説明

鉄砲型の薬液噴霧作業竿

【課題】部品点数が少なく、容易に組み立てることができる軽量な薬液噴霧作業竿を提供する。
【解決手段】竿本体(20)の先端部から一定角度(θ)だけ屈曲するヘ字状ノズルヘッド(22)へ、ノズル孔(28)が開口するディスクプレート(26)と円周面に一対の螺旋凹溝(30)が切り欠かれた割り中子(27)とから成る薬液噴霧ノズル(N)を組み込み設置すると共に、そのノズルの割り中子に嵌合された中子芯(54)の進退操作ロッド(50)を、上記竿本体の手元部からグリップハンドル(46)の回動操作により進退移動させて、上記ディスクプレートのノズル孔から射出される薬液の噴霧状態を、遠方への細い棒状と広角度な中空の円錐状に切り換え調整し得る薬液噴霧作業竿において、上記中子芯の基端部とその進退操作ロッドの先端部とを、上記ノズルヘッドに沿って自づと屈曲し得る一定長さのフレキシブル先導ノーズ(53)により連結一本化した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動力噴霧機と接続して手持ち使用する鉄砲型の薬液噴霧作業竿に関する。
【背景技術】
【0002】
図15、16のような一定長さを有する薬液導入用竿本体(1)の先端部に、一定角度(θ)だけ屈曲するヘ字状のノズルヘッド(2)がハンダ付けされた鉄砲型の薬液噴霧作業竿は公知である。
【0003】
そして、これではノズル孔(3)を有する薄肉なディスクプレート(4)と、張り出しフランジ部(5a)の円周面に向かい合う一対の螺旋凹溝(6)を切り欠いた割り中子(弁体)(5)とから成る薬液噴霧機ノズル(N)が、上記ノズルヘッド(2)の先端部へ直かに組み込み設置されており、そのノズル(N)における渦室(S)の奥行を上記竿本体(1)の手元側からグリップハンドル(7)の回動操作度合いにより、深く又は浅く調整して、そのノズル孔(3)から射出される薬液の噴霧状態を、遠方への細い棒状と広く拡散する中空の円錐状に切り換えることができるようになっている。
【0004】
そのために必要な構成として、割り中子(5)の胴筒部(5b)と嵌合する中子芯(弁棒)(8)が、上記ノズルヘッド(2)の先端側から差し込まれており、これにはリターンバネ(圧縮コイルバネ)(9)の付勢力が与えられている一方、その弾圧付勢力に抗して中子芯(8)を押し進める芯棒(10)が、上記竿本体(1)の手元側から差し込まれた上、その芯棒(10)と中子芯(8)との別個な一対が上記ノズルヘッド(2)の屈曲した内部において、円錐面(8a)(10a)同志での点接触する状態に維持されている。
【0005】
この点、図17に示した別な鉄砲型の薬液噴霧作業竿では、上記中子芯(弁棒)(8)が長く、これを被覆する一定長さの延長ノズル口金(11)が、ノズルヘッド(2)の先端部から張り出し延長されているけれども、そのリターンバネ(9)の付勢力を受けた中子芯(8)と、これを進退させる芯棒(10)との別個な一対がノズルヘッド(2)の屈曲した内部において、その円錐面(8a)(10a)同志での点接触する状態を保っていることに変りはない。尚、(12)は長い中子芯(8)の振れ止めリング、(13)は上記ノズルヘッド(2)又はその延長ノズル口金(11)の先端部に螺合締結されたノズルキャップ(袋ナット)である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、このような一定角度(θ)だけ屈曲したノズルヘッド(2)を有する従来の薬液噴霧作業竿では、そのノズルヘッド(2)に薬液の迂回流路(14)を造形する必要がある関係上、これを砲金(黄銅)から特別に鋳造するほかなく、上記中子芯(8)と芯棒(10)に各々円錐面(8a)(10a)を張り出し形成しなければならないこととも相俟って、上記ノズルヘッド(2)がいたづらに重量化し、薬液噴霧作業竿として軽快に手持ち使用することができない。
【0007】
