説明

釣用靴及び靴底材

【課題】釣場におけるあらゆる環境下においても優れた滑止効果を発揮すると共に継続して使用された場合であっても滑止効果が維持される釣用靴及びこれに使用される靴底材を提供すること。
【解決手段】釣用靴10は、靴底材13を備える。靴底材13は、フェルト部材34と、ゴムピン35と、ゴムピン35よりも外径寸法が小さいゴムピン85と、取付板部33とを有する。フェルト部材34は、靴本体の外底部に対応する形状に形成され、当該外底部に着脱自在に取り付けられる。靴底材13に波形の5本の切込44〜48が横方向に延設されている。フェルト部材34は、切込44,45によって後方部56と中間部57と前方部58に分けられている。外径寸法の大きいゴムピン35は、後方部56の周縁部位63と、前方部58の中央部位64、内側部位65及び外側部位66に設けられている。他の部位にはゴムピン85が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣用靴、特に釣用靴の靴底に使用される靴底材の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば磯釣りや川釣りにおいては、釣人は石や岩(磯)の上を歩行する。このような釣場の石や岩は、一般に濡れていることが多く、またコケやノリ等が付着していることも多い。そのため、釣人が着用する釣用靴の靴底は、歩行の際に滑らないように従来からさまざまな改良が加えられている(例えば、特許文献1〜特許文献8参照)。
【0003】
具体的には、従来の釣用靴には、(ア)靴底材がフェルトから構成されているもの、(イ)靴底にスパイクピンが設けられているもの、(ウ)靴底にゴムピンが設けられているもの、(エ)靴底に吸盤が設けられているもの、(オ)フェルトからなる靴底にスパイクピン又はゴムピンが設けられているもの等がある。これらの改良が施された釣用靴は、それぞれ一定の条件下(釣場の環境下)においては一定の滑止効果を発揮する。すなわち、例えば磯が平坦な岩からなり、あまり濡れていない場合には、靴底材がフェルトから構成されているものが好ましいし、磯に柔らかいコケやノリが生え、常時濡れているような場合には、靴底にスパイクピンが設けられているものが好ましい。
【0004】
【特許文献1】特開2006−296624号公報
【特許文献2】特開2006−289063号公報
【特許文献3】特開2002−282009号公報
【特許文献4】特開2001−197903号公報
【特許文献5】特開平10−42905号公報
【特許文献6】実開平4−4803号公報
【特許文献7】実開平1−126101号公報
【特許文献8】実開昭63−191905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
釣人の多くの経験から、靴底がフェルトからなり且つ靴底にゴムピンが設けられている釣用靴は、あらゆる状況において総合的に高い滑止効果を発揮するとされている(特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、フェルトとゴムとの物性(特に耐摩耗性)が異なることから、釣用靴が継続して使用された場合に、靴底のフェルト部分の摩耗量とゴムピンの摩耗量とが一致せず、ゴムピンが靴底から突出する傾向にある。ゴムピンが靴底から突出した場合には、ゴムピンと釣場(磯等)とが強く接触し、フェルト部分が磯と接触し難くなる。そのため、フェルトが発揮する滑止効果、例えば釣人が平坦な岩の上を歩行する際の滑止効果が低下するという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、釣場におけるあらゆる環境下においても優れた滑止効果を発揮すると共に継続して使用された場合であっても滑止効果が維持される釣用靴及びこれに使用される靴底材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 上記目的が達成されるため、本発明に係る釣用靴は、釣人の足が挿入され得る靴本体と、当該靴本体の外底面に設けられた靴底材とを有する。この靴底材は、上記外底面に取り付けられたフェルトからなる靴底本体と、表面を備え、当該表面が靴底に露出するように上記靴底本体に設けられた複数のゴムピンとを有する。靴底本体は、釣人の足の中足部から指先側部分に対応する前方部、釣人の足の足根部のうち踵部分に対応する後方部及び両者を連続するように両者間に配置された中間部を備える。ゴムピンは、デュロメータA型硬度20〜40のブチルゴムからなる。上記前方部の中央部位、上記前方部のうち釣人の第1中足骨の先端に対応する内側部位、上記前方部のうち釣人の第5中足骨の先端に対応する外側部位及び上記後方部の周縁部位に配置されたゴムピンの表面の面積は、その他の部位に配置されたゴムピンの表面の面積の1.5倍〜4.0倍に設定されている。
【0009】
釣人は、足を靴本体に挿入して、釣用靴を着用する。釣人が釣用靴を着用して歩行すると、靴底本体が釣場の石や岩に圧接する。このとき、ゴムピンが靴底に露出しているから、フェルトからなる靴底本体及びゴムピンの表面が石や岩に圧接される。しかも、このゴムピンが上記硬度のブチルゴムからなるので、このゴムピンは容易に変形して釣場の岩等に対して確実にグリップする。
【0010】
釣人が釣用靴を着用して歩行する際に、釣人の体重が最も大きく作用する部位は、前方部の中央部位、内側部位、外側部位、及び後方部の周縁部位である。したがって、これらの部位は、フェルトからなる靴底本体の摩耗が激しい。本発明の釣用靴では、これらの部位に配置されたゴムピンの表面面積が他の部位に配置されたゴムピンの表面面積よりも大きい。したがって、中央部位、内側部位、外側部位、及び後方部の周縁部位の各部位では、靴底本体の接地面積が他の部位に比べて相対的に小さくなっている。そのため、釣人の体重が最も大きく作用する部位における靴底本体の急激な摩耗が防止される。その結果、釣人の体重が最も大きく作用する部位とそれ以外の部位との間で、靴底本体の摩耗が均一になる。つまり、靴底本体全体が均一に摩耗する。また、ゴムピンの摩耗量とと靴底本体の摩耗量が略一致するため、継続して釣用靴が使用された場合でも、靴底本体とゴムピンの双方の滑止効果を維持することが可能となる。
【0011】
上記前方部の先端近傍に配置されているゴムピンは、外径が5mm〜10mmである円柱状に形成されていることが好ましい。
【0012】
上記前方部の面積のうち上記ゴムピンの表面の面積が占める割合は、5%〜15%であることが好ましい。
【0013】
また、上記後方部の面積のうち上記ゴムピンの表面の面積が占める割合は、5%〜15%であることが好ましい。
【0014】
また、上記中間部の面積のうち上記ゴムピンの表面の面積が占める割合は、1%〜5%であることが好ましい。
【0015】
上記靴底本体は、上記靴底に開口するゴムピン収容室を有し、上記ゴムピンは、上記ゴムピン収容室に圧入されていることが好ましい。この構成では、ゴムピンのみが別部材として構成され、簡単に靴底本体に組み付けられる。その結果、釣用靴の構造が簡単となり、製造コストの大幅な上昇が回避される。
【0016】
