説明

鉄系焼結摺動部材及びその製造方法

【課題】耐摩耗性及び耐荷重性に優れたFe系焼結摺動部材を提供する。
【解決手段】Fe系焼結摺動部材は、Fe粉末とCu−Fe−Mn合金粉末とCo−Mo−Cr−Si超合金粉末とC粉末とからなるFe系焼結摺動部材であって、Cu成分4.45〜18.6質量%、Mn成分0.2〜1.2質量%、Co成分3.1〜9.3質量%、Mo成分1.4〜4.2質量%、Cr成分0.4〜1.2質量%、Si成分0.1〜0.3質量%、C成分1.0〜5.0質量%、残部Fe成分からなり、素地の組織がパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存する組織を呈すると共に、該素地の組織中にC成分とCu−Fe−Mn合金とCo−Mo−Cr−Si超合金が分散含有されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摺動特性及び耐荷重性に優れた鉄系焼結摺動部材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から鉄系焼結摺動部材としては、潤滑油を含浸したFe−C(炭素)系あるいはFe−Cu−C系軸受材料が知られており、また、Fe−C系又はFe−Cu−C系焼結材料(例えば、非特許文献1参照)が知られている。上記従来の鉄系焼結摺動部材においては、Cの固体潤滑作用を得るには少なくとも3質量%以上の配合量が必要とされるが、Fe粉末とC粉末が焼結過程で反応して焼結組織中に高硬度の遊離セメンタイト(FeC)を析出するという現象が現れる。この高硬度の遊離セメンタイトの組織中への析出は、相手材、例えば軸との摺動においては当該軸(相手材)を損傷させるという欠点を惹起することになり、摺動用途においては極力避けなければならない重要な要素である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭55−38930号公報
【特許文献2】特開昭58−19403号公報
【特許文献3】特開昭58−126959号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】日本工業規格JISZ550
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この遊離セメンタイトの析出を防止する方法としては、(1)C(黒鉛)の配合量を少量、例えば0.82質量%以下とすること、(2)遊離セメンタイトの析出しない低い温度、例えば1000℃以下の温度で焼結すること、により一応の解決を図ることができるが
、上記(1)の方法では配合したCの固体潤滑作用を期待することはできず、また(2
)の方法では焼結合金化が不充分で、焼結材の機械的強度が低く摺動用途への適用は難しい、などいずれの方法によって得られた鉄系焼結材料も配合した炭素による固体潤滑作用を充分発揮できないという問題を残す。
【0006】
別の方法として、Siのような黒鉛化安定元素を配合して遊離セメンタイトの析出を防ぐ方法(例えば、特許文献1参照)が考えられるが、SiをFe中に拡散固溶させる条件は、約1200℃の温度の加熱を必要とするので、通常のFe系焼結材料の焼結温度に比してはるかに高い温度が要求されることから、製造コストが高くなる上、焼結雰囲気を厳しく制御しないとSiを酸化させてしまう虞がある。その他、フェロシリコン(FeSi)粉末を配合して組織中に遊離セメンタイトの析出を防止したFe系焼結材料の製造方法(例えば、特許文献2及び特許文献3)がある。
【0007】
上記実情に鑑み、本発明者は先に、特願2009−190176号(以下、先行技術という)において、フェライト相(α相)組織の生成を促進する元素であるCu及びMnに着目し、Cu成分2.67〜18.60質量%、Mn成分0.12〜1.20質量%、C成分1.0〜5.0質量%、残部Fe成分からなり、素地がパーライト組織又はパーライトと一部フェライトが共存した組織を呈すると共に該素地の組織に遊離セメンタイトの析出がなく、Cu−Fe−Mn合金が分散含有されてなるFe系焼結摺動部材を提案した。
【0008】
この先行技術からなるFe系焼結摺動部材は、組織中に遊離セメンタイトの析出がなく、例えば、速度1.3m/min、荷重800kgf/cm、試験時間8時間のスラスト試験条件下において、摩擦係数が0.1で、摩耗量が7μ以下という優れた摺動特性を発揮するものであったが、当該Fe系焼結摺動部材が使用される用途における機械装置の高性能化、大型化等によりFe系焼結摺動部材自体にも、例えば面圧800kgf/cmを超える耐荷重性、加えて耐摩耗性の向上が要求されている。
