説明

鉄筋受止装置

【課題】安価で第1操作機構と第2操作機構の駆動操作が簡単に行えるようにする。
【解決手段】鉄筋1の先端部を接当させて位置決めする第1当て付け板7と、第1当て付け板7よりも下手側で接当させて位置決めする第2当て付け板とを備えたストッパー装置9を、鉄筋受止台5に対してその長手方向に変位自在に取付け、第1当て付け板7を鉄筋受止台5に対して上下方向に遠近移動操作する第1操作機構20を設け、鉄筋受止台5を鉄筋受止姿勢と鉄筋放出姿勢とに上下揺動操作する第2操作機構21を設け、1つの駆動装置16から第1操作機構20と第2操作機構21とに駆動力伝達機構24で駆動操作力を伝達し、第2操作機構21による鉄筋放出姿勢への揺動操作に先立って、第1操作機構20による第1当て付け板7の上昇移動操作を行うように構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋の搬送方向で鉄筋切断機よりも下手側に配置して鉄筋の先端側を受止める鉄筋受止台を設け、前記鉄筋受止台上の鉄筋の先端部を前記鉄筋切断機から遠ざける方向に搬送するコンベア装置を前記鉄筋受止台に設け、前記鉄筋切断機による切断時に鉄筋の先端部を接当させて位置決めする第1当て付け板と、鉄筋切断後の鉄筋の先端部を、前記コンベア装置による搬送によって前記第1当て付け板よりも下手側で接当させて位置決めする第2当て付け板とを備えたストッパー装置を、前記鉄筋受止台に対してその長手方向に変位自在に取付け、前記第1当て付け板を前記鉄筋受止台に対して上下方向に移動自在に設けると共に、前記第1当て付け板を上下方向に遠近移動操作する第1操作機構を設け、前記鉄筋受止台を、その鉄筋受止面が水平姿勢になる鉄筋受止姿勢と、鉄筋の径方向に傾いた鉄筋放出姿勢とに上下揺動自在に受止装置本体に取り付けると共に、前記鉄筋受止台を上下揺動操作する第2操作機構を設けてある鉄筋受止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記鉄筋受止装置では、前記第1当て付け板に対する前記第1操作機構の駆動装置と、前記鉄筋受止台に対する前記第2操作機構の駆動装置とを、夫々別個に設けて、個別に駆動していた(適切な文献が見当たらない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の鉄筋受止装置で前記第1操作機構の駆動操作と前記第2操作機構の駆動操作とは、2つの駆動装置を駆動させて夫々異なったタイミングでの操作が必要で、制御が複雑になると共に、全体として重量化になると共にコスト高になるという問題点があった。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、安価で軽量な装置にすると共に、第1操作機構と第2操作機構の駆動操作を簡単に行うことができる装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴構成は、鉄筋の搬送方向で鉄筋切断機よりも下手側に配置して鉄筋の先端側を受止める鉄筋受止台を設け、前記鉄筋受止台上の鉄筋の先端部を前記鉄筋切断機から遠ざける方向に搬送するコンベア装置を前記鉄筋受止台に設け、前記鉄筋切断機による切断時に鉄筋の先端部を接当させて位置決めする第1当て付け板と、鉄筋切断後の鉄筋の先端部を、前記コンベア装置による搬送によって前記第1当て付け板よりも下手側で接当させて位置決めする第2当て付け板とを備えたストッパー装置を、前記鉄筋受止台に対してその長手方向に変位自在に取付け、前記第1当て付け板を前記鉄筋受止台に対して上下方向に移動自在に設けると共に、前記第1当て付け板を上下方向に遠近移動操作する第1操作機構を設け、前記鉄筋受止台を、その鉄筋受止面が水平姿勢になる鉄筋受止姿勢と、鉄筋の径方向に傾いた鉄筋放出姿勢とに上下揺動自在に受止装置本体に取り付けると共に、前記鉄筋受止台を上下揺動操作する第2操作機構を設けてある鉄筋受止装置であって、1つの駆動装置から前記第1操作機構と前記第2操作機構とに駆動操作力を伝達する駆動力伝達機構を設け、前記第2操作機構により前記鉄筋受止台を鉄筋放出姿勢に揺動操作するのに先立って、前記第1操作機構による第1当て付け板の上昇移動操作を行うように構成してあるところにある。
