説明

鉄、マンガン、アンモニア性窒素を含有する原水の浄化方法、および浄化装置

【課題】本発明は、地下水等の鉄、マンガン、アンモニア性窒素を含有する原水から、薬品を用いず、溶解した鉄・マンガンを微生物が付着したろ材により酸化し、ろ過することで極一部を残して除去するとともに、肥料として価値のあるアンモニア性窒素を処理水中に残留せしめ、農地の肥料の節約が可能な農業用水を得るための浄化方法および浄化装置を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも鉄、マンガン、およびアンモニア性窒素を含有する原水の、生物ろ過法により除鉄、除マンガンを行う浄化方法であって、得られる処理水の溶存酸素濃度が4mg/L以上となるように原水に酸素を溶解させて、少なくともアンモニア性窒素が処理水中に残留するように、除鉄、除マンガン、硝化を制御して微生物と接触させてろ過することにより、アンモニア性窒素を含有する処理水を得ることを特徴とする浄化方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地下水等の鉄、マンガン、アンモニア性窒素を含有する原水の浄化方法に関し、特に、薬品を用いず、前記原水に溶解した鉄・マンガンを生物ろ過によって、極一部を残して除去するとともに、肥料として価値のあるアンモニア性窒素を処理水中に多く残留せしめ、農地の肥料の節約が可能な農業用水を得るための浄化方法、および浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地下水には、鉄、マンガン、アンモニア性窒素等が溶解している場合が多くあり、これらを含有する地下水を農業用水として利用する場合、余分な鉄、マンガンを除去する浄化が行われている。
アンモニア性窒素を含む地下水から鉄・マンガンを除去して農業用水に使用する場合、従来は塩素系の酸化剤を注入し、アンモニア性窒素を完全に除去した後に、鉄を酸化、マンガンを酸化させて除去している。鉄、マンガン処理は酸化剤を添加し、触媒を充填した接触ろ過法で除去することが行われていた。マンガンの酸化はゆっくりと進行するため、二酸化マンガンをコーティングした触媒を用いて、自己酸化せしめている。
元々、飲料水用の浄水技術として用いられている方法であり、飲料水は水道法により給水栓で残留塩素を維持することが定められていることからアンモニア性窒素が残ると残留塩素濃度を維持できなくなるため、アンモニア性窒素の存在は思わしくなく、完全に処理されることが望まれた。したがって、上記のような化学的な酸化方式が使われるようになった。
【0003】
この化学的な処理法の場合、一番先にアンモニア性窒素を反応させてしまうため、アンモニア性窒素をブレークポイント塩素注入法で完全に除去した後でなければ、鉄、マンガンの処理ができない。また、鉄、マンガンを除去するために過剰に酸化剤を加えると、酸化剤が処理水に残留することがあり、最終的に残った酸化剤が農作物に悪影響を及ぼすため余剰の酸化剤を除去することが必要となる。また、アンモニア性窒素を塩素系の酸化剤で除去するには多量の酸化剤が必要であった。
【0004】
また、アンモニア性窒素に影響されずマンガンを酸化させる方法として酸化剤に過マンガン酸カリウムを用いる方法があるが、薬品代が塩素よりも高く製造コストの上昇を招く。さらに、上記の理由によりアンモニア性窒素は別途処理が望まれる。アンモニア性窒素を塩素で除去する場合には余分に添加された塩素によりトリハロメタンが生成される。
【0005】
従来、生物ろ過と称して水道施設では曝気濾過池方式の処理方法(特許文献1)、落差を利用して酸素供給量を調整した処理方法(特許文献2)、被処理水に酸素含有ガスを供給した方法(特許文献3)等の例がある。前記曝気濾過池式の生物処理装置は、曝気装置付きの生物ろ過装置と砂ろ過設備を有し、飲料水用途でアンモニア性窒素、有機物の処理目的で導入されている。生物ろ過法は精度が悪く、維持管理が面倒という指摘もなされているが、実際は全自動で処理がなされるばかりか、通常の地下水レベルであれば3日に1回の洗浄でよく、非常に安価な処理方式である。しかし、かさ高い施設が必要で、自然流下方式で水が流されるためRC構造になることが多く、水量が小さい農場などでは過剰な設備と成り得る。曝気により、また落差を利用したり、酸素含有ガスを供給して酸素供給量を調整した場合も全ての微生物に酸素が行き届く環境が構築されるため、アンモニア性窒素はほとんど硝化され、アンモニア性窒素を残留させ、鉄とマンガンを除去するといったシステムの構築はできない。
【0006】
農業用水としては飲料水と違いアンモニア性窒素は栄養塩の一つであるため、完全に除去する必要はなく、残留塩素も必要ない。鉄とマンガンも必須元素であるため完全に除去する必要もなく、配管内にスケールが付かない程度に残留して構わない。
