説明

鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ及びコンピュータプログラム

【課題】電子乗車券の履歴として残される改札の入出場や購買などの情報から、その鉄道利用者がどのような経路で移動を行ったかの経路を効率的に推定し、さらに乗り継ぎも含めて出発地ならびに最終目的地を推定することで、マーケティングや鉄道の輸送計画などに役立てることができるシステム、またこれを利用したサービスを提供する。
【解決手段】ダイヤデータを利用せず平均的な移動時間や料金を含む移動経路を定義する「経路マスタ」を活用し、選ばれる経路の重みづけ(優先度)を考慮して経路の選択を行い「移動ログ」を生成する。また、複数の移動ログについて、ある移動ログの出場駅・出場時刻と別の移動ログの入場駅・入場時刻との関係をもとに「乗継判定」を行い、一連の移動として鉄道利用者がどこからどこへ向かったのかの判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ及びコンピュータプログラムに係り、特に、電子乗車券の利用履歴データから鉄道利用者の移動経路、出発点、あるいは最終目的地等を推定するのに適した、鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今導入が進んでいる鉄道のIC(Integrated Circuit)カード等の電子乗車券は、切符を買う手間が要らず、電子マネーとしても利用できるなどといった乗客への利便性を提供しつつ、不正の防止や効率向上など、鉄道業者にとっても大きな効果を生み出している。乗車券として利用するICカード(携帯電話に内蔵されたICチップも含む)には、それぞれを識別するID(Identification)コードが付与されていることから、乗車券のIDをもとに、各駅の改札機の通過や購買の履歴を利用して、情報配信やマーケティングに役立てることができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、ICカードの履歴である駅の改札機の入出場記録や購買記録から、その利用者の移動経路を推定し、利用者が接触した可能性のある広告等のコンテンツを特定し、特定したコンテンツに関連する情報を提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-187329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乗車券の履歴データそのものには、改札での入出場といった「点」としての情報は残っているが、それらの点の間をどのような経路で移動したかの情報は残されていない。鉄道利用者が、出発駅から到着駅までの間をどのように移動したかという「線」としての移動経路を明らかにすることができれば、マーケティングや鉄道輸送計画などに向けた応用の範囲をより広げることができる。
【0006】
特許文献1においては、入場駅および時刻、出場駅および時刻から移動経路を推定するために、鉄道のダイヤ(時刻表)情報が利用されている。時刻表情報を活用することにより、経路推定の精度が向上し、ある鉄道利用者がある時間にどこの駅にいたかの正確な情報がわかるといった利点があるが、時刻表を含んだ路線の情報はそのサイズが大きいため、サーバに蓄積された大量の履歴情報にこの方法を適用するには非効率であることと、経路推定後に格納する履歴情報のサイズも膨大になるという問題点がある。また、ダイヤの変更は頻繁に行われており、変更があるたびに時刻表データのメンテナンスを行う必要があるため、管理が煩雑になるという問題点もある。
【0007】
さらに、列車である駅からある駅へ移動する際、特に首都圏では複数の鉄道会社が混在しているために、ある鉄道会社で列車から降りて出場した後に、別の鉄道会社に入場して乗車を行う(=「乗り継ぎ」と定義)場合がある。ある鉄道利用者の、実際の移動経路を把握する場合には、この乗り継ぎも考慮して最終的な目的地を判定する必要がある。
【0008】
本発明の目的は、電子乗車券の履歴として残される改札の入出場や購買などの情報から、その鉄道利用者がどのような経路で移動を行ったかの経路を効率的に推定し、さらに乗り継ぎも含めて出発地ならびに最終目的地を推定することで、鉄道利用者に関する情報を生成し、この情報をマーケティングや鉄道の輸送計画などに役立て、さらにはこの情報を利用したサービスも提供できる、サーバ及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の代表的な構成を示すと次の通りである。本発明のサーバは、制御部とデータ格納部とを備え、前記データ格納部は、鉄道路線の路線、及び、前記路線を経由した各駅間の移動経路と、該移動経路の移動時間とを各々定義した情報を含むマスタデータと、鉄道利用者の電子乗車券の利用履歴を含むログデータとを有し、前記制御部は、前記利用履歴から得られる前記鉄道利用者の前記路線における入出場駅に関する情報から、該入出場駅間に複数の選択可能な移動経路が存在する場合に、前記入出場駅の時刻、及び前記マスタデータの前記移動経路とその移動時間に関する情報に基づいて、該鉄道利用者の移動経路を推定し移動ログとして生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、大量の電子乗車券履歴データに対して、効率よく移動経路の判定および移動ログの格納が可能となる。また、乗継判定を行うことにより、「一連の移動」として鉄道利用者の最初の出発地および最終的な目的地を把握することができ、鉄道利用者に関するマクロな情報を生成しマーケティングや鉄道の輸送計画などに対する幅広い応用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明の第1の実施例になる鉄道利用者の状況把握システムの、全体構成を示す図。
【図1B】図1Aにおけるサーバの機能ブロックおよびデータ格納部の構成例を示す図。
【図2】鉄道利用者の移動と履歴の関係を示す図。
【図3A】実施例1におけるデータ構造(マスタ)を示す図。
【図3B】実施例1におけるデータ構造(マスタ)を示す図。
【図4A】実施例1における元ログのデータ構造(履歴)を示す図。
【図4B】実施例1における移動ログのデータ構造(履歴)を示す図。
【図4C】実施例1における接続済ログのデータ構造(履歴)を示す図。
【図5】実施例1における路線マスタの例を示す図。
【図6】実施例1における経路マスタの他の例を示す図。
【図7】実施例1におけるシステムの処理フローの例を示す図。
【図8】実施例1における移動ログ生成処理の処理手順を示す図。
【図9】実施例1における経路判定の処理手順を示す図。
【図10】実施例1における移動ログ連結処理の処理手順を示す図。
【図11】実施例1における移動ログ生成の例を示す図。
【図12】実施例1におけるデータ可視化処理の処理手順を示す図。
【図13】実施例1におけるデータ可視化処理の例を示す図。
【図14】実施例1におけるデータ可視化処理の例を示す図、続き。
【図15】実施例1における移動ログ抽出処理の処理手順を示す図。
【図16】本発明の実施例2になる鉄道利用者の状況把握システムの、全体構成を示す図。
【図17】実施例2における移動ログ生成処理の処理手順を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、電子乗車券の履歴として残される改札の入出場や購買などの「点」の情報から、その鉄道利用者がどのような経路で移動を行ったかの経路、すなわち「線」の情報、を効率的に推定する。さらに乗り継ぎも含めて出発地ならびに最終目的地を推定する。本発明では、ダイヤデータを利用せず、その代わりに、平均的な移動時間や料金を含む移動経路を定義する「経路マスタ」を活用する。
【0013】
