説明

釣糸連結具及び釣糸連結具を用いた釣糸の連結方法

【課題】小型軽量で携帯性に優れ、地面に載置せずとも釣糸の連結が可能で、操作性に優れ、十分な強度を有する釣糸の連結を可能とし、安価に製造できる釣糸連結具等の提供。
【解決手段】 本体(1)と操作体(2)とからなり、本体(1)は、基板(10)と基板(10)の上端左右から上方へ延設される左腕部(11)及び右腕部(12)とを一体とし、左腕部(11)及び右腕部(12)間には前記操作体(2)の回転を許容する回転許容空間(13)を形成し、左腕部の上方側に左上釣糸保持部(30)を形成し、左腕部の下方側に左下釣糸保持部(31)を形成し、右腕部(12)の上方側に右上釣糸保持部(32)を形成し、右腕部(12)の下方側に右下釣糸保持部(33)を形成し、操作体(2)は、操作基体(20)と操作基体(20)に取付ける針部材(21)を備え、針部材(21)は一つの糸通し孔(22)を有する釣糸連結具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸の端部相互を連結するための釣糸連結具と、釣糸連結具を用いて二本の釣糸を連結する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、糸端部相互を十分な引っ張り強度を確保した上で連結するための一般的な結び方としては、ブラッドノット等が存在する。しかしながら、ブラッドノットは結び方が単純ではなく、また釣糸自体が撓むこともあって、手作業によって釣糸の端部相互を連結することは、非常に手間であり、また初心者に限らず決して容易であるとはいえない。このため、釣糸端部相互を連結するための種々の考案が創作されている。
【0003】
例えば、基板の両端部に各二個の糸挟み部を設け、この一部を脱着可能にし、基板の中央部にも一対の糸挟み部を設け、脱着可能にした糸結び器(特許文献1参照。)が公知である。
【0004】
また、釣糸を挟む挟持具を両端部に備えた基台と、長さ方向に複数の釣糸通し用孔を有するバーとからなる釣糸の結節器具(特許文献2参照。)が公知である。
【0005】
更に、二本の釣糸を入れるスリットを持つ回転板が、上下の枠の中間に垂直に取付けられ、また、回転板の左右方向に糸の先端部分の止め具と糸の元の部分の保持具を相対の位置で枠に固定されている釣糸結び器(特許文献3参照。)が公知である。
【0006】
【特許文献1】実開昭56−71173号公報
【特許文献2】実開昭57−94372号公報
【特許文献3】実開昭58−185075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に係る考案は、上記したように、基板の両端部に各二個の糸挟み部を設け、この一部を脱着可能にし、基板の中央部にも一対の糸挟み部を設け、脱着可能にした糸結び器であり、基板に対して糸挟み部を嵌め込んで組立てを行う嵩高いものであり、使用時には釣り場の地面等に載置して行わなければならないものであり、不便であった。
【0008】
また、二本の釣糸を夫々糸挟み部に挟み込んだ上で、中央の糸挟み部のブロックを取り外して釣糸を捻る方向に回転する操作を行うこととなるが、当該ブロックを取り外して釣糸を捻る方向に回転させる際には、釣糸全体を上方へ持ち上げる力が作用しやすく、捩る操作中に糸挟み部に固定した釣糸が、該糸挟み部から外れることもある。このため、十分な実用性があるとはいえないものであった。
【0009】
また、特許文献2に係る考案は、上記特許文献1に係る考案に比べて、ややコンパクトになった点で優れるものの、基台の上でバーを回転させる構成であることから全体として嵩高いものであること、使用時には釣り場の地面等に載置して行わなければならないことについては、依然として解消されないものであった。
【0010】
また、当該特許文献2に係る考案は、平行する二本の釣糸を用いてブラッドノットを実現しようとする技術的思想から、バーには複数の糸通し孔を備える必要を生じ、釣糸を通したバーを、釣糸が抜けない状態で引き上げたり引き下げたりしなければならず、操作上手間が非常に多い欠点がある。
【0011】
