説明

金網ベルトの駆動用ローラ並びにこの駆動用ローラを用いた食品製造装置

【課題】 コンベヤベルトとして用いる金網ベルトを循環走行させる製作コストの安価な駆動用ローラを並びにこの駆動用ローラを用いた食品製造装置を提供する
【解決手段】 駆動用ローラを、回転用シャフトと、この回転用シャフトの外周に同心円状に取り付けられた歯付きローラとで構成し、この歯付きローラを、外周に金網ベルトと噛み合う歯部を複数列設けた筒状の基材部と、この基材部を前記回転用シャフトへ取り付ける取付手段とで構成することで解決し、この駆動用ローラを食品製造装置に用いることで解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば食品製造装置において食品搬送に用いるエンドレスベルトの中の金網ベルトの駆動用に用いて好適な金網ベルトの駆動用ローラ並びにこの駆動用ローラを用いた食品製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、とくに食品搬送用のエンドレス状のコンベヤベルトとして用いる金網ベルトを駆動するのに用いる駆動用ローラとしては、下記特許文献1に記載したものが公知である。この特許文献1に記載したものによると、駆動用ローラにはその外周全般にわたって軸方向へ歯部が設けられており、この歯部で金網ベルトの網目の幅方向を係止して当該金網ベルトを循環走行させるものでる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-120919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の歯付きローラは、一本のシャフトの外周に歯部を周方向と軸方向に渡って設けるため、1本の丸棒から機械を用いて歯部を作るか、鋳造したものの歯部を仕上げるか、或は歯部を丸棒の外周へ植え付けるかしなくてはならず、加工に多大なる労力と費用が掛かり、コストアップの原因となっていた。これらに対して周方向に3列の歯部を設けた幅の狭い無垢の歯付きローラを作り、この歯付きローラを軸方向へ適宜間隔を空けて取り付けて1本の駆動用ローラを作るものも存在するが、これでも、製作コストが高くつくという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、コンベヤベルトとして用いる金網ベルトを循環走行させる製作コストの安価な駆動用ローラを並びにこの駆動用ローラを用いた食品製造装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、エンドレス状の金網ベルトをその外周に懸架させて循環駆動させるものであって、回転用シャフトと、この回転用シャフトの外周に同心円状に取り付けられた歯付きローラとを有し、この歯付きローラを、外周に金網ベルトと噛み合う歯部を複数列設けた筒状の基材部と、この基材部を前記回転用シャフトへ取り付ける取付手段とで構成したことを特徴とする。
【0007】
本発明はまた、エンドレス状の金網ベルトをその外周に懸架させて循環駆動させるものであって、回転用シャフトと、この回転用シャフトの外周に同心円状に取り付けられた歯付きローラとを有し、この歯付きローラを、外周に金網ベルトと噛み合う歯部を設けた複数の歯付き円盤と、この歯付き円盤の間に介在固着させたリング状のスペーサー部材とから成る基材部と、この基材部を前記回転用シャフトへ取り付ける取付手段とで構成したことを特徴とする。
【0008】
本発明はまた、金網ベルトの駆動用ローラを、回転用シャフトと、この回転用シャフトの外周に同心円状に取り付けられた複数の歯付きローラと、これらの歯付きローラの間に隣接或は間隔を置いて介在させたスペーサーローラとを含み、前記歯付きローラの全部或は一部を上記いずれかに記載の歯付きローラとしたことを特徴とする。
【0009】