本発明では、同一乗車券IDを持つ入場ログと出場ログの組を、「移動ログ」として定義する。ある移動ログに対して、入場駅と出場駅(および入場・出場時刻)を指定すると、経路マスタを参照し、この移動ログに対して一意な経路IDを付与する。この際、乗換回数や所要時間(時間帯ごとに異なる待ち時間等も含む)に応じて、選ばれる経路の重みづけ(優先度)を考慮して経路の選択が行われる。
移動ログとして格納するデータには、上記ステップで選択された経路IDのみを結びつけて格納し、その後この移動ログを条件抽出や可視化等で利用する際に、乗車した路線や乗り換えた駅、移動時間等の情報を取得して詳細化する。
さらに、複数の「移動ログ」について、ある移動ログの出場駅・出場時刻と別の移動ログの入場駅・入場時刻との関係をもとに「乗継判定」を行い、一連の移動として鉄道利用者がどこからどこへ向かったのかの判定を行う。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明によって実現されるの鉄道利用者の状況把握システムの第一の実施例を、図1Aから図15により説明する。
【0015】
図1Aに、実施例1の全体構成を示し、図1Bに、図1Aにおけるサーバの機能ブロックおよびデータ格納部の構成例を示す。
図1Aにおいて、本システムは、データの格納と処理を行うサーバ(001)を備えており、このサーバ(001)は、通信ネットワーク(004)を介して、駅の各地に設置された改札機(006,006’,-)や駅の構内に設置された決済端末(007)、及び制御用端末(008)と接続されている。各改札機(006)はデータ格納部(009,009’,)を備えている。
サーバ(001)は、CPU(020)と、メモリ(030)と、記録装置(032)及びデータ格納部(034)と、ネットワークI/F(040)とを備え、鉄道利用者に関する情報を生成する機能を有する。サーバ内の各装置は、内部バスによって接続され相互にデータの送受信が可能である。CPU(020)は、マイクロプロセッサを主体に構成され、メモリ(030)や記録装置(032)に格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータに各種の機能を実現させる。コンピュータプログラムとしては、外部とのデータ通信や入出力を行うデータ通信・処理プログラムと、データ格納部に、前記鉄道利用者が電子乗車券により前記改札機を通過した利用履歴をログデータとして記録し、前記鉄道路線の駅及び路線と、該入出場駅間の選択可能な少なくとも1つの移動経路とを定義した情報をマスタデータとして記録させるプログラムとがある。すなわち、マスタデータ生成処理プログラム(050)、移動ログ生成・連結処理プログラム(060)、データ抽出・可視化処理プログラム(070)およびデータ通信・処理プログラム(080)、等がある。
【0016】
サーバ(001)には、ネットワークを介して接続されるPC等の制御用端末(008)の指示入力装置から指示入力が行われ、この指示に対する結果が制御用端末(008)に出力される。メモリ(030)は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)やリードオンリーメモリ(ROM)等によって実現され、CPU(020)によって実行されるプログラムや処理されるデータ等を格納する。記録装置(032)は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、データ格納部(034)は、例えば、ハードディスクやDVDとそれらのドライブにより構成され、CPU(020)によって実行されるプログラムや処理されるデータ等を格納する。制御用端末(008)は、例えばキーボード、マウス等の入力手段や、液晶表示パネルタやプリンタ等の出力手段、及びデータ格納部(010)を備えている。
【0017】
鉄道利用者(=ユーザ)(002)が電子乗車券(005)を持って駅の改札機(006)または店舗の決済端末(007)に触れると、このユーザ(002)のIDと端末(006/007)の場所・処理コード・処理日時等を含んだ情報(301)がサーバ(001)に送信される。この情報送信は、リアルタイムで行われてもよいし、一旦改札機(006)のデータ格納部(009)に格納されてから、適当なタイミングで送信されるのでもよい。
【0018】
図1Bに示したように、サーバ(001)は、機能的にみると、主に、データ格納部(100)と制御部(200)とからなる。データ格納部(100)は、電子乗車券の履歴であるログデータ格納部(101)と、各種処理に必要になるマスタデータ格納部(102)とに分けられる。
【0019】
鉄道利用者の状況把握のためにデータ分析を行うオペレータ(003)は、制御用端末(008)を通じてサーバ(001)に対して条件を入力(選択)すると、データ抽出・可視化処理ユニット(202)によって所定の処理が行われる。この処理に基づいた鉄道利用者の状況に関する情報は、制御用端末(008)のデータ格納部(010)に格納され、必要に応じて可視化され、表示装置(図示略)に表示される。
【0020】
ログデータ格納部(101)に保持されるものには、情報送信(301)によって送られてきた、それぞれのユーザの電子乗車券利用履歴を格納する「ID付元ログデータ」(110)、元データを解析することで得られる「移動ログデータ」(120)、さらにこれを連結することで得られる「連結済移動ログデータ」(130)等が含まれる。
【0021】
マスタデータ(102)に保持されるものには、駅に関する情報を管理する「駅マスタ」(140)、路線に関する情報を管理する「路線マスタ」(150)、駅マスタと路線マスタを関連付ける「駅-路線関係マスタ」(160)、経路に関する情報を管理する「経路マスタ」(170)、経路マスタにおける路線への乗車区間に関する情報を管理する「路線乗車マスタ」(180)、経路マスタと路線乗車マスタとを関連付ける「経路-乗車関係マスタ」(190)、カードやユーザに関する情報を管理する「カード/ユーザマスタ」(210)、複数の移動ログの乗り継ぎ関係を判定するための「乗継情報マスタ」(220)、決済端末(007)が設置された店舗に関する情報を管理する「店舗マスタ」(230)等が含まれる。
【0022】
制御部(200)には、移動ログの生成やその連結処理を行う「移動ログ生成・連結処理ユニット」(201)、生成された移動ログに対するデータ抽出や変換処理を行う「データ抽出・可視化処理ユニット」(202)、外部とのデータ通信や入出力を行うデータ通信・入出力処理ユニット(203)、マスタデータ生成処理ユニット(204)、データベースアクセス処理ユニット(205)等が含まれる。「移動ログ生成・連結処理ユニット」(201)は移動ログ生成・連結処理プログラム060、「データ抽出・可視化処理ユニット」(202)はデータ抽出・可視化処理プログラム070、データ通信・入出力処理ユニット(203)はデータ通信・処理プログラム070、マスタデータ生成処理ユニット(204)はマスタデータ生成処理プログラム050を、各々コンピュータ上で実行することにより得られる機能である。
【0023】
データ分析を行うオペレータ(003)が、制御用端末(008)を通じてサーバ(001)に対して条件を入力(選択)すると(302)、データ抽出・可視化処理ユニット(202)によって所定の処理が行われ、結果を取得することができる(303)。この取得結果(011)は、必要があれば制御用端末(008)のデータ格納部(010)に格納され、可視化(304)等、その後のマーケティング活動に活用される。
【0024】
図2に、鉄道を利用する乗客の移動と履歴の関係を、簡単な例を使って示す。この例は、太線の矢印で表されるように、A駅(401)から改札に入場してC駅(403)で別の路線に乗り換え、B駅(402)の改札を出場したのち、さらに他社線に乗り継ぐ(416)ためにF駅(406)で改札入場し、H駅(408)で乗り換えてG駅(407)で改札出場する移動を示している。
【0025】
