説明

鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置

【課題】鉄棒に装着する弾性部材の内周壁側の切り込みに沿って、粘着テープを容易に貼り着けることができ、鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置を提供する。
【解決手段】粘着テープ貼着装置1は、巻物状粘着テープT1のホルダー2と、ホルダー2の下部において水平方向に延設したアーム3により構成され、巻物状粘着テープT1のホルダー2は、基板4と、基板4の上面側に設けた巻物状粘着テープT1の保持部5と、基板4の下面側に設けたクリップ状の鉄棒挟持部6により構成され、アーム3は、平行に配置した2本の棒状体3A、3Bにより構成され、2本の棒状体3A、3Bは、ホルダーの基板4に進退自在に取り付けられ、2本の棒状体3A、3Bの先端部間に、引き出された粘着テープTの先端部を一時的に固定する仮止め部22を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例えば、小学生等の遊技者が鉄棒を両手で持ち、片脚の膝の裏側を鉄棒に引っ掛けて前方回転や後方回転を行う際に、遊技者が滑らかに回転して鉄棒の技能を高めると共に、遊技者の膝の裏側の皮膚に損傷が生じる事態の発生を防止するものとして、所定の鉄棒練習具が存在している。
【0002】
この鉄棒練習具は、円筒状の弾性部材の長手方向に沿って切り込みを設け、この切り込みを介して、鉄棒を被覆するように弾性部材を鉄棒に回転可能に装着するもので、弾性部材の内周壁側の切り込みに沿って粘着テープを貼り着けて、弾性部材を鉄棒に取り付けている。
【0003】
本発明は、この様な鉄棒練習具において、弾性部材の内周壁側の切り込みに沿って、粘着テープを容易に貼り着けることのできる、鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置に関するものである。
【背景技術】
【0004】
従来より、鉄棒練習具として、種々のものが提案されている。
【0005】
この鉄棒練習具100は、例えば、図12に示すように、円筒状の弾性部材10の長手方向に沿って切り込み102を設け、この切り込み102を介して、鉄棒Pを被覆するように弾性部材101を鉄棒Pに回転可能に装着するものが存在している。
【0006】
この鉄棒練習具100は、弾性部材101の内周壁側の切り込み102Aに沿って粘着テープTを貼り着けることにより、弾性部材101を鉄棒Pに取り付けて、弾性部材101が鉄棒Pから外れてしまう事態の発生を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特になし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した鉄棒練習具100においては、鉄棒Pを被覆するように弾性部材101を鉄棒Pに回転可能に装着した状態で、弾性部材101の内周壁側の切り込み102Aに沿って粘着テープTを貼り着けて、弾性部材101を鉄棒Pに取り付けていることから、その粘着テープTの貼り着け作業が非常に面倒であった。
【0009】
この粘着テープTの貼り着け手法としては、まず、好ましい長さに切断した粘着テープTを、粘着面を上側に向けた状態で鉄棒Pの上に配置する。
【0010】
そして、切り込み102に沿って弾性部材101を若干開いた状態とし、弾性部材101の開口部を上側にした状態で、鉄棒Pの下側から弾性部材101を鉄棒Pに宛がい、弾性部材101の内部に鉄棒Pを収容するようにして、鉄棒Pに弾性部材101を装着する。
【0011】
この状態で、弾性部材101の開口部を閉じ、弾性部材101を上側から手で握って、下方に向けて押し付けていた。そして、弾性部材101の内周壁側の切り込み102A部分を粘着テープTに押し付けて、弾性部材101の内周壁側の切り込み102Aに跨るようにして、当該切り込み102Aに沿って粘着テープTを貼り着けていた。
【0012】
この様に、弾性部材101の内周壁側の切り込み102Aに沿って粘着テープTを貼り着けていたのであるが、粘着テープTは薄膜状で、未使用時には所定のテンションで全体が積層状に巻き付けられていることから、使用時に粘着テープTを好ましい長さに引き出して切断すると、当該切断した粘着テープTが螺旋状等にまるまってしまう性質を有している。
【0013】
その為、好ましい長さに切断した粘着テープTを、粘着面を上側に向けた状態で鉄棒Pの上に配置して粘着テープTから手を離すと、粘着テープTがまるまって鉄棒Pから落下してしまうこととなる。
【0014】
従って、特定の者が粘着テープTの両端部を両手の指で摘んで、そのまま粘着面を上側に向けた状態で鉄棒Pの上に粘着テープTを押さえ付けなければならならなかった。
