金属/金属窒化物基板上に貴金属を選択的に堆積させるための方法
【課題】Ruの選択成長と非選択成長を適用した半導体デバイスの相互接続配線の製造方法を提供する。
【解決手段】プラズマ増強原子層堆積チャンバ内に基板を準備し、基板は、露出した第1材料を有する第1領域と、露出した第2材料を有する第2領域とを含み、第1材料は金属窒化物又は窒化可能な金属を含み、第2材料は窒化不可能な金属又はシリコン酸化物を含むようにし、(a)第1ステップとして貴金属前駆体をチャンバに供給して、貴金属前駆体をキャリアガスの存在下で基板に接触させ、続いて貴金属前駆体をパージするステップ、アンモニア及びキャリアガスをチャンバに供給しつつ基板をプラズマに曝露するステップを繰り返し実施することにより、第1領域でなく第2領域上で貴金属層を選択的に堆積させ、次に(b)基板をアンモニア及びキャリアガスプラズマに曝露するステップと、貴金属前駆体を基板に接触させるステップで非選択的に堆積させる。
【解決手段】プラズマ増強原子層堆積チャンバ内に基板を準備し、基板は、露出した第1材料を有する第1領域と、露出した第2材料を有する第2領域とを含み、第1材料は金属窒化物又は窒化可能な金属を含み、第2材料は窒化不可能な金属又はシリコン酸化物を含むようにし、(a)第1ステップとして貴金属前駆体をチャンバに供給して、貴金属前駆体をキャリアガスの存在下で基板に接触させ、続いて貴金属前駆体をパージするステップ、アンモニア及びキャリアガスをチャンバに供給しつつ基板をプラズマに曝露するステップを繰り返し実施することにより、第1領域でなく第2領域上で貴金属層を選択的に堆積させ、次に(b)基板をアンモニア及びキャリアガスプラズマに曝露するステップと、貴金属前駆体を基板に接触させるステップで非選択的に堆積させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金属/金属窒化物基板上に貴金属(noble metal)を選択的に堆積させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、貴金属成長、特に原子層堆積(ALD)によるルテニウムの成長が、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)及び相互接続金属化のような幾つかの利用に対する将来の技術ノードにおける可能な材料として、多くの関心を集めてきた。
【0003】
DRAMの金属−絶縁体−金属キャパシタ(MIMCAP)にとって、Ru及び/又はRuO2だけでなく、他の貴金属(酸化物)も、金属−絶縁体−金属構造でのTiN電極に取って代わる候補である。Ruは、他の金属と比べて、酸化されたときに依然として導電性を有し、したがってキャパシタの等価酸化膜厚(EOT)に寄与しないという利点を有する。さらに、RuOxは、誘電体、例えばチタン酸ストロンチウム(STO)のトラップ密度の低下によるリークを低下させるという利点を有する。
【0004】
従来、相互接続金属化のためのCuの電気化学的な堆積は、電流を導くためのPVDのTa/TaNバリアの上部への、Cuシード層の物理気相成長(PVD)を使用する。しかし、PVD技術のステップカバレッジの制限は、将来の技術ノードにおいてその使用を危うくする。シードレスCu電気めっきと組み合わせた原子層堆積(ALD)によって成長するバリアは、サブ25nmラインの限界寸法(CD)のために検討された金属化ルートの1つである。しかし、シードレス電気めっきとの適合性は、材料の選択を厳しく制限する。さまざまな候補の中で、Ru層が直接Cuめっきの核形成層として作用することが大変有望であるとみなされてきた。さらに、Ruが従来のTaに対する代替として貴重であることを示すCVDのRuライナーを使用したCuの金属化について、高いエレクトロマイグレーション抵抗が実証されてきた。Cuとの適合性は別として、Ruは相互接続としての利用に大変重要である低い抵抗率を有する。
【0005】
Ru、特にRuO2及び他の貴金属もまた、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)トランジスタ、又は抵抗ランダムアクセスメモリ(RRAM:登録商標)のような他の利用での金属ゲートに対する高い実効仕事関数(EWF)のために、興味深いであろう。
【0006】
ALD貴金属成長は、大きく基板に依存することが知られている。例えばシリコン酸化物では、長いインキュベーション時間が観察されてきたが、金属窒化物では、インキュベーション時間は充分に短い。米国特許公開(US 2010/0136776)では、インキュベーション時間の差が充分に大きい場合、基板の選択領域での選択的成長が可能であることが開示されている。例えば、酸化物表面及び金属窒化物のドットを有する基板上にRuを堆積させる場合、Ruは金属窒化物のドット上に選択的に成長することになる。
【0007】
貴金属の選択的成長は、トランジスタで金属ゲートを選択的に成長させる場合や相互接続におけるボトムアップ充填などのさまざまな領域で興味深い。さらに、3Dデバイスへのトレンドは、複雑な形状を有する複雑な構造での堆積を必要とすることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、例えば、酸化堆積プロセス中の基板の(部品の)有害な酸化のようなプロセスフローとの不適合性に起因して、酸化物を使用して金属基板上に選択的成長させることができない場合、酸化物と金属(窒化物)基板との間のインキュベーション時間の差を使用することができない。
【0009】
さらに、特定の厚さまで選択的成長が必要とされ、続いて非選択的成長が必要となる場合、1つよりも多い堆積チャンバ及び/又は堆積技術を使用することが必要となるが、これは望ましくない。
【0010】
本開示の目的は、金属/金属窒化物基板上に貴金属を堆積させるための汎用的な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、本開示に従って、第1の独立請求項の工程を有する方法を用いて達成される。プラズマ増強原子層堆積(PE−ALD)によって貴金属層を形成するための方法が開示されている。その方法は、PE−ALDチャンバ内に基板を準備する工程であって、その基板は、露出した第1材料を有する第1領域と、露出した第2材料を有する第2領域とを含み、第1材料は金属窒化物又は窒化可能な金属を含み、第2材料は、窒化不可能な金属又はシリコン酸化物を含むようにした工程を含む。その方法はさらに、第1ステップとして下記の(a)又は(b)を有する堆積サイクルを繰り返し実施することによって、PE−ALDを用いて貴金属層を第1領域でなく第2領域に選択的に堆積させる工程を含む。即ち、(a)は、貴金属前駆体をPE−ALDチャンバに供給し、キャリアガスの存在下で貴金属前駆体を基板に接触させ、続いて貴金属前駆体をパージするステップ、(b)は、アンモニア及びキャリアガスをPE−ALDチャンバに供給しつつ、プラズマに基板を曝露するステップである。
【0012】
本開示は、PE−ALDによって貴金属含有層を堆積させるための方法であって、基板に対するインキュベーション時間が、貴金属含有層の堆積サイクル中にPE−ALDチャンバに存在するプラズマの性質によって制御され、先行技術で開示されてきたような基板の性質によっては制御されないような方法について説明している。PE−ALD貴金属プロセス中に、PE−ALDチャンバ内に窒素及びアンモニアを供給しつつ基板をプラズマに曝露することによって、貴金属層を基板の第2領域に堆積し、基板の第1領域上への初期の成長を、その第1領域を貴金属前駆体の化学吸着に対して反応性が低い、又は反応しないようにすることで、阻害する。遅延した成長は、金属窒化物又は窒化可能な金属を含む第1材料であって露出した第1材料を有する領域で生じ、窒化不可能な金属又はシリコン酸化物を含む第2材料であって露出した第2材料を有する第2領域上で、成長は遅延なく生じ、第2領域に選択的成長を生じさせる。この選択性を使用することによって、例えばボトムアップ充填により、複雑な導電性ナノ構造を使用することができる。
【0013】
幾つかの実施形態では、方法はさらに、第1ステップとしての(a)又は(b)を有する堆積サイクルであって、ステップ(b)ではアンモニアを水素に置き換えるようにした堆積サイクルを繰り返し実施することによって、PE−ALDを用いて、第2領域及び第1領域に貴金属層を非選択的に堆積させる工程を含む。
【0014】
第2領域への貴金属層の選択的PE−ALD成長が、続けて非選択的成長を必要とする場合、これは全く同じ堆積チャンバ内で、同じ堆積サイクル中に、単に基板をチャンバ内に保持した状態でプラズマ組成を変更することによって得ることができる。
【0015】
幾つかの実施形態では、本方法はさらに、貴金属層を非選択的に堆積させる前に、基板の追加のプラズマ処理を実施する工程を含んでもよい。
【0016】
幾つかの実施形態では、追加のプラズマ処理は、N2、H2若しくはN2/H2プラズマ又はAr若しくはHeのような不活性ガスのプラズマ内で実施する。
【0017】
本開示による実施形態では、キャリアガスは、N2又はN2とAr若しくはHeのような不活性ガスとの混合物である。
【0018】
本開示による実施形態では、窒化不可能な金属は、貴金属又は11属に属する遷移金属を含む。
【0019】
幾つかの実施形態では、11属に属する遷移金属は、Cu、Ag及びAuからなる群から選択される。
【0020】
本開示による実施形態では、貴金属は、Ru、Rh、Pd、Os、Ir又はPtを含む
【0021】
幾つかの実施形態では、貴金属は、ルテニウム、又はRuTaのようなRu含有合金でもよい。
【0022】
さらに、幾つかの実施形態では、金属窒化物は、TiN、TaN又はWNを含んでもよい。
【0023】
幾つかの実施形態では、金属窒化物は、さらに炭素及び/又は酸素を含む
【0024】
本開示による実施形態では、窒化可能な金属は、Ti、Ta、W、Al及びいずれかの混合物又はその合金からなる群から選択される。
【0025】
幾つかの実施形態では、堆積サイクル中に、PE−ALDチャンバに窒素とアンモニア又は水素のうちの1つとを連続的に供給してもよい。
【0026】
本開示による実施形態では、貴金属前駆体は、1つ以上のアルキル置換基を有するビス(エチルシクロペンタジエニル)Me及びビス(シクロペンタジエニル)Meからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本開示はさらに、以下の説明及び添付の図面によって明らかにされる。
