金属顔料組成物及びその製造方法

【課題】水性塗料、水性インキ等に用いた場合に、貯蔵時の水素ガス発生量が少なくて保存安定性に優れると共に、塗膜の光輝性、隠蔽性及びフリップフロップ感に優れる金属顔料組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係る金属顔料組成物は、金属酸化物及び金属酸化物のアルカリ金属塩並びに金属酸化物のアンモニウム塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属酸化物系化合物と、1種または2種以上のリン化合物とを反応させて得られるリン含有金属化合物と、金属顔料と、を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック塗装、自動車の車体塗装等に使用される水性塗料、水性インキ等に配合される金属顔料組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塗装分野では、無公害化、作業環境改善のために、極力有機溶剤を使用しないハイソリッド型塗料や、溶媒として水を用いた水性塗料が多く用いられるようになってきている。加えて、水性塗料の技術的改良の進歩により、これまで溶剤型塗料でしか得られなかった高級感のある塗膜が、水性塗料でも実現可能になってきている。
【0003】
しかし、アルミニウム等の金属顔料を含むメタリック塗装においては、実用可能な水性塗料は、現状では少ないのが実状である。実用可能な水性メタリック塗料が少ない主な理由は、アルミニウム等の金属顔料は、水性塗料中の水と反応して水素ガスを発生するためである。このように水素ガス発生量が多いと、塗料製造時、該塗料を用いた塗装作業時において安全面が懸念されるところであるし、塗料の貯蔵中に反応で発生した水素ガスにより貯蔵容器が膨らんで変形する(貯蔵安定性が悪い)という問題があった。
【0004】
そこで、このような問題を解決し得るものとして次のような技術が提案されている。即ち、特許文献1には、アルミニウム等の金属粉末を有機リン酸エステル化合物で表面処理して該金属粉末の表面に有機リン酸エステル化合物を吸着させることが記載されている。また、特許文献2には、少なくとも1種以上のモリブデン酸アミン塩と金属顔料とを含有する金属顔料組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭60−8057号公報
【特許文献2】特開2008−120933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術では、水素ガスの発生を十分に抑制することは困難であり、優れた耐水性が得られないという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、例えば水性塗料、水性インキ等に用いた場合に、貯蔵時の水素ガス発生量が少なくて保存安定性(貯蔵安定性)に優れると共に、塗膜の光輝性、隠蔽性及びフリップフロップ感に優れた金属顔料組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
[1]金属酸化物及び金属酸化物のアルカリ金属塩並びに金属酸化物のアンモニウム塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属酸化物系化合物と、1種または2種以上のリン化合物とを反応させて得られるリン含有金属化合物と、
金属顔料と、を含有することを特徴とする金属顔料組成物。
【0010】
[2]前記金属酸化物系化合物が、構成金属として少なくとも遷移金属元素を含む金属酸化物及びそのアルカリ金属塩並びにそのアンモニウム塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属酸化物系化合物である前項1に記載の金属顔料組成物。
【0011】
[3]前記金属酸化物系化合物が、モリブデン酸、モリブデン酸アルカリ金属塩、モリブデン酸アンモニウム塩、バナジン酸、バナジン酸アルカリ金属塩及びバナジン酸アンモニウム塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属酸化物系化合物である前項1に記載の金属顔料組成物。
【0012】
[4]前記リン化合物が、有機リン酸エステル、有機リン酸エステル塩、有機亜リン酸エステル、有機亜リン酸エステル塩、有機ホスホン酸、有機ホスホン酸塩及び無機リン酸アミン塩からなる群より選ばれる1種または2種以上のリン化合物である前項1〜3のいずれか1項に記載の金属顔料組成物。
【0013】
[5]前記金属顔料の金属分100質量部に対して前記リン含有金属化合物を1質量部〜20質量部含有する前項1〜4のいずれか1項に記載の金属顔料組成物。
【0014】
[6]アミンを含有する前項1〜5のいずれか1項に記載の金属顔料組成物。
【0015】
[7]前記アミンが、1級アミン、2級アミン及び3級アミンからなる群より選ばれる1種または2種以上のアミンである前項6に記載の金属顔料組成物。
【0016】
[8]前記金属顔料の金属分100質量部に対して前記アミンを0.5質量部〜15質量部含有する前項6または7に記載の金属顔料組成物。
【0017】
[9]前記金属顔料の金属成分が、アルミニウムである前項1〜8のいずれか1項に記載の金属顔料組成物。
【0018】
[10]前項1〜9のいずれか1項に記載の金属顔料組成物を含む塗料。
【0019】
[11]前項1〜9のいずれか1項に記載の金属顔料組成物を含むインキ。
【0020】
[12]金属酸化物及びそのアルカリ金属塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属酸化物系化合物と1種または2種以上のリン化合物とを反応させて得られるリン含有金属化合物と、金属顔料と、を混合して混合組成物を得る工程と、
前記混合組成物と水とを混合する水混合工程と、
水が混合された前記混合組成物を40℃〜200℃で熱処理する熱処理工程と、を含むことを特徴とする金属顔料組成物の製造方法。
【0021】
[13]前記水混合工程において、前記混合組成物中の金属顔料の金属分100質量部に対して前記水を0.1質量部〜5質量部混合する前項12に記載の金属顔料組成物の製造方法。
【0022】
