説明

釣り具用部品又は自転車用部品の表面装飾構造

【課題】 耐食性及び強靭性において十分なものを、大がかりな装置を使用することなく、鮮やかな表面装飾構造が達成できる釣り具用部品及び自転車用部品の装飾構造を提供する。
【解決手段】 繊維強化樹脂製の部品本体表面に、内側塗装層、その内側塗装層の上に銀面薄膜塗装層、その銀面薄膜塗装層の上に外側塗装層を積層し、前記内側塗装層と前記外側塗装層とを、夫々、イソシアネート基とヒドロキシル基とのウレタン反応によって形成される二液性の樹脂塗料、アミノ基を持つ樹脂とエポキシ基を持つシリコン化合物とを反応させて形成される二液性の樹脂塗料、前記した二つの反応が同時におこる二液性又は三液性の樹脂塗料と、のいずれか一つを選択して形成し、前記銀面薄膜塗装層を、アミンを配位子とする銀金属錯体で形成し、前記銀金属錯体を加熱することによって前記銀面薄膜塗装層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂製の釣り具用部品又は自転車用部品の表面に塗装を施す釣り具用部品又は自転車用部品の表面装飾構造に関する。
【背景技術】
【0002】
釣り具用部品又は自転車用部品の装飾構造としては次のようなものが挙げられる。
(1) ウレタンやエポキシ樹脂塗料を吹き付け又は刷毛塗りした後に焼き付けして定着させるメタリック塗装技術や、
(2) 装飾用物質を真空蒸着、CVD、PVD、スパッタリング等の高度塗装技術を駆使するものがある。
しかし(1)においては、塗装表面における鮮やかさや艶等の色彩感覚で十分でない面がある。一方(2)においては、光の屈折を利用した虹色発色等が可能であり、色彩感覚においては十分な面はあるが、装置が大掛かりであり、高度な製造技術を必要とするところから、簡単には採用し難い面がある。
そこで、比較的簡易な装置でかつ装飾性においても十分な性能を発揮する銀鏡反応を利用した装飾構造を形成することも考えられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−84596号公報(段落番号〔0032〕〜〔0035〕)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この銀鏡反応を利用した製法では、耐食性及び強靭性において十分なものが得られず、機械的な強度面で劣る面があった。
しかも、図8(b)で示すように、銀鏡塗装における工程は、殆ど各工程終了毎に水洗工程を必要としており、その為に製造工程が複雑になっており、製造工程面でも改善の余地がある。更には、二頭式の塗装用ガンという特殊な吹き付け手段を必要とし、設備面でも負担の大きなものとなっている。
【0005】
本発明の目的は、耐食性及び強靭性において十分なものを、大がかりな装置を使用することなく、鮮やかな表面装飾構造が達成できる釣り具用部品及び自転車用部品の装飾構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1又は2に係る発明の特徴構成は、繊維強化樹脂製の部品本体表面に、内側塗装層、その内側塗装層の上に銀面薄膜塗装層、その銀面薄膜塗装層の上に外側塗装層を積層し、
前記内側塗装層を、
(1) イソシアネート基とヒドロキシル基との反応によって形成される二液性の樹脂塗料と、
(2) アミノ基を持つ樹脂とエポキシ基を持つシリコン化合物とを反応させて形成される二液性の樹脂塗料と、
(3) 前記(1)の反応と前記(2)の反応が同時におこる二液性又は三液性の樹脂塗料と、
(4) エポキシ樹脂塗料と、
のいずれか一つを選択して形成し、
前記外側塗装層を、
(1) イソシアネート基とヒドロキシル基との反応によって形成される二液性の樹脂塗料と、
(2) アミノ基を持つ樹脂とエポキシ基を持つシリコン化合物とを反応させて形成される二液性の樹脂塗料と、
(3) 前記(1)の反応と前記(2)の反応が同時におこる二液性又は三液性の樹脂塗料と、
のいずれか一つを選択して形成し、
前記銀面薄膜塗装層を、アミンを配位子とする銀金属錯体で形成し、前記銀金属錯体を加熱することによって前記銀面薄膜塗装層を形成する点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用〕
アミンを配位子とする銀金属錯体は、後記するように、アルコールで希釈するだけで十分な流動性を発揮するので、吹き付けや刷毛塗りと言った簡易な作業形態で塗装工程を達成できる。つまり、図9(a)に示すように、塗装工程としては、内側塗装層を形成する内側塗装工程、銀面薄膜塗装工程、乾燥工程、外側塗装層を形成する外側塗装工程で済み、水洗工程を必要としないので、塗装工程の短縮化及び簡略化が可能である。吹き付け手段にしても従来の銀鏡塗装のように特殊なガンは必要とせず、設備面でも負担の少ないものとなっている。