【0028】
【図1】本開示の方法によるRuの選択的/非選択的堆積についてのプラズマ増強ALD(PE−ALD)によるRuサイクルを概略的に示している。図1(a)は、Ru前駆体を提供した後のN2/NH3の存在下(選択的)又はN2/H2の存在下(非選択的)でのプラズマストライク及びパージを示す。図1(b)は、Ru前駆体を提供する前のN2/NH3の存在下(選択的)又はN2/H2の存在下(非選択的)でのプラズマストライクを示す。
【図2(a)】N2/NH3プラズマを用いたPE−ALDによる、Ru含有(Ruシード及びRuTa)基板へのRuの成長曲線を示す。
【図2(b)】N2/NH3プラズマを用いたPE−ALDによる、TiN基板へのRuの成長曲線を示す。
【図2(c)】N2/NH3プラズマを用いたPE−ALDによる、SiO2基板へのRuの成長曲線を示す。
【図2(d)】Ru含有基板及びTiN基板上のPE−ALDによるRuの選択的成長の実証を示す。
【図3(a)】N2/NH3プラズマ及びN2/H2プラズマを用いたPE−ALDによる、TiN基板へのRuの成長曲線を示す。
【図3(b)】N2/NH3プラズマ及びN2/H2プラズマを用いたPE−ALDによる、SiO2基板へのRuの成長曲線を示す。
【図3(c)】N2/H2プラズマの場合の、TiN上でのインキュベーション時間のRu量依存性を示す。
【図4】種々のプラズマ組成を使用した240サイクル後のPE−ALDによるRu膜の厚さを示す。
【図5(a)】種々のプラズマを使用したPE−ALDによるRuプロセスのサイクル当たりの成長(GPC)を示す。
【図5(b)】種々のプラズマを用いて堆積したRu膜について、厚さの関数としてのシート抵抗を示す。
【図6(a)】本開示の方法によるRuの選択的成長を適用して種々のデバイス製造フローを単純化した幾つかの非制限的な実施例を概略的に示す。
【図6(b)】本開示の方法によるRuの選択的成長を適用して種々のデバイス製造フローを単純化した幾つかの非制限的な実施例を概略的に示す。
【図6(c)】本開示の方法によるRuの選択的成長を適用して種々のデバイス製造フローを単純化した幾つかの非制限的な実施例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示は、特定の実施形態について特定の図面を参照しながら説明するが、本開示はこれらに限定されず、請求項によってのみ限定される。記載した図面は概略的なものであり、限定的でない。図面において、幾つかのエレメントのサイズは、説明目的のため誇張し、また、スケールどおり描いていないことがある。寸法及び相対寸法は、本開示の実施化のための実際の縮小と必ずしも対応していない。
【0030】
さらに、説明及び請求項での用語「第1」「第2」「第3」などは、類似のエレメントを区別するために使用しており、必ずしもシーケンス順に、又は経時順に記載するためには使用していない。用語は、好適な状況下で交換可能であり、本開示の実施形態は、本明細書で説明したり図示したものとは別の順番で動作可能である。
【0031】
さらに、説明及び請求項での用語「上(top)」「下(under)」「〜の上方に(over)」「〜の下方に(under)」等は、説明目的で使用しており、必ずしも相対的な位置を記述するためのものでない。こうして用いた用語は、好適な状況下で交換可能であって、本明細書で説明した実施形態は、本明細書で説明又は図示した以外の他の向きで動作可能である。
【0032】
さらに、種々の実施形態を「好ましい」として参照しているが、本開示を実装可能な例示的な態様として解釈すべきであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0033】
請求項で使用する用語「備える、有する、含む(comprising)」は、それ以降に列挙された手段に限定されるものと解釈すべきでなく、他のエレメント又は工程を除外していない。記述した特徴、整数、工程又はコンポーネントの存在を、参照したように特定するよう解釈する必要があるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程又はコンポーネント、或いはこれらのグループの存在又は追加を除外していない。したがって、「A及びBを備えるデバイス」という表現の技術的範囲は、コンポーネントA及びBのみからなるデバイスに限定すべきでなく、むしろ本開示に関して、デバイスの列挙したコンポーネントはA及びBのみであり、さらに請求項は、それらのコンポーネントと均等なものも含むと解釈すべきである。
【0034】
プラズマ増強原子層堆積(PE−ALD)によってルテニウムを堆積させるための最先端の化学構造は、ビス(エチルシクロペンタジエニル)Ru又はRu(EtCp)2である。しかし、報告されているサイクル当たりの成長及び初期の成長の挙動は大きく異なる。これはおそらく、基板の準備、並びに前駆体の量及び有効な反応器の温度のようなプロセスの特定の条件に対する、ALDによるRuプロセスの充分な感度に起因する。
【0035】
一般に、Si酸化物表面上でのRuのALD成長は、長いインキュベーション時間に悩まされている。最終的に、分離した位置での核形成が、結果としてアイランド成長に伴って起こる。通常、Ruの堆積前に表面にプラズマ前処理を施すことにより、Ru(EtCp)2前駆体に対するより多くの反応位置を作成することを可能にし、それゆえ、インキュベーション時間が低下する。SiO2基板上での長いインキュベーションが報告されているが、金属窒化物は、通常、核形成の見地から優れた基板であると報告されている。最先端では、一貫して、TiN基板上での非常に短いインキュベーション時間、からインキュベーション時間なし、に至るまでが報告されている。TiN基板上での非常に短いインキュベーション時間からインキュベーション時間なし、は基板をプラズマに暴露する場合にPE−ALD反応器に存在するガスとは無関係であると報告されている。例えば、Ar/NH3の存在下と、Ar/N2/H2の存在下の両方で、TiN基板上でのRuの非常に短いインキュベーション時間からインキュベーション時間なし、が報告されている。それゆえ、これらのガスのどの混合物も、TiN上の初期成長における異なる挙動につながらないことが予想されるであろう。
【0036】
さらに、金属酸化物又は金属窒化物の基板上よりも長いSiO2上でのインキュベーション時間は、デバイスの特定の領域、例えば電極でのRuの選択的成長の分野の最先端で使用されてきた。したがって、最先端では、選択的成長は、基板の性質によって引き起こされている。
【0037】
種々の実施形態で、本開示は、PE−ALDによって貴金属(ルテニウム)含有層を堆積させるための方法であって、基板に対するインキュベーション時間が貴金属(ルテニウム)含有層の堆積サイクル中のPE−ALDチャンバに存在するプラズマ種によって制御されるようにした方法について説明している。
【0038】
本開示を通じて、プラズマ増強ALDは、共に本開示の方法で適用するのに好適な「ダイレクトプラズマ」構成、又は「リモートプラズマ」構成のいずれかを指す。
【0039】
好都合なことに、プラズマの組成を変更することにより、貴金属(ルテニウム)堆積/成長の選択性は基板によって変化し、即ち、基板を堆積チャンバから取り出すことなく、初期の選択的成長を非選択的成長に変更することが可能であり、その逆もまた可能である。
【0040】
本開示の別の実施形態では、N2/NH3プラズマを使用してRuを堆積させるときに、金属窒化物基板(TiN、TaN)上で非常に長いインキュベーション時間が認められる一方、同じ堆積プロセス、即ち同じプラズマ組成及び堆積サイクルにおける一連の工程について、Ruベースの基板(Ru、Ru(Ta))上で成長はほぼ認められない。
【0041】
N2/H2プラズマを使用してRuを堆積させる場合、短いインキュベーション時間の後、金属窒化物(TiN、TaN)上でのルテニウム成長が認められる。チャンバ内に準備するRu前駆体の量(即ち、Ru前駆体パルスの長さ)を調節することによって、短いインキュベーション時間をさらに変更(短く/長く)することができる。Ruベースの基板(Ru、Ru(Ta))上での同じ条件(N2/H2プラズマ)では、成長は認められない。
【0042】
これらの結果は、金属窒化物基板上での非常に長いインキュベーション時間を示しているが、Ruベースの基板上部でのRuの堆積を可能にするN2/NH3プラズマを使用することによって、金属窒化物とRuベースの材料とを含む基板上でのPE−ALDによるRuの選択的成長に対して利用することができる。
【0043】
さらに、プラズマ組成をN2/NH3からN2/H2へ変更することによって、金属窒化物上での成長を開始可能であると共に、選択的堆積から非選択的堆積へと切り替え可能であることが開示されている。好都合なことに、基板が堆積チャンバ内に保持されている間は、プラズマ組成の変更を行うことができる。
【0044】
本開示の実施形態では、N2/NH3組成をN2/H2組成へ切り替える場合、追加のプラズマ処理を実施する。追加のプラズマ処理は、N2/NH3によって不活性化された表面を再活性化し、これによりN2/H2を用いた非選択的堆積のための表面を準備することを目的としている。プラズマ処理は、N2及び/又はH2プラズマを用いた非選択的堆積サイクルを開始する前に実施してもよい。
【0045】
金属窒化物表面に対する選択的成長における切り替えは、単に成長中にプラズマ組成を変更することによって、即ちNH3とH2とを置き換えることによって、Ru含有材料を用いて複雑な構造を充填することに適用することができる。例えば、ALD適合性及び金属窒化物に対する選択性での切り替え、という利点を利用することによって、3D構造を充填し、それゆえ幾つかのパターニング工程を置き換えることができる。
【0046】
特定の実施形態では、ダイレクトプラズマ機能を有する300mmALDチャンバ内で、Ru薄膜をPE−ALDによって堆積した。プラズマは、高周波ジェネレータを使用して、基板とシャワーヘッドとの間に発生させる。電力は通常400Wであり、50Wから600Wの範囲内、又は100Wから600Wのより限定された範囲内で可変である。ALDチャンバは、複数のチャンバプラットフォームに取り付ける。他で特に言及しない限り、ALD堆積中のチャンバ内の圧力は3.5Torrで、ウエハ温度は330℃に維持した。ALD堆積中のチャンバ内の温度は、200℃から450℃の範囲内で可変である。
【0047】
