説明

金融店舗用目隠し装置

【課題】 業務時間帯により同一店舗内で接客業務を行う部署の空間と、接客業務を行わない部署の空間を少なくとも視覚的に遮蔽したり開放したりすることにより、同一店舗内における接客業務時間の異なる部署の空間を、他の部署のいわゆる時間外接客業務における来客等から視覚的,物理的に独立性を確保するために遮蔽したり、その状態を解除することが自在にできる金融店舗用の目隠し装置を提供すること。
【解決手段】 銀行等の金融店舗における接客カウンター1の手前に、前記カウンター1の内側に居る業務員の姿をそのカウンター1の手前側からは見えないように隠すことができる開閉自在のスクリーン等による目隠し手段BLを設けたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は銀行等の金融店舗において、業務時間帯によって接客業務が行われている接客空間と、接客業務が終了しているが未だ所内業務を行っている業務空間とを、来客側から視覚的に遮蔽したり開放したりすることができるようにした目隠し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関においては、接客業務を伴う営業時間内は、業務内容ごとに設定された夫々の接客カウンターに来客を着かせた形態での業務が行われるが、接客業務を伴う営業時間が終了する、例えば、午後3時になると、無人のATMコーナーを除いては、来訪者が店舗内に入れないように、当該ATMコーナーと他の業務空間をシャッターなどで仕切るなどする店舗構造,形態が採られている。
【0003】
ところで、近年のいわゆる金融自由化の一環として、金融機関における営業時間などの拡張(延長)や休日営業などができるようになったが、金融機関における既存店舗では、ATMコーナーのようにいわゆる時間外に他の業務空間と仕切られてしまうようにした業務空間はないため、例えば、接客業務時間を延長した業務部署と、それ以外の従来通りの業務部署を視覚的に遮蔽する手段は設けられていないのが現状である。
【0004】
しかし、同一店舗内で接客業務時間が延長された業務部署の空間と、従来通りの営業時間による業務部署の空間が、何の仕切りも設けられずに来客者に見渡せてしまうと、物理的に或は心理的にも安全上乃至は業務逐行上、不都合であると考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明では、業務時間帯により同一店舗内で接客業務を行う部署の空間と、接客業務を行わない部署の空間を少なくとも視覚的に遮蔽したり開放したりすることにより、同一店舗内における接客業務時間の異なる部署の空間を、他の部署のいわゆる時間外接客業務における来客等から視覚的,物理的に独立性を確保するために遮蔽したり、その状態を解除することが自在にできる金融店舗用の目隠し装置を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明目隠し装置の構成は、銀行等の金融店舗における接客カウンターの手前に、前記カウンターの内側に居る業務員の姿をそのカウンターの手前側からは見えないように隠すことができる開閉自在のスクリーン等による目隠し手段を設けたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明は上記構成において、スクリーン等の目隠し手段には、それを設置したい接客カウンターの正面幅に見合う幅を有する略門型のフレームを当該カウンターの手前に設置し、そのフレームのビーム部材に、例えば巻取り式で昇降自在のスクリーン部材を内装したものを使用する。
【0008】
前記門型フレームにおける左右の支柱部材のいずれか一方又は双方に、ビーム部材と支柱部材を付設することにより、門型フレームを平面視略L状又はその対称形、若しくは、略凹状をなすように配設することもある。また、前記門型フレームの左右の支柱部材には、一例として横引き式の巻取り型のスクリーン部材を内装することもできる。
【0009】
上記におけるスクリーン部材には、シート地又は織物地若しくは編物地などで製したスクリーン部材を選択して使用するほか、これらのスクリーン部材に代えてシャッター部材やブラインド部材を用いることができる。スクリーン部材は不織布製であってもよい。
【0010】