このように、薬品を使わなくても、アンモニア性窒素を残留させ、鉄・マンガンをある程度除去し、しかもろ材を充填したままで逆洗再生できる、運転管理の容易な浄水方法は未だ開発されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−290784号公報
【特許文献2】特開2005−288417号公報
【特許文献3】特開2010−89046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、地下水等の鉄、マンガン、アンモニア性窒素を含有する原水から、薬品を用いず、溶解した鉄・マンガンを微生物が付着したろ材により酸化し、ろ過することで極一部を残して除去するとともに、肥料として価値のあるアンモニア性窒素を処理水中に残留せしめ、農地の肥料の節約が可能な農業用水を得るための浄化方法および浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、鉄、マンガン、アンモニア性窒素を含有する原水に溶解した鉄・マンガンを生物ろ過によって、除去する際に、得られる処理水の溶存酸素濃度が4mg/L以上となるように原水に酸素を溶解させて、高速で微生物と接触ろ過させることにより、少なくともアンモニア性窒素が処理水中に残留するように、除鉄、除マンガン、アンモニア性窒素の硝化(nitrification)を制御することができ、アンモニア性窒素を処理水中に多く残留せしめ、農地の肥料の節約が可能な農業用水を得ることができることを見出し本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明は以下の通りである。
(1) 少なくとも鉄、マンガン、およびアンモニア性窒素を含有する原水の、生物ろ過法により除鉄、除マンガンを行う浄化方法であって、得られる処理水の溶存酸素濃度が4mg/L以上となるように原水に酸素を溶解させて、少なくともアンモニア性窒素が処理水中に残留するように、除鉄、除マンガン、硝化を制御して微生物と接触させてろ過することにより、アンモニア性窒素を含有する処理水を得ることを特徴とする浄化方法。
(2)前記処理水の、鉄、マンガン濃度が合算で0.2〜0.5mg/L、アンモニア性窒素濃度が0.5mg/L〜5mg/Lであることを特徴とする前記(1)記載の浄化方法。
(3)前記酸素を溶解させた原水の溶存酸素濃度が9mg/L以上であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の浄化方法。
(4)得られる処理水の溶存酸素濃度が4mg/L以上となるように原水に酸素を溶解させる酸素溶解工程と、微生物を付着させた粒径が1mm〜4mmである多孔質ろ材を充填した生物ろ過塔に、酸素を溶解させた原水を空塔速度3hr-1〜10.5hr-1で通水して、ろ材に付着した微生物による除鉄、除マンガン、硝化を制御してアンモニア性窒素を含有する処理水を得る工程とを少なくとも有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の浄化方法。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の浄化方法に用いる浄化装置であって、得られる処理水の溶存酸素濃度が4mg/L以上となるように原水に酸素を溶解させるための酸素溶解装置と、微生物を付着させた粒径が1mm〜4mmである多孔質ろ材を充填した生物ろ過塔であって、アンモニア性窒素が処理水中に残留するように、ろ材に付着した微生物による除鉄、除マンガン、硝化を制御する生物ろ過塔とを少なくとも有することを特徴とする浄化装置。
(6)前記浄化装置が処理水の貯留槽を有し、該貯留槽が、少なくとも遮光するための設備、UV照射装置、曝気装置、循環装置のいずれか有することを特徴とする前記(5)記載の処理装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、地下水等の鉄、マンガン、アンモニア性窒素を含有する原水から、薬品を用いず、溶解した鉄・マンガンを極一部を残して除去するとともに、肥料として価値のあるアンモニア性窒素を処理水中に多く残留せしめ、農地の肥料の節約が可能な農業用水を得ることができる。
また、本発明の浄化方法によると、ろ材を充填したままで逆洗による再生もでき、運転管理が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の浄化装置の一例の概略図である。
【図2】実施例1で用いた浄化装置の概略図である。
