鉄筋供給装置
【課題】鉄筋を、ピックアップ装置の近接箇所に寄せ集めながら、取り出し操作もスムーズに行なえる装置を提供する。
【解決手段】鉄筋の受止部材9を支持フレーム5に設け、ピックアップ装置7の近接箇所に鉄筋を集める第1凹部16と、第1凹部16の少なくとも一方の横側に並設した第2凹部17とを、受止部材9に形成し、ピックアップ装置7による近接箇所に複数の鉄筋を寄せ集める寄せ集め装置8は、駆動昇降する第1、第2鉄筋突上げ板20,22を鉄筋の軸心方向視で受止部材9と重複する位置に設け、鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の一方側から他方側に向けて転がり移動させる第1案内斜面21を、第1鉄筋突上げ板20に設け、鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の他方側から前記第1凹部16に転がり移動させる第2案内斜面23を、第2鉄筋突上げ板22に設けてある。
【解決手段】鉄筋の受止部材9を支持フレーム5に設け、ピックアップ装置7の近接箇所に鉄筋を集める第1凹部16と、第1凹部16の少なくとも一方の横側に並設した第2凹部17とを、受止部材9に形成し、ピックアップ装置7による近接箇所に複数の鉄筋を寄せ集める寄せ集め装置8は、駆動昇降する第1、第2鉄筋突上げ板20,22を鉄筋の軸心方向視で受止部材9と重複する位置に設け、鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の一方側から他方側に向けて転がり移動させる第1案内斜面21を、第1鉄筋突上げ板20に設け、鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の他方側から前記第1凹部16に転がり移動させる第2案内斜面23を、第2鉄筋突上げ板22に設けてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の鉄筋を複数本積載可能な支持フレームを設け、前記支持フレームにより支持された鉄筋を、その一方端側に近接して摘出するピックアップ装置を設け、前記ピックアップ装置による近接箇所に複数の鉄筋を寄せ集める寄せ集め装置を設け、前記ピックアップ装置が近接する鉄筋の一方端側で鉄筋を受止める受止部材を、前記支持フレームに設けてある鉄筋供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記寄せ集め装置は、中央部に鉄筋を転がり誘導する左右両傾斜面を設けてV字型に形成した受止部材を、兼用していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−102960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の寄せ集め装置では、V字型の受止部材で複数の鉄筋を受けると、その両方の傾斜面に誘導されて鉄筋が中央部に集まろうとするのを利用するものである。
ところで、図11に示すように、多数本の鉄筋が盛り上がった状態に積載されている場合は、その最上部の鉄筋からピックアップ装置によりスムーズに摘み上げて取り出すことができるが、図12に示すように、V字型の左右両傾斜面に鉄筋が1列に並んだ場合、ピックアップ装置による鉄筋の摘み上げ操作において、1列に並んだ鉄筋から1本だけを摘んで取り出そうとしても、隣接する他の鉄筋が障害となってスムーズにいかず、鉄筋を摘み上げて次の加工処理操作に移行できないという問題点があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、寄せ集め装置により鉄筋をピックアップ装置の近接箇所に寄せ集めながら、鉄筋の摘出操作もスムーズに行なえる装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、長尺の鉄筋を複数本積載可能な支持フレームを設け、前記支持フレームにより支持された鉄筋を、その一方端側に近接して摘出するピックアップ装置を設け、前記ピックアップ装置による近接箇所に複数の鉄筋を寄せ集める寄せ集め装置を設け、前記ピックアップ装置が近接する鉄筋の一方端側で鉄筋を受止める受止部材を、前記支持フレームに設けてある鉄筋供給装置であって、前記ピックアップ装置の近接箇所に鉄筋を集める第1凹部と、その第1凹部の少なくとも一方の横側に並設した第2