説明

金融機関における振込処理

【課題】 受取人の意図しない振込みを阻止可能とする技術を提供する。
【解決手段】 ATM230からA銀行100の口座に金銭を振込む要求がなされた時、ホストコンピュータ110は、受取人の口座への振込みを実行する前に、受取人の家庭用端末710や携帯端末740のメールアドレスや、電話機720や、FAX機730に振込みの要求がなされた旨を通知する。受取人は、ATM130などにおいて、振込内容を確認し、振込を許可するか否かを指定する。受取人が拒否した場合は、振込みを実行しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関における振込処理を可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図19は、金融機関における従来の振込処理を示すフローチャートである。左から順に、それぞれ、B銀行のATMと、B銀行のホストコンピュータと、全銀センタと、A銀行のホストコンピュータのフローチャートである。まず、利用者が、B銀行のATMにおいて、振込内容として、例えば、振込金額や受取人の口座番号、振込みに使用する口座の口座番号などを入力すると、ATMは、振込内容をB銀行のホストコンピュータに送信する(ステップS1)。
【0003】
B銀行のホストコンピュータは、振込内容を受信すると、勘定処理を実行する(ステップS2)。勘定処理とは、振込処理の際、振込金額に基づいて、受取人や振込人の口座の口座残高を変更する処理である。ここでは、振込人の口座の口座残高から、振込金額を引く。そして、振込内容を全銀センタに送信する(ステップS3)。全銀センタは、振込内容を受信すると、振込内容を、受取人の口座が存在する金融機関のホストコンピュータ(ここでは、A銀行のホストコンピュータ)に送信する(ステップS4)。
【0004】
A銀行のホストコンピュータは、振込内容を受信すると、勘定処理を実行する(ステップS5)。ここでの勘定処理では、受取人の口座の口座残高に、振込金額を加える。なお、振込処理に際しては、A銀行のホストコンピュータにおいて、受取人の口座が実際存在するか否かを確認する処理なども行なわれているが、ここでは簡単のために説明を省略する。
【0005】
【特許文献1】特開2003−58714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の振込処理では、振込人が一方的に振込処理を行なうので、様々な問題が発生している。例えば、いわゆる「押し貸し」という問題が発生している。押し貸しとは、悪意ある金融業者等が、適当な口座に振込みを行ない、強制的に利子を発生させ、返済を強要するというものである。法律的には契約が発生していないので、振込みされた受取人に返済義務はないものの、受取人と金融業者との間でトラブルとなることが多い。
【0007】
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、受取人の意図しない振込みを阻止可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の少なくとも一部を解決するため、本発明による振込システムは、金融機関における振込処理を可能とする振込システムであって、振込まれる金銭の受取人の口座残高を記憶する受取人口座残高記憶部と、振込内容を取得する振込内容取得部と、振込処理により前記受取人の口座残高が変更される前に、受取人に対して、前記振込内容のうち、少なくとも振込人の氏名と振込金額を連絡する振込内容連絡部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、受取人は、受取人の口座残高が変更される前に、振込人の氏名と振込金額を知ることができる。よって、受取人は何らかの応答を行なうことができるようになり、受取人の意図しない振込みを阻止することも可能である。
【0010】
更に、前記受取人の連絡先を含む受取人情報を記憶する受取人情報記憶部と、前記振込内容の取得に呼応して、前記受取人の口座残高の変更を実行しないまま、前記受取人の連絡先へ、前記振込人の氏名と振込金額を確認することを促すメッセージを送信する送信部とを備え、前記振込内容連絡部は、前記メッセージを受けた受取人の求めに応じて、前記連絡を実行するものとしても良い。
【0011】
これによれば、受取人は送信部からのメッセージを受けることにより、振込人の氏名と振込金額を確認する必要があることを知ることができ、任意のタイミングで、振込人の氏名と振込金額の連絡を受けることができる。
【0012】
前記振込内容連絡部は、振込処理により前記受取人の口座残高が変更される前に、受取人に対して、前記振込内容のうち、少なくとも振込人の氏名と振込金額を確認することが可能な振込内容確認画面を、前記受取人が使用する表示部に表示するものとしても良い。
【0013】
振込人の氏名と振込金額を連絡する手段は、音声による手段など、様々に存在するが、これによれば、振込内容確認画面により、受取人は、振込人の氏名と振込金額を確認することができる。
【0014】
更に、前記受取人から、前記振込内容の振込みを実行させるか否かを示す処理指示を取得する処理指示取得部と、前記処理指示が前記振込内容の振込みを実行させることを示す場合に、前記振込内容に基づいて、前記受取人の口座残高を変更する受取人口座残高変更部と、を備えるものとしても良い。
【0015】
これによれば、受取人の応答として、受取人から処理指示を受け付ける処理指示取得部を備えるので、受取人は簡便に処理指示を与えることができ、振込システムは、処理指示に基づいた処理をすることができる。
【0016】
更に、金銭を振込む振込人の口座残高を記憶する振込人口座残高記憶部と、前記処理指示に応じて、前記口座残高の変更を実行する振込人口座残高変更部と、を備えるものとしても良い。
【0017】
振込人は、現金による振込みも可能であるが、その場合、振込みが受取人により拒否されると、振込人に金銭を手渡し等で返却することが必要となり、手間がかかる。これによれば、振込人口座残高を記憶し、処理指示に応じて振込人口座残高を変更するので、振込みが受取人により許可された場合の振込人からの金銭の引き出し、または、振込みが受取人により拒否された場合の振込人への金銭の返却などを容易に行なうことができる。
【0018】
更に、金銭を振込む振込人の連絡先を含む振込人情報を記憶する振込人情報記憶部と、前記振込人の連絡先へ、前記処理指示に基づいた処理情報を通知する処理情報通知部と、を備えるものとしても良い。
【0019】
これによれば、振込人に、処理指示に基づいた処理情報を通知するので、振込人は、自らが行なった振込みが実行されるか否かを知ることができる。
【0020】
前記処理指示には、更に、前記振込内容の振込みを保留にさせることを示す保留指示も含まれ、前記処理指示取得部は、取得した処理指示が保留指示である場合は、前記受取人が指定する任意のタイミングで、再度処理指示を取得するものとしても良い。
【0021】
これによれば、保留指示を設けることで、受取人が判断に迷った場合の余地を与えることができる。
【0022】
更に、前記受取人が前記振込みを許可する振込内容の少なくとも一部である振込許可内容を記憶する振込許可内容記憶部を備え、前記振込内容の少なくとも一部と、前記振込許可内容が一致する場合、前記振込内容連絡部による前記連絡を実行せずに、前記受取人口座残高変更部が、前記受取人の口座残高を変更するものとしても良い。
