扉は、正面扉、背面扉の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の金属閉鎖形スイッチギヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−110797(P2013−110797A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252012(P2011−252012)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】