凹部とを、前記受止部材に形成し、前記寄せ集め装置を構成するに、一対の駆動昇降する第1、第2鉄筋突上げ板を、鉄筋の軸心方向視で前記受止部材と重複する位置に設け、前記第1鉄筋突上げ板による鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の一方側から他方側に向けて転がり移動させる第1案内斜面を、前記第1鉄筋突上げ板に設け、前記第2鉄筋突上げ板の鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の他方側から前記第1凹部に転がり移動させる第2案内斜面を、前記第2鉄筋突上げ板に設けてあるところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、前記ピックアップ装置の近接箇所に鉄筋を集める第1凹部と、その第1凹部の少なくとも一方の横側に並設した第2凹部とを、前記受止部材に形成してあることにより、受止部材に供給された多数の鉄筋は、第1凹部と第2凹部とに分散して保持され、鉄筋本数の多いときに一箇所に集中して積載されないために、ピックアップ装置による摘出操作時に、一度に複数本を摘み上げてしまうような不都合や、積載した多くの鉄筋同士による絡みつきによって取出し困難になるという不都合を防止できる。
また、前記寄せ集め装置を構成するに、一対の駆動昇降する第1、第2鉄筋突上げ板を、鉄筋の軸心方向視で前記受止部材と重複する位置に設け、前記第1鉄筋突上げ板による鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の一方側から他方側に向けて転がり移動させる第1案内斜面を、前記第1鉄筋突上げ板に設け、前記第2鉄筋突上げ板の鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の他方側から前記第1凹部に転がり移動させる第2案内斜面を、前記第2鉄筋突上げ板に設けてあるために、受止部材に分散して受止められた複数本の鉄筋は、ピックアップ装置による鉄筋の取り出し操作が進行するにつけ、第1凹部に存在する鉄筋数が少なくなると、第1鉄筋突上げ板の鉄筋突上げ駆動に基づいて、受止部材上で分散した鉄筋が第1案内斜面により鉄筋の径方向の一方側から他方側に転がり移動した後、第2鉄筋突上げ板の突上げ駆動により、更に第2案内斜面により他方側から第1凹部に転がり移動させられ、ピックアップ装置による鉄筋の摘み上げ操作による取出しが、最後の1本まで確実に行えるようになる。
しかも、第1、第2案内斜面上を鉄筋が転がり移動することにより、従来のように、鉄筋が受止部材上に1列に並んでしまわずに盛り上がった状態に保持され、摘出作業を的確に行えるようになる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記第1案内斜面を、鉄筋の径方向の一方側から他方側に向けて前記第1凹部を越えて鉄筋を転がり移動するように形成してあるところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、分散していた鉄筋が、第1案内斜面により第1凹部を越えて大きく転がり移動し、その後の第2案内斜面により第1凹部に集められるために、ピックアップ装置による近接箇所に、より多くの鉄筋が集められ易くなり、鉄筋の供給を確実に行える。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記受止部材における前記第1凹部の両横側夫々に、前記第2凹部を設けてあるところにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、受止部材の供給して積載される多くの鉄筋は、一箇所に集中して積載されると、鉄筋同士絡みつき易く、絡みつきによる抵抗が多くて摘出が困難になる虞があるのに対し、第1凹部を中心としてその両側の第2凹部に広く分散して保持され、一箇所に集中して積載されるのを防止するために、ピックアップ装置による摘出供給操作を、よりスムーズに行なえるようになる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記支持フレームに、前記受止部材を設けた鉄筋載置部を鉄筋の径方向に複数並設すると共に、前記支持フレームを鉄筋の径方向に横移動自在にする移動機構を設け、鉄筋の軸心方向視で前記寄せ集め装置に対して重複する