ここで、「乗り換え」とは同一の鉄道会社の改札内である路線から別の路線に乗り換えることと定義し、「乗り継ぎ」とは他社線の路線に乗り換えるために一旦改札を出て、別の改札に入ることと定義する。乗り継ぎのための駅(ここではB駅(402)とF駅(406))は、別の鉄道会社の駅ではあるが、同じ敷地内に存在する場合もあるし、また少し離れた場所にあり徒歩での移動が必要な場合もある。実際の鉄道では、複数の鉄道会社間での相互乗り入れがあるが、この場合は改札を経ない乗り継ぎなので、ここでの「乗り継ぎ」の定義には含まない。
【0026】
図2の(A)において、A駅(401)からB駅(402)へ至る選択可能な移動経路には、実線で示されるC駅(403)経由の経路のほかに、D駅(404)およびE駅(405)を経由して行く経路(点線で表示)もある。A駅(401)からB駅(402)への移動は改札内の移動(414)であるため、電子乗車券の履歴としては、A駅(401)での改札入場(417)とB駅(402)での改札出場(418)しか残らない(移動の途中で購買を行った場合は、購買の履歴も残る)。従って、電子乗車券の利用履歴として格納される改札入出場の履歴からだけでは、どちらの経路を利用したのか本当のところはわからない。そのため、後述する所定のルールにより、移動するのに使ったと思われる経路を推定する処理が必要となる。同様に、F駅(406)からG駅(407)の移動も、H駅(408)での乗り換えを経由しない経路、すなわち改札内の移動(415)である可能性もある。本発明では、このような改札内移動の経路(414)、(415)の中で、後で述べるようにして推定される各々1つの移動経路が、それぞれ「移動ログ1」、「移動ログ2」として把握される。
【0027】
さらに広くみると、図2の(B)のように、A駅(401)からG駅(407)へ至るための選択可能な移動経路としては、B駅(402)/F駅(406)で乗り継がずに、I駅(409)での乗り換えのみ(改札内の移動)で行く方法や、J駅(410)/K駅(411)で乗り継いでいく経路なども存在する。つまり、A駅(401)からG駅(407) 行くには、乗り継ぎ含めて7通りもの選択可能な移動経路(選択肢)があることになる。それぞれの移動経路はどのような割合で選ばれているかを「移動ログ」で把握することで、乗客の流れを的確につかむことができる。また、例えばC駅(403)を利用する乗客は、全部でどれだけいるかということがわかれば、C駅での購買データとの比較や出店計画など、幅広い応用が可能となる。本発明の目的は、このような人の流れ(人流)を、「点」の集合である電子乗車券の履歴データから「移動ログ」に基づく「線」または「面」の情報として把握し、さまざまな範囲に応用できるようにすることである。
【0028】
図1におけるデータ格納部(100)のうち、代表的なデータのデータ構造を示したのが、図3A〜図4である。
【0029】
まず、図3Aと図3Bで、各種マスタデータ(102)について説明する。
駅マスタ(140)は、駅に関する情報を管理するマスタデータで、駅ID(141)、駅名(142)、鉄道会社(143)、駅の所在地(144)、緯度経度(145)等の情報を含む。
路線マスタ(150)は、路線に関する情報を管理するマスタデータで、いわゆる○○線という単位だけでなく、普通列車・快速列車・急行列車などの種別を区別して格納する。路線ID(151)、路線名(152)、鉄道会社(153)、普通/特急などの路線タイプ(154)等の情報を含む。
【0030】
駅-路線関係マスタ(160)は、駅マスタと路線マスタを関連付けるマスタデータで、路線ID(161)、駅ID(162)の組み合わせに対して、その路線におけるその駅の並び順序(163)、停車/通過などの駅種別(164)、始発駅からの所要時間(165)等の情報を含む。
【0031】
経路マスタ(170)は、経路に関する情報を管理するマスタデータで、基本的には入場駅と出場駅が指定された移動データに対して経路を割り当てるために使われる。一対の入場駅と出場駅の組(区間)に対して、少なくとも一種類以上の経路の候補が定義されている必要がある。もっとも単純なケースでは、一区間について一種類の経路の候補が定義される。首都圏のような複雑な路線図上では、経路の候補を増やしていくことで、経路判定の精度を向上させることができる。経路マスタは、経路ID(171)、入場駅ID(172)、出場駅ID(173)、乗車回数(174)、曜日(175)、時間帯(176)、標準所要時間(177)、最短所要時間(178)、料金(179)、優先度(169)等の情報を含む。ここで、最短所要時間とは、乗換にかかる時間や待ち時間を除いた、純粋に乗車している時間を足し合わせた所要時間で、標準所要時間は、乗車時間に乗換時間や待ち時間等を加えた、標準的に入場から出場までにかかる平均的な時間のことである。最短所要時間は曜日や時間帯によってそれほど大きく変わらないが、乗換にかかる時間は駅の混雑度合いによって、待ち時間は列車の頻度によって、曜日(平日/休日)や時間帯に応じて変化するものである。そこで経路マスタでも、標準所要時間および優先度は、あらかじめダイヤ情報を用いて曜日や時間帯に応じて定義しておく。ここでの定義の精密さによって、このマスタを使った経路判定の精度に影響が出るが、必要とされる経路判定に要求される正確さに応じて定義すればよく、必ずしも正確なダイヤの情報を反映する必要はない。
【0032】
与えられた入場駅と出場駅の組に対して、図9で後述するような経路判定を行うが、この際、平均的な所要時間の情報が必要となる。ある経路において、平均的な所要時間が少なくとも1種類定義されていればよいが、時間帯や曜日によって所要時間や優先度が著しく異なる区間については、必要に応じて定義を追加していけばよい。
【0033】
路線乗車マスタ(180)は、経路マスタにおける路線への乗車に関する情報を管理するマスタデータで、どの路線にどの駅からどの駅まで乗車したかを定義する。乗車ID(181)、乗車駅ID(182)、降車駅ID(183)、路線ID(184)、標準乗車時間(185)等の情報を含む。
【0034】
経路-乗車関係マスタ(190)は、経路マスタと路線乗車マスタとを関連付けるマスタデータで、ある経路においてどの路線乗車マスタがどの順番で並んでいるかを定義する。経路ID(191)、乗車ID(192)、順序(193)、乗換にかかる標準的な所要時間(194)、曜日(195)、時間帯(196)、標準的な待ち時間(197)等の情報を含む。
【0035】
カード/ユーザマスタ(210)は、カードやユーザに関する情報を管理するマスタデータで、カードID(211)、ユーザID(212)、氏名(213)、性別(214)、生年月日(215)、居住地域(216)等の個人情報、および会員種別(217)等の情報を含む。ここで、氏名や詳細な住所などの個人を識別可能な情報は、システムの動作上は必須ではない。性別や年齢などの属性情報は必ずしも必要なものではないが、データ処理後のマーケティング活動のために有用であることが多く、ここに記載されていないユーザに関わる各種情報(職業や勤務地域など)も、その後のマーケティング活動のために有用であれば、収集・格納しておくことが望ましい。
【0036】
乗継情報マスタ(220)は、複数の移動ログの乗り継ぎ関係を判定するために使われるマスタデータで、出場駅ID(221)、入場駅ID(222)と、接続タイプ(223)、乗り継ぎにかかる標準所要時間(224)等の情報を含む。
【0037】
店舗マスタ(230)は、決済端末(007)が設置された店舗に関する情報を管理するマスタデータで、店舗ID(231)、店舗名(232)、種別(233)、最寄駅/設置駅(234)、営業時間(235)等の情報を含む。
【0038】
図4A〜Cでは、各種ログデータ(101)について説明する。図4Aに元ログのデータ構造(履歴)を示し、図4Bに移動ログのデータ構造(履歴)を示し、図4Cに接続済ログのデータ構造(履歴)を示す。
図4Aにおいて、元ログデータ(110)は、ログID(111)、カードID(112)、改札通過・購買等の処理が行われた日時(113)とその端末(114)、処理種別(115)、支払金額(116)の情報を含む。処理種別(115)とは、改札機やゲートなら「出場」「入場」や、決済・物販端末であれば「購入」など、ログが取得された処理の種別を示す情報である。
