説明

釣菌装置および釣菌方法

【課題】所望量のコロニーを短時間で釣菌する釣菌装置を提供する。
【解決手段】本発明の釣菌装置は、コロニーを採取する釣菌ツールと、該釣菌ツールを駆動させる駆動部と、シャーレを載置する台とを備えている。また、本発明の釣菌装置は、コロニーがいくつかのグループに分類され、どのグループに属するかの情報、つまり、釣菌対象のコロニーがどのグループに属するかの情報を事前に得ることができる。駆動部は、この釣菌対象がどのグループに属するかという事前情報に応じて、釣菌ツールの釣菌動作を切り替えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌コロニーを採取(釣菌)する細菌コロニーの釣菌装置および釣菌方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
細菌検査は、細菌の種類を同定したり、細菌の抗菌薬に対する感受性を調べたりする検査である。例えば、臨床検査における細菌検査では、患者から採取した糞便などの臨床材料(検体)から病原菌を見つけ、菌種名を同定する同定検査、および、その病原菌に対して、抗菌薬がどれくらい効くか判断する薬剤感受性検査を行う。ここでいう細菌とは、真菌を含む。
【0003】
臨床検査における細菌検査の工程は、細菌のグループの分類,分離培養,前処理,同定・薬剤感受性検査の工程からなる。始めに細菌のグループの分類工程を説明する。検査担当者は、グラム染色などの塗抹検査(染色検査)や検鏡などを実施したり、検体の性状や患者の容体などの情報を総合的に判断したりすることによって、検体中に含まれる複数の細菌の中から、検査対象となる細菌を判断し、グラム陽性菌か陰性菌か、球菌か桿菌か、どの属なのかなどのおおまかなグループに分類する。このグループ分類は、後の検査工程で使用する検査条件(抗菌薬の種類や検査装置にかける検体の前処理条件など)を決めるのに必要となる。その後、分離培養工程で、検体をシャーレの中に入った培地上に塗布し、それを一昼夜程度培養すると培地上に細菌の集合体であるコロニー(集落)が形成される。
【0004】
次に、形成されたコロニーを検査試料にするために前処理工程を行う。前処理工程では一つないし複数個の検査対象の細菌のコロニーを採取(釣菌)し、それを食塩水に懸濁して、検査に必要な所定濁度の懸濁液を作製する。この所定濁度は、細菌のグループや検査目的によって異なる。懸濁液は菌液と呼ばれることもある。なお、濁度は、菌液中の菌の個数と比例関係にある。懸濁液の濁度の確認は、濁度計で測ることにより、行っている。
【0005】
最後に同定・薬剤感受性検査工程では、前処理工程で作製した菌液を検査試料として、例えば、バイテック(ビオメリュー社)、BDフェニックス(ベクトン・ディッキンソン社)、マイクロスキャンWALK AWAY(シーメンス社)などの細菌検査装置にかけ、菌種の同定および薬剤感受性検査を行う。
【0006】
特許文献1には細菌検査の前処理工程にあるコロニーを釣菌する釣菌装置が開示されている。特許文献1においては、釣菌すべきコロニーの画像情報と位置基準手段から、培地上のコロニーの位置を算出して、コロニーを釣菌する方法が開示されている。特許文献1の記載によれば、特別な画像解析プロトコール処理を行うことなく、目的のコロニーを釣菌できると述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−171360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、シャーレ上のコロニーの画像はコロニーの位置を計測することにより目的のコロニーを釣菌することができるが、これにより作製した菌液は所定の濁度に調整されていない。そのため、懸濁液が所定濁度に満たない場合、コロニーを追加しなければならない。また、懸濁液が所定濁度より濃い場合、所定濁度になるまで、懸濁液を食塩水で希釈しなければならない。細菌検査前処理工程では、菌液の濁度調整を何度も繰り返さなくてはならず、時間がかかってしまう。
【0009】
本発明は、必要な量のコロニーを短時間で釣菌し、所定濁度の懸濁液を作製する釣菌装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の釣菌装置は、ユーザの入力によってコロニーが属するグループの情報を事前に得ることにより、所定濁度の懸濁液作成に必要なコロニーの面積を予め求めることができる。さらに、予め求めた面積に応じて釣菌ツールの釣菌動作を切り替えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、コロニーの属するグループの情報に応じて、釣菌動作を切り替える。これにより、濁度調整のための繰り返し作業を省いて短時間で必要な量のコロニーを釣菌し、所定濁度の懸濁液を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】細菌コロニー釣菌装置の概略図。
【図2】細菌コロニー釣菌装置の釣菌動作部の概略図。
【図3】球菌と桿菌のコロニーの面積と濁度の関係を示すグラフ。
【図4】菌液を作製するまでのステップを示すフローチャート。
【図5】釣菌ツールの概略図。