位置に、複数の前記鉄筋積載部を選択的に移動させる駆動装置を設けてあるところにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、支持フレームに並設した複数の鉄筋載置部に、予め互いに異なった種類の径の鉄筋を載置し分けておくことにより、必要に応じて駆動装置による移動操作で選択的に鉄筋載置部を寄せ集め装置に重複する位置に移動させて、異なった種類の鉄筋を供給することができ、従来のように、異なった径の鉄筋を供給する必要になるごとに、受止部材に鉄筋を積み替えるというような作業が不要になり、鉄筋供給作業の効率を上げることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】鉄筋加工装置の全体側面図である。
【図2】鉄筋供給装置の平面図である。
【図3】鉄筋供給装置の正面図である。
【図4】要部側面図である。
【図5】第1、第2鉄筋突上げ板の側面図である。
【図6】要部平面図である。
【図7】(a)、(b)要部作用説明の正面図である。
【図8】(a)〜(e)要部の作用説明図である。
【図9】(a)ピックアップ装置の要部正面図、(b)ピックアップ装置の要部側面図である。
【図10】ピックアップ装置の要部正面図で、(a)短出退シリンダ作動時、(b)長出退シリンダ作動時である。
【図11】従来例の要部正面図である。
【図12】従来例の要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
【0016】
図1、図2に示すように、その表面が下側ほど鉄筋加工空間側に出た傾斜面に形成してある鉄板製の曲げ加工基盤1を設けると共に、曲げ加工基盤1上でその表面に沿わせて鉄筋を屈曲加工する屈曲加工部6を設けてある鉄筋曲げ装置2と、その鉄筋曲げ装置2に鉄筋を供給する鉄筋供給装置3とを設けて、鉄筋加工装置4を構成してある。
本発明の鉄筋供給装置3は、図2〜図7に示すように、長尺の鉄筋を複数本積載可能な支持フレーム5を設け、支持フレーム5により支持された鉄筋を、その一方端側に近接して摘出するピックアップ装置7を設け、ピックアップ装置7による近接箇所に複数の鉄筋を寄せ集める寄せ集め装置8を設け、ピックアップ装置7が近接する鉄筋の一方端側で鉄筋を受止める受止部材9を、支持フレーム5に設けてある。
【0017】
ピックアップ装置7により摘み上げられた鉄筋は、鉄筋曲げ装置2に供給されるが、ピックアップ装置7には、受止部材9に載置された鉄筋群に接近してその中から1本の鉄筋を摘出するために、上下出退移動する鉄筋挟持作動部10を設けてあると共に、鉄筋の一方端側を摘み上げた後には、横側に揺動して鉄筋搬送ローラ11に受渡し、鉄筋搬送ローラ11により受け取った鉄筋を鉄筋曲げ装置2に搬送するように構成してある(図3)。
【0018】
前記支持フレーム5には、図2〜図8に示すように、受止部材9を設けた鉄筋載置部12を鉄筋の径方向に複数並設すると共に、支持フレーム5をその支持ローラ13を介して鉄筋供給装置本体14に、鉄筋の径方向に横移動自在に支持させて、支持フレーム5の移動機構を構成してある。
また、支持フレーム5に設けた複数の鉄筋積載部を、鉄筋の軸心方向視で寄せ集め装置8に対して重複する位置に選択的に移動させる横移動流体圧シリンダ15から成る駆動装置を、鉄筋の長手方向の複数箇所に設けてある。
従って、複数の鉄筋載置部12には、互いに径の異なった複数種の鉄筋を区別して載置することができ、鉄筋載置部12を駆動装置で移動させて、選択的に必要に応じた径の鉄筋を取り出して供給できるようにしてある。
【0019】
前記受止装置には、図3、図4に示すように、ピックアップ装置7の上下移動軌跡上で近接する箇所に鉄筋を集めるV字型に形成した第1凹部16と、その第1凹部16の左右両横側にV字型に形成した第2凹部17を夫々並設し、受止装置に積載される多数本の鉄筋を、横方向に分散して載置されるように構成してある。
【0020】
前記寄せ集め装置8を構成するに、図4〜図7に示すように、第1、第2流体圧シリンダ18,19から成る上下昇降装置により駆動昇降する一対の第1、第2鉄筋突上げ板20,22を、駆動装置により移動して位置決めされた受止部材9と、鉄筋の軸心方向視で重複するように、鉄筋供給装置本体14に取付けてある。