【図3】実施例1において空塔速度6hr-1で通水を行った際のアンモニア性窒素の処理状況を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、少なくとも鉄、マンガン、およびアンモニア性窒素を含有する原水の、生物接触ろ過法により除鉄、除マンガンを行う浄化方法であって、得られる処理水の溶存酸素濃度が4mg/L以上となるように原水に酸素を溶解させて、少なくともアンモニア性窒素が処理水中に残留するように除鉄、除マンガン、硝化を制御して微生物と接触させてろ過することによりアンモニア性窒素を含有する処理水を得る浄化方法であり、前記処理水の、鉄、マンガン濃度が合算で0.2〜0.5mg/L、アンモニア性窒素濃度が0.5mg/L〜5mg/Lであることが好ましい。また、前記得られる処理水の溶存酸素濃度を4mg/L以上とするには、酸素を溶解させた原水の溶存酸素濃度を9mg/L以上とすることが好ましい。
【0014】
従来の生物ろ過法においては、曝気等を行い溶存酸素を補給して酸素の飽和状態でろ過を行うが、微生物により、鉄、マンガンが除去されると同時に、アンモニア性窒素が硝化され、得られる処理水中にはアンモニア性窒素がほとんど含有されなかった。
本発明においては、得られる処理水の溶存酸素濃度が4mg/L以上となるように原水に酸素を溶解させて、ろ過する際に、除鉄、除マンガン、硝化を制御し、アンモニア性窒素が完全に硝化される前に処理水として得ることにより、処理水中にアンモニア性窒素が多く残存する処理液を得ることができる。アンモニア性窒素は肥料となるので、この処理水を農業用水として用いることにより、肥料の節約が可能となる。
【0015】
生物ろ過処理を終えた処理水(以下単に処理水という)中の溶存酸素濃度は、4mg/L以上であり、好ましくは5mg/L以上である、処理水の溶存酸素濃度が4mg/Lを下回ると、鉄の除去性能が悪化する。生物処理ではろ材全体に微生物が付着し、大部分の鉄やマンガンの除去、一部のアンモニア性窒素の硝化とは別に微生物が生存するための呼吸に必要な酸素があり、4mg/L以下になると微生物反応が低下する。処理水中の溶存酸素濃度の上限としては9mg/L程度であり、酸素が使用されていない場合は、経済性を考慮して原水の溶存酸素濃度を下げてもよい。
【0016】
本発明において原水の溶存酸素濃度は、十分な微生物反応が行われるよう処理水の溶存酸素濃度を4mg/L以上にするために、9mg/L以上とすることが好ましい。より好ましくは、9〜11mg/Lである。
処理水の溶存酸素濃度が少なすぎると、鉄及びマンガンが除去されにくくなり、鉄が0.3mg/L以上、マンガンが0.2mg/L以上残留し、鉄、マンガン濃度が合計で0.5mg/L以上になりやすい。
処理水の溶存酸素濃度を4mg/L以上にするために原水に溶解させる酸素の量は、原水中のアンモニア性窒素や鉄、マンガンの濃度に左右される。鉄濃度が1〜2mg/Lで、アンモニア性窒素濃度が2mg/L程度ある場合は8mg/L以上、鉄濃度が2〜4mg/L、アンモニア性窒素濃度が同じ2mg/L程度である場合は9mg/L以上とすることが好ましい。
また、鉄濃度が4mg/L〜15mg/Lである場合は、ろ過塔を2塔に、鉄濃度が15〜30mg/Lである場合は、ろ過塔を3塔に分けて、すべてに酸素供給装置を設けることが好ましい。鉄濃度が30mg/L以上である場合は、原水槽に散気装置と粗ろ材を投入して、曝気処理できる工程を設けて、生物ろ過工程前に、鉄分の一部を酸化鉄のコロイドとしてろ過処理し、除去することができる。この際に、凝集剤を併用することでより確実に除去することができる。
【0017】
原水としては地下水等が挙げられ、通常水温は17℃程度である。1気圧、17℃の蒸留水の飽和溶存酸素濃度は9.37mg/Lであるので、原水の溶存酸素濃度を9mg/L以上とするには、酸素を、加圧溶解することが好ましい。酸素の溶解法を加圧溶解とすることにより、17℃の水温でゲージ圧0.12MPaで溶解させると、15mg/L程度まで溶解させることができる。
【0018】
得られる処理水中の鉄、マンガン濃度は合算で0.2〜0.5mg/Lが好ましい。鉄、マンガンも農業用水として用いる場合は、作物の成長に有用であるが、配管にスケールとならないようなレベルまで処理されることが好ましい。前記濃度が0.2mg/L未満であると、比較的透明で着色は少ないが、土壌の鉄不足が懸念され、0.5mg/Lを超えると処理水の着色が顕著になり、作物に給水するノズルへのスケールの付着が多くなる。
また、アンモニア性窒素の濃度は0.5mg/L〜5mg/Lであることが好ましく、0.5〜3.0mg/Lであることがより好ましい。0.5mg/L未満であると、栄養塩の不足が起こりえるため、肥料の量が多く必要になり、5mg/Lを超えると、栄養分が豊富であるため、プランクトン、微生物、バクテリア等が発生し、処理水中の酸素を消費して、溶存酸素が少ない水となりやすい。また、土壌が酸性土化しやすく好ましくない。10mg/Lを超えると根が枯れる恐れがある。
【0019】
