説明

鉄道レール締結用アセンブリに使用する構成部品

【課題】ねじ式の締結具保持用アセンブリを用いない鉄道レール締結システムを提供する。
【解決手段】鉄道レールを締結する弾性クリップ3を保持する鉄道レール締結クリップの固定装置4は、ベース板上2のレール座領域の近傍に位置し、貫通した開口を備える第1の直立リブ21及び第1のリブ21にほぼ平行で、レール座領域から離れた位置にある第2の直立リブを有する鉄道レール用ベース板2の上において使用するのに適している。装置は、基部を有する本体部を有し、該基部上にクリップ3と係合するためのクリップ係合手段43を備えることにより、クリップ3が作動可能な構成に維持され、固定装置が使用される時に、クリップ3が固定装置4に対して近接した鉄道レールの脚部を支持し、本体部は、クリップ3がクリップ係合手段43と係合するように第1の方向に押し込まれるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道レール締結用アセンブリに使用する構成部品に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道レール(図示せず)を支持するための先行技術のベース板2が、添付図面の図1に示される。互いに間隔をもって位置する2つの直立リブ21が、四角のベース板の上面を横切るように形成され、これらのリブ21は、互いに平行に、鉄道レールの長さ方向軸が延びる方向に延びており、該ベース板2の短辺側から離れた位置にあり、これらのリブの間に、ベース板2の鉄道レール座領域が定められる。それぞれのリブ21には、該リブ21を貫通して延びる鳩尾型形状の溝20が設けられており、それぞれの溝20は、ベース板2の長辺に平行なリブ21の中心線から変位した位置にあり、これらの溝20は、レールの座領域を挟んで、互いに対角線方向反対側の位置にある。それぞれの溝付きのリブ21とこれに近いベース板2の短辺との間には、該溝20の背後に、更に2つのリブ22、23が設けられ、これらのリブは、溝付きのリブ21より、高さが低く、長さは半分であり、一方のリブ23は、溝付きのリブ21の脚部近くに位置し、他のリブ22は、リブ23よりもベース板2の短辺寄りに位置し、リブ23よりも僅かに高い。下方に位置するレール基礎(図示せず)に、該ベース板2を締結するための、それぞれのボルト(図示せず)を受けるために、それぞれの貫通孔24が、ベース板2の対角線方向反対側の隅に形成されている。
【0003】
このベース板2を使用する鉄道レール締結システム(図示せず)は、側面から見て略U字形状を形成するように湾曲した板から構成される板バネ状レール締結具を備えており、このバネ板がレールを締結するために使用される状態では、上から見ると、該U字型の一方のアームが他方のアームの上方に位置し、この一方のアームは、他方のアームより長い。このU字型の両方のアームには、締結システムの締結具を保持するアセンブリのボルトねじ部を受け入れる貫通穴が形成される。このボルトは、一端が、ベース板2の溝付きリブ21内の鳩尾型形状溝20に適合し、かつ保持されるような形状をしており、さらに、締結具保持アセンブリは、該締結具を保持するために、該ボルトのねじ部を締付けるナットを有する。バネ板のレール締結具が、ボルトとナットにより保持される時に、該締結具がリブ21上を延びて、該締結具の前部がレール脚部を支持し、該締結具の後部が、ベース板2上のリブ22、23により拘束される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第0,619,852B号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鉄道レール締結システムに、ねじ式の締結具保持用アセンブリを用いないベース板2を使用することが望ましい。さらに、自動機械を使用して取付け及び引き抜きを行うことができるベース板2をレール締結具に使用することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様による実施形態においては、鉄道レール締結用弾性クリップを固定するための鉄道レール締結クリップ固定装置が提供され、該装置は、ベース板のレール座領域に近椄した位置に、貫通した開口を備える第1の直立リブを有し、該レール座領域から離れた位置に、該第1のリブにほぼ平行な第2の直立リブを有する鉄道レールのベース板上に使用するのに適したものであり、