そして、前記第1鉄筋突上げ板20による鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の一方側から第1凹部16を越えて他方側に向けて転がり移動させる第1案内斜面21を、第1鉄筋突上げ板20に設け(図7(a))、第2鉄筋突上げ板22の鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の他方側から一方側の第1凹部16に転がり移動させる第2案内斜面23を、第1案内斜面21の傾斜方向とは反対方向に傾斜させて第2鉄筋突上げ板22に設けてある(図7(b))。
【0021】
つまり、図8に示すように、受止装置に分散して載置された鉄筋群の内(図8(a))、第1凹部16の鉄筋がピックアップ装置7により取り出されて減量すると(図8(b))、第1鉄筋突上げ板20が突上げ上昇して、一方側の第2凹部17の鉄筋群を、他方側の第2凹部17に転がり落とし(図8(c))、次に、第2鉄筋突上げ板22が突上げ上昇して、他方側の第2凹部17に集まった鉄筋群を、第1凹部16に転がり落とす(図8(d))ことで、残る鉄筋が第1凹部16に寄せ集められる(図8(e))。
【0022】
前記ピックアップ装置7における鉄筋挟持作動部10は、図9、図10に示すように、一対の第1、第2挟持部材24,25を設け、第1挟持部材24は鉄筋挟持作動部本体26から下方に一体に突設し、第2挟持部材25は第3流体圧シリンダ27のピストンロッドの出退操作により開閉揺動するように、鉄筋挟持作動本体に枢支してある。
その第2挟持部材25を揺動操作する第3流体圧シリンダ27は、互いに出退する方向が逆の第1、第2ピストンロッド28,29を設けた長出退シリンダ30と短出退シリンダ31とが一体化して構成してある。
つまり、大径の鉄筋を摘む時は、図10(a)に示すように、短出退シリンダ31の第2ピストンロッド29を出退操作して第1、第2挟持部材25による最小開き角を大きくして挟持し、小径の鉄筋を摘む時は、図10(b)に示すように、長出退シリンダ30の第1ピストンロッド28を出退操作して第1、第2挟持部材25による最小開き角を小さくして挟持する。
【0023】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0024】
〈1〉 前記受止部材9に形成する第2凹部17は、第1凹部16の左右両側に設ける以外に、横一側に設けるものであってもよく、少なくとも一方側に並設してあればよい。
〈2〉 第1案内斜面21を、鉄筋をその径方向の一方側から第1凹部16を越えて他方側に向けて転がり移動させるのに代えて、一方側から第1凹部16に向けて転がり移動させる傾斜面に形成してあっても良い。
【0025】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0026】
5 支持フレーム
7 ピックアップ装置
8 寄せ集め装置
9 受止部材
12 鉄筋載置部
16 第1凹部
17 第2凹部
20 第1鉄筋突上げ板
21 第1案内斜面
22 第2鉄筋突上げ板
23 第2案内斜面
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の鉄筋を複数本積載可能な支持フレームを設け、前記支持フレームにより支持された鉄筋を、その一方端側に近接して摘出するピックアップ装置を設け、前記ピックアップ装置による近接箇所に複数の鉄筋を寄せ集める寄せ集め装置を設け、前記ピックアップ装置が近接する鉄筋の一方端側で鉄筋を受止める受止部材を、前記支持フレームに設けてある鉄筋供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記寄せ集め装置は、中央部に鉄筋を転がり誘導する左右両傾斜面を設けてV字型に形成した受止部材を、兼用していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−102960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の寄せ集め装置では、V字型の受止部材で複数の鉄筋を受けると、その両方の傾斜面に誘導されて鉄筋が中央部に集まろうとするのを利用するものである。
