説明

金平糖状シリカ系ゾル

【課題】 金平糖状という特異な形状をしたシリカ系微粒子が溶媒に分散してなる金平糖状シリカ系ゾルを提供する。
【解決手段】 球状シリカ系微粒子の表面に複数の疣状突起を有する微粒子であって、BET法またはシアーズ法により測定された比表面積を(SA1)とし、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算した比表面積を(SA2)としたときの表面粗度(SA1)/(SA2)の値が、1.7〜10の範囲にあり、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)が7〜150nmの範囲にある金平糖状シリカ系微粒子が溶媒に分散してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核となるシリカ系微粒子の表面に複数の疣状突起を有してなる金平糖状のシリカ系微粒子が溶媒に分散してなる金平糖状シリカ系微粒子およびその製造方法に関するものである。より具体的には、本発明は、核となる粒子の表面に複数の疣状突起を有してなる金平糖状のシリカ微粒子が溶媒に分散してなる金平糖状シリカゾルおよびその製造方法に関するものである。
また、本発明は、核となる粒子の表面に複数の疣状突起を有してなる金平糖状のアルミナ−シリカ複合微粒子が溶媒に分散してなる金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルのうち、シリカ微粒子が球状以外の形状からなるシリカゾルとしては、鎖状、数珠状または長球状のものが知られている。この様なシリカゾルは、例えば、各種研磨剤として使用されている。
【0003】
異形粒子を含むシリカゾルの製造方法としては、特開平1−317115号公報(特許文献1)に、画像解析法による測定粒子径(D1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D2)の比D1/D2が5以上であり、D1は40〜500ミリミクロン、そして電子顕微鏡観察による5〜40ミリミクロンの範囲内の一様な太さで一平面内のみの伸長を有する細長い形状の非晶質コロイダルシリカ粒子が液状媒体中に分散されてなるシリカゾルの製造方法として、(a)所定の活性珪酸のコロイド水溶液に、水溶性のカルシウム塩またはマグネシウム塩などを含有する水溶液を、所定量添加し、混合する工程、(b) 更に、アルカリ金属酸化物、水溶性有機塩基又はそれらの水溶性珪酸塩をSiO2/M2O(但し、Mは上記アルカリ金属原子又は有機塩基の分子を表わす。)モル比として20〜200となるように加えて混合する工程、(c)前工程によって得られた混合物を60〜150℃で0.5〜40時間加熱する工程からなる製造方法が開示されている。
【0004】
特開平4−65314号公報(特許文献2)には、画像解析法による測定粒子径(D1ミリミクロン)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D2ミリミクロン)の比D1/D2が3以上5未満であって、このD1は40〜500ミリミクロンであり、そして電子顕微鏡観察による5ミリミクロンより大きいが100ミリミクロン以下の範囲内の一様な太さで一平面内のみの伸長を有する細長い形状の非晶質コロイダルシリカ粒子が液状媒体中に分散されてなるSiO2濃度50重量%以下の安定なシリカゾルの製造方法として、細長い形状のシリカゾルに活性珪酸の水溶液の添加を始めると、原料ゾルのコロイダルシリカ粒子の崩壊が起らずに、元の細長い形状の粒子表面上に、加えられた活性珪酸がシロキサン結合を介して沈積することによって太さの増大した細長い形状のコロイダルシリカが得られることについて開示されている。
【0005】
特開平4−187512号公報(特許文献3)には、SiO2として0.05〜5.0wt%のアルカリ金属珪酸塩水溶液に、珪酸液を添加して混合液のSiO2/M2O(モル比、Mはアルカリ金属又は第4級アンモニウム)を30〜60とした後に、Ca,Mg,Al,In,Ti,Zr,Sn,Si,Sb,Fe,Cuおよび希土類金属からなる群から選ばれた1種または2種以上の金属の化合物を添加し(添加時期は、前記珪酸液添加の前または添加中でも良い)、 この混合液を60℃以上の任意の温度で一定時間維持し、更に珪酸液を添加して反応液中のSiO2/M2O(モル比)を60〜100としてなる実質的に鎖状形状のシリカ微粒子が分散したゾルの製造方法が開示されている。
【0006】
特許第3441142号公報(特許文献4)には、電子顕微鏡写真の画像解析により求められる7〜1000nmの長径と 0.3〜0.8 の短径/長径比を有するコロイダルシリカ粒子の数が全粒子中50%以上を占めるシリカの安定なゾルからなる半導体ウェーハーの研磨剤が提案されている。
【0007】
特開平7−118008号公報(特許文献5)には、活性珪酸のコロイド水溶液に、水溶性のカルシウム塩、マグネシウム塩又はこれらの混合物の水溶液を添加し、得られた水溶液にアルカリ性物質を加え、得られた混合物の一部を60℃以上に加熱してヒール液とし、残部をフィード液として、当該ヒール液に当該フィード液を添加し、当該添加の間に、水を蒸発させる事によりSiO2濃度6〜30重量%まで濃縮することよりなる細長い形状のシリカゾルの製造法が開示されている。
【0008】
特開平8−279480号公報(特許文献6)には、(1)珪酸アルカリ水溶液を鉱酸で中和しアルカリ性物質を添加して加熱熟成する方法、(2)珪酸アルカリ水溶液を陽イオン交換処理して得られる活性珪酸にアルカリ性物質を添加して加熱熟成する方法、(3)エチルシリケート等のアルコキシシランを加水分解して得られる活性珪酸を加熱熟成する方法、または、(4)シリカ微粉末を水性媒体中で直接に分散する方法等によって製造されるコロイダルシリカ水溶液は、通常、4〜1,000nm(ナノメートル)、好ましくは7〜500nmの粒子径を有するコロイド状シリカ粒子が水性媒体に分散したものであり、SiO2 として0.5〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%の濃度を有する。上記シリカ粒子の粒子形状は、球状、いびつ状、偏平状、板状、細長い形状、繊維状等が挙げられることが記載されている。
【0009】
特開平11−214338号公報(特許文献7)には、コロイダルシリカ粒子を主材とした研磨材を用いるシリコンウェハーの研磨方法であって、蒸留により精製した珪酸メチルを、メタノール溶媒中でアンモニア又はアンモニアとアンモニウム塩を触媒として水と反応させることにより得られるコロイダルシリカ粒子を用い、且つ該コロイダルシリカ粒子の長径/短径比が、1.4以上であることを特徴とするシリコンウェハーの研磨方法が提案されている。
【0010】
国際公開番号WO00/15552(特許文献8)には、平均粒子径10〜80nmの球状コロイダルシリカ粒子とこの球状コロイダルシリカ粒子を接合する金属酸化物含有シリカからなり、画像解析法による測定粒子径(D)と球状コロイダルシリカ粒子の平均粒子径(窒素吸着法による測定粒子径/D)の比D/Dが3以上であって、このDは50〜500nmであり、球状コロイダルシリカ粒子が一平面内のみにつながった数珠状コロイダルシリカ粒子が分散されてなるシリカゾルが記載されている。
【0011】
また、その製造方法として、(a)所定の活性珪酸のコロイド水溶液又は酸性シリカゾルに、水溶性金属塩の水溶液を、前記コロイド水溶液又は酸性シリカゾルのSiOに対して、金属酸化物として1〜10重量%となる量を加えて混合液1を調製する工程、(b)前記混合液1に、平均粒子径10〜80nm、pH2〜6の酸性球状シリカゾルを、この酸性球状シリカゾルに由来するシリカ含量(A)とこの混合液1に由来するシリカ含量(B)の比A/B(重量比)が5〜100、かつ、この酸性球状シリカゾルとこの混合液1との混合により得られる混合液2の全シリカ含量(A+B)が混合液2においてSiO濃度5〜40重量%となる量加えて混合する工程、および、(c)得られた混合液2にアルカリ金属水酸化物、水溶性有機塩基又は水溶性珪酸塩をpHが7〜11となるように加えて混合し、加熱する工程からなる前記シリカゾルの製造方法が記載されている。
【0012】
特開2001−11433号公報(特許文献9)には、SiO2として0.5〜10重量%を含有し、かつ、pHが2〜6である、活性珪酸のコロイド水溶液に、水溶性のII価又はIII価の金属の塩を単独又は混合して含有する水溶液を、同活性珪酸のコロイド水溶液のSiO2に対して、金属酸化物(II価の金属の塩の場合はMOとし、III価の金属の塩の場合はM23とする。但し、MはII価又はIII価の金属原子を表し、Oは酸素原子を表す。)として1〜10重量%となる量を加えて混合し、得られた混合液(1)に、平均粒子径10〜120nm、pH2〜6の酸性球状シリカゾルを、この酸性球状シリカゾルに由来するシリカ含量(A)とこの混合液(1)に由来するシリカ含量(B)の比A/B(重量比)が5〜100、かつ、この酸性球状シリカゾルとこの混合液(1)との混合により得られる混合液(2)の全シリカ含量(A+B)が混合液(2)においてSiO2濃度5〜40重量%となるように加えて混合し混合液(2)にアルカリ金属水酸化物等をpHが7〜11となるように加えて混合し、得られた混合液(3)を100〜200℃で0.5〜50時間加熱する数珠状のシリカゾルの製造方法が記載されている。
【0013】
特開2001−48520号公報(特許文献10)には、シリカ濃度1〜8モル/リットル、酸濃度0.0018〜0.18モル/リットルで水濃度2〜30モル/リットルの範囲の組成で、溶剤を使用しないでアルキルシリケートを酸触媒で加水分解した後、シリカ濃度が0.2〜1.5モル/リットルの範囲となるように水で希釈し、次いでpHが7以上となるようにアルカリ触媒を加え加熱して珪酸の重合を進行させて、電子顕微鏡観察による太さ方向の平均直径が5〜100nmであり、長さがその1.5〜50倍の長さの細長い形状の非晶質シリカ粒子が液状分散体中に分散されているシリカゾルの製造方法が記載されている。
【0014】
特開2001−150334号公報(特許文献11)には、水ガラスなどのアルカリ金属珪酸塩の水溶液を脱陽イオン処理することにより得られるSiO2濃度2〜6重量%程度の活性珪酸の酸性水溶液に、アルカリ土類金属、例えば、Ca、Mg、Baなどの塩をその酸化物換算で上記活性珪酸のSiO2に対し 100〜1500ppmの重量比で添加し、更にこの液中SiO2/M2O (M は、アルカリ金属原子、NH4 又は第4級アンモニウム基を表す。) モル比が20〜150となる量の同アルカリ物質を添加することにより得られる液を当初ヒール液とし、同様にして得られる2〜6重量%のSiO2濃度と20〜150 のSiO2/M2O (M は、上記に同じ。) モル比を有する活性珪酸水溶液をチャージ液として、60〜150℃で前記当初ヒール液に前記チャージ液を、1時間当たり、チャージ液SiO2/当初ヒール液SiO2の重量比として0.05〜1.0 の速度で、液から水を蒸発除去しながら(又はせずに)、添加してなる歪な形状を有するシリカゾルの製造方法が記載されている。
【0015】
特開2003−133267号公報(特許文献12)には、ディッシング(過研磨)を抑制し、基板表面を平坦に研磨することができる研磨用粒子として、平均粒子径が5〜300nmの範囲にある1次粒子が2個以上結合した異形粒子群を含むことを特徴とする研磨用粒子、特には研磨用粒子中の全1次粒子の粒子数に占める、前記異形粒子群を構成する1次粒子の粒子数が5〜100%の範囲にある研磨用粒子が有効でることについて記載がある。
【0016】
特開2004−288732号公報(特許文献13)には、非真球状コロイダルシリカ、酸化剤および有機酸を含有し、残部が水であることを特徴とする半導体研磨用スラリーについて開示されており、その中で、非真球状コロイダルシリカの(長径/短径)が1.2〜5.0のものが提案されており、特開2004−311652号公報(特許文献14)にも同様な非真球状コロイダルシリカが開示されている。
【0017】
また、シリカ−アルミナ被覆された鎖状シリカゾルについて、特開2002−3212号公報(特許文献15)には、(a)SiO2 として0.05〜5.0重量%のアルカリ金属ケイ酸塩水溶液に、ケイ酸液を添加して混合液のSiO2 /M2 O(モル比、Mはアルカリ金属又は第4級アンモニウム)を30〜60とする工程、(b)前記ケイ酸液添加工程の前、添加工程中または添加工程後に、原子価が2価〜4価の金属の1種または2種以上の金属化合物を添加する工程、(c)該混合液を60℃以上の任意の温度で一定時間維持する工程、(d)次いで該反応液に再びケイ酸液を添加して反応液中のSiO2/M2O(モル比)を60〜200とする工程、(e)さらに該反応液にアルカリ側でアルカリケイ酸塩水溶液とアルカリアルミン酸塩水溶液とを同時に添加する工程、からなるシリカ−アルミナ被覆鎖状シリカゾルの製造方法が開示されている。
【0018】
シリカ系微粒子の表面に突起状構造を有する例として、特開平3−257010号公報(特許文献16)には、シリカ粒子表面に電子顕微鏡で観察して、0.2〜5μmのサイズの連続的な凹凸状の突起を有し、平均粒子径が5〜100μm、BET法比表面積が20m/g以下、且つ、細孔容積が、0.1mL/g以下であるシリカ粒子に関する記載がある。
【0019】
また、特開2002−38049号公報(特許文献17)には、母体粒子全面に、実質上球状および/または半球状の突起物を有するシリカ系微粒子であって、該突起物が化学結合により母体粒子に結着していることを特徴とするシリカ系微粒子および母体粒子全面に、実質上球状および/または半球状の突起物を有するシリカ系微粒子であって、該突起物が化学結合により母体粒子に結着してなるシリカ系微粒子について記載がある。更に、(A)特定のアルコキシシラン化合物を加水分解、縮合させてポリオルガノシロキサン粒子を生成させる工程、(B)該ポリオルガノシロキサン粒子を、表面吸着剤により表面処理する工程、および(C)上記(B)工程で表面処理されたポリオルガノシロキサン粒子全面に、該アルコキシシラン化合物を用いて突起を形成させる工程、を含むシリカ系微粒子の製造方法について記載がある。
【0020】
また、特開2004−35293号公報(特許文献18)には、母体粒子全面に、実質上球状および/または半球状の突起物を有するシリカ系粒子であって、該突起物が化学結合により母体粒子に結着しており、かつ母体粒子と突起物における10%圧縮時の圧縮弾性率が、それぞれ異なることを特徴とするシリカ系粒子が開示されている。
しかしながら、特開平3−257010号公報(特許文献16)に記載の粒子は平均粒子径が5〜100μmのシリカのみからなるものであり、特開2002−38049号公報(特許文献17)で開示されるシリカ系粒子は、その平均粒子径が実質的には0.5〜30μのみが開示されており、特開2004−35293号公報(特許文献18)についても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開平1−317115号公報
【特許文献2】特開平4−65314号公報
【特許文献3】特開平4−187512号公報
【特許文献4】特許第3441142号公報
【特許文献5】特開平7−118008号公報
【特許文献6】特開平8−279480号公報
【特許文献7】特開平11−214338号公報
【特許文献8】国際公開WO00/15552公報
【特許文献9】特開2001−11433号公報
【特許文献10】特開2001−48520号公報
【特許文献11】特開2001−150334号公報
【特許文献12】特開2003−133267号公報
【特許文献13】特開2004−288732号公報
【特許文献14】特開2004−311652号公報
【特許文献15】特開2002−3212号公報
【特許文献16】特開平3−257010号公報
【特許文献17】特開2002−38049号公報
