説明

金属顔料およびそれを配合した紫外線硬化型組成物

【課題】UVメタリック塗料組成物またはUVメタリックインキ組成物のような紫外線硬化型組成物に配合してもゲル化の発生を抑制することができ、かつ発火爆発等の危険性を伴わない金属顔料を提供する。
【解決手段】紫外線硬化型組成物に配合するための金属顔料であって、金属粒子と、その表面を被覆する第1の被膜とを含み、該第1の被膜が、非晶質シリカからなることを特徴とする金属顔料であり、前記第1の被膜は、その表面がシランカップリング剤で処理されている金属顔料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型組成物に配合した場合に経時安定性を向上させ、かつ良好なメタリック感を得ることが可能な金属顔料およびそれを配合した紫外線硬化型組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金属顔料を配合したメタリック塗料およびメタリックインキは、その独特の優れた意匠性から、自動車の外装をはじめ、電気機器、建築物、文房具、事務用機器、通信機器、化粧品などの多くの分野で使用されるようになっている。
【0003】
メタリック塗料を用いて形成される塗膜は、該塗膜に含まれている鱗片状のメタリック顔料(すなわち金属顔料)で外部からの入射光を反射し、キラキラと輝く意匠を示す。光の反射は、塗膜の各色調と相俟って、意匠性に優れた独特の外観を呈する。これらの効果は、メタリックインキを用いて形成される印刷物においても同様である。
【0004】
そして、アルミニウムは金属光沢に優れ、安価な上に比重が小さいため扱いやすい。このため、一般的な自動車用塗装仕上げ、プラスチックの塗装仕上げ、印刷インキ、樹脂成形体などにおけるメタリック性意匠には、主としてアルミニウムフレークを代表とした金属粒子からなる金属顔料が使用されている。
【0005】
一方、塗料分野においては塗装時のVOC(揮発性有機化合物)の飛散および塗料乾燥時のエネルギー消費による多量の二酸化炭素の排出が問題となっている。これらはそれぞれ、光化学オキシダントの原因物質や地球温暖化を引き起こす物質として一般によく知られており、その対策が急がれている。中でも有機溶剤を使用せず、高速硬化性、低公害性、省エネルギー性で有利な紫外線硬化型樹脂を使用したいわゆるUV塗料やUVインキを使用することが益々多くなっている。そのため、UV塗料やUVインキに好適に配合可能なアルミニウムフレークをはじめとする金属顔料に対する需要も拡大しつつある。
【0006】
このように金属顔料を配合したUV塗料およびUVインキは、それぞれUVメタリック塗料およびUVメタリックインキとして知られるが、このようなUVメタリック塗料およびUVメタリックインキの需要の拡大に対応するために、UVメタリック塗料やUVメタリックインキに用いる金属顔料としてアルミニウム顔料を用いる場合には、アルミニウムフレークの表面をステアリン酸やオレイン酸などの高級飽和または不飽和脂肪酸およびその誘導体で被覆したアルミニウム顔料が従来より用いられてきた。
【0007】
しかし、このようなアルミニウム顔料は、UVメタリック塗料中やUVメタリックインキ中に配合した場合の貯蔵安定性が悪く、ゲル化を起こす問題があった。すなわち、アルミニウム顔料を配合したUVメタリック塗料やUVメタリックインキは、貯蔵中にUVメタリック塗料中やUVメタリックインキ中のモノマーおよびオリゴマー成分がアルミニウム顔料表面のアルミニウムイオンなどによって活性化し、ラジカル重合が促進するため、該塗料やインキが容器中でゲル化または凝固するなどの問題が生じていた。なお、このような問題は、アルミニウム顔料以外の金属顔料でも生じていた。このため、UVメタリック塗料やUVメタリックインキの分野においては、一般にほとんどアルミニウム顔料のような金属顔料は使われていなかった。
【0008】
このゲル化の問題を解決するために、特許文献1(国際公開第2005/090487号パンフレット)には、金属フレークとニトロセルロースとを必須の成分として含有するUVメタリックインキまたはUVメタリック塗料に適したメタリック顔料組成物が提案されている。当該提案によりゲル化をある程度抑制することができるようになったものの、さらなる経時安定性の向上が求められている。また、当該提案により使用されるニトロセルロースは容易に発火爆発するものであり、当該メタリック顔料組成物の製造時に危険性を伴うため、安全性の面からその使用が制限されていた。
【0009】
一方、上記提案におけるニトロセルロースは、金属フレークの表面を被覆することによりゲル化を防止していると考えられるが、アルミニウム顔料をはじめとする金属顔料の表面を被覆する材料としては、たとえば各種樹脂、カップリング剤、リン酸化合物、モリブデン化合物、クロム酸化合物、シリカ(特許文献2、3)、およびそれらの併用等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2005/090487号パンフレット
【特許文献2】特開2003−147226号公報
【特許文献3】国際公開第2004/096921号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
UVメタリック塗料またはUVメタリックインキに金属顔料を配合した場合に生じるゲル化の問題を解決するために、金属顔料の表面を他の物質で被覆することが考えられる。金属顔料の表面を被覆する物質としては、上記のようにたとえば各種樹脂、カップリング剤、リン酸化合物、モリブデン化合物、クロム酸化合物、シリカ、およびそれらの併用等が知られている。
【0012】
これらの物質のうち、各種樹脂は、そこに含まれる未反応のモノマー成分がUVメタリック塗料またはUVメタリックインキ中のモノマー成分やオリゴマー成分と反応し、上記と同様のゲル化を発生することが予想される。また、カップリング剤、リン酸化合物、モリブデン化合物、クロム酸化合物は、金属顔料の表面を連続した被膜で十分に被覆することができず、このため金属顔料の表面に存在する金属イオンの影響を十分に抑制できないことからゲル化の発生を十分に防止することはできないと考えられる。
【0013】
一方、シリカによる金属顔料の被覆は、そもそも水性媒体中での金属顔料の安定性を向上させるためのものであるため、シリカで被覆された金属顔料は水性媒体に対する分散性には優れるものの、UVメタリック塗料またはUVメタリックインキのような油性媒体に対しては分散が困難であると考えられていた。しかも、シリカは水との親和性が高く、表面が水和していると考えられるため、この水分の影響やシリカ合成時に用いられる加水分解触媒の残留により、紫外線硬化型樹脂の硬化が阻害されることも予想される。
【0014】
したがって、これらの物質、特にシリカによって金属顔料を被覆することにより、UVメタリック塗料またはUVメタリックインキの通常の使用条件を満足しつつ、上記のようなゲル化の発生を防止することは不可能であると考えられていた。