上記ゴムピンの表面及び当該表面に連続する面は、上記靴底本体に対して相対的に変位可能となっていることが好ましい。釣人が歩行すると、靴底本体が変形する。したがって、仮にゴムピンの上記各面が靴底本体に対して相対的に変位できなければ、釣人の歩行時にゴムピンの変形が規制されてしまい、その結果、釣場の岩等に対する十分なグリップ力が得られなくなる。しかし、この構成では、ゴムピンの変形が許容されるので、歩行時において高い滑止効果が発揮される。
【0017】
上記靴底材は、上記靴本体の外底面と対向する上記靴底本体の上面を覆う取付部材がさらに備えられており、当該取付部材は、上記靴本体の外底面に着脱自在に設けられているのが好ましい。この場合、靴底材は靴本体に着脱自在となっているから、仮に当該靴底材が摩耗した場合には、これのみが交換され得るという利点がある。また、上記ゴムピン収容室は、上記靴底本体に設けられた貫通孔から構成され得る。そして、上記ゴムピンの上記取付部材と対向する面のみが、当該取付部材に固着されているのが好ましい。この場合、ゴムピンは、上記貫通孔に挿入され、例えば接着剤等によって上記取付部材に固着される。このため、ゴムピンを靴底本体に組み付ける作業がきわめて簡単になるという利点がある。特に、上記ゴムピンの上記取付部材と対向する面にフランジが設けられているのが好ましい。このフランジが設けられることにより、上記ゴムピンを靴底本体に組み付ける作業が一層簡単になる。具体的には、上記ゴムピンは、靴底本体の靴本体側から上記貫通孔に挿通され、上記フランジが靴底本体に当接されることにより、当該靴底本体に位置決め状態で保持される。そして、この状態で当該フランジを挟み込むように当該靴底本体の上面に上記取付部材が設けられる。
【0018】
上記ゴムピンの表面は、上記靴底から1mm〜3mmの範囲で突出しているのが好ましい。この構成では、靴底本体が釣場の石や岩に圧接されると、ゴムピンが変形して当該石等を把持するように確実に係合する。したがって、より高い滑止効果が発揮される。
【0019】
上記ゴムピンの表面に所定深さの細溝が設けられているのが好ましい。これにより、上記石や岩が濡れている場合であっても、当該石等とゴムピンとの間に存在する水は、上記細溝から排水される。これにより、より一層高い滑止効果が発揮される。この細溝は、上記ゴムピンの表面に十字形に形成されているのが好ましい。これにより、より高い排水効果が発揮されるという利点がある。
【0020】
(2) 上記目的が達成されるため、本発明に係る靴底材は、靴本体の外底面に設けられる靴底材であって、フェルトからなる靴底本体と、表面を備え、当該表面が靴底に露出するように上記靴底本体に設けられた複数のゴムピンとを有する。靴底本体は、釣人の足の中足部から指先側部分に対応する前方部、釣人の足の足根部のうち踵部分に対応する後方部及び両者を連続するように両者間に配置された中間部を備える。ゴムピンは、デュロメータA型硬度20〜40のブチルゴムからなる。上記前方部の中央部位、上記前方部のうち釣人の第1中足骨の先端に対応する内側部位、上記前方部のうち釣人の第5中足骨の先端に対応する外側部位及び上記後方部の周縁部位に配置されたゴムピンの表面の面積は、その他の部位に配置されたゴムピンの表面の面積の1.5倍〜4.0倍に設定されている。
【0021】
この構成によれば、靴底本体が釣場の石や岩に接触すると、ゴムピンが靴底に露出しているから、フェルトからなる靴底本体及びゴムピンの表面が石や岩に接触する。しかも、このゴムピンが上記硬度のブチルゴムからなるので、このゴムピンは容易に変形して釣場の岩等に対して確実にグリップする。
【0022】
釣人が釣用靴を着用して歩行する際に、最も大きな荷重がかかる部位は、前方部の中央部位と内側部位と外側部位、及び、後方部の周縁部位である。したがって、これらの部位は、フェルトからなる靴底本体の摩耗が激しい。本発明は、これらの部位に配置されたゴムピンの表面面積が他の部位に配置されたゴムピンの表面面積よりも大きい。したがって、上記各部位では、靴底本体の接地面積が他の部位に比べて相対的に小さくなる。そのため、最も大きな荷重がかかる部位における靴底本体の急激な摩耗が防止される。その結果、大きな荷重がかかる部位とそれ以外の部位との間で、靴底本体の摩耗が均一になる。つまり、靴底本体全体が均一に摩耗する。
【0023】
上記前方部の先端近傍に配置されているゴムピンは、外径が5mm〜10mmである円柱状に形成されていることが好ましい。
【0024】
上記前方部の面積のうち上記ゴムピンの表面の面積が占める割合は、5%〜15%であることが好ましい。
【0025】
また、上記後方部の面積のうち上記ゴムピンの表面の面積が占める割合は、5%〜15%であることが好ましい。
【0026】
また、上記中間部の面積のうち上記ゴムピンの表面の面積が占める割合は、1%〜5%であることが好ましい。
【0027】
上記靴底本体は、当該靴底本体の下面に開口するゴムピン収容室を有し、上記ゴムピンは、上記ゴムピン収容室に圧入されていることが好ましい。この構成では、ゴムピンのみが別部材として構成され、簡単に靴底本体に組み付けられる。その結果、靴底材の構造が簡単となり、製造コストの上昇が抑えられる。
【0028】
上記ゴムピンの表面及び当該表面に連続する面は、上記靴底本体に対して相対的に変位可能となっているのが好ましい。当該靴底材は、実際の使用時には、釣人が歩行することに起因して、強制的に且つ周期的に変形が繰り返される。したがって、仮にゴムピンの上記各面が靴底本体に対して相対的に変位することができなければ、当該靴底材の変形時においてゴムピンの変形が規制されてしまい、その結果、釣場の岩等に対する十分なグリップ力が得られなくなる。しかし、この構造では、十分にゴムピンの変形が許容されることになるので、高い滑止効果が発揮される。
【0029】
上記靴本体の外底面と対向する上記靴底本体の上面を覆い且つ上記靴本体の外底面に着脱自在に係合する取付部材がさらに備えられていることが好ましい。この場合、当該靴底材は靴本体に着脱可能であるから、仮に当該靴底材が摩耗した場合には、これのみが交換され得るという利点がある。また、上記ゴムピン収容室は、上記靴底本体に設けられた貫通孔から構成され得る。そして、上記ゴムピンの上記取付部材と対向する面のみが、当該取付部材に固着されているのが好ましい。この場合、ゴムピンは、上記貫通孔に挿入され、例えば接着剤等によって上記取付部材に固着される。このため、ゴムピンを靴底本体に組み付ける作業がきわめて簡単になるという利点がある。特に、上記ゴムピンの上記取付部材と対向する面にフランジが設けられているのが好ましい。このフランジが設けられることにより、上記ゴムピンを靴底本体に組み付ける作業が一層簡単になる。具体的には、上記ゴムピンは、上記貫通孔に挿通され、上記フランジが靴底本体に当接されることにより、当該靴底本体に位置決め状態で保持される。そして、この状態で当該フランジを挟み込むように当該靴底本体の上面に上記取付部材が設けられる。
【0030】
上記ゴムピンの表面は、上記靴底から1mm〜3mmの範囲で突出しているのが好ましい。この構成では、靴底本体が釣場の石や岩に圧接されると、ゴムピンが変形して当該石等を把持するように確実に係合する。したがって、より高い滑止効果が発揮される。しかも、ゴムピンが上記のように突出していることにより、靴底本体の摩耗速度とゴムピンの摩耗速度とがほぼ一致する。したがって、高い滑止効果が持続するという利点がある。
【0031】