【0006】
本発明の第1の特徴構成によれば、駆動力伝達機構によって1つの駆動装置で第1操作機構と第2操作機構とを駆動操作するために、余分に駆動装置を設けずに済み、安価で軽量な装置に製作でき、しかも、第2操作機構により鉄筋受止台を鉄筋放出姿勢に揺動操作するのに先立って、第1操作機構による第1当て付け板の上昇移動操作を行うように構成してあることにより、夫々操作タイミングの異なった操作が簡単にできるようになる。
【0007】
本発明の第2の特徴構成は前記駆動装置により前記鉄筋受止台の揺動中心周りに駆動揺動するアームを設け、前記アームの接当に伴って第1当て付け板を上昇移動操作する第1接当部を、第1当て付け板の支持フレームに設けて、前記アームと前記第1接当部と前記支持フレームとで前記第1操作機構を構成し、前記アームの接当に伴って前記鉄筋受止台を前記鉄筋受止姿勢から前記鉄筋放出姿勢に揺動操作する第2接当部を前記鉄筋受止台に設け、前記アームと前記第2接当部とで前記第2操作機構を構成し、前記アームの駆動揺動に基づいて前記第1接当部が前記第2接当部に先立って接当するように構成してあるところにある。
【0008】
本発明の第2の特徴構成によれば、本発明の第1の特徴構成による上述の作用効果を叶えることができるのに加えて、駆動装置によりアームを駆動揺動するだけで、鉄筋切断後に、初めにアームが第1接当部に接当して支持フレームを介して第1当て付け板を上昇させ、鉄筋受止姿勢の鉄筋受止台上の鉄筋を、第2当て付け板に接当するまでコンベア装置により搬送する。次に、アームを駆動揺動させて第2接当部に接当させて、鉄筋受止台を揺動させることで、鉄筋受止台は鉄筋放出姿勢になり、切断鉄筋は放出される。
従って、第1操作機構と第2操作機構の駆動操作を、兼用するアームの駆動揺動によって、異なったタイミングで簡単に行うことができる。
【0009】
本発明の第3の特徴構成は、前記第1当て付け板を前記鉄筋受止台に対して上下に平行移動自在に取り付ける支持装置を、前記鉄筋受止台に設けてあるところにある。
【0010】
本発明の第3の特徴構成によれば、切断鉄筋を鉄筋受止台上で第2当て付け板に接当するまでコンベアにより搬送させる際に、例えば、第1当て付け板を揺動で上昇させる構成の場合には、揺動支点に近い鉄筋の径より更に高く第1当て付け板の基端部を揺動させて鉄筋と接触しないようにするためには、第1当て付け板の先端部を不必要に大きく揺動させなければならないが、本発明は、支持装置により、第1操作機構の操作で第1当て付け板を、鉄筋受止台に対して上方に平行に移動させられるために、第1当て付け板全体を鉄筋の径より不必要に上昇させなくとも、少ない移動操作量で鉄筋受止台の上に並ぶ複数の鉄筋全てが接触しないようにできる。
従って、迅速に第1当て付け板を上昇させて、鉄筋受止台上の切断鉄筋を全て放出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】鉄筋切断装置の全体平面図である。
【図2】鉄筋受止装置の縦断側面図である。
【図3】鉄筋受止装置の縦断側面図である。
【図4】要部斜視図である。
【図5】要部斜視図である。
【図6】要部斜視図である。
【図7】要部縦断面図である。
【図8】要部縦断面図である。
【図9】鉄筋放出姿勢の要部斜視図である。
【図10】鉄筋放出姿勢の要部縦断面図である。
【図11】要部正面図である。
【図12】要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、鉄筋1の長手方向への搬送順に、鉄筋供給装置2、鉄筋切断機3、鉄筋受止装置4を並べて、全体として鉄筋切断装置を構成してある。