本発明はまた、前記歯付きローラとスペーサーローラは交互に互い隣接して設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明はまた、互いに隣接する前記歯付きローラとスペーサーローラは、1体に構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明はさらに、請求項1に記載の取付手段においては、前記回転用シャフトを挿通係合させる取付筒体と、この取付筒体と前記基材部との間に取り付けられた連結部材とで構成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明はさらに、請求項2に記載の取付手段においては、前記歯付き円盤を取り付けると共に、前記回転用シャフトを挿通係合させる取付筒体で構成したことを特徴とする。
【0013】
本発明はさらに、前記取付手段を、前記基材部の側部に取り付けた蓋体、或は前記歯付き円盤自体に設けた挿通係止孔で構成したことを特徴とする。
【0014】
本発明はさらに、請求項2に記載の歯付きローラにおいては、歯付き円盤の歯部の位置を円周方向へずらせてあることを特徴とする。
【0015】
本発明はまた、前記スペーサーローラを、前記歯付きローラの歯部を除いた部分の外周と同一径を有するものとしたことを特徴とする。
【0016】
本発明はさらに、前記歯付きローラを、筒状の基材部の外周に歯部を設けるに当たり、ワイヤーカットマシンを用いて形成させることを特徴とする。
【0017】
本発明はまた、前記歯付きローラを、円盤状の基材部の外周に歯部を設けるに当たり、レーザーカットマシンを用いて形成させることを特徴とする。
【0018】
本発明はまた、上記駆動用ローラを用いて食品製造装置の金網ベルトを循環走行させることを特徴とする。
【0019】
その際に本発明は、前記食品製造装置を、とくに米菓の熱風乾燥装置としたことを特徴とする。
【0020】
本発明はさらに、前記食品製造装置を、とくに米菓の焼成装置としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は以上のように構成したので、食品製造装置の食品生地の搬送用コンベヤベルトを構成する金網ベルトを懸架して、循環走行させる駆動用ローラを安価に製造でき、このことにより、この金網ベルトを搬送用コンベヤとして用いる食品製造装置の製造コストを大幅に下げることができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る金網ベルトの駆動用ローラの正面図である。
【図2】図1に示した駆動用ローラの分解正面図である。
【図3】本発明に係る駆動用ローラの歯付きローラの部分の一部断面拡大図である。
【図4】図1の拡大A−A線断面図である。
【図5】図1に示した駆動用ローラのスペーサーローラを示し、(a)図はその側面図、(b)図はそのB−B線断面図である。
【図6】本発明に係る駆動用ローラへ金網ベルトを懸架させて見た状態を正面から見た状態の説明図である。
【図7】本発明に係る駆動用ローラへ金網ベルトを懸架させて見た状態の側面図である。
【図8】本発明に係る駆動用ローラの他の実施例を示す正面図である。
【図9】本発明に係る金網ベルトの駆動用ローラの他の実施例を示す正面図である。
【図10】図9に示した駆動用ローラの歯付きローラの一部拡大断面図である。
【図11】図9に示した、駆動用ローラの歯付きローラの側断面図である。
【図12】本発明に係る駆動用ローラの歯付きローラのさらに他の実施例を示す正面図である。
【図13】図12に示した歯付きローラの分解斜視図である。
【図14】本発明に係る金網ベルトの駆動用ローラの他の実施例を示す正面図である。
【図15】本発明に係る駆動用ローラを用いた食品製造装置の一例としての、例えば米菓生地の熱風乾燥装置の説明図である。