【0015】
そして、他の者が、切り込み102に沿って弾性部材101を若干開いた状態とし、弾性部材101の開口部を上側にした状態で、鉄棒Pの下側から弾性部材101を鉄棒Pに宛がい、弾性部材101の内部に鉄棒Pを収容するようにして、鉄棒Pに弾性部材101を装着し、この状態で弾性部材101の開口部を閉じ、弾性部材101の内周壁側の切り込み102A部分を粘着テープTに押し付けて、弾性部材101の内周壁側の切り込み102Aに跨るようにして、当該切り込み102Aに沿って粘着テープTを貼り着けていた。
【0016】
この様に、弾性部材101の内周壁側の切り込み102Aに沿って粘着テープTを貼り着ける行為を、1人で行うことができず、粘着テープTを押さえ付ける者と、弾性部材101を鉄棒Pに装着する者の2人で行っていたのである。
【0017】
また、弾性部材101の内周壁側の切り込み102Aに沿って粘着テープTを貼り着ける行為を、粘着テープTを押さえ付ける者と、弾性部材101を鉄棒Pに宛がう者の2人で行った場合であっても、粘着テープTの位置がずれてしまい、弾性部材101の内周壁側の切り込み102Aに跨るようにして、当該切り込み102Aに沿って粘着テープTを貼り着けることができない事態が生じていた。
【0018】
そして、弾性部材101の内周壁側の切り込み102Aに沿って粘着テープTをうまく貼り着けることができるまで、この様な行為を繰り返し行って、結果として粘着テープTを浪費してしまう事態が生じていた。
【0019】
そこで、本発明は如上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、鉄棒に装着する弾性部材の内周壁側の切り込みに沿って、粘着テープを容易に貼り着けることができ、また、必要以上の粘着テープを浪費することのない、鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、円筒状の弾性部材の長手方向に沿って切り込みを設け、この切り込みを介して、鉄棒を被覆するように弾性部材を鉄棒に回転可能に装着する鉄棒練習具において、弾性部材の内周壁側の切り込みに沿って粘着テープを貼り着けるための鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置であり、該鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置は、巻物状粘着テープのホルダーと、ホルダーの下部において水平方向に延設したアームにより構成され、巻物状粘着テープのホルダーは、所定の基板と、基板の上面側に設けた巻物状粘着テープの保持部と、基板の下面側に設けたクリップ状の鉄棒挟持部により構成され、巻物状粘着テープの保持部は、基板の上面側に所定の間隔を開けて左右の側壁を立設し、両側壁間に巻物状粘着テープを回転可能に支持する軸部を備え、アームは、平行に配置した2本の棒状体を、ホルダーの基板に進退自在に取り付けて構成し、2本の棒状体の先端部間に、引き出された粘着テープの先端部を一時的に固定する仮止め部を設けていることで、上述した課題を解決した。
【0021】
また、巻物状粘着テープのホルダーは、保持部の軸部により、巻物状粘着テープの粘着面を上側に向けた状態で、粘着テープを引き出すことができるように巻物状粘着テープを支持していることで、同じく上述した課題を解決した。
【0022】
さらに、アームを構成する2本の棒状体は、ホルダーから離脱できることで、同じく上述した課題を解決した。
【0023】
また、巻物状粘着テープのホルダーが、クリップ状の鉄棒挟持部を介して、鉄棒に取り付けられている状態において、アームの仮止め部に粘着テープの先端部を一時的に固定し、粘着テープを引き出しながら2本の棒状体を側方に向けて突出させてからアームをホルダーから離脱させ、粘着テープを鉄棒に沿うように配置することで、同じく上述した課題を解決した。
【0024】
加えて、保持部を構成する左右の側壁において、一方の側壁に軸部を固定し、他方の側壁の下端部を、所定のヒンジ部を介して基板に取り付けて、他方の側壁が基板において傾倒可能であることで、同じく上述した課題を解決した。
【0025】
また、他方の側壁の下端部と基板の間に、他方の側壁が起立した状態を維持する操作部を備えていることで、同じく上述した課題を解決した。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置は、円筒状の弾性部材の長手方向に沿って切り込みを設け、この切り込みを介して、鉄棒を被覆するように弾性部材を鉄棒に回転可能に装着する鉄棒練習具において、弾性部材の内周壁側の切り込みに沿って、粘着テープを容易に貼り着けることができる。
【0027】