更に、最初の引き上げ(又は引き下げ)時にバーを引きすぎるとバーが二本の釣糸から外れ、釣糸相互の連結は失敗し、手の施しようがなくなる欠点がある。
【0012】
次に、特許文献3に係る考案は、上記したように、二本の釣糸を入れるスリットを持つ回転板が、上下の枠の中間に垂直に取付けられ、また、回転板の左右方向に釣糸の先端部分の止め具と釣糸の元の部分の保持具を相対の位置で枠に固定したものであり、枠内においてスリットを有する回転板が回転する構成とすることで、比較的コンパクトに形成されるものである。
【0013】
しかしながら、二本の釣糸は捩られることによって相互に密着するようになることから、釣糸が捩れた状態においては、釣糸先端を通す(回転板と釣糸との間に生ずる)隙間は、非常に狭いものとなりやすく、釣糸を手で通す際には苦労を強いられる。
【0014】
また前記釣糸先端は、左側と右側とで挿入する方向が異なることから、作業はより一層複雑となり、どちらの方向から挿入すればよいかが判断しにくい欠点がある。
【0015】
更に、特許文献3に係る考案は、枠を形成して回転体を保持する構成であることから、部品点数が非常に多くなり、製造コストが高くなる欠点がある。
【0016】
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、小型軽量で携帯性に優れるとともに、釣り場において地面に載置せずとも釣糸の連結が可能で、操作性に優れ、十分な強度を有する釣糸の連結を可能とし、安価に製造できる優れた釣糸連結具を提供することを、解決しようとする課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
二本の釣糸を固定するための本体と、該本体に固定された釣糸を結着するための操作体とからなり、前記本体は、基板と基板の上端左右から上方へ延設される左腕部及び右腕部とを一体とし、前記左腕部及び右腕部間には前記操作体の回転を許容する回転許容空間を形成し、左腕部の上方側に左上釣糸保持部を形成し、左腕部の下方側に左下釣糸保持部を形成し、右腕部の上方側に右上釣糸保持部を形成し、右腕部の下方側に右下釣糸保持部を形成し、前記操作体は、操作基体と該操作基体に取付けられる針部材を備え、該針部材は釣糸を通すための一つの糸通し孔若しくは切欠部を有することを特徴とする釣糸連結具、及び、当該釣糸連結具を用い、釣糸Aの先端部を左下釣糸保持部で保持するとともに釣糸Aの他端側を右上釣糸保持部で保持し、釣糸Bの先端部を右下釣糸保持部で保持するとともに釣糸Bの他端側を左上釣糸保持部で保持して、釣糸A及び釣糸Bを回転許容空間で正面視交叉する状態とし、交叉部分に操作体の針部材を差込み、針部材と糸との接点を基準とし右側面視左回りで操作体を回転し、釣糸A及び釣糸Bを捩った状態として、釣糸Aの先端部と釣糸Bの先端部(以下、両先端部という。)を夫々左押え板の下部と右押え板の下部から外して、操作体の針部材における糸通し孔若しくは切欠部に通し、針部材と釣糸Aの先端部及び釣糸Bの先端部を交叉部分から引き抜き、各釣糸を相互を引き締めることによって、二本の釣糸を連結することを特徴とする、釣糸連結具を用いた釣糸の連結方法を、解決手段の基本とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、二本の釣糸を固定するための本体と、該本体に固定された釣糸を結着するための操作体とからなり、前記本体は、基板と基板の上端左右から上方へ延設される左腕部及び右腕部とを一体とし、前記左腕部及び右腕部間には前記操作体の回転を許容する回転許容空間を形成し、左腕部の上方側に左上釣糸保持部を形成し、左腕部の下方側に左下釣糸保持部を形成し、右腕部の上方側に右上釣糸保持部を形成し、右腕部の下方側に右下釣糸保持部を形成し、前記操作体は、操作基体と該操作基体に取付けられる針部材とからなり、該針部材は釣糸を通すための一つの糸通し孔若しくは切欠部を有することによって、簡素で軽量となる構成を実現したから、釣糸連結具の携帯性を向上させることができる。
【0019】