【0023】
これによれば、振込内容の少なくとも一部と振込許可内容が一致する場合、受取人に対して連絡することなく、受取人の口座残高を変更するので、受取人が振込みを許可する場合の手間を省くことができる。
【0024】
更に、前記振込内容取得部が取得した振込内容の少なくとも一部を、前記振込許可内容記憶部に登録する登録指示を取得する登録指示取得部を備え、前記振込許可内容記憶部は、前記登録指示を取得した場合に、前記振込内容の少なくとも一部を振込許可内容として記憶するものとしても良い。
【0025】
これによれば、振込内容取得部が取得した振込内容の少なくとも一部を、振込許可内容として登録することができる。
【0026】
また、上記課題の少なくとも一部を解決するため、本発明による自動取引装置は、金融機関における振込処理を可能とする自動取引装置であって、振込まれる金銭の受取人が、振込処理により受取人の口座残高が変更される前に、該振込処理の振込内容のうち、少なくとも振込人の氏名と振込金額を確認することが可能な振込内容確認画面を表示する振込内容確認画面表示部を備えることを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、受取人の口座残高が変更される前に、振込人の氏名と振込金額を、受取人が確認することができるので、受取人は何らかの応答を行なうことができるようになり、受取人の意図しない振込みを阻止することも可能である。
【0028】
更に、前記受取人から、前記振込内容の振込みを実行させるか否かを示す処理指示を取得する処理指示取得部を備えるものとしても良い。
【0029】
これによれば、受取人から処理指示を受けるので、受取人の意図を反映させて、振込処理を行なうことができるようになる。
【0030】
前記振込内容確認画面表示部は、前記受取人から口座の口座番号を取得するのに呼応して、前記振込内容確認画面を表示するものとしても良い。
【0031】
口座番号を取得するのに呼応して、振込内容確認画面を表示するので、受取人は、自動取引装置で口座番号を入力すれば、振込内容確認画面を確認することができる。
【0032】
なお本発明は種々の形態で実現可能であり、例えば、振込システムは、ホストコンピュータと自動取引装置,ホストコンピュータと窓口端末,複数の金融機関のホストコンピュータ,振込方法またはそれらの機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現可能である。自動取引装置も、自動取引方法またはその機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は、実施例としての振込システム1000を示す説明図である。振込システム1000は、金融機関間における振込処理を可能とするシステムであって、全銀センタ500と、A銀行100と、B銀行200とで構成されている。
【0034】
全銀センタ500はコンピュータ510を備えている。A銀行100は、ホストコンピュータ110と、窓口端末120と、ATM130とを備えており、窓口端末120と、ATM130とはホストコンピュータ110に接続されている。B銀行は、ホストコンピュータ210と、窓口端末220と、ATM230とを備えており、窓口端末220と、ATM230とは、ホストコンピュータ210に接続されている。全銀センタ500のコンピュータ510と、A銀行100のホストコンピュータ110と、B銀行のホストコンピュータ210とは、専用回線300で接続されており、A銀行とB銀行200は、全銀センタ500を介して各々他の銀行へ振込処理をすることができる。
【0035】
ホストコンピュータ110とホストコンピュータ210とは、インターネット600にも接続されており、一般家庭700の家庭用端末710や電話機720やFAX機730や携帯端末740と通信可能となっている。
【0036】
振込システム1000では、金銭を振込む振込人から振込みの要求が出された際に、金銭を受け取る受取人の口座に金銭を振り込む前に、受取人に対して、振込人の氏名と振込金額を通知して、金銭を振り込んで良いか確認を行なう。
【0037】
図2は、ホストコンピュータ110の機能ブロック図である。ホストコンピュータ110は、為替取引用DB111と、元帳DB112と、制御部113と、通信部114とを備えている。制御部113は、受取人口座存在確認部113aと、振込許可情報確認部113bと、通知用データ生成部113cと、為替取引用DB更新部113dと、元帳DB更新部113eとを備えている。
【0038】
図3は、為替取引用データベース(DB)111を示す説明図である。為替取引用DB111には、為替取引に関する情報が記憶されており、本実施例では、振込内容と、処理指示が記憶されている。処理指示は、金銭を振り込んで良いか確認を求められた受取人が指定する情報であり、承認か、保留か、拒否の3種類が存在する。承認は、振込みを許可することを意味し、保留は、振込みを保留にすることを意味し、拒否は、振込みを拒否することを意味する。
【0039】
振込内容は、受取人に関する受取人情報と、振込人に関する振込人情報とを含む。振込内容は、振込処理の際、振込人により指定され、記憶される。
【0040】
受取人情報は、銀行名と、口座番号と、振込依頼日と、振込金額と、受取人名を含んでいる。銀行名は、振込みが受取人により承認された場合金銭が振り込まれる振込対象口座が存在する銀行の名前である。口座番号は、振込対象口座固有の番号である。振込依頼日は、振込人により振込みの要求が出された日である。振込金額は、振込みが承認された場合振込まれる金額である。受取人名は、受取人の氏名である。受取人情報には、この他にも、支店名や科目などの情報を含むものとしても良い。
【0041】
振込人情報は、銀行名と、口座番号と、振込人名と、住所と、電話番号とを含んでいる。銀行名は、振込みが受取人により承認された場合金銭を引き出す振込用口座が存在する銀行の名前である。口座番号は、振込用口座固有の番号である。振込人名は、振込人の氏名である。住所は、振込人の住所である。電話番号は、振込人の電話番号である。振込人情報には、この他にも、支店名や振込区分や科目などの情報を含むものとしても良い。
【0042】
図4は、元帳DB112を示す説明図である。元帳DB112には、A銀行100において口座を開設している者に関する情報が記憶されている。元帳DB112には、顧客番号と、口座番号と、口座残高と、住所と、氏名と、連絡先情報と、振込許可情報とが記憶されている。顧客番号は、口座開設者固有の番号である。口座番号は、口座固有の番号である。口座残高は、口座の残高を示す。住所は、口座開設者の住所である。氏名は、口座開設者の氏名である。連絡先情報は、口座開設者の連絡先を示す情報であり、電話番号と、FAX番号と、メールアドレス(家庭用端末710または携帯端末740のもの)とを含む。なお、連絡先情報は、電話番号と、FAX番号と、メールアドレスのうち、少なくとも1つが記憶されていれば良い。振込許可情報は、口座番号の口座に金銭を振り込む前に、その口座の口座開設者に対して、金銭を振り込んで良いか確認を行なう必要のない振込人の氏名を示す情報である。言い換えれば、振込許可情報に登録されている振込人(図4ではA氏)から、この口座番号の口座に金銭を振込む要求が出された場合は、口座開設者に金銭を振り込んで良いか確認を行なわずに、その口座番号の口座に金銭を振込む。振込許可情報は、本発明の振込許可内容に相当する。元帳DB112は、本発明の受取人口座残高記憶部と、受取人情報記憶部と、振込許可内容記憶部に相当する。元帳DB112には、この他にも、支店名や科目などの情報を含むものとしても良い。
