説明

鉄を含む組成物

有機酸および随意的に類似した鉄吸収促進剤を伴う鉄の投与を通じて、食餌による鉄吸収を促進および/または維持する栄養または食事補給組成物が提供される。また、鉄欠乏に関連する障害の予防、安定化、好転および/または治療を通じて、健康を促進および/または維持する1つ以上の組成物を使用する栄養または食事補給方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は、1以上の有機酸、および随意的に類似した鉄吸収促進剤を伴う鉄の投与を通じた、食餌による鉄吸収を促進する栄養または食事補給組成物に関する。より具体的には、本発明は鉄、1以上の有機酸、および随意的に類似した鉄吸収促進剤を含む栄養または食事鉄補給組成物に関し、好ましくは、鉄欠乏性貧血などの鉄欠乏に関連する障害を防止し、安定化させ、改善し、および/または治療するための食餌による鉄吸収を増進させるために循環投与と併用して使用され得る。本発明の組成物は鉄吸収を促進および/または維持するために独立して使用されても、また、鉄欠乏が関与する1以上の疾病の治療において使用される1以上のその他の組成物と組み合わせて使用されてもよい。
【0002】
発明の背景
ビタミン、マルチビタミン、および/またはミネラル製剤は通常、特定の内科的障害の頻発または重篤性を阻害し、防止し、または低減するために投与される。特に、鉄含有製剤は、たとえば鉄欠乏性貧血などの鉄欠乏に関連する障害を軽減するのに使用される。そのようなビタミン、マルチビタミン、ミネラルおよび/または鉄含有製剤はまた、栄養補助製剤として使用される。
【0003】
鉄欠乏性貧血は随所に見られる。アフリカおよびアジアの一部では、鉄のわずかな食餌摂取および腸内寄生虫による過大な鉄欠乏がともに生じて、人口の50パーセントを超える人々が鉄欠乏性貧血を患っている。鉄含有製剤は、19世紀後半から鉄欠乏性貧血を治療するのに利用されてきた。経口硫酸第一鉄は、大多数の貧血患者において、安全で安価でかつ有効な、鉄貯蔵を補給する手段であると考えられているため、食餌による鉄補給の標準的な選択肢となっている。しかし、経口硫酸第一鉄補給は、その使用に関して、吐き気、嘔吐および便秘などの副作用を含むかなりの不都合を有する。経口硫酸第一鉄補給の副作用は、少なくとも一部分において、充分な吸収およびヘモグロビン応答を達成するのに必要とされる比較的多い日用量に起因する。
【0004】
随意的に他の有益なビタミンおよび/またはミネラルをも含む鉄含有製剤つまり「鉄補給剤」は、哺乳類の鉄欠乏を治療または防止するための公知の食餌による鉄源である。通常利用可能な鉄補給剤には一般に単一形態の鉄が含まれる。鉄補給剤に使用される一般的な単一形態の鉄の例には、鉄(II)塩すなわち2価のつまり第一鉄を含む塩、鉄(III)塩すなわち3価のつまり第二鉄を含む塩、および鉄(0)粉末たとえばカルボニル鉄、が含まれる。
【0005】
鉄補給剤は、迅速放出剤形および制御放出剤形で市販されている。鉄補給剤迅速放出剤形は通常「迅速溶解」鉄塩を含有している。ある種の鉄塩は、他の塩および金属形態の鉄よりも、水および胃腸液に非常によく溶解する。したがって、これらのより可溶性の鉄塩つまり「迅速溶解」鉄塩が鉄補給剤迅速放出剤形に組込まれる。鉄補給剤迅速放出剤形の投与は、非常に高い最大(max)血中鉄濃度(C)を、すなわちCmaxを、投与とCmax到達との間の短い期間(T)内、すなわちTmax内で起こし得る。したがって、迅速放出鉄補給剤処方は、不快な、有害な、または致命的でさえある副作用を起こし得る。このような副作用は胃炎症、便秘および鉄中毒を含み得る。
【0006】
鉄補給剤制御放出剤形は、公知の鉄補給治療に共通して関連した、前述のような副作用を低減する試みで開発された。従来技術の鉄補給剤制御放出剤形は通常、放出速度修飾マトリックスに封入されたか混合された鉄(II)塩、鉄(III)塩、カルボニル鉄もしくは他の本質的に難溶性の金属鉄、結晶酸化鉄、鉄塩、または放出速度修飾たんぱく、アミノ酸、有機酸、天然ポリマ、アニオン錯体化剤もしくは合成ポリマで錯体化されたカルボニル鉄、を使用している。このような公知の鉄補給剤制御放出剤形の投与は、一般に連続投薬間に血中鉄濃度の一時的な低減をもたらす。通常、鉄補給剤制御放出剤形は種々の鉄放出速度を有し、つまり初期は比較的ゆっくりの放出速度、中頃は比較的中程度の放出速度、最後は比較的ゆっくりの放出速度である。血中鉄濃度の一時的な低減は、第1の投薬に由来する最後の比較的ゆっくりの鉄放出速度と、第2の投薬に由来する初期の比較的ゆっくりの鉄放出速度との組み合わせの影響に起因し得る。前述の血中鉄濃度の一時的な低減を避けるための、鉄の「徐放」を提供するために設計されたいくつかの鉄補給剤は、不快な味およびにおい、吐き気、胃炎症ならびにガス発生に関与してきた。
【0007】
種々の鉄補給剤剤形のいずれか1つの使用を介した多くの選択肢が、鉄欠乏に関連した障害の治療に存在することは明らかである。しかし、これらの多くの治療上の選択肢は不快な、または有害な副作用と関連している。したがって、鉄欠乏に関連する障害を効率的に防止し、安定化させ、改善し、および/または治療し、同時に、全部ではないにしても、多くの不快な、または有害な副作用を最小化または除去する、栄養または食事鉄補給剤の必要性がある。
【0008】
発明の要約
本発明は、たとえば鉄欠乏性貧血などの鉄欠乏に関連する障害を防止し、安定化させ、改善し、および/または治療するために、ヒトまたは他の動物に投与する栄養または食事補給組成物に関する。本発明の栄養または食事補給組成物は、1以上の形態の鉄の有効量、たとえば、これに限定されるわけではないが、1以上の形態のコハク酸などの1以上の有機酸の有効量、および随意的に1以上の類似した鉄吸収促進剤を含むのが好ましい。健康は、本発明の組成物の使用を経て、向上した鉄吸収および低減された有害な副作用によって促進され、および/または維持される。本発明の組成物は、鉄吸収を促進および/または維持するために独立して使用してよく、鉄欠乏が関与する1以上の疾病の治療に使用される1以上の他の組成物と組み合わせて使用してもよい。
【0009】
同様に、本発明は、1以上の形態の鉄の有効量、たとえば、これに限定されるわけではないが、1以上の形態のコハク酸などの1以上の有機酸の有効量、および随意的に1以上の類似した鉄吸収促進剤の有効量を含む栄養または食事補給組成物を投与することによる、ヒトまたは他の動物の治療方法を提供する。本発明の診療は、本発明の1以上の組成物を用いて、これらに限定されるわけではないが、経口、腹腔内、静脈内、皮下、経皮または筋肉内の経路での投与などの、腸内および/または非経口投与によってヒトまたは他の動物の食事を補うことを含む。本発明の組成物は循環投与で使用されるのが好ましい。ここで使用される本発明の組成物の「循環投与」は、1以上の対象組成物を、1以上の剤形で、1以上の投与単位で、鉄を投与しない定期的断続期間を挟んで定期的に1日に1回以上、投与することを意味する。鉄を投与しない定期的断続期間は小腸粘膜細胞の鉄貯蔵を低減する。小腸粘膜細胞の鉄貯蔵の低減は、以下でより詳細に説明するように、鉄吸収を向上または最適化する。
【0010】
本発明は同様に、鉄欠乏に関連する障害を治療するために、1以上の形態の鉄の有効量、たとえば、これに限定されるわけではないが、1以上の形態のコハク酸などの1以上の有機酸の有効量、および随意的に1以上の類似した鉄吸収促進剤の有効量を含む栄養または食事補給組成物の製造方法を提供する。
【0011】
したがって、本発明の目的は、鉄欠乏に関連する1以上の障害の予防、安定化、好転および/または治療に効果的な栄養または食事補給組成物を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、鉄欠乏性貧血の予防、安定化、好転および/または治療のための安全な栄養または食事補給組成物を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、鉄欠乏に関連する1以上の障害の予防、安定化、好転および/または治療の効果的な方法を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、鉄欠乏に関連する1以上の障害の予防、安定化、好転および/または治療の安全な方法を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、鉄欠乏に関連する1以上の障害の予防、安定化、好転および/または治療のための安全な栄養または食事補給組成物の製造方法を提供することである。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、鉄欠乏に関連する1以上の障害の予防、安定化、好転および/または治療に効果的な栄養または食事補給組成物の製造方法を提供することである。