【0015】
本発明は、このような状況下においてなされたものであって、UVメタリック塗料組成物またはUVメタリックインキ組成物のような紫外線硬化型組成物に配合してもゲル化の発生を抑制することができ、かつ発火爆発等の危険性を伴わない金属顔料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねたところ、従来の予想に反しシリカで被覆した金属顔料において良好な結果が得られるという驚くべき知見が得られ、この知見に基づきさらに検討を重ねることにより、ついに本発明を完成させるに至ったものである。
【0017】
すなわち、本発明の金属顔料は、紫外線硬化型組成物に配合するための金属顔料であって、金属粒子と、その表面を被覆する第1の被膜とを含み、該第1の被膜が、非晶質シリカからなることを特徴としている。
【0018】
ここで、上記第1の被膜は、その表面がシランカップリング剤で処理されていることが好ましい。また、上記金属顔料は、金属粒子100質量部に対して、珪素が0.01〜100質量部の範囲で含まれることが好ましい。
【0019】
また、本発明は、上記の金属顔料を配合した紫外線硬化型組成物にも関し、該紫外線硬化型組成物は、UVメタリック塗料組成物またはUVメタリックインキ組成物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の金属顔料は、UVメタリック塗料組成物またはUVメタリックインキ組成物のような紫外線硬化型組成物に配合してもゲル化の発生を抑制することができ、かつ発火爆発等の危険性を伴わないという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
<紫外線硬化型組成物>
本発明における紫外線硬化型組成物とは、紫外線により硬化して樹脂状の生成物(すなわち被膜や成形体)を生じる組成物であって、具体的には従来公知の所謂UVモノマーやUVオリゴマーをはじめ、光重合開始剤や種々の添加剤を含む組成物である。
【0022】
このような紫外線硬化型組成物の具体例としては、UVメタリック塗料組成物またはUVメタリックインキ組成物等を挙げることができる。
【0023】
<金属顔料>
本発明の金属顔料は、上記のような紫外線硬化型組成物に配合されるためのものであって、金属粒子と、その表面を被覆する第1の被膜とを含み、該第1の被膜が非晶質シリカからなることを特徴としている。
【0024】
本発明の金属顔料は、この第1の被膜を有することにより、これを紫外線硬化型組成物に配合した場合、紫外線硬化型組成物中のUVモノマーやUVオリゴマーが当該金属顔料の表面と直接接触することが抑制されるため、紫外線硬化型組成物の貯蔵中に当該モノマーやオリゴマーが活性化せず、ラジカル重合が促進されないので、貯蔵中の紫外線硬化型組成物がゲル化したり凝固するなどの問題が生じない。
【0025】
また、本発明の金属顔料は、上記第1の被膜の表面をさらにシランカップリング剤で処理すると、紫外線硬化型組成物に含まれる金属顔料以外の成分(特に紫外線により硬化した樹脂)と当該金属顔料との密着性が向上するという効果が得られる。
【0026】
このような本発明の金属顔料は、紫外線硬化型組成物中に通常0.1〜50質量%、好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは3〜20質量%配合される。
【0027】
<金属粒子>
本発明の金属顔料を構成する金属粒子としては、たとえばアルミニウム、亜鉛、銅、銀、ニッケル、チタン、ステンレス、またはこれらの金属を少なくとも1種含む合金などからなる金属粒子を挙げることができる。そして、これらの金属粒子の中でも、アルミニウム粒子、銅粒子、銅と亜鉛の合金粒子は、金属光沢に優れており、安価な上に比重が比較的小さく扱いやすいため、特に好適である。
【0028】
このような金属粒子の形状は、特に限定されず粒状、板状、塊状、フレーク状(鱗片状)、などの種々の形状をとり得るが、塗膜や印刷物に優れたメタリック感および輝度を与えるためには、フレーク状であることが好ましい。
【0029】
金属粒子の平均粒径は、0.1〜100μmの範囲内であることが好ましく、0.5〜60μmの範囲内であることがより好ましい。金属粒子の平均粒径が0.1μm以上である場合、メタリック感あるいは光輝感が良好である。また金属粒子の平均粒径が100μm以下である場合、金属粒子が塗膜やインキ膜の表面に突き出すことを防止でき、該表面の平滑性あるいは鮮映性が低下する危険性が少ない他、製造コストの面でも有利である。このような金属粒子の平均粒径は、レーザー回折法により測定された粒度分布より体積平均を算出して求めることができる。
【0030】
金属粒子としてフレーク状のものを用いる場合、金属粒子の平均厚みは0.001〜5μmの範囲内であることが好ましく、0.005〜2μmの範囲内であることがより好ましい。金属粒子の平均厚みが0.001μm以上である場合、金属粒子は十分な強度を有するため、製造工程中の加工性が良好である。また金属フレークの平均厚みが5μm以下である場合、塗膜やインキ膜の平滑性あるいは鮮映性が低下する危険性が少ない他、製造コストの面でも有利である。
【0031】
厚みは以下の計算によって求められる。
平均厚み(μm)=10000/2.7(g/cm3)×WCA(cm2/g)
(平均厚み(μm)=4000/WCA(cm2/g)と簡易に表すこともできる)
上記式中のWCAは水面拡散面積(cm2/g)を示し、これはJIS K5906に準じて測定することができる。
【0032】
金属粒子としてフレーク状のものを製造するためには、通常、ボールミルやアトライターなどの磨砕メディアを有する磨砕装置を使用して、有機溶媒中で、原料となる金属粉末と磨砕助剤とを湿式磨砕し、金属粉末をフレーク化することによりフレーク状の金属粒子を製造することができる。該磨砕助剤は金属フレーク表面の不必要な酸化を抑制し、光沢を改善する効果を有する。磨砕助剤は特に限定されず、従来公知のものを使用可能であるが、たとえば、オレイン酸、ステアリン酸、などの脂肪酸や、脂肪酸アミン、脂肪酸アミド、脂肪族アルコール、エステル化合物などを好適に使用することができる。
【0033】
金属粉末と磨砕助剤との磨砕時に用いられる有機溶媒は特に限定されず、従来公知のものを使用可能であるが、たとえば、ミネラルスピリット、ソルベントナフサなどの炭化水素系溶剤や、アルコール系、エーテル系、エステル系の溶剤などを使用できる。一般的には、磨砕時における溶媒の引火点などの安全上の問題を考慮して、高沸点の炭化水素系溶剤が好適に使用される。磨砕後、被磨砕物は粗粉除去のためスクリーンを通過し、その後フィルタープレス等を用いて有機溶媒と金属粒子とを固液分離することにより、金属分が約50〜80質量%のフレーク状金属粒子のペーストが得られる。当該ペースト中の有機溶媒の含有量は、塗膜やインキ膜の高速硬化性を確保するという観点からは可能な限り少ない方が好ましい。
【0034】
<第1の被膜>