堆積の前に、任意であるが、350℃のAr雰囲気下で且つ低圧(約2Torr)で、基板を1分間脱気した。脱気工程は、同じプラットフォームに取り付けたアニールチャンバ内で実施する。
【0048】
開示の方法は、ビスーシクロペンタジエニルを含み、1つ以上のアルキル(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、i−プロピル、i−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、アリル、トリメチルシリル)置換基を有する又は有さない、任意のRu前駆体を用いて実施することができる。代替として、Rh、Pd、Os、Ir又はPtのような他の貴金属を、シクロペンタジエニル及びアルキル置換基を含む貴金属前駆体を使用した本開示の方法を使用して堆積させることができる。
【0049】
Ru又は貴金属前駆体をPE−ALDチャンバに供給するために、窒素(N2)をキャリアガスとして使用する。特定の実施形態では、Ru(EtCp)2を、液状物質であるRu源として使用した。代替として、Ru(又は他の貴金属)源は、固相又は気相の物質が可能である。キャリアガス(N2)は、ALDプロセスを飽和させるのに充分な50℃の温度でRu(EtCp)2を含有するバブラを通過した。
【0050】
N2と、NH3又はH2のうちの1つとを図1(a)及び(b)に概略的に示す堆積サイクル中に、PE−ALDチャンバに連続的に供給する。代替として、N2の代わりに、N2とAr又はHeのような不活性ガスとの混合物を連続的に供給することができる。
【0051】
金属窒化物表面上で堆積/成長を実施しない状態での、貴金属表面上へのRu(又は他の貴金属)の選択的堆積のために、全サイクル中で、アンモニアをチャンバに追加的に供給した。プラズマ照射は、Ru前駆体を供給する前か、Ru前駆体を供給してパージした後のいずれかに、窒素及びアンモニア(N2/NH3)の存在下で実施した。
【0052】
Ru(又は他の貴金属)の貴金属表面及び金属窒化物表面への非選択的堆積のために、Ru前駆体を供給する前か、Ru前駆体を供給してパージした後のいずれかに、窒素及び水素(N2/H2)の存在下でプラズマ照射を実施した。
【0053】
別の実施形態では、PE−ALDチャンバにおける全圧(プロセス圧力)は3.5Torrであった。このプロセス圧力の場合、NH3の分圧は0.04Torrと約3.2Torrとの間で可変であり、又は代替として0.1Torrと2.5Torrとの間で、又は0.4Torrと1.5Torrとの間で可変である。図4に示す特定の実施例では、NH3の分圧を、それぞれ0.4Torr、0.9Torr、1.5Torrに選択した。
【0054】
代替として、PE−ALDチャンバ内での3.5Torrのプロセス圧力の場合、H2の分圧は0.1Torrと約1Torrとの間で可変であり、又はより限定された0.2Torrと0.5Torrとの間で可変である。図4に示す特定の実施例では、H2の分圧を、それぞれ0.2Torr及び0.5Torrに選択した。
【0055】
本開示の別の実施形態では、NH3の流量は250sccmと1500sccmとの間の値であり、一実施形態では、750sccmである。本開示の別の実施形態では、H2の流量は、150sccmと450sccmとの間の値であり、一実施形態では、300sccmである。
【0056】
図1は、本開示の方法によるRuの選択的/非選択的堆積についての、PE−ALDによるRuサイクル、即ち図1(a)は、Ru前駆体を準備した後のプラズマストライク及びN2/NH3(選択的)又はN2/H2(非選択的)の存在下でのパージ、図1(b)は、N2/NH3(選択的)又はN2/H2(非選択的)の存在下でRu前駆体を準備する前のプラズマストライクを概略的に示している。
【0057】
成長が非選択的である実施形態では、プラズマ照射をN2/H2雰囲気で実施する。
【0058】
パージは、第2の反応体(N2/NH3又はN2/H2)へのプラズマストライク及びプラズマ照射の後にも実施することができる。しかし、第2の反応体の後にパージを付加しても、結果には影響しない。励起種の短寿命とウエハレベルでのプラズマ生成(ダイレクトプラズマ)に起因して、副生成物はプラズマパルス中に除去されるので、プラズマストライク後のパージは省略することができる。
【0059】
特定の実施形態では、基板はSiウエハである。他の半導体材料又は半導体製造に適合した材料を含む基板を使用することができる。
【0060】
本開示の実施形態によれば、本明細書でさらに名付けられる「金属窒化物基板」を形成するSiウエハ上での物理的気相成長(PVD)によって、10nmのTiN層をエクスサイチュ(ex-situ)堆積した。他の幾つかの例では、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT)前駆体及びN2/H2プラズマを用いて形成したインサイチュ(in-situ)PE−ALDによるTiNを使用する。
【0061】
金属窒化物基板は、TiN、TaN、WN、いずれかの混合物又はその合金を含む。代替の実施形態では、AlNを使用することができる。金属窒化物は、化学量論的又は非化学量論的な化合物である。代替として、金属窒化物基板は、例えばプラズマ窒化プロセスによって、「窒化可能な金属」(nitridable)とも呼ばれる、金属窒化物に容易に変質させることができる(又はその上層を容易に変質させることができる)金属を含むことができる。かかる窒化可能な金属の非制限的な例は、Ti、Ta、W、Al及びいずれかの混合物又はその合金である。金属窒化物基板はさらに、炭素及び/又は酸素のような他の元素を含んでもよい。
【0062】
幾つかの例では、Ru−CVDのシード層又はRuリッチのPVDによるRu(Ta)層を、PE−ALDによるRu堆積の前にTiN基板の上部に堆積し、「Ruベースの基板」を形成した。Ru/Taの原子比は、約10/1であった。
【0063】
本開示の文脈では、他の金属基板、又は、容易に窒化できないCuのような金属の上側層を含む基板は、Ruベースの基板と同様に動作するであろう。窒化不可能な金属の例は、貴金属又はその合金並びにCu、Ag及びAuのような11族の遷移金属である。先進的な半導体デバイスにおける相互接続構造を形成するために主に使用されるが故に、これらの中でも特に銅が興味深い。
【0064】
本開示の他の実施形態では、「シリコン酸化物基板」とも呼ばれる20nmの熱成長SiO2基板(Siウエハ上への)を形成した。代替として、「シリコン酸化物基板」は、SiONを含んでもよい。
【0065】
Ru膜の厚さ及びそのウエハ面内不均一性(WiWNU)は、KLA−Tencor(商標)社のAlerisを使用した分光偏光解析法(SE)によって決定した。10mmのエッジ除外を有する49点マップを収集した。この方法で、10nmTiN基板上の最大10nmのRu膜を確実に測定することができた。厚さの制限は、金属内での限られた浸透深さによって設定する。
【0066】
また、膜厚の値は、JordanValley(商標)社のCuのKα線を使用したX線回折装置によるX線反射率測定によって決定した。同じ回折装置を使用して、X線回折(XRD)により結晶性を評価した。シート抵抗(Rs)は、RS100のKLA−Tencor(商標)社の4点プローバを使用して測定した。
【0067】
不純物レベルは、分析のための15keVのビームエネルギーで動作するGa源(80×80μm2の面積)とデプスプロファイリングのための350eVのエネルギーを有するXeビーム(500×500μm2のスパッタ面積)とを有するION−TOF−IVの機器を使用した、飛行時間型二次イオン質量分析(ToFSIMS)によって測定した。1MeVのHe+ビームを用いたラザフォード後方散乱(RBS)を使用して、金属原子の堆積量を決定した。
【0068】
(インキュベーションの基板組成への依存性)
Ruベースの基板(Ruシード又はRuTa)上で、Ru成長は、N2/NH3プラズマを使用したPE−ALDについての線形挙動を示す。図2(a)に示すように、著しい成長は認められなかった。
【0069】
図2(b)に示すように、TiN基板上で、Ru成長の非常に長い、即ち480サイクルより多いインキュベーションが見いだされた。非常に長い前駆体Ru(EtCp)2のパルス時間(即ち、10倍以上)、及び高いソース温度(35℃より高い温度でのRuアンプル)の場合でさえ、480サイクルで著しい成長は得られなかった。同様に、長いインキュベーション時間がTaN基板上で認められた。その効果は非常に顕著であり、準備する前駆体の量を増加させることによってインキュベーション時間を「調節」することは、著しい成長に全くつながらない。
【0070】
図2(b)及び図2(c)を比較した場合に結論付けることができるように、N2/NH3プラズマの存在下で、金属窒化物基板上でのRu成長のインキュベーション時間は、SiO2基板上よりもさらに長い。これは、通常は相反する挙動を報告している最先端の観点では想定外のことである。SiO2上での成長は著しいインキュベーションを示すが、インキュベーション時間は、依然として充分にN2/NH3の存在下でのTiN上での成長とは異なり、それゆえTiN上での成長は認められないが、SiO2上での選択的堆積は可能となる。
【0071】
同様に、インサイチュ堆積したTiN上での、N2/NH3プラズマプロセスを用いたRu成長の場合に、TDMAT及びN2/H2プラズマから、長いインキュベーションが見いだされた。この特定の実施例では、酸化したTiNの形成によりエクスサイチュ形成された場合のように、空気曝露に起因したTiN表面へのOコンタミネーションは存在しない。それゆえ、成長阻害因子としてのTiN表面へのOコンタミネーションを排除することができる。
【0072】
したがって、別の実施形態では、Ru(EtCp)2からのRu成長は、Ruベースの基板上でのN2/NH3プラズマを使用して実施したが、金属窒化物基板及び酸化した金属窒化物基板上で成長は認められなかった。
【0073】
図1(b)に示すように、N2/NH3プラズマを用いた前処理後に(チャンバ内にRu前駆体を供給する前に)、同様の挙動が見いだされた。理論に縛られることは望まないが、これは、Ru(又は他の貴金属)前駆体をチャンバ内に供給し除去した前又は後に、N2/NH3プラズマに曝露し、その後のTiN基板へのRu(EtCp)2の吸収/化学吸着における妨害物(hinder)に起因している、と我々は考えている。
【0074】