ところで、図11に示すように、多数本の鉄筋が盛り上がった状態に積載されている場合は、その最上部の鉄筋からピックアップ装置によりスムーズに摘み上げて取り出すことができるが、図12に示すように、V字型の左右両傾斜面に鉄筋が1列に並んだ場合、ピックアップ装置による鉄筋の摘み上げ操作において、1列に並んだ鉄筋から1本だけを摘んで取り出そうとしても、隣接する他の鉄筋が障害となってスムーズにいかず、鉄筋を摘み上げて次の加工処理操作に移行できないという問題点があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、寄せ集め装置により鉄筋をピックアップ装置の近接箇所に寄せ集めながら、鉄筋の摘出操作もスムーズに行なえる装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、長尺の鉄筋を複数本積載可能な支持フレームを設け、前記支持フレームにより支持された鉄筋を、その一方端側に近接して摘出するピックアップ装置を設け、前記ピックアップ装置による近接箇所に複数の鉄筋を寄せ集める寄せ集め装置を設け、前記ピックアップ装置が近接する鉄筋の一方端側で鉄筋を受止める受止部材を、前記支持フレームに設けてある鉄筋供給装置であって、前記ピックアップ装置の近接箇所に鉄筋を集める第1凹部と、その第1凹部の少なくとも一方の横側に並設した第2凹部とを、前記受止部材に形成し、前記寄せ集め装置を構成するに、一対の駆動昇降する第1、第2鉄筋突上げ板を、鉄筋の軸心方向視で前記受止部材と重複する位置に設け、前記第1鉄筋突上げ板による鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の一方側から他方側に向けて転がり移動させる第1案内斜面を、前記第1鉄筋突上げ板に設け、前記第2鉄筋突上げ板の鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の他方側から前記第1凹部に転がり移動させる第2案内斜面を、前記第2鉄筋突上げ板に設けてあるところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、前記ピックアップ装置の近接箇所に鉄筋を集める第1凹部と、その第1凹部の少なくとも一方の横側に並設した第2凹部とを、前記受止部材に形成してあることにより、受止部材に供給された多数の鉄筋は、第1凹部と第2凹部とに分散して保持され、鉄筋本数の多いときに一箇所に集中して積載されないために、ピックアップ装置による摘出操作時に、一度に複数本を摘み上げてしまうような不都合や、積載した多くの鉄筋同士による絡みつきによって取出し困難になるという不都合を防止できる。
また、前記寄せ集め装置を構成するに、一対の駆動昇降する第1、第2鉄筋突上げ板を、鉄筋の軸心方向視で前記受止部材と重複する位置に設け、前記第1鉄筋突上げ板による鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の一方側から他方側に向けて転がり移動させる第1案内斜面を、前記第1鉄筋突上げ板に設け、前記第2鉄筋突上げ板の鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の他方側から前記第1凹部に転がり移動させる第2案内斜面を、前記第2鉄筋突上げ板に設けてあるために、受止部材に分散して受止められた複数本の鉄筋は、ピックアップ装置による鉄筋の取り出し操作が進行するにつけ、第1凹部に存在する鉄筋数が少なくなると、第1鉄筋突上げ板の鉄筋突上げ駆動に基づいて、受止部材上で分散した鉄筋が第1案内斜面により鉄筋の径方向の一方側から他方側に転がり移動した後、第2鉄筋突上げ板の突上げ駆動により、更に第2案内斜面により他方側から第1凹部に転がり移動させられ、ピックアップ装置による鉄筋の摘み上げ操作による取出しが、最後の1本まで確実に行えるようになる。
しかも、第1、第2案内斜面上を鉄筋が転がり移動することにより、従来のように、鉄筋が受止部材上に1列に並んでしまわずに盛り上がった状態に保持され、摘出作業を的確に行えるようになる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記第1案内斜面を、鉄筋の径方向の一方側から他方側に向けて前記第1凹部を越えて鉄筋を転がり移動するように形成してあるところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、分散していた鉄筋が、第1案内斜面により第1凹部を越えて大きく転がり移動し、その後の第2案内斜面により第1凹部に集められるために、ピックアップ装置による近接箇所に、より多くの鉄筋が集められ易くなり、鉄筋の供給を確実に行える。