【特許文献18】特開2004−35293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、金平糖状という特異な形状をしたシリカ系微粒子が溶媒に分散してなる金平糖状シリカ系ゾルを提供すると共に、その様な金平糖状シリカ系ゾルを効率的に製造できる製造方法を提供することにある。より具体的には、金平糖状という特異な形状をしたシリカ微粒子が溶媒に分散した金平糖状シリカゾルを提供すると共に、その様な金平糖状シリカゾルを効率的に製造できる製造方法を提供することにある。
また、本発明は、金平糖状という特異な形状をしたアルミナ−シリカ複合微粒子が溶媒に分散した金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルを提供すると共に、その様な金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルを効率的に製造できる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の金平糖状シリカ系ゾルは、球状シリカ系微粒子の表面に複数の疣状突起を有する微粒子であって、BET法またはシアーズ法により測定された比表面積を(SA1)とし、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算した比表面積を(SA2)としたときの表面粗度(SA1)/(SA2)の値が、1.7〜10の範囲にあり、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)が7〜150nmの範囲にある金平糖状シリカ系微粒子が溶媒に分散してなるものである。
【0024】
前記金平糖状シリカ系微粒子がシリカまたはアルミナ−シリカ複合体からなることが好ましい。
前記金平糖状シリカ系微粒子の真球度が、0.8〜1の範囲にあることが好ましい。
前記金平糖状シリカ系微粒子の粒子径の変動係数(CV値)が10〜50%の範囲にあることが好ましい。
【0025】
本発明の金平糖状シリカゾルは、球状シリカ微粒子の表面に複数の疣状突起を有する金平糖状シリカ微粒子であって、BET法またはシアーズ法により測定される比表面積を(SA1)とし、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算した比表面積を(SA2)としたときの表面粗度(SA1)/(SA2)の値が1.7〜10の範囲にあり、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)が7〜150nmの範囲にあるシリカ微粒子が溶媒に分散してなるものである。
前記金平糖状シリカ微粒子の粒子径の変動係数(CV値)が10〜50%の範囲にあることが好ましい。
【0026】
本発明の金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルは、球状シリカ粒子の表面にアルミナとシリカとからなる複数の疣状突起を有する複合微粒子であって、BET法またはシアーズ法により測定される比表面積を(SA1)とし、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算した比表面積を(SA2)としたときの表面粗度(SA1)/(SA2)の値が、1.7〜10の範囲にあり、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)が7〜150nmの範囲にある金平糖状のアルミナ−シリカ複合微粒子が溶媒に分散してなるものである。
前記金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子の粒子径の変動係数(CV値)が10〜50%の範囲にあることが好ましい。
【0027】
本発明の金平糖状シリカゾルの製造方法は、A液(核粒子分散液または珪酸アルカリ水溶液)に、強酸の塩からなる電解質の存在下、B液(珪酸アルカリ水溶液)を添加して核粒子を成長させる際に、A液のシリカ100質量部に対して、B液のシリカ50〜2500質量部を、前記B液中のアルカリの当量数(E)と前記電解質の当量数(E)の比(E/E)が0. 4〜8の範囲となるように添加することを特徴とするものである。
前記A液に、前記B液および前記電解質を、40〜150℃の温度範囲で15分〜10時間かけてそれぞれ添加し、熟成することにより、核粒子の表面に微小粒子を生成、成長させることが好ましい。
【0028】
本発明の金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルの製造方法は、BET法またはシアーズ法により測定された比表面積(SA1)から換算された平均粒子径(D1)が3〜150nmの範囲にあるシリカ微粒子が水系溶媒に分散してなるシリカゾルに、アルミン酸ナトリウムを該シリカ微粒子100質量部に対して、0.1〜2.5質量部を連続的にまたは断続的に添加し、次に熟成させることによりアルミナ被覆シリカ微粒子の分散液を調製し、次に、該アルミナ被覆シリカ微粒子100質量部に対し、0.1〜100質量部に相当するアルカリ金属珪酸塩を添加し、熟成した後、更に珪酸液を連続的にまたは断続的に添加することにより、粒子成長させることを特徴とするものである。
前記アルミナ被覆シリカ微粒子100質量部に対して、前記珪酸液をシリカ分換算で3〜700質量部を2〜24時間かけて連続的にまたは断続的に添加することが好ましい。
【0029】
本発明の金平糖状シリカ系ゾルの製造方法は、BET法またはシアーズ法により測定された比表面積(SA1)から換算された平均粒子径(D1)が3〜150nmの範囲にあるシリカ微粒子が水系溶媒に分散してなるシリカゾルに、該シリカ微粒子100質量部に対し、a)アルカリ金属ホウ酸塩10〜10000質量部(B換算)およびb)珪酸液またはアルカリ金属珪酸塩100〜20000質量部(シリカ換算)を、連続的にまたは断続的に添加し、必要に応じて純水洗浄またはイオン交換することを特徴とするものである。
【0030】
本発明の研磨材は、前記何れかの金平糖状シリカ系ゾルからなる。
本発明の研磨用組成物は、前記何れかの金平糖状シリカ系ゾルを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明の金平糖状シリカ系ゾルとして、代表的には、金平糖状シリカゾルまたは金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルを挙げることができる。
本発明の金平糖状シリカゾルは、特異な形状をしたシリカ微粒子が分散したゾルであり、研磨材および研磨用組成物として有用である。
また、本発明の金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルは、特異な形状をしたアルミナ−シリカ複合微粒子が分散したゾルであり、研磨材および研磨用組成物として有用である。
本発明に係る金平糖状シリカ系微粒子は、その特異な構造から、通常の球状シリカ微粒子とは異なる充填性、吸油性、電気特性、光学特性あるいは物理特性を有するものである。
【0032】
本発明は金平糖状シリカ系ゾルについて、大別して3通りの製造方法を提供するものであり、目的、用途または原料に応じた製造方法を選択することを可能とならしめるものである。
原料として電解質などを使用する本発明の製造方法によれば、前記金平糖状シリカ微粒子が溶媒に分散した金平糖状シリカゾルを効率的に得ることができる。特に、原料のシリカ微粒子の平均粒子径、電解質の使用量および粒子成長条件などを調整することにより、生成する金平糖状シリカ微粒子の形状(表面粗度)を制御することが可能となった。
【0033】
原料としてアルミン酸ナトリウムなどを使用する本発明の製造方法によれば、前記金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子が溶媒に分散した金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルを効率的に得ることができる。特に、原料のシリカ微粒子の平均粒子径、アルミン酸ナトリウムの使用量および粒子成長条件などを調整することにより、生成する金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子の形状(表面粗度)を制御することが可能となった。
【0034】
原料としてアルカリ金属ホウ酸塩などを使用する本発明の製造方法によれば、前記金平糖状シリカ微粒子が溶媒に分散した金平糖状シリカゾルを効率的に得ることができる。特に、原料のシリカ微粒子の平均粒子径、アルカリ金属ホウ酸塩の使用量および粒子成長条件などを調整することにより、生成する金平糖状シリカ微粒子の形状(表面粗度)を制御することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の金平糖状シリカ系ゾルは、金平糖状シリカ系微粒子が溶媒に分散してなるものである。この金平糖状シリカ系微粒子の組成については、シリカまたはシリカ−アルミナを挙げることができる。なお、これらについては、原料の一部として含まれるナトリウム化合物、カリウム化合物、アルミナ化合物またはホウ素化合物などが残存していても構わない。
本発明に係る金平糖状シリカ系ゾルは、球状シリカ系微粒子の表面に複数の疣状突起を有する微粒子であって、BET法またはシアーズ法により測定された比表面積を(SA1)とし、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算した比表面積を(SA2)としたときの表面粗度(SA1)/(SA2)の値が、1.7〜10の範囲にあり、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)が7〜150nmの範囲にある金平糖状シリカ系微粒子が溶媒に分散してなる。
なお、前記表面粗度(SA1)/(SA2)については、1.7〜8の範囲が好ましく、前記平均粒子径(D2)については、10〜130nmの範囲が好ましい。
【0036】
この金平糖状シリカ系ゾルについては、前記金平糖状シリカ系微粒子の真球度が、0.8〜1の範囲にあることが好ましい。また、前記金平糖状シリカ系微粒子の粒子径の変動係数(CV値)が10〜50%の範囲にあることが好ましい。
また、本発明の金平糖状シリカ系微粒子は、画像解析法により測定した金平糖状シリカ系微粒子の球状微粒子部分の平均内径(D3)と画像解析法により測定した前記疣状突起の平均高さ(HP)の比(D3/HP)が、100/5〜100/50の範囲となるものが好ましい。
本発明に係る金平糖状シリカ系ゾルの典型的な例である、金平糖状シリカゾルについて以下に述べる。
本発明の金平糖状シリカ系ゾルの典型例である金平糖状シリカゾルについて、以下に述べる。
【0037】
[金平糖状シリカゾル]
本発明の金平糖状シリカゾルを構成するシリカ微粒子は、球状シリカ微粒子の表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子であり、その形状は概ね金平糖に類似したものである。この様な複数の疣状突起を有する表面については表面粗度によりその範囲が規定される。
【0038】
本発明において表面粗度は、BET法またはシアーズ法により測定された比表面積(単位質量当りの表面積)の値を(SA1)とし、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算された比表面積の値を(SA2)としたとき、表面粗度=(SA1)/(SA2)として定義される。
シアーズ法により測定される比表面積(SA1)は、シリカゾルに対して水酸化ナトリウム溶液を滴定したときの水酸化ナトリウム溶液の消費量からシリカ微粒子の比表面積を求めるものであり、実際の表面積を反映したものと言える。また、BET法は、粒子への気体(通常は窒素ガス)の吸着量から、比表面積を算定する方法であり、これについても実際の表面積を反映したものと言える。
【0039】
また、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算された比表面積(SA2)については、透過型電子顕微鏡により、試料シリカゾルを写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、その最大径(DL)を測定したときの平均値を平均粒子径(D2)とし、次に試料シリカゾルに分散するシリカ微粒子を理想的な球状粒子と仮定して、次式(1)より比表面積(SA2)が算定される。
SA2=6000/(D2×ρ) ・・・ (1)
ただし、式(1)において、ρは試料粒子の密度で、シリカの場合2.2である。
【0040】
ここで比表面積は単位質量当りの表面積を示すから、表面粗度(SA1)/(SA2)の値については、粒子が球状であって、粒子表面が多くの疣状突起を有する程、(SA1)/(SA2)の値は大きくなり、粒子表面の疣状突起が少なく、平滑であるほど、(SA1)/(SA2)の値は小さくなり、その値は1に近づく。
本発明において、金平糖状シリカ微粒子の表面粗度は1.7〜10の範囲にある。表面粗度が1.7未満の場合、突起の割合が少ないかあるいは、疣状突起自体がシリカ微粒子の粒子径に比べて小さ過ぎ、球状シリカ微粒子に近くなる。表面粗度の値が10を超える場合は、合成が容易ではない。表面粗度の範囲としては、1.7〜8の範囲が好適である。
【0041】
前記金平糖状シリカ微粒子は、球状であることが必要であり、棒状、勾玉状、細長い形状、数珠状、卵状など、異形粒子を含まない。本発明の金平糖状シリカ微粒子は球状であり、異形シリカ粒子と区別される。
本発明において球状とは、真球度が0.8〜1.0の範囲にあるものを言う。ここで真球度とは、透過型電子顕微鏡により写真撮影して得られる写真投影図における任意の50個の粒子について、それぞれその最大径(DL)と、これと直交する短径(DS)との比(DS/DL)の平均値を意味する。真球度が0.8未満の場合は、シリカ微粒子が球状とは云えず、前記の異形粒子に該当する場合が生じる。
【0042】
本発明の金平糖状シリカ微粒子は、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)の値が7〜150nmの範囲にあるものが好ましい。
なお、後記する本発明の金平糖状シリカゾルの製造方法により、金平糖状シリカゾルを調製する場合、平均粒子径(D2)が150nmを超える場合は、原料の核微粒子の大きさにもよるが、一般にビルトアップ工程が進行し過ぎるため突起が平坦化する傾向が著しくなる。また、7nm未満の場合は、必要な表面粗度をもったシリカ微粒子を調製することが容易ではない。
本発明の金平糖状シリカ微粒子は、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)の範囲については、より好適には、10〜100nmの範囲が推奨される。
【0043】
前記シリカ微粒子が分散する溶媒については、水、有機溶媒、またはこれらの混合溶媒のいずれであっても良い。
本発明の金平糖状シリカゾルについては、その粒子径の変動係数(CV値)が10〜50%の範囲にあるものが好ましい。このような金平糖状シリカゾルは、粒子径の均一性が高いため、例えば、研磨材として使用した場合に優れた研磨特性(研磨レート)を発揮することが可能となる。
ここで粒子径変動係数(CV値)は、次式(2)で定義される。
粒子径変動係数(CV値)=粒子径標準偏差(σ)/平均粒子径(Dn))×100 ・・・(2)
粒子径変動係数(CV値)が10%未満の場合については、粒子径の均一性が極めて高いレベルにある場合であるが、製造に要する時間が増大し、製造コストが上昇するばかりでなく、研磨レートが低下する傾向がある。粒子径変動係数(CV値)が50%を超える場合は、研磨処理後の被研磨面の面精度が低下する。粒子径の変動係数の範囲については、更に好適には15〜35%の範囲が推奨される。
