説明

鉄道模型保守監視システム

【課題】鉄道模型の集電電圧の不良箇所の特定や原因の推定が困難であった。
【解決手段】レール1からの集電電圧を測定する電圧測定部21と、走行体の現在位置を特定する位置特定手段25と、電圧測定部で取得した測定電圧値及び位置特定手段で取得した走行体位置の各情報を送信する無線送信部27とを搭載した走行体2、および走行体の無線送信部から送信された情報を受信するための無線受信機4と、この無線受信機から得られた受信情報を監視者へ伝達するための情報処理表示手段5とを有した監視装置を備え、情報処理表示手段5に走行体2の位置に対する集電した測定電圧値をグラフ表示するようにして、集電不良の発生原因と発生場所の特定が行えるようにした鉄道模型保守監視システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道模型におけるレールから走行体への集電不良箇所の特定を容易にするための鉄道模型保守監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道模型の保守監視においては、従来は走行体(模型)をレール(軌道)上で走行させてみて、走行状態への影響を確認する官能的検査が主流であった。また、設備不備の場合も、塵付着の場合も類似した走行不良が発生するため、不良原因の見分けが難しかった。そのため、調整が試行錯誤的で時間がかかったり、設備不良の見逃しなどの不備が発生していた。
【0003】
この改善策として、模型関係ではカーボンごみに対して清掃車を走らせるなどの事例があるが、保守効率向上へと繋がる事例・文献はなかった。また、実列車運行の保守の分野では、特許文献1に示す様な列車走行時に音を拾って監視し、不良箇所を特定するという技術が開示されている。しかしながら、鉄道模型の走行においては、異常発生音については模型の走行体自身の走行音の影響が大きく実列車と同様の効果が期待できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−241653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鉄道模型の集電電圧の不良箇所と原因推定を行う際、これまでは保守担当者が走行体の走行状態を直接観察することにより判断していた為、不良箇所の特定や原因の推定が困難であり、レール(軌道)や走行体(模型)を試行錯誤的に調整することが必要となり、保守担当者の経験に頼る部分が多くなっていた。その為受電不良部分を確実に特定し、問題を解決するのが困難であった。
【0006】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、走行時の集電電圧を定量的データとして位置特定が可能な情報と共に取得することにより、集電不良箇所の位置推定を可能とすると共に、測定した集電電圧値の変動パターンを保守担当者が確認しやすくすることにより、原因の推定を容易にする鉄道模型保守監視システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係わる鉄道模型保守監視システムは、鉄道模型におけるレールから走行体への集電不良箇所を検出するための鉄道模型保守監視システムにおいて、レールからの集電電圧を測定する電圧測定部と、走行体の現在位置を特定する位置特定手段と、電圧測定部にて取得した測定電圧値及び位置特定手段から取得した走行体位置の各情報をリアルタイムに送信するための無線送信部とを搭載した走行体、および走行体の無線送信部から送信された情報を受信するための無線受信機と、この無線受信機から得られた受信情報を監視者へ伝達するための情報処理表示手段とを有した監視装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、走行体の位置情報と集電電圧を取得することにより、集電不良箇所が容易に特定可能となると共に、集電測定値の変動パターンを確認することにより、複数ある集電不良発生原因のうち、いずれの原因により集電不良が発生しているかを推定することが可能となるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1における鉄道模型保守監視システムの全体図である。
【図2】この発明の実施の形態1における鉄道模型保守監視システムの走行体の概要図である。
【図3】この発明の実施の形態1における保守監視システムの情報処理表示手段で表示したグラフの一例である。
【図4】この発明の実施の形態2における鉄道模型保守監視システムの走行体の概要図である。
【図5】この発明の実施の形態3における鉄道模型保守監視システムの全体図である。
【図6】この発明の実施の形態5における鉄道模型保守監視システムの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1における鉄道模型保守監視システムを図1〜図3に基づいて説明する。