上記ゴムピンの表面に所定深さの細溝が設けられているのが好ましい。これにより、上記石や岩が濡れている場合であっても、当該石等とゴムピンとの間に存在する水は、上記細溝から排水される。これにより、より一層高い滑止効果が発揮される。この細溝は、上記ゴムピンの表面に十字形に形成されているのが好ましい。これにより、より高い排水効果が発揮されるという利点がある。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、フェルトからなる靴底本体及びゴムピンが釣場の岩等に確実にグリップするので、これらが協働することにより、釣場の状況にかかわらず高い滑止効果が発揮される。また、大きな荷重がかかる部位に配置されたゴムピンの表面面積を他の部位に配置されたゴムピンよりも大きくしているので、当該部位における靴底本体の急激な摩耗が防止される。これにより、靴底本体の摩耗が均一となり、継続して釣用靴が使用された場合であっても滑止効果が維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0034】
〈第1の実施形態〉
図1は、本発明の第1の実施形態に係る釣用靴の斜視図であり、図2は、この釣用靴の要部拡大断面図である。
【0035】
この釣用靴10は、例えば磯釣りや川釣り等において釣人が釣り場を安全に歩行等するために着用するものである。本実施形態に係る釣用靴10の特徴とするところは、釣用靴10のソール部分の構造である。すなわち、釣用靴10が後述の靴底材13を備えることによって、釣り場の歩行における高い滑止効果が発揮されるようになっている。なお、釣人は、左右対称に形成された一対の釣用靴10を着用するが、説明の簡略化のために、以下では、右脚用の釣用靴10の構造のついて説明される。
【0036】
釣用靴10は、靴本体11と、靴本体11の外底面31に設けられた靴底材13とを備えている。靴本体11は、下部にミッドソール部12を備えており、このミッドソール部12に靴底材13が取り付けられている。
【0037】
靴本体11は、内布14と、本体ゴム15と、補強ゴム16〜20と、中敷21とを有する。
【0038】
内布14は、例えばナイロンその他ポリエステル等からなり、靴本体11の内壁面を構成している。内布14がナイロンその他ポリエステルにより構成されることによって、釣人にとって、釣用靴10を履いたときの履き心地が良い。中敷21は、内布14の内底部に配置されている。内布14の内底部は、釣人が釣用靴10を履いたときに足の裏部分が載置される載置部23を構成している。中敷21は、例えば、発泡エチレン酢酸ビニル共重合体(発泡EVA)、発泡ポリウレタン(発泡PU)、発泡ポリエチレン(発泡PE)、スポンジ等により構成されている。このため、釣人が釣用靴10を履いたときに、当該釣用靴10が足にフィットし、釣人にとって一層履き心地の良いものとなる。ただし、中敷21は、省略されていてもよい。
【0039】
本体ゴム15は、内布14の底部を除く外周面を囲繞するように配置されている。本体ゴム15は、靴本体11の骨格を形成している。本体ゴム15としては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリ塩化ビニル(PVC)その他合成ゴム等が採用される。補強ゴム16は、靴本体11の先端部(爪先側)を被うように配置されており、当該部分を補強している。補強ゴム16としては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリ塩化ビニル(PVC)その他合成ゴム等が採用される。補強ゴム17は、靴本体11の後端部(踵側)を被うように配置されており、当該部分を補強している。この補強ゴム17は、特に肉厚部22を備えている。この肉厚部22は、釣人が釣用靴10を履いたときに釣人の踵の後方に該当する部分に設けられており、釣人の踵部分の安全が確保されている。補強ゴム17としては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリ塩化ビニル(PVC)その他合成ゴム等が採用される。
【0040】
補強ゴム18は、靴本体11の底部の近傍に配置され、靴本体11の周方向に沿って配置されている。つまり、この補強ゴム18は、靴本体11の下縁部を囲繞するように配置されており、靴本体11の先端部及び後端部をさらに補強している。この補強ゴム18としては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリ塩化ビニル(PVC)その他合成ゴム等が採用される。補強ゴム19は、上記補強ゴム18の外側に配置されている。補強ゴム19は、靴本体11の底部の近傍に設けられており、靴本体11の周方向に沿って配置されている。これにより、補強ゴム19は、靴本体11の先端部及び下端部をより一層補強しており、釣用靴10の耐久性及び安全性が向上されている。この補強ゴム19としては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリ塩化ビニル(PVC)その他合成ゴム等が採用される。補強ゴム20は、靴本体11の上部開口部36(釣人の脚が挿入される部分)の周縁部に配置されている。この補強ゴム20は、当該周縁部を補強している。この補強ゴム20としては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリ塩化ビニル(PVC)その他合成ゴム等が採用される。
【0041】
ミッドソール部12は、上記内布14の外側の底面24に配置されている。ただし、靴本体11の底面周縁部に補強シート25が配設されている。このため、ミッドソール部12は、この補強シート25を挟んで上記底面24に固着されている。ミッドソール部12は、基部26と、シート部材27と、クッション部材28とを有する。基部26は、例えば合成ゴム等により構成されており、その外形形状は、上記底面24の形状に対応している。シート部材27は、基部26の上面に配置され、このシート部材27の上面にクッション部材28が配置されている。言い換えると、基部26、シート部材27及びクッション部材28は、順に積層されており、これらが一体となって上記内布14の外側の底面24に取り付けられている。この基部26の底面が靴本体11の外底面31を構成している。この外底面31は、後に詳述される靴底材13が装着されるための凹部32を備えている。
【0042】
シート部材27は、板材からなる。シート部材27を構成する材料は、例えば、樹脂が含浸された紙材のほか、ラバー、フェルト、プラスチック、金属等が採用され得る。クッション部材28は、発泡エチレン酢酸ビニル共重合体、発泡合成ゴム、発泡天然ゴム、発泡ウレタン、フェルト材等の発泡成形部材により構成されている。なお、本実施形態では、シート部材27の上面にクッション部材28が積層されているが、基部26の上面にクッション部材28が配置され、その上面にシート部材27が配置されていてもよい。ただし、これらシート部材27及びクッション部材28は、省略されていてもよい。
【0043】
図3は、靴底材13の一部分解斜視図である。
【0044】
靴底材13は、靴本体11の外底面31(図2参照)に取り付けられている。この靴底材13は、上記外底面31に対して着脱可能に取り付けらる。図3が示すように、靴底材13は、取付板部33(取付部材)と、取付板部33に設けられたフェルト部材34(靴底本体)と、取付板部33に立設された寸法違いの2種類のゴムピン35,85とを有する。