即ち、鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置は、巻物状粘着テープのホルダーと、ホルダーの下部において水平方向に延設したアームにより構成され、巻物状粘着テープのホルダーは、所定の基板と、基板の上面側に設けた巻物状粘着テープの保持部と、基板の下面側に設けたクリップ状の鉄棒挟持部により構成されていることから、巻物状粘着テープのホルダーを、鉄棒挟持部を介して、誰もが簡単に鉄棒に取り付けることができる。
【0028】
そして、巻物状粘着テープの保持部は、基板の上面側に所定の間隔を開けて左右の側壁を立設し、両側壁間に巻物状粘着テープを回転可能に支持する軸部を備えているので、この軸部を介して、保持部に巻物状粘着テープを確実に保持することができる。
【0029】
また、アームは、平行に配置した2本の棒状体により構成され、2本の棒状体は、ホルダーの基板に進退自在に取り付けられ、2本の棒状体の先端部間に、引き出された粘着テープの先端部を一時的に固定する仮止め部を設けていることから、巻物状粘着テープのホルダーを鉄棒に取り付けている状態において、粘着テープの先端部を仮止め部に固定し、アーム(2本の棒状体)を側方に向けて突出させることにより、アーム(2本の棒状体)を鉄棒に沿うように配置できる。このとき、粘着テープも引き出されて、粘着テープも鉄棒に沿うように配置できる。
【0030】
さらに、巻物状粘着テープのホルダーは、保持部の軸部により、巻物状粘着テープの粘着面を上側に向けた状態で、粘着テープを引き出すことができるように巻物状粘着テープを支持していることから、鉄棒に沿うように配置した粘着テープも、粘着面を上側に向けた状態となっている。
【0031】
そして、アームを構成する2本の棒状体は、ホルダーから離脱できることから、アームを介して粘着テープを所定の長さに引き出した後、アームを構成する2本の棒状体をホルダーから離脱させ、2本の棒状体の基端部側を下方に向けて移動させて、鉄棒に直交するような状態とする。
【0032】
このとき、2本の棒状体は、粘着テープを引き出して鉄棒に沿うように配置していると共に、当該2本の棒状体の先端部間に配置している粘着テープの仮止め部が鉄棒に当たって、2本の棒状体が鉄棒に吊り下げられた様な状態となる。
【0033】
そして、鉄棒に沿うように配置されている粘着テープにおいて、仮止め部の近傍とホルダーの近傍のそれぞれを、所定の挟持部材を用いて粘着テープを鉄棒に押し付けるように挟み込んで、粘着テープを鉄棒に仮止めする。
【0034】
この様に、本発明に係る鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置を使用することにより、粘着面を上側に向けた状態を維持しながら、粘着テープを鉄棒に沿うように確実に配置できるのである。また、粘着テープが螺旋状等にまるまって落下したり、鉄棒に絡まってしまう事態の発生も確実に防止できることとなる。
【0035】
この様に、粘着面を上側に向けた状態で、鉄棒に沿うように配置されている粘粘着テープ部分に、弾性部材を宛がう。
【0036】
具体的には、切り込み102に沿って弾性部材101を若干開いた状態とし、弾性部材101の開口部を上側にした状態で、鉄棒Pの下側から弾性部材101を鉄棒Pに宛がい、弾性部材101の内部に鉄棒Pを収容するようにして、鉄棒Pに弾性部材101を装着する。
【0037】
この状態で、弾性部材101の開口部を閉じ、弾性部材101を上側から手で握って、下方に向けて押し付けて、弾性部材101の内周壁側の切り込み102A部分を粘着テープTに押し付けることにより、弾性部材101の内周壁側の切り込み102Aに跨るようにして、当該切り込み102Aに沿って粘着テープを確実に貼り着けることができる。
【0038】
その後は、弾性部材の両端部から突出している粘着テープを、それぞれ切断することにより、巻物状粘着テープのホルダーと、ホルダーから離脱している2本の棒状体を鉄棒から撤去する。
【0039】
この様に、本発明に係る鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置を使用することにより、誰もが簡単に、弾性部材の内周壁側の切り込みに沿って粘着テープを貼り着けることができる。
【0040】
また、弾性部材の内周壁側の切り込みに沿って粘着テープを貼り着ける行為を、1人で行うことができる。
【0041】
さらに、鉄棒に配置した粘着テープの位置がずれることが無く、弾性部材の内周壁側の切り込みに沿って粘着テープを確実に貼り着けることができることから、粘着テープを貼り着ける行為を繰り返し行う必要が無く、粘着テープの浪費も防止できる。
【0042】
この他、鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置においては、保持部を構成する左右の側壁において、一方の側壁に軸部を固定し、他方の側壁の下端部を、所定のヒンジ部を介して基板に取り付けて、他方の側壁が基板において傾倒可能であることから、必要に応じて他方の側壁を傾倒させて、巻物状粘着テープを交換したり、補充することができる。