また、本発明によれば、上記構成によって、請求項5に記載した二本の釣糸A、Bの連結方法を実現することができる。即ち、釣糸Aの先端部を左下釣糸保持部で保持するとともに釣糸Aの他端側を右上釣糸保持部で保持し、釣糸Bの先端部を右下釣糸保持部で保持するとともに釣糸Bの他端側を左上釣糸保持部で保持して、釣糸A及び釣糸Bを回転許容空間で正面視交叉する状態とし、交叉部分に操作体の針部材を差込み、針部材と糸との接点を基準とし右側面視左回りで操作体を回転し、釣糸A及び釣糸Bを捩った状態として、両先端部を夫々左下釣糸保持部と右下釣糸保持部から外して、操作体の針部材における糸通し孔若しくは切欠部に通し、針部材と両先端部を交叉部分から引き抜き、各釣糸A、B相互を引っ張って結び目を引き締めることによって、釣糸A、釣糸Bを連結することができる。
【0020】
また、請求項2に係る発明のように左腕部及び右腕部に夫々上下に並ぶ二本のピンで取付けられる左押え板及び右押え板とを備えることによって、左上釣糸保持部、左下釣糸保持部、右上釣糸保持部、右下釣糸保持部を夫々形成した場合には、本体は合成樹脂製の基板の厚さと、左押え板若しくは右押え板の厚さ、及びピン頭の高さの総計程度の厚さ寸法とすることとでき、従来の釣糸連結具と比べて、非常に薄くて軽量な構成で、部品点数を大幅に削減することができる。
【0021】
また、上記請求項1に係る発明によれば、上記構成によって、二本の釣糸の端部を操作体における糸通し孔若しくは切欠部に通し、操作体を引くことで、二本の釣糸の端部が捩り部分の目を通り、二本の釣糸相互の連結を可能とすることができることから、非常に便利なものとすることができる。
【0022】
また、請求項3に係る発明のように、本体の一部に携帯用保持具を取付けた構成とした場合には、携帯用保持具を衣服等に取付けることで、釣りの最中であっても、地面に載置することなく、手元で簡単に釣糸の付替え等を行うことができ、非常に便利なものとすることができる。
【0023】
更に、請求項4に係る発明のように、操作体が他物に対する着脱手段を備えた構成とした場合には、例えば、操作体と本体とを着脱可能とすること等によって、操作体の紛失を防止するとともに、携帯性をより一層良好なものとすることができる。
【0024】
また、請求項5に係る発明、即ち、請求項1乃至請求項4の釣糸連結具を用い、釣糸Aの先端部を左下釣糸保持部で保持するとともに釣糸Aの他端側を右上釣糸保持部で保持し、釣糸Bの先端部を右下釣糸保持部で保持するとともに釣糸Bの他端側を左上釣糸保持部で保持して、釣糸A及び釣糸Bを回転許容空間で正面視交叉する状態とし、交叉部分に操作体の針部材を差込み、針部材と糸との接点を基準とし右側面視左回りで操作体を回転し、釣糸A及び釣糸Bを捩った状態として、両先端部を夫々左下釣糸保持部と右下釣糸保持部から外して、操作体の針部材における糸通し孔若しくは切欠部に通し、針部材と両先端部を交叉部分から引き抜き、各釣糸相互を引き締めることによって、二本の釣糸を連結することを特徴とする釣糸連結具を用いた釣糸の連結方法によれば、予め釣糸A、Bを平面視交叉状態に配置し、両先端部が操作体を引き抜く際に、引き抜かれる同一側に位置するため、針部材を捩れ部分から抜くだけで、一度に両先端部を捩れ部分に通すことができ、非常に簡単に二本の釣糸を連結することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、二本の釣糸を固定するための合成樹脂製の本体と、該本体に固定された釣糸を結着するための操作体とからなり、前記本体は、基板と基板の上端左右から延設される左腕部及び右腕部とを一体とし、前記左腕部及び右腕部間には前記操作体の回転を許容する回転許容空間を形成し、前記左腕部及び右腕部に夫々上下に並ぶ二本のピンで取付けられる左押え板及び右押え板とを備え、前記操作体は、操作基体と該操作基体に取付けられる針部材とからなり、該針部材は釣糸を通すための一つの糸通し孔を有し、また、本体の一部に携帯用保持具を取付け、操作体は他物に対する着脱手段を備えた釣糸連結具としたことによって、携帯容易で、簡単に釣糸の付替えを可能とする釣糸連結具を実現した。
【実施例】
【0026】