本発明による処理水中の鉄、マンガン、アンモニア性窒素のレベルは、再利用水で目標値となっているFe+Mnで0.5mg/Lや、車の洗浄水として目標値となっているFe+Mnで0.3mg/Lなどが挙げられる。ちなみに、水道水レベルは鉄で0.3mg/L以下、マンガン0.05mg/L以下、アンモニア性窒素は基準はないものの塩素消毒の観点から0.05〜0.3mg/L程度が好ましい。
【0020】
上記の処理水を得るために、本発明の浄化方法は、得られる処理水の溶存酸素濃度が4mg/L以上となるように原水に酸素を溶解させる酸素溶解工程と、微生物を付着させた粒径が1mm〜4mmである多孔質ろ材を充填した生物ろ過塔に、酸素を溶解させた原水を空塔速度3hr-1〜10.5hr-1で通水して、ろ材に付着した微生物による除鉄、除マンガン、硝化を制御してアンモニア性窒素を含有する処理水を得る工程とを有することが好ましい。
【0021】
上記原水の水質としては、ろ過塔が1塔の場合は、鉄0.5〜4mg/L、マンガン0.2〜1.0mg/L、アンモニア性窒素0.8〜7.0mg/Lのものを用いることが好ましい。アンモニア性窒素の濃度は、マンガンの濃度と同じ位か、高いことが好ましい。農業地では肥料が地下水に浸透し、地下水のアンモニア性窒素の濃度は通常は高めとなる。
原水に含有される鉄分が30mg/L以上と多い場合は、原水に酸素を溶解させる前に、原水を曝気処理する工程を設けることができる。
前段で曝気を十分に行うと、不溶性の酸化鉄がコロイド粒子となって生成する。本発明では後段の生物ろ過塔によりある程度コロイド粒子を除去できる。従来困難であったコロイド粒子のろ過は、粒径が1mm〜4mmの多孔質ろ材表面に付着する鉄酸化菌、マンガン酸化菌、硝化菌の微生物膜により捕捉できる。コロイドは粒径だけで考えると0.3mmの細砂であっても除去できないが、微生物膜によるろ過効果により、処理が容易になっている。なお、ここでいう粒径とは有効径のことである(以降「粒径」と記述する)。有効径とは、ふるいにより分別を行い、累積重量通過率として表したときに、その10%のときの粒径をいう。
原水曝気処理工程で不溶化した鉄以外の鉄、マンガンは、溶解した酸素の補助により、生物ろ過塔で酸化され、配管にスケールとならないような前記のレベルまで処理される。
【0022】
アンモニア性窒素が完全に硝化される前に処理水を得るための除鉄、除マンガン、硝化の制御方法としては、この生物ろ過塔に充填するろ材の粒径、層高、原水を通水するときの速度、洗浄頻度、溶存酸素量等が挙げられる。鉄、マンガン、あるいはアンモニア性窒素の処理に関与する微生物は、その酸化を司る微生物の特性により、生物ろ過塔の中ではある程度の棲み分けが存在する。鉄は鉄酸化菌により除去されるが、非常に成長しやすく増えやすい。マンガン酸化菌は非常に成長しにくく、さらには独立栄養細菌でないため、他の菌との共生または、微量の有機物を必要とする。アンモニア性窒素を硝酸性窒素に処理する硝化菌もマンガン酸化菌ほどではないが、成長が遅い。ただし、独立栄養細菌であるので、有機物が必要なく単独で成長することができる。このため、原水がろ過塔の上部から流入することにより、上部より鉄酸化菌、次いで硝化菌、マンガン菌の順に成長する。硝化菌は鉄酸化菌と一部混在し、下層のマンガン酸化菌とも混在することが多い。通常は原水はアンモニア性窒素濃度がマンガン濃度よりも高いことが多く、しかもマンガンの酸化速度はアンモニアの硝化速度よりも速くすることができるため、硝化菌が先に処理を始めても、アンモニア性窒素を処理水に残留させることが可能となる。
【0023】
生物ろ過塔に充填されている多孔質ろ材は粒径が1mm〜4mmが好ましく、より好ましくは粒径2〜3mmであり、通常生物ろ過塔に用いられているものよりも大きなろ材が好ましく、不溶化したコロイド状の鉄もろ材に付着している微生物による生物膜に吸着し、除去することが可能である。また、通常の急速ろ過塔よりも3hr-1〜10.5hr-1という速いろ過速度で処理を行うことが好ましい。
粒径が1mm未満の小さな粒径のろ材を用いた場合は、ろ過速度を早くできず、同じ処理水量とすると、ろ過塔の断面積が大きくなる。また、ろ材の比表面積が大きくなるため、付着する微生物量が多くなり、全て処理されて、アンモニア性窒素を処理水中に残留させることができない場合が生じる。層高を薄くすることで制御することも考えられるが、層高を薄くすると、滞留時間が短いため原水に濃度変動があると対応できない可能性がある。
粒径が4mmを超える場合は、ろ材の比表面積が小さくなり、除去量が望めないため、鉄+マンガンで含有量を0.5mg/Lを求める場合、ろ材の層高を高くすること、あるいはろ過塔を2〜3塔くらい並設することが必要になる。
また、多孔質ろ材は、かさ比重で0.9〜1.1程度のものが好ましい。1.1よりも大きくなると、孔がないものになってしまい、生物が付着しにくく、かつ比表面積も小さくなる。
【0024】
また、ろ材の層高はろ過塔の径にもよるが、0.6m〜2.2mが好ましく、1.2m〜2mがより好ましく、さらには1.6m〜2mが特に好ましい。
