説明

鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置、及び傾斜角度調整方法

【課題】高重量の鋼材から構成される鉄塔下部の組立て工事において、フランジ継手に楔を打ち込むことによる微調整作業を行わずに、地盤に配置された四箇所の基礎部に対して夫々傾斜した姿勢で組み付けられた主柱材間に側面パネルを組み付ける作業を効率化し、安全性を大幅に高める。
【解決手段】一端部に水平材121Bの他端部寄り部位に対して着脱自在に固定される固定部材15を有すると共に、他端部に主柱材110Bにより可動な状態で支持される被係合部材31を有した操作部材10を備え、操作部材は、軸方向に伸縮自在に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高重量の鋼材から構成される鉄塔の組立て工事において、地盤に配置された四箇所の基礎部に対して夫々傾斜した姿勢で立設された主柱材間に側面パネルを組み付ける作業における作業効率、及び安全性を大幅に高めることができる鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置、及び主柱材の傾斜角度調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図15は送電鉄塔の下部構造を示す説明図である。送電鉄塔は、四角形を描くように地盤130に埋設固定した四箇所の基礎部100に対して夫々鋼管、アングル材等から成る主柱材110の下部を固定して立設すると共に、四本の主柱材110間(四側面)を水平材121、補助材(斜材)122等から成る側面パネル120によって夫々連設一体化した構成を有している。
基礎部100は、鋼材から成る主脚材101と、主脚材の上部を残してその外面に一体化されたコンクリート部105とを有し、主脚材101の上部とコンクリート部105の上部を残して地盤130内に埋設される。
主脚材101の上部に下部を固定される最下部の主柱材110の上部に対して順次他の主柱材の下部を接続することによって鉄塔頂部まで複数本の主柱材が連設一体化される。
主脚材101の上部には下部フランジ101aが溶接により一体化され、最下部の主柱材110の下部には上部フランジ110aが一体化されており、各フランジ101a、110a間をボルトにより固定することによりフランジ継手が構成されている。
側面パネル120は、中央に位置する連結板123と、連結板123に一端を夫々固定された二本の水平材121、及び四本の斜材122からなる。側面パネル120を隣接する二本の主柱材間に固定するには、各水平材121、及び各補助材122の他端部を各主柱材に設けた締結部111に対してボルト、ナットにより固定する。
【0003】
ところで、最下部の四本の主柱材110は垂直姿勢に立設されているわけではなく、四箇所の基礎部100の中心部に向けて所要角度内側に傾斜した姿勢で、各主脚材101に固定される。主柱材間に側面パネル120を取り付けるためには、各主柱材の傾斜角度、傾斜方向が規定の状態にあることが必要であり、僅かでも規定状態からずれていると締結部111と水平材先端部に形成されたボルト穴同士を整合させることができない。
主柱材110は、2〜5トンの重量物であるため、主脚材101に対して主柱材110を組み付ける際には、クレーンにより吊り上げた状態で主脚材の下部フランジ101aのボルト穴と、主柱材の上部フランジ110aのボルト穴とが連通するように位置合わせしながら、作業員が各ボルト穴にボルトを螺着してナットにより締結する。
【0004】
しかし、主脚材と主柱材の各フランジ部同士をボルトにより締結しただけでは、各主柱材110は自重により内側へ向けて必要以上に傾斜した状態にあり、適正な傾斜角度、傾斜方向にはなっていない。この状態では主柱材間の間隔と側面パネルの寸法とが整合しないため、隣接し合う主柱材間を側面パネル120により連結することができない。このため、主柱材間に側面パネルを組み付ける従来の作業では、まず主柱材をクレーンによって持ち上げて高さを維持しながら、作業員がフランジ同士をボルト、ナットにより緩く締結する仮留めを行う。次いで、例えば左側の主柱材に設けた各締結部111に対して、クレーンにより保持した側面パネル120を構成する左側の水平材121、及び斜材122の各左端部をボルト固定する。
しかし、この状態では図15に示すように側面パネル120を構成する右側の水平材、及び斜材の各右端部と、右側の主柱材の各締結部111とは位置がずれているため、ボルトにより締結することができない。
【0005】
そこで従来は、人手による作業によって右側の主柱材を外側へ引張って起こしながら、フランジ101a、110a間の隙間に楔125を打ち込むことにより、右側の主柱材を外側へ向けて引き起こしてその傾斜角度、方向が規定の状態となるように微調整しながら、主柱材側の締結部に形成したボルト穴と水平材121のボルト穴とを連通、整合させた上でボルトをボルト穴に挿通し、ナットにより締結する作業を行っていた。