【0043】
また、他方の側壁の下端部と基板の間に、他方の側壁が起立した状態を維持する操作部を備えていることから、ホルダーに、巻物状粘着テープを確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】巻物状粘着テープのホルダーと、ホルダーの下部において水平方向に延設したアームにより構成されている、鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置の構成を示す斜視図である。
【図2】巻物状粘着テープのホルダーにおいて、粘着テープの保持部を構成する一方の側壁を傾倒させている状態を示す斜視図である。
【図3】ホルダーの操作部の構成を示すもので、(a)は操作杆の操作片を保持部を構成する筒状部分の下方の横溝に係合させて、操作杆の先端部側を下方に向けて突出させて受け部の筒状部分に挿入し、側壁が起立した状態が維持している状態を示す斜視図、(b)は操作杆の操作片を保持部を構成する筒状部分の上方の横溝に係合させて、操作杆の先端部側を受け部の筒状部分から引き抜いて、側壁が傾倒できる状態を示す斜視図、(c)は基板において側壁が傾倒した状態を示す側面図である。
【図4】鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置を、鉄棒に取り付ける状態を示す分解斜視図である。
【図5】鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置を、鉄棒に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】アーム(2本の棒状体)を側方に向けて突出させ、粘着面を上側に向けた状態の粘着テープを鉄棒に沿うように配置すると共に、アーム(2本の棒状体)をホルダーから離脱させた状態を示す斜視図である。
【図7】アーム(2本の棒状体)が、鉄棒を跨ぐようにして鉄棒に吊り下げられている状態を示す斜視図である。
【図8】鉄棒に沿うように配置されている粘着テープにおいて、仮止め部の近傍とホルダーの近傍のそれぞれを、所定の挟持部材を用いて挟み込んでいる状態を示す斜視図である。
【図9】粘着面を上側に向けた状態で、鉄棒に沿うように配置されている粘着テープ部分に、弾性部材を装着した状態を示す斜視図である。
【図10】弾性部材の両端部から突出している粘着テープ部分を、カッター等を用いてそれぞれ切断している状態を示す斜視図である。
【図11】巻物状粘着テープのホルダーと、ホルダーから離脱しているアーム(2本の棒状体)を、鉄棒から撤去している状態を示す斜視図である。
【図12】鉄棒練習具である円筒状の弾性部材を、鉄棒に回転可能に装着している状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
【0046】
本発明に係る鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置1は、鉄棒Pに鉄棒練習具100を取り付ける際に使用されるものである。
【0047】
鉄棒練習具100は、図12に示すように、円筒状の弾性部材101の長手方向に沿って切り込み102を設け、この切り込み102を介して、鉄棒Pを被覆するように弾性部材101を鉄棒Pに回転可能に装着している。
【0048】
本発明に係る鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置1は、この鉄棒練習具100において、弾性部材101の内周壁側の切り込み102Aに沿って、粘着テープTを貼り着けるものである。このとき、図12に示す粘着テープTの粘着面は、鉄棒Pの周面を背にした外側に配置されており、弾性部材101の内周壁側の切り込み102Aに跨るようにして、当該切り込み102Aに沿って貼り着けられている。
【0049】
本発明に係る鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置1は、図1に示すように、巻物状粘着テープT1のホルダー2と、ホルダー2の下部において水平方向に延設したアーム3により構成されている。
【0050】
巻物状粘着テープT1のホルダー2は、図1に示すように、所定の厚みを有する長方形状の基板4と、基板4の上面側に設けた巻物状粘着テープT1の保持部5と、基板4の下面側に設けたクリップ状の鉄棒挟持部6により構成されている。この巻物状粘着テープT1のホルダー2は、図5・図6に示すように、クリップ状の鉄棒挟持部6を介して、鉄棒Pに取り付けられる。
【0051】
