説明

鉄筋の腐食から鉄筋コンクリートを保護する薬剤、鉄筋コンクリート中の鉄筋における腐食を防止する方法、オルガノシラン、オルガノシロキサン、またはこれらを含有する薬剤の使用、および保護されたコンクリート

【課題】鉄筋の腐食から鉄筋コンクリートを保護する薬剤、鉄筋コンクリート中の鉄筋の腐食を防止する方法、オルガノシラン、オルガノシロキサン、またはこれらを含有する薬剤の使用および保護されたコンクリートを提供する。
【解決手段】鉄筋の腐食から鉄筋コンクリートを保護する薬剤が、成分Aとして一般式I:
R−SiR(O) (I)
[式中、R、R、R、x、y、zは請求項1に記載したものを表す]のオルガノシランまたはオルガノシロキサンを少なくとも1種またはこれらの混合物を含有する。
【効果】既存のコンクリート構造上に塗布するか、またはコンクリート配合物に添加することができ、かつ特に塩化物およびその他の有害物質によってすでに腐食が進行している場合でも、鉄筋における腐食電流を効果的に低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腐食防止作用を有する薬剤、その使用およびコンクリート中での鉄筋の腐食の進行を防止するための方法に関する。さらに本発明は、該薬剤を使用して得られるコンクリートに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリートは一般に極めて耐久性があると見なされているが、鉄筋コンクリート建築物の耐用年数は通常、100年で計画されているにもかかわらず、コンクリート建築物において鉄筋の腐食に起因する、目に見える損傷がときにはすでに建築物の建造の数年後に現れる。しばしば、鉄筋における目視可能な損傷はすでに20年も経たないうちに現れる。その結果、高価な修理作業が必要である。従って鉄筋コンクリートのために効果的な腐食防止剤に対する、極めて高い需要が生じる。
【0003】
過去においてこのために種々の試みが行われた:
今日では主として腐食防止用のコンクリート添加剤、たとえばアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の亜硝酸塩が使用されている(US3210207、US3801338、US3976494、US4092109およびUS4365999)。その生態学的ならびに毒物学的な懸念に加えて、これらは水溶性であり、かつセメントベースの無機バインダーと共に建築材料から容易に洗い流される可能性があるという欠点を有する。
【0004】
さらに鉄筋表面を保護するために三価もしくは四価のアルコールと混合したアルカノールアミンが記載されている(US4726914)。しかしこれらの物質をセメントベースのバインダーと共に無機建築材料中で使用することは記載されていない。
【0005】
EP0209978A2には、コンクリート中の鉄筋を保護するために、ヒドロキシルアミンをベースとする、水と混和可能な腐食防止剤が記載されている。
【0006】
CH686368は同様にヒドロキシルアミンをベースとする水溶性の腐食防止剤に関するが、しかし該腐食防止剤は、この物質の揮発性を防止するために、鉄筋コンクリートのための腐食防止剤として使用する前にカルボン酸と反応させている点が異なっている。しかしコンクリートのようにセメント結合した建築材料の高いpH値を考慮に入れると、この措置はむしろ疑わしい。というのも、一般に化学的な理解によれば高いpH値で遊離アミンは再形成されるからである。
【0007】
ヒドロキシルアミンがスチール表面の腐食を低減できることは疑わしい。これはたとえば前記の文献中に示されている腐食電流測定が証明している。
【0008】
腐食の低減は一般に、腐食防止剤をバインダーに添加する場合にのみ考えられる。従って腐食防止剤はすでに建築材料を製造している間に使用しなくてはならない。このことに関する欠点は、腐食防止剤の添加混合がセメント結合した建築材料、たとえばコンクリートのレオロジー特性を変化させることであり、このことによって今日の混合物の複雑性が高まり、従って通常、所望されない。さらに、腐食防止剤として使用される物質の水溶性ならびに蒸気圧は、セメントマトリックスにおける不所望の移動度につながる。
【0009】
侵食によっても材料は失われうる。"Migrating Corrosion Inhibitor Blend for Reinforced Concrete Part 2 - Inhibitor as Repair Strategy"(Corrosion 第56巻、第7号、第727頁以降)という題名を有する刊行物中で、CH686368に記載の水溶性腐食防止剤の作用は、セメントマトリックス中に存在する鋼材の表面に対して、測定可能な腐食電流に関して肯定的な影響を与えるばかりではないことが証明されている。これは、腐食防止剤がセメントマトリックス中へ拡散できる度合いが不十分であるために、防止剤を高濃度(10%)で数週間にわたって作用させることができたにもかかわらず、腐食を低減する効果にとって十分な防止剤の濃度が鋼材表面まで達成することができないという事実が原因である可能性が高い。さらにこのような長い接触時間は実用的ではない。建築物を保護する範囲でのコンクリートの表面処理、たとえば疎水化措置の場合、接触時間は数分(液状の含浸剤)から数時間(ペースト状の含浸剤)までである。
【0010】