なお、この粒子径の変動係数(CV値)については、本発明の他の金平糖状シリカ系微粒子、即ち、金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子についても該当する。
【0044】
[金平糖状シリカゾルの製造方法]
本発明の金平糖状シリカゾルの製造方法は、核粒子分散液または珪酸アルカリ水溶液(以下、これらの核粒子分散液または珪酸アルカリ水溶液を「A液」と称する。)中に、強酸の塩からなる電解質の存在下、珪酸アルカリ水溶液(以下、この珪酸アルカリ水溶液を「B液」と称する。)を添加して核粒子を成長させる際に、A液のシリカ100質量部に対して、B液のシリカ50〜2500質量部を、B液中のアルカリの当量数(E)と電解質の当量数(E)の比(E/E)が0. 4〜8の範囲となるように添加するものである。
以下、本発明の金平糖状シリカゾルの製造方法について具体的に説明する。
【0045】
核粒子分散液または珪酸アルカリ水溶液(A液)
A液の核粒子分散液としては、従来公知のシリカゾルを用いることができる。このようなシリカゾルとしては、本願出願人による特開昭63−64911号公報に記載の方法で得られるシリカゾル、あるいはこのときシード粒子として用いられる比較的小さな粒子径を有するシリカ粒子の分散液を好適に用いることができる。
核粒子分散液中のシリカ微粒子の粒子径については、本発明の金平糖状シリカゾルの製造方法に適用して、画像解析法により測定される平均粒子径(D2)が7〜150nmの球状シリカ微粒子を得ることが可能な大きさであれば格別に限定されるものではないが、通常は画像解析法により測定される平均粒子径が140nm以下のシリカ微粒子が分散した核粒子分散液が使用される。
核粒子の粒子径が140nmを越えると、本発明の製造方法に適用しても金平糖状シリカゾルを得られない場合がある。なお、粒子径の下限は、核粒子として機能すれば特に制限はないが珪酸のオリゴマー以上、特に10量体以上であることが好ましい。また、核粒子分散液中のシリカ微粒子については、多孔質状のシリカ微粒子よりは、非多孔質状のシリカ微粒子の方が、金平糖状シリカ微粒子の製造のためには好ましい。
【0046】
核粒子分散液の濃度は、核粒子の粒子径によっても異なるがシリカとして0.005〜10質量%、さらには0. 01〜5質量%の範囲にあることが好ましい。核粒子分散液のシリカ濃度が0. 005質量%未満の場合は、核粒子が少なすぎて、珪酸アルカリ水溶液(B液)および/または電解質の供給速度を遅くする必要があり、供給速度を低下させない場合は新たな微粒子が発生し、これが核粒子として作用するために得られるゾルの粒子径分布がブロードになることがあり、金平糖状シリカゾルの調製上、非効率的となる。核粒子分散液の濃度が10質量%を越えると、濃度が高すぎて珪酸アルカリ水溶液および/または電解質を供給する際に核粒子同士が凝集することがあり、この場合も粒子径分布がブロードになると共に互いに付着した粒子が生成する傾向があるため、金平糖状シリカゾルの調製にとって好ましくない。
【0047】
核粒子分散液のpHは8〜12、特に9. 5〜11. 5の範囲にあることが望ましい。pHが8未満の場合は、核粒子表面の反応性が低いため、供給する珪酸アルカリ(B液)が表面に析出する速度が遅く、このため未反応の珪酸アルカリが増加したり、新たな微粒子が発生し、これが核粒子として作用するために得られるゾルの粒子径分布がブロードになったり、凝集粒子が得られることがあり、金平糖状シリカゾルの効率的な生成には望ましくない。pHが12を越えると、シリカの溶解度が高くなるためシリカの析出が遅くなり、このため粒子成長が遅くなる傾向がある。
上記核粒子分散液のpH調整はアルカリ添加によって行うことができる。具体的には、NaOH、KOHなどのアルカリ金属水酸化物や、アンモニア水、第4級アンモニウムハイドロオキサイド、アミン化合物等を用いることができる。なお、上記核粒子分散液の調製時の温度には特に制限はなく、通常10〜30℃の範囲である。
【0048】
本発明のA液としては、前記核粒子分散液の代わりに、珪酸ナトリウム、珪酸カリウムなどの珪酸アルカリ水溶液を用いてもよい。このような珪酸アルカリ水溶液に、電解質の存在下、B液の珪酸アルカリ水溶液を添加することによっても、金平糖状シリカゾルを得ることができる。これは、B液の珪酸アルカリ水溶液の添加初期に、A液の珪酸アルカリ水溶液中に微細粒子が生成し、以後これが核粒子として働くためである。
【0049】
珪酸アルカリ水溶液(B液)
本発明では、前記A液に、電解質と、珪酸アルカリ水溶液(B液)とを添加してシリカ微粒子の粒子成長を行う。電解質はあらかじめA液中に一部または全部を添加しておくこともできるが、B液の珪酸アルカリ水溶液と共に、それぞれ連続的にあるいは断続的に添加しても良い。
B液として使用する珪酸アルカリとしては、LiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOH、NH4 OH、第4級アンモニウムハイドライドなどの珪酸アルカリ塩が挙げられる。この中でも、珪酸ナトリウム(水硝子)、珪酸カリウム等は好適に用いることができる。また、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)などの加水分解性有機化合物を過剰のNaOHなどを用いて加水分解して得られる珪酸アルカリ水溶液なども好適である。
【0050】
B液の珪酸アルカリ水溶液を添加する際の分散液の温度は40〜150℃、さらには60〜100℃の範囲にあることが望ましい。温度が40℃未満では、珪酸の反応速度が遅く、未反応の珪酸が多くなったり、所望の大きさの粒子が得られないことがある。分散液の温度が150℃を越えると、操作圧力が高くなり過ぎて装置費用が高くなると共に生産能力が低下し経済性が低下する問題がある。また、反応速度、粒子成長速度を速める効果も実用的には小さい。
【0051】
B液の珪酸アルカリ水溶液の添加量(シリカ換算)は、核粒子を成長させるときの温度や反応時間にもよるが、通常はA液中に含まれるシリカ100質量部に対して、50〜2500質量部の範囲であることが好ましい。50質量部未満では、粒子成長自体が低調であるため、必要な表面粗度を示す金平糖状シリカゾルを効率的に得ることが容易ではない。2500質量部を超える場合は、核粒子の成長が進行し過ぎるために、表面が平坦化したシリカ微粒子となる傾向が大きくなる。B液の更に好適な添加量(シリカ換算)は、80〜1800質量部の範囲である。
【0052】
電解質
本発明に用いる電解質としては、従来公知の酸と塩基とからなり水に可溶の塩を用いることができる。特に、強酸の塩からなる電解質は、珪酸アルカリのアルカリを受容することができ、このとき核粒子の粒子成長に用いられる珪酸を生成するので好ましい。このような強酸の塩からなる水可溶性の電解質としては、硫酸、硝酸、塩酸などの強酸のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。また、カリウム明礬、アンモニウム明礬等の硫酸の複塩である明礬も好適である。
【0053】
上記電解質の量は、B液中に含まれるアルカリの当量数(E)と電解質の当量数(E)の比(E/E)が、0. 4〜8、特に0. 4〜5の範囲にとなるようにすることが好ましい。比(E/E)が0. 4未満の場合は、分散液中の電解質塩濃度が高すぎて、粒子が凝集することがある。比(E/E)が8を越えると、電解質の量が少ないため粒子の成長速度が不充分となり、従来の酸性珪酸液を供給して核粒子の粒子成長を行うのと変わるところがない。また、前記した電解質が珪酸アルカリのアルカリを受容して核粒子の粒子成長に用いられる珪酸の生成が少なくなり、所望の粒子径の粒子を得ることができないことがある。
【0054】
前記電解質は、分散液中の電解質の濃度が0. 05〜10質量%の範囲にあることが好ましい。また、好適には0.1〜5質量%の範囲が推奨される。このような電解質は、その一部または全部を珪酸アルカリ水溶液(B液)とは別個に添加して良いし、珪酸アルカリ水溶液(B液)と共にそれぞれ連続的にあるいは断続的に添加してもよい。このときの電解質の量も、珪酸アルカリの量と前記した当量数の比の関係にあることが好ましい。
【0055】
なお、A液に添加するB液については、必要に応じて、水で希釈したりあるいは濃縮して珪酸アルカリ水溶液のSiO2 の濃度が0. 5〜10質量%、さらには1〜7質量%の範囲となるように調節することが好ましい。SiO2濃度が0. 5質量%未満の場合は、濃度が低すぎて生産効率が低く、また製品としての使用に際して濃縮を必要とすることがある。他方、SiO2濃度が10質量%を越えると、シリカ粒子の凝集が起きる傾向があり、均一な粒子径のシリカ粒子が単分散したゾルが得られないことがある。また、B液に電解質または電解質と水を添加してから、A液に供給する場合も、その系中のSiO2 の濃度としては、上記範囲が推奨される。
【0056】
A液にB液を供給して核粒子を成長させる間、所望によりアルカリまたは酸を添加しながら分散液のpHを8〜13、好ましくは10〜12の範囲に維持しても良い。添加するアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水、あるいはトリエチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類を用いることができ、酸としては塩酸、硝酸、硫酸、あるいは酢酸などの有機酸を用いることができる。
【0057】
熟成・脱イオン
B液の添加後、必要に応じてこれを熟成する。熟成温度は40〜150℃、好ましくは60〜100℃の範囲とし、熟成時間は熟成温度によっても異なるが30分〜5時間程度である。このような熟成を行うことによって粒子径がより均一で、安定性に優れたシリカゾルを得ることができる。
また、所望により、分散液の温度を概ね40℃以下に冷却した後、分散液中のイオンを除去しても良い。分散液中のイオンを除去する方法としては従来公知の方法を採用することができ、例えば、限外濾過膜法、イオン交換樹脂法、イオン交換膜法などの方法が挙げられる。
【0058】
得られたシリカゾルは、必要に応じて濃縮する。濃縮方法としては通常、限外濾過膜法、蒸留法あるいはこれらの組合せからなる方法などが採用され、濃縮後のシリカゾルの濃度はSiO2 に換算して概ね10〜50質量%の範囲である。当該シリカゾルは、使用に際して適宜希釈して、あるいはさらに濃縮して用いられる。
【0059】
オルガノゾル
本発明の金平糖状シリカゾルは、有機溶媒で置換することによってオルガノゾルを製造することができる。置換方法としては従来公知の方法を採用することができ、有機溶媒の沸点が概ね水より高い場合には、有機溶媒を加えて蒸留することによって得ることができる。また、有機溶媒の沸点が低い場合には本願出願人の出願による特開昭59−8614号公報に開示した限外濾過膜法などによって得ることができる。得られるオルガノゾルの濃度はSiO2に換算して10〜50重量%の範囲である。また、このオルガノゾルは、使用に際して適宜希釈して、あるいはさらに濃縮して用いることができる。
【0060】
粒子径の変動係数が10〜50%の範囲にある金平糖状シリカゾルを得る方法については、例えば、前記核粒子分散液として粒子径分布が単分散状態にあるものを用いることが望ましく、より好適には、変動係数が50%未満の核粒子分散液を使用することが推奨される。また、その様な核粒子分散液の粒子成長にあたっては、前記製造方法を採用することが望ましい。なお、粒子径分布が単分散状態にあるシリカゾルの調製方法については、例えば、特開昭63−45113号公報、特開2003−26417号公報などに開示されている。
【0061】
本発明に係る金平糖状シリカ系ゾルの別の典型的な例である金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルについて以下に述べる。
[金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾル]
本発明の金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルは、球状シリカ粒子の表面にアルミナとシリカとからなる複数の疣状突起を有する複合微粒子であって、BET法またはシアーズ法により測定される比表面積を(SA1)とし、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算した比表面積を(SA2)としたときの表面粗度(SA1)/(SA2)の値が、1.7〜10の範囲にあり、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)が7〜150nmの範囲にある金平糖状のアルミナ−シリカ複合微粒子が溶媒に分散してなるものである。
【0062】
前記金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子は、その表面に複数の疣状突起を有する球状のアルミナ−シリカ複合微粒子であり、その構造は概ね金平糖に類似したものである。この様な複数の疣状突起を有する表面については表面粗度によりその範囲が規定される。
本発明において表面粗度とは、BET法またはシアーズ法により測定される比表面積[単位質量当りの表面積]の値を(SA1)とし、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算された比表面積の値を(SA2)としたとき、表面粗度=(SA1)/(SA2)として定義される。
【0063】
ここで、BET法により測定される比表面積(SA1)は、通常、測定対象粒子に液体窒素温度にて、窒素を平衡吸着させ、次に昇温させて吸着した窒素の量を検出するものであり、試料の実際の表面積を反映したものと言える。なお、窒素吸着法に代えて、ナトリウム滴定法により測定された比表面積を(SA1)として使用しても差し支えない。
【0064】
また、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算された比表面積(SA2)については、走査型電子顕微鏡により、試料シリカゾルを写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、その最大径(DL)を測定したときの平均値を平均粒子径(D2)とし、次に試料シリカゾルに分散するシリカ微粒子を理想的な球状粒子と仮定して、次式(1)より比表面積(SA2)が算定される。
SA2=6000/(D2×ρ) ・・・ (1)
【0065】
ただし、式(1)において、ρは試料粒子の密度を表し、シリカでは2.2、アルミナでは3.3〜4.0である。なお、本発明はシリカとアルミナとの複合微粒子であるが、シリカとアルミナの質量比率において、シリカが大幅に多いため、前記試料密度としてシリカの密度のみを使用しても差し支えない。
この関係式は、前記仮定に基づくものであるので、この比表面積(SA2)の値は、平均粒子径(D2)に対応した、球状で表面が平滑なシリカ微粒子の比表面積を表すものと言える。
【0066】
ここで比表面積は単位質量当りの表面積を示すから、表面粗度(SA1)/(SA2)の値については、粒子が球状であって、粒子表面が多くの疣状突起を有する程、(SA1)/(SA2)の値は大きくなり、粒子表面の疣状突起が少なく、平滑であるほど、(SA1)/(SA2)の値は小さくなり、その値は1に近くなる。
本発明においては、金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子の表面粗度は1.7〜10の範囲にあるものが好ましい。表面粗度が1.7未満の場合、疣状突起の割合が少ないかあるいは、疣状突起自体がアルミナ−シリカ微粒子の粒子径に比べて極めて小さくなり、球状微粒子に近くなる。表面粗度の値が10を超える場合は、合成が容易ではない。 本発明の金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子の表面粗度については、さらに好適には1.7〜5.0の範囲が推奨される。