層高は2.2mを超えて厚くすると滞留時間が長くなり処理精度が高まる。ただし、酸素が行き届かなくなるため、層高の厚さは溶存酸素濃度を考慮して設定する必要がある。また、圧力損失が大きくなりやすく、装置も背が高くなって不経済である。
原水の状態によりろ材の層高を高くする必要がある場合は、ろ過塔を複数に分け、1塔のろ材の層高は2.2m未満とすることが好ましい。
ろ材の層高が0.6m未満になると鉄、マンガンの処理が不安定になる。
【0025】
ろ過速度は酸素が行き届いている状態でアンモニア性窒素を残留させるのに重要であり、ろ過空塔速度3hr-1〜10.5hr-1が好ましい。
ろ過空塔速度が3hr-1未満であると、微生物と接触している時間が長くなり、除鉄、除マンガン、アンモニア性窒素の硝化が進み、得られる処理水のアンモニア性窒素の濃度が低くなる。また、処理水の溶存酸素濃度を4mg/L以上とすることが困難となる。また、同じ処理水量すると、前記に示すようにろ過塔の断面積が大きくなり、不経済である。
ろ過空塔速度が10.5hr-1を超えるとマンガンの除去率が悪くなる、また同じろ材を満たした空間で多くの水を処理することになり、その分、析出する金属塩の量も多くなり、圧力損失の上昇度合いが増えて、逆洗頻度が早くなる。洗浄頻度は2日〜3日に1回程度がマンガン酸化に対して良好であるので、原水の鉄濃度が2〜3mg/L程度であるならろ過空塔速度は6〜7hr-1程度が好ましい。
最終的には酸素溶解量にて調整することも可能である。
【0026】
前記多孔質ろ材としては、粒径のばらつきの幅が小さく揃っていて、砂よりも軽くて、多孔質であればよく、たとえばゼオライト、アンスラサイト、ザクロ石、軽石、活性炭など色々なものが利用できる。ろ過塔に上部から通水する際は、水に沈むものが好ましい。
鉄、マンガンを酸化する微生物としては、基本的には原水中に含まれる微生物が、生物ろ過塔に充填した多孔質ろ材に付着し増殖することで除去性能を発揮するが、増殖するまでに2、3カ月を要することもあるため、その期間を短縮するため、既設で除鉄、除マンガンのために用いられている鉄バクテリア、マンガン酸化菌、硝化菌を含むものであれば特に制限されるものではなく、公知のものを用いることができる。例えば、Gallionella、Thiobacillus、Leptothrix、Caldimonas、Hyphomicrobium、Nitrosomonas、Nitosospira、Nitrobacter、Nitrospira,Geobacter,Geothrix属等が挙げられる。
少なくとも鉄、マンガン、およびアンモニア性窒素を含有する原水としては、地下水、河川の水等が挙げられる。また、原水には鉛、ヒ素、カドミウム等が含有される場合があるが、本発明の浄化方法によると、これらも除去される。
【0027】
本発明にかかる生物ろ過塔はろ過性能は良好であるが、酸化鉄・二酸化マンガンの汚泥の発生により、目詰まりを生じ、圧力損失が大きくなると逆洗浄が必要となる。一般的な地下水では例えば、鉄が2mg/L、マンガンが0.5mg/L、アンモニア性窒素が3mg/Lの場合、この生物ろ過塔の洗浄は3日に1回程度の洗浄が必要である。化学処理における砂ろ過装置では1日2回の洗浄が必要となるが生物ろ過では微生物膜の効果により洗浄も少なくていい。
【0028】
洗浄は通常の水を使った逆洗を基本とするだけで良く、高圧水洗浄など複雑な操作は必要ない。汚泥の良好な剥離性、濃縮性は本発明では極めて重要で、少ない洗浄水での連続運転を可能にしている。
【0029】
本発明の浄化装置は、得られる処理水の溶存酸素濃度が4mg/L以上となるように原水に酸素を溶解させるための酸素溶解装置と、微生物を付着させた粒径が1mm〜4mmである多孔質ろ材を充填した生物ろ過塔であって、アンモニア性窒素が処理水中に残留するように、ろ材に付着した微生物による除鉄、除マンガン、硝化を制御する生物ろ過塔とを少なくとも有する。
【0030】
原水の鉄濃度が高い場合には、原水に酸素を溶解させる酸素溶解装置の前に、それとは別に原水を曝気するための散気装置を有する原水曝気装置を設けることができる。
前記酸素溶解装置は、酸素を加圧溶解させる装置が好ましく、例えば、空気を加圧するためのコンプレッサーとエジェクターとで構成することができ、該エジェクターを通して原水配管中に酸素を溶解させる酸素加圧溶解装置が挙げられる。また、生物ろ過塔を圧力容器とし、生物ろ過塔にて酸素を加圧溶解させてもよい。
【0031】
生物ろ過塔はその制御の容易さ、融通性から圧力容器が好ましい。また、処理水を農業用水として用いることを考慮した場合、その規模、地下水質などから、圧力容器が適しており、酸素の溶解法を加圧溶解とすることが好ましい。生物ろ過塔の内の圧力はゲージ圧で0.04MPa〜0.25MPa、さらには0.04MPa〜0.17MPaがより好ましい。