しかも、銀面は、加熱する際に析出した銀粒子同士が溶融連結することによって、表面密度が高くかつ緊密に連結することによって、メタリック塗装に比べて輝度や密度、平滑性等の表面装飾性の高い面を呈する。
一方、アミンを配位子とする銀金属錯体を内側塗装層の上に塗布すると、銀金属錯体のアミンが内側塗装層の未反応樹脂(イソシアネートやエポキシ基を持つシリコン化合物)と反応する。そして、銀金属錯体を塗布して形成した銀面薄膜塗装層の上に外側塗装層用の塗料を塗布すると、銀面薄膜塗装層内に残存しているアミンが外側塗装層を形成する樹脂と反応する。
このことによって、銀面薄膜塗装層と内外塗装層との結合力を増大させている。
【0008】
〔効果〕
したがって、大がかりな装置を必要とせず簡易な作業形態ではありながら、銀面薄膜塗装層と内外塗装層との境界面での層間剥離や浸食と言ったことが回避されて、耐食性の高いかつ十分な装飾性を発揮する銀面薄膜塗装層を形成することができた。
【0009】
〔構成〕
請求項3又は4に係る発明の特徴構成は、前記銀金属錯体を加熱することによって銀のナノ粒子を析出させ、かつ、その銀のナノ粒子を連結固着させて、前記銀面薄膜塗装層を形成する点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0010】
〔作用効果〕
銀金属錯体より析出する銀はナノ粒子となっているので、後記するように、融点降下により銀粒子は連結結合が迅速に行われ、緊密な銀面薄膜塗装層を形成する。
しかも、銀ナノ粒子は、僅かに融解し、完全連結固着されてないため、外側塗装層との境界域に入り込み、その境界領域においては、樹脂塗料内に混在する銀粒子の密度が外側塗装層から銀面薄膜塗装層に向かうにつれて徐々に増えることとなる。そうすると境界領域に、密度が銀面薄膜塗装層に向かうにつれて増える銀と、樹脂塗料との混合傾斜層が形成される。このことによって、銀面薄膜塗装層と外側塗装層との密着性が向上し、前記した層間剥離を抑制し、耐食性の向上を図ることができる。
【0011】
〔構成〕
請求項5又は6に係る発明の特徴構成は、前記銀面薄膜塗装層の厚さは、0.02ミクロンから0.4ミクロンの範囲にある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】
〔作用効果〕
前記した従来技術(特開2009−84596号公報)においては、銀鏡膜の厚さについて0.1ミクロン〜10ミクロンという広い範囲の厚さが推奨されているが、0.4ミクロンより厚くなると、剥離テストの際、銀面薄膜塗装層において凝集破壊を起こす。 つまり、銀面薄膜塗装層における外側塗装層側に位置する部分と内側塗装層側に位置する部分とが離間して、銀面薄膜塗装層の厚さ方向の中間位置において剥離し易くなる。
したがって、0.02ミクロンから0.4ミクロンの範囲の厚さに設定するのが望ましい。更に好ましくは0.02ミクロンから0.25ミクロンの範囲の厚さにするのがよい。
【0013】
〔構成〕
請求項7又は8に係る発明の特徴構成は、前記銀面薄膜塗装層と前記内側塗装層との間に樹脂塗料内に銀が混入する内混合傾斜層と、前記銀面薄膜塗装層と前記外側塗装層との間に樹脂塗料内に銀が混入する外混合傾斜層とを形成し、前記内混合傾斜層及び前記外混合傾斜層において、銀の樹脂塗料内に混入する割合いが、前記銀面薄膜塗装層に近接する程高い割合いである点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0014】
〔作用効果〕
銀面薄膜塗装層と前記内外側塗装層との間には、両領域を明確に区別する仕切り線は形成されてはなく、樹脂塗料内に銀粒子が混入する内外混合傾斜層が形成されている。
したがって、銀面薄膜塗装層と前記内外側塗装層とが釣り竿等が外力を受けて変形することとなっても、両者が剥離することが少ない。
しかも、その内外混合傾斜層においては、樹脂塗料内に混入する銀粒子の混入割合が銀面薄膜塗装層側ほど高い割合を示しているので、銀面薄膜塗装層側から内外側塗装層側への応力伝播が円滑になり、その部分で応力割れ等の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は釣り竿を示す側面図である。
【図2】図2は(a)外側塗装層のさらに外側には、クリア層等を有さない塗装構造を示す縦断側面図、(b)外側塗装層の外側に、二層のクリア層を有している塗装構造を示す縦断側面図、(c)外側塗装層が第1外側塗装層と第2外側塗装層との二層塗装積層構造を示す縦断側面図である。
【図3】図3は(a)銀アミン錯体を内側塗装層の上に塗布した状態を示す説明図、(b)加熱して銀アミン錯体よりアミンが離間して、銀のナノ粒子が析出した状態を示す説明図、(c)析出した銀のナノ粒子が溶融連結して銀面膜を作った状態を示す説明図である。