又、上記中子芯(8)とこれを進退させる芯棒(10)との別個な一対や、その中子芯(8)のリターンバネ(9)、長い中子芯(8)の振れ止めリング(12)などを製作準備する必要があって、部品点数が非常に多くなり、しかも中子芯(8)とそのリターンバネ(9)をノズルヘッド(2)又は延長ノズル口金(11)の先端側から深く差し込む一方、芯棒(10)を逆な竿本体(1)の手元側から、ノズルヘッド(2)まで深く差し込まなければならないので、その組立作業も甚だ煩らわしく、薬液噴霧作業竿の量産効果を最大限に発揮させることができない。
【0008】
更に、薬液がノズルヘッド(2)の迂回流路(14)を迂回するようになっているため、その流通の円滑性に劣り、それだけ動力噴霧機の圧力損失が大きくなるほか、中子芯(8)のリターンバネ(9)に抗して、その中子芯(8)を芯棒(10)により押し進める必要がある関係上、その手元側からの操作も軽く円滑に行ない難い。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はこのような課題の改良を目的としており、その目的を達成するために、請求項1の構成では薬液導入用竿本体の先端部から一定角度だけ屈曲するヘ字状ノズルヘッドへ、ノズル孔が開口するディスクプレートと円周面に一対の螺旋凹溝が切り欠かれた割り中子とから成る薬液噴霧ノズルを組み込み設置すると共に、
【0010】
そのノズルの割り中子に嵌合された中子芯の進退操作ロッドを、上記竿本体の手元部からグリップハンドルの回動操作により進退移動させて、上記ディスクプレートのノズル孔から射出される薬液の噴霧状態を、遠方への細い棒状と広角度な中空の円錐状に切り換え調整し得る鉄砲型の薬液噴霧作業竿において、
【0011】
上記中子芯の基端部とその進退操作ロッドの先端部とを、上記ノズルヘッドに沿って自づと屈曲し得る一定長さのフレキシブル先導ノーズにより連結一本化したことを特徴とする。
【0012】
又、請求項2の構成ではノズルヘッドを竿本体と別個に造形したエルボとして、その竿本体の先端部へ固着一体化すると共に、
【0013】
そのノズルヘッドの先端部に螺合締結したノズル口金の内部へ、薬液噴霧ノズルを組み込み設置したことを特徴とする。
【0014】
請求項3の構成では竿本体の先端部を一定角度のヘ字状ノズルヘッドとして連続的に曲げ加工すると共に、
【0015】
そのノズルヘッドの先端部に螺合締結したノズル口金の内部へ、薬液噴霧ノズルを組み込み設置したことを特徴とする。
【0016】
請求項4の構成では進退操作ロッドを真鋳棒とする一方、フレキシブル先導ノーズをステンレス鋼線から密巻きされたコイルバネとして、
【0017】
そのフレキシブル先導ノーズの切り離し先端部を中子芯の基端部へ、同じく先導ノーズの切り離し基端部を上記進退操作ロッドの先端部へ各々固着一体化したことを特徴とする。
【0018】
請求項5の構成では進退操作ロッドを真鋳管として、その両端部へ先導ノーズ受け金具と操作ロッド受け金具とを各々施栓状態に固着一体化する一方、フレキシブル先導ノーズをステンレス鋼線から密巻きされたコイルバネとして、
【0019】
そのフレキシブル先導ノーズの切り離し先端部を中子芯の基端部へ、同じく先導ノーズの切り離し基端部を上記先導ノーズ受け金具の先端部へ各々固着一体化したことを特徴とする。
【0020】
更に、請求項6の構成では竿本体の手元部へ一定長さの縒り戻し管を継ぎ足し状態に被着一体化させて、その縒り戻し管の中空内部へ手元側からグリップハンドルの回動ハンドル軸を差し込む一方、
【0021】