図1に示すように、この発明の鉄道模型保守監視システムは、レール(軌道)1上に走行体(車輛模型)2を走らせるようになっており、レール1に沿ってその周囲の適切な位置に複数の位置マーカ3が配設されている。この位置マーカ3はそれぞれ固有の位置マーカIDを発信するようになっている。またレール1の周囲の適切な位置には走行体2から発信される信号を受信するための無線受信機4と、この無線受信機4から得られた受信情報を監視者へ伝達するための観測用パーソナルコンピュータなどの情報処理表示手段5とからなる監視装置が備えられている。
【0011】
図2は走行体2の内部構成の概略を示したもので、図2においては、車輌編成が先頭車輌2a、中間車輌2b、動力車輌2cの3両編成として記載されているが、実際は自由な編成に組み替え可能である。但しこれらのうちこの発明の実施に最低限必要な構成は中間車輌2bで示される部分であるので、中間車輌2bに相当する車輌を編成に含む構成とする必要がある。
【0012】
走行体2の中間車輌2bには、レール(軌道)1を介して送られる電源から集電した集電電圧を測定する電圧測定部21、レール(軌道)1から電源を取得し走行体2の動作電圧とするための電源回路22、動作電圧が集電不良により変動することを防ぐため、動作電圧を安定供給するための充電電池23が備えられている。
さらに、中間車輌2bには、位置マーカ3から発信される固有の位置マーカIDを受信する位置マーカセンサ24、中間車輌2bの車輪の回転数をパルスとして取得する回転センサ25、電圧測定部21で測定した集電電圧の測定電圧値、位置マーカセンサ24で受信した位置マーカID、および回転センサ25で計測されたパルス信号を入力するマイコン測定部26、マイコン測定部26で測定された電圧測定値、回転センサ出力および位置マーカIDを監視装置の無線受信機4へ送るための無線送信部27を備えている。
【0013】
ここで、位置マーカセンサ24および回転センサ25などの各センサやマイコン測定部26の動作に利用する電源はレール1より集電した集電電圧を利用しているのであるが、この発明の課題である集電不良が発生した場合、マイコン測定部26や各センサの動作電圧も同時に不安定となり正確な測定やデータ送信が不可能となる可能性がある。
【0014】
そこで、走行体2の集電部には電圧測定に用いる集電電圧そのものをマイコン測定部26へ供給する電圧測定部21とは別に、上記したマイコン測定部26や各センサ24、25、無線送信部27などが動作するための電源供給部として、電源回路22が設けられており、更に電源回路22と並列に充電電池23を設けておくことにより、集電不良により発生した電圧変動を充電電池23から補い、各測定部及びセンサが安定してデータ取得を可能とする構成としている。
【0015】
また、位置マーカセンサ16は、走行体2が走行してレールの周囲に配置された複数の位置マーカ3のうち、いずれかの位置マーカ3の横を通過する度に、その位置マーカ3から報知されている固有の位置マーカIDを受信するようになっている。この位置マーカIDをマイコン測定部26に入力してデータ整形などの信号処理することにより、走行体2の現在位置を特定できるようになっており、この意味で位置マーカ3と位置マーカセンサ24は走行体2の位置特定手段として機能している。
【0016】
さらに、回転センサ25は、中間車輌2bの車輪の回転数をパルスとして取得してマイコン測定部26へ通知することにより、走行体2の走行距離を測定する走行距離計として働き、走行体2の現在位置を特定できるようになっている。この意味で回転センサ25は走行体2の位置特定手段として機能している。
【0017】
次にこの発明の対象となる鉄道模型保守管理の実施手順を説明する。
まず、レール1上に配設された走行体2は、レール1を経由して電源が供給されることで走行を開始する。
レール1より供給された電源電圧は、電源測定部21で集電電圧として測定され、マイコン測定部26へ入力される。マイコン測定部26は、この測定電圧値を無線送信部27を経由して無線受信機4へ送信する。
【0018】
走行体2は走行中に、中間車輌2bに内蔵された位置マーカセンサ24により、レール1の周囲に配設された複数の位置マーカ3のうちいずれかの横を通過するごとに各位置マーカが報知している位置マーカIDを受信し、マイコン測定部26にてデータ整形を行った後、このデータを無線送信部27を経由して無線受信機4へ無線送信する。
【0019】
更に走行体2にて計測される回転センサ25から得られる車輪の回転毎に得られるパルス信号をマイコン測定部26が取得、データ整形した上で、その他の観測信号と同様に無線送信部27を経由して無線受信機4へ無線送信する。
【0020】
上記した通りマイコン測定部26は、電圧測定部21が中間車輌2bの車輪部分より集電した電源電圧の測定値、位置マーカセンサ24で受信した位置マーカID、及び回転センサ25から得られる車輪の回転毎に得られるパルス信号の各情報を、無線送信部27を経由してリアルタイムに無線受信機4へ無線送信する。
ここで、マイコン測定部26は、上記した各々のセンサからの情報を無線送信部27から送信する際のデータフォーマット整形処理も行うが、ここで整形するデータフォーマットの形式は、送受信側で統一されていれば自由に決定可能である。