金属窒化物(TiN)に対する金属(Ru)上での選択的成長は、薄いRuシードで部分的に覆われたウエハを有することによって実証された。ウエハのエッジ領域では、Ruシードが不足していた。図2(d)に示すように、シードが存在する領域上では、約11nmのPE−ALDによるRu堆積を得ることができたが、シードが存在しない領域では、堆積は得られなかった。均一に堆積したRuシード上での同様の堆積プロセスは、中央からエッジまでの均一なPE−ALDによるRu堆積を示した。
【0075】
(インキュベーションのプラズマ組成への依存性)
上記の実験でN2/NH3プラズマをN2/H2プラズマと置き換えた場合、異なる結果が得られる。図3(a)に示すように、TiN基板上でRu堆積を得ることができる。SiO2基板上でプラズマの影響を比較すると(図3(b))、TiN上と同様の傾向が認められた。N2/NH3プラズマと比較して、SiO2基板上でのN2/H2プラズマは、より短いインキュベーション時間につながる。しかし、SiO2上でのインキュベーション時間の差はTiN基板上よりも短く、それは、Ru(又は任意の他の貴金属)のALD成長中に使用するプラズマ選択のインキュベーション時間への影響を示している。
【0076】
図3(c)に示すように、ALDサイクル当たりのRu露出を増加させることによって、インキュベーション時間を調節することができる。Ru/パルスの低用量及び高用量は、それぞれ50℃から85℃までRuアンプルの温度を変化させることによって得た。これは、Ru量の測定値である蒸気圧の最大10倍の増加に対応する。パルス、パージ時間のような他のすべてのパラメータは、一定に保った。
【0077】
Ru堆積前のN2/H2プラズマ前処理は、N2/NH3プラズマによる堆積の場合に認められる阻害を大幅には低下させなかった。
【0078】
通常、成長インキュベーションの差は、基板であって、その基板上でプラズマ照射後にRu(EtCp)2が化学吸着する基板上での活性部位の差に起因する。その場合、N2/H2プラズマは、これらの活性部位を作成するためには、N2/NH3よりも有効であろう。有効なN2/H2を用いたプラズマ前処理は、これらの活性部位を作成する必要がある。しかし、我々は、N2/H2プラズマを用いたRu堆積の、最初の40サイクル及び120サイクル中にウエハが受けるプラズマ照射と類似した最初のN2/H2プラズマ処理を経たTiN基板上での、N2/NH3プラズマに対する長いインキュベーション時間を同様に観察してきた。プラズマ処理とその後のN2/NH3プラズマを用いたRu堆積との間にはエアブレイク(air break)がなかった。驚くべきことに、最初にN2/H2プラズマを用いて処理されなかった試料に対して、大きな差は認められなかった。これは、N2/H2プラズマ処理の後に活性部位が存在した場合は、N2/NH3プラズマはそれらを不活性化した、ということを示唆している。
【0079】
図4では、プラズマ組成(N2/NH31500sccmからN2/H2450sccmまで)の、TiN基板上での240ALDサイクル後のRuの厚さに対する影響を示している。NH3をN2に付加するとすぐに、非常に長いインキュベーションが発生する。
【0080】
純粋なN2の場合、インキュベーションなしにALD成長が認められたが、サイクル当たりの成長(GPC)は低下した。これは、純粋なN2プラズマは、Ru前駆体からリガンドを除去するように適合せず、膜の密度をより小さくし、C不純物をより多くする可能性があることを示唆している。図5(b)に示すように、純粋なN2プラズマの場合、より小さい密度、より純粋でない層に合わせて、抵抗もまた、より大きい。N2プラズマを付加するとすぐに、予想した厚さが得られるが、これは、活性化したH種がリガンドを除去するのに非常に有効である、ということを示唆している。
【0081】
(GPC及び材料特性のプラズマ組成への依存性)
N2/NH3及びN2/H2からプラズマ組成を切り替える場合、Ruのサイクル当たりの成長の値において差は見いだされてこなかった。図5(a)に示したように、N2/NH3プラズマ(RuTa/TiN上での)及びN2/H2プラズマ(TiN上での)の両方の場合で、約0.016nmのGPCが見いだされた。より多くの前駆体量、より長いプラズマ照射、又はより大きいプラズマ出力(データは図示せず)は、GPC又は抵抗に大きい影響を与えなかった。これは、プロセスが飽和していることを示唆している。GPCに影響を与えたパラメータは、反応器の温度だけであった。温度を約400℃まで上昇させるのに伴って、約0.025nmまでのGPCの増加が見いだされた。上記のように、N2プラズマ(TiN上での)の場合に、より小さいGPCが見いだされたことに留意されたい。
【0082】
N2/NH3及びN2/H2プラズマによって堆積したRu膜の抵抗は類似し、さらにその上、図5(b)に示すように、超薄膜範囲でも類似する。それゆえ、プラズマ組成をN2/NH3及びN2/H2から切り替えることは、形成されるRu層の質(物理的特性)の差につながらない。N2プラズマの場合、抵抗率はより大きい。これはおそらく、不完全な表面反応に起因した、より多くの膜内不純物が原因であろう。これは、堆積したRu膜の物理的特性が類似していることを示唆している。XRDパターンは、すべてのケースで、多結晶六角形のRu膜を示す。より厚い膜は、TiNの(101)方向に沿ったテクスチャを示す。
【0083】
図6は、本開示の方法によるRuの選択的成長を適用して、種々のプロセスフローを単純化できるような、幾つかの非制限的な実施例を概略的に示す。図6(a)は、Ru含有材料(1)の上部へのRu(1)の選択的成長、TiN(2)内に規定されたパターニング構造のボトムアップ充填、又はTiN基板(2)上の所定のRuドット/構造の上部に成長したピラー、図6(b)は、SiO2(3)上へのRu(1)の選択的成長、TiN(2)内に規定されたパターニング構造の、Ruを用いたボトムアップ充填、図6(c)は、可能であればPE−ALDチャンバから基板を取り出すことなく、本開示の方法によるプラズマ組成を修正することにより、PE−ALDによって成長したRuのT型構造である。
【0084】
以上、言及した種々のプロセスフローは、DRAM、MIMCAP、RRAMのような半導体デバイス、スケーリングした先進のデバイスの相互接続金属化、並びに、Ruの選択的成長及び/又は選択的成長と非選択的成長との間の切り替えを有利に適用可能な他のいずれかの利用、のいずれかの製造フローが可能である。
【技術分野】
【0001】
本開示は、金属/金属窒化物基板上に貴金属(noble metal)を選択的に堆積させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、貴金属成長、特に原子層堆積(ALD)によるルテニウムの成長が、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)及び相互接続金属化のような幾つかの利用に対する将来の技術ノードにおける可能な材料として、多くの関心を集めてきた。
【0003】
DRAMの金属−絶縁体−金属キャパシタ(MIMCAP)にとって、Ru及び/又はRuO2だけでなく、他の貴金属(酸化物)も、金属−絶縁体−金属構造でのTiN電極に取って代わる候補である。Ruは、他の金属と比べて、酸化されたときに依然として導電性を有し、したがってキャパシタの等価酸化膜厚(EOT)に寄与しないという利点を有する。さらに、RuOxは、誘電体、例えばチタン酸ストロンチウム(STO)のトラップ密度の低下によるリークを低下させるという利点を有する。
【0004】
従来、相互接続金属化のためのCuの電気化学的な堆積は、電流を導くためのPVDのTa/TaNバリアの上部への、Cuシード層の物理気相成長(PVD)を使用する。しかし、PVD技術のステップカバレッジの制限は、将来の技術ノードにおいてその使用を危うくする。シードレスCu電気めっきと組み合わせた原子層堆積(ALD)によって成長するバリアは、サブ25nmラインの限界寸法(CD)のために検討された金属化ルートの1つである。しかし、シードレス電気めっきとの適合性は、材料の選択を厳しく制限する。さまざまな候補の中で、Ru層が直接Cuめっきの核形成層として作用することが大変有望であるとみなされてきた。さらに、Ruが従来のTaに対する代替として貴重であることを示すCVDのRuライナーを使用したCuの金属化について、高いエレクトロマイグレーション抵抗が実証されてきた。Cuとの適合性は別として、Ruは相互接続としての利用に大変重要である低い抵抗率を有する。
【0005】
Ru、特にRuO2及び他の貴金属もまた、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)トランジスタ、又は抵抗ランダムアクセスメモリ(RRAM:登録商標)のような他の利用での金属ゲートに対する高い実効仕事関数(EWF)のために、興味深いであろう。
【0006】
ALD貴金属成長は、大きく基板に依存することが知られている。例えばシリコン酸化物では、長いインキュベーション時間が観察されてきたが、金属窒化物では、インキュベーション時間は充分に短い。米国特許公開(US 2010/0136776)では、インキュベーション時間の差が充分に大きい場合、基板の選択領域での選択的成長が可能であることが開示されている。例えば、酸化物表面及び金属窒化物のドットを有する基板上にRuを堆積させる場合、Ruは金属窒化物のドット上に選択的に成長することになる。
【0007】
貴金属の選択的成長は、トランジスタで金属ゲートを選択的に成長させる場合や相互接続におけるボトムアップ充填などのさまざまな領域で興味深い。さらに、3Dデバイスへのトレンドは、複雑な形状を有する複雑な構造での堆積を必要とすることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、例えば、酸化堆積プロセス中の基板の(部品の)有害な酸化のようなプロセスフローとの不適合性に起因して、酸化物を使用して金属基板上に選択的成長させることができない場合、酸化物と金属(窒化物)基板との間のインキュベーション時間の差を使用することができない。
【0009】
さらに、特定の厚さまで選択的成長が必要とされ、続いて非選択的成長が必要となる場合、1つよりも多い堆積チャンバ及び/又は堆積技術を使用することが必要となるが、これは望ましくない。
【0010】
