説明

鉄板焼装置

【課題】少人数での使用の場合でも電気を無駄にすることが無く、経済性の高い鉄板焼装置を提供すること。
【解決手段】テーブル天板に形成された切り欠きに係止される外側筐体部2と、外側筐体部2内に係止された内側筐体部3と、内側筐体部3の上方に載置された鉄板5と、鉄板5の裏面に当接される配置で内側筐体部3内に配設された複数の電気ヒーター6を具備した鉄板焼装置であって、電気ヒーター6は、U字状としたヒーターを複数本用いることで構成されて鉄板5の半分部分の裏面に当接される一方のヒーター群6aと、U字状としたヒーターを複数本用いることで構成されて鉄板5の残り半分部分の裏面に当接される他方のヒーター群6bとで構成されるとともに、一方のヒーター群6aと他方のヒーター群6bへ電源を供給する電源供給経路を別とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄板焼装置に係り、より詳しくは、少人数で使用した場合でも、電気を無駄にすることがなく経済的価値が高い鉄板焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からステーキ、お好み焼き、もんじゃ焼き等を行うための鉄板焼装置が提供されており、この鉄板焼装置の中には、加熱源として電気ヒーターを用いたものがある。
【0003】
ここで、図4は、従来の、電気ヒーターを用いた鉄板焼装置における電気ヒーターの配置を説明するための図であり、図において31は鉄板で裏面を示している。
【0004】
また、図において32は電気ヒーターであり、図に示すように、電気ヒーターを用いた従来の鉄板焼装置では、一対の脚部とこの一対の脚部の先端を円弧状に連結した形態のU字型のヒーター32を用いて、この電気ヒーター32を複数本、鉄板31の裏面に当接配置しており、この電気ヒーターに電源を供給することで、電気ヒーター32の熱を鉄板に伝達させることで鉄板31を加熱可能としている。
【0005】
そして、各電気ヒーター32は、図示しない同一のコントローラーに接続されており、コントローラーは電源に接続されており、スイッチを入れることで、すべての電気ヒーターに電源が供給され、それにより鉄板全域が均一に加熱されることとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−59666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このように構成される従来の鉄板焼装置では、少人数で食事をした場合には、電気を無駄に使用してしまい、経済性が悪いという問題点が考えられる。
【0008】
例えば、6人以上での使用を想定した鉄板焼装置を4人以下で使用する場合を考えると、この場合には、鉄板の全域を使用して加熱調理をする必要がなく、鉄板の一部を使用することで足りるが、従来の鉄板焼装置では、スイッチを入れることで、すべてのヒーターに電源が供給されて、鉄板全域が均一に加熱されるために、鉄板における使用しない部分も加熱することになり、電気が無駄になり、決して経済性があるとは考えられない。
【0009】
そこで、本発明は、少人数での使用の場合でも電気を無駄にすることが無く、経済性の高い鉄板焼装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の鉄板焼装置は、
テーブル天板に形成された切り欠きに係止される外側筐体部と、
該外側筐体部内に係止された内側筐体部と、
該内側筐体部の上方に載置された鉄板と、
該鉄板の裏面に当接される配置で前記内側筐体部内に配設された複数の電気ヒーターと、を具備した鉄板焼装置であって、
前記電気ヒーターは、それぞれ、前記鉄板の一部分のみを加熱する配置で前記鉄板の裏面に当接されるとともに、各電気ヒーターへ電源を供給する経路を別にした、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鉄板焼装置では、電気式ヒーターを熱源として用いた鉄板焼装置において、電気ヒーターを複数用いるとともに、各ヒーターはそれぞれ鉄板の一部分を加熱する配置にして、各ヒーターへ電源を供給する経路を別にしたことを特徴としている。
【0012】
そのために、本発明の鉄板焼装置では、鉄板の一部分のみを加熱することができるので、少人数で食事をする場合には、鉄板の全域を加熱することなく、使用する部分のみを加熱することができ、従って、電気を無駄にすることなく、経済性の高い鉄板焼装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の鉄板焼装置の実施例の構造を示す一部断面図である。
【図2】本発明の鉄板焼装置の実施例における電気ヒーターを説明するための図である。
【図3】本発明の鉄板焼装置の実施例における電気ヒーターの取り付け構造を説明するための図である。