【0043】
B銀行200のホストコンピュータ210も、ホストコンピュータ110と同様に、B銀行200に口座を開設している者に関する情報を元帳DB112に記憶している。ホストコンピュータ210が記憶する元帳DB112は、本発明の振込人口座残高記憶部と、振込人情報記憶部に相当する。
【0044】
図2に戻る。受取人口座存在確認部113aは、振込みの要求を受けた際に、受取人の口座が実際にA銀行100に存在するか否か確認する。振込許可情報確認部113bは、振込人が振込許可情報として登録されているか否か確認する。通知用データ生成部113cは、振込みの要求があることを受取人に通知するための振込通知用データと、その通知を受けた受取人が振込内容を確認するための振込内容表示用データを生成する。
【0045】
図5は、振込通知用データTNをメッセージとして表示した説明図である。振込通知用データTNのメッセージは、本発明の振込人の氏名と振込金額を確認することを促すメッセージに相当する。通知用データ生成部113cは、図5で示すフォーマットを使用し、振込み要求が出された振込内容に基づいて、図5の受取人名と、受取人の口座番号を変更し、パスワードをランダムに設定して、振込通知用データTNを生成する。
【0046】
通知用データ生成部113cは、振込通知用データTNによる通知を受けた受取人が振込内容を確認するための振込内容表示用データも生成する。生成された振込内容表示用データは、振込通知用データTNを作成する際に設定したパスワードが入力されることにより開示されるよう、該パスワードと関連付けてホストコンピュータ110に記憶される。詳しくは後述する。振込内容表示用データには、振込内容一覧データTCLと、振込内容確認データTCCが存在する。
【0047】
図6は、振込内容一覧データTCLにより表示される振込内容一覧画面150を示す説明図である。振込内容一覧画面150は、第1のメッセージ151と、第2のメッセージ152と、振込人一覧153と、矢印ボタン154,155と、詳細表示ボタン156と、登録ボタン157と、非登録ボタン158を備える。第1のメッセージ151は、受取人に振込確認を促すためのメッセージである。第2のメッセージ152は、受取人に、振込人を振込許可情報として登録可能であることを知らせるメッセージである。振込人一覧153は、受取人によって処理指示が未だ確定していない振込内容のうち、振込人名と住所と電話番号を示す一覧である。以下、受取人によって処理指示が未だ確定していない振込内容を処理指示未定振込内容と呼ぶ。矢印ボタン154,155は、振込人一覧から1つの振込人を選択するためのボタンである。図6では、振込人一覧153において、02番「イトウ ジロウ アイチケンナゴヤシ 052−1111−2222」の振込人が四角枠153aにより選択された状態であることを示している。詳細表示ボタン156は、矢印ボタン154,155により選択された振込人の振込内容を表示させるためのボタンである。登録ボタン157は、振込人を振込許可情報に登録するためのボタンである。非登録ボタン158は、振込人を振込許可情報に登録させないためのボタンである。
【0048】
一方、図7は、振込内容確認データTCCにより表示される振込内容確認画面160を示す説明図である。振込内容確認画面160は、振込内容一覧画面150において、詳細表示ボタン156が押下されることにより表示される。振込内容確認画面160は、メッセージ161と、振込内容162と、承認ボタン163と、保留ボタン164と、拒否ボタン165を備える。メッセージ161は、受取人に処理指示の入力を促すメッセージである。振込内容162は、振込内容一覧画面150で選択された振込人に関する振込内容を示す。承認ボタン163は、処理指示を承認とするためのボタンである。保留ボタン164は、処理指示を保留とするためのボタンである。拒否ボタン165は、処理指示を拒否とするためのボタンである。振込内容確認データTCCは、処理指示未定振込内容の数分生成される。
【0049】
図2に戻る。為替取引用DB更新部113dは、為替取引用DB111(図3)の記憶内容を更新する。元帳DB更新部113eは、元帳DB112(図4)の記憶内容を更新する。元帳DB更新部113eは、特に、受取人の口座の口座残高を振込金額に基づいて変更する勘定処理を行なう。元帳DB更新部113eは、本発明の受取人口座残高変更部に相当する。
【0050】
通信部114は、コンピュータ510と、窓口端末120と、ATM130と、家庭用端末710と、電話機720と、FAX機730と、携帯端末740との通信を行なう。通信部114は、特に、振込通知用データTNと振込内容表示用データの送信を行なうことが可能である。通信部114は、本発明の送信部に相当する。また、通知用データ生成部113cと通信部114は、本発明の振込内容連絡部に相当する。通信部114は、また、窓口端末120やATM130から送信される振込内容を受信する。通信部140は、本発明の振込内容取得部に相当する。更に、通信部114は、ATM130や家庭用端末710などから送信される処理指示と、登録ボタン157により入力され、ATM130や家庭用端末710などから送信される振込人の振込許可情報(図4)への登録指示を受信する。通信部114は、本発明の処理指示取得部と、登録指示取得部に相当する。
【0051】
なお、ホストコンピュータ210も、ホストコンピュータ110と同じ構成である。ホストコンピュータ210の元帳DB更新部113eは、特に、振込人の口座の口座残高を振込金額に基づいて変更する勘定処理を行なう。元帳DB更新部113eは、本発明の振込人口座残高変更部に相当する。ホストコンピュータ210の通信部114は、特に、振込人の連絡先へ、処理指示に基づいた処理情報を通知する。通信部114は、本発明の処理情報通知部に相当する。
【0052】
図8は、ATM130の機能ブロック図である。ATM130は、制御部131と、表示部132と、通信部133と、カード取扱装置134を備える。制御部131は、振込内容取得部131aと、処理指示取得部131bと、登録指示取得部131cを備える。表示部132は、タッチパネルであり、図6の振込内容一覧画面150と図7の振込内容確認画面160を表示することが可能である。後述するように、受取人は、自宅の家庭用端末710や、携帯端末740で、これらの画面150,160を確認することも可能であり、また、ATM130を用いて、これらの画面150,160を確認することも可能である。表示部132は、本発明の振込内容確認画面表示部に相当する。振込内容取得部131aは、振込人から振込内容を取得する。処理指示取得部131bは、振込内容確認画面160の承認ボタン163または保留ボタン164または拒否ボタン165により入力される処理指示を取得する。登録指示取得部131cは、登録ボタン157により入力される、振込人の振込許可情報(図4)への登録指示を取得する。通信部133は、ホストコンピュータ110から振込内容表示用データを受信したり、取得した振込内容や処理指示や登録指示をホストコンピュータ110に送信したりする。カード取扱装置134は、ATM130の利用者から挿入されたキャッシュカードの口座番号などを読み取る。なお、ATM230も、ATM130と同じ構成である。