【0021】
無線受信機4は、走行体2の無線送信部27から送信されたマイコン測定部26の各データの情報を受信し、これを情報処理表示手段5で認識可能な形式へ変換した後、情報処理表示手段5へと伝送して、監視者が視覚的に観測できる状態にする。
【0022】
次に、情報処理表示手段5の動作を説明する。
走行体2から送信されたデータを受信した情報処理表示手段5では、受信したデータを解析し、図3に示す様な形で画面上に受信データをそれぞれ表示する。それぞれの表示内容を以下に示す。
(1)走行位置と集電電圧の関係を示すグラフ
図3に示すグラフにおいて、横軸に示す走行体2の走行位置は回転センサ25で一定間隔で受信したパルス信号のデータの積算値を走行距離とみなしたものである。縦軸には電圧測定部21が測定した集電電圧の測定電圧値をとり、これらのデータにて走行体2の位置に対する集電した測定電圧値のグラフ描画を行う(図3 縦軸の集電電圧情報部分)。
このグラフにより、走行に応じて集電電圧とレール上の走行体位置との関係を知ることが可能となる。
【0023】
このグラフ上において、例えばレール1の設置不良により、レール1同士の接合部に隙間があった場合、走行体2が該隙間を走行中のみ集電電圧が大きく低下する(図3中位置マーカ情報1付近)。これに対して、レール1上にカーボン屑等の異物が付着しているために発生する集電不良では、接合部の隙間がある場合に比べて、集電電圧の変動する時間が長くなり、電圧の変動幅も不定となる(図3中位置マーカ情報2付近)。このため、接合部の不良の場合と比して明らかに原因が異なることがこのグラフ上より判断可能となる。
【0024】
また、この集電電圧変動の原因の違いにより、表示されるグラフの波形が明確に異なることから、これを情報処理表示手段5上で自動的に判別し、その原因を画面上に「スキマ」「ホコリ」というように表示させることも可能となる(図3 縦軸の集電不良推定情報部分)。
このように、情報処理表示手段5は、受信情報から得られた電圧測定値の変動パターンの違いを認識することにより集電不良原因を推定し、この推定した集電不良原因を表示することで、監視者はより一層に集電不良原因を特定できる。
【0025】
(2)位置マーカ
更に、位置マーカ3の情報(位置マーカID)を受信したタイミングで、グラフ上の対応する走行位置部分に位置マーカIDを表示する(図3 縦軸の位置マーカ情報部分)。
情報処理表示手段5のグラフ表示に、この位置マーカ3の情報を追記することにより、走行体2の車輪がスリップしたこと等の原因により発生する実際の走行体2の位置と、グラフ表示上の走行位置情報とのずれの補正を行うことができる。
【0026】
なお、上記の実施の形態では、走行体2の位置特定手段として、位置マーカ3と位置マーカセンサ24、および回転センサ25による走行距離計の2つを使用しているが、そのどちらか一方を用いてもよい。もし、位置マーカ3と位置マーカセンサ24による位置特定手段のみとする場合は、位置精度が回転センサ25に比べて劣るため、位置マーカ3の数を多くすることにより、改善できる。
【0027】
以上のように実施の形態1の発明では、走行体の位置情報と集電電圧を同時に取得して画面表示することにより、集電不良箇所が容易に特定可能となると共に、集電電圧測定値の変動パターンを確認することにより、複数ある集電不良発生原因のうち、いずれの原因により集電不良が発生しているかを推定することが可能となる。
このように、展示に使用されるような大規模な鉄道模型においても、その集電不良箇所を保守担当者が効率的に検出可能とする環境を提供することによって、日々変化する集電不良状況を的確に検出し、効率的に保守することが可能になり安定した鉄道模型の走行を維持可能とすることができる。
【0028】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2における鉄道模型保守監視システムを図4に基づいて説明する。
実施の形態1では、走行体2の位置特定手段として、位置マーカ3と位置マーカセンサ24、および回転センサ25による走行距離計の2つを使用していたが、実施の形態2の発明は、位置マーカ3と位置マーカセンサ24による位置特定手段の代わりに、先頭車輛2aにカメラ28を搭載し、このカメラ28が捉えた画像を利用して走行体2の現在位置を特定するようにしたものである。
【0029】
図4において、走行体2に搭載したカメラ28が捉えた画像を無線送信部27またはカメラ28画像専用の無線送信部(図示省略)を介して監視装置の無線受信機4に送信する。カメラ28が捉えた画像は走行体2の位置によって異なるので、無線受信機4から入力した画像情報から情報処理表示手段5は走行体2の現在位置を特定し、図3に示すグラフの横軸の走行体の位置および位置マーカ情報を利用した場合と同等な機能とすることができる。その他の構成は実施の形態1の図2と同じにつき、同じまたは相当部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0030】