【0067】
また、本発明の金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子は、画像解析法により測定した前記アルミナ−シリカ複合微粒子における球状微粒子部分の平均内径(D3)と画像解析法により測定した前記疣状突起の平均高さ(HP)の比(D3/HP)が、100/5〜100/50の範囲となるものが好ましい。
前記比(D3/HP)が100/5未満の場合は、微粒子表面が平滑である場合に極めて近くなり、例えば、研磨効果などにおいても、効果の違いが生じ難くなる。前記比(D3/HP)が100/50を超える場合は、合成することが容易ではない。前記比(D3/HP)については、更に好適には100/7〜100/30の範囲が推奨される。
【0068】
なお、走査型電子顕微鏡により、試料シリカゾルを倍率25万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、その最小径を測定し、その平均値を金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子の球状微粒子部分の平均内径(D3)とした。
また、任意の金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子50個について、任意の疣状突起の頂点から疣状突起と球状微粒子部分との接点までの距離を3箇所ずつ測定し、その全ての平均値を算出し、疣状突起の平均高さ(HP)とした。
【0069】
前記金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子は、全体として球状であることが必要であり、棒状、勾玉状、細長い形状、数珠状、卵状など、異形粒子を含まない。本発明の金平糖状アルミナ−シリカ微粒子は球状であり、異形アルミナ−シリカ粒子と区別される。
本発明において球状とは、真球度が0.8〜1.0の範囲にあるものを言う。ここで真球度とは、透過型電子顕微鏡により写真撮影して得られる写真投影図における任意の50個の粒子について、それぞれその最大径(DL)と、これと直交する短径(DS)との比(DS/DL)の平均値を意味する。真球度が0.8未満の場合は、アルミナ−シリカ微粒子が球状とは云えず、前記の異形粒子に該当する場合が生じる。
【0070】
前記金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子については、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)の値が7〜150nmの範囲にある。
なお、後記する本発明の金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルの製造方法により、金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルを調製する場合、平均粒子径(D2)が150nm超える場合は、原料の核微粒子の大きさにもよるが、一般にビルトアップ工程が進行し過ぎるため疣状突起が平坦化する傾向が著しくなる。また、7nm未満の場合は、必要な表面粗度をもったアルミナ−シリカ微粒子を調製することが容易ではない。前記金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子の平均粒子径については、より好適には10〜130nmの範囲が推奨され、更に好適には、10〜80nmの範囲が推奨される。
【0071】
前記アルミナ−シリカ微粒子が分散する溶媒については、水、有機溶媒、またはこれらの混合溶媒のいずれであっても良い。
【0072】
[金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルの製造方法]
原料シリカゾル
本発明の金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルの製造方法において、原料の核粒子として使用されるシリカゾルの製造方法については、格別限定されるものではなく、市販のシリカゾルまたは公知のシリカゾルを適用することができる。
【0073】
この様なシリカゾルの製造方法については、例えば、
1)アルカリ金属珪酸塩、第3級アンモニウム珪酸塩、第4級アンモニウム珪酸塩またはグアニジン珪酸塩から選ばれる水溶性珪酸塩を、脱アルカリすることにより得られる珪酸液をアルカリ存在下で加熱することにより珪酸を重合する工程を含むシリカゾルの製造方法、
2)珪酸塩を酸で中和して得られるシリカヒドロゲルを洗浄して、塩類を除去し、アルカリを添加した後、加熱することによりシリカヒドロゲルを解膠する工程を含むシリカゾルの製造方法、および、
3)加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解して、得られた珪酸を重合する工程を含むシリカゾルの製造方法、
などを挙げることができる。
【0074】
原料シリカゾル中のシリカ微粒子の構造は球状であり、シリカ微粒子の大きさについては、調製しようとする金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子より粒子径の小さいものであれば格別に制限されるものではない。例えば、BET法またはシアーズ法により測定された比表面積から換算された平均粒子径(D1)が3〜150nm(画像解析法により求められた平均粒子径(D2)が3〜140nmの範囲に相当)のシリカ微粒子が溶媒に分散したシリカゾルが使用される。平均粒子径(D1)が3nm未満のシリカ微粒子分散ゾルを適用した場合、金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子の生成を確認することができない。平均粒子径(D1)が150nmを越えるシリカ微粒子分散ゾルの場合は、アルミナ被覆を生成した後の粒子成長に多大な時間を要するため実用性に問題がある。また、原料シリカゾル中のシリカ微粒子については、多孔質状のシリカ微粒子より、非多孔質状のシリカ微粒子の方が、安定して金平糖状シリカ系微粒子を調製するうえで好ましい。
【0075】
原料シリカゾルのpHは、8〜12の範囲にあるものが好適に使用される。 pHが2未満の場合は、酸性が強すぎるため、シリカゾルの安定性が損なわれるため、金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルを調製することは容易ではない。他方、pHが12を越える場合は、溶解度が高すぎて粒子成長に適さない。pHの範囲については、好適にはpH8.5〜10.5が推奨される。
原料シリカゾルのSiO固形分濃度については、通常は1〜50重量%の範囲のものが使用される。1重量%未満では、効率的にシリカゾルの生産を行えない。他方、50重量%を越えるとシリカゾルの安定性が低下し、凝集し易くなるので望ましくない。
【0076】
原料シリカゾルとしては、水系溶媒のシリカゾルが好ましい。水系溶媒のシリカゾルはアルカリ性の酸化物であることから、アルミン酸ナトリウムで被覆する際に好ましい。
本発明方法においては、この様な原料シリカゾルを必要に応じて、純水で希釈してシリカ固形分濃度を2〜40%に調整することが望ましい。
【0077】
アルミン酸ナトリウム
本発明製造方法においては、原料のシリカゾルにアルミン酸ナトリウム(NaAlO)の水溶液を添加して、シリカ微粒子表面にアルミナが概ね斑点状に存在してなるアルミナ被覆シリカ微粒子を調製する。
【0078】
アルミン酸ナトリウム(固形分濃度)は、原料シリカゾルに含まれるシリカ微粒子100質量部に対して、0.1〜2.5質量部の範囲、好適には0.1〜2.0質量部の範囲で使用される。アルミン酸ナトリウムの使用量がこの範囲にある場合は、シリカ微粒子の表面がアルミナで完全に被覆されず、概ねアルミナで斑点状に被覆される模様である。このようなアルミナ被覆シリカ微粒子の表面は、次式(2)のような化学構造を形成するものと推測される。
| | |
−Si−O−Al−O−Si− ・・・(2)
| | |
【0079】
ここで、Al原子付近は、Si原子付近より、水溶性が高いため、後工程の粒子成長の際に粒子成長の基点となり、シリカ微粒子表面に複数の突起状部分が形成される。このような製造過程を経て、本発明の金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子となると考えられる。
【0080】
アルミン酸ナトリウム水溶液を添加する際の温度は、10〜30℃が望ましく、より好ましくは10℃〜28℃の範囲が推奨される。
30℃を超える場合は、アルミン酸ナトリウムの核生成が生じ、後の熟成工程でシリカ−アルミナの被覆が形成され難い。10℃未満では、シリカ微粒子表面へのアルミン酸ナトリウムの反応が低調であるため、アルミナによる斑点状の被覆が形成され難い。
【0081】
アルミン酸ナトリウム水溶液の添加については、10分〜10時間かけて、連続的にまたは断続的に添加することが必要である。アルミン酸ナトリウム水溶液を連続的に添加する場合は、所定の添加時間内においてアルミン酸ナトリウム水溶液を均等ないしは均等に相当する割合で添加することが望ましい。また、アルミン酸ナトリウムを断続的に添加する場合も、添加時間内において、アルミン酸ナトリウム水溶液を均等量ずつ、ないしはそれに相当する量毎に添加することが望ましい。
【0082】
アルミン酸ナトリウム水溶液の添加必要量の全量または必要量の大半を一度に添加した場合、シリカ微粒子表面へのアルミナの被覆が偏在する場合などがあり、斑点状の被覆を形成することが容易ではなくなるため、結局、目的とする金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子が得にくくなる。
なお、通常、原料シリカゾルにアルミン酸ナトリウム水溶液を添加する際には、原料シリカゾルを充分に攪拌しながら行う。
【0083】
原料シリカゾルにアルミン酸ナトリウム水溶液を添加した後は、粒子表面にシリカ−アルミナの不均一層を形成させるために熟成を行うことが必要である。
熟成条件としては60〜98℃で1〜7時間行なうことが必要である。熟成温度が60℃未満では、表面をシリカ−アルミナ層にするための時間を要するため、経済的でない。98℃を超える温度での熟成は必要でない。熟成時間が1時間未満では、シリカ−アルミナ層の形成が充分ではないため、目的とする金平糖状微粒子が得られない。7時間を越える熟成は、必要でない。
【0084】
粒子成長工程
得られたアルミナ被覆シリカゾルについて、珪酸液の添加前に、アルカリ金属珪酸塩を添加し、シーデイングを行った後、熟成し、次に珪酸液を添加することにより粒子成長を行い、更に熟成させて金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子が溶媒に分散してなる金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルを調製する。この粒子成長工程について、以下に述べる。
【0085】
アルカリ金属珪酸塩
本発明の製造方法においては、前工程で得られたアルミナ被覆シリカゾルに、アルカリ金属珪酸塩を添加する。アルカリ金属珪酸塩が加えられていることで、次いで粒子成長用の珪酸液を加える際に、分散媒中に溶解したSiO2 濃度が予め高く設定されることになるため、核粒子であるアルミナ被覆シリカ微粒子への珪酸の析出が早くなる。
アルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム(水硝子)、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどがあり、第3級アンモニウム珪酸塩としては珪酸トリエタノールアミン、第4級アンモニウム珪酸塩としては、珪酸テトラメタノールアンモニウム、珪酸テトラエタノールアンモニウムなどが使用される。通常、これらのアルカリ金属珪酸塩は水溶液の形態で使用される。
【0086】
アルミナ被覆シリカゾルへのアルカリ金属珪酸塩の添加は、通常、室温〜99℃の範囲で行われるが、好ましくは、室温で行なわれる。
アルミナ被覆シリカゾルへのアルカリ金属珪酸塩の添加量については、アルカリ金属珪酸塩添加後において、シリカ固形分濃度が、1〜10質量%となるようにアルカリ金属珪酸塩を添加することが好ましい。
【0087】
シーデイング
アルミナ被覆シリカゾルに対して、アルカリ金属珪酸塩を添加後、75〜99℃にて、10分〜1時間程度熟成を行う。
【0088】
珪酸液
本発明の製造方法において使用される珪酸液とは、水溶性珪酸塩を脱アルカリすることにより調製されるものであり、通常は珪酸塩の水溶液を陽イオン交換樹脂で処理するなどの方法で脱アルカリして得られる珪酸の低重合物の水溶液である。この種の珪酸液は、通常、pHは2〜4、SiO濃度約10質量%以下、好ましくは2〜7質量%のものが、常温でのゲル化が生じ難く、比較的安定であり、実用的な原料として使用される。
【0089】
このような珪酸液の添加速度は、核粒子の平均粒子径や分散液中の濃度によって異なるが、核粒子以外に微粒子が発生しない範囲で添加することが好ましい。また、珪酸液の添加は所望の平均粒子径のアルミナ−シリカ複合微粒子が得られるまで、1回であるいは複数回繰り返して添加することができる。
このような珪酸液を70〜99℃にて、2〜24時間かけて、連続的にまたは断続的に添加する。添加温度が70℃未満では粒子成長に過度に時間を要したり、粒子成長自体が進行しない場合がある。99℃を超えると沸騰するため、粒子成長が阻害される。添加時間については、一度に全量添加することは適切ではなく、上記範囲の時間をかけて連続的にまたは断続的に添加することにより、粒子成長が行なわれる。
【0090】
珪酸液を添加した後、必要に応じて70〜99℃の温度範囲で0. 5〜5時間熟成することができる。このような熟成を行うと、得られるアルミナ−シリカ複合微粒子中のNaイオン含有量がさらに減少することがあり、また粒子径分布がより均一になる傾向がある。さらに必要に応じて、限外濾過膜などを用いて過剰のイオンを除去し、所望の濃度に濃縮または希釈してアルミナ−シリカ複合微粒子分散液を得ることができる。また、限外濾過膜法、蒸留法などで水溶媒を前記した有機溶媒に溶媒置換したアルミナ−シリカ複合微粒子分散液を得ることもできる。
【0091】
[アルカリ金属ホウ酸塩を用いた金平糖状シリカ系ゾルの製造方法]
金平糖状シリカ系ゾルの製造方法としては、前記製造方法の他に、アルカリ金属ホウ酸塩を使用する製造方法も好適に用いることができる。
BET法またはシアーズ法により測定された比表面積(SA1)から換算された平均粒子径(D1)が3〜150nm、シリカ濃度0.1〜5質量%の範囲にあるシリカゾルを、60〜100℃に維持し、そこへアルカリ金属ホウ酸塩水溶液(濃度0.5〜5質量%)と、珪酸液またはアルカリ金属珪酸塩を同時に添加する。珪酸液としては、通常は、シリカ濃度1〜6質量%のものが使用される。アルカリ金属珪酸塩としては、通常は、シリカ濃度1〜40質量%のアルカリ金属珪酸塩水溶液が使用される。通常は、水硝子が好適に使用できる。
【0092】
ここで、添加方法は、一括添加ではなく連続的または断続的に添加することが望ましい。
また、シリカゾル中のシリカ100質量部に対する、アルカリ金属ホウ酸塩水溶液の使用量については、10〜10000質量部(B換算)が好ましく、同じく珪酸液またはアルカリ金属ケイ酸塩の使用量は、100〜20000質量部(シリカ換算)が好ましい。
【0093】
アルカリ金属ホウ酸塩の添加量(B換算)が10質量部未満では、ホウ酸塩の量が相対的に過少となる場合があり、その場合、金平糖状の粒子が生成し難くなる。また、アルカリ金属ホウ酸塩の添加量(B換算)が、10000質量部を超えるとホウ酸塩の量が相対的に過剰となる場合があり、金平糖状の粒子が生成し難くなる。