【0053】
図9は、振込処理を示すフローチャートである。振込みには、銀行窓口で行なう振込みとATM230から行なう振込みがあり、更に、現金による振込みと振込用口座からの振込みとがある。ここでの振込処理は、B銀行200のATM230において、B銀行200の振込用口座からA銀行100の任意の口座に振込みをする要求がなされた場合について説明する。図9の左側は、B銀行200のホストコンピュータ210のフローチャートであり、図9の右側は、A銀行100のホストコンピュータ110のフローチャートである。
【0054】
振込人は、B銀行200のATM230にB銀行のキャッシュカードを挿入する。ATM230のカード取扱装置134は、キャッシュカードの口座番号を読み取る。ATM230は、口座番号でホストコンピュータ210の元帳DB112を検索して、振込人の住所と氏名を取得する。そして、ATM230は、住所・氏名などを除いた不明な振込内容の入力を振込人に促して、振込内容を取得し、振込内容をホストコンピュータ210に送信する。
【0055】
ATM230から振込内容を受信したホストコンピュータ210は(ステップS10)、振込内容を為替取引用DB111(図3)に登録し(ステップS20)、受取人情報の銀行名の銀行(ここではA銀行100)のホストコンピュータ110に宛てて、振込内容を全銀センタ500のコンピュータ510に送信する(ステップS30)。コンピュータ510は、受信した振込内容をホストコンピュータ110に送信する。このように、ホストコンピュータ110とホストコンピュータ210は、全銀センタ500のコンピュータ510を介して通信を行なう。しかし、本実施例では、コンピュータ510は通信を中継するのみなので、簡単のために、以下では、コンピュータ510に関する説明は省略した。フローチャートについても同様に省略した。
【0056】
ホストコンピュータ110は、振込内容を受信すると、為替取引用DB更新部113dが、為替取引用DB111に、受信した振込内容を登録する(ステップS40)。そして、受取人口座存在確認部113aは、元帳DB112(図4)を、受取人情報の口座番号で検索する(ステップS50)。受取人口座存在確認部113aは、検索したレコードが存在し、かつ、そのレコードの氏名が振込内容の受取人名と一致するか否か確認する。検索したレコードが存在し、かつ、そのレコードの氏名が振込内容の受取人名と一致すれば、取引可能と判定する(ステップS60)。それ以外の場合は、取引不可能と判定する(ステップS60)。取引不可能と判定された場合は(ステップS70:NO)、振込内容に該当する受取人の口座が存在しないので、ホストコンピュータ210にエラー通知する(ステップS80)。エラー通知を受けたホストコンピュータ210は、ATM230にエラー通知を送信する。ATM230は、エラー通知を表示部132に表示し、振込みが失敗したことを振込人に知らせる。
【0057】
取引可能と判定された場合は(ステップS70:YES)、受信した振込内容の振込人名が、ステップS50で検索されたレコード(以下、受取人口座レコードと呼ぶ)の振込許可情報(図4)として登録されているか否か確認する。登録されている場合は(ステップS90:YES)、受取人の処理指示を受けずに振込みを行なって良いので、元帳DB更新部113eは、受取人口座レコードの口座残高に、振込内容の振込金額を加える勘定処理をする(ステップS100)。そして、為替取引用DB更新部113dは、ステップS40で登録した振込内容のレコードの処理指示を承認にする(ステップS110)。更に、承認の処理指示と振込内容を、ホストコンピュータ210に送信する(ステップS120)。承認の処理指示と振込内容を受信したホストコンピュータ210の処理については、後述する。一方、振込人名が、受取人口座レコードの振込許可情報に登録されていない場合は(ステップS90:NO)、受取人への振込通知処理を行なう(ステップS130)。
【0058】
図10は、受取人への振込通知処理を示すフローチャートである。通知用データ生成部113cは、受信した振込内容と、為替取引用DB111に基づいて、振込内容表示用データを生成する(ステップS131)。この振込内容表示用データは、図6に示した振込内容一覧データTCLと、図7に示した振込内容確認データTCCとを含んでいる。
【0059】
具体的には、通知用データ生成部113cは、振込内容一覧データTCLを次のように生成する。振込内容一覧画面150(図6)の第1のメッセージ151に受信した振込内容の受取人名を当てはめ、第1のメッセージ151を生成する。次に、通知用データ生成部113cは、振込内容一覧画面150の振込人一覧153を以下のように生成する。まず、通知用データ生成部113cは、為替取引用DB111において、受取人情報の口座番号が、受信した振込内容の受取人情報の口座番号と一致するものを抽出する。つまり、振込内容を表示させる受取人に対する振込内容のみを為替取引用DB111(図3)から抽出する。そして、抽出されたレコードから、処理指示が保留または空欄になっているレコードを再抽出する。これにより、処理指示未定振込内容が抽出される。そして、通知用データ生成部113cは、処理指示未定振込内容の、振込人名と住所と電話番号を一覧にして、振込人一覧153を生成する。図6の振込内容一覧画面150においては、第1のメッセージ151と振込人一覧153以外の箇所は不変であるので、以上により振込内容一覧データTCLが生成される。なお、処理指示が保留になっているレコードも処理指示未定振込内容に加えることで、受取人は、処理指示を保留にした振込内容について、再度処理指示を入力することができる。
【0060】
更に、通知用データ生成部113cは、振込内容確認データTCC(図7)を次のように生成する。通知用データ生成部113cは、振込内容162に、処理指示未定振込内容の振込依頼日と、振込金額と、振込人名と、住所と、電話番号を当てはめて、振込内容162を生成する。図7の振込内容確認画面160においては、振込内容162以外の箇所は不変であるので、以上により振込内容確認データTCCは生成される。振込内容確認データTCCは、処理指示未定振込内容毎に生成する。
【0061】
次に、制御部113は、受取人口座レコード(図4)の連絡先情報を取得し、メールアドレスが連絡先情報に含まれている場合は(ステップS132:YES)、通知用データ生成部113cは、家庭用端末710や携帯端末740に送信するための端末用の振込通知用データTNを生成する(ステップS133)。そして、通信部114は、そのメールアドレスに端末用振込通知用データTNを送信する(ステップS134)。メールアドレスが含まれておらず(ステップS132:NO)、FAX番号が含まれている場合は(ステップS135:YES)、通知用データ生成部113cは、FAX機730に送信するためのFAX機用の振込通知用データTNを生成する(ステップS136)。そして、通信部114は、そのFAX番号にFAX機用振込通知用データTNを自動送信する(ステップS137)。FAX番号も含まれておらず(ステップS135:NO)、電話番号のみ含まれている場合は、通知用データ生成部113cは、電話機720に送信するための音声による電話機用電話機用振込通知用データTNを生成する(ステップS138)。そして、通信部114は、その電話番号に電話機用振込通知用データTNを自動送信する(ステップS139)。