【0017】
本発明のこれらおよびその他の目的および利点は、具体的に記載されるものもあればそうでないものもあるが、詳細な記載および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0018】
発明の詳細な説明
本発明は、例えば鉄欠乏性貧血などの鉄欠乏に関連する障害を予防、安定化、好転および/または治療するために、ヒトまたは他の動物に投与する栄養または食事補給組成物に関する。本発明の栄養または食事補給組成物は、1以上の形態の鉄の有効量、たとえば、これに限定されるわけではないが、1以上の形態のコハク酸などの1以上の有機酸の有効量、および随意的に1以上の類似した鉄吸収促進剤を含むのが好ましい。
【0019】
本発明の組成物における好ましい形態の鉄は、市販されている鉄のビス-グリシンキレートであるFerrochel(商標、Albion International社、クリアフィールド、ユタ)である。Ferrochel(商標)は、その胃への優しさまたは許容性プロフィールに起因して、本発明のための好ましい形態の鉄である。鉄のビス-グリシンキレートが好ましいものの、好適なキレートをいくつ用いてもよい。たとえば、アミノ酸キレートが、ヒト、動物および植物の生体組織中の金属含有量を増加させる手段として、広く認められつつある。アミノ酸キレートは、ポリペプチド、ジペプチドまたは天然産アルファアミノ酸と、2価以上の原子価を有する金属イオンとの反応から生じる生成物である。アルファアミノ酸と金属イオンとは、金属イオンの正電荷がアルファアミノ酸のカルボキシレート基または自由アミノ基の電子によって中和された環構造を形成する。ここで用いるアミノ酸という用語は、たんぱく加水分解を通じて得られる生成物のみを指すが、合成によって生成されるアミノ酸も、たんぱく加水分解を通じて得られるものと同じである限り、除外されない。したがって、ポリペプチド、ジペプチドおよび天然産アルファアミノ酸などのたんぱく加水分解物を、集合的にアミノ酸という。さらなる好適なアミノ酸キレートには、これらに限定されるわけではないが、たとえば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、モノヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、モノヒドロキシエチルジグリシン、およびジヒドロキシエチルグリシンが含まれる。
【0020】
本発明の目的のための好適な他の形態の鉄には、これらに限定されるわけではないが、たとえば、可溶性鉄塩、微溶性鉄塩、不溶性鉄塩、キレート鉄、鉄錯体、カルボニル鉄および還元鉄などの非反応性鉄、ならびにこれらの組み合わせが含まれる。
【0021】
好ましいキレート鉄錯体は、米国特許第4599152号および第4830716号に開示されており、これらの特許は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0022】
好適な可溶性鉄塩の例には、これらに限定されるわけではないが、次亜リン酸第二鉄、アルブミン酸第二鉄、塩化第二鉄、クエン酸第二鉄、糖酸酸化第二鉄、クエン酸第二鉄アンモニウム、塩化第一鉄、グルコン酸第一鉄、ヨウ化第一鉄、硫酸第一鉄、乳酸第一鉄、フマル酸第一鉄、ヘム、トリスグリシン第二鉄、ビスグリシン第一鉄、硝酸第二鉄、糖酸水酸化第一鉄、硫酸第二鉄、グルコン酸第二鉄、アスパラギン酸第二鉄、硫酸第一鉄7水和物、リン酸第一鉄、アスコルビン酸第二鉄、ギ酸第一鉄、酢酸第一鉄、リンゴ酸第一鉄、グルタミン酸第一鉄、コリンイソクエン酸第一鉄、硫酸フェログリシン、酸化第二鉄水和物、可溶ピロリン酸第二鉄、糖酸水酸化第二鉄、糖酸第二鉄マンガン、亜硫酸第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、硫酸第一鉄アンモニウム、セスキ塩化第二鉄、クエン酸第二鉄コリン、クエン酸第二鉄マンガン、クエン酸第二鉄キニーネ、クエン酸第二鉄ナトリウム、エデト酸第二鉄ナトリウム、ギ酸第二鉄、シュウ酸第二鉄アンモニウム、シュウ酸第二鉄カリウム、シュウ酸第二鉄ナトリウム、ペプトン酸第二鉄、ペプトン酸第二鉄マンガン、薬学的に容認される他の鉄塩、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0023】
好適な微溶性鉄塩の例には、これらに限定されるわけではないが、酢酸第二鉄、フッ化第二鉄、リン酸第二鉄、ピロリン酸第二鉄、ピロリン酸第一鉄、糖酸化炭酸第一鉄、炭酸第一鉄塊、コハク酸第一鉄、クエン酸第一鉄、酒石酸第一鉄、フマル酸第二鉄、コハク酸第二鉄、水酸化第一鉄、硝酸第一鉄、炭酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄ナトリウム、酒石酸第二鉄、酒石酸第二鉄カリウム、次炭酸第二鉄、グリセロリン酸第二鉄、糖酸第二鉄、糖酸水酸化第二鉄、糖酸第二鉄マンガン、硫酸第一鉄アンモニウム、薬学的に容認される他の鉄塩、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0024】
好適な難溶性鉄塩の例には、これらに限定されるわけではないが、ピロリン酸第二鉄ナトリウム、炭酸第一鉄、水酸化第二鉄、酸化第一鉄、オキシ水酸化第二鉄、シュウ酸第一鉄、薬学的に容認される他の鉄塩、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0025】
好適な鉄錯体の例には、これらに限定されるわけではないが、ポリサッカライド-鉄錯体、メチリジン-鉄錯体、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)-鉄錯体、フェナンスロレン鉄錯体、p-トルイジン鉄錯体、糖酸第一鉄錯体、フェルレシット(ferrlecit)、グルコン酸第一鉄錯体、フェルム ヴァイチス(ferrum vitis)、糖酸水酸化第一鉄錯体、鉄-アレーンサンドイッチ錯体、アセチルアセトン鉄錯体塩、鉄-デキストラン錯体、鉄-デキストリン錯体、鉄-ソルビトール-クエン酸錯体、糖酸化酸化鉄、フマル酸第一鉄錯体、鉄ポルフィリン錯体、鉄フタロシアニン錯体、鉄サイクラム錯体、ジチオカルボキシ-鉄錯体、デスフェリオキサミン-鉄錯体、ブレオマイシン-鉄錯体、フェロジン-鉄錯体、鉄ペルハロポルフィリン錯体、アルケンジアミン-N,N-二コハク酸鉄(III)錯体、ヒドロキシピリドン-鉄(III)錯体、アミノグリコシド-鉄錯体、トランスフェリン-鉄錯体、鉄チオシアネート錯体、鉄錯体シアン化物、ポルフィリナト鉄(III)錯体、ポリアミノポリカーボネート鉄錯体、ジチオカルバメート鉄錯体、アドリアマイシン鉄錯体、アントラサイクリン-鉄錯体、N-メチル-D-グルカミンジチオカルバメート(MGD)-鉄錯体、フェリオキサミン B、クエン酸第一鉄錯体、硫酸第一鉄錯体、グルコン酸第二鉄錯体、コハク酸第一鉄錯体、ポリグルコピラノシル鉄錯体、ポリアミノ二コハク酸鉄錯体、ビリベルジン-鉄錯体、デフェリプロン鉄錯体、オキシ水酸化第二鉄-デキストラン錯体、ジニトロシルジチオラト鉄錯体、鉄ラクトフェリン錯体、1,3-エチレンジアミン四酢酸(EDTA)第二鉄錯体塩、ジエチレントリアミン五酢酸鉄錯体塩、シクロへキサンジアミン四酢酸鉄錯体塩、メチルイミノ二酢酸鉄錯体塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸鉄錯体塩、第二鉄ヒドロキシピロン錯体、コハク酸第二鉄錯体、塩化第二鉄錯体、硫酸第二鉄グリシン錯体、アスパラギン酸第二鉄錯体、グルコン酸ナトリウム第一鉄錯体、水酸化第一鉄ポリマルトース錯体、薬学的に容認される他の鉄錯体、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0026】