【図16】本発明に係る駆動用ローラを用いた食品製造装置の1例としての例えば米菓生地の焼成装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明を実施する最良の形態について、添付した図面に基いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1乃至図5において指示記号1で示したものが本発明に係る駆動用ローラである。この駆動用ローラ1は、外周軸方向にキー部2aを有する、例えばSUSなどのステンレス鋼製の回転用シャフト2と、この回転用シャフト2をその中心部軸方向に設けた取付手段を構成する取付筒体3dの挿通係止孔3bへ挿通させつつそのキー溝3cをキー部2aと係合させた複数の歯付きローラ3と、この各歯付きローラ3の間に介在されたところの、その一側端部中心部軸方向に設けた挿入用突部3aの受入れ孔4aと、他側端部の中心部軸方向に設けた回転用シャフト2の挿通係止孔4bを有し、この挿通係止孔4bへ回転用シャフト2を挿通させつつ、そのキー溝4cを回転用シャフト2のキー部2aと係合させたスペーサーローラ4とで構成されている。各歯付きローラ3とスペーサーローラ4は、回転用シャフト2の例えば一端部側に設けたフランジ部2bへ一端部側に位置する歯付きローラ3を当接させ、順次スペーサーローラ4に設けた受入れ孔4aへ各歯付きローラ3の取付筒体3dの挿入用突部3aを挿入させつつ配置させ、他端部の側に配置した歯付きローラ3を、当該回転用シャフト2に設けた図示してない雄ネジ部に図示してないワッシャーを介して捻子着させた図示してない締付ナットにより、回転用シャフト2の外周へしっかりと固定されている。
【0025】
尚、この際に各歯付きローラ3とスペーサーローラ4同士を溶着したり、或は各歯付きローラ3とスペーサーローラ4を回転用シャフト2へ溶着したりするのは任意である。また、取付筒体3dへ挿入用突部3aを設けることは自由に選択できる事項であり、この挿入用突部3aの外側に受入れ孔4aと係合するようにキー部或はキー溝を設けることは任意である。
【0026】
また、本明細書では駆動用ローラ1としているが、この駆動用ローラ1は、駆動モータによって駆動力伝達手段を介して回転させられる駆動用ローラの他に、この駆動用ローラの駆動力によって金網ベルトを介して回転させられる従動ローラの場合も含んでいる。
【0027】
図3の歯付きローラ3の拡大一部断面図、及び図1のA−A線断面図の図4に示されたように、例えばSUSのようなステンレス鋼製の中心部軸方向にキー溝3cを有し回転用シャフト2用の挿通係止孔3bを設けた取付手段を構成する取付筒体3dと、この取付筒体3dの外周に所定間隔を空けて取り付けた同じく取付手段を構成する一対の連結部材としての蓋体3e、3eを介して取付筒体3dに対して同心円状に取り付けられた筒状の基材部3fとから成り、この基材部3fの外周に、とくに図4に示したように、歯切盤、ワイヤーカットマシンなどの加工手段を用いて3列に歯部3gがその周方向と軸方向へ適宜間隔を空けて設けられている。尚、指示記号3iと3jのものは、図示してない締付ボルト用の取付孔である。
【0028】
図5の(a)図と(b)図は、スペーサーローラの構造を示し、図面によればこの実施例1に係るスペーサーローラ4は、例えばSUSなどのような筒体4dと、この筒体4dの両側に取り付けられた蓋体4e、4eとから成り、蓋体4e、4eにはそれぞれ軸心を共通にして歯付きローラ3の取付筒体3dの一部を受け入れる受入れ孔4aとキー溝4c付の挿通係止孔4bが設けられている。そして、その外径は、歯付きローラ3の歯部3gを取り除いた部分の外径と同一径となっている。
【0029】
尚、図示はしてないが、回転用シャフト2には、駆動モータから駆動力伝達手段を介して駆動力を当該回転用シャフト2へ伝えるスプロケット、或はプーリーが取り付けられている。
【0030】
以上の説明から解るように、この実施例1に係る歯付きローラ3は、とくに図3と図4に示したように、軸心部軸方向へキー溝3c付の挿通係止孔3bを設けた取付手段である取付筒体3dの外周を同じく取付手段である蓋体3e、3eの取付孔3h、3hへ嵌め込み、この蓋体3e、3eへ歯付き筒体3fを取付筒体3dと同心円状に配置して溶着することによって製作したものである。或は、蓋体3e、3eへ同心円状に基材部3fを溶着し、次いで蓋体3e、3eの各取付孔3h、3hへ取付筒体3dを嵌入させた後溶着させて製作することもでき、その製作方法、順序に限定はない。
