説明

鉄道模型車輌の制御装置

【課題】 鉄道模型車輌の駆動用電動モータや該車輌の前照灯、尾灯等の照明の点灯制御を比較的簡単な回路構成により適切かつ確実に行えるようにする。
【解決手段】 鉄道模型車輌の制御装置1において、所定の周波数のパルス信号のデューティ比を調節できる発振回路11を備え、該発振回路によって、車輌の前照灯、その他の照明器具の明るさを調節する。さらに、そのパルス波形を利用することにより、パルスのデューティ比に応じた直流電圧を発生させ、それによって電動モータの出力を調節し、車輌の走行速度をもコントロール制御可能とする。そして、一つのパルス幅調整用のボリュームに操作角度調整可能なストッパを付けることにより、照明は常時点灯していても、車輌は動かないようにすることができる車輌の常時点灯システムを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道模型車輌の駆動制御装置に関し、特に車輌の走行を制御するとともに、車輌の前照灯、尾灯、室内灯、あるいは鉄道模型車輌が走行するジオラマ内の照明等を所要の状態で制御するための鉄道模型車輌の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、模型車輌等の走行制御を行う制御装置が種々知られており、鉄道模型を例にとれば、給電レールを介して模型車輌に直流電圧を印加可能で、この直流電圧レベルを変えることにより、模型車輌内部のモータの回転速度を変化させることにより模型車輌のスピード制御を行うことができるような構成となっている。
【0003】
ところで、鉄道模型においては、鉄道模型車輌内部のモータだけではなく、模型車輌に取り付けられた室内灯や、模型車輌が走行する道床等に設置される各種ジオラマ部品の照明、踏切、信号などを制御装置によって作動させている。
【0004】
この場合、模型車輌内に電池を設け、モータとは独立の電源で室内灯などを作動させることも考えられるが、電池を設けるとなると、その分、その設置スペースが必要となるばかりか、模型車輌自体が重くなり、電力消費量が多くなってしまう。また、電池の交換という煩雑な作業が必要となる。この点、作動制御装置によって外部から給電を行えば、前記問題は解消される。
【0005】
従来この種の制御装置として、例えば図4に示す構成のものが提案されている(例えば特許文献1等)。
すなわち、符号30は鉄道模型車輌の制御装置であり、この制御装置30は、モータ制御用として直流電圧調整回路31と、照明用として所定の周波数のパルス信号をデューティ比を調整可能として出力するパルス発生デューティ比調整回路32とを備え、これらの直流電圧調整回路31とパルス発生でデューティ比調整回路32からの出力がミキシング回路33に送られ、ここで重畳されるようになっている。
【0006】
このミキシング回路33から極性切換え回路34に送られ、これにより出力信号の極性が適宜切換えられ、これにより鉄道模型車輌を前進させたり後進させたりするようになっている。
【0007】
そして、モータ制御用の直流電圧調整回路31を可変調整用のボリュームで調整することにより、鉄道模型車輌を所要の速度で前進または後退させることができる。また、パルス発生デューティ調整回路32を照明調整用のボリュームで調整することにより、オンオフ調整するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】 特許第2839414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来の制御装置30では、電動モータを停止させつつ前照灯などといった照明を点灯させるには、高周波の交流を用いて照明を点灯させつつ電動モータのトルク不足により車輌が移動しないように制御しているも、車輌に組み込む電動モータの特性や車輌自体の重量、車輪の回転抵抗などにより車輌を走行させるための最小必要電力に微妙なバラツキが発生し、車輌を確実に停止させつつ照明を点灯させることが困難であった。
【0010】
また、車輌を交換した場合にランプを点灯させつつ車輌を停止させておくように調整可能とされる制御装置30は、その構造などが複雑となり、製造コストも高くなるという欠点があった。特に、この種の従来装置30では、モータ駆動用と照明用とにそれぞれボリューム等の調整つまみが必要であり、部品数の増加はもとより、操作性の面でも問題であった。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、比較的単純な制御回路により確実に車輌を停止させつつランプ等の照明の点灯を可能とする鉄道模型車輌の制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的に応えるために本発明(請求項1記載の発明)に係る鉄道模型車輌の制御装置は、車輌駆動用電源からの出力電圧を目標速度に応じて可変制御して出力することにより鉄道模型車輌を駆動制御するとともに該鉄道模型車輌に関連する照明を点灯制御する鉄道模型車輌の制御装置において、所定の周波数のパルス信号であってデューティ比が調整可能とされる制御パルスを出力する発振手段と、この発振手段からの制御パルスの一部を取り出して整流する整流手段と、この整流手段にて得られた直流を前記発振手段からの制御パルスに重畳する出力調整手段と、この出力調整手段からの出力信号の極性を鉄道模型車輌の前進、後進に応じて切り換えて車輌に出力するための極性切換え手段とを備え、前記発振手段には、該発振手段から出力される制御パルスのパルス幅を可変調整する一つのパルス幅調整手段が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明(請求項2記載の発明)に係る鉄道模型車輌の制御装置は、請求項1において、前記パルス幅調整手段は一つのつまみからなり、このつまみにその操作量を調整可能なストッパを設け、この操作量調整によって、車輌走行が停止しても車輌の照明やジオラマ内の他の照明が常時点灯しているように制御することができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る鉄道模型車輌の制御装置によれば、制御パルスのデューティ比をパルス幅調整手段で調整して直流電圧を低くすると鉄道模型車輌を走行させることなく車輌の照明などを点灯させる平均値の低いパルス信号を出力させる調整が容易となるものであり、ジオラマを走行する鉄道模型車輌を実際の車輌が走行しているような光景を見ているようにリアルに制御することができる。