主柱材を外側へ引き起こすために、従来は現場近傍に十分な強度を有した立木140を確保し、主柱材と立木とを支線(ワイヤー)145により繋いで支線を引っ張っていた。支線の引張り量と楔の入れ込み量を相互に調整しながら主柱材を引き起こす作業を行っていた。
主柱材に支線を取り付けるためには、その周囲に十分な強度を有した立木を確保する必要があるが、そのような立木を確保できない場合には作業ができなくなることがあった。また、現場周辺に十分な広さの作業用地を確保できる場合には、立木に代えてバンカー基礎を地盤内に構築して支線を用いた引き起こし作業を行うことができる。しかし、そのような作業用地を常に確保できるとは限らない。
【0006】
また、主柱材が長尺な場合には、立木やアンカー基礎との間に支線を張設するために、更に広い作業用地が必要となるが、このような作業用地も常に確保できるとは限らない。
また、楔を打ち込む際に、楔を打ち込む作業員の他に、支線の引張り具合を調整する作業員が必要となるため、作業員数が増大するという問題がある。また、楔を打ち込む作業員と、支線の引張り具合を調整する作業員と、主柱材上の作業員が相互に連絡を取り合いながら微調整作業を実施する必要があり、多大な労力、時間を要する効率の悪い、且つ危険な作業となっていた。
また、側面パネルを各主柱材間に固定した後では楔には大きな重量がかかっているため、フランジ間から楔を抜き取る作業が極めて困難となり、無理に引き抜くことによってフランジを損傷させることがあった。フランジが損傷すると傷の部分が腐食して耐久性を低下させる原因となる。
【0007】
特許文献1(特開2003−166254公報)には、鉄塔用基礎構造、及びその構築工法が開示されているが、自重により傾斜した主柱材を引き起こしながら側面パネルの水平材を主柱材間に固定する工法については言及されていない。
特許文献2(特開平10―299255号公報)には、二本の平行な柱の両端部間に横材を差し渡した四角い枠体の傾きを矯正する治具が開示されているが、自重により傾斜した主柱材を引き起こしながら側面パネルの水平材を主柱材間に固定する工法については言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−166254公報
【特許文献2】特開平10―299255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のように、従来、地盤に固定された四箇所の基礎部に対してフランジ継手を介して主柱材を所定の傾斜角度で立設し、主柱材間に側面パネルを固定する作業においては、フランジ間に楔を打ち込む微調整作業が必要とされるため、強度を有した立木や作業用地の確保や、多くの人員による長時間を要する効率の悪い、危険な作業が必要とされていた。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、高重量の鋼材から構成される鉄塔下部の組立て工事において、フランジ継手に楔を打ち込むことによる微調整作業を行わずに、地盤に配置された四箇所の基礎部に対して夫々傾斜した姿勢で組み付けられた主柱材間に側面パネルを組み付ける作業を効率化し、安全性を大幅に高めることができる鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置、及び主柱材の傾斜角度調整方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に係る鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置は、地盤に固定された複数の基礎部と、前記各基礎部に対して下部を固定されることにより所要角度傾斜した状態で夫々立設される主柱材と、隣接する二本の前記主柱材に夫々設けた締結部間を夫々連結する水平材を有した側面パネルと、を備えた鉄塔の下部構造体の組み立て工程において、前記各基礎部に対して前記主柱材下部を可動状態に仮留めした状態で前記主柱材の傾斜角度を変化させながら、一端部を一方の主柱材の締結部に対して可動状態に仮留めされた一方の水平材と一体化された他の水平材の先端部を他方の主柱材の締結部に位置決め固定する際に用いる鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置であって、一端部に前記他方の水平材に対して着脱自在に固定される固定部材を有すると共に、他端部に前記他方の主柱材により可動な状態で支持される被係合部材を有した操作部材を備え、前記操作部材は、軸方向に伸縮自在に構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置は、地盤に固定されるコンクリート部、及び上部を地盤から突出させた状態で他の部位を該コンクリート部により固定される主脚材を有した複数の基礎部と、前記各基礎部を構成する各主脚材に対して夫々固定された下部フランジと、下部に上部フランジを固定され且つ垂直方向に対して所要角度傾斜した状態で該各下部フランジに上部フランジを夫々ボルト固定されることにより傾斜して起立する主柱材と、隣接する二本の前記主柱材に夫々設けた締結部間を夫々連結する