【図4】図4は内側塗装層と銀面薄膜塗装層との間の内混合傾斜層、及び、外側塗装層と銀面薄膜塗装層との間の外混合傾斜層内における銀の混合度合いを示す説明図である。
【図5】図5は内外混合傾斜層における銀と樹脂との混合割合いを示す測定グラフである。
【図6】図6は図3(b)に対応した析出銀ナノ粒子の顕微鏡写真である。
【図7】図7は(a)は所定の銀面薄膜塗装層を塗布したガラス板を竿体に取り付けた状態を示す左側面図であり、(c)は所定の銀面薄膜塗装層等を塗布したフィルムを竿体に取り付けた状態を示す右側面図であり、(b)は、前記した(a)及び(c)に対応した正面図である。
【図8】図8は(a)本発明の銀面薄膜塗装工程を示す工程図、(b)銀鏡塗装工程を示す工程図である。
【図9】図9はスピニングリールを示す側面図である。
【図10】図10は自転車を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1実施形態〕
ヤマメや岩魚等を釣る際に使用される釣り竿Aについて説明する。図1に示すように、釣り竿Aは、穂先竿1の先端にトップガイド2を取り付けるとともに、穂先竿1の中間位置に釣り糸用ガイド3を取付固定し、竿元側に並継式に継合された元竿5を配置し、元竿5にスピンニングリールを装着するリールシート6を取り付けて、構成してある。
【0017】
尚、釣り竿Aを構成する穂先竿1、元竿5は次のように製作される。つまり、炭素繊維等の強化繊維を一方向に引き揃え、その引き揃え強化繊維群にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(又は熱可塑性樹脂)を含浸させて、プリプレグシートを形成する。このプリプレグシートを略台形状に裁断した複数のものをマンドレルに巻回し、複数のプリプレグシートを巻回して構成した竿素材をマンドレルに巻回した状態で炉に入れて焼成し、焼成後マンドレルを脱芯して円筒状の竿素材を取り出しその竿素材を所定長に裁断して、仕上加工を施し竿体とする。
【0018】
プリプレグを構成する強化繊維としては、具体的には、炭素繊維以外にガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維等が使用でき、樹脂としては、エポキシ樹脂の他に、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂やPV(E)等の熱可塑性樹脂が使用できる。また、プリプレグとしては、強化繊維を編み込んだ織り物に樹脂を含浸させて構成したものであってもよい。
【0019】
釣り竿Aを構成する部品としての中間竿4、元竿5の外周面に施される塗装について説明する。塗装の構成としては、図2(a)に示すように、外側塗装層AEの外側に後記する透明クリア層を設けないか、或いは外側塗装層にクリア塗料を採用したものと、図2(b)に示すように、外側塗装層AEの上にカラークリア層AFと透明クリア層AGとを備えた2種類のものについて説明する。例えば、図2(a)に示すものは中間竿4等に使用され、図2(b)に示すものは元竿5等に使用することとする。なお、この使用については固定したものではなく、自由に選択できるものである。
【0020】
図2(a)に示すように、中間竿4等の外周面4Aの表面に、最内側塗装層ABを設け、最内側塗装層ABの上から内側塗装層ACを設け、内側塗装層ACの上に銀面薄膜塗装層ADを設け、銀面薄膜塗装層ADの上に外側塗装層AEを設けて形成してある。
同様に、図2(b)に示すように、元竿5等の外周面5Aの表面に、最内側塗装層ABを設け又は最内側塗装層ABを設けないことを選択できるが、最内側塗装層ABを設けた場合には最内側塗装層ABの上から内側塗装層ACを設け、内側塗装層ACの上に銀面薄膜塗装層ADを設け、銀面薄膜塗装層ADの上に外側塗装層AEを設け、更に、外側塗装層AEの上にカラークリア層AFと透明クリア層AGとを重ねて形成してある。
【0021】
最内側塗装層ABは、エポキシ系樹脂塗料が選択される。この最内側塗装層ABは、中間竿4等の竿表面に表出することがある強化繊維を覆い内側塗装層ACの密着性を確保するものである。また、図2(b)に示すように、竿表面には、図示してはいないが、竿体が焼成される際に竿素材の外周面を螺旋状に巻回する成型テープ跡5aを敢えて残した状態で元竿5等を形成する場合がある。このような成型テープ跡5aを均すために最内側塗装層ABが形成される。
【0022】
次に、内側塗装層ACについて説明する。この塗装層で使用される樹脂塗料としては、四種類のものが選定される。
(1)第1の樹脂塗料としては、イソシアネート基とヒドロキシル基とのウレタン反応によって形成される二液性のアクリルウレタン樹脂塗料が挙げられる。