なお、この実施の形態2においては、走行体2の位置特定手段として、カメラ28と回転センサ25による走行距離計の2つを使用しているが、回転センサ25による走行距離計は省略して、カメラ28のみを用いてもよい。また、実施の形態1に示した位置マーカ3と位置マーカセンサ24による位置特定手段を、この実施の形態2の発明に追加して、3つの位置特定手段を用いてもよい。
この実施の形態2の発明においても、実施の形態1と同様に、集電不良箇所が容易に特定可能となると共に、複数ある集電不良発生原因のうち、いずれの原因により集電不良が発生しているかを推定することが可能となる。
【0031】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3における鉄道模型保守監視システムを図5に基づいて説明する。
図5は鉄道模型保守監視システムの全体図を示し、実施の形態1の発明に、更にレール1上を走行している走行体2の移動範囲全体を撮影可能な位置に配設したビデオカメラ6を設けたものである。このビデオカメラ6による画像を情報処理表示手段5に入力することにより、ビデオカメラ6を走行体2の位置特定手段として利用するようにしたもので、その他の構成は実施の形態1の図1と同じにつき、同じまたは相当部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0032】
この図5においては、実施の形態1と同様に、レール1の周囲には位置マーカ3が複数設置されており、夫々の位置マーカ3は固有のマーカIDを走行体2に報知し、走行体2の位置を特定できるようになっている。更に走行体2及びレール1を撮影するビデオカメラ6は、走行体2のレール1上の位置を確認することが可能となっている。また、無線受信機4が接続された情報処理表示手段5は、実施の形態1と同様に、走行体2から無線により送信された集電した電圧測定値および走行体2の位置の各情報を、無線受信機4を介して受信し、受信した情報を解釈した上で情報処理表示手段5上に表示する構成となっている。
【0033】
なお、実施の形態3の発明は、走行体2の位置特定手段として、位置マーカ3と位置マーカセンサ24、回転センサ25による走行距離計、ビデオカメラ6による画像の3つを使用して確実な現在位置特定の情報としているが、位置マーカ3と位置マーカセンサ24による位置特定手段は省略してもよい。
このように実施の形態3の発明は、走行している走行体2の状態をビデオカメラ6及び情報処理表示手段5で観測し、走行体2から受信したデータを保守に利用することにより、鉄道模型の保守性、特に集電電圧異常個所の特定の効率を向上させ、集電不良発生原因を推定することが可能となる。
【0034】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4における鉄道模型保守監視システムについて説明する。
上記に述べた各実施の形態の発明においては、回転センサ25により車輪の回転毎に得られるパルス信号を利用し、この積算値を走行距離とみなしているため、グラフの横軸の走行位置は走行体2の速度にかかわらず常に一定尺度に保たれる仕組みとなっている。しかし、走行体2の位置特定手段は回転センサ25による回転パルスに限られるものではなく、他の位置特定手段では走行体2の速度により、グラフの横軸の走行位置が伸縮する可能性があり、また車輪がロック/スリップしても走行位置が伸縮することになる。
【0035】
更に、位置マーカIDが情報処理表示手段5に表示されるとはいえ、走行体2の速度変動により画面上に表示される電圧変動の様子が表示される間隔が伸縮すると、保守担当者はグラフ上の集電電圧変動箇所とレール上の位置の関係がわかりにくくなる。
そこで、実施の形態4の発明は、受信情報に含まれる走行体2の位置情報から算出した走行体の移動速度に応じてグラフの描画間隔(グラフ表示位置)を伸縮するように調整することにより、走行体2の移動速度によらず測定電圧値の変動パターンを常に所定サイズの波形として表示するようにする。こうして、位置マーカIDと走行体2の位置が情報処理表示手段5の画面上の一定の位置に表示されるようにすることで、継続して走行体2を走行させた場合でも集電電圧変動の場所を容易に特定可能とすることができる。
【0036】
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5における鉄道模型保守監視システムを図6に基づいて説明する。
図6は、実施の形態1〜4で説明した鉄道模型保守監視システムに使用された無線受信機4または情報処理表示手段5の1つ又は複数をネットワーク7を介して遠隔監視端末8に接続したものである。
このように、無線受信機4または情報処理表示手段5をネットワーク7を介して遠隔監視端末8に接続することにより、保守担当者が直接現地へ赴かずとも、現地の鉄道模型の集電状況を確認することが可能となる上、複数個所の離れた場所に設置された鉄道模型の集電状況を一箇所で確認することも可能とすることができる。
【0037】