【0031】
また、スペーサーローラ4は、上述した歯付きローラ3のように取付筒体3dの両側部へ受入れ孔4aと挿通係止孔4bを設けた蓋体4e、4eを同心円状に取り付けることができる。
【0032】
以上のように構成すると、歯付きローラ3やスペーサーローラ4は無垢の材料より削り出すものに比べて安価に製造することができるものである。
【0033】
図6と図7は、本発明に係る駆動用ローラ1へ金網ベルト5が懸架されている状態を示す。図面によれば、金網ベルト5は、ステンレス、亜鉛引き線材等で作られたもので、スパイラル状を呈した左巻き曲線5aと、同じくスパイラル状を呈した右巻き曲線5bを、連結ロッド5cで交互に連結してエンドレス状にしたものである。各左巻き曲線5aと右巻き曲線5bの各両側端部は連結ロッド5cに溶着されている。この金網ベルト5の長手方向へ各網目5dの1列置きに、かつ長さ方向へ網目5dの1個置きに、歯部3gが噛み合っていることが解る。もとより、図1と図5に示したスペーサーローラ4にも金網ベルト5は懸架されるが、このスペーサーローラ4の外径は、歯付きローラ3の歯部3gを取り除いた外周と同一径とした場合には、懸架された金網ベルト5に段差は生じない。また、歯付きローラ3の歯部3gは、金網ベルト5の上方へ突出していない。もとより食品製造装置の種類によっては歯部3gが金網ベルト5の外部へ突出する構成であっても良い場合もある。
【実施例2】
【0034】
図8は、本発明に係る金網ベルトの駆動用ローラの他の実施例を示す。図面によれば、この実施例2に係る駆動用ローラ10の全体の長さは、実施例1の駆動用ローラ1と同じであるが、スペーサーローラ13の幅が広く取ってあり、その分、歯部12a付きの歯付きローラ12の数は実施例1のものよりも少なくなっている。しかし、歯付きローラ12やスペーサーローラ13の構造形状は異なっても実施例1のものと同じであるので、説明を省略する。このように歯付きローラ12の数の少ないものは、例えば金網ベルトが短くて余り負荷が掛からないものに用いることができる。その他、指示記号11のものは、フランジ部11a付の回転用シャフトである。
【実施例3】
【0035】
図9乃至図11は、本発明に係る金網ベルトの駆動用ローラのさらに他の実施例を示す。図面によれば、この実施例3に係る駆動用ローラ15の歯付きローラ16は、複数の歯部16aが2列のものである。その他、スペーサーローラ17と回転用シャフト18との構成は、寸法や形状が異なっても、構造的には実施例1及び2のものと同じであるので説明を省略する。
【0036】
しかしながら、この実施例3のものは、歯付きローラ16の構成が先の実施例のものと異なっている。とくに図10と図11に示したように、この歯付きローラ16は、中央部に回転用シャフト18のキー溝16b付きの挿通係止孔16cを設けた取付手段を構成する取付筒体16dと、この取付筒体16dの外周にその取付孔16f、16fを介して所定間隔を空けて溶着した一対の外周に複数の歯部16aを設けた歯付き円盤16e、16eと、この一対の歯付き円盤16e、16eの間に取付筒体16dと同心円状に溶着された該取付筒体16dよりも大径のリング状のスペーサー部材16gとで構成されている。尚、指示記号16hと16iのものは、図示してない締付ボルト用の取付孔である。また、スペーサー部材16gの外径は、歯付き円盤16eの歯部16aを取り除いた外径と略一致している。そして、歯付き円盤16eは、歯切り盤やレーザーカットマシンを用いても良いが、レーザーカットマシンで歯部16aを設けることが、製作コストを下げる意味で望ましい。
【0037】
さらに、以上の実施例1〜3においては、いずれも歯付きローラとスペーサーローラを、回転用シャフトへ交互に取り付けたものを示したが、歯付きローラとスペーサーローラに間に間隔を設けたものや、歯付きローラだけのものも考えられるものである。