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記受止部材における前記第1凹部の両横側夫々に、前記第2凹部を設けてあるところにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、受止部材の供給して積載される多くの鉄筋は、一箇所に集中して積載されると、鉄筋同士絡みつき易く、絡みつきによる抵抗が多くて摘出が困難になる虞があるのに対し、第1凹部を中心としてその両側の第2凹部に広く分散して保持され、一箇所に集中して積載されるのを防止するために、ピックアップ装置による摘出供給操作を、よりスムーズに行なえるようになる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記支持フレームに、前記受止部材を設けた鉄筋載置部を鉄筋の径方向に複数並設すると共に、前記支持フレームを鉄筋の径方向に横移動自在にする移動機構を設け、鉄筋の軸心方向視で前記寄せ集め装置に対して重複する位置に、複数の前記鉄筋積載部を選択的に移動させる駆動装置を設けてあるところにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、支持フレームに並設した複数の鉄筋載置部に、予め互いに異なった種類の径の鉄筋を載置し分けておくことにより、必要に応じて駆動装置による移動操作で選択的に鉄筋載置部を寄せ集め装置に重複する位置に移動させて、異なった種類の鉄筋を供給することができ、従来のように、異なった径の鉄筋を供給する必要になるごとに、受止部材に鉄筋を積み替えるというような作業が不要になり、鉄筋供給作業の効率を上げることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】鉄筋加工装置の全体側面図である。
【図2】鉄筋供給装置の平面図である。
【図3】鉄筋供給装置の正面図である。
【図4】要部側面図である。
【図5】第1、第2鉄筋突上げ板の側面図である。
【図6】要部平面図である。
【図7】(a)、(b)要部作用説明の正面図である。
【図8】(a)〜(e)要部の作用説明図である。
【図9】(a)ピックアップ装置の要部正面図、(b)ピックアップ装置の要部側面図である。
【図10】ピックアップ装置の要部正面図で、(a)短出退シリンダ作動時、(b)長出退シリンダ作動時である。
【図11】従来例の要部正面図である。
【図12】従来例の要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
【0016】
図1、図2に示すように、その表面が下側ほど鉄筋加工空間側に出た傾斜面に形成してある鉄板製の曲げ加工基盤1を設けると共に、曲げ加工基盤1上でその表面に沿わせて鉄筋を屈曲加工する屈曲加工部6を設けてある鉄筋曲げ装置2と、その鉄筋曲げ装置2に鉄筋を供給する鉄筋供給装置3とを設けて、鉄筋加工装置4を構成してある。
本発明の鉄筋供給装置3は、図2〜図7に示すように、長尺の鉄筋を複数本積載可能な支持フレーム5を設け、支持フレーム5により支持された鉄筋を、その一方端側に近接して摘出するピックアップ装置7を設け、ピックアップ装置7による近接箇所に複数の鉄筋を寄せ集める寄せ集め装置8を設け、ピックアップ装置7が近接する鉄筋の一方端側で鉄筋を受止める受止部材9を、支持フレーム5に設けてある。
【0017】
ピックアップ装置7により摘み上げられた鉄筋は、鉄筋曲げ装置2に供給されるが、ピックアップ装置7には、受止部材9に載置された鉄筋群に接近してその中から1本の鉄筋を摘出するために、上下出退移動する鉄筋挟持作動部10を設けてあると共に、鉄筋の一方端側を摘み上げた後には、横側に揺動して鉄筋搬送ローラ11に受渡し、鉄筋搬送ローラ11により受け取った鉄筋を鉄筋曲げ装置2に搬送するように構成してある(図3)。
【0018】
前記支持フレーム5には、図2〜図8に示すように、受止部材9を設けた鉄筋載置部12を鉄筋の径方向に複数並設すると共に、支持フレーム5をその支持ローラ13を介して鉄筋供給装置本体14に、鉄筋の径方向に横移動自在に支持させて、支持フレーム5の移動機構を構成してある。
また、支持フレーム5に設けた複数の鉄筋積載部を、鉄筋の軸心方向視で寄せ集め装置8に対して重複する位置に選択的に移動させる横移動流体圧シリンダ15から成る駆動装置を、鉄筋の長手方向の複数箇所に設けてある。