[14]前記熱処理工程において、前記混合組成物中の水含有率が0.5質量%以下になるまで熱処理する前項12または13に記載の金属顔料組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0023】
[1]の発明では、金属酸化物及び金属酸化物のアルカリ金属塩並びに金属酸化物のアンモニウム塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属酸化物系化合物と、1種または2種以上のリン化合物とを反応させて得られるリン含有金属化合物を含有するから、例えば水性塗料、水性インキ等に用いた場合に、貯蔵時の水素ガス発生量が少なくて保存安定性(貯蔵安定性)に優れると共に、塗膜の光輝性、隠蔽性及びフリップフロップ感に優れている。
【0024】
[2]の発明では、金属酸化物系化合物として、構成金属として少なくとも遷移金属元素を含む金属酸化物及びそのアルカリ金属塩並びにそのアンモニウム塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属酸化物系化合物が用いられているから、貯蔵時の水素ガス発生量をより低減できて貯蔵安定性をより向上させることができる。
【0025】
[3]の発明では、金属酸化物系化合物として、モリブデン酸、モリブデン酸アルカリ金属塩、モリブデン酸アンモニウム塩、バナジン酸、バナジン酸アルカリ金属塩及びバナジン酸アンモニウム塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属酸化物系化合物が用いられているから、貯蔵時の水素ガス発生量をより一層低減できて貯蔵安定性をより一層向上させることができる。
【0026】
[4]の発明では、リン化合物として、有機リン酸エステル、有機リン酸エステル塩、有機亜リン酸エステル、有機亜リン酸エステル塩、有機ホスホン酸、有機ホスホン酸塩及び無機リン酸アミン塩からなる群より選ばれる1種または2種以上のリン化合物が用いられているから、貯蔵時の水素ガス発生量をさらに低減できて貯蔵安定性をさらに向上させることができる。
【0027】
[5]の発明では、金属顔料の金属分100質量部に対してリン含有金属化合物を1質量部〜20質量部含有するから、貯蔵時の水素ガス発生量をさらに低減できる。
【0028】
[6]の発明では、さらにアミンを含有するから、貯蔵時の水素ガス発生量をさらに低減させることができる。
【0029】
[7]の発明では、アミンとして、1級アミン、2級アミン及び3級アミンからなる群より選ばれる1種または2種以上のアミンを用いているから、貯蔵時の水素ガス発生量をより低減させることができる。
【0030】
[8]の発明では、金属顔料の金属分100質量部に対してアミンを0.5質量部〜15質量部含有するから、貯蔵時の水素ガス発生量をより一層低減させることができる。
【0031】
[9]の発明では、金属顔料の金属成分がアルミニウムであり、このアルミニウムは水と反応して水素ガスを多く発生するものであるが、本発明によれば、このように金属がアルミニウムである場合であっても水素ガス発生を十分に抑制できるので、優れた貯蔵安定性を確保できる。
【0032】
[10]の発明では、塗膜の光輝性、隠蔽性及びフリップフロップ感に優れると共に、保存安定性(貯蔵安定性)に優れた塗料が提供される。
【0033】
[11]の発明では、塗膜の光輝性、隠蔽性及びフリップフロップ感に優れると共に、保存安定性(貯蔵安定性)に優れたインキが提供される。
【0034】
[12]の発明に係る製造方法で得られた金属顔料組成物は、金属酸化物及びそのアルカリ金属塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属酸化物系化合物と、1種または2種以上のリン化合物とを反応させて得られるリン含有金属化合物と、金属顔料とを含有するから、例えば水性塗料、水性インキ等に用いた場合に、貯蔵時の水素ガス発生量が少なくて保存安定性(貯蔵安定性)に優れると共に、塗膜の光輝性、隠蔽性及びフリップフロップ感に優れている。更に、本製造方法では、水が混合された混合組成物(リン含有金属化合物及び金属顔料を含有)を40℃〜200℃で熱処理する熱処理工程を有するから、貯蔵安定性をより向上させた金属顔料組成物を製造できる。
【0035】
[13]の発明では、水混合工程において、混合組成物中の金属顔料の金属分100質量部に対して水を0.1質量部〜5質量部混合するから、貯蔵安定性をより一層向上させた金属顔料組成物を製造できる。
【0036】
[14]の発明では、熱処理工程において、混合組成物中の水含有率が0.5質量%以下になるまで熱処理するから、得られる金属顔料組成物に水が殆ど残らないものとなり、得られた金属顔料組成物は、保管時の顔料安定性がより一層優れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】製造例1で用いた反応原料のC6〜C10混合リン酸エステルの反応前のFT−IRスペクトルを示す。
【図2】製造例1で得られた濃青色物質(反応物)のFT−IRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明に係る金属顔料組成物は、
金属顔料と、
下記化合物(X)と化合物(Y)とを反応させて得られるリン含有金属化合物と、
を含有することを特徴とする。
(X)金属酸化物、金属酸化物アルカリ金属塩および金属酸化物アンモニウム塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属酸化物系化合物
(Y)1種または2種以上のリン化合物。
【0039】
上記構成に係る金属顔料組成物では、金属顔料の表面をリン含有金属化合物が被覆した形態になっている可能性が高いと推定されるが、その詳細は定かではない。いずれにせよ、上記金属顔料組成物は、金属顔料と共に上記リン含有金属化合物を含有するから、例えば水性塗料、水性インキ等に用いた場合に、貯蔵時の水素ガス発生量が少なくて保存安定性(貯蔵安定性)に優れると共に、形成される塗膜は、光輝性、隠蔽性及びフリップフロップ感に優れている。
【0040】