本発明の目的に適する形態の鉄には、「遅溶解性」または「遅効性」に指定される鉄化合物、および、「速溶解性」または「速効性」に指定される鉄化合物も含まれる。本発明の組成物は、随意的に、少なくとも2つの鉄化合物、たとえば、遅効性に指定された少なくとも1つの鉄化合物と、速効性に指定された少なくとも1つの鉄化合物とが含まれてもよい。このような異なる2つの鉄化合物を処方に使用することは、米国特許第6521247号に開示されており、この特許は参照によって全体が本明細書に組み込まれる。本発明の組成物には、持続放出の鉄化合物および/または制御放出の鉄化合物が含まれてもよい。
【0027】
本発明の組成物には、1以上の形態の鉄が、1回当たり約10mg〜約500mg、より好ましくは約50mg〜約500mg、最も好ましくは約150mg〜約500mgの有効量で含まれる。小児用に開発される製品の場合、鉄の有効量は、幼児および子供にとって安全と考えられるレベルに大幅に引き下げられるであろう。小児への適用のための1以上の形態の鉄の有効量は、体重1キログラム、1回当たり約0.5mgの鉄にまで下がるかもしれない。
【0028】
好適な有機酸の例には、これらに限定されるわけではないが、コハク酸、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、グルタミン酸、およびこれらの組み合わせが含まれる。コハク酸が好ましい有機酸である。これらの有機酸の異なる形態もまた本発明の組成物に有益である。たとえば、これらに限定されるわけではないが、好適な形態の有機酸には、たとえば、これらに限定されるわけではないが、コハク酸、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、グルタミン酸、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、グルタミン酸塩、コハク酸誘導体、酢酸誘導体、クエン酸誘導体、乳酸誘導体、リンゴ酸誘導体、グルタミン酸誘導体、およびこれらの組み合わせが含まれる。コハク酸、コハク酸塩およびコハク酸誘導体は、以下でより詳細に説明するように、鉄吸収促進剤である。本発明の組成物は、鉄吸収を促進するために、1回当たり約5mg〜約500mg、より好ましくは約100mg〜約500mg、最も好ましくは約150mg〜約500mgの有効量で、1以上の形態の有機酸またはその組み合わせが含まれる。小児用に開発される製品の場合、1以上の形態の有機酸またはその組み合わせの有効量は、幼児および子供にとって安全と考えられるレベルに大幅に引き下げられるであろう。小児への適用のための1以上の形態の有機酸またはその組み合わせの有効量は、体重1キログラム、1回当たり有機酸の約0.50mgにまで低くなるかもしれない。
【0029】
他の好適な鉄吸収促進剤には、たとえば、これらに限定されるわけではないが、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸誘導体、ビタミンC活性を有する化合物、これらに限定されるわけではないが、マンニトール、ソルビトール、キシロース、イノシトール、果糖、ショ糖、乳糖、およびブドウ糖などの炭水化物、カルシウム、銅、モリブデン酸ナトリウム、アミノ酸、および、これらの組み合わせが含まれる。「ビタミンC活性を有する化合物」とは、ビタミンC(L-アスコルビン酸)、および、標準ヨウ素滴定試験によって決定されるアスコルビン酸活性を示すアスコルビン酸のあらゆる誘導体を意味する。アスコルビン酸の誘導体には、たとえば、デヒドロアスコルビン酸などの酸化生成物、および、たとえば、これらに限定されるわけではないが、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸カリウム、およびアスコルビン酸亜鉛などのアスコルビン酸の食用塩が含まれる。アスコルビン酸の代謝体およびその誘導体には、たとえば、これらに限定されるわけではないが、アルド-ラクトンおよびアルドン酸の食用塩が含まれる。本発明の組成物には、1以上のアスコルビン酸の代謝体、すなわちL−トレオン酸、L-キシロン酸およびL-リキソン酸が含まれるのが好ましい。本発明の目的のための好適な形態のアスコルビン酸は、米国特許第4822816号および第5070085号に開示されているEster C(登録商標、Zila Nutraceuticals社、プレスコット、アリゾナ)であり、上記特許はいずれも参照によって本明細書に組み込まれる。Ester C(登録商標)は、その増進された健康上の効果によって、好ましい形態のアスコルビン酸である。本発明の組成物には、以下でより詳細に説明するように、鉄吸収を促進するために、1以上の形態の有機酸に加えて、随意的に、1回当たり約5mg〜約500mg、より好ましくは約100mg〜約500mg、最も好ましくは約150mg〜約500mgの有効量で、1以上の鉄吸収促進剤が含まれる。
【0030】
随意的に、本発明の組成物の1以上の個々の成分は、吸収を最適にする制御放出のために、コートされたまたは処理されたビーズとして調製されてもよい。成分のコートまたは処理においては、個々の成分に、同一のコートまたは処理を施してよく、異なるコートまたは処理を施してもよい。同様に、1以上の成分をコートまたは処理して、非コートまたは非処理の1以上の成分と組み合わせてもよい。このようにコートまたは処理を施す変形は、各成分の放出を操作および制御して吸収を最適にするために有用である。このような組成物のコートは以下の実施例16に詳細に記載されている。
【0031】
本発明の栄養または食事補給組成物の例には、1回当たり1以上の形態の鉄 約10mg〜約500mg、1以上の形態のコハク酸 約25mg〜約500mg、および1以上の形態のアスコルビン酸 約25mg〜約500mgが含まれる。
【0032】
本発明の栄養または食事補給組成物の別の例には、1回当たりカルボニル鉄、キレート鉄またはこれらの混合物 約10mg〜約500mg、コハク酸 約25mg〜約500mg、およびアスコルビン酸 約25mg〜約500mgが含まれる。
【0033】
本発明の栄養または食事補給組成物の別の例には、1回当たり1以上の非反応性鉄化合物 約10mg〜約500mg、コハク酸 約25mg〜約500mg、およびアスコルビン酸 約25mg〜約500mgが含まれる。
【0034】
本発明の栄養または食事補給組成物の別の例には、1回当たりたとえばFerrochel(商標)鉄 約70mgおよびフマル酸第一鉄 約81mgの形態の鉄などの元素鉄 約151mg、1以上の形態のコハク酸 約150mg、および1以上の形態のアスコルビン酸 約200mgが含まれる。
【0035】
本発明の栄養または食事補給組成物の別の例には、1回当たりたとえばFerrochel(商標)鉄 約100mgおよびフマル酸第一鉄 約50mgの形態などの1以上の形態の元素鉄 約151mg、1以上の形態のコハク酸 約150mg、1以上の形態のアスコルビン酸 約60mg、葉酸 約1.0mgおよびビタミンB12 約10mgが含まれる。
【0036】
本発明の栄養または食事補給組成物の別の例には、1回当たり1以上の形態の元素鉄 約151mg、1以上の形態のコハク酸 約150mg、1以上の形態のアスコルビン酸 約200mg、葉酸 約1.0mgおよびビタミンB12 約10mgが含まれる。
【0037】
本発明のさらに別の栄養または食事補給組成物の例には、1回当たり1以上の形態の元素鉄 約175mg、1以上の形態のコハク酸 約150mg、1以上の形態のアスコルビン酸 約200mg、葉酸 約1.0mgおよびビタミンB12 約10mgが含まれる。
【0038】
さらに、本発明の組成物は、ビタミンB群、および/または下剤、および/または制吐剤、および/または妊娠調節剤、および/または鉄欠乏が関与する1以上の疾病の治療に用いられる1以上の他の組成物と組み合わせて投与されてもよい。
【0039】
