鉄塔塔脚の電位上昇抑制方法及び抑制装置
【課題】鉄塔塔脚のアンカー部や基礎部の周囲にループ導体または平板導体を接続するという簡単な構造により、塔脚の電位上昇を確実に抑制可能とした低コストの電位上昇抑制方法及び抑制装置を提供する。
【解決手段】地中に埋設される基礎部20と、この基礎部20にを固定されたアンカー部11とを備えた構造において、アンカー部11の表面または基礎部20の表面にループ導体30または平板導体を接続し、鉄塔塔脚からアンカー部11または基礎部20を介して大地に流れる雷電流を打ち消す方向の誘導電流をループ導体30または平板導体に通流させ、鉄塔塔脚10の急峻な電位上昇を抑制する。
【解決手段】地中に埋設される基礎部20と、この基礎部20にを固定されたアンカー部11とを備えた構造において、アンカー部11の表面または基礎部20の表面にループ導体30または平板導体を接続し、鉄塔塔脚からアンカー部11または基礎部20を介して大地に流れる雷電流を打ち消す方向の誘導電流をループ導体30または平板導体に通流させ、鉄塔塔脚10の急峻な電位上昇を抑制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電システム等の鉄塔塔脚(以下、単に塔脚ともいう)の電位上昇を抑制するための抑制方法及び抑制装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
風力発電システムにおいて、風力発電装置が接地された鉄塔への雷撃により、波頭部分が急峻に増加する雷電流が塔脚から大地に流れると、接地点の有するインダクタンス成分によって雷電流の波頭部分による電位上昇値が波尾部分より著しく大きくなることがある。
ここで、図13(a)は風力発電システムの塔脚から大地に流れる雷電流の一例を示す波形図、図13(b)は上記雷電流による接地点の電位を示す波形図であり、塔脚を固定するアンカー部や地中の基礎部が有するインダクタンス成分に起因して、雷電流の波頭部分に対応する急峻な電位上昇が生じていることがわかる。
【0003】
上記の電位上昇により、風力発電システムの塔脚内またはその近傍に設置された電力・通信・制御設備と外部から引き込まれた導体との間に過電圧が印加され、その結果、これらの設備に大きな被害が発生することが非特許文献1,2等に記載されている。
【0004】
一方、特許文献1には、風力発電システムにおける雷撃時の大地電位上昇を抑制するために、鉄塔の基礎部に設けられた配筋を接地すると共に、前記基礎部の等価半径以上で十分に離れた位置に接地極を複数埋設することにより、合成接地抵抗を低減することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−225660号公報(段落[0027]〜[0031],[0076]〜[0082]、図9,図10等)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】山本和男他,「縮小モデルを用いた風力発電システムの雷過電圧に関する実験的検討」(電気学会論文誌B,vol.126,No.1,pp.65−72,2006年1月)
【非特許文献2】山本和男他,「風力発電システムの雷過電圧に関する実験的検討−実際の土壌における縮小モデル実験」(電気学会論文誌B,vol.126,No.12,pp.1230−1238,2006年12月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された従来技術では、配筋と複数の接地極との接続作業や接地極の埋設作業に多くの手間とコストがかかるという問題があった。
そこで本発明の解決課題は、塔脚を固定するアンカー部や基礎部の表面にループ状または平板状の導体を接続するという簡単な構造により、塔脚の電位上昇を確実に抑制し、しかも低コストにて実現可能な電位上昇抑制方法及び抑制装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る鉄塔塔脚の電位上昇抑制方法は、地中に埋設される基礎部と、鉄塔塔脚を前記基礎部に固定するために地中に埋設されるアンカー部と、を備えた構造において、
前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面に導体を接続し、前記鉄塔塔脚から前記アンカー部または前記基礎部を介して大地に雷電流が流れた際に、電磁誘導により、前記雷電流を打ち消す方向の誘導電流を前記導体に通流させ、前記鉄塔塔脚の電位上昇を抑制するものである。
【0009】
請求項2に係る鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置は、地中に埋設される基礎部と、鉄塔塔脚を前記基礎部に固定するために地中に埋設されるアンカー部と、を備えた構造において、
前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面に導体を接続し、前記鉄塔塔脚から前記アンカー部または前記基礎部を介して大地に流れる雷電流を打ち消す方向の誘導電流を前記導体に通流させ、前記鉄塔塔脚の電位上昇を抑制するものである。
【0010】
請求項3に係る鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置は、請求項2に記載した電位上昇抑制装置において、