【0039】
図4Bに示した移動ログ(120)は、元ログデータ(110)から、入場のログと出場のログを結びつけ、さらに経路を関連付けたものである。移動ログ(120)には、移動ログID(121)、カードID(122)、改札入場時刻(123)、改札出場時刻(124)、改札入場駅(125)、改札出場駅(126)、支払金額(127)、経路ID(128)等の情報を含む。
【0040】
図4Cに示した接続済移動ログ(130)は、移動ログ(120)を、さらに乗継判定して一連の移動に接続したものである。接続済移動ログ(130)は、接続済移動ログID(131)、カードID(132)、出発時刻(133)、到着時刻(134)、出発駅(135)、到着駅(136)、支払総額(137)、乗継回数(138)等の情報を含む。
【0041】
以上述べたマスタデータの具体的な例を、図5および図6を使って説明する。
図5では、駅マスタ140および路線マスタ150の例を示す。図5の(A)に示すように、A1駅とB4駅の間に、△△線各駅停車(421)・△△線急行(422)・□□線直通△△線(423)の3種類の路線があり、停車または通過する駅が、A1〜A11駅およびB1〜B4駅の合計15駅であるとする。●が停車駅、○が通過駅を表す。□□線直通△△線(423)は、複数の鉄道間の相互乗り入れが行われている路線であり、A8駅とB1駅が同じ改札内の同一駅にあって□□線と△△線の行き来が行えるようになっている。
【0042】
まず、図5の(B)に示した駅マスタ(140)によって、A1駅からB4駅までの各駅の駅名や位置情報などが定義される。ここで、停車または通過する路線の鉄道会社が異なる場合は、利用者にとって同一の駅とみなされる場合であっても、別々の駅として定義する。例えば東京駅や新宿駅のように、複数の鉄道会社の路線が運行している場合には、鉄道会社ごとに別々の駅を定義する。図5の例のように、相互乗り入れによりA8駅とB4が改札含めて同じ駅であっても、A8駅とB1駅は別々に定義される。
【0043】
図5の(C)に示した路線マスタ(150)には、それぞれの路線の名称や鉄道会社などの属性が定義される。ここでも、一般的な名称として「△△線」という路線があり、その路線に各駅停車や急行、特急など停車駅の異なる路線が複数存在する場合には、それらを別々に定義する。
【0044】
図5の(D)に示した駅-路線関係マスタ(160)は、駅マスタ(140)および路線マスタ(150)の関係性を定義するものである。A1駅は3本の路線の始発駅なので順序が「1」であり、それぞれの路線について停車駅および通過駅を順番に定義していく。また、相互乗り入れの拠点となっているA8駅とB1駅は「乗り入れ駅」であると定義し、それぞれ別々の駅として定義する。
【0045】
図6では、経路マスタ170の他の例を示す。図6の(A)では、図2の(A)で示したように、A駅(401)からB駅(402)へ至る経路が、C駅(403)経由の経路1と、D駅(404)・E駅(405)経由の経路2の2種類存在するとする。図5の(A)と同様、●が停車駅、○が通過駅を表すとし、C駅(403)、D駅(404)、E駅(405)ではそれぞれ別の路線への乗り換えを必要とする。
【0046】
先の例と同様、図6の(B)に示した駅マスタ(140)では駅の定義、路線マスタ(150)では路線の定義をそれぞれ行う。経路マスタ(170)は、入場駅と出場駅の組(区間)に対して、どのような移動経路の可能性があるかの概略を定義するもので、詳細な経路の内訳を表すために、路線乗車マスタ(180)と経路-乗車関係マスタ(190)を用いる。
【0047】
この例では、経路マスタ(170)により、入場駅がA駅(401)で出場駅がB駅(402)である2種類の経路について、平日の昼間の経路1(424)の乗車回数が2回、標準所要時間が62分、最短所要時間(列車に乗車している時間の合計)が50分、料金が800円であり、同じく平日の昼間の経路2(425)の乗車回数が3回、標準所要時間が50分、最短所要時間が37分、料金が800円であることが定義される。ここで「優先度」とは、後述するルールに基づき、この経路が選ばれる確率をパーセントで表したものである。つまり、この例では、経路1(424)に対して経路2(425)は6対4の割合で選択されるということを意味している。ただし、時間帯や曜日によって標準時間や優先度が異なる場合があるので、必要に応じて時間帯や曜日ごとに別々の情報が定義される。
【0048】
上記の経路マスタ(170)の詳細経路を定義するために、路線乗車マスタ(180)と経路-乗車関係マスタ(190)が用いられる。路線乗車マスタ(180)は、各経路においてある路線に乗車した部分を定義するものである。図6の例では、A駅(401)からC駅(403)に至る、路線Vへの5分間(標準的な所要時間)の乗車(426)を乗車ID[40001]として定義している。同様に、路線Wへの45分間の乗車(427)、路線Xへの10分間の乗車(428)、路線Yへの10分間の乗車(429)、路線Zへの17分間の乗車(430)が定義されている。これら路線乗車マスタ(180)の内容を、経路マスタ(170)に関連付けるのが経路-乗車関係マスタ(190)である。乗車順序や乗り換えにかかる標準時間、標準的な待ち時間等を定義する。時間帯や曜日によって標準時間が異なる場合があるので、必要に応じて時間帯や曜日ごとに別々の情報を定義する。このようにして、経路マスタ(170)により、ある駅から他のある駅に至る経路を定義することができる。
【0049】
次に、図7を用いて、本実施例による鉄道利用者の状況把握システムの、全般的な処理フローの一例を説明する。まず、マスタデータの生成処理(S310)を行う。このマスタデータは、大幅なダイヤ改正、新駅、新規路線の開設など鉄道利用環境が変化した時に適宜更新すれば良い。次に、「移動ログ」データを生成するための条件入力・設定(S311)を行う。例えば、ある地域のユーザAを対象としてデータを生成する等。次に、「元ログ」データの取得(S312)、及び「移動ログ」の生成処理(S313)を行う。移動ログの生成に当たっては、必要に応じて、経路判定の処理(S314)がなされる。さらに、「移動ログの連結」処理(S315)を行って完成した利用者毎の移動ログデータを、格納部に保持する(S316)。同様にして、移動ログデータの追加・更新を行う(S317)。格納部に保持された、利用者毎の移動ログデータは、制御用端末008のオペレータにより用途に応じた情報の抽出・編集がなされ、可視化処理され(S318)、それらの情報が活用される。なお、上記処理は、一連の流れとして示したが、いずれかの処理を行うプログラムを選択し、個別に処理を行ってもよいことは言うまでもない。以下、主な処理について詳細に説明する。
【0050】
まず、図8および図9を用いて、図1の「移動ログ生成・連結処理ユニット」(201)にて実行される、移動ログ生成処理(S313)の処理手順を説明する。
【0051】
図8は、移動ログ120の生成処理の手順をステップごとに表したものである。
[0] まず、元のログデータを、カードIDごとに分離し、それぞれのユーザIDについて、データを時系列に並べる事前処理(S330)を行う。
[1] 次に、分離したカードIDごとのデータについて以下を繰り返す(S331)。すなわち、[1-1] メモリ上の入場駅、入場日時、出場駅、出場日時をクリアし、経由駅情報をクリアし(S332)、[1-2] 以下の分岐処理を時系列に並んだ各ログについて繰り返す(S333)。
【0052】