【0045】
フェルト部材34は、上記靴本体11の外底面31に対応する形状に形成されている。具体的には、フェルト部材34の外形形状は、上記外底面31に設けられた凹部32にぴったりと嵌め合わされるように形成されている。フェルト部材34の肉厚寸法は、10.0mm〜20.0mmに設定されている。フェルト部材34は、繊維が立体的に且つ方向の規則性なく集合されることによって構成されている。繊維の種類は、例えばナイロンその他ポリエステル等の合成繊維のほか、やしがら繊維や麻等の天然繊維が採用され得る。また、取付板部33は、薄肉平板状の部材であって、フェルト部材34の上面39(図3では、フェルト部材34の下側の面)を覆っている。取付板部33は、例えば、ナイロンその他ポリエステル等の合成繊維を含む不織布からなる。
【0046】
本実施形態では、この取付板部33と上記凹部32の壁面との間に面ファスナー機構が構成されている。すなわち、取付板部33の表面(図3では、下側の面)では、繊維がループ状に形成されており、上記凹部32の内面では、繊維がフック状に形成されている。したがって、靴底材13が上記凹部32に嵌め込まれたときに、取付板部33が上記凹部32の壁面に一定の保持力で着脱自在に係合する。これにより、靴底材13は、一定の保持力でミッドソール部12に着脱自在に保持されることになる。もっとも、取付板部33がループテープから構成され、上記凹部32に、このループテープと係合するフックテープが設けられていてもよい。
【0047】
図3が示すように、フェルト部材34の下面40に切込44〜48が設けられている。これら切込44〜48は、フェルト部材34の横方向に延びている。各切込44〜48は、横方向に切り込まれることによって構成されており、スリット状に形成されていてもよい。本実施形態では、5本の切込44〜48が設けられており、フェルト部材34の縦方向に並設されている。ただし、切込の数は特に限定されるものではなく、3本〜15本の範囲で適宜設けられる。ここで、上記「縦方向」とは、釣人がこの釣用靴10を履いた状態において当該釣人の足の長さ方向(爪先と踵とを結ぶ方向)であって、図3において、靴底材13の長手方向である。また、上記「横方向」とは、上記縦方向に対して直交する方向であって、釣人の足の幅方向である。
【0048】
各切込44〜48は、横方向に延びる波形に形成されている。また、各切込44〜48の深さ寸法dは、本実施形態では、12mmに設定されている。ただし、この深さ寸法dは、フェルト部材34の肉厚寸法Dの60%〜95%の範囲で適宜設定され得る。この深さ寸法dは、好ましくは上記肉厚寸法Dの80%〜95%であり、より好ましくは、90%〜95%である。なお、図3では、切込47についてのみ寸法線が記入されているが、他の切込44〜48についても同様である。各切込44〜48が波形に形成されていること、及び各切込44〜49の深さ寸法dが上記寸法に設定されていることによる作用効果については、後に詳述される。
【0049】
フェルト部材34は、切込44及び切込45が設けられることによって、後方部56と中間部57と前方部58の3つの部位に分けられる。具体的には、フェルト部材34の周縁と切込44とによって後方部56が区画される。切込44と切込45とによって中間部57が区画される。また、切込45とフェルト部材34の周縁とによって前方部58が区画される。
【0050】
後方部56は、フェルト部材34の最も後方側に配置されている。この後方部56は、釣人の足の骨格を形成する足根部のうち踵部分の骨(踵骨)に対応する位置に配置されている。言い換えれば、切込44は、釣人の足の踵部分と窪み部分(足底弓蓋)との境界付近に設けられている。したがって、釣用靴10が着用された状態で、後方部56は釣人の踵付近を支持する。
【0051】
前方部58は、釣人の足の骨格を形成する中足部から足指に至る部分に対応する位置に配置されている。言い換えれば、切込45は、中足部を構成する5つの中足骨と足根部との接続部分に沿って設けられている。
【0052】
前方部58は、更に4つの部位59〜62に分けられる。部位59〜62は、中間部57から縦方向へ順次配列されている。部位59は、切込45と切込46とによって区画されている。部位60は、切込46と切込47とによって区画されている。部位61は、切込47と切込48とによって区画されている。そして、最も前方側に位置する部位62は、切込48とフェルト部材34の周縁とによって区画されている。部位59〜62は、縦方向に概ね同じ幅寸法に形成されている。言い換えれば、切込45〜48は、縦方向に均等幅に設けられている。
【0053】
中間部57は、前方部58と後方部56との間に配置されている。フェルト部材34は、後方部56から中間部57、そして前方部58に渡って連続している。
【0054】
本実施形態では、ゴムピン35は、外径寸法が約14.0mmの円柱状に形成されており、また、ゴムピン85は、外径寸法が約9.0mmの円柱状に形成されている。したがって、ゴムピン35の表面38(靴底に露出する面)の面積は、ゴムピン85の表面88の面積の約1.5倍となっている。これらのゴムピン35,85は、フェルト部材34に埋め込まれている。なお、ゴムピン35の外径は、10.0mmより大きく20.0mmより小さい範囲内であれば、適宜の寸法に設定可能である。また、ゴムピン85の外径は、5.0mmより大きく10.0mmより小さい範囲内であれば、適宜の寸法に設定可能である。ただし、上記外径寸法の範囲内で、ゴムピン35の表面38(靴底に露出する面)の面積が、ゴムピン85の表面88の面積の1.5倍から4.0倍となるように各ゴムピン35,85が設計されていることを要する。なお、全てのゴムピン35の表面38の面積がゴムピン85の表面88の面積に対して同じ面積比である必要はなく、1.5倍から4.0倍の範囲内において各ゴムピン35ごとに個別に設定可能である。
【0055】
ゴムピン35,85の硬度は、10〜60の範囲に設定され得る。この場合の硬度とは、JIS K 6263に準拠したデュロメータA型硬度である。ただし、ゴムピン35,85の硬度は、15〜45に設定されるのが好ましく、さらに、20〜40に設定されるのがより好ましい。そして、ゴムピン35,85を構成するゴムは、イソブチレンに所定量のイソプレンを共重合した合成ゴム(いわゆるブチルゴム)が採用されている。本実施形態では、ゴムピン35,85は、ポリマーの主成分をブチルとする配合ゴムから構成されている。
【0056】
本実施形態では、図3が示すように、フェルト部材34には、8本のゴムピン35と10本のゴムピン85が設けられている。ただし、ゴムピン35,85の数はこれに限定されるものではなく、ゴムピン35及びゴムピン85を合計して5本〜30本の範囲で適宜設定され得る。
【0057】