本開示の目的は、金属/金属窒化物基板上に貴金属を堆積させるための汎用的な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、本開示に従って、第1の独立請求項の工程を有する方法を用いて達成される。プラズマ増強原子層堆積(PE−ALD)によって貴金属層を形成するための方法が開示されている。その方法は、PE−ALDチャンバ内に基板を準備する工程であって、その基板は、露出した第1材料を有する第1領域と、露出した第2材料を有する第2領域とを含み、第1材料は金属窒化物又は窒化可能な金属を含み、第2材料は、窒化不可能な金属又はシリコン酸化物を含むようにした工程を含む。その方法はさらに、第1ステップとして下記の(a)又は(b)を有する堆積サイクルを繰り返し実施することによって、PE−ALDを用いて貴金属層を第1領域でなく第2領域に選択的に堆積させる工程を含む。即ち、(a)は、貴金属前駆体をPE−ALDチャンバに供給し、キャリアガスの存在下で貴金属前駆体を基板に接触させ、続いて貴金属前駆体をパージするステップ、(b)は、アンモニア及びキャリアガスをPE−ALDチャンバに供給しつつ、プラズマに基板を曝露するステップである。
【0012】
本開示は、PE−ALDによって貴金属含有層を堆積させるための方法であって、基板に対するインキュベーション時間が、貴金属含有層の堆積サイクル中にPE−ALDチャンバに存在するプラズマの性質によって制御され、先行技術で開示されてきたような基板の性質によっては制御されないような方法について説明している。PE−ALD貴金属プロセス中に、PE−ALDチャンバ内に窒素及びアンモニアを供給しつつ基板をプラズマに曝露することによって、貴金属層を基板の第2領域に堆積し、基板の第1領域上への初期の成長を、その第1領域を貴金属前駆体の化学吸着に対して反応性が低い、又は反応しないようにすることで、阻害する。遅延した成長は、金属窒化物又は窒化可能な金属を含む第1材料であって露出した第1材料を有する領域で生じ、窒化不可能な金属又はシリコン酸化物を含む第2材料であって露出した第2材料を有する第2領域上で、成長は遅延なく生じ、第2領域に選択的成長を生じさせる。この選択性を使用することによって、例えばボトムアップ充填により、複雑な導電性ナノ構造を使用することができる。
【0013】
幾つかの実施形態では、方法はさらに、第1ステップとしての(a)又は(b)を有する堆積サイクルであって、ステップ(b)ではアンモニアを水素に置き換えるようにした堆積サイクルを繰り返し実施することによって、PE−ALDを用いて、第2領域及び第1領域に貴金属層を非選択的に堆積させる工程を含む。
【0014】
第2領域への貴金属層の選択的PE−ALD成長が、続けて非選択的成長を必要とする場合、これは全く同じ堆積チャンバ内で、同じ堆積サイクル中に、単に基板をチャンバ内に保持した状態でプラズマ組成を変更することによって得ることができる。
【0015】
幾つかの実施形態では、本方法はさらに、貴金属層を非選択的に堆積させる前に、基板の追加のプラズマ処理を実施する工程を含んでもよい。
【0016】
幾つかの実施形態では、追加のプラズマ処理は、N2、H2若しくはN2/H2プラズマ又はAr若しくはHeのような不活性ガスのプラズマ内で実施する。
【0017】
本開示による実施形態では、キャリアガスは、N2又はN2とAr若しくはHeのような不活性ガスとの混合物である。
【0018】
本開示による実施形態では、窒化不可能な金属は、貴金属又は11属に属する遷移金属を含む。
【0019】
幾つかの実施形態では、11属に属する遷移金属は、Cu、Ag及びAuからなる群から選択される。
【0020】
本開示による実施形態では、貴金属は、Ru、Rh、Pd、Os、Ir又はPtを含む
【0021】
幾つかの実施形態では、貴金属は、ルテニウム、又はRuTaのようなRu含有合金でもよい。
【0022】
さらに、幾つかの実施形態では、金属窒化物は、TiN、TaN又はWNを含んでもよい。
【0023】
幾つかの実施形態では、金属窒化物は、さらに炭素及び/又は酸素を含む
【0024】
本開示による実施形態では、窒化可能な金属は、Ti、Ta、W、Al及びいずれかの混合物又はその合金からなる群から選択される。
【0025】
幾つかの実施形態では、堆積サイクル中に、PE−ALDチャンバに窒素とアンモニア又は水素のうちの1つとを連続的に供給してもよい。
【0026】
本開示による実施形態では、貴金属前駆体は、1つ以上のアルキル置換基を有するビス(エチルシクロペンタジエニル)Me及びビス(シクロペンタジエニル)Meからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本開示はさらに、以下の説明及び添付の図面によって明らかにされる。
【0028】
【図1】本開示の方法によるRuの選択的/非選択的堆積についてのプラズマ増強ALD(PE−ALD)によるRuサイクルを概略的に示している。図1(a)は、Ru前駆体を提供した後のN2/NH3の存在下(選択的)又はN2/H2の存在下(非選択的)でのプラズマストライク及びパージを示す。図1(b)は、Ru前駆体を提供する前のN2/NH3の存在下(選択的)又はN2/H2の存在下(非選択的)でのプラズマストライクを示す。
【図2(a)】N2/NH3プラズマを用いたPE−ALDによる、Ru含有(Ruシード及びRuTa)基板へのRuの成長曲線を示す。
【図2(b)】N2/NH3プラズマを用いたPE−ALDによる、TiN基板へのRuの成長曲線を示す。
【図2(c)】N2/NH3プラズマを用いたPE−ALDによる、SiO2基板へのRuの成長曲線を示す。
【図2(d)】Ru含有基板及びTiN基板上のPE−ALDによるRuの選択的成長の実証を示す。
【図3(a)】N2/NH3プラズマ及びN2/H2プラズマを用いたPE−ALDによる、TiN基板へのRuの成長曲線を示す。
【図3(b)】N2/NH3プラズマ及びN2/H2プラズマを用いたPE−ALDによる、SiO2基板へのRuの成長曲線を示す。
【図3(c)】N2/H2プラズマの場合の、TiN上でのインキュベーション時間のRu量依存性を示す。
【図4】種々のプラズマ組成を使用した240サイクル後のPE−ALDによるRu膜の厚さを示す。
【図5(a)】種々のプラズマを使用したPE−ALDによるRuプロセスのサイクル当たりの成長(GPC)を示す。
【図5(b)】種々のプラズマを用いて堆積したRu膜について、厚さの関数としてのシート抵抗を示す。
【図6(a)】本開示の方法によるRuの選択的成長を適用して種々のデバイス製造フローを単純化した幾つかの非制限的な実施例を概略的に示す。
【図6(b)】本開示の方法によるRuの選択的成長を適用して種々のデバイス製造フローを単純化した幾つかの非制限的な実施例を概略的に示す。
【図6(c)】本開示の方法によるRuの選択的成長を適用して種々のデバイス製造フローを単純化した幾つかの非制限的な実施例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示は、特定の実施形態について特定の図面を参照しながら説明するが、本開示はこれらに限定されず、請求項によってのみ限定される。記載した図面は概略的なものであり、限定的でない。図面において、幾つかのエレメントのサイズは、説明目的のため誇張し、また、スケールどおり描いていないことがある。寸法及び相対寸法は、本開示の実施化のための実際の縮小と必ずしも対応していない。
【0030】
さらに、説明及び請求項での用語「第1」「第2」「第3」などは、類似のエレメントを区別するために使用しており、必ずしもシーケンス順に、又は経時順に記載するためには使用していない。用語は、好適な状況下で交換可能であり、本開示の実施形態は、本明細書で説明したり図示したものとは別の順番で動作可能である。
【0031】
さらに、説明及び請求項での用語「上(top)」「下(under)」「〜の上方に(over)」「〜の下方に(under)」等は、説明目的で使用しており、必ずしも相対的な位置を記述するためのものでない。こうして用いた用語は、好適な状況下で交換可能であって、本明細書で説明した実施形態は、本明細書で説明又は図示した以外の他の向きで動作可能である。
【0032】
さらに、種々の実施形態を「好ましい」として参照しているが、本開示を実装可能な例示的な態様として解釈すべきであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0033】
請求項で使用する用語「備える、有する、含む(comprising)」は、それ以降に列挙された手段に限定されるものと解釈すべきでなく、他のエレメント又は工程を除外していない。記述した特徴、整数、工程又はコンポーネントの存在を、参照したように特定するよう解釈する必要があるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程又はコンポーネント、或いはこれらのグループの存在又は追加を除外していない。したがって、「A及びBを備えるデバイス」という表現の技術的範囲は、コンポーネントA及びBのみからなるデバイスに限定すべきでなく、むしろ本開示に関して、デバイスの列挙したコンポーネントはA及びBのみであり、さらに請求項は、それらのコンポーネントと均等なものも含むと解釈すべきである。
【0034】
プラズマ増強原子層堆積(PE−ALD)によってルテニウムを堆積させるための最先端の化学構造は、ビス(エチルシクロペンタジエニル)Ru又はRu(EtCp)2である。しかし、報告されているサイクル当たりの成長及び初期の成長の挙動は大きく異なる。これはおそらく、基板の準備、並びに前駆体の量及び有効な反応器の温度のようなプロセスの特定の条件に対する、ALDによるRuプロセスの充分な感度に起因する。
【0035】
一般に、Si酸化物表面上でのRuのALD成長は、長いインキュベーション時間に悩まされている。最終的に、分離した位置での核形成が、結果としてアイランド成長に伴って起こる。通常、Ruの堆積前に表面にプラズマ前処理を施すことにより、Ru(EtCp)2前駆体に対するより多くの反応位置を作成することを可能にし、それゆえ、インキュベーション時間が低下する。SiO2基板上での長いインキュベーションが報告されているが、金属窒化物は、通常、核形成の見地から優れた基板であると報告されている。最先端では、一貫して、TiN基板上での非常に短いインキュベーション時間、からインキュベーション時間なし、に至るまでが報告されている。TiN基板上での非常に短いインキュベーション時間からインキュベーション時間なし、は基板をプラズマに暴露する場合にPE−ALD反応器に存在するガスとは無関係であると報告されている。例えば、Ar/NH3の存在下と、Ar/N2/H2の存在下の両方で、TiN基板上でのRuの非常に短いインキュベーション時間からインキュベーション時間なし、が報告されている。それゆえ、これらのガスのどの混合物も、TiN上の初期成長における異なる挙動につながらないことが予想されるであろう。