前記導体は、前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面に接続され、前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面と相まって閉回路を構成すると共に、雷電流により発生する磁束が内部空間に鎖交する線状のループ導体であることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置は、請求項2に記載した電位上昇抑制装置において、
前記導体は、前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面に接続され、雷電流により発生する磁束が鎖交する平板導体であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置は、請求項3に記載した電位上昇抑制装置において、
前記アンカー部が棒状部材により構成され、その外周面に、互いに等間隔で放射状に複数の前記ループ導体を接続したものである。
【0013】
請求項6に係る鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置は、請求項4に記載した電位上昇抑制装置において、
前記アンカー部が棒状部材により構成され、その外周面に、互いに等間隔で放射状に複数の前記平板導体を接続したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、鉄塔塔脚を固定する地中のアンカー部または基礎部の表面にループ導体や平板導体を接続することにより、塔脚からアンカー部または前記基礎部に流れる雷電流を打ち消す方向の誘導電流を流すことができ、アンカー部や基礎部のインダクタンス成分に起因した塔脚の急峻な電位上昇を抑制することができる。
また、本発明は、上述した雷電流による急峻な電位上昇の抑制以外にも、塔脚の定常接地抵抗値の低減にも有益である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の概略的な構成を示す図である。
【図2】本発明による電位上昇の抑制原理を説明するための図である。
【図3】FDTD法の解析空間を解析モデルと共に示した図である。
【図4】ループ導体及び平板導体の寸法の説明図である。
【図5】解析に用いた注入電流の波形図である。
【図6】解析に用いたループ導体または平板導体の接続位置の説明図である。
【図7】導体の接続位置が異なる各ケースについての電位上昇値を示すグラフである。
【図8】導体の種類が異なる各ケースについての電位上昇値を示すグラフである。
【図9】ループ導体について一辺の長さを変化させた場合の電位上昇値の最大値を示すグラフである。
【図10】平板導体について一辺の長さを変化させた場合の電位上昇値の最大値を示すグラフである。
【図11】ループ導体について一辺の長さを変化させた場合の電位上昇値の最大値を示すグラフである。
【図12】平板導体について一辺の長さを変化させた場合の電位上昇値の最大値を示すグラフである。
【図13】風力発電システムの塔脚から大地に流れる雷電流の一例を示す波形図(図13(a))、及び、上記雷電流による接地点の電位を示す波形図(図13(b))である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1は、本発明の構成を示す概要図である。本発明では、図1に示すように、風力発電システムを構成する鉄塔の塔脚10に、地中に埋設されるアンカー部11が固定されており、このアンカー部11の表面、または基礎部20の表面に、雷電流を打ち消す誘導電流を流すためのループ導体30または平板導体(図示せず)が接続される。ここで、ループ導体30は厳密にはループ状(環状)ではなく例えばコ字形に形成されており、ループ導体30が接続されるアンカー部11等の表面と相まって閉回路を形成するものであるが、本明細書では、このような機能を果たす限り、ループ導体というものとする。この場合、ループ導体30または平板導体に接続されるアンカー部11や基礎部20は、例えば鉄筋コンクリートにより構成されている。
なお、図1において、a,bはループ導体30の各辺の長さを、X,Y,Zは三次元の各方向を示している。
【0017】
図2は、本発明による電位上昇の抑制原理を説明するための図である。
いま、塔脚10に雷電流が流れ、この塔脚10に電気的に接続されたアンカー部11に図示する如く電流I1が流れたとする。なお、電流I1は、前述したように波頭部分が急峻に増加するような波形を持つ。
電流I1によってループ導体30の内部空間に磁束Φが発生すると、レンツの法則により前記磁束Φを打ち消す方向の磁束Φ’を発生させるようにループ導体30に起電力が発生して誘導電流I2が流れる。
【0018】
その結果、ループ導体30が接続されているアンカー部11の表面には電流(I1−I2)が流れることになり、ループ導体30が接続されていない場合に比べて、アンカー部11や基礎部20のインダクタンス成分による過渡的な電位上昇が抑制されることになる。
ここで、ループ導体30は、図1に示したようにアンカー部11の軸を中心として、外周面の複数箇所(例えば4箇所、8箇所等)に、互いに等間隔で放射状に配置することが望ましい。
【0019】
上述した電位上昇の抑制効果は誘導電流I2の大きさに依存し、言い換えればループ導体30または平板導体の種類、接続位置、大きさ等に左右される。
このため発明者は、以下の方法により様々なケースについて電位上昇の抑制効果を解析した。
【0020】
解析方法としては、数値電磁界解析手法の一つであるFDTD(Finite Difference Time Domain)法を用いた。このFDTD法は、例えば宇野享の「FDTD法による電磁界およびアンテナ解析」(コロナ社,1986年発行)に記載されている。