該装置は、基部を有する本体を備え、該基部は、該基部の上方においてクリップと係合するためのクリップ係合手段を提供するものであり、これによって、該固定装置の使用状態において、該クリップは、該クリップが該固定装置に隣接した位置で鉄道レールの脚部を支持する作動形態に保持され、
該本体は、第1の方向に駆動されたとき、該クリップがクリップ係合手段と係合できるように構成されており、
該固定装置はさらに、該本体部からほぼ第1の方向に延びて該ベース板の開口と係合するベース板係合手段と、
本体の基部に隣接し該本体から離れる方向に下向きに突出して、該第1の方向にほぼ直交する第2の方向に沿って延びる少なくとも一つの突当て面を構成する突当て手段と、
を有する。該突当て面は、固定装置がレール座領域に隣接した鉄道レールのベース板上に支持される時に、ベース板がレール座領域から離れる方向への動きが、該突当て面とベース板の上向き部分との間の当接によって抑制されるように構成することができる。
【0007】
前記突当て手段は、第1の突当て面を形成する第1の側面と、該部材の第1の側面とは反対側において第2の突当て面を形成する第2の側面とを有する突当て部材を有し、該第1の突当て面が少なくとも1つの突当て面となる。該第1の側面に対して突当て部材の末端表面を接続する該突当て部材の部分は、ほぼ直角な輪郭とすることができる。該第2の側面に対して突当て部材の末端表面を接続する突当て部材の部分は、丸い輪郭とすることができる。
【0008】
本発明の第1の態様を具体化する装置は、さらに、本体部から延びる少なくとも1つの支持部材を有し、該突当て手段及び支持部材は、該支持部材の末端部が、突当て手段の末端部よりも本体部からより離れるように、ほぼ同じ方向に本体部より下方に延びるようにすることができる。
【0009】
ベース板係合手段は、第1の方向に平行な該装置の中心線から外れた位置で、本体部から延びるようにすることが好ましい。
【0010】
本発明の第1の態様を具体化する装置は、さらに、レール脚部に当接する構成部品と係合するためのレール構成部品係合手段を有するものとすることができる。レール構成部品係合手段は、開口を有することが好ましい。上述したベース板係合手段は、ベース板係合部材及びその中に形成された開口を有することが望ましい。この開口は、固定装置が使用される時に最上面となるような、ベース板係合部材の表面に形成することができる。この開口は、溝形状であることが好ましい。該溝は、固定装置が使用される時に鉄道レール脚部に最も接近する、ベース板係合部材の面の近傍の端部に開口するものとすることができる。
【0011】
ベース板係合手段は、それぞれが該装置の本体部の前表面から延び、略三角形状をした均一な断面を有する第1の部分と第2の部分とを有し、この第1の部分と第2の部分は、互いに離れた位置に配置して、これらの間に開口を定めるようにすることができる。該第1の部分と第2の部分は、開口の底部を形成するベース板係合手段の第3の部分により一体に接続することができる。
【0012】
本発明の第2の態様による実施形態においては、鉄道レール締結クリップと係合するためのクリップ係合部材が提供され、
該クリップ係合部材は、下面が鉄道レール脚部の上面に当接し、上面が該レール脚部を支持するクリップの部分の全体又は一部を受け入れる凹部を形成する形状にされたクリップ受け部を備えており、
該凹部は、該凹部の中でクリップが回転する傾向を抑制するような構成にされた複数の側壁を有し、
該クリップ係合部材は、クリップ受け部に接続され、レール締結クリップの固定装置の対応部分と連結するように形成された固定装置連結部によって、レール締結クリップの固定装置に確実な取付けが可能である。
【0013】
固定装置連結部は、クリップ受け部の一端部に設けることができる。該固定装置連結部は、突出部を有するものとすることができ、該突出部は、該クリップ受け部に対して横方向に延びるようにすることができる。該突出部は、クリップ受け部の下側面から延び該突出部に接続されているクリップ係合部材の支持部により支持されるものとすることができる。
【0014】