【図4】従来の鉄板焼装置における電気ヒーターの配置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の鉄板焼装置では、テーブル天板に形成された切り欠きに係止される外側筐体部を有しており、この外側筐体部内には、内側筐体部が係止され、この内側筐体部の上方に、鉄板が載置されている。
【0015】
また、内側筐体部内には、鉄板の裏面に当接される配置で、複数の電気ヒーターが配設されており、この電気ヒーターはそれぞれ、鉄板の一部分のみを加熱する配置で、鉄板の裏面に当接されており、更に、各電気ヒーターへ電源を供給するための電源供給経路は、別としている。
【0016】
ここで、前記電気ヒーターは、U字状としたヒーターを複数本用いて構成される一方のヒーター群と、同じくU字状としたヒーターを複数本用いて構成される他方のヒーター群で構成して、一方のヒーター群は、鉄板の半分部分の裏面に当接される配置で内側筐体部内に配設し、他方のヒーター群は、鉄板における一方のヒーター群が当接される部分以外の残り半分部分の裏面に当接される配置で内側筐体部内に配設して、一方のヒーター群へ電源を供給する電源供給経路と、他方のヒーター群へ電源を供給する電源供給経路を別にするとよく、これにより、少人数で食事をする場合には鉄板の一方のみを加熱することができ、電気を節約することが可能である。
【0017】
また、電気ヒーターの内側筐体部内における取り付け方法に関しては、取り付け金具を用いるとよく、この取り付け金具としては、内側筐体部の底部から立設した支柱と、この支柱が貫通することで支柱に装着された、細長い板状のプレートと、このプレート上に固定されるとともに電気ヒーターの位置を固定する固定金具を具備した取り付け金具を用いて、更に、支柱における内側筐体部の底部とプレート間にスプリングを配設して、スプリングの弾性力によってプレートを上方へ付勢するとよく、これにより、電気ヒーターを確実に鉄板の裏面に密着させることが可能となる。
【実施例1】
【0018】
本発明における鉄板焼装置の実施例について図面を参照して説明すると、図1は、本実施例の鉄板焼装置の縦断正面構造を示した一部断面図であり、図において1が本実施例の鉄板焼装置である。
【0019】
そして、本実施例の鉄板焼装置1は、テーブル天板に形成された切り欠きに係止される外側筐体部を備えている。即ち、図においてTがテーブル天板であり、このテーブル天板Tには、切り欠きT1が形成されており、この切り欠きT1には、本実施例の鉄板焼装置1を構成する外側筐体部が係止されている。
【0020】
ここで、前記外側筐体部について説明すると、図において2が前記外側筐体部であり、本実施例において前記外側筐体部2は、有底の箱型形状としており、その上端部全域には外側に向けて係止縁部201が形成されている。
【0021】
そして、前記外側筐体部2は、前記テーブル天板Tにおける、切り欠きT1の周囲部分に前記係止縁部201を係止することで、テーブル天板Tに係止されている。
【0022】
次に、前記外側筐体部2の内部には、内側筐体部が係止されている。即ち、図において3が内側筐体部であり、本実施例における前記内側筐体部3は、有底の箱型形状にするとともに上端部全域には係止縁部301が形成されており、この係止縁部301を、前記外側筐体部2の内部に形成した係止棚部202に係止することで前記内側筐体部3は、外側筐体部2内に係止されている。
【0023】
また、前記外側筐体部2の底部には皿状のカス受け4が備えられている。即ち、本実施例において前記外側筐体部2の下方部分には、図示しない挿入窓部が形成されており、この挿入窓部を介して、前記外側筐体部2の内部には、カス受け4が挿抜自在に挿装されている。そしてこのカス受け4により、調理の過程で外側筐体部に落下したカスを捕獲することとしている。
【0024】
次に、図において5は鉄板である。即ち、本実施例の鉄板焼装置1では、前記外側筐体部2の内周側において、前記内側筐体部3の上部に鉄板5が載置されており、この鉄板5上で加熱調理を可能としている。
【0025】
なお、本実施例において前記鉄板5は、平面視野を長方形状とした平板状の鉄板本体の周縁部に上方に向けて縁部を突設して形成されているが、鉄板焼の構成は特に限定されない。
【0026】
次に、図において6は加熱源としての電気ヒーターである。即ち、本実施例の鉄板焼装置1では、電気ヒーター6を加熱源として用いており、この電気ヒーター6を、前記鉄板5の下面に当接させつつ内側筐体部3の内部に配設しており、これにより、電気ヒーター6に電源を供給することで、電気ヒーター6を介して前記鉄板5を加熱することとしている。
【0027】
ここで、図1において、本実施例においては、複数個の電気ヒーター6a、6bを用いており、この複数個の電気ヒーター6a、6bは、それぞれ、鉄板5における半分部分のみを加熱可能としている。
