説明

鉄道用ヘッドライト

【課題】 LED式ライトを使用しつつ、十分な照明量を保持する鉄道用ヘッドライトを提供することである。
【解決手段】 実施形態のヘッドライトは、ハイビーム用基盤12a上に設置されたハイビーム用ライト13aと、ロービーム用基盤12b上に設置されたロービーム用ライト13bと、ハイビーム用ライト13aが進行方向に、取付枠またはハイビーム用鏡筒14a、 を介して取り付けられるハイビーム用基盤12a側面と平行に設置されるハイビーム用レンズ15aと、ロービーム用ライト13b進行方向に、取付枠またはロービーム用鏡筒14bを介して取り付けられ、ハイビーム用レンズ15aとは異なる角度で設置されるロービーム用レンズ15bとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、鉄道用のヘッドライトに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の技術の進歩発展に伴い、一般にパワーLEDと呼ばれるLED式ライトが広く市販されるようになった。このパワーLEDは、鉄道車両の先頭に取り付けられるヘッドライトに求められるような光量を発することが可能であり、このパワーLEDを用いた鉄道用ヘッドライトが開発され始めている。
【0003】
また、鉄道車両が、特に夜間などにヘッドライトを点灯させて走行する場合、歩行者や対向車などに向けて必要以上に強い光を向けるのは好ましくない。そのため、ヘッドライトには光が直進するハイビームと、光がレール方向に向うロービームとを切り替える機能を持たせるとともに、さらには光量を調節することで、上記のような状況に対応してきた。
【0004】
以下に従来の技術として一般的に使用されてきたシールドビームと呼ばれる鉄道用ヘッドライトについて説明する。シールドビームは反射鏡とガラスとで密封された電球の内部に、上下、二つのフィラメントを配置されている。この上下に分かれた2つのフィラメントの電源として、電球後部に点灯回路用の端子が設けられている。この点灯回路は、車両側でのスイッチを切換える事により、上下のどちらかを点灯させることが可能となる。このとき、反射鏡のほぼ焦点付近に配置されたフィラメントを点灯させた場合は、光が直進するのでハイビームになる。また、反射鏡の焦点から上方に偏倚した位置にあるフィラメントを点灯させた場合は、光が反射鏡内で下向きに反射されるので、光がやや下向きになるのでロービームになる。さらに、必要により、ハイビームに対してロービームのフィラメントに流す電流が小さくなるようにフィラメントを設計して、光量を小さくすることで、歩行者や対向車への配慮を行ってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−327188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術は、1つの発光器具に対して複数の発光源が用いられているため、その発光器具が有する焦点以外を使用した発光源の光は外部へと効果的に伝えられていなかった。そのため、LED式ライトを使用すると、LED式ライトの発光量の使用率が低くなり、多くのLED式ライトを使用しなければ十分な照明量が得られないという問題が生じていた。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、LED式ライトを使用しつつ、十分な照明量を保持する鉄道用ヘッドライトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のヘッドライトは、ハイビーム用基盤上に設置されたハイビーム用ライトと、ロービーム用基盤上に設置されたロービーム用ライトと、ハイビーム用ライトが進行方向に、取付枠を介して取り付けられるハイビーム用基盤側面と平行に設置されるハイビーム用レンズと、ロービーム用ライト進行方向に、取付枠を介して取り付けられ、ハイビーム用レンズとは異なる角度で設置されるロービーム用レンズと、を有する鉄道用ヘッドライト。LED式ライトを使用しつつ、十分な照明量を保持する鉄道用ヘッドライトを有している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態の車両側面図。
【図2】第1の実施形態の鉄道用ヘッドライトの側面図。
【図3】第2の実施形態の鉄道用ヘッドライトの側面図。
【図4】第3の実施形態の鉄道用ヘッドライトの側面図。