本発明の目隠し手段を構成する、門型フレームは、その支柱部材において他のパーティション部材を接続した構成とすることにより、目隠し手段のスクリーン等により正面側が視覚的に遮蔽された接客カウンターの内側を、その側面側からも遮蔽できるので、より高い遮蔽効果を得ることができる。この点は、門型フレームの支柱部材に、一例として出入れ自在の横引き式のスクリーン部材を内装させ、これを必要に応じ引出し、目隠しとして使用する場合、或は、上記したように、正面の門型フレームの左右側又はいずれか一方に、スクリーン部材を備えた別の門型フレームを連接した形態の目隠し装置においても、同等の効果が得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による金融店舗用の目隠し装置は、接客カウンターの手前に、前記カウンターの内側に居る業務員の姿をそのカウンターの手前側からは見えないように隠すことができる開閉自在タイプのスクリーン等による目隠し手段を設けたことにより形成したので、既設の金融店舗において、営業時間や業務形態などが変化したことによる店舗内の必要部署の遮蔽を容易かつ簡便に行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に本発明目隠し装置の実施の形態例について、図に拠り説明する。図1は本発明目隠し装置の一例を接客カウンターの手前に設置し、遮蔽スクリーンを使用していない状態の斜視図、図2は図1の目隠し装置のスクリーンを降した状態の斜視図、図3は本発明目隠し装置の構造を説明するために正面幅,高さとも中間を省略した正面図、図4は図3のA−A矢視図、図5は図3のB−B矢視図、図6は本発明目隠し装置を設置しない状態の既設金融店舗の一例の平面図、図7は図6の店舗に本発明目隠し装置の一例を設置した状態の平面図、図8は本発明における門型フレームの別例の正面図、図9は巻取り式の天幕装置を内装した図8の門型フレームの側断面拡大図である。
【0013】
図1,図2において、1は、銀行等の金融店舗内における、例えば預金コーナーCfの接客カウンターで、通常の金融機関用等に形成された接客カウンターの1本以上を横に並べて形成され、必要に応じて来客用椅子2などが配置されている。
【0014】
本発明では、上記預金コーナーCfを形成するために設置された接客カウンター1の正面幅に見合う正面幅を有する門型フレームFを、当該カウンター1の手前側に配置し、このフレームFのビーム部材3と支柱部材4,5に、図2に例示した引き降ろし態様をとるスクリーン部材6を、昇降自在に支持させることにより、本発明目隠し装置BLの一例を形成した。なお、図2はスクリーン部材6を降ろし前記カウンター1を遮蔽した状態である。因みに、上記フレームFの左右幅は例えば最大6m程度、高さは2〜2.5m程度を想定しているが、本発明においてこの大きさをどの程度にするかは、適用する各店舗の遮蔽すべきコーナーにおける接客カウンターの正面幅などの条件に対応して形成するので、任意である。
【0015】
図1,図2により説明した本発明目隠し装置BLは、一例として図6に示した既設の店舗MSに設置するので、この点について図6,図7により説明する。
図6の既設店舗MSは、この部屋の右半寄りに金庫室SrとATMコーナーAtが、固定壁Wに仕切られて配置されている。一方、部屋の左方側は、奥行き方向の中間に接客カウンター1を横に並べて、業務室空間Gsと来訪者空間Vsに仕切られ、来訪者空間Vsの左手前の隅部には応接室Rsが壁Wで仕切られて形成されている。なお、上記各空間Gs,Vsにおいて、Deはデスク,Taはテーブル,Chはチェア、Beはベンチ、Caはキャビネットである。
【0016】
上記の既設店舗MSでは、3台のATMが設置されたATMコーナーAtと来訪者空間Vsの境界が、営業時間が終了すると、シャッターShによって遮断され、ATMコーナーAtのみにしか、出入口Enからの来客者は出入りすることが出来ないように形成されていた。
【0017】
しかし、上記店舗Msにおいては、業務室空間Gsにおいて、2群のカウンター1を平面から見て段違いに配置して形成されている融資相談コーナーMtと預金コーナーCfの接客業務時間が、営業形態の変更などに伴って違いが生じた場合、例えば、預金コーナーCfは従来通り接客業務は午後3時までであるが、融資相談コーナーMtの接客業務が午後5時や6時などに延長された場合、午後3時以降に入口Enから来店する顧客はATMコーナーAtを経由して融資相談コーナーMtまで立入ることが出来なければならない。
【0018】
このため、ATMコーナーAtを他の業務室空間Gsから独立するように仕切るために従来は降ろしていたシャッターShを降ろさないままにしておくと、入店して来る顧客は来訪者空間Vsは勿論のこと業務室空間Gsのすべてが見渡せてしまい、その空間Gsの内側で業務を行っている業務員は、視覚的にも物理的にも来訪者に露出された状態となるため、不都合であることは先に述べた通りである。
【0019】