上記縒り戻し管の円周面へ動力噴霧機と着脱自在に接続使用されるホース継手を、その360度の回動自由に差し込み套嵌させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の上記構成によれば、薬液噴霧ノズルの割り中子に嵌合される中子芯と、グリップハンドルの回動操作により進退移動される中子芯用進退操作ロッドとが、一定角度のヘ字状ノズルヘッドに沿って自づと屈曲し得る一定長さのフレキシブル先導ノーズを介して連結一本化されているため、図15〜17に示した従来品の中子芯とこれを進退操作する芯棒との別個な一対や、その中子芯に付勢力を与えるリターンバネ、特別の長い中子芯とその振れ止めリングなどが悉く不要となり、組立部品点数を大幅に節減でき、薬液噴霧作業竿の量産効果が著しく向上する。
【0023】
しかも、上記中子芯とこれを支持するフレキシブル先導ノーズ並びにその進退操作ロッドは、連続的な一本物をなすため、これを竿本体の手元側から差し込んで、一定角度だけ屈曲したノズルヘッドに沿って円滑に押し進めることができ、その押し進められた中子芯へ先端側から、薬液噴霧ノズルの割り中子を差し込み嵌合させれば足り、その組立作業もすばやく簡便に行なえる効果がある。
【0024】
又、上記中子芯とそのフレキシブル先導ノーズ並びに進退操作ロッドが、竿本体からノズルヘッドを経てノズル口金まで差し込み延長されたとしても、薬液はその中空内部を支障なく円滑に流通し得るため、そのノズルヘッドに従来品のような薬液の迂回流路を特別に形成する必要がなく、請求項2に記載のエルボ(管継手)として、その基端部を竿本体の先端部へ固着一体化することができ、その単純なエルボとして造形されたノズルヘッドにより、薬液噴霧作業竿を著しく軽量化し得る効果がある。
【0025】
特に、請求項3の構成を採用するならば、エルボとして造形された別個なノズルヘッドと、その竿本体に対する固着作業も不要となる。その竿本体の先端部をヘ字状のノズルヘッドとして一連に曲げ加工することにより、薬液噴霧作業竿をますます軽量化でき、その使いやすさも向上する。
【0026】
しかも、上記ノズルヘッドの先端部へ図1〜10のような比較的短かいノズル口金と、図11のような長いノズル口金とを互換的に螺合締結すると共に、中子芯とその進退操作ロッドは兼用して、その相互間へ上記ノズル口金の長さと対応するフレキシブル先導ノーズを介挿一体化させることにより、互いに異なる2種の薬液噴霧作業竿を容易に得られる効果もある。
【0027】
請求項4の構成を採用するならば、上記フレキシブル先導ノーズをテンレス鋼線から密巻きされたコイルバネとして、その一定長さの両端部を真鋳棒から成る進退操作ロッドの先端部と、中子芯の基端部へ直かに安定良く固着一体化することができ、ノズルヘッドに沿うフレキシブル先導ノーズの滑らかな屈曲性や、薬液に対する耐腐蝕性などを向上し得る効果がある。
【0028】
又、請求項5の構成を採用するならば、進退操作ロッドを中空の真鋳管として、薬液噴霧作業竿をますます軽量化することができ、しかもその進退操作ロッドの先端部を施栓した先導ノーズ受け金具と、中子芯との向かい合う相互間へコイルバネから成るフレキシブル先導ノーズを、安定良く強固に介挿一体化し得るのであり、耐用性も向上する。
【0029】
更に、請求項6の構成を採用するならば、竿本体の手元部へ継ぎ足し状態に被着一体化された縒り戻し管を中心として、ホース継手が360度の自由自在に回動するため、そのホース継手を長いフレキシブルホースにより動力噴霧機と接続使用しても、そのフレキシブルホースが竿本体やグリップハンドルなどへ絡らみ付くおそれはなく、薬液噴霧作業を安心して軽快に行なる効果があり、作業性の向上に役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、先ず図1〜10は本発明の第1実施形態として、図15、16の従来品と対応する鉄砲型の薬液噴霧作業竿を示している。(20)は一定な長さ(例えば約650mm)と直径(例えば約12.7mm)の竿本体であって、ストレートな真鋳管から成り、その中途部には硬質な合成樹脂製のグリップカバー(21)が挟み付け一体化されている。
【0031】