水平材を有した側面パネルと、を備えた鉄塔の下部構造体の組立て工程において、前記ボルトを緩く締結することにより前記下部フランジに対して前記上部フランジを可動状態に仮留めした状態で前記主柱材の傾斜角度を変化させながら、一端部を一方の主柱材の締結部に対して可動状態に仮留めされた一方の水平材と一体化された他の水平材の先端部を他方の主柱材の締結部に位置決め固定する際に用いる鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置であって、一端部に前記他方の水平材に対して着脱自在に固定される固定部材を有すると共に、他端部に前記他方の主柱材により可動な状態で支持される被係合部材を有した操作部材を備え、前記操作部材は、軸方向に伸縮自在に構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、前記操作部材の一端部には、前記固定部材を上下方向へ回動させるための駆動装置が配置され、該駆動装置と該固定部材との間には前記固定部材を横方向に回動させるための他の駆動装置が配置されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、前記操作部材は、大径のシリンダの端部開口内にシリンダロッドを軸方向へ進退自在に支持した構成を備えており、油圧ポンプから前記シリンダ内に供給される油圧によって前記シリンダロッドを出没させる構成を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明に係る主柱材の傾斜角度調整方法は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置を用いた主柱材の傾斜角度調整方法であって、地盤の四箇所に前記基礎部を固定する工程と、前記各基礎部に対して前記主柱材の下部を夫々仮留めする工程と、一つの連結板に対して2本の水平材の内側端部を夫々強固に固定する工程を含む前記側面パネルの組立て工程と、前記他方の水平材の先端部寄りの適所に前記傾斜角度調整装置を構成する固定部材を固定する工程と、前記側面パネルを吊り上げながら、前記一方の水平材の先端部を対応する主柱材に設けた締結部に対して仮留めする工程と、 前記傾斜角度調整装置の係合部材を対応する前記他方の主柱材の外面に仮留めすると共に前記固定部材を前記他方の水平材に固定する工程と、前記操作部材を伸長させることにより前記他方の主柱材を押圧して起こしながら、該他方の主柱材に設けた締結部と他方の前記水平材の先端部とを位置合わせして仮留めする工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置、及び主柱材の傾斜角度調整方法によれば、高重量の鋼材から構成される鉄塔下部の組立て工事において、フランジ継手に楔を打ち込むことによる微調整作業を行わずに、地盤に配置された四箇所の基礎部に対して夫々傾斜した姿勢で組み付けられた主柱材間に側面パネルを組み付ける作業を効率化し、安全性を大幅に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置の構成、及び組み付け手順を説明するための正面図、及び平面図である。
【図2】傾斜角度調整装置を更に具体化した構成例を示す正面図である。
【図3】(a)及び(b)は固定部材の構成例を示した図である。
【図4】(a)及び(b)は横軸部を中心として固定部材を上下方向へ回動させるための駆動装置の構成例を示す図である。
【図5】(a)及び(b)は縦軸部を中心として固定部材を横方向へ回動させるための駆動装置の構成例を示す図である。
【図6】操作部材の油圧式伸縮機構の構成例を示す説明図である。
【図7】(a)及び(b)は操作部材の機械式伸縮機構の構成例を示す正面図、及び断面図である。
【図8】(1)の(a)及び(b)は地盤に基礎部を構築した状態を示す正面断面図、及び平面図であり、(2)の(a)及び(b)は手前側の一方の基礎部に対して主柱材を接続固定する手順を示した正面図、及び平面図であり、(3)の(a)及び(b)は手前側の他方の基礎部に対して主柱材を接続固定する手順を示した正面図、及び平面図である。
【図9】(4)の(a)及び(b)は主柱材の組み付け手順を示す正面図、及び平面図であり、(5)の(a)及び(b)は主柱材の組み付け手順を示す正面図、及び平面図であり、(5)の(c)は側面パネルの組み付け手順を示す説明図であり、(6)の(a)及び(b)は主柱材間に側面パネルを取り付ける手順を示す正面図、及び平面図である。
【図10】(7)の(a)及び(b)、(8)の(a)及び(b)、(9)の(a)及び(b)は何れも主柱材間に側面パネルを取り付ける手順を示す正面図、及び平面図である。
【図11】(10)の(a)及び(b)、(11)の(a)及び(b)、(12)の(a)及び(b)は何れも主柱材間に側面パネルを取り付ける手順を示す正面図、及び平面図である。
【図12】(13)の(a)及び(b)、(14)の(a)及び(b)、(15)の(a)及び(b)は何れも主柱材間に側面パネルを取り付ける手順を示す正面図、及び平面図である。