巻物状粘着テープT1の保持部5は、図1に示すように、基板4において所定の間隔を開けて左右の側壁5A・5Bを立設し、両側壁5A・5B間に巻物状粘着テープT1を回転可能に支持する軸部7を備えている。両側壁5A・5Bは、縦長の矩形状に形成され、上方部分が略半円状に形成されている。
【0052】
また、巻物状粘着テープT1の保持部5は、軸部7により、巻物状粘着テープT1の粘着面を上側に向けた状態で、粘着テープTを引き出すことができるように、巻物状粘着テープT1を支持している。
【0053】
巻物状粘着テープT1の保持部5を構成する左右の側壁5A・5Bにおいて、一方の側壁5Aは、図1・図2に示すように、基板4に対して立設した状態を維持するように、基板4に固定されている。この側壁5Aは、基板4の側面に立設状に固定されている。
【0054】
これに対し、他方の側壁5Bは、その下端部を、所定のヒンジ部8を介して基板4に取り付けて、基板4において傾倒可能となっている。具体的には、図1に示すように、基板4の上面に他方の側壁5Bを載置した状態で、基板4の側面と側壁5Bに跨るように所定のヒンジ部8を固定している。そして、側壁5Bは、図2に示すように、基板4の外側に向けて傾倒可能となっている。
【0055】
巻物状粘着テープT1の保持部5を構成する左右の側壁5A・5B間には、巻物状粘着テープT1を回転可能に支持する軸部7を備えているが、この軸部7は、図2に示すように、その基端部が側壁5Aに固定されている。
【0056】
軸部7は、所定の長さの筒状に形成され、その周壁面に複数本の切り込み7aを設けている。また、軸部7の先端部は、立設している側壁5Bに係合している。
【0057】
側壁5Bは、図2に示すように、上方部分に円孔9が設けられている。そして、側壁5Bが立設したときに、図1に示すように、側壁5Bの円孔9が、筒状の軸部7の先端部に宛がわれ、軸部7の先端部が円孔9内に進入して、軸部7の先端部が側壁5Bの円孔9に係合するのである。
【0058】
この他、側壁5Bの下端部と基板4の間には、側壁5Bが起立した状態を維持する操作部10を備えている。
【0059】
操作部10は、図1に示すように、ヒンジ部8に隣接するように配置されている。この操作部10は、図3(A)に示すように、側壁5Bの下端部に設けている操作杆11の保持部12と、基板4の側面に設けている受け部13により構成されている。受け部13は、操作杆11の先端部側を挿入する部分である。
【0060】
操作杆11は、所定の長さの円柱状に形成され、その周面に操作片14を備えている。
【0061】
保持部12は、操作杆11を上下に移動できるように収容するもので、操作杆11の先端部側が、下方に向けて突出できる筒状部分15を備えている。また、この筒状部分15には、所定の長さの縦溝16と、縦溝16の上下にそれぞれ連設している短尺な横溝17・18を設けている。この縦溝16と短尺な横溝17・18は、操作杆11における操作片14の移動を許容している部分である。
【0062】
そして、操作杆11の操作片14を、保持部12を構成する筒状部分15の下方の横溝18に係合させたとき、図3(A)に示すように、操作杆11の先端部側が、下方に向けて突出した状態となる。また、操作杆11の操作片14を、上方の横溝17に係合させたとき、図3(B)に示すように、操作杆11の先端部側は、筒状部分15の内部に退避した状態となる。
【0063】
受け部13は、操作杆11の操作片14を下方の横溝18に係合させて、突出している操作杆11の先端部側を挿入する筒状部分19を備えている。そして、図3(A)に示すように、操作杆11の操作片14を下方の横溝18に係合させて、突出している操作杆11の先端部側を受け部13の筒状部分19に挿入したとき、図1に示すように、側壁5Bの起立した状態が維持される。
【0064】
また、図3(B)に示すように、操作杆11の先端部側が、筒状部分15の内部に退避し、操作杆11の先端部側が受け部13の筒状部分19から引き抜かれたとき、図2・図3(C)に示すように、側壁5Bが基板4の外側に向けて傾倒できる状態となる。
【0065】
この様に、側壁5Bが基板4の外側に向けて傾倒した状態において、図2に示すように、立設している状態の側壁5Aに固定されている軸部7に、巻物状粘着テープT1を装着する。そして、図4に示すように、側壁5Bを立設させて、軸部7の先端部を、側壁5Bの円孔9に係合させる。このとき、巻物状粘着テープT1は、その粘着面を上側に向けた状態で、粘着テープTを引き出すことができるように装着されている。
【0066】
巻物状粘着テープT1のホルダー2から、水平方向に延設したアーム3は、図1・図2に示すように、平行に配置した2本の棒状体3A・3Bにより構成されている。2本の棒状体3A・3Bは、ホルダー2の基板4に進退自在に取り付けられており、鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置1の使用時に、2本の棒状体3A・3Bが、ホルダー2の側方に向けて突出するようになっている。