【0009】
本発明者は上記要求を満足させるべく鋭意検討した結果、先行技術のCu成分2.67〜18.60質量%、Mn成分0.12〜1.20質量%、C成分1.0〜5.0質量%、残部Fe成分からなる成分組成に、さらに一定割合の硬質合金を配合することにより上記要求を満足する性能を発揮するFe系焼結摺動部材が得られるとの知見を得た。
【0010】
本発明は上記知見に基づきなされたもので、その目的とするところは、耐摩耗性及び耐荷重性に優れたFe系焼結摺動部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のFe系焼結摺動部材は、Fe粉末とCu−Fe−Mn合金粉末とCo−Mo−Cr−Si超合金粉末とC粉末とからなるFe系焼結摺動部材であって、Cu成分4.45〜18.6質量%、Mn成分0.2〜1.2質量%、Co成分3.1〜9.3質量%、Mo成分1.4〜4.2質量%、Cr成分0.4〜1.2質量%、Si成分0.1〜0.3質量%、C成分1.0〜5.0質量%、残部Fe成分からなり、素地の組織がパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存する組織を呈すると共に、該素地の組織中にC成分とCu−Fe−Mn合金とCo−Mo−Cr−Si超合金が分散含有されている。
【0012】
本発明のFe系焼結摺動部材において、素地のパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存した組織に分散含有されたCu−Fe−Mn合金は、素地の組織の粒界に網目状に分散して析出しているものであってもよい。
【0013】
本発明のFe系焼結摺動部材において、Co−Mo−Cr−Si超合金は硬質粒子として、素地のパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存した組織に分散含有されてFe系焼結摺動部材の耐荷重性並びに耐摩耗性を向上させる。
【0014】
また、上記Fe系焼結摺動部材において、素地のパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存する組織のマイクロビッカース硬さ(HMV)は350〜450を示し、素地のパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存した組織に分散含有されたCu−Fe−Mn合金のマイクロビッカース硬さは100〜120を示し、素地のパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存した組織に分散含有されたCo−Mo−Cr−Si超合金のマイクロビッカース硬さは540〜770を示す。
【0015】
本発明のFe系焼結摺動部材によれば、素地のパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存する組織に、当該組織の硬さよりも低い硬さのCu−Fe−Mn合金が分散含有されていると共に、当該組織中に当該組織の硬さよりも高い硬さのCo−Mo−Cr−Si超合金が分散含有されているので、摺動面における回転軸等の相手材とのなじみ性が良好で、耐荷重性及び耐摩耗性を向上させることができる。
【0016】
本発明のFe系焼結摺動部材において、C成分は天然黒鉛又は人造黒鉛が使用されて好適である。
【0017】
本発明のFe系焼結摺動部材において、潤滑油が10〜15容積%の割合で含油されている。
【0018】
本発明のFe系焼結摺動部材の製造方法は、主成分をなすFe粉末に対し、Mn4〜6質量%とFe3〜5質量%と残部CuからなるCu−Fe−Mn合金粉末5〜20質量%と、Co62質量%、Mo28質量%、Cr8質量%、Si2質量%からなるCo−Mo−Cr−Si超合金粉末5〜15質量%と、C粉末1.0〜5.0質量%をそれぞれ配合し、混合して混合粉末を形成した後、該混合粉末を金型に装填して所望の形状の圧粉体を成形し、この圧粉体を中性もしくは還元性雰囲気に調整した加熱炉内で1000〜1150℃の温度で30〜90分間焼結することを特徴とする。
【0019】
この製造方法によって得られたFe系焼結摺動部材は、Cu成分4.45〜18.6質量%、Mn成分0.2〜1.2質量%、Co成分3.1〜9.3質量%、Mo成分1.4〜4.2質量%、Cr成分0.4〜1.2質量%、Si成分0.1〜0.3質量%、C成分1.0〜5.0質量%、残部Fe成分からなり、素地の組織がパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存する組織を呈すると共に、該素地の組織中にC成分とCu−Fe−Mn合金とCo−Mo−Cr−Si超合金が分散含有されている。