開放型の生物処理塔では塔の下部から散気することで溶存酸素濃度を8mg/L程度まで増加させることができるが、圧力損失を1m程度(0.01MPa)くらいしか装置化できないため、小規模の装置としては汎用性がなく適さない。1mの圧力損失では装置の設置面積が大きくなりすぎる欠点があり、小さな水量ではコンパクトな圧力容器式のものが適している。
そしてろ過塔に原水を3hr-1〜10.5hr-1で通水して、ろ材に付着した微生物により除鉄、除マンガン、硝化を行う。尚、該ろ過塔には溶存酸素濃度を制御するための溶存酸素濃度センサーとコントロールバルブを付設することが好ましい。
【0032】
本発明の浄化方法および浄化装置を図を用いて、説明する。図1は本発明の前段に使用する原水曝気処理装置と原水配管に設けた加圧酸素溶解装置、最終の生物ろ過塔の概略図である。
井戸から揚水ポンプ1で汲み上げられた地下水は飽和溶存酸素に達するように原水槽2に設置された散気装置4に原水ブロワ3から空気を供給され曝気される。溶存酸素が飽和となった地下水は原水ポンプ5で原水配管15を通って、エジェクター弁8により流量調整を行い、コンプレッサー36で空気を加圧して加圧空気配管34を通して原水配管15に導き、エジェクター7によって加圧空気と原水を混合する。原水の鉄濃度が高い場合はここに粗目のろ材を投入し、あらかじめ不溶化した鉄を一部除去した上で、その処理水に空気を加圧溶解することが好ましい。原水と空気が加圧下でミキシングされて処理水の溶存酸素濃度が4mg/L以上となるように酸素が溶解されて生物ろ過塔10に流入する。生物ろ過塔10では微生物を付着させた多孔質ろ材18が好ましくは0.6m以上充填されており、下部にはろ材が処理水集水管20から漏れ出ないように砂利19が集水管20が隠れる高さまで敷き詰められている。生物ろ過塔10に上部から流入した原水はろ材18を通過する間に鉄から順次除去がなされ、一部アンモニア性窒素を硝化して、マンガンを除去する。処理された原水は処理水として集水管20に流入し、下部の処理水管16、流出弁9を経て貯水槽11に貯められ農業用水として使用される。原水においてマンガン濃度が0.5mg/L、アンモニア性窒素濃度が2mg/L程度であれば、マンガンを0.1mg/Lまで下げ、アンモニア性窒素を半分程度残留させることができる。
【0033】
酸素加圧溶解装置はエジェクター7とコンプレッサー36で構成される。コンプレッサー36にて加圧空気を供給し、エジェクター7での空気と原水を混合し、溶解量は空気の供給圧力、エジェクター7に導かれる原水流量により制御することができる。
【0034】
生物ろ過塔10は空洗管21を内包しており、生物ろ過塔内の圧力がある程度高くなった場合、空気洗浄と逆流洗浄、捨水を行う。具体的には、ろ過塔内の圧力の増加が最大で0.25MPa程度の時であり、好ましくは圧力の増加が0.04〜0.17MPa程度の時に洗浄を行うことが好ましい。圧力が上がりすぎると、水みちができて、処理性能が悪くなる。生物ろ過塔内圧力が所定の圧力に達した場合、抜水弁8を開き、原水ポンプ5を停止、開放弁22を開き、抜水管32の位置まで水を抜いた後、洗浄ブロワ弁23を開き洗浄ブロワ22を稼動して空気を生物ろ過塔10の底部に設置した空洗管21に送気して、ろ材18を空気により展開してろ材18に付着した汚泥と余分な微生物を剥離させる。剥離した汚泥は逆流洗浄により汚泥貯槽45に送られる。逆流洗浄は排出弁40、洗浄水弁39を開き、洗浄ポンプ37を稼動して、貯水槽11の処理水を洗浄水管38を通して、生物ろ過塔10の底部から処理水を流入し剥離汚泥を上部の排出管33を通して汚泥貯槽45に送る。その後、洗い出しきれなかった汚泥を捨水洗浄により取り除き、良好な水質を確保する。捨水洗浄は通常の浄水工程(揚水ポンプ1→井水配管14→原水槽2→原水ポンプ5→原水配管15→生物ろ過塔10→集水管20)から流出弁9を閉のまま捨水弁12を開き、放流する。生物ろ過塔内が置換される時間、約10分程度で捨水弁12を閉じ、流出弁9を開き貯水槽11に処理水を貯留する。
【0035】
汚泥貯槽45に移送された汚泥は移送ポンプ45により天日乾燥床36に汚泥を分配する。天日乾燥床にはろ過材41が充填されており、洗浄汚泥はその上に残り、天日により脱水ケーキ42となる。洗浄汚泥の水分は排水ポンプ44により系外に排出される。
【0036】
図1は1塔方式であるが、水質を調整するためろ材の層高を高くする必要がある場合はろ過塔を2つに分け、2塔にしてもいい。原水の鉄濃度が4mg/L以上の場合は、ろ材の層高を2.2mとしても、鉄の除去が悪くなる、また処理水の溶存酸素濃度が4mg/L以下になり微生物反応が低下する等の不具合が生じることがある。ろ材の層高を高くすると、上述したような不具合が生じる場合があるので、その場合はろ過塔を2つに分け、2塔とすることができる。2塔にする場合は、2塔のろ過塔で処理され得られた処理水の溶存酸素濃度が4mg/Lであれば良いが、1塔目で処理された処理水の溶存酸素濃度が4mg/L以上となるように原水に酸素を溶解させて、1塔目で処理し、2塔目で処理された処理水の溶存酸素濃度が4mg/Lとなるように、更に1塔目で処理された処理水に酸素を溶解させることが好ましい。