現在、既存の構造物において、その建築材料表面に塗布することができ、かつ進行している腐食が存在する場合に鉄筋の腐食を防止する、セメント結合した無機建築材料(コンクリート)中の鉄筋のための腐食防止剤は存在しないと断言することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】US3,210,207
【特許文献2】US3,801,338
【特許文献3】US3,976,494
【特許文献4】US4,092,109
【特許文献5】US4,365,999
【特許文献6】US4,726,914
【特許文献7】EP0209978A2
【特許文献8】CH686368
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】"Migrating Corrosion Inhibitor Blend for Reinforced Concrete Part 2 - Inhibitor as Repair Strategy"(Corrosion 第56巻、第7号、第727頁以降)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って本発明の課題は、場合により既存のコンクリート構造上に塗布するか、またはコンクリート配合物に添加することができ、かつ特に存在する塩化物およびその他の有害物質がすでに腐食を引き起こしている場合でも、鉄筋における腐食電流を効果的に緩和する、鉄筋コンクリート用の腐食防止剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題は本発明により、鉄筋の腐食から鉄筋コンクリートを保護する薬剤が成分Aとして一般式I
R−SiR(O)yR (I)
[式中、
Rは、3〜20個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基を表し、
は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基を表し、
は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルコキシ基を表すか、またはヒドロキシ基を表し、その際、基Rは、同じか、または異なっていてもよく、
xは、0、1または2であり、
yは、0.0〜1.5であり、
zは、0、1、2または3であり、かつ
(x+2y+z)=3である]のオルガノシランまたはオルガノシロキサンを少なくとも1種またはこれらの混合物を含有することを特徴とする、鉄筋の腐食から鉄筋コンクリートを保護する薬剤により解決される。
【0015】
意外なことに、ある調製物、つまりアルキルアルコキシシランもしくはアルキルアルコキシシロキサンをベースとする薬剤を適用すると、侵入している塩化物によってすでにコンクリートが損傷されている場合でさえ、鉄筋において測定される腐食電流の明らかな低減をもたらすことが判明した。
【0016】
さらに、特定のオルガノ官能性(organofunktionell)シランおよび/またはシロキサン、つまり前記のアルキルアルコキシシランもしくはアルキルアルコキシシロキサンは、場合により、アルキルアルコキシシランもしくはアルキルアルコキシシロキサン中で溶解性であってもよい、アミノ基を有する化合物、たとえば特定のアミノシランまたは特定のアミノアルコールと組み合わせて、および場合によりアルキルアルコキシシランもしくはアルキルアルコキシシロキサン中で可溶性のカルボン酸もしくはカルボン酸の塩、有利にはジノニルナフタリンスルホン酸またはアルカリ土類金属塩、特にジノニルナフタリンスルホン酸カルシウムまたはジノニルナフタリンスルホン酸マグネシウム、または相応する可溶性の無機塩と組み合わせて、鉄筋構造のセメント結合した建築材料の表面に作用させることにより、または本発明による薬剤を直接混入することにより、つまり本発明による薬剤をコンクリート調製の際にコンクリート混合物へ混入することにより、鉄筋における腐食電流を持続的に防止することができ、それも既存の、たとえば塩化物により開始された腐食さえ劇的に低減することができることもまた判明した。
【0017】
この場合、特に低い塩化物含有率を有するアルキルアルコキシシランもしくはアルキルアルコキシシロキサンが有利である。有利には100質量ppmよりも低い塩化物含有率、特に有利には50質量ppmより低い塩化物含有率、殊に有利には10質量ppmより低い塩化物含有率を有する前記のシランもしくはシロキサンを使用する。特に実質的に塩化物不含のアルキルアルコキシシランもしくはアルキルアルコキシシロキサン、つまり塩化物3質量ppm未満を有するシラン生成物を使用すると、本発明の範囲で優れた結果を達成することができる。
【0018】
有利には、鉄筋において観察される腐食電流の低減は、相応する保護されていないコンクリートに対して50%以上、有利には80%以上、特に有利には90%以上であることが判明した。
【0019】