図3は、FDTD法の解析空間を解析モデル(塔脚10、アンカー部11、基礎部20、ループ導体30または平板導体からなる)と共に示した図である。解析空間50の大きさは、X,Y,Zの各方向の長さを50〔m〕とし、空間の刻み幅は全ての方向で0.5〔m〕とした。立方体である解析空間50を囲む6つの面は、二次のLiaoの吸収境界条件を用いて開空間を模擬している。大地は、抵抗率ρ=100〔Ω・m〕の物質をZ=20〔m〕の高さまで満たすことにより表現している。なお、60は塔脚10に接続された電流注入線である。
【0021】
ループ導体30としては、Y.Baba, N.Nagaoka, A.Ametani, “Modeling of the wires in a lossy medium for FDTD simulation”, IEEE Transaction on Electromagnetic Compatibility, Vol.47, Issue 1, pp. 54-60 (2005年2月)に記載されている細線導体モデルを用いた。
図4は、解析に用いたループ導体30または平板導体の寸法を定義した図であり、Z方向(アンカー部11の長手方向)の長さをa〔m〕とし、これに直交する幅方向(Y方向)の長さをb〔m〕とした。
【0022】
種々のループ導体30及び平板導体を使用したときの電位上昇の抑制効果を検証するため、電流注入線60への注入電流Iと、基礎部20の電位上昇値V(基礎部20の周辺からループ導体30の中心軸に向かう方向を正とする)とを計算した。
図5は、注入電流Iの波形図であり、波高値1〔A〕、波頭長0.1〔μs〕の急峻な立ち上がりの波形として、比較的急峻に立ち上がる雷電流の波頭部分を模擬した。
【0023】
また、図6は、ループ導体30または平板導体の接続位置を説明した図である。なお、便宜的に、図6ではループ導体30のみを示してあるが、平板導体についても同様な位置に接続するものとする。
図6(a)は、アンカー部11の外周面(側面)において、アンカー部11の中心軸を含む平面内に位置するように(アンカー部11の径方向に沿って)ループ導体30または平板導体を接続した例であり、これらをケース2,ケース6〜18とする。図6(b)は、基礎部20の上面に直交する平面内に位置するようにループ導体30または平板導体を接続した例であり、これをケース3とする。
図6(c)は、基礎部20の側面において、アンカー部11の中心軸を含む平面内に位置するように(基礎部20の径方向に沿って)ループ導体30または平板導体を接続した例であり、これをケース4とする。図6(d)は、基礎部20の下面に直交する平面内に位置するようにループ導体30または平板導体を接続した例であり、これをケース5とする。
なお、ループ導体30または平板導体を接続しない例を、ケース1とする。
【0024】
上述した図6(a)〜(d)の配置例において、本発明の原理上、ループ導体30または平板導体の向きは、アンカー部11を流れる雷電流によって発生する磁束が鎖交するような向きにする必要がある。例えば、ループ導体30について言えば、上記磁束がループ導体30の内部空間を貫通するような向きに配置する。
ループ導体30または平板導体を複数箇所(例えば4箇所、8箇所等)に接続する場合には、前述したように互いに等間隔で放射状に配置することが望ましい。
【0025】
上記各ケース1〜18の具体的条件を、一覧表として表1に示す。例えば、ケース2は、寸法が3〔m〕×5〔m〕であって断面積が100〔mm2〕のループ導体を、アンカー部11の側面に4個接続した場合を示している。
【0026】
【表1】
【0027】
図7は、ケース1〜5についての基礎部20の電位上昇値Vを示したものである。ループ導体30等を接続しないケース1に比べ、ループ導体30をそれぞれ異なる位置に接続したケース2〜5では、何れも電位上昇値Vが低下していることが確認された。
ちなみに、ケース1に対するケース2〜18の電位上昇値Vの最大値の比を、表2にまとめて示す。この表2によれば、基礎部20の上面や側面、下面にループ導体30等を接続しても電位上昇の抑制効果は低く、アンカー部11の側面に接続した方が電位上昇の抑制効果が高いことが明らかである。
【0028】
【表2】
【0029】
以上の結果は、例えば風力発電システムの接地が有する誘導性の特性の多くは、アンカー部11が有するインダクタンス成分によるものであることを示している。
実際の風力発電システムにおいては、低接地抵抗値を得るために各種の接地線を基礎部に接続することが行われる。従って、このような場合には接地線を基礎部に接続するのではなく、図6(a)に示したように、アンカー部11の側面に接続した方が、定常接地抵抗値を低減させることができると共に、波頭部が急峻に増加する雷電流が接地側に侵入した際の急峻な電位上昇を抑制することも可能になり、一層効果的であると言える。
上述した理由から、以下では、アンカー部11の側面にループ導体30や平板導体を接続した場合について検討を進める。
【0030】
まず、導体の種類と電位上昇の抑制効果との関係について考察する。
ループ導体30を構成する線状導体の断面積を変化させ、あるいは、ループ導体30に代えて平板導体を用いた場合の電位上昇の抑制効果を検討する。
図8は、ケース1,2,6〜9についての基礎部20の電位上昇値Vを示したものである。同図によれば、ループ導体30の断面積が大きい方が電位上昇の抑制効果が大きいが、断面積の違いによる電位上昇値Vの差異は1〔%〕以下と小さく、ループ導体30を用いる場合には、現在、接地線として使用されている導線で十分であることが判明した。