【0062】
送信に成功しない場合は(ステップS140:NO)、送信に成功するまで、所定時間おきに繰り返し送信を実行する。送信に成功した場合(ステップS140:YES)、ホストコンピュータ110は、振込通知用データTNのパスワードと、ステップS131で生成した振込内容表示用データと、振込内容表示用データに表示した処理指示未定振込内容を関連付けて、振込内容表示用テーブルTCDTに登録する(ステップS141)。
【0063】
図11は、振込内容表示用テーブルTCDTを示す説明図である。振込内容表示用テーブルTCDTには、パスワードと、振込内容一覧データTCL(図6)と、処理指示未定振込内容識別番号と、処理指示未定振込内容と、振込内容確認データTCC(図7)が登録される。処理指示未定振込内容識別番号は、処理指示未定振込内容に固有の番号であり、番号は、振込内容一覧画面150(図6)の振込人一覧153において表示される数字と一致する。振込内容確認データTCCと、その振込内容確認データTCCを作成するために使用された処理指示未定振込内容(図3)とは、各々関連付けて登録される。
【0064】
振込通知を受けた受取人は、家庭用端末710や携帯端末740またはATM130で、振込内容の確認を行なう。ここでは、ATM130で振込内容の確認を行なう場合について説明する。図12は、振込内容確認処理を示すフローチャートである。左側がA銀行100のホストコンピュータ110のフローチャートであり、右側がA銀行100のATM130のフローチャートである。
【0065】
ATM130においては、図13に示す取引内容選択画面170が表示されており、この取引内容選択画面170で、受取人は、振込確認ボタン171を押下する。そして、続いて表示される図14のパスワード入力画面180でタッチパネル181を押下してパスワード○○○を入力する。それにより、ATM130は、振込内容送信要求を、入力されたパスワードと共にホストコンピュータ110に送信する(ステップS150)。
【0066】
振込内容の送信要求を受けたホストコンピュータ110は、図11の振込内容表示用テーブルTCDTにおいて、受信したパスワードに関連付けられている振込内容表示用データ(TCL+TCC)と、処理指示未定振込内容と、処理指示未定振込内容識別番号を、図11のテーブル形式でATM130に送信する(ステップS160)。
【0067】
ATM130の表示部132は、受信した振込内容一覧データTCLにより、図6の振込内容一覧画面150を表示する(ステップS170)。なお、この時、第2のメッセージ152は非表示にし、登録ボタン157と非登録ボタン158は機能しないようにして表示する。
【0068】
受取人は、第1のメッセージ151を読み、矢印ボタン154,155で振込人を選択する。受取人は、振込人を選択して、詳細表示ボタン156を押下する。
【0069】
ATM130の表示部132は、矢印ボタン154,155の押下回数に基づいて、選択されている処理指示未定振込内容識別番号(以下、選択処理指示未定振込内容識別番号と呼ぶ)を判別する。そして、図11の振込内容表示用テーブルTCDTにおいて選択処理指示未定振込内容識別番号に関連付けられている振込内容確認データTCCにより、振込内容確認画面160(図7)を表示する(ステップS180)。
【0070】
受取人は、振込内容確認画面160の振込内容162により振込内容を確認し、メッセージ161を読んで、承認ボタン163または保留ボタン164または拒否ボタン165のいずれかを押下することにより、処理指示を入力する。
【0071】
ATM130の処理指示取得部131bは、入力された処理指示を取得する(ステップS190)。そして、通信部133は、ホストコンピュータ110に、取得した処理指示と、図11の振込内容表示用テーブルTCDTにおいて選択処理指示未定振込内容識別番号に関連付けられている処理指示未定振込内容(以下、処理指示決定振込内容と呼ぶ)とを送信する(ステップS200)。
【0072】
ホストコンピュータ110は、受信した処理指示と処理指示決定振込内容に応じて、取引処理を行なう(ステップS210)。図15は、取引処理を示すフローチャートである。左側が、ホストコンピュータ110の取引処理を示すフローチャートであり、右側が、ホストコンピュータ210の取引処理を示すフローチャートである。処理指示が承認の場合は(ステップS211:YES)、元帳DB更新部113eは、元帳DB112(図4)を、処理指示決定振込内容における受取人情報の口座番号で検索し、検索された受取人口座レコードの口座残高に、処理指示決定振込内容の振込金額を加える勘定処理をする(ステップS212)。
【0073】
そして、為替取引用DB更新部113dは、処理指示決定振込内容で為替取引用DB111(図3)の振込内容を検索し、検索されたレコードの処理指示を、受信した処理指示に変更する(ステップS213)。更に、通信部114は、受信した処理指示と処理指示決定振込内容を、B銀行200のホストコンピュータ210へ送信する(ステップS214)。
【0074】
ホストコンピュータ210は、受信した処理指示と処理指示決定振込内容に応じて、振込処理を行なう。なお、ステップS120においてホストコンピュータ210に送信された処理指示と振込内容についても、以下と同様の処理を行なう。以下、処理指示決定振込内容を単に振込内容と呼ぶ。
【0075】
処理指示が承認の場合は(ステップS220)、元帳DB更新部113eは、元帳DB112を、振込内容における振込人情報の口座番号で検索し、検索されたレコード(以下、振込人口座レコードと呼ぶ)の口座残高から、振込内容の振込金額を引く勘定処理をする(ステップS230)。処理指示が拒否の場合は(ステップS220)、振込人口座レコードの連絡先情報の1つに、「振込内容(○○)の振込みが、受取人によって拒否されました。振込みは実行されません。」という処理情報を送信する(ステップS240)。○○には、受信した振込内容を当てはめる。メッセージの送信は、図10の受取人への振込通知処理と同様に行なうので、説明を省略する。そして、為替取引用DB更新部113dは、振込内容で為替取引用DB111の振込内容を検索し、検索されたレコードの処理指示を、受信した処理指示に変更する(ステップS250)。
【0076】
図12に戻る。一方、ホストコンピュータ110は、取引処理を終えると、結果情報をATM130に送信する(ステップS250)。結果情報は、処理指示が承認であれば、「振込みを実行しました。」とし、処理指示が拒否であれば、「振込みを拒否しました。」とし、処理指示が保留であれば、「振込みを保留にしました。」とする。
【0077】