【0036】
さらに、金属酸化物又は金属窒化物の基板上よりも長いSiO2上でのインキュベーション時間は、デバイスの特定の領域、例えば電極でのRuの選択的成長の分野の最先端で使用されてきた。したがって、最先端では、選択的成長は、基板の性質によって引き起こされている。
【0037】
種々の実施形態で、本開示は、PE−ALDによって貴金属(ルテニウム)含有層を堆積させるための方法であって、基板に対するインキュベーション時間が貴金属(ルテニウム)含有層の堆積サイクル中のPE−ALDチャンバに存在するプラズマ種によって制御されるようにした方法について説明している。
【0038】
本開示を通じて、プラズマ増強ALDは、共に本開示の方法で適用するのに好適な「ダイレクトプラズマ」構成、又は「リモートプラズマ」構成のいずれかを指す。
【0039】
好都合なことに、プラズマの組成を変更することにより、貴金属(ルテニウム)堆積/成長の選択性は基板によって変化し、即ち、基板を堆積チャンバから取り出すことなく、初期の選択的成長を非選択的成長に変更することが可能であり、その逆もまた可能である。
【0040】
本開示の別の実施形態では、N2/NH3プラズマを使用してRuを堆積させるときに、金属窒化物基板(TiN、TaN)上で非常に長いインキュベーション時間が認められる一方、同じ堆積プロセス、即ち同じプラズマ組成及び堆積サイクルにおける一連の工程について、Ruベースの基板(Ru、Ru(Ta))上で成長はほぼ認められない。
【0041】
N2/H2プラズマを使用してRuを堆積させる場合、短いインキュベーション時間の後、金属窒化物(TiN、TaN)上でのルテニウム成長が認められる。チャンバ内に準備するRu前駆体の量(即ち、Ru前駆体パルスの長さ)を調節することによって、短いインキュベーション時間をさらに変更(短く/長く)することができる。Ruベースの基板(Ru、Ru(Ta))上での同じ条件(N2/H2プラズマ)では、成長は認められない。
【0042】
これらの結果は、金属窒化物基板上での非常に長いインキュベーション時間を示しているが、Ruベースの基板上部でのRuの堆積を可能にするN2/NH3プラズマを使用することによって、金属窒化物とRuベースの材料とを含む基板上でのPE−ALDによるRuの選択的成長に対して利用することができる。
【0043】
さらに、プラズマ組成をN2/NH3からN2/H2へ変更することによって、金属窒化物上での成長を開始可能であると共に、選択的堆積から非選択的堆積へと切り替え可能であることが開示されている。好都合なことに、基板が堆積チャンバ内に保持されている間は、プラズマ組成の変更を行うことができる。
【0044】
本開示の実施形態では、N2/NH3組成をN2/H2組成へ切り替える場合、追加のプラズマ処理を実施する。追加のプラズマ処理は、N2/NH3によって不活性化された表面を再活性化し、これによりN2/H2を用いた非選択的堆積のための表面を準備することを目的としている。プラズマ処理は、N2及び/又はH2プラズマを用いた非選択的堆積サイクルを開始する前に実施してもよい。
【0045】
金属窒化物表面に対する選択的成長における切り替えは、単に成長中にプラズマ組成を変更することによって、即ちNH3とH2とを置き換えることによって、Ru含有材料を用いて複雑な構造を充填することに適用することができる。例えば、ALD適合性及び金属窒化物に対する選択性での切り替え、という利点を利用することによって、3D構造を充填し、それゆえ幾つかのパターニング工程を置き換えることができる。
【0046】
特定の実施形態では、ダイレクトプラズマ機能を有する300mmALDチャンバ内で、Ru薄膜をPE−ALDによって堆積した。プラズマは、高周波ジェネレータを使用して、基板とシャワーヘッドとの間に発生させる。電力は通常400Wであり、50Wから600Wの範囲内、又は100Wから600Wのより限定された範囲内で可変である。ALDチャンバは、複数のチャンバプラットフォームに取り付ける。他で特に言及しない限り、ALD堆積中のチャンバ内の圧力は3.5Torrで、ウエハ温度は330℃に維持した。ALD堆積中のチャンバ内の温度は、200℃から450℃の範囲内で可変である。
【0047】
堆積の前に、任意であるが、350℃のAr雰囲気下で且つ低圧(約2Torr)で、基板を1分間脱気した。脱気工程は、同じプラットフォームに取り付けたアニールチャンバ内で実施する。
【0048】
開示の方法は、ビスーシクロペンタジエニルを含み、1つ以上のアルキル(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、i−プロピル、i−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、アリル、トリメチルシリル)置換基を有する又は有さない、任意のRu前駆体を用いて実施することができる。代替として、Rh、Pd、Os、Ir又はPtのような他の貴金属を、シクロペンタジエニル及びアルキル置換基を含む貴金属前駆体を使用した本開示の方法を使用して堆積させることができる。
【0049】
Ru又は貴金属前駆体をPE−ALDチャンバに供給するために、窒素(N2)をキャリアガスとして使用する。特定の実施形態では、Ru(EtCp)2を、液状物質であるRu源として使用した。代替として、Ru(又は他の貴金属)源は、固相又は気相の物質が可能である。キャリアガス(N2)は、ALDプロセスを飽和させるのに充分な50℃の温度でRu(EtCp)2を含有するバブラを通過した。
【0050】
N2と、NH3又はH2のうちの1つとを図1(a)及び(b)に概略的に示す堆積サイクル中に、PE−ALDチャンバに連続的に供給する。代替として、N2の代わりに、N2とAr又はHeのような不活性ガスとの混合物を連続的に供給することができる。
【0051】
金属窒化物表面上で堆積/成長を実施しない状態での、貴金属表面上へのRu(又は他の貴金属)の選択的堆積のために、全サイクル中で、アンモニアをチャンバに追加的に供給した。プラズマ照射は、Ru前駆体を供給する前か、Ru前駆体を供給してパージした後のいずれかに、窒素及びアンモニア(N2/NH3)の存在下で実施した。
【0052】
Ru(又は他の貴金属)の貴金属表面及び金属窒化物表面への非選択的堆積のために、Ru前駆体を供給する前か、Ru前駆体を供給してパージした後のいずれかに、窒素及び水素(N2/H2)の存在下でプラズマ照射を実施した。
【0053】
別の実施形態では、PE−ALDチャンバにおける全圧(プロセス圧力)は3.5Torrであった。このプロセス圧力の場合、NH3の分圧は0.04Torrと約3.2Torrとの間で可変であり、又は代替として0.1Torrと2.5Torrとの間で、又は0.4Torrと1.5Torrとの間で可変である。図4に示す特定の実施例では、NH3の分圧を、それぞれ0.4Torr、0.9Torr、1.5Torrに選択した。
【0054】
代替として、PE−ALDチャンバ内での3.5Torrのプロセス圧力の場合、H2の分圧は0.1Torrと約1Torrとの間で可変であり、又はより限定された0.2Torrと0.5Torrとの間で可変である。図4に示す特定の実施例では、H2の分圧を、それぞれ0.2Torr及び0.5Torrに選択した。
【0055】
本開示の別の実施形態では、NH3の流量は250sccmと1500sccmとの間の値であり、一実施形態では、750sccmである。本開示の別の実施形態では、H2の流量は、150sccmと450sccmとの間の値であり、一実施形態では、300sccmである。
【0056】
図1は、本開示の方法によるRuの選択的/非選択的堆積についての、PE−ALDによるRuサイクル、即ち図1(a)は、Ru前駆体を準備した後のプラズマストライク及びN2/NH3(選択的)又はN2/H2(非選択的)の存在下でのパージ、図1(b)は、N2/NH3(選択的)又はN2/H2(非選択的)の存在下でRu前駆体を準備する前のプラズマストライクを概略的に示している。
【0057】
成長が非選択的である実施形態では、プラズマ照射をN2/H2雰囲気で実施する。
【0058】
パージは、第2の反応体(N2/NH3又はN2/H2)へのプラズマストライク及びプラズマ照射の後にも実施することができる。しかし、第2の反応体の後にパージを付加しても、結果には影響しない。励起種の短寿命とウエハレベルでのプラズマ生成(ダイレクトプラズマ)に起因して、副生成物はプラズマパルス中に除去されるので、プラズマストライク後のパージは省略することができる。
【0059】
特定の実施形態では、基板はSiウエハである。他の半導体材料又は半導体製造に適合した材料を含む基板を使用することができる。
【0060】
本開示の実施形態によれば、本明細書でさらに名付けられる「金属窒化物基板」を形成するSiウエハ上での物理的気相成長(PVD)によって、10nmのTiN層をエクスサイチュ(ex-situ)堆積した。他の幾つかの例では、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT)前駆体及びN2/H2プラズマを用いて形成したインサイチュ(in-situ)PE−ALDによるTiNを使用する。
【0061】
金属窒化物基板は、TiN、TaN、WN、いずれかの混合物又はその合金を含む。代替の実施形態では、AlNを使用することができる。金属窒化物は、化学量論的又は非化学量論的な化合物である。代替として、金属窒化物基板は、例えばプラズマ窒化プロセスによって、「窒化可能な金属」(nitridable)とも呼ばれる、金属窒化物に容易に変質させることができる(又はその上層を容易に変質させることができる)金属を含むことができる。かかる窒化可能な金属の非制限的な例は、Ti、Ta、W、Al及びいずれかの混合物又はその合金である。金属窒化物基板はさらに、炭素及び/又は酸素のような他の元素を含んでもよい。
【0062】
幾つかの例では、Ru−CVDのシード層又はRuリッチのPVDによるRu(Ta)層を、PE−ALDによるRu堆積の前にTiN基板の上部に堆積し、「Ruベースの基板」を形成した。Ru/Taの原子比は、約10/1であった。
【0063】