(22)はその竿本体(20)の先端部へ差し込み套嵌された上、ハンダ付けやロウ付けなどにより固着一体化されたノズルヘッドであるが、これは図3〜5のような真鋳から鍛造されたエルボ(管継手)として、一定な角度(θ)(例えば約135度の鈍角)と長さ(例えば中心線上での約47mm)のヘ字状に屈曲しており、その基端部の口径が竿本体(20)のそれと同じ無段差に合致連通している一方、残る先端部の円周面には雄ネジ(23)が刻設されている。
【0032】
又、(24)はこのようなエルボとして造形されたノズルヘッド(22)の上記雄ネジ(23)へ、接着剤を介して締結一体化されたノズル口金であって、先太り拡開する比較的短かい(例えば約30mmの長さ)ほぼ漏斗型をなし、その先端部には薬液噴霧ノズル(N)が組み込み設置されている。(25)はそのノズル(N)を抜け止め状態に保つノズルキャップ(袋ナット)であり、上記ノズル口金(24)の先端部へ着脱自在に螺合締結されている。
【0033】
茲に、薬液噴霧ノズル(N)は薄肉なステンレス鋼板のディスクプレート(26)と、図6のような弁体として機能するほぼ倒立T字状の真鋳製割り中子(27)とから成り、そのディスクプレート(26)の中心には小さなノズル孔(28)が開口している。
【0034】
これに対して、割り中子(27)の径小な胴筒部(27b)には十文字状の割り溝(29)が切り欠かれているほか、その胴筒部(27b)の先端から張り出す径大なフランジ部(27a)の円周面には、向かい合う一対の螺旋凹溝(30)が切り欠かれてもいる。
【0035】
そして、薬液を上記ノズル口金(24)の内部から胴筒部(27b)の中心口(31)のみならず、張り出しフランジ部(27a)の螺旋凹溝(30)を通じて、その割り中子(27)と上記ディスクプレート(26)との相互間に区成された渦室(S)へ、旋回流として導出させることもできるようになっている。(32)は上記ノズル口金(24)とそのノズルキャップ(25)との相互間を密封するOリングである。
【0036】
他方、竿本体(20)の手元部には真鋳から成る一定長さ(例えば約68mm)の縒り戻し管(33)が、継ぎ足し状態に被着一体化されており、その縒り戻し管(33)の口径も竿本体(20)のそれと同じ無段差に合致連通している。しかも、その縒り戻し管(33)における基端部の円周面には、細かいピッチの雄ネジ(34)が刻設されている。
【0037】
(35)はこのような縒り戻し管(33)の円周面へ360度の回動自由に差し込み套嵌されたほぼY字型の真鋳製ホース継手であり、その分岐した口金部(36)が図1のように適当な長さのフレキシブルホース(37)を介して、動力噴霧機(M)におけるポンプ(38)の吐出口(39)へ着脱自在に接続使用されるようになっている。
【0038】
(40)は上記ホース継手(35)を挟持する向かい合う一対のバックアップリング、(41)は上記縒り戻し管(33)の雄ネジ(34)へ締結されることにより、ホース継手(35)を抜け止め状態に保つ固定ナット、(42)はそのホース継手(35)と縒り戻し管(33)との嵌合面を密封するOリング、(43)は縒り戻し管(33)の円周面に貫通形成された薬液導入孔であり、上記動力噴霧機(M)のポンプ圧力を受けた薬液が、そのフレキシブルホース(37)並びにホース継手(35)から薬液導入孔(43)を通じて、上記竿本体(20)の中空内部へ導入されることになる。
【0039】
(44)は上記縒り戻し管(33)の中空内部へ手元側から抜き差し自在に差し込み施栓された回動ハンドル軸であって、これが縒り戻し管(33)から露出する約後半部には、その縒り戻し管(33)の上記雄ネジ(34)よりも荒いピッチの雄ネジ(45)が刻設されており、その雄ネジ(45)の基端部に硬質な合成樹脂製のグリップハンドル(46)が被着一体化されている。(47)はそのハンドル(46)の締め付け固定ナットである。
【0040】