本発明の1以上の組成物の1回量は、これらに限定されるわけではないが、たとえばタブレット、カプレット、カプセル、ゲルカプセル、チュータブレット、ドロップおよびトローチ、栄養バーつまり食品、ソフトチュー、再構成可能な粉末またはシェイク(shake)、粒状物、半固体状サシェィ(sachet)などの1以上の剤形で製造され得る。あらゆるタブレット剤形は、チュアブルであっても圧縮されていてもよい。本発明の目的に好ましい固体剤形は、カプセルまたはタブレットである。ただし、本発明の組成物は、液体と混合する食料品または粉末に組み入れることも、同様に可能である。本発明の組成物を投与するためには、好適な剤形をいくつ用いてもかまわないが、好ましい剤形には、単一のカプセル、2つのカプセル、または1つのカプセルと1つのカプレットもしくはタブレットが含まれる。本発明の組成物は、種々の剤形で提供され得るだけでなく、以下により詳細に説明するように、種々の投与計画に従って投与され得る。たとえば、本発明の1以上の組成物の1回量は、1以上の投与単位として、および1以上の剤形で、投与され得る。
【0040】
本発明の組成物は以下に示される例でさらに詳細に説明される。これらの例は説明のためにのみ示されており、本発明の範囲を制限することを意図していない。
【0041】
実施例1−本発明の組成物の作成方法
ミキサを備えるステンレス鋼タンクに精製水(1.53kg)を装填した。混合しながら、ポビドン(11.5kg)を精製水に添加し、全固体を溶解するまで混合した。その後、流動層グラニュレータドライヤに、アミノ酸キレート鉄(162kg)、フマル酸第一鉄(54.9kg)、コハク酸(48.5kg)およびラクトース一水和物(79.7kg)の原料を装填した。その後、これらの原料を、排気温度がおよそ54℃±4℃になるまで、およそ70℃〜90℃の入口温度設定で乾燥混合した。排気温度がおよそ54℃±4℃に達したときに、原料を上記で調製した溶液を用いて造粒した。造粒後、排気温度が60℃〜70℃に達するまで、原料を乾燥した。その後、排気温度が45℃未満になるまで、入口温度を25℃に設定した。その後、乾燥粒状原料を挽き、および/またはサイズ調整した。最終物質を、重量記録のために2重ポリラインコンテナに装填する。
【0042】
実施例2−本発明の組成物1回量
Ferrochel(商標)鉄 70mg、フマル酸第一鉄 81mg、コハク酸 150mg、アスコルビン酸 200mg、葉酸 1.0mgおよびビタミンB12 10mgを含む補給剤組成物を、実施例1に従って調製した。
【0043】
実施例3−本発明の組成物1回量
Ferrochel(商標)鉄 70mg、フマル酸第一鉄 81mg、コハク酸 150mg、葉酸 1.0mgおよびビタミンB12 10mgを含む補給剤組成物を、実施例1に従って調製した。
【0044】
実施例4−本発明の組成物1回量
Ferrochel(商標)鉄 70mgおよびコハク酸 150mgを含む補給剤組成物を、実施例1に従って調製した。
【0045】
実施例5−本発明の組成物1回量
Ferrochel(商標)鉄 25mgおよびコハク酸 60mgを含む補給剤組成物を、実施例1に従って調整した。
【0046】
実施例6−本発明の組成物1回量
Ferrochel(商標)鉄 25mg、コハク酸 60mgおよびビタミンC 60mgを含む補給剤組成物を、実施例1に従って調整した。
【0047】
実施例7−本発明の組成物1回量
Ferrochel(商標)鉄 150mg、コハク酸 150mgおよびビタミンC 200mgを含む補給剤組成物を、実施例1に従って調製した。
【0048】
実施例8−本発明の組成物1回量
Ferrochel(商標)鉄 150mgおよびコハク酸 150mgを含む補給剤組成物を、実施例1に従って調製した。
【0049】
実施例9−本発明の組成物1回量
Ferrochel(商標)鉄 100mg、フマル酸第一鉄 50mg、コハク酸 150mg、ビタミンC 60mg、葉酸 1.0mgおよびビタミンB12 10mgを含む補給剤組成物を、実施例1に従って調製した。
【0050】
実施例10−本発明の組成物1回量
カルボニル鉄 70mg、硫酸第一鉄 81mg、リンゴ酸 150mg、葉酸 1.0mgおよびビタミンB12 10mgを含む補給剤組成物を、実施例1に従って調製した。
【0051】
実施例11−本発明の組成物1回量
フマル酸第一鉄錯体 70mg、硫酸第一鉄 81mg、乳酸 150mg、葉酸 1.0mgおよびビタミンB12 10mgを含む補給剤組成物を、実施例1に従って調製した。
【0052】
実施例12−本発明の組成物1回量
幼児/子供の体重1キログラム当たり0.50mgの鉄および幼児/子供の体重1キログラム当たり0.50mgのコハク酸を含む小児用の補給剤組成物を、実施例1に従って調製した。
【0053】
実施例13−本発明の組成物1回量
グルコン酸第一鉄錯体 50mg、リン酸第二鉄 50mg、フマル酸第二鉄 50mg、リンゴ酸 150mg、葉酸 1.0mgおよびビタミンB12 10mgを含む補給剤組成物を、実施例1に従って調製した。
【0054】
実施例14−本発明の組成物1回量
カルボニル鉄 100mg、硫酸第一鉄 100mg、乳酸 250mg、葉酸 1.0mgおよびビタミンB12 10mgを含む補給剤組成物を、実施例1に従って調製した。
【0055】
実施例15−本発明の組成物1回量
カルボニル鉄 150mg、フマル酸第一鉄 100mg、クエン酸 200mg、葉酸 1.0mgおよびビタミンB12 10mgを含む補給剤組成物を、実施例1に従って調製した。
【0056】
実施例16−ポリサッカライド-鉄錯体被覆ビーズ
ポリサッカライド-鉄錯体 7.0kg、セルロース微結晶Avicel(商標)PH101(FMC、ブリュッセル) 7.33kg、コロイド状二酸化ケイ素、NF 0.15kgおよびポビドン 0.53kgを高せん断グラニュレータに加える。原料を均一に融和されるまで混合する。造粒が完成するまで原料を混合する間、約10kgの精製水を添加する。その後、湿った造粒物をスクリーンを有する押出機に入れる。湿った造粒物をトレイ上に押出し、スフェロナイザに移送し、球形化する。その後、湿った球形ペレットをオーブンで乾燥して、微粒子および大きすぎるビーズを除去するためにスクリーンを通過させる。
【0057】
混合しながら、フタル酸ジエチル、トリエ(trie)またはトリアセチンなどの可塑剤 0.56kgを、酢酸フタル酸セルロース分散液Aquacoat(商標)CPD(Signet Chemical Corporation、Worli、ムンバイ、インド)7.5kgにゆっくりと添加し、30分間混合する。その後、精製水 10.69kgを原料に添加し、さらに10分間混合する。その後、このAquacoat DPD分散液を、前記で調製した球形ポリサッカライド-鉄錯体ペレットに、重量が10〜15パーセント増すまで、ペレットを流動させながら噴霧する。その後、被覆ペレットまたはビーズを乾燥冷却して、ポリラインコンテナに入れる。
【0058】
今まで、栄養または食事鉄補給剤は、鉄欠乏のヒトまたは動物によって吸収された鉄は最初に赤血球(RBC)生産に進み、RBCが標準レベルに達して初めて、吸収された鉄は体内の鉄貯蔵に進むという仮定に基づいて処方されてきた。この仮定は、3.0gのヘモグロビン欠乏を想定したときにRBCに不可欠な鉄の量を供給するために約3ヵ月間の、そして、鉄貯蔵を補給するのに不可欠な鉄を供給するためにさらに6ヵ月の、従来の鉄化合物の投与をもたらした。RBC再生のための3ヵ月の鉄補給は、吸収された元素鉄 150mgがヘモグロビン 1.0gを生産するのに必要とされ、ヘモグロビンの3.0gの上昇が鉄治療の標準的な目標であるという事実に基づいている。
【0059】
しかし、栄養または食事鉄補給の最初の20日間は、吸収された鉄の約72パーセントがRBC再生に、吸収された鉄の約28パーセントが体内の鉄貯蔵の補給に進むということが分かった。栄養または食事鉄補給の次の10日間、つまり、21〜30日については、吸収された鉄の61パーセントがRBC再生に進み、吸収された鉄の39パーセントが体内の鉄貯蔵の補給に進む。したがって、治療の最初の重要な20日間で、鉄貯蔵が直ちに補給され始める。よって、もし鉄吸収率が充分に増大され得れば、栄養または食事鉄補給治療の期間がかなり低減され得る。
【0060】
一般に認められた鉄吸収率に基づいて、元素鉄 50mgを含有する硫酸第一鉄の連日投与は、RBC再生に鉄 450mgを、体内の鉄貯蔵を補給するために鉄 300mgを供給するためにおよそ9ヵ月を必要とする。
