鉄合金を含む包装体
【課題】 廃タイヤの処理の工程で発生し、産業廃棄物処理として取り扱われてきた、廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物から、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物から、鉄鋼製造に従来から用いられてきた鉄屑として用いることができる組成であり、重量、及び容量である包装体の提供。
【解決手段】 前記短細線状物質を含む被処理物を、磁気手段により処理し、短細線状物質を分離取り出して、機械的手段によりドラム缶に充填し、ドラム缶を圧縮封止して得られる包装体及びその製造方法。
【解決手段】 前記短細線状物質を含む被処理物を、磁気手段により処理し、短細線状物質を分離取り出して、機械的手段によりドラム缶に充填し、ドラム缶を圧縮封止して得られる包装体及びその製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済タイヤ(以下、廃タイヤとも言う)から回収したビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤ、並びに焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤの包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の普及により、タイヤを使用した後の大量の廃タイヤが発生する。処理業者は、一般の生活環境、社会環境或いは自然環境中に放置することは社会生活を維持していくうえで、最早許されることではない。処理施設内であっても大量の野積みの状態として管理することなく、放置することは許されない。
廃タイヤの処理方法は、廃タイヤ中のゴムやカーボンなどの再利用できるものは再利用し、又、簡単に焼却処分できるものについては、焼却処分が行われてきた。廃タイヤに含まれるビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤなどは、再利用されないものとされ、産業廃棄物として埋設処理が行われきた。
産業廃棄物は廃タイヤだけではなく、膨大な量の処理が行われてきており、埋設処理は場所の選定などの点から限界が生じてきている。廃タイヤの埋設処理を継続するにしても、少なくとも一層の減容化を進めるなどの努力は必要となる。持続型経済産業社会を目指す現状において、使用済み製品はリユース、リダクション及びリサイクルを行うことが必須とされる。このような時代背景を考えると、廃タイヤに含まれるビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤを原料として利用することは必要となるであろう。
従来、廃タイヤに含まれるビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤを回収再利用することを受け入れる産業基盤がなく、経済行為として成立していない。資源・エネルギー及び環境問題の解決を含めて持続型経済産業社会への移行を行う今日において、大量に発生する廃タイヤに含まれるビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤを回収して、これを積極的に利用することを検討実施するための技術は重要であり、そのような技術の開発は必要不可欠である。
【0003】
タイヤはその利用対象の車の種類に応じて各種のタイヤがあり、乗用車用、バイク、トラックやバス用、建設機械用、航空機用など様々のものがある。タイヤは一般に図1の構造をしている。
タイヤの金属部分にはビードワイヤ(1)及びベルト(2)がある。ビードワイヤ(1)はタイヤをリムに固定している。ビ−ドワイヤーは高炭素鋼からなる鋼線を揃えて巻き重ね、リング状に成形され、その表面にはメッキが施されている。又、ベルト(2)は、カーカス(3:繊維などの層)とトレッド(4:磨耗や外傷を防ぐタイヤの外皮であり、路面で水を排除し、駆動力・制動力が作用したときスリップを防止する)の間に位置する補強帯であり、細いスチール撚り線(鋼線)を揃えて巻き重ね、リング状に成形したものからなり、カーカス上に例えば3から4枚積層状態に装着されている(特許文献1)。無理な条件下に酷使されるタイヤは、その使用に耐えるために、前記金属部分は周囲の部材とよく混在され、タイヤ全体は相互に分離しないような強固なものとなっている。タイヤの重量に占めるビードワイヤは重量で4.7%、スチールワイヤは重量で8.9%であるとされている。再利用のためのビードワイヤ及びスチールワイヤを回収する作業は大変な作業であることが理解できる。
【0004】
従来の廃タイヤの処理を見てみることとする。
自動車から取り外されたタイヤからリムをはずし、そのタイヤを廃タイヤとして処理する。
廃タイヤを処理する場合には、再生タイヤとするために再生タイヤ処理、廃タイヤを切断、破砕し、場合によってはさらに粉砕し、金属を含むゴムやカーボンを燃料として用いるサーマルリサイクルが行われる(非特許文献1)。サーマルリサイクルには、50mm破砕タイヤチップ、32分割カットタイヤなどの破砕されたタイヤ用いられる(図2)。
又、ゴムやカーボンを再利用するマテリアルリサイクルは、廃タイヤを切断粉砕し、ゴムやカーボンなどのマテリアルの部分と金属の部分に分けた後、マテリアルの部分を、ゴム粉、土木資材、補強剤、舗装材、マット材として用いる。粉砕処理することにより、ゴム、カーボン、樹脂が分離され、ゴム、カーボンなどについては、必要に応じて細分化され、補強剤、舗装材、マット材などに使用することが行われている。ゴムとして用いる場合には前記のように分離回収した後さらに小さい粒径のもとすることが行われる(特許文献2、特許文献3)。
回収される鋼線屑は前記したように産業廃棄物として埋設処理されてきた。場合によって、回収された鋼線屑としてセメント強化剤として用いることも記載されている(特許文献1)。マテリアルリサイクルには、本発明で取り上げようとしている、ビードワイヤ及び/又はスチールワイヤ、並びに焼却処理されたビードワイヤ及び/又はスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物についてリサイクル利用することは、業界内において意識されていない(非特許文献1)。
【0005】
前記、従来の処理に際しては、廃タイヤをそのままの形状で再使用する再生タイヤとすることを除いて、廃タイヤはその形状のままでは処理しにくいこと、又利用に際しても不便であるから、廃タイヤを切断する。切断する場合には、タイヤを二分割しその後さらに再分割し、32分割程度の小形状のものとする(非特許文献1)。
又、分割に際し、ビードワイヤを含むタイヤの側部部分とスチールワイヤを含む中央部分に切り分け、その後に、さらに分割するなどの処置を行う(特許文献4)。又、ビードワイヤを取り出す方法(特許文献1、特許文献5、)も知られている。これらは専ら、次に行う切断分割に際し、刃こぼれを起すので、これを防止するために行われる。スチールワイヤをとりだすことなども適宜行う(特許文献6、特許文献7)。
ビードワイヤを取り出したビードワイヤは、そのまま処理することもあるが、適宜切断することも行われる。一片の長さが15〜20cm、さらに細分化して、7から12cm、3から5cmのものとされる。同じく、スチールワイヤの回収を行った場合には、粉砕細分化して、10から12cm、5から7cmなどの範囲のものを得ている。
これらは、回収された破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物を調べてみると、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質の長さの分布として、測定できる。
【0006】
廃タイヤを処理し、マテリアルリサイクルを行った後に残される「破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物」は、前記の通り、産業廃棄物として処理されてきたものである。これを製造業者が原料物質として用いることができることは考えておらず、このように製造業者が利用することを考えていないものを積極的に製造業者が原料として利用するようにすることは、困難であるとされている。
サーマルリサイクルとして行われる廃タイヤから得られる燃料には、廃タイヤに含まれるビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる金属が含まれる。燃料として使用する場合には産業廃棄物の処理の一環として行われ、又、燃料を利用する各事業所などで発生する使用済み燃料から生ずる金属及び金属酸化物も産業廃棄物としての処理が必要となる。個々に処理することは経済上の問題があり、又厳しい規制を満たすようにすることも困難であり、産業廃物を処理するために引き取りが行われ、産業廃物としての処理を行うことが一般的に行われてきた。
集められた燃焼後のビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤは、熱処理を受けているものである。金属は熱を加えられていることにより、場合によっては成分も変化し、特性ももろくなるなどして、特定の成分及び成分量、形状が不安定であり、これを特定原料として使用することは行われがたい。これを原料物質として積極的に取り入れて利用することは、これらを用いることの不安を解消することが必要となる。
【0007】