珪酸液またはアルカリ金属ケイ酸塩の添加量が100質量部(シリカ換算)未満では、後の工程において、アルカリ金属ホウ酸塩を除去しても、金平糖状の粒子が形成され難い。20000質量部を超えると、金平糖状の粒子が形成され難くなる。
【0094】
アルカリ金属ホウ酸塩と、珪酸液またはアルカリ金属珪酸塩の添加を終了した段階において、好適にはpHが9〜12の範囲にあることが望ましい。そして必要に応じて、純水による洗浄またはイオン交換を行う。通常、更に限外濾過膜などの手段にてシリカ濃度を10〜15質量%まで濃縮する。また、所望により、ロータリーエバポレーターなどの手段にてシリカ濃度15〜45質量%まで濃縮しても構わない。
【0095】
アルカリ金属ホウ酸塩としては、例えば、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム、メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウムなどを挙げることができる。
【0096】
[研磨材および研磨用組成物]
本発明の金平糖状シリカ系ゾルは研磨材および研磨用組成物として有用である。
具体的には、本発明の金平糖状シリカ系ゾルは、それ自体で研磨材として適用可能なものであり、更には、他の成分(研磨促進剤等)と共に通常の研磨用組成物を構成することも可能である。
本発明に係る研磨用組成物は、前記した金平糖状シリカ系微粒子が溶媒に分散したものである。溶媒としては通常、水を用いるが、必要に応じてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類を用いることができ、他にエーテル類、エステル類、ケトン類など水溶性の有機溶媒を用いることができる。研磨材中の研磨用シリカ粒子の濃度は2〜50重量%、さらには5〜30重量%の範囲にあることが好ましい。濃度が2重量%未満の場合は、基材や絶縁膜の種類によっては濃度が低すぎて研磨速度が遅く生産性が問題となることがある。シリカ粒子の濃度が50重量%を越えると研磨材の安定性が不充分となり、研磨速度や研磨効率がさらに向上することもなく、また研磨処理のために分散液を供給する工程で乾燥物が生成して付着することがあり傷(スクラッチ)発生の原因となることがある。
【0097】
本発明に係る研磨用組成物には、被研磨材の種類によっても異なるが、必要に応じて従来公知の過酸化水素、過酢酸、過酸化尿素などおよびこれらの混合物を添加して用いることができる。このような過酸化水素等を添加して用いると被研磨材が金属の場合には効果的に研磨速度を向上させることができる。また、必要に応じて硫酸、硝酸、リン酸、フッ酸等の酸、あるいはこれら酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびこれらの混合物などを添加して用いることができる。この場合、複数種の材質の被研磨材を研磨する際に、特定成分の被研磨材の研磨速度を速めたり、遅くすることによって、最終的に平坦な研磨面を得ることができる。
【0098】
その他の添加剤として、例えば、金属被研磨材表面に不動態層あるいは溶解抑制層を形成して基材の浸食を防止するためにイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾールなどを用いることができる。また、上記不動態層を攪乱するためにクエン酸、乳酸、酢酸、シュウ酸、フタル酸、クエン酸等の有機酸あるいはこれらの有機酸塩などの錯体形成材を用いることもできる。研磨材スラリーの分散性や安定性を向上させるためにカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系の界面活性剤を適宜選択して添加することができる。さらに、上記各添加剤の効果を高めるためなどに必要に応じて酸または塩基を添加して研磨材スラリーのpHを調節することができる。
【実施例】
【0099】
[実施例および比較例で用いた分析方法]
以下に本発明の好適な実施例を述べるが、その画像解析法により測定される平均粒子径(D2)から算定される比表面積(SA2)、BET法またはシアーズ法により測定される比表面積(SA1)、および真球度(SA1/SA2)については、特に断りのない限り、それぞれ次の分析方法[1]〜[4]に従って、測定または算定し、その結果を以下の表に記した。
また、実施例および比較例における、NaOの定量方法、Cl(塩素)の定量方法、SOの定量方法、NOの定量方法およびアルミニウム基板に対する研磨特性の評価方法については、それぞれ後記分析方法[5]〜[9]に従って定量または評価し、その結果を以下の表に記した。粒子径の変動係数(CV値)については後記[10]に記した方法により測定し、その結果を以下の表に記した。
実施例21〜25および比較例21〜23における、画像解析による金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子の球状微粒子部分の平均粒子径測定と疣状突起の平均高さ測定については、後記[11]の測定方法により測定した。また、アルミナ被覆シリカ微粒子分散液の固形分測定については後記[12]の測定方法により測定した。これらの結果については、表2に記した。
【0100】
[1]画像解析による平均粒子径(D2)の測定方法および比表面積(SA2)の算定方法
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料シリカゾルを倍率25万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、その最大径(DL)を測定し、その平均値を平均粒子径(D2)とした。また、平均粒子径(D2)の値を前記式(1)に代入して、比表面積(SA2)を求めた。
【0101】
[2]シアーズ法による比表面積測定および平均粒子径測定
1)SiOとして1.5gに相当する試料をビーカーに採取してから、恒温反応槽(25℃)に移し、純水を加えて液量を90mlにする。(以下の操作は、25℃に保持した恒温反応槽中にて行った。)
2)pH3.6になるように0.1モル/L塩酸水溶液を加える。
3)塩化ナトリウムを30g加え、純水で150mlに希釈し、10分間攪拌する。
4)pH電極をセットし、攪拌しながら0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液を滴下して、pH4.0に調整する。
5)pH4.0に調整した試料を0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し、pH8.7〜9.3の範囲での滴定量とpH値を4点以上記録して、0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量をX、その時のpH値をYとして、検量線を作る。
【0102】
6)次の式(2)からSiO1.5g当たりのpH4.0〜9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の消費量V(ml)を求め、後記式(3)に従って比表面積SA[m/g]を求める。
【0103】
また、平均粒子径D1(nm)は、式(4)から求める。
V=(A×f×100×1.5)/(W×C) ・・・ (2)
SA=29.0V−28 ・・・ (3)
D1=6000/(ρ×SA) ・・・ (4)
(ここで、ρは粒子の密度(g/cm)を表す。 シリカの場合は2.2を代入する。)
【0104】
但し、上記式(2)における記号の意味は次の通りである。
A:SiO1.5g当たりpH4.0〜9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量(ml)
f :0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の力価
C :試料のSiO濃度(%)
W :試料採取量(g)
【0105】
[3]BET法(窒素吸着法)による比表面積測定
シリカゾル50mlをHNOでpH3.5に調整し、1−プロパノール40mlを加え、110℃で16時間乾燥した試料について、乳鉢で粉砕後、マッフル炉にて500℃、1時間焼成し、測定用試料とした。そして、比表面積測定装置(ユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)を用いて、窒素の吸着量から、BET1点法により比表面積を算出した。
具体的には、試料0.5gを測定セルに取り、窒素30v%/ヘリウム70v%混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行い、その上で試料を上記混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、シリカゾルの比表面積を算出した。また、得られた比表面積(SA)を前記式(4)に代入して平均粒子径D1を求めた。
【0106】
[4]真球度の測定方法
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料シリカゾルを倍率25万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、それぞれその最大径(DL)と、これと直交する短径(DS)との比(DS/DL)を測定し、それらの平均値を真球度とした。
【0107】
[5]NaOの定量方法
次の手順によった。
1)試料シリカゾル約10gを白金皿に採取し、0.1mgまで秤量する。
2)硝酸5mlと弗化水素酸20mlを加えて、サンドバス上で加熱し,蒸発乾固する。
3)液量が少なくなったら、更に弗化水素酸20mlを加えてサンドバス上で加熱し、蒸発乾固する。
4)室温まで冷却後、硝酸2mlと水を約50ml加えて、サンドバス上で加熱溶解する。
5)室温まで冷却後、フラスコ(100ml)に入れ、水で100mlに希釈して試料溶液とする。
【0108】
6)原子吸光分光光度計(株式会社日立製作所製、Z-5300、測定モード:原子吸光、測定波長:190〜900nm、シリカ試料の場合におけるNaの検出波長は589.0nm)にて、試料溶液中に存在する各金属の含有量を測定した。この原子吸光分光光度計は、フレームにより試料を原子蒸気化し、その原子蒸気層に適当な波長の光を照射し、その際の原子によって吸収された光の強さを測定し、これにより試料中の元素濃度を定量するものである。
【0109】
7)試料シリカゾル10gに50%硫酸水溶液2mlを加え、白金皿上にて蒸発乾固し、得られた固形物を1000℃にて1時間焼成後、冷却して秤量する。次に、秤量した固形物を微量の50%硫酸水溶液に溶かし、更にフッ化水素酸20mlを加えてから、白金皿上にて蒸発乾固し、1000℃にて15分焼成後、冷却して秤量する。これらの重量差よりシリカ含有量を求めた。
8)上記6)と7)の結果からSiO分に対するNaの割合を算出し、更にNaOに換算した。
【0110】
[6]Cl(塩素)の定量方法
次の手順によった。
1)試料シリカゾルの約20gを200mlビーカーに採取し、0.1mgまで秤量する。
2)アセトン100ml、酢酸5mlおよび0.002mol/lの塩化ナトリウム溶液4mlを加え、試料溶液とする。
3)電位差自動滴定装置(京都電子工業(株)製、AT−610、検出範囲:−2000〜2000mV、pH0〜14、温度0〜100℃)を使用して、試料溶液に対する硝酸銀のアルコール溶液(硝酸銀濃度0.002mol/l)の滴定量を求める。また試料シリカゾルを添加しない他は上記2)と同様にして空試験溶液を調製し、これについても同様に滴定量を求めた。そして、次の式(6)から試料中の塩素含有量を求めた。
【0111】
Cl[ppm]=((A−B)×f× C)/W ・・・ (6)
A:試料溶液に対する硝酸銀アルコール溶液の滴定量(ml)
B:空試験溶液に対する硝酸銀アルコール溶液の滴定量(ml)
f:硝酸銀アルコール溶液の力価
C:硝酸銀アルコール溶液1mlにおけるCl滴定量=71(μg)
W:試料採取量(g)
【0112】
[7]硫酸イオン(SO2−)の定量方法
イオンクロマトグラフィー(DIONEX社製、2010i)により測定した。イオン交換カラムで目的イオンを分離し、その電気伝導度を経時的に検出することにより分析された。
【0113】
[8]硝酸イオン(NO)の定量方法
硫酸イオンの場合と同様のイオンクロマトグラフィーにより測定された。
【0114】
[9]アルミニウム基板に対する研磨特性の評価方法
研磨用スラリーの調製
各実施例および各比較例で得たシリカ濃度20質量%の金平糖状シリカゾルに、H、HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジスルホン酸)および超純水を加えて、シリカ9重量%、H0.5重量%、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジスルホン酸0.5重量%の研磨用スラリーを調製し、さらに必要に応じてHNOを加えて、pH2の研磨用スラリーを調製した。
被研磨基板
被研磨基板として、アルミニウムディスク用基板を使用した。このアルミニウムディスク用基板は、アルミニウム基板にNi−Pを10μmの厚さに無電解メッキ(Ni88%とP12%の組成の硬質Ni−Pメッキ層)をした基板(95mmΦ/25mmΦ−1.27mmt)を使用した。なお、この基板は一次研磨済みで、表面粗さ(Ra)は0.17nmであった。
【0115】
研磨試験
上記被研磨基板を、研磨装置(ナノファクター(株)製:NF300)にセットし、研磨パッド(ロデール社製「アポロン」)を使用し、基板荷重0.05MPa、テーブル回転速度30rpmで研磨用スラリーを20g/分の速度で5分間供給して研磨を行った。
研磨前後の被研磨基材の重量変化を求めて研磨速度を計算した。
【0116】
実施例1〜6、および12〜17の金平糖状シリカゾルの研磨レート比については、それらの金平糖状シリカゾルの画像解析法により測定された平均粒子径(D2)の大きさが、概ね相当する比較例2のシリカゾルによる研磨速度を1としたときの各研磨速度の比率を研磨レートとした。
以下、同様に実施例7〜9の金平糖状シリカゾルの研磨レート比については、比較例4のシリカゾルによる研磨速度を1としたときの各研磨速度の比率を研磨レートとした。
実施例10および11の金平糖状シリカゾルの研磨レート比については比較例3のシリカゾルによる研磨速度を1としたときの各研磨速度の比率を研磨レートとした。
比較例1の金平糖状シリカゾルの研磨レート比については比較例5のシリカゾルによる研磨速度を1としたときの各研磨速度の比率を研磨レートとした。
【0117】
[10]粒子径の変動係数(CV値)測定
シリカ微粒子分散液を0.58%アンモニア水にて希釈し、pH11、シリカ濃度0.1質量%に調整し、下記の粒度分布測定装置を用いて平均粒子径および変動係数(CV値)を測定した。
〔粒度分布測定装置〕
型番 NICOMP 380、製造元 PARTICLE SIZING SYSTEMS Co.Ltd、測定原理:動的光散乱法(ホモダイン/粒度分布)、光源:5mW He−Ne レーザー(標準)、検出器:フォトカウント用光電子増倍管、コーリレーター:32bitデジタルオートコーリレーター(DSP搭載)、測定セル:四面透過型角セル(ディスポーザブル)、温度制御方式:ペルチエ素子(コンピュータ制御)、設定範囲:5℃〜80℃、測定粒度分布範囲:1nm〜5μm、測定対象:コロイド粒子。
【0118】
[11]画像解析による金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子の球状微粒子部分の平均粒子径測定と疣状突起の平均高さ測定
走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料シリカゾルを倍率25万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、その最小径を測定し、その平均値を金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子の球状微粒子部分の平均内径(D3)とした。