[1-2-1] ここで、ログの処理種別が「入場」の場合は(S334)、[1-2-1-1] メモリ上の入場駅および入場日時に、ログの値をセットする(S335)。[1-2-2] ログの処理種別が「出場」の場合(S336)で、[1-2-2-1] 入場駅および入場日時がセットされていれば、メモリ上の出場駅および出場日時に、現在のログの値をセットし、次の処理(S338)に進む(S337)。ここで入場駅・入場日時がセットされていない場合は、対応する入場記録が存在しないと判断し、次のログの処理に移る。[1-2-2-2] 入場駅・入場日時・出場駅・出場日時がセットされた状態であれば、追加の経由駅情報等も利用して、経路判定を行う(S338、なお、この経路判定の処理については図9で説明)。[1-2-2-3] 経路判定が済んだら、移動ログ120に値を格納する(S339)。
【0053】
[1-2-3] ログの処理種別が「購買」の場合(S340)で、[1-2-3-1] 入場駅・入場日時がセットされている場合は、改札内での購買であるとみなし、購買ログの店舗情報から設置駅を取り出し、経由駅情報としてログの情報をセットする(S341)。入場情報がセットされていない場合、店舗の設置駅が取得できない場合は、次のログの処理に移る。これらの処理により生成された移動ログ120について、図10に示す「移動ログ連結処理」を行う。
【0054】
ここで、経路判定(S338)について説明を補足する。図9は、経路判定(S338)の処理手順を示す。図8に示した一連の処理によって、移動ログの入場駅・入場日時・出場駅・出場日時が確定した状態で、まずは入場駅・出場駅の組み合わせから経路マスタ(170)を検索し、移動ログの時間帯や曜日に合致したものを候補として抽出する(S350)。ここで、購買ログからの経由駅情報がセットされている場合には、候補の経路の中から、経由駅を通る経路で絞り込む(S352)。この段階で経路が一意に確定した場合には(S353)処理を終了する(S358)。絞り込まれた経路の中で、実際にかかった時間が、他の候補となる経路の最短所要時間より短い経路がみつかった場合には(S354)、最短所要時間<実際の時間となる経路で絞り込む(S355)。この段階で経路が一意に確定した場合には(S356)処理を終了する(S358)。最終的に絞り込まれた経路が複数存在する場合には、乱数を発生するなどして優先度の値に応じて経路を割り振り(S357)、経路を確定させる(S358)。
【0055】
図10は、移動ログ連結処理(S315)の処理手順を示す。図8および図9に示した処理により移動ログ(120)が生成された状態で(S 360)、カードIDごとに下記の処理を繰り返す(S361)。まず、メモリ上の出発情報(出発駅・出発日時)および到着情報(到着駅・到着日時)をクリアして(S362)、時系列に並んだ移動ログについて処理を繰り返す(S363)。もし、出発情報や到着情報がセットされていれば(S 364)、到着駅(=前の移動ログの出場駅)と現在の移動ログの入場駅から、乗継情報マスタ(220)を検索し、標準的な乗継所要時間を取得する(S365)。また、到着日時(=前の移動ログの出場日時)と現在の移動ログの入場日時の差分から、実際にかかった乗継時間を取得し(S366)、標準所要時間との比較を行う(S367)。ここで、標準所要時間にあらかじめ設定しておいたマージンの値を加えた時間よりも、実際にかかった乗継時間が短い場合には、ひとつ前の移動ログと今回の移動ログを連結することとし、出発駅および出発日時は前回のままとする(S368)。実際にかかった乗継時間が長いと判定された場合には、移動ログの連結は行わず、現在メモリに保持されている出発情報・到着情報および乗継回数などの情報を、連結済み移動ログ(130)として格納する(S369)。ここで一旦ログの連結を解除するので、出発駅・出発日時として、現在の移動ログの入場駅・入場日時をセットする(S370)。もとから出発情報がセットされていない場合も、同様の処理を行う。そして、メモリ上の到着駅・到着日時に、現在の移動ログの出場駅・出場日時をセットして(S371)、次のログの処理に移る。
【0056】
図6に定義された条件において、図8〜図10の処理によって移動ログの生成および連結が行われる例を、図11に示す。
【0057】
元ログ(110)には、カードID[80001]と[80002]の2人のユーザの、時系列の乗車券履歴が表示されている。カードID[80001]のユーザも、カードID[80002]のユーザも、同様にA駅(駅ID[10101])から入場し、B駅(駅ID[10102])から出場したという記録が残っている。入出場の記録だけをみると、両者の移動は同じようにみえるが、図9における判定処理により、それぞれ違う移動経路に割り当てられる。例えばカードID[80001]のユーザは、乗換駅となるC駅の構内の店舗での購買記録が残っているため、C駅を経由した経路1(経路ID[30001])を利用したと判定される。また、カードID[80002]のユーザは、入場から出場までの所要時間が48分と、経路1の最短所要時間(50分)より短い時間で到着しているため、経路1を利用するのは不可能であると判定し、経路2(経路ID[30002])が選ばれる。なお、この例のように購買情報や所要時間の関係で経路が一意に決まらない場合には、時間帯や曜日に応じた優先度によって確率的に経路が割り振られる。このようにして入場と出場の履歴である元ログ(110)から、移動ログ(120)が生成され、ここからさらに乗継判定処理により、接続済移動ログ(130)が生成される。生成された「移動ログデータ」(120)、「連結済移動ログデータ」(130)等は、ログデータ格納部(101)に保持される。
【0058】
次に、図12〜図15により、生成した移動ログの利用・可視化処理(S318)について説明する。
【0059】
図12は、移動ログの可視化処理手順を示す図である。移動ログ生成処理によって生成・連結された移動ログ(120)について、以下の処理を繰り返す。
まず、移動ログにある入場日時、出場日時をメモリにロードし(S381)、経路IDから経路マスタ(170)、路線乗車マスタ(180)、経路-乗車関係マスタ(190)を参照し、メモリ上に移動ログ詳細データを展開する。すなわち、入場時刻から乗車時間、乗換時間、待ち時間などを足し合わせていって、どの時刻にどの駅でどの路線に乗車/降車したかという情報を得る(S383, S384)。さらに、駅-路線関係マスタ(160)を用いて、路線上の停車駅/通過駅含めた駅への滞在時刻を割り振る(S385)。ここで、「標準所要時間」はあくまでも標準的な(平均的な)所要時間であり、実際の移動にかかった所要時間との間には差が出てくる。実際にかかった時間が標準所要時間より短い場合は、乗換時間や待ち時間が短縮されることで、経路マスタに登録された最短所要時間に近づく。逆に、実際に移動にかかった時間が長い場合は、乗換の途中で買い物や食事をしたり、来た列車にすぐに乗らずに次の列車を待ってゆっくり座って行ったり、快速列車に乗らずに各駅停車に乗ったり、乗り過ごして戻ってきたり、あるいは事故や運行障害等で列車が遅れたり、といろいろな理由が考えられる。この、実際にかかった時間から標準所要時間を差し引いた時間を「滞留時間」と称する。滞留時間の扱いについては、各乗換駅での所要時間に均等に割り振ったり、最初の駅(改札入場してから乗車するまで)/最後の駅(降車してから改札出場するまで)に割り当てたりすることで、改札入場から改札出場までの移動中の駅の滞在時間に所定の方法で割り当てる。また、路線上の列車の頻度がわかっている場合には、その列車の発車タイミングに合わせて駅滞在時刻を微調整するという方法も考えられる。
【0060】
このようにしてメモリ上に展開された可視化用移動ログデータを、駅の緯度経度にあわせて、地図上にプロットする(S387)。時間の流れに沿ってアニメーション表示することで、この乗客がどのような経路で入場駅から出場駅までを移動したのかを可視化することができる。これを連結済みの移動ログに対して行うことで、入場から出場だけでなく、出発から到着までの一連の移動の流れを可視化することができる。さらに、多くの移動ログ・連結済み移動ログに対してこれをまとめて行うことで、路線図上での乗客の流れを把握することができる。
【0061】