【0020】
上記Fe系焼結摺動部材の製造方法において、成分中のCu−Fe−Mn合金粉末は、Mn4〜6質量%とFe3〜5質量%と残部Cuからなる合金粉末が使用されて好適であり、このCu−Fe−Mn合金粉末は、1050℃の温度で液相を生じるため、1000℃以上1050℃未満の温度での焼結では固相焼結となり、一方1050℃以上1150℃以下の温度での焼結では液相焼結となる。固相焼結により得られるFe系焼結摺動部材は
、素地がパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存する組織を呈すると共に該組織中に遊離セメンタイトの析出がなく、該素地の組織にCu−Fe−Mn合金が分散含有されている。
【0021】
一方、液相焼結により得られるFe系焼結摺動部材は、素地がパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存する組織を呈し、当該組織中に遊離セメンタイトの析出がなく焼結摺動部材を緻密化して機械的強度を向上させると共に、該素地の組織の粒界にCu−Fe−Mn合金が網目状に分散含有されている。
【0022】
固相焼結あるいは液相焼結により得られるFe系焼結摺動部材は、フェライト相(α相
)組織の生成を促進する元素であるCu及びMnが含有されていることにより、いずれの焼結においても素地がパーライト組織又はパーライトと一部フェライトが共存した組織を呈すると共に当該組織中に遊離セメンタイトの析出はない。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、Fe粉末とCu−Fe−Mn合金粉末とCo−Mo−Cr−Si超合金粉末とC粉末とからなるFe系焼結摺動部材であって、Cu成分4.45〜18.6質量%、Mn成分0.2〜1.2質量%、Co成分3.1〜9.3質量%、Mo成分1.4〜4.2質量%、Cr成分0.4〜1.2質量%、Si成分0.1〜0.3質量%、C成分1.0〜5.0質量%、残部Fe成分からなり、素地の組織がパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存する組織を呈すると共に、該素地の組織中にC成分とCu−Fe−Mn合金とCo−Mo−Cr−Si超合金が分散含有され、なじみ性が良好で、耐荷重性並びに耐摩耗性などの摺動特性を向上させたFe系焼結摺動部材及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】1100℃の温度で液相焼結して得たFe成分62質量%、Cu−Fe−Mn合金20質量%、Co−Mo−Cr−Si超合金成分15質量%、C成分3質量%からなるFe系焼結摺動部材の顕微鏡写真(倍率400倍)である。
【図2】スラスト試験方法を示す斜視説明図である。
【図3】ジャーナル揺動試験方法を示す斜視説明図である。
【図4】ジャーナル回転試験方法を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例に何等限定されない。
【0026】
本発明のFe系焼結摺動部材は、Fe粉末とCu−Fe−Mn合金粉末とCo−Mo−Cr−Si超合金粉末とC粉末とからなるFe系焼結摺動部材であって、Cu成分4.45〜18.6質量%、Mn成分0.2〜1.2質量%、Co成分3.1〜9.3質量%、Mo成分1.4〜4.2質量%、Cr成分0.4〜1.2質量%、Si成分0.1〜0.3質量%、C成分1.0〜5.0質量%、残部Fe成分からなり、素地の組織がパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存する組織を呈すると共に、該素地の組織中にC成分とCu−Fe−Mn合金とCo−Mo−Cr−Si超合金が分散していることを特徴とする。
【0027】
本発明のFe系焼結摺動部材において、主成分をなすFe成分としては、80メッシュ篩を通過する粒度(177μm以下)で、見掛け密度が2.4〜3.0Mg/m程度の還元Fe粉末やアトマイズFe粉末(水アトマイズFe粉末)が好適に使用される。これらFe粉末における気体吸着法(BET−ISO9277)による比表面積は、アトマイズFe粉末では60〜80m/kg、還元Fe粉末では80〜100m/kgである。アトマイズFe粉末は、粉末内に気孔が少なく比表面積が小さいのに対し、還元Fe粉末は、気孔が比較的多く表面に凹凸が多く、アトマイズFe粉末と比べて比表面積が高い。
【0028】