【図5】第3の実施形態の鉄道用ヘッドライトの変形例を示す側面図。
【図6】第4の実施形態の鉄道用ヘッドライトの側面図。
【図7】第5の実施形態の鉄道用ヘッドライトの正面図。
【図8】第5の実施形態の鉄道用ヘッドライトの傾斜図。
【図9】題5の実施形態の鉄道用ヘッドライトの側面図。
【図10】第5の実施形態の鉄道用ヘッドライトの正面図。
【図11】第5の実施形態の鉄道用ヘッドライトの傾斜図。
【図12】第5の実施形態の鉄道用ヘッドライトの側面図である。
【図13】第1〜第5の実施形態の鉄道用ヘッドライトの第1電気回路図。
【図14】第1〜第5の実施形態の鉄道用ヘッドライトの第2電気回路図。
【図15】第1〜第5の実施形態の鉄道用ヘッドライトの照明範囲図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態のヘッドライトを図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について図1乃至図3を参照し、詳細に説明する。図1は、第1の実施形態の車両側面図である。図2は、第1の実施形態の鉄道用ヘッドライトの側面図である。図3は、第1の実施形態の鉄道用ヘッドライトの変形例を示す側面図である。
【0012】
(構成)
鉄道車両の先頭部には、車上から前方の確認、あるいは、地上から列車の接近を認知することを主たる目的とするヘッドライトが配置されている。またその光源として、ヘッドランプが内蔵されている。そのヘッドライトの配置位置について図1を用いて例を示す。
【0013】
図1には、鉄道車両1に設けられる運転室2の上部にヘッドランプ3が配置されている。このヘッドランプは、ここでは図示しない運転者のスイッチ扱いにより、ハイビームとロービームを切り換えることができる。
【0014】
運転操作を行う運転者が運転室2により確保できる視野範囲を前方視野4とする。その前方視野4に対して、ハイビームにすると照射角5となり、ロービームにすると照射角6となる。ハイビームは遠方を照射し、ロービームは、水平よりもやや下方を照射する。
【0015】
次にヘッドランプの構造について詳細に説明する。図2のヘッドランプは、取付板11、ハイビーム用LED基盤12a、ロービーム用LED基盤12b、ハイビーム用発光部13a、 ロービーム用発光部13b、ハイビーム用鏡筒14a、ロービーム用鏡筒14b、ハイビーム用レンズ15a、ロービーム用レンズ15bを有している。
【0016】
取付板11の一側面には、ハイビーム用LED基盤12aとロービーム用LED基盤12bが天井部側から床下側に向かって上下に取り付けられる。ハイビーム用LED基盤12aの取付板11と接していない側面には、ハイビーム用発光部13aが設置される。ハイビーム用LED基盤12aと、ハイビーム用発光部13aを覆うように、ハイビーム用鏡筒14aの一端部が取付板11に固定される。ハイビーム用鏡筒14aの別端部は取付板11より突出するように設けられる。また、ハイビーム用鏡筒14aが取付板11とは接していない端部、つまり突出している側の端部には、ハイビーム用鏡筒14aと同様の径を有する凸レンズのハイビーム用レンズ15aが設置される。
【0017】
また、ロービーム用LED基盤12bの取付板11と接していない側面には、ロービーム用発光部13bが取り付けられる。ロービーム用LED基盤12bと、ロービーム用発光部13bを覆うように、ロービーム用鏡筒14bの一端部が取付板11に取付板11に固定される。またロービーム用鏡筒14bの別端部は取付板11より突出するように設けられる。このとき、ロービーム用鏡筒14bは、突出している端部が、取付板11の端部よりもやや下方のレール方向に位置している。そのため、取付板11と接しているロービーム用鏡筒14bの開口部は、突出している側のロービーム用鏡筒14bの開口部より大きくなっている。また、ロービーム用鏡筒14bの突出している側の端部には、ロービーム用鏡筒14bと同様の径を有する凸レンズのロービーム用レンズ15bが設置される。
【0018】
(作用)
次に本実施形態の構成による作用を説明する。図2に示すように、ハイビーム用発光部13a及びロービーム用発光部13bの光は分散するように放出される。放出された光はハイビーム用鏡筒14a及びロービーム用鏡筒14bによって、それぞれの鏡筒内部に留まることになる。鏡筒内部に留められた光は、凸レンズのハイビーム用レンズ15aと、ハイビーム用レンズ15bによって一点に収束され外部へと放出される。このとき、ハイビーム用鏡筒14aの開口部が直進方向に開口しているため、ハイビーム用鏡筒14aよりハイビームが放出されることになる。また、ロービーム用鏡筒14bの1つの開口部がレール方向に向かっているため、ロービームが放出されることになる。