【0061】
本発明の好ましい実施形態において、毎日1回投与される、Ferrochel(商標)鉄 約50mg、コハク酸 約150mgおよびアスコルビン酸 約200mgを含有する鉄補給組成物1回量は、RBC再生に鉄 450mgを、体内の鉄貯蔵を補給するために鉄 300mgを供給するためにおよそ60〜90日を必要とする。さらに重要なことは、Ferrochel(商標)鉄 150mg、コハク酸 150mgおよびアスコルビン酸 200mgを含有する本発明の鉄補給組成物を連日投与することによって、RBC再生に鉄 450mgを、体内の鉄貯蔵を補給するために鉄 300mgを供給するためにおよそ20〜40日を必要とする
本発明の好ましい栄養または食事鉄補給組成物には、1回当たり元素鉄 約10mg〜約500mg、コハク酸 約25mg〜約500mgおよびアスコルビン酸 約25mg〜約500mgが含有される。このような組成物の1回量は、1日当たり1回、または、たとえば、これらに限定されるわけではないが、朝の投与および夜間投与など、1日当たり2回以上投与され得る。ヒトまたは他の動物が、一連の治療にわたって継続投与または変動投与を使用する本発明の組成物で治療され得る。「継続投与」は一連の治療を通じた単一の組成物処方の投与である。「変動投与」は、異なる日における異なる組成物処方の投与、および/または24時間内での異なる組成物処方の投与、である。
【0062】
本発明の目的のための好適な投与スケジュールまたは投与計画はまた、約21日間本発明の1以上の組成物を投与し、その後、約7日間鉄補給を中断して、再度鉄補給を開始することを含む。このような投与計画をここでは「循環投与」という。代わりに、本発明の1以上の組成物は、約10日間の鉄補給の中断を伴って約20日間投与され、約1週間の鉄補給の中断を伴って約1週間投与されるなどしてもよい。本発明は、特定の日数の間1以上の対象組成物を投与し、その後特定の日数の間鉄補給を中断することに限定することを意図していないことに留意することが大切である。むしろ、鉄補給は投与され、小腸粘膜細胞における不安定な鉄貯蔵の減少に影響を及ぼすのに不可欠な時間、中断される。小腸粘膜細胞における不安定な鉄貯蔵の減少に影響を及ぼすことで、小腸粘膜細胞による鉄吸収能が向上する。鉄補給の中断期間中、偽薬または鉄吸収促進剤、ビタミンおよび/もしくはミネラルを含む非鉄含有組成物または鉄欠乏に関連する1以上の疾病の治療に有益な1以上の組成物またはこれらの組み合わせが投与されるか、何も投与されない。
【0063】
本発明の好ましい実施形態において、栄養または食事鉄補給組成物が血中鉄濃度の維持目的のために提供される。このような血中鉄濃度の維持のための例示的な組成物には、1回当たり鉄 25mg、コハク酸 60mgおよびアスコルビン酸 100mgが含有される。血中鉄濃度の維持のための組成物は、少し鉄欠乏であるか、鉄治療後であるヒトまたは他の動物にとって、または、たとえば、これに限定されるわけではないが、定期的献血者などの「潜在的に危険状態にある」人々の一部にとって有益である。
【0064】
前述したように、本発明の組成物は、鉄吸収を促進および/または維持するために独立して使用されるか、鉄欠乏に関連する1以上の疾病または状態の治療に使用される1以上の他の組成物と組み合わせて使用され得る。鉄欠乏に関連するこれら疾病または状態には、たとえば、これらに限定されるわけではないが、以下のものが含まれる。たとえば、これらに限定されるわけではないが、鉤虫などの感染性寄生虫、非ステロイド消炎剤、ステロイドおよび/またはアスピリンの常用、消化性潰瘍、胃炎、結腸癌、ポリープ、ならびに炎症性大腸炎などの失血を引き起こす胃腸疾病または状態。たとえば、これらに限定されるわけではないが、熱帯性スプルー、セリアック病、自己免疫疾患、胃切除、胃バイパス、迷走神経切断、ならびにプロトンポンプ阻害剤およびH2拮抗薬による治療を必要とする疾病などの鉄吸収の低下を引き起こす胃腸疾病または状態。たとえば、これらに限定されるわけではないが、脚不穏症、慢性疲労、認知障害、および神経発育不全などの神経系疾病または状態。たとえば、これらに限定されるわけではないが、スポーツ、月経、授乳、妊娠、および手術などの生理学的状態。たとえば、これらに限定されるわけではないが、ヒト免疫不全ウイルス/エイズ、およびマラリアなどの伝染性疾病。たとえば、これらに限定されるわけではないが、癌、関節リウマチおよび慢性腎不全などの慢性疾病。たとえば、これらに限定されるわけではないが、鉛、水銀、カドミウムおよびヒ素などの重金属中毒。
【0065】
本発明の栄養または食事鉄補給組成物はまた、治療目的のために提供され得る。治療用鉄補給の例示的な組成物には、1回当たりFerrochel(商標)鉄 70mg、コハク酸 150mgおよびアスコルビン酸 200mgが含有される。治療用栄養または食事補給組成物は鉄欠乏のヒトまたは他の動物に有用である。このような治療用組成物は、毎月の鉄補給治療のための、毎日1回の21日カレンダーパックにおいて、提供されるのが好ましい。その場合、吸収された鉄は、ヘモグロビン再生の1ヵ月当たり約1.0gに充分な鉄と、鉄貯蔵の充満のための鉄とを供給する。鉄補給は、21日パックの投与後少なくとも1週間中止され、吸収率が投与週の間高く保たれて、吸収率が最適になるようにすることが好ましい。しかし、出産可能な年齢の女性には、本発明の組成物は、月経中7日間投与して失われた鉄を補給し、続いて21日間鉄補給を中止することができる。
【0066】
さらに他の好ましい本発明の実施形態において、栄養または食事鉄補給組成物は治療目的のために提供される。治療用鉄補給の例示的な組成物には、1回当たりFerrochel(商標)鉄 150mg、コハク酸 150mgおよびアスコルビン酸 200mgが含有される。この治療用の栄養または食事補給組成物は、鉄欠乏のヒトまたは他の動物に有用である。このような治療用組成物は、毎月の鉄補給治療のための、毎日3回の21日カレンダーパックにおいて、提供されるのが好ましい。この場合、吸収された鉄は、ヘモグロビン再生と鉄貯蔵の充満とのために、1ヵ月当たり約3.0gの鉄を供給し得るであろう。本発明の全ての栄養または食事補給組成物については、鉄補給は、21日パックの投与後少なくとも1週間中止され、鉄吸収率が投与週の間ピークに保たれるようにすることが好ましい。
【0067】
さらに好ましい本発明の栄養または食事補給組成物は、鉄欠乏性貧血を有するヒトまたは他の動物のために提供される。このような栄養または食事補給組成物は、腫瘍学関連治療、慢性腎不全の前透析段階、ならびに、たとえば外科手術前の前自己献血および定期的/頻繁なまれな血液型の献血などの反復献血に先立って、またはこれらの間に、ヒトまたは他の動物に役立つ。さらに、このような組成物は、静脈内の鉄に不耐である一部の患者にとって好適な代替品である。これは、静脈内に鉄が与えられるとしばしば発病する関節リウマチ患者にとって特に重要である。また、静脈内の鉄が形体、シャントアクセスの不足または不耐性によって禁忌であるか利用できない状況でも重要である。鉄欠乏性貧血治療用の本発明の好適な組成物にはFerrochel(商標)鉄 150mg、コハク酸 150mgおよびアスコルビン酸 200mgが含まれ、21日間1日3回まで投与される。本発明の全ての補給組成物について、鉄補給は、21日の鉄補給投与後少なくとも1週間中止され、吸収率が投与の間ピークに保たれるようにすることが好ましい。
【0068】
本発明のまた別の実施形態において、栄養または食事鉄補給組成物は経口避妊薬の28日単位と組み合わせた投与のために提供される。たとえば、市販されている経口避妊薬にはレボノルゲストレル 約0.15mgおよびエチニル エストラジオール 約30mgが含有される。1回当たりFerrochel(商標)鉄 約25mg、コハク酸 約60mgおよびアスコルビン酸 約0〜100mgを含有する本発明の栄養または食事鉄補給組成物は、市販されている経口避妊薬の最初の21日については一緒に添加され得、(偽薬)避妊薬の最終7日からは除かれる。このような経口避妊薬成分/鉄補給組成物にはさらに、出産可能年齢の女性の健康を促進するために、葉酸および少なくとも1つのB群ビタミンが含まれる。ここで使用される「葉酸」には、葉酸、葉酸エステル、葉酸前駆体、葉酸エステル前駆体、葉酸誘導体、葉酸エステル誘導体、葉酸代謝体、葉酸エステル代謝体およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0069】