しかも、同じく回動ハンドル軸(44)における雄ネジ(45)の中途部には元締めナット(袋ナット)(48)が締結されており、これは上記縒り戻し管(33)の雄ネジ(34)にも被着状態として締結されている。そのため、これを縒り戻し管(33)の雄ネジ(34)から、螺退操作して抜き出せば、その縒り戻し管(33)の中空内部から上記回動ハンドル軸(44)も引き抜くことができる。
【0041】
又、その元締めナット(48)を縒り戻し管(33)の雄ネジ(34)へ、螺進操作して締め上げれば、その固定状態の元締めナット(48)に対して、上記回動ハンドル軸(44)をグリップハンドル(46)の手動操作により、前後方向へ進退移動させることができ、薬液噴霧ノズル(N)における渦室(S)の奥行を深く又は浅く調整し得るのである。(49)は上記縒り戻し管(33)と回動ハンドル軸(44)との嵌合面を密封するOリングである。
【0042】
(50)はこのような回動ハンドル軸(44)の先端部へ植え付け一本化されることによって、上記竿本体(20)の中空内部に沿い延在する一定長さ(例えば約645mm)のストレートな中子芯用進退操作ロッドであり、図示の実施形態ではこれを直径:約5mmの真鋳棒として、その基端ネジ脚部(51)を上記回動ハンドル軸(44)の先端部に対応形成されたネジ孔(52)へ、接着剤を介して植え込み状態に締結一体化している。
【0043】
更に、(53)は上記単純なエルボから成るノズルヘッド(22)に沿い自づと屈曲し得る一定長さ(例えば約150mm)を備えたフレキシブル先導ノーズであって、図7に例示するような直径:約8mmに巻き曲げられたステンレス鋼線のコイルバネから成り、その切り離し基端部が上記進退操作ロッド(50)の先端部へ差し込み套嵌された上、ハンダ付けやロウ付け、接着剤などによって固着一体化されている。そのコイルバネの線径は一例として約1.5mmである。
【0044】
そして、その進退操作ロッド(50)から上記ノズル口金(24)の中空内部まで到達したフレキシブル先導ノーズ(53)の切り離し先端部は、上記薬液噴霧ノズル(N)を形作る割り中子(27)の胴筒部(27b)と嵌合することにより、その割り中子(27)の弁棒として機能する中子芯(54)へ差し込み套嵌され、且つやはりハンダ付けやロウ付け、接着剤などによって固着一体化されている。
【0045】
その場合、中子芯(弁棒)(54)の基端部は張り出し仕切りフランジ部(55)を有するピン形態として、上記フレキシブル先導ノーズ(53)の切り離し先端部を受け止め規制しているが、その張り出し仕切りフランジ部(55)はフレキシブル先導ノーズ(53)の直径よりも若干径小に寸法化されている。
【0046】
但し、図8の部分変形例に示す如く、上記中子芯(54)の進退操作ロッド(50)を直径:約8mmの真鋳管として、別個な仕切りフランジ部(56)が張り出すピン形態の操作ロッド受け金具(57)を、その進退操作ロッド(50)の基端部へハンダ付けやロウ付けなどにより、施栓状態に固着一体化すると共に、その操作ロッド受け金具(57)の基端ネジ脚部(58)を上記回動ハンドル軸(44)の対応的なネジ孔(52)へ、やはり接着剤を介して植え込み状態に締結一体化する。
【0047】
他方、上記中子芯(54)と向かい合う仕切りフランジ部(59)が対応的に張り出すピン形態の別個な先導ノーズ受け金具(60)を、同じく真鋳管から成る上記進退操作ロッド(50)の先端部へ、ハンダ付けやロウ付けなどにより施栓状態に固着一体化して、その先導ノーズ受け金具(60)の先端部へ上記フレキシブル先導ノーズ(53)の切り離し基端部を、やはりハンダ付けやロウ付けなどにより固着一体化しても良く、このような部分変形例の構成によれば、薬液噴霧作業竿を一層軽量化できる利点がある。
【0048】
尚、図示の実施形態では上記フレキシブル先導ノーズ(53)として、その長手方向(前後方向)へ伸縮しないように密巻きされた中空のコイルバネを採用しているが、上記ヘ字状のノズルヘッド(22)に沿って自づと屈曲し得るならば、軟らかい芯線へ被覆線が巻き付けられたフレキシブルワイヤー軸や、弾性変形可能な合成樹脂、そのエラストマー又はゴムから成る管棒材などを採用して、これらの基端部を上記進退操作ロッド(50)又はこれに付属する先導ノーズ受け金具(60)へ、残る先端部を上記中子芯(54)へ各々套嵌状態又は埋め込み状態に固着一体化してもさしつかえない。