また、ループ導体30と同じ大きさ(a,bがそれぞれ等しい)の平板導体を用いたケース6では、ループ導体30を用いた場合よりも電位上昇の抑制効果が大きくなることが明らかになった。
【0031】
次に、導体の大きさ(a,bの長さ)と電位上昇の抑制効果との関係について考察する。
ここでは、ループ導体30及び平板導体について、図4に示した長さa,bを変化させた場合の電位上昇の抑制効果を検討する。
【0032】
図9は、ループ導体30の幅bを5〔m〕に固定し、高さaを変化させた場合の電位上昇値Vの最大値Vmaxを示している。また、図10は、平板導体について同様に測定した場合のものである。
これらの図から、何れの場合も高さaを長くするほど電位上昇の抑制効果が大きくなることが判る。
【0033】
更に、図11は、ループ導体30の高さaを3〔m〕に固定し、幅bを変化させた場合の電位上昇値Vの最大値Vmaxを示している。また、図12は、平板導体について同様に測定した場合のものである。
何れの場合も幅bを長くするほど電位上昇の抑制効果が大きくなるが、単位導体長当たりの抑制効果は、高さaを長くした方が大きいことが判明した。これは、塔脚(アンカー部)から離れるに従って塔脚を流れる電流による磁界は距離に反比例して減少するので、aを長くした方がbを長くするよりもループ導体に鎖交する磁束が多くなり、この磁束に応じた誘導電流も大きくなるためである。
しかし、大地抵抗率が大きい場所などでは、bを長くすることで定常接地抵抗値を下げることができ、このような効果と併せて雷撃時の過渡的な接地抵抗を低減させたい場合には、bを長くすることも有効であると言える。
【0034】
以上のように、この実施形態によれば、アンカー部11の表面や基礎部20の表面にループ導体30または平板導体を接続することにより、アンカー部11や基礎部20のインダクタンス成分によって塔脚の電位が急激に上昇するのを抑制することができる。
また、必要な部品はループ導体30または平板導体であり、アンカー部11の側面等への接続作業も簡単に実現可能であるから、資材や工事の費用も安く済み、コストの低減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、風力発電システムに限らず、送電鉄塔などの塔脚に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
10:塔脚
11:アンカー部
20:基礎部
30:ループ導体
50:解析空間
60:電流注入線
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電システム等の鉄塔塔脚(以下、単に塔脚ともいう)の電位上昇を抑制するための抑制方法及び抑制装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
風力発電システムにおいて、風力発電装置が接地された鉄塔への雷撃により、波頭部分が急峻に増加する雷電流が塔脚から大地に流れると、接地点の有するインダクタンス成分によって雷電流の波頭部分による電位上昇値が波尾部分より著しく大きくなることがある。
ここで、図13(a)は風力発電システムの塔脚から大地に流れる雷電流の一例を示す波形図、図13(b)は上記雷電流による接地点の電位を示す波形図であり、塔脚を固定するアンカー部や地中の基礎部が有するインダクタンス成分に起因して、雷電流の波頭部分に対応する急峻な電位上昇が生じていることがわかる。
【0003】
上記の電位上昇により、風力発電システムの塔脚内またはその近傍に設置された電力・通信・制御設備と外部から引き込まれた導体との間に過電圧が印加され、その結果、これらの設備に大きな被害が発生することが非特許文献1,2等に記載されている。
【0004】
一方、特許文献1には、風力発電システムにおける雷撃時の大地電位上昇を抑制するために、鉄塔の基礎部に設けられた配筋を接地すると共に、前記基礎部の等価半径以上で十分に離れた位置に接地極を複数埋設することにより、合成接地抵抗を低減することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−225660号公報(段落[0027]〜[0031],[0076]〜[0082]、図9,図10等)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】山本和男他,「縮小モデルを用いた風力発電システムの雷過電圧に関する実験的検討」(電気学会論文誌B,vol.126,No.1,pp.65−72,2006年1月)
【非特許文献2】山本和男他,「風力発電システムの雷過電圧に関する実験的検討−実際の土壌における縮小モデル実験」(電気学会論文誌B,vol.126,No.12,pp.1230−1238,2006年12月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された従来技術では、配筋と複数の接地極との接続作業や接地極の埋設作業に多くの手間とコストがかかるという問題があった。
そこで本発明の解決課題は、塔脚を固定するアンカー部や基礎部の表面にループ状または平板状の導体を接続するという簡単な構造により、塔脚の電位上昇を確実に抑制し、しかも低コストにて実現可能な電位上昇抑制方法及び抑制装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る鉄塔塔脚の電位上昇抑制方法は、地中に埋設される基礎部と、鉄塔塔脚を前記基礎部に固定するために地中に埋設されるアンカー部と、を備えた構造において、