【図13】(16)の(a)及び(b)、(17)の(a)及び(b)は何れも主柱材間に側面パネルを取り付ける手順を示す正面図、及び平面図である。
【図14】(a)及び(b)は、U字継手を示す正面図、及び平面図である。
【図15】送電鉄塔の下部構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置の構成、及び組み付け手順を説明するための正面図、及び平面図である。なお、図15を併せて参照し、同一部材には同一符号を付して説明する。従って、基礎部、主柱材、側面パネルの各構成、組み付け状態等についての説明は繰り返さない。
【0017】
本発明の一実施形態に係る鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置(以下、傾斜角度調整装置、という)1は、図15に示した地盤130に埋設されるコンクリート部105、及び上部を地盤から突出させた状態で他の部位を該コンクリート部により固定される主脚材101を有した複数の基礎部100と、各基礎部を構成する各主脚材101の上部に対して夫々固定された下部フランジ101aと、下部に上部フランジ110aを固定され且つ垂直方向に対して所要角度傾斜した状態で各下部フランジ101aに上部フランジ110aを夫々ボルト固定されることにより傾斜して起立する主柱材110と、隣接する主柱材110A、110Bに夫々設けた締結部111間を夫々連結する水平材121A、121Bを有した側面パネル120と、を備えた鉄塔の下部構造体の組立て工程において、ボルトを緩く締結することにより下部フランジ101aに対して上部フランジ110aを可動に仮留めした状態で左側の主柱材110Bの傾斜角度を変化させながら、一端部を一方の主柱材110Aの締結部に対して可動に仮留めされた水平材121Aと一体の他の水平材121Bの先端部を他方の主柱材110Bの締結部111に位置決め固定する際に用いられる。
【0018】
主柱材110A、110B間に側面パネル120を差し渡し固定する作業は、連結板123に対して左右の水平材121A、121Bの内側端部を夫々強固にボルト固定した状態で行われ、右側の水平材121Aの右側端部(先端部)を図1中には図示しない右側の主柱材110Aの締結部111に対してボルト、ナットにより緩く(可動な状態で)仮留めする。各斜材122は内側端部を連結板123に対してボルト、ナットにより緩く仮留めしておく。側面パネルの取付け作業は、クレーンによって側面パネルを吊り上げた状態で行われる。
この状態で、傾斜角度調整装置1を用いて左側の主柱材110Bの傾斜角度を調整しながら、左側の水平材121Bの外側端部(先端部)を主柱材110Bの締結部111に位置合わせしながらボルト、ナットで固定する作業を実施する。
【0019】
傾斜角度調整装置1は、一端部10aに水平材121Bの先端部寄り部位に対して着脱自在に固定される固定部材15を有すると共に、他端部10bに他方の主柱材110Bの水平材締結部よりも下方により可動な状態で支持される可動被支持部材30を有した操作部材10と、を備え、操作部材10は軸方向に伸縮自在に構成されている。
操作部材10の一端部10aと固定部材15とは、ジョイント部20を介して連結され、操作部材の一端部に対して固定部材15は、横軸部21を中心として矢印(イ)で示した上下方向へ回動可能に構成されている。また、縦軸部22を設けて横方向(ロ)へ回動するように構成する。
また、水平材121Bに固定された固定部材15を横方向(ロ)へ回動させる操作は人力で行っても良いし、後述するように油圧装置等の駆動源の力を利用してもよい。
【0020】
可動被支持部材30は、操作部材の他端部10bに固定されて主柱材110Bの外周に対して内周面を可動な状態で当接させる半円筒状(半環状)の係合部材31と、係合部材31の両端部に設けた係止フック33を利用して係合部材31と主柱材110Bの外周面に取り付けられる金属製の縛束ベルト34と、を有する。係合部材31は、金属製の基部31aと、基部31aの内周面に設けられた滑り留め、兼、緩衝用のウレタン内壁31bと、を有している。
係合部材31、或いは操作部材10は、主柱材(鋼管)の径の違いに応じて最適な寸法、強度を有したものと交換可能とする。
係止フック33に両端部を係止した縛束ベルト34によって主柱材110Bを締め付けることにより係合部材31を主柱材に対して矢印(ハ)で示す横方向に可動な状態で仮留めすることができる。
【0021】
操作部材10は、大径のシリンダ(固定側軸部材)12の端部開口内にシリンダロッド(可動側軸部材)13を軸方向へ進退自在に支持した構成を備えており、後述する油圧ポンプからの油圧によってシリンダロッド13を突出させたり没入させる。油圧ポンプからの油圧を微調整することによりシリンダロッドの出没長を微調整することができる。シリンダロッドの伸縮動作に対応して固定部材15は横軸部21を中心とした回動によって上下動するため、保持した水平材121Bの左端部(ボルト穴)の上下方向位置を微調整して、主柱材110B側の締結部111のボルト穴に対して正確に連通整合させることができる。