【0049】
何れにしても、本発明に係る薬液噴霧作業竿の上記構成では、中子芯(弁棒)(54)とその進退操作ロッド(50)とが、一定長さのフレキシブル先導ノーズ(53)を介して連結一本化されているため、これを竿本体(20)の手元側から差し込んで、その中子芯(54)を押し進めれば、これがフレキシブル先導ノーズ(53)により、一定角度(θ)のヘ字状をなすノズルヘッド(22)に沿い自づと屈曲して、ノズル口金(24)の内部まで円滑に到達する結果、その中子芯(54)へノズル口金(24)の先端側から薬液噴霧ノズル(N)の割り中子(弁体)(27)を嵌合させ、引き続きディスクプレート(26)も差し込んで、上記ノズル口金(24)にノズルキャップ(25)を締結すれば良く、その組立作業を簡便に行なえるのであり、従来品のような中子芯(8)のリターンバネ(9)が不要となる。
【0050】
そして、果樹や農作物などの薬液噴霧作業を行なう場合には、予じめ竿本体(20)のホース継手(35)を動力噴霧機(M)の吐出口(39)へ、適当な長さのフレキシブルホース(37)により接続した上、その竿本体(20)のグリップカバー(21)とグリップハンドル(46)とを両手で握り持ち使用し、そのグリップハンドル(46)を回動操作して、上記中子芯(54)をその進退操作ロッド(50)により、図9の矢印(F)で示す方向へ押し込み前進させる。
【0051】
そうすれば、薬液噴霧ノズル(N)における渦室(S)の奥行が浅くなるため、動力噴霧機(M)のポンプ圧力を受けた薬液は、上記ノズル口金(24)の内部から割り中子(27)の螺旋凹溝(30)に基き、一方向への旋回流として渦室(S)へ導出され、その渦室(S)内での衝突した霧粒となって、ディスクプレート(26)のノズル孔(28)から広角度な中空の円錐状に噴霧されるのである。
【0052】
又、上記グリップハンドル(46)を逆方向へ回動操作して、その中子芯(54)を進退操作ロッド(50)により、図10の矢印(R)で示す方向へ引き戻し後退させれば、上記渦室(S)の奥行が深くなるため、同じくポンプ圧力を受けた薬液は、上記ノズル口金(24)の内部から割り中子(27)の割り溝(29)と中心口(31)を通じて渦室(S)へ導出され、そのディスクプレート(26)のノズル孔(28)から遠方への細い棒状に噴霧されることとなり、このような噴霧状態の切り換え調整を上記グリップハンドル(46)の回動操作度合いによって得られるわけである。
【0053】
その場合、上記中子芯(54)とこれを支持するフレキシブル先導ノーズ(53)並びにその進退操作ロッド(50)が、竿本体(20)からノズルヘッド(22)を経てノズル口金(24)まで差し込み延長されているとしても、薬液はその中空内部を一切の支障なく流通し得るため、そのノズルヘッド(22)に従来品のような薬液の迂回流路(14)を形成する必要がなく、言わば単純なエルボ(管継手)として、竿本体(20)とノズル口金(24)との相互間へ固定状態に介在させれば足り、そのノズルヘッド(22)のいたづらな重量化を予防することができ、軽快に手持ち使用して、希望の方向へ正確に薬液を噴霧し得るのである。
【0054】
しかも、薬液は竿本体(20)からノズルヘッド(22)を経てノズル口金(24)まで迂回することなく円滑に流れ、中子芯(54)とその進退操作ロッド(50)には従来品のようなリターンバネ(9)の付勢力が作用していないため、その中子芯(54)の押し込み前進操作を軽く円滑に行なえることとなる。
【0055】