前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面に導体を接続し、前記鉄塔塔脚から前記アンカー部または前記基礎部を介して大地に雷電流が流れた際に、電磁誘導により、前記雷電流を打ち消す方向の誘導電流を前記導体に通流させ、前記鉄塔塔脚の電位上昇を抑制するものである。
【0009】
請求項2に係る鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置は、地中に埋設される基礎部と、鉄塔塔脚を前記基礎部に固定するために地中に埋設されるアンカー部と、を備えた構造において、
前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面に導体を接続し、前記鉄塔塔脚から前記アンカー部または前記基礎部を介して大地に流れる雷電流を打ち消す方向の誘導電流を前記導体に通流させ、前記鉄塔塔脚の電位上昇を抑制するものである。
【0010】
請求項3に係る鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置は、請求項2に記載した電位上昇抑制装置において、
前記導体は、前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面に接続され、前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面と相まって閉回路を構成すると共に、雷電流により発生する磁束が内部空間に鎖交する線状のループ導体であることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置は、請求項2に記載した電位上昇抑制装置において、
前記導体は、前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面に接続され、雷電流により発生する磁束が鎖交する平板導体であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置は、請求項3に記載した電位上昇抑制装置において、
前記アンカー部が棒状部材により構成され、その外周面に、互いに等間隔で放射状に複数の前記ループ導体を接続したものである。
【0013】
請求項6に係る鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置は、請求項4に記載した電位上昇抑制装置において、
前記アンカー部が棒状部材により構成され、その外周面に、互いに等間隔で放射状に複数の前記平板導体を接続したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、鉄塔塔脚を固定する地中のアンカー部または基礎部の表面にループ導体や平板導体を接続することにより、塔脚からアンカー部または前記基礎部に流れる雷電流を打ち消す方向の誘導電流を流すことができ、アンカー部や基礎部のインダクタンス成分に起因した塔脚の急峻な電位上昇を抑制することができる。
また、本発明は、上述した雷電流による急峻な電位上昇の抑制以外にも、塔脚の定常接地抵抗値の低減にも有益である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の概略的な構成を示す図である。
【図2】本発明による電位上昇の抑制原理を説明するための図である。
【図3】FDTD法の解析空間を解析モデルと共に示した図である。
【図4】ループ導体及び平板導体の寸法の説明図である。
【図5】解析に用いた注入電流の波形図である。
【図6】解析に用いたループ導体または平板導体の接続位置の説明図である。
【図7】導体の接続位置が異なる各ケースについての電位上昇値を示すグラフである。
【図8】導体の種類が異なる各ケースについての電位上昇値を示すグラフである。
【図9】ループ導体について一辺の長さを変化させた場合の電位上昇値の最大値を示すグラフである。
【図10】平板導体について一辺の長さを変化させた場合の電位上昇値の最大値を示すグラフである。
【図11】ループ導体について一辺の長さを変化させた場合の電位上昇値の最大値を示すグラフである。
【図12】平板導体について一辺の長さを変化させた場合の電位上昇値の最大値を示すグラフである。
【図13】風力発電システムの塔脚から大地に流れる雷電流の一例を示す波形図(図13(a))、及び、上記雷電流による接地点の電位を示す波形図(図13(b))である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1は、本発明の構成を示す概要図である。本発明では、図1に示すように、風力発電システムを構成する鉄塔の塔脚10に、地中に埋設されるアンカー部11が固定されており、このアンカー部11の表面、または基礎部20の表面に、雷電流を打ち消す誘導電流を流すためのループ導体30または平板導体(図示せず)が接続される。ここで、ループ導体30は厳密にはループ状(環状)ではなく例えばコ字形に形成されており、ループ導体30が接続されるアンカー部11等の表面と相まって閉回路を形成するものであるが、本明細書では、このような機能を果たす限り、ループ導体というものとする。この場合、ループ導体30または平板導体に接続されるアンカー部11や基礎部20は、例えば鉄筋コンクリートにより構成されている。
なお、図1において、a,bはループ導体30の各辺の長さを、X,Y,Zは三次元の各方向を示している。
【0017】
図2は、本発明による電位上昇の抑制原理を説明するための図である。
いま、塔脚10に雷電流が流れ、この塔脚10に電気的に接続されたアンカー部11に図示する如く電流I1が流れたとする。なお、電流I1は、前述したように波頭部分が急峻に増加するような波形を持つ。