廃タイヤの処理にあたり、この処理方法の中で従来から回収、再利用することが行われてきたゴム、カーボン等は、回収して利用できものであるから、価格換算が行われ、経済効率の点及び資源・エネルギ―の有効利用の点から評価される。しかしながら、金属及び金属及び金属酸化物は産業廃棄物としての処理になり、廃棄物処理費用としての経費を要求されることとなり、この点では評価されず、金属及び金属及び金属酸化物を取り出すことは、魅力のない経済行為であるという批判が生じ、回収することは自立したシステム、持続可能なシステムとはなりがたい。
【0008】
以上のことを背景にして、従来、産業廃棄物として処理されていた廃タイヤから回収された金属を金属加工の原料の一部として回収すること、廃タイヤからの燃料の使用後に生ず属及び金属酸化物を金属加工の原料の一部として回収することは、限りある資源及びエネルギーを有効に用いる点から重要なことであり、そのための具体的な方策が必要とされ、切望されている。
【特許文献1】特開平6−121977号公報
【特許文献2】特開2002−126562号公報
【特許文献3】特開2006−6991号公報
【特許文献4】特開2003−205521号公報
【特許文献5】特許3009891号明細書
【特許文献6】特公昭60−9885号公報
【特許文献7】特開2001−29892号公報
【非特許文献1】日本タイヤリサイクル協同組合インターネット資料
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決する課題は、廃タイヤの処理の工程で発生し、産業廃棄物処理として取り扱われてきた、破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物から、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物を製綱工程の原料物質としてリサイクルするための包装体及びその製造方法及び包装体を用いる製綱方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者ら前記課題について鋭意研究して、以下の点を見出した。
(1)廃タイヤの処理は、前記したように、タイヤを細かくすることから出発し、利用する物質を使用しやすい形状で回収し、リサイクル利用するものである。途中で複製する金属であるビードワイヤやスチールワイヤは産業廃棄物として処理してきた。
(2)この過程で副生する金属であるビードワイヤやスチールワイヤが、鉄鋼製造に従来から用いられてきた鉄屑としてリサイクルされない理由は以下のことが考えられる。
(イ)従来、産業廃棄物として回収されているものは、廃タイヤのみならず他の産業廃棄物である金属成分を含んで回収されるから、多種雑多のものが含まれており、又、成分が特定され、成分組成がある範囲内において一定といった保証が無く、ユーザーである金属製造業者は使用できないこと。廃タイヤのみならず他の産業廃棄物である金属成分を含んで回収される場合には、この中から、廃タイヤのみからなる産業廃棄物を回収することは困難であること。
(ロ)廃タイヤの回収であることを特定して得られる産業廃棄物は、「破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物」であり、回収しようとする金属の他の被処理物を含んでおり、被処理物の容量は大きいものであるから、各々を取り出すことが難しいこと。
(ハ)「破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物」から利用できない物質を取り除いた結果、得られる「ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/又はスチールワイヤからなる短細線状物質」は、軽量で、容量も小さく、製鋼工場で従来から原料として利用してきた鉄屑と比較すると、重量や容量は小さく、一定化せず、原料の成分保証もないので、一定量を安定供給し、安定操業とすることは難しいこと。ビードワイヤ及びスチールワイヤなどの短細線状物質は、重量や容量は小さいために、あえてこれを鉄屑の原料として用いる場合には、使用している気体中に取り込まれてしまったり、輸送されてしまったりして安定しないなどを弊害が顕著となること。又、成分保証を行うにしてもサンプリングする部分について、偏りが無く、特別な部分でないことを説明することが困難であること。
(3)前記(2)の問題を解決するうえでは、以下のようにするとことが有効であることを本発明者らは見出した。
(イ)廃タイヤの処理の工程で発生し、産業廃棄物処理として取り扱われてきた、破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物、並びに焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物を大量に集めることは、廃タイヤの処理であることを特定すると、集めることができる。
具体的には、例えば、廃タイヤの粉砕処理により発生する粉砕物から炭素、カーボン及び樹脂を除去し、破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物として、その発生源から集荷して、大量に集めることができること。
又、焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物は、廃タイヤを限定して得られるサーマルリサイクルである燃料を、パルプ工場やセメント工場で用いた後の残ったものであり、燃料として利用した工場では自ら処理しないので、これを廃タイヤの燃料として使用した後の被処理物として回収し集めることができること。
(ロ)破砕した廃タイヤから回収された破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物には、樹脂や繊維や場合によってはカーボンなどが絡んでいたり、又焼却灰などを含むものである。
これらの樹脂や繊維やカーボン、又は焼却灰が含まれることは、場合によっては製品の純度に影響を及ぼすので最も嫌われるものである。磁気手段を用いることにより、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を得ることができること、ビードワイヤやスチールワイヤからなる短細線状物質に限れば、その成分及び成分量を特定することができること、それらをもとにサンプリングすることにより偏りがないサンプリングを行うことができること、 又は、その結果である成分及び成分量の保証をすることが可能であり、分離されたものの品質保証を行う根拠及び結果について十分に保証できること。
(ハ)ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を磁気手段により分離した後、機械的手段により、一定の力を付加しつつ、密な状態でドラム缶に充填することができ、その後、ドラム缶を圧縮封止することにより、ドラム缶は減容化され、密に充填されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質からなる包装体を得ることができること。
(ニ)前記のようにして得られた、ドラム缶に詰め込まれておりビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質からなる包装体は、製綱工程の電気炉やキューポラなどの溶解工程に鉄屑として供給することができる。鋳物製造工場、電気炉製鋼工場において、原料である鉄屑として組成が一定のものであり、安定操業が可能な重量及び容量であるから、リサイクル原料として安心して使用することができること。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、「破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物」を処理して、「ドラム缶に充填されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質からなる包装体」を得ることができる。
この包装体は、鋳物製造工場、電気炉製鋼工場において、原料である鉄屑として組成が一定のものであり、安定操業が可能な重量及び容量であり、リサイクル原料として安心して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物から、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を磁気手段により分離した後、機械的手段によりドラム缶に充填し、ドラム缶を圧縮封止し、減容化されたドラム缶中にビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質が充填された包装体である。
【0013】
本発明で処理対象とする被処理物は、破砕した廃タイヤから回収された(1)ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物、又は破砕した廃タイヤから回収された後(2)焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物である。
【0014】
(1)破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物は、(イ)ビードワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物、(ロ)スチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物、又は(ハ)ビードワイヤ及びスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物である。