本発明の第1の被膜は、非晶質シリカからなる。この第1の被膜は、金属粒子の表面を被覆するものであるが、金属粒子表面と直接接するようにして形成されていてもよいし、後述する下地層を介して形成されていてもよい。本発明においては、このように第1の被膜が下地層を介して(すなわち下地層上に)形成される場合であっても、「金属粒子の表面を被覆する」と表現するものとする。
【0035】
ここで、非晶質シリカとは、結晶構造を持たない無定形シリカを意味し、具体的にはシロキサン(H3SiO(H2SiO)mSiH3)、シリカ水和物(SiO2・mH2O)、シリカ水酸化物(SiOn(OH)4-2n)などを含むものとする。なお、上記式中mは任意の正の整数を表わし、nは0≦n≦2の範囲の数を表わす。
【0036】
非晶質シリカは、非常に緻密な層構造を有しており紫外線硬化型組成物中に含まれるUVモノマーやUVオリゴマーに対して非常に安定であり、さらに金属粒子が当該非晶質シリカからなる第1の被膜により完全に覆われているので、本発明の金属顔料は、紫外線硬化型組成物中で非常に安定である。
【0037】
また、本発明の第1の被膜は、非晶質シリカのみからなる被膜である必要はなく、本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加物や不純物を含んでいてもよい。すなわち、本発明において「非晶質シリカからなる」とは、非晶質シリカのみからなる場合だけではなく、このように他の成分が含まれる場合も含まれる。
【0038】
このような本発明の第1の被膜を形成する方法としては、後述の下地層を有する、あるいは有しない金属粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒とを含む分散溶液のpHを調整することにより、該有機珪素化合物を加水分解させて金属粒子の表面または下地層の表面に当該第1の被膜を析出する方法を例示することができるが、これに限定されるものではなく、どのような公知の方法を用いてもよい。上記で例示した方法を採用する場合は、分散溶液を適当な速度で撹拌することにより各成分を均一に分散または溶解させることが好ましい。
【0039】
なお、上記の方法においては、加水分解触媒を添加することにより分散溶液のpH値を調整することが製造工程の簡略化のためには好ましいが、分散溶液のpH値を調整する方法はこのように加水分解触媒を添加する方法のみに限定されるものではなく、他の酸性化合物および/またはアルカリ性化合物を用いて分散溶液のpHを調整してもよい。
【0040】
ここで、本明細書において、「有機珪素化合物」とは、有機珪素化合物と有機珪素化合物の縮合物との両者を含む概念とする。
【0041】
そして、本発明に用いられる有機珪素化合物としては、特に限定されず、下地層を有する、あるいは有しない金属粒子と該有機珪素化合物と加水分解触媒とを含む分散溶液のpHを調整することにより、該有機珪素化合物を加水分解させて、金属粒子の表面または下地層の表面に第1の被膜を形成することのできる公知の有機珪素化合物およびその縮合物を挙げることができる。
【0042】
このような有機珪素化合物の具体例としては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトライソプロポキシシランなど、およびそれらの縮合物などが挙げられる。また、これらの有機珪素化合物は、一種のものを単独で使用してもよく、二種以上のものを併用してもよい。
【0043】
本発明に用いられる加水分解触媒としては、特に限定されず、下地層を有する、あるいは有しない金属粒子と有機珪素化合物と該加水分解触媒とを含む分散溶液のpHを調整することにより、該加水分解触媒の働きにより有機珪素化合物が加水分解して、該金属粒子の表面または下地層の表面に第1の被膜を形成する公知の加水分解触媒を用いることができる。
【0044】
このような加水分解触媒の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア、エチレンジアミン、t−ブチルアミン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、n−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、n−2−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、尿素、珪酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの塩基性加水分解触媒や、蓚酸、酢酸、硝酸、硫酸、燐酸、ホスホン酸などの酸性加水分解触媒などが挙げられる。
【0045】
ここで、上記の加水分解工程における反応速度の面からは、酸性加水分解触媒よりも塩基性加水分解触媒を用いる方が好ましい。また、上記の塩基性加水分解触媒の中でも、トリエタノールアミン、アンモニア、エチレンジアミン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、などが品質などの面から特に好ましい。
【0046】
また、下地層を有する、あるいは有しない金属粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒とを含む分散溶液の溶媒としては、親水性溶剤を用いることが好ましい。具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、アセトンなどを用いることができるが、特に金属粒子としてアルミニウム粒子を用いる場合にはアルミニウム粒子と水との異常反応を避けるという点で好ましい。
【0047】
ただし、これらの親水性溶剤には水が含まれていてもよい。金属粒子としてアルミニウム粒子を用いる場合にはアルミニウム粒子と水との異常反応を避けるという観点から、親水性溶剤における水の含有量は20質量%以下であることが特に好ましい。
【0048】
また、この下地層を有する、あるいは有しない金属粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒を含む分散溶液においては、金属粒子100質量部(本発明においては下地層を有する場合であっても金属粒子のみの質量部とする)に対して、有機珪素化合物の含有量は2質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であればより好ましい。また、この有機珪素化合物の含有量は200質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であればより好ましい。
【0049】
有機珪素化合物の含有量が2質量部未満の場合には、第1の被膜が金属粒子の表面を被覆するほどに十分に形成されない傾向があり、有機珪素化合物の含有量が200質量部を超えると、金属粒子の凝集や光輝感の低下が顕著となる傾向がある。なお、有機珪素化合物を添加する際には、徐々に加えてもよいし一度に加えてもよい。