結果情報を受信したATM130の表示部132は、結果情報を表示する(ステップS260)。そして、再度図6の振込内容一覧画面150を表示する(ステップS270)。なお、その際には、矢印ボタン154,155と詳細表示ボタン156は機能しないようにし、第1のメッセージ151は非表示にして、選択処理指示未定振込内容識別番号に関連付けられている振込人が選択されている状態で表示する。つまり、ステップS190で処理指示を取得した振込内容の振込人が選択されている状態で表示する。受取人は、振込内容一覧画面150において、第2のメッセージ152「登録ボタンにより、振込人を登録することができます。振込人を登録すると、次回からは、登録された振込人からの振込みは、このような確認手続きなしで自動的に行われます。登録を行なわない場合は、非登録ボタンを押下してください。」を読み、登録ボタン157または非登録ボタン158を押下する。
【0078】
登録ボタン157が押下された場合は(ステップS280:YES)、登録指示取得部131cは、図11の振込内容表示用テーブルTCDTにおいて選択処理指示未定振込内容識別番号に関連付けられている振込内容のうち、振込人名と、受取人情報の口座番号と、登録指示を通信部133に渡す。通信部133は、その振込人名と、受取人情報の口座番号と、登録指示を、ホストコンピュータ110に送信する(ステップS290)。
【0079】
登録指示を受信したホストコンピュータ110は、受信した受取人情報の口座番号で元帳DB112を検索し、検索されたレコードの振込許可情報に、受信した振込人名を追加する(ステップS300)。
【0080】
一方、非登録ボタンが押下された場合は(ステップS280:NO)、処理を終了する。なお、本実施例では、ここで処理を終了するが、処理指示未定振込内容が複数存在する場合があるので、再度、ステップS170〜ステップS300の処理を、繰り返すものとしても良い。ただし、その際には、ステップS170で、既に選択された選択処理指示未定振込内容識別番号に関連付けられている振込人は非表示にし、選択されないものとする。
【0081】
以上のように、本実施例では、受取人は、口座残高が勘定処理により変更される前に、振込の要求があることを知り得、更に、振込人の氏名と振込金額を確認することができるので、受取人が振込の要求に何らかの応答を行なうことができる。また、受取人の意図しない振込みを阻止することが可能となる。また、本実施例では、受取人は、図7の振込内容確認画面160により、任意のタイミングで振込内容を確認することができる。本実施例では、更に、振込内容を確認した受取人の応答として、受取人から処理指示を受けつける処理指示取得部131b(図8)をATMに設けているので、受取人は簡便に処理指示を与えることができる。また、振込システム1000は、処理指示に基づいた処理をすることができる。
【0082】
従来の振込処理では、振込人のみの確認で振込処理を行なうので、受取人口座や振込金額を誤って振込んでしまう可能性も高かった。受取人口座を誤った場合、金銭を受け取るはずであった受取人と、振込人と、実際に金銭を受け取った受取人との間でトラブルが発生することもある。振込金額を誤った場合もトラブルとなる可能性がある。その上、受取人口座や振込金額を誤った場合、再度追加振込みを行なったり、組み戻し処理として、再度振込人の口座に金銭を戻したりするなどの手間が発生してしまうこともある。
【0083】
本実施例によれば、実際に勘定処理が行なわれる前に、受取人も振込内容を確認することができるので、誤った振込みを防止することができる可能性も高くなる。
【0084】
また、本実施例では、B銀行200のホストコンピュータ210の元帳DB112において、振込人の口座の口座残高を記憶し、処理指示に応じて振込人口座残高を変更するので、振込みが受取人により許可された場合の振込人からの金銭の引き出しを容易に行なうことができる。更に、ホストコンピュータ210の元帳DB112では、振込人の連絡先情報を記憶しているので、振込人に、振込みが拒否されたことを通知することができ、振込人は、自らが行なった振込みが拒否されたことを知ることができる。
【0085】
また、本実施例の処理指示(図7)には保留という項目もあり、受取人が判断に迷った場合には、とりあえず保留を選択し、また後に処理指示を再度入力することができる。
【0086】
本実施例では、元帳DB112に振込許可情報を記憶しており、振込人名が振込許可情報と一致する場合、振込通知処理をしたり、振込人に振込内容確認画面160(図7)を表示したりすることなく、受取人の口座残高を変更するので、受取人が振込みを許可する場合の手間を省くことができる。更に、本実施例では、振込内容一覧画面150(図6)により、振込許可情報を登録することもできる。
【0087】
その他の実施例:
(1)上記実施例では、B銀行200のホストコンピュータ210においても、受取人の処理指示を受けてから、振込人口座レコードの口座残高から振込金額を引く勘定処理をしているが、振込人の口座が存在するホストコンピュータ210においては、以下のように、図9の左側のフローチャートを図16のフローチャートに置き換えるものとしても良い。つまり、ATM230から振込内容を受信し(ステップS310)、ホストコンピュータ110に振込内容を送信し(ステップS320)、為替取引用DBに振込内容を登録した後に(ステップS330)、振込人口座レコードの口座残高から振込金額を引く勘定処理をするものとしても良い(ステップS340)。
【0088】
更に、この場合のホストコンピュータ210の取引処理は、図15の右側のフローチャートの代わりに、図17で示すフローチャートで実行される。即ち、ホストコンピュータ210は、処理指示が拒否の場合は(ステップS350:YES)、振込人に処理情報を送信し(ステップS360)、振込人口座レコードの口座残高に振込金額を加えて(ステップS370)、ステップS340で行なった勘定処理で引かれた分を払い戻す。
【0089】
(2)振込内容確認画面160には、処理指示未定振込内容のうち、何件目中何件目であるかを表示するものとしても良い。例えば、図7の例では、図6の振込人一覧153において、4件目中2件目の処理指示未定振込内容であるから、4件目中2件目であることを画面中に表示するものとしても良い。
【0090】
(3)上記実施例では、振込許可情報(図4)として、氏名を登録するものとしたが、氏名のみではなく、氏名と振込金額を併せて登録するものとしても良い。そして、氏名と振込金額の両方、あるいは片方が一致するときに、受取人に確認をとらずに、勘定処理を実行するものとしても良い。あるいは、振込許可情報として、金額のみを登録するものとしても良い。その場合は、金額が一致するときに、受取人に確認をとらずに、勘定処理を実行するものとしても良い。振込許可情報は、様々に設定可能である。
【0091】
(4)上記実施例では、ATM130において、振込許可情報を登録する機能を設けているが、ATM130において、振込許可情報を削除する機能も設けるものとしても良い。具体的には、ATM130の表示部132が、元帳DB112に登録されている振込許可情報を表示し、利用者は、削除する振込許可情報を選択して、削除指示を入力する。ATM130は、削除指示を取得し、削除する振込許可情報と共に、ホストコンピュータ110に送信する。ホストコンピュータ110は、元帳DB112から、受信した振込許可情報を削除する。あるいは、振込許可情報の登録や削除の機能は、特に設ける必要はなく、振込許可情報の登録や削除は金融機関の窓口などで申請することにより行なうものとしても良い。
【0092】
(5)上記実施例では、ATM130からの振込みについて示したが、窓口端末120から入力される振込内容により、上記振込処理を実行するものとしても良い。
【0093】