本開示の文脈では、他の金属基板、又は、容易に窒化できないCuのような金属の上側層を含む基板は、Ruベースの基板と同様に動作するであろう。窒化不可能な金属の例は、貴金属又はその合金並びにCu、Ag及びAuのような11族の遷移金属である。先進的な半導体デバイスにおける相互接続構造を形成するために主に使用されるが故に、これらの中でも特に銅が興味深い。
【0064】
本開示の他の実施形態では、「シリコン酸化物基板」とも呼ばれる20nmの熱成長SiO2基板(Siウエハ上への)を形成した。代替として、「シリコン酸化物基板」は、SiONを含んでもよい。
【0065】
Ru膜の厚さ及びそのウエハ面内不均一性(WiWNU)は、KLA−Tencor(商標)社のAlerisを使用した分光偏光解析法(SE)によって決定した。10mmのエッジ除外を有する49点マップを収集した。この方法で、10nmTiN基板上の最大10nmのRu膜を確実に測定することができた。厚さの制限は、金属内での限られた浸透深さによって設定する。
【0066】
また、膜厚の値は、JordanValley(商標)社のCuのKα線を使用したX線回折装置によるX線反射率測定によって決定した。同じ回折装置を使用して、X線回折(XRD)により結晶性を評価した。シート抵抗(Rs)は、RS100のKLA−Tencor(商標)社の4点プローバを使用して測定した。
【0067】
不純物レベルは、分析のための15keVのビームエネルギーで動作するGa源(80×80μm2の面積)とデプスプロファイリングのための350eVのエネルギーを有するXeビーム(500×500μm2のスパッタ面積)とを有するION−TOF−IVの機器を使用した、飛行時間型二次イオン質量分析(ToFSIMS)によって測定した。1MeVのHe+ビームを用いたラザフォード後方散乱(RBS)を使用して、金属原子の堆積量を決定した。
【0068】
(インキュベーションの基板組成への依存性)
Ruベースの基板(Ruシード又はRuTa)上で、Ru成長は、N2/NH3プラズマを使用したPE−ALDについての線形挙動を示す。図2(a)に示すように、著しい成長は認められなかった。
【0069】
図2(b)に示すように、TiN基板上で、Ru成長の非常に長い、即ち480サイクルより多いインキュベーションが見いだされた。非常に長い前駆体Ru(EtCp)2のパルス時間(即ち、10倍以上)、及び高いソース温度(35℃より高い温度でのRuアンプル)の場合でさえ、480サイクルで著しい成長は得られなかった。同様に、長いインキュベーション時間がTaN基板上で認められた。その効果は非常に顕著であり、準備する前駆体の量を増加させることによってインキュベーション時間を「調節」することは、著しい成長に全くつながらない。
【0070】
図2(b)及び図2(c)を比較した場合に結論付けることができるように、N2/NH3プラズマの存在下で、金属窒化物基板上でのRu成長のインキュベーション時間は、SiO2基板上よりもさらに長い。これは、通常は相反する挙動を報告している最先端の観点では想定外のことである。SiO2上での成長は著しいインキュベーションを示すが、インキュベーション時間は、依然として充分にN2/NH3の存在下でのTiN上での成長とは異なり、それゆえTiN上での成長は認められないが、SiO2上での選択的堆積は可能となる。
【0071】
同様に、インサイチュ堆積したTiN上での、N2/NH3プラズマプロセスを用いたRu成長の場合に、TDMAT及びN2/H2プラズマから、長いインキュベーションが見いだされた。この特定の実施例では、酸化したTiNの形成によりエクスサイチュ形成された場合のように、空気曝露に起因したTiN表面へのOコンタミネーションは存在しない。それゆえ、成長阻害因子としてのTiN表面へのOコンタミネーションを排除することができる。
【0072】
したがって、別の実施形態では、Ru(EtCp)2からのRu成長は、Ruベースの基板上でのN2/NH3プラズマを使用して実施したが、金属窒化物基板及び酸化した金属窒化物基板上で成長は認められなかった。
【0073】
図1(b)に示すように、N2/NH3プラズマを用いた前処理後に(チャンバ内にRu前駆体を供給する前に)、同様の挙動が見いだされた。理論に縛られることは望まないが、これは、Ru(又は他の貴金属)前駆体をチャンバ内に供給し除去した前又は後に、N2/NH3プラズマに曝露し、その後のTiN基板へのRu(EtCp)2の吸収/化学吸着における妨害物(hinder)に起因している、と我々は考えている。
【0074】
金属窒化物(TiN)に対する金属(Ru)上での選択的成長は、薄いRuシードで部分的に覆われたウエハを有することによって実証された。ウエハのエッジ領域では、Ruシードが不足していた。図2(d)に示すように、シードが存在する領域上では、約11nmのPE−ALDによるRu堆積を得ることができたが、シードが存在しない領域では、堆積は得られなかった。均一に堆積したRuシード上での同様の堆積プロセスは、中央からエッジまでの均一なPE−ALDによるRu堆積を示した。
【0075】
(インキュベーションのプラズマ組成への依存性)
上記の実験でN2/NH3プラズマをN2/H2プラズマと置き換えた場合、異なる結果が得られる。図3(a)に示すように、TiN基板上でRu堆積を得ることができる。SiO2基板上でプラズマの影響を比較すると(図3(b))、TiN上と同様の傾向が認められた。N2/NH3プラズマと比較して、SiO2基板上でのN2/H2プラズマは、より短いインキュベーション時間につながる。しかし、SiO2上でのインキュベーション時間の差はTiN基板上よりも短く、それは、Ru(又は任意の他の貴金属)のALD成長中に使用するプラズマ選択のインキュベーション時間への影響を示している。
【0076】
図3(c)に示すように、ALDサイクル当たりのRu露出を増加させることによって、インキュベーション時間を調節することができる。Ru/パルスの低用量及び高用量は、それぞれ50℃から85℃までRuアンプルの温度を変化させることによって得た。これは、Ru量の測定値である蒸気圧の最大10倍の増加に対応する。パルス、パージ時間のような他のすべてのパラメータは、一定に保った。
【0077】
Ru堆積前のN2/H2プラズマ前処理は、N2/NH3プラズマによる堆積の場合に認められる阻害を大幅には低下させなかった。
【0078】
通常、成長インキュベーションの差は、基板であって、その基板上でプラズマ照射後にRu(EtCp)2が化学吸着する基板上での活性部位の差に起因する。その場合、N2/H2プラズマは、これらの活性部位を作成するためには、N2/NH3よりも有効であろう。有効なN2/H2を用いたプラズマ前処理は、これらの活性部位を作成する必要がある。しかし、我々は、N2/H2プラズマを用いたRu堆積の、最初の40サイクル及び120サイクル中にウエハが受けるプラズマ照射と類似した最初のN2/H2プラズマ処理を経たTiN基板上での、N2/NH3プラズマに対する長いインキュベーション時間を同様に観察してきた。プラズマ処理とその後のN2/NH3プラズマを用いたRu堆積との間にはエアブレイク(air break)がなかった。驚くべきことに、最初にN2/H2プラズマを用いて処理されなかった試料に対して、大きな差は認められなかった。これは、N2/H2プラズマ処理の後に活性部位が存在した場合は、N2/NH3プラズマはそれらを不活性化した、ということを示唆している。
【0079】
図4では、プラズマ組成(N2/NH31500sccmからN2/H2450sccmまで)の、TiN基板上での240ALDサイクル後のRuの厚さに対する影響を示している。NH3をN2に付加するとすぐに、非常に長いインキュベーションが発生する。
【0080】
純粋なN2の場合、インキュベーションなしにALD成長が認められたが、サイクル当たりの成長(GPC)は低下した。これは、純粋なN2プラズマは、Ru前駆体からリガンドを除去するように適合せず、膜の密度をより小さくし、C不純物をより多くする可能性があることを示唆している。図5(b)に示すように、純粋なN2プラズマの場合、より小さい密度、より純粋でない層に合わせて、抵抗もまた、より大きい。N2プラズマを付加するとすぐに、予想した厚さが得られるが、これは、活性化したH種がリガンドを除去するのに非常に有効である、ということを示唆している。
【0081】
(GPC及び材料特性のプラズマ組成への依存性)
N2/NH3及びN2/H2からプラズマ組成を切り替える場合、Ruのサイクル当たりの成長の値において差は見いだされてこなかった。図5(a)に示したように、N2/NH3プラズマ(RuTa/TiN上での)及びN2/H2プラズマ(TiN上での)の両方の場合で、約0.016nmのGPCが見いだされた。より多くの前駆体量、より長いプラズマ照射、又はより大きいプラズマ出力(データは図示せず)は、GPC又は抵抗に大きい影響を与えなかった。これは、プロセスが飽和していることを示唆している。GPCに影響を与えたパラメータは、反応器の温度だけであった。温度を約400℃まで上昇させるのに伴って、約0.025nmまでのGPCの増加が見いだされた。上記のように、N2プラズマ(TiN上での)の場合に、より小さいGPCが見いだされたことに留意されたい。
【0082】
N2/NH3及びN2/H2プラズマによって堆積したRu膜の抵抗は類似し、さらにその上、図5(b)に示すように、超薄膜範囲でも類似する。それゆえ、プラズマ組成をN2/NH3及びN2/H2から切り替えることは、形成されるRu層の質(物理的特性)の差につながらない。N2プラズマの場合、抵抗率はより大きい。これはおそらく、不完全な表面反応に起因した、より多くの膜内不純物が原因であろう。これは、堆積したRu膜の物理的特性が類似していることを示唆している。XRDパターンは、すべてのケースで、多結晶六角形のRu膜を示す。より厚い膜は、TiNの(101)方向に沿ったテクスチャを示す。
【0083】
図6は、本開示の方法によるRuの選択的成長を適用して、種々のプロセスフローを単純化できるような、幾つかの非制限的な実施例を概略的に示す。図6(a)は、Ru含有材料(1)の上部へのRu(1)の選択的成長、TiN(2)内に規定されたパターニング構造のボトムアップ充填、又はTiN基板(2)上の所定のRuドット/構造の上部に成長したピラー、図6(b)は、SiO2(3)上へのRu(1)の選択的成長、TiN(2)内に規定されたパターニング構造の、Ruを用いたボトムアップ充填、図6(c)は、可能であればPE−ALDチャンバから基板を取り出すことなく、本開示の方法によるプラズマ組成を修正することにより、PE−ALDによって成長したRuのT型構造である。