フェルト部材34は、ゴムピン35用のゴムピン収容室37(以下「収容室37」と略す。)とゴムピン85用のゴムピン収容室87(以下「収容室87」と略す。)とを合わせて18個の収容室を備えている。これら収容室37,87は、フェルト部材34の下面40(靴底)に開口を有する凹部からなる。言うまでもなく、収容室37の数は、ゴムピン35の個数に対応しており、収容室87の数は、ゴムピン85の個数に対応している。また、収容室37は、ゴムピン35の外形形状に対応しており、収容室87は、ゴムピン85の外形形状に対応している。本実施形態では、収容室37,87の内壁面形状が円柱状に形成されている。収容室37の内径寸法は、ゴムピン35の外径寸法に対応されており、これにより、ゴムピン35は、収容室37に圧入されている。また、収容室87の内径寸法は、ゴムピン85の外径寸法に対応されており、これにより、ゴムピン85は、収容室87に圧入されている。各ゴムピン35,85が収容室37,87に嵌め込まれた状態では、各ゴムピン35の表面38、及び各ゴムピン85の表面88は、フェルト部材34の下面40に露出し、当該下面40と滑らかに連続している。
【0058】
図3が示すように、後方部56には、3つの収容室37と、3つの収容室87とが設けられている。収容室37は、後方部56の周縁部位63に配置されている。詳細には、後方部56において最も釣人の体重が加わる後端部分の周縁部位63に沿って並べられるようにして3つの収容室37が配置されている。これらの収容室37にゴムピン35が圧入されることによって、後方部56に3つのゴムピン35が設けられる。一方、収容室87は後方部56の中央付近に配置されている。これらの収容室87にゴムピン85が圧入されることによって、後方部56の中央付近に3つのゴムピン85が設けられる。本実施形態では、後方部56の面積のうち、ゴムピン35,85の表面38,88の総面積が占める割合は、約12%となるようにゴムピン35,85の数やその外径寸法が定められている。なお、必ずしも後方部56における上記割合が約12%に限定されることはなく、5%〜15%の範囲内で上記割合を適宜設定することが可能である。
【0059】
中間部57には、2つの収容室87が設けられている。これらの収容室87は、横方向に離されて配置されており、詳細には、横方向端部付近に配置されている。これらの収容室87にゴムピン85が圧入されることによって、中間部57に2つのゴムピン85が設けられる。本実施形態では、中間部57の面積のうち、ゴムピン85の表面88の総面積が占める割合は、約4%となるようにゴムピン85の数やその外径寸法が定められている。なお、必ずしも中間部57における上記割合が約4%に限定されることはなく、1%〜5%の範囲内で上記割合を適宜設定することが可能である。
【0060】
前方部58の部位59には2つの収容室37が設けられている。これらの収容室37は、横方向に離された配置されており、詳細には、横方向端部付近に配置されている。これらの収容室37にゴムピン35が圧入されることによって、部位59に2つのゴムピン35が設けられる。
【0061】
部位60には、1つの収容室37と、2つの収容室87とが設けられている。これら収容室37,87は、横方向の略一列に配置されている。詳細には、横方向の両端付近に2つの収容室87が配置されており、2つの収容室87の中間付近に収容室37が配置されている。収容室37の位置は、前方部58において概ね中央付近に一致している。つまり、収容室37は、前方部58の中央部位64に配置されている。この収容室37にゴムピン35が圧入されることによって、部位60の中央、言い換えれば前方部58の中央部位にゴムピン35が設けられる。また、これらの収容室87にゴムピン85が圧入されることによって、部位60に2つのゴムピン85が設けられる。
【0062】
部位61には、2つの収容室37と、1つの収容室87とが設けられている。これら収容室37,87は、横方向の略一列に配置されている。詳細には、横方向の両端付近に2つの収容室37が配置されており、2つの収容室37の中間付近に収容室87が配置されている。2つの収容室37のうち、一方の収容室37の位置は、釣人の第1中足骨の先端に対応する内側部位65に配置されており、他方の収容室37は、釣人の第5中足骨の先端に対応する外側部位66に配置されている。これら収容室37にゴムピン35が圧入されることによって、部位60の内側部位65及び外側部位66にゴムピン35が設けられる。また、収容室87にゴムピン85が圧入されることによって、部位60に1つのゴムピン85が設けられる。
【0063】
部位62には、2つの収容室87が設けられている。これらの収容室87は、横方向に離された配置されており、詳細には、横方向端部付近に配置されている。これらの収容室87にゴムピン85が圧入されることによって、部位62に2つのゴムピン85が設けられる。言い換えれば、前方部58の先端近傍にゴムピン85が設けられる。
【0064】
なお、本実施形態では、前方部58の面積のうち、ゴムピン35,85の表面38,88の総面積が占める割合は、約10%となるようにゴムピン35,85の数やその外径寸法が定められている。なお、必ずしも上記前方部58における上記割合が約10%に限定されることはなく、5%〜15%の範囲内で上記割合を適宜設定することが可能である。
【0065】
本実施形態では、各ゴムピン35は、その上面41(取付板部33と対向する面)のみが取付板部33に固定されている。すなわち、上記収容室37は、フェルト部材34を厚み方向に貫通する貫通孔として構成されており、各ゴムピン35は、この収容室37に嵌め込まれている。しかしながら、ゴムピン35の表面38(靴底に露出する面)及びその周面42(靴底に露出する面と隣り合う面)は、フェルト部材34に固定されていない。これにより、各ゴムピン35の表面38及び周面42は、フェルト部材34に対して相対的に変位することができる。また、同様に、各ゴムピン85は、その上面91のみが取付板部33に固定されているため、ゴムピン85の表面88及びその周面92は、フェルト部材34に固定されていない。これにより、各ゴムピン85の表面88及び周面92は、フェルト部材34に対して相対的に変位することができる。
【0066】
この釣用靴10は、概ね次のようにして製造される。釣用靴10の製造には、足型が用いられる。まず、この足型に上記内布14が被せられる。この内布14を被うように上記本体ゴム15が被せられる。次に、内布14の底部にクッション部材28及びシート部材27が貼り付けられ、さらに、上記補強シート25及び各補強ゴム16〜20が順に貼り付けられる。そして、靴本体11の底部を被うようにミッドソール部12の基部26が貼り付けられる。上記本体ゴム15、各補強ゴム16等及び基部26は、既知の接着剤や加硫処理等によって固着される。中敷21は、靴本体11の上部開口部36から挿入され、靴本体11の内底部に配置される。また、上記靴底材13は、予め別部品として組み立てられる。この靴底材13がミッドソール部12の凹部32に嵌め込まれるだけで、上記面ファスナー機構を介してミッドソール部12に固定される。なお、本実施形態では、靴底材13は着脱自在に靴本体11に取り付けられているが、靴底材13が靴本体11に固定されていてもよい。
【0067】
釣人は、自己の足を上記上部開口部36(図1参照)から挿入することによって、この釣用靴10を履くことができる。釣人が本実施形態に係る釣用靴10を着用して歩行すると、釣人の体重が靴底材13に作用し、フェルト部材34が釣場の石や岩に圧接される。このとき、ゴムピン35の表面38、及びゴムピン85の表面88が靴底に露出しているから、フェルト部材34、ゴムピン35及びゴムピン85が石や岩に圧接される。しかも、このゴムピン35が上記硬度のブチルゴムからなるので、このゴムピン35は容易に変形して釣場の岩等に対して確実にグリップする。すなわち、フェルト部材34、ゴムピン35及びゴムピン88が協働して滑止効果を発揮するので、釣場の状況にかかわらず釣用靴10は、高い滑止効果を発揮する。