図1は本発明の実施例に係る釣糸連結具の本体を示す正面図、図2は同実施例に係る釣糸連結具の本体を示す右側面図、図3は同実施例に係る釣糸連結具の本体を示す背面図、図4は同実施例に係る釣糸連結具の本体を示す平面図、図5は同実施例に係る釣糸連結具の本体を示す底面図、図6は図1のC−C断面図、図7は実施例に係る釣糸連結具の操作体を示す拡大正面図、図8は本発明の実施例に係る釣糸連結具に二本の釣糸を取付けた状態を示す説明図、図9は同実施例に係る釣糸連結具に取付けられた二本の釣糸を操作体で捩る状態を示す説明図、図10は針部材の糸通し孔に釣糸の先端部を通した状態を示す説明図、図11は本発明の実施例に係る釣糸連結具において捩り部分から操作体と釣糸の先端部を引き抜く状態を示す説明図、図12は本発明の他の実施例に係る釣糸連結具の本体を示す正面図、図13は本発明の他の実施例に係る釣糸連結具の操作体の針部材を示す説明図である。尚、実施例に係る釣糸連結具の左側面図の外形は図2に示す右側面図と対称につき省略している。
【0027】
本発明の実施例に係る釣糸連結具は、二本の釣糸A、Bを固定するための本体1(図1乃至図6参照。)と、固定した釣糸A、Bを結着するための操作体2(図7参照)とからなる。
【0028】
前記本体1は全体の外形は縦20ミリメートル、横80ミリメートル程度であり、具体的には、上下幅20ミリメートル、左右幅80ミリメートル程度の合成樹脂製板材からなる基板10と基板10の上端左右から上方へ一体として左右幅15ミリメートル、上下長さ45ミリメートル程度として夫々延設される左腕部11及び右腕部12とを一体として形成してなる。左腕部11及び右腕部12間には前記操作体2の回転を許容する回転許容空間13が形成される。
【0029】
また、左腕部11及び右腕部12には夫々上下に並ぶ二本のピン16で、左押え板14及び右押え板15を取付けている。ピン16は先端を螺刻してあり、基板10の背面側でワッシャ17を挟み雌螺子を備えたナット18で螺合した構成である。
【0030】
また、本体1の基板10右下部分には貫通穴19を形成するとともに、該貫通穴19に携帯用保持具として連結環4を取付けた構成としている。
【0031】
次に操作体2は、操作基体20と該操作基体20の一端に取付けられる針部材21と前記操作基体20の他端に取付けられる連結部材23とからなる。前記針部材は釣糸を通すための長穴形状の糸通し孔22を一つ形成している。針部材21は一端を操作体2に埋設して固着している。また、連結部材23は、他物に対する着脱手段であり、環付雄螺子23aと該環付雄螺子23aの環部に取付けられる茄子環23bとからなる。連結部材23は、環付雄螺子23aの螺子部を操作体2に捻じ込むことで当該操作体2に固着した構成である。操作体2は茄子環23bを備えることにより、使用しない場合には、本体1に取付けた連結環4に対して当該茄子環23bを係止することにより、携帯時に本体1と操作体2を一体として取り扱うことができる。
【0032】
本実施例においては、以上の本体1及び操作体2を用いて、以下に示す方法によって、二本の釣糸を連結する。尚、本実施例においては、釣糸Aは道糸、釣糸Bはハリスとしている。尚、図8乃至図11に開示される釣針部材21は釣糸Bがハリスである場合を考慮して記載したものである。
【0033】
先ず、図8に示すように、釣糸Aの先端部A1を左下釣糸保持部31で保持するとともに釣糸Aの他端側A2を右上釣糸保持部32で保持し、釣糸Bの先端部B1を右下釣糸保持部33で保持するとともに釣糸Bの他端側B2を左上釣糸保持部30で保持して、釣糸A及び釣糸Bを回転許容空間13で正面視交叉する状態とする。釣糸の保持は、左腕部11と左押え板14とによって形成される間隙110(図6参照。)、右腕部12と右押え板15とによって形成される間隙120(図2参照。)に、夫々釣糸A及び釣糸Bを挟み込み固定する。
【0034】
次に、図9に示すように、釣糸A、釣糸Bの交叉部分に操作体2の針部材21を差込み、針部材21と釣糸との接点を基準とし右側面視左回り(図9の矢印方向参照。)で操作体2を指で回転させる。当該操作によって、釣糸A及び釣糸Bを捩った状態とする。尚、捩る回数は特に限定するものではないが、本実施例では5回程度捩るものとしている。
【0035】