【0038】
さらに、各歯付きローラの取付手段としては、取付筒体を省略して、筒状の基材部の側部に取り付けた蓋体や歯付き円盤に、回転用シャフトを挿通係合させる挿通係止孔を設けて取付手段としても良い。
【実施例4】
【0039】
図12乃至図13は、歯付きローラのさらに他の実施例を示す。図面によれば、この実施例4に係る歯付きローラ20は、例えば中心部に図示してない回転用シャフトの取付孔20cを有する、例えばSUSのような金属製の円盤の外周に、レーザーカットマシンを用いたレーザーカット加工で多数の歯部20bを設けた3枚の歯付き円盤20a、20a、20aを、円筒状或はリング状の2枚のスペーサー部材20dを同心円状に配置して溶着したもので、各歯部20bを揃えたり、この各歯部20bを各歯付き円盤20a、20a、20aごと図12に示したように周方向へずらせたりすることが可能となるものである。また、各歯付き円盤20a、20a、20aの中心部に実施例1のもののように取付筒体を設けることは任意に選択できる事項である。尚、スペーサー部材20dは、その中心部に回転用シャフトを挿通させる挿通係止孔、或はこの挿通係止孔を設けた取り付け筒体を取り付けた円盤状のものとしても良い。
【実施例5】
【0040】
図14は、本願発明に係る金網ベルトの駆動用ローラの他の実施例を示す。図面によればこの実施例5に係る駆動用ローラ21は、上述した実施例のような構成の取付手段を構成する取付筒体22a、歯付き筒体22b、及び取付手段の連結部材を構成する蓋体22c、22cから成る歯付きローラ22と筒状のスペーサーローラ23を溶着することによって一体化したものであり、歯付きローラ22の側には蓋体22c、22cが取り付けられているが、スペーサーローラ23の側には設けられていない。単なる筒体となっている。この場合は、スペーサーローラ23の側板を省略することが可能となり、製作コストをさらに下げることができるものである。
【0041】
もとより、実施例のものは、歯付きローラ22とスペーサーローラ23を別体に形成して、各側部を溶着したものを示してあるが、一体に形成しても良い。
【0042】
また、以上の各実施例の説明では、スペーサーローラの外径を歯付きローラの歯部を除いた部分の外径と同一径にしてあるが、スペーサーローラの外径を小さくすることも可能である。
【実施例6】
【0043】
図15は、本発明に係る食品製造装置の1例である、米菓生地の熱風乾燥装置を示す。この食品製造装置は、図15に示すように、本発明に係る搬送機械を備えた熱風乾燥装置25である。本発明に係る食品製造装置としては、熱風乾燥装置25に限定されないが、ここでは熱風乾燥装置を例にあげて説明する。
【0044】
この熱風乾燥装置25は、長い箱型を呈した熱風乾燥室26を有する。この熱風乾燥室26は、周囲を断熱材で覆われていると共に、長さが例えば80mから200mという長大なもので、図面は大幅に長さを省略して図示している。熱風乾燥室26内部には多数の図示してないスチーム式或は電熱式の加熱用ヒーターと多数の熱風攪拌用ファン28が略全長に渡って設置されており、同じく内部容積のほとんどを使用して、上述した構成の無端状の金網ベルト29、29…が全長に渡って複数段設けられている。各段の金網ベルト29はそれぞれ駆動ローラ30aと従動ローラ30bからなる駆動用ローラ30に掛け渡されて循環走行する。最上段の金網ベルト29のみは、熱風乾燥室26の一端部に形成された入口26aより外部へ導出され、型抜き装置の搬送コンベヤ31の下側に設置した従動ローラ30b(或は駆動ローラの場合もある)からなる駆動用ローラ30に掛け渡されており、搬送コンベヤ31から食品生地がその金網ベルト29のキャリア側ベルト29a上に搬送されるようになっている。
【0045】