【0015】
特に、本発明によれば、パルス発生手段から出力されたパルス信号のパルス幅を前記車輌の照明の所望の明るさに応じて可変制御して出力する1個のパルス幅制御手段(一つのつまみ)を設けるだけで、車輌の走行駆動と照明の点灯制御とを適切かつ確実に行えるものであり、実用的効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 本発明に係る鉄道模型車輌の制御装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】 コントローラ筐体の平面図である。
【図3】 コントローラ筐体の側面図である。
【図4】 従来の鉄道模型車輌の制御装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
所定周波数の発する信号のデューティ比を調節できる発振手段により、鉄道模型車輌の前照灯、その他の照明器具の明るさを調節するとともに、そのパルス波形を利用することにより、パルスのデューティ比に応じた直流電圧を発生させ、それによって電動モータの出力を調節し、車輌の走行速度をもコントロール制御可能とするものである。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明に係る鉄道模型車輌の制御装置の一実施例を示す。
図において、符号1は鉄道模型車輌の制御装置であり、車輌駆動用電源(図示せず)からの出力電圧を目標速度に応じて可変制御して出力することにより鉄道模型車輌を駆動制御するとともに該鉄道模型車輌に関連する照明等を点灯制御するように構成されている。
【0019】
この鉄道模型車輌の制御装置1は、所定の周波数のパルス信号であってデューティ比が調整可能とされる制御パルスを出力する発振手段としてのパルス発生デューティ比調整回路11と、このパルス発生デューティ比調整回路11からの制御パルスの一部を取り出して整流する整流手段としての整流回路12と、この整流回路12にて得られた直流を前記パルス発生デューティ比調整回路11からの制御パルスに重畳する出力調整手段としての出力調整回路(ミキシング回路)13と、この出力調整回路(ミキシング回路)13からの出力信号の極性を鉄道模型車輌の前進、後進に応じて切り換えて車輌に出力するための極性切換え手段としての極性切換え回路14とを備えている。
【0020】
そして、このような構成において、前記発信手段としてのパルス発生デューティ比調整回路11から出力される制御パルスのパルス幅を可変調整するパルス幅調整手段としてパルス幅調整用のつまみ(ボリューム)21をコントロール筐体2に設けている。
【0021】
このつまみ(ボリューム)21を回転操作することにより抵抗値を可変制御するように構成され、これにより制御パルスのパルス幅を所要の状態で可変調整可能に構成されている。
【0022】
また、このつまみ(ボリューム)21には、回転操作量を角度調整可能なストッパ22等を設けている。
【0023】
そして、このように構成することにより、該つまみ21の所定量以上の操作によって、車輌走行が停止して車輌の照明やジオラマ内の他の照明が常時点灯しているように制御することができる。
【0024】
なお、本発明は上述した実施の形態で説明した構造には限定されず、鉄道模型車輌の制御装置を構成する各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は上述したような構成であるので、風景全体を模型にして製作したジオラマを走行する鉄道模型車輌が実際の風景の中で走行しているように想起して楽しむことができるものであって、あらゆる範囲の鉄道マニアが楽しむことができる。
【符号の説明】
【0026】
1 制御装置
11 パルス発生デューティ比調整回路(発信手段)
12 整流回路
13 ミキシング回路
14 極性切換回路
2 コントローラ筐体
21 つまみ(パルス幅調整用ボリューム)
22 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌駆動用電源からの出力電圧を目標速度に応じて可変制御して出力することにより鉄道模型車輌を駆動制御するとともに該鉄道模型車輌に関連する照明を点灯制御する鉄道模型車輌の制御装置において、
所定の周波数のパルス信号であってデューティ比が調整可能とされる制御パルスを出力する発振手段と、
この発振手段からの制御パルスの一部を取り出して整流する整流手段と、
この整流手段にて得られた直流を前記発振手段からの制御パルスに重畳する出力調整手段と、
この出力調整手段からの出力信号の極性を鉄道模型車輌の前進、後進に応じて切り換えて車輌に出力するための極性切換え手段とを備え、
前記発振手段には、該発振手段から出力される制御パルスのパルス幅を可変調整する一つのパルス幅調整手段が設けられていることを特徴とする鉄道模型車輌の制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の鉄道模型車輌の制御装置において、
前記パルス幅調整手段は一つのつまみからなり、このつまみにその操作量を調整可能なストッパを設けたことを特徴とする鉄道模型車輌の制御装置。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−217837(P2012−217837A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103260(P2011−103260)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(399016031)株式会社トイテック (13)
【Fターム(参考)】