【0050】
また、この下地層を有する、あるいは有しない金属粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒を含む分散溶液においては、金属粒子100質量部に対して、加水分解触媒の含有量は0.1質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であればより好ましい。また、この加水分解触媒の含有量は20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であればより好ましい。
【0051】
加水分解触媒の含有量が0.1質量部未満の場合には、第1の被膜を構成する非晶質シリカの析出量が不十分となる傾向があり、加水分解触媒の含有量が20質量部を超えると、金属粒子の凝集が顕著となる傾向がある。
【0052】
また、この下地層を有する、あるいは有しない金属粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒を含む分散溶液においては、金属粒子100質量部に対して、親水性溶剤の含有量は500質量部以上であることが好ましく、1000質量部以上であればより好ましい。また、この親水性溶剤の含有量は10000質量部以下であることが好ましく、5000質量部以下であればより好ましい。
【0053】
親水性溶剤の含有量が500質量部未満の場合には、スラリーの粘度が高くなり撹拌が困難となる傾向があり、親水性溶剤の含有量が10000質量部を超えると、処理液の回収、再生コストが大きくなる傾向がある。
【0054】
さらに、この下地層を有する、あるいは有しない金属粒子の表面に、第1の被膜を形成する工程においては、該工程中の分散溶液の温度は20℃以上であることが好ましく、30℃以上であればより好ましい。また、この工程中の分散溶液の温度は、90℃以下であることが好ましく、80℃以下であればより好ましい。
【0055】
この工程中の分散溶液の温度が20℃未満の場合には、非晶質シリカの形成速度が遅くなり、処理時間が長くなる傾向があり、この工程中の分散溶液の温度が90℃を超えると、反応が暴走する危険性が大きくなる傾向がある。
【0056】
また、この下地層を有する、あるいは有しない金属粒子の表面に、第1の被膜を形成する工程においては、反応時間は1時間以上であることが好ましく、3時間以上であればより好ましい。また、この反応時間は、48時間以下であることが好ましく、24時間以下であればより好ましい。この反応時間が1時間未満の場合には、第1の被膜の形成が不十分となる傾向があり、この反応時間が48時間を超えると、処理コストが大きくなる傾向がある。
【0057】
ここで、この下地層を有する、あるいは有しない金属粒子の表面に、第1の被膜を形成する工程においては、反応中に分散溶液のpH値が変化するので、適宜pH値を調整する必要がある。その際、加水分解触媒を添加することによりpH値を調整することが望ましいが、本発明の金属顔料の効果(特性)を損なわない範囲で、他の酸性および/またはアルカリ性の化合物を用いて分散溶液のpHを調整してもよい。
【0058】
そして、この下地層を有する、あるいは有しない金属粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒を含む分散溶液においては、塩基性加水分解触媒を用いる場合には、pHが7以上であることが好ましく、7.5以上であればより好ましい。また、この分散溶液のpHは11以下であることが好ましく、10以下であればさらに好ましい。
【0059】
この分散溶液のpHが7未満の場合には、非晶質シリカの形成速度が小さくなる傾向があり、この工程中の分散溶液のpHが11を超えると、金属粒子の凝集や光輝性の低下が大きくなる傾向がある。
【0060】
なお、この下地層を有する、あるいは有しない金属粒子の表面に、第1の被膜を形成する工程においては、酸性加水分解触媒を用いるよりも塩基性加水分解触媒を使用する方が、非晶質シリカの形成速度が速く生産性が良好であるため好ましい。
【0061】
一方、この下地層を有する、あるいは有しない金属粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒を含む分散溶液においては、酸性加水分解触媒を用いる場合には、pHが1.5以上であることが好ましく、2以上であればより好ましい。また、この分散溶液のpHは4以下であることが好ましく、3以下であればさらに好ましい。
【0062】
この分散溶液のpHが1.5未満の場合には、反応が暴走する危険性が大きくなる傾向があり、この工程中の分散溶液のpHが4を超えると、非晶質シリカの析出速度が小さくなる傾向がある。
【0063】
本発明の第1の被膜の厚みは、1〜500nmの範囲内であることが好ましい。1nm以下の場合は、紫外線硬化型組成物中のUVモノマーおよびUVオリゴマーに対する反応の抑制が困難となり、貯蔵安定性が低下する。また、500nm以上の場合は塗膜の色調が低下し、また隠ぺい力が低下するため、好ましくない。第1の被膜のより好ましい厚みは、10〜350nmであり、さらに好ましい厚みは、20〜200nmである。
【0064】
なお、第1の被膜の厚みは、TEM(透過型電子顕微鏡)による観察にて測定することができるが、その厚みが50nm以下となる場合にはXPS(X線光電子分光法)により測定することが好ましい。
【0065】
<シランカップリング剤による処理>
本発明の金属顔料は、第1の被膜の表面をシランカップリング剤で処理することができる。すなわち、本発明の第1の被膜は、その表面がシランカップリング剤で処理されていてもよい。このように第1の被膜の表面をシランカップリング剤で処理することにより、紫外線硬化型組成物中のモノマーおよびオリゴマーに対する反応性をさらに抑制することができるとともに、密着性(金属顔料と樹脂との密着性および被塗物との密着性)などの塗膜物性の向上や、紫外線硬化型組成物中での分散性の改善、金属粒子の配向性改善など、さまざまな効果が期待できる。
【0066】
第1の被膜の表面がシランカップリング剤で処理される場合、第1の被膜の表面は、シランカップリング剤からなる単一被膜で被覆されるような状態であってもよいし、シランカップリング剤が第1の被膜を構成する非晶質シリカや、第1の被膜中に残存する上記有機珪素化合物と反応することにより第1の被膜とシランカップリング剤との複合被膜を形成しているような状態であってもよい。
【0067】
このようなシランカップリング剤による処理は、通常、シランカップリング剤が加水分解され、第1の被膜を構成する非晶質シリカ中の水酸基と反応することにより行なわれるものと考えられる。
【0068】