破砕した廃タイヤの処理の仕方により、又は被処理物の集め方により前記の区分けにしたがったものを得ることができる。
【0015】
(イ)ビードワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物を得る方法は以下による。
ビードワイヤは強固であるので、場合によっては、ビードワイヤのみを取り出すこと行われる。ビードワイヤを含む部分からビードワイヤを取り出して、必要に応じて切断して、結束して出す(図4)。
ビードワイヤを含む部分からビードワイヤを取り出すことなく、ビードワイヤ及びスチールワイヤを含んだ状態の廃タイヤの処理については、(ハ)で後述する。
廃タイヤを、前記のビードワイヤを含む部分とスチールワイヤを含む部分に切り分ける方法は、カッターにより切り分けが行われる。廃タイヤにおいてビードワイヤを含む部分をタイヤから切り分ける装置については種々の方法が発明されている(特公昭56−5658号公報、特公昭53−34235号、特開2003−205521号公報)。廃タイヤ固定し、これに対してカッターで切って切断する操作が基本となる。
前記ビードワイヤを含む部分からビードワイヤを取り出して、ビードワイヤを切断処理する操作のビードワイヤを含む部分からビードワイヤを取り出すことについては、ビードワイヤに力を付加して引き抜く装置(特許3009891号)がある。又、ビードワイヤを高周波加熱や誘導加熱して分離除去する装置や方法も知られている(特開2003−205521号公報)。この場合には、ビードワイヤのみを回収することが可能であるとされている。この場合に金属の再利用ないしリサイクルし、再資源化することが可能である旨が述べられている(同公報0012)。この方法で回収されるビードワイヤは、回収してリサイクル利用するということから見ると、個々のワイヤは小容量、軽重量であり、これらを単純に再利用しようとすると、手間がかかり、供給操作自体が安定に行うことができない状態となる。
【0016】
(ロ)スチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物を得る方法は以下による。
前記(イ)に従いビードワイヤ部分を切断し、除去した後に、スチールワイヤを含む部分からスチールワイヤを取り出して、スチールワイヤを切断処理すると、スチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物を得ることができる(前記(i)と同様)。スチールワイヤを含む部分からスチールワイヤを取り出すことなく、これを破砕し粉砕処理し、スチールワイヤの短細線状物質を含む被処理物と、ゴムやカーボンを含む部分のものを得ることができ、これを分別すると、スチールワイヤの短細線状物質を含む被処理物を得ることができる(図5)。
また、スチールベルト廃タイヤから取り出す場合にも、半径方向に16等分したタイヤを高周波誘導加熱炉中で高周波加熱してスチールワイヤを引き抜いて取り出すことができることが知られている(特開平6−121977号公報)。この方法で取り出された場合にはスチールワイヤはコンクリートの補強用副材料として用いることいが記載されている(0014)、金属製鋼工程の原料としてリサイクルして利用することは意識されていない。
サイクル利用と言う点から見ると、前記(イ)と同様に小容量ということになりで、又ビードワイヤそのものは、軽重量であり、この段階で回収されえたビードワイヤを再利用し、再資源化することは無理である。
【0017】
(ハ)ビードワイヤ及びスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物である。
廃タイヤを分割して、破砕した廃タイヤについてビードワイヤ及びスチールワイヤを含む部分とし、これを破砕処理し、ビードワイヤ及びスチールワイヤの短細線状物質を含む被処理物と、ゴムやカーボンを含む部分のものを得ることができ、これを分別することによりビードワイヤ及びスチールワイヤの短細線状物質を含む被処理物を得ることができる(図6右側)。ゴムやカーボンを含む部分については、図6左側に示す。
回収されるビードワイヤやスチールワイヤの短細線状物質の長さについては、集められたこれらのものを、サンプリングして短細線状物質の長さの分布を測定することにより、推測することができる。
破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及びスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物には、処理内容に相違して種々のものが混在していることがわかる。特に顕著な点は、回収されたビードワイヤ及びスチールワイヤからなる短細線状物質の長さのばらつきがあること、及び被処理物中には、破砕分離したゴムやカーボンを分離した後の場合であっても、分離し切れなかったものや各種繊維などが混入していて、これをそのまま、鉄鋼原料の一部として用いることは、性状、重量及び容量及び成分組成を保証しなければならないと考えると無理であるということができる。
回収されるビードワイヤやスチールワイヤの短細線状物質の長さについては、集められたこれらのものから実際に回収されたものから長さの分布を測定することにより、把握することができる。
ビードワイヤーについては、15から20cm、10から12cm、5から8cmなどの範囲のものが含まれる。
スチールワイヤについては、10から12cm、5から8cmなどの範囲のものが含まれている。
分離し切れなかったゴムやカーボン、各種繊維については、重量で1から3%程度含まれている。
【0018】
(2)廃タイヤを焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物は以下の通りである。
本発明の処理対象である廃タイヤを焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物は、廃タイヤを破砕し、場合によってはさらに粉砕して得られる廃タイヤ片からなる燃料(サーマルリサイクルとして得られるもの)をボイラーなどの燃焼装置内で燃焼処理されて残った産業廃棄物である。タイヤ片からなる燃料はビードワイヤ及びスチールワイヤ、或いはスチールワイヤが残存した状態で用いられており、残存物には酸化状態で熱処理を受けたこれらのビードワイヤ及びスチールワイヤ、或いはスチールワイヤが含まれている。そして、焼却により付着物、焼却灰が随伴している。
前記の燃料の形態は、廃タイヤの部分であることに変わりはないが、そのタイヤ片の大きさは種種まちまちである。32分割片は、一片が15cmを超えるものもありえる。20mm片の場合には20mm程度のものとなる。
サーマルリサイクルされる燃料は前記の通り、廃タイヤを32分割して得られるもの、50mm破砕タイヤ、20mm粉砕タイヤが用いられている。
焼却処理されたビードワイヤは、10から12cm、5から8cmの範囲のものが含まれている。
焼却処理されたスチールワイヤは、10から12cm、5から8cmの範囲のものが含まれている。
焼却灰の含有量は、重量で0.1重量%程度である。
一例を示すと、図7に示すとおりである。
【0019】
本発明の包装体を製造する工程は、以下の2工程からなる。
(1)第1工程は以下の通りである。
破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物、又は廃タイヤを焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物から、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/又はスチールワイヤからなる短細線状物質を分離する工程
この工程は、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物にあっては、ゴムやカーボン、繊維などの共雑物を取除いて、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を取り出す工程である。取り出そうとする処理対象物質が、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤであり、磁気手段を用いることが有効である。磁気手段を用いるに際し、ビードワイヤーについては、ビードワイヤーについては取り出された状態では、もとの長い状態で取り出されていることがあり、この場合には長い状態のものであっても、ドラム缶にそのまま充填できる場合にはそのまま充填することができる(その長さはタイヤに埋め込まれている長さとなる)。これを、適宜、必要な長さに切断して用いることができる。通常、15から20cm、10から12cm、5から8cmなどの範囲のものが多い。これは取り扱いやすさを考慮して適宜切断したものである。この長さについては2cm位以下の細かい長さとすると電磁石処理による分離を行う場合に適当でないことがある。スチールワイヤについても、もとの長い状態で取り出されていることがあり、この場合には長い状態のものであっても、ドラム缶にそのまま充填できる場合にはそのまま充填することができるし、適宜、適宜、必要な長さに切断して用いることができる。通常、10から12cm、5から8cmなどの範囲のものが多い。これは取り扱いやすさを考慮して適宜切断したものである。この長さについては2cm位以下の細かい長さとすると電磁石処理による分離を行う場合に適当でないことがある。