図13および図14は、図12で示したデータ可視化処理の例である。図11によって得られたカードID[80002]の移動ログについて、図12の処理を行った結果を示している。可視化用移動ログデータ(441)には、改札入場から乗車、通過、停車、降車、改札出場のそれぞれの駅について、到着時刻と滞在時間が展開されている。この情報を路線図上の各駅の位置(緯度経度情報および路線の関係図)に対応してプロットしていく。
【0062】
このような可視化処理により、人の流れが路線図上で直感的に把握できるようになり、マーケティングや鉄道の輸送計画などの面で幅広い応用が可能となる。例えば、ある日のある時間(期間)を決めて、全乗客の移動を路線図上にアニメーションすれば、時々刻々の乗客の流れを把握できる。特定の期間における特定の乗客の移動路線をまとめて描画すれば、その期間におけるその乗客の行動範囲(縄張り)を把握できる。特定の条件を満たす乗客群(例えばある店舗を利用した乗客、また30代女性など特定の属性条件を満たす乗客)の移動を描画すれば、その乗客群がいつどのあたりに分散しているかなどといった状況が把握できる。このようにして、今までの分析ではわからなかった視点での人流を把握でき、データの応用範囲が広がる。
【0063】
最後に図15に、さまざまな条件における移動ログ抽出処理の処理手順を簡単に示す。一番簡単な条件としては、1. 入場または出場に対象駅を利用したログを抽出する場合(451)である。入場駅と出場駅の両方を指定して抽出する場合や、入場や出場の日付や時刻(時間帯)などの条件を付与して抽出する場合もこれに当たる(これ以降の各条件に関しても同様)。この場合は、移動ログ(120)から、対象駅が入場駅または出場駅であるログを抽出すればよい(S390)。ただし、この場合であれば、元ログ(110)の形から入場や出場のログを抽出すればよいので、わざわざ移動ログを生成する必要はない。
【0064】
次の条件として、駅の入出場でなく、一連の移動の出発駅または/および到着駅を指定して抽出する場合(452)である。これは、連結済み移動ログ(130)を対象として、出発駅や到着駅を指定することでログを抽出できる(S391)。この条件で抽出することの利点は、単なる乗り継ぎとして駅の入出場を行った乗客を除いて、乗客の一連の移動の出発点および到着点(目的地)という観点で人の移動を抽出できる点にある。
【0065】
次に、入場・出場だけでなく、3. 乗換などで駅を利用した人も含めてログを抽出する場合(453)である。この場合はまず、路線乗車マスタ(180)から、対象駅が乗車駅または降車駅であるものの乗車IDを抽出する(S392)。ここで抽出された乗車IDを含む経路マスタ(170)の経路IDを、経路-乗車関係マスタ(190)から抽出する(S393)。そして、移動ログ(120)から、この経路IDが関連付けられているログを抽出することで、条件を満たすログを抽出することができる(S394)。この条件で抽出されるログは、対象駅を「利用」(=駅の敷地内を踏む)したログであるので、この中から駅の敷地内にある店舗の利用割合や、乗換にかかる時間の分布、時間帯による利用者の年齢構成などを調べることで、ある駅の改札内での人の流れや傾向などを把握することができる。
【0066】
もう少し複雑な抽出条件としては、4. 停車・通過した駅で抽出する場合(454)がある。この場合は、路線乗車マスタ(180)と駅-路線関係マスタ(160)を用いて、乗車から降車までの区間が、対象駅を間に含む区間であるものの乗車IDを抽出する(S395)。以下は同様に、抽出された乗車IDを含む経路マスタ(170)の経路IDを、経路-乗車関係マスタ(190)から抽出する(S396)。そして、移動ログ(120)から、この経路IDが関連付けられているログを抽出することで、条件を満たすログを抽出することができる(S397)。この条件では、例えばある時間帯にある駅付近を通りかかったログを抽出することで、運行異常や遅延の影響をみたり、列車の混雑状況を把握したりすることができる。
【0067】
また、駅に注目するのでなく、5. 乗車した路線で抽出する(455)こともできる。この場合は、路線乗車マスタ(180)から対象路線に乗車する乗車IDを抽出し(S398)、抽出された乗車IDを含む経路マスタ(170)の経路IDを、経路-乗車関係マスタ(190)から抽出し(S399)、移動ログ(120)から、この経路IDが関連付けられているログを抽出する(S400)。路線全体でなく、区間を限定して抽出することもできる。これにより、路線の利用率や、列車に設置された広告やデジタルサイネージなどの効果などを調べるのに利用することができる。
【0068】
以上、図1から図15により、本発明の第一の実施例について説明した。本実施例により、電子乗車券履歴データに対して、効率よく移動経路の判定および移動ログの格納を可能とする方法と、「一連の移動」を含んだ乗客の移動の流れを把握することにより、幅広い応用が可能である。
【0069】
本発明では、ダイヤデータを利用せず平均的な移動時間や料金を含む移動経路を定義する「経路マスタ」を活用する。ダイヤデータを利用しないため、サーバに蓄積する情報量が少なくてよく、処理が効率的である。また、頻繁に行われるダイヤの変更があった場合でも逐一メンテナンスを行う必要がなく、管理が簡単になる。また、ダイヤデータを利用せず平均的な移動時間、換言すると相対的な値を用いるため、日々の運行ダイヤに若干の乱れがあっても、ある程度の範囲までは吸収し、適切な経路判定を行うことができる。
【実施例2】
【0070】
以下、本発明によって実現される鉄道利用者に関する情報を生成するシステムの第二の実施例を、図16と図17により説明する。
第二の実施例では、入場から出場まで(改札内)の経路判定処理を省略し、「一連の移動」として「移動ログを連結する」ことに重点を置く。実施例1の図15におけるログ抽出の例のうち、「1. 入場または出場に対象駅を利用したログ抽出」と「2. 一連の移動の出発駅または/および到着駅を指定して抽出」に特化し、処理を簡略化したものである。従って、図16に示すシステム構成図においては経路判定に必要なマスタ類が省略されている。
【0071】
また、図17に示す処理手順では、実施例1の経路判定のステップ(図8のS338, S340, S341)が省略され、入場ログと出場ログから移動ログを生成したのち(S339)、移動ログの連結処理(図10)に移るようになる。
【0072】
本発明の第二の実施例では、第一の実施例に比べて改札内の経路を把握できないため、人の流れの把握の精度には劣るが、処理がシンプルで高速であるという利点がある。移動ログの抽出・利用の目的に詳細な移動経路が必要ない場合は、このようなシステム構成もありうる。
〔産業上の利用可能性〕
大量の電子乗車券履歴データをもとに、単なる入場・出場の履歴からではわからなかった路線上の移動経路と、鉄道移動者の出発地および最終的な目的地に関する情報といった、ミクロ/マクロの人の流れを把握することができる。さまざまな条件によるログ抽出や可視化などに利用することで、マーケティングや鉄道の輸送計画などに対する幅広い応用が可能となる。
【符号の説明】
【0073】