(6)上記実施例では、ATM130において、図13の振込確認ボタン171を押下することにより、振込内容一覧画面150(図6)や振込内容確認画面160(図7)などを表示させているが、これに限らず、受取人の口座の口座番号を取得するのに呼応して、振込内容一覧画面150や振込内容確認画面160を表示するものとしても良い。図18は、その場合のATM130とホストコンピュータ110の処理を示すフローチャートである。左側がATM130のフローチャートであり、右側がホストコンピュータ110のフローチャートである。受取人がA銀行100のキャッシュカードをATM130に挿入すると、ATM130のカード取扱装置134は、キャッシュカードの口座番号を読み取り、口座番号をホストコンピュータ110に送信する(ステップS410)。ホストコンピュータ110の通知用データ生成部113cは、為替取引用DB111において、受取人情報の口座番号が、受信した口座番号と一致するものを抽出し、振込内容表示用データ(TCL(図6)+TCC(図7))を生成する(ステップS420)。そして、ATM130に、振込内容表示用データを送信する(ステップS430)。ATM130の表示部132は、受信した振込内容表示用データに基づいて、振込内容一覧画面150や振込内容確認画面160を表示する(ステップS440)。
【0094】
このようにすれば、例えば、受取人が振込通知処理による振込通知を受けていない場合であっても、受取人が、ATM130で何らかの取引をしようとした時に、振込内容一覧画面150や振込内容確認画面160を表示させることができ、処理指示を受けることができる。このような機能は、受取人の連絡先情報が元帳DB112に登録されていない場合に特に役立つ。つまり、受取人の連絡先情報は、登録されていなくても良い。
【0095】
(7)本実施例では、振込内容確認画面160(図7)において、処理指示を入力した振込人に関して、振込内容一覧画面150(図6)において、振込許可情報として登録可能であるものとしたが、これに限らず、他の振込人も振込許可情報として登録可能であるものとしても良い。例えば、為替取引用DB111(図3)に基づいて、受取人の過去の取引履歴などから、振込人一覧153を生成して表示し、振込許可情報として登録を行なうことができるようにするものとしても良い。
【0096】
(8)本実施例では、振込許可情報(図4)は、振込内容一覧画面150(図6)から登録したが、振込許可情報を登録する画面は、振込内容一覧画面150とは別個に備えるものとしても良い。具体的には、ATM130は、取引内容選択画面170(図13)から振込許可情報を登録する登録専用画面を表示させ、利用者がタッチパネルで振込許可情報を入力することにより、振込許可情報を登録できるようにするものとしても良い。
【0097】
(9)本実施例では、振込許可情報を元帳DB112に記憶し、振込人が振込許可情報と一致すれば(ステップS90:YES)、図10の振込通知処理などを実行せず、勘定処理を行なうものとしたが(ステップS100)、振込許可情報は記憶しておらず、このような機能を備えていなくても良い。
【0098】
(10)本実施例では、処理指示に保留も含んでいたが、含めていなくても良い。つまり、処理指示は、許可と拒否の2つのみであっても良い。
【0099】
(11)本実施例では、B銀行200のホストコンピュータ210の元帳DB112に振込人の連絡先情報を記憶しており、振込みの要求が拒否された場合、振込人に処理情報を送信しているが、処理情報の送信は拒否された場合に限らない。処理指示が許可、あるいは保留である場合も、許可されたこと、または保留されたことを示す処理情報を振込人に送信するものとしても良い。また、このような処理情報の送信は必ずしも行なわなくても良い。
【0100】
(12)本実施例では、B銀行200のホストコンピュータ210の元帳DB112に振込人の口座の口座残高を記憶しており、口座からの振込みを行なっているが、振込人は現金により振込みを行なっても良い。この場合は、振込人はB銀行200に口座がなく、B銀行200の元帳DB112で口座残高を記憶していなくても良い。また、銀行窓口へ振込内容を記した振込依頼書を提出することで、振込みを行なうものとしても良い。この場合、窓口係員が窓口端末220に振込内容を入力し、窓口端末220から振込内容がB銀行200のホストコンピュータ210に送信される。
【0101】
(13)本実施例では、振込内容確認画面160(図7)から処理指示を取得し、処理指示に基づいて勘定処理を行なうか否か決定したが、振込内容確認画面160から処理指示を取得しなくても良い。即ち、振込通知処理による通知を受け、振込内容確認画面160を確認した受取人は、メールやFAXなどにより、直接金融機関に処理指示を連絡するものとしても良い。受取人は、特に拒否する場合のみ金融機関に処理指示を連絡するものとしても良い。金融機関では、処理指示に基づいて処理を行なう。
【0102】
(14)本実施例でのATM130の機能は、家庭用端末710(図1)や携帯端末740やホストコンピュータ110により実現されるものとしても良い。例えば、振込通知処理による通知を受けた受取人は、ATM130で振込内容確認画面160(図7)を表示させていたが、これに限らない。家庭用端末710や携帯端末740などで振込内容確認画面160を表示させ、更に、処理指示を取得するものとしても良い。また、本実施例では、ATM130に振込許可情報を登録する機能を設けているが、家庭用端末710や携帯端末740に振込許可情報を登録する機能を設け、家庭用端末710や携帯端末740において振込許可情報を登録するものとしても良い。
【0103】
(15)本実施例では、振込内容確認画面160(図7)を表示することにより、振込人の氏名と振込金額を受取人に対して連絡しているが、連絡方法はこれに限らない。例えば、音声により、電話機720や携帯端末740に連絡するものとしても良いし、FAX機730に連絡するものとしても良い。
【0104】
(16)本実施例では、振込内容の取得に呼応して、受取人への振込通知処理を行なっているが、行なわなくても良い。その場合は、例えば、受取人が、ATM130で何らかの取引を実行しようとした際に、振込人の氏名と振込金額を受取人に連絡するものとしても良い。具体的には、上述したように、受取人の口座の口座番号を取得するのに呼応して、振込内容一覧画面150や振込内容確認画面160を表示するものとしても良い。ちなみに、振込みの要求があるという通知は郵送や受取人来店時に行なっても良い。
【0105】
以上、実施例に基づき本発明に係る振込システムと、振込方法と、自動取引装置と、自動取引方法を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】実施例としての振込システム1000を示す説明図。
【図2】ホストコンピュータ110の機能ブロック図。
【図3】為替取引用DB111を示す説明図。
【図4】元帳DB112を示す説明図。
【図5】振込通知用データTNをメッセージとして表示した説明図。
【図6】振込内容一覧データTCLにより表示される振込内容一覧画面150を示す説明図。
【図7】振込内容確認データTCCにより表示される振込内容確認画面160を示す説明図。
【図8】ATM130の機能ブロック図。
【図9】振込処理を示すフローチャート。
【図10】受取人への振込通知処理を示すフローチャート。