シランカップリング剤としては、たとえばメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、n−メチル−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エポキシ−シラン)、n−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、n−アミノエチル−3−アミノプロピル−メチル−ジメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−メチル−ジメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピル−メチル−ジメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−メチルジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシ)シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ユレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン、3−アニリドプロピルトリメトキシシラン、3−(4,5−ジヒドロイミダゾールプロピルトリエトキシ)シラン、n−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0069】
特に好ましいシランカップリング剤として下記の化合物を挙げることができる。
A−Si(ORB3またはRA−SiRB(ORB2またはRA−SiRA(ORB2
A:炭素数2〜18のアルキル基またはアリール基またはアルケニル基
B:炭素数1〜3のアルキル基
具体的には、下記の化合物が例示される。
【0070】
たとえば、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0071】
本発明の第1の被膜の表面をシランカップリング剤で処理する方法は、第1の被膜を形成する方法とほぼ同様であり、シランカップリング剤を加水分解することにより行なうことができる。そして、シランカップリング剤は、通常、第1の被膜に含まれる非晶質シリカ中の水酸基と反応することになる。
【0072】
より具体的には、下地層を有する、あるいは有しない金属粒子と有機珪素化合物とシランカップリング剤と加水分解触媒とを含む分散溶液のpHを調整することにより、該有機珪素化合物およびシランカップリング剤を加水分解させて、下地層を有する、あるいは有しない金属粒子上に第1の被膜が形成され、かつその表面がシランカップリング剤により処理されることになる。
【0073】
この場合、有機珪素化合物の加水分解による第1の被膜の形成とシランカップリング剤の加水分解による処理とを段階的に行なわせるために、加水分解により一旦第1の被膜を形成した後にシランカップリング剤を添加し、さらにそれを加水分解させることによって、第1の被膜の表面をシランカップリング剤で処理することが好ましい。
【0074】
なお、シランカップリング剤で処理するための反応溶媒、温度、加水分解触媒などの諸条件は、上記第1の被膜を形成するときの条件と同様である。
【0075】
シランカップリング剤の量は金属粒子100質量部に対し、0.1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。シランカップリング剤の量が0.1質量部未満の場合は所望の効果が得られない傾向があり、20質量部を超えると未反応のシランカップリング剤が多くなり、塗膜物性などが低下する傾向がある。
【0076】
金属粒子に、下地層(形成される場合のみ)、および第1の被膜を形成後、シランカップリング剤による処理が終了した後は、水を含まない上記の親水性溶剤を用いて分散溶液を洗浄した後フィルターを用いて濾過して、本発明の金属顔料を含有するケーキから水と未反応物を除去することが好ましい。
【0077】
また、その後必要に応じて、本発明の金属顔料を含有するケーキを100〜500℃の範囲の温度で加熱処理してもよい。
【0078】
なお、金属粒子表面に対して、下地層を形成する工程と、第1の被膜を形成する工程と、シランカップリング剤により処理する工程とは、異なる分散溶液中で行なってもよいし、あるいは同じ分散溶液中で適宜成分を調整した上で連続して行なうことも可能である。
【0079】
<珪素含有量>
本発明の金属顔料は、金属粒子100質量部に対して、珪素が0.01〜100質量部の範囲で含まれることが好ましい。ここで、上記珪素の含有量(質量部)は、第1の被膜に含まれる(すなわち非晶質シリカに含まれる)珪素元素の量を示すものであるが、第1の被膜の表面がシランカップリング剤で処理されている場合は、さらにそのシランカップリング剤に含まれる珪素元素の量をも加算したものをいうものとする。上記珪素の含有量は、より好ましくは金属粒子100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下である。
【0080】
この珪素の含有量が0.01質量部よりも少ない場合には、紫外線硬化型組成物中での金属顔料の安定性が低下する傾向があり、この珪素の含有量が100質量部を超えると、金属顔料が凝集したり、隠蔽性が低下したり、金属光沢感などの色調が損なわれるといった問題が生じる場合がある。
【0081】
<下地層>
本発明の金属顔料は、金属粒子上に下地層を形成し、この下地層上に第1の被膜を形成することができる。この下地層は、第1の被膜を形成する際において、第1の被膜が析出するための核となって、第1の被膜が形成されることを促進する作用を有する。これにより、第1の被膜の厚みが均一となり、紫外線硬化型組成物中に含まれるUVモノマーまたはUVオリゴマーとの反応の抑制をより十分に行なうことができる。
【0082】
このような下地層の例としては、モリブデンを含む酸化物、水酸化物、水和物の少なくともいずれかで構成される単独膜または混合物膜からなる層(以下「モリブデンを含む層」と記す)や金属粒子を構成する金属元素の酸化物を含む層等が例示できるが、これらのみに限定されるものではない。
【0083】
金属粒子表面に下地層としてモリブデンを含む層を形成する方法は特に限定されないが、好ましい方法としては、たとえば以下のような方法を挙げることができる。すなわち、金属粒子と、下記のようなモリブデン化合物を含む溶液とを、スラリー状態またはペースト状態で混合し撹拌または混練することにより、金属粒子表面にモリブデンを含む水和膜を形成し、その後加熱により酸化膜とする方法が挙げられる。このようなモリブデンを含む層の形成方法としては、たとえば特開平09−328629号公報等に開示されている従来公知の方法が採用され得る。
【0084】
モリブデンを含む層の形成に用いられるモリブデン化合物としては、組成式Moxy・mH22・nH2O(ただし、xは1または2、yは2〜5の整数、m,nは任意の正数を示す)で示される過酸化ポリモリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸等を例示することができる。たとえば過酸化ポリモリブデン酸は過酸化水素水溶液(濃度5〜40質量%)に金属モリブデン粉末や酸化モリブデン等を溶解することにより調製することができる。これらのモリブデン化合物は、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、アセトン等の親水性溶媒に溶解して処理溶液とする。処理溶液には水が含まれていてもよい。