腐食電流の測定によって判明した、意外にも高い腐食防止は、本発明によれば、アルキルアルコキシシランおよび/またはアルキルアルコキシシロキサン、有利にはイソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシランまたは低粘性のプロピルエトキシシロキサンにより、場合によりアミノ基を有する化合物、たとえばアミノシラン、有利にはアミノプロピルトリエトキシシラン、または使用されるシラン系と混和可能であるアミノアルコール、有利にはジエチルアミノエタノールと混合して、および/または場合により長鎖のカルボン酸または該カルボン酸のカルシウム塩もしくはマグネシウム塩、有利にはジノニルナフタリンスルホン酸カルシウムと混合して、ならびに場合によりその他の成分、たとえば溶剤または加工助剤の添加下に達成される。
【0020】
一般に本発明による薬剤は、本発明による成分を良好に混合もしくは一緒に攪拌することによって、たとえば前記のオルガノシランもしくはオルガノシロキサンならびに場合によりその他の作用物質もしくは作用物質組合せおよび場合により希釈剤または場合によりレオロジー調整剤を添加することによって、簡単かつ経済的な方法で製造することができる。混合工程では場合により生じるわずかな混濁を通常、濾別する。
【0021】
本発明による薬剤または該薬剤中に含有されている少なくとも1種の作用物質は有利には低粘性であり、かつ浸透性が良好である。有利には本発明による薬剤または該薬剤中に含有されている少なくとも1種の作用物質、たとえば式Iの化合物、または相応する作用物質組合せは、0.8〜20mPas、特に有利には1.0〜10mPasの粘度を有する。
【0022】
適用特性を改善するために、本発明による薬剤を公知の方法により水性の低粘性もしくは高粘性のエマルションとして調製してもよく、その際、作用物質組成物、つまり油相の粘度は、この場合、通常は変化しない。この場合、できる限り均質な分散を保証するために、水性エマルションとしての作用物質の調製およびコンクリート練混ぜ水への添加が有利である。
【0023】
本発明による薬剤は作用物質成分以外に付加的な成分として溶剤、希釈剤もしくは溶解補助剤、たとえば鉱油、ベンジン炭化水素(Benzinkohlenwasserstoffe)、アルコール、特にメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、さらにジイソトリデシルアジペート、水、乳化剤、レオロジー調整剤、場合によりまた増粘助剤、たとえば微粒子状の粘土、沈降シリカ、熱分解法シリカ、または相応するこれらの混合物を含有していてもよい。
【0024】
従って本発明の対象は、鉄筋の腐食から鉄筋コンクリートを保護するための薬剤であり、その特徴は、該薬剤が腐食防止成分Aとして一般式(I)
R−SiR(O) (I)
[式中、
Rは、3〜20個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基を表し、
は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基を表し、
は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルコキシ基を表すか、またはヒドロキシ基を表し、その際、基Rは、同じか、または異なっていてもよく、
xは、0、1または2であり、
yは、0.0〜1.5であり、
zは、0、1、2または3であり、かつ
(x+2y+z)=3である]
のオルガノシランもしくはオルガノシロキサンを少なくとも1種またはこれらの混合物を含有することである。
【0025】
オルガノシランベースの有利な部分縮合物、つまり一般式(I)のオルガノシロキサンはたとえばDE10056344ならびにDE10056343から公知である。
【0026】
さらに本発明の対象は、鉄筋の腐食から鉄筋コンクリートを保護するための、一般式(I)のオルガノシランまたはオルガノシロキサンの使用である。
【0027】
通常、本発明による薬剤は優れた貯蔵安定性を有する。
【0028】
本発明による薬剤の低粘性の形から高粘性の形、つまりペースト状の形まで、または付加的に乳化した形での適用は、有利には吹き付け、刷毛塗り、ロール塗布またはナイフ塗布により行うことができる。この場合、本発明による薬剤を50g/mより多い量で、有利には100g/mより多い、特に有利には200g/mより多い量で適切にコンクリート表面に塗布する。場合により、特に支持体の吸収性がごくわずかであることに基づいて所望の作用物質量を1回の作業工程で塗布することができない場合には、作業工程の間にたとえば2時間から約2日間の乾燥期間をおいて複数回塗布することもできる。
【0029】
従って、鉄筋コンクリート中の鉄筋における腐食を防止するための方法もまた本発明の対象であり、これは本発明による薬剤を鉄筋コンクリート表面に塗布することを特徴とする。
【0030】
あるいはまた、本発明による薬剤を直接、コンクリート混合物を調製する際に、まだ結合していないコンクリート中に導入することもできる。
【0031】
従って本発明の対象は同様に、本発明による薬剤を製造工程でコンクリートに添加することによる、コンクリート中の鉄筋の腐食を防止するための本発明による薬剤の使用である。この場合、特に水性の作用物質エマルションをコンクリートの練混ぜ水に添加することが有利であることが判明した。セメント混合物に対して作用物質、つまり本発明による薬剤を有利には0.5〜3質量%添加する。
【0032】
さらに、請求項20〜26までのいずれか1項の記載により得られる、鉄筋の腐食から保護されたコンクリートが本発明の対象である。
【0033】