【図11】振込内容表示用テーブルTCDTを示す説明図。
【図12】振込内容確認処理を示すフローチャート。
【図13】取引内容選択画面170を示す説明図。
【図14】パスワード入力画面180を示す説明図。
【図15】取引処理を示すフローチャート。
【図16】別例としての振込処理を示すフローチャート。
【図17】別例としての取引処理を示すフローチャート。
【図18】別例としての振込内容確認画面160を表示する処理を示すフローチャート。
【図19】従来の振込処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0107】
100...A銀行
110...ホストコンピュータ
111...為替取引用DB
112...元帳DB
113...制御部
113a...受取人口座存在確認部
113b...振込許可情報確認部
113c...通知用データ生成部
113d...為替取引用DB更新部
113e...元帳DB更新部
114...通信部
120...窓口端末
130...ATM
131...制御部
131a...振込内容取得部
131b...処理指示取得部
131c...登録指示取得部
132...表示部
133...通信部
134...カード取扱装置
150...振込内容一覧画面
151...第1のメッセージ
152...第2のメッセージ
153...振込人一覧
153a...四角枠
154,155...矢印ボタン
156...詳細表示ボタン
157...登録ボタン
158...非登録ボタン
160...振込内容確認画面
161...メッセージ
162...振込内容
163...承認ボタン
164...保留ボタン
165...拒否ボタン
170...取引内容選択画面
171...振込確認ボタン
180...パスワード入力画面
181...タッチパネル
200...B銀行
210...ホストコンピュータ
220...窓口端末
230...ATM
300...専用回線
500...全銀センタ
510...コンピュータ
600...インターネット
700...一般家庭
710...家庭用端末
720...電話機
730...FAX機
740...携帯端末
1000...振込システム
TN...振込通知用データ
TCL...振込内容一覧データ
TCC...振込内容確認データ
TCDT...振込内容表示用テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関における振込処理を可能とする振込システムであって、
振込まれる金銭の受取人の口座残高を記憶する受取人口座残高記憶部と、
振込内容を取得する振込内容取得部と、
振込処理により前記受取人の口座残高が変更される前に、受取人に対して、前記振込内容のうち、少なくとも振込人の氏名と振込金額を連絡する振込内容連絡部と、
を備えた振込システム。
【請求項2】
請求項1記載の振込システムであって、更に、
前記受取人の連絡先を含む受取人情報を記憶する受取人情報記憶部と、
前記振込内容の取得に呼応して、前記受取人の口座残高の変更を実行しないまま、前記受取人の連絡先へ、前記振込人の氏名と振込金額を確認することを促すメッセージを送信する送信部と、
を備え、
前記振込内容連絡部は、前記メッセージを受けた受取人の求めに応じて、前記連絡を実行する、
振込システム。
【請求項3】
請求項1記載の振込システムであって、
前記振込内容連絡部は、振込処理により前記受取人の口座残高が変更される前に、受取人に対して、前記振込内容のうち、少なくとも振込人の氏名と振込金額を確認することが可能な振込内容確認画面を、前記受取人が使用する表示部に表示する、
振込システム。
【請求項4】
請求項1記載の振込システムであって、更に、
前記受取人から、前記振込内容の振込みを実行させるか否かを示す処理指示を取得する処理指示取得部と、
前記処理指示が前記振込内容の振込みを実行させることを示す場合に、前記振込内容に基づいて、前記受取人の口座残高を変更する受取人口座残高変更部と、
を備えた振込システム。
【請求項5】
請求項4記載の振込システムであって、更に、
金銭を振込む振込人の口座残高を記憶する振込人口座残高記憶部と、
前記処理指示に応じて、前記振込人の口座残高の変更を実行する振込人口座残高変更部と、
を備えた振込システム。
【請求項6】
請求項4記載の振込システムであって、更に、
金銭を振込む振込人の連絡先を含む振込人情報を記憶する振込人情報記憶部と、
前記振込人の連絡先へ、前記処理指示に基づいた処理情報を通知する処理情報通知部と、
を備えた振込システム。
【請求項7】
請求項4記載の振込システムであって、
前記処理指示には、更に、前記振込内容の振込みを保留にさせることを示す保留指示も含まれ、
前記処理指示取得部は、取得した処理指示が保留指示である場合は、前記受取人が指定する任意のタイミングで、再度処理指示を取得する、
振込システム。
【請求項8】
請求項4記載の振込システムであって、更に、
前記受取人が前記振込みを許可する振込内容の少なくとも一部である振込許可内容を予め記憶する振込許可内容記憶部を備え、
前記振込内容の少なくとも一部と、前記振込許可内容が一致する場合、前記振込内容連絡部による前記連絡を実行せずに、前記受取人口座残高変更部が、前記受取人の口座残高を変更する、
振込システム。
【請求項9】
請求項8記載の振込システムであって、更に、
前記振込内容取得部が取得した振込内容の少なくとも一部を、前記振込許可内容記憶部に登録する登録指示を取得する登録指示取得部を備え、
前記振込許可内容記憶部は、前記登録指示を取得した場合に、前記振込内容の少なくとも一部を振込許可内容として記憶する、
振込システム。
【請求項10】
金融機関における振込処理を可能とする振込方法であって、
振込まれる金銭の受取人の口座残高を含む受取人情報を記憶する工程と、
振込内容を取得する工程と、
振込処理により前記受取人の口座残高が変更される前に、受取人に対して、前記振込内容のうち、少なくとも振込人の氏名と振込金額を連絡する工程と、
を備えた振込方法。
【請求項11】
金融機関における振込処理を可能とする自動取引装置であって、
振込まれる金銭の受取人が、振込処理により受取人の口座残高が変更される前に、該振込処理の振込内容のうち、少なくとも振込人の氏名と振込金額を確認することが可能な振込内容確認画面を表示する振込内容確認画面表示部
を備えた自動取引装置。
【請求項12】
請求項11記載の自動取引装置であって、更に、
前記受取人から、前記振込内容の振込みを実行させるか否かを示す処理指示を取得する処理指示取得部
を備えた自動取引装置。
【請求項13】
請求項11記載の自動取引装置であって、
前記振込内容確認画面表示部は、前記受取人から口座の口座番号を取得するのに呼応して、前記振込内容確認画面を表示する、
自動取引装置。
【請求項14】
金融機関における振込処理を可能とする自動取引方法であって、
振込まれる金銭の受取人が、振込処理により受取人の口座残高が変更される前に、該振込処理の振込内容のうち、少なくとも振込人の氏名と振込金額を確認することが可能な振込内容確認画面を表示する工程
を備えた自動取引方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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