【0085】
モリブデンを含む層中のモリブデンの量は、金属粒子100質量部に対し、0.01〜3.0質量部、さらに好ましくは0.05〜2.0質量部が好適である。モリブデンの量は、処理される金属粒子の比表面積に応じて変化させることが望ましい。比表面積の大きい金属粒子に対してはモリブデンの量を多くし、比表面積の小さい金属粒子に対しては少なくすることが好ましい。モリブデンの量が金属粒子100質量部に対し0.01質量部以上である場合、第1の被膜の厚みの均一性や第1の被膜を形成する際の金属粒子の化学的安定性が良好であり、3.0質量部以下である場合、たとえば金属光沢感等の金属粒子の色調の低下や金属粒子の凝集が防止されるとともに、耐湿性、密着性、耐候性等の塗膜物性が良好に維持される。
【0086】
一方、金属粒子表面に下地層として金属粒子を構成する金属元素の酸化物を含む層を形成する方法は特に限定されないが、好ましい方法としては、たとえば金属粒子の表面を過酸化水素で処理することにより当該酸化物を形成する方法を挙げることができる。金属粒子の表面を過酸化水素で処理することにより、金属粒子表面に吸着している脂肪酸が取り除かれるとともに、金属粒子の表面が酸化されて、該金属粒子を構成する金属元素の酸化物を含む層が形成される。これにより、金属粒子の表面は、該層が起点となり第1の被膜が成長し易い表面状態になる。
【0087】
上記方法をより具体的に説明すると、金属粒子と過酸化水素を含む溶液とをスラリー状態またはペースト状態で混合し撹拌または混練することにより、金属粒子表面に当該金属粒子を構成する金属元素を含む水和膜を形成し、その後加熱により該水和膜を酸化膜とする方法等を例示できる。たとえば、金属粒子としてアルミニウム粒子を使用し当該アルミニウム粒子と過酸化水素を含む溶液とをスラリー状態またはペースト状態で混合し攪拌または混練すると、アルミニウム粒子表面にはアルミニウムを含む水和膜が形成され、これをさらに加熱することにより酸化アルミニウム膜、ベーマイト被膜のような酸化膜が形成される。
【0088】
上記において過酸化水素を含む溶液としては、典型的には、過酸化水素を溶媒に溶解してなる溶液を使用できる。溶媒としては、水の他、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、ケトン系の有機溶剤等を使用でき、水と有機溶剤との混合溶剤等も使用できる。溶液中の過酸化水素濃度は、0.0001〜45質量%の範囲が好ましい。
【0089】
<用途等>
本発明の金属顔料は、紫外線硬化型組成物に配合するためのものである。本発明は、このような金属顔料に関するばかりではなく、当該金属顔料を配合した紫外線硬化型組成物にも関する。そして、本発明の紫外線硬化型組成物は、UVメタリック塗料組成物またはUVメタリックインキ組成物であることが好ましい。
【0090】
本発明の金属顔料を紫外線硬化型組成物に配合すると、紫外線硬化型組成物中のUVモノマーやUVオリゴマーが活性化せず、ラジカル重合が促進されないので、当該紫外線硬化型組成物が貯蔵中にゲル化したり、凝固するなどという問題が生じない。
【0091】
一般的に、UVメタリック塗料組成物やUVメタリックインキ組成物の成分は、主として樹脂成分、光重合開始剤、などから成る。ここで、UVメタリックインキ組成物は原則として有機溶剤を含まず100%固形化する成分で構成されるのが主流である。一方、UVメタリック塗料組成物はレベリングの問題で粘度を下げるために10〜20%の希釈剤を使用する場合がある。
【0092】
UVメタリック塗料組成物およびUVメタリックインキ組成物には、本発明の金属顔料をUVメタリック塗料組成物およびUVメタリックインキ組成物中に0.1〜50質量%の範囲内となるように配合することが好ましい。当該金属顔料の配合量が0.1質量%以上である場合には十分なメタリック効果が得られ、50質量%以下である場合にはUVメタリック塗料組成物およびUVメタリックインキ組成物の物性、耐候性、耐食性、機械強度等に悪影響を及ぼす危険性が少ない。
【0093】
UVメタリック塗料組成物やUVメタリックインキ組成物の樹脂成分としては一般的には紫外線で硬化するものが用いられる。紫外線で硬化する樹脂成分としては、反応性モノマー(すなわちUVモノマー)や反応性オリゴマー(すなわちUVオリゴマー)から構成されるものが挙げられる。これらのモノマーやオリゴマーは紫外線により硬化(重合)され樹脂状のものとなるが、UVメタリック塗料組成物やUVメタリックインキ組成物には、ポリマーが含有されていてもよい。
【0094】
反応性モノマーとしては、特に限定されないが、たとえば2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、テトラヒドロフルフリール誘導体のアクリレートなどの単官能モノマー、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシビバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートなどの二官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの三官能モノマーが挙げられる。
【0095】
また、反応性オリゴマーとしては、たとえばポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート(たとえば、ジグリセリンポリグリシジルエーテルアクリレート)等が挙げられる。また、ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、たとえば、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ニトロセルロース樹脂、フッ素樹脂などで不飽和二重結合を有する樹脂が好適に使用可能である。
【0096】
なお、近年においては当該樹脂成分として紫外線硬化型の水溶性樹脂やエマルション樹脂を使用するケースもあるが、それらを含有していてもよい。また、希釈剤(溶媒)として、少量であれば一般的な有機溶剤や水を含有してもよい。
【0097】