前記金属顔料としては、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅等の卑金属の粒子(粉末)、これら卑金属の合金の粒子(粉末)等が挙げられる。これらの中でも、特に適しているのは、メタリック用顔料として多用されているアルミニウム粒子(粉末)である。前記アルミニウム粒子の形状としては、金属光沢感に優れる鱗片状(フレーク状)が好ましい。前記鱗片状アルミニウム粒子としては、輝度感及び緻密感に優れたメタリック塗膜等を形成できる点で、平均粒子径(D50)が2μm〜80μm、平均厚さが0.03μm〜3μmであるものを用いるのが好ましい。前記金属顔料としては、金属粒子の表面が樹脂等で被覆された構成のものであってもよい。なお、前記平均粒子径D50は、粒子の累積体積が50体積%となる粒子径D50を意味する。
【0041】
前記リン含有金属化合物は、金属酸化物、金属酸化物アルカリ金属塩および金属酸化物アンモニウム塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属酸化物系化合物と、1種または2種以上のリン化合物とを反応させて得られる反応生成物である。
【0042】
前記リン含有金属化合物の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、前記金属酸化物系化合物と前記リン化合物とをそのまま混合して反応させてもよいし、金属酸化物系化合物を水に分散または溶解させ、ここにリン化合物を加えて油水界面で反応させてもよい。金属酸化物系化合物とリン化合物の反応温度は、一般的には、40℃〜150℃が適当である。また、反応時間は、10分〜10時間が好ましく、さらには30分〜5時間がより好ましい。なお、この反応には、特に触媒を要しないが、触媒を用いて反応させるようにしてもよい。
【0043】
前記金属酸化物系化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、構成金属として少なくとも遷移金属元素を含む金属酸化物及びそのアルカリ金属塩並びにそのアンモニウム塩などが挙げられる。具体的には、三酸化モリブデン、モリブデン酸、モリブデン酸アルカリ金属塩、モリブデン酸アンモニウム塩、バナジン酸、バナジン酸アルカリ金属塩、バナジン酸アンモニウム塩等が挙げられる。なお、前記アルカリ金属としては、特に限定されるものではないが、例えばナトリウム、カリウム等が挙げられる。
【0044】
中でも、前記金属酸化物系化合物としては、モリブデン酸、モリブデン酸アルカリ金属塩、モリブデン酸アンモニウム塩、バナジン酸、バナジン酸アルカリ金属塩及びバナジン酸アンモニウム塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属酸化物系化合物が用いられるのが好ましい。
【0045】
前記リン化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、
i)ブチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアシッドホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルアシッドホスフェート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート等の有機リン酸エステル
ii)トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリオレイルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、ジエチルハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト等の有機亜リン酸エステル
iii)オクチルホスホニックアシッド等の有機ホスホン酸
上記例示した化合物のモノエステル、ジエステル
iv)上記例示した各リン化合物のアミン塩
v)無機リン酸アミン塩
等が挙げられる。これらに、非置換無機リン酸及び/又は酸性を示さないトリエステルが含まれていてもよい。
【0046】
前記リン化合物としては、有機リン酸エステル、有機リン酸エステル塩(有機リン酸エステルアミン塩等)、有機亜リン酸エステル、有機亜リン酸エステル塩(有機亜リン酸エステルアミン塩等)、有機ホスホン酸、有機ホスホン酸塩及び無機リン酸アミン塩からなる群より選ばれる1種または2種以上のリン化合物を用いるのが好ましい。これらの中でも、オクチルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、ジラウリルハイドロゲンホスファイトのモノエステル、ジエステルまたはこれらの混合物を用いるのがより好ましい。更には、炭素数4〜24の脂肪族アルコール(1価アルコール、多価アルコールいずれも含む)から誘導される正燐酸モノエステルおよび炭素数4〜24の脂肪族アルコール(1価アルコール、多価アルコールいずれも含む)から誘導される正燐酸ジエステルからなる群より選ばれる1種または2種以上の有機リン酸エステルを用いるのが特に好ましい。
【0047】
なお、脂肪族アルコールから誘導される正燐酸モノエステルの化学構造(一般式)、脂肪族アルコールから誘導される正燐酸ジエステルの化学構造(一般式)は、
正燐酸モノエステル:R−O−PO(OH)2
正燐酸ジエステル:(R−O)2PO(OH)
上記のとおりである(上記化学構造において「R」は有機基を表す)。
【0048】
本発明の金属顔料組成物において、前記金属顔料の金属分100質量部に対して前記リン含有金属化合物(反応生成物)を0.01質量部〜40質量部含有せしめるのが好ましい。0.01質量部以上であることで貯蔵時の水素ガス発生量を十分に低減できると共に、40質量部以下であることで光輝性、隠蔽性及びフリップフロップ感に優れた金属顔料組成物を得ることができる。中でも、前記金属顔料の金属分100質量部に対して前記リン含有金属化合物を0.1質量部〜30質量部含有せしめるのがより好ましく、1質量部〜20質量部含有せしめるのがより一層好ましい。
【0049】
本発明の金属顔料組成物において、前記リン含有金属化合物及び金属顔料に加えて、アミンを含有せしめるのが好ましい。
【0050】
前記アミンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、
a)エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、トリデシルアミン、ステアリルアミン等の直鎖一級アミン、