また、任意の金平糖状アルミナ−シリカ複合微粒子50個について、任意の疣状突起の頂点から疣状突起と球状微粒子部分との接点までの距離を3箇所ずつ測定し、その全ての平均値を算出し、疣状突起の平均高さとした。
【0119】
[12]アルミナ被覆シリカ微粒子分散液の固形分測定
試料(アルミナ被覆シリカ微粒子分散液)2gをルツボにて蒸発乾固し、得られた固形物を1000℃にて1時間焼成後、デシケーターに入れ冷却して秤量する。これらの重量差よりアルミナ被覆シリカ微粒子の含有量を求めた。
【0120】
[実施例1]
核粒子分散液の調製
シリカゾル(触媒化成工業株式会社製:カタロイドSI-40、画像解析法により測定された平均粒子径21.2nm、SiO2 濃度40.7質量%)102.4gに水を加えて、4170g(SiO2 濃度1質量%)とし、更にシリカゾルのpHが11となるように濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加した。ついで、シリカゾルの温度を80℃に昇温し、30分間80℃に維持して核粒子分散液(A液)とした。
【0121】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)575gを水2185gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)2760gを調製した。また、電解質としての硫酸アンモニウム(三菱化学株式会社製)98.0gに水2352gを加えて、電解質水溶液2450gを調製した。そして、温度を80℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液を、それぞれ80℃にて1時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA/EEは1.0であった。ついで、80℃で1時間熟成を行った後、粒子成長した核粒子分散液のpHが10.8になるまで限外濾過膜により洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。この金平糖状シリカゾルについて、前記[1]〜[10]の分析を行なった結果を表1に示す。実施例2〜17および比較例1〜5においても同様である。
【0122】
[実施例2]
核粒子分散液の調製
シリカゾル(触媒化成工業株式会社製:カタロイドSI-40、画像解析法により測定された平均粒子径21.2nm、SiO2 濃度40.7質量%)102.4gに水を加えて、4170g(SiO2 濃度1質量%)とし、更にシリカゾルのpHが11となるように濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加した。ついで、シリカゾルの温度を65℃に昇温し、30分間65℃に維持して核粒子分散液(A液)とした。
【0123】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)575gを水2185gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)2760gを調製した。また、電解質としての硫酸アンモニウム(三菱化学株式会社製)98.0gに水2352gを加えて、電解質水溶液2450gを調製した。そして、温度を65℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液を、それぞれ65℃にて1時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は1.0であった。ついで、65℃で1時間熟成を行った後、粒子成長した核粒子分散液のpHが10.1になるまで限外濾過膜により洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
【0124】
[実施例3]
核粒子分散液の調製
シリカゾル(触媒化成工業株式会社製:カタロイドSI-40、画像解析法により測定された平均粒子径21.2nm、SiO2 濃度40.7質量%)102.4gに水を加えて、4170g(SiO2 濃度1質量%)とし、更にシリカゾルのpHが11となるように濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加した。ついで、シリカゾルの温度を95℃に昇温し、30分間、95℃に維持して核粒子分散液(A液)とした。
【0125】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)575gを水2185gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)2760gを調製した。また、電解質としての硝酸アンモニウム(三菱化学株式会社製)74.2gに水2376gを加えて、電解質水溶液2450.2gを調製した。そして、温度を95℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液を、それぞれ95℃にて1時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は0.8であった。ついで、95℃で1時間熟成を行った後、粒子成長した核粒子分散液のpHが10になるまで限外濾過膜により洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
【0126】
[実施例4]
核粒子分散液の調製
シリカゾル(触媒化成工業株式会社製:カタロイドSI-40、画像解析法により測定された平均粒子径21.2nm、SiO2 濃度40.7質量%)102.4gに水を加えて、4170g(SiO2 濃度1質量%)とし、更に、シリカゾルのpHが11となるように濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加した。ついで、シリカゾルの温度を65℃に昇温し、30分間65℃に維持して核粒子分散液(A液)とした。
【0127】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)575gを水2185gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)2760gを調製した。また、電解質としての硝酸アンモニウム(三菱化学株式会社製)74.2gに水2376gを加えて、電解質水溶液2450.2gを調製した。そして、温度を65℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液を、それぞれ65℃にて1時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は0.8であった。ついで、65℃で1時間熟成を行った後、粒子成長した核粒子分散液のpHが10.2になるまで限外濾過膜により洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
【0128】
[実施例5]
核粒子分散液の調製
シリカゾル(触媒化成工業株式会社製:カタロイドSI-40、画像解析法により測定された平均粒子径21.2nm、SiO2 濃度40.7質量%)102.4gに水を加えて、4170g(SiO2 濃度1質量%)とし、更にシリカゾルのpHが11となるように濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加した。ついで、シリカゾルの温度を95℃に昇温し、30分間95℃に維持して核粒子分散液(A液)とした。
【0129】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)575gを水2185gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)2760gを調製した。また、電解質としての塩化アンモニウム(三菱化学株式会社製)39.7gに水2410gを加えて、電解質水溶液2449.7gを調製した。そして、温度を95℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液5210gを、それぞれ95℃にて1時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は1.0であった。ついで、95℃で1時間熟成を行った後、限外濾過膜により成長核粒子分散液のpHが10.1になるまで洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
【0130】
[実施例6]
核粒子分散液の調製
シリカゾル(触媒化成工業株式会社製:カタロイドSI-40、画像解析法により測定された平均粒子径21.2nm、SiO2 濃度40.7質量%)102.4gに水を加えて、4170g(SiO2 濃度1質量%)とし、更にシリカゾルのpHが11となるように濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加した。ついで、シリカゾルの温度を65℃に昇温し、30分間65℃に維持して核粒子分散液(A液)とした。
【0131】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)575gを水2185gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)2760gを調製した。また、電解質としての塩化アンモニウム(三菱化学株式会社製)39.7gに水2410gを加えて、電解質水溶液2449.7gを調製した。そして、温度を65℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液5210gを、それぞれ65℃にて1時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は1.0であった。ついで、65℃で1時間熟成を行った後、限外濾過膜により成長核粒子分散液のpHが10.3になるまで洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
【0132】
[実施例7]
核粒子分散液の調製
シリカゾル(触媒化成工業株式会社製:カタロイドSI-40、画像解析法により測定された平均粒子径21.2nm、SiO2 濃度40.7質量%)24.8gに水を加えて、1010g(SiO2 濃度1質量%)とし、更にシリカゾルのpHが11となるように濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加した。ついで、シリカゾルの温度を80℃に昇温し、30分間80℃に維持して核粒子分散液(A液)とした。
【0133】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)708gを水2692gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)3400gを調製した。また、電解質としての硫酸アンモニウム(三菱化学株式会社製)120.8gに水2899gを加えて、電解質水溶液3019.8gを調製した。そして、温度を80℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液を、それぞれ80℃にて5時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は1.0であった。ついで、80℃で1時間熟成を行った後、限外濾過膜によりpHが9.4になるまで洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
【0134】
[実施例8]
核粒子分散液の調製
実施例7と同様な核粒子分散液(A液)を調製した。
【0135】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)708gを水2692gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)3400gを調製した。また、電解質としての硝酸アンモニウム(三菱化学株式会社製)91.4gに水2928gを加えて、電解質水溶液3019.4gを調製した。そして、温度を80℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液を、それぞれ80℃にて5時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は0.8であった。ついで、80℃で1時間熟成を行った後、限外濾過膜によりpHが10.4になるまで洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
【0136】
[実施例9]
核粒子分散液の調製
実施例7と同様な核粒子分散液(A液)を調製した。
【0137】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)708gを水2692gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)3400gを調製した。また、電解質としての塩化アンモニウム(三菱化学株式会社製)48.9gに水2971gを加えて、電解質水溶液3019.9gを調製した。そして、温度を80℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液を、それぞれ80℃にて5時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は1.0であった。ついで、80℃で1時間熟成を行った後、限外濾過膜によりpHが10.3になるまで洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
【0138】
[比較例1]
核粒子分散液の調製
シリカゾル(触媒化成工業株式会社製:カタロイドSI-50、画像解析法により測定された平均粒子径35.8nm、SiO2 濃度48.4質量%)15.1gに水を加えて、730g(SiO2 濃度1質量%)とし、更にシリカゾルのpHが11となるように濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加した。ついで、シリカゾルの温度を95℃に昇温し、30分間95℃に維持して核粒子分散液(A液)とした。
【0139】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)888gを水4400gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)5288gを調製した。また、電解質としての硫酸アンモニウム(三菱化学株式会社製)151.3gに水4800gを加えて、電解質水溶液4951.3gを調製した。そして、温度を95℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液を、それぞれ95℃にて9時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は1.0であった。ついで、95℃で1時間熟成を行った後、限外濾過膜によりpHが9.8になるまで洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
なお、比較例1については、シリカゾルの比表面積を、窒素吸着法により測定した。
【0140】
[実施例10]
核粒子分散液の調製