【0019】
(効果)
以上述べた実施形態のヘッドライトによれば、異なる傾斜を有するレンズに対応し、それぞれのLEDを設置することにより、LEDライトの光量を充分に利用することができ、かつ必要な照明量を提供することが可能となる。
【0020】
ここでは説明を簡略化するために、ハイビーム用とロービーム用のヘッドランプを上下の場合のみ説明したが、ハイビームとロービーム用のヘッドランプの位置については、横、斜めなどその他の配置も可能であり、その場合も本実施形態の効果は得られる。
【0021】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について図を参照し、詳細に説明する。図3は、第2の実施形態の鉄道用ヘッドライトの側面図である尚、図1乃至2と同一の構成をとるものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0022】
本実施形態は、第1の実施形態とは、傾斜用取付板を有する点が異なっている。以下、その点について詳細に説明する。
【0023】
(構成)
取付板11aにL字型の傾斜用取付板11bが設けられている。傾斜用取付板11bは鉄道車両1の天井側から床下側に向かって傾斜が低くなっていくように、傾斜用取付板11bに取り付けられている。傾斜用取付板11bは、進行方向に対向して広い側面を有する。その側面を傾斜面111bとする。傾斜面111bの取付板11側とは反対側の側面に、ロービーム用LED基盤12bが設けられる。また、ロービーム用LED基盤12bの傾斜用取付面111bとは反対側の側面に、ロービーム用発光部13bが設けられる。ロービーム用LED基盤12bと、ロービーム用発光部13bを覆うように、ロービーム用鏡筒14cの端部が取付面111bに取り付けられる。またロービーム用レンズ15cがロービーム用鏡筒14cの先端に設けられる。
【0024】
次に、図4を用いて、図3で説明した発光部と、電源部の一体化について説明する。発光部は、傾斜用取付板11b、放熱フィン18、ハイビーム用LED基盤12a、ロービーム用LED基盤12b、ハイビーム用鏡筒14a、ロービーム用鏡筒14b、ハイビーム用レンズ15a、ロービーム用レンズ15bを有している。電源部は、電源側取付枠17a、電源側取付板17b、安定化電源21d、コネクタ25を有している。取付板11bの一側面にハイービーム用LED基盤12a、ロービーム用LED基盤12b等が取り付けてある構成は図3と同様である。取付板11bの別側面にはLEDから発生する熱を放散するための放熱フィン18が設けられている。放熱フィン18は板状のものを複数枚用いることや、取り付けられていない側面が波形状を有しているものを用いることが可能である。取付板11bの放熱フィン18が取り付けられている側面の外周部には、電源側取付板27a、27bが設けられる。電源側取付板27a、27bの取付板11bと接続されていない端部には、ヘッドライトのハイビームやロービームの切換制御を行う安定化電源21dが設置される。また安定化電源21dの、取付板11bと反対側の側面には、鉄道車両1がヘッドライトに電力を供給するためのコネクタ25が設置される。
【0025】
(効果)
以上述べた少なくともひとつの実施形態のヘッドライトによれば、異なる傾斜を有するレンズに対応し、それぞれのLEDを設置することにより、LEDライトの光量を充分に利用することができ、かつ必要な照明量を提供することが可能となる。
【0026】
さらに本実施形態では、傾斜用取付板を用いることでハイビーム用とロービーム用に用いる部品が共通となり、標準化が可能となる。そのため、製造工程の簡易化が図れる。
【0027】
またここでは図示しないが、コネクタ25と安定化電源21dの間をリード線によって繋げる構成も可能である。その場合、鉄道車両1側に既存に設けられているブラグ等の構成に対応可能で、互換性を向上することができる。
【0028】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について図を参照し、詳細に説明する。図5は第3の実施形態の鉄道用ヘッドライトの側面図である。尚、図1乃至4と同一の構成をとるものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0029】