【0068】
また、本実施形態では、外径寸法の異なる2種類のゴムピン35,85がフェルト部位剤34に設けられており、特に、釣人の体重が最も大きく作用する中央部位64、内側部位65、外側部位66及び周縁部位63に外径寸法の大きいゴムピン35が配置されている。そのため、中央部位64、内側部位65、外側部位66及び周縁部位63の各部位の近傍におけるフェルト部材34の占める割合が他の部位に比べて小さい。したがって、当該各部位の近傍におけるフェルト部材34の摩耗速度が低下する。その結果、釣人の体重がそれほど作用しない他の部位の摩耗量と、中央部位64、内側部位65、外側部位66及び周縁部位63の各部位との摩耗量とが略同じになり、フェルト部材34が均一に摩耗する。また、フェルト部材34とゴムピン35,85との摩耗量が略一致するため、継続して釣用靴10が使用された場合でも、フェルト部材34及びゴムピン35,85の双方の滑止効果を維持することが可能となる。
【0069】
また、釣人は、この釣用靴10を着用して釣り場を歩行すると、靴底材13に上記切込44〜48が設けられていることから、図3が示すように、この靴底材13は、縦方向(矢印43の方向)にきわめて撓みやすい。そのため、釣人は、釣用靴10を装着した状態でも、足を容易に反らすことができ、これにより、釣り場に散在する石や岩の表面の状態を自己の足の裏で認知しやすくなる。したがって、釣人は、自己の足の接地のしかたを工夫することができ、しかも、靴底材13がフェルトからなることと相まって、この釣用靴10は、釣り場におけるあらゆる環境下においても優れた滑止効果を発揮することができる。
【0070】
さらに、各切込44〜48の深さ寸法dが上記寸法に設定されているので、靴底材13は、上記矢印43の方向にきわめて容易に変形することができる。特に、上記深さ寸法dが上記肉厚寸法Dの90%〜95%に設定されることにより、靴底材13の一定の強度(特に、矢印67に沿うせん断強度)も保たれたうえで、靴底材13が容易に変形するという利点がある。
【0071】
また、上記切込44〜48が波形に形成されているから、釣人が歩行したときは、釣用靴10の底に波形のパターンが形成されると共に、各切込44〜48の縁部にエッジ(角部)が形成される。したがって、靴底材13と石や岩との間の摩擦係数が向上し、歩行時において一層高い滑止効果が発揮される。
【0072】
また、本実施形態では、靴底材13が上記取付板部33を備えており、この取付板部33が靴本体11の外底面31に着脱自在に設けられている。これにより、靴底材13が靴本体11に対して着脱自在となるから、仮に靴底材13が摩耗した場合には、これのみが新品に交換され得るという利点がある。
【0073】
さらに、靴底材13は、ゴムピン35,85がフェルト部材34の収容室37,87に圧入されることによって構成されるから、ゴムピン35,85のみが別部材として構成されることにより、ゴムピン35,85が簡単にフェルト部材34に組み付けられる。その結果、釣用靴10の構造が簡単となり、製造コストの大幅な上昇が回避される。しかも、ゴムピン35,85は、前述されたような円柱状に形成されているから、ゴムピン35,85の構造がきわめて簡単であり、釣用靴10の構造もより簡単なものとなる。
【0074】
特に本実施形態では、ゴムピン35の表面38及び周面42は、フェルト部材34に対して相対的に変位することができる。また、ゴムピン85の表面88及び周面92も、フェルト部材34に対して相対的に変位することができる。ところで、釣人がこの釣用靴10を着用して釣場を歩行した場合には、フェルト部材34が変形する。したがって、仮にゴムピン35の上記表面38及び周面42や、ゴムピン85の上記表面88及び周面92がフェルト部材34に対して相対的に変位することができなければ、釣人の歩行時にゴムピン35,85の変形が規制されてしまい、その結果、釣場の岩等に対する十分なグリップ力が得られなくなる。しかし、この釣用靴10では、十分にゴムピン35,85の変形が許容されることになるので、釣人が釣場を歩き回った場合であっても、高い滑止効果が発揮される。しかも、ゴムピン35,85の変形を許容する構造は、具体的には、ゴムピン35,85が収容室37,87に嵌め込まれ、ゴムピン35,85の上面41,91のみが取付板部33に固定されることにより実現されているから、ゴムピン35,85をフェルト部材34に組み付ける作業がきわめて簡単であるという利点がある。
【0075】
〈第2の実施形態〉
次に、本発明の第2の実施形態が説明される。図4は、本発明の第2の実施形態に係るゴムピン50の斜視図であり、図5は、このゴムピン50の取付要領を示す断面図である。
【0076】
当該第2の実施形態に係る釣用靴が上記実施形態に係る釣用靴10と異なるところは、図4が示すように、ゴムピン50が円柱部51及びフランジ52を備えている点、円柱部51に細溝53、54が設けられている点及びこのゴムピン50は、図5が示すように、フランジ52が取付板部33とフェルト部材34との間に挟み込まれるようにして取り付けられている点である。その他の構成については、上記釣用靴10と同様である。なお、ゴムピン50は、第1の実施形態のゴムピン35に代えて釣用靴に備えられる。
【0077】
ゴムピン50は、上記ゴムピン35,85と同様の材料で形成されている。ゴムピン50の円柱部51は、上記ゴムピン35と同様の形状である。そして、この円柱部51の上面にフランジ52が一体的に形成されている。上記細溝53及び細溝54は、円柱部51の表面38に設けられており、互いに直交している。換言すれば、円柱部51の表面38に十字状の細溝が形成されている。本実施形態では、2本の細溝53,54が設けられ、これらが直交しているが、細溝の数や交差角度等は、特に限定されるものではなく、要するに、円柱部51の表面38に細溝が形成されていればよい。これら細溝53,54の幅寸法dは、0.2mm〜2.0mm程度に設定され得る。また、各細溝53,54は、円柱部51の軸方向に寸法cだけ延びている。この寸法cは、細溝53、54の深さ寸法であり、5mm〜15mm程度に設定され得る。
【0078】
このゴムピン50は、図5が示すようにフェルト部材34のゴムピン収容室37に嵌め込まれている。具体的には、円柱部51がフェルト部材34の上面39側(靴本体11側)から嵌め込まれる。円柱部51にフランジ52が設けられているから、円柱部51がゴムピン収容室37に挿入されると、フェルト部材34の上面39にフランジ52が当接する。そして、この状態で取付板部33がフェルト部材34の上面39に張り付け固定される。すなわち、フランジ52がフェルト部材34と取付板部33との間に挟み込まれ、ゴムピン50が確実にフェルト部材34に固定される。ここで、円柱部51の長さ寸法は、フェルト部材34の厚み寸法よりも長くなるように設定されている。したがって、ゴムピン50がフェルト部材34に取り付けられた状態では、円柱部51の先端部がフェルト部材34の下面40から突出する。この突出寸法aは、1.0mm〜3.0mmに設定される。
【0079】