その従動ローラ30bの近傍であって、この従動ローラ30bに掛け渡された金網ベルト29のリターン側ベルト29bの下方には、離型剤塗布装置32が設けられている。離型剤塗布装置32は、リターン側ベルト29bの食品生地が載せられる表面に離型剤を塗布するものである。この離型剤塗布装置32は、リターン側ベルト29bの表面に離型剤を塗布できれば特に限定されるものではない。またこの離型剤塗布装置32は同時に金網ベルトの洗浄装置を兼ねることができる。
【0046】
各金網ベルト29の駆動ローラ30a(それは左右交互に配置されているが)の外周には、上段の金網ベルト29から次段の金網ベルト29に食品生地を順次移送する次段移送装置33が設けられている。この次段移送装置33は、例えばキャンパス布製の移送エンドレスベルト34を金網ベルト29に弱圧接させることによって、金網ベルト29と移送エンドレスベルト34の間に食品生地を挟んで上段の金網ベルト29上から次段の金網ベルト29上へ移送させるものである。
【0047】
熱風乾燥室26の他端部側つまり入口26aとは反対側の次段移送装置33の近傍には、該次段移送装置33の脱着を行う脱着装置35が取り付けられている。この脱着装置35は、熱風乾燥室26内を重力方向上下方向に移動して任意の次段移送装置33の脱着を行うように構成されている。脱着装置35を設けた側の次段移送装置33を取り付けた駆動ローラ30aの下側には、食品生地を熱風乾燥室26より外へ取り出す食品生地取出コンベヤ36が設けられている。このように、脱着装置35及び食品生地取出コンベヤ36を設けることにより、任意の金網ベルト29上から食品生地取出コンベヤ36を介して食品生地を取り出すことができる。
【0048】
金網ベルト29は、前述した金網ベルト5と同じものである。この金網ベルト29は、熱風乾燥装置25に使用される場合には、長さが長くなり、例えば、80mから200mと寸法が長いものである。
【実施例7】
【0049】
図16は、この発明に係る搬送機械を他の食品製造装置としての米菓の焼成装置50に用いた場合を示す。
【0050】
図面によれば、無端状の金網ベルト40は、駆動用の駆動用ローラ41と従動用の駆動用ローラ42の間に懸架され、キャリア側ベルト40aの部分が焼成釜43内を貫通している。キャリア側ベルト40aの上面には、複数の図示してない米菓生地が整列載置されている。
【0051】
尚、指示記号44のものは例えば予熱ガス釜、指示記号45のものは例えば色付け釜であり、いずれもその内部を金網ベルト40のキャリア側ベルト40aが走通している。指示記号46で示されたものは加熱手段としてのガスバーナーであり、焼成釜43へ接続されている。尚、この加熱手段は一例であり、他にも電気、炭火等を用いて加熱焼成することができる。
【0052】
このように構成すると、図16に示したように金網ベルト40上に載置されて焼成釜43内を通過する米菓生地は両端部の物を含めて均一に焼成され、所謂焼きムラが生ずることはないという効果を奏し得る。
【0053】
その他の本発明に係る駆動用ローラを用いる食品製造装置としては、食品生地の味付け装置や野菜の乾燥装置などである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、以上のように構成したので、食品製造機械の搬送手段としての金網ベルトを循環走行させる製作コストの安価な駆動用ローラ、及びこの駆動用ローラを用いた食品製造装置を提供できるものである。
【符号の説明】
【0055】
1、10、15、21、30、41、42 駆動用ローラ
2、11、18 回転用シャフト
3、12、16、20、22 歯付きローラ
3b、4b 挿通係止孔
3d、16d 取付筒体(取付手段)
3e 蓋体(取付手段・連結手段)
3g、12a、16a、20b 歯部
4、13、17、23 スペーサーローラ
4e 蓋体
5、29、40 金網ベルト
16c 挿通係止孔(取付手段)
16e、20a 歯付き円盤
16g、20d スペーサー部材
22a 取付筒体(取付手段・取付部材)
22c 蓋体(取付手段)
25 熱風乾燥装置