b)イソプロピルアミン、イソブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、分岐トリデシルアミン等の分岐一級アミン、
c)ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジラウリルアミン、ジトリデシルアミン、ジステアリルアミン等の直鎖二級アミン、
d)ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、分岐ジトリデシルアミン等の分岐二級アミン、
e)メチル・ブチルアミン、エチル・ブチルアミン、エチル・ヘキシルアミン、エチル・ラウリルアミン、エチル・ステアリルアミン、イソプロピル・オクチルアミン、イソブチル・2−エチルヘキシルアミン等の非対称二級アミン、
f)トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリラウリルアミン、トリトリデシルアミン、トリステアリルアミン等の直鎖三級アミン、
g)トリイソプロピルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−2−エチルヘキシルアミン、分岐トリトリデシルアミン等の分岐三級アミン、
h)ジメチルオクチルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジエチルラウリルアミン等の混合炭化水素基を有する三級アミン、
i)アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン等のアルケニル基をもつアミン、
j)シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン等の脂環一級アミン、
k)ベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン等の芳香環置換基を持つ一級アミン、
l)ジシクロヘキシルアミン、ジ−2−メチルシクロヘキシルアミン等の脂環二級アミン、
m)ジベンジルアミン、ジ−4−メチルベンジルアミン等の芳香環置換基を持つ二級アミン、
n)シクロヘキシル・2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシル・ベンジルアミン、ステアリル・ベンジルアミン、2−エチルヘキシル・ベンジルアミン等の非対称二級アミン、
o)ジメチルベンジルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン等の脂環三級アミン、
p)トリベンジルアミン、トリ−4−メチルベンジルアミン等の芳香環置換基を持つ三級アミン、
q)モルホリン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−デシルオキシプロピルアミン、3−ラウリルオキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノプロパノールアミン、ブタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−イソプロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−シクロヘキシル−N−メチルアミノエタノール、N−ベンジル−N−プロピルアミノエタノール、N−ヒドロキシエチルピロリジン、N−ヒドロキシエチルピペラジン、N−ヒドロキシエチルモルホリン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N−シクロヘキシル−1,3−プロパンジアミン、N−デシル−1,3−プロパンジアミン、N−イソトリデシル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、N−メトキシフェニルピペラジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、キヌクリジン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、
等が挙げられる。これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
中でも、前記アミンとしては、1級アミン、2級アミン及び3級アミンからなる群より選ばれる1種または2種以上のアミンを用いるのが、貯蔵時の水素ガス発生量をより低減できる点で、好ましい。これらの中でも、貯蔵時の水素ガス発生量をより一層低減できる点で、3級アミンを用いるのが特に好ましい。
【0052】
本発明の金属顔料組成物において、前記金属顔料の金属分100質量部に対して前記アミンを0.01質量部〜40質量部含有せしめるのが好ましい。0.01質量部以上であることで貯蔵時の水素ガス発生量低減という効果を十分に確保できると共に、40質量部以下であることで光輝性、隠蔽性及びフリップフロップ感を十分に確保できる。中でも、前記金属顔料の金属分100質量部に対して前記アミンを0.1質量部〜20質量部含有せしめるのがより好ましく、0.5質量部〜15質量部含有せしめるのがより一層好ましい。
【0053】
本発明の金属顔料組成物において、リン含有金属化合物(反応生成物)は、金属顔料に溶剤を加えたスラリー状態のものに混合してもよいし、溶剤の量を少なくした金属顔料含有ペースト状態のものに混合(混練)してもよい。原料コストや工程数を考慮すると、ペースト状態のものに混練するのが好ましい。一方、リン含有金属化合物は、金属顔料に対してそのまま添加してもよいし、或いは、リン含有金属化合物を溶剤等に希釈した状態で金属顔料に添加してもよいが、均一な混合状態を得るために、リン含有金属化合物を溶剤や鉱油等で希釈したものを、金属顔料(スラリー状態やペースト状態等)に添加するのが好ましい。
【0054】
前記溶剤(金属顔料に加える溶剤、リン含有金属化合物を希釈する溶剤等)としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ類、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、デカリン等の炭化水素溶剤、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の工業用ガソリン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、鉱物油等が挙げられる。