処理対象物は運搬、移動などにより、振動などの刺激が与えられ、ゴムやカーボン、繊維などの共雑物は離れやすくなっており、電磁石に通電することにより、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤは吸着されて、ゴムやカーボン、繊維などの共雑物は分離される。また、この分離工程はビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質をドラム缶に充填する位置まで運搬することも兼ねている。しかしながら、ゴムやカーボン、繊維などの共雑物が、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤと絡み合っており、十分に分離できない場合がある。その場合には量が多くないことであれば、最終的に成分組成に影響を当てないので、混入していても差し支えない。
この工程は、廃タイヤを焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物にあっては、焼却灰や表面に付着している物質を取除く上で重要である。
取り出そうとする処理対象物質が、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤであり、磁気手段を用いることが有効である。磁気手段を用いるに際し、ビードワイヤーについては、10から12cm、5から8cmなどの範囲、スチールワイヤについては、10から12cm、5から8cmなどの範囲であり、電磁石を用いて分離できることが特に有効に作用する。これは廃タイヤを破砕して燃料として用いられた燃料の大きさに依存している。処理対象物は運搬、移動などにより、振動などの刺激が与えられ、焼却灰や表面に付着している物質が離れやすくなっており、電磁石に通電することにより、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤは吸着されて、焼却灰や表面に付着している物質は分離される。また、この分離工程はビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質をドラム缶に充填する位置まで運搬することも兼ねている。
この場合についても長さが細かすぎる場合には分離がうまく行われないことがある。
電磁石から離れた分離されたときに、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤについて、サンプリングして、どの程度含まれているかを計測して全体を推定して、その量を決定する。
以上の工程を図8に示す。
【0020】
(2)第2工程は以下の通りである。
前記(1)の第1工程で分離されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を、連続的化されて機械的手段によりドラム缶に充填し、ドラム缶を圧縮封止し、減容化されたドラム缶の包装体とすること。
ドラム缶は使用されたドラム缶の蓋を開口して用いる。自動化された機械的手段としては、充填する際にはユンボ(商品名:油圧シャベルを言う)操作して行うことができる。ユンボを用いると、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質に対して、一定の力を付加しつつ、密な状態でドラム缶に充填することができる。場合によっては、ベルトコンベアーにより運搬しつつ、磁気手段により短細線状物質を取り出し、ドラム缶に充填することもできる。
以上の工程を図9に示す。
一例を挙げると、破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤの短細線状物質を磁気手段により分離した後、機械的手段によりドラム缶に充填した場合については1ドラム缶あたり、110kgから120kgとなる場合がある。通常、ドラム缶の容量は1/3ほどが押し潰された状態となる(容量が2/3位になる)(図9)。場合によっては、これ以下になることもある。
又、この場合には、焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を磁気手段により分離した後、機械的手段によりドラム缶に充填した場合については1ドラム缶あたり、200kgとなる場合がある。
通常、ドラム缶の容量は1/3から1/2ほどが押し潰された状態となる(容量が2/3から1/2位になる)(図9)。
【0021】
ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/又はスチールワイヤからなる短細線状物質をドラム缶に充填し、ドラム缶を圧縮封止して得られる包装体は、以下の製鋼工程に原料物質として供給することができる(図10、図11)。
一例を挙げると、製鋼工場の操作状況によるが、工場の操業には1日あたり20から30t程度が必要となるとされる。このことは製鋼工場において用いられるためには此の程度の量を定常的に供給することが必要となる。本発明の包装体であれば、これらの供給量を満足する程度の量を供給可能となるが、包装体としなければ、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤは膨大な容積となり、供給困難なることは明らかである。
製鋼製造に際して用いることができる純度が高い組成原料である鉄くずとして用いることができる。容量及び重量が一定であり、従来の鉄スクラップを用いた場合と比較して安定操業を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】タイヤに含まれるビードワイヤ、スチールワイヤを示す図である。
【図2】廃タイヤの32分割カットタイヤ(右側)、50mm破砕タイヤチップ(左側)を示す図である。
【図3】廃タイヤの分割を示す図である。
【図4】廃タイヤから取り出されたビードワイヤからなる短細線状物質含む被処理物(本発明の処理対象物)を示す図である。
【図5】廃タイヤから取り出されたスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物(本発明の処理対象物)を示す図である。
【図6】廃タイヤから取り出されたビードワイヤ及びスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物(本発明の処理対象物)を示す図である。
【図7】廃タイヤを焼却処理された後に残ったビードワイヤ及びスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物(本発明の処理対象物)を示す図である。
【図8】本発明の包装体を製造する第一工程を示す図である。
【図9】本発明の包装体を製造する第二工程を示す図である。
【図10】製鋼工程を示す図である(溶解に電気炉を用いる)。
【図11】製鋼工程を示す図である(溶解にキューポラを用いる)。
【符号の説明】
【0023】
1:ビードワイヤ
2:スチールワイヤ
3:カーカス
4:トレッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済タイヤ(以下、廃タイヤとも言う)から回収したビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤ、並びに焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤの包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の普及により、タイヤを使用した後の大量の廃タイヤが発生する。処理業者は、一般の生活環境、社会環境或いは自然環境中に放置することは社会生活を維持していくうえで、最早許されることではない。処理施設内であっても大量の野積みの状態として管理することなく、放置することは許されない。
廃タイヤの処理方法は、廃タイヤ中のゴムやカーボンなどの再利用できるものは再利用し、又、簡単に焼却処分できるものについては、焼却処分が行われてきた。廃タイヤに含まれるビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤなどは、再利用されないものとされ、産業廃棄物として埋設処理が行われきた。
産業廃棄物は廃タイヤだけではなく、膨大な量の処理が行われてきており、埋設処理は場所の選定などの点から限界が生じてきている。廃タイヤの埋設処理を継続するにしても、少なくとも一層の減容化を進めるなどの努力は必要となる。持続型経済産業社会を目指す現状において、使用済み製品はリユース、リダクション及びリサイクルを行うことが必須とされる。このような時代背景を考えると、廃タイヤに含まれるビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤを原料として利用することは必要となるであろう。
従来、廃タイヤに含まれるビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤを回収再利用することを受け入れる産業基盤がなく、経済行為として成立していない。資源・エネルギー及び環境問題の解決を含めて持続型経済産業社会への移行を行う今日において、大量に発生する廃タイヤに含まれるビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤを回収して、これを積極的に利用することを検討実施するための技術は重要であり、そのような技術の開発は必要不可欠である。
【0003】