50 焼成装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドレス状の金網ベルトをその外周に懸架させて循環駆動させるものであって、回転用シャフトと、この回転用シャフトの外周に同心円状に取り付けられた歯付きローラとを有し、この歯付きローラを、外周に金網ベルトと噛み合う歯部を複数列設けた筒状の基材部と、この基材部を前記回転用シャフトへ取り付ける取付手段とで構成したことを特徴とする、金網ベルトの駆動用ローラ。
【請求項2】
エンドレス状の金網ベルトをその外周に懸架させて循環駆動させるものであって、回転用シャフトと、この回転用シャフトの外周に同心円状に取り付けられた歯付きローラとを有し、この歯付きローラを、外周に金網ベルトと噛み合う歯部を設けた複数の歯付き円盤とこの歯付き円盤の間に介在固着させたリング状のスペーサー部材とから成る基材部と、この基材部を前記回転用シャフトへ取り付ける取付手段とで構成したことを特徴とする、金網ベルトの駆動用ローラ。
【請求項3】
エンドレス状の金網ベルトをその外周に懸架させて循環駆動させるものであって、回転用シャフトと、この回転用シャフトの外周に同心円状に取り付けられた複数の歯付きローラと、これらの歯付きローラの間に隣接或は間隔を置いて介在させたスペーサーローラとを含み、前記歯付きローラの全部或は一部を請求項1或は2のいずれか1項或は両項に記載の歯付きローラとしたことを特徴とする、金網ベルトの駆動用ローラ。
【請求項4】
前記歯付きローラとスペーサーローラは交互に互い隣接して設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の金網ベルトの駆動用ローラ。
【請求項5】
互いに隣接する前記歯付きローラとスペーサーローラは、1体に構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の金網ベルトの駆動用ローラ。
【請求項6】
請求項1に記載の取付手段は、前記回転用シャフトを挿通係合させる取付筒体と、この取付筒体と前記基材部との間に取り付けられた連結部材とで構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の金網ベルトの駆動用ローラ。
【請求項7】
請求項2に記載の取付手段は、前記歯付き円盤を取り付けると共に、前記回転用シャフトを挿通係合させる取付筒体で構成したことを特徴とする、請求項2に記載の金網ベルトの駆動用ローラ。
【請求項8】
前記取付手段を、前記基材部の側部に取り付けた蓋体、或は前記歯付き円盤自体に設けた挿通係止孔で構成したことを特徴とする。請求項1または2のいずれか1項に記載の金網ベルトの駆動用ローラ。
【請求項9】
歯付き円盤は歯部の位置を円周方向へずらせてあることを特徴とする、請求項2に記載の金網ベルトの駆動用ローラ。
【請求項10】
前記スペーサーローラは、前記歯付きローラの歯部を除いた部分の外周と同一径を有するものとしたことを特徴とする、請求項3に記載の金網ベルトの駆動用ローラ。
【請求項11】
前記歯付きローラは、筒状の基材部の外周に歯部を設けるに当たり、ワイヤーカットマシンを用いて形成させることを特徴とする、請求項1に記載の金網ベルトの駆動用ローラ。
【請求項12】
前記歯付きローラは、円盤状の基材部の外周に歯部を設けるに当たり、レーザーカットマシンを用いて形成させることを特徴とする、請求項2に記載の金網ベルトの駆動用ローラ。
【請求項13】
請求項1〜12に各記載の駆動用ローラを用いて金網ベルトを循環走行させることを特徴とする、食品製造装置。
【請求項14】
前記食品製造装置が、とくに米菓の熱風乾燥装置であることを特徴とする、請求項13に記載の食品製造装置。
【請求項15】
前記食品製造装置が、とくに米菓の焼成装置であることを特徴とする、請求項13に記載の食品製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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