001: サーバ, 002: ユーザ,003: オペレータ, 004: ネットワーク, 005: 電子乗車券, 006: 改札機, 007: 決済端末, 008: 制御用端末, 009: 改札機・決済端末のデータ格納部, 010: 制御用端末のデータ格納部, 100: データ格納部, 101:ログデータ, 102: マスタデータ, 110: ID付元ログデータ, 111: ログID, 112: カードID, 113: 処理日時, 114: 駅(店舗)ID, 115: 処理種別, 116: 支払金額, 120: 移動ログ, 121: 移動ログID, 122: カードID, 123: 入場日時, 124: 出場日時, 125: 入場駅ID, 126: 出場駅ID, 127: 支払金額, 128: 経路ID, 130: 接続済移動ログ, 131: 接続済ログID, 132: カードID, 133: 出発日時, 134: 到着日時, 135: 出発駅ID, 136: 到着駅ID, 137: 支払総額, 138: 乗り継ぎ回数, 140: 駅マスタ, 141: 駅ID, 142: 駅名, 143: 駅鉄道会社, 144: 所在地, 145: 位置情報(経度・緯度), 150: 路線マスタ, 151: 路線ID, 152: 路線名, 153: 路線鉄道会社, 154: 路線タイプ, 160: 駅-路線関係マスタ, 161: 路線ID, 162: 駅ID, 163: 順序, 164: 駅種別, 165: 始発からの所要時間, 170: 経路マスタ, 171: 経路ID, 172: 入場駅ID, 173: 出場駅ID, 174: 乗車回数, 175: 曜日, 176: 時間帯, 177: 標準所要時間, 178: 最短所要時間, 179: 料金, 169: 優先度, 180: 路線乗車マスタ, 181: 乗車ID, 182: 乗車駅ID, 183: 降車駅ID, 184: 乗車路線ID, 185: 乗車時間, 190: 経路-乗車関係マスタ, 191: 経路ID, 192: 乗車ID, 193: 順序, 194: 乗り換え所要時間, 195: 曜日, 196: 時間帯, 197: 標準待ち時間, 200: 制御部, 201: 移動ログ生成・連結処理ユニット, 202: データ抽出・可視化処理ユニット, 203: データ通信・入出力処理ユニット, 204:マスタデータ生成処理ユニット, 205: データベースアクセス処理ユニット, 210: カード・ユーザマスタ, 211: カードID, 212: ユーザID, 213: 氏名, 214: 性別, 215: 生年月日, 216: 居住地域, 217: 会員種別, 220: 乗継情報マスタ, 221: 出場駅ID, 222: 入場駅ID, 223: 接続タイプ, 224: 標準所要時間, 230: 店舗マスタ, 231: 店舗ID, 232: 店舗名, 233: 店舗種別, 234: 最寄駅/設置駅, 235: 営業時間情報, 301: 履歴情報送信処理, 302: 条件入力(選択)処理, 303: 結果取得処理, 304: 可視化, 330〜342, 350〜358, 360〜371, 380〜387, 389〜399: 処理ステップ, 401: A駅, 402: B駅, 403: C駅, 404: D駅, 405: E駅, 406: F駅, 407: G駅, 408: H駅, 409: I駅, 410: J駅, 411: K駅, 412: L駅, 413: M駅, 414: 改札内移動, 415: 改札内移動, 416: 他社線乗り継ぎ, 417: A駅入場(日時), 418: B駅入場(日時・金額), 419: D駅入場(日時), 420: G駅出場(日時・金額), 421: △△線各停, 422: △△線急行, 423: □□線直通△△線, 424: 経路1, 425: 経路2, 426〜430: 路線への乗車, 440: 移動ログ詳細データ, 441: 可視化用移動ログデータ, 451〜455: 抽出条件。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部とデータ格納部とを備え、
前記データ格納部は、鉄道路線の路線、及び、前記路線を経由した各駅間の移動経路と、該移動経路の移動時間とを各々定義した情報を含むマスタデータと、鉄道利用者の電子乗車券の利用履歴を含むログデータとを有し、
前記制御部は、前記利用履歴から得られる前記鉄道利用者の前記路線における入出場駅に関する情報から、該入出場駅間に複数の選択可能な移動経路が存在する場合に、前記入出場駅の時刻、及び前記マスタデータの前記移動経路とその移動時間に関する情報に基づいて、該鉄道利用者の移動経路を推定し移動ログとして生成することを特徴とする鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ。
【請求項2】
請求項1において、
前記マスタデータは、前記電子乗車券を利用可能な前記鉄道路線の前記各駅間の移動経路毎に、標準的な移動時間を定義した情報を含み、
前記制御部は、該標準的な移動時間に関する情報に基づき、前記鉄道利用者の移動経路を推定して前記移動ログを生成する
ことを特徴とする鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ。
【請求項3】
請求項2において、
前記マスタデータは、前記移動経路を定義する経路マスタを含み、
該経路マスタで定義される前記標準的な移動時間は、前記鉄道路線の乗車時間に乗換え・待ち時間を加えた、前記各駅間の入場から出場までにかかる平均的な時間である
ことを特徴とする鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ。
【請求項4】
請求項3において、
前記移動ログは、同一の乗車券IDを持つ入場ログと出場ログの組からなり、
前記制御部は、入場駅と出場駅、および入場・出場時刻の指定を受けて、前記経路マスタを参照して、前記移動ログに対して一意な経路IDを付与する
ことを特徴とするサーバ。
【請求項5】
請求項3において、
前記経路マスタは、前記駅間に複数の選択可能な移動経路が存在する場合に、いずれか1つの経路を優先して選択するための優先度を定義した情報を含み、
前記制御部は、該経路マスタで定義される前記標準的な移動時間に関する情報に基づき推定される前記鉄道利用者の選択可能な移動経路が複数存在する場合、前記優先度に基づき前記鉄道利用者の移動経路を推定して前記移動ログを生成する
ことを特徴とする鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ。
【請求項6】
請求項3において、
前記経路マスタは、前記各駅間の経路の料金を定義した情報を含み、
前記制御部は、該経路マスタで定義される前記標準的な移動時間に関する情報に基づき推定される前記鉄道利用者の選択可能な移動経路が複数存在する場合、前記利用履歴及び前記経路マスタから得られる前記料金に関する情報に基づき、前記鉄道利用者の移動経路を推定して前記移動ログを生成する
ことを特徴とする鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ。
【請求項7】
請求項3において、
前記マスタデータは、決済端末が設置された店舗に関する情報を管理する店舗マスタを含み、
前記制御部は、前記経路マスタで定義される前記標準的な移動時間に関する情報に基づき推定される前記鉄道利用者の選択可能な移動経路が複数存在する場合、前記利用履歴から得られる購買の履歴に関する情報と前記店舗マスタの情報とに基づき、前記鉄道利用者の移動経路を推定して出力する
ことを特徴とするサーバ。
【請求項8】
請求項7において、
前記ログデータは、それぞれの鉄道利用者の電子乗車券の利用履歴を格納するID付の元ログデータを含み、
前記制御部は、前記各鉄道利用者の電子乗車券のIDをキーとして、前記ID付の元ログデータ及び前記マスタデータを解析して前記鉄道利用者毎の経路推定を行い、前記移動ログを生成する
ことを特徴とする鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ。
【請求項9】
請求項8において、
前記サーバは、ネットワークを介して制御用端末に接続可能に構成されており、
前記制御部は、生成された前記移動ログに対するデータ抽出や変換処理を行うデータ抽出・変換処理ユニットを備え、
前記データ抽出・変換処理ユニットは、前記制御用端末から与えられた条件に基づき、該当する前記移動ログを抽出し、前記ログデータと前記マスタデータから前記鉄道利用者が乗車した路線や乗り換えた駅、移動時間等の情報を取得して前記制御用端末に送信する
ことを特徴とする鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ。
【請求項10】