従って、複数の鉄筋載置部12には、互いに径の異なった複数種の鉄筋を区別して載置することができ、鉄筋載置部12を駆動装置で移動させて、選択的に必要に応じた径の鉄筋を取り出して供給できるようにしてある。
【0019】
前記受止装置には、図3、図4に示すように、ピックアップ装置7の上下移動軌跡上で近接する箇所に鉄筋を集めるV字型に形成した第1凹部16と、その第1凹部16の左右両横側にV字型に形成した第2凹部17を夫々並設し、受止装置に積載される多数本の鉄筋を、横方向に分散して載置されるように構成してある。
【0020】
前記寄せ集め装置8を構成するに、図4〜図7に示すように、第1、第2流体圧シリンダ18,19から成る上下昇降装置により駆動昇降する一対の第1、第2鉄筋突上げ板20,22を、駆動装置により移動して位置決めされた受止部材9と、鉄筋の軸心方向視で重複するように、鉄筋供給装置本体14に取付けてある。
そして、前記第1鉄筋突上げ板20による鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の一方側から第1凹部16を越えて他方側に向けて転がり移動させる第1案内斜面21を、第1鉄筋突上げ板20に設け(図7(a))、第2鉄筋突上げ板22の鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の他方側から一方側の第1凹部16に転がり移動させる第2案内斜面23を、第1案内斜面21の傾斜方向とは反対方向に傾斜させて第2鉄筋突上げ板22に設けてある(図7(b))。
【0021】
つまり、図8に示すように、受止装置に分散して載置された鉄筋群の内(図8(a))、第1凹部16の鉄筋がピックアップ装置7により取り出されて減量すると(図8(b))、第1鉄筋突上げ板20が突上げ上昇して、一方側の第2凹部17の鉄筋群を、他方側の第2凹部17に転がり落とし(図8(c))、次に、第2鉄筋突上げ板22が突上げ上昇して、他方側の第2凹部17に集まった鉄筋群を、第1凹部16に転がり落とす(図8(d))ことで、残る鉄筋が第1凹部16に寄せ集められる(図8(e))。
【0022】
前記ピックアップ装置7における鉄筋挟持作動部10は、図9、図10に示すように、一対の第1、第2挟持部材24,25を設け、第1挟持部材24は鉄筋挟持作動部本体26から下方に一体に突設し、第2挟持部材25は第3流体圧シリンダ27のピストンロッドの出退操作により開閉揺動するように、鉄筋挟持作動本体に枢支してある。
その第2挟持部材25を揺動操作する第3流体圧シリンダ27は、互いに出退する方向が逆の第1、第2ピストンロッド28,29を設けた長出退シリンダ30と短出退シリンダ31とが一体化して構成してある。
つまり、大径の鉄筋を摘む時は、図10(a)に示すように、短出退シリンダ31の第2ピストンロッド29を出退操作して第1、第2挟持部材25による最小開き角を大きくして挟持し、小径の鉄筋を摘む時は、図10(b)に示すように、長出退シリンダ30の第1ピストンロッド28を出退操作して第1、第2挟持部材25による最小開き角を小さくして挟持する。
【0023】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0024】
〈1〉 前記受止部材9に形成する第2凹部17は、第1凹部16の左右両側に設ける以外に、横一側に設けるものであってもよく、少なくとも一方側に並設してあればよい。
〈2〉 第1案内斜面21を、鉄筋をその径方向の一方側から第1凹部16を越えて他方側に向けて転がり移動させるのに代えて、一方側から第1凹部16に向けて転がり移動させる傾斜面に形成してあっても良い。
【0025】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0026】
5 支持フレーム
7 ピックアップ装置
8 寄せ集め装置
9 受止部材
12 鉄筋載置部
16 第1凹部
17 第2凹部
20 第1鉄筋突上げ板
21 第1案内斜面
22 第2鉄筋突上げ板
23 第2案内斜面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の鉄筋を複数本積載可能な支持フレームを設け、
前記支持フレームにより支持された鉄筋を、その一方端側に近接して摘出するピックアップ装置を設け、
前記ピックアップ装置による近接箇所に複数の鉄筋を寄せ集める寄せ集め装置を設け、