【0028】
また、本実施例において前記各電気ヒーター6は、それぞれ、別の電源供給経路に接続されており、これにより、鉄板5における所望する箇所のみを加熱可能としている。
【0029】
ここで、各電気ヒーター6について説明すると、本実施例において前記複数個の電気ヒーター6は、それぞれ、一対の脚部の先端を円弧状に連結してU字状とした電気ヒーターを3本用いて構成されたヒーター群としており、一方のヒーター群6aは、前記鉄板5の半分部分の裏面に当接される配置で前記内側筐体部3の内部に配設されており、他方のヒーター群6bは、前記鉄板5における残り半分部分の裏面に当接される配置で前記内側筐体部3内に配設されている。
【0030】
そのため、本実施例の鉄板焼装置1では、一方のヒーター群6a及び他方のヒーター群6bの双方を作動させることで鉄板5の全域を加熱することができ、一方のヒーター群6aあるいは他方のヒーター群6bのいずれかのみを作動させることで、鉄板の片側半分のみを加熱することが可能である。
【0031】
従って、本実施例の鉄板焼装置1では、少人数で食事をする場合には、鉄板における使用する部分のみを加熱することができるので、電気を無駄にすることなく、経済性の高い鉄板焼装置を得ることができる。
【0032】
なお、図2は前記電気ヒーターを示した図であり、一方側のヒーター群6aを上方向から示している。そして、本実施例において、一方のヒーター群6aを構成する3本の電気ヒーター601a、601b、601cは、図示しない同一のコントローラーに接続されており、スイッチを入れることで、3本の電気ヒーター601a、602a、603aに同時に電源が供給され、これにより、鉄板5の半分部分が加熱され、図示は省略するが、他方のヒーター群6bもまた、一方のヒーター群6aと同様に、ヒーター群6aを構成する3本の電は同一のコントローラーに接続され、スイッチを入れることで、3本の電気ヒーターに同時に電源が供給されて、鉄板5の残りの半分部分が加熱されることとしている。
【0033】
そして、一方のヒーター群6a構成する電気ヒーターが接続されるコントローラーと、他方のヒーター群6b構成する電気ヒーターが接続されるコントローラーは異なったものとしており、これにより、一方のヒーター群6a及び他方のヒーター群6bの双方を作動させなければ鉄板5の全域を加熱することは不可能としている。
【0034】
なお、本実施例においては、各ヒーター群6a、6bはそれぞれ、3本の電気ヒーターで構成しているが、必ずしも3本にする必要はなく、それ以上でも、それ以下でも良い。
【0035】
次に、本実施例おける前記電気ヒーターの取り付け方法について図面を参照して説明すると、図3は図2におけるA−A線構造を示す図であり、図において7は、各電気ヒーターを前記内側筐体部3の内部に取り付けるための取り付け金具である。
【0036】
そして、本実施例において前記取り付け金具7は、前記内側筐体部3の底部に固定された取り付けベース8を有しており、この取り付けベース8には上方に向けて支柱9が立設されている。
【0037】
一方、本実施例において前記取り付け金具7は、前記電気ヒーターの長手方向に直交する方向に向けて配設した、長尺の平板状の取り付けプレート10を有している。
【0038】
そして、前記取り付けプレート10は、前記電気ヒーター6のすべてを載置可能な長さにして、上部に電気ヒーターの脚部が載置されているとともに、両端部が段差状となっており、この段差状とした両端部を前記支柱9が貫通し、これにより、前記取り付けプレート10は支柱9に装着され、更に、取り付けプレート10は、支柱9に沿って上下動自在としている。
【0039】
なお、図において12は固定手段としてのナットである。即ち、本実施例において前記支柱9の外周にはネジ切り加工がされており、一方、前記支柱9における前記取り付けプレート10を貫通した部分にはナット12が螺合されており、これにより、取り付けプレート10が外れてしまうことを防止している。
【0040】
次に、図において11は前記プレート10上における所定位置に電気ヒーターを固定するための固定金具である。
【0041】
そして、本実施例において前記固定金具11は、溝型形状としており、電気ヒーターの脚部間に配置されており、これにより電気ヒーターを前記取り付け金具10上に固定することとしている。
【0042】
次に、図において13は、前記支柱9の外周に周設したスプリングである。即ち、本実施例の鉄板焼装置1においては、前記取り付けプレート10を上方に付勢可能なように、前記支柱9の外周にスプリング13を周設している。
【0043】
そして、本実施例の鉄板焼装置1では、支柱9の長さやナット12の締め付け割合、スプリング13の巻数等を調整することで、鉄板5の下面に電気ヒーターが当接した状態においては、取り付けプレート10によって前記スプリング13がわずかに下方に押圧されるようにしている。