【図6】表示部の表示画面の一例。
【図7】画像処理による1個のコロニーの寸法計測を示す図。
【図8】スタンプ方式による釣菌動作の模式図。
【図9】横スライド方式による釣菌動作の模式図。
【図10】実施例2の、菌液を作製するまでのステップを示すフローチャート。
【図11】所定濁度の菌液作製に要するスタンプ方式による釣菌回数の実験結果。
【図12】培地上のコロニーの配置を示す模式図。
【図13】実施例4の、菌液を作製するまでのステップを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
〔細菌コロニー釣菌装置の説明〕
図1は、細菌コロニー釣菌装置の構成図である。細菌コロニー釣菌装置は、入力部101,表示部102,撮像部103,釣菌動作部104、および菌液調整部105を備えている。ユーザとのインターフェースである入力部101および表示部102は、一体的に形成されていてもよい。撮像部103は、カメラ106を備えている。釣菌動作部104は、釣菌ツール107を備えている。また、撮像部103と釣菌動作部104の間には、シャーレ108を支え、図中の矢印(シャーレの動き)で示すようにシャーレ108を搬送するシャーレ台109を備えている。菌液調整部105は、濁度計110および食塩水の分注機構で構成される濁度調整機構111を備えている。
【0015】
釣菌動作の大まかな流れを説明する。カメラ106にてシャーレ108上のコロニーを撮影し、シャーレ108を釣菌動作部104へ移動させ、釣菌ツール107を用いてコロニーを釣菌する。その後、容器112に釣菌したコロニーを投入し、食塩水などの懸濁液作製用の溶媒と混ぜて懸濁液を作製する。さらに、この容器112を図中矢印(容器の動き)で示すように菌液調整部105へ移動させて、懸濁液の濁度を濁度計110により計測し、濁度が濃い場合は濁度調整機構111を用いて希釈し、濁度が薄い場合は再び釣菌動作部104でコロニーを追加して、懸濁液の濁度を所定の値に調製する。
【0016】
〔釣菌動作部104の説明〕
次に、釣菌動作部104について説明する。図2は、釣菌動作部104を示す図である。釣菌動作部104は、釣菌ツール用ラック201,シャーレ108を支えるシャーレ台109,水平移動軸202,X軸体203,Y軸体204,Z軸体205,先端に釣菌ツール107を把持する釣菌ツール把持部206,細菌を入れる容器112,該容器112を搭載する搭載部207,シリンジ208,流路209,食塩水を貯蓄するタンク210,三方弁211,食塩水を容器112に分注する分注ピペッタ212を備えている。シリンジ208,流路209,食塩水を貯蓄するタンク210,三方弁211,食塩水を容器に分注する分注ピペッタ212は図1に示す濁度調整機構111と構成は同じであり、同一のものを釣菌動作部104と菌液調整部105で共用してもよい。
【0017】
釣菌ツール用ラック201には、複数の釣菌ツール107が収容されている。水平移動軸202は、棒状のZ軸体205の一端と接続されており、Z軸体205を、X軸体203,Y軸体204,釣菌ツール把持部206と共に、図のX方向へ移動させる。この水平移動軸202によって、釣菌ツール把持部206は、釣菌ツール107をラック201で取り付け、釣菌位置であるシャーレ108、懸濁液作製位置である容器112の間を移動することが可能となる。また、X軸体203,Y軸体204,Z軸体205は、それぞれ、釣菌ツール把持部206を、図のX方向,Y方向,Z方向へ移動させる。
【0018】
三方弁211は、(i)シリンジ208とタンク210を繋ぐ流路209、(ii)シリンジ208と容器112を繋ぐ流路209を切り替える。これらの流路209を切り替え、シリンジ208を図中矢印のように動作させることにより、タンク210内の食塩水を、分注ピペッタ212を介して容器112へ送り込むことができる。
【0019】
〔釣菌動作の制御方法〕
本発明は、特に、釣菌動作部104の動作の制御方法に特徴を有している。
【0020】
細菌コロニー釣菌装置は、釣菌動作を制御する制御部(図示せず)およびデータベース(図示せず)を有する。
まず、制御部が有するいくつかの機能を示す。
(1)入力部101,表示部102,撮像部103,釣菌動作部104,菌液調整部105、データベースと相互に情報を通信する。
(2)データベースを基に所定の濁度達成に要するコロニー量(コロニーの面積,体積,数など)を求める。
(3)カメラ106で撮影された画像の画像処理によって、各コロニーの面積を求める。(方法は後に説明する。)
(4)上記(2)で求めたコロニー数や量を達成するためにどのコロニーまたはどのコロニーの範囲を採取すべきか求める。釣菌するコロニーが複数個あり、その組み合わせ方(パターン)が複数ある場合には、それらも求める。
(5)1つ以上のコロニーまたはコロニーの範囲(エリア)が与えられた場合に、釣菌回数や釣菌にかかる時間を求める。
(6)1つ以上のコロニーまたはコロニーの範囲(エリア)が与えられた場合に、データベースを基にそれらを釣菌したときの濁度を求める。ここで、コロニーの範囲(エリア)とは、培地表面のある領域を言い、その領域には少なくとも1つのコロニーが存在しているものを言う。
【0021】