本体1に保持されている両先端部A1、B1を本体1の左下釣糸保持部31、右下釣糸保持部33から取外し、図10に示すように、操作体2の針部材21に形成された長孔形状を有する糸通し孔22に通す。ここで、糸通し孔22に対する釣糸Aの先端部A1と釣糸Bの先端部B1の挿入方向は同じであってもよいし、反対方向であってもよい。
【0036】
そして、図11に示すように、針部材21と両先端部A1、B1を交叉部分から引き抜くことによって、両先端部A1、B1は、釣糸Aと釣糸Bの捩り部分間を通って、反対側から導出される。この状態で結び目が形成される。
【0037】
両先端部A1、B1を指で保持した状態で、本体1の右上釣糸保持部32と左上釣糸保持部30に保持された釣糸Aの他端側A2及び釣糸Bの他端側B2を相互に引っ張ることによって、結び目が引き締まり、二本の釣糸を完全に連結することができる。尚、この後、必要に応じて、両先端部A1、B1の余剰となる部分を切除することができる。
【0038】
以上によって形成される結び目は、特許文献1乃至3に開示される発明が形成するブラッドノットとは異なる結び目となる。(即ち、捩り部分が左右対象とならず、且つ、二本の釣糸の両先端部A1、B1が一つの捩りによって形成された穴に同方向から入り込んで結び目を形成する点で異なる。)しかしながら、このようにして形成される新規な結び目は、極めて大きな連結強度を有している。
【0039】
上記実施例においては、釣糸Aは道糸、釣糸Bはハリスとしているが、本発明はこれに限るものではなく、例えば釣糸A、釣糸Bの双方とも道糸とすることもできる。
【0040】
実施例の本体1においては、上記したように、ピン16は先端を螺刻してあり、基板10の背面側でワッシャ17を挟み、雌螺子を備えたナット18で螺合した構成であるが、本発明はこれに限らず、基板10自体に雌螺子穴を形成し、ピン16の雄螺子と螺合する構成とすることもできる。このようにすることで、外部にピン16の先端が突出せず、安全性及び外観体裁をより向上させることができる。
【0041】
また、本発明に係る釣糸連結具の本体1は、上記実施例に限定するものではない。即ち、実施例に開示した左腕部11及び右腕部12に夫々上下に並ぶ二本のピン16で取付けられる左押え板14及び右押え板15を備えることによって、左上釣糸保持部30、左下釣糸保持部31、右上釣糸保持部32、右下釣糸保持部33を形成する場合に限らず、左上釣糸保持部30、左下釣糸保持部31、右上釣糸保持部32、右下釣糸保持部33は、種々の公知手段を用いて形成することができる。例えば、図12に示すように、本体1の左腕部11の左縁上側及び左縁下側、右腕部12の右縁上側及び右縁下側に夫々切込み形状を形成することによって、左上釣糸保持部30、左下釣糸保持部31、右上釣糸保持部32、右下釣糸保持部33とすることもできる。
【0042】
尚、本体1に設けた連結部材23は上記茄子環23bを用いるものに限らず、他物との連結手段であればよい趣旨であり、紐や鎖、伸縮可能なコイル等を備えるものとすることができる。
【0043】
また、本発明における操作体2及び操作基体20の形状は上記実施例に限らない。操作体2は、操作基体20と該操作基体20に取付けられる針部材21とを備え、針部材21に釣糸を通すための一つの糸通し孔22若しくは切欠部24を有するものであればよい趣旨である。操作基体20は種々の意匠を施すことができる。
【0044】
また、針部材21に切欠部24を形成する場合には、例えば、図13に示すように、糸通し孔の一部を外部に開口したものや、切込み状のもの等とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施例に係る釣糸連結具の本体を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例に係る釣糸連結具の本体を示す右側面図である。
【図3】本発明の実施例に係る釣糸連結具の本体を示す背面図である。
【図4】本発明の実施例に係る釣糸連結具の本体を示す平面図である。
【図5】本発明の実施例に係る釣糸連結具の本体を示す底面図である。
【図6】本発明の実施例に係る釣糸連結具の本体を示すC−C断面図である。