なお、第1の実施形態のゴムピン85に代えて、円柱部51がゴムピン85と同様の形状に形成されたゴムピン50を釣用靴に備えてもよい。
【0080】
本実施形態では、上記ゴムピン50がフランジ52を備えているので、前述のようにゴムピン50がフェルト部材34に確実に固定されると共に、このゴムピン50をフェルト部材34に組み付ける作業が一層簡単になるという利点がある。
【0081】
また、上記ゴムピン50の表面38がフェルト部材34の下面40から突出しているのフェルト部材34が釣場の石や岩に圧接されると、ゴムピン50が変形して当該石等を把持するように確実に係合する。したがって、より高い滑止効果が発揮される。
【0082】
加えて、ゴムピン50に上記細溝53、54が設けられているので、上記石や岩が濡れている場合であっても、当該石等とゴムピンとの間に存在する水がゴムピン50の周囲へ排出される。これにより、より一層高い滑止効果が発揮される。本実施形態では、この細溝53、54は、ゴムピン50の表面38に十字形に形成されているので、より高い排水効果が発揮されるという利点がある。
【0083】
〈第3の実施形態〉
次に、本発明の第3の実施形態が説明される。図6は、本発明の第3の実施形態に係る釣用靴の要部拡大断面図である。
【0084】
上述の各実施形態では、フェルト部材34と、該フェルト部材34の上面39に覆われた取付板部33とにより靴底材13が構成されているが、本実施形態では、図6が示すように、靴底材13は、フェルト部材34の上面39に底板部材45が配置され、更に該底板部材45の上面に取付板部33が配置された積層構造に形成されている。この場合は、各ゴムピン35の上面41、及びゴムピン85の上面91のみが底板部材45に固定されることで、各ゴムピン35、85がフェルト部材34に取り付けられる。
【0085】
ここに、上記底板部材45は、板材からなるものである。該底板部材45を構成する材料としては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリ塩化ビニル(PVC)その他の合成ゴムのほか、脂が含浸された紙材や、発泡エチレン酢酸ビニル共重合体、発泡合成ゴム、発泡天然ゴム、発泡ウレタン等の発泡成形部材など、種々のものが採用可能であるが、少なくとも、フェルト部材34よりも剛性が高く薄肉状のものであることが好ましい。図6が示す積層構造に形成された靴底材13であれば、フェルト部材34に可撓性の高い材質を用いた場合でも、靴底材13全体の剛性を確保することができる。また、本釣用靴10が使用されてフェルト部材34が摩耗して薄くなった場合でも、靴底材13に必要とされる剛性は底板部材45によって確保され得る。
【0086】
〈第4の実施形態〉
次に、本発明の第4の実施形態が説明される。図7は、本発明の第4の実施形態に係る靴底材73の底面図である。なお、図7では、ゴムピン35,85及び収容室37,87の図示が省略されている。
【0087】
本第4の実施形態に係る靴底材73が、上述の各実施形態に係る靴底材13と異なるところは、靴底材73に設けられた切込74〜78のそれぞれの両端部95〜104が、横方向に沿って真直に形成されている点である。なお、その他の構成については、上記実施形態と同様である。
【0088】
このように、各切込74〜78の端部95〜104は、横方向に沿って真直に延びているので、当該端部95〜104の偏摩耗や破壊が防止される。詳述すれば、上記各切込74〜78が上記端部95〜104まで波形に形成されているとすれば、当該各切込74〜78の端部95〜104は、靴底材73の縁部と鋭角的に交差することになる。このため、釣人が歩行したときには、上記各切込74〜78の端部95〜104が顕著に偏摩耗し、場合によっては破壊されてしまう。しかし、上述のように、各切込74〜78の端部95〜104が真直に形成されることにより、当該端部95〜104の偏摩耗等が防止される。このことは、釣用靴10ないし靴底材73の耐用年数が向上するのみならず、釣用靴10の履き心地がさらに向上するという利点がある。
【0089】
なお、靴底材73の各切込74〜78は、図8及び図9が示すように、V字状の溝から構成されていてもよい。ここに、図8は、本第4の実施形態の変形例に係る靴底材73の底面図であり、図9は、図8におけるIX−IX断面図である。なお、図8及び図9では、ゴムピン35,85及び収容室37,87の図示が省略されている。
【0090】
このように、V字状の溝により各切込74〜78が構成されることによって、図8及び図9が示すように、常時において、靴底材73の下面40(石や岩との接触面)に開口80が形成されることになる。この場合、「常時において」とは、釣人が釣用靴10を履いたまま歩行せずに直立している状態(通常の状態)の意である。常時において上記開口80が形成されるので、釣人は、釣用靴10を履いた状態で足を縦方向に沿って内側にも外側にもきわめて容易に湾曲させることができる。すなわち、釣人は、自己の足の裏によって石や岩を把持するように靴底材73を湾曲させることができる。したがって、釣人は、釣り場の石や岩の表面の状態をより的確に認知することができ、その結果、当該釣用靴10は、なお一層高い滑止効果を発揮するという利点がある。
【0091】
〈第5の実施形態〉
次に、本発明の第5の実施形態が説明される。図10は、本発明の第5の実施形態に係る靴底材83の底面図である。なお、図10では、ゴムピン35,85及び収容室37,87の図示が省略されている。
【0092】
本第5の実施形態に係る靴底材83が上述の各実施形態に係る靴底材13,73と異なるところは、靴底材83に設けられた切込74〜78の端部95〜104が横方向に延びつつ所定角度で傾斜されている点である。本実施形態では、切込74〜78は、上述の第4の実施形態と同様にV字状の溝から構成されている。ただし、この切込74〜78は、上述の第1実施形態に係る切込44〜48と同様の構成であってもよい。なお、その他の構成については、上述の各実施形態と同様である。
【0093】
本実施形態では、上記切込74〜78の端部95〜104は、それぞれ、水平方向に対して異なる角度で傾斜している。このため、各端部95〜104は、靴底材83の縁部84と直交している。したがって、釣人がこの釣用靴10を装着し、歩行した場合であっても、上記切込74〜78の端部95〜104の偏摩耗が確実に防止される。また、上記端部95〜104の破壊は、確実に防止される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、磯や河原で使用される釣用靴に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る釣用靴の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態に係る釣用靴の要部拡大断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施形態に係る釣用靴の靴底材の一部分解斜視図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施形態に係るゴムピンの斜視図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施形態に係るゴムピンの取付要領を示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の第3の実施形態に係る釣用靴の要部拡大断面図である。