次に、図11は図17の別な従来品と対応する本発明の第2実施形態を示しており、これではノズルヘッド(22)における先端部の雄ネジ(23)へ、その先端部と同じ口径での無段差に合致連通する長い(例えば約103mm)真鋳管のノズル口金(24)を、上記第1実施形態の短かいノズル口金(24)と互換的に締結一体化している。
【0056】
そして、このような長いノズル口金(24)に応じて、フレキシブル先導ノーズ(53)の一定長さも長く寸法化されているが、その先端部と固着一体化された中子芯(54)や、基端部と固着一体化された進退操作ロッド(50)は、上記第1実施形態のそれらと実質的に同一の構成として、兼用することができる。これによって、ノズル口金(24)の長短変化した薬液噴霧作業竿の2種を容易に得られるわけである。
【0057】
又、図12、13から明白なように、エルボから成るノズルヘッド(22)の基端部へ、希望の位置を握り持てる長いグリップカバー(21)や各種漏電防止器具用収納ボックス(図示省略)などの取付ベースとなる角型の廻り止めフランジ(61)も造形して、これらを廻り止め状態に取り付け得るように定めることが好ましい。
【0058】
尚、第2実施形態におけるその他の構成と作用は上記第1実施形態と実質的に同一であるため、その図11〜13に図1〜10との対応符号を記入するにどとめて、その詳細な説明を省略する。
【0059】
但し、先の第1、2実施形態ではエルボとして造形された別個なノズルヘッド(22)の基端部を、竿本体(20)の先端部へハンダ付けやロウ付けなどにより固着一体化しているが、例えば竿本体(20)として経時的にクラックが発生しない銅管やステンレス鋼管を採用する場合には、その先端部をベンディング加工やその他の塑性加工により、図14のような一定角度(θ)のヘ字状に屈曲させて、その一連に屈曲したノズルヘッド(22)の先端部へ、上記ノズル口金(24)を第1、2実施形態と同様に締結一体化することも可能であり、本発明の範疇に属する。これによれば、薬液噴霧作業竿を更に一層軽量化でき、その量産効果の向上にも役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る第1実施形態の薬液噴霧作業竿を動力噴霧機に接続した使用状態の説明図である。
【図2】図1の薬液噴霧作業竿を示す分解図である。
【図3】別個なノズルヘッドを抽出して示す側面図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】薬液噴霧ノズルの割り中子を抽出して示す斜面図である。
【図7】フレキシブル先導ノーズの連結状態を抽出して示す拡大図である。
【図8】進退操作ロッドの変形例をフレキシブル先導ノーズとの連結状態として示す拡大図である。
【図9】薬液噴霧作業竿の進退操作ロッドを前進させた状態の断面図である。
【図10】同じく進退操作ロッドを後退させた状態の断面図である。
【図11】本発明に係る薬液噴霧作業竿の第2実施形態を示す断面図である。
【図12】ノズルヘッドの変形例を示す側面図である。
【図13】図11の正面図である。
【図14】竿本体の先端部をノズルヘッドとして曲げ加工した状態の図2に対応する分解図である。
【図15】従来の薬液噴霧作業竿を示す側面図である。
【図16】図15の拡大断面図である。
【図17】従来の別な薬液噴霧作業竿を示す断面図である。
【符号の説明】
【0061】
(20)・竿本体
(21)・グリップカバー
(22)・ノズルヘッド
(24)・ノズル口金
(25)・ノズルキャップ
(26)・ディスクプレート
(27)・割り中子(弁体)
(27a)・張り出しフランジ部
(27b)・胴筒部
(28)・ノズル孔
(29)・割り溝
(30)・螺旋凹溝
(31)・中心口
(32)・Oリング
(33)・縒り戻し管
(34)・雄ネジ
(35)・ホース継手
(36)・口金部
(37)・フレキシブルホース
(38)・ポンプ
(39)・吐出口
(40)・バックアップリング
(41)・固定ナット
(42)・Oリング
(43)・薬液導入孔
(44)・回動ハンドル軸
(45)・雄ネジ