【0067】
この2本の棒状体3A・3Bの基端部側は、ホルダー2の基板4上において、所定の間隔を開けて固定されているガイド部20に収容されている。このガイド部20は、棒状体3A・3Bが水平方向に移動できるように、棒状体3A・3Bの基端部側を収容する所定の長さの筒状に形成されている。
【0068】
また、棒状体3A・3Bの基端部側は、ガイド部20を通過して、ホルダー2から離脱できるようになっている。
【0069】
さらに、2本の棒状体3A・3Bの先端部側には、引き出された粘着テープTの先端部を、一時的に固定する仮止め部22を設けている。
【0070】
仮止め部22は、図1・図2に示すように、操棒状体3A・3Bの先端部に固定した矩形状の板部材23と、この板部材23間に取り付けた掛架片24と、掛架片24上に固定したクリップ状の挟持部25により構成されている。
【0071】
掛架片24は、柔軟性を有する部材により形成されている。また、クリップ状の挟持部25は、引き出された粘着テープTの先端部を挟み込んで、一時的に固定するものである。これらの掛架片24の取り付けや、挟持部25の固定は、例えば、ネジ止め等の手段を用いる。
【0072】
以下に、鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置1について、使用の一例を説明する。
【0073】
まず、図4に示すように、ホルダー2に、粘着面を上側に向けた状態で巻物状粘着テープT1が装着されている粘着テープ貼着装置1において、アーム3(棒状体3A・3B)の仮止め部22を、ホルダー2側に移動させておく。この状態において、粘着面を上側に向けた状態を維持しながら巻物状粘着テープT1から粘着テープTを引き出し、粘着テープTの先端部を、仮止め部22の挟持部25により挟み込んで一時的に固定する。
【0074】
次に、図5に示すように、クリップ状の鉄棒挟持部6により鉄棒Pを挟み込んで、鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置1を鉄棒Pに取り付ける。
【0075】
次に、図1(図6)に示すように、アーム3(棒状体3A・3B)を側方に向けて突出させて、アーム3(棒状体3A・3B)を鉄棒Pに沿うように配置する。このとき、粘着テープTも引き出されて、粘着面を上側に向けた状態で粘着テープTが鉄棒Pに沿うように配置される。
【0076】
そして、図6に示すように、アーム3を構成する2本の棒状体3A・3Bを、ホルダー2のガイド部20から離脱させ、図7に示すように、2本の棒状体3A・3Bの基端部側を下方に向けて移動させて、鉄棒Pに直交するような状態とする。
【0077】
このとき、2本の棒状体3A・3Bは、粘着テープTを引き出して鉄棒Pに沿うように配置していると共に、当該2本の棒状体3A・3Bの先端部間に配置している粘着テープTの仮止め部22における掛架片24が鉄棒Pに上方から当たって、2本の棒状体3A・3Bが、鉄棒Pを跨ぐようにして鉄棒Pに吊り下げられる。
【0078】
次に、図8に示すように、鉄棒Pに沿うように配置されている粘着テープTにおいて、仮止め部22の近傍とホルダー2の近傍のそれぞれを、所定の挟持部材30を用いて粘着テープTを鉄棒Pに押し付けるように挟み込んで、粘着テープTを鉄棒Pに仮止めする。
【0079】
次に、図9に示すように、粘着面を上側に向けた状態で、鉄棒Tに沿うように配置されている粘着テープT部分に、弾性部材101を宛がう。
【0080】
具体的には、切り込み102に沿って弾性部材101を若干開いた状態とし、弾性部材101の開口部を上側にした状態で、鉄棒Pの下側から弾性部材101を鉄棒Pに宛がい、弾性部材101の内部に鉄棒Pを収容するようにして、鉄棒Pに弾性部材101を装着する。
【0081】
この状態で、弾性部材101の開口部を閉じ、弾性部材101を上側から手で握って、下方に向けて押し付けて、弾性部材101の内周壁側の切り込み102A部分を粘着テープTに押し付けることにより、弾性部材101の内周壁側の切り込み102Aに跨るようにして、当該切り込み102Aに沿って粘着テープを確実に貼り着ける。
【0082】
次に、図10に示すように、弾性部材10の両端部から突出している粘着テープT部分を、カッター40等を用いてそれぞれ切断する。
【0083】
最後に、図11に示すように、巻物状粘着テープT1のホルダー2と、ホルダー2から離脱している2本の棒状体3A・3Bを、鉄棒Pから撤去する。
【0084】
そして、図12に示すように、鉄棒練習具100は、弾性部材101の内周壁側の切り込み102Aに沿って粘着テープTが貼り着けられて、鉄棒Pに回転可能に装着されるのである。
【0085】