次に、データベースが保持する内容を説明する。細菌コロニー釣菌装置は、例えば、コロニーの面積と濁度との関係に関するデータベースを有する。データベースに保持する情報としては、懸濁液の所定濁度の値が与えられた場合に、釣菌すべきコロニーの量的条件を算出するのに用いられる情報で、一般的に知られている既知の事実や予め実験によって得られるような情報であればよい。実施例として示す面積と濁度の関係以外に、体積と濁度との関係や、釣菌回数と濁度との関係であってもよい。また、濁度の代わりに、吸光度(濁度に変換できる)を用いてもよい。その一例として、球菌および桿菌のコロニーの面積と濁度の関係について図3に示した。図3の詳細は、後に説明する。
【0022】
次に、この釣菌動作部104を用いた動作について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
(S1)入力部101から、球菌か桿菌かなどの細菌の属するグループ、および所定濁度(目標とする濁度)が入力される。
(S2)カメラ106で撮影したシャーレおよびコロニーの画像が表示部102に表示される。画像処理によって、色,形などの画像情報からコロニーを自動識別して、ユーザに図示や文字などでわかりやすく表示してもよい。
(S3)ユーザが入力部101から釣菌したいコロニーを1つ選択すると、制御部はそのコロニーの面積を求める。
(S4)上記(S1)で入力した情報および上記データベースの情報から、所定濁度の懸濁液作製に必要なコロニーの総面積を求める。
(S5)制御部は、上記(S4)で求めたコロニーの総面積を、上記(S3)で求めた1つあたりのコロニーの面積で割ることにより、総面積になるコロニーの数を算出できる。一般的に1つのコロニーを1回の釣菌動作で釣菌するため、コロニーの数が分かれば、釣菌ツールを作動させる釣菌回数も分かる。これらを、表示部102に表示する(表示方法については後で説明する)。釣菌すべきコロニーのパターン(組み合わせ方)が複数あるときは、それらも表示する。ここで、ユーザは、入力部101から釣菌するコロニーやコロニーのエリア(範囲)などを選択してもよく、その場合、釣菌回数やコロニー数などは再計算,再表示される。
(S6)ユーザが選択したコロニーを所定の回数、釣菌する。
(S7)容器112にシリンジ208とタンク210と分注ピペッタ212を用いて食塩水を満たす。
(S8)釣菌ツールを容器112中の食塩水に浸して、懸濁液を作製する。
【0023】
ここまでが、釣菌動作部104の動作である。この後、容器112を菌液調整部105へ移動させて、濁度計110を用いて懸濁液の濁度を測定し、所定の濁度になるように調整する。例えば、濁度が濃い場合には食塩水で希釈し、薄い場合にはコロニーを追加する。
【0024】
ここで、上記のデータベースに保持する情報の一例を、図3を用いて説明する。本発明者らは、実験にて、球菌と桿菌を6種類ずつ釣菌したコロニーの面積とそのコロニーを釣菌して作製した懸濁液の濁度の関係を調べた。その結果、菌の濁度は面積に比例すること、また、菌種によって傾きは異なり、球菌と桿菌では同じ面積でも濁度に3倍の違いがあることを見出した。図3は、実験した6菌種の中で、球菌,桿菌それぞれで最も濁度を得にくいもの、つまり釣菌の効率が悪いものについて、面積と濁度との関係を示したグラフである。このグラフから分かるように、球菌と桿菌では、濁度が同じでも、釣菌すべきコロニー総面積が異なる。コロニー総面積が異なるということは、釣菌すべきコロニーの個数や釣菌回数が異なる場合がある。したがって、ある所定濁度の懸濁液を作製するために、球菌か桿菌かによって、釣菌回数を変える必要がある。この点を釣菌前に考慮することにより、効率良く釣菌することができる。つまり、無駄に多く釣菌してしまったり、釣菌量が少なかったりすることを防止することができる。
【0025】
さらに、ユーザが球菌,桿菌のいずれも選択しなかった場合、その他を選択した場合には、桿菌のデータベースを選択すればよい、これにより、その菌が球菌,桿菌、いずれであっても菌液調整部105へ移動させた後に、釣菌量が足りず、再度釣菌するという事態を防ぐことができ、希釈のみで所定濁度の菌液作製に対応できる。
【0026】
以上のように、球菌か桿菌かによって面積が異なることを利用して、どのコロニーを何回釣菌すればよいかを事前に把握することにより、無駄に多く釣菌してしまったり、釣菌量が少なかったりすることを防止することができ、無駄な菌液調整を省くことができる。
【0027】
〔釣菌ツール107について〕
図5は、釣菌ツール107の概略を示す図である。釣菌ツール107は、釣菌ツール先端部501と、釣菌ツール支持体502とを備えている。釣菌ツール先端部501として、発泡ウレタンを用いてもよい。また、釣菌ツール107は、汚染のない菌液を作製するために、ディスポーザブルなものを用いるか、滅菌処理を実施しながら用いることができる。釣菌ツール先端部501の断面積の形状は、三角形,四角形,星型,楕円形、および円形などでもよい。釣菌ツール先端部501の断面積の大きさはさまざまであり、ユーザが求めるものを選択することができる。
【0028】
〔表示部102への表示について〕