本発明の第3の態様による実施形態においては、鉄道レールを締結するために使用されるアセンブリが提供され、該アセンブリは、レール構成部品係合手段を有する本発明の第1の態様を具体化する鉄道レール締結クリップの固定装置及び本発明の第2の態様を具体化するクリップ係合部材を有し、該固定装置のレール構成部品係合部材及びクリップ係合部材の固定装置連結部は、該クリップ係合部材を固定装置に固定することができるように形作られ、かつ構成されるように、それぞれ互いに連動する機能を有するものとすることができる。
【0015】
本発明の第1の態様による実施形態では、弾力性を具備した、ねじ式ではないレール締結クリップを保持するのに適しており、自動的に又は手動によって、横方向にレールに向けて付勢することができる固定装置が提供される。該固定装置は、先行技術のベース板2の鳩尾型形状の溝20に嵌り合うように、変位した形状を有しており、該固定装置が、該端面よりはみでない状態で、ベース板に着座できるように設計されている。該固定装置の後方下側に沿って設けられたリブによって、該装置はベース板2の上にあるリブ22に対して位置決めされる。この構成により、レールクリップが該装置から引き抜かれる時に、該固定装置が鳩尾型形状の溝20から引き抜かれることが防止される。
【0016】
本発明の第2の態様による実施形態では、クリップ係合部材が、レール脚部上に置かれるように設けられ、該クリップ係合部材は、該クリップの先端部を拘束して、該クリップが回転するのを阻止する凹部を上面に備える。さらに、このクリップ係合部材は、該固定装置の変位した形状部分に形状された凹部と係合する形状を下部に有する。標準的なクリップは、レールを締結するために通常の方法により所定の位置に付勢することができ、該クリップ係合部材上に乗った状態にされる。
【0017】
本発明の第3の態様による実施形態では、第1の態様及び第2の態様による特徴が組み合わせられ、工具又は自動機械を使ってクリップを取り付ける時に、クリップ及び固定装置は、大きな範囲まで回転が自由であり、該クリップは、捩じれることなく、レールに対して正しい角度で容易に押しこむことができる。これは、締結における正しい機能のためだけではなく、後での保守作業時に、自動装置による障害の無いクリップ引き抜き作業を確実にするためにも、重要である。固定装置がベース板に不正確に取り付けられると、クリップの捻じれの抑制を達成することは、極めて困難である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下実例により、添付図面を参照して説明する。図において、
【図1】鉄道レールを支持するための先行技術による(上述した)ベース板2の斜視図である。
【図2】先行技術のベース板及び本発明を具体化した構成部品を有する2つの鉄道レール締結アセンブリにより支持された鉄道レールの側面図である。
【図3】図2の左側の鉄道レール締結用アセンブリ並びに、右側の鉄道レール締結用アセンブリの構成部品の1つである固定装置を、鉄道レールを除いて示す斜視図である。
【図4】図2に示した一部の斜視図である。
【図5A】本発明の第1の態様を具体化する固定装置の斜視図である。
【図5B】本発明の第1の態様を具体化する固定装置の側面図である。
【図5C】本発明の第1の態様を具体化する固定装置の平面図である。
【図5D】本発明の第1の態様を具体化する固定装置の正面図である。
【図6】先行技術のベース板並びに、このベース板の溝付きリブと部分的に係合した図5の固定装置の一部を示す斜視図である。
【図7A】前記ベース板の溝付きリブに完全に係合した図5の固定装置の側面図である。
【図7B】前記ベース板の溝付きリブに完全に係合した図5の固定装置の正面図である。
【図8A】本発明の第2の態様を具体化するクリップ係合部材の斜視図である。
【図8B】本発明の第2の態様を具体化するクリップ係合部材の側面図である。
【図8C】本発明の第2の態様を具体化するクリップ係合部材の平面図である。
【図8D】本発明の第2の態様を具体化するクリップ係合部材の背面図である。
【図9A】図5の固定装置が図8のクリップ係合部材と連結された状態の平面図である。
【図9B】図5の固定装置が図8のクリップ係合部材と連結された状態を先行技術のベース板と共に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面に示される幾つかの構成部品は、それらの表面に文字及び/又は、数字を表しているが、これらは本発明のどのような態様に対しても本質的なものではなく、また、それらの一部を構成するものでもないことを注記しておく。