タイヤはその利用対象の車の種類に応じて各種のタイヤがあり、乗用車用、バイク、トラックやバス用、建設機械用、航空機用など様々のものがある。タイヤは一般に図1の構造をしている。
タイヤの金属部分にはビードワイヤ(1)及びベルト(2)がある。ビードワイヤ(1)はタイヤをリムに固定している。ビ−ドワイヤーは高炭素鋼からなる鋼線を揃えて巻き重ね、リング状に成形され、その表面にはメッキが施されている。又、ベルト(2)は、カーカス(3:繊維などの層)とトレッド(4:磨耗や外傷を防ぐタイヤの外皮であり、路面で水を排除し、駆動力・制動力が作用したときスリップを防止する)の間に位置する補強帯であり、細いスチール撚り線(鋼線)を揃えて巻き重ね、リング状に成形したものからなり、カーカス上に例えば3から4枚積層状態に装着されている(特許文献1)。無理な条件下に酷使されるタイヤは、その使用に耐えるために、前記金属部分は周囲の部材とよく混在され、タイヤ全体は相互に分離しないような強固なものとなっている。タイヤの重量に占めるビードワイヤは重量で4.7%、スチールワイヤは重量で8.9%であるとされている。再利用のためのビードワイヤ及びスチールワイヤを回収する作業は大変な作業であることが理解できる。
【0004】
従来の廃タイヤの処理を見てみることとする。
自動車から取り外されたタイヤからリムをはずし、そのタイヤを廃タイヤとして処理する。
廃タイヤを処理する場合には、再生タイヤとするために再生タイヤ処理、廃タイヤを切断、破砕し、場合によってはさらに粉砕し、金属を含むゴムやカーボンを燃料として用いるサーマルリサイクルが行われる(非特許文献1)。サーマルリサイクルには、50mm破砕タイヤチップ、32分割カットタイヤなどの破砕されたタイヤ用いられる(図2)。
又、ゴムやカーボンを再利用するマテリアルリサイクルは、廃タイヤを切断粉砕し、ゴムやカーボンなどのマテリアルの部分と金属の部分に分けた後、マテリアルの部分を、ゴム粉、土木資材、補強剤、舗装材、マット材として用いる。粉砕処理することにより、ゴム、カーボン、樹脂が分離され、ゴム、カーボンなどについては、必要に応じて細分化され、補強剤、舗装材、マット材などに使用することが行われている。ゴムとして用いる場合には前記のように分離回収した後さらに小さい粒径のもとすることが行われる(特許文献2、特許文献3)。
回収される鋼線屑は前記したように産業廃棄物として埋設処理されてきた。場合によって、回収された鋼線屑としてセメント強化剤として用いることも記載されている(特許文献1)。マテリアルリサイクルには、本発明で取り上げようとしている、ビードワイヤ及び/又はスチールワイヤ、並びに焼却処理されたビードワイヤ及び/又はスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物についてリサイクル利用することは、業界内において意識されていない(非特許文献1)。
【0005】
前記、従来の処理に際しては、廃タイヤをそのままの形状で再使用する再生タイヤとすることを除いて、廃タイヤはその形状のままでは処理しにくいこと、又利用に際しても不便であるから、廃タイヤを切断する。切断する場合には、タイヤを二分割しその後さらに再分割し、32分割程度の小形状のものとする(非特許文献1)。
又、分割に際し、ビードワイヤを含むタイヤの側部部分とスチールワイヤを含む中央部分に切り分け、その後に、さらに分割するなどの処置を行う(特許文献4)。又、ビードワイヤを取り出す方法(特許文献1、特許文献5、)も知られている。これらは専ら、次に行う切断分割に際し、刃こぼれを起すので、これを防止するために行われる。スチールワイヤをとりだすことなども適宜行う(特許文献6、特許文献7)。
ビードワイヤを取り出したビードワイヤは、そのまま処理することもあるが、適宜切断することも行われる。一片の長さが15〜20cm、さらに細分化して、7から12cm、3から5cmのものとされる。同じく、スチールワイヤの回収を行った場合には、粉砕細分化して、10から12cm、5から7cmなどの範囲のものを得ている。
これらは、回収された破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物を調べてみると、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質の長さの分布として、測定できる。
【0006】
廃タイヤを処理し、マテリアルリサイクルを行った後に残される「破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物」は、前記の通り、産業廃棄物として処理されてきたものである。これを製造業者が原料物質として用いることができることは考えておらず、このように製造業者が利用することを考えていないものを積極的に製造業者が原料として利用するようにすることは、困難であるとされている。
サーマルリサイクルとして行われる廃タイヤから得られる燃料には、廃タイヤに含まれるビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる金属が含まれる。燃料として使用する場合には産業廃棄物の処理の一環として行われ、又、燃料を利用する各事業所などで発生する使用済み燃料から生ずる金属及び金属酸化物も産業廃棄物としての処理が必要となる。個々に処理することは経済上の問題があり、又厳しい規制を満たすようにすることも困難であり、産業廃物を処理するために引き取りが行われ、産業廃物としての処理を行うことが一般的に行われてきた。
集められた燃焼後のビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤは、熱処理を受けているものである。金属は熱を加えられていることにより、場合によっては成分も変化し、特性ももろくなるなどして、特定の成分及び成分量、形状が不安定であり、これを特定原料として使用することは行われがたい。これを原料物質として積極的に取り入れて利用することは、これらを用いることの不安を解消することが必要となる。
【0007】
廃タイヤの処理にあたり、この処理方法の中で従来から回収、再利用することが行われてきたゴム、カーボン等は、回収して利用できものであるから、価格換算が行われ、経済効率の点及び資源・エネルギ―の有効利用の点から評価される。しかしながら、金属及び金属及び金属酸化物は産業廃棄物としての処理になり、廃棄物処理費用としての経費を要求されることとなり、この点では評価されず、金属及び金属及び金属酸化物を取り出すことは、魅力のない経済行為であるという批判が生じ、回収することは自立したシステム、持続可能なシステムとはなりがたい。
【0008】
以上のことを背景にして、従来、産業廃棄物として処理されていた廃タイヤから回収された金属を金属加工の原料の一部として回収すること、廃タイヤからの燃料の使用後に生ず属及び金属酸化物を金属加工の原料の一部として回収することは、限りある資源及びエネルギーを有効に用いる点から重要なことであり、そのための具体的な方策が必要とされ、切望されている。
【特許文献1】特開平6−121977号公報
【特許文献2】特開2002−126562号公報
【特許文献3】特開2006−6991号公報
【特許文献4】特開2003−205521号公報
【特許文献5】特許3009891号明細書
【特許文献6】特公昭60−9885号公報
【特許文献7】特開2001−29892号公報
【非特許文献1】日本タイヤリサイクル協同組合インターネット資料
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決する課題は、廃タイヤの処理の工程で発生し、産業廃棄物処理として取り扱われてきた、破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物から、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物を製綱工程の原料物質としてリサイクルするための包装体及びその製造方法及び包装体を用いる製綱方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者ら前記課題について鋭意研究して、以下の点を見出した。
(1)廃タイヤの処理は、前記したように、タイヤを細かくすることから出発し、利用する物質を使用しやすい形状で回収し、リサイクル利用するものである。途中で複製する金属であるビードワイヤやスチールワイヤは産業廃棄物として処理してきた。
(2)この過程で副生する金属であるビードワイヤやスチールワイヤが、鉄鋼製造に従来から用いられてきた鉄屑としてリサイクルされない理由は以下のことが考えられる。
(イ)従来、産業廃棄物として回収されているものは、廃タイヤのみならず他の産業廃棄物である金属成分を含んで回収されるから、多種雑多のものが含まれており、又、成分が特定され、成分組成がある範囲内において一定といった保証が無く、ユーザーである金属製造業者は使用できないこと。廃タイヤのみならず他の産業廃棄物である金属成分を含んで回収される場合には、この中から、廃タイヤのみからなる産業廃棄物を回収することは困難であること。
(ロ)廃タイヤの回収であることを特定して得られる産業廃棄物は、「破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物」であり、回収しようとする金属の他の被処理物を含んでおり、被処理物の容量は大きいものであるから、各々を取り出すことが難しいこと。