上記の(S5)において、表示部102に表示する情報について図6を用いて説明する。図6は、表示部102を示す図である。表示部102には、シャーレ上のコロニーの画像601を表示し、所定濁度の懸濁液に必要な採取すべきコロニーを図や文字「必要な菌量に対して、AとBとCのコロニーを選択してください」などで示すことができる。また、ユーザが任意に釣菌したいコロニーを選択することができ、これらを釣菌したと仮定した場合の釣菌回数やコロニー数、さらに懸濁液の濁度の予測計算値を表示することができる(図では文字情報を省略)。なお、シャーレ上に必要な菌量が存在しなかった場合には、菌量が存在しない旨を表示することができる。
【0029】
〔画像処理について〕
コロニーの面積の求め方を説明する。図7は、カメラ101で撮影したコロニーの輪郭701である。画像処理によって、カメラ101で撮影したコロニーの重心702と重心から一番距離が短い端703とを結んで得られるコロニー寸法704を計測する。この寸法を半径とする円(破線)の面積をコロニーの面積と仮定してもよい。また、コロニーの面積は、ピクセルの総数をカウントして求めてもよい。
【0030】
〔入力部101への入力情報について〕
上記では、入力部101へ最初に入力する情報として、球菌か桿菌かと、濁度としたが、これに限られず、菌種名、どのような釣菌ツールを使うかという情報、どのような培地かという情報を入力してもよい。ここでいう培地は、検査対象の菌種のみを発育させる培地である選択培地も含める。
【0031】
なお、上記では、球菌と桿菌それぞれについて濁度と面積のデータベースを用いたが、球菌と桿菌の分類に限定されず、予めわかっている菌についての情報があれば、そのグループなどの分類を用いてもよい。
【実施例2】
【0032】
〔釣菌動作について〕
本発明の釣菌動作には、実施例1で示した釣菌回数や釣菌するコロニー数のほか、釣菌ツールの動作方向も含まれる。本発明は、釣菌ツールを培地面に対して垂直方向に上下動作させる「スタンプ方式」と、培地面に対して水平方向に動作させる「横スライド方式」を切り替えることができる釣菌装置である。
【0033】
図8は、スタンプ方式による釣菌の動作の模式図である。釣菌ツール先端部501と釣菌ツール支持体502を有する釣菌ツール、およびコロニー801が生育した培地802を横方向から見た図である。スタンプ方式は、コロニー801を上方向から狙い、釣菌ツールを降下させ(図8(a))、釣菌ツール先端部501をコロニーに接触して付着させ(図8(b))、再び釣菌ツールを上方向に動かし(図8(c))コロニー801を採取する。基本的にこの一連動作で1つのコロニーを採取する方式である。培地上に種類の異なるコロニーが存在する場合、1つのコロニーだけを狙って採取できるスタンプ方式は、1回の釣菌でコンタミネーションする可能性が低いという点で優れている。
【0034】
図9は、横スライド方式による釣菌の動作の模式図である。横スライド方式は、釣菌ツールを下降させて培地面に近接または接触させ(図9(a))、その状態から培地面に対して水平方向に動作させ(図9(b))、コロニー801を釣菌ツール先端部501に接触付着させた後(図9(c),(d))、釣菌ツールを上方向に動かして(図9(e))、コロニーを採取する。つまり、コロニー801が複数あるとき、コロニー一つ一つに対して釣菌ツールを上方向に動かさずに、連続して横方向に動かすという一連動作で、複数のコロニーを横方向から連続してかき取ることができる。さらに、図9(f)に示すようにコロニー同士が隣接している場合にも横スライド方式を用いてこれらの連続したコロニーを採取できる。したがって、短時間でたくさんのコロニーを採取したい場合に、横スライド方式がふさわしい。また、スライドする方向は、培地面に水平であれば、培地上に直線や曲線を描く方向であってもよい。スライドする距離や面積も釣菌するコロニーやエリアの形状に応じて可変である。
【0035】
したがって、コロニーが属するグループの情報やユーザからの指示を受けて、スタンプ方式と横スライド方式の釣菌動作を切り替えることによって、高精度、短時間に釣菌すること可能である。
【0036】
〔入力部への入力情報について〕
実施例1で示したもののほかに、入力部101へ閾値を入力してもよい。閾値とは所定の濁度の懸濁液を作製するために必要な釣菌回数(釣菌ツールのスタンプ動作の回数),釣菌するコロニーの数,釣菌にかかる時間,釣菌するコロニーの全面積や全体積,個々のコロニーのサイズ(直径,面積,体積など),コロニー間の距離(密度)などの指標であり、スタンプ方式と横スライド方式を切り分ける限界値を定める値である。
【0037】
閾値の設定は、ユーザが入力部101から入力する以外に、臨床検査室での情報通信に用いられる臨床検査情報システム(LIS)やホストコンピュータやインターネットなどのネットワークを介して装置に入力される方法でもよい。また、予めデータベースや装置に保存されている情報であってもよく、設定方法は問わない。
【0038】
さらに、入力部101から釣菌の条件を入力することができる。釣菌の条件とは、釣菌するコロニーそのものや釣菌するコロニーのエリア、釣菌ツールを複数種備える場合には釣菌ツールの種類、さらに釣菌ツールを培地やコロニーへ接触させる力や釣菌ツールの下降距離などのことである。