尚、本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での改良・変形等は、本発明に全て包含されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、鉄棒に弾性部材を装着する際に使用される以外に、例えば、フェンスの手摺等に、安全用の把持部として、弾性部材を装着する際に使用する等、様々な分野において幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1…鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置
2…ホルダー
3…アーム
3A…棒状体
3B…棒状体
4…基板
5…保持部
5A…側壁
5B…側壁
6…鉄棒挟持部
7…軸部
7a…切り込み
8…ヒンジ部
9…円孔
10…操作部
11…操作杆
12…保持部
13…受け部
14…操作片
15…筒状部分
16…縦溝
17…横溝
18…横溝
19…筒状部分
20…ガイド部
22…仮止め部
23…板部材
24…掛架片
25…挟持部
30…挟持部材
40…カッター

P…鉄棒
T…粘着テープ
T1…巻物状粘着テープ

100…鉄棒練習具
101…弾性部材
102…切り込み
102A…内周壁側の切り込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の弾性部材の長手方向に沿って切り込みを設け、この切り込みを介して、鉄棒を被覆するように弾性部材を鉄棒に回転可能に装着する鉄棒練習具において、弾性部材の内周壁側の切り込みに沿って粘着テープを貼り着けるための鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置であり、
該鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置は、
巻物状粘着テープのホルダーと、ホルダーの下部において水平方向に延設したアームにより構成され、
巻物状粘着テープのホルダーは、所定の基板と、基板の上面側に設けた巻物状粘着テープの保持部と、基板の下面側に設けたクリップ状の鉄棒挟持部により構成され、
巻物状粘着テープの保持部は、基板の上面側に所定の間隔を開けて左右の側壁を立設し、両側壁間に巻物状粘着テープを回転可能に支持する軸部を備え、
アームは、平行に配置した2本の棒状体を、ホルダーの基板に進退自在に取り付けて構成し、2本の棒状体の先端部間に、引き出された粘着テープの先端部を一時的に固定する仮止め部を設けていることを特徴とする、鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置。
【請求項2】
巻物状粘着テープのホルダーは、保持部の軸部により、巻物状粘着テープの粘着面を上側に向けた状態で、粘着テープを引き出すことができるように巻物状粘着テープを支持している請求項1に記載の鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置。
【請求項3】
アームを構成する2本の棒状体は、ホルダーから離脱できる請求項1または2に記載の鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置。
【請求項4】
巻物状粘着テープのホルダーが、クリップ状の鉄棒挟持部を介して、鉄棒に取り付けられている状態において、アームの仮止め部に粘着テープの先端部を一時的に固定し、粘着テープを引き出しながら2本の棒状体を側方に向けて突出させてからアームをホルダーから離脱させ、粘着テープを鉄棒に沿うように配置する請求項1乃至3のいずれかに記載の鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置。
【請求項5】
保持部を構成する左右の側壁において、一方の側壁に軸部を固定し、他方の側壁の下端部を、所定のヒンジ部を介して基板に取り付けて、他方の側壁が基板において傾倒可能である請求項1乃至4のいずれかに記載の鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置。
【請求項6】
他方の側壁の下端部と基板の間に、他方の側壁が起立した状態を維持する操作部を備えている請求項1乃至5のいずれかに記載の鉄棒練習具用の粘着テープ貼着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−85745(P2012−85745A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233800(P2010−233800)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(500455331)