主柱材、及び水平材が重量物であるために、操作部材の伸縮動作だけでは、水平材に固定された固定部材15を上下方向、及び横方向へ回動させるための出力が不足する場合には、後述するように固定部材を上下方向へ駆動するための駆動装置40と、横方向へ回動させるための駆動装置50を付加すればよい。
【0022】
次に、図2は傾斜角度調整装置1を更に具体化した構成例を示す正面図である。
この構成例では、固定部材15を横軸部21を中心として上下方向へ回動させるための駆動装置(油圧モーター)40と、固定部材15を縦軸部22を中心として横方向へ回動させるための駆動装置(油圧モーター)50と、操作部材10を伸縮させるための駆動装置(油圧シリンダ)60を備えた傾斜角度調整装置1を示している。本例では、主柱材110B上に配置した一つの手動油圧ポンプ70から三本の油圧パイプ71を介して各駆動装置40、50、60に切替え供給される油圧によって固定部材15の上下方向回動、及び横方向回動と、操作部材(油圧シリンダ)10の伸縮動作を実現している。油圧ポンプ等の構成は周知であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
各駆動装置40、50、60は、図示のように主柱材110B上に位置する作業員によって操作される手動油圧ポンプ70によって駆動される構成としてもよいし、地上に設置した油圧モーターからパイプによって油圧を供給することにより駆動される構成としてもよい。
【0023】
図3(a)及び(b)は固定部材15の構成例を示した図であり、円筒体を二つ割りにした構造の半円筒片15a、15bをヒンジ15cによって開閉自在に軸支し、水平材121Bを両半円筒片15a、15b間に挟んで、夫々に設けたボルト穴にボルトを挿入してナットにより締結固定することにより水平材に固定される。一方の半円筒片15bの外面には縦軸部22、或いは駆動装置が取り付けられる。
【0024】
図4(a)及び(b)は横軸部21を中心として固定部材15を上下方向へ回動させるための駆動装置40の構成例を示す図であり、操作部材10の一端部10aに取り付けた油圧モーター41によって横軸部21を中心として固定部材15を上下動させる。油圧モーター41に対して供給される手動油圧ポンプ70からの油圧を調整することにより、固定部材の回動角度を微調整することができる。
【0025】
次に、図5(a)及び(b)は縦軸部22を中心として固定部材15を横方向へ回動させるための駆動装置50の構成例を示す図であり、駆動装置40の上部に取り付けた油圧モーター51によって縦軸部22を中心として固定部材15を横方向へ回動させる。油圧モーター51に対して供給される手動油圧ポンプ70からの油圧を調整することにより、固定部材の回動角度を微調整することができる。
【0026】
次に、図6は、操作部材10の油圧式伸縮機構の構成例を示す説明図である。操作部材10は手動油圧ポンプ70から供給される油圧によって作動する油圧シリンダとしての駆動装置60によって軸方向へ伸縮するように構成されている。具体的には、油圧シリンダ60は、駆動装置40に一端を固定されたシリンダ61と、シリンダ61内にスライド自在に挿通され先端部に係合部材31を有したピストンロッド62と、を有し、手動油圧ポンプから供給される油圧の変化に応じて出没し、突出長さを微調整できる。
【0027】
次に、図7(a)及び(b)は操作部材10の機械式伸縮機構の構成例を示す正面図、及び断面図であり、操作部材10を伸縮させる駆動装置60は、駆動装置40に一端を固定された管体状の外筒65と、外筒65内にスライド自在に挿通され先端部に可動被支持部材30を有したロッド66と、ナット67と、を有する。外筒65の外周面には雄螺子部65aが形成されると共に、軸方向に沿い、且つ180度の周方向間隔をおいて2本のスリット65bが並行に形成されている。ロッド66の外周面には各スリット65b内にスライド自在に遊嵌する突起66aが突設されている。ナット67は外筒外周の雄螺子部65aと螺合すると共に突起66aを介してロッド66と係合しており、手動、或いはモータによって作動する工具によってナット67を正逆回転させることにより、突起66aを介してロッド66を軸方向へ進退させることができる。ナット67は雄螺子部65に従って回転すると共に、ナット67に対して摺動的に係合しているため、ナットが回転しながら軸方向へ移動する過程で、突起及びロッドと共に軸方向へ進退できる。
【0028】
本発明に係る傾斜角度調整装置1を用いて主柱材の傾斜角度を調整しながら水平材を組み付ける方法は、概ね次の如き工程から成る。
即ち、主柱材の傾斜角度調整方法は、地盤の四箇所に基礎部100を固定する工程と、各基礎部に対して主柱材110の下部を夫々仮留めする工程と、一つの連結板123に対して2本の水平材121A、121Bの内側端部を夫々強固に固定する工程を含む側面パネルの組立て工程と、他方の水平材121Bの先端部寄りの適所に傾斜角度調整装置1を構成する固定部材15を固定する工程と、記側面パネル123を吊り上げながら一方の水平材121Aの先端部を対応する主柱材110Aに設けた締結部111に対して仮留めすると共に固定部材15を他方の水平材に固定する工程と、傾斜角度調整装置1の係合部材31を対応する他方の主柱材110Aの外面に仮留めする工程と、操作部材10を伸長させることにより他方の主柱材110Bを押圧して起こしながら、該他方の主柱材に設けた締結部と他方の水平材121Bの先端部とを位置合わせして仮留めする工程と、を含む。