本実施形態は、第1の実施形態とは、鏡筒が異なっている。以下、その点について詳細に説明する。
【0030】
(構成)
図5に示すように、本実施形態は取付板11b上に板状の取付枠17aが設けられる。取付枠17aの一端部は取付板11bに固定され、別端部は取付板11bより直進方向に突出するように位置している。取付枠17aの突出している先端部の先には一体型レンズ16が取り付けられる。一体型レンズ16は、2つのレンズとそのレンズ間を接続する接続部材116cで構成される。2つのレンズは上下に位置し、その上側がハイビーム用レンズ116a、下側がロービーム用レンズ116bである。このときハイビーム用レンズ116aは、放出される光が直進方向に平行となるように、取付板11bと並行に配置されている。また、ロービーム用レンズ116bは、放出される光がレール方向、やや下向きとなるよう、ロービーム用レンズ116bの下側部分と取付板11b間の距離が、ロービーム用レンズ116bの上側部分と取付板11bの距離のほうが長くなるように傾斜を有して設置されている。また、接続部材116cは、例えば取付枠17aと同様の材料で構成される。
【0031】
上記の取付枠17aは、板状に限定されず、棒状、筒状を用いることでも本実施形態の効果を得ることは可能である。また、複数枚の板状の取付枠17aを使用することでも可能である。
【0032】
また、上記の一体型レンズ16は、ハイビーム用レンズ116a、ロービーム用レンズ116b、接続部材116cの材料を統一することで構成することも可能である。
【0033】
(作用)
本実施形態の構成を用いると、ハイビーム用発光部13a及びロービーム用発光部13bからの光は取付枠17a内で留まり、その後、ハイビーム用レンズ116a、ロービーム用レンズ116bの焦点を通して、外部へと放出されることになる。
【0034】
(効果)
以上述べた少なくともひとつの実施形態のヘッドライトによれば、異なる傾斜を有するレンズに対応し、それぞれのLEDを設置することにより、LEDライトの光量を充分に利用することができ、かつ必要な照明量を提供することが可能となる。
【0035】
さらに、個々のLEDに対応して鏡筒を設けることがないため、製造部品の削減、製造工程の簡易化を図ることが可能となる。
【0036】
さらに図6を、図5の変形例として示す。図6に示した防水一体型レンズ16aは、取付枠17aと接続部材116cが一体化されたものである。レンズ以外の鏡筒部分を一体化し、取付板11bに固定することで防水性が高くなる。そのため、製造部品の削減、製造工程の簡易化を図りつつも、防水性の高い鉄道用ヘッドライトを提供することが可能となる。
【0037】
また、これまでの実施形態で述べられたヘッドライトを電源一体型とし、鉄道車両1に組み込む際は、ハイビーム用ヘッドライトとロービーム用のヘッドライトを配置、組み合わせを変更することで、全体形状を丸型や角型など自由に決められる。そのため、既存の鉄道車両1の形状に合わせることが可能であるため、高い互換性を有しているといえる。また、新たなデザインに合わせて自由な形状にすることも可能である。
【0038】

(第4の実施形態)
第4の実施形態について図を参照し、詳細に説明する。図7は、第5の実施形態の鉄道用ヘッドライトの正面図である。図8は、第5の実施形態の鉄道用ヘッドライトの傾斜図である。図9は、第5の実施形態の鉄道用ヘッドライトの側面図である。尚、図1乃至6と同一の構成をとるものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0039】
本実施形態は、第2の実施形態のヘッドライトを複数組み合わせた構成となっている。以下、その点について詳細に説明する。
【0040】
(構成)