(46)・グリップハンドル
(47)・固定ナット
(48)・元締めナット
(49)・Oリング
(50)・進退操作ロッド
(51)(58)・基端ネジ脚部
(52)・ネジ孔
(53)・フレキシブル先導ノーズ
(54)・中子芯(弁棒)
(55)(56)(59)・張り出し仕切りフランジ部
(57)・操作ロッド受け金具
(60)・先導ノーズ受け金具
(61)・廻り止めフランジ
(M)・動力噴霧機
(N)・薬液噴霧ノズル
(S)・ノズルの渦室
(θ)・ノズルヘッドの屈曲角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液導入用竿本体(20)の先端部から一定角度(θ)だけ屈曲するヘ字状ノズルヘッド(22)へ、ノズル孔(28)が開口するディスクプレート(26)と円周面に一対の螺旋凹溝(30)が切り欠かれた割り中子(27)とから成る薬液噴霧ノズル(N)を組み込み設置すると共に、
そのノズル(N)の割り中子(27)に嵌合された中子芯(54)の進退操作ロッド(50)を、上記竿本体(20)の手元部からグリップハンドル(46)の回動操作により進退移動させて、上記ディスクプレート(26)のノズル孔(28)から射出される薬液の噴霧状態を、遠方への細い棒状と広角度な中空の円錐状に切り換え調整し得る鉄砲型の薬液噴霧作業竿において、
上記中子芯(54)の基端部とその進退操作ロッド(50)の先端部とを、上記ノズルヘッド(22)に沿って自づと屈曲し得る一定長さのフレキシブル先導ノーズ(53)により連結一本化したことを特徴とする鉄砲型の薬液噴霧作業竿。
【請求項2】
ノズルヘッド(22)を竿本体(20)と別個に造形したエルボとして、その竿本体(20)の先端部へ固着一体化すると共に、
そのノズルヘッド(22)の先端部に螺合締結したノズル口金(24)の内部へ、薬液噴霧ノズル(N)を組み込み設置したことを特徴とする請求項1記載の鉄砲型の薬液噴霧作業竿。
【請求項3】
竿本体(20)の先端部を一定角度(θ)のヘ字状ノズルヘッド(22)として連続的に曲げ加工すると共に、
そのノズルヘッド(22)の先端部に螺合締結したノズル口金(24)の内部へ、薬液噴霧ノズル(N)を組み込み設置したことを特徴とする請求項1記載の鉄砲型の薬液噴霧作業竿。
【請求項4】
進退操作ロッド(50)を真鋳棒とする一方、フレキシブル先導ノーズ(53)をステンレス鋼線から密巻きされたコイルバネとして、
そのフレキシブル先導ノーズ(53)の切り離し先端部を中子芯(54)の基端部へ、同じく先導ノーズ(53)の切り離し基端部を上記進退操作ロッド(50)の先端部へ各々固着一体化したことを特徴とする請求項1記載の鉄砲型の薬液噴霧作業竿。
【請求項5】
進退操作ロッド(50)を真鋳管として、その両端部へ先導ノーズ受け金具(60)と操作ロッド受け金具(57)とを各々施栓状態に固着一体化する一方、フレキシブル先導ノーズ(53)をステンレス鋼線から密巻きされたコイルバネとして、
そのフレキシブル先導ノーズ(53)の切り離し先端部を中子芯(54)の基端部へ、同じく先導ノーズ(53)の切り離し基端部を上記先導ノーズ受け金具(60)の先端部へ各々固着一体化したことを特徴とする請求項1記載の鉄砲型の薬液噴霧作業竿。
【請求項6】
竿本体(20)の手元部へ一定長さの縒り戻し管(33)を継ぎ足し状態に被着一体化させて、その縒り戻し管(33)の中空内部へ手元側からグリップハンドル(46)の回動ハンドル軸(44)を差し込む一方、
上記縒り戻し管(33)の円周面へ動力噴霧機(M)と着脱自在に接続使用されるホース継手(35)を、その360度の回動自由に差し込み套嵌させたことを特徴とする請求項1記載の鉄砲型の薬液噴霧作業竿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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