上記主成分をなすFe成分に対し、所定量の割合で配合されるCu成分及びMn成分は、Cu−Fe−Mn合金の形態で使用される。これら合金中のCu成分及びMn成分は、フェライト相(α相)組織の生成を促進する元素であり、焼結過程において主成分をなすFe成分と後述するC成分との反応を抑制し、これにより焼結体の素地の組織中に遊離セメンタイトの析出を防止する作用を果たすものである。このCu成分とMn成分の焼結過程におけるFe成分とC成分との反応を抑制する作用は詳らかではないが、これら元素が予め合金化されていることにより、Cu成分及びMn成分が主成分をなすFe成分中に優先的に固溶し、C成分のFe成分中への固溶を極力阻止するためであることが推察される

【0029】
このCu−Fe−Mn合金成分の成分組成は、Cu成分89〜93質量%、Fe成分3〜5質量%、Mn成分4〜6質量%からなり、このCu−Fe−Mn合金成分は、主成分をなすFe成分に対し5〜20質量%、すなわちFe成分に対し、Cu成分4.45〜18.6質量%、Fe成分0.15〜1.0質量%、Mn成分0.2〜1.2質量%の割合で配合される。
【0030】
上記主成分をなすFe成分及びCu−Fe−Mn合金成分に対し、所定量の割合で配合されるCo−Mo−Cr−Si超合金成分の成分組成は、Co成分62質量%、Mo成分28質量%、Cr成分8質量%、Si成分2質量%からなり、このCu−Fe−Mn合金成分は、主成分をなすFe成分及びCu−Fe−Mn合金成分に対し5〜15質量%、すなわちCo成分3.1〜9.3質量%、Mo成分1.4〜4.2質量%、Cr成分0.4〜1.2質量%、Si成分0.1〜0.3質量%の割合で配合される。
【0031】
このCo−Mo−Cr−Si超合金成分は硬質であり、主成分をなすFe成分及びCu−Fe−Mn合金成分に配合されることにより、素地のパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存する組織に分散含有され、焼結体の耐荷重性並びに耐摩耗性の向上に効果を発揮する。Co−Mo−Cr−Si超合金の配合割合は5〜15質量%であり、配合割合が5質量%未満では上記耐荷重性並びに耐摩耗性の向上に充分効果を発揮せず、また15質量%を超えて配合すると硬質のCo−Mo−Cr−Si超合金成分の分散含有する割合が多くなり、却って軸などの相手材を損傷させる虞がある。
【0032】
C成分は、前記したとおり天然黒鉛又は人造黒鉛が使用されて好適である。このC成分は、素地のパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存する組織に1.0〜5.0質量%の割合で分散含有されており、該C成分は、それ自身の固体潤滑作用と後述する潤滑油の保持体としての役割を果たす。とくにC成分の配合量が3質量%以上において固体潤滑作用による自己潤滑性が付与される。
【0033】
潤滑油は、Fe系焼結摺動部材に液体潤滑作用を付与すると共に前記したC成分による固体潤滑作用と相俟って自己潤滑性を一層高める作用を発揮する。そして、この潤滑油はFe系焼結摺動部材に10〜15容積%の割合で含油されている。
【0034】
上記した成分組成からなるFe系焼結摺動部材の製造方法は、主成分をなるFe粉末に対し、Mn4〜6質量%とFe3〜5質量%と残部CuからなるCu−Fe−Mn合金粉末5〜20質量%と、Co62質量%、Mo28質量%、Cr8質量%、Si2質量%からなるCo−Mo−Cr−Si超合金粉末5〜15質量%と、C粉末1.0〜5.0質量%をそれぞれ配合し、混合して混合粉末を形成した後、該混合粉末を金型に装填して所望の形状の圧粉体を成形し、この圧粉体を中性もしくは還元性雰囲気に調整した加熱炉内で1000〜1150℃の温度で30〜90分間焼結することを特徴とする。
【0035】
主成分をなすFe粉末に配合されるCu−Fe−Mn合金粉末は、1050℃の温度に液相点を有しており、1050℃未満の温度での焼結では固相焼結であり、1050℃以上の温度での焼結では液相焼結となる。焼結温度が1050℃未満に固相焼結では、Cu−Fe−Mn合金成分は、素地のパーライト組織又はパーライトと一部フェライトが共存する組織に分散含有されており、また焼結温度が1050℃以上の液相焼結では、Cu−Fe−Mn合金成分は、素地のパーライト組織又はパーライトと一部フェライトが共存する組織の粒界に網目状に分散含有されている。
【0036】
図1は、1100℃の温度で液相焼結して得たFe成分62質量%、Cu−Fe−Mn合金20質量%、Co−Mo−Cr−Si超合金成分15質量%、C成分3質量%からなるFe系焼結摺動部材の顕微鏡写真(倍率400倍)である。
【0037】