【0055】
本発明の金属顔料組成物の調製の際に用いられる溶剤は、親水性溶剤でもよいし、疎水性溶剤でもよい。前記親水性溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、オクタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、及びそのエステル類、プロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、エチレンプロピレングリコール等のグリコール類等が挙げられる。また、前記疎水性溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ローアロマティックホワイトスピリット(LAWS)、ハイアロマティックホワイトスピリット(HAWS)、トルエン、キシレン等が挙げられる。更には、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類も使用できる。これらを単独または混合して使用できる。
【0056】
本発明の金属顔料組成物をスラリー状態で調製する場合には、スラリー中の金属顔料の金属分の濃度を1質量%〜50質量%に設定するのが好ましく、10質量%〜30質量%に設定するのがより好ましい。また、本発明の金属顔料組成物をペースト状態で調製する場合には、ペースト中の金属顔料の金属分の濃度を50質量%〜95質量%に設定するのが好ましく、60質量%〜85質量%に設定するのがより好ましい。
【0057】
なお、前記リン含有金属化合物、前記金属顔料及び水を含有する組成物(さらにアミンを含有していてもよい)を熱処理することによって、本発明の金属顔料組成物を得るようにしてもよい。上記水による熱処理の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、リン含有金属化合物及び金属顔料を含有する組成物(さらにアミン等を含有していてもよい)に水を添加して加熱状態で混合するという方法等が挙げられる。前記組成物を加熱状態で混合しながら水を添加してこの加熱状態で混合を行うのが好ましい。このように金属顔料表面を加熱状態で水と接触させる操作を行うことによって、金属顔料組成物を水性塗料、水性インキ等に用いた場合における貯蔵時の水素ガス発生量をより一層低減することができる(後述する実施例5と実施例6の対比から明らかである)。
【0058】
前記熱処理の温度(加熱状態の温度)は、40℃〜200℃に設定するのが好ましく、50℃〜120℃に設定するのが特に好ましい。また、熱処理時間は、5分〜3時間に設定するのが好ましく、10分〜2時間に設定するのが特に好ましい。
【0059】
また、前記水は、前記金属顔料の金属分100質量部に対して0.1質量部〜5質量部混合するのが好ましい。0.1質量部以上であることで貯蔵時の水素ガス発生量低減効果を十分に確保できると共に、5質量部以下であることでブツの発生や塗膜の色調低下を防止することができる。中でも、前記金属顔料の金属分100質量部に対して水を0.5質量部〜3質量部混合するのが特に好ましい。
【0060】
本発明の金属顔料組成物は、これを密閉容器に入れて40℃〜80℃で熱処理を行って得られたものであってもよい。
【0061】
本発明の金属顔料組成物は、例えば、顔料(金属顔料を除く)、染料、湿潤剤、分散剤、色別れ防止剤、レベリング剤、スリップ剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機リン酸塩、有機亜リン酸塩、ヘテロポリアニオン、リンケイ酸塩、ニトロパラフィン、有機金属アミン塩等が添加されていてもよい。
【0062】
本発明の金属顔料組成物は、水性塗料用樹脂との組み合わせによって水性塗料に適用できる。前記水性塗料用樹脂とは、水溶性樹脂、水分散性樹脂、水性エマルジョン樹脂等を意味し、一般にはアクリル系、アクリル−メラミン系、ポリエステル系、ポリウレタン系等の水性塗料用樹脂が挙げられる。また、本発明の金属顔料組成物は、水性インキにも適用できる。
【実施例】
【0063】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0064】
[製造例1(リン含有金属化合物Aの製造)]
300mLのガラス製ビーカーに濃度10質量%の硫酸水溶液を100g入れ、さらにモリブデン酸を10g投入し、十分に攪拌を行った。次に、C6〜C10(炭素数6〜10の)混合リン酸エステル(有機リン酸エステル;炭素数6〜10の飽和脂肪族1価アルコールから誘導される正燐酸モノ及びジエステル)100g及びミネラルスピリット50gをさらに投入した後、攪拌しながら60〜70℃まで昇温し、60〜70℃で10時間攪拌を継続した。しかる後、攪拌しながら室温まで冷却して、攪拌を停止すると、油水分離したので、下層(水層)を取り除いた後、上層(油層)をろ過し、さらに減圧下で脱溶媒することによって、濃青色の油状液体(モリブデン酸とC6〜C10混合リン酸エステルとを反応させて得られるリン含有金属化合物Aを含有する)を得た。なお、反応後の濃青色物質のFT−IR分析を行ったところ、反応原料であるC6〜C10混合リン酸エステルの反応前のFT−IR分析スペクトル(図1)で認められた1208cm-1のピーク(HO−P=O結合と同定されるピーク)が殆ど見られなくなり、一方反応後の濃青色物質のFT−IR分析スペクトル(図2)では反応前の反応原料には見られなかった新たなピーク(920cm-1、805cm-1)が認められることから、モリブデン酸とC6〜C10混合リン酸エステルとが反応していることを確認できた。
【0065】
[製造例2(リン含有金属化合物Bの製造)]
C6〜C10混合リン酸エステル100gに代えて、オクチルアシッドホスフェート(有機リン酸エステル;炭素数8の飽和脂肪族1価アルコールから誘導される正燐酸モノ及びジエステル)100gを用いた以外は、製造例1と同様にして、濃青色の油状液体(モリブデン酸とオクチルアシッドホスフェートとを反応させて得られるリン含有金属化合物Bを含有する)を得た。なお、前記同様に反応原料及び反応後の濃青色物質のFT−IR分析を行うことにより、モリブデン酸とオクチルアシッドホスフェートとが反応していることを確認した。