シリカゾル(画像解析法により測定された平均粒子径16.9nm、SiO2 濃度30.7質量%)126.7gに水を加えて、3890g(SiO2 濃度1質量%)とし、更にシリカゾルのpHが11となるように濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加した。ついで、シリカゾルの温度を80℃に昇温し、30分間80℃に維持して核粒子分散液(A液)とした。
【0141】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)588gを水2232gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)2820gを調製した。また、電解質としての硝酸アンモニウム(三菱化学株式会社製)93.3gに水2412gを加えて、電解質水溶液32505.3gを調製した。そして、温度を80℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液を、それぞれ80℃にて1時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は0.65であった。ついで、80℃で1時間熟成を行った後、限外濾過膜によりpHが9.8になるまで洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
【0142】
[実施例11]
核粒子分散液の調製
実施例10と同様の核粒子分散液(A液)を調製した。
【0143】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)588gを水2232gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)2820gを調製した。また、電解質としての硫酸アンモニウム(三菱化学株式会社製)100.2gに水2405gを加えて、電解質水溶液2505.2gを調製した。そして、温度を80℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液を、それぞれ80℃にて1時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は1.0であった。ついで、80℃で1時間熟成を行った後、限外濾過膜によりpHが9.2になるまで洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
【0144】
[実施例12]
核粒子分散液の調製
実施例1と同様の核粒子分散液(A液)を調製した。
【0145】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)575gを水2185gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)2760gを調製した。また、電解質としての硫酸アンモニウム(三菱化学株式会社製)24.5gに水2425gを加えて、電解質水溶液2449.5gを調製した。そして、温度を80℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液を、それぞれ80℃にて1時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は4.0であった。ついで、80℃で1時間熟成を行った後、粒子成長した核粒子分散液のpHが9.9になるまで限外濾過膜により洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
【0146】
[実施例13]
核粒子分散液の調製
実施例1と同様の核粒子分散液(A液)を調製した。
【0147】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)575gを水2185gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)2760gを調製した。また、電解質としての硝酸アンモニウム(三菱化学株式会社製)14.8gに水2435gを加えて、電解質水溶液2449.8gを調製した。そして、温度を80℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液を、それぞれ80℃にて1時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は4.0であった。ついで、80℃で1時間熟成を行った後、粒子成長した核粒子分散液のpHが10.4になるまで限外濾過膜により洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
【0148】
[実施例14]
核粒子分散液の調製
実施例1と同様の核粒子分散液(A液)を調製した。
【0149】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)575gを水2185gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)2760gを調製した。また、電解質としての塩化アンモニウム(三菱化学株式会社製)9.9gに水2440gを加えて、電解質水溶液2449.9gを調製した。そして、温度を80℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液を、それぞれ80℃にて1時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は4.0であった。ついで、80℃で1時間熟成を行った後、粒子成長した核粒子分散液のpHが9.9になるまで限外濾過膜で洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
【0150】
[実施例15]
核粒子分散液の調製
実施例1と同様の核粒子分散液(A液)を調製した。
【0151】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)575gを水2185gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)2760gを調製した。また、電解質としての硝酸アンモニウム(三菱化学株式会社製)91.4gに水2359gを加えて、電解質水溶液2450.4gを調製した。そして、温度を80℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液を、それぞれ80℃にて1時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は0.65であった。ついで、80℃で1時間熟成を行った後、粒子成長した核粒子分散液のpHが9.9になるまで限外濾過膜で洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
【0152】
[実施例16]
核粒子分散液の調製
実施例1と同様の核粒子分散液(A液)を調製した。
【0153】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)575gを水2185gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)2760gを調製した。また、電解質としての塩化アンモニウム(三菱化学株式会社製)79.4gに水2371gを加えて、電解質水溶液2450.4gを調製した。そして、温度を80℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液を、それぞれ80℃にて1時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は0.5であった。ついで、80℃で1時間熟成を行った後、粒子成長した核粒子分散液のpHが9.5になるまで限外濾過膜で洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
【0154】
[実施例17]
核粒子分散液の調製
実施例1と同様の核粒子分散液(A液)を調製した。
【0155】
核粒子の成長
水硝子(AGCエスアイテック株式会社製:JIS3号水硝子、SiO2 濃度24質量%)140.8gを水535.2gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)676gを調製した。また、電解質としての塩化アンモニウム(三菱化学株式会社製)9.7gに水590gを加えて、電解質水溶液599.7gを調製した。そして、温度を95℃に維持した前記核粒子分散液(A液)全量に対して、前記珪酸アルカリ水溶液(B液)および前記電解質水溶液を、それぞれ95℃にて15分かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
ここで、B液のアルカリと電解質の当量比EA /EE は1.0であった。ついで、95℃で1時間熟成を行った後、粒子成長した核粒子分散液のpHが10.5になるまで限外濾過膜で洗浄を行った。ついで、濃縮してSiO2 濃度20質量%の金平糖状シリカゾルを得た。
【0156】
[比較例2]
シリカゾル(触媒化成工業株式会社製:カタロイドSI-50、画像解析法により測定された平均粒子径35.8nm、SiO2 濃度48.4質量%)に純水を加えてSiO2 濃度20質量%とした。
【0157】
[比較例3]
シリカゾル(触媒化成工業株式会社製:カタロイドSI-40、画像解析法により測定された平均粒子径21.2nm、SiO2 濃度40.7質量%)に純水を加えてSiO2 濃度20質量%とした。
【0158】
[比較例4]
シリカゾル(触媒化成工業株式会社製:カタロイドSI-45、画像解析法により測定された平均粒子径55.3nm、SiO2 濃度40.3質量%)に純水を加えてSiO2 濃度20質量%とした。
なお、比較例4については、シリカゾルの比表面積を、窒素吸着法により測定した。
【0159】
[比較例5]
シリカゾル(触媒化成工業株式会社製:カタロイドSI-80、画像解析法により測定された平均粒子径110nm、SiO2 濃度40.5質量%)に純水を加えてSiO2 濃度20質量%とした。
なお、比較例5については、シリカゾルの比表面積を、窒素吸着法により測定した。
【0160】
【表1】

【0161】
[実施例21]
原料シリカゾル(窒素吸着法により測定される比表面積から換算された平均粒子径45nm、品名:カタロイドSI−45P、製造元:触媒化成工業株式会社、pH、シリカ濃度、比表面積および形状は表2に記載)2500gに純水を加えて、シリカ濃度15.4重量%に調整した。
このシリカゾル6500gに、12℃にて、アルミン酸ナトリウム[化学式:NaAlO]の0.9重量%水溶液850g(シリカゾルのシリカ分100質量部に対して、アルミン酸ナトリウムが0.77質量部に相当)を攪拌しながら4時間かけて均等に添加した。そして、90℃に昇温して、3時間熟成した。
得られたアルミナ被覆シリカ微粒子の分散液について前記[12]の固形分測定方法により固形分(アルミナ被覆シリカ微粒子)の含有量を測定したところ13.7重量%であった。このアルミナ被覆シリカ微粒子水溶液1199gに純水を加えて、濃度2.9重量%に調製した。
【0162】
このアルミナ被覆シリカ微粒子の水溶液5586gに、3号水硝子(シリカ濃度24重量%)を27g(アルミナ被覆シリカ微粒子100質量部に対して、シリカ分4.0質量部に相当)添加し、98℃まで昇温した後30分間熟成し、シリカ濃度3重量%の珪酸液4305g(前記熟成終了後のアルミナ被覆シリカ微粒子水溶液のシリカ分100質量部に対して、珪酸液のシリカ分が75.6質量部に相当)を7時間かけて撹拌しながら徐々に添加した。添加完了後、98℃にて1時間熟成した。
【0163】
その後、限外膜(SIP−1013)にて常に液面が一定となるように純水を供給しながら濃縮を行い、水溶液の電導度が一定となるまで行い、その後シリカ濃度が12重量%になるまで濃縮し、次いで30%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。そして、窒素吸着法による比表面積、画像解析法による平均粒子径およびそれから算定される比表面積、真球度を求め、表面粗度を算定した。その結果を表2に記す。
【0164】
[実施例22]
原料シリカゾル(窒素吸着法により測定される比表面積から換算された平均粒子径80nm、品名:カタロイドSI−80P、製造元:触媒化成工業株式会社、pH、シリカ濃度、比表面積および形状は表2に記載)2500gに純水を加えて、シリカ濃度15.4重量%に調整した。
このシリカゾル6500gに、14℃にて、アルミン酸ナトリウム[化学式:NaAlO]の0.9重量%水溶液482g(シリカゾルのシリカ分100質量部に対して、アルミン酸ナトリウム0.43質量部に相当)を攪拌しながら2時間かけて均等に添加した。そして、90℃に昇温して、3時間熟成した。
得られたアルミナ被覆シリカ微粒子の分散液について前記[12]の固形分測定方法により固形分(アルミナ被覆シリカ微粒子)の含有量を測定したところ14.4重量%であった。このアルミナ被覆シリカ微粒子水溶液1463gに純水を加えて、濃度2.7重量%に調製した。
【0165】
このアルミナ被覆シリカ微粒子の水溶液7163gに、3号水硝子(シリカ濃度24重量%)を41g(アルミナ被覆シリカ微粒子100質量部に対して、シリカ分3.7質量部に相当)添加し、98℃まで昇温した後30分熟成し、シリカ濃度3重量%の珪酸液2641g(前記熟成終了後のアルミナ被覆シリカ微粒子水溶液のシリカ分100質量部に対して、珪酸液のシリカ分が32.4質量部に相当)を10時間かけて撹拌しながら徐々に添加した。添加完了後、98℃にて1時間熟成した。
【0166】
その後、限外膜(SIP−1013)にて常に液面が一定となるように純水を供給しながら濃縮を行い、水溶液の電導度が一定となるまで行い、その後シリカ濃度が12重量%になるまで濃縮し、次いで30%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。そして、窒素吸着法による比表面積、画像解析法による平均粒子径およびそれから算定される比表面積、真球度を求め、表面粗度を算定した。その結果を表2に記す。
【0167】
[実施例23]
原料シリカゾル(ナトリウム滴定法により測定される比表面積から換算された平均粒子径25nm、品名:カタロイドSI−50、製造元:触媒化成工業株式会社、pH、シリカ濃度、比表面積および形状は表2に記載)2083gに純水を加えて、シリカ濃度15.4重量%に調整した。
このシリカゾル6500gに、25℃にて、アルミン酸ナトリウム[化学式:NaAlO]の0.9重量%水溶液1488g(シリカゾルのシリカ分100質量部に対して、アルミン酸ナトリウムが1.34質量部に相当)を攪拌しながら6時間かけて均等に添加した。そして、90℃に昇温して、3時間熟成した。
得られたアルミナ被覆シリカ微粒子の分散液について前記[12]の固形分測定方法により固形分(アルミナ被覆シリカ微粒子)の含有量を測定したところ12.7重量%であった。このアルミナ被覆シリカ微粒子水溶液の882gに純水を加えて、濃度2.8重量%に調製した。
【0168】
このアルミナ被覆シリカ微粒子の水溶液4704gに、3号水硝子(シリカ濃度24重量%)を48g(アルミナ被覆シリカ微粒子100質量部に対して、10.1質量部に相当)添加し、87℃まで昇温した後30分熟成し、温度を87℃に維持しながら、シリカ濃度3重量%の珪酸液5961g(前記熟成終了後のアルミナ被覆シリカ微粒子水溶液のシリカ分100質量部に対して、珪酸液のシリカ分が150質量部に相当)を7時間かけて撹拌しながら徐々に添加した。添加完了後、87℃にて1時間熟成した。
【0169】