希釈剤としては、特に限定されないが、たとえばフタル酸化合物、モノマー等が例示される。フタル酸化合物としては、フタル酸モノメチルエステル、フタル酸モノエチルエステル、フタル酸モノフェニルエステル、フタル酸モノベンジルエステル、フタル酸モノシクロヘキシルエステル、フタル酸ジメチルエステル、フタル酸ジエチルエステル、フタル酸メチルエチルエステル、フタル酸ジブチルエステル、フタル酸ジオクチルエステル、フタル酸ジヘキサデシルエステル、フタル酸ジシクロヘキシルエステル、フタル酸ジフェニルエステル、フタル酸ジ−α−ナフチルエステル、フタル酸ジベンジルエステルなどが挙げられる。モノマーとしては、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、テトラヒドロフルフリール誘導体のアクリレートなどの単官能モノマー、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシビバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートなどの二官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの三官能モノマーが挙げられる。
【0098】
一方、光重合開始剤としては、たとえばラジカル系光重合開始剤を挙げることができるが特に限定されるものではない。ラジカル系光重合開始剤としては、次のようなものを挙げることができる。たとえばアルキルフェノン系光重合開始剤として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−チルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられ、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤として、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられ、チタノセン系光重合開始剤として、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等が挙げられる。その他の光重合開始剤としてオキシムエステル化合物である1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)やオキシフェニル酢酸エステル化合物であるオキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステル等を挙げることができる。また、通常はこれらのラジカル系光重合開始剤を混合して用いることが通例であり、ベンゾフェノンなどと併用して用いられることもある。
【0099】
また、本発明のUVメタリック塗料組成物やUVメタリックインキ組成物には、必要に応じて、キナクリドンレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、イソインドリノンイエロー、カーボンブラック、ペリレン、アゾレーキ等の有機顔料、酸化鉄、酸化チタン、コバルトブルー、亜鉛華、群青、酸化クロム、マイカ、黄鉛等の無機顔料、沈降防止剤、増粘剤、静電気除去剤、分散剤、酸化防止剤、艶出し剤、界面活性剤、合成保存剤、潤滑剤、フィラー(強化剤)、ワックス、消泡剤、レベリング剤、安定剤等を添加してもよい。さらに、酸性燐酸エステル、ニトロセルロース、カルボジイミド化合物などを添加してもよい。
【0100】
UVメタリック塗料組成物を用いて塗布または塗装する方法としては、刷毛塗り、ドクターブレード、ロールコーター、バーコーター等で塗布する方法、スプレー等で塗装する方法等が挙げられる。
【0101】
UVメタリックインキ組成物を用いて印刷する方法としては、公知の印刷方法が挙げられ、たとえばグラビア印刷等の凹版印刷、オフセット印刷(転写印刷)、スクリーン印刷、フレキソ印刷、その他の凸版印刷、平版印刷等が挙げられる。また、本発明のUVメタリックインキ組成物は、インクジェット印刷用としても好適に用いることができる。
【0102】
本発明の金属顔料を配合するUVメタリック塗料組成物やUVメタリックインキ組成物による塗膜については、電着塗装などによる下塗り層や中塗り層の上に形成されていてもよく、また当該塗装塗膜の上にトップコート層が形成されていてもよい。トップコート層の塗料はUV、溶剤、水性など、いずれのタイプのものでもよい。
【0103】
当該塗装塗膜の厚みは、特に限定されるものではないが、一般的な実施形態においては、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であればより好ましい。また、該厚みは、100μm以下であることが好ましく、30μm以下であればより好ましい。
【0104】
該厚みが1μm未満の場合には、インキ、塗料による下地の隠蔽効果が不足となる傾向があり、該厚みが100μmを超えると、紫外線の伝達が不十分となり、塗膜中で硬化の弱い部位が発生する危険がある。また、乾燥が困難となるため、ワキ、タレなどの欠陥が多くなる傾向がある。
【実施例】
【0105】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0106】
<実施例1>
過酸化水素を30質量%含む過酸化水素水3gに金属モリブデン粉末0.3gを少しずつ加えることにより、過酸化水素と金属モリブデンとを反応させて得られた溶液をイソプロピルアルコール(以下IPAと略す)500gに溶解した。さらに、この溶液に金属粒子として市販のアルミニウム粒子(商品名:「5422NS」、東洋アルミニウム(株)製、固形分75質量%、平均粒径19μm)40g(アルミニウム分として30g)を加えスラリーとし、このスラリーを75℃で1時間攪拌混合することにより、モリブデンを含む層である下地層を金属粒子上に形成した。
【0107】
その後、上記スラリーにアンモニア水と水80gとを加え、スラリーのpHを10に調整した。pHを調整したこのスラリーに、テトラエトキシシラン(以下TEOSと記す)40gを40gのIPAに溶解したものを徐々に滴下し、さらに75℃で2時間攪拌混合した。次いで、得られたスラリーをフィルターで固液分離し、さらに残留するIPAおよびアンモニアを除去するとともに、非晶質シリカ内の水和物等の脱水を行なうために120℃で12時間乾燥させることにより、下地層を有する金属粒子の表面を非晶質シリカ(第1の被膜)で被覆した粉末状の金属顔料(アルミニウム顔料)を得た(固形分100質量部)。得られた金属顔料の珪素含有量をプラズマ発光分析で定量した結果、金属粒子(アルミニウム粒子)100質量部に対して、珪素の含有量が15.7質量部であった。また、第1の被膜の厚みをTEMによる直接観察で測定したところ、約60nmであった。
【0108】
このようにして得られた金属顔料を用いて、後述の「UVメタリック塗料組成物の配合」に従いUVメタリック塗料組成物を調製し、貯蔵安定性を評価した。その結果を表1に示す。
【0109】
<実施例2>
実施例1と同様にして、モリブデンを含む層である下地層を金属粒子上に形成したスラリーを得た。このスラリーにモノエタノールアミンを加えスラリーのpH値を8.5に調整した。
【0110】