【0084】
以上、言及した種々のプロセスフローは、DRAM、MIMCAP、RRAMのような半導体デバイス、スケーリングした先進のデバイスの相互接続金属化、並びに、Ruの選択的成長及び/又は選択的成長と非選択的成長との間の切り替えを有利に適用可能な他のいずれかの利用、のいずれかの製造フローが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ増強原子層堆積PE−ALDによって貴金属層を形成するための方法であって、
PE−ALDチャンバ内に基板を準備する工程であって、基板は、露出した第1材料を有する第1領域と露出した第2材料を有する第2領域とを含み、第1材料は金属窒化物又は窒化可能な金属を含み、第2材料は窒化不可能な金属又はシリコン酸化物を含むようにした工程と、
第2領域への貴金属層のPE−ALDによる選択的堆積を、
(a)貴金属前駆体をPE−ALDチャンバに供給して、該貴金属前駆体をキャリアガスの存在下で基板と接触させ、続いて貴金属前駆体をパージするステップと、
(b)アンモニア及びキャリアガスをPE−ALDチャンバに供給しつつ、PE−ALDチャンバ内で基板をプラズマに曝露するステップとを含む堆積サイクルを繰り返し実施することによって行う工程と、を含む方法。
【請求項2】
第1ステップとして、ステップ(a)を用いて堆積サイクルを実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1ステップとして、ステップ(b)を用いて堆積サイクルを実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
選択的堆積を行う工程の後、
第2領域及び第1領域上への貴金属層のPE−ALDによる非選択的堆積を、堆積サイクルを繰り返し実施することによって行う工程であって、ステップ(b)ではアンモニアを水素(H2)で置き換えた工程をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
基板をチャンバ内で保持した状態で、同じPE−ALDチャンバ内での選択的堆積の後に非選択的堆積を実施する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
貴金属層の非選択的堆積の前に、基板の追加のプラズマ処理を実施する工程をさらに含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
追加のプラズマ処理は、N2、H2若しくはH2/H2プラズマ又はAr若しくはHeのような不活性ガスのプラズマである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
キャリアガスは、N2、又はN2とAr若しくはHeのような不活性ガスとの混合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
窒化不可能な金属は、貴金属又は11属に属する遷移金属を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
11属に属する遷移金属は、Cu、Ag及びAuからなる群から選択された、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
貴金属は、Ru、Rh、Pd、Os、Ir又はPtを含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
貴金属は、Ru又はRuTaの合金である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
金属窒化物は、TiN、TaN又はWNを含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
金属窒化物は、さらに炭素及び/又は酸素を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
窒化可能な金属は、Ti、Ta、W、Al及びいずれかの混合物又はその合金からなる群から選択された、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
堆積サイクル中に、キャリアガスとアンモニア又は水素のうちの1つとをPE−ALDチャンバに連続的に供給することができることを特徴とする、請求項4〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
貴金属前駆体は、1つ以上のアルキル置換基を有するビス(エチルシクロペンタジエニル)Me及びビス(シクロペンタジエニル)Meからなる群から選択されたことを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
プラズマ増強原子層堆積PE−ALDによって貴金属層を形成するための方法であって、
PE−ALDチャンバ内に基板を準備する工程であって、基板は、露出した第1材料を有する第1領域と露出した第2材料を有する第2領域とを含み、第1材料は金属窒化物又は窒化可能な金属を含み、第2材料は窒化不可能な金属又はシリコン酸化物を含むようにした工程と、
第2領域への貴金属層のPE−ALDによる選択的堆積を、
(a)貴金属前駆体をPE−ALDチャンバに供給して、該貴金属前駆体をキャリアガスの存在下で基板と接触させ、続いて貴金属前駆体をパージするステップと、
(b)アンモニア及びキャリアガスをPE−ALDチャンバに供給しつつ、PE−ALDチャンバ内で基板をプラズマに曝露するステップとを含む堆積サイクルを繰り返し実施することによって行う工程と、を含む方法。
【請求項2】
第1ステップとして、ステップ(a)を用いて堆積サイクルを実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1ステップとして、ステップ(b)を用いて堆積サイクルを実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
選択的堆積を行う工程の後、
第2領域及び第1領域上への貴金属層のPE−ALDによる非選択的堆積を、堆積サイクルを繰り返し実施することによって行う工程であって、ステップ(b)ではアンモニアを水素(H2)で置き換えた工程をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
基板をチャンバ内で保持した状態で、同じPE−ALDチャンバ内での選択的堆積の後に非選択的堆積を実施する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
貴金属層の非選択的堆積の前に、基板の追加のプラズマ処理を実施する工程をさらに含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
追加のプラズマ処理は、N2、H2若しくはH2/H2プラズマ又はAr若しくはHeのような不活性ガスのプラズマである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
キャリアガスは、N2、又はN2とAr若しくはHeのような不活性ガスとの混合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
窒化不可能な金属は、貴金属又は11属に属する遷移金属を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
11属に属する遷移金属は、Cu、Ag及びAuからなる群から選択された、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
貴金属は、Ru、Rh、Pd、Os、Ir又はPtを含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
貴金属は、Ru又はRuTaの合金である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
金属窒化物は、TiN、TaN又はWNを含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
金属窒化物は、さらに炭素及び/又は酸素を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
窒化可能な金属は、Ti、Ta、W、Al及びいずれかの混合物又はその合金からなる群から選択された、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
堆積サイクル中に、キャリアガスとアンモニア又は水素のうちの1つとをPE−ALDチャンバに連続的に供給することができることを特徴とする、請求項4〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
貴金属前駆体は、1つ以上のアルキル置換基を有するビス(エチルシクロペンタジエニル)Me及びビス(シクロペンタジエニル)Meからなる群から選択されたことを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図2(d)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図3(c)】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図6(c)】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図2(d)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図3(c)】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図6(c)】
【公開番号】特開2013−79447(P2013−79447A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−221882(P2012−221882)
【出願日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−221882(P2012−221882)
【出願日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]