【図7】図7は、本発明の第4の実施形態に係る靴底材の底面図である。
【図8】図8は、本発明の第4の実施形態の変形例に係る靴底材の底面図である。
【図9】図9は、図8におけるIX−IX断面図である。
【図10】図10は、本発明の第5の実施形態に係る靴底材の底面図である。
【符号の説明】
【0096】
10・・・釣用靴
11・・・靴本体
12・・・ミッドソール部
13・・・靴底材
31・・・靴本体の外底面
32・・・凹部
33・・・取付板部
34・・・フェルト部材
35・・・ゴムピン
37・・・ゴムピン収容室
38・・・ゴムピンの表面
39・・・フェルトの上面
40・・・フェルトの下面
41・・・ゴムピンの上面
42・・・ゴムピンの周面
44〜48・・・切込
56・・・後方部
57・・・中間部
58・・・前方部
59〜62・・・部位
63・・・周縁部位
64・・・中央部位
65・・・内側部位
66・・・外側部位
85・・・ゴムピン
87・・・ゴムピン収容室
88・・・ゴムピンの表面
91・・・ゴムピンの上面
92・・・ゴムピンの周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣人の足が挿入され得る靴本体と、
当該靴本体の外底面に設けられた靴底材とを有し、
当該靴底材は、
上記外底面に取り付けられ、釣人の足の中足部から指先側部分に対応する前方部、釣人の足の足根部のうち踵部分に対応する後方部及び両者を連続するように両者間に配置された中間部を備えた靴底本体と、
表面を備え、当該表面が靴底に露出するように上記靴底本体に設けられた複数のゴムピンとを有し、
上記靴底本体は、フェルトからなり、
上記ゴムピンは、デュロメータA型硬度20〜40のブチルゴムからなり、
上記前方部の中央部位、上記前方部のうち釣人の第1中足骨の先端に対応する内側部位、上記前方部のうち釣人の第5中足骨の先端に対応する外側部位及び上記後方部の周縁部位に配置されたゴムピンの表面の面積は、その他の部位に配置されたゴムピンの表面の面積の1.5倍〜4.0倍に設定されている釣用靴。
【請求項2】
上記前方部の先端近傍に配置されているゴムピンは、外径が5mm〜10mmである円柱状に形成されている請求項1に記載の釣用靴。
【請求項3】
上記前方部の面積のうち上記ゴムピンの表面の面積が占める割合は、5%〜15%である請求項1又は2に記載の釣用靴。
【請求項4】
上記後方部の面積のうち上記ゴムピンの表面の面積が占める割合は、5%〜15%である請求項1から3のいずれかに記載の釣用靴。
【請求項5】
上記中間部の面積のうち上記ゴムピンの表面の面積が占める割合は、1%〜5%である請求項1から4のいずれかに記載の釣用靴。
【請求項6】
上記靴底本体は、上記靴底に開口するゴムピン収容室を有し、
上記ゴムピンは、上記ゴムピン収容室に圧入されている請求項1から5のいずれかに記載の釣用靴。
【請求項7】
上記ゴムピンの表面及び当該表面に連続する面は、上記靴底本体に対して相対的に変位可能である請求項1から6のいずれかに記載の釣用靴。
【請求項8】
上記靴底材は、上記靴本体の外底面と対向する上記靴底本体の上面を覆う取付部材をさらに備えており、
当該取付部材は、上記靴本体の外底面に着脱自在に設けられている請求項1から7のいずれかに記載の釣用靴。
【請求項9】
上記ゴムピン収容室は、上記靴底本体に設けられた貫通孔からなり、
上記ゴムピンの上記取付部材と対向する面のみが、当該取付部材に固着されている請求項8に記載の釣用靴。
【請求項10】
上記ゴムピンの上記取付部材と対向する面にフランジが設けられている請求項9に記載の釣用靴。
【請求項11】
上記ゴムピンの表面は、上記靴底から1mm〜3mmの範囲で突出している請求項1から10のいずれかに記載の釣用靴。
【請求項12】
上記ゴムピンの表面に所定深さの細溝が設けられている請求項1から11のいずれかに記載の釣用靴。
【請求項13】
上記細溝は、上記ゴムピンの表面に十字形に形成されている請求項12に記載の釣用靴。
【請求項14】
靴本体の外底面に設けられる靴底材であって、
釣人の足の中足部から指先側部分に対応する前方部、釣人の足の足根部のうち踵部分に対応する後方部及び両者を連続するように両者間に配置された中間部を備えた靴底本体と、
表面を備え、当該表面が靴底に露出するように上記靴底本体に設けられた複数のゴムピンとを有し、
上記靴底本体は、フェルトからなり、
上記ゴムピンは、デュロメータA型硬度20〜40のブチルゴムからなり、
上記前方部の中央部位、上記前方部のうち釣人の第1中足骨の先端に対応する内側部位、上記前方部のうち釣人の第5中足骨の先端に対応する外側部位及び上記後方部の周縁部位に配置されたゴムピンの表面の面積は、その他の部位に配置されたゴムピンの表面の面積の1.5倍〜4.0倍に設定されている靴底材。
【請求項15】
上記前方部の先端近傍に配置されているゴムピンは、外径が5mm〜10mmである円柱状に形成されている請求項14に記載の靴底材。
【請求項16】
上記前方部の面積のうち上記ゴムピンの表面の面積が占める割合は、5%〜15%である請求項14又は15に記載の靴底材。
【請求項17】
上記後方部の面積のうち上記ゴムピンの表面の面積が占める割合は、5%〜15%である請求項14から16のいずれかに記載の靴底材。
【請求項18】
上記中間部の面積のうち上記ゴムピンの表面の面積が占める割合は、1%〜5%である請求項14から17のいずれかに記載の靴底材。
【請求項19】
上記靴底本体は、当該靴底本体の下面に開口するゴムピン収容室を有し、
上記ゴムピンは、上記ゴムピン収容室に圧入されている請求項14から18のいずれかに記載の靴底材。
【請求項20】
上記ゴムピンの表面及び当該表面に連続する面は、上記靴底本体に対して相対的に変位可能である請求項14から19のいずれかに記載の靴底材。
【請求項21】
上記靴本体の外底面と対向する上記靴底本体の上面を覆い且つ上記靴本体の外底面に着脱自在に係合する取付部材がさらに備えられている請求項14から20のいずれかに記載の靴底材。
【請求項22】
上記ゴムピン収容室は、上記靴底本体に設けられた貫通孔からなり、
上記ゴムピンの上記取付部材と対向する面のみが、当該取付部材に固着されている請求項21に記載の靴底材。
【請求項23】
上記ゴムピンの上記取付部材と対向する面にフランジが設けられている請求項22に記載の靴底材。
【請求項24】
上記ゴムピンの表面は、上記靴底本体の下面から1mm〜3mmの範囲で突出している請求項14から23のいずれかに記載の靴底材。
【請求項25】
上記ゴムピンの表面に所定深さの細溝が設けられている請求項14から24のいずれかに記載の靴底材。
【請求項26】
上記細溝は、上記ゴムピンの表面に十字形に形成されている請求項25に記載の靴底材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−172277(P2009−172277A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16106(P2008−16106)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】