図1において、矢印a(マトリックス)で表示した部位が素地のパーライトと一部フェライトが共存する組織で、矢印b(Cu液相部)で表示した部位が組織の粒界に分散含有されたCu−Fe−Mn合金成分で、矢印c(合金)で示した部位が組織に分散含有されたCo−Mo−Cr−Si超合金成分である。
【0038】
上記図1に示した顕微鏡写真において、素地のパーライトと一部フェライトが共存する組織の部位は、マイクロビッカース硬さ(HMV)で350〜450を示し、Cu−Fe−Mn合金の部位は、マイクロビッカース硬さで100〜120を示し、Co−Mo−Cr−Si超合金の部位は、マイクロビッカース硬さで540〜770を示す。
【0039】
素地のパーライトと一部フェライトが共存した組織中に、該組織の部位の硬さよりも低い硬さのCu−Fe−Mn合金と該組織の部位の硬さよりも高い硬さのCo−Mo−Cr−Si超合金とが分散して含有されていることにより、相手材との摺動において、なじみ性が良好となり、耐荷重性並びに耐摩耗性などの摺動特性が向上する。
【0040】
次に、本発明を各実施例を参照して説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0041】
平均粒径70μmのアトマイズFe粉末(神戸製鋼所社製「アトメル300M(商品名)」に対し、Cu成分90.5質量%、Fe成分4.1質量%、Mn成分5.4質量%からなる平均粒径75μmのCu−Fe−Mn合金粉末(福田金属箔粉工業社製)15質量%と、平均粒径63μmのCo62質量%、Mo28質量%、Cr8質量%、Si2質量%からなるCo−Mo−Cr−Si超合金粉末(大同特殊鋼社製「DAPKMC400(商品名)」)7質量%と、C成分として平均粒径40μmの天然黒鉛粉末(日本黒鉛社製「CB150(商品名)」)3質量%を配合し、V型ミキサーにて20分間混合して混合粉末(Cu成分13.58質量%、Mn成分0.81質量%、Co成分4.34質量%、Mo成分1.96質量%、Cr成分0.56質量%、Si成分0.14質量%、Fe成分75.61質量%、C成分3質量%)を得た。ついで、この混合粉末を金型中に装填し、成形圧力490Mpa(5トン/cm)で成形して方形状の圧粉体を得た。
【0042】
この方形状の圧粉体を水素ガス雰囲気に調整した加熱炉内に置き、1100℃の温度で60分間液相焼結した後に加熱炉から取出し、方形状のFe系焼結材を得た。このFe系焼結材に機械加工を施して一辺30mm、厚さ5mmの寸法のFe系焼結摺動部材を得た。このFe系焼結摺動部材の密度は5.76Mg/mであった。このFe系焼結摺動部材の素地の組織は、パーライトと一部フェライトが共存した組織を呈すると共に組織中に遊離セメンタイトの生成はなく、該組織中にCu−Fe−Mn合金とCo−Mo−Cr−Si超合金が分散含有しているのを確認した。そして、パーライトと一部フェライトが共存した組織の部位は、マイクロビッカース硬さで400を示し、Cu−Fe−Mn合金の部位の硬さは、マイクロビッカース硬さで110を示し、Co−Mo−Cr−Si超合金の部位の硬さは、マイクロビッカース硬さで570を示した。ついで、このFe系焼結摺動部材に含油処理を施し、含油率12容積%のFe系含油焼結摺動部材を得た。
【実施例2】
【0043】
前記実施例1と同様の平均粒径70μmのアトマイズFe粉末に対し、前記実施例1と同様の平均粒径75μmのCu−Fe−Mn合金粉末20質量%と、前記実施例1と同様の平均粒径63μmのCo−Mo−Cr−Si超合金粉末15質量%と、前記実施例1と同様の平均粒径40μmの天然黒鉛粉末3質量%を配合し、V型ミキサーにて20分間混合して混合粉末(Cu成分18.1質量%、Mn成分1.08質量%、Co成分9.30質量%、Mo成分4.20質量%、Cr成分1.20質量%、Si成分0.30質量%、Fe成分62.82質量%、C成分3質量%)を得た。以下、前記実施例1と同様の方法で方形状の圧粉体を得た。
【0044】
この方形状の圧粉体を水素ガス雰囲気に調整した加熱炉に置き、1150℃の温度で60分間液相焼結した後に加熱炉から取出し、方形状のFe系焼結材を得た。このFe系焼結材に機械加工を施して一辺が30mm、厚さ5mmの寸法のFe系焼結摺動部材を得た。このFe系焼結摺動部材の密度は5.92Mg/mであった。組織は、図1及び図2に示すようにパーライトと一部フェライトが共存する組織を呈すると共に組織中に遊離セメンタイトの生成はなく、該組織の粒界に網目状にCu−Fe−Mn合金が分散されており、またCo−Mo−Cr−Si超合金が組織中に分散含有されているのを確認した。そして、パーライトと一部フェライトが共存した組織の部位は、マイクロビッカース硬さで400を示し、Cu−Fe−Mn合金の部位の硬さは、マイクロビッカース硬さで110を示し、Co−Mo−Cr−Si超合金の部位の硬さは、マイクロビッカース硬さで640を示した。ついで、このFe系焼結摺動部材に含油処理を施し、含油率10容積%のFe系含油焼結摺動部材を得た。