【0039】
以下に、閾値に釣菌回数を用いた例を示す。ただし、閾値は釣菌回数に限定されず、釣菌するコロニーの数,釣菌動作にかかる時間,釣菌するコロニーの全面積や全体積,個々のコロニーのサイズ(直径,面積,体積など),コロニー間の距離(密度)など、スタンプ方式と横スライド方式の釣菌動作を切り分ける指標となるような値であればよく、特に限定しない。
【0040】
〔釣菌動作の制御方法〕
細菌コロニー釣菌装置は、釣菌動作を制御する制御部を有し、この制御部は、実施例1に示す(1)〜(6)の他に、さらに、次に示す機能を有してもよい。
(7)スタンプ方式による釣菌動作で所定濁度の懸濁液が作製される釣菌条件と、閾値を比較し、実行する釣菌動作を判断する。
【0041】
次に、閾値によりスタンプ方式と横スライド方式を切り分け、懸濁液を作製する流れを図10に示すフローチャートを用いて説明する。
(S11)入力部101から、球菌か桿菌かいずれか、および濁度および閾値などが入力される。ここでは、例として、閾値にスタンプ方式による釣菌回数の上限である最多釣菌回数Nを入力する。
(S12)カメラ106でコロニーの画像を撮影する。
(S13)画像やデータベースを基に、実施例1と同様に総菌量(所定濁度の懸濁液作製に必要な菌量)になるコロニー面積を求め、スタンプ方式による釣菌回数やコロニー数やパターンなどを算出する。
(S14)算出した情報を表示部102に表示する。ここで、ユーザは、入力部101から釣菌を実行するコロニーやエリアを選択してもよく、その場合、釣菌回数やコロニー数などが再計算,再表示される。
(S15)制御部は、画像から求めた総菌量になる釣菌回数nと閾値Nを比較する。[釣菌回数n≦閾値N]の場合、釣菌ツールの垂直方向の動作(スタンプ方式)を選択すると判断する。[釣菌回数n>閾値N]の場合、釣菌ツールの水平方向(横スライド方式)の動作を選択すると判断する。その判断を、表示部102に表示してもよく、その場合、ユーザは制御部が選択した動作を判断して、変更してもよい。
(S16)判断した釣菌ツール107の動作にてコロニーを釣菌する。
(S17)容器112にシリンジ208とタンク210と分注ピペッタ212を用いて食塩水を満たす。
(S18)釣菌ツールを容器112中の食塩水に浸して、懸濁液を作製する。
【0042】
ここまでが、釣菌動作部104の動作である。この後、容器112を菌液調整部105へ移動させて、濁度計110を用いて懸濁液の濁度を測定し、所定の濁度になるように調整する。
【0043】
ここで、上記の釣菌回数について説明する。本発明者らは、所定濁度の懸濁液作製に要するスタンプ方式による釣菌動作の回数を、実験にて調査した。その結果を図11に示す。ここでは、1回のスタンプ方式による釣菌動作でコロニー1個を採取するとした。また、所定濁度は検査に必要な懸濁液の濁度としてB.PumilusにはMcF2.0、その他の菌種にはMcF0.5を用いた。スタンプ方式による釣菌回数10回を閾値と仮定すると、B.Pumilus、S.dysgalactiae、S.Salivariusの菌種で、所定濁度を達成するには閾値の回数以上の釣菌回数が必要となる。この原因は、菌種によって、必要とされる所定濁度、コロニーのサイズ、さらに、実施例1で述べたように所定濁度を達成するためのコロニー面積に違いがあるためである。
【0044】
したがって、高濁度の菌液が必要な場合やコロニーが小さい場合など、スタンプ方式による釣菌回数が多く必要な菌種の場合、横スライド方式で複数のコロニーをかき集めることによって、少ない動作回数で釣菌できる。
【0045】
以上のように、どのコロニーを何回釣菌すればよいかを事前に把握し、閾値と比較することにより、効率的な釣菌を行うことができる。
【実施例3】
【0046】
培地上に生育したコロニーは、コロニー同士が密集していたり、離れて存在したり、場合により様々な配置である。ここでは、培地上のコロニーの配置に適した釣菌動作の方式の切り分け例を示す。実施例2では、スタンプ方式または横スライド方式どちらか一方を選択して、1つの培地上のコロニーを釣菌する方法を示したが、ここでは、スタンプ方式および横スライド方式の両方を用いて1つの培地上からコロニーを採取する例も示す。
【0047】
図12(a)〜(d)のコロニーの模式図を用いて、培地上のコロニーの配置による各方式の使い分けの例を説明する。
【0048】
図12(a)〜(d)では、それぞれ大,小のコロニーを表しており、大コロニーは、スタンプ方式で採取するコロニー、小コロニーは横スライド方式で採取するコロニーとした。大,小のコロニーの切り分けは、表示部に表示された画像からユーザが判断してもよいが、実施例2で述べたように閾値にコロニーのサイズを設定し、自動判断することも可能である。例えば、撮像部103で取得した画像を画像処理して算出した釣菌対象のコロニーのサイズと閾値を比較して、表示部102に各コロニーの大,小の切り分けを表示する。図12(a)〜(d)は、培地の上面方向から見た培地802と培地上に生育したコロニー801の模式図である。また、記号A〜Dは、所定濁度の懸濁液に要するコロニーおよびコロニーのエリア(丸で囲んで示した)である。なお、A〜Dはいずれも同一の菌種のコロニーを示しているとし、これらを釣菌することによってコンタミはないとする。