【0020】
図2は、図1に示した先行技術のベース板2で支持された鉄道レール1を示し、該鉄道レールは、レール1の脚部1Aの両側にある、2つの鉄道レール締結用アセンブリ10によって固定される。鉄道レール締結用アセンブリの詳細が、図3及び図4に図示される。それぞれの鉄道レール締結用アセンブリ10は、弾性のある鉄道レール締結クリップ3を有しており、このクリップ3は、レール脚部から横方向、即ち、該レールの長さ方向軸に直角な方向に、取り付けたり、引き抜いたりすることにより、該レール脚部に対して取り付け、或いは引き抜きを行うように設計されている。この種のクリップの例は、欧州特許第0,619,852B号明細書(特許文献1参照)に示されているが、以下に説明するように、他の横方向付勢型クリップも使用することができる。クリップを手動により取り付け及び引き抜きすることもできるが、クリップ3は、自動機械によってレールに向けて付勢することができることは、好都合である。図2に示すクリップ3は、平面においてほぼM型であり、外側の脚部31、37、内側の脚部33、35、レール脚部を支持するための先端部34、後方湾曲部32、26を有する。それぞれの鉄道レール締結用アセンブリ10はまた、鉄道レール締結クリップ3を保持するための鉄道レール締結クリップ固定装置4を有しており、この固定装置4は、本発明の第1の態様を具体化するものである。本出願において示され、また記載される固定装置の実施形態は、図2に示したクリップ設計を使用するように工夫されているが、本発明の第1の態様を具体化する固定装置では、この固定装置のクリップ係合部分が、代わりの横方向付勢型レールクリップを保持するように形成されたものとすることが可能である。それぞれの鉄道レール締結アセンブリ10はさらに、レール脚部1Aに着座するクリップ係合部材5を有し、このクリップ係合部材5は該クリップ3がレールを圧迫する時に、レール脚部1Aとクリップ先端部34との間に位置する。このクリップ係合部材5の少なくとも一部はまた、該部材5がレールとクリップとを電気的に絶縁する電気的絶縁体として働くように、電気的絶縁材料から製造されることが好ましい。
【0021】
図5A及び図5Bに示したように、本発明の第1の態様を具体化する固定装置4は、本体部40を有し、この本体部40は、該本体部40の基部の上を延びる2つの離隔した壁部41A、41Bを有し、これらの壁部は、ランプ42Aを備えた中間部42によって接続される。それぞれの壁部41A、41Bは、クリップ3と係合するためのクリップ係合手段43、48を備えることにより、クリップ3が作動可能な構成に維持され、該クリップ3の先端部34が、固定装置の使用時に、固定装置に隣接した鉄道レール1の脚部1Aを支持する。本体部は、クリップ3がクリップ係合手段43、48と係合するように第1の方向、即ち、レールの長さ方向軸に直角な方向に付勢することができるように構成される。それぞれのクリップ係合手段43、48は、本体部40の後方から前方に通る通路43を有しており、該通路43は、その長さの中心部に沿って、床部43Bと、傾斜した屋根部43Aとを有する。屋根部43Aの後方端は、クリップの外側の脚部31、37を組込み易くするように緩い傾斜部で終わり、また、屋根部43Aの前方端は、クリップの脚部31、37にある戻り止めと係合する突当てとして働くように鋭く傾斜した面48で終わり、この構成により、固定装置からクリップ3が、不注意によって外れるのを防止する。クリップが固定装置4内に押し込まれ、クリップの先端部34がランプ42Aを乗上げることによって、それぞれ外側の脚部31、37が通路43の屋根部43Aに対して作用することによって、クリップ3には力が加わる。
【0022】
固定装置4は、更に本体部40の下側で、中間部42から下方に突出した突当て手段45(図5B及び図7に示される)を有する。この態様において、突当て手段45は、第1の突当て面を形成する第1側面45Aと、この第1側面45Aに対して突当て手段45の反対側に、第2の突当て面を形成する第2側面45Bとを含む突当て部材即ちリブを有する。両側面/両突当て面45A、45Bは、第1の方向にほぼ直交する第2の方向に、本体部40に沿って延びる。第1側面45Aに突当て45の末端表面45Cを接続するリブ45の部分は、ほぼ直角な輪郭を備えており、第2側面45Bにリブ45の末端表面45Cを接続するリブ45の部分は、丸い輪郭を備える。