【実施例3】
【0045】
前記実施例1と同様の混合粉末(Cu成分13.58質量%、Mn成分0.81質量%、Co成分4.34質量%、Mo成分1.96質量%、Cr成分0.56質量%、Si成分0.14質量%、Fe成分75.61質量%、C成分3質量%)を準備した。この混合粉末を金型中に装填し、成形圧力490Mpa(5トン/cm)で成形して円筒状の圧粉体を得た。
【0046】
この円筒状の圧粉体を水素ガス雰囲気に調整した加熱炉内に置き、1100℃の温度で60分間液相焼結した後に加熱炉から取出し、円筒状のFe系焼結材を得た。このFe系焼結材に機械加工を施して内径20mm、外径28mm、長さ15mmの寸法のFe系焼結摺動部材を得た。このFe系焼結摺動部材の密度は5.84Mg/mであった。このFe系焼結摺動部材の素地の組織は、パーライトと一部フェライトが共存した組織を呈すると共に組織中に遊離セメンタイトの生成はなく、該組織中にCu−Fe−Mn合金とCo−Mo−Cr−Si超合金が分散含有しているのを確認した。そして、パーライトと一部フェライトが共存した組織の部位は、マイクロビッカース硬さで400を示し、Cu−Fe−Mn合金の部位の硬さは、マイクロビッカース硬さで110を示し、Co−Mo−Cr−Si超合金の部位の硬さは、マイクロビッカース硬さで572を示した。ついで、このFe系焼結摺動部材に含油処理を施し、含油率12容積%のFe系含油焼結摺動部材を得た。
【実施例4】
【0047】
前記実施例2と同様の混合粉末(Cu成分18.1質量%、Mn成分1.08質量%、Co成分9.30質量%、Mo成分4.20質量%、Cr成分1.20質量%、Si成分0.30質量%、Fe成分62.82質量%、C成分3質量%)を準備した。以下、前記実施例3と同様の方法で円筒状の圧粉体を得た。
【0048】
この円筒状の圧粉体を水素ガス雰囲気に調整した加熱炉内に置き、1150℃の温度で60分間液相焼結した後に加熱炉から取出し、円筒状のFe系焼結材を得た。このFe系焼結材に機械加工を施して内径20mm、外径28mm、長さ15mmの寸法のFe系焼結摺動部材を得た。このFe系焼結摺動部材の密度は5.92Mg/mであった。このFe系焼結摺動部材の素地の組織は、パーライトと一部フェライトが共存した組織を呈すると共に組織中に遊離セメンタイトの生成はなく、該組織中にCu−Fe−Mn合金とCo−Mo−Cr−Si超合金が分散含有しているのを確認した。そして、パーライトと一部フェライトが共存した組織の部位は、マイクロビッカース硬さで400を示し、Cu−Fe−Mn合金の部位の硬さは、マイクロビッカース硬さで110を示し、Co−Mo−Cr−Si超合金の部位の硬さは、マイクロビッカース硬さで642を示した。ついで、このFe系焼結摺動部材に含油処理を施し、含油率10容積%のFe系含油焼結摺動部材を得た。
【比較例1】
【0049】
前記実施例1と同様の平均粒径70μmのアトマイズFe粉末に対し、前記実施例1と同様のCu成分90.5質量%、Fe成分4.1質量%及びMn成分5.4質量%からなる平均粒径75μmのCu−Fe−Mn合金粉末12質量%と、C成分として前記実施例1と同様の平均粒径40μmの天然黒鉛3質量%を配合し、V型ミキサーにて20分間混合して混合粉末(Cu成分10.86質量%、Mn成分0.65質量%、Fe成分85.49質量%、C成分3質量%)を得た。ついで、この混合粉末を金型中に装填し、成形圧力490Mpa(5トン/cm)で成形して方形状の圧粉体を得た。
【0050】
この方形状の圧粉体を水素ガス雰囲気に調整した加熱炉内に置き、1100℃の温度で60分間液相焼結した後に加熱炉から取出し、方形状のFe系焼結材を得た。このFe系焼結材に機械加工を施して一辺が30mm、厚さ5mmの寸法のFe系焼結摺動部材を得た。このFe系焼結摺動部材の密度は6.7Mg/mであった。組織は、パーライトと一部フェライトが共存した組織を呈すると共に組織中に遊離セメンタイトの生成はなく、該組織中にCu−Fe−Mn合金が分散含有されているのを確認した。そして、パーライトと一部フェライトが共存した組織の部位は、マイクロビッカース硬さで400であり、該組織中に分散含有されたCu−Fe−Mn合金の部位は、マイクロビッカース硬さで110であった。ついで、このFe系焼結摺動部材に含油処理を施し、含油率10容積%のFe系焼結摺動部材を得た。
【比較例2】
【0051】