【0044】
従って、本実施例の鉄板焼装置1では、スプリング13によって取り付けプレート10が上方に付勢されることで、電気ヒーター6が鉄板5の下面を上方に押圧している状態にしており、これにより、電気ヒーター6と鉄板5との当接を確実に確保している。
【0045】
なお、図2に示されるように、本実施例においては、各ヒーター群において、取り付けプレート10を2本用いて電気ヒーターを固定しているが、ヒーター群を内側筐体部3内に配設可能であれば、取り付けプレートの数は特に限定されない。
【0046】
次に、このように構成される本実施例の鉄板焼装置の作用について説明すると、本実施例の鉄板焼装置1で加熱調理を行う場合には、図示しない電源スイッチを入れることで、電気ヒーター6を作動させ、これによって、鉄板5を加熱して、鉄板5上で食材を加熱して調理する。
【0047】
そしてこのとき、本実施例の鉄板焼装置1では、加熱源としての電気ヒーター6を複数用いて、各電気ヒーター6は、それぞれ、鉄板5の一部分のみを加熱することとしているとともに、各電気ヒーター6へ電源を供給する経路を別にしているために、少人数での使用の場合で鉄板の全域を使用する必要がないときに、鉄板における使用する部分のみを加熱することができるので、電気を無駄にすることなく、経済性を高めることが可能である。
【0048】
また、スプリング13の弾性力によって、電気ヒーター6で鉄板5の下面を上方に押圧している状態にしているために、電気ヒーター6と鉄板5との当接を確実に確保することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の鉄板焼装置は、複数の電気ヒーターを用いて鉄板を加熱する構成にするとともに、各電気ヒーターに電源を供給する電源供給経路を別にして、鉄板の一部のみの加熱を可能とすることで、特に少人数で使用する際の電気の無駄を無くして経済性を高めたことを特徴としているため、電気ヒーターを用いた鉄板焼装置の全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 鉄板焼装置
2 外側筐体部
3 内側筐体部
4 カス受け
5 鉄板
6 電気ヒーター
6a 一方のヒーター群
6b 他方のヒーター群
7 取り付け金具
8 取り付けベース
9 支柱
10 取り付けプレート
11 固定金具
12 ナット
13 スプリング
T テーブル天板
T1 切欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブル天板(T)に形成された切り欠き(T1)に係止される外側筐体部(2)と、
該外側筐体部(2)内に係止された内側筐体部(3)と、
該内側筐体部(3)の上方に載置された鉄板(5)と、
該鉄板(5)の裏面に当接される配置で前記内側筐体部(3)内に配設された複数の電気ヒーター(6)と、を具備した鉄板焼装置であって、
前記電気ヒーター(6)は、それぞれ、前記鉄板(5)の一部分のみを加熱する配置で前記鉄板(5)の裏面に当接されるとともに、各電気ヒーター(6)へ電源を供給する経路を別にした、ことを特徴とする鉄板焼装置。
【請求項2】
前記電気ヒーター(6)は、
U字状としたヒーターを複数本用いることで構成されて前記鉄板(5)の半分部分の裏面に当接される配置で前記内側筐体部(3)内に配設された一方のヒーター群(6a)と、
U字状としたヒーターを複数本用いることで構成されて前記鉄板5の残り半分部分の裏面に当接される配置で前記内側筐体部(3)内に配設された他方のヒーター群(6b)と、で構成されるとともに、
前記一方のヒーター群(6a)と他方のヒーター群(6b)へ電源を供給する電源供給経路を別とした、ことを特徴とする請求項1に記載の鉄板焼装置。
【請求項3】
前記電気ヒーター(6)はそれぞれ、取り付け金具(7)によって前記内側筐体部(3)内に配設されるとともに、
前記取り付け金具(7)はそれぞれ、前記内側筐体部(3)の底部から立設した支柱(9)と、
該支柱(9)が貫通することで支柱(9)に装着された取り付けプレート(10)と、
該取り付けプレート(10)上に固定されるとともに電気ヒーター6の位置を固定する固定金具(11)と、を具備し、
前記支柱(9)における内側筐体部(3)の底部と取り付けプレート(10)間にスプリング(13)を配設して、該スプリング(13)によって前記取り付けプレート(10)を上方へ付勢した、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鉄板焼装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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