【0023】
更に固定装置4は、それぞれの通路43の下方にあって本体部40の底部表面43Cから突出した2つの支持部材44A、44Bを有する。リブ45及び支持部材44A、44Bは、支持部材44A、44Bの末端部が、リブ45の末端部よりも本体部40の基部から離れるように、ほぼ同じ方向に本体部より下方に延びている。支持部材44Bに関して図5Bに示すように、それぞれの支持部材44A、44Bは、支持部材の末端面443Bと丸い部分により接続される第1の面441Bと、支持部材の末端面443Bにほぼ直角な部分により接続される第2の面442Bとを有する。
【0024】
更に固定装置4は、先行技術のベース板2の溝20に係合するためのベース板係合手段47を有しており、このベース板係合手段47は、本体部40の前表面46からほぼ第1の方向に延びている。このベース板係合手段47は、第1の方向に平行な該固定装置の中心線(図5Cに示す線CL)から外れた前表面46の位置で、本体部40から延びている。
【0025】
この態様では、ベース板係合手段47は、固定装置4が使用される時に最上面となる該ベース板係合部材の表面に形成された開口47Aを有するベース板係合部材を備える。ベース板係合部材47は、それぞれ該固定装置の本体部40の前表面46から延びて、略三角形状をした均一な断面を有する第1の部分及び第2の部分を有し、これらの第1の部分と第2の部分は、これらの間に開口47Aを定めるように、互いに離れている。これらの第1の部分と第2の部分は、開口47Aの底部を形成するベース板係合部材47の第3の部分により一体に接続される。この開口47Aは、固定装置4が使用される時に、鉄道レール脚部に最も接近するベース板係合部材47の面の近傍の端部に開口する溝形状を有する。
【0026】
図6に示すように、ベース板係合部材47は、先行技術のベース板2のリブ21中に中心から外れた鳩尾型形状の溝20に挿入されるように形作られ、かつ構成される。このようにして、固定装置4はベース板2に取り付けることができ、該ベース板2の端面からはみ出ない。ベース板係合部材47の溝20への挿入は、固定装置4の支持部材44A、44Bをリブ21の後方でベース板2の上に置き、矢印Aで示される第1の方向に固定装置を移動させることにより達成される。このベース板係合部材47が溝20内に十分に押込まれると、固定装置の下側にある突当て45が、ベース板2上にあるリブ22に当たるが、該突当て45の側面45Bは丸い角部であり、突当て45はリブ22を乗り超える。しかし、その反対にある側面45Aは丸い角部ではないので、クリップ3が固定装置4から引き抜かれる時に、突当て45はリブ22に対して、固定装置4がリブ21から引き抜く傾向に抵抗するように作用する。
【0027】
図8Aから図8Dに示すように、本発明の第2の態様を具体化するクリップ係合部材5が、レールクリップ3と係合するために設けられる。このクリップ係合部材5は、レール脚部1Aの上面と接する下側面55と、クリップ3先端部34の受け部となる凹部53を備えるような形状をした上側面51とを備えたクリップ受け部50を有する。この凹部53は、凹部53内において前記クリップ3が回る傾向を抑制するように離れて構成された複数の側壁52を有する。クリップ受け部50の上側面51には、さらにクリップの先端部を着座する領域54が設けられ、この領域54は、凹部53に接して、クリップ受け部50の一端に隣接する。さらにクリップ係合部材5は、クリップ受け部50に接続して、レール締結クリップの固定装置4の対応部分、つまり開口47Aと連結するための固定装置の連結部59を有する。固定装置4の開口47A及びクリップ係合部材5の固定装置との連結部59は、互いに連結するように形作られ、かつ構成されるので、クリップ係合部材5を固定装置4に固定することができる。固定装置との連結部59は、クリップの先端部を着座する領域54と反対側のクリップ受け部50の端部に定められ、該クリップ受け部50に関して横方向に延びる突出部57を有する。この突出部57は、該突出部57に接続されているクリップ係合部材5の支持部56により支持されており、この支持部56は、クリップ受け部50の下側面55から延びている。このクリップ係合部材5はまた、クリップ受け部50の前記端部より突出部57の頂部を超えて延びる区分58を有する。