前記実施例1と同様の平均粒径70μmのアトマイズFe粉末に対し、Cu成分90.5質量%とFe成分4.1質量%及びMn成分5.4質量%からなる平均粒径75μmのCu−Fe−Mn合金粉末10質量%と、C成分として前記実施例1と同様の平均粒径40μmの天然黒鉛3質量%を配合し、V型ミキサーにて20分間混合して混合粉末(Cu成分9.05質量%、Mn成分0.54質量%、Fe成分87.41質量%、C成分3質量%)を得た。ついで、この混合粉末を金型中に装填し、成形圧力490Mpa(5トン/cm)で成形して円筒状の圧粉体を得た。
【0052】
この円筒状の圧粉体を水素ガス雰囲気に調整した加熱炉内に置き、1100℃の温度で60分間液相焼結した後に加熱炉から取出し、円筒状のFe系焼結材を得た。このFe系焼結材に機械加工を施して内径20mm、外径28mm、長さ15mmの寸法のFe系焼結摺動部材を得た。このFe系焼結摺動部材の密度は6.6Mg/mを示し、組織はパーライトと一部フェライトが共存する組織を呈すると共に組織中に遊離セメンタイトの生成はなく、該組織の粒界に網目状にCu−Fe−Mn合金が分散含有されているのを確認した。パーライトと一部フェライトが共存する組織の部位は、マイクロビッカース硬さで400であり、該組織中に分散含有されたCu−Fe−Mn合金の部位は、マイクロビッカース硬さで110であった。ついで、このFe系焼結摺動部材に含油処理を施し、含油率10容積%のFe系含油焼結摺動部材を得た。
【0053】
次に上記した実施例及び比較例で得たFe系含油焼結摺動部材について、摺動特性を評価した結果を説明する。実施例1、実施例2及び比較例1で得たFe系含油焼結摺動部材については、下記に示すスラスト試験条件によってスラスト摺動特性を評価し、また実施例3、実施例4及び比較例2で得たFe系含油焼結摺動部材については、下記に示すジャーナル揺動試験条件及びジャーナル回転試験条件によってジャーナル揺動摺動特性及びジャーナル回転摺動特性を評価した。
【0054】
<スラスト試験条件>
速度 1.3m/min
荷重(面圧) 78.4Mpa(800kgf/cm)、88.24Mpa(900k gf/cm)、98Mpa(1000kgf/cm
試験時間 20時間
相手材 機械構造用炭素鋼(S45C)焼入れ材
潤滑条件 試験開始時に摺動面にリチウム系グリースを塗布
【0055】
<試験方法>
図2に示すように、板状軸受試験片(Fe系含油焼結摺動部材)1を固定し、相手材となる円筒体2を板状軸受試験片1の上から(矢印A方向)その表面3に所定の荷重を負荷しながら、該円筒体2を矢印B方向に回転させ、板状軸受試験片1と相手材2との間の摩擦係数及び所定の試験時間経過後の板状軸受試験片1の摩耗量を測定した。
【0056】
<ジャーナル揺動試験条件>
速度 3m/min
荷重(面圧) 24.5Mpa(250kgf/cm)、34.3Mpa(350kgf/cm)、44.1Mpa(450kgf/cm
揺動角度 ±45°
試験時間 100時間
相手材 軸受鋼(SUJ2焼入れ材)
潤滑条件 試験開始時に摺動面にリチウムグリースを塗布
【0057】
<試験方法>
図3に示すように、円筒状軸受試験片(Fe系含油焼結摺動部材)10に荷重を負荷して固定し、相手材となる回転軸20を一定のすべり速度で揺動回転させ、円筒状軸受試験片10と回転軸20との間の摩擦係数及び所定の試験時間経過後の円筒状軸受試験片10の摩耗量を測定した。
【0058】
<ジャーナル回転試験条件>
速度 10m/min
荷重(面圧) 29.4Mpa(300kgf/cm)、39.2Mpa(400kgf/cm
試験時間 100時間
相手材 軸受鋼(SUJ2焼入れ材)
潤滑条件 試験開始時に摺動面にリチウムグリースを塗布
【0059】
図4に示すように、円筒状軸受試験片(Fe系含油焼結摺動部材)10に荷重を負荷して固定し、相手材となる回転軸20を一定のすべり速度で回転させ、円筒状軸受試験片10と回転軸20との間の摩擦係数及び所定の試験時間経過後の円筒状軸受試験片10の摩耗量を測定した。
【0060】
上記試験条件で行った摺動特性の評価結果は、表1乃至表3のとおりである。
【0061】
【表1】

上表中、比較例1のスラスト荷重88.24Mpaにおける摩擦係数*は、試験開始4時間で急激に摩擦係数が上昇したため、その時点で試験を中止した。
【0062】
【表2】


上表中、比較例2の揺動荷重34.3Mpaにおける摩擦係数**は、試験開始後6時間で摩擦係数が急激に上昇したため、その時点で試験を中止した。
【0063】
【表3】


上表中、比較例2の回転荷重29.434.3Mpaにおける摩擦係数***は、試験開始後8時間で摩擦係数が急激に上昇したため、その時点で試験を中止した。
【0064】