簡潔に前記したように、コハク酸およびアスコルビン酸は胃腸の鉄吸収を促進する。アスコルビン酸は経口投与されたときだけ胃腸の鉄吸収を増進させることが分かっている。胃腸の鉄吸収はアスコルビン酸の静脈内投与によっては向上しない。しかし、コハク酸は経口投与および静脈内投与の双方で胃腸の鉄吸収を増進させることが分かっている。この情報に基づいて、アスコルビン酸およびコハク酸によってもたらされる鉄吸収促進効果は異なる場所で、および/または異なる作用様式を経て生じていると結論することが理にかなっている。したがって、アスコルビン酸およびコハク酸の鉄吸収促進効果は、本発明の鉄補給組成物とともに使用されると加算的であるか、相乗的でさえあり得る。
【0070】
コハク酸およびアスコルビン酸鉄吸収促進剤の作用様式は充分には理解されていない。pHを考慮すると、最適な鉄吸収は腸の近位十二指腸領域で起こるようである。コハク酸は腸管粘膜細胞の側底細胞膜に影響を及ぼすことで鉄吸収を増進し、これによって小腸の腸細胞によって既に吸収された鉄の移送を増大させると、示唆されている。
【0071】
食餌中からまたは経口補給で摂取した鉄が胃に達すると、種々の細粒体に見られるフィチン酸塩などの食物中物質と結合し得る。そのような食物中物質と結合した鉄は、小腸における鉄吸収を阻害しまたは低下させる。小腸の粘膜内層は、「絨毛」と呼ばれる指状の突起を含んでいる。絨毛は、絨毛裂にて形成され絨毛頂に向かって移動する細胞によって裏打ちされている。絨毛頂に近い腸細胞は、鉄の活発な吸収場所である。鉄が食物中物質と結合すると、結合鉄は小腸の腸細胞による吸収に利用されないので、小腸における鉄吸収は阻害される。しかしながら、アスコルビン酸が存在するときは、アスコルビン酸が競合的に鉄に結合して、フィチン酸塩と結合することから鉄を保護する。鉄は低pHで溶解する。したがって、還元能力を通じたアスコルビン酸の付加的機能は、近位十二指腸の酸性環境における吸収のために鉄を溶解性に保つことである。
【0072】
鉄が腸管腔から小腸腸細胞内に一旦運搬されると、鉄は不安定な鉄貯蔵を形成し、次いで、鉄貯蔵から側底膜を横切って血流中に運搬される。不安定な鉄貯蔵の程度が、小腸腸細胞によって吸収される鉄の量を調節する。不安定な鉄貯蔵が拡大するにつれて、小腸腸細胞によって吸収される鉄の量、および側底膜を横切って運搬される鉄の量は、減少する。
【0073】
鉄過剰およびこれによる鉄毒性が防止される主たる機構は、小腸腸細胞が重要な役割を果たす非常に厳しく規制された吸収過程を介している。小腸腸細胞は鉄の運搬および貯蔵を調整する。小腸腸細胞の細胞内の不安定な鉄貯蔵における鉄が側底膜を横切って運搬されなければ、運搬されない鉄は、腸細胞が数日後に剥離するときに、失われる。これが、吸収されなかった鉄を体が排泄する主たる機構である。
【0074】
最も普通に使用される補給鉄化合物である硫酸第一鉄の摂取された量のうち、約5〜25パーセントが吸収されるに過ぎない。従来の研究はしばしば、初期の鉄吸収データを長い期間に対して外挿していた。しかし、鉄吸収は長期間にわたって一定ではない。鉄吸収率は、使用される鉄化合物にかかわらず、促進剤を伴うときも伴わないときも、毎日の鉄補給の最初の20日後に、吸収の顕著な低下を示す。従来から認められている15パーセントという平均鉄吸収率は、鉄補給第1日〜第20日に対してのみ正確であるように見える。第21日〜第30日については、硫酸第一鉄補給剤の平均鉄吸収率は、公開されたデータにおいては、5.1パーセントに低下している。
【0075】
本発明に従って、臨床的有益性のために投与された鉄の利用を最大化または最適化するために、栄養または食事鉄補給組成物を投与する方法が記載される。本発明の方法は、ヒトまたは他の動物における鉄吸収の向上に影響を及ぼすために、1日あたり1回以上の鉄補給組成物の投与を1日以上行い、その後、1日以上鉄補給を中断し、その後、同じことを繰り返すこと、つまり、循環投与を含む。循環投与の方法を使用する本発明の1つの実施形態において、鉄補給の日数は鉄補給の中断日数と同じである。鉄補給の日数を「鉄補給期間」とよぶことができ、再度の鉄補給期間の開始前の鉄補給の中断日数を「非鉄補給期間」とよぶことができる。循環投与中の鉄補給期間の非鉄補給期間に対する比は好ましくは0.03〜30:1である。前記のように、本発明の組成物は、鉄吸収を促進および/または維持するために独立して使用されるか、鉄欠乏が関与する1以上の疾病の治療に使用される1以上の他の組成物と組み合わせて使用され得る。したがって、このような他の組成物および/または本発明の組成物の非鉄成分の投与は、ここで記載される非鉄補給期間中に継続され得る。
【0076】
よって、本発明は、本発明の栄養または食事補給組成物の循環投与を利用して、標準の血中鉄濃度よりも低いヒトまたは他の動物における標準の血中鉄濃度を回復する方法を提供する。本発明の循環投与方法は、従来の継続投与計画を使用するときに必要とされる期間よりも短い期間で、たとえばRBC発生および鉄貯蔵の充満といった血中鉄濃度目標を達成することができる。本発明の循環投与方法は、従来の継続投与計画の約10〜90パーセント、好ましくは少なくとも15パーセントだけ、血中鉄濃度目標を達成するのに不可欠な期間を低減する。
【0077】
血中鉄濃度目標を達成するのに不可欠な期間は、鉄補給の開始時に経験されている高い鉄吸収のおよそ20日の活用を通じた本発明の循環投与方法を使用して低減される。それは2つの方法で活用される。第1に、本発明の栄養または食事補給組成物の投与を通じて、不快な、または有害な副作用を最小化または除去しながら、かなり多量の鉄が吸収される。第2に、本発明の循環投与方法を通じて、小腸の腸細胞が非補給期間中の3〜7日以内に剥離することで、不安定な鉄貯蔵を一掃し、もって体の鉄吸収機構をリセットする。循環投与方法は、治療期間全体にわたって鉄吸収率を増進させて、全体としてより多くの鉄が吸収され得るようにする。
【0078】
本発明を詳細に記述したことで、当業者は本発明の精神および範囲を逸脱せずに本発明に修正がなされ得ることを理解できるだろう。したがって、本発明の範囲がここに記載される特定の実施形態に限定されることを意図してはいない。むしろ、添付の特許請求の範囲のみが本発明の範囲を決定することを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは他の動物における鉄欠乏に関連する障害を防止し、安定化させ、改善し、または治療するための投与のために、
1以上の形態の鉄 約10mg〜約500mg;および
1以上の形態の有機酸 約5mg〜約500mgを含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
ヒトまたは他の動物における鉄欠乏に関連する障害を防止し、安定化させ、改善し、または治療するために、
1以上の形態の鉄 約10mg〜約500mg;
1以上の形態の有機酸 約5mg〜約500mg;および
1以上の鉄吸収促進剤 約5mg〜約500mgを含むことを特徴とする組成物。
【請求項3】
ヒトまたは他の動物における鉄欠乏に関連する障害を防止し、安定化させ、改善し、または治療するために、
1以上の形態の鉄 約10mg〜約500mg;
1以上の形態の有機酸 約5mg〜約500mg;および
1以上の形態のアスコルビン酸 約5mg〜約500mgを含むことを特徴とする組成物。
【請求項4】
ヒトまたは他の動物における鉄欠乏性貧血を防止し、安定化させ、改善し、または治療するために、
1以上の形態の鉄 約10mg〜約500mg;および
1以上の形態の有機酸 約5mg〜約500mgを含むことを特徴とする組成物。
【請求項5】
ヒトまたは他の動物における鉄欠乏性貧血を防止し、安定化させ、改善し、または治療するために、
1以上の形態の鉄 約10mg〜約500mg;
1以上の形態の有機酸 約5mg〜約500mg;および
1以上の鉄吸収促進剤 約5mg〜約500mgを含むことを特徴とする組成物。
【請求項6】
ヒトまたは他の動物における鉄欠乏性貧血を防止し、安定化させ、改善し、または治療するために、