次に、pHを調整したスラリーに、TEOS40gを40gのIPAに溶解したものを徐々に滴下しながら50℃で6時間撹拌した。次いで、このスラリーにデシルトリメトキシシラン2gを加え、さらに50℃で4時間撹拌した。途中2時間毎にスラリーのpH値をチェックし、モノエタノールアミンを加えることによりpH値が8.5になるように調整した。
【0111】
上記の反応終了後、スラリーをフィルターで固液分離し、得られた金属顔料を含むスラリーを120℃で12時間乾燥することにより、下地層を有する金属粒子の表面を非晶質シリカ(第1の被膜)で被覆し、さらにその第1の被膜の表面をシランカップリング剤で処理してなる、粉末状の金属顔料(アルミニウム顔料)を得た(固形分100質量部)。得られた金属顔料の珪素含有量をプラズマ発光分析で定量した結果、金属粒子(アルミニウム粒子)100質量部に対して、珪素の含有量が14.5質量部であった。また、第1の被膜の厚みをTEMによる直接観察で測定したところ、約55nmであった。
【0112】
このようにして得られた金属顔料を用いて、後述の「UVメタリック塗料組成物の配合」に従いUVメタリック塗料組成物を調製し、貯蔵安定性を評価した。その結果を表1に示す。
【0113】
<比較例1>
金属顔料として、市販のアルミニウム粒子(商品名:「5422NS」、東洋アルミニウム(株)製、固形分75質量%、平均粒径19μm)を用いて、後述の「UVメタリック塗料組成物の配合」に従いUVメタリック塗料組成物を調製し、貯蔵安定性を評価した。その結果を表1に示す。
【0114】
<比較例2>
市販のアルミニウム粒子(商品名:「5422NS」、東洋アルミニウム(株)製、固形分75質量%、平均粒径19μm)133g(アルミニウム分として100g)に対して、表面処理剤としてブチルアシッドホスフェート2gを添加し、ニーダーミキサーにて30分間ミキシングを行ない、表面処理アルミニウムペーストを作製した。
【0115】
得られた表面処理アルミニウムペースト135gに対して、ニトロセルロース10質量部をアクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル90質量部に溶解した溶液を30g配合し、ニーダーミキサーで30分間ミキシングしてアルミニウム顔料組成物(金属分60質量部)を得た。
【0116】
金属顔料として、得られたアルミニウム顔料組成物(アルミニウム粒子の表面をニトロセルロースで被覆したもの)を用いて、後述の「UVメタリック塗料組成物の配合」に従いUVメタリック塗料組成物を調製し、貯蔵安定性を評価した。その結果を表1に示す。
<UVメタリック塗料組成物の配合>
成分 質量部
1. Oligomer(EA−5720) 30
2. DPHA 20
3. TMPTA 30
4. Irgacure 184 3
5. Irgacure 754 2
6. Irgacure 819 1
7. 金属顔料(固形分) 14
上記配合中、各成分の詳細は以下の通りである。
【0117】
1. Oligomer(EA−5720):商品名「NK オリゴ EA−5720」(ジグリセリンポリグリシジルエーテルアクリレート)、新中村化学工業株式会社製
2. DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、共栄社化学製
3. TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製
4. Irgacure 184:ヒドロキシシクロヘキシル フェニル ケトン、 チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製
5. Irgacure 754:オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製
6. Irgacure 819:フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製
7.金属顔料:実施例および比較例で得られた金属顔料
なお、上記1はUVオリゴマー、2および3はUVモノマー、4〜6は光重合開始剤である。
【0118】
【表1】

【0119】
表1中、「塗料分散性」とは、UVメタリック塗料組成物の製造直後の分散性を目視評価したものである。評価基準は以下の通りである。
A:金属顔料が塗料中によく分散し、塗料表面の金属光沢が強い。
B:金属顔料が塗料中に分散し、塗料表面に金属光沢がある。
C:金属顔料が塗料中に一応分散するが、なじみが悪く塗料表面に金属光沢がない。
D:金属顔料が塗料と全くなじまず、塗料表面がグレー色を呈する。
すなわち、「A」が最も良好な分散性を示し、「D」が最も分散性が悪いことを示す。
【0120】
なお、「60℃×3日間」および「60℃×7日間」は、いずれもUVメタリック塗料組成物の貯蔵安定性を評価したものであり、それぞれ製造後60℃で3日間、および60℃で7日間、保管(貯蔵)した場合の結果を示している。なお、「固化」とは、「ゲル化」がさらに進行し、全く流動性を示さない状態をいう。
【0121】
表1より明らかなように、本発明にかかる実施例1および実施例2の金属顔料は、比較例の金属顔料に比し、良好な貯蔵安定性を示し、一定期間貯蔵後においても問題なく塗布/塗装することができた。
【0122】
すなわち、本発明の金属顔料は、UVメタリック塗料組成物またはUVメタリックインキ組成物のような紫外線硬化型組成物に配合してもゲル化の発生を抑制することができ、かつニトロセルロースのような危険物質を含有しないため発火爆発等の危険性を伴わないという優れた効果を有することは明らかである。
【0123】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
【0124】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化型組成物に配合するための金属顔料であって、
金属粒子と、その表面を被覆する第1の被膜とを含み、
前記第1の被膜は、非晶質シリカからなる、金属顔料。
【請求項2】
前記第1の被膜は、その表面がシランカップリング剤で処理されている、請求項1記載の金属顔料。
【請求項3】
前記金属顔料は、前記金属粒子100質量部に対して、珪素が0.01〜100質量部の範囲で含まれる、請求項1または2に記載の金属顔料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の金属顔料を配合した紫外線硬化型組成物。
【請求項5】
前記紫外線硬化型組成物は、UVメタリック塗料組成物またはUVメタリックインキ組成物である、請求項4記載の紫外線硬化型組成物。

【公開番号】特開2011−137083(P2011−137083A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297795(P2009−297795)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(399054321)東洋アルミニウム株式会社 (179)
【Fターム(参考)】