(ハ)「破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物」から利用できない物質を取り除いた結果、得られる「ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/又はスチールワイヤからなる短細線状物質」は、軽量で、容量も小さく、製鋼工場で従来から原料として利用してきた鉄屑と比較すると、重量や容量は小さく、一定化せず、原料の成分保証もないので、一定量を安定供給し、安定操業とすることは難しいこと。ビードワイヤ及びスチールワイヤなどの短細線状物質は、重量や容量は小さいために、あえてこれを鉄屑の原料として用いる場合には、使用している気体中に取り込まれてしまったり、輸送されてしまったりして安定しないなどを弊害が顕著となること。又、成分保証を行うにしてもサンプリングする部分について、偏りが無く、特別な部分でないことを説明することが困難であること。
(3)前記(2)の問題を解決するうえでは、以下のようにするとことが有効であることを本発明者らは見出した。
(イ)廃タイヤの処理の工程で発生し、産業廃棄物処理として取り扱われてきた、破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物、並びに焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物を大量に集めることは、廃タイヤの処理であることを特定すると、集めることができる。
具体的には、例えば、廃タイヤの粉砕処理により発生する粉砕物から炭素、カーボン及び樹脂を除去し、破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物として、その発生源から集荷して、大量に集めることができること。
又、焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物は、廃タイヤを限定して得られるサーマルリサイクルである燃料を、パルプ工場やセメント工場で用いた後の残ったものであり、燃料として利用した工場では自ら処理しないので、これを廃タイヤの燃料として使用した後の被処理物として回収し集めることができること。
(ロ)破砕した廃タイヤから回収された破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物には、樹脂や繊維や場合によってはカーボンなどが絡んでいたり、又焼却灰などを含むものである。
これらの樹脂や繊維やカーボン、又は焼却灰が含まれることは、場合によっては製品の純度に影響を及ぼすので最も嫌われるものである。磁気手段を用いることにより、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を得ることができること、ビードワイヤやスチールワイヤからなる短細線状物質に限れば、その成分及び成分量を特定することができること、それらをもとにサンプリングすることにより偏りがないサンプリングを行うことができること、 又は、その結果である成分及び成分量の保証をすることが可能であり、分離されたものの品質保証を行う根拠及び結果について十分に保証できること。
(ハ)ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を磁気手段により分離した後、機械的手段により、一定の力を付加しつつ、密な状態でドラム缶に充填することができ、その後、ドラム缶を圧縮封止することにより、ドラム缶は減容化され、密に充填されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質からなる包装体を得ることができること。
(ニ)前記のようにして得られた、ドラム缶に詰め込まれておりビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質からなる包装体は、製綱工程の電気炉やキューポラなどの溶解工程に鉄屑として供給することができる。鋳物製造工場、電気炉製鋼工場において、原料である鉄屑として組成が一定のものであり、安定操業が可能な重量及び容量であるから、リサイクル原料として安心して使用することができること。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、「破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物」を処理して、「ドラム缶に充填されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質からなる包装体」を得ることができる。
この包装体は、鋳物製造工場、電気炉製鋼工場において、原料である鉄屑として組成が一定のものであり、安定操業が可能な重量及び容量であり、リサイクル原料として安心して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物から、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を磁気手段により分離した後、機械的手段によりドラム缶に充填し、ドラム缶を圧縮封止し、減容化されたドラム缶中にビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質が充填された包装体である。
【0013】
本発明で処理対象とする被処理物は、破砕した廃タイヤから回収された(1)ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物、又は破砕した廃タイヤから回収された後(2)焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物である。
【0014】
(1)破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物は、(イ)ビードワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物、(ロ)スチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物、又は(ハ)ビードワイヤ及びスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物である。
破砕した廃タイヤの処理の仕方により、又は被処理物の集め方により前記の区分けにしたがったものを得ることができる。
【0015】
(イ)ビードワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物を得る方法は以下による。
ビードワイヤは強固であるので、場合によっては、ビードワイヤのみを取り出すこと行われる。ビードワイヤを含む部分からビードワイヤを取り出して、必要に応じて切断して、結束して出す(図4)。
ビードワイヤを含む部分からビードワイヤを取り出すことなく、ビードワイヤ及びスチールワイヤを含んだ状態の廃タイヤの処理については、(ハ)で後述する。
廃タイヤを、前記のビードワイヤを含む部分とスチールワイヤを含む部分に切り分ける方法は、カッターにより切り分けが行われる。廃タイヤにおいてビードワイヤを含む部分をタイヤから切り分ける装置については種々の方法が発明されている(特公昭56−5658号公報、特公昭53−34235号、特開2003−205521号公報)。廃タイヤ固定し、これに対してカッターで切って切断する操作が基本となる。
前記ビードワイヤを含む部分からビードワイヤを取り出して、ビードワイヤを切断処理する操作のビードワイヤを含む部分からビードワイヤを取り出すことについては、ビードワイヤに力を付加して引き抜く装置(特許3009891号)がある。又、ビードワイヤを高周波加熱や誘導加熱して分離除去する装置や方法も知られている(特開2003−205521号公報)。この場合には、ビードワイヤのみを回収することが可能であるとされている。この場合に金属の再利用ないしリサイクルし、再資源化することが可能である旨が述べられている(同公報0012)。この方法で回収されるビードワイヤは、回収してリサイクル利用するということから見ると、個々のワイヤは小容量、軽重量であり、これらを単純に再利用しようとすると、手間がかかり、供給操作自体が安定に行うことができない状態となる。
【0016】
(ロ)スチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物を得る方法は以下による。
前記(イ)に従いビードワイヤ部分を切断し、除去した後に、スチールワイヤを含む部分からスチールワイヤを取り出して、スチールワイヤを切断処理すると、スチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物を得ることができる(前記(i)と同様)。スチールワイヤを含む部分からスチールワイヤを取り出すことなく、これを破砕し粉砕処理し、スチールワイヤの短細線状物質を含む被処理物と、ゴムやカーボンを含む部分のものを得ることができ、これを分別すると、スチールワイヤの短細線状物質を含む被処理物を得ることができる(図5)。
また、スチールベルト廃タイヤから取り出す場合にも、半径方向に16等分したタイヤを高周波誘導加熱炉中で高周波加熱してスチールワイヤを引き抜いて取り出すことができることが知られている(特開平6−121977号公報)。この方法で取り出された場合にはスチールワイヤはコンクリートの補強用副材料として用いることいが記載されている(0014)、金属製鋼工程の原料としてリサイクルして利用することは意識されていない。