前記鉄筋供給装置2からは、1本〜複数本までの鉄筋1を、上下一対の剪断刃を設けた鉄筋切断機3に所定長さ分送り込んで、鉄筋切断機3で切断し、切断する鉄筋1の先端側を、鉄筋受止装置4で受止める。
【0013】
前記鉄筋受止装置4は、図2〜図12に示すように、鉄筋1の搬送方向で鉄筋切断機3よりも下手側に配置して鉄筋1の先端側を受止める鉄筋受止台5を設け、鉄筋受止台5上の鉄筋1の先端部を鉄筋切断機3から遠ざける方向に搬送する駆動回転ロールから成るコンベア装置6を、鉄筋受止台5に所定間隔置きに複数本配設してある。
前記鉄筋受止台5には、鉄筋切断機3による切断時に鉄筋1の先端部を(図4に示すように)、接当させて位置決めする第1当て付け板7と、切断後の鉄筋1の先端部を(図6に示すように)、コンベア装置6による搬送によって第1当て付け板7よりも下手側で接当させて位置決めする第2当て付け板8とを備えたストッパー装置9を、鉄筋受止台5の長手方向に固定位置変更自在に、鉄筋受止台5に取り付けた支持レール10上に設置し、第1当て付け板7を鉄筋受止台5に対して上下方向に平行に移動自在にするために、第1当て付け板7に一体連設した支持フレームを、ストッパー装置本体12に設けた支持装置13に上下移動可能に支持させてある。
前記鉄筋受止台5は、その鉄筋受止面を水平姿勢にする鉄筋受止姿勢(図2、図7、図8)と、鉄筋1の径方向に傾けた鉄筋放出姿勢(図3、図10)とに上下揺動自在に枢支軸14を介して受止装置本体15に取り付けてある。
【0014】
前記駆動装置16により鉄筋受止台5をその揺動中心周りに駆動揺動するアーム17を、枢支軸14に取付け、アーム17の接当に伴って第1当て付け板7を上昇移動操作する第1接当部18を支持フレームの下端部に設けると共に、アーム17の接当に伴って鉄筋受止台5を鉄筋受止姿勢から鉄筋放出姿勢に揺動操作する第2接当部19を鉄筋受止台5に設け、アーム17の駆動揺動に基づいて第1接当部18が第2接当部19に先立って接当するように構成してある。
前記第1当て付け板7を上下方向に鉄筋受止台5に対して遠近移動操作する第1操作機構20を、支持フレーム及び第1接当部18とアーム17とで構成し、鉄筋受止台5を上下揺動操作する第2操作機構21を、第2接当部19とアーム17とで構成して、第1操作機構20の一部と第2操作機構21の一部を、アーム17で兼用構成してある。
そして、1つの駆動装置16からアーム17に駆動操作力を伝達するチェーン22とスプロケット23からなる駆動力伝達機構24を設けてある。
【0015】
前記駆動装置16は、ブレーキモータから成り、回転停止位置でブレーキが働いて自由回転を阻止する装置に構成されている。
【0016】
図11、図12に示すように、駆動装置16によるアーム17の揺動操作において、アーム17揺動最下点から、第1接当部18に接当して第1当て付け板7を上昇させた後、第2接当部19に接当して停止するまでの第1揺動と、第2接当部19に対する接当位置から鉄筋受止台5を鉄筋放出姿勢に揺動させて、鉄筋受止台5の下面部が受止装置本体15に設けた揺動ストッパー部25に接当して停止するまでの第2揺動とを、操作すべく、枢支軸14と受止装置本体15との間に設けた近接スイッチ26によって、第1揺動角Θ1と第2揺動角Θ2とを検出するように構成してある(図11、図12)。
【0017】
揺動ストッパー部25と鉄筋受止台5の下面部との間には、図2、図3に示すように、圧縮スプリング27を介在し、鉄筋受止台5の鉄筋受止姿勢から鉄筋放出姿勢への揺動時に、揺動ストッパー部25に対する鉄筋受止台5の下面部の接当に伴う衝撃を緩和するとともに、鉄筋放出姿勢から鉄筋受止姿勢への復帰を、スムーズに行なえるように、付勢力を付与するようにして、鉄筋受止台5の上下揺動が滑らかになるように構成してある。
【0018】
尚、前記第1接当部18、第2接当部19、揺動ストッパー部25には、ゴム等の弾性部材を取り付けて、夫々の接当時の衝撃を緩和するようにしてある。