電流I1によってループ導体30の内部空間に磁束Φが発生すると、レンツの法則により前記磁束Φを打ち消す方向の磁束Φ’を発生させるようにループ導体30に起電力が発生して誘導電流I2が流れる。
【0018】
その結果、ループ導体30が接続されているアンカー部11の表面には電流(I1−I2)が流れることになり、ループ導体30が接続されていない場合に比べて、アンカー部11や基礎部20のインダクタンス成分による過渡的な電位上昇が抑制されることになる。
ここで、ループ導体30は、図1に示したようにアンカー部11の軸を中心として、外周面の複数箇所(例えば4箇所、8箇所等)に、互いに等間隔で放射状に配置することが望ましい。
【0019】
上述した電位上昇の抑制効果は誘導電流I2の大きさに依存し、言い換えればループ導体30または平板導体の種類、接続位置、大きさ等に左右される。
このため発明者は、以下の方法により様々なケースについて電位上昇の抑制効果を解析した。
【0020】
解析方法としては、数値電磁界解析手法の一つであるFDTD(Finite Difference Time Domain)法を用いた。このFDTD法は、例えば宇野享の「FDTD法による電磁界およびアンテナ解析」(コロナ社,1986年発行)に記載されている。
図3は、FDTD法の解析空間を解析モデル(塔脚10、アンカー部11、基礎部20、ループ導体30または平板導体からなる)と共に示した図である。解析空間50の大きさは、X,Y,Zの各方向の長さを50〔m〕とし、空間の刻み幅は全ての方向で0.5〔m〕とした。立方体である解析空間50を囲む6つの面は、二次のLiaoの吸収境界条件を用いて開空間を模擬している。大地は、抵抗率ρ=100〔Ω・m〕の物質をZ=20〔m〕の高さまで満たすことにより表現している。なお、60は塔脚10に接続された電流注入線である。
【0021】
ループ導体30としては、Y.Baba, N.Nagaoka, A.Ametani, “Modeling of the wires in a lossy medium for FDTD simulation”, IEEE Transaction on Electromagnetic Compatibility, Vol.47, Issue 1, pp. 54-60 (2005年2月)に記載されている細線導体モデルを用いた。
図4は、解析に用いたループ導体30または平板導体の寸法を定義した図であり、Z方向(アンカー部11の長手方向)の長さをa〔m〕とし、これに直交する幅方向(Y方向)の長さをb〔m〕とした。
【0022】
種々のループ導体30及び平板導体を使用したときの電位上昇の抑制効果を検証するため、電流注入線60への注入電流Iと、基礎部20の電位上昇値V(基礎部20の周辺からループ導体30の中心軸に向かう方向を正とする)とを計算した。
図5は、注入電流Iの波形図であり、波高値1〔A〕、波頭長0.1〔μs〕の急峻な立ち上がりの波形として、比較的急峻に立ち上がる雷電流の波頭部分を模擬した。
【0023】
また、図6は、ループ導体30または平板導体の接続位置を説明した図である。なお、便宜的に、図6ではループ導体30のみを示してあるが、平板導体についても同様な位置に接続するものとする。
図6(a)は、アンカー部11の外周面(側面)において、アンカー部11の中心軸を含む平面内に位置するように(アンカー部11の径方向に沿って)ループ導体30または平板導体を接続した例であり、これらをケース2,ケース6〜18とする。図6(b)は、基礎部20の上面に直交する平面内に位置するようにループ導体30または平板導体を接続した例であり、これをケース3とする。
図6(c)は、基礎部20の側面において、アンカー部11の中心軸を含む平面内に位置するように(基礎部20の径方向に沿って)ループ導体30または平板導体を接続した例であり、これをケース4とする。図6(d)は、基礎部20の下面に直交する平面内に位置するようにループ導体30または平板導体を接続した例であり、これをケース5とする。
なお、ループ導体30または平板導体を接続しない例を、ケース1とする。
【0024】
上述した図6(a)〜(d)の配置例において、本発明の原理上、ループ導体30または平板導体の向きは、アンカー部11を流れる雷電流によって発生する磁束が鎖交するような向きにする必要がある。例えば、ループ導体30について言えば、上記磁束がループ導体30の内部空間を貫通するような向きに配置する。
ループ導体30または平板導体を複数箇所(例えば4箇所、8箇所等)に接続する場合には、前述したように互いに等間隔で放射状に配置することが望ましい。
【0025】
上記各ケース1〜18の具体的条件を、一覧表として表1に示す。例えば、ケース2は、寸法が3〔m〕×5〔m〕であって断面積が100〔mm2〕のループ導体を、アンカー部11の側面に4個接続した場合を示している。
【0026】
【表1】
【0027】
図7は、ケース1〜5についての基礎部20の電位上昇値Vを示したものである。ループ導体30等を接続しないケース1に比べ、ループ導体30をそれぞれ異なる位置に接続したケース2〜5では、何れも電位上昇値Vが低下していることが確認された。
ちなみに、ケース1に対するケース2〜18の電位上昇値Vの最大値の比を、表2にまとめて示す。この表2によれば、基礎部20の上面や側面、下面にループ導体30等を接続しても電位上昇の抑制効果は低く、アンカー部11の側面に接続した方が電位上昇の抑制効果が高いことが明らかである。
【0028】
【表2】
【0029】