(2)第2の樹脂塗料としては、アミノ基を持つアクリル樹脂とエポキシ基を持つシリコン化合物とを脱水かつ脱アルコール縮合反応によって形成される二液性のアクリルシリコン樹脂塗料が挙げられる。
(3)第3樹脂塗料としては、ウレタン反応と脱水かつ脱アルコール縮合反応が同時におこる二液性又は三液性のウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料が挙げられる。
(4)第4樹脂塗料としては、エポキシ基を備えるエポキシ樹脂塗料である。
【0023】
このようなアクリルウレタン樹脂塗料、アクリルシリコン樹脂塗料のいずれか一方、または、アクリルウレタン樹脂塗料とアクリルシリコン樹脂塗料との両方、かつ、エポキシ樹脂塗料を上記した内側塗装層ACとして使用することができる。
これらの塗料の竿表面への施工は、シゴキ塗装、刷毛塗り又は吹き付け等を行った後、焼成炉での焼き付けを施して、定着を図る方がよい。
アクリルウレタン樹脂塗料の代わりに、ポリエステルウレタン樹脂塗料、或いは、ポリカーボネートウレタン樹脂塗料等が使用可能である。また、アクリルシリコン樹脂塗料の代わりにウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料を使用することができる。
【0024】
次に、外側塗装層AEについて説明する。この塗装層で使用される樹脂塗料としては、三種類のものが選定される。
(1)第1の樹脂塗料としては、イソシアネート基とヒドロキシル基とのウレタン反応によって形成される二液性のアクリルウレタン樹脂塗料が挙げられる。
(2)第2の樹脂塗料としては、アミノ基を持つアクリル樹脂とエポキシ基を持つシリコン化合物とを脱水かつ脱アルコール縮合反応によって形成される二液性のアクリルシリコン樹脂塗料が挙げられる。
(3)第3樹脂塗料としては、ウレタン反応と脱水かつ脱アルコール縮合反応が同時におこる二液性又は三液性のウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料が挙げられる。
【0025】
このようなアクリルウレタン樹脂塗料、アクリルシリコン樹脂塗料のいずれか一方、または、アクリルウレタン樹脂塗料とアクリルシリコン樹脂塗料との両方を上記した内側塗装層AC、外側塗装層AEの塗料として使用することができる。
これらの塗料の竿表面への施工は、シゴキ塗装、刷毛塗り又は吹き付け等を行った後、焼成炉での焼き付けを施して、定着を図る方がよい。
アクリルウレタン樹脂塗料の代わりに、ポリエステルウレタン樹脂塗料、或いは、ポリカーボネートウレタン樹脂塗料等が使用可能である。また、アクリルシリコン樹脂塗料の代わりにウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料を使用することができる。
なお、中間竿4に採用される外側塗装層AEとしては、アクリルウレタン樹脂塗料等の代わりに、前記したようにカラークリア塗料を使用してもよい。
【0026】
銀面薄膜塗装層ADについて説明する。ここでは、アミンによる銀の錯体を塗布することによって、銀面薄膜塗装層ADを形成する。アミンによる銀の錯体とは、具体的には、銀に配位子として組み合わせた2−エチルへキシルアミンとの錯体をいう。
但し、アミンとしては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等の簡単な構造のものから、N,N‐ジイソプロピルエチルアミン等の複雑な構造のものも採用される。
銀面薄膜塗装層ADは次のような工程で形成される。
(1)アミンによる銀の錯体にイソプロピルアルコール等の溶媒を加えて、流動化を高める。
(2)この流動化した銀の錯体を前記した内側塗装層ACの上に塗布する。塗布の仕方は、刷毛塗り或いは吹き付け等の通常使用する塗布方法で十分である。塗布した状態が図3(a)に示す状態である。
【0027】
(3)次に、この塗布した中間竿4等を焼成炉において、100℃〜170℃の温度で10分〜60分間焼成する。そうすると、アルコール分が蒸発すると同時に、配位子としての2−エチルへキシルアミンと銀との結合力が低下してその2−エチルへキシルアミンが銀粒子から離れるとともに、アミンの還元作用によって還元され、銀のナノ粒子が折出する。この状態が図3(b)に示す状態である。
図6における顕微鏡写真で示すように、ナノ粒子のサイズは、15〜20ナノである。
(4)このように、内側塗装層ACの上に析出した銀のナノ粒子群は、融点降下によって、図3(c)に示すように部分的に溶融結合し、銀面薄膜塗装層ADを形成する。
【0028】
一般に、銀バルクの溶融温度は962℃前後であるが、上記場合には、銀粒子がナノ単位の粒径を呈しているので、融点降下が起こり、100℃という比較的穏やかな焼結熱を加えた状態であっても、溶融化が促進されて、析出銀粒子同士が溶融結合し、銀面薄膜が形成される。かかる融点降下によって生地本体を傷めるようなことがなくなる。