【0037】
本発明により処理した処理水には作物の成長に有用な栄養素が残っており、また、処理のために塩素を入れないことを特徴としているため、その処理水を貯留した場合、貯留槽に藻や生物が発生しやすくなる。そこで、貯留槽11には、遮光するための設備、浸漬型のUV照明装置、曝気装置、生物ろ過塔10への循環ラインを組み合わせると常時、清澄な水が得られる。
遮光するための設備としては、遮光性のフタを設けたり、貯水槽を遮光性とすることが挙げられる。
UV照射装置は塩素のような薬品を用いないので、農業利用に最適である。しかしながら、1年くらいの頻度でランプの交換が必要なため、維持管理を要する。貯留槽に曝気装置を設け、曝気によって残留する栄養素が不溶化する場合には生物ろ過塔へ循環するラインを設けることが好ましい。栄養素は減少傾向になるが、塩素による消毒を行うよりも農業目的に適している。
【実施例】
【0038】
次に実験例によって、この発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
長さ200cm、内径3cmのカラムに、1〜3mmの粒径の範囲内であり、有効径2mmの微生物を付着させたゼオライトろ材を70cm充填した。付着させた微生物はGallionella、Leptothrix、Nitrosomonas、Nitrobacter属であった。図2に示すようにろ層表面で散気し、0.12MPaで空気を供給して、原水(17℃)の溶存酸素濃度を9〜11mg/Lとした後、下向流で空塔速度6hr-1にて通水を行った。図2においては逆洗浄装置は省略してあるが、図1に示すようは逆洗浄装置を設け、実施例1では2日に1回、圧力の増加が0.04MPaとなった時に逆洗浄を行った。
このときの原水水質は鉄が2mg/L、マンガン0.5mg/L、アンモニア性窒素2.0mg/Lであり、約1.5ヵ月間の運転の後に、処理水質が安定したときの水質は鉄は0.03mg/L以下となった。マンガンは0.3mg/L、アンモニア性窒素は1.6mg/Lであり、アンモニア性窒素を80%残した処理が可能であった。処理水では溶存酸素濃度は6mg/L以上存在した。アンモニア性窒素の処理状況を図3に示す。
尚、原水及び処理水中の鉄、マンガン濃度は、JIS K0101の60.2、58.2にそれぞれ示されたフレーム原子吸光光度法により、アンモニア性窒素の濃度はJIS K0101の36.2に記されたインドフェノール青吸光光度法により測定した。
また、原水及び処理水中の溶存酸素濃度は、隔膜式センサー(東亜ディーケーケー(株)製、ポータブル溶存酸素計)を用いた測定方法により測定した。
【0039】
流量を空塔速度10hr-1にすると、鉄は0.1mg/L、マンガンは0.4mg/L、アンモニア性窒素は1.8mg/Lとなった。マンガン、アンモニア性窒素のリーク濃度が若干上昇した。処理水の溶存酸素濃度は7mg/L以上であった。
【0040】
流量を空塔速度3hr-1で行った場合、鉄は0.01mg/L、マンガン0.2mg/L、アンモニア性窒素1.2mg/Lとなった。
処理水の溶存酸素濃度は5mg/L以上であった。
【0041】
(実施例2)
実施例2は実施例1におけるろ材を、2〜4mmの粒径の範囲内であり、有効径3mmのゼオライトろ材に変更した以外は実施例1と同様に通水を行った。
空塔速度6hr-1の条件では、処理水の水質は、鉄は0.3mg/L、マンガンは0.4mg/L、アンモニア性窒素は2.0mg/Lであり、処理水の溶存酸素濃度は7mg/Lであった。空塔速度3hr-1の場合は、処理水の水質は、鉄0.1mg/L、マンガン0.3mg/L、アンモニア性窒素1.5mg/Lであった。処理水の溶存酸素濃度は4mg/Lであった。空塔速度6hr-1の条件では鉄とマンガンの除去率が実施例1よりも若干悪い結果となったが、空塔速度を3hr-1とすることにより処理水中の鉄、マンガンの濃度を下げることができた。若干粒径の大きなろ材を用いる場合は、鉄、マンガンの除去量が悪くなるが、空塔速度を遅くすることにより除去量を多くすることができる。この場合は洗浄は原水にも関連するが、同じような水質であれば4日に1回程度になる。
【0042】
(実施例3)
実施例2の有効径3mmのろ材を用いて、空塔速度10hr-1の条件で、鉄が0.3mg/L、マンガン0.4mg/L、アンモニア性窒素0.5mg/Lの原水の処理を行った以外は実施例2と同様にして通水を行った。得られた処理水の水質は、鉄は0.1mg/L、マンガン0.3mg/L、アンモニア性窒素は0.3mg/Lであった。また、処理水の溶存酸素濃度は7mg/L以上であった。