以上のように、この発明は集電電圧の変動を実際の走行体2のレール1上の位置と関連付けることにより、規模の大きな鉄道模型においても、受電不良が発生して走行が不安定となる場所を容易に特定可能となり、また集電電圧の変動をグラフ表示することで集電不良の原因を推定することも可能となり、より効率的な保守管理が可能となる。
【0038】
なお、情報処理表示手段5上でのデータの表示方法について、グラフ表示の軸や表示項目の選択などはデータの表現方法の違いに過ぎないので、上記した以外の様々な表示、組合せ形態を調整目的に応じて自由に変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
1:レール 2:走行体
3:位置マーカ 4:無線受信機
5:情報処理表示手段 6:ビデオカメラ
7:ネットワーク 8:遠隔監視端末
2a:先頭車輛 2b:中間車輌
2c:動力車輛
21:電圧測定部 22:電源回路
23:充電電池 24:位置マーカセンサ
25:回転センサ 26:マイコン測定部
27:無線送信部 28:カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道模型におけるレールから走行体への集電不良箇所を検出するための鉄道模型保守監視システムにおいて、前記レールからの集電電圧を測定する電圧測定部と、前記走行体の現在位置を特定する位置特定手段と、前記電圧測定部にて取得した測定電圧値及び前記位置特定手段から取得した走行体位置の各情報をリアルタイムに送信するための無線送信部とを搭載した走行体、および前記走行体の無線送信部から送信された情報を受信するための無線受信機と、この無線受信機から得られた受信情報を監視者へ伝達するための情報処理表示手段とを有した監視装置を備えた鉄道模型保守監視システム。
【請求項2】
情報処理表示手段は、無線受信機が受信した走行体の位置を横軸とし、前記無線受信機が受信した測定電圧値を縦軸にして、走行体の位置に対する集電した測定電圧値をグラフ表示するようにした請求項1に記載の鉄道模型保守監視システム。
【請求項3】
情報処理表示手段は、受信情報から得られた電圧測定値の変動パターンの違いを認識することにより集電不良原因を推定し、この推定した集電不良原因を表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鉄道模型保守監視システム。
【請求項4】
情報処理表示手段は、受信情報に含まれる走行体の位置情報から算出した走行体の移動速度に応じてグラフの描画間隔を伸縮することにより、前記走行体の移動速度によらず測定電圧値の変動パターンを常に所定サイズの波形として表示するようにした請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の鉄道模型保守監視システム。
【請求項5】
走行体の位置特定手段として、走行体に搭載した走行距離計、または前記走行体に搭載されたカメラ画像のいずれか一つもしくは両方を利用することを特徴とした請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の鉄道模型保守監視システム。
【請求項6】
監視対象模型のレール周囲の適切な位置に配設した位置マーカを設けると共に、走行体に前記位置マーカから発信される位置マーカIDを受信する位置マーカセンサを設け、無線送信部は前記位置マーカセンサが受信した位置マーカIDの情報を監視装置の無線受信機に送信するようにした請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の鉄道模型保守監視システム。
【請求項7】
情報処理表示手段は、走行体の位置情報と共に位置マーカの情報を表示するようにした請求項6に記載の鉄道模型保守監視システム。
【請求項8】
監視対象模型の走行体の移動範囲を撮影可能な位置に配設されたカメラを設け、このカメラによる画像を情報処理表示手段に入力することにより、前記カメラの画像を走行体の位置特定手段として利用するようにした請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の鉄道模型保守監視システム。
【請求項9】
1つ又は複数の無線受信機または情報処理表示手段をネットワークを介して遠隔監視端末に接続したことを特徴とした請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の鉄道模型保守監視システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−27519(P2013−27519A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165168(P2011−165168)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(395013603)三菱電機マイコン機器ソフトウエア株式会社 (8)
【出願人】(305033620)久米電気株式会社 (3)
【出願人】(502126242)株式会社ヤマネ (1)
【Fターム(参考)】