アルキルアルコキシシランもしくはシロキサンは通常、多孔質の無機建築材料を含浸(疎水化)するために使用される。この場合、この措置の目的は、水および水中に溶解している有害物質、たとえば塩化物を遮断することである。これに対して本発明の場合、意外かつ有利に、特殊なアルキルアルコキシシランもしくはアルキルアルコキシシロキサン含有の薬剤を使用することにより、セメント結合した無機建築材料中の鉄筋における、腐食電流に基づいて確認することができる腐食を明らかに低減することができる、特に存在する腐食を本発明による薬剤の使用により停止する、もしくは少なくとも効果的に緩和することができることが判明した。
【0034】
さらに、本発明による方法で本発明による液状の防止剤系をコンクリート表面上に塗布することにより、存在する腐食が進行する場合でも、および亀裂により損傷したコンクリートの場合でも、鉄筋における腐食電流を明らかに低下させることができることが判明した。液状の防止剤調製物はコンクリート表面上に直接塗布することができる。塗布の方法として公知の方法、たとえばスプレー塗布、吹き付け塗り、流し塗り、ロール塗り、刷毛塗りなどが適切である。防止剤調製物は自体公知の方法によってエマルションとして調製し、かつ相応して塗布することもできる。上記の公知の方法によってこのようなエマルションをコンクリート表面に塗布することが適切であり、その際、ペースト状で粘度の高いエマルションをナイフ塗布することもできる。通常は、十分な保護作用を達成するために、十分な生成物量がコンクリート中に侵入することができるように注意しなくてはならない。十分な保護作用は一般に、測定可能な腐食電流が、保護されていない面に対して80%以上低下する場合に達成される。このような保護作用は通常、本発明による防止剤系により、その塗布量が有利には200g/m以上である場合に達成される。この場合一般に、塗布した材料が全てコンクリート中に侵入することを保証すべきである。その際、複数回塗布する、または粘度の高い本発明による生成物、たとえばペースト状のエマルション、もしくはレオロジー調整剤により増粘した防止剤を塗布することが推奨される。防止剤を増粘するためにたとえば微粒子状の固体、たとえば煙霧シリカ、熱分解法シリカもしくは特性の微粒子状の粘土鉱物、たとえばカオリンが適切である。高粘度の本発明による薬剤を使用する場合、1回の作業工程で垂直面でも、それほど大きなタレによる生成物損失なしに200g/mを塗布することができる。
【0035】
本発明を以下の実施例および比較例により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】コンクリート中の鉄筋における腐食電流を測定するための方法を示す図
【実施例】
【0037】
腐食電流の測定:
腐食電流の測定は、公知の方法、たとえば直線偏光法により実施することができる。この方法は特に工事現場における測定のために適切である。というのも、測定装置(たとえばGecor 6、James Instruments Inc.)が持ち運び可能だからである。
【0038】
実験室では防止剤溶液の効果を次のようにして確認することができる:
特殊な鉄筋コンクリート試験体の製造、
防止剤の適用、
塩水貯蔵サイクル、
10Ωの抵抗による鉄筋間の電圧の測定による腐食の測定。
【0039】
測定法(図1を参照のこと)は、FHWA(Federal Highway Administration、USA)において慣例の方法に準拠して想定されている。測定法は、コンクリート試験体中に、鉄筋まで到達する人工的な微小亀裂を導入することによって実地に近づけて構成することができる。
【0040】
使用されるコンクリート試験体の水/セメント比は、0.47である。人工的な亀裂は、試験体を製造するときに厚さ0.03mmの特殊鋼板を装入することによって行うことができる。該鋼板を通常はコンクリートが完全に硬化する前に除去して、鉄筋にまで到達し、かつ鉄筋の長さ全体を含む亀裂が得られる。それぞれの鉄筋棒鋼の面積は一般に126mmである。腐食による鉄筋の質量損失は、オームの法則により測定される電圧を測定することによって腐食電流に直接比例する。従って測定される電圧もしくはここから測定される腐食電流は、実際の腐食のための直接の尺度と考えることができる。従ってたとえば測定される電圧が10%低減することは、時間単位あたり、腐食により失われる鉄の量を同様に10%低減することを意味する。迅速に測定することができる結果に到達するため、および実際の状況をシミュレートするために、試験体に塩水(水中15質量%のNaCl溶液)中での貯蔵サイクル試験を行う。これはたとえば結露塩(Tausalz)もしくは海水による実際のコンクリート構造物の負荷をシミュレートする。試験サイクルを48週間実施した。試験サイクルは約20℃で4日間塩水貯蔵し(このために、試験体を、人工的な亀裂が存在する表面側のみ塩水と接触させた)、かつ約40℃で3日間乾燥させることからなる。コンクリート中に侵入する塩化物は鉄筋の不動態層を損傷し、かつ試験の経過において測定可能な腐食電流の明らかな上昇につながった。腐食電流に加えて、外部から認識可能な、試験体の全ての視覚的変化を記録した。試験において錆びる鉄筋は、実地でも表面における層間はく離、亀裂の形成、褐色の錆の条痕から、試験体の完全な破壊までの原因となる。従って48週間の試験期間内で、実地で約20〜50年(負荷に応じて)のうちに現れる状態をシミュレートする。