このように、形成された銀面薄膜塗装層ADの膜厚を測定してみる。
【0029】
膜厚の測定は、次のような方法によっておこなわれる。
測定装置は、ESCA(捜査型X線光電子分光分析装置)を使用する。つまり、電子銃が放出する+アルゴン粒子を照射してスパッタリングを行い、飛び出す元素のスペクトル分析を行うことによって、元素を特定し、かつ、照射深さより膜厚を測定する。
【0030】
測定対象となる試料は次のようなものである。ガラス板8Aの表面に、吹き付け方法によって銀面薄膜塗装層ADに相当する膜を塗布して、二枚の試料(ガラス板1、ガラス板2)を作成する。この一枚の試料を、図7(a)(b)に示すように、竿体7の外周面に、接線方向に沿った姿勢で取り付ける。
もう一つの試料はフィルム8Bに、内側塗装層ACと銀面薄膜塗装層ADと外側塗装層AEの3層を形成した試料(フィルム)である。図7(c)(b)に示すように、竿体7の外周面に、この場合は接線方向に沿った姿勢ではなく、円周方向に沿った姿勢で取り付ける。
測定する際には、竿体7を軸芯x回りで回転させながら、かつ、軸芯x方向に往復移動させて、測定を行う。
【0031】
測定結果を記載すると、次のようになっている。膜厚を表示する単位はナノメータ(nm)である。
【0032】
【表1】

ガラス板やフィルムなどの膜をつけた試料を用いたのは、ESCA装置に入れて測定できる形とする為である。
【0033】
次に、最内側塗装層AB、内側塗装層AC、銀面薄膜塗装層AD、外側塗装層AEについては次のような製造工程を経て形成される。
つまり、図8(a)で示すように、最内側塗装層AB及び内側塗装層AC、銀面薄膜塗装層ADを形成した後に、乾燥工程が設けてあり、この乾燥工程が終了した後に、外側塗装層AE及びクリアー層が形成され、製造工程において銀鏡反応面の場合に使用される水洗いの工程はない。
【0034】
次に、内側塗装層ACと銀面薄膜塗装層ADとの内混合傾斜層ACD、銀面薄膜塗装層ADと外側塗装層AEとの外混合傾斜層ADEでの反応形態について説明する。
この内混合傾斜層ACDと外混合傾斜層ADEにおいては、銀面薄膜塗装層ADを形成する銀粒子が内側塗装層ACと外側塗装層AEとの樹脂と混在する混合傾斜層を形成しており、その混合傾斜層での混在状態は、銀面薄膜塗装層ADの側程、銀粒子の割合いが高くなる傾斜状態を示している。このように、物理的に銀粒子と樹脂との混在状態を呈するだけでなく、次に記すように、この混合傾斜層においては化学的結合状態を呈していると考えられる。
【0035】
内混合傾斜層ACDにおける化学的結合状態の説明をする。
(1) 内側塗装層ACとしてアクリルウレタン樹脂塗料を使用した場合
まず、下記の式で表わされているように、イソシアネート基とヒドロキシル基とのウレタン反応が起こる。
【0036】
(化1)
R−NCO + R’−OH = R−NH−COOH’
(2) 次に、この中の未反応イソシアネートが銀面薄膜塗装層AD内のアミンと反応している。
【0037】
【化2】

ここでは、シリコン化合物としてはグリシジルシラン硬化剤が採用されている。
ここでの反応は、銀面薄膜塗装層AD内のアミンと硬化剤としてのシリコン化合物内のエポキシ基とが反応していると考えられる。
【0038】
【化3】

上記した第1級アミン等が生成されて、内混合傾斜層ACDに存在する。
【0039】
外混合傾斜層ADEにおける化学的結合状態の説明をする。
(3) 外側塗装層AEとしてアクリルウレタン樹脂塗料を使用した場合
イソシアネートが銀面薄膜塗装層AD内の残存アミンと反応が起こっている。
【0040】
【化4】

(4) 外側塗装層AEとしてアクリルシリコン樹脂塗料を使用した場合
ここでは、シリコン化合物としてはグリシジルシラン硬化剤が採用されている。
ここでの反応は、銀面薄膜塗装層AD内の残存アミンと硬化剤としてのシリコン化合物内のエポキシ基とが反応していると考えられる。
【0041】
【化5】

上記した第1級アミンが生成されて、外混合傾斜層ADEに存在する。
【0042】
さらに、内混合傾斜層ACDと外混合傾斜層ADEにおける他の反応について説明する。
銀面薄膜塗装層ADと内側塗装層ACとの内混合傾斜層ACD、及び、銀面薄膜塗装層ADと外側塗装層AEとの外混合傾斜層ADEにおいては、上記した反応以外に次のような反応により、銀面薄膜塗装層ADと内側塗装層AC、及び、銀面薄膜塗装層ADと外側塗装層AEとの連結固着状態が強固なものになっている。つまり、
【0043】
【化6】

上記反応式で示すように、銀面薄膜塗装層ADの金属膜とアクリルシリコンの硬化反応時、上記のような加水分解が起こり、その際分離するOH基が金属との密着力を向上させる水素結合として働くと考えられる。