【0028】
固定装置4及びクリップ係合部材5が、使用するために組立てられる時、該固定装置5は、上述したようにベース板係合部材47を溝20に押し込まれてベース板2に取付けられる。レール1がベース板2上に正しく置かれると、クリップ係合部材5は、レール脚部1Aに関して直交方向に移動され、該突出部57が固定装置4のベース板係合部材47の開口47Aに入り込んで係合し、図9Bに示されるように、クリップ受け部50の下側面55がレール脚部1Aに当接する。続いてクリップ3が固定装置4内に押し込まれて、さらにクリップ係合部材5の上表面51上に付勢することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 鉄道レール
1A レール脚部
2 ベース板
3 鉄道レール締結クリップ
4 固定装置
5 クリップ係合部材
10 鉄道レール締結用アセンブリ
20 鳩尾型の溝
21 ベース板2上のリブ
31 クリップの外側の脚部
32 クリップの後方湾曲部
33 クリップの後方湾曲部
34 クリップの先端部
35 クリップの内側の脚部
36 クリップの後方湾曲部
37 クリップの外側の脚部
45 突当て手段(突当て部材)
47 ベース板係合手段(部材)
47A 開口
50 クリップ受け部
59 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース板上のレール座領域の近傍に位置し、貫通した開口を備える第1の直立リブと、前記第1のリブにほぼ平行で、前記レール座領域から離れて位置する第2の直立リブとを有する鉄道レール用のベース板の上において使用するのに適した、弾力性を有する鉄道レール締結クリップを保持する鉄道レール締結クリップ固定装置であって、
該装置は、基部を設けた本体部を有し、該基部上にクリップと係合するためのクリップ係合手段を備えることによって、前記クリップが作動可能な構成に維持され、該固定装置が使用される時に、前記クリップが該固定装置に隣接した鉄道レール脚部を支持し、
前記本体部は、第1の方向に押し込まれてクリップがクリップ係合手段と係合するように構成されており、
該固定装置はさらに、ベース板の開口と係合し、前記本体部からほぼ前記第1の方向に延びるベース板係合手段と、
本体部の基部に隣接し、前記第1の方向にほぼ直交する第2の方向に沿って延びる少なくとも一つの突当て面が設けられるように該基部の下方で前記本体部から離れるように突出する突当て手段と、
を有することを特徴とする、鉄道レール締結クリップ固定装置。
固定装置。
【請求項2】
前記突当て手段は、第1の突当て面を形成する第1の側面と、該第1の側面に対して該部材の反対側に第2の突当て面を形成する第2の側面とを有する突当て部材を含んでおり、
前記第1の突当て面が前記少なくとも1つの突当て面である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記突当て部材の末端表面を前記第1の側面に接続する前記突当て部材の一部は、ほぼ直角な輪郭を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記突当て部材の末端表面を前記第2の側面に接続する前記突当て部材の一部は、丸い輪郭を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記本体部から突出する少なくとも1つの支持部材をさらに有し、
前記突当て手段と前記支持部材とは、該支持部材の末端部が、前記突当て手段の末端部よりも本体部からより離れるように、ほぼ同じ方向に該本体部から離れて延びる、請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
ベース板係合手段は、前記第1の方向に平行な該装置の中心線から変位した位置で、前記本体部から延びている、請求項1から請求項5までのいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