従って選択される試験は極めて実地に適応している。試験の終了後に、試験体の鉄筋を露出させ、かつ腐食に関して調査した。保護されていないコンクリートは、すでに12週間後に外部から認識することができる腐食の痕跡を示す。露出した鉄筋は激しく腐食していた。特許請求の範囲に記載の方法により処理したコンクリート試験体は試験終了(48週間)後でさえ外部に腐食の痕跡はなく、かつ露出させた鉄筋において腐食の痕跡は観察されないか、もしくはごくわずかに観察されるのみにすぎなかった。試験列で、特許請求の範囲に記載の腐食防止のための方法は、すでに塩化物により損傷されたコンクリートにも効果があることが証明された。このために明らかな腐食を確認することができるまで試験体の塩水貯蔵サイクルを行った。引き続き、亀裂により損傷し、かつ塩化物により負荷された表面を特許請求の範囲に記載の方法により処理した。今度は処理した試験体を用いて試験サイクルを実施した。意外なことに、この極端な厳しい試験条件においても、測定される腐食電流は劇的に低下することが確認された。このことは亀裂によって損傷し、塩化物により負荷されたコンクリートを、前記の方法により効果的に鉄筋の腐食から保護することができることを意味する。
【0041】
防止剤混合物の調製および適用:
アルキルアルコキシシランおよび相応するシロキサンを場合によりアミノ官能性化合物およびカルボン酸またはカルボン酸の塩と混合する。得られる混合物は単相である。場合により補助的に攪拌し、かつ加熱する。20℃からアルキルアルコキシシラン混合物もしくはアルキルアルコキシシロキサン混合物が沸騰を開始する(約180℃まで)温度範囲で1分ないし数時間までの混合時間が有利であることが判明した。その際、化学的な反応が進行しうる。例としてここで以下のものをあげる:
R−Si(OR+n(C)NCOH
→R−Si(OR3-n[(C)NCO]+nROH
R−Si(OR+nRCOOH
→R−Si(OR3-n(RCOO)OH
得られる単相の混合物は通常液状であり、かつ低粘性である(粘度は通常、<10mPas、たとえば<5mPas、特に<1.5mPas)。粘度を調整するために付加的に溶剤を使用することができる。適切な溶剤はたとえばアルコール、有利にはエタノール、メタノールまたはイソプロパノールまたはベンジン炭化水素、たとえば石油ベンジンまたは溶剤燈油である。液状の防止剤混合物はコンクリート表面上に直接塗布するか、または公知の方法により水中油型エマルションとして調製し、かつ水性エマルションの形でコンクリート表面上に塗布する。水性エマルションの場合、低粘性のエマルション以外に高粘性のエマルションもまた適用することができる。高粘性のエマルションが有利な場合もいくつかある。特に適用工程で高い生成物量を塗布すべき場合である。記載の方法にとって重要なことは、十分な作用物質量(溶剤ではなく、エマルション=水の場合、連続相ではない)がコンクリート中に侵入することである。これを達成するために、複数回の塗布が有利であることが証明された。つまり、防止剤調製物をコンクリート表面に複数回塗布することである。この場合、測定される乾燥時間に注意すべきである。次の塗布を開始する前に、表面は少なくとも外観が乾燥していなくてはならない。所望の生成物量が支持体(コンクリート)によって吸収されるまで、この実施法を繰り返す。通常のコンクリートの場合、実地で少なくとも150g/mの防止剤作用物質の総量を吸収するために、1〜6回の塗布が必要である。個々の塗布の数は、コンクリートの多孔度に依存する。コンクリートが緻密であるほど、個々の塗布が多数必要である。コンクリートのバインダー相の多孔度は、水/セメント比(w/c)により特徴付けられる。w/c比が低いほど、コンクリートのバインダー相は緻密である。200g/mを上回る作用物質の吸収量が特に有利であり、殊に有利には400g/mを上回る作用物質吸収量である。
【0042】
例1
イソブチルトリエトキシシランとジエチルアミノエタノールとからなる混合物によるコンクリートの処理
イソブチルトリエトキシシラン980gと、ジエタノールアミン20gとを混合し、かつ40℃で30分間攪拌した。生成物の粘度は1mPasであった。
【0043】
図1に相応する、人工的な亀裂を有する、材齢約65日の鉄筋コンクリート試験体(30×30×18cm)を、鉄筋に沿って走っている亀裂が存在する表側で、上記の液状の低粘性腐食防止剤により処理した。このために、表面をその都度、180g/mの塗布量で3回噴霧した。個々の吹き付け塗布の間の乾燥時間はその都度45分であった。引き続き処理したコンクリート表面にプレキシガラスフレームを設置した。プレキシガラスフレームをコンクリートに対して塑性封止材料によって封止した。こうして生じたパンに15質量%のNaCl水溶液を充填した。オームの法則を用いて、鉄筋棒鋼の上部および下部の間に接続されている抵抗10Ωで測定される電圧低下によってマクロセル腐食電流を測定した。その都度、約20℃で4日間の塩水負荷後に塩溶液を除去し、かつコンクリート試験体を約40℃で3日間乾燥させた。引き続き再度NaClをプレキシガラスフレーム中に充填し、かつこれによって次の塩負荷サイクルを開始した。全試験期間が48週間に到達するまで塩負荷サイクルおよび乾燥サイクルを繰り返した。10Ωの抵抗で電圧低下によって測定される腐食電流を全試験期間にわたって記録した。
【0044】
試験期間における腐食電流の発生:
【表1】