隣接する主柱材110A、110B間に水平材を先行して組み付け(仮留め)完了しない限り、対角線方向に延びる斜材122を主柱材間に組み付けることができない。しかも、主柱材は自重により内側に向けて傾倒しているため、主柱材を起こしながら水平材を組み付ける必要がある。
【0029】
本発明では、フランジ継手に楔を打ち込むという煩雑な作業を伴わずに、傾斜角度調整装置1を用いることにより、個々の主柱材を動力を用いて起こしながら水平材の端部を主柱材の締結部に対して位置決めし、その後ボルトにより仮留めすることができるので、人力による作業量を減少して全体の作業性を向上できる。また、傾斜角度調整後に楔を引き抜くことによるフランジ部の損傷発生という問題も解決できる。
【0030】
次に、図8乃至図13に基づいて本発明の傾斜角度調整装置を用いて実施する鉄塔下部構造体の組立手順を説明する。
図8(1)の(a)及び(b)は地盤に基礎部を構築した状態を示す断面図、及び平面図であり、同図(2)(3)は手前側の二箇所の基礎部に対して夫々主柱材を接続固定する手順を示している。
図8(1)の段階では、地盤130内に四箇所の基礎部100が埋設固定されており、コンクリート部105からは主脚材101の上部が突出している。図8(2)では一方の基礎部の主脚材101Bの下部フランジ101aに対して、クレーン80によって吊り上げた一方の主柱材110Bの上部フランジ110aを位置合わせしながら作業員がボルト、ナットによって仮留めする。仮留めでは、主柱材110Bは主脚材101Bに対して可動な状態となるよう緩くボルトを締結する。
次いで、図8(3)では他方の主脚材101Aの下部フランジ101aに対して、クレーン80によって吊り上げた他方の主柱材110Aの上部フランジ110aを位置合わせしながら作業員がボルト、ナットによって緩く仮留めする。
なお、主柱材110A、110Bの組み付け順序は、どちらが先行しても差し支えない。
【0031】
図9(4)では残りの2箇所の基礎部100に対して同様に主柱材110C、110Dを仮留めする。この段階では、全ての主柱材110A〜110Dは、自重によって四箇所の基礎部の中心部に向けて傾斜しており、隣接する2本の主柱材の間隔は側面パネル120を取り付けるには狭すぎる状態にある。
図9(5)は側面パネルの組立て準備工程を示しており、同図(5)(c)に示すように現場の地盤上において一つの面に取り付ける側面パネル120を組み立てる。この段階では、連結板123に対して左右の水平材121A、121Bの内側端部を夫々強固にボルト固定する。従って、左右の水平材121A、121Bは、連結板123を介して、直線状、且つリジッドに一体化された状態にある。各斜材122は内側端部を連結板123に対してボルト、ナットにより緩く仮留めしておく。
なお、この段階で左側の水平材121Bの先端部寄りの適所に傾斜角度調整装置1を構成する固定部材15を固定しておく。
図9(6)以降の工程では、クレーン80によって側面パネル120を吊り上げながら、各水平材121、各斜材122の端部を、各主柱材の締結部111に対して位置合わせしながらボルト、ナットにより締結する作業を実施してゆく。これらの作業においては、内側に傾斜した状態にある各主柱材110を正規の姿勢(傾斜角度、傾斜方向)に引き起こしながらの締結作業が行われる。
【0032】
図10(7)では、クレーン80により吊り上げた側面パネル120の右側の水平材121Aの先端部と、二本の右側の斜材122Aのうちの上方の斜材の先端部を、夫々水平材121Aに設けた対応する締結部111に対してボルト、ナットにより緩く仮留めする。
図10(8)乃至図11(12)では、傾斜角度調整装置1を用いて左側の主柱材110Bを外側へ引き起こしながら他方の水平材121Bの先端部を主柱材110Bに設けた対応する締結部111に対して締結する作業を順次実施する。
まず、図10(8)では、固定部材15を水平材121Bに固定された傾斜角度調整装置1の係合部材31の内側面を主柱材110Bの外面適所に当接させてから縛束ベルト34を用いて可動状態で仮留めする。この状態では、水平材121Bは係合部材31と主柱材の外面との接触面を中心として上下、左右方向へ動くことができる。
【0033】
作業員は、この段階における水平材121Bの先端部と、対応する主柱材110Bの締結部111との位置関係のズレを確認しながら、手動油圧ポンプ70を操作して操作部材10を伸縮させたり、駆動装置40により固定部材15(水平材)を上下動させたり、或いは駆動装置50により固定部材15(水平材)を横方向へ回動させることにより、主柱材110Bの傾斜角度、傾斜方向を適正な状態に修正する。