【0044】
また、内混合傾斜層ACD及び外混合傾斜層ADEにおいては、金属である銀が樹脂塗料とともに混在して、このことが銀面薄膜塗装層ADと内側塗装層AC、及び、銀面薄膜塗装層ADと外側塗装層AEとの連結固着状態を強固なものとしている。
つまり、銀面薄膜塗装層ADにおいては、全て原料銀が焼結されて銀面構造を構築しているのではない。一部銀は内混合傾斜層ACD及び外混合傾斜層ADEにおいて樹脂塗料と混在している。そして、銀が混在する割り合いは、図4に示すように、銀面薄膜塗装層ADに近い程大きくなる。つまり、銀が樹脂塗料内に混在する割合いは、銀面薄膜塗装層ADに近い程大きくなる傾斜状態を示している。
【0045】
この傾斜状態にあることは、試料として作成した3層構造のフィルム8Bの塗装層に、前記したESCAを利用し、塗装層より飛び出す銀と樹脂塗料との割合から算出することができる。
そのデータを図5に示す。
これによると、縦軸に元素別集積度(%)、横軸にスパッタ深さ(nm)を採ると、銀の占める割合が、銀面薄膜塗装層ADに近い程多くなることがわかる。つまり、スパッタ深さが0nm〜200nm位までは外側塗装層AEに相当する部分が存在し、200nmを越えて炭素(C)と銀(Ag)が交差する第1点(a)までの間には、炭素(C)の含有量が減少し銀(Ag)の含有量が上昇する外混合傾斜層ADEに相当する部分が形成されていることがわかる。
【0046】
次に、スパッタ深さ400nmと600nmとの間に炭素(C)と銀(Ag)が再び交差する第2点(b)が表れ、この第2点(b)と第1点(a)との間に銀面薄膜塗装層ADに相当する部分が形成されていることがわかる。
スパッタ深さ600nmの近辺には、炭素(C)が増加し銀(Ag)が減少する内混合傾斜層ACDに相当する部分が形成されていることがわかる。
スパッタ深さ700nmから1000nmの間には内側塗装層ACに相当する部分が存在し、更に、1000nmを越える部分は、試料片としてのフィルム8Bに対応する部分であることがわかる。
以上のようにして中間竿4、元竿5について塗装を施した。そこで、これらの塗装の密着度評価試験を行ってみた。
【0047】
テストピースが、外側塗装層AEが一層のものにおいては、
(イ) 最内側塗装層ABにエポキシ樹脂塗料を選定、
(ロ) 内側塗装層ACにアクリルウレタン樹脂塗料、又は、アクリルシリコン樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料のいずれかを選定、
(ハ) 外側塗装層AEに、アクリルウレタン・アクリルシリコン樹脂塗料、ウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料のいずれかを選定、
してテストを行った。
【0048】
テスト結果としては、最内側塗装層ABにエポキシ樹脂塗料、内側塗装層ACにウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料、外側塗装層AEに、ウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料を選定して組み合わせたものが最もよい結果を示した。
このテスト結果を考察してみると、外側塗装層AEにウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料を選定して組み合わせたことによって、イソシアネート基・エポキシ基がアミノ基含有の銀金属との密着性を向上させ、耐水性に好影響を与えていると考えられる。
【0049】
また、内側塗装層ACも外側塗装層AEと同様にウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料を採用することによって、銀面薄膜塗装層ADに形成することに使用されたアミンを含む銀金属錯体のそのアミンが残存し、内側塗装層ACのイソシアネート基及びエポキシ基と反応し、良い結合力を現出していると考えられる。
また、外側塗装層AEと鏡面薄膜塗装層ADとの境界域に析出した銀の一部が混在し、銀と樹脂塗料との混合傾斜層を形成している点も上記テスト結果を裏付けるものとなっていると考えられる。
【0050】
〔第2実施形態〕
上記実施形態においては、釣り竿Aに適用することについて説明した。この第2実施形態においては、リール、特に、スピニングリールBにも適用できる点を説明する。
図9に示すように、スピニングリールBは、ハンドル11を備えたリールボディ12と、リールボディ12に回転不能に備えられた糸巻き用スプール13と、糸巻き用スプール13に釣り糸を巻き付け回転するロータ14とを備えて、構成されている。ロータ14の先端側には回転中心を挟んで二つのベール支持部15が前方に向けて延出されており、一方のベール支持部15には、穂先側から巻き取られる釣り糸を糸巻き用スプール13に誘導するガイドローラ16が取付けてある。