【0066】
[製造例3(リン含有金属化合物Cの製造)]
C6〜C10混合リン酸エステル100gに代えて、オクチルホスホネート(有機ホスホン酸)100gを用いた以外は、製造例1と同様にして、淡黄色の油状液体(モリブデン酸とオクチルホスホネートとを反応させて得られるリン含有金属化合物Cを含有する)を得た。なお、前記同様に反応原料及び反応後の淡黄色物質のFT−IR分析を行うことにより、モリブデン酸とオクチルホスホネートとが反応していることを確認した。
【0067】
[製造例4(リン含有金属化合物Dの製造)]
モリブデン酸10gに代えて、バナジン酸ナトリウム10gを用いた以外は、製造例1と同様にして、茶褐色の油状液体(バナジン酸ナトリウムとC6〜C10混合リン酸エステルとを反応させて得られるリン含有金属化合物Dを含有する)を得た。なお、前記同様に反応原料及び反応後の茶褐色物質のFT−IR分析を行うことにより、バナジン酸ナトリウムとC6〜C10混合リン酸エステルとが反応していることを確認した。
【0068】
<実施例1>
アルミニウム顔料ペースト(昭和アルミパウダー株式会社製、商品名「SAP CS430」、アルミニウムフレーク及びミネラルスピリットを含有するペースト、アルミニウムフレークの平均粒子径D50が9μm、不揮発分70質量%)143gをミネラルスピリット500gに分散させた液に対しブフナー漏斗でろ過を行うことによってアルミニウム分が75質量%になるように調整した調整アルミニウム顔料ペーストを得た。この調整アルミニウム顔料ペーストに、製造例1で得られた油状液体(モリブデン酸とC6〜C10混合リン酸エステルとを反応させて得られるリン含有金属化合物Aを含有する)及びオレイルアミンを添加し、さらにソルベントナフサを添加した後、70℃で12時間混練を行うことによって、金属顔料組成物を得た。なお、前記調整アルミニウム顔料ペースト中のアルミニウム分100質量部に対し、リン含有金属化合物Aが5.0質量部、オレイルアミンが3.0質量部となるようにそれぞれ添加し、金属顔料組成物中のアルミニウム分含有率が65質量%になるようにソルベントナフサを添加した。
【0069】
<実施例2>
アルミニウム顔料ペースト(昭和アルミパウダー株式会社製、商品名「SAP CS450」、アルミニウムフレーク及びミネラルスピリットを含有するペースト、アルミニウムフレークの平均粒子径D50が11μm、不揮発分70質量%)143gをミネラルスピリット500gに分散させた液に対しブフナー漏斗でろ過を行うことによってアルミニウム分が75質量%になるように調整した調整アルミニウム顔料ペーストを得た。この調整アルミニウム顔料ペーストに、製造例1で得られた油状液体(モリブデン酸とC6〜C10混合リン酸エステルとを反応させて得られるリン含有金属化合物Aを含有する)を添加し、さらにソルベントナフサを添加した後、70℃で12時間混練を行うことによって、金属顔料組成物を得た。なお、前記調整アルミニウム顔料ペースト中のアルミニウム分100質量部に対し、リン含有金属化合物Aが5.0質量部となるように添加し、金属顔料組成物中のアルミニウム分含有率が65質量%になるようにソルベントナフサを添加した。
【0070】
<実施例3>
アルミニウム顔料ペースト(昭和アルミパウダー株式会社製、商品名「SAP 561PS」、アルミニウムフレーク及びミネラルスピリットを含有するペースト、アルミニウムフレークの平均粒子径D50が16μm、不揮発分66質量%)152gをミネラルスピリット500gに分散させた液に対しブフナー漏斗でろ過を行うことによってアルミニウム分が75質量%になるように調整した調整アルミニウム顔料ペーストを得た。この調整アルミニウム顔料ペーストに、製造例2で得られた油状液体(モリブデン酸とオクチルアシッドホスフェートとを反応させて得られるリン含有金属化合物Bを含有する)及びジ(2−エチルヘキシル)アミンを添加し、さらにソルベントナフサを添加した後、80℃で8時間混練を行うことによって、金属顔料組成物を得た。なお、前記調整アルミニウム顔料ペースト中のアルミニウム分100質量部に対し、リン含有金属化合物Bが7.0質量部、ジ(2−エチルヘキシル)アミンが3.0質量部となるようにそれぞれ添加し、金属顔料組成物中のアルミニウム分含有率が65質量%になるようにソルベントナフサを添加した。
【0071】
<実施例4>
製造例2で得られた油状液体(リン含有金属化合物Bを含有する)に代えて、製造例3で得られた油状液体(モリブデン酸とオクチルホスホネートとを反応させて得られるリン含有金属化合物Cを含有する)を用いた以外は、実施例3と同様にして、金属顔料組成物を得た。
【0072】
<実施例5>
アルミニウム顔料ペースト(昭和アルミパウダー株式会社製、商品名「SAP FM4010」、アルミニウムフレーク及びミネラルスピリットを含有するペースト、アルミニウムフレークの平均粒子径D50が11μm、不揮発分66質量%)152gをミネラルスピリット500gに分散させた液に対しブフナー漏斗でろ過を行うことによってアルミニウム分が75質量%になるように調整した調整アルミニウム顔料ペーストを得た。この調整アルミニウム顔料ペーストに、製造例4で得られた油状液体(バナジン酸ナトリウムとC6〜C10混合リン酸エステルとを反応させて得られるリン含有金属化合物Dを含有する)及びエタノールアミンを添加し、さらにソルベントナフサを添加した後、100℃で4時間混練を行うことによって、金属顔料組成物を得た。なお、前記調整アルミニウム顔料ペースト中のアルミニウム分100質量部に対し、リン含有金属化合物Dが7.0質量部、エタノールアミンが3.0質量部となるようにそれぞれ添加し、金属顔料組成物中のアルミニウム分含有率が65質量%になるようにソルベントナフサを添加した。
【0073】
<実施例6>
実施例5で得られた金属顔料組成物にさらに水を添加(金属顔料組成物中のアルミニウム分100質量部に対し水を1.0質量部添加)した後、100℃で2時間混練を行うことによって、水存在下で熱処理した金属顔料組成物(水含有率0.5質量%以下)を得た。
【0074】
<実施例7>