さらに、レール脚部と当接する構成部品と係合するためのレール構成部品係合手段を有する、請求項1から請求項6までのいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
前記レール構成部品係合手段は、開口を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ベース板係合手段は、ベース板係合部材と、その内部に形成された開口とを有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記開口は、前記固定装置が使用される時に、最上面になるベース板係合部材の表面に形成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記開口は溝形状である、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記溝は、固定装置が使用される時に、鉄道レール脚部に最も接近した位置にあるベース板係合部材の面の近傍の、前記溝の端部で開いている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ベース板係合手段は、それぞれ該装置の本体部から延びるとともに略三角形状をした均一な断面を有する第1の部分及び第2の部分を有し、この第1の部分及び第2の部分は、これらの間に開口を定めるように離れている、請求項1から請求項12までのいずれか1つに記載の装置。
【請求項14】
前記第1の部分と第2の部分は、開口の底部を形成するベース板係合手段の第3の部分により互いに接続されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
鉄道レール締結クリップと係合するクリップ係合部材であって、
レール脚部に当接する下側面と、前記レール脚部で支持する前記クリップのその部分の全体又は一部を受ける凹部を備える形状にされた上側面とを備えた、クリップ受け部を含み、
前記凹部は、該凹部の中でクリップが回転する傾向を抑制するように構成された側壁を有し、
該クリップ係合部材は、クリップ受け部に接続されるとともにレール締結クリップの固定装置の対応部分と連結するように形成された固定装置連結部によって、レール締結クリップの固定装置に確実に取付け可能である、
ことを特徴とする鉄道レール締結クリップと係合するクリップ係合部材。
【請求項16】
前記固定装置連結部は、前記クリップ受け部の端部に位置している、請求項15に記載のクリップ係合部材。
【請求項17】
前記固定装置連結部は、突出部を有する、請求項15又は16に記載のクリップ係合部材。
【請求項18】
前記突出部は、前記クリップ受け部に対して横方向に延びる、請求項17に記載のクリップ係合部材。
【請求項19】
前記突出部は、該突出部に接続されるクリップ係合部材の支持部により支持されており、この支持部は、クリップ受け部の下側面から延びている、請求項18に記載のクリップ係合部材。
【請求項20】
請求項7から14までのいずれか1項に記載の鉄道レール締結クリップの固定装置と、請求項15から19までのいずれか1項に記載のクリップ係合部材とを有し、
該固定装置の前記レール構成部品係合部材と、前記クリップ係合部材の固定装置連結部は、該クリップ係合部材を該固定装置に固定することができるように形作られ、かつ構成された、それぞれ互いに連動する構成を有する、ことを特徴とする鉄道レールを締結するのに使用されるアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2012−180737(P2012−180737A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−59356(P2012−59356)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(595166446)パンドロール リミテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】Pandrol Limited
【住所又は居所原語表記】63 Station Road,Addlestone,Surrey KT15 2AR,United Kingdom
【Fターム(参考)】