制御部とデータ格納部とを備え、
前記データ格納部は、鉄道路線の路線、及び、前記路線を経由した各駅間の移動経路と、該移動経路の移動時間とを各々定義した情報を含むマスタデータと、鉄道利用者の電子乗車券の利用履歴を含むログデータとを有し、
前記制御部は、前記ログデータの利用履歴から得られる前記鉄道利用者の入出場駅間に複数の選択可能な移動経路が存在する場合に、該鉄道利用者の移動経路を、前記利用履歴から得られる前記入出場駅の時刻、及び前記マスタデータの前記情報に基づいて判定し移動ログとして生成するとともに、
前記制御部は、前記ログデータの利用履歴から得られる前記鉄道利用者の入出場駅間に異なる鉄道会社間の乗り継ぎ区間が存在する場合に、前記利用履歴、及び前記マスタデータの前記情報に基づいて、1つの鉄道会社の前記移動ログの出場駅・出場時刻と他の鉄道会社の前記移動ログの入場駅・入場時刻との関係をもとに前記鉄道利用者の乗継判定を行い、一連の移動として連結済移動ログを生成する
ことを特徴とする鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ。
【請求項11】
請求項10において、
前記マスタデータは、前記電子乗車券を利用可能な前記鉄道路線の前記各駅間の移動経路毎に、標準的な移動時間を定義した情報を含み、
前記制御部は、該標準的な移動時間に関する情報に基づき、前記鉄道利用者の前記鉄道会社毎の移動経路を推定し前記連結済移動ログを生成する
ことを特徴とする鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ。
【請求項12】
請求項11において、
前記マスタデータは、前記鉄道会社毎の前記移動経路を定義する経路マスタを含み、
該経路マスタで定義される前記標準的な移動時間は、前記鉄道路線の乗車時間に乗換え・待ち時間を加えた、前記各駅間の入場から出場までにかかる平均的な時間である
ことを特徴とする鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ。
【請求項13】
請求項12において、
前記制御部は、入場駅と出場駅が指定された前記各移動ログデータに対して前記経路マスタの情報に基づいて前記経路を割り当てる
ことを特徴とする鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ。
【請求項14】
請求項13において、
前記経路マスタは、前記駅間に複数の選択可能な移動経路が存在する場合に、いずれか1つの経路を優先して選択するための優先度を定義した情報を含み、
前記制御部は、該経路マスタで定義される前記標準的な移動時間に関する情報に基づき推定される前記鉄道利用者の選択可能な移動経路が複数存在する場合、前記優先度に基づき前記鉄道利用者の移動経路を推定して前記連結済移動ログを生成する
ことを特徴とする鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ。
【請求項15】
請求項13において、
前記マスタデータは、決済端末が設置された店舗に関する情報を管理する店舗マスタを含み、
前記経路マスタは、前記各駅間の経路の料金を定義した情報を含み、
前記制御部は、該経路マスタで定義される前記標準的な移動時間に関する情報に基づき推定される前記鉄道利用者の選択可能な移動経路が複数存在する場合、前記利用履歴及び前記経路マスタから得られる前記料金に関する情報、及び前記各駅の改札機の通過や購買の履歴に基づき、前記鉄道利用者の移動経路を推定して前記連結済移動ログを生成する
ことを特徴とする鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ。
【請求項16】
請求項10において、
前記制御部は、移動ログ生成・連結処理ユニットを備え、
前記マスタデータには、カードやユーザに関する情報を管理するカード/ユーザマスタ)、複数の移動ログの乗り継ぎ関係を判定するための乗継情報マスタ、決済端末が設置された店舗に関する情報を管理する店舗マスタを含み、
前記ログデータは、それぞれの鉄道利用者の電子乗車券の利用履歴を格納するID付の元ログデータを含み、
前記制御部は、前記各鉄道利用者の電子乗車券のIDをキーとして、前記ID付の元ログデータ及び前記マスタデータを解析して前記鉄道利用者毎の経路推定を行い、前記移動ログを生成し、
前記移動ログ生成・連結処理ユニットは、前記移動ログとして格納するデータに、選択された前記経路のIDのみを結びつけてデータベースに格納する
ことを特徴とする鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ。
【請求項17】
請求項10において、
前記サーバは、ネットワークを介して制御用端末に接続可能に構成されており、
前記制御部は、生成された前記連結済移動ログに対するデータ抽出や変換処理を行うデータ抽出・変換処理ユニットを備え、
前記データ抽出・変換処理ユニットは、前記制御用端末から与えられた条件に基づき、前記連結済移動ログを抽出し、前記ログデータと前記マスタデータから前記鉄道利用者が乗車した路線や乗り換えた駅、乗継いだ駅、及び移動時間等の情報を取得して前記制御用端末に送信する
ことを特徴とする鉄道利用者に関する情報を生成するためのサーバ。
【請求項18】
鉄道利用者に関する情報を生成するために、コンピュータを、
外部とのデータ通信や入出力を行うデータ通信・入出力処理手段、
データ格納部に、前記鉄道利用者が電子乗車券により鉄道路線の改札機を通過した利用履歴をログデータとして記録し、前記鉄道路線の駅及び路線と、該路線の入出場駅間の少なくとも1つの移動経路とを定義した情報をマスタデータとして記録させる記録手段、
前記マスタデータ及び前記ログデータから同一の乗車券IDを持つ入場ログと出場ログの組からなる移動ログを生成する移動ログ生成手段
として機能させるための鉄道利用者に関する情報を生成するプログラム。
【請求項19】
請求項18において、
コンピュータを、
前記鉄道利用者の一連の移動状態を表すために、複数の前記移動ログの連結処理を行う移動ログ連結処理手段、
生成された前記移動ログに対するデータ抽出や変換処理を行うデータ抽出・可視化処理手段
として機能させるための鉄道利用者に関する情報を生成するプログラム。
【請求項20】
請求項19において、
コンピュータを、
前記データ格納部に、複数の鉄道会社の鉄道路線の路線、駅、及び、前記路線を経由した各駅間の移動経路と、該移動経路の移動時間とを定義した情報を前記マスタデータとして記録させ、前記鉄道利用者の電子乗車券の利用履歴と、前記移動ログを前記ログデータに記録させる前記記録手段、
前記制御用端末から与えられた条件に従って、前記ログデータの利用履歴から得られる前記鉄道利用者の入出場駅間に複数の選択可能な移動経路が存在する場合に、該鉄道利用者の移動経路を、前記利用履歴から得られる前記入出場駅の時刻、及び前記マスタデータの前記情報に基づいて判定し一連の移動ログとして生成し出力する前記移動ログ生成手段、
前記ログデータの利用履歴から得られる前記鉄道利用者の入出場駅間に異なる鉄道会社間の乗り継ぎ区間が存在する場合に、前記利用履歴、及び前記マスタデータの前記情報に基づいて、1つの鉄道会社の移動ログの出場駅・出場時刻と他の鉄道会社の移動ログの入場駅・入場時刻との関係をもとに前記鉄道利用者の乗継判定を行い、一連の移動として連結された複数の移動ログのデータを生成し出力する前記移動ログ連結処理手段
として機能させるための鉄道利用者に関する情報を生成するプログラム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−257842(P2011−257842A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129978(P2010−129978)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)