アルミニウム顔料ペースト(昭和アルミパウダー株式会社製、商品名「SAP FM4010」、アルミニウムフレーク及びミネラルスピリットを含有するペースト、アルミニウムフレークの平均粒子径D50が11μm、不揮発分66質量%)152gをミネラルスピリット500gに分散させた液に対しブフナー漏斗でろ過を行うことによってアルミニウム分が75質量%になるように調整した調整アルミニウム顔料ペーストを得た。この調整アルミニウム顔料ペーストに、製造例4で得られた油状液体(バナジン酸ナトリウムとC6〜C10混合リン酸エステルとを反応させて得られるリン含有金属化合物Dを含有する)及びトリエタノールアミンを添加し、さらにソルベントナフサを添加した後、100℃で4時間混練を行うことによって、金属顔料組成物を得た。なお、前記調整アルミニウム顔料ペースト中のアルミニウム分100質量部に対し、リン含有金属化合物Dが10.0質量部、トリエタノールアミンが5.0質量部となるようにそれぞれ添加し、金属顔料組成物中のアルミニウム分含有率が65質量%になるようにソルベントナフサを添加した。
【0075】
<比較例1>
アルミニウム顔料ペースト(昭和アルミパウダー株式会社製、商品名「SAP CS430」、アルミニウムフレーク及びミネラルスピリットを含有するペースト、アルミニウムフレークの平均粒子径D50が9μm、不揮発分70質量%)143gをミネラルスピリット500gに分散させた液に対しブフナー漏斗でろ過を行った後、アルミニウム顔料ペースト中のアルミニウム分含有率が65質量%になるようにソルベントナフサを添加することによって、金属顔料組成物を得た。
【0076】
<比較例2>
アルミニウム顔料ペースト(昭和アルミパウダー株式会社製、商品名「SAP 561PS」、アルミニウムフレーク及びミネラルスピリットを含有するペースト、アルミニウムフレークの平均粒子径D50が16μm、不揮発分66質量%)152gをミネラルスピリット500gに分散させた液に対してブフナー漏斗でろ過を行うことによってアルミニウム分が75質量%になるように調整した調整アルミニウム顔料ペーストを得た。この調整アルミニウム顔料ペーストに、オクチルアシッドホスフェート及びジ(2−エチルヘキシル)アミンを添加し、さらにソルベントナフサを添加した後、80℃で8時間混練を行うことによって、金属顔料組成物を得た。なお、前記調整アルミニウム顔料ペースト中のアルミニウム分100質量部に対し、オクチルアシッドホスフェートが7.0質量部、ジ(2−エチルヘキシル)アミンが3.0質量部となるようにそれぞれ添加し、金属顔料組成物中のアルミニウム分含有率が65質量%になるようにソルベントナフサを添加した。
【0077】
<比較例3>
アルミニウム顔料ペースト(昭和アルミパウダー株式会社製、商品名「SAP 561PS」、アルミニウムフレーク及びミネラルスピリットを含有するペースト、アルミニウムフレークの平均粒子径D50が16μm、不揮発分66質量%)152gをミネラルスピリット500gに分散させた液に対してブフナー漏斗でろ過を行うことによってアルミニウム分が75質量%になるように調整した調整アルミニウム顔料ペーストを得た。この調整アルミニウム顔料ペーストに、モリブデン酸及びジ(2−エチルヘキシル)アミンを添加し、さらにソルベントナフサを添加した後、80℃で8時間混練を行うことによって、金属顔料組成物を得た。なお、前記調整アルミニウム顔料ペースト中のアルミニウム分100質量部に対し、モリブデン酸が7.0質量部、ジ(2−エチルヘキシル)アミンが3.0質量部となるようにそれぞれ添加し、金属顔料組成物中のアルミニウム分含有率が65質量%になるようにソルベントナフサを添加した。
【0078】
<比較例4>
アルミニウム顔料ペースト(昭和アルミパウダー株式会社製、商品名「SAP FM4010」、アルミニウムフレーク及びミネラルスピリットを含有するペースト、アルミニウムフレークの平均粒子径D50が16μm、不揮発分66質量%)152gをミネラルスピリット500gに分散させた液に対してブフナー漏斗でろ過を行うことによってアルミニウム分が75質量%になるように調整した調整アルミニウム顔料ペーストを得た。この調整アルミニウム顔料ペーストに、C6〜C10混合リン酸エステル及びエタノールアミンを添加し、さらにソルベントナフサを添加した後、100℃で4時間混練を行うことによって、金属顔料組成物を得た。なお、前記調整アルミニウム顔料ペースト中のアルミニウム分100質量部に対し、C6〜C10混合リン酸エステルが7.0質量部、エタノールアミンが3.0質量部となるようにそれぞれ添加し、金属顔料組成物中のアルミニウム分含有率が65質量%になるようにソルベントナフサを添加した。得られた組成物にさらに水を添加(組成物中のアルミニウム分100質量部に対し水を1.0質量部添加)した後、100℃で2時間混練を行うことによって、水存在下で熱処理した金属顔料組成物を得た。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
上記のようにして得られた金属顔料組成物を用いて作製した塗料の貯蔵安定性及び該塗料により形成される塗膜の表面状態を下記評価法に基づいて評価した。これらの評価結果を表1に示す。
【0082】
<貯蔵安定性評価法>
各実施例、各比較例の金属顔料組成物を用いて以下の組成からなる水性メタリック塗料(貯蔵安定性評価用塗料)を作製した。即ち、金属顔料組成物(アルミニウム分として)2.8g、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル7.5g、ブチルセロソルブ6.5g、純水25g、水性エマルジョン(商品名「ポリゾールAP−7010N」、昭和電工株式会社製)50.0gを混合して水性メタリック塗料を作製した。前記水性メタリック塗料40gを試験管に入れ、該試験管にガス捕集管を取り付け、これを50℃の恒温水槽にセットし、336時間経過後の水素ガス累積発生量(mL/塗料40g(アルミニウム分1.2g))を測定した。下記判定基準に基づき塗料の貯蔵安定性を評価した。
(判定基準)
「◎」…水素ガス累積発生量が1.0(mL/アルミニウム分1.2g)未満
「○」…水素ガス累積発生量が1.0(mL/アルミニウム分1.2g)以上3.0(mL/アルミニウム分1.2g)未満
「△」…水素ガス累積発生量が3.0(mL/アルミニウム分1.2g)以上5.0(mL/アルミニウム分1.2g)未満
「×」…水素ガス累積発生量が5.0(mL/アルミニウム分1.2g)以上。