そこで本発明では、図6の預金コーナーCfのカウンター1の手前に、そのカウンター1の正面幅の全域を覆い得る目隠し装置BLを設置してそのスクリーン部材6を降ろすと共に、この装置BLの左側に、間仕切り乃至衝立てによるパーティションPa1とPa2を、預金コーナーCfと融資相談コーナーMtの間と、当該相談コーナーMtの背後に、平面略┐状をなすように立設して、融資相談コーナーMtを除く業務室空間Gsの内部が来訪者空間Vsの側からは視覚的にも物理的にも遮断されるようにしたのである。なお、本発明では、パーティションPa1を門型フレームFの支柱4に装設した横引きロールスクリーン(図示せず)などにより代替させることもある。また、パーティションPa1を、門型フレームFの支柱4に連接した別の門型フレーム(図示せず)に代えることもある。連接門型フレームは、支柱4を正面の門型フレームFと共用することができるので、合理的である。更には、カウンターに隣接する他のカウンターなどのレイアウト態様によっては、本発明目隠し装置の門型フレームを平面視略凹状をなすように形成して配置することもある。
【0020】
これによって、いわゆる時間外業務のため来訪者が入ることができるATMコーナーAtと融資相談コーナーMtと応接室Rsを含む来訪者空間Vsには、入口Enから出入り自由である一方、業務室空間Gsは目隠し装置BLとパーティションPa1とPa2によって来訪者に対し視覚的にも物理的にも遮断された空間として形成し、その状態を確保することができることとなる。通常の営業時間帯にあっては、預金コーナーGfにおける接客カウンター1の前面に設置された目隠し装置BLのスクリーン部材6を上げておけば、従来通り来訪者空間Vsと預金コーナーCfのカウンター1は開放されるので、通常通りの接客業務を行うことができる。
【0021】
次に、上記に説明した本発明目隠し装置BLの具体的構成の一例について、図3〜図5により説明する。
門型フレームFでは、金属製などのパイプ材や筒状体などにより形成するが、フレームFは金属製パイプ等の中空材のほか、金属製或は非金属製の型材などにより形成することができる。図の例では、ビーム部材3をI形材により形成すると共に、支柱部材5,6を角パイプ材により形成している。
【0022】
ビーム部材3の左右端部には、正面から見て逆L状のブラケット材71,72を取付けて当該ブラケット材71,72を支柱部材4,5に支持させ、この左右のブラケット71,72に、ロール式スクリーン部材6の巻取機構8を架設支持させている。ここでの巻取機構8は電気モータ式であるが、手動式の巻取機構であってもよい。この巻取機構8のロール8aに終端部が固定されたスクリーン部材6の先端側には、バー状のボトム部材6aが取付けられており、このボトム部材6aは、その左右両端部が支柱部材4,5の対向する内面に設けたガイドレール4a,5aに支持案内され、ロール式のスクリーン部材6の巻取機構8による巻上げ,巻戻しによる昇降動作が円滑になるように支持案内されている。なお、4b,5bは支柱部材4,5の下端に設けた安定板乃至ベース板であり、通常はアンカーで固定される。
【0023】
本発明では、上記スクリーン部材6には、シート地や織物地や不織布などによるスクリーン部材のほか、可撓ルーバー状,シャッター状或はブラインド状に形成したものを前記スクリーン部材に代えて使用することができる。図8,図9は上記スクリーン部材6に代え、巻取り式の天幕部材61を使用した門型フレームとその断面構造を例示した図である。即ち、図8の門型フレームFは、ビーム部材3と左右の支柱部材3,4により門型をなすフレームに形成される点は、先の実施例と同様であるが、内装する天幕部材61が軽量であることなどにより、ビーム部材3,支柱部材4,5とも先の例のものより軽量のものが使用できる。
図9において、ビーム部材3は、断面略箱状をなすカバー部材31a,31b,31cで覆われ、カバー部材の内部に位置したビーム部材3の下面に、ブラケット73を介して設けた巻取機構81に、巻取り,引出し自在にしてシート状の天幕部材61が装着されている。なお、81aは、巻取機構81をブラケット71に支持する支持アーム、91a〜91dは前記天幕部材61の先端側(図では下端側)とブラケット73の間に架設した伸縮自在の支持アームで、このアーム91a〜91dは、天幕部材61の繰出しに伴って伸長し、巻取りに伴って折畳まれ縮小することにより、天幕部材61を支持する。
【0024】
上記のスクリーン部材6や天幕部材61、或は、それらの代替部材には、様々な静止画や文字等を描き込むことができるほか、プロジェクタなどによってPRなど様々な内容の映像など(動画や静止画、或は、文字など)を投影することができる。これにより、来店する顧客の目を楽しませることができるのみならず、この店舗のイメージアップ効果を得ることができる。