表1に示す試験結果から、実施例1及び実施例2のFe系焼結摺動部材は、荷重(面圧)78.4Mpa(800kgf/cm)を超える高荷重条件においても試験時間を通して安定した摩擦係数で推移し、試験後の摩耗量も極めて少ないものであった。また、表2及び表3に示す試験結果から、実施例3及び実施例4のFe系焼結摺動部材は、荷重34.3Mpa(350kgf/cm)あるいは荷重29.4Mpa(300kgf/cm)を超える高荷重条件下においても試験時間を通して安定した摩擦係数で推移し、試験後の摩耗量も極めて少ないものであった。
【産業上の利用分野】
【0065】
以上説明したように、本発明は、Fe粉末とCu−Fe−Mn合金粉末とCo−Mo−Cr−Si超合金粉末及びC粉末とからなるFe系焼結摺動部材であって、Cu成分4.45〜18.6質量%、Mn成分0.2〜1.2質量%、Co成分3.1〜9.3質量%、Mo成分1.4〜4.2質量%、Cr成分0.4〜1.2質量%、Si成分0.1〜0.3質量%、C成分1.0〜5.0質量%、残部Fe成分からなり、素地の組織がパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存する組織を呈すると共に、該素地の組織中にC成分とCu−Fe−Mn合金とCo−Mo−Cr−Si超合金が分散していることにより、相手材との摺動において、なじみ性が良好で、耐荷重性及び耐摩耗性に優れた摺動特性を発揮するものである。したがって、本発明のFe焼結摺動部材は、軸受、すべり板及びワッシャ等の摺動用途への適用が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 板状軸受試験片(Fe系焼結摺動部材)
2 円筒体(相手材)
10 円筒状軸受試験片(Fe系焼結摺動部材)
20 回転軸(相手材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Fe粉末とCu−Fe−Mn合金粉末とCo−Mo−Cr−Si超合金粉末とC粉末とからなるFe系焼結摺動部材であって、Cu成分4.45〜18.6質量%、Mn成分0.2〜1.2質量%、Co成分3.1〜9.3質量%、Mo成分1.4〜4.2質量%、Cr成分0.4〜1.2質量%、Si成分0.1〜0.3質量%、C成分1.0〜5.0質量%、残部Fe成分からなり、素地の組織がパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存する組織を呈すると共に、該素地の組織中にC成分とCu−Fe−Mn合金とCo−Mo−Cr−Si超合金が分散していることを特徴とするFe系焼結摺動部材。
【請求項2】
Cu−Fe−Mn合金は、素地のパーライト組織又はパーライトと一部フェライトの共存する組織の粒界に網目状に分散して析出しているものであることを特徴とする請求項1に記載のFe系焼結摺動部材。
【請求項3】
C成分は、天然黒鉛又は人造黒鉛からなるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のFe系焼結摺動部材。
【請求項4】
潤滑油が10〜15容量%の割合で含有されているものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のFe系焼結摺動部材。
【請求項5】
主成分をなすFe粉末に対し、Mn4〜6質量%とFe3〜5質量%と残部CuからなるCu−Fe−Mn合金粉末5〜20質量%と、Co62質量%、Mo28質量%、Cr8質量%、Si2質量%からなるCo−Mo−Cr−Si超合金粉末5〜15質量%と、C粉末1.0〜5.0質量%をそれぞれ配合し、混合して混合粉末を形成した後、該混合粉末を金型に装填して所望の形状の圧粉体を成形し、この圧粉体を中性もしくは還元性雰囲気に調整した加熱炉内で1000〜1150℃の温度で30〜90分間焼結することを特徴とするFe系焼結摺動部材の製造方法。
【請求項6】
C粉末は、天然黒鉛又は人造黒鉛からなるものであることを特徴とする請求項5に記載のFe系焼結摺動部材の製造方法。
【請求項7】
圧粉体を焼結してFe系焼結摺動部材を得た後に、これに含油処理を施し、10〜15容量%の割合で潤滑油を含有することを特徴とする請求項5又は6に記載のFe系焼結摺動部材の製造方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−162771(P2012−162771A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24189(P2011−24189)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】