前記アーム17の先端部には、鉄筋受止台5の長手方向の略全長に亘るアングル材28を取付け、ストッパー装置9を鉄筋受止台5の長手方向のどの位置に変更しても、アーム17の上下揺動操作に伴って、アングル材28が第1接当部18と第2接当部19に接当してアーム17の揺動力が伝達されるように構成してある。
【0019】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0020】
〈1〉 前記駆動装置16は、モータに代えて、流体圧ポンプによるものであっても良い。この場合、第1操作機構20及び第2操作機構21は、夫々流体圧シリンダによる移動及び揺動操作を行う機構が採用できる。
〈2〉 前記コンベア装置6は、駆動回転ロールを設けたものに代え、ベルト式コンベア装置によるものであっても良い。
【0021】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0022】
1 鉄筋
3 鉄筋切断機
5 鉄筋受止台
6 コンベア装置
7 第1当て付け板
8 第2当て付け板
9 ストッパー装置
11 支持フレーム
13 支持装置
15 受止装置本体
16 駆動装置
17 アーム
18 第1接当部
19 第2接当部
20 第1操作機構
21 第2操作機構
24 駆動力伝達機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋の搬送方向で鉄筋切断機よりも下手側に配置して鉄筋の先端側を受止める鉄筋受止台を設け、
前記鉄筋受止台上の鉄筋の先端部を前記鉄筋切断機から遠ざける方向に搬送するコンベア装置を前記鉄筋受止台に設け、
前記鉄筋切断機による切断時に鉄筋の先端部を接当させて位置決めする第1当て付け板と、鉄筋切断後の鉄筋の先端部を、前記コンベア装置による搬送によって前記第1当て付け板よりも下手側で接当させて位置決めする第2当て付け板とを備えたストッパー装置を、前記鉄筋受止台に対してその長手方向に変位自在に取付け、
前記第1当て付け板を前記鉄筋受止台に対して上下方向に移動自在に設けると共に、
前記第1当て付け板を上下方向に遠近移動操作する第1操作機構を設け、
前記鉄筋受止台の鉄筋受止面を水平姿勢にする鉄筋受止姿勢と、鉄筋の径方向に傾けた鉄筋放出姿勢とに上下揺動自在に受止装置本体に取り付けると共に、
前記鉄筋受止台を上下揺動操作する第2操作機構を設けてある鉄筋受止装置であって、
1つの駆動装置から前記第1操作機構と前記第2操作機構とに駆動操作力を伝達する駆動力伝達機構を設け、前記第2操作機構により前記鉄筋受止台を鉄筋放出姿勢に揺動操作するのに先立って、前記第1操作機構による第1当て付け板の上昇移動操作を行うように構成してある鉄筋受止装置。
【請求項2】
前記駆動装置により前記鉄筋受止台の揺動中心周りに駆動揺動するアームを設け、
前記アームの接当に伴って第1当て付け板を上昇移動操作する第1接当部を、第1当て付け板の支持フレームに設けて、前記アームと前記第1接当部と前記支持フレームとで前記第1操作機構を構成し、
前記アームの接当に伴って前記鉄筋受止台を前記鉄筋受止姿勢から前記鉄筋放出姿勢に揺動操作する第2接当部を前記鉄筋受止台に設け、
前記アームと前記第2接当部とで前記第2操作機構を構成し、
前記アームの駆動揺動に基づいて前記第1接当部が前記第2接当部に先立って接当するように構成してある請求項1に記載の鉄筋受止装置。
【請求項3】
前記第1当て付け板を前記鉄筋受止台に対して上下に平行移動自在に取り付ける支持装置を、前記鉄筋受止台に設けてある請求項1又は2に記載の鉄筋受止装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−245537(P2011−245537A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123175(P2010−123175)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000223056)東陽建設工機株式会社 (17)
【Fターム(参考)】