【0043】
(実施例4)
実施例1におけるろ材を、0.6〜2mmの粒径の範囲内であり、有効径1.2mmのゼオライトろ材に変更し、逆洗浄を1日1回行った以外は実施例1と同様にして通水を行った。空塔速度8hr-1の条件では、鉄は0.1mg/Lとなり、マンガンは0.4mg/L、アンモニア性窒素は1.5mg/Lであった。また、処理水の溶存酸素濃度は4mg/Lであった。
【0044】
(比較例1)
実施例1において、原水(17℃)の溶存酸素濃度を6〜7mg/Lとした以外は実施例1と同様に空塔速度6hr-1の条件で通水を行った。処理水の溶存酸素濃度は2〜3mg/L以下となり、処理水の鉄濃度0.5mg/L、マンガン0.4mg/L、アンモニア性窒素1.8mg/Lとなった。
鉄の処理性が悪くなり、マンガンはほとんど処理ができなくなった。アンモニア性窒素の処理も悪化した。
【0045】
(実施例5)
塔径1.6m、ろ材充填高さ2m、充填ろ材1〜3mmの粒径の範囲内であり、有効径2mmの実施例1と同様な微生物を付着させたゼオライトろ材を用いた図1に示した生物ろ過装置を用いて、原水に0.12MPaで空気を供給して、原水(17℃)の溶存酸素濃度を9〜11mg/Lとして、空塔速度6.25hr-1で原水の浄化を行った。逆洗浄は、逆洗頻度3日に1回、圧力の増加が0.12MPaとなった時に行った。浄化運転時の処理水の溶存酸素濃度4mg/L以上で運転を行った。
原水水質は鉄2.5mg/L、マンガン0.4mg/L、アンモニア性窒素3.8mg/Lであり、処理水の水質は、鉄は0.03mg/L、マンガン0.2mg/L、アンモニア3.8mg/Lであった。
【0046】
(比較例2)
実施例5において、原水の溶存酸素濃度を6〜7mg/Lとして運転を行った以外は実施例5と同様に原水の浄化を行った。浄化運転時の処理水の溶存酸素濃度は4mg/L未満で運転を行った。
処理水の水質は、鉄は0.5mg/L、マンガン0.3mg/L、アンモニア性窒素3.8mg/Lであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも鉄、マンガン、およびアンモニア性窒素を含有する原水の、生物ろ過法により除鉄、除マンガンを行う浄化方法であって、得られる処理水の溶存酸素濃度が4mg/L以上となるように原水に酸素を溶解させて、少なくともアンモニア性窒素が処理水中に残留するように、除鉄、除マンガン、硝化を制御して微生物と接触させてろ過することにより、アンモニア性窒素を含有する処理水を得ることを特徴とする浄化方法。
【請求項2】
前記処理水の、鉄、マンガン濃度が合算で0.2〜0.5mg/L、アンモニア性窒素濃度が0.5mg/L〜5mg/Lであることを特徴とする請求項1記載の浄化方法。
【請求項3】
前記酸素を溶解させた原水の溶存酸素濃度が9mg/L以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の浄化方法。
【請求項4】
得られる処理水の溶存酸素濃度が4mg/L以上となるように原水に酸素を溶解させる酸素溶解工程と、微生物を付着させた粒径が1mm〜4mmである多孔質ろ材を充填した生物ろ過塔に、酸素を溶解させた原水を空塔速度3hr-1〜10.5hr-1で通水して、ろ材に付着した微生物による除鉄、除マンガン、硝化を制御してアンモニア性窒素を含有する処理水を得る工程とを少なくとも有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の浄化方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の浄化方法に用いる浄化装置であって、得られる処理水の溶存酸素濃度が4mg/L以上となるように原水に酸素を溶解させるための酸素溶解装置と、微生物を付着させた粒径が1mm〜4mmである多孔質ろ材を充填した生物ろ過塔であって、アンモニア性窒素が処理水中に残留するように、ろ材に付着した微生物による除鉄、除マンガン、硝化を制御する生物ろ過塔とを少なくとも有することを特徴とする浄化装置。
【請求項6】
前記浄化装置が処理水の貯留槽を有し、該貯留槽が、少なくとも遮光するための設備、UV照射装置、曝気装置、循環装置のいずれか有することを特徴とする請求項5記載の処理装置。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−59705(P2013−59705A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197994(P2011−197994)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【出願人】(000191135)株式会社日本海水 (19)
【Fターム(参考)】