規定角度よりも内側に傾倒した状態にある主柱材110Bを規定の姿勢に引き起こすには、操作部材10を伸長させればよい(図10(9))。水平材121Bと一体化された水平材121Aの先端部が他方の主柱材110Aにより支持されているため、操作部材10を伸長させることにより、フランジ継手を中心として水平材121Bを起立方向へ移動させることができる。また、水平材121Bの先端部を上下方向へ移動させたい場合には駆動装置40を作動させればよく、同様に横方向へ移動させたい場合には駆動装置50を作動させればよい。何れも油圧、その他の駆動源を用いた作業となるため、作業員に労苦と危険をもたらすことがなくなる。
なお、各鋼材の重量、サイズにもよるが、水平材121Bを作業員の人力によって横方向へ回動させることができる場合には駆動装置50は不要となる。
水平材121Bの先端部と対応する主柱材110Bの締結部111とを位置合わせし、ボルト穴同士が整合した時点でボルトを両ボルト穴に差込み、ナットを締結する。
【0034】
本例では、水平材121Bの先端部が主柱材110Bの外側に位置しているため、図10(9)において操作部材10を大きく伸長させて主柱材110Bを引き起こす。この際の引き起こし量は、水平材121Bを水平方向へ回動させた時にその先端部が主柱材を通過して内側方向へ移動できる程度とする。そして、図11(10)において水平材121Bの先端部を水平方向内側へ回動させて、主柱材110Bの締結部111と締結し易い位置に停止させる。
この段階では、主柱材110Bは正規の傾斜位置よりも外側に起き上がっているため、図11(11)において操作部材10を所要量短縮させることにより主柱材110Bを寝かせて正規の傾斜角度(水平材121Bの先端部と整合可能な角度)に位置決めする。
このような位置決め作業の結果として、締結部111のボルト穴と水平材121B先端のボルト穴とが連通した時点で、ボルトを挿通し、ナットを緩く締結して両部材を仮留めする(図11(12))。
【0035】
図12(13)では、未締結状態にある残りの3本の斜材122の先端部を夫々対応する各締結部111とボルト、ナットにより緩く締結(仮留め)する。
図12(14)、(15)、図13(16)では、残りの3面について上記と同様の手順によって側面パネル120を主柱材間に取り付ける作業を実施し、図13(17)において、各水平材、及び斜材と、各主柱材の締結部111との間をボルト、ナットにより本締めする。これにより、鉄塔の下部構造体の組付けが完了する。
下部構造体の構築が終了した後で、順次その直上に連設される主柱材等々を順次組み付けてゆく。
本発明によれば、従来例の主柱材引き起こし作業のようにフランジ継手に楔を打ち込むと共に、主柱から延びる支線を近隣の立木に取り付け、支線を巻取りながら楔の打ち込み量を調整するという煩雑な作業が一切不要となり、広い作業スペースが不要となるため、立地条件の制約がなくなる。
【0036】
本発明では、傾斜角度調整装置1を操作する作業員が主柱材側の締結部111と水平材の端部との位置合わせ(ボルト穴同士の連通、整合状態の確認)、ボルト挿入、締結作業を行うことができるため、作業員数を減らして省力化することができる。
操作部材10の伸縮範囲(可動範囲)、各駆動装置40、50による回動範囲は、狭い範囲で済むため、装置構成を小型化、軽量化することができる。
なお、主柱材に設ける締結部111と水平材先端部(斜材先端部)との継手構造には、種々のタイプを想定できるが、図14には継手の一例を示している。
【0037】
図14(a)及び(b)は、U字継手を示す正面図、及び平面図であり、主柱材側の締結部111はボルト穴111aを有した一枚の平板であり、水平材側の締結部124はボルト穴124aを有したU字状の板材である。U字状の締結部124の凹所内部に締結部111を差込み、ボルト穴111aと124aとを連通させた状態でボルト、ナットにより締結することにより両部材は締結される。ボルト、ナットによる締結力を緩めることにより、主柱材に対して水平材を可動な状態で仮留めすることができる。
また、特に図示しないが公知の継手であるI字継手、十字継手等々の他の継手も、本発明の締結部に適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…傾斜角度調整装置、10…操作部材、10a…一端部、10b…他端部、13…シリンダロッド、15…固定部材、15a…半円筒片、15b…半円筒片、15c…ヒンジ、20…ジョイント部、21…横軸部、22…縦軸部、30…可動被支持部材、31…係合部材、31a…基部、31b…ウレタン内壁、33…係止フック、34…縛束ベルト、40…駆動装置、41…油圧モーター、50…駆動装置、51…油圧モーター、60…駆動装置、61…シリンダ、62…ピストンロッド、65…外筒、65a…雄螺子部、65b…スリット、66…ロッド、66a…突起、67…ナット、70…手動油圧ポンプ、71…油圧パイプ、80…クレーン、100…基礎部、101…主脚材、101A…主脚材、101B…主脚材、101a…下部フランジ、105…コンクリート部、110…主柱材、110A…主柱材、110B…主柱材、110C、110D…主柱材、110a…上部フランジ、111…締結部、111a…ボルト穴、120…側面パネル、121…水平材、121A…水平材、121B…水平材、122…斜材、122A…斜材、123…記側面パネル、123…連結板、124…締結部、124a…ボルト穴、125…楔、130…地盤、140…立木