【図7】本発明の実施例に係る釣糸連結具の操作体を示す拡大正面図である。
【図8】本発明の実施例に係る釣糸連結具に二本の釣糸を取付けた状態を示す説明図である。
【図9】本発明の実施例に係る釣糸連結具に取付けられた二本の釣糸を操作体で捩る状態を示す説明図である。
【図10】本発明の実施例に係る操作体の針部材の糸通し孔に釣糸の先端部を通した状態を示す説明図である。
【図11】本発明の実施例に係る釣糸連結具において捩り部分から操作体と釣糸の先端部を引き抜く状態を示す説明図である。
【図12】本発明の他の実施例に係る釣糸連結具の本体を示す正面図である。
【図13】本発明の他の実施例に係る釣糸連結具の操作体の針部材を示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 本体
10 基板
11 左腕部
110 間隙
12 右腕部
120 間隙
13 回転許容空間
14 左押え板
15 右押え板
16 ピン
17 ワッシャ
18 ナット
19 貫通穴
2 操作体
20 操作基体
21 針部材
22 糸通し孔
23 連結部材
23a 環付雄螺子
23b 茄子環
24 切欠部
30 左上釣糸保持部
31 左下釣糸保持部
32 右上釣糸保持部
33 右下釣糸保持部
4 連結環
A1 先端部(釣糸A)
A2 他端側(釣糸A)
B1 先端部(釣糸B)
B2 他端側(釣糸B)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二本の釣糸を固定するための本体と、該本体に固定された釣糸を結着するための操作体とからなり、
前記本体は、基板と基板の上端左右から上方へ延設される左腕部及び右腕部とを一体とし、前記左腕部及び右腕部間には前記操作体の回転を許容する回転許容空間を形成し、
左腕部の上方側に左上釣糸保持部を形成し、左腕部の下方側に左下釣糸保持部を形成し、
右腕部の上方側に右上釣糸保持部を形成し、右腕部の下方側に右下釣糸保持部を形成し、
前記操作体は、操作基体と該操作基体に取付けられる針部材を備え、該針部材は釣糸を通すための一つの糸通し孔若しくは切欠部を有することを特徴とする釣糸連結具。
【請求項2】
左腕部及び右腕部に夫々上下に並ぶ二本のピンで取付けられる左押え板及び右押え板を備えることによって、左上釣糸保持部、左下釣糸保持部、右上釣糸保持部、右下釣糸保持部を夫々形成したことを特徴とする請求項1記載の釣糸連結具。
【請求項3】
本体の一部に携帯用保持具を取付けたことを特徴とする請求項1又は2記載の釣糸連結具。
【請求項4】
操作体は、他物に対する着脱手段を備えたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の釣糸連結具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の釣糸連結具を用い、釣糸Aの先端部を左下釣糸保持部で保持するとともに釣糸Aの他端側を右上釣糸保持部で保持し、釣糸Bの先端部を右下釣糸保持部で保持するとともに釣糸Bの他端側を左上釣糸保持部で保持して、釣糸A及び釣糸Bを回転許容空間で正面視交叉する状態とし、交叉部分に操作体の針部材を差込み、針部材と糸との接点を基準とし右側面視左回りで操作体を回転し、釣糸A及び釣糸Bを捩った状態として、釣糸Aの先端部と釣糸Bの先端部を夫々左下釣糸保持部と右下釣糸保持部から外して、操作体の針部材における糸通し孔若しくは切欠部に通し、針部材と釣糸Aの先端部及び釣糸Bの先端部を交叉部分から引き抜き、各釣糸相互を引き締めることによって、二本の釣糸を連結することを特徴とする、釣糸連結具を用いた釣糸の連結方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−271299(P2006−271299A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97789(P2005−97789)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【Fターム(参考)】