以上の結果は、例えば風力発電システムの接地が有する誘導性の特性の多くは、アンカー部11が有するインダクタンス成分によるものであることを示している。
実際の風力発電システムにおいては、低接地抵抗値を得るために各種の接地線を基礎部に接続することが行われる。従って、このような場合には接地線を基礎部に接続するのではなく、図6(a)に示したように、アンカー部11の側面に接続した方が、定常接地抵抗値を低減させることができると共に、波頭部が急峻に増加する雷電流が接地側に侵入した際の急峻な電位上昇を抑制することも可能になり、一層効果的であると言える。
上述した理由から、以下では、アンカー部11の側面にループ導体30や平板導体を接続した場合について検討を進める。
【0030】
まず、導体の種類と電位上昇の抑制効果との関係について考察する。
ループ導体30を構成する線状導体の断面積を変化させ、あるいは、ループ導体30に代えて平板導体を用いた場合の電位上昇の抑制効果を検討する。
図8は、ケース1,2,6〜9についての基礎部20の電位上昇値Vを示したものである。同図によれば、ループ導体30の断面積が大きい方が電位上昇の抑制効果が大きいが、断面積の違いによる電位上昇値Vの差異は1〔%〕以下と小さく、ループ導体30を用いる場合には、現在、接地線として使用されている導線で十分であることが判明した。
また、ループ導体30と同じ大きさ(a,bがそれぞれ等しい)の平板導体を用いたケース6では、ループ導体30を用いた場合よりも電位上昇の抑制効果が大きくなることが明らかになった。
【0031】
次に、導体の大きさ(a,bの長さ)と電位上昇の抑制効果との関係について考察する。
ここでは、ループ導体30及び平板導体について、図4に示した長さa,bを変化させた場合の電位上昇の抑制効果を検討する。
【0032】
図9は、ループ導体30の幅bを5〔m〕に固定し、高さaを変化させた場合の電位上昇値Vの最大値Vmaxを示している。また、図10は、平板導体について同様に測定した場合のものである。
これらの図から、何れの場合も高さaを長くするほど電位上昇の抑制効果が大きくなることが判る。
【0033】
更に、図11は、ループ導体30の高さaを3〔m〕に固定し、幅bを変化させた場合の電位上昇値Vの最大値Vmaxを示している。また、図12は、平板導体について同様に測定した場合のものである。
何れの場合も幅bを長くするほど電位上昇の抑制効果が大きくなるが、単位導体長当たりの抑制効果は、高さaを長くした方が大きいことが判明した。これは、塔脚(アンカー部)から離れるに従って塔脚を流れる電流による磁界は距離に反比例して減少するので、aを長くした方がbを長くするよりもループ導体に鎖交する磁束が多くなり、この磁束に応じた誘導電流も大きくなるためである。
しかし、大地抵抗率が大きい場所などでは、bを長くすることで定常接地抵抗値を下げることができ、このような効果と併せて雷撃時の過渡的な接地抵抗を低減させたい場合には、bを長くすることも有効であると言える。
【0034】
以上のように、この実施形態によれば、アンカー部11の表面や基礎部20の表面にループ導体30または平板導体を接続することにより、アンカー部11や基礎部20のインダクタンス成分によって塔脚の電位が急激に上昇するのを抑制することができる。
また、必要な部品はループ導体30または平板導体であり、アンカー部11の側面等への接続作業も簡単に実現可能であるから、資材や工事の費用も安く済み、コストの低減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、風力発電システムに限らず、送電鉄塔などの塔脚に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
10:塔脚
11:アンカー部
20:基礎部
30:ループ導体
50:解析空間
60:電流注入線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設される基礎部と、鉄塔塔脚を前記基礎部に固定するために地中に埋設されるアンカー部と、を備えた構造において、
前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面に導体を接続し、前記鉄塔塔脚から前記アンカー部または前記基礎部を介して大地に雷電流が流れた際に、電磁誘導により、前記雷電流を打ち消す方向の誘導電流を前記導体に通流させ、前記鉄塔塔脚の電位上昇を抑制することを特徴とする鉄塔塔脚の電位上昇抑制方法。
【請求項2】
地中に埋設される基礎部と、鉄塔塔脚を前記基礎部に固定するために地中に埋設されるアンカー部と、を備えた構造において、
前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面に導体を接続し、前記鉄塔塔脚から前記アンカー部または前記基礎部を介して大地に流れる雷電流を打ち消す方向の誘導電流を前記導体に通流させ、前記鉄塔塔脚の電位上昇を抑制することを特徴とする鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置。
【請求項3】
請求項2に記載した鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置において、
前記導体は、前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面に接続され、前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面と相まって閉回路を構成すると共に、雷電流により発生する磁束が内部空間に鎖交する線状のループ導体であることを特徴とする鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置。