1以上の形態の鉄 約10mg〜約500mg;
1以上の形態の有機酸 約5mg〜約500mg;および
1以上の形態のアスコルビン酸 約5mg〜約500mgを含むことを特徴とする組成物。
【請求項7】
1以上の形態の鉄 約10mg〜約500mg;および
1以上の形態の有機酸 約5mg〜約500mgを含み、循環投与を使用して、ヒトまたは他の動物における鉄欠乏に関連する障害を防止し、安定化させ、改善し、または治療するのに有効であることを特徴とする組成物。
【請求項8】
1以上の形態の鉄 約10mg〜約500mg;および
1以上の形態の有機酸 約5mg〜約500mgを含み、循環投与を使用して、ヒトまたは他の動物における鉄欠乏性貧血を防止し、安定化させ、改善し、または治療するのに有効であることを特徴とする組成物。
【請求項9】
1以上の形態の鉄が非反応性鉄化合物から構成される群から選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
1以上の形態の鉄がカルボニル鉄、キレート鉄、可溶性鉄塩、微溶性鉄塩、不溶性鉄塩、キレート鉄錯体および鉄錯体から構成される群から選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
1以上の形態の鉄が鉄のビス-グリシンキレートから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
1以上の形態の鉄が鉄のアミノ酸キレートから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
1以上の形態の鉄が、次亜リン酸第二鉄、アルブミン酸第二鉄、塩化第二鉄、クエン酸第二鉄、糖酸酸化第二鉄、クエン酸第二鉄アンモニウム、塩化第一鉄、グルコン酸第一鉄、ヨウ化第一鉄、硫酸第一鉄、乳酸第一鉄、フマル酸第一鉄、ヘム、トリスグリシン第二鉄、ビスグリシン第一鉄、硝酸第二鉄、糖酸水酸化第一鉄、硫酸第二鉄、グルコン酸第二鉄、アスパラギン酸第二鉄、硫酸第一鉄7水和物、リン酸第一鉄、アスコルビン酸第二鉄、ギ酸第一鉄、酢酸第一鉄、リンゴ酸第一鉄、グルタミン酸第一鉄、コリンイソクエン酸第一鉄、硫酸フェログリシン、酸化第二鉄水和物、可溶ピロリン酸第二鉄、糖酸水酸化第二鉄、糖酸第二鉄マンガン、亜硫酸第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、硫酸第一鉄アンモニウム、セスキ塩化第二鉄、クエン酸第二鉄コリン、クエン酸第二鉄マンガン、クエン酸第二鉄キニーネ、クエン酸第二鉄ナトリウム、エデト酸第二鉄ナトリウム、ギ酸第二鉄、シュウ酸第二鉄アンモニウム、シュウ酸第二鉄カリウム、シュウ酸第二鉄ナトリウム、ペプトン酸第二鉄、ペプトン酸第二鉄マンガン、酢酸第二鉄、フッ化第二鉄、リン酸第二鉄、ピロリン酸第二鉄、ピロリン酸第一鉄、糖酸化炭酸第一鉄、炭酸第一鉄塊、コハク酸第一鉄、クエン酸第一鉄、酒石酸第一鉄、フマル酸第二鉄、コハク酸第二鉄、水酸化第一鉄、硝酸第一鉄、炭酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄ナトリウム、酒石酸第二鉄、酒石酸第二鉄カリウム、次炭酸第二鉄、グリセロリン酸第二鉄、糖酸第二鉄、糖酸水酸化第二鉄、糖酸第二鉄マンガン、硫酸第一鉄アンモニウム、ピロリン酸第二鉄ナトリウム、炭酸第一鉄、水酸化第二鉄、酸化第一鉄、オキシ水酸化第二鉄、シュウ酸第一鉄、ポリサッカライド-鉄錯体、メチリジン-鉄錯体、エチレンジアミン四酢酸-鉄錯体、フェナンスロレン鉄錯体、p-トルイジン鉄錯体、糖酸第一鉄錯体、フェルレシット(ferrlecit)、グルコン酸第一鉄錯体、フェルム ヴァイチス(ferrum vitis)、糖酸水酸化第一鉄錯体、鉄-アレーンサンドイッチ錯体、アセチルアセトン鉄錯体塩、鉄-デキストラン錯体、鉄-デキストリン錯体、鉄-ソルビトール-クエン酸錯体、糖酸化酸化鉄、フマル酸第一鉄錯体、鉄ポルフィリン錯体、鉄フタロシアニン錯体、鉄サイクラム錯体、ジチオカルボキシ-鉄錯体、デスフェリオキサミン-鉄錯体、ブレオマイシン-鉄錯体、フェロジン-鉄錯体、鉄ペルハロポルフィリン錯体、アルケンジアミン-N,N-二コハク酸鉄(III)錯体、ヒドロキシピリドン-鉄(III)錯体、アミノグリコシド-鉄錯体、トランスフェリン-鉄錯体、鉄チオシアネート錯体、鉄錯体シアン化物、ポルフィリナト鉄(III)錯体、ポリアミノポリカーボネート鉄錯体、ジチオカルバメート鉄錯体、アドリアマイシン鉄錯体、アントラサイクリン-鉄錯体、N-メチル-D-グルカミンジチオカルバメート-鉄錯体、フェリオキサミン B、クエン酸第一鉄錯体、硫酸第一鉄錯体、グルコン酸第二鉄錯体、コハク酸第一鉄錯体、ポリグルコピラノシル鉄錯体、ポリアミノ二コハク酸鉄錯体、ビリベルジン-鉄錯体、デフェリプロン鉄錯体、オキシ水酸化第二鉄-デキストラン錯体、ジニトロシルジチオラト鉄錯体、鉄ラクトフェリン錯体、1,3-エチレンジアミン四酢酸第二鉄錯体塩、ジエチレントリアミン五酢酸鉄錯体塩、シクロへキサンジアミン四酢酸鉄錯体塩、メチルイミノ二酢酸鉄錯体塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸鉄錯体塩、第二鉄ヒドロキシピロン錯体、コハク酸第二鉄錯体、塩化第二鉄錯体、硫酸第二鉄グリシン錯体、アスパラギン酸第二鉄錯体、グルコン酸ナトリウム第一鉄錯体、および水酸化第一鉄ポリマルトース錯体から構成される群から選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
1以上の形態の有機酸が、コハク酸、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、グルタミン酸、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、グルタミン酸塩、コハク酸誘導体、酢酸誘導体、クエン酸誘導体、乳酸誘導体、リンゴ酸誘導体、グルタミン酸誘導体およびこれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
1以上の形態の鉄が、制御放出のために、コートまたは処理を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
1以上の形態の鉄および1以上の形態の有機酸が、制御放出のために、1以上のコートまたは処理を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
制御放出のために、1以上の組成物コートをさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
制御放出のために、1以上の組成物処理をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
1以上の形態の有機酸がコハク酸であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
1以上の鉄吸収促進剤が、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸誘導体およびビタミンC活性を有する化合物から構成される群から選択されることを特徴とする請求項2または5記載の組成物。
【請求項21】
1以上の鉄吸収促進剤が、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸誘導体、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸亜鉛、アルド-ラクトン、アルドン酸の食用塩、L−トレオン酸、L-キシロン酸、L-リキソン酸、ビタミンC活性を有する化合物、炭水化物、カルシウム、銅、モリブデン酸ナトリウム、アミノ酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項2または5記載の組成物。
【請求項22】
1以上の形態のアスコルビン酸が、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸誘導体およびビタミンC活性を有する化合物から構成される群から選択されることを特徴とする請求項3または6記載の組成物。