【0049】
図12(a)の場合、大コロニーのA〜Dをスタンプ方式で採取することによって、所定濁度の懸濁液が作製できる。
【0050】
また、図12(b)の場合、Aのエリアで釣菌ツール107をスライドし小コロニーを採取することによって、所定濁度の懸濁液が作製できる。
【0051】
図12(c)の場合は、横スライド方式で採取すべきコロニーのエリアが、AとBの2ヶ所あるため、2ヶ所に分けてスライドを行う。判断は、コロニー間の距離(密度)や釣菌動作に要する時間などを閾値として設定することにより、切り分け可能である。このように、採取するコロニーのエリアの配置に応じて、横スライド方式の回数を切り分ける。
【0052】
さらに、図12(d)の場合は、1つの培地でスタンプ方式と横スライド方式を組み合わせて行う例である。AとBのコロニーをスタンプ方式で採取し、さらにCのエリアのコロニーを横スライド方式で採取する。予め、スタンプ方式と横スライド方式のそれぞれに要する釣菌時間の情報を入力しておき、これを閾値に用いることで、切り分けが可能である。
【0053】
このように、閾値は釣菌回数に限定されず、個々のコロニーのサイズや、釣菌動作にかかる時間,コロニー間の距離(密度)などをはじめ、コロニーの数,コロニーの面積,体積などを設定することができる。これにより、コロニーの配置やエリアに応じてスタンプ方式と横スライド方式のどちらか一方の切り分けだけではなく、両方式を組み合わせたり、横スライド方式の動作を数回に分けたりすることによって、効率的にコロニーを採取することができる。
【実施例4】
【0054】
地球上には、発見されていないものも含め数万〜数百万種の細菌が存在すると言われている。このような未知の菌やデータベースに情報がない菌など想定外のコロニーを釣菌する場合、作製した懸濁液の濁度が所定濁度を達成しないことが考えられる。作製した懸濁液が所定濁度に満たない場合、さらにコロニーを釣菌して懸濁液に追加する必要がある。想定外のグループの菌であっても、コロニーを効率よく追加できる釣菌装置を実施例4として、以下に示す。
【0055】
〔釣菌動作の制御方法〕
細菌コロニー釣菌装置は、釣菌動作を制御する制御部と濁度計110を有し、この制御部は、さらに、次に示す機能を有してもよい。
(8)釣菌後、作製した懸濁液を濁度計110で測定し、その濁度を制御部で受け取る。
(9)制御部にて受け取った濁度と所定の濁度を比較し、所定の濁度が達成されていない場合、不足分の濁度を算出する。
(10)制御部にて受け取った濁度から、先に釣菌した菌の面積と測定した濁度との関係を算出する。
(11)上記(10)の関係を用い、上記(9)で算出した濁度不足分を補う追加コロニーの面積、さらに釣菌回数などを求める。
【0056】
次に、例としてスタンプ方式にて釣菌し作製した懸濁液の濁度が所定の濁度より薄い場合、追加でコロニーを釣菌し、所定の濁度の懸濁液を作製する流れについて図13に示すフローチャートを用いて説明する。
(S21)入力部1から、球菌か桿菌かいずれか、および濁度および閾値などが入力される。
(S22)スタンプ方式にて釣菌し、懸濁液を作製する。ここで実行したスタンプ方式による釣菌回数をm回とする。これは、実施例1のS5〜S8と同様のステップである。
(S23)作製した懸濁液の濁度cを測定する。
(S24)上記S23で測定した濁度と所定の濁度を比較する。
(S25)所定濁度が達成されていない場合、不足分の濁度dを算出する。
(S26)上記S23で測定した濁度cと、スタンプ方式にて釣菌した釣菌回数mとの関係を求める。例えば、測定濁度を釣菌回数で割ること(c/m)によって、菌液作製効率eが算出される。つまり、菌液作製効率とは、1回のスタンプ方式による釣菌動作によって得られる懸濁液の濁度のことである。
(S27)上記S25で算出した不足分の濁度dを補う釣菌回数nを、上記S26で求めた関係を基に求める。これは、不足分の濁度を菌液作製効率で割ることに(n=d/e)よって求まる。
(S28)実施例2のS14〜S16と同様の方法で閾値から動作を決定し、不足分のコロニーを追加釣菌する。
(S29)上記S22の懸濁液に、釣菌ツールを浸してコロニーを追加し、懸濁液を作製する。
【0057】
上記S26〜S27ではスタンプ方式による釣菌回数にて菌液作製効率を求めたが、コロニーの面積や体積などの情報を用いてもよい。例えば、横スライド方式で作製した懸濁液が所定濁度より薄い場合、既に釣菌したコロニーの面積と得られた濁度の関係、つまり釣菌コロニー面積あたりの得られる濁度(釣菌効率)を算出し、そこから不足分の濁度を補うコロニー面積を求め、効率的にコロニーを追加する。
【0058】
以上のように、予めグループの情報が得られない菌や、初回の懸濁液作製後に所定濁度に満たない場合でも、釣菌および濁度測定を何度も繰り返さずに、不足分を計算してコロニーをもう一度だけ追加することで所定濁度の懸濁液が作製できる。
【符号の説明】
【0059】
101 入力部
102 表示部
103 撮像部
104 釣菌動作部
105 菌液調整部
106 カメラ
107 釣菌ツール
108 シャーレ
109 シャーレ台
110 濁度計
111 濁度調整機構