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に固定された複数の基礎部と、前記各基礎部に対して下部を固定されることにより所要角度傾斜した状態で夫々立設される主柱材と、隣接する二本の前記主柱材に夫々設けた締結部間を夫々連結する水平材を有した側面パネルと、を備えた鉄塔の下部構造体の組み立て工程において、前記各基礎部に対して前記主柱材下部を可動状態に仮留めした状態で前記主柱材の傾斜角度を変化させながら、一端部を一方の主柱材の締結部に対して可動状態に仮留めされた一方の水平材と一体化された他の水平材の先端部を他方の主柱材の締結部に位置決め固定する際に用いる鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置であって、
一端部に前記他方の水平材に対して着脱自在に固定される固定部材を有すると共に、他端部に前記他方の主柱材により可動な状態で支持される被係合部材を有した操作部材を備え、
前記操作部材は、軸方向に伸縮自在に構成されていることを特徴とする鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置。
【請求項2】
地盤に固定されるコンクリート部、及び上部を地盤から突出させた状態で他の部位を該コンクリート部により固定される主脚材を有した複数の基礎部と、前記各基礎部を構成する各主脚材に対して夫々固定された下部フランジと、下部に上部フランジを固定され且つ垂直方向に対して所要角度傾斜した状態で該各下部フランジに上部フランジを夫々ボルト固定されることにより傾斜して起立する主柱材と、隣接する二本の前記主柱材に夫々設けた締結部間を夫々連結する水平材を有した側面パネルと、を備えた鉄塔の下部構造体の組立て工程において、前記ボルトを緩く締結することにより前記下部フランジに対して前記上部フランジを可動状態に仮留めした状態で前記主柱材の傾斜角度を変化させながら、一端部を一方の主柱材の締結部に対して可動状態に仮留めされた一方の水平材と一体化された他の水平材の先端部を他方の主柱材の締結部に位置決め固定する際に用いる鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置であって、
一端部に前記他方の水平材に対して着脱自在に固定される固定部材を有すると共に、他端部に前記他方の主柱材により可動な状態で支持される被係合部材を有した操作部材を備え、
前記操作部材は、軸方向に伸縮自在に構成されていることを特徴とする鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置。
【請求項3】
前記操作部材の一端部には、前記固定部材を上下方向へ回動させるための駆動装置が配置され、該駆動装置と該固定部材との間には前記固定部材を横方向に回動させるための他の駆動装置が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置。
【請求項4】
前記操作部材は、大径のシリンダの端部開口内にシリンダロッドを軸方向へ進退自在に支持した構成を備えており、油圧ポンプから前記シリンダ内に供給される油圧によって前記シリンダロッドを出没させる構成を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の鉄塔主柱材の傾斜角度調整装置を用いた主柱材の傾斜角度調整方法であって、
地盤の四箇所に前記基礎部を固定する工程と、
前記各基礎部に対して前記主柱材の下部を夫々仮留めする工程と、
一つの連結板に対して2本の水平材の内側端部を夫々強固に固定する工程を含む前記側面パネルの組立て工程と、
前記他方の水平材の先端部寄りの適所に前記傾斜角度調整装置を構成する固定部材を固定する工程と、
前記側面パネルを吊り上げながら、前記一方の水平材の先端部を対応する主柱材に設けた締結部に対して仮留めする工程と、
前記傾斜角度調整装置の係合部材を対応する前記他方の主柱材の外面に仮留めすると共に前記固定部材を前記他方の水平材に固定する工程と、
前記操作部材を伸長させることにより前記他方の主柱材を押圧して起こしながら、該他方の主柱材に設けた締結部と他方の前記水平材の先端部とを位置合わせして仮留めする工程と、
を備えたことを特徴とする主柱材の傾斜角度調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−108302(P2013−108302A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254991(P2011−254991)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】