【請求項4】
請求項2に記載した鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置において、
前記導体は、前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面に接続され、雷電流により発生する磁束が鎖交する平板導体であることを特徴とする鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置。
【請求項5】
請求項3に記載した鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置において、
前記アンカー部が棒状部材により構成され、その外周面に、互いに等間隔で放射状に複数の前記ループ導体を接続したことを特徴とする鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置。
【請求項6】
請求項4に記載した鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置において、
前記アンカー部が棒状部材により構成され、その外周面に、互いに等間隔で放射状に複数の前記平板導体を接続したことを特徴とする鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置。
【請求項1】
地中に埋設される基礎部と、鉄塔塔脚を前記基礎部に固定するために地中に埋設されるアンカー部と、を備えた構造において、
前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面に導体を接続し、前記鉄塔塔脚から前記アンカー部または前記基礎部を介して大地に雷電流が流れた際に、電磁誘導により、前記雷電流を打ち消す方向の誘導電流を前記導体に通流させ、前記鉄塔塔脚の電位上昇を抑制することを特徴とする鉄塔塔脚の電位上昇抑制方法。
【請求項2】
地中に埋設される基礎部と、鉄塔塔脚を前記基礎部に固定するために地中に埋設されるアンカー部と、を備えた構造において、
前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面に導体を接続し、前記鉄塔塔脚から前記アンカー部または前記基礎部を介して大地に流れる雷電流を打ち消す方向の誘導電流を前記導体に通流させ、前記鉄塔塔脚の電位上昇を抑制することを特徴とする鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置。
【請求項3】
請求項2に記載した鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置において、
前記導体は、前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面に接続され、前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面と相まって閉回路を構成すると共に、雷電流により発生する磁束が内部空間に鎖交する線状のループ導体であることを特徴とする鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置。
【請求項4】
請求項2に記載した鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置において、
前記導体は、前記アンカー部の表面または前記基礎部の表面に接続され、雷電流により発生する磁束が鎖交する平板導体であることを特徴とする鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置。
【請求項5】
請求項3に記載した鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置において、
前記アンカー部が棒状部材により構成され、その外周面に、互いに等間隔で放射状に複数の前記ループ導体を接続したことを特徴とする鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置。
【請求項6】
請求項4に記載した鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置において、
前記アンカー部が棒状部材により構成され、その外周面に、互いに等間隔で放射状に複数の前記平板導体を接続したことを特徴とする鉄塔塔脚の電位上昇抑制装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−281234(P2010−281234A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133756(P2009−133756)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(509155782)
【出願人】(000145954)株式会社昭電 (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(509155782)
【出願人】(000145954)株式会社昭電 (22)
【Fターム(参考)】
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