【0083】
<塗膜の表面状態評価法>
各実施例、各比較例の金属顔料組成物を用いて以下の組成からなるメタリック塗料(塗膜表面状態評価用塗料)を作製した。即ち、金属顔料組成物(アルミニウム分として)4.1g、シンナー(商品名「プラネットシンナー#175」、オリジン電気株式会社製)80.0g、アクリルラッカークリヤー(商品名「プラネットSVクリヤー」、オリジン電気株式会社製)50.0gを混合してメタリック塗料を作製した。前記メタリック塗料をABS樹脂板上に乾燥膜厚が約15μmになるようにスプレー塗布した後、60℃のオーブン中で20分間乾燥処理を行うことによって塗膜を形成した。下記判定基準に基づき塗膜の表面状態を評価した。
(判定基準)
「○」…塗膜にブツが認められない
「△」…塗膜にブツが僅かに認められるが、実用上問題のないレベルである
「×」…塗膜にブツが多数認められる、又は塗膜の全面にブツが認められる。
【0084】
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜7の金属顔料組成物を用いて作製された塗料は、水素ガス発生量が非常に少なく、貯蔵安定性に優れていた。また、本発明の実施例1〜7の金属顔料組成物を含有した塗料で形成された塗膜は、ブツのない優れた表面状態を呈していた。
【0085】
これに対し、リン含有金属化合物(金属酸化物系化合物とリン化合物とを反応させて得られるリン含有金属化合物)を含有しない比較例1〜4の金属顔料組成物を用いて作製された塗料は、貯蔵安定性に劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明に係る金属顔料組成物は、水性塗料や水性インキ用の金属光沢付与成分として好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。また、本発明の金属顔料組成物を含有する塗膜は、光輝性、隠蔽性及びフリップフロップ感に優れていることから、本発明の金属顔料組成物は、自動車用塗料、家電製品用塗料の顔料組成物として特に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物及び金属酸化物のアルカリ金属塩並びに金属酸化物のアンモニウム塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属酸化物系化合物と、1種または2種以上のリン化合物とを反応させて得られるリン含有金属化合物と、
金属顔料と、を含有することを特徴とする金属顔料組成物。
【請求項2】
前記金属酸化物系化合物が、構成金属として少なくとも遷移金属元素を含む金属酸化物及びそのアルカリ金属塩並びにそのアンモニウム塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属酸化物系化合物である請求項1に記載の金属顔料組成物。
【請求項3】
前記金属酸化物系化合物が、モリブデン酸、モリブデン酸アルカリ金属塩、モリブデン酸アンモニウム塩、バナジン酸、バナジン酸アルカリ金属塩及びバナジン酸アンモニウム塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属酸化物系化合物である請求項1に記載の金属顔料組成物。
【請求項4】
前記リン化合物が、有機リン酸エステル、有機リン酸エステル塩、有機亜リン酸エステル、有機亜リン酸エステル塩、有機ホスホン酸、有機ホスホン酸塩及び無機リン酸アミン塩からなる群より選ばれる1種または2種以上のリン化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属顔料組成物。
【請求項5】
前記金属顔料の金属分100質量部に対して前記リン含有金属化合物を1質量部〜20質量部含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属顔料組成物。
【請求項6】
アミンを含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属顔料組成物。
【請求項7】
前記アミンが、1級アミン、2級アミン及び3級アミンからなる群より選ばれる1種または2種以上のアミンである請求項6に記載の金属顔料組成物。
【請求項8】
前記金属顔料の金属分100質量部に対して前記アミンを0.5質量部〜15質量部含有する請求項6または7に記載の金属顔料組成物。
【請求項9】
前記金属顔料の金属成分が、アルミニウムである請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属顔料組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の金属顔料組成物を含む塗料。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の金属顔料組成物を含むインキ。
【請求項12】
金属酸化物及びそのアルカリ金属塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属酸化物系化合物と1種または2種以上のリン化合物とを反応させて得られるリン含有金属化合物と、金属顔料と、を混合して混合組成物を得る工程と、
前記混合組成物と水とを混合する水混合工程と、
水が混合された前記混合組成物を40℃〜200℃で熱処理する熱処理工程と、を含むことを特徴とする金属顔料組成物の製造方法。
【請求項13】
前記水混合工程において、前記混合組成物中の金属顔料の金属分100質量部に対して前記水を0.1質量部〜5質量部混合する請求項12に記載の金属顔料組成物の製造方法。
【請求項14】
前記熱処理工程において、前記混合組成物中の水含有率が0.5質量%以下になるまで熱処理する請求項12または13に記載の金属顔料組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−162638(P2012−162638A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23621(P2011−23621)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(399054321)東洋アルミニウム株式会社 (179)
【Fターム(参考)】