【0051】
上記したスピニングリールBの構成において、リールボディ12、及び、糸巻き用スプール13、ロータ14等を繊維強化樹脂で製作して、第1実施形態で示した塗装を施すことは有効である。ただし、図2(a)に示すように、最内側塗装層ABを設け、最内側塗装層ABの上から内側塗装層ACを設け、内側塗装層ACの上に銀面薄膜塗装層ADを設け、銀面薄膜塗装層ADの上に外側塗装層AEを設けて構成することができる。外側塗装層AEとして、カラークリア塗料で作成したものを採用してもよい。また、選択する樹脂塗料についても任意である。
【0052】
または、図2(b)に示すように、最内側塗装層ABを設け、最内側塗装層ABの上から内側塗装層ACを設け、内側塗装層ACの上に銀面薄膜塗装層ADを設け、銀面薄膜塗装層ADの上に外側塗装層AEを設けて、外側塗装層AEの上にカラークリア層AFを形成し、そのカラークリア層AFの上に透明クリア層AGを形成して構成することができる。
ただし、この場合には、最内側塗装層ABを設けずに、内側塗装層ACを直接リールボディ12の表面に塗装してもよい。
【0053】
〔第3実施形態〕
ここでは、上記した塗装形態を自転車Cに適用する形態について説明する。図10に示すように、自転車Cは、前後車輪26に支持されたサスペンションフレーム23と、そのサスペンションフレーム23の上部に取付られているハンドルフレーム24と、サスペンションフレーム23等を備えるボディフレーム22とで構成されている。ボディフレーム22の中間部のシートチューブ22Aには外装変速装置用のフロントディレーラ21が取り付けられ、ボディフレーム22の後端部には、リアーディレーラ25が取付けられている。
【0054】
前記した前車輪26のホイール部を繊維強化樹脂で形成し、そのホイール部に第1実施形態で記載した塗装を施すことは効果的である。つまり、図2(a)(b)に示すように、最内側塗装層ABを設け、最内側塗装層ABの上から内側塗装層ACを設け、内側塗装層ACの上に銀面薄膜塗装層ADを設け、銀面薄膜塗装層ADの上に外側塗装層AEを設ける構成をとってもよい。
また更に、外側塗装層AEの上にカラークリア層AFと透明クリア層AGとを重ねて形成してもよいが、形成するか否かについては、任意に選択することが可能である。また、選択する樹脂塗料についても任意である。
【0055】
特に大きな荷重を担うボディフレーム22には、図2(c)で示すように、第1外側塗装層AE1と第2外側塗装層AE2の二層構造を含む塗装構造を採用し、比較的荷重負担の少ないハンドルフレーム24等には、図2(a)で示す、外側塗装層AEの一層構造を含む塗装構造を適用することができる。
上記したように、ボディフレーム22等の繊維強化樹脂製のパイプに形成することによって、自転車重量の軽量化が達成され、上記した銀面での装飾性の向上によって、高級感のある自転車を提供できる。
【0056】
〔第4実施形態〕
部品の軽量化、及び、表面耐食性の向上だけを目的とする場合には、鏡面薄膜塗装層ADを直接部品表面に施し、その鏡面薄膜塗装層ADの上に、外側塗装層AEと透明クリア層AF、又は、外側塗装層AEの一層だけ設ける構成をとってもよい。
【0057】
〔別実施形態〕
(1) 第1実施形態で記載した塗装を施す対象としては、釣り具としてのクーラーボックス、ルアー、竿掛け、釣り糸ガイド等に適用することができる。
(2) 部品表面に形成される塗装構造としては、最内側塗装層ABはなくてもよく、内側塗装層ACを直接部品表面に施されるものでもよい。特に、穂先竿等で竿重量の軽量化を目的とする場合には、内側塗装層ACを直接部品表面に施し、最外側塗装層としての透明クリア層も一層だけでもよい。
(3) 外側塗装層AEとしては、図2(c)に示すように、二層に形成してもよい。つまり、鏡面薄膜塗装層ADの上に第1外側塗装層AE1を形成し、その第1外側塗装層AE1の上に第2外側塗装層AE2を形成することができる。第1外側塗装層AE1と第2外側塗装層AE2とに採用する樹脂塗料としては、外側塗装層AEとして採用した、アクリルウレタン樹脂塗料、アクリルシリコン樹脂塗料のいずれか一方、または、アクリルウレタン樹脂塗料とアクリルシリコン樹脂塗料との両方を使用することができる。
しかも、第1外側塗装層AE1と第2外側塗装層AE2とを同じ樹脂塗料を使用する必要はなく、異なるものに適用してもよい。なお、この二層構造のものは、元竿等に使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本願発明は、釣り具のみならず、繊維強化樹脂製の部品を有する自転車用部品にも適用できる。