【0045】
試験中および試験終了後のコンクリート試験体の目視による評価:
【表2】

【0046】
試験終了後の露出した鉄筋の目視による評価:
顕著な腐食の痕跡は確認することができなかった。
【0047】
例2
イソブチルトリエトキシシランによるコンクリートの処理
図1に相応する、人工的な亀裂を有する、材齢約65日の鉄筋コンクリート試験体(30×30×18cm)を、鉄筋に沿って走っている亀裂が存在する表側でイソブチルトリエトキシシランにより処理した。生成物の純度は約95%であった(GC WLD面積%)。表面を2回、その都度180g/mの塗布量で噴霧した。個々の吹き付け塗布の間の乾燥時間はその都度45分であった。引き続き、処理したコンクリート表面にプレキシガラスフレームを設置した。プレキシガラスフレームをコンクリートに対して塑性封止材料で封止した。こうして生じたパンに15質量%のNaCl水溶液を充填した。オームの法則を用いて、鉄筋棒鋼の上部および下部の間に接続されていた抵抗10Ωで測定される電圧低下によってマクロセル腐食電流を測定した。その都度、約20℃で4日間の塩水負荷後に塩溶液を除去し、かつコンクリート試験体を約40℃で3日間乾燥させた。引き続き再度NaClをプレキシガラスフレーム中に充填し、かつこれによって次の塩負荷サイクルを開始した。全試験期間が48週間に到達するまで塩負荷サイクルおよび乾燥サイクルを繰り返した。10Ωの抵抗で電圧低下によって測定される腐食電流を全試験期間にわたって記録した。
【0048】
試験期間における腐食電流の発生:
【表3】

【0049】
試験中および試験終了後のコンクリート試験体の目視による評価:
【表4】

【0050】
試験終了後の露出した鉄筋の目視による評価:
わずかな腐食の痕跡が存在するが、直接、人工的な亀裂付近における鉄筋の箇所に限定されている。
【0051】
例3
オリゴマーのプロピルシロキサンとアミノプロピルトリエトキシシランとからなる混合物によるコンクリートの処理
平均分子量約600g/モルおよび粘度5mPasを有するオリゴマーのn−プロピルエトキシシロキサン980gを3−アミノプロピルトリエトキシシラン20gと混合し、かつ40℃で30分間攪拌した。生成物の粘度はその後、約5mPasであった。
【0052】
図1に相応する、人工的な亀裂を有する、材齢約65日の鉄筋コンクリート試験体(30×30×18cm)を上記の液状の低粘性腐食防止剤により処理した。その際、表面を3回、その都度約200g/mの塗布量で噴霧した。個々の吹き付け塗布の間の乾燥時間はその都度90分であった。引き続き、処理したコンクリート表面にプレキシガラスフレームを設置した。プレキシガラスフレームをコンクリートに対して塑性封止材料で封止した。こうして生じたパンに15質量%のNaCl水溶液を充填した。オームの法則を用いて、鉄筋棒鋼の上部および下部の間に接続されていた抵抗10Ωで測定される電圧低下によってマクロセル腐食電流を測定した。その都度、約20℃で4日間の塩水負荷後に塩溶液を除去し、かつコンクリート試験体を約40℃で3日間乾燥させた。引き続き再度NaClをプレキシガラスフレーム中に充填し、かつこれによって次の塩負荷サイクルを開始した。全試験期間が48週間に到達するまで塩負荷サイクルおよび乾燥サイクルを繰り返した。10Ωの抵抗で電圧低下によって測定される腐食電流を全試験期間にわたって記録した。
【0053】
試験期間における腐食電流の発生:
【表5】