112 容器
201 釣菌ツール用ラック
202 水平移動軸
203 X軸体
204 Y軸体
205 Z軸体
206 釣菌ツール把持部
207 容器搭載部
208 シリンジ
209 流路
210 タンク
211 三方弁
212 分注ピペッタ
501 釣菌ツール先端部
502 釣菌ツール支持体
601 コロニーの画像
701 コロニーの輪郭
702 コロニーの重心
703 重心から一番短い端
704 重心と重心から一番短い端を結んで得られる1個のコロニーのコロニー寸法
801 コロニー
802 培地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロニーを採取する釣菌ツールと、該釣菌ツールを少なくとも垂直方向へ駆動させる駆動部と、シャーレを載置する台とを備えた釣菌装置であって、
コロニーをいくつかのグループに分類した場合、釣菌対象のコロニーがどのグループに属するかによって、釣菌ツールの釣菌動作を切り替えることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項2】
コロニーを採取する釣菌ツールと、該釣菌ツールを少なくとも垂直方向へ駆動させる駆動部と、シャーレを載置する台とを備えた釣菌装置であって、
釣菌対象のコロニーに応じて、釣菌動作を切り替えることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項3】
コロニーを採取する釣菌ツールと、該釣菌ツールを少なくとも垂直方向へ駆動させる駆動部と、シャーレを載置する台とを備えた釣菌装置であって、
釣菌対象のコロニーに応じて、釣菌回数を切り替えることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項4】
コロニーを採取する釣菌ツールと、該釣菌ツールを少なくとも垂直方向へ駆動させる駆動部と、シャーレを載置する台とを備えた釣菌装置であって、
釣菌対象のコロニーに応じて、釣菌量を切り替えることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項5】
請求項1において、
釣菌対象のコロニーに応じて、釣菌回数を求めることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項6】
請求項1において、
釣菌対象のコロニーに応じて、釣菌すべきコロニーの個数を求めることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項7】
請求項1において、
釣菌すべきコロニーに応じて必要な釣菌回数を表示することを特徴とする、釣菌装置。
【請求項8】
請求項1において、
釣菌すべきコロニーの個数を表示することを特徴とする、釣菌装置。
【請求項9】
請求項1において、
グループは、球菌か桿菌かに分類されることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項10】
請求項1において、
グループ毎に、懸濁液の濁度と、コロニーの総面積との関係を示すデータベースを備えていることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項11】
請求項1において、
グループ毎に、懸濁液の濁度と、コロニーの総体積との関係を示すデータベースを備えていることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項12】
請求項1において、
グループ毎に、懸濁液の吸光度と、コロニーの総面積との関係を示すデータベースを備えていることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項13】
請求項1において、
グループ毎に、懸濁液の吸光度と、コロニーの総体積との関係を示すデータベースを備えていることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項14】
請求項10において、
コロニーを撮影するカメラを備えていることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項15】
請求項14において、
カメラで撮影したコロニーの画像を基に個々のコロニーの面積を求める画像処理を行う制御部を備えることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項16】
請求項10において、
どのグループに属するかの情報と共に、所望の懸濁液の濁度の情報も得ることができ、 該濁度から上記データベースを基に、コロニーの総面積を求め、該コロニーの総面積と、制御部が求めた1つのコロニーの面積から必要なコロニー数を求めることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項17】
請求項16において、
必要なコロニー数を表示することを特徴とする、釣菌装置。
【請求項18】
請求項16において、
シャーレ上のコロニーの画像を表示し、釣菌すべきコロニーをマーキングすることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項19】