図7、図8、図9に、取付板40、第1固定穴41、第2固定穴42、配線穴43、ハイビーム用ヘッドランプ44、ロービーム用ヘッドランプ45について示す。取付板40は八角形の鉄板であり、第1固定穴41と第2固定穴42、配線穴43を有している。第1固定穴41は鉄道車両1側とヘッドライト全体をネジ等を使用して固定するための固定穴である。第2固定穴は放熱フィン18と取付板40を固定するための固定穴である。また、配線穴43は、取付板40の背面側に設置される電源と電気的に接続するための配線を通す穴である。取付板40上には、ハイビーム用ヘッドランプ44とロービーム用ヘッドランプ45が複数個設置される。まず、ハイビーム用ヘッドランプ44が取付板40の長手方向に隣接して4つ設置される。この列を第1列ハイビーム44aとする。次に第1列ハイビーム列44aの下側に、2つのロービーム用ヘッドランプ45が設置される。この列を第1ロービーム列45aとし、ロービーム用ヘッドランプ45は並んだハイビーム用ヘッドランプ44の中央下に位置している。次に第1ロービーム列45aの下側に、ハイビーム用ヘッドランプ44が取付板40の長手方向に隣接して4つ設置される。この列を第2ハイビーム列44bとする。また同様に、第2ハイビーム列44bの下側に、2つのロービーム用ヘッドランプ45が配置された第2ロービーム列45bが位置している。また、その第2ロービーム列45bの下側には、4つのハイビーム用ヘッドランプ44が取付板40の長手方向に隣接して並んでいる第3ハイビーム列44cが位置する。
【0041】
また図9に示すように取付板40の背面側には、電源側取付板47及び電源46が設置されている。取付板40のヘッドランプが設置されていない面には放熱フィン18が設けてあり、その放熱フィンを囲うように板状の電源側取付板47が取り付けられる。電源側取付板47の取付板40と固定されていない端部には電源46が設置される。
【0042】
(効果)
以上述べた少なくともひとつの実施形態のヘッドライトによれば、異なる傾斜を有するレンズに対応し、それぞれのLEDを設置することにより、LEDライトの光量を充分に利用することができ、かつ必要な照明量を提供することが可能となる。
【0043】
本実施形態は第2の実施形態のヘッドライトを例として複数組み合わせたが、その他の実施形態で述べられたヘッドライトの形状を用いることも可能である。
【0044】

(第5の実施形態)
第5の実施形態について図を参照し、詳細に説明する。図10は、第5の実施形態の鉄道用ヘッドライトの正面図である。図11は、第5の実施形態の鉄道用ヘッドライトの傾斜図である。図12は、第5の実施形態の鉄道用ヘッドライトの側面図である。尚、図1乃至9と同一の構成をとるものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0045】
本実施形態は、第1の実施形態のヘッドライトを取り付ける台が異なっている。以下、その点で説明する。
【0046】
(構成)
図10、図11、図12に示すように、本実施形態の取付台50は、正面から見た開口部50aが、周囲が緩やかな曲線で構成された四角形であり、凹部を有する箱型の形状を有している。この取付台50の開口部50a形状は、例えば丸型に近い形でもよい。取付台50の開口部50aには、開口部50aを覆うように透明な保護板50bが設けられている。また、ヘッドライトを車体側に設けられた保護ガラスなどにより防水された部位で使用する場合などにおいては、この保護板50bは省略可能となる。
【0047】
取付台50の一方の側面には第4の実施形態と同様にヘッドライトが取り付けられている。また、図12に示すように、取付台50のもう一方の側面には、放熱フィン58と、放熱フィン58を囲うように電源側取付板57が設けられている。また、放熱フィン58と対向する電源側取板57の側面には、電源支持棒57aが複数本、取り付けられている。電源支持棒57aの、電源側取付板57とは接続されていないもう端部には、板状の電源取付板56が設けられている。電源取付板56の側面上でかつ、電源支持棒57aが取り付けられていない側面には、鉄道車両1側の電力供給源と接続されるヘッドライト用電源56a、56b、56cが取り付けられる。
【0048】
またここでは図示しないが、第2の実施形態で述べたコネクタ25、及びその取付け台となっている定化電源21dの外枠、電源側取付枠27a、28bを、ヘッドライト用電源56a、56b、56cを覆うように、電源取付板56上に追加することも可能となる。そのときコネクト25と電源との接続は、第2の実施形態と同様にリード線を介することで鉄道車両1側のブラグ等に対応することが可能となる。(作用)
本実施形態の取付台50は、凹部部分にヘッドライトを設け、その凹部部分を覆うように保護板50bが設けられているため、鉄道車両1の走行するときに、雨、雪などの外部からの異物の進入を防ぎ、ヘッドライトを保護する。
【0049】
(効果)