【0054】
試験中および試験終了後のコンクリート試験体の目視による評価:
【表6】

【0055】
試験終了後の露出した鉄筋の目視による評価:
人工的な亀裂付近においてわずかな腐食の痕跡。
【0056】
例4
イソブチルトリエトキシシラン、ジエチルアミノエタノールおよびジノニルナフタリンスルホン酸のマグネシウム塩からなる混合物によるコンクリートの処理
イソブチルトリエトキシシラン960gをジエチルアミノエタノール20gおよびNA−SUL MG/DITA(ジイソトリデシルアジペート中のジノニルナフタリンスルホン酸マグネシウム、Lehmann & Voss & Co.)20gと混合し、かつ40℃で30分間攪拌した。生成物の粘度はその後、約1.5mPasであった。
【0057】
図1に相応する、人工的な亀裂を有する、材齢約65日の鉄筋コンクリート試験体(30×30×18cm)を、鉄筋に沿って走っている亀裂が存在する表側で上記の液状の低粘性腐食防止剤により処理した。その際、表面を3回、その都度約150g/mの塗布量で噴霧した。個々の吹き付け塗布の間の乾燥時間はその都度60分であった。引き続き、処理したコンクリート表面にプレキシガラスフレームを設置した。プレキシガラスフレームをコンクリートに対して塑性封止材料で封止した。こうして生じたパンに15質量%のNaCl水溶液を充填した。オームの法則を用いて、鉄筋棒鋼の上部および下部の間に接続されていた抵抗10Ωで測定される電圧低下によってマクロセル腐食電流を測定した。その都度、約20℃で4日間の塩水負荷後に、塩溶液を除去し、かつコンクリート試験体を約40℃で3日間乾燥させた。引き続き再度NaClをプレキシガラスフレーム中に充填し、かつこれによって次の塩負荷サイクルを開始した。全試験期間が48週間に到達するまで、塩負荷サイクルおよび乾燥サイクルを繰り返した。10Ωの抵抗で電圧低下によって測定される腐食電流を全試験期間にわたって記録した。
【0058】
試験期間における腐食電流の発生:
【表7】

【0059】
試験中および試験終了後のコンクリート試験体の目視による評価:
【表8】

【0060】
例5
イソブチルトリエトキシシランとジエチルアミノエタノールとからなる混合物による、塩化物によって負荷したコンクリートの処理
図1に相応するコンクリート試験体(30×30×18cm)の、鉄筋に沿って走っている亀裂が存在する表側にプレキシガラスフレームを設置した。プレキシガラスフレームをコンクリートに対して塑性封止材料で封止した。こうして生じたパンに15質量%のNaCl水溶液を充填した。オームの法則を用いて、鉄筋棒鋼の上部および下部の間に接続されていた抵抗10Ωで測定される電圧低下によってマクロセル腐食電流を測定した。その都度、約20℃で4日間の塩水負荷後に塩溶液を除去し、かつコンクリート試験体を約40℃で3日間乾燥させた。引き続き再度NaClをプレキシガラスフレーム中に充填し、かつこれによって次の塩負荷サイクルを開始した。12週間後、今度は腐食電流測定によりすでに明らかに鉄筋の腐食の進行を示している、塩化物により負荷されたコンクリートを、例1に相応する防止剤溶液で処理した。液状の生成物を3回、乾燥したコンクリート表面に塗布した。その際、その都度180g/mを使用した。個々の塗布の間の乾燥時間はその都度45分であった。引き続き、全試験期間が48週間に到達するまで塩負荷サイクルおよび乾燥サイクルを繰り返した。10Ωの抵抗で電圧低下によって測定される腐食電流を全試験期間にわたって記録した。
【0061】
試験期間における腐食電流の発生:
【表9】

【0062】
腐食防止剤の適用後、測定される腐食電流は著しく低下した。
【0063】
試験中および試験終了後のコンクリート試験体の目視による評価:
【表10】

【0064】
試験終了後の露出した鉄筋の目視による評価:
鉄筋の鉄の全表面上にわずかな腐食。
【0065】
比較例1
未処理のコンクリート
図1に相応するコンクリート試験体(30×30×18cm)を、鉄筋に沿って走っている亀裂が存在する表側にプレキシガラスフレームを設置した。プレキシガラスフレームをコンクリートに対して塑性封止材料で封止した。こうして生じたパンに15質量%のNaCl水溶液を充填した。オームの法則を用いて、鉄筋棒鋼の上部および下部の間に接続されていた抵抗10Ωで測定される電圧低下によってマクロセル腐食電流を測定した。その都度、約20℃で4日間の塩水負荷後に塩溶液を除去し、かつコンクリート試験体を約40℃で3日間乾燥させた。引き続き再度NaClをプレキシガラスフレーム中に充填し、かつこれによって次の塩負荷サイクルを開始した。全試験期間が48週間に到達するまで塩負荷サイクルおよび乾燥サイクルを繰り返した。10Ωの抵抗で電圧低下によって測定される腐食電流を全試験期間にわたって記録した。
【0066】
試験期間における腐食電流の発生:
【表11】