サイクル利用と言う点から見ると、前記(イ)と同様に小容量ということになりで、又ビードワイヤそのものは、軽重量であり、この段階で回収されえたビードワイヤを再利用し、再資源化することは無理である。
【0017】
(ハ)ビードワイヤ及びスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物である。
廃タイヤを分割して、破砕した廃タイヤについてビードワイヤ及びスチールワイヤを含む部分とし、これを破砕処理し、ビードワイヤ及びスチールワイヤの短細線状物質を含む被処理物と、ゴムやカーボンを含む部分のものを得ることができ、これを分別することによりビードワイヤ及びスチールワイヤの短細線状物質を含む被処理物を得ることができる(図6右側)。ゴムやカーボンを含む部分については、図6左側に示す。
回収されるビードワイヤやスチールワイヤの短細線状物質の長さについては、集められたこれらのものを、サンプリングして短細線状物質の長さの分布を測定することにより、推測することができる。
破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及びスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物には、処理内容に相違して種々のものが混在していることがわかる。特に顕著な点は、回収されたビードワイヤ及びスチールワイヤからなる短細線状物質の長さのばらつきがあること、及び被処理物中には、破砕分離したゴムやカーボンを分離した後の場合であっても、分離し切れなかったものや各種繊維などが混入していて、これをそのまま、鉄鋼原料の一部として用いることは、性状、重量及び容量及び成分組成を保証しなければならないと考えると無理であるということができる。
回収されるビードワイヤやスチールワイヤの短細線状物質の長さについては、集められたこれらのものから実際に回収されたものから長さの分布を測定することにより、把握することができる。
ビードワイヤーについては、15から20cm、10から12cm、5から8cmなどの範囲のものが含まれる。
スチールワイヤについては、10から12cm、5から8cmなどの範囲のものが含まれている。
分離し切れなかったゴムやカーボン、各種繊維については、重量で1から3%程度含まれている。
【0018】
(2)廃タイヤを焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物は以下の通りである。
本発明の処理対象である廃タイヤを焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物は、廃タイヤを破砕し、場合によってはさらに粉砕して得られる廃タイヤ片からなる燃料(サーマルリサイクルとして得られるもの)をボイラーなどの燃焼装置内で燃焼処理されて残った産業廃棄物である。タイヤ片からなる燃料はビードワイヤ及びスチールワイヤ、或いはスチールワイヤが残存した状態で用いられており、残存物には酸化状態で熱処理を受けたこれらのビードワイヤ及びスチールワイヤ、或いはスチールワイヤが含まれている。そして、焼却により付着物、焼却灰が随伴している。
前記の燃料の形態は、廃タイヤの部分であることに変わりはないが、そのタイヤ片の大きさは種種まちまちである。32分割片は、一片が15cmを超えるものもありえる。20mm片の場合には20mm程度のものとなる。
サーマルリサイクルされる燃料は前記の通り、廃タイヤを32分割して得られるもの、50mm破砕タイヤ、20mm粉砕タイヤが用いられている。
焼却処理されたビードワイヤは、10から12cm、5から8cmの範囲のものが含まれている。
焼却処理されたスチールワイヤは、10から12cm、5から8cmの範囲のものが含まれている。
焼却灰の含有量は、重量で0.1重量%程度である。
一例を示すと、図7に示すとおりである。
【0019】
本発明の包装体を製造する工程は、以下の2工程からなる。
(1)第1工程は以下の通りである。
破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物、又は廃タイヤを焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物から、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/又はスチールワイヤからなる短細線状物質を分離する工程
この工程は、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物にあっては、ゴムやカーボン、繊維などの共雑物を取除いて、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を取り出す工程である。取り出そうとする処理対象物質が、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤであり、磁気手段を用いることが有効である。磁気手段を用いるに際し、ビードワイヤーについては、ビードワイヤーについては取り出された状態では、もとの長い状態で取り出されていることがあり、この場合には長い状態のものであっても、ドラム缶にそのまま充填できる場合にはそのまま充填することができる(その長さはタイヤに埋め込まれている長さとなる)。これを、適宜、必要な長さに切断して用いることができる。通常、15から20cm、10から12cm、5から8cmなどの範囲のものが多い。これは取り扱いやすさを考慮して適宜切断したものである。この長さについては2cm位以下の細かい長さとすると電磁石処理による分離を行う場合に適当でないことがある。スチールワイヤについても、もとの長い状態で取り出されていることがあり、この場合には長い状態のものであっても、ドラム缶にそのまま充填できる場合にはそのまま充填することができるし、適宜、適宜、必要な長さに切断して用いることができる。通常、10から12cm、5から8cmなどの範囲のものが多い。これは取り扱いやすさを考慮して適宜切断したものである。この長さについては2cm位以下の細かい長さとすると電磁石処理による分離を行う場合に適当でないことがある。
処理対象物は運搬、移動などにより、振動などの刺激が与えられ、ゴムやカーボン、繊維などの共雑物は離れやすくなっており、電磁石に通電することにより、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤは吸着されて、ゴムやカーボン、繊維などの共雑物は分離される。また、この分離工程はビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質をドラム缶に充填する位置まで運搬することも兼ねている。しかしながら、ゴムやカーボン、繊維などの共雑物が、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤと絡み合っており、十分に分離できない場合がある。その場合には量が多くないことであれば、最終的に成分組成に影響を当てないので、混入していても差し支えない。
この工程は、廃タイヤを焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物にあっては、焼却灰や表面に付着している物質を取除く上で重要である。
取り出そうとする処理対象物質が、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤであり、磁気手段を用いることが有効である。磁気手段を用いるに際し、ビードワイヤーについては、10から12cm、5から8cmなどの範囲、スチールワイヤについては、10から12cm、5から8cmなどの範囲であり、電磁石を用いて分離できることが特に有効に作用する。これは廃タイヤを破砕して燃料として用いられた燃料の大きさに依存している。処理対象物は運搬、移動などにより、振動などの刺激が与えられ、焼却灰や表面に付着している物質が離れやすくなっており、電磁石に通電することにより、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤは吸着されて、焼却灰や表面に付着している物質は分離される。また、この分離工程はビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質をドラム缶に充填する位置まで運搬することも兼ねている。
この場合についても長さが細かすぎる場合には分離がうまく行われないことがある。
電磁石から離れた分離されたときに、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤについて、サンプリングして、どの程度含まれているかを計測して全体を推定して、その量を決定する。
以上の工程を図8に示す。
【0020】
(2)第2工程は以下の通りである。
前記(1)の第1工程で分離されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を、連続的化されて機械的手段によりドラム缶に充填し、ドラム缶を圧縮封止し、減容化されたドラム缶の包装体とすること。
ドラム缶は使用されたドラム缶の蓋を開口して用いる。自動化された機械的手段としては、充填する際にはユンボ(商品名:油圧シャベルを言う)操作して行うことができる。ユンボを用いると、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質に対して、一定の力を付加しつつ、密な状態でドラム缶に充填することができる。場合によっては、ベルトコンベアーにより運搬しつつ、磁気手段により短細線状物質を取り出し、ドラム缶に充填することもできる。