以上述べた少なくともひとつの実施形態のヘッドライトによれば、異なる傾斜を有するレンズに対応し、それぞれのLEDを設置することにより、LEDライトの光量を充分に利用することができ、かつ必要な照明量を提供することが可能となる。
【0050】
本実施形態は第2の実施形態のヘッドライトを例として複数組み合わせたが、その他の実施形態で述べられたヘッドライトの形状を用いることも可能である。
【0051】
(第6の実施形態)
第6の実施形態について図を参照し、詳細に説明する。図13は、第1〜第5の実施形態の鉄道用ヘッドライトの第1電気回路図である。尚、図1乃至12と同一の構成をとるものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0052】
本実施形態は、第1から第5の実施形態に適応する電気回路について説明する。
【0053】
(構成)
図13に、ハイビーム用LED基盤12a、ロービーム用LED基盤12b、ハイビーム用安定化電源21a、一体型安定化電源21c、安定化電源21d、配線用遮断器23、切換スイッチ24、ハイビーム用端子24a、ロービーム用端子24bを有する本実施形態の電気回路を示す。
【0054】
配線用遮断機23と切換スイッチ24が接続され、切換スイッチ24は、切換によってハイビーム用端子24aまたはロービーム用端子24bと接続される。切換は運転室の操作指令によって行われる。ハイビーム用端子24aは、ハイビーム用安定化電源21aを介してハイビーム用LED基盤12aと接続される。ハイビーム用LED基盤12aの負側端子は接地装置と接続される。また、ロービーム用端子24bは、ロービーム用安定化電源21bを介してロービーム用LED基盤12bと接続される。ロービーム用LED基盤12bの負側端子は接地装置と接続される。
【0055】
(作用)
このような回路は、電源より供給される電力は、切換スイッチ24によってハイビーム側かロービーム側に送られることになる。切換スイッチ24が、運転室からの指令によりハイビーム用端子24aと接続された場合、供給された電力はDC−DCコンバータであるハイビーム用安定化電源21aを介して、適切な直流電圧に変換される。変換された直流電圧はハイビーム用LED基盤12aに供給され、ハイビーム用LEDが点灯する。また、切換スイッチ24が、運転室からの指令によりロービーム用端子24bに接続された場合、供給された電力はDC−DCコンバータであるロービーム用安定化電源21bを介して、適切な直流電圧に変換される。変換された直流電圧はロービーム用LED基盤12bに供給され、ロービーム用LEDが点灯する。
【0056】
このとき切換スイッチ24は既存車両に設備として搭載されていることがあるため、その既存車両設備を使用してハイビーム用LEDまたはロービーム用LEDの点灯を行うことが可能となる。
【0057】
(効果)
以上述べた少なくともひとつの実施形態のヘッドライトによれば、異なる傾斜を有するレンズに対応し、それぞれのLEDを設置することにより、LEDライトの光量を充分に利用することができ、かつ必要な照明量を提供することが可能となる。
【0058】
また図14に図13の変形例を示す。図14は、ハイビーム用安定化電源21a、ロービーム用安定化電源21bの代わりに、一体型安定化電源21cが取り付けられている。一体型安定化電源21cは、ハイビーム用安定化電源21a、ロービーム用安定化電源21bが共通化したものである。共通化することで軽量化を図ることが可能なる。
【0059】
以上述べてきた鉄道用ヘッドランプには、踏み切り内の障害物の有無を検知する踏切障害物検知装置の誤検知を回避する効果もある。踏切障害物検知装置は、検知周波数を有しており、鉄道車両1のヘッドライトの周波数が検知周波数と近い場合、誤検知を誘発する恐れがあった。前述したLEDを使用した鉄道用ヘッドライトは、路線ごとにヘッドライトからスイッチング周波数を自由に設定することや、走行中に路線データ等の運行情報によりスイッチング周波数変更したりすることも可能であるため、このような誤検知を回避できる。
【0060】
また、ここでは図示しないが、LEDの発光色としては、白に限らず、アンバー、黄、赤、青、緑などがある。従来使用してきたシールドビームに近い使用感を実現するには、アンバーを用いると、いわゆる電球色になり、違和感がない。また、車両の後尾に配置されている後部標識灯は、赤であることが求められているので、赤のLEDを用いると、後部標識灯の機能を満たすことも可能となる。
【0061】