【0025】
また、本発明の目隠し装置BLは、門型フレームFを設置することにより店舗内に配置されるが、フレーム形態が門型で中間部分が全面開放されていることにより、通常営業時間帯におけるカウンター1での接客業務の支障になることは殆んどなく、また、フレームFのビーム部材3や支柱部材4,5の外面に適宜のサインや広告などを表示することにより、後からカウンター前に設置したことによる異和感や存在感を緩和することもできる。
しかも、門型フレームFは形態がシンプルで、左右の支柱部材4,5を店舗内所要位置の床面に設置してアンカーボルトなどにより固定するだけで、本発明目隠し装置BLの設置が完了するので、設置施工が容易であり、従って、既存店舗に容易かつ簡単に導入できる利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は以上の通りであって、既設の金融店舗において営業時間外に接客業務を行うコーナーと、接客業務は行わないが内部業務を行う部署とを、視覚的及び物理的に仕切るため、この金融店舗における接客カウンターの手前に、そのカウンターの内側に居る業務員の姿を当該カウンターの手前側からは見えないように隠すことができる開閉自在のスクリーン部材を設けて目隠し装置としたので、同一店舗内で部署によって接客業務時間が区々になることなどにより来訪者が内部で業務を逐行している部署を見渡せるという不都合を、容易かつ簡便に阻止することができる。
【0027】
従って、本発明目隠し装置は、既設の金融店舗において、営業時間や接客業務時間の変更などに伴うその店舗内における業務空間仕切り態様の変更を、大がかりな施工を伴うことなく、簡便かつ容易に行うことができるので、きわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明目隠し装置の一例を接客カウンターの手前に設置し、遮蔽スクリーンを使用していない状態の斜視図。
【図2】図1の目隠し装置のスクリーンを降した状態の斜視図。
【図3】本発明目隠し装置の構造を説明するために正面幅,高さとも中間を省略した正面図。
【図4】図3のA−A矢視図。
【図5】図3のB−B矢視図。
【図6】本発明目隠し装置を設置しない状態の既設金融店舗の一例の平面図。
【図7】図6の店舗に本発明目隠し装置の一例を設置した状態の平面図。
【図8】本発明における門型フレームの別例の正面図。
【図9】巻取り式の天幕装置を内装した図8の門型フレームの側断面拡大図。
【符号の説明】
【0029】
1 接客カウンター
2 来客用椅子
F 門型フレーム
3 ビーム部材
4,5 支持部材
6 スクリーン部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀行等の金融店舗における接客カウンターの手前に、前記カウンターの内側に居る業務員の姿をそのカウンターの手前側からは見えないように隠すことができる開閉自在のスクリーン等による目隠し手段を設けたことを特徴とする金融店舗用目隠し装置。
【請求項2】
スクリーン等の目隠し手段は、それを設置したい接客カウンターの手前側に略門型をなすフレームを設置し、そのフレームのビーム部材の内部又は外部に、巻取り式で昇降自在のスクリーン部材を設けて形成した請求項1の金融店舗用目隠し装置。
【請求項3】
スクリーン部材には、シート地又は織物地若しくは編物地などで製したスクリーン部材か、又は、前記スクリーン部材に代えて巻取り式で昇降自在の天幕部材、或は、シャッター部材やブラインド部材を用いた請求項1又は2の金融店舗用目隠し装置。
【請求項4】
門型フレームは、正面から見た当該フレームの一側又は両側に、スクリーン部材を設けた別の門型フレームを平面から見て略L状又は略凹をなすように連接形成した請求項2又は3の金融店舗用目隠し装置。
【請求項5】
門型フレームは、その支柱部材に他のパーティション部材を接続し、店舗内の接客空間と業務空間とを区画した請求項2〜4のいずれかの金融店舗用目隠し装置。
【請求項6】
門型フレームにおける左右の支柱部材には、横引き式で巻取り型のスクリーン部材を装設した請求項5の金融店舗用目隠し装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−118137(P2006−118137A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304339(P2004−304339)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】