【0067】
試験中および試験終了後のコンクリート試験体の目視による評価:
【表12】

【0068】
試験終了後の露出した鉄筋の目視による評価:
鉄筋の鉄の全表面上に著しい腐食。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋の腐食から鉄筋コンクリートを保護する薬剤において、該薬剤が成分Aとして一般式I
R−SiR(O) (I)
[式中、
Rは、3〜20個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基を表し、
は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基を表し、
は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルコキシ基を表すか、またはヒドロキシ基を表し、その際、基Rは、同じか、または異なっていてもよく、
xは、0、1または2であり、
yは、0.0〜1.5であり、
zは、0、1、2または3であり、かつ
(x+2y+z)=3である]のオルガノシランまたはオルガノシロキサンを少なくとも1種またはこれらの混合物、および成分Dとして一般式III
HO−CH−CH−NR (III)
[式中、
基Rは、同じか、または異なっており、かつ1〜20個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基を表す]のアミノアルコールを少なくとも1種を含有することを特徴とする、鉄筋の腐食から鉄筋コンクリートを保護する薬剤。
【請求項2】
薬剤が成分Aとして、n−CSi(OCH、n−CSi(OC、i−CSi(OCH、i−CSi(OC、n−CSi(OCH、n−CSi(OC、i−CSi(OCH、i−CSi(OC、n−C11Si(OCH、n−C11Si(OC、i−C11Si(OCH、i−C11Si(OC、n−C13Si(OCH、n−C13Si(OC、i−C13Si(OCH、i−C13Si(OC、n−C17Si(OCH、n−C17Si(OC、i−C17Si(OCH、i−C17Si(OC、n−C1021Si(OCH、n−C1021Si(OC、i−C1021Si(OCH、i−C1021Si(OC、n−C1633Si(OCH、n−C1633Si(OC、i−C1633Si(OCH、i−C1633Si(OCまたは前記のアルキルアルコキシシラン1種以上からなる部分縮合物または前記のアルキルアルコキシシランからなる混合物、部分縮合物からなる混合物またはアルキルアルコキシシランと部分縮合物とからなる混合物を含有する、請求項1記載の薬剤。
【請求項3】
薬剤が成分Cとしてジノニルナフタリンスルホン酸またはこれらのアルカリ土類金属塩またはこれらの混合物を含有する、請求項1または2記載の薬剤。
【請求項4】
薬剤が成分Aに対して成分Cを0〜50質量%の量で含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の薬剤。
【請求項5】
薬剤が成分Aに対して成分Cを0.01〜10質量%の量で含有する、請求項4記載の薬剤。
【請求項6】
薬剤が成分Aに対して成分Cを0.5〜5質量%の量で含有する、請求項5記載の薬剤。
【請求項7】
薬剤が成分Dとして、HO−CH−CH−N(CHまたはHO−CH−CH−N(Cまたはこれらの混合物を含有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の薬剤。
【請求項8】
薬剤が付加的な成分として、ジイソトリデシルアジペート、鉱油、ベンジン炭化水素、アルコール、レオロジー助剤、増粘剤またはこれらの混合物を含有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の薬剤。
【請求項9】
鉄筋コンクリート中の鉄筋における腐食を防止する方法において、請求項1から8までのいずれか1項記載の薬剤を鉄筋コンクリート表面上に施与することを特徴とする、鉄筋コンクリート中の鉄筋における腐食を防止する方法。
【請求項10】
薬剤の適用を吹き付け、刷毛塗り、ロール塗布またはナイフ塗布により行う、請求項9記載の方法。
【請求項11】
薬剤を50g/mより多くの量でコンクリート表面上に施与する、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
鉄筋の腐食から鉄筋コンクリートを保護するための、請求項1記載の一般式Iのオルガノシランまたはオルガノシロキサンの使用。
【請求項13】
薬剤を製造工程でコンクリートに添加混合することにより、コンクリート中の鉄筋における腐食を防止するための、請求項1から8までのいずれか1項記載の薬剤の使用。
【請求項14】
請求項9から13までのいずれか1項により得られるコンクリート。

【図1】
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【公開番号】特開2009−256803(P2009−256803A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180348(P2009−180348)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【分割の表示】特願2002−321725(P2002−321725)の分割
【原出願日】平成14年11月5日(2002.11.5)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】