また、少なくとも1つの実施形態を用いることで、図15のようにヘッドライトの左右の角度を変えることが可能である。図15は、車両を上面から見た場合の、光の左右方向への広がりについて示したものである。レール7を走行する鉄道車両1に進行方向側面にヘッドランプ3aが設けられている。実施形態の構成を用いることにより、各路線などの使用環境に適した光束、たとえば、第1照射角8aや第2照射角8bなどの様々な角度を有する鉄道車両1を実現することが可能である。または、車両側での車体設計時に光軸設定を行うのではなく、車体のランプ取付面は、たとえば、車両の進行方向に対して90度で標準化しておき、車両や路線などの状況により、ランプ正面のレンズを交換することで、上下・左右、あるいは斜め方向の必要な角度に光を向けることが可能となる。
【0062】
上記で説明された全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。そのため、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 鉄道車両
2 運転室
3 ヘッドランプ
3a ヘッドランプ
4 前方視野
5 ハイビーム照射角
6 ロービーム照射角
7 レール
8a 第1照射角
8b 第2照射角
11 取付板
11a 傾斜用取付板
111b 傾斜面
12a ハイビーム用LED基盤
12b ロービーム用LED基盤
13a ハイビーム用発光部
13b ロービーム用発光部
14a ハイビーム用鏡筒
14b ロービーム用鏡筒
14c ロービーム用鏡筒
15a ハイビーム用レンズ
15b ロービーム用レンズ
15c ロービーム用レンズ
16 一体型レンズ
16a 防水一体型レンズ
17a 取付枠
17b 取付枠
18 放熱フィン
21a ハイビーム用安定化電源
21c 一体型安定化電源
21d 安定化電源
22a ロービーム用安定化電源
23 配線用遮断器
24 切換スイッチ
25 コネクタ
27a 電源側取付枠
27b 電源側取付枠
116a ハイビーム用レンズ
116b ロービーム用レンズ
116c 接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイビーム用基盤上に設置されたハイビーム用ライトと、
ロービーム用基盤上に設置されたロービーム用ライトと、
前記ハイビーム用ライトが進行方向に、取付枠を介して取り付けられる前記ハイビーム用基盤側面と平行に設置されるハイビーム用レンズと、
前記ロービーム用ライト進行方向に、取付枠を介して取り付けられ、前記ハイビーム用レンズとは異なる角度で設置されるロービーム用レンズと、
を有する鉄道用ヘッドライト。
【請求項2】
前記ハイビーム用ライトに取り付けられる前記取付枠と前記ロービーム用ライトに取り付けられる前記取付枠が一体化されている請求項1記載の鉄道用ヘッドライト。
【請求項3】
前記ハイビーム用ライトに取り付けられる前記取付枠である前記ハイビーム用ライトを囲むように設置されるハイビーム用鏡筒と、
ロービーム用ライトに取り付けられる前記取付枠である前記ロービーム用ライトを囲むように設置されるロービーム用鏡筒と、
前記ハイビーム用鏡筒の、前記ハイビーム用ライトが設置されている端部とは反対側の先端部に、前記ハイビーム用基盤側面と平行に設置されるハイビーム用レンズと、
前記ロービーム用鏡筒の、前記ロービーム用ライトが設置されている端部とは反対側の先端部に、前記ハイビーム用レンズとは異なる角度で設置されるロービーム用レンズと、
を有する請求項1記載の鉄道用ヘッドライト。
【請求項4】
前記ハイビーム用ライトと前記ロービーム用ライトを複数組み合わせた請求項1乃至3記載の鉄道用ヘッドライト。
【請求項5】
前記ハイビーム用ライトと前記ロービーム用ライトが取り付けられる取付け板を有する請求項1乃至4記載の鉄道用ヘッドライト。
【請求項6】
前記ハイビーム用ライトと前記ロービーム用ライトが凹部部分に取り付けられる取付台を有する請求項1乃至4記載の鉄道用ヘッドライト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−82242(P2013−82242A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221643(P2011−221643)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】