前記ピックアップ装置が近接する鉄筋の一方端側で鉄筋を受止める受止部材を、前記支持フレームに設けてある鉄筋供給装置であって、
前記ピックアップ装置の近接箇所に鉄筋を集める第1凹部と、その第1凹部の少なくとも一方の横側に並設した第2凹部とを、前記受止部材に形成し、
前記寄せ集め装置を構成するに、
一対の駆動昇降する第1、第2鉄筋突上げ板を、鉄筋の軸心方向視で前記受止部材と重複する位置に設け、
前記第1鉄筋突上げ板による鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の一方側から他方側に向けて転がり移動させる第1案内斜面を、前記第1鉄筋突上げ板に設け、
前記第2鉄筋突上げ板の鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の他方側から前記第1凹部に転がり移動させる第2案内斜面を、前記第2鉄筋突上げ板に設けてある鉄筋供給装置。
【請求項2】
前記第1案内斜面を、鉄筋の径方向の一方側から他方側に向けて前記第1凹部を越えて鉄筋を転がり移動するように形成してある請求項1に記載の鉄筋供給装置。
【請求項3】
前記受止部材における前記第1凹部の両横側夫々に、前記第2凹部を設けてある請求項1又は2に記載の鉄筋供給装置。
【請求項4】
前記支持フレームに、前記受止部材を設けた鉄筋載置部を鉄筋の径方向に複数並設すると共に、
前記支持フレームを鉄筋の径方向に横移動自在にする移動機構を設け、
鉄筋の軸心方向視で前記寄せ集め装置に対して重複する位置に、複数の前記鉄筋積載部を選択的に移動させる駆動装置を設けてある請求項1〜3のいずれかに記載の鉄筋供給装置。
【請求項1】
長尺の鉄筋を複数本積載可能な支持フレームを設け、
前記支持フレームにより支持された鉄筋を、その一方端側に近接して摘出するピックアップ装置を設け、
前記ピックアップ装置による近接箇所に複数の鉄筋を寄せ集める寄せ集め装置を設け、
前記ピックアップ装置が近接する鉄筋の一方端側で鉄筋を受止める受止部材を、前記支持フレームに設けてある鉄筋供給装置であって、
前記ピックアップ装置の近接箇所に鉄筋を集める第1凹部と、その第1凹部の少なくとも一方の横側に並設した第2凹部とを、前記受止部材に形成し、
前記寄せ集め装置を構成するに、
一対の駆動昇降する第1、第2鉄筋突上げ板を、鉄筋の軸心方向視で前記受止部材と重複する位置に設け、
前記第1鉄筋突上げ板による鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の一方側から他方側に向けて転がり移動させる第1案内斜面を、前記第1鉄筋突上げ板に設け、
前記第2鉄筋突上げ板の鉄筋突上げ駆動に基づいて鉄筋をその径方向の他方側から前記第1凹部に転がり移動させる第2案内斜面を、前記第2鉄筋突上げ板に設けてある鉄筋供給装置。
【請求項2】
前記第1案内斜面を、鉄筋の径方向の一方側から他方側に向けて前記第1凹部を越えて鉄筋を転がり移動するように形成してある請求項1に記載の鉄筋供給装置。
【請求項3】
前記受止部材における前記第1凹部の両横側夫々に、前記第2凹部を設けてある請求項1又は2に記載の鉄筋供給装置。
【請求項4】
前記支持フレームに、前記受止部材を設けた鉄筋載置部を鉄筋の径方向に複数並設すると共に、
前記支持フレームを鉄筋の径方向に横移動自在にする移動機構を設け、
鉄筋の軸心方向視で前記寄せ集め装置に対して重複する位置に、複数の前記鉄筋積載部を選択的に移動させる駆動装置を設けてある請求項1〜3のいずれかに記載の鉄筋供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−83816(P2011−83816A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240479(P2009−240479)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000223056)東陽建設工機株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000223056)東陽建設工機株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
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