細菌を採取する釣菌ツールを用いた釣菌方法であって、
コロニーがいくつかのグループに分類した場合、釣菌対象のコロニーがどのグループに属するかに応じて、釣菌ツールの釣菌動作を切り替えることを特徴とする、釣菌方法。
【請求項20】
細菌を採取する釣菌ツールを用いた釣菌方法であって、
釣菌対象のコロニーに応じて、釣菌動作を切り替えることを特徴とする、釣菌方法。
【請求項21】
細菌を採取する釣菌ツールを用いた釣菌方法であって、
釣菌対象のコロニーに応じて、釣菌回数を切り替えることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項22】
細菌を採取する釣菌ツールを用いた釣菌方法であって、
釣菌対象のコロニーに応じて、釣菌量を切り替えることを特徴とする、釣菌方法。
【請求項23】
請求項19において、
上記グループは、球菌か桿菌かに分類されることを特徴とする、釣菌方法。
【請求項24】
請求項23において、
グループ毎に、懸濁液の濁度と、コロニーの総面積との関係を示すデータベースを備えていることを特徴とする、釣菌方法。
【請求項25】
請求項24において、
カメラで撮影したコロニーの画像を基に個々のコロニーの面積を求め、
どのグループに属するかの情報と共に、所望の懸濁液の濁度の情報も得ることができ、 該濁度から上記データベースを基に、コロニーの総面積を求め、該コロニーの総面積と、画像処理で求めた1つのコロニーの面積から必要なコロニー数を求めることを特徴とする、釣菌方法。
【請求項26】
請求項1において、
さらに、懸濁液の濁度を求める濁度計を備えた、釣菌装置。
【請求項27】
請求項1において、
上記駆動部による釣菌ツールの動作は、垂直方向または水平方向のいずれかまたは組み合わせであることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項28】
請求項27において、
予め設定された閾値を基に、釣菌ツールの動作方向を切り替えることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項29】
請求項28において、
上記閾値とは、釣菌ツールの垂直方向による、釣菌回数,釣菌するコロニーの数,釣菌動作時間,釣菌面積,釣菌体積,個々のコロニーサイズ,コロニー間の距離のいずれかに関する限界値であることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項30】
請求項1において、
さらに、ユーザが釣菌するコロニーおよびコロニーのエリアを選択する入力部を備えた、釣菌装置。
【請求項31】
請求項30において、
コロニーを撮影するカメラを備え、
該カメラで撮影した画像を基に、ユーザが選択したコロニーの総面積、または総体積を求める機能を有する、釣菌装置。
【請求項32】
請求項27において、
水平方向に釣菌ツールを動作する場合、動作距離または動作範囲または動作方向の少なくともひとつを判断し、選択したコロニーおよびエリアのコロニーを釣菌することを特徴とする、釣菌装置。
【請求項33】
請求項26において、
測定した濁度から、
懸濁液の濁度とコロニーの総面積または総体積との関係を求めることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項34】
請求項33において、
求めた関係を基に、所望の濁度を達成するコロニーまたはコロニーのエリアを求めることを特徴とする、釣菌装置。
【請求項35】
請求項19において、
上記釣菌動作は、釣菌ツールの垂直方向または水平方向への動作のいずれかまたは組み合わせであることを特徴とする、釣菌方法。
【請求項36】
請求項35において、
予め設定された閾値を基に、釣菌ツールの動作方向を切り替えることを特徴とする、釣菌方法。
【請求項37】
請求項36において、
上記閾値とは、釣菌ツールの垂直方向による、釣菌回数,釣菌するコロニーの数,釣菌動作時間,釣菌面積,釣菌体積,個々のコロニーサイズ,コロニー間の距離のいずれかに関する限界値であることを特徴とする、釣菌方法。
【請求項38】
請求項35において、
水平方向に釣菌ツールを動作する場合、動作距離または動作範囲または動作方向の少なくともひとつを判断し、選択したコロニーおよびエリアのコロニーを釣菌することを特徴とする、釣菌方法。
【請求項39】
請求項35において、
あらかじめ測定した濁度から、懸濁液の濁度とコロニーの総面積または総体積との関係を求めることを特徴とする、釣菌方法。
【請求項40】
請求項39において、
求めた関係を基に、所望の濁度を達成するコロニーまたはコロニーのエリアを求めることを特徴とする、釣菌方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−254806(P2011−254806A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281123(P2010−281123)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】