【符号の説明】
【0059】
4 中間竿(部品本体)
5 元竿(部品本体)
12 リールボディ(部品本体)
14 ロータ(部品本体)
22 ボディフレーム(部品本体)
24 ハンドルフレーム(部品本体)
AB 最内側塗装層
AC 内側塗装層
AD 銀面薄膜塗装層
AE 外側塗装層
AE1 第1外側塗装層
AE2 第2外側塗装層
AF カラークリア層
AG 透明クリア層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化樹脂製の部品本体表面に、内側塗装層、その内側塗装層の上に銀面薄膜塗装層、その銀面薄膜塗装層の上に外側塗装層を積層し、
前記内側塗装層を、
(1) イソシアネート基とヒドロキシル基との反応によって形成される二液性の樹脂塗料と、
(2) アミノ基を持つ樹脂とエポキシ基を持つシリコン化合物とを反応させて形成される二液性の樹脂塗料と、
(3) 前記(1)の反応と前記(2)の反応が同時におこる二液性又は三液性の樹脂塗料と、
(4) エポキシ樹脂塗料と、
のいずれか一つを選択して形成し、
前記外側塗装層を、
(1) イソシアネート基とヒドロキシル基との反応によって形成される二液性の樹脂塗料と、
(2) アミノ基を持つ樹脂とエポキシ基を持つシリコン化合物とを反応させて形成される二液性の樹脂塗料と、
(3) 前記(1)の反応と前記(2)の反応が同時におこる二液性又は三液性の樹脂塗料と、
のいずれか一つを選択して形成し、
前記銀面薄膜塗装層を、アミンを配位子とする銀金属錯体で形成し、前記銀金属錯体を加熱することによって前記銀面薄膜塗装層を形成する釣り具用部品の装飾構造。
【請求項2】
繊維強化樹脂製の部品本体表面に、内側塗装層、その内側塗装層の上に銀面薄膜塗装層、その銀面薄膜塗装層の上に外側塗装層を積層し、
前記内側塗装層を、
(1) イソシアネート基とヒドロキシル基との反応によって形成される二液性の樹脂塗料と、
(2) アミノ基を持つ樹脂とエポキシ基を持つシリコン化合物とを反応させて形成される二液性の樹脂塗料と、
(3) 前記(1)の反応と前記(2)の反応が同時におこる二液性又は三液性の樹脂塗料と、
(4) エポキシ樹脂塗料と、
のいずれか一つを選択して形成し、
前記外側塗装層を、
(1) イソシアネート基とヒドロキシル基との反応によって形成される二液性の樹脂塗料と、
(2) アミノ基を持つ樹脂とエポキシ基を持つシリコン化合物とを反応させて形成される二液性の樹脂塗料と、
(3) 前記(1)の反応と前記(2)の反応が同時におこる二液性又は三液性の樹脂塗料と、
のいずれか一つを選択して形成し、
前記銀面薄膜塗装層を、アミンを配位子とする銀金属錯体で形成し、前記銀金属錯体を加熱することによって前記銀面薄膜塗装層を形成する自転車用部品の装飾構造。
【請求項3】
前記銀金属錯体を加熱することによって銀のナノ粒子を析出させ、かつ、その銀のナノ粒子を連結固着させて、前記銀面薄膜塗装層を形成する請求項1記載の釣り具用部品の装飾構造。
【請求項4】
前記銀金属錯体を加熱することによって銀のナノ粒子を析出させ、かつ、その銀のナノ粒子を連結固着させて、前記銀面薄膜塗装層を形成する請求項2記載の自転車用部品の装飾構造。
【請求項5】
前記銀面薄膜塗装層の厚さは、0.02ミクロンから0.4ミクロンの範囲にある請求項1又は3記載の釣り具用部品の装飾構造。
【請求項6】
前記銀面薄膜塗装層の厚さは、0.02ミクロンから0.4ミクロンの範囲にある請求項2又は4記載の自転車用部品の装飾構造。
【請求項7】
前記銀面薄膜塗装層と前記内側塗装層との間に樹脂塗料内に銀が混入する内混合傾斜層と、前記銀面薄膜塗装層と前記外側塗装層との間に樹脂塗料内に銀が混入する外混合傾斜層とを形成し、前記内混合傾斜層及び前記外混合傾斜層において、銀の樹脂塗料内に混入する割合いが、前記銀面薄膜塗装層に近接する程高い割合いである請求項1、3、又は5記載の釣り具用部品の装飾構造。
【請求項8】
前記銀面薄膜塗装層と前記内側塗装層との間に樹脂塗料内に銀が混入する内混合傾斜層と、前記銀面薄膜塗装層と前記外側塗装層との間に樹脂塗料内に銀が混入する外混合傾斜層とを形成し、前記内混合傾斜層及び前記外混合傾斜層において、銀の樹脂塗料内に混入する割合いが、前記銀面薄膜塗装層に近接する程高い割合いである請求項2、4、又は6記載の自転車用部品の装飾構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−235707(P2012−235707A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105052(P2011−105052)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】