以上の工程を図9に示す。
一例を挙げると、破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤの短細線状物質を磁気手段により分離した後、機械的手段によりドラム缶に充填した場合については1ドラム缶あたり、110kgから120kgとなる場合がある。通常、ドラム缶の容量は1/3ほどが押し潰された状態となる(容量が2/3位になる)(図9)。場合によっては、これ以下になることもある。
又、この場合には、焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を磁気手段により分離した後、機械的手段によりドラム缶に充填した場合については1ドラム缶あたり、200kgとなる場合がある。
通常、ドラム缶の容量は1/3から1/2ほどが押し潰された状態となる(容量が2/3から1/2位になる)(図9)。
【0021】
ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/又はスチールワイヤからなる短細線状物質をドラム缶に充填し、ドラム缶を圧縮封止して得られる包装体は、以下の製鋼工程に原料物質として供給することができる(図10、図11)。
一例を挙げると、製鋼工場の操作状況によるが、工場の操業には1日あたり20から30t程度が必要となるとされる。このことは製鋼工場において用いられるためには此の程度の量を定常的に供給することが必要となる。本発明の包装体であれば、これらの供給量を満足する程度の量を供給可能となるが、包装体としなければ、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤは膨大な容積となり、供給困難なることは明らかである。
製鋼製造に際して用いることができる純度が高い組成原料である鉄くずとして用いることができる。容量及び重量が一定であり、従来の鉄スクラップを用いた場合と比較して安定操業を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】タイヤに含まれるビードワイヤ、スチールワイヤを示す図である。
【図2】廃タイヤの32分割カットタイヤ(右側)、50mm破砕タイヤチップ(左側)を示す図である。
【図3】廃タイヤの分割を示す図である。
【図4】廃タイヤから取り出されたビードワイヤからなる短細線状物質含む被処理物(本発明の処理対象物)を示す図である。
【図5】廃タイヤから取り出されたスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物(本発明の処理対象物)を示す図である。
【図6】廃タイヤから取り出されたビードワイヤ及びスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物(本発明の処理対象物)を示す図である。
【図7】廃タイヤを焼却処理された後に残ったビードワイヤ及びスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物(本発明の処理対象物)を示す図である。
【図8】本発明の包装体を製造する第一工程を示す図である。
【図9】本発明の包装体を製造する第二工程を示す図である。
【図10】製鋼工程を示す図である(溶解に電気炉を用いる)。
【図11】製鋼工程を示す図である(溶解にキューポラを用いる)。
【符号の説明】
【0023】
1:ビードワイヤ
2:スチールワイヤ
3:カーカス
4:トレッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物、又は廃タイヤを焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物から、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を磁気手段により分離した後、機械的手段によりドラム缶に充填し、ドラム缶を圧縮封止して得られることを特徴とするビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質からなる包装体。
【請求項2】
前記短細線状物質の長さが特定の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の包装体。
【請求項3】
前記磁気手段が電気磁石であることを特徴とする請求項1記載の包装体。
【請求項4】
前記機械的手段によりドラム缶に充填する操作が油圧シャベルにより行うことを特徴とする請求項1記載の包装体。
【請求項5】
請求項1から4いずれか記載の包装体からなる製鋼用鉄鋼スクラップ。
【請求項6】
破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物、又は廃タイヤを焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物から、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を磁気手段により分離した後、機械的手段によりドラム缶に充填し、ドラム缶を圧縮封止して製造することを特徴とするビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/又はスチールワイヤからなる短細線状物質からなる包装体の製造方法。
【請求項7】
請求項1から4いずれか記載のビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質からなる包装体を製鋼製造の鉄くずとして用いることを特徴とする製鋼方法。
【請求項8】
請求項1から4いずれか記載のビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質からなる包装体を、製鋼製造の電気炉に供給する鉄くず、又は製綱製造のキューポラに供給する鉄くずとして用いることを特徴とする製鋼方法。
【請求項1】
破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物、又は廃タイヤを焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物から、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を磁気手段により分離した後、機械的手段によりドラム缶に充填し、ドラム缶を圧縮封止して得られることを特徴とするビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質からなる包装体。
【請求項2】
前記短細線状物質の長さが特定の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の包装体。
【請求項3】
前記磁気手段が電気磁石であることを特徴とする請求項1記載の包装体。
【請求項4】
前記機械的手段によりドラム缶に充填する操作が油圧シャベルにより行うことを特徴とする請求項1記載の包装体。
【請求項5】
請求項1から4いずれか記載の包装体からなる製鋼用鉄鋼スクラップ。
【請求項6】
破砕した廃タイヤから回収されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質含む被処理物、又は廃タイヤを焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を含む被処理物から、ビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質を磁気手段により分離した後、機械的手段によりドラム缶に充填し、ドラム缶を圧縮封止して製造することを特徴とするビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/又はスチールワイヤからなる短細線状物質からなる包装体の製造方法。
【請求項7】
請求項1から4いずれか記載のビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質からなる包装体を製鋼製造の鉄くずとして用いることを特徴とする製鋼方法。
【請求項8】
請求項1から4いずれか記載のビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質、又は焼却処理されたビードワイヤ及び/若しくはスチールワイヤからなる短細線状物質からなる包装体を、製鋼製造の電気炉に供給する鉄くず、又は製綱製造のキューポラに供給する鉄くずとして用いることを特徴とする製鋼方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−73635(P2008−73635A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257250(P2006−257250)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(506320727)有明興業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(506320727)有明興業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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