その後、限外膜(SIP−1013)にて常に液面が一定となるように純水を供給しながら濃縮を行い、水溶液の電導度が一定となるまで行い、その後シリカ濃度が12重量%になるまで濃縮し、次いで30%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。そして、ナトリウム滴定法による比表面積、画像解析法による平均粒子径およびそれから算定される比表面積、真球度を求め、表面粗度を算定した。その結果を表2に記す
【0170】
[実施例24]
原料シリカゾル(窒素吸着法により測定される比表面積から換算された平均粒子径45nm、品名:カタロイドSI−45P、製造元:触媒化成工業株式会社、pH、シリカ濃度、比表面積および形状は表2に記載)2500gに純水を加えて、シリカ濃度15.4重量%に調整した。
このシリカゾル6500gに、25℃にて、アルミン酸ナトリウム[化学式:NaAlO]の0.9重量%水溶液142g(シリカゾルのシリカ分100質量部に対して、アルミン酸ナトリウム0.13質量部に相当)を攪拌しながら30分かけて均等に添加した。そして、90℃に昇温して、3時間熟成した。
得られたアルミナ被覆シリカ微粒子の分散液について前記[12]の固形分測定方法により固形分(アルミナ被覆シリカ微粒子)の含有量を測定したところ15.1重量%であった。このアルミナ被覆シリカ微粒子水溶液1199gに純水を加えて、濃度2.9重量%に調製した。
【0171】
このアルミナ被覆シリカ微粒子の水溶液6243gに、3号水硝子(シリカ濃度24重量%)を27g(アルミナ被覆シリカ微粒子100質量部に対して、4.0質量部に相当)添加し、98℃まで昇温した後30分熟成し、温度を98℃に維持しながら、シリカ濃度3重量%の珪酸液4305g(前記熟成終了後のアルミナ被覆シリカ微粒子水溶液のシリカ分100質量部に対して、珪酸液のシリカ分が75.6質量部に相当)を7時間かけて撹拌しながら徐々に添加した。添加完了後、98℃にて1時間熟成した。
【0172】
その後、限外膜(SIP−1013)にて常に液面が一定となるように純水を供給しながら濃縮を行い、水溶液の電導度が一定となるまで行い、その後シリカ濃度が12重量%になるまで濃縮し、次いで30%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。そして、窒素吸着法による比表面積、画像解析法による平均粒子径およびそれから算定される比表面積、真球度を求め、表面粗度を算定した。その結果を表2に記す。
【0173】
[実施例25]
原料シリカゾル(窒素吸着法により測定される比表面積から換算された平均粒子径45nm、品名:カタロイドSI−45P、製造元:触媒化成工業株式会社、pH、シリカ濃度、比表面積および形状は表2に記載)2500gに純水を加えて、シリカ濃度15.4重量%に調整した。
このシリカゾル6500gに、25℃にて、アルミン酸ナトリウム[化学式:NaAlO]の0.9重量%水溶液1983g(シリカゾルのシリカ分100質量部に対して、アルミン酸ナトリウムが1.79質量部に相当)を攪拌しながら8時間かけて均等に添加した。そして、90℃に昇温して、3時間熟成した。
得られたアルミナ被覆シリカ微粒子の分散液について前記[12]の固形分測定方法により固形分(アルミナ被覆シリカ微粒子)の含有量を測定したところ12.0重量%であった。このアルミナ被覆シリカ微粒子水溶液1199gに純水を加えて、濃度2.9重量%に調製した。
【0174】
このアルミナ被覆シリカ微粒子の水溶液4552gに、3号水硝子(シリカ濃度24重量%)を22g(アルミナ被覆シリカ微粒子100質量部に対して、6.0質量部に相当)添加し、98℃まで昇温した後30分熟成し、温度を98℃に維持しながら、シリカ濃度3重量%の珪酸液4343g(前記熟成終了後のアルミナ被覆シリカ微粒子水溶液のシリカ分100質量部に対して、珪酸液のシリカ分が75.6質量部に相当)を7時間かけて撹拌しながら徐々に添加した。添加完了後、98℃にて1時間熟成した。
【0175】
その後、限外膜(SIP−1013)にて常に液面が一定となるように純水を供給しながら濃縮を行い、水溶液の電導度が一定となるまで行い、その後シリカ濃度が12重量%になるまで濃縮し、次いで30%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。そして、ナトリウム滴定法による比表面積、画像解析法による平均粒子径およびそれから算定される比表面積、真球度を求め、表面粗度を算定した。その結果を表2に記す
【0176】
[比較例21]
原料シリカゾル(窒素吸着法により測定される比表面積から換算された平均粒子径45nm、品名:カタロイドSI−45P、製造元:触媒化成工業株式会社、pH、シリカ濃度、比表面積および形状は表2に記載)407gに純水を加えて、シリカ濃度2.8重量%に調整した。
【0177】
このシリカゾル5761gに、3号水硝子(シリカ濃度24重量%)を40g(シリカゾル中のシリカ微粒子100質量部に対して、3号水硝子のシリカ分6.0質量部に相当)添加し、98℃まで昇温した後30分熟成し、温度を98℃に維持しながら、シリカ濃度3重量%の珪酸液4199g(前記シリカゾル中のシリカ微粒子100質量部に対して、珪酸液のシリカ分が75.6質量部に相当)を7時間かけて撹拌しながら徐々に添加した。添加完了後、98℃にて1時間熟成した。
【0178】
その後、限外膜(SIP−1013)にて常に液面が一定となるように純水を供給しながら濃縮を行い、水溶液の電導度が一定となるまで行い、その後シリカ濃度が12重量%になるまで濃縮し、次いで30%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。そして、窒素吸着法による比表面積、画像解析法による平均粒子径およびそれから算定される比表面積、真球度を求め、表面粗度を算定した。その結果を表2に記す
【0179】
[比較例22]
原料シリカゾル(ナトリウム滴定法により測定される比表面積から換算された平均粒子径25nm、品名:カタロイドSI−50、製造元:触媒化成工業株式会社、pH、シリカ濃度、比表面積および形状は表2に記載)228gに純水を加えて、シリカ濃度2.8重量%に調整した。
【0180】
このシリカゾル3972gに、3号水硝子(シリカ濃度24重量%)を46g(シリカゾル中のシリカ微粒子100質量部に対して、3号水硝子のシリカ分10.1質量部に相当)添加し、98℃まで昇温した後30分熟成し、温度を87℃に維持しながら、シリカ濃度3重量%の珪酸液5983g(前記シリカゾル中のシリカ微粒子100質量部に対して、珪酸液のシリカ分が150質量部に相当)を7時間かけて撹拌しながら徐々に添加した。添加完了後、87℃にて1時間熟成した。
【0181】
その後、限外膜(SIP−1013)にて常に液面が一定となるように純水を供給しながら濃縮を行い、水溶液の電導度が一定となるまで行い、その後シリカ濃度が12重量%になるまで濃縮し、次いで30%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。そして、ナトリウム滴定法による比表面積、画像解析法による平均粒子径およびそれから算定される比表面積、真球度を求め、表面粗度を算定した。その結果を表2に記す
【0182】
[比較例23]
原料シリカゾル(窒素吸着法により測定される比表面積から換算された平均粒子径45nm、品名:カタロイドSI−45P、製造元:触媒化成工業株式会社、pH、シリカ濃度、比表面積および形状は表2に記載)2500gに純水を加えて、シリカ濃度15.4重量%に調整した。
このシリカゾル6500gに、25℃にて、アルミン酸ナトリウム[化学式:NaAlO]の0.9重量%水溶液2833g(シリカゾルのシリカ分100質量部に対して、アルミン酸ナトリウムが2.55質量部に相当)を攪拌しながら12時間かけて均等に添加した。そして、90℃に昇温して、3時間熟成した。
得られたアルミナ被覆シリカ微粒子の分散液について前記[12]の固形分測定方法により固形分(アルミナ被覆シリカ微粒子)の含有量を測定したところ11.0重量%であった。このアルミナ被覆シリカ微粒子水溶液1494gに純水を加えて、濃度2.9重量%に調製した。
【0183】
このアルミナ被覆シリカ微粒子の水溶液8483gに、3号水硝子(シリカ濃度24重量%)を41g(アルミナ被覆シリカ微粒子100質量部に対して、6.0質量部に相当)添加し、98℃まで昇温した後30分熟成し、温度を98℃に維持しながら、シリカ濃度3重量%の珪酸液4190g (前記熟成終了後のアルミナ被覆シリカ微粒子水溶液のシリカ分100質量部に対して、珪酸液のシリカ分が75.6質量部に相当)を7時間かけて撹拌しながら徐々に添加した。添加完了後、98℃にて1時間熟成した。
【0184】
その後、限外膜(SIP−1013)にて常に液面が一定となるように純水を供給しながら濃縮を行い、水溶液の電導度が一定となるまで行い、その後シリカ濃度が12重量%になるまで濃縮し、次いで30%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。そして、窒素吸着法による比表面積、画像解析法による平均粒子径およびそれから算定される比表面積、真球度を求め、表面粗度を算定した。その結果を表2に記す。
【0185】
【表2】

【0186】
[実施例26]
窒素吸着法により測定された比表面積から換算された平均粒子径が5nm、SiO濃度20%のシリカゾル(触媒化成工業(株)製、カタロイドSI−550)の2.3gを87℃に昇温し30分保持した。その後、液温を87℃に保持したまま、濃度1質量%の四ホウ酸ナトリウム(Na)水溶液2489gと、SiO濃度3.0質量%の水硝子2489gを14時間かけて同時に添加した。添加終了後、室温まで冷却し、限外濾過膜(旭化成株式会社マイクローザ1013)にてSiO濃度12質量%まで濃縮した。このときのpHは9.5だった。そして、更に、ロータリーエバポレーターにてSiO濃度40.5質量%まで濃縮した。得られた粒子はBを0.38質量%含有していた。TEM像の画像解析から得られた平均粒子径は46nmであった。この金平糖状シリカ微粒子の分析結果を表3に示す。
【0187】
[実施例27]
窒素吸着法により測定された比表面積から換算された平均粒子径が5nm、SiO濃度20%のシリカゾル(触媒化成工業(株)製、カタロイドSI−550)の2.3gを87℃に昇温し30分保持した。その後、液温を87℃に保持したまま、濃度1質量%の四ホウ酸ナトリウム(Na)水溶液995gと、SiO濃度3.0質量%の水硝子2986gを14時間かけて同時に添加した。添加終了後、室温まで冷却し、限外濾過膜(旭化成株式会社マイクローザ1013)にてSiO濃度12質量%まで濃縮した。このときのpHは9.5だった。そして、更に、ロータリーエバポレーターにてSiO濃度40.5質量%まで濃縮した。得られた粒子はBを0.38質量%含有していた。TEM像の画像解析から得られた平均粒子径は54nmであった。この金平糖状シリカ微粒子の分析結果を表3に示す。
【0188】
[実施例28]
窒素吸着法により測定された比表面積から換算された平均粒子径が18nm、SiO濃度40.5%のシリカゾル(触媒化成工業(株)製、カタロイドSI−40)の127gに、シリカ濃度24.3質量%の水硝子21gを混合し、87℃に昇温し30分保持した。その後、液温を87℃に保持したまま、濃度1質量%の四ホウ酸ナトリウム(Na)水溶液2478gと、SiO濃度4.88質量%の珪酸液2478gを14時間かけて同時に添加した。添加終了後、室温まで冷却し、限外濾過膜(旭化成株式会社マイクローザ1013)にてSiO濃度12質量%まで濃縮した。このときのpHは9.5だった。そして、更に、ロータリーエバポレーターにてSiO濃度40.5質量%まで濃縮した。得られた粒子はBを0.38質量%含有していた。TEM像の画像解析から得られた平均粒子径は35nmであった。この金平糖状シリカ微粒子の分析結果を表3に示す。
【0189】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明の金平糖状シリカゾルまたは金平糖状アルミナ−シリカ複合ゾルに代表される本発明の金平糖状シリカ系ゾルは、研磨材および研磨用組成物として有用であり、アルミニウムディスク(アルミニウムまたはその基材上のメッキ層)や半導体多層配線基板のアルミニウム配線、光ディスクや磁気ディスク用ガラス基板、液晶ディスプレイ用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、ガラス質材料の鏡面加工などに利用が可能である。また、樹脂成型物やコーテイング被膜の充填剤、化粧料の成分、吸着剤、凝集促進剤、滓下げ剤、増粘剤、土壌硬化剤、インク受容層の成分などとしても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】実施例21で得られた金平糖状アルミナ−シリカゾルの走査型電子顕微鏡写真(倍率25万倍)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状シリカ系微粒子の表面に複数の疣状突起を有する微粒子であって、BET法またはシアーズ法により測定された比表面積を(SA1)とし、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算した比表面積を(SA2)としたときの表面粗度(SA1)/(SA2)の値が、1.7〜10の範囲にあり、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)が7〜150nmの範囲にある金平糖状シリカ系微粒子が溶媒に分散してなる金平糖状シリカ系ゾル。
【請求項2】
前記金平糖状シリカ系微粒子がシリカまたはアルミナ−シリカ複合体からなることを特徴とする請求項1記載の金平糖状シリカ系ゾル。
【請求項3】
前記金平糖状シリカ系微粒子の真球度が、0.8〜1の範囲にあることを特徴とする請求項1または請求項2記載の金平糖状シリカ系ゾル。
【請求項4】
前記金平糖状シリカ系微粒子の粒子径の変動係数(CV値)が10〜50%の範囲にあることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の金平糖状シリカ系ゾル。
【請求項5】
球状シリカ微粒子の表面に複数の疣状突起を有する金平糖状シリカ微粒子であって、BET法またはシアーズ法により測定される比表面積を(SA1)とし、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算した比表面積を(SA2)としたときの表面粗度(SA1)/(SA2)の値が1.7〜10の範囲にあり、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)が7〜150nmの範囲にあるシリカ微粒子が溶媒に分散してなる金平糖状シリカゾル。
【請求項6】
前記金平糖状シリカ微粒子の粒子径の変動係数(CV値)が10〜50%の範囲にあることを特徴とする請求項5記載の金平糖状シリカゾル。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れかに記載の金平糖状シリカ系ゾルからなる研磨材。
【請求項8】
請求項1〜請求項6の何れかに記載の金平糖状シリカ系ゾルを含むことを特徴とする研磨用組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2013−47180(P2013−47180A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230404(P2012−230404)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【分割の表示】特願2007−261282(P2007−261282)の分割
【原出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】