【請求項23】
1以上の形態のアスコルビン酸が、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸誘導体、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸亜鉛、アルド-ラクトン、アルドン酸の食用塩、L−トレオン酸、L-キシロン酸およびL-リキソン酸から構成される群から選択されることを特徴とする請求項3または6記載の組成物。
【請求項24】
1以上の形態の鉄 約151mg;
1以上の形態の有機酸 約150mg;および
1以上の形態のアスコルビン酸 約200mgを含むことを特徴とする請求項3または6記載の組成物。
【請求項25】
1以上の形態の鉄 約151mg;
1以上の形態の有機酸 約150mg;および
1以上の形態のアスコルビン酸 約200mg;を含み、さらに
葉酸 約1mg;およびビタミンB12 約10mgを含むことを特徴とする請求項3または6記載の組成物。
【請求項26】
経口避妊薬成分をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
葉酸およびビタミンB群から構成される群から選択される1以上の組成物をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
下剤または制吐剤をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
1以上の形態の鉄が、少なくとも1つの速溶解性鉄化合物および少なくとも1つの遅溶解性鉄化合物を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
1以上の形態の鉄が、持続放出の鉄化合物を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
1以上の形態の鉄が、制御放出の鉄化合物を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
組成物が、循環投与を使用して、鉄欠乏に関連する障害を防止し、安定化させ、改善し、または治療するのに有効であることを特徴とする請求項2,3,5および6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項33】
組成物が、循環投与を使用して、鉄欠乏性貧血を防止し、安定化させ、改善し、または治療するのに有効であることを特徴とする請求項2,3,5および6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項34】
循環投与を使用して、ヒトまたは他の動物に組成物を投与することを特徴とする請求項1〜8,26,27および28のいずれか1項に記載の組成物の投与方法。
【請求項35】
循環投与を使用して、組成物が1日当たり少なくとも1回投与されることを特徴とする請求項34記載の方法。
【請求項36】
組成物が、約21日の補給期間および約7日の非鉄補給期間について、1日当たり少なくとも1回循環的に投与されることを特徴とする請求項34記載の方法。
【請求項37】
組成物が、約20日の補給期間および約10日の非鉄補給期間について、1日当たり少なくとも1回循環的に投与されることを特徴とする請求項34記載の方法。
【請求項38】
組成物が、約1週の補給期間および約1週の非鉄補給期間について、1日当たり少なくとも1回循環的に投与されることを特徴とする請求項34記載の方法。
【請求項39】
組成物が、補給期間の非鉄補給期間に対する比がおよそ0.03〜30:1である補給期間および非鉄補給期間について、1日当たり少なくとも1回循環的に投与されることを特徴とする請求項34記載の方法。
【請求項40】
1つ以上の形態の鉄および1つ以上の形態の有機酸を混合することを特徴とする請求項1または4記載の組成物の製造方法。
【請求項41】
1つ以上の形態の鉄;1つ以上の形態の有機酸および1つ以上の鉄吸収促進剤を混合することを特徴とする請求項2または5記載の組成物の製造方法。
【請求項42】
1つ以上の形態の鉄、1つ以上の形態のコハク酸および1つ以上の形態のアスコルビン酸を混合することを特徴とする請求項3,6,7および8のいずれか1項に記載の組成物の製造方法。
【請求項43】
循環投与を使用して、組成物を1日当たり少なくとも1回以上摂取するようにヒトまたは他の動物をし向けることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物の販売方法。
【請求項44】
組成物を包装または容器に収容することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物の包装方法。
【請求項45】
ヒトまたは他の動物における血中鉄濃度を治療し、防止し、改善し、または安定化させる方法であって、
従来の継続投与よりも少なくとも10パーセント短い期間内の、赤血球発生および鉄貯蔵の充満を達成するのに効果的な期間、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物を、ヒトまたは他の動物に循環的に投与することを特徴とする方法。
【請求項46】
ヒトまたは他の動物における血中鉄濃度を治療し、防止し、改善し、または安定化させる方法であって、
従来の継続投与よりも約10パーセント〜約90パーセント短い期間内の、赤血球発生および鉄貯蔵の充満を達成するのに効果的な期間、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物を、ヒトまたは他の動物に循環的に投与することを特徴とする方法。
【請求項47】
ビス-グリシンキレート鉄 約100mg;
フマル酸第一鉄 約50mg;
コハク酸 約150mg;
鉄吸収促進剤 約60mg;
葉酸 約1mg;および
ビタミンB12 約10mgを含むことを特徴とする組成物。
【請求項48】
腫瘍学関連治療、慢性腎不全の前透析段階、または反復献血に先立って、またはこれらの間に、ヒトまたは他の動物における鉄欠乏に関連する障害を防止し、安定化させ、改善し、または治療するために、
1以上の形態の鉄 約10mg〜約500mg;および
1以上の形態のコハク酸 約5mg〜約500mgを含むことを特徴とする組成物。
【請求項49】
腫瘍学関連治療、慢性腎不全の前透析段階、または反復献血に先立って、またはこれらの間に、ヒトまたは他の動物における鉄欠乏に関連する障害を防止し、安定化させ、改善し、または治療するために、
1以上の形態の鉄 約10mg〜約500mg;および
1以上の形態の有機酸 約5mg〜約500mgをヒトまたは他の動物に投与することを特徴とする組成物を使用する方法。
【請求項50】
循環投与を使用して、鉄欠乏に関連する障害を防止し、安定化させ、改善し、または治療する目的で、吸収を最適にするために、経口投与される1以上の形態の鉄 約10mg〜約500mgを含むことを特徴とする組成物。
【請求項51】
組成物が、鉄欠乏に関連する1以上の疾病または状態の治療に有用な1以上の他の組成物と組み合わせて投与されることを特徴とする請求項1〜8および26〜28のいずれか1項に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−525442(P2008−525442A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548207(P2007−548207)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/038859
【国際公開番号】WO2006/068697
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(507369615)ドラッグテック コーポレイション (2)
【氏名又は名称原語表記】DRUGTECH CORPORATION
【住所又は居所原語表記】300 Delaware Avenue,Suite 1270,Wilmington,Delaware,The United States of America
【Fターム(参考)】